(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
H01F 27/24 20060101AFI20240613BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01F27/24 W
H01F37/00 A
H01F37/00 S
H01F27/24 Q
(21)【出願番号】P 2020012118
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【氏名又は名称】松岡 修平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 勉
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-182852(JP,A)
【文献】特開平08-148352(JP,A)
【文献】特開2015-142122(JP,A)
【文献】特開2012-114190(JP,A)
【文献】特開2013-143454(JP,A)
【文献】特開2010-232272(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0093435(KR,A)
【文献】特開2013-179264(JP,A)
【文献】特開2008-028290(JP,A)
【文献】実開昭49-020049(JP,U)
【文献】実開昭63-010534(JP,U)
【文献】特開2007-129125(JP,A)
【文献】特開2017-163068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/24
H01F 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコア部材を接着剤で接合したコアと、
前記コアに巻き回されたコイルと、
を備え、
前記コアは、
前記コイルの中心軸と交差する位置に、前記接着剤による前記コア部材同士の接合部を有し、
前記接合部は、
前記中心軸の方向である軸方向における前記コイルの中心位置からずれた位置に配置され、
前記コアは、
一方向に長い基部と、前記基部の中央から前記基部と直交する方向に延び且つ前記コイルが巻き回される中脚部と、前記基部の両端から前記中脚部と平行に延びる一対の外脚部と、を有する一対のE型コアを有し、一方の前記E型コアの中脚部の突合せ面と、他方の前記E型コアの中脚部の突合せ面と、が前記接合部を介して接合されており、
前記一方のE型コアの中脚部が前記他方のE型コアの中脚部よりも長く形成されたことにより、前記接合部が前記コイルの中心位置からずれて位置し、
前記一方のE型コアの外脚部が前記他方のE型コアの外脚部よりも短く形成され、
前記接合部は、該接合部と前記中心位置との前記軸方向における距離dを、前記コアの端面と前記中心位置との前記軸方向における距離Dで割った値で示される比率Rが0.5以上となる位置に配置された、
コイル装置。
【請求項2】
複数のコア部材を接合したコアと、
前記コアに巻き回されたコイルと、
を備え、
前記コアは、
前記コイルの中心軸と交差する位置に、前記コア部材同士の接合部を有し、
前記接合部は、
接合されるコア部材間に介在配置されるギャップ部材と、
前記ギャップ部材を前記接合されるコア部材間に接着固定する接着層と、
を含み、
前記中心軸の方向である軸方向における前記コイルの中心位置からずれた位置に配置され、
前記コアは、
一方向に長い基部と、前記基部の中央から前記基部と直交する方向に延び且つ前記コイルが巻き回される中脚部と、前記基部の両端から前記中脚部と平行に延びる一対の外脚部と、を有する一対のE型コアを有し、一方の前記E型コアの中脚部の突合せ面と、他方の前記E型コアの中脚部の突合せ面と、が前記接合部を介して接合されており、
前記一方のE型コアの中脚部が前記他方のE型コアの中脚部よりも長く形成されたことにより、前記接合部が前記コイルの中心位置からずれて位置し、
前記一方のE型コアの外脚部が前記他方のE型コアの外脚部よりも短く形成され、
前記接合部は、該接合部と前記中心位置との前記軸方向における距離dを、前記コアの端面と前記中心位置との前記軸方向における距離Dで割った値で示される比率Rが0.5以上となる位置に配置された、
コイル装置。
【請求項3】
前記接合部は、
前記コイルの内側に配置される、
請求項1又は請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記コアは、
熱伝導率が50W/m・K以下である、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記コア及び前記コイルを覆う放熱部
を更に備え、
前記放熱部は、
熱伝導率が20W/m・K以下である、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のコイル装置。
【請求項6】
複数のコア部材を接着剤で接合したコアと、
前記コアに巻き回されたコイルと、
を備え、
前記コアは、
前記コイルの中心軸と交差する位置に、前記接着剤による前記コア部材同士の接合部を有し、
前記接合部は、
前記コイル及び前記コアによる発熱によって
コイル装置の中で最も高温になる位置からずれた位置に配置され、
前記コアは、
一方向に長い基部と、前記基部の中央から前記基部と直交する方向に延び且つ前記コイルが巻き回される中脚部と、前記基部の両端から前記中脚部と平行に延びる一対の外脚部と、を有する一対のE型コアを有し、一方の前記E型コアの中脚部の突合せ面と、他方の前記E型コアの中脚部の突合せ面と、が前記接合部を介して接合されており、
前記一方のE型コアの中脚部が前記他方のE型コアの中脚部よりも長く形成されたことにより、前記接合部が前記最も高温になる位置からずれて位置し、
前記一方のE型コアの外脚部が前記他方のE型コアの外脚部よりも短く形成され、
前記接合部は、該接合部と前記中心位置との前記軸方向における距離dを、前記コアの端面と前記中心位置との前記軸方向における距離Dで割った値で示される比率Rが0.5以上となる位置に配置された、
コイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル及びコイルが発生する磁束の磁路を形成するコアを備えるコイル装置が知られている。例えば特許文献1に、この種のコイル装置の具体的構成が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のコイル装置は、一対のE型コアを備える。コイルの内側において、一対のE型コアの中脚部は、コイルの軸方向における中心位置で互いの突合せ面が突き合わされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のコイル装置では、一対のE型コアの外脚部において互いの突合せ面が接着剤によって接合される一方、中脚部においては、互いの突合せ面が接合されず、単に突き合わされるだけである。例えばコイル装置の用途によっては、この構成では、E型コアの接合強度が足りないこともある。コイル装置によっては、接合強度を向上させるため、中脚部同士も接着剤で接合する必要がある。
【0006】
特許文献1に記載のコイル装置は、中脚部の突合せ部分が、コイル装置の最大の発熱源であるコイルに囲われており、且つ放熱部材(例えばケース)から距離が離れているため、中脚部の突合せ部分の周囲で最も高温になる。中脚部を接着剤で接合した場合、高温にさらされるこの接合部の温度が接着剤の耐熱温度を超えないようにコイル装置を設計しなければならない。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、接着剤を用いたコアの接合部での温度上昇を低減させることが可能なコイル装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るコイル装置は、複数のコア部材を接着剤で接合したコアと、コアに巻き回されたコイルと、を備える。コアは、コイルの中心軸と交差する位置に、接着剤によるコア部材同士の接合部を有する。接合部は、中心軸の方向である軸方向におけるコイルの中心位置からずれた位置に配置される。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係るコイル装置は、複数のコア部材を接合したコアと、コアに巻き回されたコイルと、を備える。コアは、コイルの中心軸と交差する位置に、コア部材同士の接合部を有する。接合部は、接合されるコア部材間に介在配置されるギャップ部材と、ギャップ部材を、接合されるコア部材間に接着固定する接着層と、を含み、中心軸の方向である軸方向におけるコイルの中心位置からずれた位置に配置される。
【0010】
このように、軸方向におけるコイルの中心位置からずれた位置に接合部を配置することにより、接合部での温度上昇が、当該中心位置にある場合と比べて低減する。
【0011】
本発明の一実施形態において、接合部はコイルの内側に配置されてもよい。
【0012】
接着剤によって形成された接合部32は、コアの実効透磁率を調整するためのギャップとして作用する。この種のギャップがコイルの外側に配置される構成では、ギャップ付近で漏れ磁束が多く発生してしまう。上記の構成では、接合部をコイルの内側に配置することにより、漏れ磁束による損失が抑制される。
【0013】
本発明の一実施形態において、コアは、熱伝導率が例えば50W/m・K以下である。コアを50W/m・K以下の材料(言い換えると冷め難い材料)で構成することにより、通電時における接合部での温度上昇を低減する効果がより一層得られる。
【0014】
本発明の一実施形態に係るコイル装置は、コア及びコイルを覆う放熱部を更に備える構成としてもよい。この放熱部は、熱伝導率が例えば20W/m・K以下である。放熱部を20W/m・K以下の材料(言い換えると冷め難い材料)で構成することにより、通電時における接合部での温度上昇を低減する効果がより一層得られる。
【0015】
本発明の一実施形態において、接合部は、距離dを距離Dで割った値で示される比率が0.5以上となる位置に配置されてもよい。なお、距離dは、接合部と中心位置との、軸方向の距離を示し、距離Dは、コアの端面と中心位置との、軸方向の距離を示す。このように、接合部を上記比率が0.5以上となる位置に配置することにより、通電時における接合部での温度上昇を低減する効果がより一層得られる。
【0016】
本発明の一実施形態において、コアは、一方向に長い基部と、基部の中央から基部と直交する方向に延び且つコイルが巻き回される中脚部と、基部の両端から中脚部と平行に延びる一対の外脚部と、を有する一対のE型コアを有し、一方のE型コアの中脚部の突合せ面と、他方のE型コアの中脚部の突合せ面と、が接合部を介して接合されており、一方のE型コアの中脚部が他方のE型コアの中脚部よりも長く形成されたことにより、接合部がコイルの中心位置からずれて位置する構成としてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係るコイル装置は、複数のコア部材を接着剤で接合したコアと、コアに巻き回されたコイルと、を備える。コアは、コイルの中心軸と交差する位置に、接着剤によるコア部材同士の接合部を有する。接合部は、コイル及びコアによる発熱によってコイル装置の中で最も高温になる位置からずれた位置に配置される。
【0018】
このように、コイル装置の中で最も高温になる位置からずれた位置に接合部を配置することにより、接合部での温度上昇が、当該高温になる位置にある場合と比べて低減する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態によれば、接着剤を用いたコアの接合部での温度上昇を低減させることが可能なコイル装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコイル装置の分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るコイル装置の切断面図である。
【
図4A】コアの中脚部の接合部の位置と温度との関係を示す表である。
【
図4B】温度低減指標ΔT1と比率Rとの関係を示すグラフである。
【
図5】本発明の変形例1に係るコイル装置が備えるコイル及びコアの概略構成を示す断面図である。
【
図6A】中脚部の接合部の位置及びコアの熱伝導率TCと接合部の温度との関係を示す表である。
【
図6B】温度低減指標ΔT2と熱伝導率TCとの関係を示すグラフである。
【
図7A】中脚部の接合部の位置及び放熱部の熱伝導率THと接合部の温度との関係を示す表である。
【
図7B】温度低減指標ΔT3と熱伝導率THとの関係を示すグラフである。
【
図8】本発明の変形例2に係るコイル装置が備えるコイル及びコアの概略構成を示す断面図である。
【
図9】本発明の変形例3に係るコイル装置が備えるコイル及びコアの概略構成を示す断面図である。
【
図10】本発明の変形例4に係るコイル装置が備えるコイル及びコアの概略構成を示す断面図である。
【
図11】本実施形態に係る中脚部間の接合部の変形例を示す概略構成図である。
【
図12】本実施形態に係る外脚部間の接合部の変形例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一の又は対応する構成要素には、同一の又は対応する符号を付して、重複する説明を省略する。
【0022】
図1、
図2は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るコイル装置1の斜視図、分解斜視図である。コイル装置1は、例えば車載用のリアクトルである。なお、コイル装置1は、リアクトルに限定されず、例えば、インダクタ等の、コイル及びコアを有する別の装置であってもよい。コイル装置1はあくまで本発明の実施形態の一例にすぎず、本発明の実施形態の構成はこれに限定されることなく適宜変更が可能である。
【0023】
図1及び
図2に示されるように、コイル装置1は、コイル10及びコア20を備える。なお、コイル10の中心軸AX(言い換えると巻線の巻軸)方向(本実施形態では「軸方向」ともいう。)と平行な方向をY方向とし、Y方向と直行し且つ互いに直交する2方向をX方向、Z方向と記す。
図3は、中心軸AXを含むYZ面でコイル装置1を切断したときの切断面図である。
【0024】
コイル10は、コア20に巻き回されたものであり、具体的には、エナメル等で絶縁被覆された導線を螺旋状に巻いたものである。導線の線材としては、例えば銅やアルミ等が使用される。コイル10は、丸線を用いたものであってもよく、エッジワイズコイル等の平角線を用いたものであってもよい。また、コイル10は、例えば銅箔コイルや銅条コイル等、箔や条の形態の導体から形成してもよい。
【0025】
コア20は、複数のコア部材であるE型コア20A及び20Bを有する。E型コア20Aは、一方向(具体的にはX方向)に長い基部21Aと、基部21Aの中央から基部21Aと直交する方向(Y方向)に延びる中脚部22Aと、基部21Aの両端から中脚部22Aと平行に延びる一対の外脚部23Aと、が一体に形成されたものである。E型コア20Bは、X方向に長い基部21Bと、基部21Bの中央から基部21Bと直交する方向に延びる中脚部22Bと、基部21Bの両端から中脚部22Bと平行に延びる一対の外脚部23Bと、が一体に形成されたものである。E型コア20Aと20Bは、中脚部22Aと22Bの長さ(Y方向の長さ)が異なる点以外は同じ寸法及び形状を有する。
【0026】
E型コア20A及び20Bは、例えば圧粉磁心である。E型コア20A及び20Bは、フェライトコアでもよく、また、ケイ素鋼板等の電磁鋼板を積層して形成した積層コアでもよい。また、E型コア20A及び20Bは、複数種類の磁心を組み合わせて形成されてもよい。
【0027】
コア20は、コイル10の内側10Aにおいて中脚部22Aの突合せ面22aと中脚部22Bの突合せ面22bとが突き合わされるとともに、コイル10の外側の両脇において外脚部23Aの突合せ面23aと外脚部23Bの突合せ面23bとが突き合わされることにより、コイル10が発生する磁束の磁路(より詳細には閉磁路)を構成する。
【0028】
突き合わされた各脚部の突合せ面は、接着剤によって接合される。突合せ面22aと突合せ面22bとの接合部を「接合部32」と記し、突合せ面23aと突合せ面23bとの接合部を「接合部33」と記す。補足すると、接合部32は、コイル10の内側10Aに配置され、中心軸AXと交差する位置の接合部である。接合部33は、コイル10の外側に位置し、コイル10の中心位置を通り且つ中心軸AXと直交する線Lを含むXZ面に配置された接合部である。
【0029】
図1に示されるように、コイル装置1は、箱型のケース40に収容される。コイル装置1が収容されたケース40内の隙間には、電気絶縁性及び熱伝導性が比較的に優れた充填材が充填される。この隙間に充填された充填材が固化することにより、ケース40内に放熱部50が形成される。コイル装置1で発生した熱は、放熱部50を介してケース40に伝わる。すなわち、コイル10、E型コア20A及び20Bは放熱部50によって覆われて、その熱が放熱部50を介してケース40に伝わる。なお、
図1及び
図2では、便宜上、一部の構成要素(接合部32、放熱部50等)の図示を省略している。
【0030】
放熱部50は、例えばエポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂で構成される。なお、放熱部50に代えて、放熱性シートをコイル10やE型コア20A、20Bに密着させることにより、コイル装置1の放熱性を向上させてもよい。
【0031】
通電時におけるコイル10及びコア20の損失によりコイル装置1が発熱する。コイル10の線径が細くなるほど抵抗が増加して損失が増加し、また、コア20を小型にするほど磁束密度が増加して鉄損が増加する。そのため、コイル装置1は小型化するほど発熱時の温度上昇が大きくなる。
【0032】
通電時、コイル装置1の中でケース40や放熱部50に近い部分では比較的温度が上昇し難い一方、ケース40や放熱部50から遠い部分では、熱が逃げにくいため温度が上昇しやすい。本実施形態に係るコイル装置1では、コア20内の位置P(
図3参照)が最も高温になる。この位置Pは、中心軸AX方向におけるコイル10の中心位置であり、コイル10の内側10Aに位置する。
【0033】
位置Pは、コイル装置1の最大の発熱源であるコイル10に囲われており、且つコア20のコイル10に囲われた部分の中でもケース40や放熱部50との距離が最も遠い。なお、上記の距離は、ケース40や放熱部50との直線距離でなく放熱経路の長さである。位置Pの熱は、主に、コイル10の両端の開口を通じてコイル10の外側に伝わった後に、放熱部50を介してケース40に伝わる。このように、位置Pの熱は、ケース40や放熱部50に直に伝わらず、上記の如き長い経路を経て放射される。
【0034】
このように、位置Pは、コイル10に囲われていることと、ケース40や放熱部50との距離が遠いこととが相俟って、コイル装置1内で最も高温になる。
【0035】
本実施形態に係るコイル装置1は、接合部32が中心軸AX方向におけるコイル10の中心位置である位置Pからずれた位置に配置されるように構成される。言い換えると、コイル装置1は、接合部32がコイル10及びコア20による発熱によってコイル装置1の中で最も高温になる位置からずれた位置に配置されるように構成される。
【0036】
中心軸AX方向におけるコイル10の中心位置である位置Pは、コイル装置1の中で最も高温になる、典型的な位置である。実際の使用状態(例えばコイル装置1を冷却する冷却板がコイル装置1のどの箇所に取り付けられているか等)によっては、コイル装置1の中で最も高温になる位置が位置P以外の位置になることもある。実際の使用状態を考慮して接合部32を配置した構成(すなわち、実際の使用時においてコイル装置1の中で最も高温になる位置からずれた位置に接合部32を配置した構成)も本発明の範疇である。
【0037】
一対のE型コアよりなる一般的なEEコアは、同一形状及び同一寸法のE型コアを突き合せた構成となっている。これに対し、本実施形態に係るコイル装置1では、E型コア20Aの中脚部22Aの長さがE型コア20Bの中脚部22Bの長さよりも長く形成されたことにより、接合部32が位置Pからずれて位置したものとなっている。すなわち、本実施形態では、同一形状及び同一寸法であることが一般的であった一対のE型コアの形状を異ならせたものとすることにより、接合部32を位置Pからずれた位置に配置している。
【0038】
本実施形態によれば、接合部32をコイル装置1内で最も高温になる位置Pからずれた位置に配置したことにより、位置Pよりも温度の低い接合部32が配置された位置の温度が接着剤の耐熱温度を超えないようにコイル装置1を設計すればよい。言い換えると、接合部32を位置Pからずれた位置に配置したことにより、通電時における接合部32での温度上昇が低減するとともに、接合部32が位置Pにないことにより、位置Pで許容される温度が上がる。そのため、コイル装置1を小型に設計しやすくなっている。
【0039】
接合部32は、接着剤によって形成されており、コア20の実効透磁率を調整するためのギャップとして作用する。この種のギャップがコイル10の外側に配置される構成では、ギャップ付近で漏れ磁束が多く発生してしまう。本実施形態では、このような漏れ磁束による損失を抑制するため、接合部32がコイル10の内側10Aに配置される。
【0040】
外脚部23Aの突合せ面23aと外脚部23Bの突合せ面23bとを突き合せて両者を接着剤で接合する都合上、外脚部23Aと外脚部23Bの一方の長さを短く形成すると、外脚部23Aと外脚部23Bの他方の長さを長く形成することとなる。一般に、コアをプレス成形するために必要な力はコアの面積に比例する。外脚部23Aや23Bが長尺な形状であるほど、外脚部の面積の増加に伴い、プレス成形するために必要な力が増加するため、プレス金型が受ける負荷(金型に発生する応力)が大きくなってしまう。そのため、本実施形態では、外脚部23Aと外脚部23Bの両方が長尺形状になりすぎないように、外脚部23Aと外脚部23Bの長さ(Y方向の長さ)が同じに揃えられている。外脚部23Aと外脚部23Bの長さが同じに揃えられた結果、接合部33は、中心軸AX方向におけるコイル10の中心位置を通り且つ中心軸AXと直交する線Lを含むXZ面に配置されている。
【0041】
次に、コイル装置1の数値実施例と比較例のコイル装置を説明する。比較例のコイル装置は、コアが同一形状の一対のE型コアを突き合せて各突合せ面を接着剤で接合したEEコアである点を除き、コイル装置1と同じ構成を有する。
【0042】
数値実施例のコイル装置1と比較例のコイル装置は、次の事項が共通する。
・コアの熱伝導率 :10W/m・K
・コアの体積 :147.6cm3
・中脚部の断面積 :900mm2(30mm(X方向)×30mm(Z方向))
・外脚部の断面積 :450mm2(15mm(X方向)×30mm(Z方向))
・基部の断面積 :450mm2(15mm(Y方向)×30mm(Z方向))
・コイルの全長 :36mm
・コイルの体積 :35.8cm3
・コイルの巻線の巻き数:17ターン
・ケースの熱伝導率 :96W/m・K
・放熱部の熱伝導率 :3W/m・K
・電圧 :100Vと260V間で昇降圧
・周波数 :20kHz
・コアの鉄損 :40W
・コイルの銅損 :50W
【0043】
図4Aは、接合部32(及び比較例のコアの中脚部同士の接合部)の位置と温度との関係を示す表である。
図4A中、「距離d」は、位置Pと接合部32との、中心軸AX方向の距離(単位:mm)を示す。コア20の端面(より詳細には、E型コア20Bの端面24B)と位置Pとの、中心軸AX方向の距離Dは35mmである。「比率R」は、距離dを距離Dで割った値であり、0~1の値を取る。「上昇温度ΔT」は、通電時における接合部32周囲のコア20の上昇温度(単位:℃)を位置毎に示したものである。「温度低減指標ΔT1」は、位置Pでのコアの上昇温度(=25.2℃)を100%とするものであり、100×(上昇温度ΔT/25.2℃)で示される。温度低減指標ΔT1の単位は%である。
【0044】
比較例に係るコアは、同一形状の一対のE型コアを突き合せた構成であることから、中脚部同士の接合部(すなわち接合部32に相当する接合部)は、距離dが0mmとなる位置に配置される。これに対し、本実施例では、接合部32は、距離dが17.5mmとなる位置に配置される。なお、コイル10の端面10Bは、距離dが18mm(すなわちコイル10の全長の半分)となる位置に配置される。このことから、接合部32がコイル10の内側10Aに配置されていることが判る。
【0045】
図4Aに示されるように、比較例のコアの中脚部同士の接合部の位置(すなわち、距離dが0mmとなる位置)では上昇温度が25.2℃であるのに対し、接合部32の位置(すなわち、距離dが17.5mmとなる位置)では上昇温度が22.0℃である。このように、本実施例では、比較例と比べて、通電時における中脚部同士の接合部周囲のコアの温度上昇が低減し、接合部の温度上昇も低減する。
【0046】
図4Bは、
図4Aの温度低減指標ΔT1を縦軸とし、
図4Aの比率Rを横軸としたグラフである。
図4Bに示されるよう、比率Rが0.5以上(言い換えると、距離dが17.5mm以上)になると、温度低減指標ΔT1が90%を下回っており、また、比率Rに対する温度低減指標ΔT1の低下率が急激に高くなっている。すなわち、比率が0.5以上となる位置に接合部32を配置することにより、通電時における接合部32での温度上昇を低減する効果がより一層得られることが判る。
【0047】
上述したように、コイル装置は小型化するほど発熱時の温度上昇が大きくなる。ここで、比較例のコアの中脚部同士の接合部周囲の上昇温度(=25.2℃)が許容値である点に鑑みると、本実施例のコイル装置1において、接合部32周囲のコアの上昇温度が22.0℃から25℃付近に増加したとしても実質的に差し支えないものと考えられる。この観点から、コイル装置1は、比較例のコイル装置よりも小型に設計することができる。
【0048】
下記は、小型に設計されたコイル装置1の数値データを示す。
・コアの熱伝導率 :10W/m・K
・コアの体積 :115.5cm3
・中脚部の断面積 :750mm2(25mm(X方向)×30mm(Z方向))
・外脚部の断面積 :375mm2(12.5mm(X方向)×30mm(Z方向))
・基部の断面積 :375mm2(12.5mm(Y方向)×30mm(Z方向))
・コイルの全長 :36mm
・コイルの体積 :33.5cm3
・コイルの巻線の巻き数:17ターン
・ケースの熱伝導率 :96W/m・K
・放熱部の熱伝導率 :3W/m・K
・電圧 :100Vと260V間で昇降圧
・周波数 :20kHz
・コアの鉄損 :45W
・コイルの銅損 :47W
【0049】
小型に設計されたコイル装置1では、小型化による副作用として位置P(距離dが0mmとなる位置)でのコアの上昇温度が29.0℃に増加するものの、接合部32周囲の(距離dが17.5mmとなる位置での)コアの上昇温度は25.0℃、すなわち許容値に収まる。このコイル装置1では、比較例のコイル装置に対し、コアの体積が20%以ダウンしている。更には、コイルの体積もダウンしている。すなわち、接合部32が位置Pにないことによって位置Pで許容される温度が上がるため、コイル装置1の小型化が達成されている。
【0050】
図5は、本発明の変形例1に係るコイル装置が備えるコイル10及びコア201の構成を示す模式図である。
図5をはじめとする以降の各変形例のコイル及びコアの模式図は、中心軸AXを含むXY面でコイル及びコアを切断したときの切断面図となっている。
【0051】
図5に示されるように、変形例1に係るコア201は、略E字のコア201A及び略U字のコア201Bを有する。
【0052】
コア201Aは、中脚部221Aを有する。中脚部221Aは、上記実施形態に係るE型コア20Aの中脚部22AよりもY方向に長く形成されており、その突合せ面221aがコイル10の外側に突出する。コア201Aは、中脚部221AのY方向の長さが中脚部22Aと異なる点以外、上記実施形態に係るE型コア20Aと同じ寸法及び形状を有する。
【0053】
コア201Bは、基部211Bを有する。基部211Bの中央部には、Y方向に凹む凹部211bが形成される。コア201Bは、上記実施形態に係るE型コア20Bから中脚部22Bを無くすとともに基部211Bに凹部211bが形成された点以外、E型コア20Bと同じ寸法及び形状を有する。
【0054】
変形例1では、基部211Bの凹部211bに中脚部221Aの先端部が挿入され、挿入された中脚部221Aの先端部が接着剤によって凹部211b内に接合される。中脚部221Aの突合せ面221aと凹部211bとの接合部を「接合部321」と記す。
【0055】
変形例1では、中脚部22Aの突合せ面221aがコイル10の外側に突出して位置するため、接合部321もコイル10の外側に配置されることとなる。
【0056】
図6A及び
図7Aに、接合部32の温度のシミュレーション結果を示す。
図6Aは、接合部32の位置及びコアの熱伝導率TC(単位:W/m・K)と接合部32周囲のコアの上昇温度との関係を示す表である。
図7Aは、接合部32の位置及び放熱部50の熱伝導率TH(単位:W/m・K)と接合部32周囲のコアの上昇温度との関係を示す表である。
図6A及び
図7Aでは、上記実施形態に係るコイル装置1(
図1~
図3参照)と、変形例1に係るコイル装置(
図5参照)のそれぞれについて上記の各関係を示す。なお、これらのコイル装置の数値条件は、熱伝導率TC及びTHを除き、
図4Aの数値条件と同じものである。また、変形例1において、接合部321は、距離dが28.0mm(比率Rが0.8)となる位置に配置される。また、
図6Aでは、7つの水準の熱伝導率TC(具体的には、5W/m・K、10W/m・K、20W/m・K、50W/m・K、100W/m・K、200W/m・K、400W/m・K)について計算された上昇温度が示されている。なお、
図6Aに結果が示されるシミュレーションにおいて、熱伝導率THは一定の値(3W/m・K)に設定されている。また、
図7Aでは、7つの水準の熱伝導率TH(具体的には、1W/m・K、3W/m・K、8.5W/m・K、20W/m・K、50W/m・K、100W/m・K、300W/m・K)について計算された上昇温度が示されている。なお、
図7Aに結果が示されるシミュレーションにおいて、熱伝導率TCは一定の値(10W/m・K)に設定されている。
【0057】
図6Bは、
図6Aにおける温度低減指標ΔT2を縦軸とし、
図6Aの熱伝導率TCを横軸としたグラフである。
図7Bは、
図7Aにおける温度低減指標ΔT3を縦軸とし、
図7Aの熱伝導率THを横軸としたグラフである。なお、「温度低減指標ΔT2」は、位置Pでのコアの上昇温度(但し、この温度(単位:℃)は熱伝導率TC毎に変わる)を100%とするものであり、ΔT2=100×(上昇温度ΔT/位置Pでの上昇温度)で示される。また、「温度低減指標ΔT3」は、位置Pでのコアの上昇温度(但し、この温度(単位:℃)は熱伝導率TH毎に変わる)を100%とするものであり、ΔT3=100×(上昇温度ΔT/位置Pでの上昇温度)で示される。温度低減指標ΔT2及びΔT3の単位は%である。例えば、熱伝導率TCが50W/m・Kで距離dが17.5mmの場合、温度低減指標ΔT2は、16.3℃/17.6℃≒93%となる。また、熱伝導率THが20W/m・Kで距離dが17.5mmの場合、温度低減指標ΔT3は、15.0℃/16.4℃≒91%となる。
【0058】
図6B中、実線は、上記実施形態に係るコイル装置1(
図1~
図3参照)の温度低減指標ΔT2を示し、破線は、変形例1に係るコイル装置(
図5参照)の温度低減指標ΔT2を示す。
図7B中、実線は、上記実施形態に係るコイル装置1の温度低減指標ΔT3を示し、破線は、変形例1に係るコイル装置の温度低減指標ΔT3を示す。
【0059】
図6Bに示されるよう、熱伝導率TCが50W/m・K以下になると、上記実施形態に係るコイル装置1と、変形例1に係るコイル装置の何れにおいても、熱伝導率TCに対する温度低減指標ΔT2の低下率が急激に高くなっている。すなわち、熱伝導率TCが50W/m・K以下の材料(言い換えると冷め難い材料)でコアが構成される場合、通電時における接合部32での温度上昇を低減する効果がより一層得られることが判る。
【0060】
図7Bに示されるよう、熱伝導率THが20W/m・K以下になると、上記実施形態に係るコイル装置1と、変形例1に係るコイル装置の何れにおいても、熱伝導率THに対する温度低減指標ΔT3の低下率が急激に高くなっている。すなわち、熱伝導率THが20W/m・K以下の材料(言い換えると冷め難い材料)で放熱部50が構成される場合、通電時における接合部32での温度上昇を低減する効果がより一層得られることが判る。
【0061】
図8は、本発明の変形例2に係るコイル装置が備えるコイル10及びコア202の構成を示す模式図である。
図8に示されるように、変形例2に係るコア202は、コア202A及びコア202Bを有する。
【0062】
コア202Aは、一対の外脚部232Aを有する。外脚部232Aは、上記実施形態に係るE型コア20Aの外脚部23AよりもY方向に短く形成される。コア202Aは、外脚部232AのY方向の長さが外脚部23Aと異なる点以外、上記実施形態に係るE型コア20Aと同じ寸法及び形状を有する。
【0063】
コア202Bは、一対の外脚部232Bを有する。外脚部232Bは、上記実施形態に係るE型コア20Bの外脚部23BよりもY方向に長く形成される。コア202Bは、外脚部232BのY方向の長さが外脚部23Bと異なる点以外、上記実施形態に係るE型コア20Bと同じ寸法及び形状を有する。
【0064】
一般に、コアの体積が大きいほど、コアの成形に必要なプレス金型が大型化する。そこで、変形例3では、長い中脚部を持つコア202Aの外脚部232Aを短く形成するとともに短い中脚部を持つコア202Bの外脚部232Bを長く形成することにより、コア202Aとコア202Bとの体積差を小さく抑えている。外脚部232Aと外脚部232Bの両方の体積が大きくなりすぎないため、プレス金型の大型化が抑えられる。
【0065】
接着剤によるコア202Aの中脚部とコア202Bの中脚部との接合部を「接合部322」と記す。変形例2においても、接合部322をコイル装置内で最も高温になる位置Pからずれた位置に配置したことにより、位置Pよりも温度の低い接合部322が配置された位置の温度が接着剤の耐熱温度を超えないようにコイル装置を設計すればよい。そのため、コイル装置を小型に設計しやすくなっている。
【0066】
図9は、本発明の変形例3に係るコイル装置が備えるコイル10及びコア203の構成を示す模式図である。
図9に示されるように、変形例3に係るコア203は、略U字のコア203A及び203Bを有する。
【0067】
変形例3に係るコイル装置では、最も高温になる箇所が2箇所(
図9に示される2つの位置P’)ある。位置P’は、コイル10の中心軸AX’方向におけるコイル10の中心位置であり、コイル10の内側10Aに位置する。位置P’は、上記実施形態に係るコイル装置1(
図1~
図3参照)の位置Pと同様の理由により、コイル装置の中で最も高温になる。
【0068】
変形例3では、コア203Aの各脚部213Aの長さがコア203Bの各脚部213Bの長さよりも長い。これにより、接着材による脚部213Aと脚部213Bとの接合部323が位置P’からずれた位置に配置されたものとなっている。そのため、変形例3においても、コイル装置を小型に設計しやすくなっている。
【0069】
図10は、本発明の変形例4に係るコイル装置が備えるコイル10及びコア204の構成を示す模式図である。
図10に示されるように、変形例4に係るコア204は、一対の略J字のコア204Aを有する。
【0070】
変形例4に係るコイル装置においても変形例3に係るコイル装置と同様に、2箇所の位置P’が最も高温になる。
【0071】
コア204Aは、Y方向に長い長脚部214Aと、長脚部214Aよりも短い短脚部224Aを有する。変形例4では、一対のコア204Aの一方の長脚部214Aと他方の短脚部224Aとが接着剤によって接合されるとともに、上記一方の短脚部224Aと上記他方の長脚部214Aとが接着剤によって接合される。前者の接合部を「接合部324」と記し、後者の接合部を「接合部334」と記す。
【0072】
変形例4では、長脚部214Aの長さが短脚部224Aの長さよりも長いことにより、接合部324及び接合部334が位置Pからずれて位置したものとなっている。そのため、変形例4においても、コイル装置を小型に設計しやすくなっている。
【0073】
以上が本発明の実施形態の説明であるが、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。例えば明細書中に記載された一つ以上の実施形態の技術構成の少なくとも一部と周知の技術構成とを適宜組み合わせたものも本発明の実施形態に含まれる。
【0074】
図11は、本実施形態に係る接合部32の変形例を示す概略構成図である。本実施形態において、接合部32は、接着剤による接着層であるが、
図11に示される変形例では、中脚部22Aと中脚部22B間にギャップ部材(板状のスペーサ)32aを介在させて接着固定した構成に置き換えてもよい。すなわち、接合部32は、接合されるコア部材間に介在配置されるギャップ部材と、ギャップ部材を、接合されるコア部材間に接着固定する接着層とを含むものであり、具体的には、中脚部22Aとギャップ部材32aとを接合する接着層32bと、ギャップ部材32aと、ギャップ部材32aと中脚部22Bとを接合する接着層32b、の3層で構成されてもよい。
【0075】
図12は、本実施形態に係る接合部33の変形例を示す概略構成図である。本実施形態において、接合部33は、接着剤による接着層であるが、
図12に示される変形例では、外脚部23Aと外脚部23B間にギャップ部材(板状スペーサ)33aを介在させて接着固定した構成に置き換えてもよい。すなわち、接合部33も、接合されるコア部材間に介在配置されるギャップ部材と、ギャップ部材を、接合されるコア部材間に接着固定する接着層とを含むものであり、具体的には、外脚部23Aとギャップ部材33aとを接合する接着層33bと、ギャップ部材33aと、ギャップ部材33aと外脚部23Bとを接合する接着層33b、の3層で構成されてもよい。
【0076】
なお、ギャップ部材は、中脚部間にだけ又は外脚部間にだけ介在配置されてもよく、また、中脚部間及び外脚部間に介在配置されてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 コイル装置
10 コイル
20 コア
20A,20B E型コア
21A,21B 基部
22A,22B 中脚部
23A,23B 外脚部
30 接合部
40 ケース
50 放熱部