(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】バックパック
(51)【国際特許分類】
A45F 3/04 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
A45F3/04 300
(21)【出願番号】P 2024020710
(22)【出願日】2024-02-14
【審査請求日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】P 2023168931
(32)【優先日】2023-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】723000855
【氏名又は名称】株式会社タイムガーデン
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恒
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2436367(KR,B1)
【文献】登録実用新案第3241926(JP,U)
【文献】特開2001-087036(JP,A)
【文献】特開2020-124465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45F 3/02-3/04
A45F 3/06-3/12
A45F 3/14-3/15
A45F 4/02-4/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックパックの左側と右側のどちらかを第1肩ベルトを有する第1ハーフ部とし、第2肩ベルトを有する他方を第2ハーフ部とすると、第1肩ベルトが、バックパック本体にそれぞれの一端が固定された第1上部ストラップと第1下部ストラップとで構成され、前記第1上部ストラップの先端に第1上部連結部品が取り付けられ、前記第1下部ストラップの先端に第1下部連結部品が取り付けられ、また、前記第2ハーフ部に補助連結部品が取り付けられ、前記第1上部連結部品が、前記第1下部連結部品と前記補助連結部品とのどちらにも脱着連結ができることを特徴とするバックパック。
【請求項2】
前記補助連結部品が、肩ベルトを含む前記バックパック本体の前記第2ハーフ部の底面と側面のコーナー周辺と、肩ベルトを含む前記バックパック本体の前記第2ハーフ部の上端周辺と、の両方、又はいずれか一方に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のバックパック。
【請求項3】
前記補助連結部品が補助ストラップを介して取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のバックパック。
【請求項4】
前記補助ストラップの長さが調整できることを特徴とする請求項3に記載のバックパック。
【請求項5】
前記補助連結部品又は補助ストラップが、肩ベルトを含む前記バックパック本体に、脱着可能な留め具を介して取り付けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のバックパック。
【請求項6】
前記補助連結部品と連結可能な連結部品が、前記第2肩ベルトに取り付けられていることを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載のバックパック。
【請求項7】
前記バックパック本体の表面に収納部を有する小物入れを備え、前記小物入れの開口部が、バックパックの底面と平行するラインに対して、20°~70°の範囲内で傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のバックパック。
【請求項8】
前記バックパック本体の収納部と、前記バックパックの表面に設置された小物入れの収納部の、両方、又はいずれか一方において、前記収納部の上方に前記収納部に通じる上方開口部と、前記収納部の側面に前記収納部に通じる側方開口部を備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のバックパック。
【請求項9】
前記上方開口部に開閉用の上方ファスナーを備え、前記側方開口部に開閉用の側方ファスナーを備え、前記上方ファスナーの一部と前記側方ファスナーの一部とが、平行に設置されていることを特徴とする請求項8に記載のバックパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッグパックに関し、特に背負っている状態からバックパックを床に下ろさずに使用者の胸元にて物品の出し入れができるバックパックに関する。
【背景技術】
【0002】
バックパックを背負っている際に、バックパック内の物品の出し入れを行いたい場合がある。通常は肩から外してバックパックの口を開けて行うが、地面に置けない場合や、窓口などで即座に取り出したい場合、或いは、電車内で他の乗客の迷惑にならずに取り出したい場合などは、背中から降ろさなければならない従来のバックパックでは苦労することがある。
【0003】
このような事態に対応すべく、文献1では、バックパックを背中から降ろさなくても使用者の胸元正面でバックパックを保持して物品を出し入れする方法が開示されている。
【0004】
荷物を収容するバックパック本体と、バックパック本体に設けられた左右一対の肩ベルトと、バックパック本体の上部に設けられ、使用者の頸部の後側に掛けられる首ベルトとを備え、首ベルトは、頸部の後側との当接部位とバックパック本体との間の距離を調節可能に構成されている。バックパックに取り付けられた首ベルトを取り出し、首にかけることで、バックパックを首の廻りに回転させ、前置きにすることができるので、身体の前面で袋部内の荷物を取り出すことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、文献1のバックパックでは、背負い状態から前持ちに切り替える際には、首ベルトの取り出しを首の後ろから首ベルトが見えない状態で行わなければならないため、煩雑な手間が発生するという問題があった。さらには、首ベルトとその収納スペースが必要なので、バックパック本体以外の体積と重量が加味されてしまうことも問題であった。
【0007】
本開示はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、上記課題を解決することができるバックパックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のバックパックは、バックパックの左側と右側のどちらかを第1肩ベルトを有する第1ハーフ部とし、第2肩ベルトを有する他方を第2ハーフ部とすると、第1肩ベルトが、バックパック本体にそれぞれの一端が固定された第1上部ストラップと第1下部ストラップとで構成され、前記第1上部ストラップの先端に第1上部連結部品が取り付けられ、前記第1下部ストラップの先端に第1下部連結部品が取り付けられ、また、前記第2ハーフ部に補助連結部品が取り付けられ、前記第1上部連結部品が、前記第1下部連結部品と前記補助連結部品とのどちらにも脱着連結ができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示のバックパックによれば、バックパックを背負った状態で、片方の肩ベルトの上部ストラップを取り外して、バックパックの他方側に取り付けられた補助ストラップに連結させることで、身体の周辺を囲むストラップのループを形成することができる。このループを使ってバックパックを身体に沿って廻せるので、背負っていたバックパックを、容易に前置きにでき、再び背負う位置に容易に戻すことができるという効果を奏する
【0010】
また、連結部品が付加されただけのシンプルな構造のバックパックであるので、上述の機能を備えながらも重量や体積の増加が少ないというメリットがある。加えて、見える状態で連結部品の脱着が行えるので、短時間でバックパックを前置きできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の一形態に係るバックパックの背負面の正面図である。
【
図2】本開示の実施の一形態に係る使用方法を説明したバックパックの背負面の正面図である。
【
図3】本開示において、使用者がバックパックを前持ちにした場合の様子を表した図である。
【
図4】本開示の実施の一形態に係る使用方法を説明したバックパックの背負面の正面図である。
【
図5】本開示の実施の一形態に係るバックパックの表面側の正面図である。
【
図6】本開示の実施の一形態に係るバックパックの表面側の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成と方法とを例示するものであって、本開示の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0013】
尚、以下では、バックパック本体2の背中に当接する側をバックパックの背負面、そして、その反対側をバックパックの表面と呼ぶ。また、バックパックは、収納部を有するバックパック本体と肩ベルトなどで構成されるが、それらは一体で扱われることがあり、以下では、バックパック全体とバックパック本体を区別せずにバックパックと呼ぶことがある。また、ストラップ同士を脱着連結させる連結部品を、図中ではバックルタイプの雄型と雌型で記載しているが、スナップフックやスプリングフックなどの他のタイプの連結部品を用いても、或いは、雄型と雌型が逆であっても、本開示の主旨に影響を与えるものではない。
【0014】
また、本説明では、バックパックを左右に2分割してそれぞれの側に付帯する部品を特定して説明する必要があるため、便宜上、バックパックの左右のいずれか一方を第1ハーフ部とし、他方を第2ハーフ部とし、第1ハーフ部に属する部品に第1と冠し、第2ハーフ部に属する部品に第2と冠した。図の説明においては、図の参照を分かり易くするため、第1ハーフ部を右側、第2ハーフ部を左側としている。右側とは、使用者にとっての右側に相当する。以上のように、図面に合わせて左右を区別して説明しているが、実際のバックパックの左右そのものを規制しているわけではない。
【0015】
図1は、本実施の形態に係るバックパック1の一例であり、背負面の正面図である。
図1において、バックパック本体2を背負った時の使用者の右側になるバックパックの半分を第1ハーフとし、左側半分をバックパックの第2ハーフと名付けて以下に説明する。
【0016】
バックパック本体2の背負面の第1ハーフ部に取り付けられた第1肩ベルト5は、第1上部ストラップ11と、第1下部ストラップ13とが、脱着可能な連結部品で連結されて構成される。第1上部ストラップ11の片端はバックパック本体2の第1ハーフの上部に固定され、他端には第1上部連結部品12が取り付けられている。また、第1下部ストラップ13の片端はバックパック本体2の第1ハーフの底部に固定され、他端には第1下部連結部品14が取り付けられている。これらのストラップの本体への取り付けは、縫糸や接着剤で固定されてもよいし、フックなどの取り外し可能な部品を介して固定されていてもよい。
【0017】
第2ハーフ部に取り付けられた第2肩ベルト6も同様に、第2上部ストラップ31と、第2下部ストラップ33とが、脱着可能な連結部品で連結されて構成されていてもよい。第2上部ストラップ31の片端はバックパック本体2の第2ハーフの上部に固定され、他端には第2上部連結部品32が取り付けられている。また、第2下部ストラップ33の片端はバックパック本体2の第2ハーフの底部に固定され、他端には第2下部連結部品34が取り付けられている。尚、例示の
図1では、第2肩ベルト6が、第1肩ベルト5と同一の構成をとっているが、本開示においては、第2肩ベルト6は、必ずしも連結部品で結合された2つのストラップの組み合わせにする必要がなく、連結機構は備えていなくともよい。
【0018】
第1上部ストラップ11及び第2上部ストラップ31には、それぞれ第1アジャスタ9と第2アジャスタ10が備わり、それぞれの肩ベルト長さを調整できるようになっている。例示の
図1ではアジャスタを上部ストラップ側に取り付けているが、アジャスタを下部ストラップ側に取り付けて肩ベルト長の調整をしてもよい。換言すれば、アジャスト機構に関しては、肩ベルトのどの位置に配置してもよい。
【0019】
一方、バックパック1の第2ハーフ側の下部の底面と側面のコーナー部付近に、下部補助連結部品24が下部補助ストラップ23を介して固定されている。下部補助連結部品24は、下部補助ストラップ23を介さずに直接固定されていてもよい。下部補助連結部品24は、第1上部連結部品12と着脱連結ができる機能を有している。第1ハーフ部の第1上部連結部品12が第2ハーフ部の下部補助連結部品24に連結されると、使用者の身体の周辺を囲むストラップのループが形成される。このループを使ってバックパックを身体に沿って廻せるので、使用者は、容易に袈裟掛け方向にバックパック1を身体の周囲で回転させて、バックパック1を前持ちにすることができる。尚、袈裟掛け状態の安定性の観点から、下部補助ストラップ23又は下部補助ストラップが無い場合の下部補助連結部品24の固定位置は、第2ハーフ部の底面と側面のコーナー付近が望ましい。
【0020】
また、バックパック1の第2ハーフ側の上端付近には、上部補助連結部品22が上部補助ストラップ21を介して固定されている。上部補助連結部品22は、上部補助ストラップ21を介さずに直接固定されていてもよい。上部補助連結部品22は、第1上部連結部品12と着脱連結ができる機能を有している。第1ハーフ部の第1上部連結部品12と第2ハーフ部の上部補助連結部品22とが連結されると、首の周りに第1上部ストラップ11のループができ、使用者は、首掛け状態でバックパック1を降ろさずにバックパックを身体の前側に廻して容易に前持ちにすることができるようになる。尚、首掛け安定性の観点から、上部補助ストラップ21、又は上部部補助ストラップが無い場合の上部補助連結部品22の固定位置は、バックパック本体2の第2ハーフの上端部付近が望ましい。
【0021】
図1では、下部補助連結部品24と上部補助連結部品22とを備えたバックパック1が示されているが、いずれか片方だけ備えたバックパック1であってもよい。また、下部補助連結部品24と上部補助連結部品22が、第2ハーフ部にのみ示されているが、第1ハーフ部と第2ハーフ部の両側にあってもよい。換言すると、片側を第1としてみた場合と他方側を第1としてみた場合とを組み合わせて形態である。両側に本開示の機能を備えると、前持ちにするためのバックパック1の回転を右廻しと左廻しのどちらでも選択可能となり、また、物品取り出し時のファスナーの開閉方向を右利きの人と左利きの人とに合わせることができるメリットがある。
【0022】
下部補助ストラップ23、或いは下部補助ストラップが無い場合の下部補助連結部品24、の取り付けは、第2ハーフ側の下方の底面と側面のコーナー部付近であれば、バックパック本体2でもよく、第2肩ベルト上でもよい。また、上部補助ストラップ21、或いは上部補助ストラップが無い場合の上部補助連結部品22、の取り付けは、第2ハーフ側の上端付近のであれば、バックパック本体2でもよく、第2肩ベルト上でもよい。また、それらの固定は、縫糸や接着剤で強固に固定されていてもよいし、バックルやスプリングフックなどの連結部品を介して脱着可能な形態にしてもよい。脱着可能な形態にすると、補助ストラップの必要ない時は取り外して、従来のバックパックとして使用することができる。
【0023】
図4(a)は、及び
図4(b)は、保持連結部品36について説明するための、バックパック1の一例の背負面の正面図である。保持連結部品36は、下部補助ストラップ23が長い場合、使用されていない時に、下部補助ストラップ23を固定する目的で設置される保持部品であり、第2ハーフに取り付けられる。
図4(a)は、下部補助ストラップ23を使用しない時に、保持連結部品36が下部補助連結部品24を介して保持連結部品36に固定されている様子を示し、
図4(b)は、下部補助ストラップ23を使用する時に、保持連結部品36から下部補助ストラップ23を外した時の様子を示している。下部補助ストラップ23を使用しない時に、下部補助ストラップ23が垂れ下がってバックパックを背負って歩く時の邪魔になるようなことは無くなる。
【0024】
保持連結部品36は、保持ストラップ35を介して保持アジャスタ37に取り付けられ、第2肩ベルト6上の任意の位置で固定できるようになっている。保持ストラップ35を、アジャスタを用いずに、フックなどの他の方法で、第2肩ベルト6上の任意の位置に固定するようにしてもよい。
【0025】
また、保持連結部品36を第2上部ストラップ31上に直接取り付けてもよい。その場合、保持ストラップが無くなり、さらにシンプルな構造となる。保持連結部品36が第2肩ベルト6上で位置が変えられる機構が備わった形態としてもよい。
【0026】
図2(a)~(c)は、バックパック1の使用方法を説明したバックパック1の背負面の正面図である。使用者を透明化してパックパックだけを示した図でもある。また、
図3(a)~(c)は、
図2(a)~(c)のそれぞれ状態に対応したバックパック1を背負った時の正面からの姿を表している。
【0027】
尚、
図2(a)~(c)では、本開示の説明に支障がないシンプルな形態の例示を選んだため、第2肩ベルト6に連結部品が無いバックパックを図示している点で
図1と異なっている。その他の各部位や各部品については、
図1に準じている。
【0028】
図2(a)は、普段のバックパックの状態を表した図である。使用者は、左右にある2本の肩ベルトを肩にかけてバックパック1を背負う。
図2(b)は、第1上部ストラップ11を、第1下部連結部品14から外して下部補助連結部品24に連結した様子を示している。使われる連結部品がバックルなどであれば、ワンプッシュで容易に外したり、装着したりできる。尚、第1上部ストラップ11を第1下部連結部品14から外して下部補助連結部品24に連結するまでの間は、バックパック1は、左側の肩ベルトで支えられているので、落下するような事態にはならない。下部補助連結部品24に連結した第1上部ストラップ11は、肩から身体の周りに掛けたループ状の袈裟掛けベルトに変化する。袈裟掛け方向にバックパック1を身体に沿って廻すと、バックパック1は前置きになる。
【0029】
図3(b)は、
図2(b)の状態のバックパック1を前置きにしている様子を示した正面の姿である。前置きにした時に、両手が自由に使えるので、容易に内容物の出し入れができる。
【0030】
袈裟掛け状態でバックパック1を身体の前方に回転している最中において、第2肩ベルト6は連結されたままになっているが、
図3(b)に示されるように、第2肩ベルト6は、回転中に肩から抜けて腕にかかる状態になるので、回転や前置きにおける物品出し入れにほとんど支障がない。もし、気になるのであれば、第2肩ベルト6に
図1に図示したような脱着可能な連結部を取り付けて、回転直前に、第2肩ベルト6の連結を外してもよい。
【0031】
袈裟掛け状態でのバックパック本体2の回転のし易さは、下部補助ストラップ23の長さにも依存するので、適宜に調整してもよい。そのため、下部補助ストラップ23に、アジャスタなどを取り付けて長さ調整をできるようにしてもよい。
【0032】
図2(c)は、
図2(a)の状態から、バックパック1を前置きにするめに、第1下部連結部品14から外した第1上部ストラップ11を上部補助連結部品22に連結した様子を示している。上部補助連結部品22に連結した第1上部ストラップ11は、首の周りのループ状のベルトとなり、バックパックを下ろすことなく背中から体の前に廻すことができるようになる。バックパック1を前置きにして掛けた正面姿を
図3(c)に示している。前置きにした時に、バックパック1は、首に掛けられた状態になり、バックパック1の上端が上方になり、さらに両手が自由に使えるので容易に内容物の出し入れができる。連結部品がバックルなどであれば、ワンプッシュで容易に外したり、装着したりできる。
【0033】
前置きにする他の方法として、第1下部連結部品14から取り外した第1上部ストラップ11を片手で持ったままバックパック1を身体の周りに廻して、バックパック1が身体の正面に廻った後に、手に持っていた第1上部ストラップ11を上部補助連結部品22に連結させてもよい。この場合も、バックパック1を前置きにして掛けた正面姿は
図3(c)となる。
【0034】
図5及び
図6は、バックパック本体2の収納部と、バックパックの表面に取り付けられた小物入れ3の収納部にアクセスして、物品の出し入れについて説明するためのバックパックの表面の正面図である。
【0035】
図5において、バックパック本体2の収納部に連通する開口部が上面と側面に形成されている。開口部にはそれぞれ上方ファスナー7aと側方ファスナー8aがそれ取り付けられ、それらの開閉操作によって、バックパック本体2の収容空間が開閉される。このように2方向から収納部にアクセスすることができるので、
図3(b)のように前置きにした場合は、側方ファスナー8aを操作して容易に開閉することができ、
図3(c)のように前置きにした場合は、上方ファスナー7aを操作して容易に開閉することができる。
【0036】
尚、上方の開口の開閉は、ファスナーに限らず、留め具や閉じ紐、或いは面ファスナーなどのものであってもよい。
【0037】
図5において、バックパック1の表面側に、小さいサイズの荷物を収納する小物入れ3が付帯していて、小物入れ3の開口部に傾斜ファスナー7cが、傾斜して設置されている。背負面のバックパック本体2を
図3(b)のように袈裟掛け方向に廻して前置きにした場合に、開口部が傾斜しているので、小物入れ3の開口部が上方を向き、物品を落とすことなく小物入れ3の出し入れを行えるようになる。
【0038】
前述の小物入れ3の開口部の傾斜ファスナー7cの傾斜角度は、バックパック本体2の形状やサイズ、及び補助ストラップ長に合わせて便宜設定してもよい。出し入れの容易性と収納量の観点から、バックパック1の底面と平行するラインに対して、20°~70°の範囲内で傾斜しているのが望ましい。
【0039】
また、小物入れ3の開閉は、隙間なく閉じられるファスナーが望ましいが、留め具、閉じ紐、或いはバックルなどであってもよい。
【0040】
図6の小物入れ3では、上部と側面に開閉用のファスナーが設置されている。どちらのファスナーを使っても小物入れ3の収納部に物品の出し入れができる。2方向から収納部にアクセスすることができるので、
図3(b)のように前置きにした場合は、側方ファスナー8bを操作して容易に開閉することができ、
図3(c)のように前置きにした場合は、上方ファスナー7bを操作して容易に開閉することができる。
【0041】
前述の上方ファスナー7と側方ファスナー8の長さや設置位置は、バックパック1のサイズや収納物などに合わせて出し入れのし易さを考慮して便宜設定するのが望ましい。上方ファスナー7と側方ファスナー8は、それぞれ概略水平方向と概略垂直方向に取り付けられているが、バックパック1のデザインによっては、傾いた水平方向や傾いた垂直方向としてもよい。また、上方ファスナー7を側面側に延長させて回り込ませたり、側方ファスナー8を上方側に回り込ませたりしてもよい。上方ファスナー7と側方ファスナーの位置を平行にずらして設置すると、2つのファスナーの一部は平行に並び、重なることがないので、自由な長さの回り込みにでき、物品の出し入れがよりスムースにできるファスナーの長さをとれる効果を奏する。
【0042】
ファスナーカバー40は、ファスナーの上に覆い被せるように取り付けるカバーである。使用頻度が少ない側方ファスナー8にファスナーカバー40を取り付けると普段は側方ファスナー8が隠れているので、上方開口部での物品の出し入れ時に、側方ファスナー8の存在を気にかけることなく行うことができる。ファスナーカバー40は、透明材質でも不透明材質でもよく、布製、革製、樹脂製などであってもよい。
【0043】
本開示に係るバックパックは、以下の構成(A)~(I)の態様で実施可能である。
【0044】
(A)バックパック本体の左側と右側のどちらかを第1肩ベルトを有する第1ハーフ部とし、第2肩ベルトを有する他方を第2ハーフ部とすると、第1肩ベルトがバックパック本体にそれぞれの一端が固定された第1上部ストラップと第1下部ストラップとで構成され、前記第1上部ストラップの先端に第1上部連結部品が取り付けられ、前記第1下部ストラップの先端に第1下部連結部品が取り付けられ、また、第2ハーフ部に補助連結部品が取り付けられ、前記第1上部連結部品が、前記第1下部連結部品と前記補助連結部品とのどちらにも脱着連結ができることを特徴とするバックパック。
【0045】
(B)前記補助連結部品が、肩ベルトを含むバックパック本体の第2ハーフ部の底面と側面のコーナー周辺と、肩ベルトを含むバックパック本体の第2ハーフ部の上端周辺と、の両方、又はいずれか一方に取り付けられることを特徴とする前記(A)に記載のバックパック。
【0046】
(C)前記補助連結部品が補助ストラップを介して取り付けられていることを特徴とする前記(B)に記載のバックパック。
【0047】
(D)前記補助ストラップの長さが調整できることを特徴とする前記(C)に記載のバックパック。
【0048】
(E)前記補助連結部品又は補助ストラップが、肩ベルトを含むバックパック本体に、脱着可能な留め具を介して取り付けられていることを特徴とする前記(A)~(D)に記載のバックパック。
【0049】
(F)前記補助連結部品と連結可能な連結部品が、前記第2肩ベルトに取り付けられていることを特徴とする前記(C)又は(D)に記載のバックパック。
【0050】
(G)前記バックパック本体の表面に収納部を有する小物入れを備え、前記小物入れの開口部が、バックパックの底面と平行するラインに対して、20°~70°の範囲内で傾斜していることを特徴とする前記(A)に記載のバックパック。
【0051】
(H)前記バックパック本体の収納部と、前記バックパックの表面に設置された小物入れの収納部の、両方、又はいずれか一方において、収納部上方に収納部に通じる上方開口部と、収納部側面に前記収納部に通じる側方開口部を備えることを特徴とする前記(A)~(D)に記載のバックパック。
【0052】
(I)前記上方開口部と側方開口部のそれぞれに上方ファスナーと側方ファスナーとを備え、前記上方ファスナーの一部と前記側方ファスナーの一部とが、平行に設置されていることを特徴とする前記(H)に記載のバックパック。
【0053】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本開示のバックパックは、地面に置けないなどの理由で背中からバックパックを下ろさずに物品の出し入れをしたい時に有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 バックパック
2 バックパック本体
3 小物入れ
4 取手紐
5 第1肩ベルト
6 第2肩ベルト
7 上方ファスナー
8 側方ファスナー
9 第1アジャスタ
10 第2アジャスタ
11 第1上部ストラップ
12 第1上部連結部品
13 第1下部ストラップ
14 第1下部連結部品
21 上部補助ストラップ
22 上部補助連結部品
23 下部補助ストラップ
24 下部補助連結部品
31 第2上部ストラップ
32 第2上部連結部品
33 第2下部ストラップ
34 第2下部連結部品
35 保持ストラップ
36 保持連結部品
37 保持アジャスタ
7c 傾斜ファスナー
40 ファスナーカバー
【要約】
【課題】本発明の目的は、背負っているバックパックから、容易に素早く、物品の出し入れを行なえるシンプルな構造のバックパックを提供する。
【解決手段】バックパックの左側と右側のどちらかを第1肩ベルトを有する第1ハーフ部とし、第2肩ベルトを有する他方を第2ハーフ部とすると、第1肩ベルトがバックパック本体にそれぞれの一端が固定された第1上部ストラップと第1下部ストラップと、で構成され、前記第1上部ストラップの先端に第1上部連結部品が取り付けられ、前記第1下部ストラップの先端に第1下部連結部品が取り付けられ、また、第2ハーフ部に補助連結部品が取り付けられ、前記第1上部連結部品が、前記第1下部連結部品と前記補助連結部品とのどちらにも脱着連結ができるバックパック。
【選択図】
図1