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特許7503274血圧測定のためのセンサモジュール及びそれを用いた手首式携帯用血圧測定装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】血圧測定のためのセンサモジュール及びそれを用いた手首式携帯用血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
A61B5/022 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022573779
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 KR2021006955
(87)【国際公開番号】W WO2021246805
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0066843
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515273368
【氏名又は名称】チャームケア・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドン ファ
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-500033(JP,A)
【文献】特開2018-042606(JP,A)
【文献】特開2006-343141(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0360306(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧測定のためのセンサモジュールにおいて、
基材部と、
前記基材部に結合され、前記基材部の基準面上で互いに隣接して配置され第1圧力センサ部及び第2圧力センサ部と、
前記第1圧力センサ部の上部に結合され、前記第2圧力センサ部に対して第1距離の段差を有するように配置される硬質構造物層と、
前記第1圧力センサ部及び前記第2圧力センサ部の動作を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、前記第1圧力センサ部によって測定された第1圧力、前記第2圧力センサ部によって測定された第2圧力及び前記第1距離に基づいて、血圧測定対象血管での血圧を算出する、センサモジュール。
【請求項2】
記制御部は、前記第1圧力、前記第2圧力及び前記第1距離に基づいて、前記硬質構造物層の上部から血圧測定対象血管までの距離を示す第2距離を推定し、前記第1距離、前記第2距離、前記第1圧力及び前記第2圧力に基づいて血圧測定対象血管での血を算出する、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記第2距離に前記第1圧力を乗算した値、または、前記第1距離及び前記第2距離の和に前記第2圧力を乗算した値に基づいて、血圧測定対象血管での血圧を算出する、請求項に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記第1圧力センサ部は、前記基材部の中心部に位置し、前記第1圧力センサ部を取り囲む位置に前記第2圧力センサ部が配置されている、請求項に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記第1圧力センサ部及び前記第2圧力センサ部は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含む、請求項に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記第1圧力センサ部及び前記第2圧力センサ部は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含み、
前記制御部は、前記第1圧力センサ部に含まれセンサが感知した圧力のうち、最大値、最小値、最頻値または平均値を前記第1圧力として特定し、前記第2圧力センサ部に含まれセンサが感知した圧力のうち、最大値、最小値、最頻値または平均値を前記第2圧力として特定する、請求項に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
手首式携帯用血圧測定装置において、
血圧情報を表示するディスプレイユニット、電源部及び制御部を内蔵した本体部と、
前記本体部に結合された手首ストラップと、
前記本体部または、前記手首ストラップに結合された血圧測定のためのセンサモジュールと、を含み、
前記センサモジュールは、
基材部に結合され、前記基材部の基準面上で互いに隣接して配置され第1圧力センサ部及び第2圧力センサ部
前記第1圧力センサ部の上部に結合され、前記第2圧力センサ部に対して第1距離の段差を有するように配置される硬質構造物層と、を含み、
前記制御部は、前記第1圧力センサ部によって測定された第1圧力、前記第2圧力センサ部によって測定された第2圧力及び前記第1距離に基づいて、血圧測定対象血管での血圧を算出する、携帯用血圧測定装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1圧力、前記第2圧力及び前記第1距離に基づいて、前記硬質構造物層の上部から血圧測定対象血管までの距離を示す第2距離を推定し、前記第1距離、前記第2距離、前記第1圧力及び前記第2圧力に基づいて、血圧測定対象血管での血を算出する、請求項7に記載の携帯用血圧測定装置。
【請求項9】
前記第2距離に前記第1圧力を乗算した値、または、前記第1距離及び前記第2距離の和に前記第2圧力を乗算した値に基づいて、血圧測定対象血管での血圧を算出する、請求項に記載の携帯用血圧測定装置。
【請求項10】
前記第1圧力センサ部は、前記基材部の中心部に位置し、前記第1圧力センサ部を取り囲む位置に前記第2圧力センサ部が配置されている、請求項7に記載の携帯用血圧測定装置。
【請求項11】
前記第1圧力センサ部及び前記第2圧力センサ部は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含み、
前記制御部は、前記第1圧力センサ部に含まれセンサが感知した圧力のうち、最大値、最小値、最頻値または平均値を前記第1圧力として特定し、前記第2圧力センサ部に含まれセンサが感知した圧力のうち、最大値、最小値、最頻値または平均値を前記第2圧力として特定する、請求項7に記載の携帯用血圧測定装置。
【請求項12】
データ通信を遂行する通信モジュールをさらに含み、
前記制御部は、前記通信モジュールを通じて、算出した血圧情報を外部機器に伝送する、請求項7に記載の携帯用血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧測定装置に係り、具体的に、血圧測定のためのセンサモジュールとそれを用いた手首式血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ヘルスケアに対する関心が高くなり、高血圧及び低血圧患者の増加につれて、簡便に自分の血圧をチェックすることができる血圧測定用ウェアラブルデバイスに対する研究が活発に進められている。
【0003】
特に、血圧装置の携帯性を向上させるために、光センサ、圧力センサを活用して血圧を測定する血圧測定用ウェアラブルデバイスが開発されている。
【0004】
従来の圧力センサを用いる血圧測定用ウェアラブルデバイスは、手首に巻き付ける手首バンドに血圧をチェックする空気ポンプを含み、手首バンドの空気ポンプを用いて手首を圧迫して血圧を測定しており、これにより、血圧測定のための圧迫過程でユーザに不便さを感じさせる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2016-0063471号(発明の名称:手首バンド型血圧測定装置)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するためのものであって、硬質構造物層が位置した圧力センサと硬質構造物層で覆われていない圧力センサを用いて動脈の相対的な圧力を測定し、測定された圧力の差を用いて圧力センサから動脈までの距離を計算した後、これを用いてさらに正確な血圧を計算するセンサモジュールを提供することを目的とする。
【0007】
また、そのような血圧測定用センサモジュールを用いて手首式携帯用血圧装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0008】
但し、本実施例が解決しようとする技術的課題は、前述したような技術的課題に限定されず、さらに他の技術的課題が存在しうる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した技術的課題を解決するための技術的手段として、本開示の第1側面による血圧測定のためのセンサモジュールは、基材部;基材部に結合され、互いに隣接して配置された第1圧力センサ部及び第2圧力センサ部;及び第1圧力センサ部の上部に結合された硬質構造物層を含む。この際、硬質構造物層の上部と第2圧力センサ部の上部との間には、第1距離の段差が形成される。
【0010】
本開示の第1側面による血圧測定のためのセンサモジュールは、第1圧力センサ部と第2圧力センサ部の動作を制御し、第1圧力センサ部がセンシングした第1圧力、第2圧力センサ部がセンシングした第2圧力に基づいて血圧測定対象血管での血圧を測定する制御部を含む。この際、制御部は、第1圧力、第2圧力及び第1距離に基づいて、硬質構造物層の上部から血圧測定対象血管までの距離を示す第2距離を推定し、第2距離に第1圧力を乗算した値、または第1距離と第2距離との和に第2圧力を乗算した値に基づいて対象血管での血圧値を算出することができる。
【0011】
一方、本開示の第2側面による手首式携帯用血圧測定装置は、血圧情報を表示するディスプレイユニット、電源部及び制御部を内蔵した本体部、本体部に結合された手首ストラップ及び本体部または、手首ストラップに結合された血圧測定のためのセンサモジュールを含む。この際、センサモジュールは、基材部に結合され、互いに隣接して配置された第1圧力センサ部と第2圧力センサ部、第1圧力センサ部の上部に結合された硬質構造物層を含み、硬質構造物層の上部と第2圧力センサ部の上部との間には、第1距離の段差が形成されうる。
【0012】
また、本開示の第2側面による手首式携帯用血圧測定装置の制御部は、第1圧力、第2圧力及び第1距離に基づいて、硬質構造物層の上部から血圧測定対象血管までの距離を示す第2距離を推定し、第2距離に第1圧力を乗算した値、または第1距離と第2距離との和に第2圧力を乗算した値に基づいて対象血管での血圧値を算出し、算出された血圧をディスプレイを介して出力することができる。この際、第1圧力センサ部の上部に結合された硬質構造物層の上部と第2圧力センサ部の上部は、第1距離だけ段差があるものである。
【0013】
一方、本開示の第3側面による圧力測定のためのセンサモジュールは、N個の互いに分離された電極配線が基材層の上部面と下部面に互いに並んで積層され、単位面積ごとに内側折り曲げが繰り返された第1電極部、N個の互いに分離された電極配線が基材層の上部面と下部面に互いに並んで積層され、単位面積ごとに内側折り曲げが繰り返されるが、第1電極部の電極配線と第2電極部の電極配線とが互いに交差するように配置された2電極部、及び互いに対向しつつ交差するように配置された第1電極部の電極配線と第2電極部の電極配線との間に挿入された複数の誘電体層を含む。この際、センサモジュールの上部面に対してセンサモジュールの所定の面積を覆うように結合された硬質構造物層を含み、硬質構造物層の上部と硬質構造物層によって覆われていないセンサモジュールの上部との間には、第1距離の段差が形成されうる。
【0014】
本開示の第3側面による圧力測定のためのセンサモジュールの制御部は、第1圧力、第2圧力及び第1距離に基づいて、硬質構造物層の上部から血圧測定対象血管までの距離を示す第2距離を推定し、第2距離に第1圧力を乗算した値または第1距離と第2距離との和に第2圧力を乗算した値に基づいて、対象血管での血圧値を算出することができる。
【発明の効果】
【0015】
前述した本願の課題解決手段によれば、本開示の一実施例による圧力センサを用いた血圧測定装置は、血圧測定過程で空気ポンプを用いて対象地点に圧力を加える手続きなしに圧力センサのみで血圧を測定することができ、ユーザが何時でも楽に血圧を測定することができる。
【0016】
また、本開示の一実施例による圧力センサを用いた血圧測定装置は、血圧測定のために圧力を加える空気ポンプを使用しないので、製造工程を簡素化し、コストを低減し、血圧測定装置の小型化が可能であって、ユーザの携帯性及び利便性が増大しうる。
【0017】
また、本開示の一実施例による血圧測定のためのセンサモジュールは、手首式以外にも衣類のような多様な種類のウェアラブルデバイスの形態に対象地点に付着して血圧を測定するのに使用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施例による血圧測定のためのセンサモジュールの構成を示すブロック図である。
図2a】本開示の一実施例による血圧測定のためのセンサモジュールが血圧を測定する原理を説明するための図面である。
図2b】本開示の一実施例による血圧測定のためのセンサモジュールが血圧を測定する原理を説明するための図面である。
図2c】本開示の一実施例による血圧測定のためのセンサモジュールが血圧を測定する原理を説明するための図面である。
図3a】本開示の一実施例によるセンサモジュールの構成を説明するための斜視図である。
図3b】本開示の一実施例によるセンサモジュールの構成を説明するための斜視図である。
図3c】本開示の一実施例によるセンサモジュールの構成を説明するための斜視図である。
図4】本開示の一実施例による手首式携帯用血圧装置の構成を示す断面図である。
図5】本開示の一実施例による手首式携帯用血圧装置の本体部構成を示すブロック図である。
図6】本開示の一実施例による圧力センサを用いた血圧測定方法に係わるフローチャートである。
図7】経時的な動脈血圧の変化を示すグラフを示す図面である。
図8】本開示の一実施例による圧力測定のためのセンサモジュールの積層構造及び詳細構成を説明するための図面である。
図9】本開示の一実施例による圧力測定のためのセンサモジュールの積層構造及び詳細構成を説明するための図面である。
図10】本開示の一実施例による圧力測定のためのセンサモジュールの積層構造及び詳細構成を説明するための図面である。
図11図10のDの断面図である。
図12】本開示の一実施例に圧力測定のためのセンサモジュールにおいてキャパシタが形成されることを説明するための図面である。
図13】本開示の一実施例に圧力測定のためのセンサモジュールにおいてキャパシタが形成されることを説明するための図面である。
図14】本開示の一実施例による圧力測定のためのセンサモジュールの構成を説明するための斜視図である。
図15】本開示の一実施例による圧力測定のためのセンサモジュールの構成を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本願が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施可能なように本願の実施例を詳細に説明する。しかし、本願は、様々な異なる形態に具現され、ここで説明する実施例に限定されない。そして、図面で本願を明確に説明するために、説明と無関係の部分は、省略し、明細書全体にわたって類似した部分については、類似した図面符号を付した。
【0020】
本願明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとするとき、これは、「直接連結」されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
【0021】
本願明細書全体において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとするとき、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけではなく、二部材間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0022】
以下、添付図面に基づいて本開示の一実施例を詳細に説明する。
【0023】
図1は、本開示の一実施例による血圧測定のためのセンサモジュールの構成を示すブロック図であり、図2は、本開示の一実施例による血圧測定のためのセンサモジュールが血圧を測定する原理を説明するための図面である。
【0024】
図示されたように、血圧測定のためのセンサモジュール100は、第1圧力センサ部110、第2圧力センサ部120、硬質構造物層160、制御部130、通信モジュール140及び基材部150を含む。
【0025】
この際、第1圧力センサ部110及び第2圧力センサ部120は、ストレインケージ基盤の半導体薄膜センサ、圧力による容量変化を感知する容量型薄膜センサ、ピエゾ抵抗効果を用いた圧抵抗センサまたはその他の多様な圧力センサでもある。
【0026】
ここで、ストレインケージ基盤薄膜センサは、4個の抵抗器がホイートストンブリッジ形態にダイヤフラムに配列されて抵抗変化のみ統制すれば良いという長所がある。容量型薄膜センサは、耐熱性、耐腐食性が強く、圧力測定時、高精度の測定が可能であるという長所がある。圧抵抗センサは、圧力測定時、高感度、線形性、再現性に優れ、量産が容易であるという長所がある。
【0027】
図2を参照すれば、硬質構造物層160は、第1圧力センサ部110の上部に結合され、硬質構造物層160の上部と第2圧力センサ部120の上部との間には、第1距離の段差が形成されうる。
【0028】
制御部130は、第1圧力センサ部110及び第2圧力センサ部120で測定された圧力、及び硬質構造物層160の上部と第2圧力センサ部120の上部との距離差に基づいて、第1圧力センサ部110と動脈間の距離及び動脈の血圧を計算する。上述した上部とは、図2a及び図2bの6時方向である。
【0029】
通信モジュール140は、本体部200の通信モジュール240及び各種外部装置(サーバまたは端末)とそれぞれ設定された通信フォーマットを通じてデータを送受信する。
【0030】
基材部150には、第1圧力センサ部110、第2圧力センサ部120が互いに隣接して配置される。一方、制御部130と通信モジュール140は、基材部150または、基材部150の裏面に結合されるか、基材部150が結合される別途のハウジング内に含まれるように配置されうる。
【0031】
センサモジュール100は、スマートウォッチ、手首式携帯用血圧測定機器などと結合して使用されうる。また、ユーザは、テープなどの固定手段を用いてセンサモジュールを手首に付着するか、衣類などに挿入して身体に密着させるだけでも血圧を測定することができる。
【0032】
図2a及び図2bを参照すれば、実際血圧を測定する動脈の血圧は、P、第1圧力センサ部110で測定した圧力は、P1、第2圧力センサ部120で測定した圧力は、P2、硬質構造物層160の上部から第2圧力センサ部120の上部までの距離は、A、硬質構造物層160の上部から動脈までの距離は、Bに該当する。この際、距離Aは、既定の定数値であり、P1及びP2は、センサモジュール100で測定される圧力であり、距離Bと血圧Pは、計算によって算出される値である。距離Bの場合、硬質構造物層160の上部から手首内部の血管までの距離なので、人によって異なって測定される値である。
【0033】
センサモジュール100で測定される圧力は、血管と第2圧力センサ部120との距離及び血管と硬質構造物層160との距離に反比例する。したがって、硬質構造物層160から動脈までの距離Bは、下記数式1を用いて求める。
【0034】
【数1】
【0035】
硬質構造物層160の上部から動脈までの距離Bを求めれば、血圧Pも下記数式2を用いて求める。
【0036】
【数2】
【0037】
一方、図2cは、本開示の一実施例によるセンサモジュール100で測定される圧力P1及びP2を示すグラフである。
【0038】
図3aないし図3cは、本発明の一実施例によるセンサモジュールの構成を説明するための斜視図である。
【0039】
第1圧力センサ部110と第2圧力センサ部120は、互いに隣接して配置され、第1圧力センサ部110の上部に硬質構造物層160が位置する。図3aに図示されたように、第1圧力センサ部110及び第2圧力センサ部120は、基材部150の基準面に位置し、第1圧力センサ部110の上部には、硬質構造物層160が位置するので、センサモジュール100が手首に付着されて血圧を測定するとき、第1圧力センサ部110が血管とさらに近い位置の圧力を測定することができる。
【0040】
また、図3bに図示されたように、第1圧力センサ部110は、基材部150の中心に位置し、第2圧力センサ部120は、それを取り囲む形態に基材部150の基準面に位置する。また、第1圧力センサ部110の上部には、硬質構造物層160が位置する。この際、図示されたように、第2圧力センサ部120は、第1圧力センサ部110を取り囲む円形帯状に形成されうる。但し、第2圧力センサ部120は、円形に限定されず、他の形状にも形成されうる。
【0041】
また、図3cに図示されたように、第1圧力センサ部110及び第2圧力センサ部120は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含み、第1圧力センサ部110及び第2圧力センサ部120は、基材部150の基準面に位置する。複数の第1圧力センサ部110の上部には、硬質構造物層160がそれぞれ位置する。この際、図3cのアレイ配置形態は、図3bの実施例にも適用されうる。すなわち、図3bの第1圧力センサ部110と第2圧力センサ部120は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含んでもよい。
【0042】
第1圧力センサ部110及び第2圧力センサ部120は、それぞれ複数のセンサが圧力を測定するので、血圧計算時に各圧力センサ部110、120に含まれたセンサが感知した圧力のうち、最大値、最小値、最頻値(最大頻度数値)または平均値を第1圧力と第2圧力にそれぞれ特定して使用する。
【0043】
このような圧力センサ部110、120の配置は、前記実施例に限定されず、多様な形態に配置されうる。
【0044】
図4は、本開示の一実施例による手首式携帯用血圧装置の構成を示す断面図である。
【0045】
手首式携帯用血圧測定装置10は、センサモジュール100、本体部200、手首ストラップ300を含む。本体部200は、手首ストラップ300の中央に連結されてユーザの手首に着用可能に構成される。ディスプレイユニット230は、手首ストラップ300の外側面に位置して表示された情報を、ユーザをして、容易に読取り可能ならしめる。
【0046】
このように圧力センサを用いた携帯用血圧測定装置10は、ユーザの手首などに着用されるウェアラブルデバイス形態にも提供され、手首式の腕時計、スマートバンドまたは腕輪などの多様な形態にも構成される。
【0047】
電源部210は、本体部200または手首ストラップ300に内蔵した形態に構成されるか、交換可能な別途のバッテリによっても構成される。
【0048】
図4に図示されたA部分は、手首内の動脈で血圧を測定するために考慮せねばならない位置である。センサモジュール100は、手首ストラップ300内でユーザが携帯用血圧装置を着用した場合、動脈に近く対応する位置に形成される。
【0049】
センサモジュール100は、手首ストラップ300または本体部200に結合されて使用されうる。図面では、手首ストラップ300の一端にセンサモジュール100が結合されていることを図示している。他の実施例では、本体部200の下部面にセンサモジュール100を結合する形態にも具現される。
【0050】
センサモジュール100は、手首ストラップ300内においてユーザが携帯用血圧装置を着用した場合、動脈に近く対応する位置に形成されるために、本体部200と分離されて使用されうる。第1圧力センサ部110と第2圧力センサ部120は、基材部150の基準面に位置し、第1圧力センサ部110の上部には、硬質構造物層160が位置する。したがって、硬質構造物層160の上部と第2圧力センサ部120の上部から動脈までの距離差が発生し、センサモジュール100は、当該距離差を用いて血圧を測定することができる。
【0051】
図5は、本開示の一実施例による携帯用血圧装置の本体部200を示すブロック図である。
【0052】
本体部200は、電源部210、制御部220、ディスプレイユニット230、通信モジュール240を含む。
【0053】
電源部210は、センサモジュール100及び本体部200に電源を供給する。例えば、電源部210は、血圧測定時期にセンサモジュール100に電源を供給し、その他の時期には、電源を遮断する。
【0054】
制御部220は、血圧測定が必要な時期に、通信モジュール240を通じてセンサモジュール100が血圧を測定するように制御し、このように測定された情報をディスプレイユニット230に表示されるようにする。例えば、時間単位で血圧を測定し、測定した情報をディスプレイユニット230に表示し、既設定の範囲を外れる血圧が測定される場合、アラームを発するか、通信モジュール240を用いて既定のユーザに情報を伝送することができる。アラーム発生時、ユーザは、高血圧または低血圧の状態を直ちにチェックすることができる。
【0055】
ディスプレイユニット230は、液晶ディスプレイ、反射型ディスプレイ、OLEDディスプレイなど多様な形態の表示モニタによって具現されうる。ディスプレイユニット230は、制御部220が計算した血圧やその他の情報を表示することができる。
【0056】
通信モジュール240は、センサモジュール100の通信モジュール140及び各種外部装置(サーバまたは端末)とそれぞれ設定された通信フォーマットで通信してデータを送受信することができる。
【0057】
図6は、本開示の一実施例による圧力センサを用いた血圧測定方法を説明するフローチャートである。
【0058】
まず、第1圧力センサ部110と第2圧力センサ部120は、各位置で圧力を測定する(S110)。測定される圧力は、動脈と距離に反比例して異なる相対的な血圧である。
【0059】
制御部130は、第1圧力センサ部110と第2圧力センサ部120で測定された第1圧力P1及び第2圧力P2を伝送され、第1圧力P1及び第2圧力P2を用いて硬質構造物層160から動脈までの距離Bを計算する(S120)。
【0060】
この際、距離Bは、前述した数式1を使用して算出する。
【0061】
制御部130は、第1圧力P1及び第2圧力P2と硬質構造物層160から動脈までの距離Bを用いて実際血圧Pを計算する(S130)。
【0062】
この際、血圧は、前記数式2を使用して算出する。
【0063】
拡張期血圧と収縮期血圧をそれぞれ測定するために、血圧を複数回測定する段階をさらに遂行する(S140)。例えば、10ms間隔で10秒間測定した後、上位10個測定値の平均を収縮期血圧と判断し、下位10個測定値の平均を拡張期血圧と判断する。さらに正確な血圧を測定するために、測定間隔を1msにしうる。
【0064】
制御部220は、拡張期血圧及び収縮期血圧を含む情報をディスプレイユニット230に表示する(S150)。この際、血圧が既設定の正常範囲を外れる場合、高血圧または低血圧などを知らせるための警報を発するか、既設定の携帯電話など他の装置にアラームメッセージを伝送することができる。
【0065】
図7は、経時的な動脈血圧の変化を示すグラフを示す図面であって、拡張期血圧と収縮期血圧測定のための測定間隔を決定するとき、参考にすることができる。
【0066】
図8ないし図10は、本開示の一実施例による圧力測定のためのセンサモジュールの積層構造及び詳細構成を説明するための図面である。
【0067】
図示されたように、圧力測定のためのセンサモジュール400は、第1電極部410、第2電極部420、及び誘電体層430を含む。また、圧力測定のためのセンサモジュール400は、上述した血圧測定のためのセンサモジュール100の圧力センサ部110、120として使用される。
【0068】
図9を参照すれば、第1電極部410は、N個の互いに分離された電極配線411が基材層の上部面と下部面に互いに並んで積層されうる。例示的に、第1電極部410は、基材層の上部面に所定距離ほど離隔されて3個に分離された上部面電極配線412が配列され、上部面に配列された電極配線412から下部方向に所定距離ほど離隔されて3個に分離された下部面電極配線413が配列されうるが、電極配線411の数は、その限りではない。
【0069】
また、第2電極部420には、第1電極部410と同じ形態に電極配線421が形成されうる。すなわち、第2電極部420は、N個の互いに分離された電極配線421が基材層の上部面と下部面に互いに並んで積層されうる。例示的に、第2電極部420には、基材層の上部面に所定距離ほど離隔されて3個に分離された上部面電極配線422が配列され、上部面に配列された電極配線422から下部方向に所定距離ほど離隔されて3個に分離された下部面電極配線423が配列されうるが、電極配線の数は、その限りではない。
【0070】
図10を参照すれば、第1電極部410及び第2電極部420は、単位面積ごとに内側折り曲げが繰り返され、第1電極部410の電極配線411と第2電極部420の電極配線421とが互いに交差するように配置され、誘電体層430は、互いに対向しつつ交差するように配置された第1電極部410の電極配線411と第2電極部420の電極配線421との間に挿入されうる。
【0071】
図11は、図10のDの拡大図である。図10及び図11を参照すれば、第1電極部410は、内側折り曲げによって上部面に配列された電極配線412が互いに対向し、これにより、互いに対向する第1上部面電極配線412a及び第2上部面電極配線412bが特定され、第1上部面電極配線412aと第2上部面電極配線412bとの間に第2電極部420が配置され、これにより、第1上部面電極配線412aと対向する第2電極部420の第1下部面電極配線423a、及び第2上部面電極配線412bと対向する第2電極部の第1上部面電極配線422aが特定されうる。この際、センサモジュール400は、第1電極部410の第1上部面電極配線412aと第2電極部420の第1下部面電極配線423aとの間に配置される第1誘電体層431、及び第1電極部410の第2上部面電極配線412bと第2電極部420の第1上部面電極配線422aとの間に配置される第2誘電体層432を含むことができる。
【0072】
図12及び図13は、本開示の一実施例による圧力測定のためのセンサモジュール400でキャパシタCが形成されることを説明するための図面である。
【0073】
センサモジュール400には、単位面積ごとにN*N個のキャパシタCが形成され、キャパシタCの変化値を測定し、圧力を検出することができる。図12を参照すれば、キャパシタCは、第1電極部410の電極配線411、第2電極部420の電極配線421、及び第1電極部410の電極配線411と第2電極部420の電極配線421との間に位置した誘電体層430を通じて形成されうる。例示的に、図13を参照すれば、第1電極部410の電極配線411及び第2電極部420の電極配線421がそれぞれ3個に分離されて配列されれば、第1電極部410の電極配線411と第2電極部420の電極配線421との交点にそれぞれキャパシタCが形成され、9個のキャパシタCが形成されうる。
【0074】
また、センサモジュール400は、第1電極部410及び第2電極部420がM回折曲される場合、2M+1個の単位面積を有し、この際、センサモジュール400は、(N*N)*(2M+1)個のキャパシタCを有する。例示的に、図10に図示されたように、第1電極部410及び第2電極部420が3回折曲され、それぞれ上部面及び下部面に3個の電極配線411、421が分離されて配列される場合、センサモジュール400は、7個の単位面積を有し、63個のキャパシタCが形成されうる。
【0075】
図14及び図15は、本開示の一実施例による圧力測定のためのセンサモジュールの構成を説明するための斜視図である。
【0076】
図示されたように、センサモジュール400の上部面に対してセンサモジュール400の所定の面積を覆うように結合された硬質構造物層440を含み、これにより、硬質構造物層400の上部と硬質構造物層440によって覆われていないセンサモジュール400の上部との間には、第1距離Aの段差が形成されうる。
【0077】
図14に図示されたように、硬質構造物層440は、第1電極部410の上部の一側に所定の面積を有するように位置し、硬質構造物層440の下部には、少なくとも1つ以上のキャパシタCが位置する。また、図15に図示されたように、硬質構造物層440は、第1電極部410の上部中央に所定の面積を有するように位置し、硬質構造物層440の下部には、少なくとも1つ以上のキャパシタCが位置しうる。但し、図14及び図15には、硬質構造物層440が直方体状に形成されているが、それに限定されず、他の形状にも形成される。
【0078】
制御部は、硬質構造物層440で覆われた領域に位置した第1圧力センサ部401と、硬質構造物層440で覆われていない領域に位置した第2圧力センサ部402の動作を制御し、第1圧力センサ部401がセンシングした第1圧力、第2圧力センサ部402がセンシングした第2圧力に基づいて、血圧測定対象血管での血圧を測定することができる。この際、制御部は、第1圧力、第2圧力及び第1距離Aに基づいて、硬質構造物層440の上部から血圧測定対象血管までの距離を示す第2距離を推定し、第2距離に第1圧力を乗算した値、または第1距離Aと第2距離との和に、第2圧力を乗算した値に基づいて、対象血管での血圧値を算出することができる。
【0079】
本開示の一実施例は、コンピュータによって実行されるプログラムモジュールのようなコンピュータによって実行可能な命令語を含む記録媒体の形態にも具現されうる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータによってアクセスされうる任意の可用媒体でもあり、揮発性及び不揮発性媒体、分離型及び非分離型媒体をいずれも含む。また、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記録媒体を含む。コンピュータ記録媒体は、コンピュータ可読命令語、データ構造、プログラムモジュール、またはその他データのような情報の保存のための任意の方法または技術によって具現された揮発性及び不揮発性、分離型及び非分離型媒体をいずれも含む。
【0080】
本開示の方法及びシステムは、特定の実施例と関連して説明されたが、それらの構成要素または動作の一部または全部は、汎用ハードウェアアーキテクチャーを有するコンピュータシステムを使用して具現されうる。
【0081】
前述した本願の説明は、例示のためのものであり、本願が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、本願の技術的思想や必須特徴を変更せずとも、他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解するであろう。したがって、前述した実施例は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解せねばならない。例えば、単一型として説明されている各構成要素は、分散されて実施されもし、同様に、分散されていると説明されている構成要素も結合された形態にも実施される。
【0082】
本願の範囲は、前記詳細な説明よりは、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そして、その均等概念から導出されるあらゆる変更または変形された形態が、本願の範囲に含まれると解釈されねばならない。
【符号の説明】
【0083】
10 圧力センサを用いた携帯用血圧測定装置
100 血圧測定のためのセンサモジュール
110 第1圧力センサ部
120 第2圧力センサ部
130 制御部
140 通信モジュール
150 基材部
160 硬質構造物層
200 本体部
210 電源部
220 制御部
230 ディスプレイユニット
240 通信モジュール
300 手首ストラップ
400 圧力測定のためのセンサモジュール
401 第1圧力センサ部
402 第2圧力センサ部
410 第1電極部
411 第1電極部の電極配線
412 第1電極部の上部面電極配線
412a 第1電極部の第1上部面電極配線
412b 第1電極部の第2上部面電極配線
413 第1電極部の下部面電極配線
420 第2電極部
421 電極配線
422 第2電極部の上部面電極配線
422a 第2電極部の第1上部面電極配線
423 第2電極部の下部面電極配線
423a 第2電極部の第1下部面電極配線
430 誘電体層
440 硬質構造物層
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15