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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】粉末状リップオーバーコート化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20240613BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240613BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240613BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240613BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/02
A61K8/19
A61K8/81
A61Q1/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020130586
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026905
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390041036
【氏名又は名称】株式会社日本色材工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】日比 博久
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-024512(JP,A)
【文献】特開平08-295614(JP,A)
【文献】特開平07-145020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分:
(a)平均粒子径3~50μmの球状粉体、および
(b)平均粒子径10~60μmの板状粉体
を含んでなり、前記成分(a)および(b)の合計含有量に対する成分(b)の質量比((b)/((a)+(b)))が0.1~0.9である粉末状リップオーバーコート化粧料であって、
前記化粧料において、前記成分(a)および前記成分(b)の合計含有量が80質量%以上である、粉末状リップオーバーコート化粧料
【請求項2】
前記化粧料において、前記成分(a)の含有量が10~99質量%であり、前記成分(b)の含有量が1~90質量%である、請求項1に記載の粉末状リップオーバーコート化粧料。
【請求項3】
前記成分(a)の平均粒子径が5~40μmであり、前記成分(b)の平均粒子径が20~50μmである、請求項1または2に記載の粉末状リップオーバーコート化粧料。
【請求項4】
(b)/((a)+(b))が0.1~0.7である、請求項1~のいずれか1項に記載の粉末状リップオーバーコート化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状リップオーバーコート化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口紅が他のものに色移りしにくくする方法として、口紅を塗布した上に粉末化粧料を薄く塗布する方法が知られている。しかし、この場合には、口紅にうまくなじまず均一に塗布しにくかったり、口紅の色が白っぽく変化してしまうことにより化粧効果が低下するという問題があった。こうした問題に対し、色移りを防止するだけでなく、化粧効果との両立を目的とした口紅オーバーコートが提案されており、例えば、パーフルオロアルキル基含有フッ素変性シリコーンと粉末成分とを組み合わせたペースト状の口紅オーバーコートが報告されている(特許文献1)。しかし、この口紅オーバーコートは、表面が滑らかな食器等への色移りは十分に抑制できるものの、布やウレタン等の凹凸のある生地で作られるマスク等への色移りには十分な効果を有するものではなかった。
【0003】
現在、新型コロナウイルスの流行によりマスクの着用が日常となっており、その際、口紅の色がマスクに移ってしまうことが問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-295614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の諸問題を解消するためになされたものであり、布やウレタン等のマスクへの色移りを抑制でき、かつ、口紅の色の変化やツヤの低減を抑制することができるなど、化粧効果を損ないにくい口紅オーバーコート化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の形状および粒子径を有する球状粉体と板状粉体とを一定の比率で組み合わせた粉末状の口紅オーバーコート化粧料が、口紅の色移りを抑制でき、化粧効果を損ないにくいことを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の成分:(a)平均粒子径3~50μmの球状粉体、および(b)平均粒子径10~60μmの板状粉体を含んでなり、前記成分(a)および(b)の合計含有量に対する成分(b)の質量比((b)/((a)+(b)))が0.1~0.9である粉末状リップオーバーコート化粧料を提供するものである。
【0008】
前記化粧料において、前記成分(a)の含有量が10~99質量%であり、前記成分(b)の含有量が1~90質量%であることが好ましく、前記成分(a)の含有量が30~90質量%であり、前記成分(b)の含有量が10~70質量%であることがより好ましい。
【0009】
前記化粧料において、前記成分(a)および前記成分(b)の合計含有量が80質量%以上であることが好ましい。
【0010】
前記成分(a)の平均粒子径が5~40μmであり、前記成分(b)の平均粒子径が20~50μmであることが好ましい。
【0011】
(b)/((a)+(b))が0.1~0.7であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る粉末状リップオーバーコート化粧料は、マスク等への色移りを抑制でき、かつ、化粧効果を損ないにくい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本発明は、下記の成分:(a)平均粒子径3~50μmの球状粉体、および(b)平均粒子径10~60μmの板状粉体を含んでなり、前記成分(a)および(b)の合計含有量に対する成分(b)の質量比((b)/((a)+(b)))が0.1~0.9である粉末状リップオーバーコート化粧料である。
【0015】
成分(a)は、球状粉体である。ここで、「球状」には、真球状のみならず、金平糖状などの略球状などの形状も含まれてよい。また、「平均粒子径」とは、例えば、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定器を用いた測定や、超高圧透過型電子顕微鏡(TEM)もしくは走査型電子顕微鏡(SEM)による観察などによって求められる数値であり、市販品を使用する場合には、製品に表示された平均粒子径であってよい。
【0016】
本発明における球状粉体(a)は、その平均粒子径が3~50μmである。球状粉体の平均粒子径が3μm未満であると伸びが悪くなり、50μmを超えると唇に塗布した際にざらつきを感じる等使用感が低下するためである。使用感の低下をより確実に押さえるためには、5~40μmとすることが好ましい。
【0017】
球状粉体(a)は、上記平均粒子径を有する球状のものであれば、その材質は特に限定されず、通常の化粧料に用いられている球状粉体を用いることができる。具体的には、例えば、球状無水ケイ酸、球状セルロース粉末、球状ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、球状ナイロン粉末、球状ポリエチレン粉末、球状ポリスチレン粉末、球状シリコーンパウダー、球状メチルシロキサン網状重合体などが挙げられるが、これらには限定されない。球状粉体(a)の構造も特に限定されず、例えば、中実および中空のいずれであってもよく、さらに、多孔質であってもよい。さらに、球状粉体(a)は、その表面の一部または全部について親水化または疎水化処理されたものであってもよい。親水化または疎水化処理の方法はすでに十分に確立されており、従来公知の方法により行うことができる。球状粉体(a)は、それらから選択される単独、または粒径、材質、構造もしくは表面処理の異なる2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
本発明において使用できる球状粉体は市販されており、市販品を使用することもできる。例えば、SILICA MICRO BEAD P-1500(平均粒子径5.7μm)(日輝触媒工業)、ゴッドボールE-90C(平均粒子径20~40μm)(鈴木油脂工業)、TOSPEARL 150KA(平均粒子径5μm)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)、ガンツパールGMP-0800(平均粒子径8μm)(アイカ工業)、SA-SB-300(平均粒子径5μm)(三好化成)、CELLULOBEADS D-5(平均粒子径5μm)(大東化成工業)、KSP-102(平均粒子径30μm)(信越化学工業)、かるまるSCS-M5(平均粒子径5μm)(堺化学工業)などが挙げられるが、これらには限定されない。
【0019】
成分(b)は、板状粉体である。ここで、「板状」には、狭義の板状の他、薄片状または鱗状などの形状も含まれてよい。また、「平均粒子径」は上で定義したものと同様である。
【0020】
本発明における板状粉体(b)は、その平均粒子径が10~60μmである。板状粉体の平均粒子径が10μm未満であると口紅が白っぽくなることにより化粧効果が低下してしまい、50μmを超えると唇に塗布した際にざらつきを感じる等使用感が低下するためである。口紅の白さ防止効果と化粧効果をより向上し、使用感の低下をより確実に押さえるためには、20~50μmとすることが好ましい。
【0021】
板状粉体(b)は、上記平均粒子径を有する板状のものであれば、その材質は特に限定されず、通常の化粧料に用いられている板状粉体を用いることができる。具体的には、例えば、板状酸化亜鉛、板状酸化チタン、板状酸化セリウム、板状硫酸バリウム、タルク、マイカ、板状カオリン、セリサイト、白雲母、板状合成雲母、金雲母、合成金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、板状無水ケイ酸、板状ヒドロキシアパタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、板状セラミックスパウダー、板状アルミナ、板状窒化ホウ素、板状ポリメチルメタクリレートパウダー、ラウロイルリジン、板状酸化鉄、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン処理マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母、アルミニウム、板状ガラス末などが挙げられるが、これらには限定されない。また、板状粉体(b)は、その表面の一部または全部について親水化または疎水化処理されたものであってもよい。球状粉体(b)は、それらから選択される単独、または粒径、材質もしくは表面処理の異なる2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
本発明において使用できる板状粉体は市販されており、市販品を使用することもできる。例えば、PDM-40L(平均粒子径40μm)、PDM-20L(S)(平均粒子径20μm)(トピー工業)、シルキーフレークFTD025FY-F02(平均粒子径25μm)、シルキーフレークFTD025FY-F12(平均粒子径25μm)(日本板硝子)、SA-350(平均粒子径42μm)(ヤマグチマイカ)、PAOG-R(平均粒子径33μm)(日本タルク)などが挙げられるが、これらには限定されない。
【0023】
本発明の粉末状リップオーバーコート化粧料においては、上記所定の平均粒子径を有する成分(a)および(b)を、所定の質量比で含有することが必要である。本発明の粉末状リップオーバーコート化粧料において、成分(a)および(b)の合計含有量に対する成分(b)の質量比((b)/((a)+(b)))は、0.1~0.9である。この質量比の範囲であれば、口紅上への塗布しやすさ、色移りの抑制、および化粧効果のすべて満足する粉末状リップオーバーコート化粧料を得ることができる。一方、上記質量比が0.1未満の場合には、実質的に成分(a)のみからなる化粧料となり、0.9を超える場合には、実質的に成分(b)のみからなる化粧料となる結果として、伸びが悪く口紅の上に塗布しにくくなり、口紅の色が白っぽくなる等、化粧効果が低減してしまう。上記質量比の範囲は、より確実にすべての効果について良好な化粧料を得るためには、好ましくは0.1~0.7である。
【0024】
本発明の粉末状リップオーバーコート化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記成分(a)および(b)以外の粉体成分を適宜配合してよい。そのような粉体としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、ゼオライト等の無機粉末;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料;酸化鉄(ベンガラ)等の無機赤色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック等の黒色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタンコーテッドマイカ、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料等;赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号、青色1号などのジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキ等の有機顔料;ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等の樹脂フィルムの切断物等およびこれらの複合粉体等のパール、ラメ等を挙げることができる。
【0025】
本発明の粉末状リップオーバーコート化粧料は、上記成分の他、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、油性成分、界面活性剤、水溶性ポリマー、油溶性ポリマー、エタノール、多価アルコール、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0026】
本発明の粉末状リップオーバーコート化粧料がその効果を損なわないためには、化粧料の総質量に対して、成分(a)の含有量が10~99質量%であり、成分(b)の含有量が1~90質量%であることが好ましい。成分(a)の含有量が10質量%未満かつ成分(b)の含有量が90質量%超である場合には、成分(a)による効果が十分に得られず、成分(a)の含有量が99質量%超であり成分(b)の含有量が1質量%未満である場合には、成分(b)による効果が十分に得られない結果として、口紅の色が白っぽくなる等、化粧効果が低減してしまう可能性があるためである。すべての効果について良好な化粧料をより確実に得るためには、化粧料の総質量に対して、成分(a)の含有量が30~90質量%であり、成分(b)の含有量が10~70質量%であることがより好ましい。
【0027】
また、本発明の粉末状リップオーバーコート化粧料が成分(a)および(b)以外の成分を含む場合、化粧料における成分(a)および(b)の合計含有量は、80質量%以上であることが好ましい。成分(a)および(b)以外の成分の含有量が20質量%を超えると、成分(a)および(b)による効果が十分に得られない場合があるためである。
【0028】
本発明の粉末状リップオーバーコート化粧料の製造方法は、特に限定されず、通常の粉末化粧料の混合、分散、粉砕に用いられる混合機や粉砕機を使用して製造することができる。混合機としては、例えば容器回転混合機、高速流動混合機、振動混合機などが挙げられる。また、粉砕機としては、圧縮粉砕機、せん断粉砕機、衝撃粉砕機、ボール媒体粉砕機、気流粉砕機などが挙げられる。
【0029】
本発明に係る粉末状リップオーバーコート化粧料は、化粧膜を崩さずに伸び広がり、塗布後に徐々に口紅化粧膜との親和性が向上することにより、布やウレタン等の凹凸のある生地で作られるマスク等への色移りを十分に抑制することができ、また、その際に口紅の色が変化しにくく、口紅のツヤの低減も抑制できるため、化粧効果およびその持続性の改善に有用である。
【実施例
【0030】
以下に実施例を挙げ、本発明についてさらに説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0031】
<実施例1~36および比較例1~15>
下記表1~16に示す組成および以下に示す製造方法により、粉末状リップオーバーコート試料を調製し、以下に示す製造方法により調製した評価用口紅の上に塗布し、「色移り防止効果」、「色にじみ防止効果」、「口紅の白さ防止効果」、「口紅のツヤ低減防止効果」、「口紅の上へののばしやすさ」の項目について以下に示す評価方法および判定基準により評価し、その結果をあわせて表1~16に示した。表中、各成分の数値は質量%である。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
【表9】
【0041】
【表10】
【0042】
【表11】
【0043】
【表12】
【0044】
【表13】
【0045】
【表14】
【0046】
【表15】
【0047】
【表16】
【0048】
※1: SILICA MICRO BEAD P-1500(日輝触媒工業)
※2: ゴッドボールE-90C(鈴木油脂工業)
※3: TOSPEARL 150KA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)
※4: ガンツパールGMP-0800(アイカ工業)
※5: SA-SB-300(三好化成)
※6: CELLULOBEADS D-5(大東化成工業)
※7: KSP-102(信越化学工業)
※8: かるまるSCS-M5(堺化学工業)
※9: SB-700/HA(N)(三好化成)
※10: COSMO55(日輝触媒工業)
※11: ゴッドボールE-2C(鈴木油脂工業)
※12: ゴッドボールB-6C(鈴木油脂工業)
※13: PDM-40L(トピー工業)
※14: シルキーフレークFTD025FY-F02(日本板硝子)
※15: SA-350(ヤマグチマイカ)
※16: PDM-20L(S)(トピー工業)
※17: シルキーフレークFTD025FY-F12(日本板硝子)
※18: PAOG-R(日本タルク)
※19: SG-95(日本タルク)
※20: 合成マイカNK-8G(日本光研工業)
※21: タルクJA-13R(浅田製粉)
【0049】
[製造方法]
粉体原料をミキサーにて均一に混合分散し、透明瓶に充填して粉末状リップオーバーコート化粧料を得た。
【0050】
[評価用口紅]
以下の成分1~5を加熱溶解した後、成分6~9を添加し均一に混合し、90℃で溶解した。容器に流し込み、冷却し、スティック状の評価用口紅を得た。
【0051】
[評価方法および判定基準]
a.色移り防止効果
(評価方法)
ヒト上腕部に評価用口紅を長さ3cmに2回塗布し、その上に各試料を塗布した後、不織布マスクを押しつけて色移りを見た。
(評価基準)
非常に優れている : ◎
優れている : ○
十分ではない : △
効果なし : ×
【0052】
b.色にじみ防止効果
(評価方法)
5名のパネルによる実使用性試験を行った。評価は、唇に評価用口紅を塗布した上から各試料を塗布し、4時間後に下記のスコアに基づいて色にじみの防止効果の有無を採点し、そのスコア平均値を評価値として下記評価基準により評価した。
(スコア)
0点: 効果なし
1点: 十分ではない
2点: 優れている
3点: 非常に優れている
(評価基準)
◎: 2.5点以上
○: 1.5点以上~2.5点未満
△: 0.5点以上~1.5点未満
×: 0.5点未満
【0053】
c.口紅の白さ防止効果
(評価方法)
5名のパネルによる実使用性試験を行った。評価は、唇に評価用口紅を塗布した上から各試料を塗布し、直後に、下記のスコアに基づいて塗布膜が白っぽくならないかどうかを採点し、そのスコア平均値を評価値として下記評価基準により評価した。
(スコア)
0点: 効果なし
1点: 十分ではない
2点: 優れている
3点: 非常に優れている
(評価基準)
◎: 2.5点以上
○: 1.5点以上~2.5点未満
△: 0.5点以上~1.5点未満
×: 0.5点未満
【0054】
d.口紅のツヤ低減防止効果
(評価方法)
5名のパネルによる実使用性試験を行った。評価は、唇に評価用口紅を塗布した上から各試料を塗布し、4時間後に、下記のスコアに基づいてツヤの状態を採点し、そのスコア平均値を評価値として下記評価基準により評価した。
(スコア)
0点: ツヤがなくなった
1点: 十分ではない
2点: 良い
3点: 非常に良い
(評価基準)
◎: 2.5点以上
○: 1.5点以上~2.5点未満
△: 0.5点以上~1.5点未満
×: 0.5点未満
【0055】
e.口紅の上へののばしやすさ
(評価方法)
5名のパネルによる実使用性試験を行った。評価は、唇に評価用口紅を塗布した上から各試料を塗布し、下記のスコアに基づいてのばしやすさを採点し、そのスコア平均値を評価値として下記評価基準により評価した。
(スコア)
0点: 不良
1点: やや不良
2点: 優れている
3点: 非常に優れている
(評価基準)
◎: 2.5点以上
○: 1.5点以上~2.5点未満
△: 0.5点以上~1.5点未満
×: 0.5点未満
【0056】
[結果]
表1~11の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1~36は、「色移り防止効果」、「色にじみ防止効果」、「口紅の白さ防止効果」、「口紅のツヤ低減防止効果」、「口紅の上へののばしやすさ」のすべての項目に優れた粉末化粧料であった。一方、成分(a)の平均粒子径の範囲外の平均粒子径を有する球状粉体および/または成分(b)の平均粒子径の範囲外の平均粒子径を有する板状粉体を用いた比較例1~12では、色移り防止効果は良好であったものの、口紅の白さ防止効果、ツヤ低減防止効果、のばしやすさの評価はいずれも低かった。また、成分(a)および(b)の含有量が少ない比較例13~15も同様であり、色移り防止効果には優れるものの、口紅の白さ防止効果、ツヤ低減防止効果、のばしやすさの評価は低かった。なお、成分1~9(成分(a)に該当)または成分13~18(成分(b)に該当)のそれぞれ単独を口紅上に塗布した場合も同様であった(データは省略)。