特許 7503306 身飾品およびその製造方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-06-12

(45)【発行日】2024-06-20

(54)【発明の名称】身飾品およびその製造方法

(51)【国際特許分類】

   A44C 25/00 20060101AFI20240613BHJP

【ＦＩ】

A44C25/00 A

【請求項の数】 11

(21)【出願番号】P 2020179270

(22)【出願日】2020-10-26

(65)【公開番号】P2022070178

(43)【公開日】2022-05-12

【審査請求日】2023-10-18

(73)【特許権者】

【識別番号】503175966

【氏名又は名称】株式会社クロスフォー

(74)【代理人】

【識別番号】100108006

【弁理士】

【氏名又は名称】松下 昌弘

(72)【発明者】

【氏名】土橋 秀位

【審査官】渡邉 洋

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１９－０６９０５０（ＪＰ，Ａ）

【文献】国際公開第２０１９／１２４１６８（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特開２０１５－０５４１６２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特許第６２８５５９５（ＪＰ，Ｂ１）

【文献】米国特許第９８８８７４９（ＵＳ，Ｂ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ４４Ｃ１／００－２７／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

金属板のプレス加工品であるフレーム部材と、
前記フレーム部材に対して揺動可能に支持された装飾部材とを有し、
前記フレーム部材は、
それぞれ第１貫通孔が形成された２つの第１係合部と、
フレーム本体とを含み、
前記フレーム本体と２つの前記第１係合部とが、同一の前記金属板から連続して一体的に形成されており、
前記装飾部材は、それぞれ第２貫通孔が形成された２つの第２係合部を含み、
一方の前記第１係合部と一方の前記第２係合部とが、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とを接触させるように互い連結されており、
他方の前記第１係合部と他方の前記第２係合部とが、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とを接触させるように互い連結されており、
前記フレーム本体に対して正面側と背面側が規定されており、
２つの前記第１係合部は、前記フレーム本体の外縁部であって、プレス加工された前記金属板の外縁にある側端面である本体外縁部から前記背面側へ延びている、
身飾品。

【請求項2】

前記第１係合部は、
前記第１貫通孔を囲む第１リング部と、
前記本体外縁部から延びた第１中間部とを含み、
前記第１中間部は、前記第１リング部の外縁部であるリング外縁部と前記本体外縁部との間に介在する、
請求項１に記載の身飾品。

【請求項3】

一の前記第１係合部を形成する前記金属板の厚み方向に対して垂直な方向における幅であって、前記本体外縁部から当該一の第１係合部が延伸する方向に対して垂直な方向における幅を、当該一の第１係合部の幅と規定した場合に、
前記第１係合部は、前記第１中間部における前記幅が前記第１リング部における前記幅に比べて小さい、
請求項２に記載の身飾品。

【請求項4】

前記フレーム本体の端部であって、前記本体外縁部を含んだ端部である本体端部の少なくとも一部は、前記背面側に反っており、
２つの前記第１係合部は、前記背面側に反った前記本体端部の前記本体外縁部から延びている、
請求項１～請求項３のいずれか一項に記載の身飾品。

【請求項5】

前記本体外縁部は、前記正面側から前記背面側へ向かう第１方向に対して平行な方向から見て凹状に湾曲した凹状部分を含み、
前記本体端部は、前記凹状部分において前記背面側に反っており、
２つの前記第１係合部は、前記凹状部分における離間した場所であって、前記凹状部分の最奥部を挟んで離間した場所から延びている、
請求項４に記載の身飾品。

【請求項6】

前記第１係合部は、当該第１係合部に連結される前記第２係合部の前記第２貫通孔を通過できない規制部であって、当該第２貫通孔を通過できないことによって当該第２係合部の揺動範囲を規制する規制部を含む、
請求項１～請求項５のいずれか一項に記載の身飾品。

【請求項7】

前記第１係合部は、前記第１貫通孔を囲む第１リング部を含み、
前記規制部は、前記第１リング部の外縁部であるリング外縁部から延びている、
請求項６に記載の身飾品。

【請求項8】

前記フレーム部材に対して、前記装飾部材を揺動可能に支持した状態における上側と下側が規定されており、
前記第１係合部は、
前記第１貫通孔を囲む第１リング部と、
前記本体外縁部から延びた第１中間部とを含み、
前記第１中間部は、前記第１リング部の外縁部であるリング外縁部と前記本体外縁部との間に介在し、前記本体外縁部から前記下側へ傾いた方向に延びている、
請求項１～請求項５のいずれか一項に記載の身飾品。

【請求項9】

フレーム部材と、前記フレーム部材に対して揺動可能に支持された装飾部材とを有する身飾品の製造方法であって、
前記フレーム部材は、
それぞれ第１貫通孔が形成された２つの第１係合部と、
フレーム本体とを含み、
前記フレーム本体に対して正面側と背面側が規定されており、
１つの金属板にプレス加工を施すことにより、２つの前記第１係合部と前記フレーム本体とが当該１つの金属板によって連続的に繋げられた状態にあり、かつ、前記フレーム本体の外縁部であって、当該１つの金属板の外縁にある側端面である本体外縁部から前記背面側へ２つの前記第１係合部が延びた状態にある前記フレーム部材を形成する工程と、
それぞれ第２貫通孔が形成された２つの第２係合部を含む前記装飾部材の一方の前記第２係合部と前記フレーム部材の一方の前記第１係合部とを、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とが接触するように互い連結させ、前記装飾部材の他方の前記第２係合部と前記フレーム部材の他方の前記第２係合部とを、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とが接触するように互い連結させる工程とを有する、
身飾品の製造方法。

【請求項10】

前記フレーム部材を形成する工程は、
前記金属板に打ち抜き加工を施すことによって、前記フレーム本体の前記本体外縁部から２つの前記第１係合部が延びたブランク材を形成する工程と、
前記ブランク材の２つの前記第１係合部が前記背面側へ延びるように前記ブランク材を折り曲げる工程とを含む、
請求項９に記載の身飾品の製造方法。

【請求項11】

前記ブランク材を折り曲げる工程は、前記フレーム本体の端部であって、前記本体外縁部を含んだ端部である本体端部の少なくとも一部が前記背面側へ反るように、前記第１係合部に隣接する部分を含んだ前記本体端部と２つの前記第１係合部とを前記背面側へ一緒に曲げることを含む、
請求項１０に記載の身飾品の製造方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、身飾品およびその製造方法に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、宝石を固定保持する台座が揺動可能に構成された身飾品が知られている。例えば、特許文献１には、宝石と、宝石を保持する部材と、宝石が保持された部材を揺動可能に支持した構造の身飾品が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０１３－１６３０３９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本開示は、宝石等を含んだ装飾部材をフレーム部材に対して揺動可能に支持した構造の身飾品において、フレーム部材が装飾部材を支持する部分の強度を向上させることが可能な身飾品とその製造方法を開示する。

【課題を解決するための手段】

【0005】

本開示の第１の態様は、金属板のプレス加工品であるフレーム部材と、前記フレーム部材に対して揺動可能に支持された装飾部材とを有し、前記フレーム部材は、それぞれ第１貫通孔が形成された２つの第１係合部と、フレーム本体とを含み、前記フレーム本体と２つの前記第１係合部とが、同一の前記金属板から連続して一体的に形成されており、前記装飾部材は、それぞれ第２貫通孔が形成された２つの第２係合部を含み、一方の前記第１係合部と一方の前記第２係合部とが、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とを接触させるように互い連結されており、他方の前記第１係合部と他方の前記第２係合部とが、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とを接触させるように互い連結されており、前記フレーム本体に対して正面側と背面側が規定されており、２つの前記第１係合部は、前記フレーム本体の外縁部であって、プレス加工された前記金属板の外縁にある側端面である本体外縁部から前記背面側へ延びている、身飾品である。

【0006】

本開示の第２の態様は、フレーム部材と、前記フレーム部材に対して揺動可能に支持された装飾部材とを有する身飾品の製造方法であって、前記フレーム部材は、それぞれ第１貫通孔が形成された２つの第１係合部と、フレーム本体とを含み、前記フレーム本体に対して正面側と背面側が規定されており、１つの金属板にプレス加工を施すことにより、２つの前記第１係合部と前記フレーム本体とが当該１つの金属板によって連続的に繋げられた状態にあり、かつ、前記フレーム本体の外縁部であって、当該１つの金属板の外縁にある側端面である本体外縁部から前記背面側へ２つの前記第１係合部が延びた状態にある前記フレーム部材を形成する工程と、それぞれ第２貫通孔が形成された２つの第２係合部を含む前記装飾部材の一方の前記第２係合部と前記フレーム部材の一方の前記第１係合部とを、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とが接触するように互い連結させ、前記装飾部材の他方の前記第２係合部と前記フレーム部材の他方の前記第２係合部とを、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とが接触するように互い連結させる工程とを有する、身飾品の製造方法である。

【発明の効果】

【0007】

本開示によれば、宝石等を含んだ装飾部材をフレーム部材に対して揺動可能に支持した構造の身飾品において、フレーム部材が装飾部材を支持する部分の強度を向上させることが可能な身飾品とその製造方法が提供される。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】図１は、本実施形態に係る身飾品の一例を示す正面図である。

【図2】図２は、本実施形態に係る身飾品の一例を示す正面側の斜視図である。

【図3】図３は、本実施形態に係る身飾品の一例を示す背面側の斜視図ある。

【図4】図４は、本実施形態に係る身飾品の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。

【図5】図５は、第１貫通孔の内面形状の一例を示す断面図である。

【図6】図６は、フレーム部材形成工程によって得られるフレーム部材の一例を示す斜視図であり、背面側から見たフレーム部材を示す。

【図7】図７は、台座部材の一例を示す図である。

【図8】図８は、台座部材に装飾体が固定された装飾部材の一例を示す図である。

【図9】図９は、第２実施形態に係る身飾品のフレーム部材の一例を示す図である。

【図10】図１０は、第３実施形態に係る身飾品のフレーム部材の一例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

宝石などを含んだ装飾部材とフレーム部材とを有し、装飾部材をフレーム部材に対して揺動可能に支持した構造の身飾品が知られている（以下、この構造の身飾品を揺動式の身飾品という場合がある）。揺動式の身飾品では、フレーム部材と装飾部材にそれぞれ係合部が設けられており、両者の係合部を係合させた状態にすることで装飾部材が揺動可能になる。従来、フレーム部材における係合部には、例えば、フレーム部材の本体を形成する部品とは別に作成された独立の部品が用いられている。フレーム部材における係合部は、フレーム部材の本体の予め定められた部位に対して、ロウ付け、又はレーザ加熱などの方法によって、溶接されて固定されている。

【0010】

しかしながら、ロウ付け、又はレーザ加熱などの方法によってフレーム部材の本体に係合部を固定した場合、ロウ付け、又はレーザ加熱した部位にはひずみが生じ易くなる。この場合、フレーム部材の係合部に装飾部材の係合部を係合させても、身飾品の通常の使用において直ちに問題が生じることは少ないが、前述のひずみが生じた場合には、フレーム部材の本体に係合部材を固定した部分の強度が低くなる可能性があった。

【0011】

これに対し、本開示の身飾品は、金属板のプレス加工品であるフレーム部材と、フレーム部材に対して揺動可能に支持された装飾部材とを備える。フレーム部材は、それぞれ第１貫通孔が形成された２つの第１係合部を含み、装飾部材は、それぞれ第２貫通孔が形成された２つの第２係合部を含む。一方の第１係合部と一方の第２係合部とが、第１貫通孔の内面と第２貫通孔の内面とを接触させるように互い連結されており、他方の前記第１係合部と他方の第２係合部とが、第１貫通孔の内面と第２貫通孔の内面とを接触させるように互い連結されている。ここで、プレス加工とは、対となった金型の間に金属板を供給し、金型によって金属板に対して荷重を加えることで、打抜き、曲げ、絞り等の加工を施す加工技術の総称である。また、プレス加工品は、プレス加工によって得られた物品を指す。

【0012】

本開示の身飾品は、上記の構造とすることにより、ロウ付け、又はレーザ加熱に起因するひずみが生じることが無いため、従来の揺動式の身飾品に比べて、フレーム部材が装飾部材を支持する部分の強度が向上する。フレーム部材の第１係合部は、金属板のプレス加工品であるフレーム部材の一部分であるため、第１係合部がフレーム部材から脱落することが抑制される。また、フレーム部材が装飾部材を揺動可能に支持する部分の強度が向上しているため、長期にわたる使用によっても、装飾部材の揺動効果が得られやすくなると考えられる。

【0013】

従来の揺動式の身飾品におけるフレーム部材は、ロストワックス法による鋳造を行うことで製造される場合が多く、これまで、プレス加工によって製造されることはなかった。本開示の身飾品の製造方法は、揺動式の身飾品の係合部を含むフレーム部材を、１つの金属板からプレス加工によって形成する。１つの金属板にプレス加工を施すことによって身飾品のフレーム部材を形成することにより、１つの金属板のプレス加工品であるフレーム部材の一部分として第１係合部を形成することから、従来の揺動式の身飾品のように、ロウ付け、又はレーザ加熱によって、フレーム部材の本体に係合部を取り付ける必要が無い。このため、従来の製法に比べ、フレーム部材が装飾部材を揺動可能に支持する部分の強度が向上する。

【0014】

また、本開示の身飾品の製造方法は、金属板に打ち抜き加工を施すことによってブランク材を形成する。ブランク材は、フレーム部材の一部を構成するフレーム本体と、フレーム本体の外縁部である本体外縁部から延びた第１係合部とを含む。本開示の身飾品の製造方法は、ブランク材の第１係合部が背面側へ延びるようにブランク材を折り曲げる。第１係合部を背面側に折り曲げることで、フレーム本体と第１係合部とのつながった部分の強度が、この部分を溶接等の従来の方法で固定する場合に比べて向上しやすくなる。また、係合部の取り付け作業が不要になるため、製造が容易になる。

【0015】

ロストワックス法により鋳造を行うことで製造される従来の揺動式の身飾品では、目的とする身飾品の厚みが薄すぎると（例えば、０．５ｍｍ以下）、熔融金属を鋳型の隅々にまで注入することが困難になるため、厚みの薄い揺動式の身飾品を製造することは困難であった。これに対し、プレス加工によってフレーム部材を形成する本開示の身飾品の製造方法であれば、厚みの薄い金属板からフレーム部材を形成可能であるため、従来に比べて厚みが薄い揺動式の身飾品を製造することが可能になる。また、本開示の身飾品の製造方法によれば、略同じデザインの揺動式の身飾品を従来の製法で製造した場合に比べて、重量を軽量化することが可能になる。

【0016】

また、ロストワックス法では、熔融金属を鋳型に注入して鋳造するため、地金に気泡が存在しやすい。これに対し、本開示の製造方法では、金属板からプレス加工によってフレーム部材を形成するため、フレーム部材の地金に気泡が存在することが抑制される。このため、本開示の製造方法によって得られた揺動式の身飾品は、第１係合部を含むフレーム部材全体が、従来の製法で製造した揺動式の身飾品に比べて強度が高くなる。また、プレス加工により、加工硬化が生じると考えられるため、従来の製法で得られた揺動式の身飾品のフレーム部材に比べて身飾品自体の強度が高くなると考えられる。このため、軽量化しても強度が保たれた揺動式の身飾品が得られやすい。

【0017】

従来の製法で製造した揺動式の身飾品では、フレーム部材に対して吊り下げた装飾部材が、外部からの振動に応じて揺動する。しかしながら、装飾部材の揺動の持続性には、バラつきが見られる場合があった。これは、次のように考えられる。前述のように、従来の製法で製造した揺動式の身飾品は、フレーム部材の係合部に気泡が含まれやすく、フレームの係合部の内周面に粗れが生じることが多い。この内周面に研磨処理を施すことは難しい。このため、この粗れによって、装飾部材の係合部が、フレーム部材の係合部に対して引っ掛かりを生じる場合がある。また、前述のように、従来の製法では、フレーム部材の係合部を、ロウ付け、又はレーザ加熱によってフレーム部材の本体に取り付けており、係合部の取り付け作業には熟練を要する。このため、作業者によっては、一対の係合部をフレーム部材の本体に取り付ける精度が低い場合がある。更に、フレーム部材の係合部は、断面が円形を呈する線状の金属材料（金属線）を予め定められた長さに切断し、リング状に曲げることにより形成される場合もある。この場合、リング状の形状精度が低くなる場合がある。

【0018】

これに対し、本開示の身飾品の製造方法であれば、１つの金属板にプレス加工を施すことによってフレーム部材を形成する。このため、フレーム本体と第１係合部とを含むフレーム部材が１つの金属板における異なる部分として、一体的に形成された身飾品の製造が可能である。身飾品の材料である金属板は、例えば圧延等が施されているため、鋳造で製造する場合のように、気泡が地金に存在することが少ない。このため、第１係合部の第１貫通孔の内周面に粗れが生じることが抑制される。また、抜き加工を行うため、第１係合部の第１貫通孔の内周面は、鋳造で製造する場合に比べ、平滑性が高くなる。これらによって、装飾部材の第２係合部とフレーム部材の第１係合部との間で生じる引っ掛かりが抑制され易くなる。さらに、フレーム部材の第１係合部とフレーム本体とが１つの金属板から連続して一体的に形成されるため、部品同士を溶接等で固定する方法により製造した場合に比べ、第１係合部の位置、サイズ、形状等の精度が向上し易いものとなる。このため、従来の製法で得られた揺動式の身飾品に比べて、フレーム部材に対する装飾部材の揺動の持続性がより高いものとなる。さらに、これらに加えて、フレーム部材の第１係合部を含めた揺動式の身飾品の厚みをより薄くすることが可能である。この場合には、装飾部材の第２係合部とフレーム部材の第１係合部との接触面積を小さくすることが可能であり、摩擦抵抗を小さく抑えることができる。この点でも、フレーム部材に対する装飾部材の揺動の持続性がより高いものとなる。

【0019】

なお、本開示の製造方法によれば、大量生産が可能になり、さらに仕上げ工程に係る工数を低減することが可能であるため、従来の揺動式の身飾品の製造方法に比べ、製造コストを低くすることが可能である。

【0020】

以下、本開示の身飾品に関する好ましい実施形態の一例について、図面を参照して説明する。なお、本開示の身飾品は、以下で説明する各実施形態に限定されるものではなく、本開示の身飾品と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。

【0021】

本開示において、「一体的」とは、一つの部材から形成されていることを意味し、２つの部材が合わさって一つに形成されることは包含しない概念である。

【0022】

本開示において、「装飾体」とは、宝石（天然宝石、合成宝石、人造宝石、模造宝石、自然石等）を含み、特に、天然宝石、合成宝石、人造宝石、模造宝石、自然石を総称して、宝石類という。装飾体は、装身具の美観の観点で、宝石類から選ばれることがよい。

【0023】

天然宝石は、ダイヤモンド、ルビー、サファイヤ、水晶等の自然に生み出される宝石を含む。また、天然宝石は、改良（エンハンスメント）、改変（トリートメント）等の処理が加えられた処理宝石も含む。
合成宝石は、天然石と同一又は類似の化学特性、物理特性、内部構造を有し、人工的に作り出された宝石をいう。合成宝石は、人工宝石とも呼ばれる。
人造宝石は、自然界に存在しないものの、一定の化学特性、物理特性、内部構造を有しており、例えば、キュービック・ジルコニア（ＣＺ）、ヤグ（ＹＡＧ）等の天然宝石とは異なる物質を使用して作り出された宝石をいう。
模造宝石は、天然宝石を模した色、外観等を有しているものの、化学特性及び物理構造が異なり、例えば、ガラス、プラスチック、セラミックス等を使用して天然宝石を模して形成される宝石をいう。
自然石は、天然宝石の原石以外の自然に生み出された石をいう。

【0024】

本開示において、「板状」とは、板のような形状を表す。例えば、全体として、略一定の厚さを有している状態の形状が挙げられる。

【0025】

本開示において、形状を表す場合の「略」の用語は、当該形状及び当該形状に近い形状を含む概念である。

【0026】

本開示において、身飾品の各部分の相対的な位置関係を説明するために、身飾品を基準とした３つの直交する方向（Ｘ方向、Ｙ方向、Ｚ方向）が規定される。Ｘ方向は互いに逆向きの２つの方向（Ｘ１方向、Ｘ２方向）を含み、Ｙ方向は互いに逆向きの２つの方向（Ｙ１方向、Ｙ２方向）を含み、Ｚ方向は互いに逆向きの２つの方向（Ｚ１方向、Ｚ２方向）を含む。
Ｚ方向は、例えば、本開示の身飾品がフレーム部材において装飾部材を揺動可能に支持する姿勢にあるときの鉛直方向を基準に設定される。Ｙ方向は、例えば、本開示の身飾品の正面側から背面側へ向かう方向を基準に設定される。身飾品の正面側とは、例えば装飾体の正面が配置される側を表し、装飾体の正面が上方側に傾いている場合でも、装飾体の正面が配置される側を指す。Ｘ方向は、Ｚ方向とＹ方向のそれぞれに対して直交する方向に設定される。
以下の説明において、身飾品の上方向は、図１～図３に示すＺ１方向、及び各方向の中間方向よりもＺ１方向寄りの方向を含む。身飾品の下方向は、図１～図３に示すＺ２方向、及び各方向の中間方向よりもＺ２方向寄りの方向を含む。身飾品の右方向は、図１～図３に示すＸ１方向、及び各方向の中間方向よりもＸ１方向寄りの方向を含む。身飾品の左方向は、図１～図３に示すＸ２方向、及び各方向の中間方向よりもＸ２方向寄りの方向を含む。身飾品の前方向は、図２、図３に示すＹ２方向、及び各方向の中間方向よりもＹ２方向寄りの方向を含む。身飾品の後方向は、図２、図３に示すＹ１方向、及び各方向の中間方向よりもＹ１方向寄りの方向を含む。

【0027】

（第１実施形態）
図１～図３は、本実施形態に係る身飾品の一例を示す図である。図１～図３に示すネックレス１は身飾品の一例である。図１はネックレス１の正面図を示し、図２は正面側から見たネックレス１の斜視図を示し、図３は背面側から見たネックレス１の斜視図を示す。ネックレス１は、紐状部材の一例であるチェーン３と、ペンダントトップ２（身飾品本体の一例）とを備えており、ペンダントトップ２がチェーン３に吊り下げられている。図１～図３では、要部であるペンダントトップ２を中心に図解している。

【0028】

ペンダントトップ２は、金属板のプレス加工品であるフレーム部材１０と、フレーム部材１０に対して揺動可能に支持された装飾部材２０とを備える。装飾部材２０は、装飾体の一例である宝石２１と、宝石２１を固定保持する台座部材２２とを有する。台座部材２２は、４本の爪部２２１を備えており、これらの爪部２２１によって、宝石２１を固定保持している。

【0029】

フレーム部材１０は、それぞれ第１貫通孔１３１が形成された２つの第１係合部１３を有する。２つの第１係合部１３は、フレーム部材１０の背面側において左右方向に並んで設けられている。台座部材２２は、それぞれ第２貫通孔２３１が形成された２つの第２係合部２３を有する。２つの第２係合部２３は、宝石２１を挟んで、相対的な位置（つまり、宝石２１の正面側から見て左右の関係になる位置）に設けられている。一方の第１係合部１３と一方の第２係合部２３とが、第１貫通孔１３１の内面と第２貫通孔２３１の内面とを接触させるように互い連結されている。他方の第１係合部１３と他方の第２係合部２３とが、第１貫通孔１３１の内面と第２貫通孔２３１の内面とを接触させるように互い連結されている。２つの第１係合部１３と２つの第２係合部２３とが互いに係合して連結されることにより、宝石２１を固定保持している台座部材２２がフレーム部材１０に対して揺動可能に吊り下げられた状態となる。

【0030】

フレーム部材１０は、図１～図３に示すように、フレーム本体１１を有する。２つの第１係合部１３は、フレーム本体１１の外縁部（プレス加工された金属板の外縁にある側端面）である本体外縁部１１０からそれぞれ背面側に延びている。

【0031】

図１に示すように、フレーム本体１１の本体外縁部１１０は、正面側から背面側へ向かうＹ１方向に対して平行な方向から見てＺ１方向に凹状に湾曲した凹状部分と、Ｙ１方向に対して平行な方向から見てこの凹状部分と同じ方向（Ｚ１方向）に湾曲した凸状部分とを含む。凹状部分と凸状部分とは互いに対向している。フレーム本体１１の正面側から見た形状は、曲部を有する逆Ｖ字の形状となっている。

【0032】

図３において示すように、フレーム本体１１の端部（本体外縁部１１０を含んだ端部）である本体端部１１３の少なくとも一部は、背面側に反っている。図３の例では、本体外縁部１１０の上述した凹状部分と凸状部分において、フレーム本体１１の本体端部１１３が背面側に反っている。フレーム本体１１は、背面側から見て、本体外縁部１１０に対して内側の部分（本体外縁部１１０に囲まれた範囲の内側にある部分）が正面側へ凹んでいる。

【0033】

２つの第１係合部１３は、背面側へ反った本体端部１１３の本体外縁部１１０から延びている。図１～図３に示すように、２つの第１係合部１３は、本体外縁部１１０の凹状部分における離間した場所であって、凹状部分の最奥部を挟んで離間した場所から延びている。ここで凹状部分における最奥部とは、凹状形状の最も凹となる部分を指す。

【0034】

またフレーム部材１０は、図１～図３に示すように、本体外縁部１１０から背面側へ延びた２つの背面側フレーム部１２を有する。２つの背面側フレーム部１２は、背面側へ反った本体端部１１３の本体外縁部１１０の一部から背面側へ延びている。図３の例において、２つの背面側フレーム部１２は、本体外縁部１１０の凸状部分における離間した場所であって、凸状部分の最頂部を挟んで離間した場所から延びている。凸状部分における最頂部とは、凸状形状の最も凸となる部分を指す。

【0035】

背面側フレーム部１２は、フレーム本体１１の頂部から上下方向の中央部周辺にかけて、フレーム本体１１に沿う形状で設けられている。背面側フレーム部１２は、フレーム本体１１の頂部付近の本体外縁部１１０から背面側へ延びた上部フレーム１２１と、フレーム本体１１の上下方向の中央付近から背面側へ延びた下部フレーム１２２と、上部フレーム１２１と下部フレーム１２２の背面側の端部間に渡って設けられた中間フレーム１２３とを有する。背面側フレーム部１２は、上下方向の寸法が前後方向よりも長い略矩形状をなしており、上部フレーム１２１と、下部フレーム１２２と、中間フレーム１２３と、フレーム本体１１とにより囲まれる領域に開口部１２４を形成する。図２、図３の例において、開口部１２４は左右方向へ貫通しており、上下方向に長い略矩の形状を持つ。この開口部１２４にチェーン３が挿通される。

【0036】

背面側へ延びた２つの背面側フレーム部１２は、フレーム本体１１の本体外縁部１１０から離れた場所で互いに接合された接合部を有する。例えば、一方の背面側フレーム部１２の上部フレーム１２１と他方の背面側フレーム部１２の上部フレーム１２１とが、図示しない接合部によって接合される。接合部では、溶接（例えば、ロウ付け、又はレーザ加熱）などの方法によって２つの背面側フレーム部１２が互いに接合される。一方の上部フレーム１２１と他方の上部フレーム１２１とを接合する接合部は、フレーム本体１１の１つまたは２つ以上の場所に設けてもよい。また、接合部は断続的に設けてもよく、連続的に設けてもよい。

【0037】

フレーム本体１１における第１係合部１３の下方周辺を上下方向に垂直な面で切断した断面の形状は、正面側から後方が広がり、曲部を有する略Ｖ字状の形状をなしている。フレーム本体１１は、底部から頂部にわたって、同様の断面形状を持つ。一方、背面側フレーム部１２の上部フレーム１２１及び下部フレーム１２２を前後方向に垂直な面で切断した断面の形状は、略矩形状をなしている。中間フレーム１２３を上下方向に垂直な面で切断した断面の形状も略矩形状をなしている。

【0038】

フレーム本体１１の略Ｖ字状の一方の面の厚み(フレーム本体１１のＶ字状の前後方向において対向する面間の距離)、背面側フレーム部１２の左右方向における厚み(背面側フレーム部１２の左右方向において対向する面間の距離)は、例えば０．３ｍｍ以上０．４ｍｍ以下の範囲に設定される。背面側フレーム部１２の厚みは、例えば、下部フレーム１２２において計測した場合、０．２ｍｍ以上であってもよく、０．２５ｍｍ以上であってもよい。また、この厚みは０．５ｍｍ以下であってもよく、０．４ｍｍ以下であってもよく、０．３５ｍｍ以下であってもよい。本開示においてフレーム部材１０の厚みは特に限定されず、身飾品のデザイン、強度等に応じて、目的に適った厚みに設定してよい。

【0039】

第１係合部１３は、フレーム本体１１と同一の金属板から連続して一体的に形成される。ここで、連続して一体的に形成されるとは、異なる材料の介在によって分断されることなく、１つの同じ金属板によって連続的に繋げられて形成されていることを示す。第１係合部１３は、例えば図３に示すように、第１貫通孔１３１を囲む第１リング部１３２と、フレーム本体１１の本体外縁部１１０から背面側へ延びた第１中間部１３３とを有する。第１中間部１３３は、第１リング部１３２の外縁部であるリング外縁部１３４と本体外縁部１１０との間に介在する。すなわち、第１係合部１３は、本体外縁部１１０から背面側へ延びた第１中間部１３３と、第１中間部１３３から背面側へ延びた第１リング部１３２とを備えており、フレーム本体１１と第１リング部１３２とは、互いに離れた位置に配される。ここで、フレーム本体１１と第１リング部１３２とが離れた位置に配されるとは、フレーム本体１１と第１リング部１３２とが互いに接してなく、第１リング部１３２とフレーム本体１１との間に距離があることを示す。図３の例において、第１係合部１３は、下部フレーム１２２よりも下方側の位置であり、かつ、下部フレーム１２２よりも内側の領域に配置されている。第１係合部１３は、ペンダントトップ２の正面側から背面側に向かって延びており、本体端部から折り曲げられた形状を有する。なお、第１中間部１３３を設けることで、例えば、フレーム部材１０を形成するときに、第１係合部１３を背面側に容易に折り曲げることができる。それにより、後述の曲げ加工で、第１リング部１３２の形状が歪むように変形することが抑制され易くなり、第１リング部１３２の形状を安定して維持できるという利点が得られる。

【0040】

ここで、第１係合部１３の幅を、この第１係合部１３を形成する金属板の厚み方向に対して垂直な方向における幅であって、かつ、この第１係合部１３が本体外縁部１１０から延伸する方向に対して垂直な方向における幅と規定する。この場合、図３等に示すように、第１係合部１３の第１中間部１３３における幅は、第１リング部１３２における幅に比べて小さい。第１中間部１３３は、図３の例において、略矩形状に形成されている。第１中間部１３３の上下方向の寸法は、第１リング部１３２の外径よりも短い。第１中間部１３３は、第１中間部１３３の中心位置が、第１リング部１３２の中心からフレーム本体１１までの最短距離となる仮想線上に配置される形状で設けられている。

【0041】

第１リング部１３２は、中央の第１貫通孔１３１に装飾部材２０の第２係合部２３を挿入することが可能な円環状（円弧状の曲部を有する形状の一例）の形状を有する。２つの第１リング部１３２は、フレーム部材１０の左右の位置に、互いの第１貫通孔１３１を向かい合わせた状態で配置されている。

【0042】

図１に示すように、フレーム部材１０には、仮想平面Ｖが規定されている。仮想平面Ｖは、正面側から背面側へ向かう方向（Ｙ１方向）に対して平行であり、かつ、正面側から見たフレーム本体１１の本体外縁部１１０の凹状部分を通る平面である。図１～図３に示すように、フレーム部材１０は、この仮想平面Ｖについて面対称な形状を持つ。

【0043】

２つの第１係合部１３は仮想平面Ｖに対してそれぞれ平行（平行及び平行に近い状態を含む）な方向に延びている。２つの第１係合部１３に形成される２つの第１貫通孔１３１は、仮想平面Ｖに垂直な方向（Ｘ１方向、Ｘ２方向）から見て互いに重なる場所に位置する。

【0044】

台座部材２２は、宝石２１（装飾体の一例）が固定される台座本体部２２０と、台座本体部２２０を挟んで配置された２つの第２係合部２３を備える。２つの第２係合部２３は、宝石２１を挟んだ両側に、相対的な位置となるように配置されている。それぞれの第２係合部２３は、第２貫通孔２３１を囲む第２リング部２３２と、台座本体部２２０から延びた板状の第２中間部２３３とを含む。第２中間部２３３は、第２リング部２３２と台座本体部２２０との間に介在する。台座本体部２２０の中央部には、円形の開口部が設けられており、宝石２１のキューレット部が台座本体部２２０の開口部から突き出した状態で、宝石２１が台座部材２２に固定保持される。

【0045】

第２中間部２３３は、台座本体部２２０と第２リング部２３２とを連結する連結部である。２つの第２中間部２３３は、互いに対称的な形状を有し、台座本体部２２０から外側に向けて延びている。一例において、第２中間部２３３と、台座本体部２２０と、第２リング部２３２とは、連続して一体的に形成されている。第２中間部２３３は、台座本体部２２０から延びるとともに、宝石２１の正面に対して傾斜して配されている。第２リング部２３２も第２中間部２３３の傾斜と同様に傾斜している。この傾斜角度は、宝石２１の正面に対して傾斜させた角度であり、台座本体部２２０における爪部２２１が設けられる側の面に対して０°を超え９０°以下の範囲であってよい。傾斜角度は、例えば、５°以上であってもよく、１０°以上であってもよい。また、６０°以下であってもよく、４５°以下であってもよい。なお、台座部材２２は、第２中間部２３３の連結長さ、傾斜部分の有無など、目的に応じて変更が可能である。例えば、台座部材２２において第２中間部２３３を設けずに、台座本体部２２０と第２リング部２３２とを一体的に形成し、台座本体部２２０から直接延びた第２リング部２３２を形成することも可能である。

【0046】

板状の第２中間部２３３には、例えば捩りを設けてもよい。第２中間部２３３に捩りを設けなくても装飾部材２０は揺動可能であるが、第２リング部２３２に適度な捩じりを設けることによって身飾品の美観を高めることが可能な場合がある。第２中間部２３３は、全体が捩じられていてもよいし、一部が捩じられていてもよい。第２中間部２３３に適度な捩じりを設けることで、宝石２１を固定保持した台座部材２２が吊り下げられた状態において、宝石２１のテーブル面を斜め上方に向けて傾斜させることができる。この場合、宝石２１のテーブル表面の傾斜角度を、例えば５°以上４５°以下の角度（１０°以上２０°以下の角度であってもよい）にすることで、身飾品の美観をより高めることが可能である。

【0047】

次に、本開示の身飾品の製造方法に関する好ましい実施形態の一例について、前述の図１等に示すネックレス１の製造方法を例に挙げて説明する。図４は、本実施形態に係る身飾品の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。

【0048】

本実施形態に係る身飾品の製造方法では、特にフレーム部材１０がプレス加工により形成される。具体的には、ネックレス１の製造方法は、図４に示すように、金属板を準備する工程（金属板準備工程：ＳＴ１０）と、プレス加工によってフレーム部材１０を形成する工程（フレーム部材形成工程：ＳＴ２０）と、フレーム部材１０の第１係合部１３に挿通部を形成する工程（挿通部形成工程：ＳＴ３０）と、装飾部材２０を準備する工程（装飾部材準備工程：ＳＴ４０）と、フレーム部材１０の第１係合部１３に装飾部材２０の第２係合部２３を連結させる工程（連結工程：ＳＴ５０）とを有する。

【0049】

（金属板準備工程：ＳＴ１０）
金属板を準備する工程は、目的とする身飾品に応じて、被加工材となる板状の金属材料を準備する工程である。この工程では、例えば、圧延等を経た金属板を準備する。金属板の形状は、予め切断された平板状の金属板に限定されず、コイル状の金属板も包含する。例えば、金属板は、加工性の観点で、厚さ方向の断面形状が略矩形状であることが好ましい。金属板の厚みは、０．２ｍｍ以上であってもよく、０．５ｍｍ以下であってもよく、０．４ｍｍ以下であってもよく、０．３５ｍｍ以下であってもよい。金属板の材料（金種）は特に限定されず、例えば、銀、金、白金、銅、及び鉄からなる群から選ばれる金属、並びにこれら金属の合金（例えば、金を主体として、銀及び銅の少なくとも一方を含有する合金）、及びこれら金属を主体として他の金属を含む合金（例えば、金を主体として、パラジウム等を含有する合金、銅を主体として亜鉛を含有する合金等）など、いずれの金属材料であってもよい。準備する金属板は、製造予定の身飾品に応じて、目的とする金属材料を用いればよい。なお、本開示において、「主体」とする成分とは、二種類以上の金属元素から構成される合金のうち、最も含有量が多い成分をいう。

【0050】

（フレーム部材形成工程：ＳＴ２０）
フレーム部材１０を形成する工程は、ブランク材を形成する工程（ブランク材形成工程：ＳＴ２１）と、第１係合部１３の第１貫通孔１３１を加工する工程（第１貫通孔加工工程：ＳＴ２２）と、ブランク材を折り曲げる工程（折り曲げ工程：ＳＴ２３）と、折り曲げ工程により折れ曲がった２つの背面側フレーム部１２を接合する工程（接合工程：ＳＴ２４）とを更に含む。

【0051】

（ブランク材形成工程：ＳＴ２１）
ブランク材形成工程は、１つの金属板に打ち抜き加工（せん断加工）を施すことによって、ブランク材を形成する工程である。この工程では、目的とする形状のブランク材を得るために、準備した金属板を金型内に供給し、せん断現象を生じさせて金属板を打ち抜く。

【0052】

ブランク材形成工程は、１段の工程で、目的とする形状のブランク材を得てもよい。例えば、金属板に打ち抜き加工を行うときに、外形形状及び細部を打ち抜いてもよい。あるいは、切断工程は、多段の工程で、目的とする形状のブランク材を得てもよい。例えば、ブランク材形成工程は、外形形状を打ち抜いた後、第１貫通孔１３１などの細部を打ち抜いてもよい。

【0053】

あるいは、ブランク材形成工程は、例えば、せん断加工及び変形加工によって、目的とする形状のブランク材を得てもよい。この場合、１段の工程で、目的とする形状のブランク材を得てもよい。例えば、金属板に打ち抜き加工を行うときに、外形形状及び細部を打ち抜くとともに、フレーム本体１１及び背面側フレーム部１２の少なくとも一方の断面形状を目的とする形状に形成してもよい。また、多段の工程で、目的とする形状のブランク材を得てもよい。例えば、外形形状を打ち抜いた後、第１貫通孔１３１などの細部を打ち抜き、その後、フレーム本体１１及び背面側フレーム部１２の少なくとも一方の断面形状を、目的とする形状に成形する多段の工程で行ってもよい。なお、本開示では、絞り加工及び曲げ加工を総称して変形加工と称する。

【0054】

（第１貫通孔加工工程：ＳＴ２２）
図５は、第１貫通孔１３１の内面形状の一例を示す断面図である。
第１貫通孔加工工程は、第１貫通孔１３１の開口部１３５から内側に向かうほど第１貫通孔１３１の径が小さくなるように、第１貫通孔１３１の内面１３６の少なくとも一部を傾斜させる加工を施す。第１貫通孔１３１の加工は、例えば、回転刃によって第１貫通孔１３１の内面を削ることにより行ってもよいし、金型を用いたプレス加工によって行ってもよい。第１貫通孔１３１を経た第１係合部１３の第１貫通孔１３１は、周方向に直交する断面形状が、内周面側の領域において、内周面に向かって先細りとなる略台形形状をなしている。このような形状とすることで、内周面側に接する装飾部材２０の第２リング部２３２の揺動がより持続しやすくなる。第１リング部１３２の周方向に直交する断面形状は、これに限定されず、種々の断面形状を採用することが可能である。なお、第１貫通孔加工工程（ＳＴ２２）は、上述したブランク材形成工程（ＳＴ２１）と同じプレス加工の工程において並行して実施してもよい。

【0055】

（折り曲げ工程：ＳＴ２３）
折り曲げ工程は、第１貫通孔加工工程（ＳＴ２２）を経て得られたブランク材に曲げ加工を行うことで、目的とする形状に形成されたフレーム部材１０を得る工程である。この工程は、例えば金型を用いたプレス加工により行う。フレーム部材１０は、三次元立体形状を有する。この工程では、ブランク材の２つの第１係合部１３と２つの背面側フレーム部１２とがそれぞれ背面側へ延びるようにブランク材を折り曲げる。すなわち、折り曲げ工程は、ブランク材に対して、フレーム本体１１の本体端部１１３（本体外縁部１１０を含んだ端部）の少なくとも一部が背面側へ反るように、少なくとも一部の本体端部１１３と、２つの第１係合部１３と、２つの背面側フレーム部１２とを、背面側へ一緒に曲げる。折り曲げ工程において第１係合部１３及び背面側フレーム部１２と一緒に折り曲げられる本体端部１１３は、少なくとも、第１係合部１３に隣接する部分と、背面側フレーム部１２に隣接する部分とを含む。

【0056】

折り曲げ加工により、背面側フレーム部１２はフレーム部材１０の側壁となる。フレーム部材１０は、フレーム本体１１と背面側フレーム部１２とにより囲まれる空間を持つ三次元立体形状となる。そして、ネックレス１を正面視したとき、背面側フレーム部１２が見えにくくなる。同様に、ネックレス１を正面視したとき、第１係合部１３も見えにくくなる。

【0057】

折り曲げ加工後、フレーム本体１１と背面側フレーム部１２との曲げ角、及びフレーム本体１１と第１係合部１３（第１中間部１３３）との曲げ角は、略９０°程度（例えば、８０°以上１００℃以下、好ましくは８５°以上９５°以下）であることがよい。この曲げ角は、美観の観点では、略９０°の鈍角側の角度が好ましい。本開示において、曲げ角とは、フレーム本体１１からの角度であり、背面側フレーム部１２及び第１係合部１３（第１中間部１３３）の曲げ方向の外側の角度を表す。背面側フレーム部１２及び第１係合部１３に曲げ加工を施す順序は限定されず、同時でもよく、いずれかの部位を先に行ってもよい。曲げ加工は、多段で行ってもよく、一段で行ってもよい。

【0058】

ブランク材形成工程（ＳＴ２１）、折り曲げ工程（ＳＴ２３）は、各々別の金型で行ってもよく、同じ金型内で行ってもよい。また、これらの工程は、順送プレス加工でもよいし、フットプレス（足踏みプレス）による単発のプレス加工でもよい。

【0059】

（接合工程：ＳＴ２４）
接合工程は、折り曲げ工程（ＳＴ２３）によって背面側に曲げられた２つの背面側フレーム部１２を少なくとも一つの場所（例えば、本体外縁部１１０から離れた場所）で接合する。この金属同士の接合は、例えばロウ付け、溶接などにより行われる。

【0060】

なお、フレーム部材形成工程ＳＴ２０の各工程のうち、目的とするフレーム部材の形状によって不要な工程がある場合は、当該工程を省略してもよい。

【0061】

（挿通部形成工程：ＳＴ３０）
挿通部形成工程は、フレーム部材形成工程（ＳＴ２０）により形成されたフレーム部材１０の各第１係合部１３において、第１貫通孔１３１を囲む部材（第１リング部１３２）の一部に挿通部を形成する。例えば、挿通部形成工程は、レーザによる加熱、回転刃等による切削、ハサミ等の工具による切断などの方法によって第１リング部１３２の一部に挿通部を形成してもよい。

【0062】

（装飾部材準備工程：ＳＴ４０）
装飾部材準備工程は、フレーム部材１０に取り付ける装飾部材２０を準備するための工程であり、台座部材２２を形成する工程（台座部材形成工程：ＳＴ４１）と、台座部材２２に宝石２１を固定保持させる工程（装飾体の固定保持工程：ＳＴ４２）とを更に含む。

【0063】

（台座部材形成工程：ＳＴ４１）
台座部材形成工程は、金属板から台座部材２２を得る工程である。プレス加工で台座部材２２を形成する場合、この工程では、予め定められた金属板を準備する。金属板は、フレーム部材１０を作製するために準備した金属板と同じ素材でもよく、異なる素材でもよい。そして、金属板に対して予め定められたプレス加工（せん断加工、曲げ加工、絞り加工など）を行うことで、台座部材２２を形成する。

【0064】

台座部材２２は、台座本体部２２０と、２つの第２係合部２３（第２リング部２３２、第２中間部２３３）と、４つの爪部２２１とが一体的に形成されている。具体的には、まず、金属板をせん断加工することにより、台座部材用のブランク材を得る。台座部材用のブランク材は、放射状に延びる４本の爪部２２１を略等間隔に備え、中央部に略円形状の開口部が設けられた台座本体部２２０が設けられる。また、台座本体部２２０を挟んで配置され、２本の爪部２２１の間からそれぞれ離れる方向に延びて設けられる略矩形状の第２中間部２３３と、第２中間部２３３の先端から延びて設けられ、中央部に第２貫通孔２３１を備える環状に形成された第２リング部２３２とを備えている。次に、台座部材形成工程は、台座本体部２２０に対して、宝石２１の配置を可能とする皿状の形状に絞り加工を行う。また、第２中間部２３３に対し、前方側に傾斜する方向に、捩じる加工を行う。これら加工を経て、台座部材２２が得られる。台座部材２２は、順送プレス加工により作製してもよく、フットプレス（足踏みプレス）による単発のプレス加工で作製してもよい。台座部材２２は、プレス加工以外にも、鋳造によって製造してもよい。生産コスト等の観点で、台座部材２２は、プレス加工で製造することが好ましい。

【0065】

形成する台座部材２２は、目的とする台座部材２２に応じて、第２中間部２３３が存在しない第２係合部２３を備える台座部材２２でも、捩じり部を持たない第２中間部２３３を備える台座部材２２でもよい。第２中間部２３３が設けられない台座部材２２及び捩じり部を備えない台座部材２２を得る場合には、第２中間部２３３を捩じる工程が省略される。

【0066】

（装飾体の固定保持工程：ＳＴ４２）
装飾体の固定保持工程は、得られた台座部材２２の台座本体部２２０に、宝石２１を配置し、固定保持させる工程である。図７は宝石２１が固定される前の台座部材２２の一例を示す図である。図８は、台座部材２２に宝石２１が固定された装飾部材２０の一例を示す図である。図８の例において、宝石２１は、ファセットカットされた宝石類である。この宝石２１のキューレット部を台座本体部２２０に設けられた略円形の開口部から突き出して台座本体部２２０に配置する。次に、４本の爪部２２１を宝石２１の正面側に傾斜させて、宝石２１を固定保持する。

【0067】

（連結工程：ＳＴ５０）
連結工程は、装飾部材２０の第２係合部２３とフレーム部材１０の第１係合部１３とを連結させる工程である。具体的には、装飾部材２０の一方の第２係合部２３とフレーム部材１０の一方の第１係合部１３とを、第１貫通孔１３１の内面と第２貫通孔２３１の内面とが接触するように互い連結させる。また、装飾部材２０の他方の第２係合部２３とフレーム部材１０の他方の第１係合部１３とを、第１貫通孔１３１の内面と第２貫通孔２３１の内面とが接触するように互い連結させる。連結工程は、フレーム部材１０の第１係合部１３に装飾部材２０の第２係合部２３を取り付ける取り付け工程の一例である。

【0068】

連結工程（ＳＴ５０）は、具体的には、挿通部形成工程（ＳＴ３０）で形成された２つの第１係合部１３の挿通部から、第１貫通孔１３１の中へそれぞれ第２係合部２３の第２リング部２３２を挿通させる挿通工程（ＳＴ５１）と、挿通工程（ＳＴ５１）の後、２つの第１係合部１３の挿通部をそれぞれ塞ぐ挿通部閉塞工程（ＳＴ５２）とを有する。挿通工程（ＳＴ５１）では、第１係合部１３に形成された挿通部に対し、円環状の第２リング部２３２を挿入して、第１リング部１３２の周方向と第２リング部２３２の周方向とが交差する方向で、各々の内周縁部同士を接触させた状態とする。その後、挿通部閉塞工程（ＳＴ５２）では、第１リング部１３２の挿通部の両端部同士を突き合わせて間隙が減少するように押圧し、第１リング部１３２を環状に塑性変形させる。これによって、左右の環状の第２リング部２３２を、左右の第１リング部１３２に、それぞれ連結して係合させることができる。なお、第１リング部１３２を上述のように塑性変形させた後に、必要に応じて、ロウ付け、レーザ加熱等によって、第１リング部１３２の突き合わされた端部同士を接合することも可能である。

【0069】

（その他の工程）
上記の製造方法は、その他の工程（例えば、仕上げ工程）を有していてもよい。仕上げ工程は、得られたフレーム部材１０、台座部材２２に対して、研磨処理などの各処理を施し仕上げを施す工程である。仕上げ工程は、研磨処理後に、必要に応じてメッキ処理（例えば、ロジウム等の白金族の金属によるめっき処理）を施してもよい。また、紐状部材挿通工程によって、紐状部材の一例であるチェーン３をフレーム部材１０の頂部に挿通させることで、ペンダントトップ２が吊り下げられた身飾品であるネックレス１が得られる。

【0070】

以上の工程によって、宝石２１を含む装飾部材２０がフレーム部材１０に対して吊り下げられた状態で揺動可能に支持されている本実施形態に係るネックレス１が得られる。

【0071】

（第１実施形態のまとめ）
上述したように、本実施形態に係るネックレス１は、例えば以下のような特徴を持つ。

【0072】

本実施形態に係るネックレス１は、金属板のプレス加工品であるフレーム部材１０と、フレーム部材１０に対して揺動可能に支持された装飾部材２０とを有する。フレーム部材１０は、それぞれ第１貫通孔１３１が形成された２つの第１係合部１３を含み、装飾部材２０は、それぞれ第２貫通孔２３１が形成された２つの第２係合部２３を含む。一方の第１貫通孔１３１と一方の第２貫通孔２３１とが、第１貫通孔１３１の内面と第２貫通孔２３１の内面とを接触させるように互い連結されており、他方の第１係合部１３と他方の第２係合部２３とが、第１貫通孔１３１の内面と第２貫通孔２３１の内面とを接触させるように互い連結されている。
このような構成によれば、２つの第１係合部１３が１つの金属板のプレス加工品であるフレーム部材１０の一部であり、ロウ付け等の方法によりフレーム部材１０の本体に固定されたものでないため、フレーム部材１０が装飾部材２０を揺動可能に支持する部分の強度を高めることができる。

【0073】

本実施形態に係るネックレス１において、フレーム部材１０はフレーム本体１１を含み、フレーム本体１１に対して正面側と背面側が規定されている。２つの第１係合部１３は、フレーム本体１１の外縁部である本体外縁部１１０から背面側へ延びている。
このような構成によれば、２つの第１係合部１３がそれぞれフレーム本体１１に対して背面側に延びているため、ネックレス１を正面側から見た場合に２つの第１係合部１３をフレーム本体１１の背面側に隠すことが可能となり、美観が向上する。

【0074】

本実施形態に係るネックレス１は、フレーム部材１０と、フレーム部材１０に揺動可能に支持された装飾部材２０とを有する。
フレーム部材１０は、フレーム本体１１と、第１貫通孔１３１がそれぞれ形成された２つの第１係合部１３とを含み、装飾部材２０は、第２貫通孔２３１がそれぞれ形成された２つの第２係合部２３を含んでいる。各第１係合部１３は、それぞれ対応する１つの第２係合部２３に、第１貫通孔１３１の内面と第２貫通孔２３１の内面とを接触させて連結され、各第１係合部１３は、第１貫通孔１３１を囲む第１リング部１３２と、第１リング部１３２から延びる第１中間部１３３とをそれぞれ有している。フレーム本体１１と第１リング部１３２とは、互いに離れた位置に配されるとともに、第１中間部１３３により連結され、フレーム本体１１の少なくとも一部と、第１中間部１３３と、第１リング部１３２とは、同じ金属板により連続して一体的に形成されている。
このような構成によれば、２つの第１係合部１３が１つの金属板のプレス加工品であるフレーム部材１０の一部であり、ロウ付け等の方法によりフレーム部材１０の本体に固定されたものでないため、フレーム部材１０が装飾部材２０を揺動可能に支持する部分の強度を高めることができる。

【0075】

本実施形態に係るネックレス１において、フレーム本体１１の端部（本体外縁部１１０を含んだ端部）である本体端部１１３の少なくとも一部が、背面側に反っている。２つの第１係合部１３は、背面側に反った本体端部１１３の本体外縁部１１０から背面側に延びている。
このような構成によれば、背面側に反った本体端部１１３の本体外縁部１１０から背面側へ第１係合部１３が延びているため、ネックレス１を正面側から見た場合に第１係合部１３と本体外縁部１１０との段差を隠すことが可能となり、美観が向上する。また、本体端部１１３の少なくとも一部が背面側へ反っていることにより、フレーム部材１０の形状にボリューム感、立体感を持たせることができるため、この点でも美観が向上する。更に、本体端部１１３の少なくとも一部が背面側に反っているため、プレス加工を施した金属板の厚みが薄い場合でも、フレーム本体１１の強度を高めることができる。

【0076】

本実施形態に係るネックレス１において、フレーム本体１１の本体外縁部１１０は、正面側から背面側へ向かうＹ１方向に対して平行な方向から見て凹状に湾曲した凹状部分を含む。フレーム本体１１の本体端部１１３は、凹状部分において背面側に反っている。２つの第１係合部１３は、凹状部分における離間した場所であって、凹状部分の最奥部を挟んで離間した場所から延びている。
このような構成によれば、本体外縁部１１０の凹状部分の内側に装飾部材２０を位置させることが可能となる。また、フレーム本体１１の本体端部１１３が凹状部分において背面側に反っているため、逆Ｖ字のような形状であっても、フレーム本体１１の強度を高めることができる。

【0077】

本実施形態に係るネックレス１において、正面側から背面側へ向かうＹ１方向に対して平行であり、かつ、凹状部分を通る仮想平面Ｖが規定されており、フレーム部材１０において、少なくとも本体外縁部１１０の凹状部分と、２つの第１係合部１３とが、仮想平面Ｖについて面対称な形状を持つ。
このような構成によれば、フレーム本体１１の強度を維持しつつ美観を向上できる。

【0078】

本実施形態に係るネックレス１において、２つの第１係合部１３は、仮想平面Ｖに対してそれぞれ平行に延びている。２つの第１係合部１３に形成される２つの第１貫通孔１３１は、仮想平面Ｖに垂直な方向（Ｘ１方向、Ｘ２方向）から見て互いに重なる場所に位置する。
このような構成によれば、仮想平面Ｖに垂直な方向に延びて２つの第１貫通孔１３１を通る仮想的な揺動軸の周りで装飾部材２０を安定的に揺動させることができる。

【0079】

本実施形態に係るネックレス１において、フレーム部材１０は、フレーム本体１１の本体外縁部１１０から背面側へ延びた２つ背面側フレーム部１２を含む。フレーム本体１１の本体外縁部１１０は、正面側から背面側へ向かうＹ１方向に対して平行な方向から見て凹状部分と同じ方向へ凸状に湾曲した凸状部分を含む。フレーム本体１１の本体端部１１３は、凸状部分において背面側に反っている。２つの背面側フレーム部１２が、凸状部分における離間した場所であって、凸状部分の最頂部を挟んで離間した場所からそれぞれ延びている。また、２つの背面側フレーム部１２が、フレーム本体１１の少なくとも一つの場所（例えば、本体外縁部１１０から離れた場所）で互いに接合されている。
このような構成によれば、背面側に反った本体端部１１３の本体外縁部１１０から背面側へ背面側フレーム部１２が延びているため、ネックレス１を正面側から見た場合に背面側フレーム部１２と本体外縁部１１０との段差を隠すことが可能となり、美観が向上する。また、凸状部分において本体端部１１３が背面側に反っているため、プレス加工を施した金属板の厚みが薄い場合でも、フレーム本体１１の強度を高めることができる。更に、凸状部分の最頂部を挟んで離間した場所から延びている２つの背面側フレーム部１２が、本体外縁部１１０の少なくとも一つの場所で互いに接合されているため、フレーム部材１０の強度を更に高めることができる。

【0080】

本実施形態に係るネックレス１において、第１係合部１３は、第１貫通孔１３１を囲む第１リング部１３２と、フレーム本体１１の本体外縁部１１０から延びた第１中間部１３３とを含む。第１中間部１３３は、第１リング部１３２の外縁部であるリング外縁部１３４と本体外縁部１１０との間に介在する。一の第１係合部１３を形成する金属板の厚み方向に対して垂直な方向における幅であって、本体外縁部１１０から当該一の第１係合部１３が延伸する方向に対して垂直な方向における幅を当該一の第１係合部１３の幅と規定した場合に、第１係合部１３は、第１中間部１３３における幅が第１リング部１３２における幅に比べて小さい。
このような構成によれば、第１貫通孔１３１のサイズが大きいことによって第１リング部１３２のサイズが大きい場合でも、第１中間部１３３における幅が第１リング部１３２における幅より小さいため、フレーム本体１１に対して第１中間部１３３が背面側へ延びるようにブランク材を曲げる加工が容易になる。

【0081】

本実施形態に係るネックレス１の製造方法は、１つの金属板にプレス加工を施すことによって、それぞれ第１貫通孔１３１が形成された２つの第１係合部１３を含むフレーム部材１０を形成するフレーム部材形成工程（ＳＴ２０）と、それぞれ第２貫通孔２３１が形成された２つの第２係合部２３を含む装飾部材２０の一方の第２係合部２３とフレーム部材１０の一方の第１係合部１３とを、第１貫通孔１３１の内面と第２貫通孔２３１の内面とが接触するように互い連結させ、装飾部材２０の他方の第２係合部２３とフレーム部材１０の他方の第１係合部１３とを、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とが接触するように互い連結させる連結工程（ＳＴ５０）とを有する。
このような構成によれば、２つの第１係合部１３が１つの金属板のプレス加工品であるフレーム部材１０の一部として形成されるため、ロウ付け等の方法によりフレーム部材１０の本体に係合部の部品を固定する場合に比べて、フレーム部材１０が装飾部材２０を揺動可能に支持する部分の強度を高めることができる。

【0082】

本実施形態に係るネックレス１の製造方法において、フレーム部材形成工程（ＳＴ２０）は、金属板に打ち抜き加工を施すことによって、フレーム部材１０のフレーム本体１１の本体外縁部１１０から２つの第１係合部１３が延びたブランク材を形成するブランク材形成工程（ＳＴ２１）と、ブランク材の２つの第１係合部１３がフレーム本体１１に対して背面側へ延びるようにブランク材を折り曲げる折り曲げ工程（ＳＴ２３）とを含む。
このような構成によれば、折り曲げ工程（ＳＴ２３）によって背面側に延びた２つの第１係合部１３が形成されるため、ロウ付け等の方法により係合部の部品をフレーム本体１１の反対側に固定する場合に比べて、フレーム部材１０が装飾部材２０を揺動可能に支持する部分の強度を高めることができる。

【0083】

本実施形態に係るネックレス１の製造方法において、折り曲げ工程（ＳＴ２４）は、本体外縁部１１０を含んだフレーム本体１１の端部である本体端部１１３の少なくとも一部が背面側へ反るように、第１係合部１３に隣接する部分を含んだ本体端部１１３と２つの第１係合部１３とを背面側へ一緒に曲げることを含む。
このような構成によれば、第１係合部１３に隣接する部分を含んだ本体端部１１３と第１係合部１３とが折り曲げ工程（ＳＴ２４）において一緒に背面側へ曲げられる。これにより、第１係合部１３に隣接する本体端部１１３と第１係合部１３との折り曲げ箇所における段差が生じ難くなる。そのため、折り曲げ箇所の強度の低下を抑制できるとともに、美観を高めることができる。

【0084】

本実施形態に係るネックレス１の製造方法において、フレーム部材形成工程（ＳＴ２０）は、折り曲げ工程（ＳＴ２３）の前に、第１貫通孔１３１の開口部１３５（図５）から内側に向かうほど第１貫通孔１３１の径が小さくなるように、第１貫通孔１３１の内面１３６の少なくとも一部を傾斜させる加工を施す第１貫通孔加工工程（ＳＴ２２）を含む。
このような構成によれば、板状の平らなブランク材に対して加工を施すことができるため、第１貫通孔１３１の内面を高い精度で加工することができる。

【0085】

（第２実施形態）
図９は、第２実施形態に係る身飾品のフレーム部材１０Ａ一例を示す図であり、背面側から見た斜視図を示す。第２実施形態は、第１実施形態の変形例である。第２実施形態に係る身飾品は、第１係合部１３に規制部１３７を備えている。この規制部１３７を設けたこと以外は、第１実施形態で説明したネックレス１と同様の構造を持つ。なお、第２実施形態に係る身飾品は、要部を説明するため、図９に示すフレーム部材１０Ａによって説明する。以下、第１実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略し、第１実施形態と異なる構成について説明する。

【0086】

本実施形態に係る身飾品において、第１係合部１３に設けられた規制部１３７は、連結される第２係合部２３の第２貫通孔２３１を通過できないことによって当該第２係合部２３の揺動範囲を規制する。例えば図９に示すように、規制部１３７は、第１リング部１３２のリング外縁部１３４から延びている。

【0087】

第１リング部１３２の後方側から上方側の範囲において宝石２１を固定保持した台座部材２２が大きく揺れ過ぎると、宝石２１が第１リング部１３２の後方側の最高点に達したときに、フレーム部材１０と第２リング部２３２との間に引っ掛かりを生じる場合がある。このような引っ掛かりが生じた場合、台座部材２２の揺動の持続性が低下してしまうことが考えられる。第１係合部１３に規制部１３７を設けることで、台座部材２２が後方側から上方側の範囲においてに大きく揺れた場合であっても、規制部１３７が第２貫通孔２３１を通過せず、第２リング部２３２の揺動範囲が制限される。これにより、上述した引っ掛かりが回避され易くなるため、台座部材２２の揺動の持続性が低下することを効果的に抑制できる。

【0088】

規制部１３７は、第１リング部１３２の後方側から上方側の範囲であって、第１中間部１３３までの範囲に設けることが好ましい。図９に示すフレーム部材１０Ａでは、第１リング部１３２の上方側に、規制部１３７が設けられている。規制部１３７は、フレーム部材１０の頂部側に向かって延びており、先端部分が丸みを帯びた円弧状の形状を有している。規制部１３７の形状はこれに限定されず、台座部材２２が揺れすぎて、フレーム部材１０と第１リング部１３２との間に第２リング部２３２が引っ掛かりことを抑制することが可能であれば、規制部１３７の位置、形状は特に限定されない。なお、規制部１３７は、フレーム部材１０から第１リング部１３２に向かって延びる構造で設けることも可能である。この場合、曲げ加工を行う箇所が増加するため、規制部１３７の機能低下及び精度低下などの観点で、第１リング部１３２のリング外縁部１３４から延びる構造とすることが好ましい。

【0089】

第２実施形態に係る身飾品の製造方法は、第１係合部１３に規制部１３７を設けること以外、概ね第１実施形態に係るネックレス１の製造方法と同じである。第１係合部１３に規制部１３７を設けた場合であっても、第１係合部１３の曲げ加工は、第１係合部１３がフレーム本体１１の後方側へ延びるように、ブランク材を折り曲げることによって行う。

【0090】

（第３実施形態）
図１０は、第３の実施形態に係る身飾品のフレーム部材１０Ｂの一例を示す図であり、背面側から見た斜視図を示す。第３実施形態は、第１実施形態の変形例である。第３実施形態に係る身飾品において、第１係合部１３の第１中間部１３３は、フレーム本体１１の本体外縁部１１０から下側へ傾いた方向に延びており、これ以外は第１実施形態で説明したネックレス１と同様の構造を持つ。なお、第３実施形態に係る身飾品は、要部を説明するため、図１０に示すフレーム部材１０Ｂによって説明する。以下、第１実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略し、これら実施形態と異なる構成について説明する。

【0091】

第３実施形態では、第１係合部１３の第１中間部１３３は、フレーム本体１１の本体外縁部１１０から下側へ傾いた方向に延びているため、後方から上方に向かって装飾部材２０が大きく揺動した場合でも、装飾部材２０の第２係合部２３が後方から上方を過ぎて前方側へ更に大きく揺動する前に、下側へ傾いて延びた第１中間部１３３と第２係合部２３（第２リング部２３２）とが衝突することになる。そのため、装飾部材２０の第２係合部２３が後方から上方を過ぎて前方側へ大きく揺動することを防止できるため、上述した引っ掛かりを生じ難くすることができる。

【0092】

第３実施形態に係る身飾品の製造方法は、フレーム本体１１に対する第１中間部１３３の延伸方向が異なること以外、第１実施形態に係るネックレス１の製造方法と概ね同じである。フレーム本体１１に対する本体端部１１３の延伸方向が第１実施形態と異なっていても、第１係合部１３の曲げ加工は、第１係合部１３がフレーム本体１１の後方側へ延びるように、フレーム部材１０Ｂを折り曲げることによって行う。

【0093】

（その他の変形例）
フレーム本体１１の外側に設けられる背面側フレーム部１２は、２つに限られず、例えば、３つであってもよく、４つであってもよい。目的とするフレーム部材の形状に応じて、背面側フレーム部の数を決定すればよい。フレーム本体を正面視したときの形状は、逆Ｖ形状に限られず、菱形、円形、長円形、長矩形、馬蹄形、しずく型(ティアドロップ型)など、目的とするフレーム部材の形状に応じて決定すればよい。また、フレーム本体から延びる第１係合部の位置は、目的とするフレーム部材の形状に応じて決定すればよい。また、フレーム部材のフレーム本体に宝石等の装飾体を取り付けることも可能である。

【0094】

上述の実施形態では、身飾品の一例として、ペンダントトップ２とチェーン３を有するネックレス１の例について説明した。これ以外にも、本開示の身飾品は、装飾部材をフレーム部材に対して揺動可能に支持するものであれば、ピアス、イヤリング、ブローチ、ネクタイ止め等のその他の身飾品であってもよい。中でも、ネックレス、及びイヤリングのいずれかであることが好ましい。なお、本開示において、ネックレスは、ペンダントを含む首飾りの総称であり、イヤリングは、イヤリングとピアスと含む耳飾りの総称である。

【0095】

上述の実施形態では、フレーム部材１０の第１リング部１３２と装飾部材２０の第２リング部２３２とが全体的にリング形状を有する場合ついて説明した。これ以外にも、本開示の身飾品は、フレーム部材の第１リング部と装飾部材の第２リング部とが連結されたときに、これらのリング部が互いに接触する部分が円弧状（リング状）の形状を有し、かつ、それ以外の部分が非円弧状の形状に有するように形成されていてもよい。また、上述の身飾品は、１つのフレーム部材に対して１つの台座部材が吊り下げられる場合について説明している。これ以外にも、本開示の身飾品は、フレーム部材に対して、２つ以上の台座部材が吊り下げられた身飾品であってもよい。装飾部材は、装飾のためにフレーム部材に対して揺動可能に支持される部材であればよく、宝石類などの装飾体を台座部材に固定させた態様のものに限定されない。例えば、金属などの目的とする材料で形成された装飾部材の本体に２つの第２係合部が一体的に形成されたものでもよい。

【0096】

以上、本開示の好ましい実施形態の一例について説明したが、本開示の身飾品およびその製造方法はこれらの実施形態に限定されることはない。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。

【0097】

本開示の身飾品及び身飾品の製造方法に関連する付記を以下に記す。
［付記１］
金属板のプレス加工品であるフレーム部材と、
前記フレーム部材に対して揺動可能に支持された装飾部材とを有し、
前記フレーム部材は、
それぞれ第１貫通孔が形成された２つの第１係合部と、
フレーム本体とを含み、
前記装飾部材は、それぞれ第２貫通孔が形成された２つの第２係合部を含み、
一方の前記第１係合部と一方の前記第２係合部とが、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とを接触させるように互い連結されており、
他方の前記第１係合部と他方の前記第２係合部とが、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とを接触させるように互い連結されており、
前記フレーム本体に対して正面側と背面側が規定されており、
２つの前記第１係合部は、前記フレーム本体の外縁部である本体外縁部から前記背面側へ延びている、
身飾品。
［付記２］
前記第１係合部は、
前記第１貫通孔を囲む第１リング部と、
前記本体外縁部から延びた第１中間部とを含み、
前記第１中間部は、前記第１リング部の外縁部であるリング外縁部と前記本体外縁部との間に介在する、
付記１に記載の身飾品。
［付記３］
フレーム部材と、
前記フレーム部材に揺動可能に支持された装飾部材とを有し、
前記フレーム部材は、フレーム本体と、第１貫通孔がそれぞれ形成された２つの第１係合部とを含み、
前記装飾部材は、第２貫通孔がそれぞれ形成された２つの第２係合部を含み、
前記各第１係合部は、それぞれ対応する１つの前記第２係合部に、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とを接触させて連結され、
前記各第１係合部は、前記第１貫通孔を囲む第１リング部と、前記第１リング部から延びる第１中間部とをそれぞれ有し、
前記フレーム本体と前記第１リング部とは、互いに離れた位置に配されるとともに、前記第１中間部により連結され
前記フレーム本体の少なくとも一部と、前記第１中間部と、前記第１リング部とは、同じ金属板により連続して一体的に形成されている、
身飾品。
［付記４］
前記フレーム本体に対して正面側と背面側が規定されており、
２つの前記第１係合部は、前記フレーム本体の外縁部である本体外縁部から前記背面側へ延びており、
一の前記第１係合部を形成する前記金属板の厚み方向に対して垂直な方向における幅であって、前記本体外縁部から当該一の第１係合部が延伸する方向に対して垂直な方向における幅を、当該一の第１係合部の幅と規定した場合に、
前記第１係合部は、前記第１中間部における前記幅が前記第１リング部における前記幅に比べて小さい、
付記２又は３に記載の身飾品。
［付記５］
前記フレーム本体に対して正面側と背面側が規定されており、
２つの前記第１係合部は、前記フレーム本体の外縁部である本体外縁部から前記背面側へ延びており、
前記フレーム本体の端部であって、前記本体外縁部を含んだ端部である本体端部の少なくとも一部は、前記背面側に反っており、
２つの前記第１係合部は、前記背面側に反った前記本体端部の前記本体外縁部から延びている、
付記１～４のいずれか１つに記載の身飾品。
［付記６］
前記本体外縁部は、前記正面側から前記背面側へ向かう第１方向に対して平行な方向から見て凹状に湾曲した凹状部分を含み、
前記本体端部は、前記凹状部分において前記背面側に反っており、
２つの前記第１係合部は、前記凹状部分における離間した場所であって、前記凹状部分の最奥部を挟んで離間した場所から延びている、
付記５に記載の身飾品。
［付記７］
前記第１方向に対して平行であり、かつ、前記凹状部分を通る仮想平面が規定されており、
前記フレーム部材において、少なくとも前記本体外縁部の前記凹状部分と、２つの前記第１係合部とが、前記仮想平面について面対称な形状を持つ、
付記６に記載の身飾品。
［付記８］
２つの前記第１係合部は、前記仮想平面に対してそれぞれ平行に延びており、
２つの前記第１係合部に形成される２つの前記第１貫通孔は、前記仮想平面に垂直な方向から見て互いに重なる場所に位置する、
付記７に記載の身飾品。
［付記９］
前記フレーム部材は、前記本体外縁部から前記背面側へ延びた２以上の背面側フレーム部を含み、
前記本体外縁部は、前記第１方向に対して平行な方向から見て前記凹状部分と同じ方向へ凸状に湾曲した凸状部分を含み、
前記本体端部は、前記凸状部分において前記背面側に反っており、
１以上の前記背面側フレームと他の１以上の前記背面側フレームとが、前記凸状部分における離間した場所であって、前記凸状部分の最頂部を挟んで離間した場所からそれぞれ延びている、
付記５～８のいずれか１つに記載の身飾品。
［付記１０］
前記１以上の前記背面側フレームと前記他の１以上の背面側フレームとが、少なくとも１つの場所で互いに接合されている、
付記９に記載の身飾品。
［付記１１］
前記フレーム本体は、前記背面側から見て、前記本体外縁部に対して内側の部分が前記正面側へ凹んでいる、
付記１～１０のいずれか１つ記載の身飾品。
［付記１２］
前記第１係合部は、当該第1係合部に連結される前記第２係合部の前記第２貫通孔を通過できない規制部であって、当該第２貫通孔を通過できないことによって当該第２係合部の揺動範囲を規制する規制部を含む、
付記１～１１のいずれか１つに記載の身飾品。
［付記１３］
前記第１係合部は、前記第１貫通孔を囲む第１リング部を含み、
前記規制部は、前記第１リング部の外縁部であるリング外縁部から延びている、
付記１２に記載の身飾品。
［付記１４］
前記フレーム部材に対して、前記装飾部材を揺動可能に支持した状態における上側と下側が規定されており、
前記第１係合部は、
前記第１貫通孔を囲む第１リング部と、
前記フレーム本体の外縁部である本体外縁部から延びた第１中間部とを含み、
前記第１中間部は、前記第１リング部の外縁部であるリング外縁部と前記本体外縁部との間に介在し、前記本体外縁部から前記下側へ傾いた方向に延びている、
付記１～１１のいずれか１つに記載の身飾品。
［付記１５］
前記装飾部材は、
装飾体と、
前記装飾体を固定保持する台座部材とを含み、
前記台座部材は、
台座本体部と、
前記台座本体部を挟んで配置された２つの前記第２係合部とを含み、
前記第２係合部は、
前記第２貫通孔を囲む第２リング部と、
前記台座本体部から延びた板状の第２中間部とを含み、
前記第２中間部における板状の前記金属板は、前記第２リング部と前記台座本体部との間に介在し、一部又は全部がねじられている、
付記１～１４のいずれか１つに記載の身飾品。
［付記１６］
前記身飾品がネックレス又はイヤリングである、
付記１～１５のいずれか１つに記載の身飾品。
［付記１７］
フレーム部材と、前記フレーム部材に対して揺動可能に支持された装飾部材とを有する身飾品の製造方法であって、
１つの金属板にプレス加工を施すことによって、それぞれ第１貫通孔が形成された２つの第１係合部を含む前記フレーム部材を形成する工程と、
それぞれ第２貫通孔が形成された２つの第２係合部を含む前記装飾部材の一方の前記第２係合部と前記フレーム部材の一方の前記第１係合部とを、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とが接触するように互い連結させ、前記装飾部材の他方の前記第２係合部と前記フレーム部材の他方の前記第２係合部とを、前記第１貫通孔の内面と前記第２貫通孔の内面とが接触するように互い連結させる工程とを有する、
身飾品の製造方法。
［付記１８］
前記フレーム部材は、フレーム本体を含み、
前記フレーム本体に対して正面側と背面側が規定されており、
前記フレーム部材を形成する工程は、
前記金属板に打ち抜き加工を施すことによって、前記フレーム本体の外縁部である本体外縁部から２つの前記第１係合部が延びたブランク材を形成する工程と、
前記ブランク材の２つの前記第１係合部が前記背面側へ延びるように前記ブランク材を折り曲げる工程とを含む、
付記１７に記載の身飾品の製造方法。
［付記１９］
前記ブランク材を折り曲げる工程は、前記フレーム本体の端部であって、前記本体外縁部を含んだ端部である本体端部の少なくとも一部が前記背面側へ反るように、前記第１係合部に隣接する部分を含んだ前記本体端部と２つの前記第１係合部とを前記背面側へ一緒に曲げることを含む、
付記１８に記載の身飾品の製造方法。
［付記２０］
前記フレーム部材は、２以上の背面側フレーム部を含み、
前記ブランク材を形成する工程は、
前記正面側から見て凹状に湾曲した凹状部分と、前記正面側から見て前記凹状部分と同じ方向へ凸状に湾曲した凸状部分とを含んだ前記本体外縁部を持つ前記フレーム本体と、
前記凹状部分における離間した場所であって、前記凹状部分の最奥部を挟んで離間した場所から延びている２つの前記第１係合部と、
１以上の前記背面側フレームと他の１以上の前記背面側フレームとが、前記凸状部分における離間した場所であって、前記凸状部分の最頂部を挟んで離間した場所からそれぞれ延びている、２以上の前記背面側フレーム部と
を備える前記ブランク材を形成することを含み、
前記ブランク材を折り曲げる工程は、前記第１係合部に隣接する部分と前記背面側フレーム部に隣接する部分とを含んだ前記本体端部と、２つの前記第１係合部と、２以上の前記背面側フレーム部とを前記背面側へ一緒に曲げることを含む、
付記１９に記載の身飾品の製造方法。
［付記２１］
前記フレーム部材を形成する工程は、前記ブランク材を折り曲げる工程によって前記背面側に曲げられた前記１以上の背面側フレームと前記他の１以上の背面側フレームとを、少なくとも１つの場所で接合する接合工程を含む、
付記２０に記載の身飾品の製造方法。
［付記２２］
前記フレーム部材を形成する工程は、前記フレーム部材を折り曲げる工程の前に、前記第１貫通孔の開口部から内側に向かうほど前記第１貫通孔の径が小さくなるように、前記第１貫通孔の内面の少なくとも一部を傾斜させる加工を施す工程を含む、
付記１８～２１のいずれか１つに記載の身飾品の製造方法。
［付記２３］
前記フレーム部材を形成する工程により形成された前記フレーム部材の各前記第１係合部において、前記第１貫通孔を囲む部材の一部に挿通部を形成する工程を有し、
前記第１係合部と前記第２係合部とを連結させる工程は、
２つの前記第１係合部の前記挿通部から前記第１貫通孔の中へそれぞれ前記第２係合部を挿通させる工程と、
前記第１貫通孔の中へ前記第２係合部を挿通させた工程の後、２つの前記第１係合部の前記挿通部をそれぞれ塞ぐ工程とを含む、
付記１８～２２のいずれか１つに記載の身飾品の製造方法。
［付記２４］
前記第１係合部は、
前記第１貫通孔を囲む第１リング部と、
前記本体外縁部から延びた第１中間部とを含み、
前記第１中間部は、前記第１リング部の外縁部であるリング外縁部と前記本体外縁部との間に介在しており、
一の前記第１係合部を形成する前記金属板の厚み方向に対して垂直な方向における幅であって、前記本体外縁部から当該一の第１係合部が延伸する方向に対して垂直な方向における幅を、当該一の第１係合部の幅と規定し、
前記ブランク材を形成する工程は、前記第１中間部における前記幅が前記第１リング部における前記幅に比べて小さい前記第１係合部を含む前記ブランク材を形成することを含む、
付記１８～２３のいずれか１つに記載の身飾品の製造方法。
［付記２５］
前記第１係合部は、
前記第１貫通孔を囲む第１リング部と、
前記本体外縁部から延びた第１中間部とを含み、
前記第１中間部は、前記第１リング部の外縁部であるリング外縁部と前記本体外縁部との間に介在しており、
前記ブランク材を形成する工程は、各前記第１係合部の前記リング外縁部から延びた規制部を含む前記ブランク材を形成することを含み、
前記第１係合部の前記リング外縁部から延びた前記規制部は、当該第１係合部に連結される前記第２係合部の前記第２貫通孔を通過できないことによって当該第２係合部の揺動範囲を規制する、
請求項１８～２４のいずれか一項に記載の身飾品の製造方法。

【符号の説明】

【0098】

１・・・ネックレス
２・・・ペンダントトップ
３・・・チェーン
１０，１０Ａ，１０Ｂ・・・フレーム部材
１１・・・フレーム本体
１１０・・・本体外縁部
１１３・・・本体端部
１２・・・背面側フレーム部
１２１・・・上部フレーム
１２２・・・下部フレーム
１２３・・・中間フレーム
１２４・・・開口部
１３・・・第１係合部
１３１・・・第１貫通孔
１３２・・・第１リング部
１３３・・・第１中間部
１３４・・・リング外縁部
１３５・・・開口部
１３６・・・内面
１３７・・・規制部
２０・・・装飾部材
２１・・・宝石
２２・・・台座部材
２２０・・・台座本体部
２２１・・・爪部
２３・・・第２係合部
２３１・・・第２貫通孔
２３２・・・第２リング部
２３３・・・第２中間部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】