(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】イメージセンサ及びイメージセンサ製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240613BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G02B3/00 A
(21)【出願番号】P 2019070487
(22)【出願日】2019-04-02
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2018-0039290
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0074099
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】592045430
【氏名又は名称】コリア アドヴァンスト インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】趙 良鎬
(72)【発明者】
【氏名】鄭 基勳
(72)【発明者】
【氏名】南 東▲きょん▼
(72)【発明者】
【氏名】金 基修
(72)【発明者】
【氏名】張 經源
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-524263(JP,A)
【文献】国際公開第2014/042178(WO,A1)
【文献】特開2002-368235(JP,A)
【文献】特開平06-045569(JP,A)
【文献】特開2018-046040(JP,A)
【文献】特開2015-173474(JP,A)
【文献】特開2010-118397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
G02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサにおいて、
光を通過させる透明基板と、
吸収層及び透明層を含み、外部から受信された光を
、前記吸収層
のパターンによって形成された開口部を介して通過させるブロックレイヤと、
前記ブロックレイヤの前記開口部に対して整列するように配置され、前記開口部を通過した光を検出エレメントに伝達するレンズエレメントと、
を含
み、
前記透明基板は、前記ブロックレイヤの第1側に配置され、
前記レンズエレメントは、前記第1側の反対側である前記ブロックレイヤの第2側に配置される、
イメージセンサ。
【請求項2】
前記検出エレメントは、前記レンズエレメントから離隔され、前記開口部及び前記レンズエレメントを通過した光を受信する、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項3】
前記レンズエレメントは、前記光を屈折させて前記検出エレメント上に焦点を形成する、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項4】
前記ブロックレイヤは、前記検出エレメントから前記レンズエレメントの焦点距離だけ離隔される、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項5】
前記イメージセンサは、前記ブロックレイヤと前記検出エレメントとの間の間隔を保持するスペーサをさらに含む、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項6】
前記ブロックレイヤで前記吸収層及び前記透明層が交番に配置される、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項7】
前記吸収層は、前記レンズエレメントに対応する地点を中心にする円形領域に形成された絞りを含む、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項8】
前記吸収層は、前記レンズエレメントに対応する地点を中心にして形成された第1直径の絞りを含み、
前記ブロックレイヤは、前記第1直径と異なる第2直径の絞りが形成された異なる吸収層をさらに含む、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項9】
前記ブロックレイヤは、前記ブロックレイヤの一面から他の一面まで前記開口部の直径が次第に変わる、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項10】
前記透明層は、予め定められた波長帯域の光を透過させる、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項11】
前記ブロックレイヤは、予め定められた視野角に基づいて決定された高さを有する、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項12】
前記ブロックレイヤは、予め定められた視野角(FOV)に基づいて決定された個数の吸収層が積層される、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項13】
前記開口部の直径は予め定められた光量に基づき、
前記ブロックレイヤは、前記予め定められた光量に基づいて決定された焦点距離だけ前記検出エレメントから離隔される、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項14】
前記透明層は、光を通過させる透明ポリマーを含む、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項15】
前記吸収層は、光を吸収するブラックマトリックス物質を含む、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項16】
前記ブロックレイヤは複数の吸収層を含み、
前記複数の吸収層のそれぞれに形成される円形絞りは、
前記透明基板及び前記透明層の屈折率と予め定められた視野角とに基づいて決定された直径を有する、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項17】
前記レンズエレメント及び前記検出エレメントは、平面アレイパターンに配置され、
前記吸収層は、前記平面アレイパターンに対して整列して形成された絞りを含む、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項18】
イメージセンサの製造方法において、
透明基板を提供するステップと、
吸収層及び透明層を含むブロックレイヤを提供するステップと、
検出エレメントを提供するステップと、
前記ブロックレイヤに形成された開口部に対して整列するようにレンズエレメントを、前記ブロックレイヤと前記検出エレメントとの間に提供するステップと、
を含
み、
前記透明基板は、前記ブロックレイヤの第1側に配置され、
前記レンズエレメントは、前記第1側の反対側である前記ブロックレイヤの第2側に配置される、
イメージセンサの製造方法。
【請求項19】
イメージセンサ製造方法において、
透明基板上に透明層及び吸収層を含むブロックレイヤを配置するステップと、
前記ブロックレイヤに形成された開口部のパターンに整列するようにレンズエレメントを提供するステップと、
前記レンズエレメントの、前記ブロックレイヤとは反対側に、検出エレメントを提供するステップと、
を含み、
前記ブロックレイヤを配置するステップは、
不透明ポリマーで前記透明基板をコーティングするステップと、
前記不透明ポリマーの複数の部分上に前記パターンからなるマスクを配置するステップと、
前記マスクのパターンに応じて露出された前記不透明ポリマーに紫外線を照射するステップと、
前記マスクでカバーされた前記不透明ポリマーの前記複数の部分を除去するステップと、
残りの不透明ポリマー間及び前記残りの不透明ポリマー上にネガ型フォトレジストを含む透明層をコーティングするステップと、
前記透明層を紫外線に露出させるステップと、
を含む
、イメージセンサ製造方法。
【請求項20】
親水処理を行うことによって前記残りの不透明ポリマーと前記透明層との間の結合を強めるステップをさらに含む、請求項
19に記載のイメージセンサ製造方法。
【請求項21】
前記マスクは、格子パターンからなる円形マスクを含む、請求項
19に記載のイメージセンサ製造方法。
【請求項22】
前記吸収層は、ネガ型フォトレジストを含む、請求項
19に記載のイメージセンサ製造方法。
【請求項23】
イメージセンサ製造方法において、
透明基板上に透明層及び吸収層を含むブロックレイヤを配置するステップと、
前記ブロックレイヤに形成された開口部のパターンに整列するようにレンズエレメントを提供するステップと、
前記レンズエレメントの、前記ブロックレイヤとは反対側に、検出エレメントを提供するステップと、
を含み、
前記レンズエレメントを提供するステップは、
前記ブロックレイヤ上にポジ型フォトレジストを含む熱可塑性ポリマーレイヤをコーティングするステップと、
前記熱可塑性ポリマーレイヤの複数の部分上に前記パターンからなるマスクを配置するステップと、
前記マスクの前記パターンに応じて前記熱可塑性ポリマーレイヤを紫外線に露出させるステップと、
紫外線に露出された前記熱可塑性ポリマーレイヤの部分を現像液によって溶解させて、前記熱可塑性ポリマーレイヤをパターニングするステップと、
前記パターニングされた熱可塑性ポリマーレイヤに疎水性コーティングを適用するステップと、
前記疎水性コーティングされた熱可塑性ポリマーレイヤを加熱して球形レンズを形成するステップと、
を含む
、イメージセンサ製造方法。
【請求項24】
前記熱可塑性ポリマーレイヤは、熱によって変形可能な透明素材を含む、請求項
23に記載のイメージセンサ製造方法。
【請求項25】
イメージセンサにおいて、
交番に共にスタックされる吸収層及び透明層を含むブロックレイヤと、
前記吸収層
のパターンによって形成される開口部と、
前記開口部に対して整列するように配置され、前記開口部から光を受信するように構成されるレンズエレメントと、
前記レンズエレメントから離隔され、前記レンズエレメントから光を受信するように構成される検出エレメントと、
前記検出エレメント及び前記ブロックレイヤの外郭境界に位置するスペーサと、
を含
み、
前記スペーサは、前記ブロックレイヤ及び前記検出エレメントの間に前記レンズエレメントの焦点距離と実質的に同じ間隔を保持するように構成される、
イメージセンサ。
【請求項26】
前記開口部の直径は、前記ブロックレイヤの両面間で次第に変化する、請求項
25に記載のイメージセンサ。
【請求項27】
前記開口部は、前記吸収層のそれぞれで円形絞りを含み、
前記円形絞りの直径は、視野角と前記ブロックレイヤ上に配置された透明基板及び前記透明層の屈折率とに基づく、請求項
25に記載のイメージセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下、イメージセンサ及びその製造方法に関する技術が提供される。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサは、被写体の映像を撮像するための装置として、被写体の映像情報を含む光信号を電気的な信号に変換し得る。イメージセンサは様々な電子機器に含まれ、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサとCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが幅広く用いられている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、光電変換素子と複数のトランジスタを含む複数のピクセルを含む。光電変換素子によって光電変換された信号は、複数のトランジスタにより処理されて出力され、ピクセルで出力されたピクセル信号に基づいてイメージデータを生成する。各ピクセルは、特定の色又は特定の波長範囲の光を光電変換し、それによる信号を出力し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態に係るイメージセンサの目的は、光学クロストークを防止し、製造時に視野角を調整することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係るイメージセンサは、吸収層及び透明層を含み、外部から受信された光を前記吸収層及び前記透明層に形成された開口部を介して通過させるブロックレイヤと、前記光を検出エレメントに伝達するレンズエレメントとを含む。
【0006】
前記検出エレメントは、前記レンズエレメントから離隔され、前記開口部及び前記レンズエレメントを通過した光を受信し得る。
【0007】
前記レンズエレメントは、前記光を屈折させて前記検出エレメント上に焦点を形成し得る。
【0008】
前記ブロックレイヤは、前記検出エレメントから前記レンズエレメントの焦点距離だけ離隔され得る。
【0009】
前記イメージセンサは、光を通過させる透明基板をさらに含み得る。
【0010】
前記開口部は、前記ブロックレイヤで前記レンズエレメントの配置に対して整列されるように形成され得る。
【0011】
前記イメージセンサは、前記ブロックレイヤと検出エレメントとの間の間隔を保持するスペーサをさらに含み得る。
【0012】
前記ブロックレイヤで前記吸収層及び前記透明層が交番に配置され得る。
【0013】
前記吸収層は、前記レンズエレメントに対応する地点を中心にする円形領域に形成された絞りを含み得る。
【0014】
前記吸収層は、前記レンズエレメントに対応する地点を中心にして形成された第1直径の絞りを含み、前記ブロックレイヤは、前記第1直径と異なる第2直径の絞りが形成された異なる吸収層をさらに含み得る。
【0015】
前記ブロックレイヤは、前記ブロックレイヤの一面から他の一面まで前記開口部の直径が次第に変わり得る。
【0016】
前記透明層は、予め定められた波長帯域の光を透過させ得る。
【0017】
前記ブロックレイヤは、予め定められた視野角に基づいて決定された高さを有し得る。
【0018】
前記ブロックレイヤは、予め定められた視野角(FOV:field of view)に基づいて決定された個数の吸収層が積層され得る。
【0019】
前記開口部の直径は予め定められた光量に基づき、前記ブロックレイヤは、前記予め定められた光量に基づいて決定された焦点距離だけ検出エレメントから離隔され得る。
【0020】
前記透明層は、光を通過させる透明ポリマーを含み得る。
【0021】
前記吸収層は、光を吸収するブラックマトリックス物質を含み得る。
【0022】
前記ブロックレイヤは複数の吸収層を含み、前記複数の吸収層のそれぞれに形成される円形絞りは、前記ブロックレイヤ上に配置された透明基板及び前記透明層の屈折率と予め定められた視野角とに基づいて決定された直径を有し得る。
【0023】
前記レンズエレメント及び検出エレメントは、平面アレイパターンに配置され、
【0024】
前記吸収層は、前記平面アレイパターンに対して整列して形成された絞りを含み得る。
【0025】
前記透明基板は、前記ブロックレイヤの第1側に配置され、前記レンズエレメントは、前記第1側の反対側である前記ブロックレイヤの第2側に配置され得る。
【0026】
一実施形態に係るイメージセンサの製造方法は、透明基板を提供するステップと、吸収層及び透明層を含むブロックレイヤを提供するステップと、前記ブロックレイヤに開口部が形成されたパターンに応じてレンズエレメントを提供するステップとを含む。
【0027】
他の一実施形態に係るイメージセンサ製造方法は、透明基板上に透明層及び吸収層を含むブロックレイヤを配置するステップと、前記ブロックレイヤに形成された開口部のパターンに対応するレンズエレメントを提供するステップとを含む。
【0028】
前記ブロックレイヤを配置するステップは、不透明ポリマーで前記透明基板をコーティングするステップと、前記不透明ポリマーの複数の部分上に前記パターンからなるマスクを配置するステップと、前記マスクのパターンに応じて露出された前記不透明ポリマーに紫外線を照射するステップと、前記マスクでカバーされた前記不透明ポリマーの前記複数の部分を除去するステップと、残りの不透明ポリマー間及び前記残りの不透明ポリマー上にネガ型フォトレジストを含む透明層をコーティングするステップと、前記透明層を紫外線に露出させるステップとを含み得る。
【0029】
親水処理を行うことによって前記残りの不透明ポリマーと前記透明層との間の結合を強めるステップをさらに含み得る。
【0030】
前記マスクは、格子パターンからなる円形マスクを含み得る。
【0031】
前記吸収層は、ネガ型フォトレジストを含み得る。
【0032】
前記レンズエレメントを提供するステップは、前記ブロックレイヤ上にポジ型フォトレジストを含む熱可塑性ポリマーレイヤをコーティングするステップと、前記熱可塑性ポリマーレイヤの複数の部分上に前記パターンからなるマスクを配置するステップと、前記マスクの前記パターンに応じて前記熱可塑性ポリマーレイヤを紫外線に露出させるステップと、紫外線に露出された前記熱可塑性ポリマーレイヤを現像液によって溶解させて、前記熱可塑性ポリマーレイヤをパターニングするステップと、前記パターニングされた熱可塑性ポリマーレイヤに疎水性コーティングを適用するステップと、前記疎水性コーティングされた熱可塑性ポリマーレイヤを加熱して球形レンズを形成するステップとを含み得る。
【0033】
前記熱可塑性ポリマーレイヤは、熱によって変形可能な透明素材を含み得る。
【0034】
一実施形態に係るイメージセンサは、交番に共にスタックされる吸収層及び透明層を含むブロックレイヤと、レンズエレメントに光を伝達するため前記透明層及び前記吸収層に形成される開口部と、前記レンズエレメントから離隔され、前記レンズエレメントから光を受信するように構成される検出エレメントとを含む。
【0035】
前記開口部の直径は、前記ブロックレイヤの両面間で次第に変化し得る。
【0036】
前記開口部は、前記吸収層のそれぞれで円形絞りを含み、前記円形絞りの直径は、視野角と前記ブロックレイヤ上に配置された透明基板及び前記透明層の屈折率とに基づく。
【0037】
前記検出エレメント及び前記ブロックレイヤの外郭境界に位置するスペーサをさらに含み、前記スペーサは、前記ブロックレイヤ及び前記検出エレメントの間に前記レンズエレメントの焦点距離と実質的に同じ間隔を保持するように構成され得る。
【発明の効果】
【0038】
一実施形態に係るイメージセンサは、吸収層と透明層を含むブロックレイヤを介して光学クロストークを低減し、製造の際に視野角を調整することができ、より薄く具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】一実施形態に係るイメージセンサの構成を示す図である。
【
図2】一実施形態に係るブロックレイヤ及びレンズエレメントを示す図である。
【
図3】一実施形態に係るブロックレイヤ及びレンズエレメントの断面を示す図である。
【
図4】一実施形態に係るイメージセンサが有する視野角を説明する図である。
【
図5】一実施形態に係るブロックレイヤの開口部によって決定される視野角を説明する図である。
【
図6】他の一実施形態に係るブロックレイヤの開口部によって決定される視野角を説明する図である。
【
図7】一実施形態に係るイメージセンサの製造方法を説明するフローチャートである。
【
図8】一実施形態に係るブロックレイヤの提供方法を説明する図である。
【
図9】一実施形態に係るレンズエレメントの提供方法を説明する図である。
【
図10】一実施形態に係るレンズエレメントがブロックレイヤの一面に集積された構造が走査電子顕微鏡によって撮影されたイメージを示す。
【
図11】一実施形態に係るレンズエレメントがブロックレイヤの一面に集積された構造が光学顕微鏡によって撮影されたイメージを示す。
【
図12】一実施形態に係るブロックレイヤに含まれる吸収層の数による光の透過率を示す図である。
【
図13】一実施形態に係るイメージセンサの上面及びの側面が共焦点レーザー走査顕微鏡(confocal laser scanning microscope)によって撮影されたイメージを示す。
【
図14】一実施形態に係るイメージセンサの強度プロフィール(intensity profile)を示す図である。
【
図15】一実施形態に係るイメージセンサを介して撮影されたイメージを示す。
【
図16】一実施形態に係るイメージセンサの視野角が測定された結果を示す。
【
図17】一実施形態に係るブロックレイヤがMTF(modulation transfer function)に及ぼす影響を説明する図である。
【
図18】一実施形態に係るブロックレイヤがMTFに及ぼす影響を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
下記で説明する実施形態は様々な変更が加えられることができる。特許出願の範囲がこのような実施形態によって制限も限定もされることはない。各図面に提示された同じ参照符号は同じ部材を示す。
【0041】
本明細書で開示されている特定の構造的又は機能的な説明は単に実施形態を説明するための目的として例示されたものであり、実施形態は様々な異なる形態で実施され、本明細書に説明された実施形態に限定されることはない。
【0042】
本明細書で用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであって、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0043】
異なる定義がされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0044】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。実施形態の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0045】
図1は、一実施形態に係るイメージセンサの構成を示す図である。
【0046】
イメージセンサ100は、被写体の映像を撮像するための装置を示す。一実施形態によれば、イメージセンサ100は、レンズエレメント110、ブロックレイヤ120、透明基板130、検出エレメント140、スペーサ150、及びカメラチップ190を含む。
【0047】
レンズエレメント110は、外部から受信される光を屈折させるエレメントであって、集光を行う。レンズエレメント110は、光を屈折させて検出エレメント140上に焦点を形成する。例えば、レンズエレメント110の一面は、突出した部分を有し、他面は平たい面を有する。例えば、レンズエレメント110は、一面がふっくらした形状を有するマイクロレンズであり得るが、これに限定されることはない。レンズエレメント110で突出した部分を有する一面は球面の形状(spherical shape)、非球面の形状(aspherical shape)、凹レンズ(concave lens)及びフレネル形状(fresnel shape)などに形成される。ただし、これに限定されず、レンズエレメント110は凹レンズで具現されてもよい。
【0048】
レンズエレメント110の集合はレンズアレイと示す。例えば、レンズアレイは、平面アレイパターン(例えば、格子パターン)に沿って配置された複数のレンズエレメントを含む。
【0049】
ブロックレイヤ120は光を遮断するレイヤを示す。ブロックレイヤ120は、透明層及びパターン(例えば、ホールパターン)が形成された吸収層を含む。ブロックレイヤ120は、吸収層のパターンによって形成される開口部を含む。ブロックレイヤ120は、外部から受信される光を開口部を介してのみレンズエレメント110へ伝達し得る。ブロックレイヤ120に含まれる吸収層及び透明層について、下記の
図2及び
図3を参照して詳細に説明する。
【0050】
透明基板130は、光を通過させ得る透明な基板を示す。透明基板130は、ブロックレイヤ120の上部に配置される。ただし、透明基板130の配置はこれに限定されず、透明基板130は、ブロックレイヤ120上に配置されたレンズエレメント110上に配置されてもよい。例えば、透明基板130は、ガラスウェハーを含むが、透明基板130の種類がこれに限定されることはない。
【0051】
検出エレメント140は、レンズエレメント110から離隔され、ブロックレイヤ120の開口部及びレンズエレメント110を通過した光を受信する。検出エレメント140は、透明基板130及びブロックレイヤ120の開口部を通過した光がレンズエレメント110によって集光された光を受信する。検出エレメント140は、受信された光の強度を指示する信号を出力する。例えば、検出エレメント140は、任意の色チャネルに対応する光を検出し、該当の色の強度を指示する信号を出力する。色チャネルは、可視領域のうちの一部領域に対応する色を示すチャネルとして、例えば、赤色チャネル、緑色チャネル、及び青色チャネルを含む。個々の検出エレメント140は、赤色チャネル、緑色チャネル、及び青色チャネルのうち1つの色チャネルに対応する光を検出する。ただし、検出エレメント140が検出できる波長はこれに限定されず、設計に応じて検出エレメント140は、赤外線又は紫外線も検出できる。
【0052】
検出エレメント140の集合はセンサアレイと示し、例えば、センサアレイは、平面アレイパターン(例えば、格子パターンなど)に沿って配置された複数の検出エレメントを含む。センサアレイは、赤色を検出する検出エレメント140、緑色を検出する検出エレメント140、及び青色を検出する検出エレメント140を含んでもよく、センサアレイは3つの色を区別して検出される。
【0053】
スペーサ150は、ブロックレイヤ120と検出エレメント140との間の間隔を保持する。例えば、スペーサ150は、ブロックレイヤ120及び検出エレメント140を支持する。
図1において、スペーサ150がセンサアレイの外郭境界に沿って配置されるものと示され、スペーサ150は、ブロックレイヤ120の外郭境界を支持する。
【0054】
カメラチップ190は、センサアレイが具現されるチップを示す。カメラチップ190は、例えば、ウェハーレベルに具現されてもよい。
【0055】
一実施形態によれば、レンズエレメント110、ブロックレイヤ120、透明基板130、検出エレメント140、スペーサ150、及びカメラチップ190は、集積工程を介して結合される。
【0056】
図2は、一実施形態に係るブロックレイヤ及びレンズエレメントを示す図である。
【0057】
ブロックレイヤ220は、吸収層221及び透明層222を含む。ブロックレイヤ220は、外部から受信された光を吸収層221及び透明層222に形成された開口部229を介して通過させる。例えば、ブロックレイヤ220は、開口部229を介して外部から受信された光をレンズエレメント210に提供する。
【0058】
吸収層221は、光を吸収するレイヤとして、例えば、光吸収層に示してもよい。吸収層221は、光を吸収するブラックマトリックス物質を含む。ブラックマトリックス物質は、例えば、Black SU-8を含む。ただし、吸収層221の材質はこれに限定されず、吸収層221は、光を吸収するネガ型フォトレジスト(negative photoresist)を含んでもよい。吸収層221は、レンズエレメント210の配置に応じて、吸収層221でレンズエレメント210に対応する地点を中心にする円形の領域に形成された絞りを含む。吸収層221は、平面アレイパターンに対して整列して形成された絞りを含む。
【0059】
透明層222は、光を通過させるレイヤを示す。透明層222は、光を通過させる透明ポリマーを含む。透明ポリマーは、例えば、SU-8を含んでもよい。ただし、透明層222の材質はこれに限定されず、透明層222は光を通過させるネガ型フォトレジストを含んでもよい。更なる例として、透明層222は、予め定められた波長帯域の光を透過させ得る。例えば、透明層222は、可視光線帯域の光のみを透過させてもよい。
【0060】
ブロックレイヤ220は、吸収層221及び透明層222が交番に配置された構造によって開口部229を形成する。ブロックレイヤ220でレンズエレメント210が配置される一面の反対面に対応するレイヤは、吸収層221である。ただし、吸収層221の配置はこれに限定されず、吸収層221は、レンズエレメント210が配置される一面と同じ面に配置されてもよい。
【0061】
吸収層221には格子パターンに沿って円形絞りが形成される。例えば、ブロックレイヤ220が複数の吸収層を含んでいる場合、複数の吸収層の絞りは開口部229を形成する。開口部229は、ブロックレイヤ220で光を通過させる部分を示す。開口部229は、ブロックレイヤ220でレンズエレメント210の配置に対して整列するように形成される。開口部229は、下記の
図3を参照して説明する。
【0062】
レンズエレメント210は、外部から受信された光を検出エレメントに伝達する。例えば、レンズエレメント210は、ブロックレイヤ220の下部に配置され、開口部229から提供された光を通過させる。レンズエレメント210は、レンズエレメント210の一面に突出した部分を有し、突出した部分が検出エレメントに向かい合うよう配置される。例えば、レンズエレメント210は、開口部229から提供された光を、該当の開口部229に対応する検出エレメントに伝達する。ただし、上述した構造は単なる例示であって、これに限定されることはない。例えば、レンズエレメント210がブロックレイヤ220の下部に配置すると限定せず、レンズエレメント210は、ブロックレイヤ220の上部に配置されたり、上部及び下部の両方に配置されたりしてもよい。また、レンズエレメント210の突出した部分が検出エレメントに向かい合っている代わりに、平たい部分が検出エレメントに向かい合うように配置されてもよい。レンズエレメント210は、一面に突出した部分の代わりに凹んだ部分を有してもよい。
【0063】
一実施形態に係るブロックレイヤ220に形成されたパターン(例えば、ホールパターン)は、ブロックレイヤ220で任意の開口部229を通過した光を該当の開口部229に対応する検出エレメントに伝達し、該当の光が他の検出エレメントに向かうことを防止する。したがって、上述したホールパターンを有するブロックレイヤ220は、光学クロストークを低減し得る。また、ホールパターンの直径及びブロックレイヤ220の高さなどに応じて、イメージセンサの広視野角が設計され得る。
【0064】
図3は、一実施形態に係るブロックレイヤ及びレンズエレメントの断面を示す図である。
【0065】
一実施形態に係るイメージセンサは、開口部329が形成されたブロックレイヤ320及びブロックレイヤ320の下部に配置されたレンズエレメント310を含む。
図3に示すように、ブロックレイヤ320は、吸収層321及び透明層322が交番に積層された構造である。個々の吸収層321が円形絞りを含むことができ、円形絞りは、透明層322と同じ材質で満たされてもよい。
【0066】
吸収層321で絞りが形成された領域は光を通過させ、絞りが形成されていない残りの領域は光を吸収する。任意の吸収層321の絞りを通過した光は、次の透明層322を通過する。次の透明層322を通過した光は、次の吸収層の絞りを通過する。したがって、複数の吸収層それぞれの絞りが、外部から受信された光を通過させる、円柱形態の開口部329を形成する。
【0067】
開口部329を通過した光は、レンズエレメント310に提供される。レンズエレメント310は、開口部329を通過した光を集光し、検出エレメントに伝達し得る。
【0068】
図4は、一実施形態に係るイメージセンサが有する視野角を説明する図である。
【0069】
ブロックレイヤ420は、予め定められた視野角に基づいて決定された高さ(height)Hを有する。例えば、イメージセンサの視野角は、外部から受信された光が検出エレメントに到達できる、透明基板430に対する最大入射角θ
1を示す。透明基板430に入射した光は、透明基板430及び透明層422の屈折率に応じて屈折される。例えば、
図4において、光が透明基板430に対してθ
1の角度で入射した状況を仮定する。ブロックレイヤ420で吸収層421が光を吸収するため、開口部によって光がブロックレイヤ420を通過可能な最大角度θ
2が決定される。例えば、外部から受信された光がブロックレイヤ420を通過可能な最大角度θ
2は、ブロックレイヤ420に形成された開口部の直径及び開口部の高さに応じて決定される。開口部の高さは、ブロックレイヤ420の高さHに対応する。
【0070】
例えば、イメージセンサで、ブロックレイヤ420の高さH、θ2、及びθ1の関係は下記の表1のように示すことができる。
【0071】
【0072】
例えば、表1によれば、ブロックレイヤ420の高さHが110μmであるとき、イメージセンサの視野角は約70°に示される。
【0073】
ただし、ブロックレイヤ420の構成は上述したように限定されない。ブロックレイヤ420は、予め定められた視野角に基づいて決定された個数(number)の吸収層421が積層される。例えば、予め定められた視野角に基づいてブロックレイヤ420の高さが決定され、ブロックレイヤ420の高さ及び吸収層421間の間隔により積層される吸収層421の個数が決定される。吸収層421間の間隔は、透明層422の厚さに対応する。
【0074】
図5は、一実施形態に係るブロックレイヤの開口部によって決定される視野角について説明する図である。
【0075】
吸収層521は、レンズエレメント510に対応する地点を中心にして形成された第1直径D1の絞りを含む。ブロックレイヤ520は、第1直径D1と異なる第2直径D2の絞りが形成された異なる吸収層522をさらに含む。更なる吸収層523は、第2直径D2と異なる第3直径D3の絞りを含む。第1直径D1、第2直径D2、及び第3直径D3は、次第に増加したり減少したりする値を有する。例えば、ブロックレイヤ520は、ブロックレイヤ520の一面から他の一面まで開口部529の直径が次第に変わる構造である。ブロックレイヤ520で吸収層の個数は、説明されたものに限定されることはない。
【0076】
図4では、開口部529の直径が一定であることを例示しているが、
図5は、開口部529の直径が増加する例示を示す。
図5では、レンズエレメント510に近い吸収層から遠い吸収層まで、各吸収層に形成される絞りの直径が次第に増加する。開口部529の直径が次第に増加すれば、開口部529によって光がブロックレイヤ520を通過可能な最大角度θ
2が増加する。ここで、開口部529の直径が増加する程度は、透明基板530及び透明層の屈折率及び所望する視野角θ
1(以下、予め定められた視野角)に基づいて決定される。予め定められた視野角θ
1で透明基板530に入射した光が屈折された後、該当の光がブロックレイヤ520に入射する角度に応じて、開口部529の直径が増加する程度が決定される。開口部529の直径が増加する程度は、ブロックレイヤ520を通過可能な最大角度θ
2に対応する。したがって、ブロックレイヤ520に含まれた複数の吸収層のそれぞれに形成される円形絞りは、透明基板530及び透明層の屈折率と予め定められた視野角θ
1とに基づいて決定された直径を有する。
【0077】
また、ブロックレイヤ520は、検出エレメント540からレンズエレメント510の焦点距離だけ離隔される。例えば、ブロックレイヤ520は、
図5に示すように、レンズエレメント510を基準として検出エレメント540の反対側に配置される。ただし、ブロックレイヤ520の配置はこれに限定されず、ブロックレイヤ520は、レンズエレメント510を基準として検出エレメント540と同じ側に配置され得る。
【0078】
例えば、ブロックレイヤ520は、予め定められた光量に基づいて決定された開口部直径を有し、予め定められた光量に基づいて決定された焦点距離だけ検出エレメント540から離隔される。
【0079】
図5では、開口部529の直径が次第に増加することを例示しているが、以下の
図6では反対の例示を説明する。
【0080】
図6は、他の一実施形態に係るブロックレイヤの開口部によって決定される視野角を説明する図である。
【0081】
ブロックレイヤ620は、レンズエレメント610を基準にして第1直径D1の絞りを含む第1吸収層621、第2直径D2の絞りを含む第2吸収層622、及び第3直径の絞りを含む第3吸収層623を含む。第1直径D1、第2直径D2、及び第3直径D3は次第に減少する。例えば、ブロックレイヤ620は、ブロックレイヤ620の一面から他の一面まで開口部629の直径が次第に減少する構造である。開口部629の直径が次第に減少する構造によって、イメージセンサは遠くにある物体をより円満に観察することができる。
【0082】
図7は、一実施形態に係るイメージセンサの製造方法を説明するフローチャートである。
【0083】
一実施形態によれば、イメージセンサは、透明基板からブロックレイヤ、レンズエレメント、及び検出エレメントの順に積層される。
【0084】
まず、ステップS710において、透明基板が提供される。上述したように透明基板は、ガラスウェハーであってもよいが、これに限定されることはない。
【0085】
そして、ステップS720において、吸収層及び透明層を含むブロックレイヤが提供される。例えば、ブロックレイヤは、透明基板上に提供される。上述したように吸収層及び透明層が交番に積層され、このようなブロックレイヤの形成は下記の
図8を参照して説明する。
【0086】
次に、ステップS730において、ブロックレイヤに開口部が形成されたパターンに応じてレンズエレメントが提供される。例えば、レンズエレメントは、ブロックレイヤ上に提供される。以下、
図9を参照してレンズエレメントとしてマイクロレンズアレイを提供する方法について説明する。
【0087】
図8は、一実施形態に係るブロックレイヤの提供方法を説明する図である。
【0088】
まず、ステップS821において、透明基板上に吸収層が提供される。例えば、吸収層として黒色ポリマー(例えば、Black SU-8)がコーティングされる。
【0089】
そして、ステップS822において、マスクが吸収層上に配置される。マスクは、吸収層上に平面アレイパターンで配置される。例えば、円形マスクが格子パターンに沿って配置される。吸収層上に配置されたマスクを介して紫外線が照射される。吸収層でマスクを除いた部分が紫外線に露出される。吸収層は、ネガ型フォトレジストから構成されてもよい。フォトレジストは、様々なプロセスで用いられる感光性素材を示し、表面上にパターニングされたコーティングを形成する。
【0090】
次に、ステップS823において、紫外線露出によってパターニングされた吸収層が現像液によって現像される。現像液と呼ばれる溶剤が表面に塗布される。ネガ型フォトレジストで紫外線に露出された部分は、現像液に対して不溶性である。ネガ型フォトレジストで露出されていない部分は、フォトレジスト現像液によって溶解される。したがって、
図8に示すように、吸収層でマスク形態に対応する部分が溶解して除去される。
【0091】
そして、ステップS824において、パターンが形成された吸収層上に透明層がコーティングされる。パターニングされた吸収層上にコーティングされた透明層にブロックレイヤは紫外線に露出される。透明層もネガ型フォトレジストから構成されてもよく、紫外線に露出された部分は、現像液に対して不溶性である。マスクなしに紫外線に露出されたため、コーティングされた透明層の全体が固定され得る。
【0092】
次に、ステップS825において、親水処理(Hydrophile process)が透明層に対して適用される。親水処理によって、透明層及び吸収層間の結合力が増加する。親水処理は、例えば、酸素プラズマ処理であり得る。
【0093】
そして、ステップS826において、上述したステップS821~S825が繰り返されることにより、複数のレイヤ(例えば、N個のレイヤ)が積層される。ここで、Nは2以上の整数である。吸収層及び透明層が交番に積層される。上述したステップS821~S825が繰り返される間、吸収層のそれぞれに形成されるパターン間にアライメントが保持される。したがって、個々の吸収層に形成された絞りの集合は開口部に対応する。
【0094】
図9は、一実施形態に係るレンズエレメントの提供方法を説明する図である。
【0095】
まず、ステップS931において、ブロックレイヤ上に熱可塑性ポリマーが提供される。熱可塑性ポリマーは、レンズを製造するための透明な材質として、熱によって変形可能な材質を示す。例えば、熱可塑性ポリマーはAZ9260を示してもよい。
【0096】
そして、ステップS932において、吸収層に形成された平面アレイパターンに対して整列されたパターンのマスクが熱可塑性ポリマー上に配置される。熱可塑性ポリマー上にマスクを配置して、熱可塑性ポリマーは紫外線に露出される。
【0097】
次に、ステップS933において、紫外線露出によってパターニングされた熱可塑性ポリマーが現像液によって現像される。熱可塑性ポリマーは、ポジ型フォトレジストであってもよく、ポジ型フォトレジストで露出された部分はフォトレジスト現像液によって溶解される。ポジ型フォトレジストで露出されていない部分は現象液に不溶性である。したがって、
図9に示すように、コーティングされた熱可塑性ポリマーのうち、マスク形態に対応する部分が紫外線露出の後に保持される。マスクが円形マスクである場合、熱可塑性ポリマーは、平面アレイパターンに沿って円柱形態に保持される。
【0098】
そして、ステップS934において、熱可塑性ポリマーがパターニングされた構造物の上に疎水性コーティング901(例えば、Fluorocarbon nanofilm coating)が適用される。疎水性コーティング901によって熱可塑性ポリマーの凝集力が増加する。
【0099】
次に、ステップS935において、熱リフロー工程を介してマイクロレンズアレイの形状が製造される。上述したステップS934で適用された疎水性コーティング901により熱可塑性ポリマーの凝集力が増加するため、熱可塑性ポリマーは球状に凝集される。
【0100】
ただし、一実施形態に係るイメージセンサの製造は上述した
図7~
図9に限定されず、設計に応じて変更され得る。また、
図7~
図9を参照して説明した製造工程の各ステップの順は上述したものに限定されず、一部の工程が省略されたり、追加されたりしてもよい。
【0101】
図10は、一実施形態に係るレンズエレメントがブロックレイヤの一面に集積された構造が走査電子顕微鏡によって撮影されたイメージを示す。
図10は、走査電子顕微鏡によって撮影されたレンズエレメントを示す。
図10に示すように、レンズエレメントは、ブロックレイヤの下部に格子パターンに沿って球形に一定に形成される。
【0102】
図11は、一実施形態に係るレンズエレメントがブロックレイヤの一面に集積された構造が光学顕微鏡によって撮影されたイメージを示す。
図11は、光学顕微鏡によって撮影されたレンズエレメントを示す。
図11に示すように、レンズエレメントの焦点が均一に形成され、白点に示されている。
【0103】
図12は、一実施形態に係るブロックレイヤに含まれる吸収層の数による光の透過率を示す図である。
図12は、ブロックレイヤに含まれる吸収層の個数が増加するほど、ブロックレイヤを通過する光の透過度が減少する結果を示す。例えば、4.5μmの吸収層がコーティングされた場合、1つのレイヤでは約40~50%の光が透過する。2つのレイヤでは約10%の光が透過する。4つのレイヤでは可視光領域の光がほとんど透過しない。
【0104】
図13は、一実施形態に係るイメージセンサの上面及びの側面が共焦点レーザー走査顕微鏡によって撮影されたイメージを示す。
図13は、レンズアレイのない構造1310、ブロックレイヤのない構造1320、及びレンズアレイ及びブロックレイヤを有する構造1330に対して撮影されたイメージをそれぞれ示す。
【0105】
共焦点レーザー走査顕微鏡によって撮影されたレンズアレイのない構造1310では、光の経路がフォーカシングされない形状を示す。共焦点レーザー走査顕微鏡によって撮影されたブロックレイヤのない構造1320では、光が遮断されない形状を示す。
【0106】
一実施形態に係るイメージセンサは、レンズアレイ及びブロックレイヤを有する構造1330として、光の経路がフォーカスされながらも、開口部を除いた残りの部分で光が遮断される形状を示す。
【0107】
図14は、一実施形態に係るイメージセンサの強度プロフィールを示す図である。
図14は、
図13に示す各構造に対する強度プロフィールを比較した結果を示す。一実施形態に係るイメージセンサは、ブロックレイヤのない構造に比べて光を約60%程度有効に遮断できる。また、焦点面においても、一実施形態に係るイメージセンサは均一な光量を示す。均一な光量は、レンズが均一に製造されていることを示す。
【0108】
図15は、一実施形態に係るイメージセンサを介して撮影されたイメージを示す。
【0109】
イメージセンサが上段のオリジナルイメージを撮影した結果は、下段のイメージのように示されている。一実施形態に係るイメージセンサは、ブロックレイヤを介してクロストークが防止されながら鮮明な複数の分割映像を取得できる。
【0110】
図16は、一実施形態に係るイメージセンサの視野角が測定された結果を示す。
【0111】
一実施形態に係るイメージセンサが対象オブジェクトイメージを撮影したとき、イメージセンサによって撮影されたイメージにオブジェクトが充満しているように観測される距離、及び対象オブジェクトイメージの長さからイメージセンサの視野角が測定される。
図16に示されたイメージセンサの視野角は約70°に示される。
【0112】
図17及び
図18は、一実施形態に係るブロックレイヤがMTF(modulation transfer function、変調伝達関数)に及ぼす影響を説明する図である。
【0113】
図17は、ブロックレイヤのない構造1710に対するMTF測定イメージ及びブロックレイヤを有する構造1720に対するMTF測定イメージを示す。ブロックレイヤのない構造1710に対するMTF測定イメージは、シャープネスクォリティーは低いが、ブロックレイヤを有する構造1720は、高いシャープネスを示す。
図18に示すように、ブロックレイヤを有する構造のイメージセンサに対してMTFが測定可能である。
【0114】
一実施形態に係るイメージセンサは、モバイル用デジタルカメラなどの超薄型カメラ応用製品に搭載される。また、イメージセンサは、内視鏡カメラ、ドローンなどの超小型光学映像装備に適用される。
【0115】
一実施形態に係るイメージセンサは、光学クロストークを防止するための吸収層がレンズエレメントを基準にして検出エレメントの反対側に配置され、レンズエレメントと検出エレメントとの間の空いた空間はスペーサによって保持される。したがって、一実施形態に係るイメージセンサは薄く具現される。
【0116】
一実施形態に係るイメージセンサは、吸収層と透明層を含むブロックレイヤを介して光学クロストークを低減し、製造時に視野角が調整される。
【0117】
一実施形態に係るイメージセンサでブロックレイヤの下面にレンズエレメントが配置されてもよい。レンズエレメントの上面にブロックレイヤが配置されるため、光学クロストークが低減され得る。また、イメージセンサでブロックレイヤの上面に透明基板が配置される。ブロックレイヤの上面に透明基板が配置されるため、受信される光が屈折されて視野角が効率よく拡大される可能性がある。透明層の厚さ、吸収層が積層される個数によってイメージセンサの視野角が調整され得る。また、個々の吸収層に形成される絞りの広さ又は直径の異なる吸収層と、異なる広さ又は直径を有するよう設計することで、イメージセンサの視野角が決定される。
【0118】
一実施形態に係るイメージセンサは、半導体に集積されて超薄型カメラで使用される。また、積層された吸収層に形成された絞りの広さ及びレンズエレメントのf値(f number)の設計に応じて、イメージセンサにより受信される光量が調整され得る。
【0119】
一実施形態に係るイメージセンサを製造する方法は、紫外線パターニングが可能な材料を使用し、精密なイメージセンサを製造できる。また、イメージセンサを製造する方法は、超薄型のレンズを製造することができる。吸収層に形成される絞りの直径を個々の吸収層ごとに相違させ、光が入ってくる視野角を調整することができる。スペーサの高さ及びレンズエレメントの曲率による焦点距離も設計に応じて変更できる。
【0120】
一実施形態に係るイメージセンサは、センサアレイに含まれた個々の検出エレメントに光を提供するブロックレイヤ及びレンズエレメントの設計を介して個々の検出エレメントに対する視野角が調整される。イメージセンサは、複数の検出エレメントを用いて複数の分割映像を取得できる。イメージセンサは、上述したブロックレイヤなどの設計に応じる視野角の調整によって、調整された重畳度を有する分割映像を取得できる。イメージセンサは、高画質の超薄型カメラ用にMTFを改善したり、3次元カメラ用に3D深度情報を抽出したりすることができる。
【0121】
上述した装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、又はハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組み合せで具現される。例えば、本実施形態で説明した装置及び構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPA(field programmable array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサー、又は命令(instruction)を実行して応答する異なる装置のように、1つ以上の汎用コンピュータ又は特殊目的コンピュータを用いて具現される。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及びオペレーティングシステム上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行する。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータをアクセス、格納、操作、処理、及び生成する。理解の便宜のために、処理装置は1つが使用されるものとして説明する場合もあるが、当技術分野で通常の知識を有する者は、処理装置が複数の処理要素(processing element)及び/又は複数類型の処理要素を含むことが把握する。例えば、処理装置は、複数のプロセッサ又は1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含む。また、並列プロセッサ(parallel processor)のような、他の処理構成も可能である。
【0122】
ソフトウェアはコンピュータプログラム、コード、命令、又はそのうちの一つ以上の組合せを含み、希望の通りに動作するよう処理装置を構成したり、独立的又は結合的に処理装置に命令したりすることができる。ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈されたり処理装置に命令又はデータを提供したりするために、いずれかの類型の機械、構成要素、物理的装置、仮想装置、コンピュータ格納媒体又は装置、又は送信される信号波に永久的又は一時的に具体化することができる。ソフトウェアはネットワークに連結されたコンピュータシステム上に分散され、分散した方法で格納されたり実行されたりし得る。ソフトウェア及びデータは一つ以上のコンピュータで読出し可能な記録媒体に格納され得る。
【0123】
本実施形態による方法は、様々なコンピュータ手段を介して実施されるプログラム命令の形態で具現され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組み合せて含む。記録媒体及びプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計して構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気-光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。ハードウェア装置は、本発明に示す動作を実行するために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成してもよく、その逆も同様である。
【0124】
上述したように実施形態を限定された図面によって説明したが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、上記の説明に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順で実行されてもよいし、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合又は組み合わせられてもよいし、他の構成要素又は均等物によって置き換え又は置換されたとしても適切な結果を達成することができる。
【0125】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されて定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
【符号の説明】
【0126】
100:イメージセンサ
110:レンズエレメント
120:ブロックレイヤ
130:透明基板
140:検出エレメント
150:スペーサ
190:カメラチップ