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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/24 20060101AFI20240613BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
G01N29/24
G01H17/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020005834
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021113715
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】512098186
【氏名又は名称】株式会社ペガソス・エレクトラ
(74)【代理人】
【識別番号】100110560
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 恵三
(72)【発明者】
【氏名】内田 成明
(72)【発明者】
【氏名】村松 正康
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 康夫
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】特許第6644342(JP,B2)
【文献】特開2019-157361(JP,A)
【文献】特開2002-228642(JP,A)
【文献】特開2019-157360(JP,A)
【文献】特開2019-157359(JP,A)
【文献】特開2019-086487(JP,A)
【文献】特開2004-069301(JP,A)
【文献】特開平04-286933(JP,A)
【文献】特開平04-098141(JP,A)
【文献】特開昭62-002153(JP,A)
【文献】日本原子力研究開発機構 公益財団法人レーザー技術総合研究所 理化学研究所 科学技術振興機構(JST),レーザーでトンネルコンクリートの健全性を高速で検査する,共同発表(インターネット),2016年01月11日,https://www.jst.go.jp/pr/announce/20160111/index.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01H 1/00 - G01H 17/00
G01M 7/00 - G01M 7/08
A61B 8/00 - A61B 8/15
E01D 1/00 - E01D 24/00
E04B 1/00 - E04B 9/36
E02D 1/00 - E02D 37/00
G06N 20/00 - G06N 20/20
G06F 16/00 - G06F 16/958
G06T 7/00 - G06T 7/90
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物に対して非接触で検査を行う検査システムであって、
第1レーザーを用いて前記検査対象物に発生した第1振動を計測し、第1振動データを生成する第1計測手段と、
前記第1振動データに基づく第1データを含む第1検査対象情報を取得する第1取得手段と、
予め取得された複数の過去の第1検査対象情報と、複数の前記過去の第1検査対象情報にそれぞれ紐づけられた複数の第1参照情報と、の間における第1連関性が記憶された第1参照データベースと、
前記第1参照データベースを参照し、前記第1検査対象情報に対する第1検査データを生成する第1生成手段と、
更に、前記第1生成手段のあと、第2レーザーを用いて前記検査対象物に発生した第2振動を計測し、第2振動データを生成する第2計測手段と、
前記第2振動データに基づく第2データを含む第2検査対象情報を取得する第2取得手段と、
予め取得された複数の過去の第2検査対象情報と、複数の前記過去の第2検査対象情報にそれぞれ紐づけられた複数の第2参照情報と、の間における第2連関度が記憶された第2参照データベースと、
前記第2参照データベースを参照し、前記第2検査対象情報に対する第2検査データを生成する第2生成手段と、
前記第1検査データと、前記第2検査データとを比較し、比較結果を生成する比較手段と、
を備えることを特徴とする検査システム。
【請求項2】
検査対象物に対して非接触で検査を行う検査システムであって、
第1レーザーを用いて前記検査対象物に発生した第1振動を計測し、第1振動データを生成する第1計測手段と、
前記第1振動データに基づく第1データを含む第1検査対象情報を取得する第1取得手段と、
予め取得された複数の過去の第1検査対象情報と、複数の前記過去の第1検査対象情報にそれぞれ紐づけられた複数の第1参照情報と、の間における第1連関性が記憶された第1参照データベースと、
前記第1参照データベースを参照し、前記第1検査対象情報に対する第1検査データを生成する第1生成手段と、
更に、記第1生成手段のあと、第2レーザーを用いて前記検査対象物に発生した第2振動を計測し、第2振動データを生成する第2計測手段と、
前記第2振動データに基づく第2データを含む第2検査対象情報を取得する第2取得手段と、
前記第1検査対象情報と、前記第2検査対象情報との対比に基づく対比情報を生成する対比手段と、
予め取得された複数の過去の対比情報と、複数の前記過去の対比情報にそれぞれ紐づけられた複数の第3参照情報と、の間における第3連関度が記憶された第3参照データベースと、
前記第3参照データベースを参照し、前記対比情報に対する第3検査データを生成する第3生成手段と、
を備えることを特徴とする検査システム。
【請求項3】
前記第1取得手段は、前記第1振動データに含まれる第1信号パターンをフーリエ変換した結果から、前記第1データを取得すること
を特徴とする請求項1又は2記載の検査システム。
【請求項4】
前記第1検査対象情報、及び前記過去の第1検査対象情報は、前記第1振動データを生成するために、前記検査対象物に第1振動を与えた方法に関する第1打音情報を含むこと
を特徴とする請求項1~3の何れか1記載の検査システム。
【請求項5】
前記第1参照情報は、前記検査対象物の内部に発生する欠陥の特徴に関する特徴情報を含むこと
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の検査システム。
【請求項6】
前記第1生成手段のあと、第2レーザーを用いて前記検査対象物に発生した第2振動を計測し、第2振動データを生成する第2計測手段と、
前記第2振動データに基づく第2データを含む第2検査対象情報を取得する第2取得手段と、
前記第1参照データベースを参照し、前記第2検査対象情報に対する第2検査データを生成する第2生成手段と、
前記第1検査データと、前記第2検査データとを比較し、比較結果を生成する比較手段と、
を更に備えること
を特徴とする請求項1~5の何れか1項記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造物や建造物等の検査対象物を非接触で検査を行う方法として、例えば特許文献1~4のような検査装置等が提案されている。
【0003】
特許文献1の開示技術では、粉粒物が収容された小袋を内容物として包装材で包んだ被検査物を所定間隔おきに搬送しながらX線を照射し、被検査物を透過するX線の透過画像を用いて被検査物を検査するにあたって、小袋を抽出するための所定の閾値で透過画像を2値化した2値化画像から所定の塊の大きさ以下の小さい塊を除去した小袋画像を生成し、予め設定された小袋の大きさのマスク領域を小袋画像上に設定して小袋からの粉粒物の漏れ不良を判定する。
【0004】
特許文献2の開示技術では、加工跡と深い表面傷と浅い表面傷とが形成された物の表面を撮像して、加工跡と深い表面傷と浅い表面傷とを含む第1の画像を得る。次に、加工跡と深い表面傷と浅い表面傷の濃度階調の違いを利用して、第1の画像から加工跡と浅い表面傷とを消去した第2の画像を得る。次に、深い表面傷の周囲に位置する浅い表面傷を第2の画像に基づき特定し、特定されたこの浅い表面傷を第2の画像に加えた第3の画像を得る。
【0005】
特許文献3では、構造体の表面を照射加熱する加熱用レーザー装置と、前記照射加熱に伴って、構造体に発生した弾性波を前記照射加熱の位置から所定距離だけ離れた検出位置で検出する第一検出用レーザー装置と、前記照射加熱の位置から前記所定距離だけ離れた位置まで、ひび割れの無い部分を通って弾性波が伝播する際の基準信号の信号強度を測定する第二検出用レーザー装置と、両検出用レーザー装置での検出結果から、ひび割れ深さを導出する演算装置とで構成されるひび割れ深さ測定装置が開示されている。この演算装置において、両検出用レーザー装置で検出された測定信号及び基準信号の時間差又は信号減衰からひび割れ深さを導出する。
【0006】
特許文献4では、鉄筋コンクリート部材に対する過去の検査データと、当該検査データに対する鉄筋コンクリート部材の劣化状況の判別結果との3段階以上の第1連関度を予め取得する第1連関度取得ステップと、新たに劣化状況を判別する鉄筋コンクリート部材に対して検査を行うことにより得られた検査データを入力する第1入力ステップと、上記第1連関度取得ステップにおいて取得した第1連関度を参照し、上記第1入力ステップにおいて入力した検査データに基づいて、鉄筋コンクリート部材の劣化状況を判別する第1判別ステップとをコンピューターに実行させる判別プログラム等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-086367号公報
【文献】特開2019-124524号公報
【文献】特開2012-230053号公報
【文献】特許第6371027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、特許文献1の開示技術のようにX線を用いる場合、検査対象物の種類によっては劣化を促進させる場合や、深さ方向に依存する欠陥の状態を検出し難い場合がある。この点、特許文献2の開示技術では、深さ方向に依存する欠陥の状態を検出することができる。しかしながら、特許文献2のように画像を用いた検査方法の場合、検査対象物表面に露出する状態に基づく検査に留まり、検査対象物内部のみに発生する欠陥等に対しては、検査することが難しい。
【0009】
また、特許文献3のようなレーザーを用いて計測される振動データは、検査対象物の内部に発生したひび割れの深さ、厚さ方向に対する角度、幅、枝分かれ数等のような、ひび割れの形状に起因する複雑な信号パターンを含み得る。この点、特許文献3では、振動データが発生するタイミングや信号強度に基づく評価が開示されている。このため、特許文献3の開示技術では、振動データに含まれる複雑な信号パターンを評価対象としていない。これにより、検査対象物の状態に対する高精度な評価結果を得ることが難しい。また、特許文献3の開示技術では、測定位置が検査結果に大きく依存する。このため、計測位置を厳密に測定する必要があり、計測者毎の測定バラつきに伴う精度低下が懸念として挙げられる。
【0010】
また、特許文献4では、鉄筋コンクリートの状態を評価した結果に基づき、鉄筋コンクリートの劣化状況を判別する技術が開示されているに過ぎない。このため、特許文献4の開示技術では、振動データに基づき、検査対象物の状態を検査することができず、上記課題の解決に結びつけることができない。従って、特許文献1~4のような開示技術を用いた場合、検査対象物における欠陥の未検出が発生する懸念があり、検査精度の向上が望まれている。
【0011】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、高精度な検査結果を得ることができる検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る検査システムは、検査対象物に対して非接触で検査を行う検査システムであって、第1レーザーを用いて前記検査対象物に発生した第1振動を計測し、第1振動データを生成する第1計測手段と、前記第1振動データに基づく第1データを含む第1検査対象情報を取得する第1取得手段と、予め取得された複数の過去の第1検査対象情報と、複数の前記過去の第1検査対象情報にそれぞれ紐づけられた複数の第1参照情報と、の間における第1連関性が記憶された第1参照データベースと、前記第1参照データベースを参照し、前記第1検査対象情報に対する第1検査データを生成する第1生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
第2発明に係る検査システムは、第1発明において、前記第1取得手段は、前記第1振動データに含まれる第1信号パターンをフーリエ変換した結果から、前記第1データを取得することを特徴とする。
【0014】
第3発明に係る検査システムは、第1発明又は第2発明において、前記第1検査対象情報、及び前記過去の第1検査対象情報は、前記第1振動データを生成するために、前記検査対象物に第1振動を与えた方法に関する第1打音情報を含むことを特徴とする。
【0015】
第4発明に係る検査システムは、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記第1参照情報は、前記検査対象物の内部に発生する欠陥の特徴に関する特徴情報を含むことを特徴とする。
【0016】
第5発明に係る検査システムは、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記第1生成手段のあと、第2レーザーを用いて前記検査対象物に発生した第2振動を計測し、第2振動データを生成する第2計測手段と、前記第2振動データに基づく第2データを含む第2検査対象情報を取得する第2取得手段と、前記第1参照データベースを参照し、前記第2検査対象情報に対する第2検査データを生成する第2生成手段と、前記第1検査データと、前記第2検査データとを比較し、比較結果を生成する比較手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0017】
第6発明に係る検査システムは、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記第1生成手段のあと、第2レーザーを用いて前記検査対象物に発生した第2振動を計測し、第2振動データを生成する第2計測手段と、前記第2振動データに基づく第2データを含む第2検査対象情報を取得する第2取得手段と、予め取得された複数の過去の第2検査対象情報と、複数の前記過去の第2検査対象情報にそれぞれ紐づけられた複数の第2参照情報と、の間における第2連関度が記憶された第2参照データベースと、前記第2参照データベースを参照し、前記第2検査対象情報に対する第2検査データを生成する第2生成手段と、前記第1検査データと、前記第2検査データとを比較し、比較結果を生成する比較手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0018】
第7発明に係る検査システムは、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記第1生成手段のあと、第2レーザーを用いて前記検査対象物に発生した第2振動を計測し、第2振動データを生成する第2計測手段と、前記第2振動データに基づく第2データを含む第2検査対象情報を取得する第2取得手段と、前記第1検査対象情報と、前記第2検査対象情報との対比に基づく対比情報を生成する対比手段と、予め取得された複数の過去の対比情報と、複数の前記過去の対比情報にそれぞれ紐づけられた複数の第3参照情報と、の間における第3連関度が記憶された第3参照データベースと、前記第3参照データベースを参照し、前記対比情報に対する第3検査データを生成する第3生成手段と、を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1発明~第7発明によれば、第1生成手段は、第1参照データベースを参照し、第1検査対象情報に対する第1検査データを生成する。このため、過去の結果を踏まえた第1検査データを生成でき、検査対象物の欠陥に起因する複雑な信号パターンが第1振動データに含まれる場合においても、最適な第1検査データを生成することができる。これにより、高精度な検査結果を得ることが可能となる。
【0020】
また、第1発明~第7発明によれば、第1計測手段は、第1レーザーを用いて検査対象物に発生した第1振動を計測する。第1取得手段は、第1振動データに基づく第1データを含む第1検査対象情報を取得する。このため、例えばX線を用いた検査装置に比べて、検査対象物の劣化を促進させる可能性を抑制することができる。また、検査対象物に発生した第1振動に基づく検査を行えるため、検査対象物の深さ方向に依存する欠陥の状態を検査することができる。これらにより、検査可能な検査対象物の種類を拡大させることが可能となる。
【0021】
特に、第2発明によれば、第1取得手段は、第1信号パターンをフーリエ変換した結果から、第1データを取得する。このため、検査対象物における状態の差異に伴う僅かな第1振動データの違いに対しても、第1検査結果を出力することができる。これにより、検査対象物の複雑な状態を示す第1検査対象情報に対しても、最適な第1検査データを容易に生成することが可能となる。
【0022】
特に、第3発明によれば、第1検査対象情報及び過去の第1検査対象情報は、第1振動データを生成するために、検査対象物に第1振動を与えた方法に関する第1打音情報を含む。このため、検査対象物に第1振動を与える様々な打音方法毎に、最適な第1検査データを生成することができる。これにより、得られる検査結果の精度をさらに向上させることが可能となる。
【0023】
特に、第4発明によれば、参照情報は、検査対象物の内部に発生する欠陥の特徴に関する特徴情報を含む。このため、検査対象物の内部状態を定量的に検査することができる。これにより、外観では判断できない内部状態の検査結果を高精度に得ることが可能となる。
【0024】
特に、第5発明、第6発明によれば、比較手段は、第1検査データと、第2検査データとを比較し、比較結果を生成する。このため、検査対象物の経時変化等を容易に検査することができる。これにより、検査対象物の品質管理水準を向上させることが可能となる。
【0025】
特に、第7発明によれば、対比手段は、第1検査対象情報と、第2検査対象情報との対比に基づく対比情報を生成する。第3生成手段は、第3参照データベースを参照し、対比情報に対する第3検査データを生成する。このため、検査対象物の経時変化等の詳細を容易に検査することができる。これにより、検査対象物の品質管理水準を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、第1実施形態における検査システムの概要の一例を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態における検査システムの動作の一例を示す模式図である。
図3図3(a)は、振動データの一例を示すグラフであり、図3(b)は、信号パターンをフーリエ変換したデータの一例を示すグラフである。
図4図4は、参照データベースの一例を示す模式図である。
図5図5は、参照データベースの他の例を示す模式図である。
図6図6は、参照データベースのさらに他の例を示す模式図である。
図7図7(a)は、第1実施形態における検査装置における構成の一例を示す模式図であり、図7(b)は、第1実施形態における検査装置における機能の一例を示す模式図である。
図8図8(a)は、検査データと、基準検査データとを比較した結果の一例を示す模式図であり、図8(b)は、画像情報の一例を示す模式図である。
図9図9は、第1実施形態における検査システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図10図10(a)及び図10(b)は、第2実施形態における検査システムの動作の一例を示す模式図である。
図11図11(a)は、第2実施形態における検査システムの動作の一例を示すフローチャートであり、図11(b)は、第2実施形態における検査システムの動作の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を適用した実施形態における検査システムの一例について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1、2を参照して、第1実施形態における検査システム100の一例について説明する。図1は、本実施形態における検査システム100の概要の一例を示す模式図である。図2は、本実施形態における検査システム100の動作の一例を示す模式図である。
【0029】
(検査システム100)
検査システム100は、検査対象物9に対して非接触で検査を行うために用いられる。検査システム100を用いることで、例えば検査対象物9におけるひび割れ91の深さや形状等の内部状態を検査することができる。
【0030】
検査対象物9は、例えばトンネル用に製造されたセグメント、建造物用に製造されたプレキャスト工法用の部材、工場や住宅等の設備機器用に製造された管工機材等を示す。検査対象物9は、例えば車両用や電子機器用に製造された各種部品を示してもよく、打音により振動が発生する物質により製造された物を含む。
【0031】
検査システム100では、パルスレーザー等を用いた打音方法により、検査対象物9に振動を発生させる。その後、例えばレーザー干渉計を用いて、検査対象物9に発生した振動を計測し、振動データを生成する。すなわち、検査対象物9に対して非接触を維持した状態で、振動データを生成することができる。このため、例えば検査対象物9に対して接触して振動データを生成する方法に比べ、接触に伴う振動データのバラつきを抑制することができる。また、例えばX線を用いて検査対象物9を検査する方法に比べ、検査対象物9の劣化等を防ぐことができる上、光源等の専有面積を小さくすることができる。なお、検査対象物9に振動を発生させる打音方法として、上述したパルスレーザーを用いるほか、ハンマー、スピーカ、ガス、ウォータージェット等のような、公知のものを用いた方法が行われてもよい。
【0032】
検査システム100では、レーザーを用いて検査対象物9の振動を計測する。また、検査システム100では、過去に検査された情報を利用する。このため、例えば超音波法のような検査対象物9に接触して計測する方法に比べ、非接触で振動データを生成することができる。このため、検査システム100は、過去に検査された情報を利用する際、計測条件に伴うバラつきの影響を抑制した振動データに対する検査を実現することができる。これにより、高精度な検査を実現できることを、発明者らは見出した。
【0033】
検査システム100は、例えば図1に示すように、検査装置1を備える。検査装置1は、例えば計測装置2と接続されるほか、振動装置3や撮像装置7等と接続されてもよく、通信網4を介して端末5やサーバ6等と接続されてもよい。なお、検査装置1は、例えば計測装置2等の機能を備えてもよい。
【0034】
検査システム100は、例えば図2に示すように、例えば工場等で製造された製造物を検査対象物9として検査する。検査システム100は、例えば振動装置3を用いて検査対象物9に振動(第1振動)を発生させ、計測装置2を用いて振動を計測する。このとき、計測装置2は、レーザー(第1レーザー)を出射し、検査対象物9に反射したレーザーを受光することで、振動を計測して振動データ(第1振動データ)を生成する。検査システム100では、例えば外観から推定できる欠陥部91の近辺における振動を計測してもよい。
【0035】
そして、検査装置1は、検査対象情報(第1検査対象情報)を取得する。検査対象情報は、計測装置2により生成された振動データに基づくデータ(第1データ)を含む。その後、検査装置1は、参照データベースを参照し、検査対象情報に対する検査データを生成し、例えば検査データに基づく検査結果を出力する。これにより、例えば検査対象物9の品質を示す指標を、検査結果として出力することができる。なお、検査システム100は、検査対象物9の内部状態を検査することができるため、例えば欠陥部91におけるひびの深さ等のような検査対象物9の内部状態を、検査結果として出力することができる。なお、検査結果は、検査対象物9の状態に関する内容(例えば「正常」、「異常」等)を1つ表示するほか、例えば「[深さ]30mm:50%、20mm:20%」等のように複数の候補を表示してもよい。
【0036】
以下、検査システム100に用いられる振動データ、検査対象情報、及び参照データベースについて説明する。
【0037】
<振動データ>
振動データは、例えば図3(a)に示すように、時間(Time(s))に対する速度(Velocity(m/s))で表される時間波形の信号パターン(第1信号パターン)を含む。振動データは、公知の振動計測結果を用いることができる。振動データは、例えば振動発生のタイミングから10~50msec程度後までの信号パターンを含み、状況に応じて任意に設定することができる。
【0038】
信号パターンは、主に検査対象物9の表面を経由する表面波、及び検査対象物9の内部を経由する内部弾性波の重ね合わせによる複雑な形状を示す。このため、信号パターンは、振動を発生させる打音方法、計測位置、検査対象物9の状態(例えば欠陥部91の形状)によって得られる内容が異なる。この点、検査システム100では、信号パターンに基づく検査を行うことができる。このため、厳密な測定位置を必須のパラメータとする必要が無い。また、測定位置を必須のパラメータとしないため、測定位置と、検査対象物9における欠陥部91の位置との距離を算出しなくてもよい。このため、検査対象物9における欠陥部91が内部のみに発生し、検査対象物9の表面に達していない場合においても、高精度な検査結果を得ることが可能となる。
【0039】
<検査対象情報>
検査対象情報は、振動データに基づく第1データを含む。第1データは、例えば時間波形の信号パターンをフーリエ変換したデータ(例えば図3(b))から取得する。フーリエ変換したデータは、例えば周波数(Frequency(Hz))に対する強度(Magnitude)で示すことができる。この場合、フーリエ変換したデータから、例えば特徴的な値を複数抽出し、第1データとして取得する。このため、時間波形の信号パターンを直接検査する場合に比べて、重ね合わさった振動全体の特徴を検査対象とすることができる。これにより、検査対象物9における状態の差異に伴う僅かな振動データの違いに対しても、明確な違いを示す検査結果を出力することができる。
【0040】
上記のほか、例えば時間波形の信号パターンから特徴的な値を複数抽出し、検査対象情報に含まれる第1データとして取得してもよい。この場合、フーリエ変換等の処理を実行する必要がなく、データ処理工程の増加を抑制することができる。なお、上述した「特徴的な値」を抽出する方法として、例えば主成分分析等の公知技術を用いることができる。これにより、計測者等の主観を含めることなく検査に必要なデータ量を削減できる。また、不要なデータ(ノイズ)を削除することで、精度向上を図ることができる。
【0041】
検査対象情報は、例えば信号パターンからメル周波数スペクトルに変換したデータ、又はメル周波数ケプストラム係数(MFCC:Mel Frequency Cepstrum Coefficients)から取得してもよい。検査対象情報として、行列(例えばベクトル)形式のデータが取得されるほか、例えばスペクトログラム等のような画像形式のデータが取得されてもよい。
【0042】
検査対象情報は、例えば打音情報を含む。打音情報は、振動データを生成するために、検査対象物9に振動を与えた方法(即ち打音方法)に関する情報を示す。打音情報は、例えば検査対象物9に振動を与えるパルスレーザー、ハンマー、スピーカ、ガス、又はウォータージェット等の打音方法毎に異なる識別情報を含むほか、例えばパルスレーザーの発振条件や照射角度のほか、ハンマーの種類や振動を与える時間等の打音条件に関する情報を含んでもよい。検査対象情報が打音情報を含むことで、打音方法の違いに起因する僅かな信号パターンの差異についても、検査結果に反映することができるほか、例えば打音方法別に異なる検査を行うこともできる。
【0043】
<参照データベース>
参照データベースには、予め取得された複数の過去の検査対象情報と、複数の過去の検査対象情報にそれぞれ紐づけられた複数の参照情報(第1参照情報)と、の間における連関性(第1連関性)が記憶される。連関性は、例えば過去の検査対象情報、及び参照情報を一組の学習データとして、複数の学習データを用いた公知の機械学習により構築される。機械学習として、畳み込みニューラルネットワーク等の深層学習が用いられるほか、例えばランダムフォレストや、SVM(Support Vector Machine)等のような公知の技術が用いられてもよい。
【0044】
この場合、例えば連関性は、多対多の情報(複数の過去の検査対象情報、対、複数の参照情報)の間における繋がりの度合いにより構築される。連関性は、機械学習の過程で適宜更新され、例えば過去の検査対象情報、及び参照情報に基づいて最適化された関数(分類器)を示す。このため、過去に検査対象物9の状態を検査した結果を全て踏まえた連関性を用いて、検査対象情報に対する検査データが生成される。これにより、複雑な信号パターンが振動データに含まれる場合においても、最適な検査データを生成することができる。また、検査対象情報が、過去の検査対象情報と同一又は類似である場合のほか、非類似である場合においても、最適な検査データを定量的に生成することができる。なお、機械学習を行う際に汎化能力を高めることで、未知の信号パターンに対する検査精度の向上を図ることができる。
【0045】
参照データベースには、例えば機械学習の学習データに用いられた過去の検査対象情報、及び参照情報が記憶されてもよい。なお、連関性は、例えば各情報の間における繋がりの度合いを示す複数の連関度を有してもよい。連関度は、例えば参照データベースがニューラルネットワークで構築される場合、重み変数に対応させることができる。
【0046】
過去の検査対象情報は、上述した検査対象情報と同種の情報を示す。過去の検査対象情報が打音情報を含む場合、信号パターンに基づくデータと、打音情報とを一組の入力データとして、機械学習に用いることができる。上記のほか、例えば打音情報毎に分別した検査対象情報を入力データとして機械学習を行ってもよいほか、打音情報毎にアンサンブル学習を行ってもよい。
【0047】
参照情報は、過去の検査対象情報に紐づき、検査対象物9の状態に関する情報を示す。参照情報は、例えば検査対象物9に発生する欠陥の特徴に関する特徴情報を含む。特徴情報は、検査対象物9内におけるひび割れの深さ、検査対象物9の厚さ方向に対するひび割れの角度、幅、テーパー角、空隙率、含水率、及び枝分かれ数の少なくとも何れかを含み、検査対象物9の表面画像のみでは判断できない状態を示す。特徴情報は、「ひび割れの深さ15mm」、「ひび割れの幅13mm」等の一定値を示す値を含むほか、例えば「ひび割れの深さ10~20mm」、「ひび割れの幅5~10mm」等の範囲を示す値を含んでもよく、値の表示方法については任意である。
【0048】
特徴情報は、例えば検査対象物9の内部における異物混入の有無、及び電子部材におけるはんだ付け部の状態(例えばはんだと基板との離間箇所、離間距離、異物噛み込みの有無等)の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0049】
参照情報は、例えば検査対象物9の状態を分類する分類情報を含んでもよい。分類情報は、例えば「健全(正常)」、「欠陥(異常)」等の断定的な分類を含むほか、例えば「ひび割れの深さが××mm以上」、「影響の範囲が広い可能性あり」等の欠陥部91の特徴や判断の指標を分類した内容を含んでもよい。なお、参照情報は、例えば過去の検査結果の具体例を含んでもよく、例えば「2015年1月3日 ○○生産時の欠陥と類似」、「2011年9月5日 ○○生産品ではひび割れが××mmに拡大」、「2011年11月1日 ライン停止」等の経年変化や処置履歴等を含んでもよく、内容の組み合わせ等は任意に設定できる。
【0050】
連関性は、例えば図4に示すように、複数の過去の検査対象情報と、複数の参照情報との間における繋がりの度合いを示してもよい。この場合、連関性を用いることで、複数の過去の検査対象情報(図4では「対象A」~「対象C」)のそれぞれに対し、複数の参照情報(図4では「参照A」~「参照C」)の関係の度合いを紐づけて記憶させることができる。このため、例えば連関性を介して、1つの過去の検査対象情報に対して、複数の参照情報を紐づけることができ、多角的な検査データの生成を実現することができる。
【0051】
連関性は、各過去の検査対象情報と、各参照情報とをそれぞれ紐づける複数の連関度を有する。連関度は、例えば百分率、10段階、又は5段階等の3段階以上で示され、例えば線の特徴(例えば太さ等)で示される。例えば、過去の検査対象情報に含まれる「対象A」は、参照情報に含まれる「参照A」との間の連関度AA「62%」を示し、参照情報に含まれる「参照B」との間の連関度AB「26%」を示す。すなわち、「連関度」は、各データ間における繋がりの度合いを示しており、例えば連関度が高いほど、各データの繋がりが強いことを示す。なお、上述した機械学習により連関性を構築する際、連関性が3段階以上の連関度を有するように設定してもよい。
【0052】
連関度は、例えば図5に示すように、過去の検査対象情報の2以上の組み合わせ(図5の破線)を1つの対象データとして、複数の参照情報とを紐づけてもよい。例えば、過去の検査対象情報に含まれる「対象A」、及び「対象D」の組み合わせは、「参照A」との間の連関度ADA「25%」を示し、「参照B」との間の連関度ADB「17%」を示す。この場合、参照データベースを参照して検査する検査対象情報が、「対象A」及び「対象D」の何れにも類似する場合等においても、定量的な検査を実施することができる。
【0053】
なお、例えば図6に示すように、過去の検査対象情報に含まれる信号パターンに基づく第1データ(図6では「特徴A」~「特徴C」)と、打音情報(図6では「打音A」~「打音C」)とを組み合わせたデータに対して、参照情報が紐づけられてもよい。図4図6に示した連関性は、例えば上述した機械学習により構築されてもよい。
【0054】
上述した連関度を用いることで、それぞれ複数のデータを有する過去の検査対象情報と、参照情報との間における複雑な関係性を、高精度に表現することができる。このため、複雑な信号パターンが振動データに含まれる場合においても、最適な検査データを生成することができる。また、振動データに含まれる未知の信号パターンに対しても、高精度な検査を実現することができる。
【0055】
参照データベースには、例えば基準検査データが記憶されてもよい。基準検査データは、検査データを検査するための基準として予め取得され、参照データベースに記憶される。基準検査データとして、例えば検査対象物9の健全な状態に対応するデータが用いられる。
【0056】
参照データベースには、例えば画像情報が記憶されてもよい。画像情報は、検査対象物9の表面を撮像した画像を示し、例えば測定位置や振動位置がプロットされてもよい。画像情報は、例えば撮像装置7により予め撮像され、参照データベースに記憶される。
【0057】
(検査装置1)
次に、図7を参照して、本実施形態における検査装置1の一例を説明する。図7(a)は、本実施形態における検査装置1の構成の一例を示す模式図であり、図7(b)は、本実施形態における検査装置1の機能の一例を示す模式図である。
【0058】
検査装置1として、ラップトップ(ノート)PC又はデスクトップPC等の電子機器が用いられる。検査装置1は、例えば図7(a)に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。各構成101~107は、内部バス110により接続される。
【0059】
CPU101は、検査装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、参照データベースや検査対象情報等の各種情報が記憶される。保存部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)のほか、SSD(Solid State Drive)等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば検査装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。
【0060】
I/F105は、データ通信手段を介して、必要に応じて計測装置2、振動装置3等との各種情報の送受信を行うためのインターフェースであり、例えば通信網4を介して端末5等との各種情報の送受信を行うために用いられてもよい。I/F106は、入力部分108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部分108として、例えばキーボードが用いられ、検査装置1の計測者等は、入力部分108を介して、各種情報、又は検査装置1若しくは計測装置2等の制御コマンド等を入力する。I/F107は、出力部分109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。出力部分109は、保存部104に保存された各種情報、又は検査装置1若しくは計測装置2等の処理状況等を出力する。出力部分109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式でもよい。
【0061】
図7(b)は、検査装置1の機能の一例を示す模式図である。検査装置1は、取得部11と、生成部12と、記憶部14とを備え、例えば出力部13、制御部15、及び更新部16の少なくとも何れかを有してもよい。なお、図7(b)に示した各機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現され、例えば人工知能等により制御されてもよい。
【0062】
<取得部11>
取得部11は、振動データに基づく第1データを含む検査対象情報を取得する。取得部11は、例えば計測装置2により計測された振動に基づき生成された振動データを取得し、振動データに含まれる信号パターンをフーリエ変換等の処理を行い、処理結果を第1データとして取得する。取得部11は、例えば予め計測者等によって入力された打音情報を、検査対象情報の一部として取得してもよい。また、取得部11は、例えば振動装置3から送信された打音条件等を含む打音情報を、検査対象情報の一部として取得してもよい。
【0063】
取得部11は、例えば検査対象物9の表面を撮像した画像情報を取得してもよい。画像情報は、例えば計測者等によって予め入力されるほか、端末5等から受信してもよい。また、取得部11は、例えば撮像機能を有する計測装置2や振動装置3によって撮像された画像情報を取得してもよいほか、撮像装置7によって撮像された画像情報を取得してもよい。
【0064】
取得部11は、例えば画像情報における振動データを生成するためのレーザーを出射した位置、及び画像情報における振動データを生成するために検査対象物9に振動を与えた振動位置、の少なくとも何れかを取得してもよい。
【0065】
計測位置は、振動データを生成するために計測装置2から出射されたレーザーのスポットによって特定することができる。このため、計測位置は、計測装置2から取得するほか、例えば撮像装置7によって取得してもよく、例えば計測者等により直接入力されてもよい。
【0066】
振動位置は、検査対象物9に振動を与えるパルスレーザーを用いた場合、振動装置3から出力されたレーザーのスポットによって特定することができる。このため、振動位置は、振動装置3から取得するほか、例えば撮像装置7によって取得してもよい。なお、ハンマー等を用いて検査対象物9に振動を与える場合、例えば計測者等が直接振動位置を入力してもよい。なお、取得部11は、例えば計測位置及び振動位置の少なくとも何れかを、検査対象情報の一部として取得してもよい。この場合、各位置の情報を補助パラメータとした検査を実施することができ、さらなる精度向上を図ることが可能となる。
【0067】
<生成部12>
生成部12は、参照データベースを参照し、検査対象情報に対する検査データを生成する。生成部12は、例えば連関性を介して、検査対象情報に紐づく1以上の参照情報を選択し、選択した参照情報を反映した検査データを生成する。
【0068】
生成部12は、例えば選択した複数の参照情報のうち、検査対象情報と紐づく連関度が最も高い参照情報を抽出し、検査データとして生成する。なお、抽出される参照情報は複数でもよく、その場合、例えば予め設定された閾値以上の連関度に紐づく参照情報を抽出するようにしてもよい。
【0069】
生成部12は、例えば図4に示したような参照データベースを参照した場合、検査対象情報と同一又は類似する過去の検査対象情報(例えば「対象A」:第1対象データとする)を選択する。過去の検査対象情報として、検査対象情報と一部一致又は完全一致する対象データが選択されるほか、例えば類似する対象データが選択される。なお、選択される類似度の度合いについては、任意に設定できる。また、第1対象データとして、複数の対象データが選択されてもよい。
【0070】
生成部12は、選択した第1対象データに紐づく参照情報(第1参照データとする)、及び第1対象データと第1参照データとの間における連関度(例えば連関度AA:第1連関度とする)を選択する。例えば生成部12は、第1対象データ「対象A」に紐づく第1参照データ「参照A」、及び「対象A」と「参照A」との間における第1連関度「62%」を選択し、選択した各データを含む検査データとして生成する。
【0071】
また、参照データ及び連関度を複数選択する場合、上述した「参照A」及び「62%」に加えて、第1対象データ「対象A」に紐づく第1参照データ「参照B」、及び「対象A」と「参照B」との間における第1連関度「26%」、等を、第1参照データ及び第1連関度として選択してもよい。このように、生成部12は、選択された第1参照データ及び第1連関度を含む検査データを生成する。
【0072】
<出力部13>
出力部13は、例えば検査データに基づく検査結果を出力する。出力部13は、例えば保存部104に予め記憶された表示用のフォーマットを用いて、検査データを計測者等が理解できる文字列等に変換した検査結果を生成し、出力する。出力部13は、I/F107を介して出力部分109に検査結果を送信するほか、例えばI/F105を介して、端末5等に検査結果を送信する。
【0073】
例えば参照情報が特徴情報を含む場合、出力部13は、特徴情報のうち、検査対象情報に紐づく特徴情報(例えば第1特徴情報)を含ませた検査結果を生成する。このため、検査対象物9の内部状態を定量的に検査することができる。
【0074】
出力部13は、例えば検査データと、基準検査データとを比較した結果を含む検査結果を出力する。出力部13は、例えば図8(a)に示すように、ピアソンの積率相関係数を用いて、基準検査データに対する各対象検査データ(図8(a)では第1検査データ~第5検査データ)の比較結果を算出し、検査結果に含ませて出力する。出力部13は、例えば比較結果に基づき、色分け、「健全」、「欠陥の可能性大」等の分類結果を検査結果に含ませて出力してもよい。
【0075】
出力部13は、例えば画像情報における振動データの計測位置、及び画像情報における振動データを生成するために検査対象物9に振動を与えた振動位置の少なくとも何れかの位置に紐づけられた検査結果を出力する。出力部13は、例えば図8(b)に示すように、計測位置(例えば位置ref、位置s1~s5)や、振動位置(例えば位置int)をプロットした画像情報を、検査結果に含ませて出力する。出力部13は、例えば画像における各位置(位置ref、位置s1~s5、位置int)に対応するX-Y座標等の数値を、検査結果に含ませて出力してもよい。
【0076】
<記憶部14>
記憶部14は、保存部104に保存された参照データベース等の各種データを必要に応じて取出す。記憶部14は、各構成11~13、15、16により取得又は生成された各種データを、必要に応じて保存部104に保存する。
【0077】
<制御部15>
制御部15は、例えば計測装置2を制御する。制御部15は、例えば計測者等により入力された内容に基づき、計測装置2から出射するレーザーの条件や、計測の条件を制御する。制御部15は、例えば公知の技術を用いて計測装置2を制御するほか、例えば振動装置3や撮像装置7等を制御してもよい。
【0078】
<更新部16>
更新部16は、例えば参照データベースを更新する。更新部16は、過去の検査対象情報と、参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、関係を連関性に反映させる。例えば出力部13により出力された検査結果を踏まえて、計測者等が検査結果の精度を検討し、検討結果を検査装置1が取得した場合、更新部16は、検討結果に基づき参照データベースに含まれる連関性を更新する。連関性の更新は、例えば機械学習を用いる。
【0079】
<計測装置2>
計測装置2は、検査対象物9に発生した振動を計測するために用いられる。計測装置2は、例えば干渉レーザー光を用いて、検査対象物9に発生した振動に基づく振動データを生成する。計測装置2は、生成した振動データを検査装置1に送信する。計測装置2は、例えば生成した振動データに含まれる信号パターンをフーリエ変換する機能を有してもよい。
【0080】
計測装置2は、検査装置1と直接接続されるほか、例えば通信網4を介して接続されてもよい。計測装置2として、例えば公知のレーザー干渉計等が用いられる。
【0081】
<振動装置3>
振動装置3は、検査対象物9に振動を発生させる。振動装置3は、例えばパルスレーザー光を用いて、検査対象物9の表面に衝撃を与える。振動装置3として、公知のパルスレーザー発生装置が用いられるほか、ハンマリング装置、スピーカ、ガス発生装置、ウォータージェット機器等のような、公知の衝撃発生機器が用いられる。この場合、振動装置3は、例えば検査装置1と接続され、検査装置1によって制御されてもよい。
【0082】
<通信網4>
通信網4は、例えば検査装置1が通信回路を介して接続されるインターネット網等である。通信網4は、いわゆる光ファイバ通信網で構成されてもよい。また、通信網4は、有線通信網のほか、無線通信網等の公知の通信網で実現してもよい。
【0083】
<端末5>
端末5は、例えば計測場所から離れた場所に設けられ、通信網4を介して検査装置1と接続される。端末5は、例えばパーソナルコンピュータや、タブレット端末等の電子機器が用いられる。端末5は、例えば検査装置1の備える機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよい。
【0084】
<サーバ6>
サーバ6は、例えば計測場所から離れた場所に設けられ、通信網4を介して検査装置1と接続される。サーバ6は、過去の計測又は生成された各種データ等が記憶され、必要に応じて検査装置1から各種データが送信される。
【0085】
<撮像装置7>
撮像装置7は、検査対象物9の表面を撮像するために用いられる。撮像装置7は、撮像した画像を検査装置1に送信する。撮像装置7は、例えば検査装置1と直接接続されるほか、例えば通信網4を介して接続されてもよい。撮像装置7として、例えばデジタルカメラ等の公知の撮像装置が用いられる。
【0086】
(第1実施形態:検査システム100の動作の一例)
次に、本実施形態における検査システム100の動作の一例について説明する。図9は、本実施形態における検査システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0087】
検査システム100は、例えば図9に示すように、計測手段S110と、取得手段S120と、生成手段S130とを備え、例えば出力手段S140、及び更新手段S150の少なくとも何れかを備えてもよい。
【0088】
<計測手段S110>
計測手段S110は、レーザー(第1レーザー)を用いて検査対象物9に発生した振動(第1レーザー)を計測し、振動データ(第1振動データ)を生成する。例えば制御部15は、計測装置2からレーザーを出射させ、検査対象物9に反射したレーザーを計測装置2に受光させることで、計測装置2に振動データを生成させることができる。
【0089】
計測手段S110では、例えば制御部15は、振動装置3を制御して検査対象物9に振動を発生させたあと、計測装置2を制御して振動データを生成させてもよい。なお、振動装置3を制御して検査対象物9に振動を発生させるタイミング、及び計測装置2を制御して振動データを生成するタイミングは、それぞれ任意である。
【0090】
<取得手段S120>
取得手段S120は、振動データに基づく第1データを含む検査対象情報(第1検査対象情報)を取得する。例えば取得部11は、計測装置2により生成された振動データを取得し、振動データに含まれる信号パターンに基づく第1データを取得する。取得部11は、例えば1つの信号パターンに基づく1つの第1データを取得するほか、例えば複数の信号パターンに基づく1つの第1データを取得してもよい。取得部11は、例えば記憶部14を介して、取得した検査対象情報を保存部104に保存する。
【0091】
計測手段S110及び取得手段S120は、例えばベルトコンベア等を利用して動いている検査対象物9に対して実施してもよい。この場合、取得部11は、検査対象物9の移動速度、及び検査対象物9に対して計測装置2が受光するレーザーの角度の少なくとも何れかを、検査対象情報の一部として取得してもよい。移動速度、及びレーザーの角度は、例えば計測者等により入力部分108等を介して予め入力される。
【0092】
<生成手段S130>
生成手段S130は、参照データベースを参照し、検査対象情報に対する検査データ(第1検査データ)を生成する。例えば生成部12は、参照データベースに記憶された連関性を介し、検査対象情報との関係の度合いが高い参照情報(第1参照データ)を抽出する。生成部12は、抽出した第1参照データを含む検査データを生成する。生成部12は、例えば記憶部14を介して、生成した検査データを保存部104に保存する。
【0093】
上記のほか、例えば生成部12は、参照データベースに記憶された過去の検査対象情報のうち、検査対象情報と同一又は類似する情報を含む第1対象データを選択する。生成部12は、参照データベースに記憶された参照情報のうち、選択した第1対象データに紐づく第1参照データを選択し、第1対象データと第1参照データとの間における第1連関度を選択する。その後、生成部12は、例えば選択した第1参照データを含む検査データを生成するほか、例えば検査データに、第1連関度、及び検査対象情報の少なくとも何れかを含ませて生成してもよい。
【0094】
これにより、本実施形態における検査システム100の動作が終了する。なお、検査システム100では、例えば生成手段S130のあと、出力手段S140を行ってもよい。
【0095】
<出力手段S140>
出力手段S140は、例えば検査データに基づく検査結果を出力する。例えば出力部13は、検査データを計測者等が理解できる文字列等に変換した検査結果を生成し、出力する。
【0096】
<更新手段S150>
なお、例えば過去の検査対象情報と、参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、関係を連関性に反映させてもよい(更新手段S150)。例えば更新部16は、検査結果に対する計測者等の検討結果に基づき、参照データベースに含まれる連関性を更新する。なお、更新部16を実施するタイミングや頻度は、任意である。
【0097】
本実施形態によれば、生成手段S130は、参照データベースを参照し、検査対象情報に対する検査データを生成する。このため、過去の結果を踏まえた検査データを生成でき、検査対象物9の欠陥に起因する複雑な信号パターンが振動データに含まれる場合においても、最適な検査データを生成することができる。これにより、高精度な検査結果を得ることが可能となる。
【0098】
また、本実施形態によれば、計測手段S110は、レーザーを用いて検査対象物9に発生した振動を計測する。取得手段S120は、振動データに基づく第1データを含む検査対象情報を取得する。このため、例えばX線を用いた検査装置に比べて、検査対象物9の劣化を促進させる可能性を抑制することができる。また、検査対象物9に発生した振動に基づく検査を行えるため、検査対象物9の深さ方向に依存する欠陥の状態を検査することができる。これらにより、検査可能な検査対象物9の種類を拡大させることが可能となる。
【0099】
また、本実施形態によれば、取得手段S120は、振動データに基づく第1データを含む検査対象情報を取得する。このため、検査に最低限必要なパラメータとして、計測位置等を含める必要がない。これにより、計測者毎の測定バラつきに伴う精度低下を防ぐことが可能となる。また、検査対象物9がベルトコンベア等で移動している状態においても、検査を実施することができ、検査に伴い検査対象物9を固定する必要が無い。これにより、検査工程における時間短縮を図ることが可能となる。
【0100】
また、本実施形態によれば、取得手段S120は、信号パターンをフーリエ変換した結果から、第1データを取得する。このため、検査対象物9における状態の差異に伴う僅かな振動データの違いに対しても、検査結果を出力することができる。これにより、検査対象物9の複雑な状態を示す検査対象情報に対しても、最適な検査データを容易に生成することが可能となる。
【0101】
また、本実施形態によれば、検査対象情報及び過去の検査対象情報は、振動データを生成するために、検査対象物9に振動を与えた方法に関する打音情報を含む。このため、検査対象物9に振動を与える様々な打音方法毎に、最適な検査データを生成することができる。これにより、得られる検査結果の精度をさらに向上させることが可能となる。
【0102】
また、本実施形態によれば、参照情報は、検査対象物9の内部に発生する欠陥の特徴に関する特徴情報を含む。このため、検査対象物9の内部状態を定量的に検査することができる。これにより、外観では判断できない内部情報の検査結果を高精度に得ることが可能となる。
【0103】
また、本実施形態によれば、例えば出力部13は、例えば検査データと、基準検査データとを比較した結果を含む検査結果を出力してもよい。この場合、検査対象物9の設置環境や計測環境等の各種条件を踏まえた検査結果を出力することができる。これにより、各種条件に伴う信号パターンのバラつきを抑制することが可能となる。
【0104】
また、本実施形態によれば、例えば出力部13は、計測位置及び振動位置の少なくとも何れかに紐づけられた検査結果を出力してもよい。この場合、経時変化を検査する場合等において、以前の計測条件等を容易に把握することができる。これにより、検査結果を踏まえた計測や分析等を容易に実施することが可能となる。
【0105】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態における検査システム100について説明する。上述した実施形態と、第2実施形態との違いは、異なるタイミングで生成された2つの振動データ(第1振動データ、第2振動データ)に基づき、検査対象物9に対して検査を行う点である。なお、上述した実施形態と同様の内容に関しては、説明を省略する。
【0106】
本実施形態における検査システム100は、例えば図10に示す動作により、検査対象物9に対して検査を行う。例えば図10(a)に示すように、上述した実施形態と同様の動作によって検査対象物9を検査したあと、例えば図10(b)に示すように、異なるタイミングで、検査対象物9を検査し、各検査で得られたデータを比較する。これにより、検査対象物9の経時変化を高精度に検査することができる。
【0107】
各検査において用いられる検査装置1として、それぞれ異なる検査装置1a、1bが用いられるほか、例えば同じ検査装置1が用いられてもよい。それぞれ異なる検査装置1a、1bが用いられる場合、各検査装置1a、1bは、それぞれ同様の機能を備え、例えば通信網4を介して接続され、各種情報の送受信を行うことができてもよい。
【0108】
また、各検査において用いられる計測装置2として、それぞれ異なる計測装置2a、2bが用いられるほか、例えば同じ計測装置2が用いられてもよい。それぞれ異なる計測装置2a、2bが用いられる場合、各計測装置2a、2bとして、それぞれ異なる機種等が用いられてもよい。
【0109】
また、例えば各検査において用いられる振動装置3として、それぞれ異なる振動装置3a、3bが用いられるほか、例えば同じ振動装置3が用いられてもよい。それぞれ異なる振動装置3a、3bが用いられる場合、各振動装置3a、3bとして、それぞれ異なる打音装置等が用いられてもよい。
【0110】
検査システム100は、例えば検査対象物9の製造時、及び後工程における検査対象物9の受け入れ時に、それぞれ検査を行うことで、検査対象物9の経時変化を検査することができる。また、検査システム100は、例えば検査対象物9の製造時、及び検査対象物9の組立時や実装時に、それぞれ検査を行うことで、検査対象物9の組立や実装に伴う状態の変化を検査することができる。また、検査システム100は、例えば検査対象物9の製造時、及び検査対象物9の利用後に、それぞれ検査を行うことで、検査対象物9の利用に伴う状態の変化を検査することができる。
【0111】
(第2実施形態:検査システム100の動作の一例)
次に、本実施形態における検査システム100の動作の一例について説明する。図11(a)は、本実施形態における検査システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0112】
本実施形態における検査システム100のうち、第1計測手段S110a、第1取得手段S120a、第1生成手段S130a、及び出力手段S140aは、主に上述した計測手段S110、取得手段S120、生成手段S130、及び出力手段S140と同様のため、説明を省略する。なお、上述した実施形態における各手段S100、S110、S120、S130により用いられたレーザー、振動、振動データ、検査対象情報、過去の検査対象情報、参照情報、連関性、参照データベース、検査データ、信号パターン、打音情報は、本実施形態ではそれぞれ第1レーザー、第1振動、第1振動データ、第1検査対象情報、過去の第1検査対象情報、第1参照情報、第1連関性、第1参照データベース、第1検査データ、第1信号パターン、第1打音情報として用いる。
【0113】
<第2計測手段S210>
検査システム100では、例えば図11(a)に示すように、第1生成手段S130aのあと、第2レーザーを用いて検査対象物9に発生した第2振動を計測し、第2振動データを生成する(第2計測手段S210)。例えば制御部15は、図10(b)に示す計測装置2bから第2レーザーを出射させ、検査対象物9に反射した第2レーザーを計測装置2bに受光させることで、計測装置2bに第2振動データを生成させることができる。なお、制御部15が計測装置2bを制御する条件等は、例えば予め計測者等により入力部分108等を介して入力され、例えば検査結果に基づき検査対象物9の特定位置に対して第2レーザーが出射するように設定される。
【0114】
第2計測手段S210では、例えば制御部15は、振動装置3bを制御して検査対象物9に振動を発生させたあと、計測装置2bを制御して第2振動データを生成させてもよい。なお、振動装置3bを介して検査対象物9に振動を発生させるタイミング、及び計測装置2bを介して第2振動データを生成するタイミングは、それぞれ任意である。また、制御部15が振動装置3bを制御する条件等は、たとえば予め計測者等により入力部分108等を介して入力される。
【0115】
<第2取得手段S220>
次に、第2振動データに基づく第2データを含む第2検査対象情報を取得する(第2取得手段S220)。例えば取得部11は、上述した第1取得手段S120aと同様に、計測装置2bにより生成された第2振動データを取得し、第2振動データに含まれる第2信号パターンに基づく第2データを取得する。
【0116】
<第2生成手段S230>
次に、参照データベースを参照し、第2検査対象情報に対する第2検査データを生成する(第2生成手段S230)。例えば生成部12は、上述した第1参照データベースに記憶された第1連関性を介し、第2検査対象情報との関係の度合いが高い参照情報(第2-1参照データ)を抽出する。生成部12は、抽出した第2-1参照データを含む検査データを生成する。
【0117】
上記のほか、例えば生成部12は、第1参照データベースとは異なる第2参照データベースを参照し、第2検査対象情報に対する第2検査データを生成してもよい。この場合、第2参照データベースには、予め取得された複数の過去の第2検査対象情報と、複数の過去の第2検査対象情報にそれぞれ紐づけられた複数の第2参照情報と、の間における第2連関度が記憶される。即ち、第2参照データベースは、第1参照データベースとは異なるデータを用いて構築される。このため、生成部12は、第2参照データベースを参照することで、第2検査対象情報に適した第2検査データを生成することができる。これにより、検査の精度を更に向上させることが可能となる。なお、第2参照データベースの構築方法は、例えば第1参照データベースと同様の方法により構築することができる。
【0118】
なお、生成部12が、第1参照データベースを参照し、第2検査対象情報に対する第2検査データを生成する場合、第2参照データベースの構築や、保存する必要が無い。このため、検査システム100全体のデータ容量を軽減することが可能となる。
【0119】
<比較手段S240>
次に、第1検査データと、第2検査データとを比較し、比較結果を生成する(比較手段S240)。例えば出力部13は、第1検査データと、第2検査データとの相違点を検出し、検出結果を比較結果として生成する。出力部13は、例えば予め設定された第1検査データ毎に異なる閾値に基づき、第2検査データと、閾値とを比較することで、比較結果を生成してもよい。
【0120】
その後、例えば上述した出力手段S140と同様に、出力部13は、比較結果を出力する(出力手段S140a)。これにより、本実施形態における検査システム100の動作が終了する。
【0121】
なお、検査システム100は、例えば図11(b)に示すように、第2生成手段S230及び比較手段S240の代わりに、対比手段S250及び第3生成手段S260を備えてもよい。
【0122】
<対比手段S250>
対比手段S250は、第2取得手段S220のあと、第1検査対象情報と、第2検査対象情報との対比に基づく対比情報を生成する。例えば取得部11は、第1検査対象情報と、第2検査対象情報との相違点を検出し、検出結果を対比情報として生成する。取得部11は、例えば予め設定された第1検査対象情報毎に異なる閾値に基づき、第2検査対象情報と、閾値とを比較することで、対比情報を生成してもよい。
【0123】
<第3生成手段S260>
第3生成手段S260は、第3参照データベースを参照し、対比情報に対する第3検査データを生成する。第3参照データベースには、予め取得された複数の過去の対比情報と、複数の過去の対比情報にそれぞれ紐づけられた複数の第3参照情報と、の間における第3連関度が記憶される。即ち、第3参照データベースは、第1参照データベース、及び第2参照データベースとは異なるデータを用いて構築される。このため、生成部12は、第3参照データベースを参照することで、対比情報に適した第3検査データを生成することができる。これにより、検査の精度を更に向上させることが可能となる。なお、第3参照データベースの構築方法は、例えば第1参照データベースと同様の方法により構築することができる。
【0124】
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0125】
また、本実施形態によれば、比較手段S240は、第1検査データと、第2検査データとを比較し、比較結果を生成する。このため、検査対象物9の経時変化等を容易に検査することができる。これにより、検査対象物9の品質管理水準を向上させることが可能となる。
【0126】
また、本実施形態によれば、対比手段S250は、第1検査対象情報と、第2検査対象情報との対比に基づく対比情報を生成する。第3生成手段S260は、第3参照データベースを参照し、対比情報に対する第3検査データを生成する。このため、検査対象物9の経時変化等の詳細を容易に検査することができる。これにより、検査対象物9の品質管理水準を向上させることが可能となる。
【0127】
また、本実施形態によれば、第2参照データベース又は第3参照データベースを用いることで、各参照データベースを更新する際、他の参照データベースを更新する必要が無く、必要となるデータ容量を最小限に抑えることができる。このため、各参照データベースのメンテナンスを容易に実現することが可能となる。
【0128】
本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したような新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
1 :検査装置
10 :筐体
11 :取得部
12 :生成部
13 :出力部
14 :記憶部
15 :制御部
16 :更新部
101 :CPU
102 :ROM
103 :RAM
104 :保存部
105 :I/F
106 :I/F
107 :I/F
108 :入力部分
109 :出力部分
110 :内部バス
2 :計測装置
3 :振動装置
4 :通信網
5 :端末
6 :サーバ
7 :撮像装置
9 :検査対象物
91 :欠陥部
100 :検査システム
S110 :計測手段
S120 :取得手段
S130 :生成手段
S140 :出力手段
S150 :更新手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11