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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/10 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
D06F58/10 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019233551
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021101786
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 肇
(72)【発明者】
【氏名】永井 孝之
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-149822(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0126422(US,A1)
【文献】特開2007-139327(JP,A)
【文献】特開2015-070928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/10-58/12
D06F 73/02
A47B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、前面に投入口を有し、衣類が収容される収容室と、
前記収容室内に吊られた状態となるよう衣類を保持する保持部と、
前記収容室内に温風を供給する温風供給部と、
前記収容室内にスチームを供給するスチーム供給部と、
循環ファンと、偏向部材と、駆動部と、を含み、前記収容室内の空気を吸い込んで前記収容室内に吹き出す空気循環部と、を備え、
前記循環ファンは、
円筒状に配されたランナーを有し軸方向の寸法が径方向の寸法よりも大きなファンと、前方に開口し前記軸方向に長い吸気口と上方に開口し前記軸方向に長い吐出口とを有し、前記ファンが収容されるケーシングと、を含み、
前記収容室の内部における底部の後端部であって前記保持部よりも下方に、前記軸方向が左右方向となるように配置され、
前記吸気口から吸い込んだ空気を前記吐出口から吹き出し、
前記偏向部材は、
前記吐出口より大きなサイズを有し、
前記収容室の内部における前記循環ファンの真上であって前記保持部よりも下方に、前記偏向部材の揺動軸が左右方向となるように配置され、
前記吐出口から吹き出した空気に接触して、当該空気を偏向させ、
前記駆動部は、空気の偏向角度が変わり空気が向かう方向が上下方向に変化するように前記偏向部材を上下に揺動させ、
前記保持部は、左右方向に延びる形状を有し、衣類の前後の方向が前記偏向部材の揺動軸の軸方向と平行となるように、左右方向に複数の衣類を並べて保持でき、
前記循環ファンは、前記ファンの左右方向の中心が前記保持部の左右方向の中心とほぼ一致するとともに、左右方向に前記保持部よりも長い、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類処理装置において、
記偏向部材により偏向された空気が通る複数の開口部を有し、前記偏向部材を覆うカバー部を、さらに備える、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の衣類処理装置において、
前記偏向部材は、その先端が円弧を描くように揺動し、
前記カバー部は、前記円弧の径方向から前記偏向部材を覆う部分が、前記複数の開口部を有するとともに円弧形状に形成される、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の衣類処理装置において、
前記収容室に配置され、処理対象物が載置される載置棚を、さらに備える、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の衣類処理装置において、
前記載置棚は、折り畳み可能であり、
前記収容室の後面、右側面または左側面のうち何れかの壁面には、前記載置棚が、折り畳まれて前記壁面に沿って起立する非設置状態と、伸ばされて前記壁面の前に倒れる設置状態とに変形可能に固定される固定部が設けられる、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項6】
筐体内に配置され、衣類が収容される収容室と、
前記収容室内に吊られた状態となるよう衣類を保持する保持部と、
前記収容室内に温風を供給する温風供給部と、
前記収容室内にスチームを供給するスチーム供給部と、
前記収容室内の空気を吸い込んで前記収容室内に吹き出させ、吹き出した空気を吊られた衣類に向かわせる空気循環部と、を備え、
前記空気循環部は、
吸気口から吸い込んだ空気を吐出口から吹き出す循環ファンと、
前記吐出口から吹き出した空気に接触して、当該空気を偏向させる偏向部材と、
空気の偏向角度が変わるように前記偏向部材を揺動させる駆動部と、を含み、
前記収容室内の空気を排出するための排出口と、
前記排出口から排出された空気を前記筐体の外部へ導く排気ダクトと、
前記排気ダクトを開閉する開閉部と、
スチーム工程と、当該スチーム工程に続く乾燥工程とを含むしわ伸ばし運転を実行する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記スチーム工程では、前記スチーム供給部と前記空気循環部とを動作させるとともに、前記開閉部により前記排気ダクトを閉鎖し、
前記乾燥工程では、前記温風供給部と前記空気循環部とを動作させるとともに、所定の角度ずつ段階的に開放するように前記開閉部を制御して、前記排気ダクトの開口量が徐々に多くなるようにする、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類に乾燥、しわ伸ばし等の処理を施す衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収容部内において衣類を吊り下げ、その衣類を温風により乾燥したり、その衣類のしわをスチームにより伸ばしたりすることができる衣類処理装置が知られている。このような衣類処理装置の一例が、たとえば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-057413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の衣類処理装置では、温風と衣類との接触効率が悪いと、乾燥効率が悪くなるので乾燥性能を高めることが難しくなる。そこで、乾燥性能を高めるためには、温風と衣類との接触効率を良くすることが求められ得る。
【0005】
また、上記の衣類処理装置では、スチームが当てられた衣類の表面が、衣類の自重によって伸ばされることにより、衣類のしわが除去されるが、衣類の表面が伸ばされるような更なる力を衣類に作用させることができれば、しわ伸ばしの性能が高まり得る。
【0006】
そこで、本発明は、乾燥およびしわ伸ばしの性能が高まり得る衣類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る衣類処理装置は、筐体内に配置され、前面に投入口を有し、衣類が収容される収容室と、前記収容室内に吊られた状態となるよう衣類を保持する保持部と、前記収容室内に温風を供給する温風供給部と、前記収容室内にスチームを供給するスチーム供給部と、循環ファンと、偏向部材と、駆動部と、を含み、前記収容室内の空気を吸い込んで前記収容室内に吹き出す空気循環部と、を備える。前記循環ファンは、円筒状に配されたランナーを有し軸方向の寸法が径方向の寸法よりも大きなファンと、前方に開口し前記軸方向に長い吸気口と上方に開口し前記軸方向に長い吐出口とを有し、前記ファンが収容されるケーシングと、を含み、前記収容室の内部における底部の後端部であって前記保持部よりも下方に、前記軸方向が左右方向となるように配置され、前記吸気口から吸い込んだ空気を前記吐出口から吹き出す。前記偏向部材は、前記吐出口より大きなサイズを有し、前記収容室の内部における前記循環ファンの真上であって前記保持部よりも下方に、前記偏向部材の揺動軸が左右方向となるように配置され、前記吐出口から吹き出した空気に接触して、当該空気を偏向させる。前記駆動部は、空気の偏向角度が変わり空気が向かう方向が上下方向に変化するように前記偏向部材を上下に揺動させる。前記保持部は、左右方向に延びる形状を有し、衣類の前後の方向が前記偏向部材の揺動軸の軸方向と平行となるように、左右方向に複数の衣類を並べて保持できる。前記循環ファンは、前記ファンの左右方向の中心が前記保持部の左右方向の中心とほぼ一致するとともに、左右方向に前記保持部よりも長い。
【0009】
上記の構成によれば、衣類を乾燥する際には、温風供給部により収容室内に温風が供給されるが、この際に、空気循環部を動作させることができる。この場合、温風の供給により温まった収容室内の空気が吸込口から取り込まれ、温風として吐出口から吹き出す。吹き出した温風は、偏向部材で偏向されて衣類へと向かう。このとき、偏向部材が揺動することにより温風の偏向角度が変化するため、衣類には、様々な方向から温風が接触するようになる。これにより、衣類への温風の接触効率が良くなり、衣類が乾きやすくなる。
【0010】
しかも、衣類に様々な方向から温風が接触する、即ち、温風により衣類が押される方向が変化することで、吊られた衣類が揺らされる。これにより、衣類の袖と胴体との間など、衣類が静止した状態では行き渡りにくい部分に、温風を行き渡らせることができる。また、衣類に付着した埃が落ちやすくなる。
【0011】
また、衣類のしわを伸ばす際には、スチーム供給部により収容室内にスチームが供給されるが、この際に、空気循環部を動作させることができる。この場合、収容室内の空気が吸込口から取り込まれ、風として吐出口から吹き出す。吹き出した風は、揺動する偏向部材で偏向されることにより、様々な方向から衣類に接触し、衣類を揺らす。衣類が吊られた状態で揺れると、衣類に遠心力等の力が加わりやすくなる。これにより、スチームが当てられた衣類の表面が伸ばされやすくなるので、衣類のしわが伸びやすくなる。また、衣類が揺らされることで、衣類に付着した埃が落ち得る。
【0012】
さらに、保持部は、衣類の前後の方向が偏向部材の揺動軸の軸方向と平行となるように複数の衣類を並べて保持できるので、収容室に複数の衣類が収容された場合であっても、循環ファンから吐き出されて偏向部材で偏向された風が、衣類と衣類の間を通って収容室の上部まで行き渡りやすくなる。これにより、風が複数の衣類に万遍なく当たりやすくなるので、複数の衣類が乾燥されやすくなり、また、複数の衣類のしわが伸ばされやすくなる。
【0013】
本態様に係る衣類処理装置において、前記偏向部材により偏向された空気が通る複数の開口部を有し、前記偏向部材を覆うカバー部が、さらに備えられ得る。
【0014】
上記の構成によれば、吊られている衣類が落下しても、衣類が偏向部材の上に載って偏向部材が止まってしまう、ということが防止される。
【0015】
上記の構成とされた場合、さらに、前記偏向部材は、その先端が円弧を描くように揺動し得る。この場合、前記カバー部は、前記円弧の径方向から前記偏向部材を覆う部分が、前記複数の開口部を有するとともに円弧形状に形成され得る。
【0016】
このような構成とされれば、偏向部材が揺動したときに、偏向部材の先端と各開口部との距離が均等に近くなるため、各開口部から均等に近い勢いで風を吹き出すことができる。また、衣類がカバー部の上に落下したとき、衣類が円弧形状の部分から滑り落ちやすく、衣類で各開口部が塞がれにくい。
【0017】
本態様に係る衣類処理装置において、前記収容室に配置され、処理対象物が載置される載置棚を、さらに備えるような構成が採られ得る。
【0018】
上記の構成によれば、保持部により吊り下げることが難しい処理対象物を載置棚に載置して乾燥することができる。
【0019】
上記の構成とされた場合、さらに、前記載置棚は、折り畳み可能な構成とされ得る。この場合、前記収容室の後面、右側面または左側面のうち何れかの壁面には、前記載置棚が、折り畳まれて前記壁面に沿って起立する非設置状態と、伸ばされて前記壁面の前に倒れる設置状態とに変形可能に固定される固定部が設けられ得る。
【0020】
このような構成とされれば、載置棚が使用されないときには、載置棚を非設置状態にすることで、吊り下げられた衣類の邪魔になりにくくなる。また、載置棚が使用されるときには、折り畳まれた載置棚の先端側を持ち、載置棚を倒しながら伸ばすだけで、載置棚を容易に設置状態に変形できる。
【0021】
本発明の第2の態様に係る衣類処理装置は、筐体内に配置され、衣類が収容される収容室と、前記収容室内に吊られた状態となるよう衣類を保持する保持部と、前記収容室内に温風を供給する温風供給部と、前記収容室内にスチームを供給するスチーム供給部と、前記収容室内の空気を吸い込んで前記収容室内に吹き出させ、吹き出した空気を吊られた衣類に向かわせる空気循環部と、を備える。ここで、前記空気循環部は、吸気口から吸い込んだ空気を吐出口から吹き出す循環ファンと、前記吐出口から吹き出した空気に接触して、当該空気を偏向させる偏向部材と、空気の偏向角度が変わるように前記偏向部材を揺動させる駆動部と、を含む。衣類処理装置は、前記収容室内の空気を排出するための排出口と、前記排出口から排出された空気を前記筐体の外部へ導く排気ダクトと、前記排気ダクトを開閉する開閉部と、スチーム工程と、当該スチーム工程に続く乾燥工程とを含むしわ伸ばし運転を実行する制御部と、をさらに備える。前記制御部は、前記スチーム工程では、前記スチーム供給部と前記空気循環部とを動作させるとともに、前記開閉部により前記排気ダクトを閉鎖し、前記乾燥工程では、前記温風供給部と前記空気循環部とを動作させるとともに、所定の角度ずつ段階的に開放するように前記開閉部を制御して、前記排気ダクトの開口量が徐々に多くなるようにする。
【0022】
上記の構成によれば、上記第1の態様と同様、衣類が乾きやすくなるとともに衣類のしわが伸びやすくなる。また、衣類に付着した埃が落ちやすくなる。
【0023】
さらに、スチーム工程で収容室内にスチームを供給して衣類のしわを伸ばす際に、排気ダクトを閉鎖でき、衣類処理装置の外部へのスチームの漏れを抑制できる。これにより、収容室内がスチームで満たされやすくなって衣類のしわ伸ばし効果が高まるとともに、衣類処理装置の周辺の湿度の上昇を抑制できる。
また、乾燥工程では、収容室内の湿度が急速に低下しなくなるので、乾燥工程においても、衣類のしわ伸ばし効果が、ある程度の間、持続され得る。
【0024】
なお、特許請求の範囲において、「平行」との文言には、平行な状態のみならず、ほぼ平行な状態も含まれる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、乾燥およびしわ伸ばしの性能が高まり得る衣類処理装置を提供できる。
【0026】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1(a)は、実施の態様に係る、衣類処理装置の正面図であり、図1(b)は、実施の態様に係る、衣類処理装置の右側面図である。
図2図2は、実施の態様に係る、第1供給ユニットの位置で切断した、衣類処理装置の正面断面図である。
図3図3は、実施の態様に係る、第2供給ユニットの位置で切断した、衣類処理装置の正面断面図である。
図4図4(a)および(b)は、それぞれ、実施の態様に係る、カバーが取り外された状態および取り付けられた状態の衣類処理装置の平面断面図である。
図5図5は、実施の形態に係る、第1供給ユニットの吸気ダクトの位置で切断した、衣類処理装置の要部の側面断面図である。
図6図6(a)は、実施の形態に係る、排気ユニットの位置で切断された衣類処理装置の右側の平面断面図であり、図6(b)は、実施の形態に係る、排気ユニットの位置で切断された衣類処理装置の上部の側面断面図である。
図7図7(a)は、実施の形態に係る、空気循環ユニットの前方位置で切断した、衣類処理装置の要部の正面断面図であり、図7(b)は、実施の形態に係る、カバーが外された状態の空気循環ユニットの正面図である。
図8図8は、実施の形態に係る、衣類処理装置の要部の側面断面図である。
図9図9は、実施の形態に係る、載置棚が使用された状態を示す衣類処理装置の要部の側面断面図である。
図10図10(a)ないし(d)は、実施の形態に係る、載置棚の構成を示す図である。
図11図11は、実施の形態に係る、衣類処理装置の構成を示すブロック図である。
図12図12は、実施の形態に係る、衣類処理装置の運転制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1(a)は、衣類処理装置1の正面図であり、図1(b)は、衣類処理装置1の右側面図である。図2は、第1供給ユニット300の位置で切断した、衣類処理装置1の正面断面図である。図3は、第2供給ユニット400の位置で切断した、衣類処理装置1の正面断面図である。図4(a)および(b)は、それぞれ、カバー240が取り外された状態および取り付けられた状態の衣類処理装置1の平面断面図である。図5は、第1供給ユニット300の吸気ダクト350の位置で切断した、衣類処理装置1の要部の側面断面図である。
【0030】
なお、図2では、第2供給ユニット400の図示が省略されている。また、図2図3図4(a)および(b)では、載置棚290および空気循環ユニット700の図示が省略されている。さらに、図2には、オゾンを含む空気および温風の流れが実線矢印で示されている。さらに、図3には、スチームの流れが実線矢印で示されており、結露水の流れが破線矢印で示されている。さらに、図5には、衣類処理装置1の外部からの空気の流れが実線矢印で示されている。さらに、図3には、便宜上、切断面よりも前方にあるハンガー台260が、一点鎖線にて描かれている。
【0031】
衣類処理装置1は、縦長の直方体形状を有する筐体100を備える。筐体100の外底面には、4つの角部に脚110が設けられる。筐体100の内部には、スーツ、コート等の各種の衣類が吊られた状態で収容される収容室200が配される。収容室200は、縦長の直方体形状を有する。また、筐体100の内部には、収容室200の下方に、収容室200に温風とオゾンとを供給可能な第1供給ユニット300と、収容室200にスチームを供給可能な第2供給ユニット400とが配される。第1供給ユニット300は、本発明の温風供給部およびオゾン供給部に相当し、第2供給ユニット400は、本発明のスチーム供給部に相当する。
【0032】
収容室200の前面は、衣類の投入口201として開口する。筐体100の前面は、投入口201に対応する部分が開口する。筐体100の前面には、ドア500が設けられる。ドア500は、筐体100の前面とほぼ同じ大きさを有する。投入口201がドア500により覆われる。ドア500の右端部は図示しないヒンジ部により筐体100と連結されており、ヒンジ部を支点にしてドア500を前方へ開くことができる。
【0033】
収容室200には、底面の中央部に、第1供給口210と第2供給口220が、互いに隣接するように設けられる。第1供給口210および第2供給口220は、両側に直線部分を有するほぼ半円形の筒状を有する。第1供給口210の円弧状部211と第2供給口220の円弧状部221は、上方から見て、互いに反対方向に湾曲する。これにより、第1供給口210と第2供給口220とを合わせた形状が、図4(a)の一点鎖線のような円形に近い形状となる。第1供給口210と第2供給口220との間には僅かに隙間が設けられており、この隙間に取付穴231を有する取付ボス230が設けられる。
【0034】
第1供給口210および第2供給口220の上方には、これらを覆うように、カバー240が配置される。カバー240は、円盤状の天面部241と、天面部241の周縁から下斜め方向に延びる周面部242とを含む。天面部241は、第1供給口210と第2供給口220とを合わせた大きさよりも大きい。天面部241の裏面中央には、下方に突出する軸243が形成される。カバー240の天面部241と第1供給口210および第2供給口220との間に所定の隙間ができるように、軸243が取付ボス230の取付穴231に取り付けられる。カバー240の周面部242には、全周に亘って、複数の排出孔244が形成される。排出孔244は、カバー240の径方向に長い方形状を有し、第1供給口210および第2供給口220の周囲、即ち、カバー240における第1供給口210および第2供給口220の投影領域よりも外側に位置する。これにより、衣類から落ちた埃や異物が、排出孔244を通じて第1供給口210や第2供給口220に侵入しづらくなる。カバー240の外周縁と収容室200の底面との間には、所定の隙間が設けられる。
【0035】
収容室200の天面には、前後方向における中央部に、ハンガー台260が設けられる。ハンガー台260は、左右方向に延びる丸棒状のポール261と、ポール261の左右の端部を収容室200の天面から支持する支持板262とを含む。衣類が掛けられたハンガーが、ハンガー台260のポール261に掛けられる。このように、衣類は、ハンガー台260のポール261によって、収容室200の天面から吊られた状態に保持される。図2および図3に示すように、ポール261には、衣類の前後の方向がポール261の延びる方向となるように、複数の衣類を並べて掛けることができる。ポール261は、本発明の保持部に相当する。なお、ポール261には、その延びる方向への衣類の移動を防止するための防止部として、その上側に、ハンガーが嵌り込む溝部が周方向に沿って設けられてもよい。溝部の間隔は、衣類と衣類との間に隙間ができる間隔とされる。このようにすれば、隣接する衣類同士が接触した状態となることを防止できる。
【0036】
図2および図5を参照し、第1供給ユニット300は、第1供給ダクト310と、オゾン発生器320と、加熱器330と、送風ファン340と、吸気ダクト350とを含む。
【0037】
第1供給ダクト310は、その導入口311が送風ファン340の吐出口342に接続され、その導出口312が第1供給口210の入口に接続される。第1供給ダクト310内の導入口311の近傍にオゾン発生器320が配置される。第1供給ダクト310は、導入口311から左方に延び、オゾン発生器320の配置位置を過ぎた部分から右方に折り返されるように湾曲した後、上方に延びて第1供給口210へと至るような形状を有する。
【0038】
オゾン発生器320は、放電方式のオゾン発生器であり、一対の電極間にコロナ放電、無声放電等の放電を生じさせ、一対の電極間に通された空気からオゾンを生成する。加熱器330は、第1供給ダクト310内において、オゾン発生器320よりも第1供給口210側に配置され、第1供給ダクト310内を流れる空気を加熱する。加熱器330として、たとえば、PTCヒータを用いることができる。
【0039】
送風ファン340は、遠心ファンであり、側面に吸込口341が設けられ、周面に吐出口342が設けられる。送風ファン340は、吸込口341から空気を取り込み、取り込んだ空気を第1供給ダクト310内のオゾン発生器320へ送る。送風ファン340として、遠心ファン以外のファン、たとえば、軸流ファンが用いられても良い。
【0040】
筐体100の前面には、送風ファン340の吸込口341と対向する位置に吸気口101が形成される。吸気口101には、吸気口101から取り込まれる空気に含まれる埃などを除去するダストフィルタ120が設けられる。
【0041】
吸気ダクト350は、一端が吸気口101に接続され、他端が吸込口341に接続される。ドア500には、後面における筐体100の吸気口101に対応する位置に複数の通気孔501が形成され、底面に空気の取込口502が形成される。ドア500の内部では、取込口502と複数の通気孔501とが連通する。送風ファン340が動作したとき、衣類処理装置1の外部の空気が、取込口502、通気孔501および吸気口101を通じて吸気ダクト350内に取り込まれる。以降、衣類処理装置1の外部を、機外ということとする。
【0042】
図3を参照し、第2供給ユニット400は、第2供給ダクト410と、スチーム発生装置420と、排水装置430とを含む。第2供給ダクト410は、下部が右方に膨らんだ形状を有する。第2供給ダクト410には、上端部に第2供給口220の入口に接続される導出口411が設けられる。また、第2供給ダクト410には、下部の右側面に導入口412が設けられる。さらに、第2供給ダクト410には、導入口412の下方に、その底部を導入口412の位置よりも低くすることにより、貯水部413が設けられる。貯水部413の底面には、排出口414が設けられる。
【0043】
スチーム発生装置420は、給水タンク440と、給水槽450と、ポンプモジュール460と、スチーム発生器470とを含む。給水タンク440には、スチーム発生器470に供給される水が溜められる。給水タンク440は、筐体100内において、図示しない給水タンク設置部に着脱可能に設置される。給水タンク440が給水タンク設置部に設置されると、その供給口441が上方から給水槽450の入口451に接続される。供給口441には開閉弁442が設けられ、供給口441が入口451に接続されると、開閉弁442が開いて給水タンク440から給水槽450に水が供給され、給水槽450内全体が水で満たされる。
【0044】
ポンプモジュール460は、ポンプ461と、接続ホース462と、給水ホース463とを含む。ポンプ461の吸込口は、接続ホース462により給水槽450の出口452に接続される。ポンプ461の吐出口には、給水ホース463が接続される。ポンプ461は、給水槽450内の水を、接続ホース462を通じて吸い込み、給水ホース463を通じてスチーム発生器470に送る。
【0045】
スチーム発生器470は、本体部471と、ヒータ472とを含み、第2供給ダクト410の導入口412に、図示しない断熱部材を介して装着される。本体部471は、アルミダイカスト等の金属材料で形成され、内部にスチーム発生室473を有する。また、本体部471には、スチーム発生室473の上方に、給水ホース463が接続される給水口474が設けられ、スチーム発生室473の右方に、第2供給ダクト410内に繋がる放出口475が設けられる。ヒータ472は、本体部471に埋め込まれる。
【0046】
本体部471は、ヒータ472により加熱されて高温となる。ポンプ461により送られた水がスチーム発生室473の底面に滴下し蒸発することで高温のスチームが発生する。発生したスチームは、放出口475を通じて第2供給ダクト410内へ放出される。
【0047】
排水装置430は、排水タンク480と、排水ホース490とを含む。排水ホース490は、上端部に第2供給ダクト410の排出口414に接続される接続口491を有する。接続口491には、排出口414を塞ぐようにして抵抗板492が配置される。抵抗板492は、例えば、金属製の目の細かな網板であり、脱臭・除菌運転時に収容室200内に供給されたオゾンが排水ホース490を通じて筐体100の内部に漏れにくくするためのものである。
【0048】
排水タンク480は、第2供給ダクト410内で発生した結露水を回収するための容器である。排水タンク480は、筐体100内において、図示しない排水タンク設置部に着脱可能に設置される。排水タンク480が排水タンク設置部に設置されると、その入口481が、排水ホース490の下端の真下に位置づけられる。
【0049】
筐体100の前面には、筐体100内に設置された給水タンク440および排水タンク480の正面位置に、これらタンク440、480の出入口102が設けられている。出入口102は、開閉可能な蓋103で覆われる(図1参照)。ユーザは、ドア500を開いて蓋103を開けることにより、筐体100内に対して給水タンク440および排水タンク480を出し入れできる。
【0050】
図1を参照し、収容室200の天面には、左側であって中央よりもやや前側の位置に排出口202が形成される。排出口202には、着脱可能に排気カバー270が装着される。排気カバー270には、複数の排気窓271が設けられる。また、排気カバー270の内部には、空気に含まれる糸屑等を除去するリントフィルタ272が配置される。
【0051】
収容室200の天面と筐体100の天面との間には、排出口202の位置に、収容室200内の空気を機外へ排気するための排気ユニット600が設けられる。
【0052】
図6(a)は、排気ユニット600の位置で切断された衣類処理装置1の右側の平面断面図であり、図6(b)は、排気ユニット600の位置で切断された衣類処理装置1の上部の側面断面図である。
【0053】
排気ユニット600は、排気ダクト610と、排気ダンパー620と、オゾン除去フィルタ630とを含む。排気ダクト610は、排出口202から後方へと延びる。筐体100の後面には、複数の孔からなる排気口104が形成され、この排気口104に排気ダクト610が接続される。収容室200天面は、左側の部分が筐体100の後面まで延ばされ、排気ダクト610の下面を構成する。排気ダクト610は、排出口202から排出された空気を機外へ導く。
【0054】
排気ダンパー620は、排気ダクト610に設けられ、排気ダクト610を開閉する。排気ダンパー620は、開閉板621と、開閉板621を回動させるダンパーモータ622とを含む。排気ダクト610の途中には、ダクト内の上下の幅が狭められることにより、前側のダクトと後側のダクトとを連通する連通口611が形成される。開閉板621は、連通口611を閉塞する閉塞位置と連通口611を開放する開放位置との間で切り替えられる。連通口611が開閉板621で閉塞されることにより排気ダクト610が閉鎖され、連通口611が開放されることにより排気ダクト610が開放される。なお、排気ダンパー620は、本発明の開閉部に相当する。
【0055】
オゾン除去フィルタ630は、排気ダクト610内において、排気ダンパー620よりも後方、即ち空気の流れの下流に配置される。オゾン除去フィルタ630には、オゾンを吸着し分解する活性炭・触媒フィルタが用いられ得る。オゾン除去フィルタ630は、排気ダクト610内を流れる空気に含まれるオゾンを除去する。オゾン除去フィルタ630は、本発明のオゾン除去部に相当する。
【0056】
図7(a)は、空気循環ユニット700の前方位置で切断した、衣類処理装置1の要部の正面断面図であり、図7(b)は、カバー712bが外された状態の空気循環ユニット700の正面図である。図8は、衣類処理装置1の要部の側面断面図である。なお、図7(a)および図8には、空気循環ユニット700から吹き出した空気の流れが実線矢印や破線矢印で示されている。また、図7(a)には、便宜上、切断面よりも前方にあるハンガー台260が、一点鎖線にて描かれており、また、載置棚290の図示が省略されている。さらに、図8には、便宜上、載置棚290が断面で示されておらず、また、右側の固定部203が図示されている。
【0057】
収容室200の内部には、底部であって収容室200の後面の近傍に、空気循環ユニット700が配置される。空気循環ユニット700は、収容室200内の空気を吸い込んで収容室200内に吹き出し、吹き出した空気を吊られた衣類に向かわせる。
【0058】
空気循環ユニット700は、循環ファン710と、ルーバー機構720とを備える。空気循環ユニット700は、本発明の空気循環部に相当する。
【0059】
循環ファン710は、クロスフローファンであり、ファン711と、ケーシング712と、ファンモータ713とを含む。ファン711は、円筒状に配されたランナー711aを有し、軸方向の寸法が径方向の寸法よりも大幅に大きい。ファン711には、中心にファン軸714が設けられる。ファン軸714の両端部は、ファン711の両端面から突出する。
【0060】
ファン711はケーシング712内に収容され、ファン軸714の両端部がケーシング712の両側面に回転可能に支持される。ケーシング712は、前面が開口する本体712aと、本体712aの前面を覆うカバー712bとで構成される。ケーシング712には、ファン711の前側、即ちカバー712bの前面に、前方に開口する吸込口715が設けられ、ファン711の後側に上方に開口する吐出口716が設けられる。吸込口715は、収容室200の底面に沿う方向に開口し、その下端が収容室200の底面より僅かに高くなっている。吸込口715には、格子状に走る複数の桟715aが設けられる。吸込口715および吐出口716の軸方向の寸法はファン711の寸法とほぼ同じである。即ち、吸込口715および吐出口716は、軸方向に長い形状を有する。
【0061】
ケーシング712内には、吸込口715とファン711との間に、フィルタ717が配置される。フィルタ717は、空気とともに吸込口715から吸い込まれた埃を捕集する。
【0062】
ファン軸714の右側の端部は、ケーシング712の右側の側面を貫通し、さらに、収容室200の右側面を貫通する。収容室200の右側面は、空気循環ユニット700に対応する部分が内側に凹んでおり、その部分の外側にファンモータ713が取り付けられる。収容室200の右側面を貫通したファン軸714は、ファンモータ713のロータ(図示せず)に連結される。
【0063】
ファンモータ713は、ファン軸714を介してファン711を回転駆動する。ファン711が回転すると、吸込口715から空気が吸い込まれ、吸い込まれた空気がファン711により送られて吐出口716から吹き出す。
【0064】
ルーバー機構720は、ルーバー721と、ルーバーモータ722とを含む。ルーバー721は、本発明の偏向部材に相当し、ルーバーモータ722は、本発明の駆動部に相当する。
【0065】
ルーバー721は、循環ファン710の軸方向に長い方形状を有し、循環ファン710の吐出口716よりもやや大きなサイズを有する。ルーバー721の左右の両端部には庇部723が設けられ、庇部723の下端部にルーバー軸724が設けられる。循環ファン710には、ケーシング712の両側面の後上端部に支持部718が設けられる。ルーバー721の両側のルーバー軸724がケーシング712の両側の支持部718に回転可能に支持される。これにより、ルーバー721は、吐出口716の上方に位置付けられ、上下方向に揺動可能となる。
【0066】
ルーバー軸724の右側の端部は、右側の支持部718を貫通し、さらに、収容室200の右側面を貫通する。収容室200の右側面の外側には、ファンモータ713の上方にルーバーモータ722が取り付けられる。収容室200の右側面を貫通したルーバー軸724は、ルーバーモータ722のロータ(図示せず)に連結される。
【0067】
ルーバーモータ722は、所定の回転角だけ正転および反転することにより、ルーバー軸724を介してルーバー721を揺動させる。循環ファン710の吐出口716から上方に吹き出した空気がルーバー721に接触して偏向される。空気の偏向角度は、揺動するルーバー721の角度に従って変化し、空気、即ち風が向かう方向が変化する。
【0068】
循環ファン710のファン軸714は、ファン711が回転するときの回転軸となり、ルーバー機構720のルーバー軸724は、ルーバー721が揺動するときの揺動軸となる。図8に示すように、循環ファン710、即ち、空気循環ユニット700は、ファン711の回転軸およびルーバー721の揺動軸の軸方向が、左右方向、即ち、ハンガー台260のポール261によって吊られた衣類の前後の方向と平行またはほぼ平行な状態となるように、収容室200の底部に配置される。言い換えれば、ハンガー台260のポール261は、ポール261に吊られた衣類の前後の方向が、空気循環ユニット700のファン711の回転軸およびルーバー721の揺動軸の軸方向と平行またはほぼ平行な状態となるように、収容室200の上部において衣類を保持する。このとき、循環ファン710では、ファン711の回転軸の軸方向における中心が、ポール261の中心とほぼ一致する。
【0069】
収容室200内には、ルーバー721を覆うルーバーカバー280が配置される。ルーバーカバー280は、循環ファン710のケーシング712の上面と収容室200の後面に取り付けられる。ルーバーカバー280は、本発明のカバー部に相当する。
【0070】
ルーバーカバー280は、円弧形状に湾曲した左右に長尺な板状のカバー本体部281と、カバー本体部281の左右に設けられた側面部282とで構成される。ルーバーモータ722が正逆回転したとき、ルーバー721は、揺動軸を中心に、その先端が円弧を描くように揺動する。カバー本体部281は、ルーバー721の先端が描く円弧の径方向からルーバー721を覆い、左右の側面部282は、揺動軸の軸方向からルーバー721を覆う。ルーバー721で偏向された風、即ち空気を通すために、カバー本体部281には、左右に細長い形状を有する複数の開口部283が、上下および左右方向に並ぶように形成される。なお、カバー本体部281の円弧は、ルーバー721の先端が描く円弧と同心状に近くされることが望ましい。
【0071】
収容室200の天面と筐体100の天面との間には、排気ダクト610に隣接するようにして、空気混合ユニット800が設けられる。空気混合ユニット800は、筐体100の外部、即ち機外の空気を取り込んで排気ダクト610を流れる空気に混合する。
【0072】
図6(a)を参照して、空気混合ユニット800は、混合ファン810と、導入ダクト820とを含む。混合ファン810は、遠心ファンであり、ケーシング811内に、ファン812と、ファン812を回転させるモータ813とを備える。ケーシング811には、側面に吸込口814が設けられ、周面に吐出口815が設けられる。混合ファン810として、遠心ファン以外のファン、たとえば、軸流ファンが用いられても良い。
【0073】
排気ダクト610には、オゾン除去フィルタ630よりも空気の流れの下流の位置に、導入口612が形成される。導入ダクト820は、一端が導入口612に接続され、他端が混合ファン810の吐出口815に接続される。
【0074】
筐体100の後面には、複数の孔からなる吸気口105が設けられる。混合ファン810の吸込口814が吸気口105に接続される。吸気口105は、排気口104から排出された空気を、排出された直後に吸い込まない距離だけ、排気口104から離され得る。
【0075】
図9は、載置棚290が使用された状態を示す衣類処理装置1の要部の側面断面図である。なお、図9には、便宜上、載置棚290が断面で示されておらず、また、右の固定部203が図示されている。
【0076】
収容室200には、ハンガー台260を用いて吊り下げることが難しいシューズ、手袋、ぬいぐるみなどの小物類を収容できるよう、小物類を載置するための載置棚290が設けられる。載置棚290は、ルーバーカバー280よりも上方に配置される。
【0077】
図10(a)ないし(d)は、載置棚290の構成を示す図である。図10(a)は、載置棚290の平面図であり、図10(b)は、図10(a)のA-A´線で切断された載置棚290の断面図である。図10(c)および(d)は、それぞれ、伸ばされた状態および折り畳まれた状態の載置棚290の側面図である。
【0078】
載置棚290は、前後に並ぶ第1棚291および第2棚292と、第1棚291と第2棚292とを連結するヒンジ部293とを備える。第1棚291および第2棚292は、ほぼ方形状の枠291a、292aの内部に複数の格子291b、292bが設けられた格子状の棚である。第2棚292には、後端部に左右に突出する2つの支軸294が形成される。ヒンジ部293は、第1棚291の後端部に設けられた丸棒状のシャフト295と、第2棚292の前端部に設けられ、シャフト295が通される円筒状のボス296とを含む。図10(d)に示すように、載置棚290は、第1棚291を第2棚292に対して回動させることにより、2つに折り畳むことができる。
【0079】
図8および図9に示すように、収容室200の後面には、軸孔203aを有する左右2つの固定部203が設けられる。載置棚290は、第2棚292の支軸294が固定部203の軸孔203aに通されることにより、回動可能に固定部203に固定される。また、収容室200には、左右の側面に、前後方向に並ぶように、複数の棚支持部204が設けられる。
【0080】
載置棚290が使用されないとき、図8のように、載置棚290は、折り畳まれて収容室200の後面に沿って起立する非設置状態とされる。これにより、載置棚290がハンガー台260から吊り下げられる衣類の邪魔になりにくい。一方、載置棚290が使用されるとき、図9のように、載置棚290は、伸ばされて収容室200の後面の前に水平に倒れる設置状態とされる。このとき、載置棚290は、左右両側を複数の棚支持部204に支持されて設置状態を保つ。
【0081】
図11は、衣類処理装置1の構成を示すブロック図である。
【0082】
衣類処理装置1は、上記の構成の他、操作部901と、制御部902とを備える。
【0083】
操作部901は、運転コースを選択するための選択ボタン、運転を開始させるためのスタートボタン等の操作ボタンを含み、ユーザに操作された操作ボタンに応じた操作信号を制御部902に出力する。
【0084】
制御部902は、マイクロコンピュータ、各種のドライバ回路などを含み、第1供給ユニット300のオゾン発生器320、加熱器330および送風ファン340、第2供給ユニット400のポンプ461およびヒータ472、排気ユニット600の排気ダンパー620、空気循環ユニット700のファンモータ713およびルーバーモータ722、空気混合ユニット800の混合ファン810などを制御する。
【0085】
本実施の形態の衣類処理装置1では、衣類の脱臭・除菌を行う脱臭・除菌運転と、衣類の乾燥を行う乾燥運転と、衣類のしわを伸ばすしわ伸ばし運転とを行うことができる。
【0086】
図12は、衣類処理装置1の運転制御を示すフローチャートである。
【0087】
運転開始の操作が行われると、制御部902は、脱臭・除菌運転、乾燥運転およびしわ伸ばし運転のうち、何れの運転が選択されているかを判定する(S1)。
【0088】
脱臭・除菌運転が選択されている場合(S1:脱臭・除菌)、脱臭・除菌運転が開始され、制御部902は、脱臭・除菌工程を実行する(S2)。脱臭・除菌工程では、制御部902は、第1供給ユニット300において、送風ファン340とオゾン発生器320を動作させる。運転開始前、即ち衣類処理装置1が停止状態にあるときには、排気ダンパー620の開閉板621は開放位置にある。制御部902は、排気ダンパー620を動作させず、開閉板621が開放位置にある状態を維持する。
【0089】
図5の実線矢印に示すように、送風ファン340の動作によって、機外の空気が吸気口101から吸気ダクト350に取り込まれ、第1供給ダクト310内に送り込まれる。
【0090】
図2に示すように、第1供給ダクト310内を流れる空気がオゾン発生器320を通過し、この際に、オゾン発生器320で発生したオゾンが空気に混入される。こうして、オゾンを含む空気が第1供給ダクト310内を通って第1供給口210へと至り、第1供給口210から収容室200内に排出される。排出されたオゾンを含む空気は、カバー240に当たって周囲に拡がり、その一部は、複数の排出孔244から排出され、残りがカバー240と収容室200の底面との間から排出される。こうして、オゾンを含む空気は、カバー240により拡散されて上方の衣類へと向かい、広く衣類に当てられる。オゾンの脱臭・除菌作用により衣類が脱臭・除菌される。
【0091】
図6(a)の一点鎖線矢印で示すように、衣類の脱臭・除菌によりオゾン濃度が低下した空気は、収容室200の天面に設けられた排出口202から排気ダクト610内に排出され、排気ダクト610内を流れて排気口104から機外へ排出される。排気ダクト610内を流れる空気は、オゾン除去フィルタ630を通過する。これにより、空気中のオゾンが除去され、適正なオゾン濃度まで低下した空気が機外に排出される。
【0092】
さらに、脱臭・除菌工程において、制御部902は、空気循環ユニット700において、ファンモータ713を駆動して循環ファン710を動作させるとともに、ルーバーモータ722を駆動してルーバー721を上下方向に揺動させる。このとき、ルーバー721は、連続的に揺動してもよいし、一往復ないし数往復揺動するごとに、所定時間、停止してもよい。
【0093】
図7(a)に示すように、収容室200内のオゾンを含む空気が吸込口715からケーシング712内に取り込まれ、オゾン風として吐出口716から吹き出す。吹き出したオゾン風は、ルーバー721で偏向された後、ルーバーカバー280の複数の開口部283を通過して衣類へと向かう。このとき、ルーバー721が揺動していることによりオゾン風の偏向角度が変化するため、衣類には、様々な方向からオゾン風が接触するようになる。これにより、衣類へのオゾン風の接触効率が良くなり、衣類が脱臭・除菌されやすくなる。また、様々な方向からのオゾン風により衣類が押されることで吊られた衣類が揺らされる。これにより、衣類の袖と胴体との間など、衣類が静止した状態では行き渡りにくい部分に、オゾンを行き渡らせることができる。また、衣類に付着した埃が落ちやすくなる。
【0094】
さらに、ハンガー台260のポール261には、衣類が、その前後の方向が空気循環ユニット700のルーバー721の揺動軸の軸方向と平行となるように吊られている。このため、図7(a)のように複数の衣類が収容室200内に収容された場合であっても、循環ファン710から吐き出されてルーバー721で偏向されたオゾン風が、衣類と衣類の間を通って収容室200の上部まで行き渡りやすくなる。これにより、オゾン風が複数の衣類に万遍なく当たりやすくなり、複数の衣類が良く脱臭・除菌される。
【0095】
所定の脱臭・除菌時間が経過すると、制御部902は、オゾン発生器320、送風ファン340、循環ファン710およびルーバー721の動作を停止させ、脱臭・除菌工程を終了する。こうして、脱臭・除菌運転が終了する。
【0096】
次に、ステップS1において、制御部902は、乾燥運転が選択されていると判定すると(S1:乾燥)、乾燥運転を開始し、乾燥工程を実行する(S3)。乾燥工程では、制御部902は、第1供給ユニット300において、送風ファン340と加熱器330を動作させる。
【0097】
図5の実線矢印に示すように、送風ファン340の動作によって、機外の空気が吸気口101から吸気ダクト350に取り込まれ、第1供給ダクト310内に送り込まれる。
【0098】
図2に示すように、第1供給ダクト310内を流れる空気は、加熱器330で加熱され、乾燥に適する温度(たとえば、60℃程度)の温風となる。その後、温風は、第1供給口210へと至り、第1供給口210から収容室200内に排出される。排出された温風は、オゾンを含む空気と同様、カバー240により拡散されて上方の衣類へと向かい、広く衣類に当てられる。これにより、衣類が乾燥する。
【0099】
乾燥工程において、制御部902は、空気循環ユニット700において、循環ファン710を動作させるとともに、ルーバー721を上下方向に揺動させる。
【0100】
図7(a)に示すように、温風の供給により温まった収容室200内の空気が吸込口715からケーシング712内に取り込まれ、温風として吐出口716から吹き出す。吹き出した温風は、揺動するルーバー721で偏向されることにより、様々な方向から衣類に接触する。これにより、衣類への温風の接触効率が良くなり、衣類が乾燥しやすくなる。また、衣類が揺らされることにより、衣類が静止した状態では行き渡りにくい衣類の部分に温風を行き渡らせることができ、また、衣類に付着した埃が落ちやすくなる。
【0101】
さらに、脱臭・除菌運転の場合と同様、図7(a)のように複数の衣類が収容室200内に収容された場合であっても、循環ファン710から吐き出されてルーバー721で偏向された温風が、衣類と衣類の間を通って収容室200の上部まで行き渡りやすくなる。これにより、温風が複数の衣類に万遍なく当たりやすくなり、複数の衣類が乾燥しやすくなる。
【0102】
図6(a)の実線矢印で示すように、収容室200内で衣類から水分を奪った空気は、排出口202から排出される。排出口202は、収容室200の天面に設けられており、温まった空気が排出されやすい。排出された空気は、排気ダクト610を流れてオゾン除去フィルタ630を通過する。この際、オゾン除去フィルタ630が抵抗となって空気の流速が低下する。
【0103】
乾燥工程では、制御部902は、空気混合ユニット800、即ち混合ファン810を動作させる。図6(a)の破線矢印で示すように、機外の空気が吸気口105から取り込まれ、導入ダクト820を通じて排気ダクト610内のオゾン除去フィルタ630の下流の位置に供給される。排気ダクト610内に供給された機外からの空気は、オゾン除去フィルタ630を通過した収容室200からの空気に混合される。このとき、収容室200からの空気は、流速が遅くなっているので、機外からの空気が混合されやすい。機外からの空気が混合されることにより、収容室200からの空気の相対湿度が低下する。図6(a)の白抜き矢印で示すように、相対湿度が低下した空気は、排気口104から機外に排出される。これにより、排出された空気によって衣類処理装置1の周囲にある部屋の壁面に結露が生じるなど、高湿の空気による衣類処理装置1の周辺への影響が出にくくなる。
【0104】
所定の乾燥時間が経過すると、制御部902は、加熱器330、送風ファン340、循環ファン710、ルーバー721および混合ファン810の動作を停止させ、乾燥工程を終了する。こうして、乾燥運転が終了する。
【0105】
次に、ステップS1において、制御部902は、しわ伸ばし運転が選択されていると判定すると(S1:しわ伸ばし)、しわ伸ばし運転を開始し、準備工程を実行する(S4)。準備工程では、制御部902は、第2供給ユニット400において、ポンプ461を停止させたままスチーム発生器470のヒータ472を動作させる。これにより、スチーム発生器470の本体部471の温度が上昇していく。
【0106】
さらに、準備工程において、制御部902は、空気循環ユニット700において、循環ファン710を動作させるとともに、ルーバー721を上下方向に揺動させる。図7(a)に示すように、収容室200内の空気が吸込口715からケーシング712内に取り込まれ、風として吐出口716から吹き出す。吹き出した風は、揺動するルーバー721で偏向されることにより、様々な方向から衣類に接触し、衣類を揺らす。これにより、衣類から埃が落ちやすくなる。
【0107】
スチーム発生器470の本体部471が十分に高温になると、制御部902は、準備工程を終了し、スチーム工程を実行する(S5)。スチーム工程では、制御部902は、排気ダンパー620を動作させて、開閉板621を開放位置から閉塞位置に切り替える。これにより、排気ダクト610が閉鎖される。次に、制御部902は、ヒータ472を引き続き動作させた状態でポンプ461を動作させる。図3に示すように、スチーム発生器470で高温のスチームが発生し、第2供給ダクト410内に放出される。放出されたスチームは、第2供給ダクト410内を上昇して第2供給口220へと至り、第2供給口220から収容室200内に排出される。排出されたスチームは、カバー240に当たって周囲に拡がり、その一部は、複数の排出孔244から排出され、残りがカバー240と収容室200の底面との間から排出される。こうして、スチームは、カバー240により拡散されて上方の衣類へと向かい、広く衣類に当てられる。スチームが有する水分と熱により、衣類のしわが伸ばされる。
【0108】
スチームが第2供給ダクト410内を流れる際、その一部が結露して結露水が生じ得る。結露水は、下方へ流れて貯水部413に溜まり、排出口414から排出される。排出された結露水は、排水ホース490を通って排水タンク480に回収される。このように、本実施の形態では、第2供給ダクト410の導入口412よりも下方に、結露水が溜められる貯水部413が設けられているので、結露水が導入口412からスチーム発生器470の内部へと流れることが防止される。
【0109】
さらに、スチーム工程では、引き続き、循環ファン710とルーバー721が動作する。吐出口716から吹き出してルーバー721により偏向された風により、衣類が揺らされる。衣類が吊られた状態で揺れると、衣類に遠心力等の力が加わりやすくなる。これにより、スチームが当てられた衣類の表面が伸ばされやすくなるので、衣類のしわが伸びやすくなる。また、衣類がスチームで濡らされているために準備工程での乾いた状態ほどではないが、衣類が揺らされることで、衣類に付着した埃が落ち得る。
【0110】
さらに、脱臭・除菌運転の場合と同様、図7(a)のように複数の衣類が収容室200内に収容された場合であっても、循環ファン710から吐き出されてルーバー721で偏向された風が、衣類と衣類の間を通って収容室200の上部まで行き渡りやすくなる。これにより、風が複数の衣類に万遍なく当たりやすくなり、複数の衣類が良く揺らされて、そのしわが伸びやすくなる。
【0111】
スチーム工程中、排気ダクト610は閉じた状態にある。よって、収容室200内のスチームが排気ダクト610を通じて機外に排出されることが防止される。また、オゾン除去フィルタ630は、排気ダクト610において、排気ダンパー620よりも下流に設けられているので、オゾン除去フィルタ630にスチームが接触してオゾン除去フィルタ630が酷く濡れてしまうことが防止される。
【0112】
所定のスチーム供給時間が経過すると、制御部902は、ヒータ472とポンプ461を停止させて、スチーム工程を終了する。
【0113】
次に、制御部902は、乾燥工程を実行する(S6)。乾燥工程は、乾燥運転における乾燥工程と同様であり、送風ファン340と加熱器330が動作し、循環ファン710とルーバー721も引き続き動作する。これにより、スチームによって湿った衣類が乾燥する。なお、しわ伸ばし運転での乾燥時間は、しわ伸ばし運転に適したものとされ、乾燥運転の乾燥時間とは異なるものとされ得る。
【0114】
また、乾燥工程では、制御部902は、排気ダンパー620を動作させて開閉板621を開放位置に切り替える。この際、制御部902は、開閉板621が、一気に開放位置に移動するのではなく、時間の経過とともに、たとえば、30度ずつなど、所定の角度ずつ段階的に開放するように、排気ダンパー620を制御する。排気ダクト610の連通口611の開口量が徐々に多くなるため、湿度の高い空気が収容室200内から一気に排出されず、少しずつ排出される。
【0115】
これにより、収容室200内の湿度が急速に低下しなくなるので、乾燥工程においても、衣類のしわ伸ばし効果が、ある程度の間、持続され得る。また、水分を多く含む空気が収容室200から一気に排出されてしまうと、その空気がオゾン除去フィルタ630を通過するときにオゾン除去フィルタ630に水分が付着しやすくなる。よって、水分を多く含む空気が収容室200から徐々に排出されることで、オゾン除去フィルタ630への水分の付着が抑制される。
【0116】
さらに、乾燥運転と同様、制御部902は、混合ファン810を動作させる。これにより、収容室200からの空気に機外からの空気が混合され、その相対湿度が低下した空気が排気口104から機外に排出される。
【0117】
所定の乾燥時間の経過により乾燥工程が終了すると、制御部902は、換気工程を実行する(S7)。即ち、制御部902は、乾燥工程に引き続いて循環ファン710とルーバー721を動作させたままとする。収容室200内の空気が吸込口715から取り込まれ、吐出口716から収容室200内に吹き出すことにより、機外の空気が、第1供給ユニット300の吸気ダクト350および第1供給ダクト310を通じて第1供給口210から収容室200内に取り込まれ、収容室200内の空気が排出口202および排気ダクト610を通じて機外に排出される。これにより、収容室200内が換気され、収容室200内の内壁などが、スチームにより湿っていても乾かされる。
【0118】
なお、換気工程において、混合ファン810を動作させたままとしてもよい。このようにすれば、乾燥工程と同様、収容室200からの空気を、その相対湿度を低下させて機外へ排出できる。
【0119】
所定の換気時間が経過すると、制御部902は、循環ファン710とルーバー721の動作を停止させ、換気工程を終了する。こうして、しわ伸ばし運転が終了する。
【0120】
このように、しわ伸ばし運転では、スチーム工程において、排気ダンパー620により排気ダクト610が閉鎖されて収容室200内から機外へスチームが排出されないようにされる。これにより、しわ伸ばし運転において、衣類処理装置1から外部に排出される湿気が少なくなるので、衣類処理装置1の周辺の湿度が高くなりにくくなる。
【0121】
ところで、ハンガー台260にハンガーがしっかりと掛けられていなかったりした場合、空気循環ユニット700からの風に当たって衣類が揺らされたときに、衣類が落下してしまう虞がある。本実施の形態では、ルーバー721がルーバーカバー280で覆われているので、落下した衣類が、ルーバー721の上に載ってルーバー721が止まってしまう、ということが防止される。
【0122】
本実施の形態の衣類処理装置1では、乾燥運転や脱臭・除菌運転により、シューズなどの小物類の乾燥や脱臭・除菌を行うことができる。この場合、図9のように、収容室200内で載置棚290が設置されて、載置棚290に小物類が載せられる。このとき、載置棚290は収容室200の後面に固定されているので、ユーザは、折り畳まれた載置棚290の先端側を持ち、載置棚290を倒しながら伸ばすだけで、載置棚290を容易に設置状態に変形できる。運転中、循環ファン710から吹き出し、ルーバー721により偏向された温風やオゾン風は、載置棚290の格子291b、292bの間を抜けて小物類に当てられる。
【0123】
なお、衣類処理装置1において、脱臭・除菌運転、乾燥運転、しわ伸ばし運転の他、たとえば、乾燥に続いて脱臭・除菌が行われる乾燥・脱臭・除菌運転が行われてもよい。
【0124】
また、収容室200内に温度センサや湿度センサが配置されてもよい。この場合、乾燥運転やしわ伸ばし運転において、収容室200内の温度や湿度に基づいて、乾燥工程が終了されてもよい。さらに、しわ伸ばし運転の乾燥工程において、収容室200内の温度や湿度の変化具合に応じて徐々に開閉板621の開放角度が大きくされてもよい。
【0125】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、第1供給ユニット300から温風を供給して衣類を乾燥させる際に、空気循環ユニット700を動作させることにより、収容室200内の衣類に様々な方向から温風を接触させることができる。これにより、衣類への温風の接触効率が良くなり、衣類が乾きやすくなる。また、様々な方向からの温風により衣類が揺らされるので、衣類が静止した状態では行き渡りにくい衣類の部分に温風を行き渡らせることができ、また、衣類に付着した埃が落ちやすくなる。
【0126】
また、本実施の形態によれば、第2供給ユニット400からスチームを供給し、衣類にスチームを掛けて衣類のしわを伸ばす際に、空気循環ユニット700を動作させることにより、収容室200の衣類を揺らすことができる。これにより、衣類のしわが伸びやすくなり、また、衣類に付着した埃が落ち得る。
【0127】
さらに、本実施の形態によれば、ハンガー台260のポール261は、衣類の前後の方向が空気循環ユニット700のルーバー721の揺動軸の軸方向と平行となるように複数の衣類を並べて保持できる。よって、収容室200に複数の衣類が収容された場合であっても、循環ファン710から吐き出されてルーバー721で偏向された風が、衣類と衣類の間を通って収容室200の上部まで行き渡りやすくなる。これにより、風が複数の衣類に万遍なく当たりやすくなるので、複数の衣類が乾燥されやすくなり、また、複数の衣類のしわが伸ばされやすくなる。
【0128】
さらに、本実施の形態によれば、ルーバー721がルーバーカバー280で覆われているので、吊られている衣類が落下しても、衣類がルーバー721の上に載ってルーバー721が止まってしまう、ということが防止される。
【0129】
さらに、本実施の形態によれば、ルーバーカバー280は、ルーバー721の先端が描く円弧の径方向からルーバー721を覆うカバー本体部281が、複数の開口部283を有するとともに円弧形状に形成されている。これにより、ルーバー721が揺動したときに、ルーバー721の先端と各開口部283との距離が均等に近くなるため、各開口部283から均等に近い勢いで風を吹き出すことができる。また、衣類がルーバーカバー280、即ちカバー本体部281の上に落下したときに、カバー本体部281の上から滑り落ちやすくなり、衣類で各開口部283が塞がれにくくなる。さらに、カバー本体部281とルーバー721との間に無駄なスペースが生じにくいので、その分、収容室200内において衣類の収容スペースが小さくなりにくい。
【0130】
さらに、本実施の形態によれば、収容室200内に設置された載置棚290に、ハンガー台260により吊り下げることが難しいシューズ等の小物類を載置できるので、小物類の乾燥や脱臭・除菌を行うことができる。
【0131】
さらに、本実施の形態によれば、載置棚290は、固定部203により収容室200の後面に固定され、折り畳まれて後面に沿って起立する非設置状態と、伸ばされて後面の前に倒れる設置状態とに変形できる。これにより、載置棚290が使用されないときには、載置棚290を非設置状態にすることで、吊り下げられた衣類の邪魔になりにくくなる。また、載置棚290が使用されるときには、折り畳まれた載置棚290の先端側を持ち、載置棚290を倒しながら伸ばすだけで、載置棚290を容易に設置状態に変形できる。
【0132】
さらに、本実施の形態によれば、排気ダクト610に排気ダンパー620が設けられているので、必要に応じて、排気ダクト610を閉鎖したり開放したりすることができる。特に、収容室200内にスチームを供給して衣類のしわを伸ばす際に、排気ダンパー620により排気ダクト610を閉鎖でき、機外へのスチームの漏れを抑制できる。これにより、収容室200内がスチームで満たされやすくなって衣類のしわ伸ばし効果が高まるとともに、衣類処理装置1の周辺の湿度の上昇を抑制できる。
【0133】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0134】
たとえば、上記実施の形態では、第1供給ユニット300からオゾンおよび温風の双方が収容室200内に供給された。しかしながら、衣類処理装置1に、オゾンを供給するオゾン供給ユニットと温風を供給する温風供給ユニットとが別個に設けられてもよい。
【0135】
また、上記実施の形態では、空気循環ユニット700は、ファン711の回転軸およびルーバー721の揺動軸の軸方向が、左右方向となるように、収容室200の底面であって後面の近傍に配置された。しかしながら、空気循環ユニット700は、ファン711の回転軸およびルーバー721の揺動軸の軸方向が、前後方向となるように、収容室200の底面であって右側面または左側面の近傍に配置されてもよい。この場合、ハンガー台260は、ポール261が延びる方向が前後方向となるように、収容室200の天面に配置される。
【0136】
さらに、上記実施の形態では、空気循環ユニット700は、収容室200の底部であって収容室200の内側に配された。しかしながら、空気循環ユニット700は、収容室200の底部であって収容室200の外側に設けられてもよい。この場合、収容室200の壁面には、循環ファン710への空気の取込口と、収容室200内への空気の吹出口とが設けられる。また、空気循環ユニット700は、収容室200の底部以外の部分であって収容室200の内外何れかに配されてもよい。
【0137】
さらに、上記実施の形態では、ルーバーカバー280のカバー本体部281に、左右に細長い形状を有する複数の開口部283が形成された。しかしながら、開口部283の形状は、上記の形状に限定されるものではなく、たとえば、上下に細長い形状とされてもよい。
【0138】
さらに、上記実施の形態では、ルーバーカバー280は、円弧形状を有するカバー本体部281と、左右の側面部282とで構成された。しかしながら、ルーバーカバー280は、複数の開口部283を有していてルーバー721を覆う構成であれば、上記の構成以外の構成とされてもよい。
【0139】
さらに、上記実施の形態では、載置棚290は、第1棚291と第2棚292の2つの棚で構成され、2つに折り畳み可能とされた。しかしながら、載置棚290は、1つの棚で構成され、折り畳めなくされてもよいし、3つ以上の棚で構成され、3つ以上に折り畳み可能とされてもよい。
【0140】
さらに、上記実施の形態では、載置棚290が収容室200の後面に設けられた固定部203に固定された。しかしながら、載置棚290が収容室200の右側面または左側面に設けられた固定部203に固定されてもよい。
【0141】
さらに、上記実施の形態では、しわ伸ばし運転の乾燥工程において、排気ダンパー620によって、排気ダクト610が時間の経過とともに少しずつ開放されたが、一気に開放されてもよい。
【0142】
さらに、上記実施の形態では、収容室200の天面に排出口202が設けられた。しかしながら、排出口202が、他の位置、たとえば、収容室200の後面の上部に設けられてもよい。
【0143】
さらに、上記実施の形態では、オゾン除去フィルタ630に、活性炭・触媒フィルタが用いられたが、活性炭フィルタ等、その他のオゾン除去性能を有するフィルタが用いられてもよい。
【0144】
さらに、上記実施の形態では、衣類処理装置1は、脱臭・除菌運転が行われるものであった。しかしながら、衣類処理装置1は、脱臭・除菌運転が行われないものであってもよく、第1供給ユニット300にオゾン発生器320が配されないようにされてもよい。この場合、排気ユニット600からオゾン除去フィルタ630が無くされる。
【0145】
さらに、上記実施の形態では、第2供給ユニット400のスチーム発生器470は、高温にされたスチーム発生室473の底面にポンプ461で送られた水を落として蒸発させることによりスチームを発生させる構成であった。しかしながら、スチーム発生器470は、上記の構成に限られるものではなく、たとえば、水が溜められた水槽を加熱して水を沸騰させることによりスチームを発生させる構成であってもよい。
【0146】
さらに、上記実施の形態では、循環ファン710として、クロスフローファンが用いられたが、シロッコファン等、クロスフローファン以外のものが用いられてもよい。
【0147】
さらに、上記実施の形態では、排気ダクト610を開閉するための開閉部として、排気ダンパー620が用いられた。しかしながら、他の構造の開閉部、たとえば、排気ダクト610内を上下に移動するシャッターと、このシャッター駆動する駆動部とで構成されるシャッター機構が用いられてもよい。
【0148】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0149】
1 衣類処理装置
100 筺体
200 収容室
202 排出口
203 固定部
280 ルーバーカバー(カバー部)
283 開口部
290 載置棚
300 第1供給ユニット(温風供給部、オゾン供給部)
400 第2供給ユニット(スチーム供給部)
600 排気ユニット
610 排気ダクト
620 排気ダンパー(開閉部)
700 空気循環ユニット(空気循環部)
710 循環ファン
715 吸込口
716 吐出口
721 ルーバー(偏向部材)
722 ルーバーモータ(駆動部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12