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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】プレスブレーキ
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/02 20060101AFI20240613BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B21D5/02 W
B21D43/00 S
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020024124
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021126691
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】山本 有馬
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-072735(JP,A)
【文献】特開平02-180588(JP,A)
【文献】特開平01-197013(JP,A)
【文献】特開2017-192971(JP,A)
【文献】特開2010-064088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/02
B21D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレスブレーキの下部フレームの正面側に左右方向に間隔を置いて設けられ、前後方向に延びた複数のテーブルベースと、
各テーブルベースに前後方向へ移動可能に設けられ、前後方向に延び、ワークを支持するサポートテーブルと、
下金型の高さの変更に応じて、各サポートテーブルをその前後方向の移動に連動して、第1テーブル高さ位置と前記第1テーブル高さ位置よりも高い第2テーブル高さ位置との間で昇降させるテーブル昇降機構と、を備え
各テーブル昇降機構は、
各テーブルベースに前後方向に間隔を置いて設けられ、下方向に凹んだ複数の係合凹部と、
各サポートテーブルに前後方向に間隔を置いて設けられ、各係合凹部に係脱可能であって、下方向に突出した複数の係合凸部と、
各テーブルベースと各サポートテーブルとの間に連結するように設けられ、前後方向に間隔を置いて配置され、前後方向へ揺動可能な複数の連結リンクと、を備えることを特徴とするプレスブレーキ。
【請求項2】
各係合凹部が平坦な底面を有し、各係合凸部が前記係合凹部の前記底面及び各テーブルベースの上面のいずれかに選択的に面接触する平坦な先端面を有していることを特徴とする請求項に記載のプレスブレーキ。
【請求項3】
プレスブレーキの下部フレームの正面側に左右方向に間隔を置いて設けられ、前後方向に延びた複数のテーブルベースと、
各テーブルベースに前後方向へ移動可能に設けられ、前後方向に延び、ワークを支持するサポートテーブルと、
下金型の高さの変更に応じて、各サポートテーブルをその前後方向の移動に連動して、第1テーブル高さ位置と前記第1テーブル高さ位置よりも高い第2テーブル高さ位置との間で昇降させるテーブル昇降機構と、を備え
各テーブル昇降機構は、
各テーブルベースに前後方向に間隔を置いて設けられ、水平方向に対して傾斜した傾斜部を有した複数のカム溝と、
各サポートテーブルに前後方向に間隔を置いて設けられ、各カム溝に係合した状態で摺動する摺動子と、を備えることを特徴とするプレスブレーキ。
【請求項4】
プレスブレーキの下部フレームの正面側に左右方向に間隔を置いて設けられ、前後方向に延びた複数のテーブルベースと、
各テーブルベースに前後方向へ移動可能に設けられ、前後方向に延び、ワークを支持するサポートテーブルと、
下金型の高さの変更に応じて、各サポートテーブルをその前後方向の移動に連動して、第1テーブル高さ位置と前記第1テーブル高さ位置よりも高い第2テーブル高さ位置との間で昇降させるテーブル昇降機構と、を備え、
各テーブル昇降機構は、
各テーブルベースに前後方向に間隔を置いて設けられ、水平方向に対して傾斜した傾斜面を有した複数のガイド凹部と、
各サポートテーブルに前後方向に間隔を置いて設けられ、各ガイド凹部の前記傾斜面に沿って転動する転動子と、を備えることを特徴とするプレスブレーキ。
【請求項5】
各サポートテーブルを前記第2テーブル高さ位置に位置させた状態で各テーブルベースに対して昇降不能に保持するロック機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載のプレスブレーキ。
【請求項6】
各サポートテーブルを前記第2テーブル高さ位置から前記第1テーブル高さ位置に下降させる際の衝撃を吸収する第1ショックアブソーバと、
各サポートテーブルを前記第1テーブル高さ位置から前記第2テーブル高さ位置に上昇させる際の衝撃を吸収する第2ショックアブソーバと、を備えることを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載のプレスブレーキ。
【請求項7】
各サポートテーブルの前方向への引き操作及び後方向への押し操作を行うための操作部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載のプレスブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上金型と下金型の協働により板状のワーク(板金)に対して曲げ加工を行うプレスブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの曲げ加工作業の作業性を向上させるために、プレスブレーキの下部フレームの正面側にワークを支持するフロントテーブル装置を配設することがある(特許文献1参照)。先行技術に係るフロントテーブル装置の構成について簡単に説明すると、次の通りである。
【0003】
下部フレームの正面には、左右方向に延びたガイド部材が設けられている。ガイド部材には、スライド部材が左右方向に位置調整可能に設けられており、スライド部材には、支持穴が上下方向に沿って形成されている。スライド部材の支持穴には、上下方向に延びた丸パイプ状の調整バーが上下方向に位置調整可能に設けられている。また、調整バーの上下方向の複数箇所には、一対のピン穴がそれぞれ形成されており、各一対のピン穴は、整合(対向)している。調整バーにおける複数対のピン穴のうち下金型の高さに対応する所定の一対のピン穴には、調整バーの高さ位置(上下方向の位置)を調整するための調整ピンが挿入されている。調整ピンは、スライド部材の支持孔の周縁部に支持されている。そして、調整バーの上側には、ワークを支持するサポートテーブルが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-72735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、下金型の高さの変更に応じて、サポートテーブルの高さ位置を調整するには、作業者がサポートテーブルを持ち上げた状態で、調整バーにおける所定の一対のピン穴に調整ピンを挿入することが必要である。その結果、サポートテーブルの高さ位置を調整するための作業が非常に面倒で、その作業に多くの時間と手間がかかるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前述の問題を解決するため、サポートテーブルの前方向への引き操作又は後方向への押し操作を行うだけで、サポートテーブルの高さ位置を調整できる、プレスブレーキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1又はそれ以上の実施形態の第1の態様に係るプレスブレーキは、プレスブレーキの下部フレームの正面側に左右方向に間隔を置いて設けられ、前後方向に延びた複数のテーブルベースと、各テーブルベースに前後方向へ移動可能に設けられ、前後方向に延び、ワークを支持するサポートテーブルと、下金型の高さの変更に応じて、各サポートテーブルをその前後方向の移動に連動して、第1テーブル高さ位置と前記第1テーブル高さ位置よりも高い第2テーブル高さ位置との間で昇降させるテーブル昇降機構と、を備え、各テーブル昇降機構は、各テーブルベースに前後方向に間隔を置いて設けられ、下方向に凹んだ複数の係合凹部と、各サポートテーブルに前後方向に間隔を置いて設けられ、各係合凹部に係脱可能であって、下方向に突出した複数の係合凸部と、各テーブルベースと各サポートテーブルとの間に連結するように設けられ、前後方向に間隔を置いて配置され、前後方向へ揺動可能な複数の連結リンクと、を備える。
【0009】
1又はそれ以上の実施形態の第2の態様に係るプレスブレーキは、プレスブレーキの下部フレームの正面側に左右方向に間隔を置いて設けられ、前後方向に延びた複数のテーブルベースと、各テーブルベースに前後方向へ移動可能に設けられ、前後方向に延び、ワークを支持するサポートテーブルと、下金型の高さの変更に応じて、各サポートテーブルをその前後方向の移動に連動して、第1テーブル高さ位置と前記第1テーブル高さ位置よりも高い第2テーブル高さ位置との間で昇降させるテーブル昇降機構と、を備え、各テーブル昇降機構は、各テーブルベースに前後方向に間隔を置いて設けられ、水平方向に対して傾斜した傾斜部を有した複数のカム溝と、各サポートテーブルに前後方向に間隔を置いて設けられ、各カム溝に係合した状態で摺動する摺動子と、を備え
【0010】
1又はそれ以上の実施形態の第3の態様に係るプレスブレーキは、プレスブレーキの下部フレームの正面側に左右方向に間隔を置いて設けられ、前後方向に延びた複数のテーブルベースと、各テーブルベースに前後方向へ移動可能に設けられ、前後方向に延び、ワークを支持するサポートテーブルと、下金型の高さの変更に応じて、各サポートテーブルをその前後方向の移動に連動して、第1テーブル高さ位置と前記第1テーブル高さ位置よりも高い第2テーブル高さ位置との間で昇降させるテーブル昇降機構と、を備え、各テーブル昇降機構は、各テーブルベースに前後方向に間隔を置いて設けられ、水平方向に対して傾斜した傾斜面を有した複数のガイド凹部と、各サポートテーブルに前後方向に間隔を置いて設けられ、各ガイド凹部の前記傾斜面に沿って転動する転動子と、を備え
【0011】
本実施態様に係るプレスブレーキは、各サポートテーブルを前記第2テーブル高さ位置に位置させた状態で各テーブルベースに対して昇降不能に保持するロック機構を備えてもよい。また、本実施態様に係るプレスブレーキは、各サポートテーブルを前記第2テーブル高さ位置から前記第1テーブル高さ位置に下降させる際の衝撃を吸収する第1ショックアブソーバと、各サポートテーブルを前記第1テーブル高さ位置から前記第2テーブル高さ位置に上昇させる際の衝撃を吸収する第2ショックアブソーバと、を備えてもよい。更に、本実施態様に係るプレスブレーキは、各サポートテーブルの前方向への引き操作及び後方向への押し操作を行うための操作部材を備えてもよい。
【0012】
本実施態様によると、作業者が各サポートテーブルの前方向への引き操作を行って、各サポートテーブルを前方向へ移動させると、各テーブル昇降機構によって各サポートテーブルを前記第1テーブル高さ位置から前記第2テーブル高さ位置まで上昇させる。また、作業者が各サポートテーブルの後方向への押し操作を行って、各サポートテーブルを後方向へ移動させると、各テーブル昇降機構によって各サポートテーブルを前記第2テーブル高さ位置から前記第1テーブル高さ位置まで下降さ0せる。つまり、作業者が各サポートテーブルの前方向への引き操作又は後方向への押し操作を行うだけで、下金型の高さの変更に応じて、各サポートテーブルの高さ位置を調整(変更)することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、サポートテーブルの高さ位置を調整するための作業が簡単になり、その作業を短時間で効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係るプレスブレーキの模式的な側面図である。
図2図2は、本実施形態に係るプレスブレーキの下側部分の模式的な正面図である。
図3図3(a)は、サポートテーブルを第1テーブル高さ位置に位置させた状態における、本実施形態に係るフロントテーブル装置の模式的な部分側面図である。図3(b)は、サポートテーブルを第2テーブル高さ位置に位置させた状態における、本実施形態に係るフロントテーブル装置の模式的な部分側面図である。
図4A図4Aは、サポートテーブルを第1テーブル高さ位置に位置させた状態における、本実施形態に係るフロントテーブル装置の模式的な部分側断面図である。
図4B図4Bは、サポートテーブルを第2テーブル高さ位置に位置させた状態における、フロントテーブル装置の模式的な部分側断面図である。
図5図5(a)は、図3(a)におけるVA-VA線に沿った拡大断面図であり、図5(b)は、図3(b)におけるVB-VB線に沿った拡大断面図である。
図6図6(a)は、サポートテーブルを第1テーブル高さ位置に位置させた状態における、本実施形態の変形例1に係るフロントテーブル装置の模式的な部分側面図である。図6(b)は、サポートテーブルを第2テーブル高さ位置に位置させた状態における、本実施形態の変形例1に係るフロントテーブル装置の模式的な部分側面図である。
図7図7(a)は、図6(a)におけるVIIA部の拡大断面図であり、図7(b)は、図6(b)におけるVIIB部の拡大断面図である。
図8図8(a)は、サポートテーブルを第1テーブル高さ位置に位置させた状態における、本実施形態の変形例2に係るフロントテーブル装置の模式的な部分側面図である。図8(b)は、サポートテーブルを第2テーブル高さ位置に位置させた状態における、本実施形態の変形例2に係るフロントテーブル装置の模式的な部分側面図である。
図9図9(a)は、図8(a)におけるIXA部の拡大断面図であり、図9(b)は、図8(b)におけるIXB部の拡大断面図である。
図10A図10A(a)は、サポートテーブルを第1テーブル高さ位置に位置させた状態における、本実施形態の変形例3に係るフロントテーブル装置の模式的な部分側面図である。図10A(b)は、サポートテーブルを第2テーブル高さ位置に位置させた状態における、本実施形態の変形例3に係るフロントテーブル装置の模式的な部分側面図である。
図10B図10B(a)は、サポートテーブルを第3テーブル高さ位置に位置させた状態における、本実施形態の変形例3に係るフロントテーブル装置の模式的な部分側面図である。図10B(b)は、サポートテーブルを第4テーブル高さ位置に位置させた状態における、本実施形態の変形例3に係るフロントテーブル装置の模式的な部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態(変形例1から変形例3を含む)について図1から図10Bを参照して説明する。
【0016】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられること、及び形成されることを含む意である。「左右方向」とは、水平方向であって、プレスブレーキの長さ方向のことをいう。「前後方向」とは、左右方向に直交する水平方向であって、プレスブレーキの奥行方向のことをいう。図面中、「FF」は前方向、「FR」は後方向、「L」は左方向、「R」は右方向、「U」は上方向、「D」は下方向をそれぞれ指している。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るプレスブレーキ10は、上金型(パンチ金型)12と下金型(ダイ金型)14の協働により板状のワーク(板金)Wに対して曲げ加工を行う。また、プレスブレーキ10は、本体フレーム16を備えており、本体フレーム16は、左右方向(プレスブレーキ10の長さ方向)に離隔対向した一対のサイドプレート18と、一対のサイドプレート18を連結する複数(1つのみ図示)の連結部材20とを有している。
【0018】
本体フレーム16の下部には、左右方向に延びた下部フレーム22が設けられている。下部フレーム22の上側には、下金型14を着脱可能に保持する下金型ホルダ24が設けられている。また、本体フレーム16の上部には、左右方向に延びた上部フレーム26が昇降可能(上下方向へ移動可能)に設けられている。上部フレーム26の下側には、上金型12を着脱可能に保持する上金型ホルダ28が設けられている。各サイドプレート18の上部には、上部フレーム26を昇降させるための昇降アクチュエータとして油圧シリンダ(図示省略)が設けられている。
【0019】
下部フレーム22の背面側(後方)には、ワークWを下金型14に対して前後方向(プレスブレーキ10の奥行方向)に位置決めするためのバックゲージ装置30が設けられている。バックゲージ装置30は、ワークWの端面を突き当て可能な突当部材32を有しており、突当部材32は、前後方向に位置調整可能に構成されている。また、下部フレーム22の正面側(前面側)には、ワークWを支持するフロントテーブル装置34が設けられている。
【0020】
続いて、本実施形態に係るフロントテーブル装置34の具体的な構成について説明する。
【0021】
図1から図5に示すように、下部フレーム22の正面には、複数の支持フレーム36が複数の取付ボルト38を介して左右方向に間隔を置いて設けられており、各支持フレーム36は、前後方向に延びている。各支持フレーム36の上側には、前後方向に延びたテーブルベース40が設けられている。換言すれば、下部フレーム22の正面側には、複数のテーブルベース40が複数の支持フレーム36等を介して左右方向に間隔を置いて設けられている。各テーブルベース40は、各支持フレーム36の上側に設けられたベース底板42と、ベース底板42の上面の両縁部(左縁部及び右縁部)に立設された一対のベース側板44とを有している。また、各テーブルベース40は、各ベース底板42の下面に設けられかつベース側板44を保護する断面L字状の一対のガード46を有している。なお、各支持フレーム36を下部フレーム22の正面に対してガイド部材(図示省略)を介して左右方向に位置調整可能に構成してもよい。
【0022】
図3から図5に示すように、各テーブルベース40の上側には、ワークWを支持するサポートテーブル48が前後方向へ移動可能に設けられており、各サポートテーブル48は、前後方向に延びている。各サポートテーブル48は、各一対のベース側板44に前後方向へ移動可能に設けられたテーブル板50と、各テーブル板50に前後方向に間隔を置いて設けられかつワークWを支持するための複数のフリーベアリング52とを有している。また、各サポートテーブル48は、各テーブル板50の上面に設けられかつ複数のフリーベアリング52を露出させた状態でサポートテーブル48を保護する断面逆U字状のカバー54を有している。なお、各テーブル板50に複数のフリーベアリング52を設ける代わりに、ワークWを支持するための複数の支持ローラ(図示省略)又はブラシ(図示省略)を設けてもよい。
【0023】
フロントテーブル装置34は、各サポートテーブル48を昇降させるテーブル昇降機構56を備えている。各テーブル昇降機構56は、下金型14の高さの変更に応じて、各サポートテーブル48をその前後方向の移動に連動して、第1テーブル高さ位置(図4Aに示す高さ位置)と第1テーブル高さ位置よりも高い第2テーブル高さ位置(図4Bに示す高さ位置)との間で昇降させる。ここで、第1テーブル高さ位置は、高さ寸法で2つ分類される複数の下金型14(図1参照)のうち、高さ寸法の低い下金型14の高さに対応している。第2テーブル高さ位置は、高さ寸法で2つに分類される複数の下金型14のうち、高さ寸法の高い下金型14の高さに対応している。そして、各テーブル昇降機構56の具体的な構成は、次の通りである。
【0024】
図4A及び図4Bに示すように、各ベース側板44の上部には、下方向に凹んだ複数の係合凹部58が前後方向に間隔を置いて設けられており、各係合凹部58は、平坦な底面58bを有している。各テーブル板50の下面の両縁部(左縁部及び右縁部)には、下方向に突出した複数の係合凸部60が前後方向に間隔を置いてそれぞれ設けられており、各係合凸部60は、各係合凹部58に係脱可能である。各係合凸部60は、平坦な先端面(下端面)60tを有しており、各係合凸部60の先端面60tは、荷重受面としての係合凹部58の底面58b及び各ベース側板44の上面のいずれかに選択的に面接触する。
【0025】
各テーブルベース40と各サポートテーブル48との間には、複数の連結リンク62が連結するように設けられており、複数の連結リンク62は、前後方向に間隔を置いて配置されている。各連結リンク62の一端部(下端部)は、各ベース底板42に連結ピン64及びブラケット66を介して揺動可能に連結されている。各連結リンク62の他端部(上端部)は、各テーブル板50に連結ピン68及びブラケット70を介して揺動可能に連結されている。
【0026】
図3から図5に示すように、各ベース底板42の上面には、第1ショックアブソーバ72が取付ブロック74を介して設けられており、各第1ショックアブソーバ72は、各サポートテーブル48を第2テーブル高さ位置から第1テーブル高さ位置に下降させる際の衝撃を吸収する。また、各ベース底板42の上面には、第2ショックアブソーバ76が取付ブロック78を介して設けられており、各第2ショックアブソーバ76は、各サポートテーブル48を第1テーブル高さ位置から第2テーブル高さ位置に上昇させる際の衝撃を吸収する。また、各テーブル板50の前端部には、各サポートテーブル48の前方向への引き操作及び後方向への押し操作を行うための操作部材としての操作ハンドル80が設けられている。
【0027】
フロントテーブル装置34は、各サポートテーブル48を第2テーブル高さ位置に位置させた状態で各テーブルベース40に対して昇降不能に保持するロック機構82を備えている。各ロック機構82は、適宜の係合凸部60に設けられた被係止ピン84を有しており、各被係止ピン84は、各カバー54から右方向に突出している。各ロック機構82は、適宜の係合凸部60に取付ボルト86を介して上下方向に揺動可能に設けられた係止フック88を有しており、各係止フック88は、各カバー54の右側に位置している。各係止フック88は、各サポートテーブル48を第2テーブル高さ位置に位置させた状態で、各被係止ピン84に係止可能である。
【0028】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
【0029】
作業者が各サポートテーブル48の前方向への引き操作を行って、各サポートテーブル48を前方向へ移動させると、各テーブル昇降機構56によって各サポートテーブル48を第1テーブル高さ位置から第2テーブル高さ位置まで上昇させる。また、作業者が各サポートテーブル48の後方向への押し操作を行って、各サポートテーブル48を後方向へ移動させると、各テーブル昇降機構56によって各サポートテーブル48を第2テーブル高さ位置から第1テーブル高さ位置まで下降させる。つまり、作業者が各サポートテーブル48の前方向への引き操作又は後方向への押し操作を行うだけで、下金型14の高さの変更に応じて、各サポートテーブル48の高さ位置を調整(変更)して、各サポートテーブル48の支持面を下金型14の上面と同一平面上に位置させることができる。
【0030】
なお、下金型14の高さの変更に応じて、各サポートテーブル48を第2テーブル高さ位置に変更した場合には、作業者は各係止フック88を各被係止ピン84に係止させる。すると、各サポートテーブル48が第2テーブル高さ位置に位置させた状態で各テーブルベース40に対して昇降不能に保持される。
【0031】
ここで、前述のように、各係合凸部60の平坦な先端面60tは、係合凹部58の底面58b及び各ベース側板44の上面のいずれかに選択的に面接触する。これにより、各サポートテーブル48の支持剛性、換言すれば、フロントテーブル装置34の支持剛性を十分に確保して、フロントテーブル装置34によってワークWを安定的に支持することができる。
【0032】
各サポートテーブル48の高さ位置を調整した後、作業者は、複数のサポートテーブル48の支持面上においてワークWを滑らせながら後方向へ移動させる。すると、ワークWの後端面がバックゲージ装置30の突当部材32に突き当り、ワークWが下金型14に対して前後方向に位置決めされる。そして、一対の油圧シリンダの駆動により上部フレーム26を下降させる。これにより、上金型12と下金型14の協働によりワークWに対して曲げ加工を行う。
【0033】
従って、本実施形態によれると、前述のように、作業者が各サポートテーブル48の前方向への引き操作又は後方向への押し操作を行うだけで、下金型14の高さの変更に応じて、各サポートテーブル48の高さ位置を調整することができる。よって、本実施形態によれば、各サポートテーブル48の高さ位置を調整するための作業が非常に簡単になり、その作業を短時間で効率よく行うことができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、フロントテーブル装置34の支持剛性を十分に確保して、フロントテーブル装置34によってワークWを安定的に支持できるため、ワークWが重量物であっても、ワークWを下金型14に対して前後方向に高精度に位置決めすることができる。
【0035】
(変形例1)
本実施形態の変形例1について図6及び図7を参照して説明する。
【0036】
図6及び図7に示すように、本実施形態の変形例1に係るフロントテーブル装置34Aは、複数のテーブル昇降機構56(図4A及び図4B参照)に代えて、複数(1つのみ図示)のテーブル昇降機構90を備えている。各テーブル昇降機構90は、各テーブル昇降機構56と同様に、各サポートテーブル48をその前後方向の移動に連動して、第1テーブル高さ位置(図6(a)に示す高さ位置)と第2テーブル高さ位置(図6(b)に示す高さ位置)との間で昇降させる。そして、各テーブル昇降機構90の具体的な構成は、次の通りである。
【0037】
各ベース側板44には、複数のカム溝92が前後方向に間隔を置いて設けられており、各カム溝92には、水平方向に対して傾斜した傾斜部92sを有している。各カム溝92の下端側は、水平方向に対して平行になっており、各カム溝92の下端側には、円弧凹状の下部支持面92dが形成されている。各カム溝92の上端側は、水平方向に対して平行になっており、各カム溝92の上端側には、円弧凹状の上部支持面92uが形成されている。
【0038】
各テーブル板50の下面には、複数の取付板94が前後方向に間隔を置いて設けられており、各取付板94は、一対のベース側板44に前後方向へ移動可能に支持されている。各取付板94の下端側の両側部(左側部及び右側部)には、各カム溝92に係合した状態で摺動する摺動子としての円柱状の摺動ピン96がそれぞれ設けられている。換言すれば、各テーブル板50には、複数対の摺動ピン96が複数の取付板94を介して前後方向に間隔を置いて設けられている。
【0039】
各摺動ピン96は、各サポートテーブル48が第1テーブル高さ位置に位置すると、各カム溝92の下部支持面92dに面接触する。各摺動ピン96は、各サポートテーブル48が第2テーブル高さ位置に位置すると、各カム溝92の上部支持面92uに面接触する。これにより、本実施形態の変形例1においても、フロントテーブル装置34の支持剛性を十分に確保して、フロントテーブル装置34によってワークWを安定的に支持することができる。
【0040】
なお、図6及び図7においては、フロントテーブル装置34Aの構成要素である、支持フレーム、ガード、フリーベアリング、及びカバー等の図示を省略している。
【0041】
そして、本実施形態の変形例1においても、前述の本実施形態の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0042】
(変形例2)
本実施形態の変形例2について図8及び図9を参照して説明する。
【0043】
図8及び図9に示すように、本実施形態の変形例2に係るフロントテーブル装置34Bは、複数のテーブル昇降機構56(図4A及び図4B参照)に代えて、複数(1つのみ図示)のテーブル昇降機構98を備えている。各テーブル昇降機構98は、各テーブル昇降機構56と同様に、各サポートテーブル48をその前後方向の移動に連動して、第1テーブル高さ位置(図8(a)に示す高さ位置)と第2テーブル高さ位置(図8(b)に示す高さ位置)との間で昇降させる。そして、各テーブル昇降機構98の具体的な構成は、次の通りである。
【0044】
各ベース側板44には、複数のガイド凹部100が前後方向に間隔を置いて設けられており、各ガイド凹部100には、水平方向に対して傾斜した傾斜面100sを有している。各ガイド凹部100の底部には、円弧凹状の下部支持面100dが形成されている。各ベース側板44の上部における各ガイド凹部100の前側近傍には、円弧凹状の上部支持面44uが形成されている。
【0045】
各テーブル板50の下面の両縁部側(左縁部側及び右縁部側)には、複数の転動子としての転動ローラ102が複数のブラケット104を介して前後方向に間隔を置いてそれぞれ設けられている。各転動ローラ102は、水平な軸心回りに回転可能であって、各ガイド凹部100の下部支持面10dと各ベース側板44の上部支持面44uとの間において各ガイド凹部100の傾斜面100sに沿って転動する。
【0046】
各転動ローラ102は、各サポートテーブル48が第1テーブル高さ位置に位置すると、各ガイド凹部100の下部支持面100dに面接触する。各転動ローラ102は、各サポートテーブル48が第2テーブル高さ位置に位置すると、ベース側板44の上部支持面44uに面接触する。これにより、本実施形態の変形例2においても、フロントテーブル装置34の支持剛性を十分に確保して、フロントテーブル装置34によってワークWを安定的に支持することができる。
【0047】
図9に示すように、各ベース底板42の上面には、前後方向に延びた一対のガイド部材106が設けられている。各テーブル板50の下面には、前後方向に延びた断面T字状のスライド部材108が設けられており、各スライド部材108は、各一対のガイド部材106に前後方向に移動可能かつ昇降可能に支持されている。換言すれば、各サポートテーブル48は、各一対のガイド部材106及び各スライド部材108を介して各テーブルベース40に対して前後方向に移動可能かつ昇降可能に構成されている。
【0048】
なお、図8においては、ガイド部材106及びスライド部材108の図示を省略している。図8及び図9においては、フロントテーブル装置34Bの構成要素である、支持フレーム、ガード、フリーベアリング、及びカバー等の図示を省略している。
【0049】
そして、本実施形態の変形例2においても、前述の本実施形態の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0050】
(変形例3)
本実施形態の変形例3について図10A及び図10Bを参照して説明する。
【0051】
図10A及び図10Bに示すように、本実施形態の変形例3に係るフロントテーブル装置34Cにおいては、各支持フレーム36の上側には、前後方向に延びた下部テーブルベース110が設けられている。下部テーブルベース110は、テーブルベース40(図5参照)と同様に、ベース底板42と、一対のベース側板44とを有している。また、各下部テーブルベース110の上側には、前後方向に延びた上部テーブルベース112が前後方向へ移動可能に設けられている。上部テーブルベース112は、テーブルベース40と同様に、ベース底板42と、一対のベース側板44とを有している。そして、各サポートテーブル48は、各上部テーブルベース112の上側に前後方向へ移動可能に設けられている。
【0052】
フロントテーブル装置34Cは、下金型14の高さの変更に応じて、各サポートテーブル48を各上部テーブルベース112の前後方向の移動に連動して昇降させる下部テーブル昇降機構114を備えている。下部テーブル昇降機構114は、テーブル昇降機構56(図4A及び図4B参照)と同様に、複数の係合凹部58と、複数の係合凸部60と、複数の連結リンク62とを有している。また、フロントテーブル装置34Cは、下金型14の高さの変更に応じて、各サポートテーブル48をその前後方向の移動に連動して昇降させる上部テーブル昇降機構116を備えている。上部テーブル昇降機構116は、テーブル昇降機構56と同様に、複数の係合凹部58と、複数の係合凸部60と、複数の連結リンク62とを有している。
【0053】
本実施形態の変形例3によると、各サポートテーブル48を第1テーブル高さ位置(図10A(a)に示す高さ位置)と、第2テーブル高さ位置(図10A(b)に示す高さ位置)と、第2テーブル高さ位置よりも高い第3テーブル高さ位置(図10B(a)に示す高さ位置)と、第3テーブル高さ位置よりも高い第4テーブル高さ位置(図10B(b)に示す高さ位置)との間で昇降させることができる。ここで、第1テーブル高さ位置は、高さ寸法で4つ分類される複数の下金型14(図1参照)のうち、高さ寸法の最も低い下金型14の高さに対応している。第2テーブル高さ位置は、高さ寸法で4つに分類される複数の下金型14のうち、高さ寸法の最も低い下金型14の次に低い下金型14の高さに対応している。第3テーブル高さ位置は、高さ寸法で4つ分類される複数の下金型14のうち、高さ寸法の最も高い下金型14の次に高い下金型14の高さに対応している。第4テーブル高さ位置は、高さ寸法で4つに分類される複数の下金型14のうち、高さ寸法の最も高い下金型14の高さに対応している。
【0054】
なお、図10A及び図10Bにおいては、フロントテーブル装置34Cの構成要素である、支持フレーム、ガード、フリーベアリング、及びカバー等の図示を省略している。
【0055】
そして、本実施形態の変形例3においても、前述の本実施形態の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0056】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、適宜の変更を行うことにより、種々な態様で実施可能である。そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態の説明に限定されないものである。
【符号の説明】
【0057】
10 プレスブレーキ
12 上金型(パンチ金型)
14 下金型(ダイ金型)
16 本体フレーム
18 サイドプレート
20 連結部材
22 下部フレーム
24 下金型ホルダ
26 上部フレーム
28 上金型ホルダ
30 バックゲージ装置
32 突当部材
34 フロントテーブル装置
36 支持フレーム
38 取付ボルト
40 テーブルベース
42 ベース底板
44 ベース側板
46 ガード
48 サポートテーブル
50 テーブル板
52 フリーベアリング
54 カバー
56 テーブル昇降機構
58 係合凹部
58b 平坦な底面
60 係合凸部
60t 平坦な先端面
62 連結リンク
64 連結ピン
66 ブラケット
68 連結ピン
70 ブラケット
72 第1ショックアブソーバ
74 取付ブロック
76 第2ショックアブソーバ
78 取付ブロック
80 操作ハンドル(操作部材)
82 ロック機構
84 被係止ピン
86 取付ボルト
88 係止フック
34A フロントテーブル装置
90 テーブル昇降機構
92 カム溝
92s 傾斜部
92d 下部支持面
92u 上部支持面
94 取付板
96 摺動ピン(摺動子)
34B フロントテーブル装置
98 テーブル昇降機構
100 ガイド凹部
100s 傾斜面
100d 下部支持面
44u 上部支持面
102 転動ローラ(転動子)
104 ブラケット
106 ガイド部材
108 スライド部材
34C フロントテーブル装置
110 下部テーブルベース
112 上部テーブルベース
114 下部テーブル昇降機構
116 上部テーブル昇降機構
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B