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特許7503345コーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル、及びこれを利用するコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】コーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル、及びこれを利用するコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 24/04 20060101AFI20240613BHJP
   H05H 1/42 20060101ALI20240613BHJP
   C23C 14/24 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
C23C24/04
H05H1/42
C23C14/24 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023501544
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 KR2021009853
(87)【国際公開番号】W WO2022025655
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0095332
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521036654
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ フュージョン エナジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ソ ウク
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒョン チェ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ヒョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】チョ、チャン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チ フン
(72)【発明者】
【氏名】リ、キ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】カン、イン チェ
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-210548(JP,A)
【文献】特開2007-119913(JP,A)
【文献】特開2006-193784(JP,A)
【文献】特開2007-146281(JP,A)
【文献】特開2019-014929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
C23C 24/00-30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアガス及びコーティング用粉体エアロゾルが注入される入口部(111)及び前記コーティング用粉体エアロゾルが吐出される吐出部(112)を含み、前記吐出部(112)は被蒸着基板(10)が収容された真空チャンバー(200)内に前記コーティング用粉体エアロゾルが吐出されるように、前記真空チャンバー(200)に連結される円管状の放電管(110)と、
前記入口部(111)と前記吐出部(112)との間で前記放電管(110)内にプラズマを発生させるプラズマ発生手段(120)と、を含み、
前記放電管(110)の内径は、10mm~15mm以下であることを特徴とする、コーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項2】
前記プラズマ発生手段(120)は、
マイクロ波発生手段と、
前記マイクロ波発生手段からマイクロ波が入力され、前記放電管が垂直に貫通する導波管(122)と、
前記放電管内にプラズマの点火のための電子を供給する点火部(123)とを含み、
前記放電管は石英管またはセラミックス管であることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項3】
前記放電管(110)は、前記吐出部(112)の周りに環状に形成されるフランジ部(113)を含み、
前記コーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルは、環状シール(seal)(130)と、板状かつ環状の第1フランジ(141)と、複数のフランジ固定ボルト(190)とをさらに含み、
前記第1フランジ(141)は、前記放電管(110)の前記吐出部(112)の開口と前記フランジ部(113)の一方の面とが、前記第1フランジ(141)の第1の面から露出するように、前記放電管(110)及び前記フランジ部(113)の周囲に形成され、
前記第1フランジ(141)は、前記第1の面が前記真空チャンバー(200)の外面と対向するように配置され、
前記環状シール(130)は、前記一方の面が前記第1フランジ(141)の前記第1の面から露出した前記フランジ部(113)の外周縁部を覆うように、前記第1フランジ(141)と前記第1フランジ(141)に対向する前記真空チャンバー(200)の外面との間に介在され、
前記フランジ固定ボルト(190)は前記真空チャンバー(200)の内側から前記真空チャンバー(200)の外面を貫通して前記第1フランジ(141)に結合されることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項4】
前記環状シール(130)は、前記放電管(110)の前記吐出部(112)の開口から離間されるように配置されることを特徴とする、請求項3に記載のコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項5】
前記真空チャンバー(200)の外面と前記第1フランジ(141)との間に前記フランジ固定ボルト(190)を通じて結合されて、前記環状シール(130)を収容する第2フランジ(142)をさらに含み、
前記第2フランジ(142)は、前記環状シール(130)の円周方向に沿って冷却流体を循環させる第1冷却水路(1423)を含み、
前記環状シール(130)は前記第1冷却水路(1423)に沿って循環する冷却流体によって間接的に冷却されることを特徴とする、請求項3に記載のコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項6】
前記放電管(110)と同軸に配置されて前記放電管(110)を収容し、前記放電管(110)を囲み、冷却流体が循環する第2冷却水路(151)を含む冷却ジャケット(
150)をさらに含むことを特徴とする、請求項1または5に記載のコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項7】
前記第2冷却水路(151)を循環する冷却流体は、電磁波の透過可能な誘電率を有するオイルであることを特徴とする、請求項6に記載のコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項8】
前記放電管(110)及び前記冷却ジャケット(150)を収容する遮蔽ジャケット(180)をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項9】
前記放電管(110)と同軸上に配置されるように前記真空チャンバー(200)の内面に設置されて、前記放電管(110)を通じて伝送されるコーティング用粉体エアロゾルを前記被蒸着基板(10)に向かって吐出する終端ノズル(170)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項10】
前記コーティング用粉体エアロゾルが通過する前記終端ノズル(170)の内部は前記終端ノズル(170)の末端に行くほど直径が減少することを特徴とする、請求項9に記載のコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項11】
前記終端ノズル(170)の末端の内径は、5mm~10mmであることを特徴とする、請求項10に記載のコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項12】
前記点火部は、
截頭された円錐状の内面を有し、前記截頭された部分に環状の尖鋭部(1231a)を形成し、前記尖鋭部(1231a)が前記導波管(122)の放電管(110)が貫通された領域に隣接して、前記放電管(110)の周りを囲むように設置される環状の導電性リング(1231)と、
前記環状の導電性リング(1231)に導電可能に連結され、前記放電管(110)内にプラズマの点火のための電源が印加される電力印加部材(1232)と、を含むことを特徴とする、請求項2に記載のコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル。
【請求項13】
内部に被蒸着基板(10)を収容する真空チャンバー(200)と、
前記被蒸着基板(10)に対向するように前記真空チャンバー(200)に装着されて、前記被蒸着基板(10)に向かってコーティング用粉体エアロゾルを吐出する請求項1~11の何れか一項に記載のノズル(100)と、
前記ノズル(100)の入口部(111)でコーティング用粉体エアロゾルを供給するエアロゾル供給部(300)と、を含むことを特徴とする、コーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置。
【請求項14】
前記エアロゾル供給部(300)は、
コーティング用粉体を収容し、前記真空チャンバー(200)よりも高い圧力の粉体チャンバー(310)と、
前記粉体チャンバー(310)にキャリアガスを供給するキャリアガス供給部(320)と、
前記粉体チャンバー(310)と前記ノズル(100)との間に連結されて、前記粉体チャンバー(310)からコーティング用粉体エアロゾルが前記ノズル(100)に供給
されるようにするエアロゾル移送チャンネル(330)と、を含むことを特徴とする、請求項13に記載のコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置。
【請求項15】
前記キャリアガスは、アルゴンまたは窒素であることを特徴とする、請求項14に記載のコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル、及びこれを利用するコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置に関し、より詳しくは、粉体の被蒸着基板でのコーティング効率が改善されることができるコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル、及びこれを利用するコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置部品に耐プラズマ性、耐食性向上のためのセラミックスコーティングをする工程には、アルマイト処理(Anodizing)と溶射コーティングがある。
【0003】
アルマイト処理を利用する場合、セラミックスコーティング膜の密度、硬度及び腐食性が劣り、有毒性酸を用いるため、環境毀損的問題もある。
【0004】
このような問題から、半導体装置部品の耐食性コーティング技術として、プラズマ溶射コーティング(Atmospheric Plasma Spray:APS)方式が利用される。
【0005】
プラズマ溶射コーティング方式は、粒度30~50umの球状セラミックス粉末をプラズマジェット中心に供給して、粉末を溶融させて製品の表面に噴射して積層する方式である。
【0006】
このようなプラズマ溶射コーティング方式は、大面積及び厚膜化が容易な長所を有しているが、粉末を噴射する時、プラズマジェットの中心を通過できなかった粉末の場合、粉末の表面のみ溶融されてコーティング層を形成するようになって、微細構造と再現性が不足し、制御が難しいという短所がある。
【0007】
また、高温のプラズマによる薄膜の微細亀裂、気孔などの問題で、硬度、密度、耐電圧特性が低下されるという短所がある。
【0008】
このようなプラズマ溶射コーティング方式の短所を補うために、数um大きさの微粒子を溶媒に分散して、プラズマジェットに供給するサスペンションプラズマ溶射(Suspension Plasma Spray:SPS)技術を開発しているが、これもプラズマジェットに粉末を供給する過程で溶媒蒸発による熱源が消失され、未溶融粒子が発生してコーティング膜の制御が難しくなり、高温のプラズマによる熱衝撃で、コーティング膜の特性が低下されるという短所がある。
【0009】
このような短所を克服するために、最近活発に開発している常温噴射コーティング技術(Aerosol Deposition:AD)は、常温でセラミックス粉末を輸送ガスに載せてエアロゾル状態で真空状態の母材に噴射、超高密度セラミックス層を形成する技術である。
【0010】
常温噴射コーティング技術は、外部のエネルギーなしに母材表面とセラミックス粉末が衝突する粒子の運動エネルギーが塑性変形に変換されながら、粒子間の強い付着力及び引力が誘導されて、微細クラック、気孔のない緻密な薄膜形成が可能で、常温で噴射コーティングが行われるので、粉末の変質を防止することができ、組成比の調節が可能で、再現性が高いという利点がある。
【0011】
しかしながら、常温噴射コーティング技術は、粉末の運動エネルギーのみでコーティングが行われて、プラズマ溶射コーティングに比べて、コーティング速度が非常に遅く、厚膜化が難しいという短所を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、粉体の被蒸着基板でのコーティング効率が改善され、厚膜化が可能であり、内部にプラズマが発生される放電管が真空チャンバーに堅固に固定され、また、真空チャンバーの真空環境が保持されるようにノズルの連結が可能になり、さらに、プラズマ発生手段としてマイクロ波を利用可能にしたコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル、及びコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置を提供することにある。
【0013】
また、放電管の吐出部の周りの気密を保持させる環状シールが容易に冷却され、プラズマの高温による環状シールの熱損失が防止されて、長時間動作可能なコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル、及びコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置を提供することにある。
【0014】
また、コーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置を長時間安定的に運転することができるようにすることに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施形態に係るコーティング用粉末エアロゾル蒸着用ノズルは、キャリアガス及びコーティング用粉体エアロゾルが注入される入口部、及び前記コーティング用粉体エアロゾルが吐出される吐出部を含み、前記吐出部は、被蒸着基板が収容された真空チャンバー内に前記コーティング用粉体エアロゾルが吐出されるように前記真空チャンバーに連結される放電管と、前記入口部と前記吐出部との間にプラズマを発生させるプラズマ発生手段とを含むことを特徴とする。
【0016】
一実施例において、前記プラズマ発生手段は、マイクロ波発生手段、前記マイクロ波発生手段からマイクロ波が入力され、前記放電管が垂直に貫通する導波管と、前記放電管内にプラズマの点火のための電子を供給する点火部とを含み、前記放電管は石英管またはセラミックス管であり得る。
【0017】
一実施例において、前記放電管は、前記吐出部の周りに環状に形成されるフランジ部を含み、前記コーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルは、環状シール、第1フランジ、及び複数のフランジ固定ボルトをさらに含み、前記環状シールは、前記フランジ部の周りを覆うように、前記フランジ部及び前記フランジ部に対向する前記真空チャンバーの外面の間に介在され、前記第1フランジは、前記環状シールの反対側で前記フランジ部及び前記環状シールを覆って前記真空チャンバーの外面に対向され、前記フランジ固定ボルトは、前記真空チャンバーの内側から前記真空チャンバーの外面を貫通して前記第1フランジに結合されることができる。
【0018】
一実施例において、前記環状シールは、前記フランジ部の辺縁に近接するように配置されて、プラズマから遠く離隔されることができる。
【0019】
一実施例において、前記真空チャンバーの外面と前記第1フランジとの間に前記フランジ固定ボルトを通じて結合されて、前記環状シールを収容する第2フランジをさらに含み、前記第2フランジは、前記環状シールの円周方向に沿って冷却流体を循環させる第1冷却水路を含み、前記環状シールは前記第1冷却水路に沿って循環される冷却流体によって間接的に冷却されることができる。
【0020】
一実施例において、前記放電管と同軸に配置されて前記放電管を収容し、前記放電管を囲み、冷却流体が循環する第2冷却水路を含む冷却ジャケットをさらに含むことができる。
【0021】
一実施例において、前記第2冷却水路を循環する冷却流体は、前記電磁波の透過可能な誘電率を有するオイルであり得る。
【0022】
一実施例において、前記放電管及び前記冷却ジャケットを収容する遮蔽ジャケットをさらに含むことができる。
【0023】
一実施例において、前記放電管と同軸上に配置されるように前記真空チャンバー内面に設置されて、前記放電管を通じて伝送されるコーティング用粉体エアロゾルを前記被蒸着基板に向かって吐出する終端ノズルをさらに含むことができる。
【0024】
一実施例において、前記コーティング用粉体エアロゾルが通過する前記終端ノズルの内部は、前記終端ノズルの末端に行くほど直径が減少することができる。
【0025】
一実施例において、前記放電管の内径は10~15mm以下であり、前記終端ノズルの末端の内径は5mm~10mmであり得る。
【0026】
一実施例において、前記点火部は、截頭された円錐状の内面を有し、前記截頭された部分に環状の尖鋭部を形成し、前記尖鋭部が前記導波管の放電管が貫通された領域に隣接して前記放電管の周りを囲むように設置される環状の導電性リングと、前記環状の導電性リングに導電可能に連結され、前記放電管内にプラズマの点火のための電源が印加される電力印加部材とを含むことができる。
【0027】
本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置は、内部に被蒸着基板を収容する真空チャンバー;前記被蒸着基板に対向するように前記真空チャンバーに装着されて、前記被蒸着基板に向かってコーティング用粉体エアロゾルを吐出する第1項乃至第12項の何れか一項に記載のノズルと、前記ノズルの入口部でコーティング用粉体エアロゾルを供給するエアロゾル供給部とを含むことを特徴とする。
【0028】
一実施例において、前記エアロゾル供給部は、コーティング用粉体を収容し、前記真空チャンバーよりも高い圧力の粉体チャンバーと、前記粉体チャンバーにキャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、前記粉体チャンバーと前記ノズルとの間に連結されて、前記粉体チャンバーからコーティング用粉体エアロゾルが前記ノズルに供給されるようにするエアロゾル移送チャンネルとを含むことができる。
【0029】
一実施例において、前記キャリアガスはアルゴンまたは窒素であり得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル、このノズルを利用するコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置を利用すると、被蒸着基板に向かって加速されるコーティング用粉体エアロゾルがプラズマのエネルギーを得て加速されて吐出されるので、粉体の被蒸着基板でのコーティング効率が改善されることができる。
【0031】
また、コーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルは、放電管の吐出部が真空チャンバーに堅固に固定され、また真空チャンバーの真空環境が保持されるようにノズルの連結が可能になり、さらに、このような利点は、プラズマ発生手段としてマイクロ波を利用可能にするという利点がある。
【0032】
また、放電管の吐出部の周りの気密を保持させる環状シールが容易に冷却されることができるので、プラズマの高温による環状シールの熱損失が防止されて、長時間動作が可能になるという利点がある。
【0033】
また、ノズルの放電管は遮蔽ジャケットで囲まれて外部空間と遮蔽されるので、放電管に流入される電磁波の漏出が防止され、外部空間と電子的に遮蔽されるので、コーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置を長時間安定的に運転することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルの構成を示す断面図である。
図2図1に示した点火部の導電性リングを拡大して示した斜視図である。
図3】本発明の他の実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルの構成を示す断面図である。
図4】本発明のまた他の実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルの構成を示す断面図である。
図5図4の見掛け斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル、及びこれを利用するコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置に対して詳しく説明する。本発明は多様な変更を施すことができ、様々な形態を有し得、特定の実施例を図面に例示して本文で詳しく説明する。しかしながら、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むことに理解されるべきである。各図面を説明しながら類似の参照符号を類似の構成要素に対して用いた。添付図面において、構造物の寸法は本発明の明確性を図るために、実際より拡大して示した。
【0036】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに用いられることができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで用いられる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素に命名され得、同様に、第2構成要素も第1構成要素に命名され得る。
【0037】
本出願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いられたもので、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたのが存在することを指定しようとするのであって、一つまたはその以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことに理解されるべきである。
【0038】
異なるように定義されない限り、技術的または科学的用語を含んでここで用いられるすべての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。通常用いられる辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することに解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルの構成を示す断面図である。
【0040】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルは、放電管110、及びプラズマ発生手段120を含むことができる。
【0041】
放電管110は、入口部111及び吐出部112を含むことができる。入口部111ではキャリアガス及びコーティング用粉体エアロゾルが注入されることができ、吐出部112では入口部111に注入されるコーティング用粉体エアロゾルが吐出されることができる。このような放電管110は、吐出部112が被蒸着基板10が収容された真空チャンバー200内にコーティング用粉体エアロゾルが吐出されるように、吐出部112が前記真空チャンバー200に連結される。放電管110は石英管またはセラミックス管であり得る。
【0042】
このような放電管110は、直径が小さいほど放電管110を通過するコーティング用粉体エアロゾルの流速が早くなることができる。このために、放電管110の内径は10mm~15mm以下に設定され得る。10mm未満の場合、放電管110の直径が顕著に減少されて、放電管110の強度保持に問題となり、15mmを超える場合、放電管110内にプラズマ発生手段120によって発生されるプラズマが中空のプラズマに生成され得、この場合、放電管110を通過するコーティング用粉体エアロゾルがプラズマと接触されずに通過されるという問題がある。したがって、放電管110内に満たされるプラズマを生成するために、放電管110の内径は15mmを超えないように設定される。
【0043】
プラズマ発生手段120は、放電管110の入口部111と吐出部112との間にプラズマを発生させる。すなわち、入口部111から吐出部112に進行されるコーティング用粉体エアロゾルがプラズマを通るように、入口部111と吐出部112との間にプラズマを発生させる。
【0044】
前記プラズマは、マイクロ波プラズマ放電によるプラズマであり得る。このために、プラズマ発生手段120は、マイクロ波発生手段(図示しない)、導波管122、及び点火部123を含むことができる。
【0045】
具体的に示さなかったが、マイクロ波発生手段は、マグネトロン、電源供給部、循環器、方向性結合器及びスタブチューナを含むことができる。マグネトロンは10MHz~10GHz帯域の電磁波を発振するマグネトロンが用いられることができ、好ましくは、2.45GHzの電磁波を発振するように構成されることができる。前記電源供給部は、電波電圧乗算器と、パルス及び直流(DC)装置で構成されて、マグネトロンに電力を供給するように構成されることができる。前記循環器は、マグネトロンで発振された電磁波を出力するとともに、インピーダンス不整合で反射される電磁波エネルギーを消滅させて、マグネトロンを保護するように構成されることができる。前記方向性結合器は、循環器を通じて伝送された電磁波を出力することができる。前記スタブチューナは、方向性結合器から入力される電磁波に対して入射波と反射波の強さを調節して、インピーダンス整合を誘導することにより、電磁波で誘導された電場が放電管110内で最も強い現象を表すように構成されることができる。
【0046】
導波管122は、マイクロ波発生手段から電磁波が入力され、放電管110が垂直に貫通する。
【0047】
点火部123は、放電管110内にプラズマの点火のための電子を供給する。一例として、点火部123は、環状の導電性リング1231及び電力印加部材1232を含むことができる。
【0048】
図2は、図1に示した点火部の導電性リングを拡大して示した斜視図である。図1及び図2を参照すると、環状の導電性リング1231は、截頭された円錐状の内面を有し、截頭された部分に環状の尖鋭部1231aを形成することができる。このような環状の導電性リング1231は、尖鋭部1231aが導波管122の放電管110が貫通された領域に隣接して、尖鋭部1231aが放電管110の周りを囲むように設置されることができる。
【0049】
このような環状の導電性リング1231は、環状の尖鋭部1231aが放電管110の周りを囲むと、放電管110の周りに扇形に接するようになり、これは環状の導電性リング1231が放電管110に接する面積が最小化され、電子の供給のための電力が尖鋭部1231aに集中されるので、常時導波管122の放電管110が貫通された領域に隣接するように電子を供給し、安定的な電子供給が可能になる。
【0050】
電力印加部材1232は、環状の導電性リング1231に導電可能に連結され、外部の電源供給手段から放電管110内にプラズマの点火のための電源が印加されることができる。
【0051】
一例として、電力印加部材1232は、電力出力端1232a、及び電力出力端1232aの反対側の電源入力部1232bを含むことができ、電力出力端1232aが導電性リング1231の一側を貫通するように、導電性リング1231の一側に設置されることができる。前記電源入力部1232bは、外部の電源供給手段と電気的に連結されて、前記電源供給手段から電源が印加されることができる。
【0052】
このような点火部123は、前記電力印加部材1232に電源が印加されると、前記電力出力端1232aから導電性リング1231の尖鋭部1231a方向に電力が印加され、導電性リング1231の尖鋭部1231aに印加される電力が放電管110の内部に伝達されて、放電管110の内部に流入された電磁波にプラズマ放電のための電子が入力されてプラズマ放電が開始され、それにより、放電管110内にプラズマが発生されることができる。
【0053】
一方、前記放電管110は真空チャンバー200に連結されるとき、真空チャンバー200内の真空保持及びコーティング用粉体エアロゾルの漏出防止のために、堅固な気密が保持される必要がある。
【0054】
このために、本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルは、図1に示したように、環状シール(seal)130、第1フランジ141及び複数のフランジ固定ボルト190を含むことができ、放電管110は、吐出部112の周りに環状に形成されるフランジ部113を含むことができる。図2は、本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルが真空チャンバーに固定される一実施例を示す断面図である。
【0055】
環状シール130は、耐熱性を有するゴム材質のOリング(O-ring)で構成されることができる。環状シール130は、前記フランジ部113の周りを覆うように、フランジ部113とフランジ部113に対向する真空チャンバー200の外面との間に介在されることができる。この時、環状シール130は、フランジ部113の辺縁に最大限に近接するように配置されることができる。例えば、環状シール130はフランジ部113の辺縁を覆うようにフランジ部113に密着されて、吐出部112の周りを密封することができる。この場合、環状シール130はプラズマから遠く離隔されることができ、それにより、プラズマの高い温度による熱損傷が防止されることができる。
【0056】
第1フランジ141は、環状シール130の反対側でフランジ部113及び環状シール130を覆って真空チャンバー200の外面に対向されることができる。
【0057】
フランジ固定ボルト190は、真空チャンバー200の内側から真空チャンバー200の外面を貫通して第1フランジ141に結合されることができる。この時、フランジ固定ボルト190は、第1フランジ141に締め付けられながら、第1フランジ141を真空チャンバー200の方向に引っ張って、第1フランジ141を真空チャンバー200の外面に堅固に固定させることができる。
【0058】
以下では、説明の便宜のために、前記放電管110が固定される真空チャンバー200の外面を「ノズル装着面210」と名付けて説明する。
【0059】
図3は、本発明の他の実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルの構成を示す断面図である。
【0060】
図3を参照すると、本発明の他の実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルは、第2フランジ142をさらに含むことができる。
【0061】
第2フランジ142はノズル装着面210と第1フランジ141との間にフランジ固定ボルト190を通じて結合されて、環状シール130を収容することができる。すなわち、フランジ固定ボルト190がノズル装着面210、第2フランジ142及び第1フランジ141にねじ結合されて、第2フランジ142がノズル装着面210と第1フランジ141との間に固定されることができ、第1フランジ141と第2フランジ142との間には環状シール130及び放電管110のフランジ部113が収容されることができる。
【0062】
また、第2フランジ142は、中心部に形成される流体通過孔1421を含むことができる。前記流体通過孔1421は、放電管110と同軸に配置されて、放電管110の内部と流体疎通可能に放電管110と対向することができ、第2フランジ142が固定されるノズル装着面210には前記流体通過孔1421と流体疎通可能な貫通孔211が形成されることができる。
【0063】
一例として、第1フランジ141の第2フランジ142と密着される面にはフランジ収容溝1411が形成されて、放電管110のフランジ部113を前記フランジ収容溝1411内に収容することができ、第2フランジ142の流体通過孔1421の周りに環状シール収容溝1422が形成されて、環状シール130を環状シール収容溝1422内に収容することができる。この時、環状シール130はフランジ部113の辺縁を覆ってフランジ部113に密着されることができる。
【0064】
一方、環状シール130のプラズマの高い温度による熱損傷をより効率的に防止するために、前記第2フランジ142は第1冷却水路1423を含むことができる。第1冷却水路1423は第2フランジ142の内部に収容される環状シール130の円周方向に沿って形成されることができ、冷却流体が注入及び循環されることができる。例えば、第1冷却水路1423は環状シール130が収容される前記環状シール収容溝1422よりも内側に位置するように形成されて、環状シール収容溝1422に収容される環状シール130に冷却流体が接触されることができる。冷却流体の注入は、第1フランジ141に冷却流体供給手段が連結されて、第1冷却水路1423に注入されることができる。図示しなかったが、例えば、冷却流体供給手段は冷却流体を貯蔵している冷却流体貯蔵槽、第1冷却水路1423及び前記貯蔵槽に流体疎通可能に連結される注入管及び回収管、冷却流体をポンピングするポンプを含むことができる。
【0065】
図4は、本発明のまた他の実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルの構成を示す断面図であり、図5は、図4の見掛け斜視図である。
【0066】
一方、前述したように、放電管110内で発生されるプラズマは、放電管110内に満たされるプラズマに発生されるので、プラズマの熱が分散されずに放電管110内に集中されるので、放電管110を冷却させる必要がある。このために、本発明のまた他の実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルは、図4に示したように、冷却ジャケット150をさらに含むことができる。
【0067】
前記冷却ジャケット150は、放電管110と同軸に配置されて放電管110を収容し、放電管110を囲み、冷却流体が循環する第2冷却水路151を含むことができる。第2冷却水路151は、放電管110の長さ方向に沿って形成されることができる。
【0068】
このような冷却ジャケット150は、放電管110を収容し、放電管110とともに導波管122を垂直に貫通することができる。この時、冷却ジャケット150は、放電管110の内部への電磁波流入を遮断しないように、冷却ジャケット150は、石英管またはセラミックス管であり得、第2冷却水路151に沿って循環される冷却流体は、電磁波の透過可能な誘電率を有するオイルであり得る。
【0069】
また、前記第2冷却水路151への冷却流体の注入及び循環のために、第1フランジ141の反対側方向で冷却ジャケット150と同軸に配置される第3フランジ143をさらに含むことができ、第1フランジ141及び第3フランジ143には、冷却流体の注入及び排出のために、第2冷却水路151の直径以上の直径を有する中央孔1412、1431及び前記中央孔1412、1431に貫通される流体出入口1413、1432が形成されることができる。
【0070】
この場合、放電管110の入口部111は、第3フランジ143の中央孔1432内に収容されることができ、第3フランジ143の後方には、放電管110の入口部111に流体疎通可能に対向し、前記コーティング用粉体エアロゾルを放電管110の入口部111に注入するためのエアロゾル注入孔161を有するアダプダ160が結合されることができる。
【0071】
図示しなかったが、前記第2冷却水路151に冷却流体を注入するために、第1フランジ141及び第3フランジ143には冷却流体供給手段が連結されることができる。冷却流体供給手段は、前記第2フランジ142に連結される冷却流体供給手段と同一または類似するので、具体的な説明は省略する。
【0072】
ここで、前記冷却ジャケット150は石英管またはセラミックス管で、放電管110を収容しているので、前記プラズマ発生手段120の点火部123の環状の導電性リング1231は、尖鋭部1231aが冷却ジャケット150の周りを囲むように備えられることができる。
【0073】
一方、被蒸着基板10に向かって吐出されるコーティング用粉体エアロゾルのコーティング用粉体は被蒸着基板10に強い付着力で付着される必要がある。このためには、吐出されるコーティング用粉体エアロゾルが被蒸着基板10に強く吐出される必要があり、このためには、コーティング用粉体エアロゾルが吐出されるノズルの末端の直径が小さいほどよい。
【0074】
これを達するために、本発明のまた他の実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルは、図4に示したように、終端ノズル170をさらに含むことができる。
【0075】
終端ノズル170は、放電管110と同軸上に配置されるように、真空チャンバー200の内面、すなわち前記ノズル装着面210の内面に設置されて、放電管110を通じて伝送されるコーティング用粉体エアロゾルを被蒸着基板10に向かって吐出する。
【0076】
前記終端ノズル170は、コーティング用粉体エアロゾルが吐出される末端の内径が放電管110の直径よりも小さいことが好ましい。このために、終端ノズル170の内部は終端ノズル170の末端に行くほど直径が減少する形態に備えられ、終端ノズル170の末端の内径は5mm~10mmに設定されることができる。このように、終端ノズル170の末端の内径を放電管110の内径よりも小さく形成すると、終端ノズル170の末端に向かうほどコーティング用粉体エアロゾルの流速が増加して、終端ノズル170の末端でコーティング用粉体エアロゾルが被蒸着基板10に向かって強く吐出されることができる。
【0077】
一方、本発明のまた他の実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルは、図4に示したように、遮蔽ジャケット180をさらに含むことができる。
【0078】
遮蔽ジャケット180は、放電管110及び冷却ジャケット150を収容する。一例として、遮蔽ジャケット180は、第1遮蔽管181、及び第2遮蔽管182を含むことができる。
【0079】
第1遮蔽管181は導波管122と第1フランジ141との間に連結されて、導波管122と第1フランジ141との間に位置する冷却ジャケット150及び放電管110の一部長さを遮蔽することができる。
【0080】
第2遮蔽管182は、第1遮蔽管181の反対側で導波管122と第3フランジ143との間に連結されて、導波管122と第3フランジ143との間に位置する冷却ジャケット150及び放電管110の他の一部長さを遮蔽することができる。
【0081】
ここで、遮蔽ジャケット180は金属材質であり得、真空チャンバー200、第1フランジ141、第2フランジ142、第3フランジ143、アダプダ160は何れも金属材質であり得る。それによって、放電管110及び冷却ジャケット150は金属素材で囲まれて、外部と遮蔽されることができる。
【0082】
このような本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルを利用して、マイクロ波プラズマエネルギーが付与されるコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置を構成することができる。
【0083】
図6は、本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置の構成を説明するための図である。
【0084】
図6を参照すると、本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置は、真空チャンバー200、エアロゾルノズル100、エアロゾル供給部300を含むことができる。
【0085】
真空チャンバー200は、内部が真空であり、コーティング用粉体エアロゾルが被蒸着基板10に蒸着されるための空間を提供し、被蒸着基板10を内部に収容する。
【0086】
エアロゾルノズル100は、真空チャンバー200内の被蒸着基板10に向かってコーティング用粉体エアロゾルを吐出する。ここで、前記コーティング用粉体エアロゾルに含まれる粉体はセラミックス粉体であり得る。エアロゾルノズル100は、前記本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルである。
【0087】
エアロゾル供給部300は、エアロゾルノズル100の入口部111でコーティング用粉体エアロゾルを供給する。エアロゾル供給部300は、粉体チャンバー310、キャリアガス供給部320、エアロゾル移送チャンネル330を含むことができる。
【0088】
粉体チャンバー310は、コーティング用粉体を収容し、真空チャンバー200よりも高い圧力を有することができる。
【0089】
キャリアガス供給部320は、粉体チャンバー310にキャリアガスを供給する。一例として、キャリアガス供給部320は、キャリアガスを貯蔵するガスタンク321、ガスタンク321から粉体チャンバー310に連結されるガス供給管322、及びガス供給管322上に設置されて、キャリアガスの供給を制御する質量流量制御器323を含むことができる。前記キャリアガスはアルゴンまたは窒素であり得る。
【0090】
エアロゾル移送チャンネル330は、粉体チャンバー310からコーティング用粉体エアロゾルがエアロゾルノズル100に供給されるようにする。一例として、エアロゾル移送チャンネル330は、一端が粉体チャンバー310に連結され、他端がエアロゾルノズル100に連結される中空の配管であり得る。
【0091】
以下では本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置を利用して、被蒸着基板に粉体を吐出及び被蒸着基板をコーティングする過程を説明する。
【0092】
まず、エアロゾル供給部300を通じて粉体チャンバー310にキャリアガスが供給される。
【0093】
続いて、キャリアガスが粉体チャンバー310内に流入されると、キャリアガスとコーティング用粉体は混合されてコーティング用粉体のエアロゾルが形成され、粉体チャンバー310は真空チャンバー200より高い圧力を有するので、その圧力差によってコーティング用粉体のエアロゾルがエアロゾル移送チャンネル330に流入された後、エアロゾル移送チャンネル330に沿ってエアロゾルノズル100に供給される。
【0094】
エアロゾルノズル100でコーティング用粉体エアロゾルは放電管110の入口部111に流入され、放電管110の長さ方向に沿って入口部111から吐出部112に向かって進行される。この時、プラズマ発生手段120を通じて放電管110内にプラズマを発生させる。
【0095】
プラズマの発生のために、マイクロ発生手段を通じて導波管122に電磁波を入力し、導波管122に入力された電磁波は導波管122を貫いている、石英管からなる、放電管110及び冷却ジャケット150を透過して放電管110の内部に供給される。この時、点火部123の電力印加部材1232に電源を印加すると、電力印加部材1232の電力出力端1232aを通じて導電性リング1231に電力が印加され、印加された電力は冷却ジャケット150及び放電管110の周りを囲んでいる導電性リング1231の尖鋭部1231aに印加された後、放電管110の内部に伝達されて、放電管110内の電磁波にプラズマの点火のための電子が入力される。それにより、放電管110内にマイクロ波プラズマ放電が開始されて、放電管110内にプラズマが発生される。
【0096】
放電管110内に発生されるプラズマは、放電管110が10mm~15mm以下の内径を有して放電管110内に満たされたプラズマに発生され、放電管110の吐出部112に向かって進行されるコーティング用粉体エアロゾルは、プラズマを通過しながらコーティング用粉体エアロゾルにはプラズマのエネルギーが付与される。
【0097】
プラズマのエネルギーを得たコーティング用粉体エアロゾルはエアロゾルノズル100の吐出部112を通過した後、真空チャンバー200内に位置する終端ノズル170の末端を通じて真空チャンバー200及び粉体チャンバー310の圧力差によって被蒸着基板10の表面に強く吐出される。
【0098】
強い吐出によってコーティング用粉体エアロゾルは被蒸着基板10に衝突され、衝突エネルギーがコーティング用粉体、例えば、セラミックスの塑性変形に変換されながら粒子間の強い付着力及び引力が誘導され、セラミックス粉体はナノ大きさの微細粒子に崩壊されながら被蒸着基板10の表面に強い付着力で付着される。
【0099】
このようなコーティング用粉体エアロゾルの吐出過程にエアロゾルノズル100の環状シール130及び放電管110は冷却する。すなわち、エアロゾルノズル100の第2フランジ142内部の第1冷却水路1423及び冷却ジャケット150内部の第2冷却水路151に冷却流体が注入及び循環されて、環状シール130及び放電管110が冷却されることができる。
【0100】
以上で説明された本発明の一実施形態に係るコーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズル、これを利用するコーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置を利用すると、被蒸着基板10に向かって加速されるコーティング用粉体、例えば、セラミックス粉体エアロゾルがプラズマのエネルギーを得て加速されて吐出されるので、粉体の被蒸着基板10でのコーティング効率が改善されることができる。
【0101】
また、コーティング用粉体エアロゾル蒸着用マイクロ波プラズマノズルは、第1フランジ141、第2フランジ142、放電管110のフランジ部113及び環状シール130の間の結合構造によって放電管110の吐出部112が真空チャンバー200に堅固に固定され、また、真空チャンバー200の真空環境が保持されるようにノズルの連結が可能になり、さらに、このような利点はプラズマ発生手段120としてマイクロ波を利用可能にするという利点がある。
【0102】
また、放電管110の吐出部112の周りの気密を保持させる環状シール130が簡単に冷却されることができるので、プラズマの高温による環状シール130の熱損失が防止されることができるという利点がある。
【0103】
また、ノズルの放電管110は金属素材で囲まれて外部空間と遮蔽されるので、放電管110に流入される電磁波の漏出が防止され、外部空間と電子的遮蔽が行われるので、コーティング用粉体エアロゾルによるコーティング装置を長時間安定的に運転することができるという利点がある。
【0104】
提示された実施形態に対する説明は本発明の技術分野において通常の知識を有する全て者が本発明を利用したりまたは実施することができるように提供される。このような実施形態に対する多様な変形は本発明の技術分野において通常の知識を有する者に明白であり、ここに定義された一般的な原理は本発明の範囲を逸脱することなく他の実施形態に適用されることができる。その故、本発明はここに提示された実施形態に限定されるのではなく、ここに提示された原理及び新規の特徴と一貫される最広義の範囲で解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6