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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】お香用の煙溜め器具
(51)【国際特許分類】
   A47G 33/00 20060101AFI20240613BHJP
   A47G 35/00 20060101ALI20240613BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20240613BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240613BHJP
【FI】
A47G33/00 C
A47G35/00 A
F21V33/00 300
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024003875
(22)【出願日】2024-01-15
【審査請求日】2024-02-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521144638
【氏名又は名称】株式会社山河
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】橋本 勝洋
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-111023(JP,A)
【文献】実開平07-034784(JP,U)
【文献】特開2008-222307(JP,A)
【文献】特表2009-530774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
A47G 35/00
F21V 33/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焚かれたお香の上部において、お香から空間を空けて設置される煙溜め部と、
前記煙溜め部を支持する支持部と
前記煙溜め部の内部を光で照らすことが可能な照明部とを備え、
前記煙溜め部は、前記お香からの煙を内部に取り入れることが可能な開口部を有し、かつ、内部での煙の流れを外部から視認可能なように、透明又は半透明であることを特徴とする、お香用の煙溜め器具。
【請求項2】
前記煙溜め部は、煙溜め部に溜まった煙を徐々に空間に放出するための通気口部を備えることを特徴とする、請求項1に記載のお香用の煙溜め器具。
【請求項3】
前記通気口部の開口の大きさは、調整可能となっていることを特徴とする、請求項に記載のお香用の煙溜め器具。
【請求項4】
前記支持部の土台となり、かつ、香立、香皿、又は香炉としての機能を有するか又は香立、香皿、又は香炉を載置可能なお香設置部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のお香用の煙溜め器具。
【請求項5】
前記煙溜め部は、煙を溜める部分を上下に複数積層して設けていることを特徴とする、請求項1に記載のお香用の煙溜め器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お香と一緒に使用する器具である。
【背景技術】
【0002】
お線香や、コーン型、渦巻型、バンブースティック型など様々な形状のお香が開発されている。お香に火を付けて、香煙を感じるのがお香の楽しみ方である。
従来、お香を利用する場合には、香立や香皿、香炉などを使用していた。さらに、最近、特許文献1及び2並びに非特許文献1及び2に記載のような、煙の流れを楽しむ器具が開発されてきている。
【0003】
特許文献1に記載のお香用照明装置(1)(括弧内の符号は先行技術文献に関するものである。以下同様。)は、お香を焚くための器具を内部に収容可能な透明又は半透明な本体部(4)と、本体部(4)の上部及び下部に設けられた上通気口部(3)及び下通気口部(6)、上部に設けられた照明部(2)とを備える装置である。照明部(2)は、本体部(4)の内部を、上側から下方に照らすことができるになっている。
【0004】
特許文献2に記載の描煙装置(1)は、煙発生部材(9)を載置する載置部材(3)と、煙発生部材(9)で発生して上昇した煙を内部で受け止める載置部材(3)の上部に配置された上側容器(5)と、載置部材(3)の下部に配置された透光性を備えた下側容器(7)とを備える装置である。描煙装置(1)は、上側容器(5)で受け止められ載置部材(3)の通過孔(3a)を介して下降した煙を、下側容器(7)の内部で循環させることで煙に不規則な模様を描かせる装置である。
【0005】
非特許文献1に記載の器具は、透明の筒状の本体の内部の中でお線香を吊しておき、本体の下部から光を当てて、本体内部の煙の流れを観賞できるようにした器具である。
【0006】
非特許文献2に記載の器具は、特許文献2に記載の装置と同様に、下部の透明の筒状の本体の上に、プレートを載せて、当該プレートの上に、スティックタイプのお香を載せて、火を付け、当該プレートの上に、半透明の上部ガラスを被せるようにする構造となっている。お香の煙は、下部の本体にゆっくりと落ちていく仕組みになっている。本体の下部には、照明部が設けられているため、本体での煙の流れを鑑賞できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第7283814号公報
【文献】特許第7270115号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】Wadiz,インターネット,検索日2023年11月24日,<URL:https://www.wadiz.kr/web/campaign/detail/168622>
【文献】Yukage,イネターネット,検索日2023年11月24日,<URL:https://yukage.com/pages/how-to>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、お香から発生する煙を溜めて、空間へとゆっくり放出させるような器具は、今までなかった。
それゆえ、本発明は、お香から発生する煙を溜めて、空間へとゆっくり放出させて、快適にお香を楽しむことができるようにする器具を提供することを目的とする。
【0010】
ここで、本発明と先行技術文献に記載の発明との相違点について説明しておく。
特許文献1に記載のお香用照明装置(1)は、本体部(4)の内部で煙が発生し、本体部(4)の内部で発生した煙は、通気口部を通じて、外部に放出されていく。本体部(4)の内部で、お香の点火部が存在する。一方、本発明において、お香の点火部は、回りが囲われていない空間上に存在する。この点で、本発明と特許文献1に記載のお香用照明装置(1)とは異なる。
【0011】
特許文献2に記載の描煙装置(1)は、上側容器(5)と下側容器(7)との間に、お香の点火部が存在する。一方、本発明において、お香の点火部は、回りが囲われていない空間上に存在する。この点で、本発明と特許文献2に記載の描煙装置(1)とは異なる。
【0012】
非特許文献1に記載の器具は、透明の筒状の本体の内部に、お香の点火点が存在する。一方、本発明において、お香の点火部は、回りが囲われていない空間上に存在する。この点で、本発明と非特許文献1に記載の器具とは異なる。
【0013】
非特許文献2に記載の器具は、下部の透明の筒状の本体と、上部ガラスとの間に、お香の点火部が存在する。一方、本発明において、お香の点火部は、回りが囲われていない空間上に存在する。この点で、本発明と非特許文献2に記載の器具とは異なる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。
本発明は、焚かれたお香の上部において、お香から空間を空けて設置される煙溜め部と、煙溜め部を支持する支持部と、煙溜め部の内部を光で照らすことが可能な照明部とを備えるお香用の煙溜め器具である。煙溜め部は、お香からの煙を内部に取り入れることが可能な開口部を有し、かつ、内部での煙の流れを外部から視認可能なように、透明又は半透明である。
【0016】
好ましくは、煙溜め部は、煙溜め部に溜まった煙を徐々に空間に放出するための通気口部を備えるとよい。
【0017】
好ましくは、通気口部の開口の大きさは、調整可能となっているとよい。
【0018】
好ましくは、支持部の土台となり、かつ、香立、香皿、又は香炉としての機能を有するか又は香立、香皿、又は香炉を載置可能なお香設置部をさらに備えるとよい。
【0019】
好ましくは、煙溜め部は、透明又は半透明であるとよい。
【0020】
また、煙溜め部は、煙を溜める部分を上下に複数積層して設けていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
煙溜め部の開口部を通じて、お香の煙が煙溜め部に溜められ、徐々に、溜まった煙が空間に放出されることとなる。
【0022】
煙溜め部の内部を光で照らせば今までにない美感を得ることができる。
【0023】
通気口部を設けることで、煙溜め部に溜まった煙を徐々に空間に放出することができる。さらに、その通気口部の開口の大きさを調整できるようにすれば、空間に放出される煙の量を調整できる。
【0024】
お香設置部をさらに設けることで、煙溜め部を安定させかつ香立などの設置や香立などの用途としても使うことができる。
【0025】
煙溜め部を透明又は半透明にしておけば、溜まった煙を視認することができる。
【0026】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係るお香の煙溜め器具1の構造を示す正面図である。
図2図2は、煙溜め器具1を使用しているときの様子を示す正面図である。
図3図3は、本発明の第2の実施形態に係る煙溜め器具1の構造を示す正面図である。
図4図4は、本発明の第3の実施形態に係る煙溜め器具1の構造を示す正面図である。
図5図5は、本発明の第4の実施形態に係る煙溜め器具1の構造を示す正面図である。
図6図6は、煙溜め部3を上下の積層式にした場合の煙溜め器具1の構造を示す正面図である。
図7図7は、支柱部4を複数にした場合の煙溜め器具1の構造を示す正面図である。
図8図8は、支柱部4を直方形にした場合の煙溜め器具1の構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施形態)
図1において、第1の実施形態に係るお香の煙溜め器具1は、お香設置部2と、煙溜め部3と、支持部4と、照明部5とを備える。
【0029】
お香設置部2は、支持部4の土台となっており、かつ、香立、香皿、又は香炉などのお香を設置するための器具を載置することができる部材である。また、お香設置部2自体が、香立や香皿、香炉の機能を備えていてもよい。なお、お香設置部2の材料や形状などは図示したものに限定されない。お香設置部2に設置されたお香は、空間7上から酸素の供給を受けて、点火し煙を出していく。
【0030】
煙溜め部3は、透明、半透明、又は不透明であり、下部に開口部3aを有する。図示した煙溜め部3は、下部が開口部3aとなった透明の円筒状であるとしているが、材料や形状などは図示したものに限定されない。煙溜め部3は、上部に少なくとも1つの通気口3bを有している。
【0031】
煙溜め部3は、上部に、LEDなどの照明部5を備える。なお、照明部5を駆動させるための電源や電気回路は、煙溜め部3aの上部に内蔵されていてもよいし、支持部4に内蔵されていてもよいし、お香設置部2に内蔵されていてもよく、本発明を限定するものではない。また、電源は、煙溜め器具1の外部から供給されるようになっていてもよい。
【0032】
支持部4は、煙溜め部3を支持するための部材である。煙溜め部3は、お香設置部2との間に空間7が生じるように、お香設置部2からは離れて設けられている。支持部4は、お香設置部2と連結している。
【0033】
なお、お香は、空間7から酸素を得ているので、煙溜め部3に通気口3bが設けられていなくても、燃え続けることができるので、通気口3bがなくても、煙を煙溜め部3に溜めることができる。
なお、通気口3bは、開閉式にして、通気口の大きさが調整できるようにしてもよい。
【0034】
また、煙に光を当てなくても、煙溜め部3で煙を溜めることができるので、照明部5は、なくいてもよい。
【0035】
上記のように構成された煙溜め器具1に対して、図2に示したように、お香6を焚くと、煙は上昇して、開口部3aを通じて、煙溜め部3に入っていくので、煙溜め部3に煙が溜まることになる。図2で示したように、照明部5が上から光を照らせば、煙の流れや煙が溜まっている様子が鑑賞でき、今までになかった美感を楽しむことができる。煙溜め部3で溜まった煙は、開口部3aや通気口部3bを通じて、徐々に空間へと放出されていくこととなり、快適にお香を楽しむことができる。
【0036】
通気口部3bの大きさを調整できるようにしておけば、放出される煙の量を調整することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
図3において、第2の実施形態に係る煙溜め器具1は、煙溜め部3の下部に、照明部5を備える構造としている。他は、第1の実施形態と同様である。
照明部5を、LEDだけで構成すれば、小型に照明部5を構成することができるので、たとえば、開口部3aの一部を渡すような杆に照明部5を取付けることができる。配線などは、適宜、化粧部材で隠しておくとよい。
【0038】
このような第2の実施形態によれば、下から上に光を照らすことができるので、煙を溜めつつ、煙の流れを観賞することができる煙溜め器具1が提供されることとなる。
【0039】
(第3の実施形態)
図4において、第3の実施形態に係る煙溜め器具1は、煙溜め部3の側部に、照明部5を備える構造としている。他は、第1の実施形態と同様である。
照明部5を、LEDだけで構成すれば、小型に照明部5を構成することができるので、たとえば、煙溜め部3の側部に、照明部5を取付けることができる。配線などは、適宜、化粧部材で隠しておくとよい。
【0040】
このような第3の実施形態によれば、横から光を照らすことができるので、煙を溜めつつ、煙の流れを観賞することができる煙溜め器具1が提供されることとなる。
【0041】
その他、照明部5は、煙溜め部3に設けるのではなく、お香設置部2や支持部4、その他の適切な場所に設けられていてもよい。すなわち、煙に光を当てることができる位置に、照明部5が設置されていればよい。
【0042】
(第4の実施形態)
香立、香皿、又は香炉として、お気に入りのものを使用したいというニーズも考えられる。その場合、第1~3の実施形態のお香設置部2に、お気に入りの香立などをおいて使用するとよい。
【0043】
また、第4の実施形態のように、お香設置部2を煙溜め器具1に設けるのではなく、お気に入りの香立て8等を用いて、その上に、煙溜め部3を置くようにする図4のような構成も考えられる。
【0044】
この場合、煙溜め部3が倒れないように、支持部4には、土台4aが構成されているとよいが、具体的な形状や構造は適宜設計可能である。
【0045】
なお、第4の実施形態に係る煙溜め器具1の煙溜め部3には、照明部や通気口部は設けられていないものとする。また、煙溜め部3の形状として、球体状のものを使用したとしているが、一例であり、本発明を限定するものではない。
【0046】
上記第1~第4の実施形態では、お香に供給される酸素は遮断されていないので、お香の燃焼は、冒頭に例示した従来技術に比べて、効率的に行われる。空間7があるため、その部分から煙が漏れていくという場合も多少はあるであろうが、ほとんどの煙は、上昇気流によって、煙溜め部3に一旦溜められることとなる。そして、徐々に、開口部3aや、通気口部3bがある構造であれば、通気口部3bから空間に煙が放出されていくこととなる。
【0047】
照明部5を設ける構成にして、煙溜め部3に光を当てるようにすれば、今までにはなかった美感を楽しむことができる。
【0048】
なお、お香の形状は、お線香に限らず、コーン型、渦巻き型、バンブースティック型など、どのような形状でもよい。
【0049】
図6図8を用いて、その他の変形例について、説明する。
図6に示すように、煙溜め部3を上下の積層式に二つ設けるようにした煙溜め器具1を構成してもよい。この構造であれば、上下に煙が溜まることとなり、新たな美感が得られる。
図7に示すように、支柱部4を複数にして、煙溜め器具1を構成してもよい。これにより、安定性が増すし、デザイン性も向上する。なお、3つ以上の煙溜め部3が上下に設けられていてもよいし、左右に設けられていてもよい。
図8に示すように、支柱部4を直方形にて、煙溜め器具1を構成してもよい。これにより、安定性が増すし、デザイン性も向上する。
また、通気口3bは、左右にスライドする開閉式でも、上下にスライドする開閉式でも、回転して開閉する方式でも、開口の大きささえ調整できればなんでもよい。
これらの変形例でも、通気口はなくてもよい。
【0050】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。本明細書上の具体的な表現については、あくまでも、例示であり、本発明には、当該例示的表現を概念化したものも含まれることとする。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、煙溜め器具であり、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 煙溜め器具
2 お香設置部
3 煙溜め部
3a 開口部
3b 通気口部
4 支持部
5 照明部
6 お香
7 空間
8 お気に入りの香立て等
【要約】
【課題】お香から発生する煙を溜めて、空間へとゆっくり放出させて、快適にお香を楽しむことができるようにする器具を提供する。
【解決手段】お香用の煙溜め器具1は、焚かれたお香6の上部において、お香6から空間7を空けて設置される煙溜め部3と、煙溜め部3を支持する支持部4と、お香設置部2と、照明部5とを備える。煙溜め部3は、お香からの煙を内部に取り入れることが可能な開口部3aを有する。お香2からの煙は、煙溜め部3に溜まって、徐々に空間に放出される。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8