(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】淡色ロジン及びロジンエステル組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 67/08 20060101AFI20240613BHJP
C07C 69/753 20060101ALI20240613BHJP
C08L 93/04 20060101ALI20240613BHJP
C09F 1/04 20060101ALI20240613BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240613BHJP
【FI】
C07C67/08
C07C69/753 F
C08L93/04
C09F1/04
C07B61/00 300
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019211234
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-11-16
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519418226
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルク・セー・スカープマン
(72)【発明者】
【氏名】ヨス・ハー・エム・ランゲ
【審査官】長谷川 莉慧霞
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-209070(JP,A)
【文献】特開平02-064182(JP,A)
【文献】特表2006-508325(JP,A)
【文献】米国特許第04657703(US,A)
【文献】国際公開第2015/048402(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1772829(CN,A)
【文献】特表2016-535113(JP,A)
【文献】石上 雅久他,トール油の不均化反応,油化学,1974年,Vol. 23, No. 6,pp. 355-360,DOI: 10.5650/jos1956.23.355
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C08L
C09F
C07B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジンエステルの調製方法であって:
a)不活性な環境でロジンを加熱するステップ;
b)得られたロジン組成物を減圧下で蒸留するステップ;及び
c)蒸留ロジン組成物を、1つ以上の多価アルコール、及び任意選択的に1つ以上のモノカルボン酸、及び任意選択的に1つ以上のポリカルボン酸と反応させるステップを含み、
ステップ(a)及び(c)の少なくとも1つにおいて、共触媒が適用され、
ステップ(a)及び(c)の少なくとも1つにおいて、不均化触媒が適用され、
前記共触媒は、以下の式によって表される化合物を含み:
【化1】
(式中、n=0、1又は2であり;
Xは、酸素、硫黄、窒素又は炭素を表し;
Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5、Z
6、Z
7及びZ
8は、同一であり又は異なり、それぞれ炭素又は窒素を表し;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、同一であり又は異なり、それぞれ独立して水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル、アルケニル基、アリールアルケニル基、アルキニル基、アリールアルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルキニレン基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ピリジル基、フリル基、アシル基、プロピオニル基、ホルミル基、ベンゾイル基、アセトキシ基、ハロゲン、アルコキシ基、アミノ基、ベンジル、ハロゲン置換ベンジル基、アルキル置換ベンジル基、アルコキシ置換ベンジル基、ハロゲン置換アリール基、アルキル置換アリール基、アルコキシ置換アリール基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基、モノアルキルアミド基、ジアルキルアミド基、シアノ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシアルキル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルスルホニル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、スルファモイル基、ジメチルスルファミド基、スルフヒドリル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、カルバモイル基、塩化カルボニル基、ホスフィン基、リン酸基、ホスホジエステル基、ホスホン酸基、オキシラニルアルキル基、カルボキシアルキル基、カルボキシアルキル基、グルコピラノシル基及びグルコピラノシルオキシ基の群から選択される)、
前記不均化触媒が、ステップ(a)及び(c)で適用される化学物質の総重量に対して、0.001重量%~5.0重量%の量で存在し、
前記共触媒が、ステップ(a)及び(c)で適用される化学物質の総重量に対して、0.001重量%~5.0重量%の量で存在する、方法。
【請求項2】
前記共触媒が、0.5を超える三重項形成量子収率(Φ
T)及び0.5マイクロ秒を超える三重項寿命(τ
T)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共触媒が、アクリドン、アントロン、9-フルオレノン、チオキサントン、キサントン、
それらの誘導
体及び組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記不均化触媒が、2,2’チオビスフェノール、3,3’-チオビスフェノール、4,4’-チオビス(レゾルシノール)、1,1’-チオビス(ピロガロール)、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)、チオビスナフトール、2,2’-チオ-ビスフェノール、3,3’-チオ-ビスフェノール、パラジウム、ニッケル、白金、Pd/C、ヨウ素、ヨウ化
鉄、硫化
鉄、ポリ-t-ブチルフェノールジスルフィド、4,4’チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール、ノニルフェノールジスルフィドオリゴマー、アミルフェノールジスルフィドポリマー、及びそれらの組み合わせの群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(a)のロジンが、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、蒸留又は結晶化により精製されたロジン、及びそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の多価アルコールが、2~10の平均ヒドロキシル官能価を有し、該多価アルコールが2~30個の炭素原子を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の多価アルコールが、グリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール工業用グレード、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,4-シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール、ポリグリセロール工業用グレード、ポリグリセロール-3、ポリグリセロール-4、1,4-ブタンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、トリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン-4,8-ジメタノール、水素化ビスフェノールA(4,4’-イソプロピリデンジシクロヘキサノール)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、及びそれらの組み合わせの少なくとも1つを含み、
1つ以上の多価アルコールの量が、ステップ(c)における反応物の総重量に対して、6重量%~40重量%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のモノカルボン酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セロチン酸、安息香酸、フェニル酢酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エライジン酸、サピエン酸、アラキドン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、トール油脂肪酸、及びそれらの組み合わせの少なくとも1つを含み、前記1つ以上のモノカルボン酸が、ステップ(c)の反応物の総重量に対して、15重量%~75重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のポリカルボン酸が、アジピン酸、3-メチルアジピン酸、コハク酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、ロジン二量体、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、トール油脂肪酸(TOFA)二量体、水素化トール油脂肪酸(TOFA)二量体、2-(2-カルボキシフェニル)安息香酸、2,5-フランジカルボン酸、ショウノウ酸、cis-ノルボルネン-endo-2,3-ジカルボン酸、トリメリット酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ブラシル酸、ドデカン二酸、タプシン酸、トリメシン酸、及びそれらの組み合わせの少なくとも1つを含み、前記ポリカルボン酸が、ステップ(c)で適用された反応物の総重量に対して、6重量%未満の量で存在する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)のロジンの加熱が、240℃~300℃で15分~10時間行われ、
ステップ(b)の得られたロジン組成物の蒸留が、0.002~25mbarの圧力下であり、
ステップ(c)のロジンエステル化が、240℃~300℃で3~18時間行われる、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)における混合物をエステル化触媒に接触させることをさらに含み、前記エステル化触媒が、酢酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、次亜リン酸、硫酸、ホウ酸、亜リン酸エステル、亜リン酸トリフェニル、アルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、金属酸化物、SiO
2担持及びAl
2O
3担持金属酸化物、陽イオン交換樹脂、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、カルシウムビス-モノエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、並びにそれらの組み合わせの群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(a)において共触媒が適用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(a)において、共触媒及び不均化触媒が適用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の方法によって生成されるロジンエステルであって、該ロジンエステルが、3未満のニートガードナー色、30mgKOH/グラム未満の酸価の値、30%未満のPAN値及び30mgKOH/g未満のヒドロキシル価、及び1ppm~200ppmの量の前記共触媒の残留量を有する、ロジンエステル。
【請求項15】
a
)不活性な環境でロジンを加熱するステップ;
b)得られたロジン組成物を減圧下で蒸留するステップ;及び
c)蒸留ロジン組成物を、1つ以上の多価アルコール、及び任意選択的に1つ以上のモノカルボン酸、及び任意選択的に1つ以上のポリカルボン酸と反応させるステップを含み、
ステップ(a)及び(c)の少なくとも1つにおいて、共触媒が適用される方法により調製されるロジンエステルであって、前記共触媒が、以下の式によって表される化合物を含み:
【化2】
(式中、n=0、1又は2であり;
Xは、酸素、硫黄、窒素又は炭素を表し;
Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5、Z
6、Z
7及びZ
8は、同一であり又は異なり、それぞれ炭素又は窒素を表し;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、同一であり又は異なり、それぞれ独立して水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル、アルケニル基、アリールアルケニル基、アルキニル基、アリールアルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルキニレン基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ピリジル基、フリル基、アシル基、プロピオニル基、ホルミル基、ベンゾイル基、アセトキシ基、ハロゲン、アルコキシ基、アミノ基、ベンジル、ハロゲン置換ベンジル基、アルキル置換ベンジル基、アルコキシ置換ベンジル基、ハロゲン置換アリール基、アルキル置換アリール基、アルコキシ置換アリール基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基、モノアルキルアミド基、ジアルキルアミド基、シアノ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシアルキル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルスルホニル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、スルファモイル基、ジメチルスルファミド基、スルフヒドリル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、カルバモイル基、塩化カルボニル基、ホスフィン基、リン酸基、ホスホジエステル基、ホスホン酸基、オキシラニルアルキル基、カルボキシアルキル基、カルボキシアルキル基、グルコピラノシル基及びグルコピラノシルオキシ基の群から選択される)、
前記ロジンエステルが、3未満のニートガードナー色、30mgKOH/グラム未満の酸価の値、30%未満のPAN値及び30mgKOH/g未満のヒドロキシル価を有し;
前記ロジンエステルが、1ppm~200ppmの量の前記共触媒の残留量を有することを特徴とする、ロジンエステル。
【請求項16】
ステップ(a)及び(c)の少なくとも1つにおいて0.001重量%~5.0重量%の不均化触媒が適用され、前記不均化触媒が、2,2’チオビスフェノール、3,3’-チオビスフェノール、4,4’-チオビス(レゾルシノール)、1,1’-チオビス(ピロガロール)、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)、チオビスナフトール、2,2’-チオ-ビスフェノール、3,3’-チオ-ビスフェノール、パラジウム、ニッケル、白金、Pd/C、ヨウ素、ヨウ化
鉄、硫化
鉄、ポリ-t-ブチルフェノールジスルフィド、4,4’チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール、ノニルフェノールジスルフィドオリゴマー、アミルフェノールジスルフィドポリマー、及びそれらの組み合わせの群から選択される、請求項15に記載のロジンエステル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、出願日2018年12月21日の米国出願第62/783315号からの優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、加熱され蒸留されたロジン及びそれから誘導される淡色ロジンエステルに関する。
【背景技術】
【0003】
接着剤や路面マーキングのようなさまざまな産業用途のためのロジン及びロジンエステルの化学純度並びに色を改善することについては、必要性が満たされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(発明の要旨)
一態様において、不均化触媒及び共触媒を適用することにより淡色ロジンエステルを調製するための3ステップの方法が開示される。淡色ロジンエステルの調製方法は;(a)精製ロジンを得るために実質的に不活性な環境でロジンを加熱するステップ;(b)得られたロジン組成物を減圧下で蒸留して、さらに精製された蒸留ロジンを得るステップ;及び(c)蒸留ロジン組成物を1つ以上の多価アルコール及び任意選択的に1つ以上のモノカルボン酸、及び任意選択的に1つ以上のポリカルボン酸と反応させて、淡色ロジンエステルを得るステップの3つの連続したステップを含み、ここで(a)及び(c)の少なくとも1つのステップで共触媒が適用され、(a)及び(c)の少なくとも1つのステップにおいて、不均化触媒が適用される。一態様において、共触媒は、0.5を超える三重項形成量子収率(ΦT)及び0.5マイクロ秒を超える三重項寿命(τT)を有する。別の態様において、共触媒は、アクリドン、アントロン、9-フルオレノン、チオキサントン、キサントン、それらの誘導体及び組み合わせから選択される。別の態様において、共触媒は、アクリドン、アントロン、9-フルオレノン、チオキサントン、キサントン、それらの誘導体、及び組み合わせから選択される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
別の態様において、共触媒は、式I:
【0006】
【0007】
一態様において、ステップ(a)又はステップ(b)は、活性炭の存在下で行われる。別の実施形態において、ステップ(a)又はステップ(b)は、活性炭の存在下で行われ、ステップ(a)は、共触媒の存在下及び任意選択的に不均化触媒の存在下で行われる。別の実施形態において、ステップ(a)又はステップ(b)は、活性炭の存在下で行われ、ステップ(a)は、共触媒及び不均化触媒の存在下で行われる。あるいは、ステップ(a)は、活性炭及び共触媒の存在下、及び任意選択的に不均化触媒の存在下で行われる。あるいは、ステップ(a)は、活性炭及び共触媒及び不均化触媒の存在下で行われる。別の実施形態において、活性炭は、ステップ(a)で適用されたロジンの重量に対して0.01重量%~5.0重量%の量で存在する。
【0008】
別の態様において、ステップ(c)で得られた淡色ロジンエステル組成物は、Pd/Cのような貴金属触媒の存在下及び水素の存在下で脱水素化又は水素化反応に供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特に明記しない限り、以下の定義が本開示に適用される。
【0010】
酸価(Acid value)(又は「中和価」又は「酸価(acid number)」又は「酸性度」):1グラムの化学物質を中和するために必要なミリグラム単位の水酸化カリウム(KOH)の質量。ASTM D465-05(2010)を使用して、酸価の値(acid number values)を測定できる。
【0011】
カラー(ガードナー)カラースケール:液体サンプルの黄色強度を測定するために使用されるスケール。明るい(つまり、少ない)黄色の強度は、低い色値に対応する。
【0012】
ハーゼンカラースケール:APHAカラー及びPt/Coスケールとも呼ばれ、ASTM D1209で規定されているカラー標準である。
【0013】
「トール油(Tall oil)」は、主に針葉樹をパルプ化する際の木材パルプ製造のクラフトプロセスの副産物として得られる粘性のある黄黒色の液体である。粗トール油は、減圧蒸留によりトール油ヘッド、トール油脂肪酸(TOFA)、蒸留トール油(DTO)、トール油ロジン画分及びトール油ピッチ蒸留残渣に分画できる。TOFAは、主にオレイン酸及びリノール酸を含み、典型的には0.1~6重量%のロジン酸を含む。
【0014】
「PAN数」は、ロジンエステルからの加水分解により得られる、パルストリン酸、アビエチン酸及びネオアビエチン酸の質量による百分率(一般に重量百分率と呼ばれる)の合計を指す。
【0015】
本明細書に開示されるのは、淡色ロジンエステル組成物及びその調製方法である。本明細書でさらに開示されるのは、淡色ロジンエステルを得るための新規の共触媒、及び以下のステップによって淡色ロジンエステルを調製する方法である:(a)実質的に不活性な環境でロジンを加熱して精製ロジンを生成するステップ;(b)減圧下でロジンを蒸留して、さらに精製された蒸留ロジンを生成するステップ;及び(c)蒸留ロジン組成物を、1つ以上の多価アルコール及び任意選択的に1つ以上のモノカルボン酸、及び任意選択的に1つ以上のポリカルボン酸と反応させるステップ、ここで少なくともステップ(a)及び(c)の1つにおいて、共触媒が適用され、ステップ(a)及び(c)の少なくとも1つにおいて、不均化触媒が適用される。
【0016】
成分-ロジン:ロジン(又はロジン酸)には、ロジン酸の混合物が含まれてもよい。ロジン酸は、数及び位置が異なる二重結合を含むC20縮合環モノカルボン酸である。例としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマル酸、レボピマル酸、サンダラコピマル酸、イソピマル酸及びパルストリン酸が含まれる。典型的には、天然ロジンは、少量の他の成分と組み合わされたいくつかのロジン酸の混合物で構成されている。
【0017】
ロジンは市販されている場合があり、オレオレジン(ガムロジン)の蒸留、松の切り株の抽出(ウッドロジン)又はトール油の分画(トール油ロジン)によって松の木から得ることができる。例としては、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン及びそれらの混合物が含まれる。ロジンは、本明細書に記載した3ステップの手順のステップ(a)でロジンとして使用する前に、1つ以上の精製ステップ(例えば、減圧下での蒸留、抽出及び/又は結晶化)に供されてもよい。必要に応じて、ロジンは、ステップ(a)でロジンとして使用する前に、1つ以上の化学修飾(例えば、水素化及び脱水素化)に供されてもよい。
【0018】
一実施形態において、ロジンはトール油ロジン、例えば、Kraton Chemicalから市販されているロジン製品SYLVAROS(商標)である。
【0019】
ロジンは、それらの環系内に共役炭素-炭素二重結合を含み得るロジン酸の混合物(例えば、アビエタジエン酸)を含むことができる。これらの共役二重結合は、酸化不安定性の原因になり得る。いくつかの実施形態において、ロジンエステルは、共役二重結合を含む成分の質量による百分率(一般に重量百分率と呼ばれる)を減少させるために処理される。
【0020】
蒸留トール油(DTO)は、脂肪酸やロジン酸のようないくつかのモノカルボン酸を含む。DTOは、ロジンエステル組成物の調製のための反応物として使用できる。例としては、Kraton ChemicalのSYLVATAL(商標)製品系統が含まれる。
【0021】
ステップ(c)で調製されたロジンエステルは、<35又は<30又は<25又は<20又は<15、<又は10又は<5のPAN数をとり得る。PAN数は百分率で表される。
【0022】
さらなる態様において、ロジンは110~190mg KOH/グラム又は150~185mg KOH/グラム又は170~182mg KOH/グラムの酸価の値を示す。酸価は、ASTM D465-05(2010)に従って測定でき、サンプル1グラムあたりのKOH mgとして表される。
【0023】
いくつかの態様において、ロジンエステル組成物を調製するために使用される反応混合物中のロジン重量百分率(重量%)は、ロジンエステルの総重量に対して、15重量%~93重量%又は55~90重量%又は20~60重量%又は25重量%~75重量%の範囲である。
【0024】
任意選択的な成分-モノカルボン酸:一態様において、ステップ(c)でのロジンエステルの調製のための反応混合物は、ロジン以外の1つ以上のモノカルボン酸を含む。例としては、芳香族単官能基カルボン酸、ヘテロ芳香族単官能基カルボン酸、脂肪族単官能基カルボン酸、不飽和直鎖又は分岐単官能基カルボン酸、部分不飽和直鎖又は分岐単官能基カルボン酸、脂環式単官能基カルボン酸、部分不飽和環状単官能基カルボン酸、天然脂肪酸、合成脂肪酸、植物油又は動物油に由来する脂肪酸及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の場合、1つ以上のモノカルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セロチン酸、安息香酸、フェニル酢酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エライジン酸、サピエン酸、アラキドン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、トール油脂肪酸及びそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む。特定の場合において、モノカルボン酸は、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びそれらの組み合わせを含む。特定の態様において、1つ以上のモノカルボン酸はトール油脂肪酸を含む。
【0025】
いくつかの態様において、ロジンエステルの調製のための反応混合物は、ロジンエステルの形成に使用される成分の総重量に対して、15~75重量%又は30~70重量%又は40~65重量%又は20~50重量%の1つ以上のモノカルボン酸を含む。
【0026】
成分-多価アルコール:一態様において、ステップ(c)におけるロジンエステルの調製のための反応混合物は、少なくとも1つの多価アルコールを含む。いくつかの態様において、多価アルコールは、少なくとも2つのアルコール基(ヒドロキシル基とも称する);又は少なくとも3つのアルコール基;又は少なくとも4つのアルコール基を有する任意の炭化水素を含んでもよい。多価アルコールは、2~10個又は2~6個又は2~5個のヒドロキシル官能価の平均数を有してもよい。いくつかの態様において、多価アルコールは2~30個の炭素原子又は2~16個の炭素原子又は2~10個の炭素原子を含む。
【0027】
多価アルコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール工業用グレード、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール、ポリグリセロール工業用グレード、ポリグリセロール-3、ポリグリセロール-4、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、トリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン-4,8-ジメタノール、水素化ビスフェノールA(4,4’-イソプロピリデンジシクロヘキサノール)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール及びラクチトールが含まれるが、これらに限定されない。特定の場合において、1つ以上の多価アルコールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール工業用グレード、ジペンタエリスリトール、ポリグリセロール、ポリグリセロール-4、トリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン-4,8-ジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、水素化ビスフェノールA(4,4’-イソプロピリデンジシクロヘキサノール)及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0028】
いくつかの態様において、ステップ(c)でのロジンエステルの調製のための反応混合物は、ロジンエステル組成物を形成するために使用される成分の総重量に対して、6~40重量%又は7~30重量%又は8~22重量%又は8.5~18重量%又は9~13重量%の多価アルコールを含んでもよい。
【0029】
任意選択的な成分-ポリカルボン酸:実施形態において、ロジンエステル組成物は、1つ以上のポリカルボン酸を含む。例としては、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びテトラカルボン酸が含まれる。ポリカルボン酸は2~54個の炭素原子を含む。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式及び芳香族ポリカルボン酸からなる群から選択され、ここで芳香族という用語には、フェニル、ナフチル、フリル及びピリジル基が含まれる。
【0030】
ポリカルボン酸の例には、アジピン酸、3-メチルアジピン酸、コハク酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、ロジン二量体、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、TOFA二量体、水素化TOFA二量体、2-(2-カルボキシフェニル)安息香酸、2,5-フランジカルボン酸、ショウノウ酸、cis-ノルボルネン-endo-2,3-ジカルボン酸、トリメリット酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ブラシル酸、ドデカン二酸、タプシン酸、トリメシン酸及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
エステル、無水物、塩化アシルのような(ポリ)カルボン酸誘導体を(ポリ)カルボン酸の代わりに適用できる。例えば、アジピン酸の代わりに、塩化メチルアジポイル、アジピン酸ジメチルエステル、アジピン酸モノメチルエステル又は塩化アジポイルを使用してもよい。反応物として無水物を、対応する二官能基カルボン酸の代わりに使用してもよい。例えば、コハク酸の代わりに、コハク酸無水物を適用してもよい。一般に、これらの構造的に関連する反応物には、求核アシル置換機構を介して求核試薬(例えば、多価アルコールのヒドロキシル基)と反応する可能性のあるアシル基が含まれる。
【0032】
活性炭:一部のステップは、活性炭とも呼ばれる活性化させた炭素の存在下で行われる。これは、表面積を増加させ吸着剤として機能することができる小さな低容積の細孔を有するように処理された炭素の形態である。活性炭は、顆粒、粉末又は繊維のような形態で使用でき、それらの起源、活性化方法、見かけの密度、pH、粒度分布及びヨウ素価などによるさまざまな方法で特定できる。一例として、中程度の脱色用途のための化学的に活性化されたマクロポーラス木材ベースの粉末カーボンであるJacobi Carbons ColorSorb(商標) HP120Nがあるが、これは活性化後に洗浄されてpH値を4~7に中和する。
【0033】
加熱ステップ:実施形態において、ステップ(a)は、実質的に不活性な環境で1つ以上のロジンを加熱して精製ロジンを生成することを含む。特定の理論に拘束されることを望まないが、ロジンの精製は加熱ステップ(a)で起こり、揮発性の有色体と臭気体が形成されて、それが適用した高温で混合物から蒸発して気体の形で逃げる又は混合物中の1つ以上の化学物質と反応して、臭気の少ない又は明るい色の成分が形成されると仮定される。加熱ステップ(a)後の硫黄含有量の減少は、加熱ステップ(a)中の硫黄含有化学物質の蒸発を裏付ける。
【0034】
一例としては、実質的に不活性な環境(ゆっくりと窒素ガスをパージすることにより維持される)で、275℃で3時間、撹拌されたトール油ロジン(硫黄含有量901ppm)を加熱すると、硫黄含有量818ppmの精製ロジン組成物が得られた。ここで硫黄含有量は、発光分光法(ICP-OES)による誘導結合プラズマによって測定される。ステップ(a)の加熱段階の時間、温度パラメータは、互いに反比例する。例えば、ロジンが240℃の温度で加熱される場合、10時間の時間で行うが、300℃の温度で加熱される場合には15分のような1時間以下の時間で行われる。加熱サイクルのより好ましい条件は、250℃~295℃で、1~8時間、さらにより好ましくは260℃~290℃で、1~5時間、最も好ましくは270℃~280℃で2~4時間である。
【0035】
実施形態において、ロジンは実質的に不活性な環境で加熱されるが、例えば、周囲の雰囲気については実質的に酸素又は他の反応性ガスがない。O2はロジンと反応して、ロジンにより暗い色を与える生成物を産生する傾向がある。他の化合物又は不純物もまたロジンと反応して、劣った生成物を産生する可能性がある。これらの問題を回避するために、システムをN2のような不活性ガスでパージして、不活性環境を維持し、形成されたガス状汚染物質を除去することによりロジンの精製を強化することができる。任意選択的に、ロジンは活性炭の存在下で加熱することができ、その過程で特定の場合にはロジンはゆっくりと分解又は脱炭酸し得る。活性炭の種類、ステップ(a)の最終段階での活性炭の添加又は少量の活性炭の使用は、そのようなロジンの分解又は脱炭酸の程度を制限する選択肢であり得る。例えば、ロジンを180分間加熱する場合、活性炭は150分後、160分後又は170分後に添加することができる。
【0036】
真空蒸留ステップ:上記加熱ステップ(a)から得られたロジン組成物を減圧下で蒸留して、蒸留ロジン組成物を生成する。このステップ(b)では、減圧下での蒸留は一般に0.002~100mbar又は0.002~25mbar又は0.05~25mbar又は0.1~25mbar又は0.2~13mbar又は0.5~5mbar又は0.7~3mbar又は1~2mbarで行われる。
【0037】
減圧下での蒸留の温度条件と圧力条件は互いに関連している。圧力を下げると、蒸留温度が下がる。通常、ロジン画分はおよそ195℃~225℃(蒸留塔上部の蒸気温度)、1.5mbarで蒸留する。真空蒸留は、蒸留塔がない状態で低いブリッジを用いて設置された一般的な蒸留を使用する又はワイプドフィルム蒸発若しくはショートパス蒸発によって行うことができる。
【0038】
一般に、ロジンを加熱すると、ロジンよりも揮発性の高い画分の形成をもたらす可能性がある、わずかな程度のロジン分解、不均化、断片化又は脱炭酸が起こる。ラッシヒリングのような小さな物体で満たされたランダム充填カラム、構造化パッキングしたカラム、又はvigreux若しくは回転バンドカラムなどの蒸留カラムを使用することにより、段数が増加し、ロジン画分及びより揮発性の高い成分を含む画分のような、個別の留分の収集ができるようになる。一例において、85~95重量%の1つの主要な留分は、一般に、主にロジン及び少量のより揮発性の高い化学物質を含む、低蒸留ブリッジで収集される。通常、ボトムズカット(残留物)は仕込量の5~15重量%である。揮発性画分は、195℃~225℃の(2番目の)主要なロジン画分の収集前に、100~160℃、1.5mbarで、別の(最初の)画分として収集でき、通常、その収率は仕込量の1~15重量%である。
【0039】
成分-触媒及び添加剤:いくつかの実施形態において、不均化触媒及び共触媒を適用することにより淡色ロジンエステルを調製する3ステップの方法が開示され、ステップ(a)及び(c)の少なくとも1つにおいて、共触媒が適用され、ステップ(a)及び(c)の少なくとも1つにおいて、不均化触媒が適用される。別の態様において、ステップ(a)の反応混合物は共触媒を含む。別の態様において、ステップ(a)の反応混合物は、不均化触媒と共触媒を含む。別の態様において、ステップ(a)の反応混合物は不均化触媒を含む。別の態様において、ステップ(a)の反応混合物は触媒を含まない。別の態様において、反応混合物は、3ステップ方法のステップ(c)においてエステル化触媒を任意選択的に含む。別の態様において、ステップ(c)の反応混合物はロジンを含み、不均化触媒も共触媒も含まない。別の態様において、ステップ(c)の反応混合物は、ロジン、不均化触媒及び共触媒を含む。別の態様において、ステップ(c)の反応混合物はロジンと共触媒を含む。別の態様において、ステップ(c)の反応混合物はロジンと不均化触媒を含む。さらに別の態様において、ステップ(c)の反応混合物は、ロジン、エステル化触媒、不均化触媒及び共触媒を含む。
【0040】
ロジンの不均化は主に、パルストリン酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸のようなアビエタジエン酸をデヒドロアビエチン酸とジヒドロアビエチン酸に変換する。不均化の方法は、一般に1つ以上の不均化剤又は触媒の存在下でロジンを加熱することを含み得る。不均化剤の例としては、2,2’チオビスフェノール、3,3’-チオビスフェノール、4,4’-チオビス(レゾルシノール)及びt、t’-チオビス(ピロガロール)を含むチオビスナフトール、4,4’-15チオビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)及び4/4’-チオビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)チオビスナフトール、2,2’-チオ-ビスフェノール、3,3’-チオ-ビスフェノール;パラジウム、ニッケル、白金及びチャコール上のパラジウム(Pd/C)を含む金属、ヨウ素又はヨウ化物(ヨウ化鉄など);硫化物(硫化鉄など);並びにその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の態様において、ロジンは、ポリ-t-ブチルフェノールジスルフィド、4,4’チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、ノニルフェノールジスルフィドオリゴマー及びアミルフェノールジスルフィドポリマーのようなフェノールスルフィド型不均化剤を使用して不均化される。
【0041】
適切なエステル化触媒には、ルイス酸及びブレンステッド・ローリー酸が含まれる。例としては、酢酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、次亜リン酸、ホウ酸、硫酸のような酸性触媒;トリフェニル亜リン酸のような亜リン酸エステル、水酸化カルシウムのようなアルカリ金属水酸化物;陽イオン交換樹脂、SiO2担持及びAl2O3担持金属酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛及び酸化アルミニウムのような金属酸化物;塩化鉄、ギ酸カルシウム及びホスホン酸カルシウムのようなその他の金属塩(例えば、ビスモノエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホン酸カルシウム、Irganox(登録商標)1425)が含まれる。
【0042】
共触媒:淡色ロジンエステルの調製において、ステップ(a)及び(c)の反応混合物の少なくとも1つは、1つ以上の共触媒を含む。共触媒という用語が使用されるが、共触媒は、ステップ(a)及び(c)の1つにおいて不均化触媒の非存在下で、並びにステップ(c)においてエステル化触媒が存在することなく、使用できることに注意されたい。一実施形態において、共触媒は式Iによって代表される:
【0043】
【0044】
ここで、n=0又はn=1又はn=2であり;Xは、酸素、硫黄、窒素又は炭素を表し;Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7及びZ8は、同一であり又は異なり、それぞれ炭素又は窒素を表し;R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、同一であり又は異なり、それぞれ独立して水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル、アルケニル基、アリールアルケニル基、アルキニル基、アリールアルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルキニレン基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ピリジル基、フリル基、アシル基、プロピオニル基、ホルミル基、ベンゾイル基、アセトキシ基、ハロゲン、アルコキシ基、アミノ基、ベンジル、ハロゲン置換ベンジル基、アルキル置換ベンジル基、アルコキシ置換ベンジル基、ハロゲン置換アリール基、アルキル置換アリール基、アルコキシ置換アリール基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基、モノアルキルアミド基、ジアルキルアミド基、シアノ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシアルキル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルスルホニル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、スルファモイル基、ジメチルスルファミド基、スルフヒドリル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、カルバモイル基、塩化カルボニル基、ホスフィン基、リン酸基、ホスホジエステル基、ホスホン酸基、オキシラニルアルキル基、カルボキシアルキル基、カルボキシアルキル基、グルコピラノシル基又はグルコピラノシルオキシ基であり得る。Zx(xは1~8の値を有する)は、Zxが原子価の化学標準規則(窒素原子は3つの結合を有する)に従って窒素原子を表す場合、非置換である。
【0045】
Xは酸素、硫黄、窒素又は炭素原子を表し、原子は化学原子価規則に従って1つ以上の置換基で置換され、追加の置換基は水素、酸素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、オキシラニルアルキル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロゲン置換ベンジル、アルキル置換ベンジル、アルコキシ置換ベンジル、ハロゲン置換アリール、アルキル置換アリール及びアルコキシ置換アリールから選択され又はXが窒素原子若しくは炭素原子を表す場合、原子Xは式(I)において原子Z5に共有結合して5員環若しくは6員環をもたらす。一般構造(I)のこのような化合物の例としては、10-アルキル-9(10H)-アクリジノン及び9H-チオキサンテン-9-オン,10,10-ジオキシドである。一態様において、n=2の場合、式Iの構造は、同じであっても異なっていてもよい2つのX基を有する。そのような場合、両方のX基は炭素であってもよく又は1つのX基は炭素であって、第2のX基は窒素、酸素又は硫黄であってもよい。
【0046】
一実施形態において、互いに隣接する置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の2つが、それらが結合している炭素原子と一緒に環を形成してもよい。R4とR5は、n=0の場合、隣接位置と見なされる。環は脂環式、芳香族又はヘテロ芳香族であってよく、1つ以上の置換基を任意選択的に含むことができる。ここで前記置換基は同一である又は異なっており、水素、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、シアノ、アミノ、クロロ及びフルオロから選択される。環は、追加の縮合又は単離した脂環、芳香族環又はヘテロ芳香族環で任意選択的に置換される。置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の互いに隣接している2つが、それらが結合している炭素原子と一緒に環を形成する例は、4H-シクロペンタ[lmn]フェナントリジン-5,9-ジオンである。他の例は、4H-シクロペンタ[def]フェナントレン-4-オン及び7H-ベンゾ[c]フルオレン-7-オンである。
【0047】
式(I)のいくつかの化合物は天然に存在する。例えば、高等植物、真菌、シダ及び地衣類の天然源から多くのキサントン類が単離されてきている。これらの天然に存在する化合物は、さまざまな置換パターンのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8を有し、光学活性な立体異性体として発生し得る。一般構造(1)のこれらの天然に存在する化合物は、市販されていることもある。一般構造(1)の天然に存在する化合物は、本発明の一部である。一般構造(1)のそのような天然に存在する化合物の例は、4-β-D-グルコピラノシル-1,3,6,7-テトラヒドロキシ-9H-キサンテン-9-オン(CAS番号24699-16-9、イソマンギフェリン)、3a、12c-ジヒドロ-8-ヒドロキシ-6-メトキシ-(3aR、12cS)-7H-フロ[3’,2’:4,5]フロ[2,3-c]キサンテン-7-オン(CAS番号10048-13-2、ステリグマトシスチン)及び1,3,6-トリヒドロキシ-7-メトキシ-2,8-ビス(3-メチル-2-ブテン-1-イル)-9H-キサンテン-9-オン(CAS番号6147-11-1、マンゴスチン)である。
【0048】
あるいは、共触媒は、式I及び本明細書に記載のようなその関連官能基により特徴付けられる化合物のいずれかの前駆体を含んでもよい。あるいは、共触媒は、式I及び本明細書に記載のようなその関連官能基により特徴付けられる化合物のいずれかの化学還元の生成物又は化学酸化の生成物を含むことができる。あるいは、共触媒は、式I及び本明細書に記載のようなその関連官能基により特徴付けられる化合物のいずれかの前駆体の化学還元の生成物又は化学酸化の生成物を含むことができる。
【0049】
さらに別の態様において、共触媒の例には、チオキサントン、アントロン、キサントン、アクリドン、フルオレノン及びその二量体、オリゴマー又はポリマー誘導体、その錯体、その前駆体、その塩、その立体異性体、その互変異性体又はその任意の組み合わせが含まれる。共触媒化合物の例には、アントロン、キサントン、1-アザキサントン、アクリドン、10-メチル-9(10H)-アクリドン、9-フルオレノン、チオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン及び2,4-ジイソプロピルチオキサントンが含まれる。
【0050】
一実施形態において、共触媒は、アントロン、キサントン、チオキサントン、アクリドン又は9-フルオレノンを含み、その構造は以下に示される。共触媒はまた、式Iに記載のアントロン、キサントン、チオキサントン、アクリドン又は9-フルオレノンの誘導体を含んでもよい。
【0051】
【0052】
一部の態様において、エステル化触媒は、ステップ(c)のロジンとモノカルボン酸の総重量に対して、0.001重量%~5.0重量%、あるいは0.01重量%~1.0重量%、あるいは0.05重量%~0.5重量%の範囲の量で存在する。
【0053】
いくつかの態様において、不均化触媒は、ステップ(a)及び(c)で適用される化学物質の総重量に対して、0.001重量%~5.0重量%、あるいは0.001重量%~3.0重量%、あるいは0.01重量%~1.0重量%又はあるいは0.03重量%~0.8重量%、あるいは0.1重量%~0.5重量%、あるいは0.2重量%~0.40重量%の範囲の量で存在する。例えば、ステップ(a)において、99.6gのロジン、0.1gの共触媒及び0.3gの不均化触媒が適用される。ステップ(c)においては、0.2gの不均化触媒が適用され、ステップ(c)で適用された化学物質のすべての重量は150gとなる。結果として生じる不均化触媒の重量%は、(0.3+0.2)/(100+150)=0.2%である。
【0054】
一実施形態において、共触媒は、ステップ(a)及び(c)で適用される化学物質の総重量に対して、0.001重量%~5.0重量%又は0.01重量%~1.0重量%又は0.05重量%~0.5重量%の量で存在する。一実施形態において、共触媒は、本明細書に開示される反応を触媒することができ、混合物の他の成分と適合する任意の材料である。
【0055】
一態様において、適切な共触媒は、高い三重項形成量子収率(ΦTと呼ばれる)を有する。共触媒一重項(ES)及び三重項(ET)状態のエネルギーはkJ/molで示される。エネルギー差ES-ETはEΔ(kJ/mol)で表される。共触媒は、形成率として表される三重項形成量子収率(ΦT)と、マイクロ秒(μs)で表される三重項寿命(τT)を有する。一態様において、共触媒は、0.5より大きい、あるいは0.7より大きい、あるいは0.8より大きいΦTを有する。一態様において、共触媒は、0.5μsより長い、あるいは1.0μsより長い、あるいは5.0μsより長い三重項寿命を有する。一態様において、共触媒は、200kJ/molより大きい;あるいは、225kJ/molより大きい、あるいは250kJ/molより大きいESを有する。一態様において、適切な共触媒は、100kJ/mol未満、あるいは75kJ/mol未満又は50kJ/mol未満のEΔを有する。本明細書に開示されているタイプの共触媒の値を表1に示す:
【0056】
【0057】
ロジンエステルの調製:一態様において、ステップ(c)において淡色ロジンエステルを調製するための反応混合物は、(i)ステップ(b)で得られた1つ以上の蒸留ロジン、(ii)1つ以上のモノカルボン酸、(iii)1つ以上の多価アルコール;及び(iv)1つ以上のポリカルボン酸を含む。ロジン及び1つ以上のモノカルボン酸に対する1つ以上のポリカルボン酸の重量比は、1:20未満又は<1:50又は<1:100であり得る。いくつかの場合、ロジンと1つ以上のモノカルボン酸の重量比は60:40~10:85の範囲である。ロジン及び1つ以上のモノカルボン酸の重量と1つ以上のポリカルボン酸の重量との比は、少なくとも6.5:1又は少なくとも15:1であり得る。提供される値は、淡色ロジンエステル組成物の調製に使用される成分又は反応物の量(例えば、重量%)についてのものである。いくつかの場合、ポリカルボン酸は、淡色ロジンエステルを調製するためにステップ(c)で適用される反応物の総重量に対して6重量%未満又は<5重量%又は<4重量%又は<2重量%の重量で存在する。
【0058】
ロジンエステルは、本明細書に開示される反応物、触媒及び共触媒を利用するエステル化反応、トランスエステル化反応又はエステル交換反応により調製することができる。適切な反応条件は:a)反応物の性質(例えば、ロジンの化学的及び物理的特性);b)1つ以上のモノカルボン酸の属性(identity);c)1つ以上のポリカルボン酸の属性;d)1つ以上の多価アルコールの属性;e)1つ以上の触媒の属性;及びf)得られたロジンエステル及びそれらの組み合わせの望まれる化学的及び物理的特性を考慮して選択することができる。
【0059】
一実施形態において、ステップ(c)は、ステップ(b)で得られた1つ以上の蒸留ロジン、任意選択的に1つ以上のモノカルボン酸、及び任意選択的に1つ以上のポリカルボン酸を含む反応混合物を1つ以上の多価アルコールでエステル化触媒を使用してエステル化することを含む。この方法は、不均化剤及び共触媒を任意選択的に含むことができる。この方法は、高温での熱反応であり得る。一実施形態において、ロジンエステルは、混合物を200℃~320℃又は240℃~300℃又は265℃~290℃の温度に供することにより調製される。エステル化反応の時間は、一般に3~18時間又は4~15時間又は5~10時間である。エステル化ステップは、蒸留及び/又は真空の適用のような標準方法を使用して、副産物として形成された水を除去して反応を完結させることをさらに含むことができる。
【0060】
いくつかの態様において、ロジンエステルは、窒素ガス気流のような実質的に不活性な環境でのエステル化プロセスによって調製することができる。任意選択的に、エステル化ステップは、エステル化反応の副産物として形成された水を除去することをさらに含んでもよい。いくつかの態様において、エステル化ステップは、反応混合物中の反応物をエステル化触媒と接触させることを含んでもよい(例えば、カルシウム-ビス(((3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-エチルホスホネート))。
【0061】
ロジンエステルは、カルボン酸含有成分のエステルを1つ以上の多価アルコールと反応させるトランスエステル化プロセスによって調製することもできる。カルボン酸と反応した多価アルコールの場合、エステルとのトランスエステル化反応で反応し、そのアルコキシ基の交換をもたらす可能性のある遊離の未反応多価アルコールのヒドロキシル基がいくらか残る場合がある。そのようなトランスエステル化反応は、新しいロジンエステルが形成される可能性のある平衡反応である。したがって、いくつかの態様において、この方法は、>0のヒドロキシル価を有する1つ以上のロジンエステルを、モノカルボン酸及び任意選択的に1つ以上のポリカルボン酸から誘導される1つ以上のエステルと反応させることを含んでもよい。いくつかの態様において、そのようなトランスエステル化反応を誘発又は加速させるために、アルコール又は多価アルコールを添加してもよい。いくつかの態様において、トランスエステル化ステップは、混合物及び1つ以上の多価アルコールをエステル化触媒と接触させることを含んでもよい。
【0062】
ロジンエステルは、エステル交換プロセスによって調製することもできる。これはエステル化とトランスエステル化に機構的に関連する。エステル交換は、異なるエステルをブレンドし、次に触媒、例えばエステル化触媒の存在下で、適用された多価アルコール骨格に対してカルボン酸部分を再配列することにより行なわれ得る。エステル交換は平衡反応である。一例として、ロジンエステルは、菜種油のようなトリグリセリドエステルと反応させてもよい。そのようなエステル交換反応は、トリグリセリドエステルの脂肪酸部分がロジン酸部分によって部分的に置換され、ロジンエステルのロジン酸部分が脂肪酸部分によって部分的に置換されているロジンエステルを与えるであろう。
【0063】
任意選択的に、ステップ(c)は、得られるロジンエステルのヒドロキシル価及び酸価に影響を与えるように反応物の相対量を変化させることを含んでもよい。例えば、多価アルコール官能価に対して化学量論的に過剰なカルボン酸官能価は、一般に、低いヒドロキシル価を有するロジンエステルをもたらす。化学的観点から、それは、全ての多価アルコールのヒドロキシル部分のモル数と比較して、より多くのモルのカルボン酸部分(カルボキシル部分)を適用してもよいことを意味する。いくつかの態様において、合成開始前の反応物混合物は、<1.40、例えば1.10以下又は<1.05又は<1.00又は<0.95又は<0.90又は1.00~1.15又は0.85~1.05の総ヒドロキシル官能価対総カルボキシル官能価の化学量論的モル比を含んでもよい。
【0064】
一実施形態において、3ステップ方法のステップ(c)は、ステップ(b)で得られた蒸留ロジン、多価アルコール及び共触媒を接触させて反応混合物を形成し、240℃~300℃の温度の範囲で3~18時間、反応混合物を加熱して、淡色ロジンエステルを生成することを含む。別の実施形態において、この方法は、ステップ(b)で得られた蒸留ロジン、共触媒及び不均化触媒を接触させて反応混合物を形成し、240℃~300℃の温度で3~18時間、反応混合物を加熱することを含む。さらに別の実施形態において、ステップ(b)で得られた蒸留ロジンを1つ以上の追加の触媒及び試薬(例えば、エステル化触媒、ポリオールなど)と接触させ、淡色ロジンエステル組成物を製造するために240℃~300℃で3時間~18時間、加熱した。
【0065】
実施形態において、この方法は、水素化又は脱水素化反応のようなステップ(c)に続く1つ以上の追加の処理ステップをさらに含むことができる。いくつかの態様において、例えば、臭気又は色に寄与する汚染物質を除去し、PAN数をさらに減少させる;ヒドロキシル価に影響を与える;酸価に影響を与える;及びそれらの組み合わせのために、3ステップ方法のステップ(c)で得られたロジンエステルをさらに処理することができる。化学的に許容される場合、そのような方法は、以下でより詳細に説明するように、所望の化学的及び物理的特性を有する改変淡色ロジンエステル及び/又は水素化若しくは脱水素化ロジンエステルを得るために、ステップ(c)の後に行ってもよい。
【0066】
いくつかの態様において、方法は、ステップ(c)で得られた淡色ロジンエステルを水素化すること、例えば、ロジンエステルを水素化触媒及び水素ガスと一定の時間及び適切な条件下で接触させて、水素化又は部分水素化ロジンエステルを形成することをさらに含んでもよい。不均一水素化触媒の例には、貴金属触媒(例えば、炭素に担持されたPd(Pd/C)のようなパラジウム触媒、PtO2のような白金触媒、ラネーニッケル(Ra-Ni)、ロジウム触媒又はルテニウム触媒のようなニッケル触媒)が含まれる。いくつかの場合において、水素化触媒は、粗ロジンエステルの総重量に対して、0.1重量%~5重量%の範囲の量で存在してもよい。
【0067】
水素化反応は、高温、高圧及びそれらの組み合わせ、例えば120℃~300℃の温度、30~2000ポンド/平方インチ(psi)、あるいは100~1000psiの範囲の圧力であり得る。
【0068】
いくつかの態様において、方法は、ステップ(c)で得られた淡色ロジンエステルを脱水素すること、例えば、ロジンエステルを貴金属触媒及び水素と一定の時間及び適切な条件下で接触させて脱水素ロジンエステルを形成する(ここでは特定の不純物が低減又は水素化されている)ことをさらに含んでもよい。一般に、ロジンエステルの脱水素化における適応した圧力及び/又は温度、並びに水素の量は、ロジンエステルの水素化プロセスにおけるものよりも低くなる。
【0069】
いくつかの態様において、エステル化、トランスエステル化又はエステル交換に続いて、結果として生じる淡色ロジンエステルには、未反応ロジン、脱カルボキシル化ロジン酸及び/又は未反応又は部分的に反応した多価アルコールのような少量の残留物質が含み得る。揮発物の除去後、低酸価に特徴付けられるロジンエステルは、低分子量種の比較的低い重量分率に特徴付けられる場合があり、低移行及び/又は低揮発性有機化合物含有量が有益な用途に適している場合がある。例としては、食品接触用途、接着剤、低い曇りシステムが挙げられる。
【0070】
いくつかの態様において、エステル化の後であって、その後に続く処理の前に、過剰及び/又は未反応のロジン(例えば、ロジン酸)を除去することにより、ロジンエステルの酸価を減少させることができる。例えば、エステル化の後、未反応ロジン及び他の揮発性成分は、減圧下でのスチームストリッピングのような適切な方法論を使用して又は窒素のような不活性ガス散布によって、除去することができる。
【0071】
ロジンエステル製品の特性:ステップ(c)で得られた淡色ロジンエステルは、3未満あるいは2未満又は1未満の(ASTM D1544-04(2010)に従って測定された)ニートガードナー色(neat Gardner color)を有するものとして特徴付けられる。
【0072】
いくつかの態様において、淡色ロジンエステルのヒドロキシル価は、<50mg/KOH/g又は<40mg/KOH/g又は<30mg/KOH/g又は<20mg/KOH/g又は<10mg/KOH/g又は<6mg/KOH/g又は<3mg/KOH/gである。いくつかの態様において、淡色ロジンエステルの酸価は、<40mg/KOH/g又は<30mg/KOH/g又は<20mg/KOH/g又は<15mg/KOH/g又は<10mg/KOH/g又は<5mg/KOH/gである。
【0073】
一部の態様において、淡色ロジンエステルは、熱熟成時に色の安定性を示し、96時間にわたって177℃の温度に加熱すると5.0以下(例えば、3.0以下又は1.0以下)のガードナー色単位の変化を示す。いくつかの実施形態において、ロジンエステルは、0~5.0、0.1~5.0、0.2~5、0.3~5.0、0.5~5.0、1.0~5.0、2.5~5.0、3.0~5.0、3.5~5.0、4.0~5.0又は4.5~5.0ガードナー色単位の変化を示す。
【0074】
いくつかの態様において、淡色ロジンエステルは、示差走査熱量(DSC)の方法による測定で、-80℃~100℃又は-30℃~80℃又は0℃~70℃のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0075】
実施形態において、淡色ロジンエステルは、環球法を用いた測定で、0~150℃又は50~130℃又は70~120℃の軟化点を有する。実施形態において、ロジンエステルは、20℃及び1気圧で液体(例えば、粘性液体)であってよい。
【0076】
一実施形態において、淡色ロジンエステルは、1ppm~200ppm又は5ppm~150ppm又は0.0005重量%~0.015重量%の量の共触媒の残留量を有することを特徴とする。
【0077】
実施形態において、残留共触媒の量は、ロジンエステルを調製する反応に最初に使用された共触媒の量の>0.00001%から100%未満の範囲である。
【0078】
一実施形態において、製造された淡色ロジンエステル組成物は、<3のニートガードナー色を有し、<30mg KOH/グラムの酸価の値、<30%のPAN値、及び<30mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0079】
用途:淡色ロジンエステル組成物は、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤など)、ホットメルト接着剤及び感圧接着剤中の粘着付与剤、接着剤水性分散液のような接着剤分散液、ゴム及び各種プラスチック用の調整剤、合成ゴム用の乳化剤、チューインガム用の基材、コーティング組成物中の樹脂、インク、製紙用のサイズ剤、アスファルトマーキング、舗装マーキング、路面マーキング、インク、コーティング、ゴム(例えば、タイヤ及びタイヤトレッド)、シーラント、可塑剤を含む、さまざまな用途に使用され得る。淡色ロジンエステルはまた、チューインガムベース中の軟化剤及び可塑剤として、飲料の増量剤及び混濁剤として、界面活性剤、界面活性調節剤又は分散剤として、ワックス及びワックスベースの艶出し剤中の添加剤、スキン製品及び化粧品配合物(例えば、マスカラ)の改質剤、電気産業においては絶縁体として、塗料や他の木材処理製品の製造における、木製ボートの船体の処理における乾性油として、石鹸において、キャンドルにおいて、自動車用途の潤滑剤及びエンジン潤滑剤、バイオディーゼルの製造のための、生分解性油圧作動油の製造のための、金属加工及びその他の産業用途、相変化材料として又はコンクリートの硬化剤として、さまざまな追加的な用途にも使用できる。
【0080】
他の例には、反射マーカーのような路面マーキング、熱可塑性路面マーキング、予備成形熱可塑性舗装マーキング及び予備成形ポリマーテープが含まれる。熱可塑性バインダー系は一般に、本明細書に開示されているタイプのロジンエステルに基づいており、可塑剤、ガラスビーズ(又は他のオプティクス)、顔料及び充填剤もまた含む。淡色ロジンエステルは、路面のマーキング用途への改善のために、より明るく鮮明な色合いを持っている。一実施形態において、ロジンエステルは、路面マーキング配合物に使用され、路面マーキング配合物の総重量に対して、5~25重量%又は10~20重量%の淡色ロジンエステルを含んでもよい。路面マーキング配合物は、ポリマー(例えば、1つ以上のエチレン性不飽和モノマー由来のポリマー)を、例えば、熱可塑性路面マーキング配合物の0.1~1.5重量%、さらに含んでもよい。製剤は、顔料(例えば、1~10重量%の二酸化チタン)、ガラスビーズ(例えば、25~50重量%)及び充填剤(例えば、組成物のバランスを100%重量まで構成する炭酸カルシウム)をさらに含んでもよい。製剤は、油(例えば、1~5重量%の鉱油)、ワックス(例えば、1~5重量%のパラフィンベースのワックス又は合成フィッシャー・トロプシュワックス(Fischer-Tropsch wax))、安定剤(例えば、0.1~0.5重量%のステアリン酸)、並びに任意選択的に、ロジンエステル以外の追加のポリマー及び/又はバインダーをさらに含んでもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、淡色ロジンエステルはホットメルト接着剤に使用される。接着剤中のポリマーは、任意の適切なポリマーであってもよい。ポリマーは、例えば、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルエステル、それらのコポリマー又はそれらのブレンドであってもよい。いくつかの場合、ポリマーは1つ以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導することができる。いくつかの態様において、ポリマーは、エチレン及びn-ブチルアクリレートのコポリマー;スチレン並びに、イソプレン及びブタジエンの1つ以上とのコポリマー;スチレン並びに、イソプレン及びブタジエンの1つ以上とのブロックコポリマー;スチレン並びに、イソプレン及びブタジエンの1つ以上との水素化ブロックコポリマー(ここで、イソプレン及びブタジエンの1つ以上が水素化されている又は部分的に水素化されている);1つ以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマー;酢酸ビニルから誘導されたポリマーの任意のものを含むことができる。ホットメルト接着剤は、粘着付与剤、ワックス、安定剤(例えば、酸化防止剤)、テンプレート剤、顔料及び染料、可塑剤、充填剤及びフィッシャー・トロプシュワックス又はパラフィンワックスのような1つ以上のワックスを含む、1つ以上の追加的な成分を含んでもよい。
【0082】
一態様において、接着剤組成物は、全ての接着剤組成物に基づいて15重量%から60重量%又は25~45重量%の量の淡色ロジンエステルを含んでもよい。ホットメルト接着剤組成物は、組成物の総量に対して15~60重量%、あるいは25~45重量%の淡色ロジンエステルを含んでもよい。感圧接着剤は、感圧接着剤組成物の総重量に対して5~60重量%、25~45重量%の量の淡色ロジンエステルを含んでもよい。
【実施例】
【0083】
実施例:実施例は、明細書又は特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。
【0084】
ヒドロキシル価はDIN 53240-2に従って測定された。酸価は、ASTM D465-05(2010)に従って測定された。軟化点は、ASTM E28-99(2009)に従って測定された。PAN番号は、ASTM D5974-00(2010)に従って測定された。ガードナースケールカラー(ニート、ASTM D1544-04(2010)に従って測定)及びハーゼンカラー(ASTM D1209)は、Dr Lange LICO 200比色計で測定した。ガラス転移温度(Tg)はDSCによって測定された。
【0085】
ロジンエステル製剤:SYLVAROS(商標)90トール油ロジン(色7.3G、AN 175.8mg KOH/g)を実施例1~8で使用した。実施例9及び10では、SYLVAROS(商標)90(5.4G、AN 177.2mg KOH/g)を使用した。実施例1~10のロジンエステル調製の最後に、AO(Irganox(商標)565、エステル化反応における適用したロジン仕込量に対して0.08重量%)を加えて、180℃で15分間、混合した。グリセロール(99%、Merck)、ペンタエリスリトール(99%)、9-フルオレノン(98%、Sigma-Aldrich)、キサントン(99%、Alfa Aesar)、Rosinox(商標)(ポリ-tert-ブチルフェノールジスルフィド、Arkema Inc.)、ステアリン酸(試薬グレード95%、Sigma-Aldrich)、アジピン酸(99%、Acros Organics)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(99%、cisとtransの混合物、Sigma-Aldrich)及びIrganox(商標)1425(BASF)が適用された。真空蒸留装置:Edwards RV5 2ステージロータリーベーンポンプ及びVacuubrand CVC 3000真空コントローラー。実施例1~9においては、高さ4cmの低蒸留ブリッジを使用することにより真空蒸留が行われた。実施例10においては、ビグロー蒸留塔(高さ42cm、有効高さ30cm)が適用された。略語:AN;酸価、OH;ヒドロキシル価、N2;窒素ガス、SP;軟化点、AO;酸化防止剤、g;グラム、分;分、h;時間、G;ガードナー(ニート)、rpm;毎分回転数。
【0086】
実施例1 比較例:SYLVAROS(商標)90(220.99g)を四つ口フラスコ(0.5L)に入れ、N2雰囲気中で180℃に加熱した。ロジンが完全に融解した後、得られた溶液を機械的に攪拌した(攪拌速度300rpm)。グリセロール(19.38g)、Irganox(商標)1425(0.771g)及びRosinox(商標)(0.773g)を加えた。反応混合物を275℃(30℃/h)に加熱し、続いて生成した水を蒸気として逃がしながら、275℃で7時間、保持した。275℃で1時間のN2散布で残留揮発物を除去した。得られた反応混合物を180℃に冷却した。AO(Irganox(商標)565)を加え、得られた混合物を15分間撹拌し、ロジンエステル(4.0G、AN 9.4mg KOH/g、OH 4.6mg KOH/g、PAN 26.6%、Tg38℃、SP 85℃)を得た。
【0087】
実施例2 比較例:SYLVAROS(商標)90(350.15g)を減圧下(1.5mbar)で蒸留し、130~220℃(蒸留物の蒸留温度)で収集した蒸留ロジン(色6.1G、AN 188.1mg KOH/g)を得た。ほとんどの蒸留物は185~200℃の間に収集された。285.92gの蒸留ロジンを、実施例1と同様にIrganox(商標)1425(0.995g)及びRosinox(商標)(1.01g)の存在下でグリセロール(26.83g)と反応させ、ロジンエステル(3.2G、AN 8.0mg KOH/g、OH 0mg KOH/g、PAN 25.9%、Tg41℃、SP 85℃)を得た。
【0088】
実施例3 比較例:SYLVAROS(商標)90(217.32g)を撹拌(300rpm)し、N2雰囲気中、280℃で2時間加熱して精製ロジン組成物を得て、その後、得られた精製ロジンを実施例2と同様に真空蒸留(1.5mbar)し、蒸留ロジン(4.0G、AN 177.3mg KOH/g)を得た。165.92gの得られた蒸留ロジンを、実施例1と同様にIrganox(商標)1425(0.573g)及びRosinox(商標)(0.587g)の存在下でグリセロール(15.18g)と反応させて、ロジンエステル(3.1G、AN 8.6mg KOH/g、OH 0.0mg KOH/g、PAN 25.0%、Tg40℃、SP 85℃)を得た。
【0089】
実施例4:SYLVAROS(商標)90(230.38g)を加熱し、続いて実施例3と同様に減圧(1.4mbar)下で蒸留し、蒸留ロジン(4.0G、AN177.3mg KOH/g)を得た。177.62gの得られた蒸留ロジンを、実施例1と同様にRosinox(商標)(0.621g)、Irganox(商標)1425(0.626g)及び9-フルオレノン(0.361g)の存在下でグリセロール(15.55g)と275℃で7時間、反応させ、淡色ロジンエステル(2.2G、AN 9.1mg KOH/g、OH 0.0mg KOH/g、PAN 26.5%、Tg40℃、SP 86℃)を得た。
【0090】
実施例5:SYLVAROS(商標)90(305.52g)を9-フルオレノン(0.617g)の存在下で加熱し、続いて実施例3と同様に減圧(1.7mbar)下で蒸留して、蒸留ロジン(AN 176.3mg KOH/g)を得た。245.1gの蒸留ロジンを、実施例1と同様にRosinox(商標)(0.86g)及びIrganox(商標)1425(0.86g)の存在下で、グリセロール(21.21g)と反応させて、淡色ロジンエステル(1.9G、AN 19.4mg KOH/g、OH 0.2mg KOH/g、PAN 24.1%、Tg37℃、SP 83℃)を得た。
【0091】
実施例6:SYLVAROS(商標)90(311.43g)をRosinox(商標)(0.106g)及び9-フルオレノン(0.62g)の存在下で加熱し、続いて実施例3と同様に減圧(1.0mbar)下で蒸留して、蒸留ロジン(3.1G、AN 172.5mg KOH/g)を得た。220.46gの蒸留ロジンを、実施例1と同様にIrganox(商標)1425(0.773g)及びRosinox(商標)(0.772g)の存在下、グリセロール(18.73g)と反応させ、2時間の代わりに1時間のN2散布を適用させることにより、淡色ロジンエステル(2.2G、AN 12.3mg KOH/g、OH 0.1mg KOH/g、PAN 22.6%、Tg39℃、SP 85℃)を得た。
【0092】
実施例7:SYLVAROS(商標)90(292.41g)を、Rosinox(商標)(1.026g)及び9-フルオレノン(0.579g)の存在下、275℃で3時間加熱し、続いて実施例3と同様に減圧下(1.7mbar)で蒸留して、蒸留ロジン(1.3G、AN 161.5mg KOH/g)を得た。蒸留残渣の量は35.75gであった。244.31gの蒸留ロジンを、実施例1と同様にIrganox(商標)1425(0.84g)、キサントン(0.736g)及びRosinox(商標)(0.865g)の存在下、ペンタエリスリトール(21.33g)と275℃で7時間の代わりに8時間、反応させ、N2散布を1時間の代わりに2時間、適用させることによって、淡色ロジンエステル(0.7G、AN 4.7mg KOH/g、OH 0.0mg KOH/g、PAN 8.7%、Tg53℃、SP 100℃)を得た。
【0093】
実施例8:SYLVAROS(商標)90(243.78g)をRosinox(商標)(0.852g)及びキサントン(0.475g)の存在下、275℃で3時間加熱し、続いて実施例3と同様に減圧下(1.5mbar)で蒸留し、蒸留ロジン(179.6g、1.2G、AN 153.8mg KOH/g)及び25.98gの蒸留残渣を得た。176.24gの蒸留ロジンを、実施例1と同様にIrganox(商標)1425(0.63g)の存在下、ペンタエリスリトール(14.58g)と275℃で7時間の代わりに8時間、反応させ、N2散布を1時間の代わりに2時間、適用させることによって、淡色ロジンエステル(2.5G、AN 1.9mg KOH/g、OH 0.0mg KOH/g、PAN 16.2%、Tg57℃、SP 101℃)を得た。
【0094】
実施例9:SYLVAROS(商標)90(271.12g)を攪拌(150rpm)し、Rosinox(商標)(0.81g)及びキサントン(0.28g)の存在下、N2雰囲気中、275℃で3時間加熱した。続いて、260.63gの得られた精製ロジンを、実施例3と同様に減圧下(1.1mbar)で蒸留して、蒸留ロジン(228.1g、0.9G、195ハーゼン、AN 158.9mg KOH/g)及び23.3gの蒸留残渣を得た。220.08gの蒸留ロジンを、実施例1と同様に、275℃で7時間の代わりに8時間、Irganox(商標)1425(0.763g)、キサントン(0.44g)、Rosinox(商標)(0.22g)の存在下で、ペンタエリスリトール(18.70g)、SYLFAT(商標)FA2トール油脂肪酸(80.0g、カラー3G、AN 196mg KOH/g)及びアジピン酸(6.04g)と、混合物を最初に170℃~210℃(15℃/h)及び210℃~275℃(30℃/h)に加熱するという改変とともに反応させ、1時間の代わりに2時間のN2散布を適用させることによって、淡色ロジンエステル(1.8G、AN 8.8mg KOH/g、OH 0.0mg KOH/g、PAN 9.3%、Tg-21℃)を得た。
【0095】
実施例10:SYLVAROS(商標)90(257.43g)を撹拌し(150rpm)、活性炭(7.77g、ColorSorb(商標)HP120N、Jacobi Carbons)及びキサントン(0.505g)の存在下で、N2雰囲気中、275℃で3時間加熱した。続いて、得られた精製ロジンを減圧下(1.0~2.0mbar)でビグロー蒸留カラムを用いて蒸留し、蒸留ロジン画分(0.5G、128ハーゼン、AN 173.1mg KOH/g)を得た。60.87gの蒸留ロジンを、実施例9と同様にIrganox(商標)1425(0.429g)、キサントン(0.345g)及びRosinox(商標)(0.467g)の存在下で、1,4-シクロヘキサンジメタノール(24.65g)及びステアリン酸(55.8g)と反応させ、淡色ロジンエステル(104.37g、1.4G、AN 1.0mg KOH/g)を得た。