(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】柵
(51)【国際特許分類】
E04H 17/16 20060101AFI20240613BHJP
E04H 17/14 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
E04H17/16 101
E04H17/14 102B
(21)【出願番号】P 2019217310
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】魚住 直宏
(72)【発明者】
【氏名】三浦 誠司
(72)【発明者】
【氏名】島本 昌晃
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-065651(JP,A)
【文献】特開2010-222954(JP,A)
【文献】実開昭63-101652(JP,U)
【文献】実開昭49-142730(JP,U)
【文献】特開2008-274611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00-17/26
E04F 11/18
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に沿って延在する複数の小桟と、
横方向に沿って延在し、複数の前記小桟の両端部に結合される一対の枠体と、
前記枠体を覆う桟と、を備え、
前記小桟は、前記小桟の端部に設けられ、前記枠体を貫通しないように前記枠体の外部に配置される被結合部を有し、
前記枠体は、側面視にてL字状に形成され、
前記被結合部は、前記小桟の本体部の端部から縦方向に突出して板状に形成され、一対の前記枠体の少なくとも一方に結合され、
前記枠体は
、縦壁部と、前記縦壁部から屈曲する横壁部とを有し、
前記被結合部は、前記縦壁部に結合されるとともに、
前記本体部の端部は、前記横壁部に隣接して配置されることを特徴とする柵。
【請求項2】
前記被結合部は、前記縦壁部を挟んで前記横壁部とは反対側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の柵。
【請求項3】
前記被結合部は、前記枠体の縦壁部に面接触した状態で結合されることを特徴とする請求項2に記載の柵。
【請求項4】
前記桟は、前記縦壁部の上縁に連結するスライドガイドを有することを特徴とする請求項2または3に記載の柵。
【請求項5】
縦方向に沿って延在する複数の小桟と、
横方向に沿って延在し、複数の前記小桟の両端部に結合される一対の枠体と、を備え、
前記小桟は、前記小桟の端部に板状に設けられ、前記枠体を貫通しないように前記枠体の外部に配置される被結合部を有し、
前記枠体は、側面視にてL字状に形成され、
前記被結合部は、前記小桟の本体部の端部から縦方向に突出して板状に形成され、一対の前記枠体の少なくとも一方に結合され、
前記枠体は
、縦壁部と、前記縦壁部から屈曲する横壁部とを有し、
前記被結合部は、前記縦壁部に結合されるとともに、
前記本体部の端部は、前記横壁部に隣接して配置されることを特徴とする柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、柵に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地上に立設した支柱と、支柱間に設けられたパネル体とからなるフェンスが開示されている。パネル体は、2つの横桟と、2つの横桟に架橋する複数の縦格子とを有する。横桟は取付具によって支柱に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
柵の組み立てが容易であると、組み立て作業を軽減できるため好ましい。
【0005】
本開示の目的の1つは、柵の組み立てを容易にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の柵は、縦方向に沿って延在する複数の小桟と、横方向に沿って延在し、複数の小桟の両端部に結合される一対の枠体と、枠体を覆う上下桟と、を備える。小桟は、小桟の端部に設けられ、枠体を貫通しないように枠体の外部に配置される被結合部を有する。被結合部は、一対の枠体の少なくとも一方に結合される。
【0007】
本発明の別の態様もまた、柵である。この柵は、縦方向に沿って延在する複数の小桟と、横方向に沿って延在し、複数の小桟の両端部に結合される一対の枠体と、を備える。小桟は、小桟の端部に板状に設けられ、枠体を貫通しないように枠体の外部に配置される被結合部を有する。被結合部は、一対の枠体の少なくとも一方に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2(a)は、小桟の正面図であり、
図2(b)は、小桟の側面図であり、
図2(c)は、小桟の上面図である。
【
図3】枠体および複数の小桟を組み付けたサブアセンブリの側面図である。
【
図5】
図1に示すフェンスの線分A-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例のフェンス10の正面図である。フェンス10は、支柱20、上ブラケット22a、下ブラケット22b(これらを区別しない場合「ブラケット22」という)、上桟24a、下桟24b(これらを区別しない場合「上下桟24」という)、小桟26および枠体(不図示)を備える。
【0010】
フェンス10は、いわゆるフリーポール式であり、上桟24a、下桟24b、小桟26および枠体により構成されるパネル体12を、支柱20およびブラケット22で支持している。これにより、パネル体12を形成すれば、支柱20の横方向位置を自由に設定できる。
【0011】
支柱20は、地面等に立設し、フェンス10のパネル体12を支持する。ブラケット22は、フェンス10のパネル体12を支柱20に連結する。上ブラケット22aは、パネル体12の上端を支持し、下ブラケット22bは、パネル体12の下端を支持する。
【0012】
上下桟24は、パネル体12の上端および下端に位置し、横方向に延在する。上下桟24は、不図示の枠体に連結し、枠体を覆う。
【0013】
小桟26は、横方向に並列して複数設けられ、縦方向に延在する。小桟26の両端部は、一対の枠体に固定される。小桟26は、壁状に形成されてよく、柱状に形成されてよい。また、小桟26は、横方向に連結されてよく、横方向に離間してもよい。なお、横方向および縦方向に直交する方向を面直方向という。面直方向は、パネル体12の面に直交する。また、実施例では、横方向は水平方向であり、縦方向は鉛直方向であるが、別の態様では横方向が鉛直方向であり、縦方向は水平方向であってもよい。
【0014】
図2(a)は、小桟26の正面図であり、
図2(b)は、小桟26の側面図であり、
図2(c)は、小桟26の上面図である。小桟26は、本体部26a、板部26b、差込部26cおよび受入部26dを有する。
【0015】
本体部26aは、板状に形成され、フェンス10を組み立てた状態で露出する。本体部26aの中央には、縦方向に延在し、屈曲して形成された中間部26eが形成される。中間部26eにより小桟26の剛性が高まる。中間部26eは、上面視にて板部26bより離れる方向に張り出し、略U字状に形成される。
【0016】
板部26bは、本体部26aの両端部から縦方向、つまり上方および下方に突出する。板部26bは、枠体との結合面として機能し、フェンス10組み立てた状態で上下桟24に覆われる。
【0017】
差込部26cは、横方向に張り出し、受入部26dは、二股状に形成される。差込部26cおよび受入部26dは、横方向に並ぶ小桟26の連結に用いられる。差込部26cが隣り合う小桟26のおよび受入部26dに差し込まれて、小桟26が連結する。差込部26c、受入部26dおよび中間部26eは、板部26bより面直方向に離れており、板部26bより縦方向長さが短くなっている。これにより、差込部26c、受入部26dおよび中間部26eが、上下桟24に干渉することを避けることができ、平板状の板部26bのみが上下桟24内に差し込まれるように構成できる。
【0018】
図3は、枠体28および複数の小桟26を組み付けたサブアセンブリ14の側面図である。サブアセンブリ14は、一対の枠体28と、小桟26に結合した複数の小桟26とにより構成される。枠体28は、上下桟24の横方向長さがほぼ同じであり、上下桟24に収容され、横方向に沿って延在する。
【0019】
枠体28は、縦壁部28a、横壁部28b、第1スライド部28cおよび第2スライド部28dを有する。枠体28は、側面視にてL字状に形成される。縦壁部28aおよび横壁部28bは、それぞれL字の一辺を形成し、略直交するように連設し、その連設部分が屈曲されている。
【0020】
縦壁部28aは、縦方向に延在し、横壁部28bは、横方向に延在する。縦壁部28aは、板部26bに面接触し、互いの面を合わせた状態で結合される。縦壁部28aおよび板部26bを結合する結合部32は、カシメにより形成される。つまり、板部26bは、枠体28に結合される被結合部として機能する。
【0021】
カシメ方法はクリンチカシメであってよい。例えば、一対の枠体28の間に複数の小桟26が配置され、板部26bおよび縦壁部28aが重ねた状態で並べられ、ベルトコンベヤに載置される。次に、ベルトコンベヤが板部26bをカシメ用機械のパンチ部の位置に移動させ、パンチ部が板部26bおよび縦壁部28aを押圧してカシメをして結合部32を形成し、ベルトコンベヤがカシメをする毎に隣の板部26bをパンチ部に移動させる。これにより、板部26bが順に枠体28にカシメられて、複数の小桟26の両端部が一対の枠体28に結合される。板部26bが本体部26aから突出されているため、結合工程を容易にでき、サブアセンブリ14を容易に組み立てることができる。また、ベルトコンベヤの移動距離を設定することで、結合部32の間隔の調整を容易にできる。なお、カシメに限らず、板部26bおよび縦壁部28aが重ねた状態でネジで締め付けられて結合されてもよい。
【0022】
第1スライド部28cは、縦壁部28aの上縁に位置し、第2スライド部28dは、横壁部28bの横縁に位置する。第1スライド部28cおよび第2スライド部28dは、枠体28の縁を膨出して形成され、上下桟24に連結する。
【0023】
板部26bは、枠体28を貫通しないように枠体28の外部に配置される。これにより、枠体28に孔を設けて小桟26を貫通させて固定する場合と比べて、枠体28の剛性の低下を抑えることができる。また、板部26bは、縦壁部28aを挟んで横壁部28bとは反対側に配置される。これにより、横壁部28bと小桟26の干渉を回避できる。
【0024】
図4は、上桟24aの側面図である。上桟24aは、枠体28に連結して、枠体28を覆う。上桟24aは、第1スライドガイド34a、第2スライドガイド34bおよび張出部36を有する。なお、下桟24bも上桟24aと同様の構成を有するため、説明は省略する。
【0025】
第1スライドガイド34aおよび第2スライドガイド34bは、枠体28のスライドをガイドするレール溝として機能し、上桟24aの内面に形成される。第1スライドガイド34aおよび第2スライドガイド34bは、一対のリブにより溝状に形成され、上桟24aの長手方向に延在する。第1スライドガイド34aは、下方に開口し、第2スライドガイド34bは、横方向に開口する。
【0026】
張出部36は、第2スライドガイド34bと対向し、上桟24aの開口を部分的に塞ぐように、上桟24aの下端から第2スライドガイド34bに向かって張り出す。張出部36は、小桟26の面直方向の動きを制限する。また、張出部36を形成することで上下桟24の剛性を高めることができる。
【0027】
本体部26aおよび横壁部28bは、ともに正面方向に張り出しており、縦方向に重なるように設けられる。これにより、サブアセンブリ14の面直方向の厚さを抑えることができる。
【0028】
図5は、
図1に示すフェンス10の線分A-A断面図である。上桟24aは下方に開口し、下桟24bは上方に開口する。上下桟24の第1スライドガイド34aに枠体28の第1スライド部28cが連結し、第2スライドガイド34bに第2スライド部28dが連結する。つまり、第1スライドガイド34aは、枠体28の縦壁部28aの上縁に連結し、第2スライドガイド34bは、横壁部28bの横縁に連結する。上下桟24は、枠体28にスライド可能に連結し、枠体30を覆っている。枠体28が、上下桟24に上縁と横縁で連結することで、サブアセンブリ14の上下方向と横方向の動きを規制できる。
【0029】
上下桟24と枠体30がスライドにより連結され、パネル体12が組み立てられる。上下桟24は、小桟26および枠体28の結合部32を覆う。上下桟24の張出部36は、小桟26に近接しており、上下桟24の内部を見えないようにしている。また、横壁部28bも、上下桟24の内部を見えないようにしている。なお、パネル体12では、上下桟24の両端を覆うキャップが設けられてよく、そのキャップによって、上下桟24と枠体28のスライドを規制してもよい。
【0030】
パネル体12は、ブラケット22により支柱20に連結される。上ブラケット22aは、上桟24aの下面に引っ掛かって、上桟24aが下がる方向の動き、上桟24aが支柱20から離れる方向の動きを規制する。下ブラケット22bは、下桟24bの下面に当接して、下桟24bが下がる方向の動きを規制する。下ブラケット22bは、支柱20にネジ止めされる。このように、パネル体12が支柱20に支持されてフェンス10が組み立てられる。作業者は、パネル体12を予め組み立てて、作業現場に運び、支柱20に連結することでフェンス10を容易に設置できる。
【0031】
パネル体12の組み立てについて説明する。
(1)第1工程
複数の小桟26および一対の枠体28が結合されて、サブアセンブリ14が形成される。板部26bおよび縦壁部28aを容易に重ねられるため、結合作業を容易にできる。
(2)第2工程
サブアセンブリ14の枠体28が上下桟24のスライド嵌合されて、パネル体12が形成される。
このように、パネル体12が組み立てられ、支柱20に組み付けられてフェンス10となる。
【0032】
なお実施例はあくまでも例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0033】
例えば、実施例のパネル体12では縦桟が設けられていない態様を示したが、この態様に限られず、縦桟がパネル体12の両側端に設けられてよい。一対の縦桟は、縦方向に延在し、両端部が一対の枠体28に固定される。一対の縦桟の間に、複数の小桟26が配置される。縦桟は、小桟26と同様に、枠体28の縦壁部28aに面接触する板部を有し、板部が縦壁部28aに結合される。パネル体12の両側に、小桟26より剛性の高い縦桟が設けられることで、パネル体12の剛性を高めることができる。
【0034】
また、実施例では、板部26bが、小桟26の両端に設けられる態様を示したが、この態様に限られない。例えば、板部26bが、小桟26の両端の一方に設けられ、一対の枠体28の一方に結合されてもよい。
【0035】
また、実施例では、小桟26が一枚の板を屈曲させて形成される態様を示したが、この態様に限られず、筒状に形成されてよい。いずれにしても小桟26は、枠体28の間で露出する本体部と、本体部の端部から縦方向に突出する板部とを有する。
【0036】
また、実施例では、小桟26の両端部に本体部26aから板部26bを形成する態様を示したが、この態様に限られない。小桟26が、枠体28の縦壁部28aと面接触した状態で結合されれば、小桟26の両端部が、中間部26eを切り欠いていない形状であってよく、角筒形状であってもよい。その場合、結合部32はパンチ部およびダイ部によるカシメではなく、ネジ止めなどで形成されてよい。
【0037】
また、実施例では、フリーポール式のフェンス10を示したが、支柱20の取付方法はこの態様に限られない。例えば、支柱20がパネル体12の側部に固定されてもよい。フェンス10が縦桟を有する場合には、支柱20が縦桟の側部にネジや金具等で固定されてもよい。また、支柱20が上下桟24の両端部にネジや金具等で固定されてもよい。これにより、支柱20がパネル体12の側方に配置できるため、フェンス10の面直方向の厚さを小さくできる。
【0038】
また、実施例では、フェンス10を示したが、この態様に限れない。例えば、屋上やベランダ等に設けられる手摺りとしても機能する柵であってよい。この態様では、支柱20の取付位置は、地面に限られず、塀や建物であってよい。このように取付態様が異なっても、フェンス10は、柵として機能する。
【符号の説明】
【0039】
10 フェンス、 12 パネル体、 14 サブアセンブリ、 20 支柱、 22a 上ブラケット、 22b 下ブラケット、 24a 上桟、 24b 下桟、 26 小桟、 26a 本体部、 26b 板部、 26c 差込部、 26d 受入部、 26e 中間部、 28 枠体、 28a 縦壁部、 28b 横壁部、 28c 第1スライド部、 28d 第2スライド部、 32 結合部、 34a 第1スライドガイド、 34b 第2スライドガイド、 36 張出部。