(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】超音波洗浄装置および洗濯機
(51)【国際特許分類】
B08B 3/12 20060101AFI20240613BHJP
D06F 19/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B08B3/12 B
D06F19/00
(21)【出願番号】P 2020111554
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】米澤 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】直野 浩樹
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-117282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/12
D06F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が溜められる貯水槽と、
前記貯水槽内の水に浸漬された被洗浄物に作用する超音波を発生させる超音波発生体と、
前記超音波発生体に電力を供給する電源部と、
前記超音波発生体の周囲に配置された温度検出部と、
前記超音波発生体が収容されるハウジングと、
前記超音波発生体を前記ハウジング内に固定するための固定部材と、
前記温度検出部を保持する保持部と、を備え、
前記固定部材は、前記超音波発生体の上部に対応する形の筒状を有する本体部を含み、前記超音波発生体の上部に上方から通され、
前記保持部は、
前記本体部の内面側に一体形成され、
前記超音波発生体に対面する側が正面とされ、背面部と、当該背面部の左右両端から正面方向に延びる左側面部および右側面部と、前記背面部の下端から正面方向に延びる底面部とを含み、
前記背面部、前記左側面部、前記右側面部および前記底面部で囲まれた空間が収容部となり、
前記温度検出部が、前記収容部に収容されて前記保持部に保持された状態において、前記温度検出部の正面は、前記保持部の外部に露出して、前記超音波発生体の側面に当該側面から離れて対向し、
前記電源部は、前記温度検出部が所定温度を検出した場合に前記超音波発生体への電力供給を停止する、
ことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波洗浄装置において、
前記温度検出部は、前記電源部から前記超音波発生体への電力の供給ラインに配置されたサーモスタットを含む、
ことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超音波洗浄装置において、
前記保持部は、前記左側面部の前端部が右方へ突出し、前記右側面部の前端部が左方へ突出し、
前記温度検出部の正面は、左右の端部が、前記左側面部および前記右側面部の前端部の突出部分に当接する、
ことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項4】
水が溜められる外槽と、
前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される内槽と、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の超音波洗浄装置と、
を備えることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波洗浄装置、およびかかる超音洗浄装置を備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
上面板における洗濯物の投入口の周囲、たとえば、投入口の前側に、超音波洗浄装置が配置された洗濯機が、特許文献1に記載されている。超音波洗浄装置は、水が溜められる貯水槽と、貯水槽の真上に位置する超音波発生体を有する超音波発生ユニットとを備える。水が溜められた貯水槽内に被洗浄物の汚れの付着部分がセットされ、洗浄運転が開始される。水が浸透した汚れの付着部分に、超音発生体から発生した超音波エネルギーが作用し、汚れが剥離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波発生体は、その動作により発熱し、温度が上昇し得る。洗浄運転の際には、超音波発生体にユーザの手が触れる可能性がある。このため、超音波洗浄装置では、洗浄運転時に、超音波発生体の温度上昇が大きくならないようにすることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、超音波発生体の温度上昇を抑制でき得る超音波洗浄装置および洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、超音波洗浄装置に関する。本態様に係る超音波洗浄装置は、水が溜められる貯水槽と、前記貯水槽内の水に浸漬された被洗浄物に作用する超音波を発生させる超音波発生体と、前記超音波発生体に電力を供給する電源部と、前記超音波発生体の周囲に配置された温度検出部と、前記超音波発生体が収容されるハウジングと、前記超音波発生体を前記ハウジング内に固定するための固定部材と、前記温度検出部を保持する保持部と、を備える。ここで、前記固定部材は、前記超音波発生体の上部に対応する形の筒状を有する本体部を含み、前記超音波発生体の上部に上方から通される。前記保持部は、前記本体部の内面側に一体形成され、前記超音波発生体に対面する側が正面とされ、背面部と、当該背面部の左右両端から正面方向に延びる左側面部および右側面部と、前記背面部の下端から正面方向に延びる底面部とを含み、前記背面部、前記左側面部、前記右側面部および前記底面部で囲まれた空間が収容部となる。前記温度検出部が、前記収容部に収容されて前記保持部に保持された状態において、前記温度検出部の正面は、前記保持部の外部に露出して、前記超音波発生体の側面に当該側面から離れて対向する。前記電源部は、前記温度検出部が所定温度を検出した場合に前記超音波発生体への電力供給を停止する。
【0007】
本態様に係る超音波洗浄装置によれば、超音波発生体の温度上昇を抑制できる。また、超音波発生体の振動が温度検出部へ伝播しにくく、温度検出部の故障、破損等が防止される。さらに、超音波発生体からの熱が温度検出部に伝播しやすくなり、超音波発生体の温度が良好に検出されやすくなる。さらに、固定部材を利用して、超音波発生体の周囲に温度検出部を容易に配置できる。
【0008】
本態様に係る超音波洗浄装置において、前記温度検出部は、前記電源部から前記超音波発生体への電力の供給ラインに配置されたサーモスタットを含むような構成とされ得る。
【0009】
上記の構成によれば、サーモスタットが所定温度を検出した場合に、サーモスタットにより供給ラインが遮断され、電源部が超音波発生体への電力供給を停止する。
【0010】
本態様に係る超音波洗浄装置において、前記保持部は、前記左側面部の前端部が右方へ突出し、前記右側面部の前端部が左方へ突出し、前記温度検出部の正面は、左右の端部が、前記左側面部および前記右側面部の前端部の突出部分に当接するような構成が採られ得る。
【0016】
本発明の第2の態様は、洗濯機に関する。本態様に係る洗濯機は、水が溜められる外槽と、前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される内槽と、第1の態様に係る超音波洗浄装置と、を備える。
【0017】
上記の構成によれば、第1の態様に係る超音波洗浄装置と同様な効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、超音波発生体の温度上昇を抑制でき得る超音波洗浄装置および洗濯機を提供できる。
【0019】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、給水ユニットの構成を示す概略図である。
【
図3】
図3(a)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が運転位置にあるときの超音波洗浄装置および上面板の斜視図である。
図3(b)および(c)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が待機位置にあるときの超音波洗浄装置および上面板の要部の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、貯水部が取り外された状態の超音波洗浄装置の斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る、超音波洗浄部および本体部の側面断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る、実施の形態に係る、裏返された貯水部の斜視図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が待機位置にあるときの超音波洗浄装置、貯留タンク、供給バルブ、供給ノズルおよび排水受け部の側面断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が運転位置にあるときの超音波洗浄装置、貯留タンク、供給バルブ、供給ノズルおよび排水受け部の側面断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る、貯留タンク、供給バルブおよび供給ノズルの斜視図である。
【
図10】
図10(a)は、実施の形態に係る、固定部材が超音波発生体の上部に通された状態を示す斜視図であり、
図10(b)は、実施の形態に係る、
図10(a)のA-A´断面図である。
図10(c)は、実施の形態に係る、固定部材の斜視図である。
【
図11】
図11(a)は、実施の形態に係る、超音波発生体への電力供給に係る構成を示すブロック図である。
図11(b)は、変更例に係る、サーミスタが用いられた場合の超音波発生体への電力供給に係る構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12(a)ないし(c)は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置による被洗浄物の汚れの除去について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
【0023】
全自動洗濯機1は、外郭を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。上面板12の前部には、内部に制御部16が配置される。制御部16は、マイクロコンピュータ等により構成され、全自動洗濯機1による洗濯運転および後述する超音波洗浄装置50による洗浄運転を制御する。
【0024】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、上面が開口する洗濯脱水槽22が配される。洗濯脱水槽22は、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が配される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。なお、洗濯脱水槽22は、本発明の「内槽」に相当する。
【0025】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。
【0026】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0027】
外槽20の上部には、溢水口20bが形成される。外槽20内に所定の溢水水位以上の水が溜められると、溢水口20bから水が排出される。外槽20の外面には、溢水口20bを覆うように溢水受け部25が設けられる。溢水受け部25の底部には、溢水パイプ26の一端が接続される。溢水パイプ26の他端は、排水ホース41に接続される。溢水口20bから排出された水は、溢水受け部25により受けられた後、溢水パイプ26を通って排水ホース41へ流れる。
【0028】
上面板12の後部のほぼ中央には、超音波洗浄装置50が配置される。超音波洗浄装置50では、主に、ワイシャツの袖や襟口の部分に付着した皮脂汚れ、作業着に付着した油汚れなど、被洗浄物に部分的に付着した汚れを、全自動洗濯機1での洗濯に先立って除去するための洗浄運転が行われる。
【0029】
上面板12の後部には、超音波洗浄装置50の後方に貯留タンク60が配置され、超音波洗浄装置50の下方に排水受け部70が配置される。貯留タンク60には、超音波洗浄装置50の貯水槽210に供給される洗剤を含む水が溜められる。以降、洗剤を含む水を「洗浄水」と称する。
【0030】
排水受け部70は、貯水槽210から排出された水を受ける。排水受け部70には、受けた水が排出される排出孔71が形成される。排出孔71には、排水パイプ72の一端が接続される。排水パイプ72の他端は、溢水パイプ26の上部に接続される。
【0031】
上面板12の後部には、洗濯脱水槽22内に水道水を供給するための給水ユニット80が配される。
【0032】
図2は、給水ユニット80の構成を示す概略図である。
【0033】
給水ユニット80は、給水バルブ81を有する。給水バルブ81は、いわゆる2連バルブであり、電磁バルブであるメインバルブ82とサブバルブ83とを有する。給水バルブ81の入水口81aは、図示しない給水ホースを介して水道栓に接続される。給水バルブ81のメインバルブ82の出口には、メイン給水路84が接続される。メイン給水路84は、洗濯脱水槽22の上部に位置する注水口84aを有する。
【0034】
給水ユニット80には、洗濯脱水槽22内に洗濯用の液剤の一つである液体洗剤を自動投入するための自動投入機構90が含まれる。自動投入機構90は、貯留タンク60に洗浄水を供給する機能も備える。
【0035】
自動投入機構90は、洗剤タンク91と、供給パイプ92と、第1三方バルブ93と、サブ給水路94と、供給ポンプ95と、洗剤供給路96と、第2三方バルブ97と、洗浄水供給路98を備える。給水バルブ81のサブバルブ83も、自動投入機構90に含まれる。
【0036】
洗剤タンク91には、液体洗剤が原液の状態で貯留される。供給パイプ92は、洗剤タンク91の液体洗剤を第1三方バルブ93の一方の入口へと導く。
【0037】
サブ給水路94は、サブバルブ83の出口と第1三方バルブ93の他方の入口とに接続される。
【0038】
第1三方バルブ93の出口に供給ポンプ95が接続され、供給ポンプ95に洗剤供給路96が接続される。洗剤供給路96は、洗濯脱水槽22の上部に位置する供給口96aを有する。供給ポンプ95は、たとえば、ピストン式ポンプとすることができる。
【0039】
第1三方バルブ93は、供給パイプ92を供給ポンプ95に連通させる状態と、サブ給水路94を供給ポンプ95に連通させる状態との間で切り替えることができる。
【0040】
洗剤供給路96には、第2三方バルブ97が設けられる。第2三方バルブ97の入口には、洗剤供給路96の上流側供給路96bが接続され、第2三方バルブ97の一方の出口には、洗剤供給路96の下流側供給路96cが接続される。また、第2三方バルブ97の他方の出口には、洗浄水供給路98の一端が接続される。洗浄水供給路98の他端は、貯留タンク60に接続される。
【0041】
第2三方バルブ97は、上流側供給路96bを下流側供給路96cに連通させる状態と、上流側供給路96bを洗浄水供給路98に連通させる状態との間で切り替えることができる。
【0042】
次に、超音波洗浄装置50の構成と、貯留タンク60および排水受け部70を含む超音波洗浄装置50の周辺の構成について、詳細に説明する。
【0043】
図3(a)は、超音波洗浄部100と貯水部200が運転位置にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の斜視図である。
図3(b)および(c)は、超音波洗浄部100と貯水部200が待機位置にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の要部の斜視図である。
図3(c)では、収納部17の内部が見えるよう、カバー19の図示が省略されている。
【0044】
超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と、貯水部200と、本体部300とを備える。超音波洗浄部100は、超音波を発生させる超音波発生体110を有する。本体部300は、超音波洗浄部100を保持する。貯水部200は、本体部300に装着され、超音波発生体110の下方に位置する。貯水部200には、洗浄水が溜められる貯水槽210が設けられる。貯水部200は、ユーザによる離脱操作によって、本体部300から前方へ引き出して離脱させることができる。
【0045】
上面板12には、後部の中央部に、超音波洗浄装置50が収納される収納部17が設けられる。上面板12は、収納部17の前方が出入口18として開口する。出入口18には、投光性を有する、ほぼ方形状のカバー19が設けられる。
【0046】
図3(a)に示すように、超音波洗浄装置50が使用され、洗浄運転が行われるとき、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と貯水部200、即ち、超音波発生体110と貯水槽210とが収納部17から前方に引き出されて上面板12の投入口14の内側に張り出す状態となる。カバー19は、ほぼ全体が収納部17内に収納される。このときの超音波洗浄部100と貯水部200の位置が運転位置となる。
【0047】
一方、
図3(b)および(c)に示すように、超音波洗浄装置50が使用されず、洗浄運転が行われないとき、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と貯水部200とが収納部17に収納される状態となる。収納部17の出入口18がカバー19により閉じられ、超音波洗浄部100の前方がカバー19により覆われる。このとき、カバー19の下端は、貯水部200に設けられた取っ手201の基端部分に当接する。取っ手201は、カバー19よりも前方に張り出す。このときの超音波洗浄部100と貯水部200の位置が待機位置となる。
【0048】
なお、上面板12の内部には、カバー19を超音波洗浄部100と貯水部200の動きに連動させるために、図示しない連動機構部が設けられる。超音波洗浄部100と貯水部200が収納部17に収納されると、カバー19が収納部17に収納された収納位置から出入口18を閉じる閉鎖位置へ移動し、超音波洗浄部100と貯水部200が収納部17から引き出されると、カバー19が閉鎖位置から収納位置へ移動する。
【0049】
図4は、貯水部200が取り外された状態の超音波洗浄装置50の斜視図である。
図5は、超音波洗浄部100および本体部300の側面断面図である。
図6は、裏返された貯水部200の斜視図である。
【0050】
図4および
図5を参照して、超音波洗浄部100は、超音波発生体110と、ハウジング120と、キャップ130とを備える。
【0051】
超音波発生体110は、超音波振動子111と、超音波振動子111に結合される振動ホーン112と、超音波振動子111の上方に位置し、振動ホーン112との間で超音波振動子111を挟み込むヘッド部113とを含む。振動ホーン112は、導電性を有する金属材料で形成され、先端側に向かうにつれて徐々に細くなる形状を有する。振動ホーン112の先端面112aの形状は、細長い長方形状となる。振動ホーン112の上端部には、フランジ部112bが形成される。ゴム等からなるクッション材114が、フランジ部112bを覆うように、振動ホーン112に取り付けられる。超音波振動子111、振動ホーン112およびヘッド部113は、ボルト115により連結される。超音波振動子111と振動ホーン112との間には、上絶縁板116が配置され、超音波振動子111とヘッド部113の間には、下絶縁板117が配置される。
【0052】
超音波発生体110は、超音波振動子111の高周波振動により、振動ホーン112の先端から超音波を発生させる。
【0053】
ハウジング120は、樹脂材料により形成され、前後方向に長く、その先端部120aが下方に屈曲するようなアーム形状を有する。先端部120aの下面には、開口部121が形成される。
【0054】
ハウジング120は、上面が開放された下部材140と、下面が開放された上部材150とを結合することにより形成される。下部材140には、金属製の補強板160が装着される。下部材140には、下取付孔141と下取付ボス142とが設けられ、上部材150には、下取付孔141に対応する上取付ボス151と下取付ボス142に対応する上取付孔152とが設けられる。下取付孔141を通されたネジ171が上取付ボス151に止められ、上取付孔152を通されたネジ171が下取付ボス142に止められる。これにより、下部材140と上部材150とが結合される。ハウジング120の先端部120aは、下部材140により形成される。
【0055】
下部材140には、開口部121の前方および後方に取付ボス143が設けられる。また、下部材140は、開口部121の周囲が、キャップ130が嵌め込まれる嵌込口部144となっている。
【0056】
超音波発生体110は、下部材140に装着され、そのフランジ部112bが、枠状の固定部材180により上側から押さえられる。固定部材180は、樹脂材料により形成され、超音波発生体110の上部に対応する形の筒状を有する本体部181と、本体部181の前後両側に設けられた取付部182、183とを含む。各取付部182、183には、取付孔182a、183aが形成される。
【0057】
固定部材180は、上方から超音波発生体110の上部に通されて、前後の取付ボス143の上に設置され、ネジ172により、これら取付ボス143に固定される。これにより、超音波発生体110がハウジング120内に固定される。ハウジング120の開口部121から振動ホーン112の先端側の部分が下方へ突出する。超音波発生体110のフランジ部112bと下部材140および固定部材180との間に、クッション材114が介在し、ハウジング120への振動の伝播が抑制される。
【0058】
なお、固定部材180には、取付部182に爪部182aが形成されており、この爪部182aが上部材150の係合片153に上方から係合する。これにより、ハウジング100の前側において、下部材140と上部材150とが分離しにくくなる。
【0059】
キャップ130は、ハウジング120の先端部120aに着脱可能に装着され、超音波発生体110の振動ホーン112におけるハウジング120から露出した部分に被せられる。
【0060】
キャップ130は、キャップ本体131とガイド部132とが樹脂材料により一体形成された構成を有する。キャップ本体131は、前後左右の幅が下方に向かうに従って狭くなる筒状を有し、超音波発生体110の振動ホーン112の先端側の部分を、その先端部が露出するように覆う。
【0061】
ガイド部132は、キャップ本体131の前側面の左右方向における中央に、前方へ張り出すように設けられ、左右方向に扁平な形状を有する。ガイド部132の下部には、後斜め下方向に傾斜し下端部分で湾曲して水平となるガイド面133が設けられる。さらに、ガイド部132の下端は、キャップ本体131の下端よりも下方に位置する。
【0062】
キャップ130は、ハウジング120の嵌込口部144に下方から装着される。このとき、嵌込口部144の左右に設けられた図示しない突起が、キャップ本体131の左右に設けられた図示しない凹部に嵌合する。これにより、キャップ130は、嵌込口部144から脱落しない。
【0063】
図5に示すように、キャップ130がハウジング120に装着された状態において、超音波発生体110の振動ホーン112の先端部は、キャップ本体131から僅かに露出する。また、キャップ130のガイド部132の下端と振動ホーン112の先端面112aとがほぼ面一となる。さらに、ガイド部132のガイド面133は、貯水槽210に近づくに従って振動ホーン112に近づくように傾斜することになる。さらに、左右方向、即ち、超音波洗浄部100の正面方向に直交する方向において、ガイド部132の位置と振動ホーン112の先端部の位置とが一致する。
【0064】
図4および
図5を参照して、本体部300は、正面視において、ほぼ方形状を有する。本体部300の左右の下端部には、前方へ延びるレール部301が設けられる。また、本体部300には、左側に、貯水部200の後部と供給ノズル500が通される開口部302が形成され、開口部302の右隣りに、ロック機構240の爪部241が挿入される挿入口303が形成される。本体部300の上部に、超音波洗浄部100のハウジング120の後部120bが固定される。
【0065】
図4および
図6を参照して、貯水部200は、樹脂材料により形成され、前後方向にやや長く且つ上下方向に扁平であって左側部分が右側部分よりも後方に張り出すような形状を有する。貯水部200の前面には、前面が円弧状を有する取っ手201が貯水部200と一体形成される。ユーザは、超音波洗浄装置50を収納部17に対して出し入れする際と貯水部200を本体部300に対して着脱する際に取っ手201を持つ。
【0066】
貯水部200の上面には、貯水部200の形状に沿った形状を有する貯水槽210が形成される。貯水槽210は、上方に向かって拡がるように、その内周面が傾斜する。貯水槽210には、後面の下部に円形の排水口211が形成される。
【0067】
貯水部200には、排水口211を閉塞する弁体220と、弁体220が閉じた閉状態と弁体220が開いた開状態との間での切替えを行うための弁切替機構230とが設けられる。
【0068】
弁体220は、樹脂材料により形成され、ほぼ円柱状を有する。弁体220は、周面にOリング221を有し、当該Oリング221を排水口211の周縁に密着させるようにして、前方から排水口211を閉塞する。
【0069】
弁切替機構230は、弁可動部材231と、操作部232と、スプリング233とを備える。弁可動部材231と操作部232は、樹脂材料により一体に形成される。
【0070】
弁可動部材231は、貯水部200の裏側に、前後方向、即ち弁体220の開閉方向に移動可能に配置される。弁可動部材231の後端部231aは、貯水部200よりも後方に張り出す。貯水部200の後側において、弁体220が弁可動部材231の後端部231aに接続される。
【0071】
操作部232は、弁可動部材231の前端部231bに設けられる。操作部232は、貯水部200の左側面に設けられた操作窓202から外部に臨む。スプリング233は、弁可動部材231を、後方、即ち弁体220の閉塞方向に付勢する。
【0072】
貯水部200の後部には、本体部300に装着された貯水部200が前方へ離脱しないよう固定するためのロック機構240が設けられる。ロック機構240は、爪部241とボタン242とを有する。爪部241は、図示しないバネより上方に付勢され、ボタン242が押し下げられると下がり、ボタン242が離されると元の位置に戻る。
【0073】
貯水部200は、前方から本体部300に装着される。貯水部200の裏側には、右端部と左端部に、それぞれ、挿入部203が設けられ、これら挿入部203に本体部300の左右のレール部301が挿入されることにより、貯水部200がレール部301に案内される。貯水部200の左側の後部が、本体部300の開口部302を通過する。また、ロック機構240の爪部241が、本体部300の挿入口303の上縁に当たって押し下げられ、挿入口303を通過する。貯水部200の本体部300への装着が完了すると、本体部300の裏側において、爪部241が挿入口303の上縁と係合する。これにより、貯水部200が、本体部300に対して前方に離脱できなくなる。貯水部200を本体部300から離脱させる際には、ロック機構240のボタン242が押し下げられ、爪部241が下げられる。これにより、爪部241と挿入口303の上縁との係合が解除される。貯水部200が前方に引き出されることにより、貯水部200が本体部300から離脱する。
【0074】
貯水部200が本体部300に装着された状態において、超音波発生体110の振動ホーン112の先端面112aの位置は貯水槽210の上面の位置よりも少し低く、振動ホーン112の先端部が貯水槽210内に少し入り込んだ状態となる。
【0075】
図7は、超音波洗浄部100と貯水部200が待機位置にあるときの超音波洗浄装置50、貯留タンク60、供給バルブ400、供給ノズル500および排水受け部70の側面断面図である。
図8は、超音波洗浄部100と貯水部200が運転位置にあるときの超音波洗浄装置50、貯留タンク60、供給バルブ400、供給ノズル500および排水受け部70の側面断面図である。
図9は、貯留タンク60、供給バルブ400および供給ノズル500の斜視図である。
【0076】
収納部17には、貯留タンク60と、供給バルブ400と、供給ノズル500とが超音波洗浄装置50の背後に配置される。
【0077】
供給バルブ400は、電磁バルブである。供給バルブ400は、左右の側面に入口を有し、下面に出口を下面に有するバルブケーシング410と、バルブケーシング410の出口を開閉する弁体420と、弁体420を駆動するソレノイド等の駆動部430と、を含む。バルブケーシング410の出口は、供給ノズル500の入口に接続される。
【0078】
貯留タンク60は、樹脂材料により形成され、供給バルブ400を挟んで第1タンク61と第2タンク62とに分かれる。第1タンク61と第2タンク62は、左右のサイズが上下および前後のサイズよりも大きくされている。第1タンク61は、左端部が他の部分よりも前方へ張り出し、第2タンク62は、右端部が他の部分よりも前方へ張り出す。貯留タンク60は、全体として、左右方向のサイズが前後方向のサイズよりも大幅に大きく、上方から見た時に、前後方向に薄く、左右方向に長い形状を有する。
【0079】
第1タンク61と第2タンク62は、それらの上部が第1タンク61から延びる連通部63により繋がる。第1タンク61は、その右側面の下部に形成された流出口64が、バルブケーシング410の左側の入口に接続される。第2タンク62は、その左側面の下部に形成された流出口65が、バルブケーシング410の右側の入口に接続される。第1タンク61と第2タンク62は、互いの流出口64、65がバルブケーシング410を介して繋がる。
【0080】
貯留タンク60には、第1タンク61の左端部に、貯留タンク60内への洗浄水の流入口66が形成される。流入口66は、自動投入機構90の洗浄水供給路98に接続される。自動投入機構90から供給された洗浄水は、流入口66から第1タンク61内に流入した後、バルブケーシング410および連通部63を通じて第2タンク62内へ流入する。これにより、貯留タンク60内に洗浄水が溜められる。貯留タンク60の貯水容量は、貯水槽210の貯水容量よりも大きく、たとえば、貯水槽210の貯水容量の2倍を超える貯水容量の水を、貯留タンク60に溜めることができる。
【0081】
供給バルブ400、即ち弁体420が開放されると、貯留タンク60の第1タンク61内および第2タンク62内の各々から、洗浄水がバルブケーシング410の出口を通じて流出する。
【0082】
供給ノズル500は、樹脂材料により形成され、供給バルブ400から前方に延び、その先端部500aが下方に屈曲する。先端部500aの下面には、放出口501が形成される。
【0083】
図7に示すように、超音波洗浄部100および貯水部200が収納部17に収納された状態において、供給ノズル500は、本体部300の開口部302を貫通し、その先端部500aが貯水槽210の前部に位置する。一方、
図8に示すように、超音波洗浄部100および貯水部200が投入口14の内側に引き出された状態では、供給ノズル500の先端部500aが貯水槽210の後部に位置する。
【0084】
収納部17には、超音波洗浄装置50の下方に排水受け部70が配置される。排水受け部70は、上面および前面が開放されたほぼ方形の皿状を有する。排水受け部70の底面は、後部が低くなるように傾斜する。排水受け部70の右側面には、後部の下端であって底面が最も低くなった位置に排出孔71が形成される。排出孔71から右方に延びる接続管73に、排水パイプ72が接続される。
【0085】
さて、本実施の形態の全自動洗濯機1では、超音波洗浄装置50において、超音波発生体110が、その動作時に、即ち、超音波振動子111が高周波振動したときに発熱し得る。そこで、超音波発生体110の温度調整を行うため、超音波発生体110の周囲に、サーモスタット700が配置される。なお、サーモスタット700は、本発明の「温度検出部」に相当し、サーモスタット700の正面701は、本発明の「超音波発生体に対向する面」に相当する。
【0086】
図10(a)は、固定部材180が超音波発生体110の上部に通された状態を示す斜視図であり、
図10(b)は、
図10(a)のA-A´断面図である。
図10(c)は、固定部材180の斜視図である。
【0087】
サーモスタット700は、固定部材180に設けられた保持部190により保持される。保持部190は、固定部材180の本体部181の内面側に一体形成される。
【0088】
保持部190は、超音波発生体110に対面する側が正面とされ、ほぼ方形状の背面部191と、背面部191の左右両端から正面方向に延びる左側面部192および右側面部193と、背面部191の下端の右側半分から正面方向に延びる底面部194とを含む。左側面部192の前端部は、僅かに右方へ突出し、右側面部193の前端部は、僅かに左方へ突出する。これら背面部191、左側面部192、右側面部193および底面部194で囲まれた空間が、サーモスタット700に対応した形状の収容部190aとなる。
【0089】
サーモスタット700は、上方から保持部190の収容部190aに収容される。サーモスタット700の正面701は、左右の端部が、保持部190の左側面部192および右側面部193の前端部の突出部分に当接する。これにより、サーモスタット700は、前方、即ち超音波発生体110側へ抜けない。また、保持部190の左側面部192の上端には爪部195が形成されており、この爪部195がサーモスタット700の上面の左端部と係合する。これにより、サーモスタット700が収容部190aから上方へ抜けにくくなる。
【0090】
サーモスタット700が保持部190に保持された状態において、サーモスタット700の正面701は、保持部190の外部に露出し、固定部材180の本体部181の内部に臨む。そして、サーモスタット700の正面701は、超音波発生体110の側面、即ちヘッド部113の側面に、僅かに離れて対向する。即ち、サーモスタット700の正面701と超音波発生体110の側面との間に、僅かな隙間が形成される。
【0091】
超音波発生体110が、その動作により発熱すると、その熱がサーモスタット700との隙間の空気を介してサーモスタット700に伝播する。これにより、超音波発生体110の温度がサーモスタット700で検出される。このとき、サーモスタット700は、その正面701が超音波発生体110に接触していないため、超音波発生体110の振動がサーモスタット700へ伝播しにくく、サーモスタット700の故障、破損等が防止される。また、サーモスタット700は、その正面701が露出しているため、超音波発生体110からの熱がサーモスタット700に伝播しやすく、超音波発生体110の温度が良好に検出されやすい。
【0092】
なお、本実施の形態では、
図10(b)に示すように、サーモスタット700の底面は、中央部の前端が、超音波発生体110の上絶縁板116とわずかに接触する。これにより、サーモスタット700は、保持部190の底面部194のみならず、上絶縁板116によっても下方から支持される。このように、サーモスタット700は、上絶縁板116とわずかに接触するが、この接触により生じ得る超音波発生体110からサーモスタット700への振動の伝播は極めて僅かであり、サーモスタット700の故障、破損等には繋がらない。なお、サーモスタット700の底面が、上絶縁板116によって支えられず、サーモスタット700が超音波発生体110に全く接触しないようにされてもよい。
【0093】
図11(a)は、超音波発生体110への電力供給に係る構成を示すブロック図である。
【0094】
超音波発生体110、即ち超音波振動子111には、電源部800から電力が供給される。サーモスタット700は、電源部800から超音波発生体110への電力の供給ライン801に配置される。供給ライン801には、制御部16によりオン、オフ制御されるスイッチング回路810も配置される。
【0095】
制御部16によりスイッチング回路810がオンされると、電源部800から超音波発生体110へ電力が供給され、超音波発生体110が動作する。
【0096】
超音波発生体110の動作中、サーモスタット700の温度が所定の第1温度、たとえば、75℃に達すると、その接点が開放されて供給ライン801が遮断される。これにより、電源部800は、超音波発生体110への電力の供給を停止する。その後、サーモスタット700の温度が第1温度より低い所定の第2温度、たとえば、70℃まで低下すると、その接点が閉鎖されて供給ライン801の遮断が解除される。これにより、電源部800は、超音波発生体110への電力の供給を再開する。
【0097】
制御部16によりスイッチング回路810がオフされると、電源部800から超音波発生体110への電力の供給が停止される。
【0098】
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0099】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態で、パルセータ24が右方向および左方向に回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0100】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0101】
洗い工程での給水時には、自動投入機構90により、洗濯脱水槽22内に液体洗剤が自動投入される。この際、まず、第1三方バルブ93が、供給パイプ92を供給ポンプ95に連通させる状態に切り替えられる。また、第2三方バルブ97が、上流側供給路96bを下流側供給路96cに連通させる状態に切り替えられる。供給ポンプ95が作動すると、ポンプ作用によって洗剤タンク91内の液体洗剤が排出される。排出された液体洗剤は、
図2の破線矢印に示すように、供給パイプ92、第1三方バルブ93および供給ポンプ95を通って、洗剤供給路96に送られ、洗剤供給路96の上流側供給路96bに溜められる。供給ポンプ95は、予め決められた時間だけ動作し、これにより、予め決められた量の液体洗剤が上流側供給路96bに溜まる。
【0102】
次に、第1三方バルブ93が、サブ給水路94を供給ポンプ95に連通させる状態に切り替えられ、メインバルブ82とサブバルブ83が開かれる。水道栓からの水がメイン給水路84を流れて注水口84aから洗濯脱水槽22内に放出される。同時に、
図2の実線矢印に示すように、水道栓からの水が、サブ給水路94、第1三方バルブ93および供給ポンプ95を通って洗剤供給路96へと流れ液体洗剤を押し流す。水に押し流された液体洗剤は、
図2の一点鎖線矢印に示すように、水とともに洗剤供給路96の供給口96aから洗濯脱水槽22内へ投入される。洗濯脱水槽22内の水位が所定の洗い水位に到達すると、メインバルブ82とサブバルブ83が閉じられて、給水が終了する。
【0103】
さらに、全自動洗濯機1では、超音波洗浄装置50による洗浄運転が行われる。ユーザは、ワイシャツ等の被洗浄物を洗濯する際に、その被洗浄物が部分的に頑固な汚れを含んでいるようなとき、洗濯に先立って超音波洗浄装置50を用いた被洗浄物の部分洗浄を行う。
【0104】
ユーザは、洗浄運転を行う場合、
図3(a)にように、超音波洗浄装置50を収納部17から引き出し、超音波洗浄部100および貯水部200を運転位置まで移動させる。
図8に示すように、弁切替機構230は、スプリング233の付勢力により、弁可動部材231を介して弁体220を後方、即ち閉塞方向に付勢する。これにより、弁体220が排水口211を閉塞し、排水口211が閉鎖された状態となる。
【0105】
ユーザは、洗浄運転を開始させるため、所定の開始操作を行う。
【0106】
洗浄運転が開始されると、最初に、自動投入機構90により、貯留タンク60内への洗浄水の供給が行われる。即ち、まず、第1三方バルブ93が、供給パイプ92を供給ポンプ95に連通させる状態に切り替えられる。また、第2三方バルブ97が、上流側供給路96bを洗浄水供給路98に連通させる状態に切り替えられる。さらに、供給バルブ400が閉じられる。供給ポンプ95が作動すると、ポンプ作用によって洗剤タンク91内の液体洗剤が排出される。
図2の破線矢印に示すように、洗剤タンク91から排出された液体洗剤は、洗剤供給路96へと至り、洗剤供給路96の上流側供給路96bに溜められる。供給ポンプ95は、予め決められた時間だけ動作し、これにより、予め決められた量の液体洗剤が上流側供給路96bに溜まる。
【0107】
次に、第1三方バルブ93が、サブ給水路94を供給ポンプ95に連通させる状態に切り替えられ、サブバルブ83が開かれる。
図2の実線矢印に示すように、水道栓からの水が、サブ給水路94、第1三方バルブ93および供給ポンプ95を通って洗剤供給路96へと流れ、液体洗剤を押し流す。水と液体洗剤とが混合されて洗浄水となる。
図2の太線矢印に示すように、洗浄水は、洗浄水供給路98を通り、貯留タンク60内に流入する。
【0108】
貯留タンク60内の水位が所定の給水停止水位に達し、当該水位が図示しない水位検知部により検出されると、サブバルブ83が閉じられる。
【0109】
こうして、自動投入機構90からの洗浄水の供給により、貯留タンク60内に所定の水量および所定の洗剤濃度の洗浄水が溜められる。本実施の形態では、貯留タンク60に溜められる洗浄水の量は、貯水槽210内の洗浄水を入れ替えて2回の洗浄運転が行えるような量とされる。なお、貯留タンク60に溜められる洗浄水の量は、3回以上の洗浄運転が行える量とされてもよい。
【0110】
次に、供給バルブ400が開かれる。貯留タンク60内の洗浄水が、供給ノズル500を通って放出口501から貯水槽210内に放出される。貯水槽210内に洗浄水が溜められ、貯水槽210内の水位が上昇する。
図8の一点鎖線のように、貯水槽210内の水位が放出口501の高さまで上昇し、放出口501が洗浄水で塞がれると、貯留タンク60内の空気圧と外部の空気圧とが釣り合う。これにより、供給バルブ400が開かれた状態のままで、貯留タンク60からの給水が停止する。
【0111】
貯水槽210内に洗浄水が溜められると、ユーザは、被洗浄物の汚れの付着部分、たとえば、ワイシャツの襟の部分を、超音波洗浄部100の正面方向から、貯水槽210上、即ち、貯水槽210と超音波発生体110の振動ホーン112との間にセットする。
【0112】
被洗浄物の汚れの付着部分が貯水槽210内に溜められた洗浄水で浸され、被洗浄物の内部に浸透した洗浄水が表面に浸み出す。被洗浄物の表面には薄い水の層が形成され、この水の層に振動ホーン112が接触する状態となる。なお、被洗浄物が吸水することにより、貯水槽210内の水位が下がり、供給ノズル500の放出口501が洗浄水で塞がれなくなると、放出口501が再び洗浄水で塞がれるまで貯水槽210内に貯留タンク60から洗浄水が補給される。これにより、貯水槽210内の水位、即ち水量が適正な状態に維持される。
【0113】
供給バルブ400が開かれた後に所定の待機時間が経過するまで、超音波振動子111には通電が行われず、超音波発生体110は待機した状態となる。この間に、貯水槽210に洗浄水が溜められ、洗浄水が溜められた貯水槽210に被洗浄物がセットされることになる。待機時間が経過すると、超音波振動子111に通電が行われて超音波発生体110が作動する。
【0114】
図12(a)ないし(c)は、超音波洗浄装置50による被洗浄物の汚れの除去について説明するための図である。
【0115】
超音波発生体110が作動すると、振動ホーン112の先端から超音波が発生し、超音波振動が振動ホーン112の周りの洗浄水を介して被洗浄物内部の洗浄水に伝わる。
図12(a)に示すように、被洗浄物の内部では、超音波振動の作用によって減圧と加圧が交互に生じ、圧力が低くなった部分に真空の空洞が生じる。即ち、被洗浄物の汚れの部分に多数の空洞が存在する状態となる。次に、
図12(b)に示すように、空洞の部分の圧力が高まり、この圧力に潰されて空洞が破壊されると、被洗浄物の汚れ部分に衝撃波が生じる。この衝撃波によって被洗浄物から汚れが分離される。
図12(c)に示すように、振動ホーン112からの超音波振動は、被洗浄物の内部から貯水槽210内への水流を生み出し、この水流によって、被洗浄物から分離された汚れが貯水槽210内に排出される。貯水槽210では、上記の水流により対流が発生するので、被洗浄物から汚れが引き離されやすくなる。さらに、洗浄水に含まれる洗剤の作用によっても、被洗浄物から汚れが引き離されやすくなり、また、汚れが被洗浄物に再付着しにくくなる。このようにして、被洗浄物から汚れが除去される。
【0116】
超音波発生体110の作動中、上述したように、サーモスタット700によって超音波発生体110の温度が検出される。動作時間が長くなるなどにより、超音波発生体110の温度が大きく上昇し、サーモスタット700の検出温度が第1温度に達すると、サーモスタット700がオフして超音波発生体110への通電が停止する。その後、超音波発生体110の温度が低下し、サーモスタット700の検出温度が第2温度に達すると、サーモスタット700がオンして超音波発生体110への通電が再開される。
【0117】
このようにして、サーモスタット700が、その温度検出に基づいて超音波発生体110の温度を調整する機能を果たすことにより、洗浄運転時の超音波発生体110の温度上昇が抑制される。よって、洗浄運転の際に、ユーザの手が誤って超音波発生体110に接触することが生じても、ユーザがその熱さに驚くなどすることを防止できる。
【0118】
被洗浄物の洗浄が完了すると、ユーザは、洗浄運転を終了させるため、所定の終了操作を行う。超音波発生体110の動作が停止され、洗浄運転が終了する。
【0119】
ユーザは、続けて新たな洗浄運転を行わない場合、
図3(b)および(c)のように、超音波洗浄装置50を収納部17へ収納し、超音波洗浄部100および貯水部200を待機位置へ移動させる。
図7に示すように、貯水部200が待機位置に移動すると、弁切替機構230では、弁可動部材231の後端部231aが、排水受け部70の後面に当接し、これらリブ74に押され、スプリング233の付勢力に抗して、貯水部200に対して前方向に移動する。弁可動部材231に接続された弁体220が貯水槽210の排水口211に対して前方、即ち開放方向に移動し、排水口211が開放される。これにより、貯水槽210に溜められた洗浄水および貯留タンク60内に残っている洗浄水が排水口211を通じて排出される。排水口211から排出された洗浄水は、排水受け部70で受けられ、排出孔71から排出される。排出孔71から排出された洗浄水は、排水パイプ72、溢水パイプ26および排水ホース41を流れて、機外へ排出される。
【0120】
ユーザは、貯水槽210の洗浄水を入れ替えて洗浄運転を継続したい場合がある。この場合、ユーザは、操作部232を前方へ移動させる移動操作を行う。これにより、弁切替機構230では、貯水部200が待機位置に移動されたときと同様に、弁可動部材231が、貯水部200に対して前方向に移動し、弁体220が開放方向に移動して排水口211が開放される。貯水槽210に溜められた洗浄水が排水口211を通じて排水され、排水受け部70、溢水パイプ26および排水ホース41を介して機外へ排出される。同時に、貯留タンク60から貯水槽210へ新たな洗浄水が供給される。
【0121】
こうして、ユーザは、超音波洗浄装置50を動かすことなく貯水部200を運転位置に維持したまま、貯水槽210から洗浄水を排出でき、新たな洗浄水を貯水槽210内に供給できる。その後、洗浄運転が継続される。
【0122】
超音波洗浄部100では、洗浄運転が繰り返されているうちに、貯水槽210が汚れ得る。本実施の形態では、貯水部200が本体部300に対して着脱可能であるため、ユーザは、本体部300から貯水部200を取り外して、貯水槽210の洗浄を行うことができる。
【0123】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、超音波発生体110の周囲にサーモスタット700が配置され、電源部800は、サーモスタット700が第1温度を検出した場合に超音波発生体110への電力供給を停止するので、超音波発生体110の温度上昇を抑制できる。
【0124】
また、本実施の形態によれば、サーモスタット700は、保持部190に保持された状態において、超音波発生体110に対向する正面701が超音波発生体110から離れているので、超音波発生体110の振動がサーモスタット700へ伝播しにくく、サーモスタット700の故障、破損等が防止される。
【0125】
なお、本実施の形態と違って、サーモスタット700が超音波発生体110に直接取り付けられる場合、超音波発生体110との接触面が超音波発生体110の振動によって細かく動いてしまうため、熱の伝播が妨げられやすい。このため、本実施の形態のように、サーモスタット700の正面701が超音波発生体110から離れている場合に比べて、熱の伝播がそれほど良くはならない。
【0126】
さらに、本実施の形態によれば、保持部190は、超音波発生体110に対向するサーモスタット700の正面701を露出させている。これにより、超音波発生体110からの熱がサーモスタット700に伝播しやすくなり、超音波発生体110の温度が良好に検出されやすくなる。
【0127】
さらに、本実施の形態によれば、サーモスタット700が保持される保持部190が固定部材180に設けられているので、固定部材180を利用して、超音波発生体110の周囲にサーモスタット700を容易に配置できる。
【0128】
さらに、本実施の形態によれば、サーモスタット700は、超音波発生体110のヘッド部113に対向する高さに配置されているので、通電部分である超音波振動子111に接触しにくい。
【0129】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0130】
たとえば、上記実施の形態では、超音波発生体110の温度を検出するため、超音波発生体110の周囲にサーモスタット700が配置された。しかしながら、温度検出部として、サーモスタット700に代えて、サーミスタ710が、超音波発生体110の周囲に配置されてもよい。この場合、保持部190は、サーミスタ710の形状に応じた形状に変更されるとよい。但し、サーモスタット700の場合と同様、保持部190に保持された状態において、サーミスタ710の正面は、超音波発生体110から離されるとともに、外部に露出する。
【0131】
図11(b)は、変更例に係る、サーミスタ710が用いられた場合の超音波発生体110への電力供給に係る構成を示すブロック図である。
【0132】
サーミスタ710は、制御部16に接続され、サーミスタ710の検出温度が制御部16に入力される。超音波発生体110の動作時、サーミスタ710の検出温度が第1温度に達すると、制御部16がスイッチング回路810をオフする。これにより、電源部800は、超音波発生体110への電力の供給を停止する。その後、サーミスタ710の検出温度が第2温度まで低下すると、制御部16がスイッチング回路810をオンする。これにより、電源部800は、超音波発生体110への電力の供給を再開する。
【0133】
また、上記実施の形態では、保持部190が固定部材180に設けられた。しかしながら、保持部190は、固定部材180以外の部材、たとえば、ハウジング120を構成する下部材140や上部材150に設けられてもよい。
【0134】
さらに、上記実施の形態では、サーモスタット700は、その正面701が超音波発生体110のヘッド部113の側面に対向するように配置された。しかしながら、サーモスタット700は、その正面701が超音波発生体110の他の面、たとえば、ヘッド部113の天面に対向するように配置されてもよい。
【0135】
さらに、上記実施の形態では、サーモスタット700が保持部190に保持され、その正面701が超音波発生体110から離された。しかしながら、たとえば、サーモスタット700が、振動による故障、破損等を危惧しなくてよいほど丈夫なものである場合に、超音波発生体110に直接、取り付けられてもよい。この場合、サーモスタット700は、たとえば、超音波発生体110のヘッド部113に取り付けられるとよい。
【0136】
さらに、上記実施の形態において、自動投入機構90は、洗剤と柔軟剤とを自動投入可能な構成とされてもよい。この場合、液体の柔軟剤を収容する柔軟剤タンクが設けられる。柔軟剤タンクは、供給パイプと三方バルブとを介して、サブ給水路94に繋がる。すすぎ工程の際、洗剤タンク91からの洗剤の供給と同様な動作により、柔軟剤タンク内の柔軟剤が洗濯脱水槽22内へ供給される。
【0137】
さらに、上記実施の形態では、超音波洗浄装置50が全自動洗濯機1に備えられる。しかしながら、超音波洗浄装置50が、全自動洗濯機1以外の洗濯機、たとえば、ドラム式洗濯機に備えられてもよい。また、超音波洗浄装置50が、たとえば、乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機やドラム式洗濯乾燥機に備えられてもよい。ドラム式洗濯機およびドラム式洗濯乾燥機では、外槽内に、内槽としてドラムが配置される。さらに、超音波洗浄装置50が、洗面台など、洗濯機以外の装置に用意された配置部に配置されてもよい。
【0138】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
20 外槽
22 洗濯脱水槽(内槽)
50 超音波洗浄装置
100 超音波洗浄部
110 超音波発生体
120 ハウジング
180 固定部材
190 保持部
200 貯水部
210 貯水槽
700 サーモスタット(温度検出部)
701 正面(対向する面)
800 電源部
801 供給ライン