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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】調理装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/17 20060101AFI20240613BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20240613BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A47J27/17
A47J27/00 102
H05B6/12 314
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020098008
(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2021186567
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500148592
【氏名又は名称】株式会社カジワラ
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梶原 秀浩
(72)【発明者】
【氏名】中川 歩
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-286394(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1298811(KR,B1)
【文献】特開2000-325230(JP,A)
【文献】特開2006-009856(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1894202(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1833302(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 9/00-47/20
F24C 1/00-15/36
H05B 1/00-11/00
F23L 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部及び胴部を含む調理容器と、前記調理容器の底部をガス加熱又はガス加熱に対する電磁誘導加熱と電気加熱と蒸気加熱との何れかの選択的な組み合わせで高温加熱するための底部加熱装置と、前記調理容器の底部及び胴部の間部の壁面又は胴部の壁面に対して閉断面部を形成し前記閉断面部の内部に供給される流動性熱媒体により前記壁面に対し熱交換を行わせるための熱交換ジャケットとを備えた調理装置であって、
前記底部加熱装置は、支持台上に取り付けられた断熱室内に配置されて前記調理容器の下方に備えられ、
前記断熱室は、上部を構成する上壁部及び側周部を構成する周壁部を備え、
前記上壁部は、金属パネルの上面板を含むと共に開口を備え、
前記熱交換ジャケットを前記上面板に直接又は間接的に搭載して前記底部を前記開口から前記断熱室内に臨ませ、
前記周壁部は、周回状の金属パネルを含み、
前記周壁部の上部に前記断熱室の内外を連通させる接続口を備え、
前記接続口に接続する排気筒に嵌合口を形成し、
前記嵌合口を前記接続口に熱膨張差に起因する相対動作が可能となるように嵌合接続させ、
前記排気筒を、前記相対動作を滑り移動により許容する排気筒脚部により前記支持台上に設置した、
ことを特徴とする調理装置。
【請求項2】
請求項1記載の調理装置であって、
前記周壁部と前記上壁部との間に接続口を備える場合に前記接続口の外端を前記周壁部の外側へ突出形成し、
前記上面板を前記周壁部の外側へ部分的に突出させて前記外端を構成する接続上縁部を備えた、
ことを特徴とする調理装置。
【請求項3】
請求項2記載の調理装置であって、
前記上面板は、前記周壁部の金属パネルよりも相対的に厚く形成された、
ことを特徴とする調理装置。
【請求項4】
請求項1記載の調理装置であって、
前記断熱室及び底部加熱装置は、共通の支持台に搭載され、
前記支持台は、調理中の食材の重量変化を検出して前記底部加熱装置の加熱制御に供する重量検出器を備え、
前記支持台の一部を前記排気筒の下部に延設して排気筒搭載部を設定し、
前記排気筒脚部を前記排気筒搭載部に設置させた、
ことを特徴とする調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理容器の底部を高温で加熱し、側部を蒸気で加熱するいわゆるハイブリッド加熱を可能にした調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の業務用の調理装置として、例えば、食材を投入して調理するための調理容器と、該調理容器の底部を加熱するためのガス加熱装置とを備えたものがある。かかる調理装置において、例えば野菜類の炒め調理を行うと、調理容器に投入された大量の野菜類は次のような過程を経ることになる。
【0003】
即ち、業務用の大型の調理容器に対し大量の野菜類が当初調理容器の上端にまで一杯に投入され、まずガス加熱装置によって調理容器の底部が高温で加熱される。炒め調理の進行と共に、当初調理容器の上端部にまで一杯に入っていた野菜類が調理容器の底部側へ容積を集束させ、最終的に底部での高温加熱によって炒め調理を完成する。
【0004】
しかしながら、底部のガス加熱装置による高温加熱のみで炒め調理する場合には、大量の野菜が調理容器底部に集束するまでに相当の時間を要し、加熱調理時間が著しく長くなるという問題があった。この時間を短縮するために加熱の温度を更に高めると、集束途中にある野菜類が調理容器の内側面等に焦げ付きやすくなるという問題がある。
【0005】
そこで出願人は、調理容器の底部を高温のガスで側部をカロリーの高い蒸気で加熱する、いわゆるハイブリッド加熱を可能にした調理装置を特許文献1、2として提案した。
【0006】
この調理装置は、食材を入れた調理容器を、蒸気による熱源と、ガスによる熱源とにより異なる位置で加熱するようにした。ガスによる熱源の底部加熱装置は、調理容器の底部を加熱し、蒸気による熱源は調理容器の側部の熱交換ジャケットに蒸気を供給して加熱するようにした。
【0007】
したがって、加熱初期に調理容器の上端部にまで一杯に入っていた野菜類を蒸気で側面から加熱し調理容器の底部側へ素早く集束させることができる。最終的に底部での高温加熱によって炒め調理を短時間で完成させることができる。
【0008】
一方で、ガスを熱源とする底部加熱装置は、これを収容する断熱室の排気を行うことが肝要である。
【0009】
従来、断熱室からの排気は、排気筒を断熱室の壁部に形成した接続口に直接結合して行なう構造であった。この場合、断熱室は金属パル及び断熱材で壁部を形成し、壁部に形成された接続口で壁部を構成する金属パネルに排気筒を構成する金属パネルを溶接接合させている。これによって断熱室内から排気筒を介して排気を円滑に行わせることができる。
【0010】
しかし、前記断熱室の壁部の金属パネルは、排気筒の金属パネルの板厚よりも機能の相違から相対的に厚く、且つ両者の形状の相違から加熱及び加熱停止時の金属パネルの膨張収縮の大きさ、方向が異なり、接続口周辺に変形や溶接の不具合を招いていた。
【0011】
特に、前述のように、この調理装置の使用方法は、調理容器に原材料を仕込み、加熱調理を行ない、終了後製品を排出するというバッチサイクルの繰り返しである。かかるサイクルにおいて加熱調理の時のみ高温のガス燃焼が行われるため、この期間のみ燃焼ガスの通る部分及び燃焼熱が伝わる部分が高温となる。この高温となる部分は、その後の工程での放熱による温度低下を生じる。従って、その燃焼ガスの通る部分及び燃焼熱が伝わる部分の構成材は温度変化に応じた熱膨張と熱収縮とを短時間周期で定期的に繰り返すことになり、装置の変形による疲労を受け易くなっている。
【0012】
また、排気筒の断熱室への結合位置は、排気効率を考慮するとなるべく上部であることが必要となり、調理容器が備える熱交換ジャケットの下部側となっている。このため、この部分でのパネルの変形や溶接不具合が熱交換ジャケットに影響するという問題が有った。
【0013】
さらに、熱膨張、熱収縮による変形不十分は過度の熱応力を発生させ、永久変形、装置亀裂などを発生させ、燃焼ガスの煙道以外への漏れ出しに繋がる恐れもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特許第3076321号
【文献】特許第3650718号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
解決しようとする問題点は、いわゆるハイブリッド加熱を可能にした調理装置において、排気筒の結合が熱交換ジャケットに影響する点及び過度の熱応力が発生する点である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、いわゆるハイブリッド加熱を可能にした調理装置において、排気筒の結合が熱交換ジャケットに影響することを避け或は抑制すること、及び過度の熱応力発生を防止することを可能にするために、底部及び胴部を含む調理容器と、前記調理容器の底部をガス加熱又はガス加熱に対する電磁誘導加熱と電気加熱と蒸気加熱との何れかの選択的な組み合わせで高温加熱するための底部加熱装置と、前記調理容器の底部及び胴部の間部の壁面又は胴部の壁面に対して閉断面部を形成し前記閉断面部の内部に供給される流動性熱媒体により前記壁面に対し熱交換を行わせるための熱交換ジャケットとを備えた調理装置であって、前記底部加熱装置は、支持台上に取り付けられた断熱室内に配置されて前記調理容器の下方に備えられ、前記断熱室は、上部を構成する上壁部及び側周部を構成する周壁部を備え、前記上壁部は、金属パネルの上面板を含むと共に開口を備え、前記熱交換ジャケットを前記上面板に直接又は間接的に搭載して前記底部を前記開口から前記断熱室内に臨ませ、前記周壁部は、周回状の金属パネルを含み、前記周壁部の上部に前記断熱室の内外を連通させる接続口を備え、前記接続口に接続する排気筒に嵌合口を形成し、前記嵌合口を前記接続口に熱膨張差に起因する相対動作が可能となるように嵌合接続させ、前記排気筒を、前記相対動作を滑り移動により許容する排気筒脚部により前記支持台上に設置した。
【発明の効果】
【0017】
本願発明は、上記構成であるから、排気筒の金属パネルと断熱室の金属パネルとの間に熱膨張差があっても、嵌合口が接続口に対して熱膨張差に起因する相対動作が可能となる。このため、嵌合口及び接続口間に無理な応力が発生することが無いか抑制され、排気筒の結合が熱交換ジャケットに影響することを避け或は抑制すること及び過度の熱応力発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ハイブリッド加熱が可能な調理装置の排気筒等を省略した一部省略全体構成図である。(実施例)
図2】ハイブリッド加熱が可能な調理装置の制御盤等を省略した一部省略全体構成図である。(実施例)
図3】熱交換ジャケットの断面を含めた一部の拡大断面図である。(実施例)
図4】排気筒の結合を示す要部の断面図である。(実施例)
図5】排気筒の嵌合口と断熱室の接続口との関係を示す要部拡大平面図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願発明は、いわゆるハイブリッド加熱を可能にした調理装置において、排気筒の結合が熱交換ジャケットに影響することを避け或は抑制すること、及び過度の熱応力発生を防止することを可能にするという目的を以下のように実現した。
【0020】
本実施形態は、底部及び胴部を含む調理容器と、前記調理容器の底部をガス加熱又はガス加熱に対する電磁誘導加熱と電気加熱と蒸気加熱との何れかの選択的な組み合わせで高温加熱するための底部加熱装置と、前記調理容器の底部及び胴部の間部の壁面又は胴部の壁面に対して閉断面部を形成し前記閉断面部の内部に供給される流動性熱媒体により前記壁面に対し熱交換を行わせるための熱交換ジャケットとを備えた調理装置であって、前記底部加熱装置は、断熱室内に配置されて前記調理容器の下方に備えられ、前記断熱室は、上部を構成する上壁部及び側周部を構成する周壁部を備え、前記上壁部は、金属パネルの上面板を含むと共に開口を備え、前記熱交換ジャケットを前記上面板に直接又は間接的に搭載して前記底部を前記開口から前記断熱室内に臨ませ、前記周壁部は、周回状の金属パネルを含み、前記周壁部の上部に前記断熱室の内外を連通させる接続口を備え、前記接続口に接続する排気筒に嵌合口を形成し、前記嵌合口を前記接続口に熱膨張差に起因する相対動作が可能となるように嵌合接続させ、前記排気筒を、前記相対動作を許容する排気筒脚部により設置した。
【0021】
前記断熱室は、底壁部を有する構成にすることもできる。
【0022】
前記ガス加熱は必須である。前記ガス加熱に対する電磁誘導加熱と電気加熱と蒸気加熱との何れかの選択的な組み合わせは、ガス加熱に対する電磁誘導加熱と電気加熱と蒸気加熱との何れか1つの組み合わせの形態、電磁誘導加熱と電気加熱と蒸気加熱との内から複数を選択してガス加熱に対し組み合わせる形態にすることができる。
【0023】
前記断熱室は、断面円形状であるが、矩形状、多角形状に形成することもできる。
【0024】
前記上壁部の開口は、例えば平面視で円形の上壁部の中央部に配置される。開口を上壁部の中央部から偏倚して配置することもできる。上壁部は、平面視で矩形状、多角形状等に形成することもできる。
【0025】
前記熱交換ジャケットを前記上面板に直接搭載した状態は、上面板が平坦でその上に熱交換ジャケットの平坦な底面を載せる形態である。前記熱交換ジャケットを前記上面板に間接的に搭載した状態は、上面板に座部等を介して載せる形態である。調理容器は、直径方向の一側おいて回転軸により回転自在に支持され、調理容器が回転軸を中心に直径方向の他方側上方へ移動するように反転駆動可能となっている。この調理容器の反転を戻すことで熱交換ジャケットを上面板に直接又は間接的に載せることになる。但し、調理容器の反転駆動の構成を省略し、熱交換ジャケットを上面板に直接又は間接的に単に載せる形態、載せた状態で熔接により固定する形態、同ボルトナットにより締結固定する形態等を選択することもできる。
【0026】
前記周壁部の上部に備える接続口は、断熱壁の上縁と上壁部との間で内外貫通するように備えることができる。接続口は、上壁部の直下で周壁部自体の上部を内外貫通するように形成することもできる。接続口は、外端が周壁部外に突出する形態となる。接続口は、外端が周壁部外に突出しない形態にすることもできる。
【0027】
前記接続口の外端が周壁部外に突出する形態の場合に、前記排気筒の嵌合口は、接続口に対し外嵌め内嵌めの何れでもよい。前記接続口の外端部が周壁部外に突出しない形態の場合に、前記排気筒の嵌合口は、接続口に対し内嵌めの形態となる。
【0028】
前記排気筒脚部は、1本又は複数本設定することができる。排気筒脚部は、前記嵌合口と前記接続口との間の熱膨張差に起因する相対動作を許容する設定となる。この設定は、例えば排気筒脚部の1本の設置を固定とし、他を設置面上に滑り移動可能に設置させる形態となる。但し、複数本の排気筒脚部の全てを滑り移動可能に設置させる形態にすることもできる。また、複数本の排気筒脚部の全ての設置を固定とする形態にすることもできる。全ての設置を固定する場合でも、棒状の排気筒脚部を棒状とし前記相対動作に応じて曲げ変形することで対応できる。排気筒脚部が1本の場合、設置面上に滑り移動可能に設置させる形態により対応させることもできる。排気筒脚部は、コイルバネなどで構成する形態にすることもできる。コイルバネなどは、排気筒脚部の一部として構成することもできる。
【0029】
前記周壁部と前記上壁部との間に接続口を備える場合は前記接続口の外端部を前記周壁部の外側へ突出形成し、前記上面板を前記周壁部の外側へ部分的に突出させて前記外端を構成する接続上縁部を備えた。
【0030】
前記接続上縁部は、上面板に対して一体に突出させている。接続上縁部を別体で形成し、上面板の外縁に熔接接合することもできる。
【0031】
前記上面板は、前記周壁部の金属パネルよりも相対的に厚く形成されている。上面板を周壁部の金属パネルと同等の厚みに形成することもできる。
【0032】
前記断熱室及び底部加熱装置は、共通の支持台に搭載され、前記支持台は、調理中の食材の重量変化を検出して前記底部加熱装置の加熱制御に供する重量検出器を備え、前記支持台の一部を前記排気筒の下部に延設して排気筒搭載部を設定し、前記排気筒脚部を前記排気筒搭載部に設置させた。
【実施例
【0033】
[ハイブリッド加熱の調理装置]
図1は、ハイブリッド加熱が可能な調理装置の排気筒等を省略した一部省略全体構成図である。図2は、ハイブリッド加熱が可能な調理装置の制御盤等を省略した一部省略全体構成図である。
【0034】
図1図2のように、ハイブリッド加熱が可能な調理装置は、調理容器1と、底部加熱装置3と、熱交換ジャケット5とを備えている。
【0035】
前記調理容器1は、食材、例えば野菜などを投入して炒め調理し、あるいは練りあん、ソース、スープ、その他食品を煮詰め調理する大型の調理容器で構成されている。調理容器1は、皿状、又は球面状に形成された底部13と、該底部13の外周側に立ち上がった胴部15とを含んでいる。底部13は、大きな曲率半径の球面で構成された調理容器1の下部である。胴部15は、調理容器1の側壁部を構成し、断面が直状に立ち上がった部分である。底部13と胴部15との間は、湾曲したコーナー部14となっている。底部13は、コーナー部14に結合され、胴部15は、コーナー部14から立ち上がって全体が一体に形成されている。但し、調理容器1の形状は、底部13及び胴部15を含み加熱を区分けできる限り特に限定されるものではない。調理容器1は、鉄、ステンレス、あるいは鉄とステンレスを多層にしたもの、さらには銅のいずれか、あるいはこれらの組み合わせによって形成されている。調理容器1の底部13には、外周側に図示しない温度センサが取り付けられている。この温度センサは底部13の壁面温度を検出するもので、その出力は制御盤11に入力されるようになっている。
【0036】
前記底部加熱装置3は、前記調理容器1の底部13下面に配置され、該底部13を加熱するためのもので、本実施例ではガス加熱を用いたガス加熱装置で構成されている。前記底部加熱装置3は、複数のガスバーナ17,19,21を備えている。ガスバーナ17,19,21は、平面から見て円環状にそれぞれ複数配置されているもので、ガスバーナ17、19が内輪側、ガスバーナ21が外輪側の配置となって、内外輪各別に制御できる。
【0037】
前記ガスバーナ17,19,21は、ガス配管によって燃料ガスの供給源に接続されている。ガス配管には、ソレノイドバルブが備えられ、制御盤11によって駆動制御可能となっている。
【0038】
前記熱交換ジャケット5は、前記調理容器1の底部13よりも外周側の壁面に対し閉断面部を形成する。閉断面部内部に流動性熱媒体を供給して前記壁面に対し熱交換可能にする。すなわち、熱交換ジャケット5は、本実施例において底部13外周側のコーナー部14を覆っている。この熱交換ジャケット5は、コーナー部14の一側の底部13から同他側の胴部15にかけてその外面に閉断面部を形成する。この熱交換ジャケット5は、調理容器1の全周に連続して形成されている。従って、熱交換ジャケット5に供給された流動性熱媒体によって調理容器1の全周において熱交換することができる。但し、熱交換ジャケット5を調理容器1の全周方向で所定長さごとに区画して設けることもできる。この場合、各区画された熱交換ジャケットのそれぞれに各別の制御によって流動性熱媒体を給排することもできる。
【0039】
前記熱交換ジャケット5には、図示しない媒体給排装置により流動性熱媒体として蒸気と水と空気とを選択して給排するようになっている。尚、熱交換ジャケット5によって加熱のみを目的とする場合には、媒体給排装置により流動性熱媒体として蒸気のみを給排する。
【0040】
前記媒体給排装置は、図示しない上部配管と、下部配管とを備え、上部配管は熱交換ジャケット5の一側においてその上部側に接続され、下部配管は同他方側において下部側に接続されている。上部配管は、3つの配管に分岐され、それぞれソレノイドバルブが備えられている。これら各ソレノイドバルブは前記制御盤11によって開閉制御されるようになっている。そして、前記配管の一つは、図示しない蒸気の供給源に接続されている。この配管には、圧力センサが設けられ、その検出値は制御盤11に入力されるようになっている。また、図示しない他の配管の一つは、冷却水の排出部に接続され、同残りの配管は冷却空気の排出部に接続されている。
【0041】
前記下部配管は、図示しない3つの配管に分岐され、それぞれソレノイドバルブが備えられている。各ソレノイドバルブは、前記制御盤11によって開閉制御されるようになっている。前記配管の一つは、図示しない蒸気の排出側に接続され、同他の配管の一つは冷却空気の供給源に接続され、同残りの配管は冷却水の供給源に接続されている。
【0042】
前記底部加熱装置3は、断熱室23内に配置されて前記調理容器1の下方に備えられている。断熱室23及び底部加熱装置3は、制御盤11等と共に共通の支持台25上に搭載されている。つまり、底部加熱装置3は、配管等を含めて断熱室23側に支持され、断熱室23が、断熱室脚部23aにより支持台25上に取り付けられている。断熱室23については、熱交換ジャケット5との関係においてさらに後述する。
【0043】
前記支持台25には、接地用の複数の足部27が設けられている。各足部27には、前記重量検出器9として、例えばロードセルが取り付けられている。各足部27のロードセルの検出信号は、前記制御盤11に入力されるようになっている。重量検出器9は、調理中の食材の重量変化を検出して前記底部加熱装置3及び媒体給排装置による蒸気の供給等による加熱制御に供する。これら各足部27に取り付けられたロードセルの検出荷重を平均化することによって、調理容器1及び熱交換ジャケット5側の全重量を正確に検出することができる。特に調理中に調理容器1内において食材が片寄ったり、攪拌によって動いたりしても、その時々の荷重を各足部27に取り付けたロードセルによって検出し、その平均を算出することによって逐次正確な重量検出を行うことができる。尚、本実施例においては、前記断熱室23側を含めて調理容器1及び熱交換ジャケット5側の全重量を検出するようになっている。
【0044】
前記制御盤11は、重量変化記憶装置として前記調理容器1に投入された食材の調理目的を達成するための加熱時含水率変化に応じた重量変化を予め基準値として記憶している。食材の調理目的としては、次のようなものがある。例えば加熱調理の途中や終了時において、含水率変化を適正に保つことによって、食材の糖度などを適正に管理し、加熱調理後の食材の風味等を的確に目的の状態とする。あるいは加熱調理中に焦げを起こさないように含水率変化を正しく行わせる。さらには食材によっては多少の焦げを意図的に起こさせ、焦げによる風味あるいは着色を加える。
【0045】
これら食材の調理目的を達成するために、予め実験により調理目的に応じて加熱時含水率変化に応じた食材の重量変化を足部27に設けた重量検出器9で検出し、予め制御盤11に記憶させた基準値と比較して制御を行わせる。特に、野菜の炒め、練りあん、ソース、スープの製造、その他食品を煮詰め、さらには食品の煮込みなどによって投入する食材及び水、調味材の種類及び投入量が個々異なっているため、これらの投入状況と加熱調理中の最適な含水率変化に応じた重量変化との関係、加熱終了に伴う最適な含水率と重量との関係を全て予め実験により求め、これを基準値として制御盤11に記憶させている。
【0046】
また、制御盤11は、駆動制御装置として重量検出器9で検出された全重量の変化から、調理容器1に投入された食材の重量変化を演算し、食材の重量変化を前記基準値に一致させるように底部加熱装置3及び媒体給排装置を駆動制御する。
【0047】
前記調理容器1には、上部から図示しない攪拌装置の攪拌羽根が挿入されて、加熱撹拌可能となっている。また、調理容器1は、その直径方向の一側おいて回転軸29により回転自在に支持されている。回転軸29は、支持台25に設けられた軸支持部に回転自在に支持されている。調理容器1には、ブラケット等を介してピストンシリンダ装置が結合されており、該ピストンシリンダ装置の駆動によって、調理容器1が回転軸29を中心に直径方向の他方側上方へ移動するように反転駆動可能となっている。この駆動によって、調理容器1内の加熱調理後の食材を排出できるようになっている。
【0048】
前記断熱室23は、上部を構成する上壁部33及び側周部を構成する周壁部35を備えている。断熱室23、上壁部33、及び周壁部35については、熱交換ジャケット5との関係でさらに後述する。
【0049】
前記周壁部35の上部には、断熱室23の内外を連通させる接続口37を備えている。この接続口37に排気筒39の嵌合口41が接続されている。
【0050】
前記排気筒39には、排気筒脚部43が取り付けられている。排気筒39は、排気筒脚部43により後述の排気筒搭載部25a上に設置されている。排気筒搭載部25aは、支持台25の一部を排気筒39の下部に延設して設定されている。従って、気筒搭載部25aは、支持台25の一部を構成している。
【0051】
前記接続口37、排気筒39、及び嵌合口41、排気筒脚部43及び排気筒搭載部25aについてはさらに後述する。
【0052】
図3は、熱交換ジャケットの断面を含めた一部の拡大断面図である。前記接続口37と熱交換ジャケット5及び断熱室23との関係を説明するために熱交換ジャケット5との関係において、まず断熱室23を詳細に説明する。
【0053】
図3のように、前記熱交換ジャケット5は、ジャケット側壁5a及びジャケット底壁5bを備えている。ジャケット側壁5a及びジャケット底壁5bは溶接等により一体に接合されている。
【0054】
前記ジャケット側壁5aは、上下に沿って重力方向で垂直に胴部15に平行に形成されている。ジャケット側壁5aの上端は、内側へ湾曲形成され、端縁が胴部15の外面に突き合わされて溶接等により接合されている。前記ジャケット底壁5bは、水平な平坦に形成されている。ジャケット底壁5bの内端は、上方へ湾曲形成され、端縁が底部13の外面に突き合わされて溶接等により接合されている。ジャケット底壁5bの外端は、端縁が前記ジャケット側壁5aに内側から突き合わされて溶接等により接合されている。この場合、ジャケット側壁5aの下端縁5aaは、ジャケット底壁5bよりも下方へ突出し、立下部5abが熱交換ジャケット5の外周部に備えられている。
【0055】
前記断熱室23は、前記調理容器1の底部13を前記断熱室23内に臨ませる開口31を上壁部33の内周側に備えている。断熱室23の周壁部35は、内外周の断熱壁47、49を備えている。内外周の断熱壁47、49の上端に上壁部33が固定されている。断熱壁47、49間には、周回状の空洞部51が形成されている。
【0056】
前記上壁部33は、周回形状の断熱壁53及び上面板55を備えている。断熱壁53は、ステンレス製等の金属パネルである薄板53a上にセラミックなどによる断熱材53bを備え、内周にアングル材53cを一体に備えている。上面板55は、ステンレス製等の金属パネルであり、アングル材53c上から断熱材53b上に周方向に渡って接合されている。この上面板55は、変形防止、割れ防止を考慮した厚みで周壁部35の薄板47a、49a、49bに対して相対的に厚く形成されている。上面板55の内縁は、アングル材53cの内周面よりも径が若干大きく、上面板55の外縁は、断熱材53bの外周面よりも径が若干大きく設定されている。
【0057】
前記内周の断熱壁47は、ステンレス製等の金属パネルである円筒状の薄板47aにセラミックなどによる断熱材47bを支持させたものである。薄板47aの上部は、断熱材47bよりも上方へ延設され、上壁部33の内周に至り、アングル材53cの内周に熔接等により接合されている。薄板47aには、断熱材47bと上壁部33との間で通気用の図示しない孔が複数形成されている。
【0058】
前記外周の断熱壁49は、円筒状の内外の薄板49a、49bによりセラミックなどによる断熱材49cを挟み込んで支持している。内周の薄板49a及び断熱材49cの上縁は同高さに形成され、内周の薄板49a及び断熱材49cの上縁に上壁部33の下面が接合支持されている。外周の薄板49bは、内周の薄板49a及び断熱材49cの上縁よりも上方へ突出している。薄板49bの上部は、上壁部33の断熱材53bの外周を隙間を持って囲んでいる。薄板49bの上縁は、上壁部33の上面板55の下面に突き当てられ、熔接されている。
【0059】
前記上壁部33に、座部57が備えられている。座部57は、前記開口31の回りで周回状に形成されている。つまり、座部57の内法が開口31の内法を構成している。但し、座部57の内法を開口31の内法よりも大きく設定することもできる。上壁部33の内周により開口31を直接構成することもできる。
【0060】
前記座部57は、アングル材59及びセラミックなどによる断熱材61を備えている。アングル材59は、内法を前記開口31に向けて配置され前記上面板55の内縁で上面に溶接などにより結合されている。断熱材61は、アングル材59の内法に備えられている。断熱材61の下部は、上壁部33のアングル材53cの内周側で薄板47aの上部内周面を覆うように形成されている。本実施例では、断熱材61の内周面が開口31の内周を構成する。
【0061】
前記調理容器1は、前記断熱室23上に配置され、前記熱交換ジャケット5のジャケット底壁5bを前記座部57のアングル材59上に載せ、蒸気ジャケット5を上面板55に間接的に搭載させている。前記のように調理容器1が回転軸29を中心に直径方向の他方側上方へ移動するように反転駆動され、調理容器1内の加熱調理後の食材を排出させた後、反転を戻した時に蒸気ジャケット5のジャケット底壁5bがアングル材59上に受けられる。このとき、ジャケット底壁5bの平坦な面がアングル材59上の平坦な面に周回状に密接し、上面板55上での断熱室23内外の気密性が保たれる。アングル材59は、断熱材61により断熱室23内側から熱が伝わり難くなっている。この結果、断熱室23内からアングル材59を介した熱交換ジャケット底壁5bへの伝熱が抑制される。調理容器1の底部13は、開口31から断熱室23内に臨ませている。
【0062】
前記断熱室23の上壁部33の上面板55と熱交換ジャケット5のジャケット底壁5bとの間に、断熱室23の外側となる空気層63を備えている。上面板55及びジャケット底壁5bは共に平坦であり、空気層63は、ほぼ均等な上下寸法でドーナツ状に形成されている。この空気層63は、上壁部33と共に熱交換ジャケット5と底部加熱装置3とを熱的に区画している。
【0063】
前記熱交換ジャケット5の立下部5abは、断熱室23の上壁部33に指向し、下縁が上面板55の外縁に近接又は当接している。したがって、前記熱交換ジャケット5の外周に、空気層63の外側で熱交換ジャケット5と上壁部33との間はほぼ閉止された構成となっている。
【0064】
[排気筒の結合構造]
図4は、排気筒の結合を示す要部の断面図である。図5は、排気筒の嵌合口と断熱室の接続口との関係を示す要部拡大平面図である。
【0065】
図4図5のように、前記接続口37は、本実施例において周壁部35の外周の断熱壁49と上壁部33との間に備えられている。この接続口37に排気筒39が接続され、この排気筒39から断熱室23内での底部加熱装置3の燃焼による排気を行わせる。
【0066】
前記接続口37に対する前記嵌合口41の嵌合接続は、熱膨張差に起因する相対動作が可能となるように行われている。具体的には、排気筒39が断熱室23に対して別体で形成され、嵌合口41が接続口37に嵌合により接続され、溶接による固定は行われていない。
【0067】
前記接続口37は、例えば横長の矩形断面に形成されている。但し接続口37の断面形状の設定は自由であり、円形断面、楕円断面、多角形断面等に形成することもできる。
【0068】
前記接続口37の外端は、周壁部35の外側へ突出するように形成されている。接続口37に対応して上面板55を周壁部35の外側へ部分的に一体に突出させている。上面板55の部分的に突出した部分は、接続上縁部55aとして接続口37の上部で外端を構成している。この接続上縁部55aの下面に口金65が熔接等で結合されている。口金65は、左右の接続側縁部65aと下部の接続下縁部65bとを備えている。左右の接続側縁部65aの上縁が接続上縁部55aの下面に熔接接合されて接続口37の側部及び下部と外端とが構成されている。口金65は、断熱室23の外周の断熱壁49を貫通するように断熱室23内側方向へ延設されている。口金65は、空洞部51に内端が臨んでいる。口金65の接続側縁部65a及び接続下縁部65bは、断熱壁49の薄板49a、49bに対して熔接されている。
【0069】
前記排気筒39は、煙突受け67に煙突部69を結合し、煙突部69の回りに多孔板或いはメッシュなどの通気カバー71を配置したものである。煙突受け67は、断面矩形状の一側部67aを備えている。一側部67aの端部に矩形状の前記嵌合口41が備えられている。
【0070】
前記嵌合口41は、嵌合上縁部41aと左右の嵌合側縁部41bとを備えている。嵌合上縁部41a及び左右の嵌合側縁部41bは、一側部67aの端部に突設されている。嵌合上縁部41a及び嵌合側縁部41bは、下部の嵌合下縁部41cよりも突出している。
【0071】
前記嵌合上縁部41aは、接続口37への嵌合状態で接続口37の接続上縁部55aの上面にメタル接触により接合する。左右側縁部41bは、接続口37の接続側縁部65aの外面にメタル接触により接合する。嵌合下縁部41cは、接続口37の接続下縁部65bに端縁が突き当たる。
【0072】
かかる接続口37に対する嵌合口41の嵌合接続は、熱膨張差に起因する相対動作が可能となる。
【0073】
前記排気筒脚部43は、排気筒39を排気筒搭載部25a上に設置し前記相対動作を許容する。排気筒脚部43は、パイプ部43a、43bと螺合調節による螺合調節部43c、43dとからなり、図5のように、2本が接続口37及び嵌合口41に対して傾斜するように配置されている。この配置は、煙突部69の円形断面において径方向に均等であり、傾斜はほぼ45°となっている。
【0074】
前記螺合調節部43cは、下端のボルトの頭部が排気筒搭載部25a上に当接している。このボルトの頭部は、排気筒搭載部25a上の設置面に対し熔接等での固定はされていない。つまり、排気筒脚部43のパイプ部43a及び螺合調節部43cは、排気筒39の荷重を排気筒搭載部25aに逃がす支柱の接点であり、下端のボルトの頭部が排気筒搭載部25a上を滑って移動できるようにしている。これに対し、他方の螺合調節部43dは、下端のボルトの頭部がフランジ部に熔接等により固定され、このフランジ部が排気筒搭載部25aに煙突受け固定ボルトで固定された構造となっている。
【0075】
前記排気筒脚部43は、前記排気筒搭載部25aに対する搭載により、排気筒39の重量も重量検出器9により断熱室23等と共に検出されることになる。また、排気筒脚部43は、パイプ部43a、43bに対する螺合調節部43c、43dの螺合調節により長さ設定ができ、接続口37及び嵌合口41の正確な嵌合接続を行わせることができる。
【0076】
[相対動作]
例えば、蒸気加熱、ガス加熱時に断熱室23の接続口37と排気筒39の嵌合口41との間に熱膨張収縮の大きさ、方向の相違があっても、接続口37及び嵌合口41の相互に固定しない嵌合接続により接続口37及び嵌合口41間が膨張収縮に応じて相対的に動くことができる。
【0077】
また、鍋(調理容器1を含む全体)及び排気筒39各部の膨張収縮による変形が接続口37及び嵌合口41の嵌合接続の隙間を越えた場合、変形が接続口37から嵌合口41に伝達され、排気筒39が無理な移動力を受ける。このとき、排気筒搭載部25a上で螺合調節部43cが滑り移動により変位すると共にパイプ部43bが曲げ方向に撓み、螺合調節部43cの移動変位を許容する。このため、接続口37及び嵌合口41間での熱応力による変位を許容することができ、熱交換ジャケット底壁5b等での変形発生を抑制し、亀裂発生を抑制できる。
【0078】
さらに、このような熱応力の緩和により、座部57とジャケット底壁5bとの寸法精度を保ち、この部分からの燃焼ガスの漏洩を抑えることができる。
【0079】
このため、接続口37及び嵌合口41間に無理な応力が働かず、上面板55等の変形を防止し又は抑制することができる。上面板55等の変形を防止等により、上面板55上方の熱交換ジャケット5に影響を与えることが無く、熱交換ジャケット5の正常な稼働を維持させることができる。
【0080】
加熱による膨張収縮時に、煙突受け67が取付状態に対して多少偏倚するときは、螺合調節部43cの排気筒搭載部25a上に対する移動及びパイプ部43bの曲げ方向の撓みにより偏倚が吸収される。このため、加熱時の接続口37及び嵌合口41間の相対動作を無理なく行わせることができる。
【0081】
前記排気筒39の取付に際しては、嵌合口41の嵌合上縁部41aを接続口37の接続上縁部55a上に斜め上方から合わせるように嵌め合わせることができ、接続口37及び嵌合口41間の嵌合接続を容易に行わせることができる。
【0082】
この取付時に前記嵌合上縁部41a及び接続上縁部55a間に上下の隙間が空くときは、螺合調節部43c、43dの螺合調節により煙突受け67の断熱室23に対する上下位置、傾斜状態を修正する。この修正により接続口37及び嵌合口41間のメタル接触による嵌合接続を正確に行わせることができる。
【0083】
[加熱調理]
加熱調理に際してまず、調理容器1内に野菜等の食材、必要に応じて水、さらには調味材等が投入される。これら投入量は予め決めた基準値に応じて行う。水、調味材等の投入時期は調理目的に応じて加熱開始からずれることもあり、また投入量は調理目的に応じて変更されるものである。これらは、適正な含水率を得るために予め実験により決められている。前記投入時期が予め実験的に決められていることにより、調理目的に応じて食材の投入量、水、調味料等の投入量を極めて容易に把握することができ、作業性が著しく向上する。
【0084】
そして、制御盤11の駆動制御によってシステムがスタートする。制御盤11の制御により予め設定されたプログラムに応じて底部加熱装置3及び媒体給排装置が駆動制御される。この駆動制御により底部加熱装置3の各ガスバーナ17,19,21から燃料ガスが噴き出され、制御盤11のコントロールによる自動着火によって点火が行われる。これによって、調理容器1の底部がガス加熱により高温で加熱される。
【0085】
同時に制御盤11の駆動制御によって、媒体給排装置により蒸気の供給源から熱交換ジャケット5内に蒸気が供給される。この供給される蒸気は、加熱目的に応じて飽和蒸気、過熱蒸気など種々選択されるものである。この熱交換ジャケット5内に供給された蒸気が調理容器1の底部13よりも外周側の壁面に対して熱交換を行ない、該部分において調理容器1が加熱されることになる。
【0086】
調理過程において、調理容器1内の含水率の変化は、食材の糖度、塩度、旨み等の濃度あるいは焦げつきに関係する極めて重要な要素である。従って、各足部27に取り付けた重量検出器9の各ロードセルによって排気筒39を含めた全重量を検出し、食材の重量として製品重量を演算する。つまり、検出した全重量に基づき制御盤11によって調理容器1内の食材の重量変化を逐次演算する。かかる演算結果は、基準値と比較され、これと一致するように底部加熱装置3、媒体給排装置が制御されることになる。なお、基準値を加熱調理中の含水率に応じた調理容器1等を含む全重量変化とし、かかる基準値と検出した全重量とを直接比較して制御する構成にすることもできる。
【0087】
製品重量が設定値を上回っていれば、含水率が設定値よりも高いと判断し、製品重量が設定値を下回っていれば、含水率が設定値と同等か低いと判断する。
【0088】
例えば底部加熱装置3側において、外輪側のガスバーナ21、内輪側のガスバーナ17,19を選択的に停止させる。
【0089】
上記のような加熱制御により、調理容器1の上部にまで大量に投入された野菜等であっても、底部加熱装置3による加熱と、熱交換ジャケット5での熱交換による加熱とにより、高速加熱を行うことができる。
【0090】
そして、調理容器1内に投入された食材が、例えば野菜であり、これを炒め調理する場合に、調理容器1の上部にまで一杯に投入された野菜は、底部13側へ短時間で集束し、底部13側におけるガス加熱によって高温調理を行うことができる。
【0091】
ここで、上記のように底部13のガス加熱のみで高温調理を行なう場合、当初加熱釜1の上部にまで一杯に投入された野菜をいち早く底部13側へ集束させようとしてガスによる高温加熱を強烈に行うと、投入された野菜が容易に焦げてしまうものとなる。また、このような焦げを避けようとして、ガス加熱の度合いを弱めると、投入された野菜が底部13側へ集束するのに時間がかかりすぎてしまうものとなる。
【0092】
これに対し、上記のようなガスによる底部13の加熱と、蒸気による胴部15側での熱交換による加熱とにより、大量に投入された野菜等を底部13側へいち早く短時間で集束させ、ガス加熱による高温加熱をいち早く行わせることができる。すなわち、いわゆるハイブリッド加熱によって、短時間高温調理を行うことができる。
【0093】
前記熱交換ジャケット5による閉断面部への蒸気の供給が停止されたとき、底部加熱装置3による高温加熱で断熱室23内の温度は高温となっている。底部加熱装置3による高温加熱は引き続き行われるので断熱室23内は、高温の状態が継続する。
【0094】
一方、熱交換ジャケット5内には、ドレンが残存する場合があり、断熱室23の高温が熱交換ジャケット5に伝達されるとドレンが蒸発し始め、その蒸発熱により底部13の高温加熱時に食材の熱が奪われる恐れがある。
【0095】
この点、本実施例では、断熱室23内の高温の熱が断熱壁53及び上面板55で遮られる。重ねて空気層63により熱交換ジャケット5のジャケット底壁5bに熱が直接的に伝熱されることが防止される。この場合、前記のように断熱室23の接続口37と排気筒39の嵌合口41との間に熱膨張収縮の大きさ、方向の相違があっても無理な応力が働かないので、熱交換ジャケット5への影響を防止し、或は抑制することができる。
【0096】
また、熱交換ジャケット5のジャケット底壁5bとアングル材59との全周での密着性も正確に維持させることができる。この密着性により空気層63側への排気の漏れも確実に抑制することができる。
【0097】
これらにより、空気層63は正常に機能し、底部13の高温加熱時に食材の熱がドレンの蒸発熱により奪われることが無いか抑制され、短時間高温調理をより高度に行うことができる。
【0098】
前記立下部5abは、空気層63の外周を覆うから、熱交換ジャケット5の外面を流下する液が空気層63を介して断熱室23内へ浸入することを防止或は抑制することができる。この場合も、接続口37及び嵌合口41間に無理な応力が働かないので、立下部5abの機能を正確に維持させ、外部からの液の浸入を防止し、又は抑制することができる。
【0099】
かかる調理において、攪拌装置の稼働によって、調理容器1内の食材を攪拌調理することができ、全体として高温高速攪拌調理を行うことができる。
【符号の説明】
【0100】
1 調理容器
3 ガス加熱装置(底部加熱装置)
5 熱交換ジャケット
9 重量検出器「
13 底部
15 胴部
23 断熱室
25 支持台
25a 排気筒搭載部
31 開口
33 上壁部
35 周壁部
37 接続口
41 嵌合口
41a 嵌合上縁部
43 排気筒脚部
45 排気筒搭載部
49a、49b 薄板(金属パネル)
55 上面板(金属パネル)
55a 接続上縁部
図1
図2
図3
図4
図5