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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】胆道閉鎖症診断支援運営システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20240613BHJP
   G16H 80/00 20180101ALI20240613BHJP
【FI】
G16H50/20
G16H80/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021539313
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 JP2020030814
(87)【国際公開番号】W WO2021029431
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2019149008
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390037327
【氏名又は名称】積水メディカル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510136312
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立成育医療研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦本 武
(72)【発明者】
【氏名】今 哲昭
(72)【発明者】
【氏名】城下 友義
(72)【発明者】
【氏名】松井 陽
(72)【発明者】
【氏名】中島 英規
(72)【発明者】
【氏名】阿部 浩之
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-054443(JP,A)
【文献】特開2012-177975(JP,A)
【文献】特開2004-288060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体からの便の画像を受け取る送受信部、前記画像から胆道閉鎖症の罹患の有無を判定する判定部、を有するサーバを備える、胆道閉鎖症診断支援運営システムであって、
前記サーバは、さらに
受け取った利用料金を貯蓄する利用料金貯蓄部、貯蓄した利用料金から寄付金を送金するための寄付金送金部、を有する管理部と、
前記判定部が陽性の疑い有りと判定した場合に、医師による判定要求を行う医師判定要求処理部と、を有し、
前記サーバは、精密検査の結果、前記生体が胆道閉鎖症の治療が必要と診断された場合、前記利用料金貯蓄部に貯蓄された利用料金から、前記寄付金送金部を介して治療のための寄付金を支払うものとする、前記胆道閉鎖症診断支援運営システム。
【請求項2】
前記胆道閉鎖症診断支援運営システムは、生体からの便の画像を送信し前記サーバを介して診断結果を受領する送受信部、利用料金を支払うための利用料送金部、寄付金を受領するための寄付金受領部、を有する第一端末をさらに備える、請求項1に記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
【請求項3】
前記第一端末は、判定等結果表示部、精密検査案内表示部、治療方針表示部の少なくとも1つの手段を有する疾患等情報受取部をさらに備える、請求項2に記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
【請求項4】
前記胆道閉鎖症診断支援運営システムは、前記判定部による判定結果及び医師による判定結果の少なくともいずれか一方を、前記第一端末及び前記サーバの少なくともいずれか一方に送信する第二端末、をさらに備え、
前記第二端末は、前記判定部が陽性の疑い有りと判定した場合には、医師による判定結果及び精密検査の案内の少なくともいずれか一方を、前記サーバ及び前記第一端末の少なくともいずれか一方に送信する、請求項2又は請求項3に記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
【請求項5】
(A)ユーザがアプリケーションを利用して新生児又は乳児の便の画像をサーバに送信する第一端末と、
(B)前記第一端末から前記画像を受け取るサーバと、
(C)判定部による判定結果及び医師による判定結果の少なくともいずれか一方を、前記第一端末及び前記サーバの少なくともいずれか一方に送信する第二端末と、を備える胆道閉鎖症診断支援運営システムであって、
前記第一端末は、アプリケーションのユーザが利用料金を支払うための利用料送金部を有し、
前記サーバは、前記画像から胆道閉鎖症の罹患の有無を判定する判定部と、
受け取った利用料金を貯蓄する利用料金貯蓄部と、
貯蓄した利用料金から寄付金を送金するための寄付金送金部と、を有し、
前記サーバは、前記判定部が陽性の疑い有りと判定した場合には、判定結果とともに医師による判定要求を、前記サーバを介して前記第二端末に送信するものとし、
前記第二端末は、前記判定部が陽性の疑い有りと判定した場合には、医師による判定結果及び精密検査の案内の少なくともいずれか一方を、前記サーバ及び前記第一端末の少なくともいずれか一方に送信するものとし、
前記サーバは、精密検査の結果、前記新生児又は乳児が胆道閉鎖症の治療が必要と診断された場合には、前記利用料金貯蓄部に貯蓄された利用料金から、前記寄付金送金部を介して治療のための寄付金を支払うものとする、前記胆道閉鎖症診断支援運営システム。
【請求項6】
(D)胆道閉鎖症の罹患の有無の精密検査手段をさらに含み、前記精密検査手段が、前記新生児又は乳児の胆道閉鎖症の罹患の有無の精密検査を行う、請求項5に記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
【請求項7】
前記第一端末が、ユーザが寄付金を請求するための寄付金請求部をさらに含む、請求項5又は6に記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
【請求項8】
前記判定部が胆道閉鎖症陰性と判定した場合は、陰性である判定結果が第一端末に送信される、請求項5~7のいずれかに記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
【請求項9】
前記判定部が変化解析部をさらに有し、
前記変化解析部が、以前に送信した前記新生児又は乳児の便の画像と、新たに送信された前記新生児又は乳児の便の画像との変化を解析し、
前記判定部が、前記解析結果を基に、胆道閉鎖症の罹患の有無を判定する、請求項5~8のいずれかに記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
【請求項10】
前記第一端末が、便の情報を送信するための便情報入力部をさらに有する、請求項5~9のいずれかに記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
【請求項11】
前記第二端末が、サーバに対してさらなる情報を要求する情報要求部を有する、請求項5~10のいずれかに記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
【請求項12】
新生児又は乳児の便の画像をサーバに送信可能な端末に搭載される、胆道閉鎖症診断のためのアプリケーションプログラムであって、
アプリケーションのユーザが利用料金を送金する手段と、
新生児又は乳児の情報を入力させる手段と、
新生児又は乳児の便の画像を入力させる手段と、
胆道閉鎖症の罹患の有無を検査する精密検査の案内を受け取る手段と、
サーバ又は医師から受け取った胆道閉鎖症診断に関する判定結果の情報を表示する手段と、
胆道閉鎖症治療のための寄付金を受け取る手段と、
を備える、アプリケーションプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胆道閉鎖症診断支援運営システムに関する。本発明はまた、胆道閉鎖症診断のためのアプリケーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
胆道閉鎖症は、肝臓と十二指腸をつなぐ胆管という管が先天的に、又は生後まもなくふさがってしまい、肝臓から腸へ胆汁を出せない難治性の病気である。胆道閉鎖症は、出生9000人に1人が罹患する稀な疾患であるが、同年齢の肝・胆道系疾患の中では死亡率が最も高い。
【0003】
淡黄色便は、胆道閉鎖症にもっとも特異的な症状の一つである。胆道閉鎖症の患児の70~80%は生後4週までに便の黄色調が薄くなって淡黄色となり、残りの20~30%の多くは生後2か月までに淡黄色便を発症する。日本においては、胆道閉鎖症のスクリーニングとして便色カラーカードが2012年より全国的に導入されており、米国においては胆道閉鎖症スクリーニングを目的としたスマートフォン用のアプリも存在している(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Franciscovich, Amy, et al. "PoopMD, a Mobile Health Application, Accurately Identifies Infant Acholic Stools." PloS one 10.7 (2015): e0132270
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に開示される技術では、ソフトウエアによる胆道閉鎖症の診断は可能であるが、医師による胆道閉鎖症の診断が行われないため、誤判定が生じる可能性が残る。また、胆道閉鎖症陽性と判定された場合において、どの医療機関を受診して確定診断を受ければよいのかを判断することが、ユーザにとって困難な場合も考えられる。また、胆道閉鎖症の治療としては胆管の閉塞を解除する手術が挙げられるが、手術で黄疸が改善しない場合は肝移植を行う必要がある。この場合の治療費の負担を緩和するための方法も求められている。
【0006】
本発明の目的は、ソフトウエアにより胆道閉鎖症の判定を行うのみではなく、医師による判定及び精密検査、並びにその後の治療に関しても支援するための胆道閉鎖症診断支援運営システム及び胆道閉鎖症診断のためのアプリケーションプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は具体的には、以下の通りである。
<1>
生体からの便の画像を受け取る送受信部、前記画像から胆道閉鎖症の罹患の有無を判定する判定部、を有するサーバを備える、胆道閉鎖症診断支援運営システムであって、
前記サーバは、さらに
受け取った利用料金を貯蓄する利用料金貯蓄部、貯蓄した利用料金から寄付金を送金するための寄付金送金部、を有する管理部と、
前記判定部が陽性の疑い有りと判定した場合に、医師による判定要求を行う医師判定要求処理部と、を有し、
前記サーバは、精密検査の結果、前記生体が胆道閉鎖症の治療が必要と診断された場合、前記利用料金貯蓄部に貯蓄された利用料金から、前記寄付金送金部を介して治療のための寄付金を支払うものとする、前記胆道閉鎖症診断支援運営システム。
<2>
前記胆道閉鎖症診断支援運営システムは、生体からの便の画像を送信し前記サーバを介して診断結果を受領する送受信部、利用料金を支払うための利用料送金部、寄付金を受領するための寄付金受領部、を有する第一端末をさらに備える、<1>に記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
<3>
前記第一端末は、判定等結果表示部、精密検査案内表示部、治療方針表示部の少なくとも1つの手段を有する疾患等情報受取部をさらに備える、<2>に記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
<4>
前記胆道閉鎖症診断支援運営システムは、前記判定部による判定結果及び医師による判定結果の少なくともいずれか一方を、前記第一端末及び前記サーバの少なくともいずれか一方に送信する第二端末、をさらに備え、
前記第二端末は、前記判定部が陽性の疑い有りと判定した場合には、医師による判定結果及び精密検査の案内の少なくともいずれか一方を、前記サーバ及び前記第一端末の少なくともいずれか一方に送信する、<2>又は<3>に記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
<5>
(A)ユーザがアプリケーションを利用して新生児又は乳児の便の画像をサーバに送信する第一端末と、(B)前記第一端末から前記画像を受け取るサーバと、(C)判定部による判定結果及び医師による判定結果の少なくともいずれか一方を、前記第一端末及び前記サーバの少なくともいずれか一方に送信する第二端末と、を備える胆道閉鎖症診断支援運営システムであって、
前記第一端末は、アプリケーションのユーザが利用料金を支払うための利用料送金部を有し、
前記サーバは、前記画像から胆道閉鎖症の罹患の有無を判定する判定部と、受け取った利用料金を貯蓄する利用料金貯蓄部と、貯蓄した利用料金から寄付金を送金するための寄付金送金部と、を有し、
前記サーバは、前記判定部が陽性の疑い有りと判定した場合には、判定結果とともに医師による判定要求を、前記サーバを介して前記第二端末に送信するものとし、
前記第二端末は、前記判定部が陽性の疑い有りと判定した場合には、医師による判定結果及び精密検査の案内の少なくともいずれか一方を、前記サーバ及び前記第一端末の少なくともいずれか一方に送信するものとし、
前記サーバは、精密検査の結果、前記新生児又は乳児が胆道閉鎖症の治療が必要と診断された場合には、前記利用料金貯蓄部に貯蓄された利用料金から、前記寄付金送金部を介して治療のための寄付金を支払うものとする、前記胆道閉鎖症診断支援運営システム。
<6>
(D)胆道閉鎖症の罹患の有無の精密検査手段をさらに含み、前記精密検査手段が、前記新生児又は乳児の胆道閉鎖症の罹患の有無の精密検査を行う、<5>に記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
<7>
前記第一端末が、ユーザが寄付金を請求するための寄付金請求部をさらに含む、<5>又は<6>に記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
<8>
前記判定部が胆道閉鎖症陰性と判定した場合は、陰性である判定結果が第一端末に送信される、<5>~<7>のいずれかに記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
<9>
前記判定部が変化解析部をさらに有し、
前記変化解析部が、以前に送信した前記新生児又は乳児の便の画像と、新たに送信された前記新生児又は乳児の便の画像との変化を解析し、
前記判定部が、前記解析結果を基に、胆道閉鎖症の罹患の有無を判定する、<5>~<8>のいずれかに記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
<10>
前記第一端末が、便の情報を送信するための便情報入力部をさらに有する、<5>~<9>のいずれかに記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
<11>
前記第二端末が、サーバに対してさらなる情報を要求する情報要求部を有する、<5>~<10>のいずれかに記載の胆道閉鎖症診断支援運営システム。
<12>
新生児又は乳児の便の画像をサーバに送信可能な端末に搭載される、胆道閉鎖症診断のためのアプリケーションプログラムであって、
アプリケーションのユーザが利用料金を送金する手段と、新生児又は乳児の情報を入力させる手段と、新生児又は乳児の便の画像を入力させる手段と、胆道閉鎖症の罹患の有無を検査する精密検査の案内を受け取る手段と、サーバ又は医師から受け取った胆道閉鎖症診断に関する判定結果の情報を表示する手段と、胆道閉鎖症治療のための寄付金を受け取る手段と、を備える、アプリケーションプログラム。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、サーバの判定部が陽性の疑い有りと判定した場合には、医師への判定要求が、サーバから第二端末に通知され、医師による判定が行われる。したがって、より確実な判定結果が保証される。また、本発明においては、医師により陽性の疑い有りと判定された場合には、精密検査手段による精密検査の案内がユーザの持つ第一端末に通知される。加えて、精密検査手段による精密検査の結果、新生児又は乳児に関して胆道閉鎖症の治療が必要と診断された場合には、利用料金貯蓄部に貯蓄された利用料金から治療のための寄付金が支払われ、ユーザの金銭的負担を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例にかかる胆道閉鎖症診断支援運営システムの構成を説明するための図である。
図2】本発明の胆道閉鎖症診断支援運営システムの具体例を説明するための図である。
図3】第一端末の機能構成を説明するための図である。
図4図4A図4Cは、それぞれ第一端末に表示される端末用アプリケーションの画面例を示す図である。
図5図5A図5Dは、それぞれ第一端末が表示する疾患情報の画面例を示す図である。
図6】サーバの機能構成を説明するための図である。
図7】第二端末の機能構成を説明するための図である。
図8】本発明の胆道閉鎖症診断支援運営システムの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。図中同一の機能又は類似の機能を有するものについては、同一又は類似の符号を付して説明を省略する。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な機構等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。ここでは、生体として新生児又は乳児を例に挙げて説明する。
【0011】
[胆道閉鎖症診断支援運営システム]
図1は、本発明にかかる胆道閉鎖症診断支援運営システム1の構成を説明するための図である。胆道閉鎖症診断支援運営システム1は、第一端末10と、サーバ20と、第二端末30と、精密検査手段40とを備える。図6はサーバ20の機能構成を説明するための図である。
本発明は、生体(新生児又は乳児)の便の画像を受け取る送受信部201、画像から胆道閉鎖症の罹患の有無を判定する判定部204、を有するサーバ20を備える胆道閉鎖症診断支援運営システムに関する。サーバ20は、さらに、受け取った利用料金を貯蓄する利用料金貯蓄部2033、貯蓄した利用料金から寄付金を送金するための寄付金送金部2034、を有する管理部203と;判定部204が陽性の疑い有りと判定した場合に、医師による判定要求を行う医師判定要求処理部205と;を有する。
胆道閉鎖症診断支援運営システム1は、新生児又は乳児の便の画像を送信しサーバ20を介して診断結果を受領する送受信部101、利用料金を支払うための利用料送金部103、寄付金を受領するための寄付金受領部104、を有する第一端末をさらに備えるように構成してもよい。第一端末は、判定等結果表示部1061、精密検査案内表示部1062、治療方針表示部1063の少なくとも1つの手段を有する疾患等情報受取部106をさらに備えるように構成してもよい。
胆道閉鎖症診断支援運営システム1は、判定部204による判定結果及び医師による判定結果の少なくともいずれか一方を、第一端末10及びサーバ20の少なくともいずれか一方に送信する第二端末30、をさらに備えるように構成してもよい。
第二端末30は、判定部204が陽性の疑い有りと判定した場合には、医師による判定結果及び精密検査の案内の少なくともいずれか一方を、サーバ20及び第一端末10の少なくともいずれか一方に送信するように構成してもよい。
【0012】
次に、図1の胆道閉鎖症診断支援運営システム1の具体的な機能について説明する。
ユーザ50は、第一端末10を利用して、アプリケーションの利用料金を納付する。ユーザ50は、第一端末10を利用して、撮影した新生児又は乳児の便の画像をサーバ20に送信する。
サーバ20は、判定部204において、受信した画像を解析する。例えば、サーバ20の記録部(図示せず)に記録された参照の便画像を呼び出し、受信した画像と参照の便画像との類似度合いを解析することにより行われる。解析した結果、胆道閉鎖症陰性と判定された場合は、サーバ20の送受信部201は、胆道閉鎖症陰性であることを第一端末10に送信する、あるいは何も送信しない。解析した結果、胆道閉鎖症陽性の疑い有りと判定された場合は、サーバ20の医師判定要求処理部205は、第二端末30に便の画像と共に医師への判定要求を送信する。その後、医師60による画像解析が行われる。
第二端末30は、医師60による判定結果をサーバ20を介して又は直接第一端末10に送信する。第二端末30は、医師60による判定結果が依然として胆道閉鎖症陽性の疑い有りである場合は、精密検査が必要である旨を説明した精密検査案内を共にサーバ20を介して又は直接第一端末10に送信する。第二端末30は、医師60による判定結果が陰性である場合は、陰性である旨を第一端末10に送信する、又は何も送信しない。患者は、精密検査手段40において精密検査を受診する。
精密検査手段40は、精密検査を行い、精密検査の結果をユーザ50に伝える。この場合、ユーザ50は精密検査の結果を持参し医師60の最終診断を受けることができる。この場合、精密検査機関に在籍する専門医が最終診断を行ってもよい。また、精密検査手段40は精密検査を行い、精密検査の結果をサーバ20を介して第二端末30に送信する。医師60は精密検査結果を参照して、最終診断を行い、最終診断結果をサーバ20を介して又は直接第一端末10に送信する。
精密検査の結果、胆道閉鎖症治療が必要と最終診断された場合は、サーバ20からユーザ50に、第一端末10を介して寄付金が送金される。具体的には、サーバ20により、利用料金貯蓄部2033に貯蓄された利用料金から、寄付金送金部2034を介して治療のための寄付金を支払うようにしてもよい。
【0013】
[胆道閉鎖症診断支援運営システムの具体例]
図2は、本発明にかかる胆道閉鎖症診断支援運営システム1の具体例を説明するための図である。通信端末機としては特に限定されず、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等を用いることができる。ここではスマートフォンを例に挙げて説明する。
ユーザは、スマートフォンを利用して、サーバを介して、アプリケーションの運営主体にアプリケーションの利用料金を納付する。ユーザは、スマートフォンを利用して、撮影した新生児又は乳児の便の画像をサーバに送信する。サーバの判定部は、受信した画像を解析する。解析した結果、胆道閉鎖症陰性と判定された場合は、胆道閉鎖症陰性であることをユーザのスマートフォンに送信する、又は何も送信しない。解析した結果、胆道閉鎖症陽性の疑い有りと判定された場合は、サーバは、専門医の手元にあるコンピュータに便の画像と共に判定要求を送信する。その後、専門医による解析が行われる。
専門医の手元にあるコンピュータは、専門医による判定結果を、サーバを介して又は直接ユーザのスマートフォンに送信する。専門医による判定結果が依然として胆道閉鎖症陽性の疑い有りである場合は、第二端末は、精密検査が必要である旨を説明した精密検査案内を共にサーバを介して又は直接第一端末に送信する。患者は、病院又は検査施設において精密検査を受診する。
精密検査の結果、胆道閉鎖症治療が必要と最終診断された場合は、サーバからユーザに第一端末を介して寄付金が送金される。
【0014】
[第一端末の機能構成]
図3は、第一端末10の機能構成を説明するための図である。第一端末10にはアプリケーションプログラムがインストールされており、新生児又は乳児の便の画像をサーバ20に送信することで、サーバ20から便の画像に対応する胆道閉鎖症罹患の判定結果を受け取り可能である。第一端末10は、送受信部101、ユーザ認証部102、利用料送金部103、寄付金受領部104、情報入力部105、疾患等情報受取部106、及び寄付金請求部107を有する。
情報入力部105は、患者情報入力部1051、便画像入力部1052、及び便情報入力部1053を備える。
疾患等情報受取部106は、判定等結果表示部1061、精密検査案内表示部1062、及び治療方針表示部1063を備える。
これらの構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、又はそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0015】
ユーザ認証部102は、ユーザ50に入力されたユーザ名及びパスワードがサーバ20に記憶されたユーザアカウントデータと同じであるか認証する。ユーザ認証部102は、ユーザ50がユーザアカウントを有していない場合、ユーザアカウントの作成を要求する画面を表示する。ユーザアカウントを作成する際、ユーザ認証部102は、メールアドレス、ユーザのアカウント名、パスワード、新生児又は乳児の生年月日、新生児又は乳児の性別、新生児又は乳児の疾患の有無等を入力させることで、ユーザアカウントを作成する。入力されたユーザの情報は、利用者情報として、ユーザアカウントIDに関連付けられてサーバ20の記録部に記憶される。
【0016】
利用料送金部103は、サーバ20を介して月毎の利用料を運営主体に納付する。サーバ20には、ユーザアカウントデータとして、必要に応じて、ユーザの住所、口座番号、及びクレジットカード番号等の、利用料送金に必要な個人情報が格納されてもよい。
【0017】
寄付金受領部104は、精密検査手段による精密検査の結果、胆道閉鎖症治療が必要と判定された対象が寄付金を受領した旨を表示する。寄付金の受領は、一括に設定することもでき、半年毎のように定期的に設定することもできる。サーバ20にはユーザアカウントデータとして、必要に応じて、ユーザの住所及び口座番号等の、寄付金受領に必要な個人情報が格納されてもよい。
【0018】
患者情報入力部1051は、患者である新生児又は乳児の情報として、患者名、患者の性別、患者の生年月日、患者の居住地、患者の既往歴を入力するようにユーザ50に通知する。便画像入力部1052は、便を撮像した画像を入力させる。便画像入力部1052は、便の全体が見えるように撮像した便画像や、便に近接して便を拡大して撮像した便画像など、複数種類の便画像を入力させる画面を表示する。便情報入力部1053では、画像と共に、排便時間等の情報を必要に応じて入力することができる。
【0019】
疾患等情報受取部106は、サーバ20から、送信した便画像に対応する情報を送受信部101を介して受け取り、ユーザ50に該情報を表示する。判定等結果表示部1061は、サーバ20の判定部204による判定結果、医師60による判定結果を画面に表示する。また、医師60による最終診断が第一端末10に送信される場合、判定等結果表示部1061は、サーバ20又は第二端末30から受け取った、精密検査手段40による精密検査の結果を考慮した最終診断結果を画面に表示する。精密検査案内表示部1062は、精密検査案内が必要である旨を表示する。精密検査案内表示部1062は、第二端末30からサーバ20を介して又は直接送信される精密検査案内が、医師60が指定した医療機関又は検査機関の情報を含む場合、この医療機関又は検査機関を画面に表示する。治療方針表示部1063は、胆道閉鎖症治療の治療方針の概要を表示する。また、治療方針表示部1063には、医師60によるカウンセリングの申し込みや質問等を行う問い合わせフォームを設け、送受信部101を介してサーバ20に送信できるように設定することもできる。
【0020】
寄付金請求部107は、精密検査の結果、胆道閉鎖症治療が必要と最終診断された場合に、サーバ20に対して寄付金の支払いを請求する。寄付金請求部107には、最終診断がされた医療機関及び日付、最終診断をした医師名等の情報を入力できる。最終診断を行った医師60がユーザに特有のコードを第二端末30に入力してサーバ20に送信し、ユーザからの寄付金請求と当該コードとで認証が行われるようにすることもできる。また、最終診断を行った医師60が、サーバ20に患者の最終診断が陽性であることを入力して、ユーザからの寄付金請求がなくとも自動的に寄付金が支払われるように設定することもできる。
【0021】
第一端末10には、患者情報に合わせて広告を表示する広告表示部を設けることもできる。
以下、端末用アプリケーションの画面例の説明を通じて、上述の第一端末の機能構成について具体的に説明する。
【0022】
[端末用アプリケーションの画面例]
図4A図4Cは、第一端末10に表示される端末用アプリケーションの画面例を示す図である。ユーザ50は、自身を識別するユーザアカウントを有する。そして、ユーザ50は、図4Aに示す画面からユーザアカウントを用いて、アプリケーションプログラムが提供する胆道閉鎖症診断支援サービスにサインインする。すると、図3のユーザ認証部102は、ユーザ名及びパスワードがサーバ20の記憶部に記憶されたユーザアカウントデータと同じであるか認証する。サインインが成功すると、第一端末10は診断を開始する画面に移行する。
【0023】
図4Bに示すように、患者情報の入力画面に切り替わる。そして、患者情報の入力画面において、図3の情報入力部の患者情報入力部1051を稼働させて、ユーザ50は患者情報を入力する。「次へ」をタッチ操作する。
【0024】
図4Cに示すように、便画像入力画面に切り替わる。そして、図3の情報入力部の便画像入力部1052を稼働させて、撮像した便の画像を入力させる。ユーザ50は、第一端末10に記憶される便画像を入力する。その後、ユーザ50は、「送信」をタッチ操作する。必要に応じて、図3の便情報入力部1053を稼働させて、排便時間等の情報を入力することもできる。
【0025】
ユーザ50が「送信」をタッチ操作すると、図3の送受信部101は、ユーザ50が入力した患者情報及び便画像を、サーバ20に送信する。これにより、第一端末10にてユーザ50の胆道閉鎖症診断支援要求処理が終了する。
その後、サーバ20にて患者情報及び便画像に基づき、胆道閉鎖症罹患の有無の判定が実行される。上記胆道閉塞症罹患の有無の判定は、例えば、参照の便画像との類似度合いを解析することによって行われる。
【0026】
ユーザ50が胆道閉鎖症診断支援要求を終了した後、サーバ20から、画像解析処理による胆道閉鎖症罹患の有無の判定結果が第一端末10に送信される。陰性である場合は、何も送信されないように設定することもできる。
【0027】
[胆道閉鎖症診断支援情報の画面例]
図5A図5Dは、第一端末10が受け取る胆道閉鎖症診断支援情報の画面例を示す図である。判定結果が陰性である場合、図3の第一端末10の判定等結果表示部1061は、サーバ20又は第二端末30から判定結果を、送受信部101を介して受け取る。そして、図5Aに示すように、陰性である判定結果が画面に表示される。
なお、判定結果が陰性である場合には、判定等結果表示部1061に何も表示されないように設定することもできる。
【0028】
図5Bは、判定結果が胆道閉鎖症の陽性の疑い有りである場合の画面例である。判定結果が胆道閉鎖症の陽性の疑い有りである場合には、第一端末10はサーバ20から判定結果を、送受信部101を介して受け取る。そして、図5Bに示すように、胆道閉鎖症の陽性の疑い有りである旨及び医師による判定が行われる旨が画面に表示される。
【0029】
図5Cは、医師による判定結果が胆道閉鎖症の陽性の疑い有りである場合の画面例である。医師による判定結果が、依然として胆道閉鎖症の陽性の疑い有りである場合には、判定結果表示部1061と精密検査案内表示部1062は、サーバ20又は第二端末30から判定結果及び精密検査案内を、送受信部101を介して受け取る。そして、図5Cに示すように、陽性の疑いがある旨と精密検査受信の案内が画面に表示される。
なお、医師による診断の結果、陰性であった場合は、図5Aに示すように、陰性である旨が画面に表示される。
【0030】
図5Dは、医師60による最終診断が第一端末10に送信される場合における、精密検査の結果を考慮した最終診断結果が胆道閉鎖症陽性である場合の画面例である。精密検査の結果を考慮した最終診断結果が、胆道閉鎖症陽性である場合には、サーバ20又は第二端末30から胆道閉鎖症陽性の最終診断結果を送受信部101を介して受け取る。そして、寄付金受領部104を介して、図5Dに示すように、寄付金が支給される旨が画面に表示される。精密検査の結果を考慮した最終診断結果が陰性であった場合は、陰性である旨が画面に表示される。
【0031】
[サーバの機能構成]
図6は、サーバ20の機能構成を説明するための図である。サーバ20は、送受信部201、疾患情報生成部202、管理部203、判定部204、及び医師判定要求処理部205を有する。
管理部203は、ユーザアカウント管理部2031、及び医療機関及び医師情報管理部2032、利用料金貯蓄部2033、及び寄付金送金部2034を有する。
判定部204は、類似度算出部2041、画像蓄積部2042、及び変化解析部2043を有する。
医師判定要求処理部205は、医師依頼決定部2051、医療機関及び医師選択部2052、及び依頼情報生成部2053を有する。
これらの構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPUやGPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。
【0032】
管理部203は、第一端末10を保有するユーザおよび第二端末30を保有する医療機関及び/又は医師を管理する。管理部203は、第一端末10や第二端末30のサインイン時には、第一端末10又は第二端末30から送信されたユーザ名及びパスワードと、ユーザアカウント管理部2031に記憶されるユーザ情報又は医療機関及び医師情報管理部2032に記憶される医療機関及び医師情報とを照合し、照合した結果を第一端末10又は第二端末30に送信する。ユーザアカウント管理部2031は、ユーザの利用料金支払い履歴や寄付金の支払い履歴を管理する。ユーザアカウント管理部2031は、判定部204及び/又は医師60により陽性の疑いが有る判定された患者をマークし、寄付金の請求がなされた場合に、当該マークと寄付金請求がされたアカウントとを照合することもできる。
【0033】
医療機関及び医師情報管理部2032は、第二端末30を保有する医療機関及び医師のアカウント情報を記憶する。利用料金貯蓄部2033は、第一端末10から送金された利用料金を貯蓄し、精密検査の結果を考慮した最終診断結果が陽性であった場合には、寄付金送金部2034から治療のための寄付金がユーザ50に送金される。寄付金送金部2034は、第一端末10の寄付金請求部107の請求に応じて、ユーザ50に寄付金を送金することもできる。第二端末30又は精密検査手段40からサーバ20に最終診断が陽性である結果が送信されている場合は、寄付金送金部2034は、第一端末10の寄付金請求部107からの請求がなくとも、ユーザ50に寄付金を送金することもできる。
【0034】
判定部204は、取得した患者情報及び便画像に基づいて、胆道閉鎖症罹患の有無を判定する。
【0035】
類似度算出部2041は、第一端末10から送信された便画像を解析して、参照の便画像との類似度合いを解析する。画像蓄積部2042は、第一端末10から送信された便画像を保管する。保管された便画像は、蓄積便画像情報として、新たに送信された便画像との比較等の解析に用いられる。変化解析部2043は、蓄積便画像情報を基に、送信された便画像における、便色の変化を解析する。
【0036】
判定部204の機能を有する公知のアプリケーションを用いることもできる。例えば、特許文献1に記載のアプリケーションを用いることもできる。
【0037】
医師判定要求処理部205は、判定部204の判定結果が陽性の疑い有りである場合、第二端末30に医師60による判定を依頼する。医師判定要求処理部205は、第一端末10から送信された便画像及び診断に必要な患者情報を送受信部201を介して第二端末30に送信する。医師判定要求処理部205は、医師依頼決定部2051、医療機関及び医師選択部2052、並びに依頼情報生成部2053を備える。医師依頼決定部2051は、判定部204の判定結果が陽性の疑い有りである場合、医師60による診断支援の実行を決定し、判定部204の判定結果が陰性である場合、診断支援の実行を決定しない。
【0038】
医療機関及び医師選択部2052は、判定部204の判定結果が陽性の疑い有りである場合、複数の医師60のうち、いずれかの医師60の第二端末30を選択して判定を依頼する。
【0039】
依頼情報生成部2053は、第一端末10から送信された便画像及び患者情報から第二端末30に送信する依頼情報および依頼IDを生成する。依頼情報は、患者情報から患者の個人情報を除いたものであり、第一端末から送信された便画像、及び診断に必要な患者情報(生年月日、性別等)を含む。依頼IDは、第一端末10の情報、第二端末30の情報、及び依頼識別番号を有する。依頼情報生成部2053は、第二端末30に依頼情報を送信するとともに、疾患情報生成部202に依頼IDを送出する。依頼IDにより、疾患情報生成部202は、第二端末30から送信された診断結果を、依頼IDに応じた第一端末10に送信できる。
【0040】
疾患情報生成部202は、判定部204から判定結果を受け取った場合、第一端末10に送信するための情報を生成する。疾患情報生成部202は、第二端末30から判定結果を受け取った場合、精密検査手段の案内、判定結果等の第一端末10に送信するための情報を生成する。疾患情報生成部202は、第一端末から送信された便画像に対する判定結果等を送受信部201を介して第一端末10に送信する。疾患情報生成部202は、判定部204の判定結果の詳細(類似度、変化等の解析結果)を第一端末10に送信する情報に加えることもできる。
このように、サーバ20は、第一端末10から送信された便画像に関する情報を第一端末10に返信することができる。
【0041】
疾患情報生成部202は、医師60が、さらなる情報が必要と判断し、第二端末30の情報要求部305から必要な情報の要求があった場合、第二端末30に送信するための情報を生成する。第二端末30に送信するための情報には、判定を受諾した患者の以前の便画像、判定を受諾した患者以外の患者の便画像等が含まれる。
【0042】
図7は、第二端末30の機能構成を説明するための図である。第二端末30には、胆道閉鎖症診断支援運営システム1用のアプリケーションプログラムがインストールされている。第二端末30は、送受信部301、ユーザ認証部302、判定受諾部303、判定結果入力部304、及び情報要求部305を有する。
これらの構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPUやGPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。
【0043】
ユーザ認証部302は、ユーザ名及びパスワードがサーバ20に記憶された医療機関又は医師アカウントデータと同じであるか認証する。ユーザ認証部302は、医師であることを確認するために、ログイン時に指紋認証や手のひら静脈認証などの生体認証を用いてよく、生体認証に必要な個人情報がサーバ20に記憶されてもよい。このように、第二端末30のユーザ認証では、第一端末10のユーザ認証よりセキュリティが高く、本人確認が要求される認証が実行される。
【0044】
判定受諾部303は、サーバ20から判定の可否の通知を受け取り、判定の受諾の有無又は判定を受諾することを送受信部301を介してサーバ20に送信する。判定結果入力部304は、サーバ20から送信された便画像及び患者情報を受け取り、医師60による判定結果を入力し、送受信部301が判定結果をサーバ20に送信する。医師60は、さらなる情報が必要と判断した場合、情報要求部305に必要な情報を入力し、サーバ20に要求することもできる。必要な情報には、判定を受諾した患者の以前の便画像、判定を受諾した患者以外の患者の便画像等が含まれる。
【0045】
精密検査手段40は、胆道閉鎖症を診断するための、血液検査、尿検査、十二指腸液検査、肝胆道シンチグラム、及び腹部超音波検査を実施可能な医療機関又は検査機関に配置される。精密検査手段40は、精密検査結果をサーバ20に送信するための送信部401を有する(図示せず)。
精密検査手段40と第二端末30を保有する医療機関とは同一であってもよい。すなわち、第二端末30を保有する医療機関が、精密検査手段40として患者の胆道閉鎖症の精密検査を行ってもよい。図1図2、及び図8は、精密検査手段40と第二端末30を保有する医療機関とが異なる態様を図示している。
【0046】
精密検査手段40は、医師60の要求に応じ、患者の胆道閉鎖症の有無を検査する。精密検査手段40がサーバと接続されている場合、精密検査手段40は、精密検査の結果をサーバを介して医師60に送信し、医師60は精密検査結果を基に、胆道閉鎖症の罹患の有無に関して最終診断を行い、精密検査の結果を考慮した最終診断結果を、サーバ20を介して又は直接第一端末10に送信する。最終診断が陽性であった場合は、治療方針等が、精密検査の結果を考慮した最終診断結果と共に第一端末10に送信される。
陽性の最終診断結果を受けたユーザ50は、第一端末10の寄付金請求部107を通じて、サーバ20に対して寄付金を請求することができる。サーバ20の寄付金送金部2034が自動的に、最終診断結果が陽性であるユーザに対して寄付金を送金することもできる。ユーザ50がサーバ20に対して寄付金を請求する場合、判定部204及び/又は医師60により陽性の疑いが有ると判定された患者にされたマークと寄付金請求がされたアカウントとを照合することもできる。
【0047】
図8は、胆道閉鎖症診断支援運営システム1の動作を説明するための図である。ユーザ50は、利用料金を月毎に支払っている。利用料金はサーバ20に貯蓄され、胆道閉鎖症治療が必要と最終診断された場合には、プールされている全ユーザの利用料から第一端末10に寄付金が送金される。
【0048】
まず、ユーザ50は、第一端末10のアプリケーションプログラムにログインする(S10)。第一端末10は、入力されたユーザ名及びパスワードをサーバ20に送信する。
【0049】
サーバ20は、受け取ったユーザ名及びパスワードを、記録されているユーザアカウントと比較し(S20)、一致すると、ログインが成功したことを示す情報を第一端末10に送信する。
【0050】
ログインに成功すると、ユーザ50により第一端末10に便画像が入力され(S11)、便画像がサーバ20に送信される。
【0051】
サーバ20の判定部204は、便画像を受け取ると画像解析処理を実行する(S21)。判定部204は、胆道閉鎖症の罹患の有無を判定し、疾患情報生成部202にて第一端末10に送信する情報を生成して(S22)、判定結果を第一端末10に送信する。
【0052】
第一端末10は、サーバ20から受け取った判定結果を表示する(S12)。このように、第一端末10のユーザ50は、胆道閉鎖症の罹患の有無の判定結果を短時間で取得できる。
【0053】
以下、サーバ20の判定部204の判定結果が陽性の疑い有りであった場合の動作を説明する。
サーバ20の医師判定要求処理部205は、判定部204の判定結果が陽性の疑い有りであった場合、判定要求処理を開始し、医師60の選択をする(S22)。医師判定要求処理部205は、サーバ20の送受信部201を介して、選択した第二端末30に医師による判定の依頼をする情報を送信する。医師判定要求処理部205は、別のアプリケーションプログラムの機能、例えばメール機能を用いて医師による判定の依頼を送信してもよい。
【0054】
また、医師60は、第二端末30のアプリケーションプログラムにログインし(S31)、第二端末30は、入力されたユーザ名及びパスワードをサーバ20に送信する。サーバ20は、受け取ったユーザ名及びパスワードを、記憶する医師情報と比較する(S23)。一致すると、ログインが成功したことを示す情報を第二端末30に送信する。
【0055】
ログインが成功した医師60に対し、判定要求が送信される(S24)。医師60が判定を受諾した場合(S32)、第二端末30は、医師60により判定受諾の入力を受け(S32)、判定受諾を示す情報をサーバ20に送信する。これによりサーバ20の医療機関及び医師選択部2052は医療機関及び医師60を決定し(S25)、医療機関及び医師60が保有する第二端末30に便画像及び判定結果を送信する。
【0056】
医師60は、送信された便画像、判定結果、及び患者情報を基に、胆道閉鎖症の罹患の有無を判定する。第二端末30は、医師60による判定結果の入力を受け(S33)、医師60による判定結果を第一端末10に送信する。医師60による判定結果が陽性の疑い有りであった場合、医師60は、精密検査が必要である旨を説明した精密検査案内を第一端末10に共に送信する。第二端末30から第一端末10への各種情報の送信は、サーバ20を介してもよく、直接第一端末10に対して行ってもよい。また、サーバ20の医療機関及び医師選択部2052が、患者情報(住所等)を基に、患者が精密検査を受ける精密検査手段40を案内することもできる。
【0057】
第一端末10は、医師60による判定結果を表示する。判定結果が陽性の疑い有りである場合は、精密検査が必要である旨を説明した精密検査案内を共に表示する(S13)。
【0058】
以下、医師60の診断結果が陽性の疑い有りである場合の動作を説明する。第一端末10は、医師60による判定結果が陽性の疑い有りである場合、医師60による判定結果に加えて、精密検査が必要である旨を説明した精密検査案内を表示する(S13)。
【0059】
医師60が所属する医療機関が精密検査を実施可能である場合、精密検査は、医師60が所属する医療機関で行うこともできる。第二端末30が、陽性の疑い有りの判定結果を第一端末10に送信する場合、医師60は、医師60が所属する医療機関において精密検査を受ける旨を勧めることを精密検査案内に付記することもできる。
医師60が所属する医療機関が精密検査を実施可能でない場合、精密検査は、医師60が指定した精密検査手段40で行うこともできる。もちろん、ユーザが自ら精密検査を行うことができる精密検査手段40をサーチして、その精密検査手段40において精密検査を受診することもできる。
【0060】
精密検査を医師60が所属する医療機関で行う場合、あるいは、精密検査手段40がサーバと接続されている場合、サーバ20の依頼情報生成部2053は、医師60による判定結果及び必要な患者情報を、疾患情報生成部202を介して、精密検査手段40に送信することもできる。患者は、精密検査手段40を受診し、この時、医師60による判定結果及び必要な患者情報が精密検査のために使用されることもできる(S41)。
【0061】
精密検査手段40は精密検査を実施する。精密検査手段40がサーバと接続されている場合、精密検査の結果が送信部401からサーバ20に送信されることもできる。サーバ20は精密検査結果を受信し、精密検査結果を第二端末30に送信することもできる。精密検査手段40がサーバ20と接続されている場合、精密検査手段40は、第一端末10に精密検査結果を送信することもでき、第一端末10を介さずに精密検査結果を直接患者に伝えることもできる。
医師60は、精密検査結果を考慮した最終診断結果を患者に口頭で伝えることができる。医師60は、精密検査結果を考慮した最終診断結果を第二端末30に入力し、サーバ20を介して第一端末10に最終診断結果を送信することもできる。精密検査結果を考慮した最終診断結果が陽性である場合、医師60は治療方針の説明等を最終診断結果とともに患者に口頭で伝えることができ、又は第二端末30に入力してサーバ20を介して第一端末10に送信することもできる。サーバ20は、精密検査結果を考慮した最終診断結果及び治療方針の説明を第一端末10に送信する。第一端末10は精密検査結果を考慮した最終診断結果を表示する。精密検査結果を考慮した最終診断結果が陽性であった場合、第一端末10は、医師による治療方針の説明等を表示することができる。
【0062】
精密検査結果を考慮した最終診断結果が陽性であった場合、サーバ20の利用料金貯蓄部2033に蓄えられている利用料金から、寄付金送金部2034を介して第一端末10に寄付金が送金される。第一端末10が、寄付金請求部107を通して寄付金の請求をサーバ20に要求することもでき、又はサーバ20の寄付金送金部2034が自動的に、最終診断結果が陽性であるユーザに対して寄付金を送金することもできる。
【符号の説明】
【0063】
1:胆道閉鎖症診断支援運営システム、10:第一端末、20:サーバ、30:第二端末、40:精密検査手段、50:ユーザ、60:医師

101:送受信部、102:ユーザ認証部、103:利用料送金部、104:寄付金受領部、105:情報入力部、106:疾患等情報受取部、107:寄付金請求部、1051:患者情報入力部、1052:便画像入力部、1053:便情報入力部、1061:判定等結果表示部、1062:精密検査案内表示部、1063:治療方針表示部

201:送受信部、202:疾患情報生成部、203:管理部、204:判定部、205:医師判定要求処理部、2031:ユーザアカウント管理部、2032:医療機関及び医師情報管理部、2033:利用料金貯蓄部、2034:寄付金送金部、2041:類似度算出部、2042:画像蓄積部、2043:変化解析部、2051:医師依頼決定部、2052:医療機関及び医師選択部、2053:依頼情報生成部

301:送受信部、302:ユーザ認証部、303:判定受諾部、304:判定結果入力部、305:情報要求部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8