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特許7503381細胞および/または細胞生成物の生成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】細胞および/または細胞生成物の生成システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/12 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
C12M1/12
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019546069
(86)(22)【出願日】2017-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2017078613
(87)【国際公開番号】W WO2018087150
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-11-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】2016/5838
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】520355596
【氏名又は名称】ユニバーセルズ テクノロジーズ エス.エー.
【氏名又は名称原語表記】UNIVERCELLS TECHNOLOGIES S.A.
【住所又は居所原語表記】Chemin de la Vieille-Cour 56/1,1400 Nivelles Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カスティーリョ,ジョゼ
(72)【発明者】
【氏名】メレス,バスティアン
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】福井 悟
【審判官】中村 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-223207(JP,A)
【文献】特表2016-510981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M1/00-3/10
C12P1/00-41/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞、ウイルス、または細胞由来もしくはウイルス由来の生成物の生成のためのシステムであって、
使用者および/または原料が封じ込めエンクロージャー室(1)に入室できる入り口手段(7)および使用者および/または原料が封じ込めエンクロージャー室(1)から退室できる出口手段(8)を設けた封じ込めエンクロージャー室(1)を有し、前記入り口手段及び出口手段が閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、
前記封じ込めエンクロージャー室(1)が、
細胞またはウイルスを培養する少なくとも一つのバイオリアクターを有し、このバイオリアクターに少なくとも一つの入り口および少なくとも一つの出口を設けた少なくとも一つの生成ユニット(2)、および
この生成ユニット(2)に流体接続され、少なくとも一つの精製装置を有する少なくとも一つの精製ユニット(3)を有し、
前記封じ込めエンクロージャー室の内側、あるいは外側に設けられた少なくとも一つの不活性化ユニット(4)および/または少なくとも一つの気体汚染除去ユニット(6)を有し、
前記封じ込めエンクロージャー室(1)が少なくとも一つのプロセス制御装置(9)を有し、このプロセス制御装置(9)は、前記生成ユニット(2)および前記精製ユニット(3)が行う操作に関するデータと、前記不活性化ユニット(4)および/または前記気体汚染除去ユニット(6)が行う操作に関するデータとを集め、モニターし、および/または記録して、
一旦、前記プロセス制御装置(9)が前記不活性化ユニット(4)の不活性化および/または前記気体汚染除去ユニット(6)の気体汚染除去の終了に関する情報を受け取った場合にのみ、前記封じ込めエンクロージャー室(1)へのアクセスが許される設定であることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記プロセス制御装置(9)が、所定回数の操作の終了に関する情報を前記プロセス制御装置に入力および/または記録する少なくとも一つのデータ入力装置を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセス制御装置(9)が、前記出口手段(8)の閉鎖位置から開放位置への移動を制御することによって、前記封じ込めエンクロージャー室(1)のアクセスを制御できる請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記不活性化ユニットが存在する時に、前記封じ込めエンクロージャー室(1)の任意のユニットに該不活性化ユニットが接続可能である請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
ホルムアルデヒド、水酸化ナトリウム、少なくとも一種の洗浄剤、少なくとも一種の酸 、あるいはこれらの任意の組み合わせ、あるいはこれらの溶液からなる群から選択される不活性化組成物によって不活性化を行う請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
さらに、滅菌ユニット(5)を有し、この滅菌ユニット(5)が固体原料を滅菌する少なくとも一つのオートクレーブを有する請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記気体汚染除去ユニット(6)が前記封じ込めエンクロージャー室(1)の任意のユニットに接続され、かつ過酸化水素、エーロゾル、ホルムアルデヒド気化装置、過酸化水素気化装置、エーロゾル気化装置、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの気体汚染除去手段を有する請求項1~6のいずれか1項に記載のシス テム。
【請求項8】
前記バイオリアクターおよび/または前記精製ユニットが廃液容器に流体接続する請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記廃液容器を前記封じ込めエンクロージャー室の内側に設ける請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記廃液容器を前記封じ込めエンクロージャー室の外側に設ける請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
さらに、前記封じ込めエンクロージャー室(1)内に収容され、廃液がある場合にこれを汚染除去する少なくとも一つの廃液汚染除去装置を有し、この廃液汚染除去装置を前記廃液容器の上流側および/または下流側に設ける請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項12】
前記封じ込めエンクロージャー室(1)の異なるユニット内に少なくとも一つの温度が維持される請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記バイオリアクターの前記出口に流体接続される入り口が設けられた精製装置であって、かつ限外ろ過装置、透析ろ過装置、遠心分離装置、洗浄装置、クロマトグラフィーカラム、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選択される精製装置が設けられる請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセス制御装置が、前記封じ込めエンクロージャー室の少なくとも一つのユニットに接続可能である請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記入り口手段(7)および出口手段(8)が同じで、前記封じ込めエンクロージャー室(1)への出入りを可能にする請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記封じ込めエンクロージャー室(1)を封じ込めユニットで取り囲む請求項1~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
封じ込めエンクロージャー室(1)を有するシステム内において細胞、ウイルス、または細胞由来またはウイルス由来の生成物を目的生成物として生成する方法であって、
前記封じ込めエンクロージャー室(1)使用者および/または原料が封じ込めエンクロージャー室(1)に入室できる少なくとも一つの入り口手段(7)および使用者および/または原料が封じ込めエンクロージャー室(1)から退室できる少なくとも一つの出口手段(8)が設けられ、前記入り口手段および出口手段が閉鎖位置と開放位置との間で移動可能でありそして、前記封じ込めエンクロージャー室(1)が少なくとも一つのプロセス制御装置(9)を有し、
前記封じ込めエンクロージャー室(1)内にある生成ユニット(2)内に位置する少なくとも一つのバイオリアクターにおいて前記細胞またはウイルスを培養する工程、
前記封じ込めエンクロージャー室(1)内に存在し、かつ前記生成ユニット(2)の前記バイオリアクターに流体接続する精製ユニット(3)内で前記細胞、ウイルスおよび/またはウイルス由来の生成物を精製する工程、
前記封じ込めエンクロージャー室および/又はこのエンクロージャー室の少なくとも一つのユニットを汚染除去し、細胞、ウイルスおよび/または前記ウイルス由来の生成物を不活性化する工程、および
使用者および/または原料が前記封じ込めエンクロージャー室(1)内へ入室できるように前記入り口手段(7)を前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させる工程、および/または、使用者および/または原料が前記封じ込めエンクロージャー室(1)内から退室できるように前記出口手段(8)を前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させる工程を有し、
前記入り口手段(7)および/または前記出口手段(8)の移動は、前記プロセス制御装置(9)が前記汚染除去および不活性化の終了を認識した後に前記プロセス制御装置(9)によっ制御される、前記方法。
【請求項18】
前記封じ込めエンクロージャー室(1)に接続可能なウイルス不活性化ユニット(4)内において前記不活性化が生じる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
所定回数の操作の終了に関するデータを前記プロセス制御装置のデータ入力システムに入力し、前記出口手段を前記閉鎖位置から前記開放位置に移動させる工程を有する請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記方法の異なる工程の終了に関するデータを前記プロセス制御装置(9)の前記データ入力システムに自動入力するか、あるいは手動入力する請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記封じ込めエンクロージャー室(1)および/またはこのエンクロージャー室(1)の任意のユニットに流体接続する気体汚染除去ユニット(6)によって前記封じ込めエンクロージャー室および/またはこのエンクロージャー室の少なくとも一つのユニットを汚染除去する請求項17に記載の方法。
【請求項22】
さらに、前記封じ込めエンクロージャー室(1)内に廃液がある場合にこの廃液を汚染除去してから、前記廃液を廃液容器に送る請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物製剤(biologics、バイオ医薬品)を封じ込まれ、かつ限定された状態で生成するシステムおよび方法に関する。特に、本発明は細胞、ウイルス、または細胞由来生成物あるいはウイルス由来生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ医薬品(biopharmaceuticals)や再生可能な化学物質(“生物製剤”とも呼ばれている)は、生物製剤のグローバル市場における成長部門である。公知生物製剤には、例えば獣医用タンパク質、ヒトタンパク質、動物タンパク質、植物タンパク質、薬用タンパク質、微生物バイオマス、ウイルスやウイルス粒子が含まれる。生物製剤の生成は制御が高度な、技術的に複雑なプロセスである。この生成には、すぐれた実験作業基準やすぐれた製造基準に匹敵する生物製剤を生成できるバイオリアクター能力が必要である。他の生成型式と比較して、生物製剤にはより高度な計画性、投資、ドキュメンテーション、技術者、統制的な承認が必要である。換言すると、生物製剤はリスクが非常に高い。
【0003】
ある種のウイルスの研究および操作の場合、公知のバイオセーフティーレベル3(BSL-3)施設やバイオセーフティーレベル4(BSL-4)施設によって定められている具体的な封じこめレベルが必要である。これら施設は費用がかかる上に、関与する人員に対して必要な熟練度が高く、保護作業着や保護装置の使用が義務づけられている。既存の施設に培養細胞やウイルスによる外界環境の汚染を防止する手段を設けるため、資本支出が法外に高くなる。
【0004】
本発明の目的は、上記の欠陥や欠点の少なくとも一部を解消できる、ウイルスやウイルス生成物の生成方法およびシステムを提供することにある。本発明の一つの目的は、ウイルスやウイルス生成物を生成でき、かつ生成ウイルスによる環境汚染のリスクを排除できる方法およびシステムを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】US20130109291
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1態様は、請求項1に記載するように、細胞、ウイルス、あるいは細胞由来またはウイルス由来の生成物の生成システムに関する。
【0007】
本発明のシステムの場合、使用者および/または原料が封じ込めエンクロージャー室(containment enclosure)に入室できる少なくとも一つの入り口手段および使用者および/または原料が封じ込めエンクロージャー室から退室できる少なくとも一つの出口手段を設けた封じ込めエンクロージャー室を有し、これら入り口手段および出口手段が閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であることが好ましい。封じ込めエンクロージャー室が、細胞またはウイルスを培養する少なくとも一つのバイオリアクターを有する少なくとも一つの生成ユニットを有し、このバイオリアクターに少なくとも一つの入り口、少なくとも一つの出口、および生成ユニットに流体接続し、かつ少なくとも一つの精製装置を有する少なくとも一つの精製ユニットを設ける。さらに、本発明システムには少なくとも一つの不活性化ユニット(4)および/または封じ込めエンクロージャー室の内側、あるいは外側に位置する少なくとも一つの気体汚染除去ユニット(6)を設ける。さらに、封じ込めエンクロージャー室は、上記システムのユニットが行う操作(actions)に関するデータを集め、モニターし、および/または記録する少なくとも一つのプロセス制御装置を有する。
【0008】
封じ込めエンクロージャー室内ですべてのプロセスおよび生成工程を行うことによって、これら工程に伴う環境に対する安全リスクを大きく減らすことができる。システムプロセスの最終的なゲートキーパーとして作用するプロセス制御装置を設けるため、発生する恐れのある安全リスクを抑制できる。
【0009】
さらに別な実施態様では、このプロセス制御装置は、好ましくは上記出口手段の閉鎖位置から少なくとも一つの出口手段に接続された開放位置への移動を制御することによって、上記封じ込めエンクロージャー室へのアクセスを制御できる。これによって、出口手段の閉鎖位置から開放位置への移動をプロセス制御装置によって制御することが可能になる。さらに別な実施態様では、一旦プロセス制御装置が上記不活性化および/または気体汚染除去の終了に関する情報を受け取った場合にのみ、封じ込めエンクロージャー室へのアクセスが許される。このため、封じ込めエンクロージャー室外の環境を汚染するリスクが大幅に抑制される。即ち、これは重要な安全性の尺度になる。特に、ウイルス生成物の漏出が絶対的に禁止されているカテゴリーBL3のウイルスやウイルス粒子の生成の場合に有利である。
【0010】
本発明の第2態様は、請求項18に記載するように、封じ込めエンクロージャー室における細胞、ウイルス、あるいは細胞由来またはウイルス由来生成物を生成する方法に関する。
【0011】
本発明のシステムおよび/または方法によれば、高い封じ込めレベルを実現できる上に、環境汚染を確実に防止できる。システムの出口手段の開放については、一つかそれ以上の所定処理時にプロセス制御装置によってのみ行うことが好ましい。これが、使用者にとってプロセスの異なる工程の終了を制御するツールになる。使用者は所定の操作を選択でき、従って工程の終了を制御できるため、対象生成物を生成できる上に、この生成時に使用する任意の原料の汚染除去および/または滅菌に必要な工程を終了できる。本発明のシステムによれば、封じ込めエンクロージャー室が担保する必要な生体安全性レベルを確保した状態でクラスCまたはクラスDのクリーンルーム内で操作が可能になる。
【0012】
また、本発明のシステムおよび方法によれば、従来システムおよび方法と比較してかなり小型の装置を利用して、細胞および/または細胞生成物を迅速に生成することも可能になる。従来方法およびシステムと比較した場合、細胞および/または細胞生成物の収率を高くでき、最終の生成物のコストを抑えることが本発明の別な作用効果である。本発明は、より安価な全自動一体型のシステムを提供するもので、そのコストは従来の大型の組み立て式システムの少なくとも5~6倍低い。このため、投資額を低く抑えることができ、生産コストも低くなる大きな作用効果がある。
【0013】
本発明のシステムは一体型システムであり、すべての生成工程および循環空気および/または液体および/または固体原料の汚染除去に必要な装置を組み込むことができる。さらに、本発明方法の工程については、封じ込めエンクロージャー室内で順次実施でき、かつ完全に自動化できる。従って、本発明のシステムおよび方法によれば、運転が簡単になる上に、職員の介入も抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】封じ込めエンクロージャー室が一つの不活性化ユニットを有するシステムの一実施態様を示す図である。
図2】封じ込めエンクロージャー室の外側に位置する装填/操作終了部にこのエンクロージャー室を接続したシステムの一実施態様を示す図である。
図3】封じ込めエンクロージャー室の内側にある独立室に生成ユニットおよび精製ユニットを設けたシステムの一実施態様を示す図である。
図4】封じ込めエンクロージャー室の外側に位置する不活性化ユニットおよび装填/操作終了ユニットの両者に封じ込めエンクロージャー室を接続したシステムの一実施態様を示す図である。
図5】封じ込めエンクロージャー室が2つの不活性化ユニットを有する本発明システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、生物製剤の生成システムおよび生成方法に関する。特に、本発明は細胞、ウイルス、細胞由来またはウイルス由来の生成物の生成システムおよび生成方法に関する。これら細胞、ウイルス、あるいは細胞由来またはウイルス由来の生成物については、“生成物”あるいは“目的生成物”と呼ぶ。
【0016】
特に断らない限り、技術用語や科学用語を始めとする、発明の開示に使用する用語すべては、本発明が属する分野における当業者が通常に理解する意味で使用する。念のために、本発明をよりよく理解してもらうために、いくつかの用語について定義を下しておく。
【0017】
本明細書に使用する以下の用語は以下の意味をもつ。
【0018】
本明細書で使用する単数表現については、文脈上反対の表現を意味しない限り、単数および複数表現の両者を指すものとする。例えば、“区画(a compartment)”は一つかそれ以上の区画を意味する。
【0019】
パラメーター、量、一過性の期間などの測定可能な値を指す用語に使用される“約”については、本発明を好適に実施できる限り、具体的に記載した値の±20%以下、好ましくは±10%以下、より好ましくは±5%以下、さらにより好ましくは±1%以下、さらにより好ましくは±0.1%以下であり、許容範囲を示す。なお、修飾語“約”を伴う値についても具体的に開示する。
【0020】
また、本明細書で使用する“有する”は“含む”、“含有する”などと同義であり、成分などの存在を具体的に示す包括的な、あるいは何の制約もない用語であり、付加的な、明示していない、公知かつ本明細書に記載する成分、特徴、要素、部材、工程などの存在を排除するものではない。
【0021】
終点による数値範囲の記載には、この範囲に包括される、終点を含むすべての数値および分数を含むものとする。
【0022】
本発明は、第1態様において、細胞、ウイルス、細胞由来の生成物、あるいはウイルス由来の生成物を生成するシステムを提供するものである。本システムは、封じ込めエンクロージャー室1の内側スペースおよび外側スペースを画定する壁部を有する封じ込めエンクロージャー室1を有する。この内側スペースが、生成物の生成、精製および/または滅菌装填/操作終了を行う無菌環境を与える。一つの実施態様では、エンクロージャー室1に使用者および/または原料が封じ込めエンクロージャー室に入室するための少なくとも一つの入り口手段7及び使用者および/または原料が封じ込めエンクロージャー室から退室するための少なくとも一つの出口手段8を設ける(図1)。別な実施態様の場合、入り口手段7および出口手段8を同じ手段とし、同じドアまたは閉鎖可能な開口を介してエンクロージャー室への入退室を可能にする。
【0023】
入り口手段および出口手段はエンクロージャー室の内側スペースがアクセスできない閉鎖位置と、エンクロージャー室の内側スペースが使用者および/または原料にとってアクセス可能な開放位置との間で移動可能である。このエンクロージャー室については、少なくとも一つの液体原料供給手段および/または少なくとも一つの固体原料供給手段および/または少なくとも一つの使用者入り口手段を有するのが好ましい。また、少なくとも一つの液体原料出口手段および/または少なくとも一つの固体原料出口手段および/または少なくとも一つの使用者出口手段を有する。
【0024】
封じ込めエンクロージャー室1は少なくとも一つの生成部2を有し、この生成部2は細胞またはウイルスを培養する少なくとも一つのバイオリアクターを備え、このバイオリアクターは少なくとも一つの入り口および少なくとも一つの出口、生成ユニット2に流体接続するとともに、少なくとも一つの精製装置を有する少なくとも一つの精製ユニット3、および封じ込めエンクロージャー室1の任意の各部に流体接続する少なくとも一つの滅菌ユニット5を有する。
【0025】
封じ込めエンクロージャー室1が有するシステムのユニットは側壁によって相互に分離することができる。各ユニットは、システムの少なくとも一つの別なユニットとともに少なくとも一つの共通壁を共有していてもよい。この共通壁には、使用者および/または原料が通過する少なくとも一つのアクセスドアを設ける。さらに別な実施態様では、システムの任意のアクセスドアおよび/または任意の入り口手段および/または出口手段8には、空気からの粉塵、粒状物やその他の汚染物をろ過するエアロックシステムを設ける。
【0026】
共通壁および/または入り口手段7および/または出口手段8のアクセスドアについては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、ファイバーグラスやその他の適当な金属材料などの強靭な材料から形成できる。ドアおよび/または入り口手段7および/または出口手段8には、引き上げゲート型ドア、スイングドア、シャッターやスライディングドアを設けることができ、またガラスパネルやプレキシガラスパネル(Plexiglas panels)を設けることができる。ドアおよび/または入り口手段7および/または出口手段8のロックを解除するために、好適なアクセス機構、例えばロック/キー機構、パスコード・パンチパッド、カード読み取り機、トランスポンダー読み取り機、指紋スキャナー、網膜スキャナー、センサー類、無線IDタグ(RFID)などの自動認識/データ取得方法、バイオメトリクス(虹彩/顔面認識システムなど)、磁気ストライプ、光学的な文字認識(OCR)、スマートカードおよび音声認識などを利用できる。
【0027】
本発明システムはさらに少なくとも一つの不活性化ユニット(4)および/または少なくとも一つの気体汚染除去ユニット(6)を有し、これらユニットについては封じ込めエンクロージャー室の内側か、あるいは外側のいずれかに設けることができる。またこれらのユニットの場合、生成サイクルが一旦終了した後にシステム(配管類)に残存している任意のウイルスまたはウイルス粒子を不活性化することができる。気体汚染除去ユニットの場合、封じ込めエンクロージャー室1内のすべての外面および/または空気から汚染を除去することができる。
【0028】
さらに、封じ込めエンクロージャー室1は少なくとも一つのプロセス制御装置9を有する。この装置によって、システムの各ユニットが行う操作に関するデータを集め、モニターし、および/または記録できる。一つの実施態様では、プロセス制御装置9は、入力特定の出力信号を発生するコンピュータあるいは一つ以上のCPUを有する。処理ユニットに対する入力信号は、封じ込めエンクロージャー室内で生じるプロセスに依存する。プロセス制御装置の入力データについては、センサーを使用して自動的に記録すればよく、あるいはオペレーターによって手動記録すればよい。
【0029】
さらに別な実施態様では、プロセス制御装置9が封じ込めエンクロージャー室1のアクセスを制御でき、この制御については出口手段8の閉鎖位置から開放位置への移動を制御することによって行うのが好ましい。
【0030】
このためには、プロセス制御装置(9)を入り口手段7および出口手段8に接続することによって、出口手段の閉鎖位置から開放位置への移動をプロセス制御装置9によって制御可能にすればよい。このプロセス制御装置9は、少なくとも一つのデータ入力システムを有し、これを介して所定回数の操作の終了時に情報をプロセス制御装置9に入力および/または記録する。
【0031】
所定回数の操作には、以下のうちの少なくとも一つが含まれる。細胞および/またはウイルス培養の状態、生成物の精製状態、液体廃棄物の汚染除去の状態、固形原料の滅菌状態、生成物の不活性化状態、気体の汚染除去状態である。これら操作の状態には、漸進、開始していない状態、および終了していない状態が含まれる。さらに、別な実施態様では、出口手段の開放については、所定数の操作すべての状態がデータ入力システムに入力され、処理された時点でのみプロセス制御装置9によって行う。プロセス制御装置(9)については、このプロセス制御装置(9)が不活性化状態および/または気体の汚染除去状態に関する情報を受け取った後に、封じ込めエンクロージャー室1へアクセスできるように設定しておくのが好ましい。
【0032】
このため、出口手段の開放を制御できるため、すべての操作を確実に実施でき、特にウイルスの不活性化および環境の汚染除去を終了させることができる作用効果を実現できる。従って、培養ウイルスおよび/または細胞による外部環境の汚染を避けることができる。
【0033】
所定操作の状態については、プロセス制御装置9のデータ入力システムに手動または自動的に入力できる。本発明システムを構成するユニットの異なる装置には、所定回数の操作に関する情報をデータ入力システムに伝達するセンサーを設けてもよい。この情報伝達に関しては、連続的でもよく、あるいは不連続的でもよい。所定回数の操作については、使用者が決定し、得るべき生成物およびこの生成物の生成に使用した液体原料および/または固体原料に従って選択する。
【0034】
さらに別な実施態様では、封じ込めエンクロージャー室1の異なるユニット内に少なくとも一つの温度を維持する。エンクロージャー室を構成するユニットおよびエンクロージャー室それ自体の操作温度は同じ/同様の温度でもよく、あるいは異なる温度でもよい。生成ユニットの操作温度については、20℃~40℃であるのが好ましく、25℃~37℃がより好ましい。精製ユニットの操作温度については、0℃~25℃であるのが好ましく、1℃~20℃がより好ましく、2℃~10℃が一層好ましく、最適な温度は約4℃である。いずれのユニットの温度も冷却および/または加温によって維持し、温度維持をセンサーによって確認すればよい。
【0035】
別な実施態様では、プロセス制御装置9が細胞培養またはウイルス培養および/または精製プロセスおよび/または不活性化プロセスおよび/または汚染除去プロセスを制御し、封じ込めエンクロージャー室の少なくとも一つのユニットに接続可能である。プロセス制御装置が、システムの任意のユニットの操作を制御し、複数のセンサー、ローカルコンピュータ、ローカルサーバー、遠隔コンピュータ、遠隔サーバー、あるいはネットワークを有する。プロセス制御装置が、生成物の生成プロセスのすべての態様を制御し、バイオリアクター内に設けられたセンサーに結合でき、例えば温度、バイオリアクターへの体積流量および気体流量をリアルタイムで制御する。機能的な制御装置はコンピュータモニター、スマートフォーンアプリ、タブレットアプリなどの表示装置、あるいはアナログ型表示装置を有し、これらに使用者がアクセスし、システムの任意のユニットの状態を決定できる。プロセス制御装置はキーボード、キーパッド、マウスまたはタッチスクリーンなどの入力装置を有し、使用者が制御パラメーターを入力し、システムの任意のユニットの操作を制御できる。
【0036】
別な実施態様では、閉鎖位置にある時の封じ込めエンクロージャー室内の圧力は、室外の圧力よりも低い。さらに別な実施態様では、この圧力は室外の圧力よりも15~30Pa低い。このため、汚染が外界環境に広がるリスクが小さくなる。さらに別な実施態様では、換気(通気)システムを閉じ込めエンクロージャー室(enclosed containment)に設けるため、入り口および/または出口を閉鎖した後にこのエンクロージャー室に負圧の空気圧が発生することになる。
生成ユニット
【0037】
生成ユニット2は少なくとも一つのバイオリアクター、およびこのバイオリアクターに細胞培地および気体や気体混合物を供給する配管などの少なくとも一つの供給システムを有する。生成ユニットについては、バイオリアクターに導入できる細胞培地を有するタンクを有していればよい。バイオリアクターについては、生成ユニットに永続的に、あるいは一時的に固定できればよく、繰り返し使用可能な、あるいは一回使用のバイオリアクターであればよい。
【0038】
さらに別な実施態様では、バイオリアクターによって高密度細胞培養が可能になる。この密度を細胞数で表すと、少なくとも2千万/mlであり、好ましくは少なくとも4千万/ml、より好ましくは少なくとも6千万/ml、最適には少なくとも1億/mlである。3億/ml、2億5千万/ml、あるいは2億/mlに達し得る。
【0039】
さらに別な実施態様では、バイオリアクターの全容量は少なくとも1L、好ましくは少なくとも10L、より好ましくは少なくとも30L、一層好ましくは少なくとも40L、最適には少なくとも50Lである。バイオリアクターの全容量は2500L以下、好ましくは200L以下、より好ましくは150L以下、一層好ましくは100L以下、最適には75Lである。バイオリアクターの全容量は、バイオリアクターに導入できる液体の全容量、この場合満タンを意味する。本発明のバイオリアクター全容量およびバイオリアクターそれ自体は、従来の高密度細胞培養に使用されているバイオリアクターよりも小さい。これは、システムに必要なスペースおよび使用の容易さの点で有利である。
【0040】
バイオリアクターとしては、高密度細胞培養を可能にできるならば任意の型式のバイオリアクターを使用することができる。例えば、灌流(perfusion)バイオリアクター、ウェーブ(wave)バイオリアクター、円筒形バイオリアクター、バッグ(bag)バイオリアクター、移動床(moving bed)バイオリアクター、充填床(packed bed)バイオリアクター、繊維状バイオリアクター、膜バイオリアクター、バッチ(batch)バイオリアクター、あるいは連続バイオリアクターを使用することができる。バイオリアクターについては、ステンレス鋼、ガラスやプラスチックなどの適切な材料から構成できる。バイオリアクターには温度センサー(例えば熱電対)、流量センサー、気体センサーやその他のセンサーなどの一つかそれ以上のセンサーを組み込むことができる。
【0041】
バイオリアクターには繊維、マイクロファイバー、中空繊維、あるいは中空マイクロファイバーなどの担体を組み込めばよい。この担体が細胞培養のすぐれた基体になる。一つの実施態様では、バイオリアクターに担体、好ましくはポリエステルマイクロファイバー担体を組み込む。別な実施態様では、このマイクロファイバー担体は生体適合性を有する。これらマイクロファイバー担体としては、不織ポリエステル担体が好ましい。バイオリアクターで細胞を接種した後、細胞培養ユニットが予め設定された自動プロセスを行い、培地をバイオリアクターに移し、および/またはpHを維持し、および/または温度を維持する。標準的な、あるいは特異的な細胞培養パラメーターについては、各種の細胞型が膨張するように、かつ細胞または細胞生成物をヒューマンエラーの発生を最小限に抑えた効率が良く、再現可能な方法で採取できるように設定できる。さらに別な実施態様では、これら担体をプラズマ処理し、親水性化する。細胞が3D培地のように担体に取り付く。
【0042】
さらに別な実施態様では、バイオリアクター内に存在する担体が少なくとも0.5m、少なくとも1m、少なくとも5m、少なくとも10m、少なくとも20m、少なくとも30m、少なくとも40m、少なくとも50m、少なくとも60m、少なくとも70m、少なくとも80m、少なくとも90m、少なくとも100m、少なくとも200m、少なくとも300m、少なくとも400mの細胞培養表面を与える。これら担体は2,000m以下の、1,000m以下の、800m以下の、600m以下の細胞培養表面を、あるいはこれら範囲にある任意の値の細胞培養表面を与える。これら担体によって得られる細胞培養表面の好ましい面積は約500mである。
【0043】
バイオリアクターの実施モードが灌流モードの場合、あるいは灌流バイオリアクターを使用する場合、バイオリアクター内に導入する培地容量と細胞培養表面積との比は、少なくとも0.2ml/cm、好ましくは少なくとも0.5ml/cmに設定する。このような比に設定すると、約1mの細胞培養表面をもつバイオリアクターに約10Lの容量を、約500mの細胞培養表面をもつバイオリアクターに約2,500Lの容量を、そして約2,000mの細胞培養表面をもつバイオリアクターに約10,000Lの容量を導入できる。
【0044】
別な実施態様では、バイオリアクターとしては、直径が少なくとも20cm、好ましくは少なくとも40cmで、100cm以下、好ましくは75cm以下、より好ましくは50cm以下の円形の小型のバイオリアクターを使用できる。矩形または正方形のバイオリアクターも使用することができ、この場合高さは少なくとも40cm、好ましくは少なくとも50cm、より好ましくは60cmで、110cm以下、好ましくは100cm以下、より好ましくは80cm以下、最適には70cm以下である。矩形または正方形のバイオリアクターの場合、幅は少なくとも40cm、好ましくは少なくとも50cm、より好ましくは少なくとも60cmで、100cm以下、好ましくは90cm以下、より好ましくは80cm以下、最適には70cm以下である。
【0045】
バイオリアクターを回転させるか、これに運動を与えることによって酸素移動を促し、このバイオリアクター内に気体平衡を確保できる。このため、センサーを組み込んでいないバイオリアクター内でも培養を実施でき、バイオリアクターが従来のバイオリアクターに比較して単純になり、複雑性もなくなる。さらに、センサーを組み込んでいないバイオリアクターを使用すると、汚染のリスクがかなり小さくなる。バイオリアクターに運動を与えると、さらに細胞の採取率が向上する。実際、担体含有バイオリアクター、例えば繊維バイオリアクターやマイクロファイバー担体を使用したバイオリアクターからの細胞採取は実現が困難である。一般に、細胞は粘り気があり、細胞自体が担体や他の細胞に取り付き、クラスターを形成する。バイオリアクターに運動を与えると、細胞を自由に離すことができ、高い細胞生存率で細胞採取の効率を高くでき、化学的な、あるいは酵素的な放出添加剤を使用する必要もない。バイオリアクターには、剛性のある、あるいは剛性のない外側体を設けることができる。剛性のある外側体を設けると、バイオリアクター体が収縮するため、マイクロファイバーが移動する。このため、バイオリアクターマトリックスの側に取り付いた細胞がより多く放出することになる。
【0046】
一つの実施態様では、バイオリアクターに気体および/または培地を導入する少なくとも一つの入り口、およびバイオリアクターに収容されている培地を回収する少なくとも一つの出口を設ける。バイオリアクターをその入り口を介して培地タンクおよび/または気体源に流体接続する少なくとも一つの配管(in-tubing)を設ける。また、バイオリアクターをその出口を介して精製ユニットまたはこのユニットの任意の装置に流体接続する少なくとも一つの配管(out-tubing)を設ける。バイオリアクター内部に少なくとも一つのフィルターを設けてもよい。
【0047】
さらに別な実施態様では、少なくとも一つのポンプを使用して、バイオリアクター内に培地を導入する。培地については、予め25℃~37℃の温度に加熱してから、バイオリアクターに移すのが好ましい。このように構成すると、新しい培地(培養に否定的な影響与える)との接触時に細胞が低温衝撃を受けることがなくなるだけでなく、培地中の栄養素がすべて混合され、かつ必要量で存在することを担保することになる。培地としては、塩、アミノ酸、ビタミンおよび一種かそれ以上のタンパク質成長因子の確立された混合物を有する液体を使用できる。
【0048】
純酸素、あるいは酸素を有する気体混合物などの気体については、バイオリアクターの入り口から等しく供給する。酸素は、哺乳類細胞の正常な増殖にとって必須な成分で、気体、あるいは気体混合物については圧力下で補給するのが好ましい。一つの実施態様では、300μM(160mmHg分圧)以下、好ましくは200μM未満、最適には20~150μMの範囲にある溶存酸素濃度に細胞が暴露されることになる。
【0049】
さらに別な実施態様では、気体または気体混合物および培地を混合してから、バイオリアクターに供給する。このため、気体または気体混合物および培地の混合体を一本の供給配管によって供給できる。従って、最適な酸素濃度をもつ細胞培地を直接細胞に供給できる作用効果を実現できる。さらに別な実施態様では、気体または気体混合物を空気または酸素から選択する。空気の使用が好ましい。空気の場合、ほぼ78%の窒素、21%の酸素、その他アルゴンおよび二酸化炭素を有する気体混合物とみなすことができる。純酸素、あるいは酸素分に富む雰囲気の代わりに空気を供給すると、本方法を利用するシステムから、火災や爆発の恐れがある酸素濃度の高い供給ユニットを省くことができるという作用効果を実現できる。
【0050】
(細胞培地などの)水性培地における酸素の溶解度が酸素の消費速度よりも低いと、酸素の供給速度が細胞増殖にとって制限因子になる。一般に、培養槽またはバイオリアクターにおける酸素移動速度は次式によって記述される。
OTR=KLa(Cgas-Cliq
式中、
OTR=酸素移動速度(μmolO2l-1-1)、
KLa=酸素移動係数(h-1)、
gas=気相O2(平衡)濃度(μM)、および
liq=液相O2濃度(μM)である。
【0051】
本方法の酸素移動係数(KLa)については少なくとも20h-1、好適には少なくとも30h-1、最適には少なくとも35h-1であることが好ましい。また、この酸素移動係数については100h-1以下、好ましくは50h-1以下、より好ましくは40h-1以下である。
【0052】
酸素移動係数が高くなると、従ってOTRが高くなると、細胞増殖/健全性、従って目的の最終生成物の収率に好影響を与えることになる。細胞スターター培地量がかなり少量でも、上記酸素移動係数が生成物収率の点で特に有利であることが本発明者によって確認されている。
精製ユニット
【0053】
精製ユニット3は生成ユニットから分離し、生成ユニットと共通壁を共有するのが好ましい。この共通壁については、使用者および/または原料が通過できる少なくとも一つのドアを有しているのが好ましい。生成ユニットについては、精製ユニットと同じ室内にも配置できる(図3)。このように構成すると、単独の部屋に生成ユニットである第1作業空間またはベンチ、および精製ユニットである第2作業空間またはベンチを設定することができる。
【0054】
生成ユニット3は、入り口と出口を備えた少なくとも一つの精製装置を有する。この入り口は、バイオリアクターの出口に流体接続する。この精製装置については、ろ過装置、限外ろ過装置、透析ろ過装置、pH調節装置、遠心分離装置、洗浄装置、クロマトグラフィーカラム、クロマトグラフィー膜、回収装置、透析装置、濃縮装置、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択する。これら装置それぞれに少なくとも一つの入り口および出口を設け、各装置を同じユニットまたはシステムの異なるユニットの任意のその他の装置に接続できるようにする。
【0055】
別な実施態様では、ろ過装置を封じ込めエンクロージャー室に設ける。このろ過装置が例えば質量(ダルトン)に基づいて分子を選択的に保持することになる。ろ過装置は、バイオリアクターから流出する溶液からウイルス粒子をろ過し、かつ除去するために使用することができる中空のウイルスフィルターから構成することができる。
【0056】
クロマトグラフィーカラムとしては、アフィニティークロマトグラフィーカラム、イオン交換クロマトグラフィー(例えばアニオンまたはカチオン)カラム、疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム、サイズ排除クロマトグラフィー(SECカラム)、抗-IgM樹脂、タンパク質A、タンパク質Gまたは抗-IgG樹脂などの親和性樹脂を充填したカラムである免疫親和性クロマトグラフィーカラムを使用することができる。クロマトグラフィーカラムのサイズについては、精製すべき生成物の種類および/またはこの生成物を精製すべき溶液の容量に基づいて変更することができる。さらに別な実施態様では、精製装置は対象分子を溶離し、かつ回収する少なくとも一つの溶離溶液源に流体接続する。
【0057】
さらに別な実施態様では、生成ユニットおよび/または精製ユニットおよび/またはこれらユニットの任意の装置が、封じ込めエンクロージャー室の内外に設置できる廃液容器に流体接続する。エンクロージャー室のその他の任意ユニットまたは装置も廃液容器に流体接続する。バイオリアクターおよび/またはシステムの任意の装置から廃液を廃液容器に迂回させるために必要な接続部および装置を設ける。
【0058】
別な実施態様では、本発明システムは封じ込めエンクロージャー室1内に設けられ、廃液の汚染除去を行う少なくとも一つの廃液汚染除去装置を有する。この廃液汚染除去装置については、廃液容器の上流側および/または下流側に設ける。廃液汚染除去装置としては、廃液に存在するすべてのウイルスおよび/または細胞を不活性化するのに十分な温度に廃液を加熱する加熱装置を使用することができる。これは、封じ込めエンクロージャー室から流出する任意の廃液を汚染除去処理し、任意の活性ウイルスおよび/または細胞を除去することを担保できるため、有利である。このため、エンクロージャー室の外部環境の汚染がなくなり、また生成物の生成時の封じ込めを有効化することができる。
不活性化ユニット
【0059】
別な実施態様では、不活性化ユニット4は少なくとも一つの不活性化手段を有する。この不活性化手段は、封じ込めエンクロージャー室1の任意のユニットに接続可能である。不活性化組成物については、ホルムアルデヒド、少なくとも一種の洗浄剤、少なくとも一種の酸、あるいはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択する。他の不活性化組成物としては、過硫酸カリウム溶液(市販物としてはVirkon(登録商標)がある)、水酸化ナトリウムや漂白剤などがある。
【0060】
不活性化ユニット4については、封じ込めエンクロージャー室1の内側、あるいは外側に設置することができる(図4)。エンクロージャー室の内側に設ける場合、この不活性化ユニットについては、生成ユニットおよび/または精製ユニットおよび/または生成ユニットおよび精製ユニットを有する部屋から分離し、かつこれらと共通壁部を共有していのが好ましい。この共通壁部については、使用者および/または原料が通過する少なくとも一つのドアを備えているのが好ましい。
【0061】
さらに別な実施態様では、精製装置から得た溶液に所定量の、即ちこの溶液に存在する細胞および/またはウイルスを不活性化するのに十分な量の不活性化組成物、好ましくはホルムアルデヒドを補給する。ホルムアルデヒドについては、37重量%溶液として使用し、この溶液のホルムアルデヒド濃度が少なくとも0.005%、好ましくは少なくとも0.01%、より好ましくは少なくとも0.02%、最適には0.03%で、0.1%以下、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.06%以下になるように精製装置から得られた溶液に加えるのが好ましい。不活性化については、少なくとも30℃、好ましくは少なくとも35℃、より好ましくは約37℃の一定温度で実施するのが好ましい。
【0062】
さらに別な実施態様では、不活性化に先立って、精製ユニットから得られた溶液のろ過を行う。孔径が少なくとも0.1mm、好ましくは少なくとも0.2mmで、1mm以下、好ましくは0.8mm以下のフィルターを使用する。ろ過によって、細胞集合体あるいはウイルス集合体を除去できるため、細胞および/またはウイルスをホルムアルデヒドに良好に暴露できる。
【0063】
不活性化した溶液を次に不活性化ユニットの内側に設けることができる充填/操作終了ユニット10に移す(図2)。充填/操作終了ユニット(fill and finish unit)10については、システムの封じ込めエンクロージャー室1の外側に設置してもよい。
【0064】
充填/操作終了ユニット10については、不活性化ユニットから分離し、これと共に共通壁を共有するのが好ましい。共通壁についてはドアを有するのが好ましい。充填/操作終了ユニットでは、不活性化された溶液が濃縮工程および/または包装滅菌工程を受ける。当業者ならば、充填/操作終了ユニットは、これら工程を実施するために好適な形態を取ることを知悉しているはずである。この形態にはバイアル、ビン、シリンジ、ポンプ、凍結乾燥器、ふた/栓、最終的な包装装置や他の包装装置、あるいはこれらの組み合わせがある。
【0065】
本発明システムは、機能が断続的な二つ以上の不活性化ユニットを有してもよい。このように構成すると、第1培地から得た第1溶液を不活性化している間に、第2の細胞培養またはウイルス培養を開始することができる。例えば、図5を参照して説明すると、生成ユニット2で第1の細胞培養またはウイルス培養を開始してから、培養溶液を精製ユニット3で精製し、精製した溶液を第1不活性化ユニット4で不活性化する。不活性化プロセスが進行している間、第2サイクルの細胞培養またはウイルス培養を生成ユニット2で開始し、第2培養溶液を次に精製ユニット3で精製し、第2不活性化ユニット4´で不活性化する。第2不活性化ユニット4´で第2の精製された溶液を不活性化している間に、第1不活性化ユニット4を滅菌し、第3の細胞培養またはウイルス培養から誘導されてきた溶液を不活性化する準備を行う。これは、システムの使用を最適化し、従来システムよりも短時間で高い収率を達成できる点で有利である。
気体汚染除去ユニット
【0066】
気体汚染除去ユニット6については、封じ込めエンクロージャー室1の任意のユニットに流体接続するのが好ましい。この場合、気体汚染除去ユニットは過酸化水素、エーロゾル、ホルムアルデヒド気化装置、過酸化水素気化装置、エーロゾル気化装置、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの気体汚染除去装置を有する。気体汚染除去ユニット6は、生成物の生成の間ずっと連続モードあるいは不連続モードで動作するものでもよい。この気体汚染除去ユニット6によって、エンクロージャー室およびその異なるユニット内、かつこれらの全表面を循環している空気の汚染除去が可能になる。この気体汚染除去ユニット6については、封じ込めエンクロージャー室1の内側に設けてもよく、あるいは外側に設けてもよい。
【0067】
気体汚染除去手段6については、エンクロージャー室1の内側スペースに熱い空気および/または冷たい空気を送り、および/または湿度制御をおこなうHVACシステムを有することができる。このHVACシステムについては、内側スペースに流入する空気を精製するする少なくとも一つのフィルターを有することが好ましい。例えば、HEPAフィルターを組み込み、エンクロージャー室1の内部容積に流れ込む粒状物の量を制御することができる。別な実施態様では、加熱された空気流を送り込むことによって、空気流の温度を70℃以上にすることが好ましい。
滅菌ユニット
【0068】
本発明システムの場合、適宜滅菌ユニット5を組み込むことができ、このユニット5は、生成物の生成時に使用される任意の固形容器を滅菌する少なくとも一つのオートクレー部を有することができる。この固形容器にはビン、バイアルおよびピペットなどがある。
【0069】
滅菌ユニットの場合、滅菌された固形容器の重量を測定する重量測定装置を組み込むことができる。さらに別な実施態様では、上記固形容器の滅菌状態には、滅菌すべき固形容器の所定重量が含まれる。
【0070】
本発明の第2態様は、封じ込めエンクロージャー室1において細胞、ウイルス、細胞由来生成物、またはウイルス由来生成物を生成する方法に関する。この封じ込めエンクロージャー室については上記のエンクロージャー室であるのが好ましく、あるいは上記方法の本質的な工程を実施できるその他の封じ込めエンクロージャー室であることが好ましい。
【0071】
具体的には、操作時この封じ込めエンクロージャー室を周囲から遮断する。このエンクロージャー室(1)内で生じる生成にはバイオリアクター内の上記細胞および/またはウイルスの増殖が含まれ、またバイオリアクターと流体接続状態にある精製ユニットにおける上記細胞、ウイルスまたはこれら由来の生成物を次に精製することが含まれる。この場合、目的の生成物の生成後、封じ込めエンクロージャー室および内部ユニットを汚染除去し、目的生成物由来のものを除いた残存しているウイルス粒子または細胞粒子を不活性化し、そして生成プロセス時、汚染除去時および不活性化処理時の作用を、本システム内に存在するプロセス制御装置によってモニターおよび/または制御する。
【0072】
一つの実施態様では、生成サイクルが生じた後における封じ込めエンクロージャー室へのアクセスをプロセス制御装置によって制御する。具体的には、このプロセス制御装置によって、上記システム内の汚染除去プロセスおよび不活性化プロセスの終了に関する情報の登録、記録および/または検索後に封じ込めエンクロージャー室へのアクセスが可能になる。
【0073】
別な実施態様では、この封じ込めエンクロージャー室に、使用者および/または原料が封じ込めエンクロージャー室に入室できる少なくとも一つの入り口手段7、および使用者および/または原料が封じ込めエンクロージャー室から退室できる少なくとも一つの出口手段8を有する。これら入り口手段および出口手段については、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能である。本発明の方法はさらに以下の工程を有する。
封じ込めエンクロージャー室1内の生成ユニット2内に位置する少なくとも一つのバイオリアクターによる細胞またはウイルスの培養工程、
封じ込めエンクロージャー室1内にあり、かつ生成ユニット2のバイオリアクターに流体接続する精製ユニット3による細胞、ウイルスおよび/またはウイルス生成物の精製工程、
封じ込めエンクロージャー室および/またはこのエンクロージャー室の少なくとも一つのユニットの汚染除去工程、および細胞、ウイルスおよび/またはウイルス生成物の不活性化工程、および
使用者および/または材料が封じ込めエンクロージャー室1から退室できるように出口手段8が閉鎖位置から開放位置に移動し、プロセス制御装置9が上記汚染除去および不活性化が終了したことを認識した後に、封じ込めエンクロージャー室(1)に存在する上記プロセス制御装置(9)によって出口手段(8)の移動を制御する工程を有する。
【0074】
プロセス制御装置(9)と封じ込めエンクロージャー室の出口手段(8)および/または入り口手段との間の通信は、従来公知の方法およびシステムによって行う。例えば、センサーが発生する信号をプロセス制御装置の処理ユニットに送信する。別な実施態様では、プロセス制御装置に送信する前に信号変換を行う。
【0075】
バイオリアクターおよび方法の異なるユニットについては、上記のものを使用するのが好ましい。
【0076】
別な実施態様では、本発明方法はさらに所定数の操作の終了に関するデータをプロセス制御装置9に存在するデータ入力装置に入力し、出口手段を閉鎖位置から開放位置に移動させる。出口手段は、データが、所定操作がすべて完了状態にあることを示した時にのみ閉鎖位置から開放位置に移動する。操作およびその状態については上記した通りである。所定操作の状態に関するデータについては、プロセス制御装置9のデータ入力装置に自動入力してもよく、あるいは手動入力してもよい。
【0077】
(目的生成物を除く)細胞および/またはウイルスあるいはウイルス粒子の不活性化工程については、封じ込めエンクロージャー室1に接続可能なウイルス不活性化ユニット4で行うのが好ましい。不活性化ユニットは少なくとも一つの不活性化組成物を有する。不活性化ユニットおよび不活性化組成物は上記の通りである。
【0078】
封じ込めエンクロージャー室1および/またはこのエンクロージャー室の少なくとも一つのユニットの汚染除去については、エンクロージャー室および/またはエンクロージャー室1の任意のユニットに流体接続する気体汚染除去ユニット6によって行う。気体汚染除去ユニットは上記の通りである。
【0079】
さらに別な実施態様では、本発明方法は封じ込めエンクロージャー室1内に廃液がある場合に、この廃液を廃液容器に送る前にこの廃液を汚染除去する工程を有する。廃液の汚染除去については、少なくとも一つの廃液汚染除去組成物によって行う。廃液容器および廃液汚染除去組成物は上記した通りである。廃液容器については、システムの任意の装置および/またはユニットに流体接続する。廃液は、連続モード、あるいは不連続モードで廃液容器に送ってもよい。
【0080】
本発明方法については、本発明の任意の実施態様のシステムで行うのが好ましく、また適用可能な場合、本発明システムの任意の実施態様を本発明方法に適用してもよく、あるいは逆も成立する。
【0081】
当業者ならば、本発明システム内に必要な配管および/またはポンプを設け、異なるユニットおよび/または異なる装置間を流体接続できることを理解できるはずである。さらに、本発明システムに複数のスイッチ弁を設け、これら異なるユニットおよび/または装置間に流体を送ることも可能である。加えて、本発明の一実施態様のシステムおよび方法を実施するソフトウェアプログラムを利用することも可能である。
【0082】
以上説明してきたシステムおよび方法を使用して、任意の種類の生物や(ウイルスなどの)病原体に伴う安全リスクに関係なく、これら生体や病原体由来の生体分子や生成物を生成できるが、本発明はバイオセーフティーレベル3や4などのリスクのより高い病原体に対して特に有利である。限定を意図するわけではないが、本発明のシステムおよび方法はポリオウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎(WEE)ウイルス、SARSコロナウイルス、リフトバレー熱ウイルス、中央ヨーロッパ脳炎ウイルス、チクングニア熱ウイルス、黄熱ウイルス、ウエストナイルウイルス、マールブルグウイルス、エボラウイルス、ラッサウイルス、クリミア・ コンゴ出血熱ウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、痘瘡ウイルスなどのウイルス粒子(又はウイルス由来の生成物)の生成に特に有利である。
【0083】
さらに別な実施態様では、以上説明してきた封じ込めエンクロージャー室はそれ自体を、封じ込めエンクロージャー室を完全に取り囲む封じ込めユニット内に収容し、これによって“箱の中の箱”という技術思想(box-in-a-box concept)を具体化できる。外部バリヤを生成ユニットの周囲に設けることによっても、(特に上記生物を使用する場合に)本発明システムおよび方法の安全性を強化することができる。この封じ込めユニットの場合、封じ込めエンクロージャー室の周囲にモジュラー構造として存在できる。このようなモジュラー構成ないし構造には、生体分子や生成物の生成を補助するために必要なインフラやユニットを設けることができる。このような構造は、空気が制御された、密封可能かつ滅菌可能なクリーンルーム、供給/保存エリア、実験器具、エアコンシステム、空気、気体および/または流体を供給する接続装置、電源用接続装置、温度制御システム、圧力制御システムなどを有することができる。上記実施態様の一つに記載したように封じ込めエンクロージャー室を包囲するために好適な封じ込めユニットは、US20130109291に開示されている。
【0084】
一つの実施態様では、封じ込めエンクロージャー室を取り囲む上記ユニット内の第1封じ込めユニットまたは封じ込め室へのアクセスについては、封じ込めエンクロージャー室へのアクセスと同様に制御できる。封じ込めエンクロージャー室のプロセスユニットはドアと連絡、あるいはドアに接続することができるため、例えばプロセス制御装置が、封じ込めエンクロージャー室内で汚染除去や不活性化などの所要工程が生じたことを認識した場合に、あるいはエンクロージャー室内の生成が計画通りに、かつ事故を起こすことなく生じたことを認識した場合に、封じ込めユニットまたは特定の領域にアクセスすることができる。従って、問題が発生した時に付加的な安全バリヤを実現できる。
【0085】
別な実施態様では、封じ込めユニットそれ自体については、このユニットによって、および/またはこのユニット内で生じた処理操作、あるいはこのユニット内の所定領域によって生じた処理操作を記録するプロセス制御装置又はプロセッサーによって構成することができる。封じ込めユニットのこのプロセス制御装置については、ユニットまたはユニット内部の領域のアクセス性に従って決定すればよい。
【0086】
なお、本発明は以上説明してきた態様に制限されず、特許請求の範囲から逸脱することなく、実施例/実施態様に変更を加えることが可能である。
図面
【0087】
図1図5は、本発明の一実施態様に従って構成したシステムおよび封じ込めエンクロージャー室の各種構成を示す図である。なお、図示の実施態様のいずれにおいても滅菌ユニット5は適宜(任意に)使用するものである。また、図面に示す実施態様は本発明を制限するものではなく、これら以外の実施態様も特許請求の範囲に包摂されるものである。
【符号の説明】
【0088】
1:封じ込めエンクロージャー室
2:生成部、生成ユニット
3:精製ユニット、生成ユニット
4:第1不活性化ユニット、不活性化ユニット
4´:第2不活性化ユニット
5:滅菌ユニット
6:気体汚染除去ユニット
7:入り口手段
8:出口手段
9:プロセス制御装置
10:充填/操作終了ユニット
図1
図2
図3
図4
図5