(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】架構構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/30 20060101AFI20240613BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
E04B1/30 Z
E04B1/94 M
(21)【出願番号】P 2020031541
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 徹
(72)【発明者】
【氏名】栗原 嵩明
(72)【発明者】
【氏名】梅津 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 智仁
(72)【発明者】
【氏名】花井 厚周
(72)【発明者】
【氏名】梁田 真史
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-130021(JP,A)
【文献】特開2019-044514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/30
E04B 1/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブから鉛直荷重を受ける不燃性の第一柱梁架構と、
前記第一柱梁架構の外面を覆い、前記第一柱梁架構よりも水平剛性が大き
い木質の第二柱梁架構と、
を備え
、
前記第一柱梁架構は、上面が前記スラブに接合された第一梁と、前記第一梁が接合された第一柱と、で構成され、
前記第二柱梁架構は、前記第一梁の側部を覆い前記スラブとの間に第一隙間が形成された外側部と前記外側部の下端部に接合され前記第一梁の底下面との間に第二隙間が形成された底下部とを有する断面U字形状の第二梁と、前記スラブが側面に接する部位を有し前記第一柱との間に隙間が形成されるように前記第一柱の外周部を覆い前記第一梁が貫通し前記第二梁が接合された筒状の第二柱と、で構成されている、
架構構造。
【請求項2】
前記第一隙間及び前記第二隙間には、構造的に絶縁する絶縁材が設けられている、
請求項1に記載の架構構造。
【請求項3】
前記絶縁材は、発砲スチロール材又はウレタンスポンジである、
請求項2に記載の架構構造。
【請求項4】
前記第一柱梁架構は、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート及び鉄骨のいずれかで構成されている、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の架構構造。
【請求項5】
前記第二柱梁架構には、方杖が設けられている、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の架構構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架構構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建築物を支える柱や梁に用いる耐火性構造部材に関する技術が開示されている。この先行技術では、荷重を受ける柱状の芯材と、芯材の外周部を長手方向に沿って覆う鞘材と、を備えている。そして、鞘材が角筒状に一体成形され且つ難燃化処理が施された木材から成ると共に角筒状の鞘材の内周部に芯材の外周部が嵌合している
【0003】
特許文献2には、木材と金属部材のアンボンド合成軸力部材に関する技術が開示されている。この先行技術では、金属部材の座屈を防止する位置に木材がアンボンド状態に合成されて成り、木材の端部から突き出された金属部材の両端部が軸力の入力部として構成されている。
【0004】
特許文献3には、鉄骨コンクリートおよびその周囲を覆う木製パネルからなる木質ハイブリッド柱と鉄骨梁とを接合してなる柱梁接合構造に関する技術が開示されている。この先行技術では、木製パネルは、柱と梁の接合部において鉄骨梁に直接接触しないように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6469925号
【文献】特許3661059号
【文献】特開2019-44514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
芯材が可燃性の木質の構造材で構成された柱梁架構は、木質の芯材が主に長期荷重を負担している。このため、鉄筋コンクリート等で構成された構造材よりも部材断面を大きくする必要がある。
【0007】
また、火災時には、長期荷重を負担する可燃性の木質の芯材を火災の熱から守るため、木質の燃代層等で構成された芯材を被覆する被覆材の厚みを十分確保する必要がある。
【0008】
よって、芯材が木質の構造材で構成された柱梁架構は、鉄筋コンクリート等の構造材で構成された架構よりも部材面積が大きくなる。
【0009】
本発明は、上記事実に鑑み、長期荷重を木質の構造材が負担する柱梁架構と比較し、柱梁架構の部材断面を小さくすることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一態様は、スラブから鉛直荷重を受ける不燃性の第一柱梁架構と、前記第一柱梁架構の外面を覆い、前記第一柱梁架構よりも水平剛性が大きく、前記第一柱梁架構及び前記スラブと構造的に絶縁されて設けられた木質の第二柱梁架構と、を備えた架構構造である。
【0011】
第一態様の架構構造では、不燃性の第一柱梁架構が木質の第二柱梁架構で覆われているので、木造の建物として意匠性が向上する。不燃の第一柱梁架構はスラブからの鉛直荷重を受ける、すなわち第一柱梁架構は長期荷重を負担する。木質の第二柱梁架構は、第一柱梁架構及びスラブと構造的に絶縁されているので、スラブからの鉛直荷重を受けない又は殆ど受けない、すなわち第二柱梁架構は長期荷重を負担しない又は殆ど負担しない。
【0012】
一方、水平剛性が高い木質の第二柱梁架構が地震時荷重を主に負担し、水平剛性が低く第二柱梁架構と構造的に絶縁された不燃性の第一柱梁架構は地震時荷重の負担が少ない。
【0013】
このように、不燃性の第一柱梁架構が長期荷重を主に負担し、木質の第二柱梁架構が地震時荷重を主に負担する。また、火災時において、仮に木質の第二柱梁架構が燃焼し消失しても、不燃性の第一柱梁架構は燃え残り自立する。
【0014】
したがって、第一柱梁架構は長期荷重を負担可能な部材断面を有していればよく、第二柱梁架構は地震時荷重を負担可能な部材断面を有していればよいので、効率的な部材断面とすることができる。よって、長期荷重を木質の構造材が負担する場合と比較し、柱梁架構の部材断面を小さくできる。
【0015】
第二態様は、前記第二柱梁架構は、前記第一柱梁架構及び前記スラブとの間に隙間又は絶縁材を設けることで両者と構造的に絶縁されている、第一態様に記載の架構構造である。
【0016】
第二態様の架構構造では、第二柱梁架構と第一柱梁架構及びスラブとの間に隙間又は絶縁材を設けることで、第二柱梁架構と、第一柱梁架構及びスラブとが構造的に容易に絶縁される。
【0017】
第三態様は、前記第一柱梁架構は、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート及び鉄骨のいずれかで構成されている、第一態様又は第二態様に記載の架構構造である。
【0018】
第三態様の架構構造では、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート及び鉄骨は、木質材よりも圧縮力に対する性能に優れる。よって、長期荷重を負担する不燃性の第一柱梁架構を鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート及び鉄骨のいずれかで構成することで、更に柱梁架構の部材断面を小さくできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、長期荷重を木質の構造材が負担する柱梁架構と比較し、柱梁架構の部材断面を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】建物の架構を構成する第一柱梁架構の斜視図である。
【
図2】建物の架構を構成する第二柱梁架構の斜視図である。
【
図3】建物を構成する架構及びスラブの斜視図である。
【
図4】建物の架構を構成する第一柱梁架構の仕口部及びその近傍を一部断面で示す斜視図である。
【
図5】建物の架構を構成する第二柱梁架構の仕口部及びその近傍を一部断面で示す斜視図である。
【
図6】建物を構成する架構の仕口部及びその近傍を一部断面で示す斜視図である。
【
図8】建物の架構を構成する柱の水平断面図である。
【
図9】建物の架構を構成する梁及びスラブのY方向に沿った垂直断面図である。
【
図10】第一変形例の架構及びスラブの斜視図である。
【
図11】第二変形例の架構を構成する梁及びスラブのY方向に沿った垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態>
本発明の一実施形態の架構構造について説明する。なお、鉛直方向をZ方向とし、鉛直方向と直交する水平方向の互いに直交する二方向をX方向及びY方向とする。
【0022】
[構成]
先ず、本実施形態の架構構造が適用された建物の架構の構成について説明する。
【0023】
図3に示す建物10の架構12は、柱20(
図8参照)と梁30(
図9参照)とで構成されている。この架構12の架構構造14は、鉄筋コンクリート造で不燃性の第一柱梁架構100(
図1、
図4及び
図6参照)と、木質の第二柱梁架構200(
図2、
図5及び
図6参照)と、で構成されている。
【0024】
図6に示すように、木質の第二柱梁架構200(
図2及び
図5参照)は、第一柱梁架構100の外面102(
図1及び
図4参照)を覆い、第一柱梁架構100よりも水平剛性が大きく、第一柱梁架構100及び後述するスラブ50(
図3、
図7及び
図9)と構造的に絶縁されている。
【0025】
なお、本実施形態における第二柱梁架構200と第一柱梁架構100との水平剛性比は、10対1程度であるが、これに限定されるものではない。
【0026】
図1、
図4及び
図6に示すように、第一柱梁架構100は、鉄筋コンクリート造の第一柱120(
図8参照)と第一梁130(
図9参照)とで構成されている。
【0027】
図2、
図5及び
図6に示すように、第二柱梁架構200は、木質の第二柱220(
図8参照)と第二梁230(
図9参照)とで構成されている。本実施形態における木質の第二柱220と第二梁230とは、第二柱220と第二梁230とに跨って埋設した図示していないプレートとドリフトピンとで接合されているが、これに限定されるものではない。
【0028】
なお、本実施形態においては、木質の第二柱梁架構200(木質の第二柱220及び第二梁230)を構成する木材は、難燃化処理及び不燃化処理は成されていないが、難燃化処理又は不燃化処理が成されていてもよい。
【0029】
また、本実施形態の木質の第二柱梁架構200(木質の第二柱220及び第二梁230)を構成する木材は、無垢材、集成材、単板積層材及び直交集成板等を用いることができる。
【0030】
図6及び
図8に示すように、柱20は、芯材を構成する鉄筋コンクリート造の前述の第一柱120と、第一柱120の外周面122(
図1及び
図4参照)を覆う木質の前述の第二柱220と、で構成されている。そして、第一柱120の外周面122(
図1及び
図4参照)と第二柱220の内周面222(
図2及び
図5参照)との間は隙間252が形成され、その隙間252には、絶縁材の一例としての発砲スチロール材250が設けられている。これにより、柱20における第一柱120と第二柱220とが構造的に絶縁され、両者は一体性を持っていない。
【0031】
図6及び
図9に示すように、梁30は、芯材を構成する前述の鉄筋コンクリート造の第一梁130と、第一梁130の外側面131(
図4も参照)及び底下面132(
図4も参照)を覆う前述の木質の第二梁230(
図5も参照)と、で構成されている。第二梁230は、上側が開口した溝形状となっている(
図5も参照)。
【0032】
第一梁130の外側面131と第二梁230の内側面231(
図5参照)とは非接合状態で接触している。しかし、第一梁130の底下面132と第二梁230の底上面232(
図5参照)との間は隙間262が形成され、その隙間262には絶縁材の一例としての発砲スチロール材260が設けられている。これにより、梁30における第一梁130と第二梁230とが構造的に絶縁され、両者は一体性を持っていない。
【0033】
なお、第一柱120と第一梁130との接合及び第二柱220と第二梁230との接合は、どのような接合構造であってもよい、例えば、ピン接合、半剛接合及び剛接合のいずれの接合構造であってもよい。
【0034】
図3、
図7及び
図9に示すように、建物10の架構12の梁30の上には、鉄筋コンクリート造のスラブ50が設けられている。
【0035】
図7及び
図9に示すように、スラブ50は、鉄筋コンクリート造の第一梁130の上面133と接合されている。しかし、スラブ50は、木質の第二梁230の上面233との間は隙間272が形成され、その隙間272には絶縁材の一例としての発砲スチロール材270が設けられている。これにより、梁30を構成する鉄筋コンクリート造の第一梁130はスラブ50の荷重を受け、梁30を構成する木質の第二梁230はスラブ50と構造的に絶縁され、両者は一体性を持っていない。
【0036】
なお、スラブ50は、鉄筋コンクリート造に特定されない。スラブ50は、例えば、軽量気泡コンクリートパネル及び木質板材等で構成されていてもよい。
【0037】
[作用及び効果]
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0038】
建物10の架構12は、不燃性の第一柱梁架構100が木質の第二柱梁架構200で覆われているので、木造の建物10として意匠性が向上する。
【0039】
また、不燃の第一柱梁架構100はスラブ50からの鉛直荷重を受ける、すなわち第一柱梁架構100は長期荷重を負担する。
【0040】
しかし、木質の第二柱梁架構200は、第一柱梁架構100及びスラブ50と構造的に絶縁されているので、スラブ50からの鉛直荷重を受けない又は殆ど受けない、すなわち第二柱梁架構200は長期荷重を負担しない又は殆ど負担しない。
【0041】
なお、第二柱梁架構200を構成する第二梁230の上面133とスラブ50との隙間272を十分に確保することで、スラブ50からの鉛直荷重を受けない又は殆ど受けないようにできる。また、スラブ50からの鉛直荷重を受けない又は殆ど受けないようにできる隙間272は、スラブ50の撓みを計算することで求めることができる。
【0042】
一方、水平剛性が高い木質の第二柱梁架構200が地震時荷重を主に負担し、水平剛性が小さく第二柱梁架構200と構造的に絶縁された不燃性の第一柱梁架構100は地震時荷重の負担が少ない。
【0043】
ここで、第二柱梁架構200と第一柱梁架構100とがそれぞれ負担する地震荷重は、基本的には水平剛性比となる。本実施形態では、第二柱梁架構200と第一柱梁架構100との水平剛性比は10対1程度であるので、第二柱梁架構200と第一柱梁架構100とが負担する地震荷重比も10対1程度になる。
【0044】
なお、第二柱梁架構200と第一柱梁架構100とがそれぞれ負担する地震荷重は、水平剛性比のみで決定されるものではない。例えば、第一柱120と第一梁130との接合構造及び第二柱220と第二梁230との接合構造、例えば、ピン接合、半剛接合及び剛接合等によっても影響を受ける。
【0045】
このように、不燃性の第一柱梁架構100が長期荷重を主に負担し、木質の第二柱梁架構200が地震時荷重を主に負担する。また、火災時において、仮に木質の第二柱梁架構200が燃焼し消失しても、不燃性の第一柱梁架構100は燃え残り、建物10は自立する。
【0046】
したがって、第一柱梁架構100は長期荷重を負担可能な部材断面を有していればよい。言い換えると、第一柱120及び第一梁130は長期荷重を負担可能な部材断面を有していればよい。
【0047】
一方、第二柱梁架構200は地震時荷重を負担可能な部材断面を有していていればよい。言い換えると、第二柱220及び第二梁230は地震時荷重を負担可能な部材断面を有していていればよい。
【0048】
したがって、第一柱梁架構100及び第二柱梁架構200は、言い換えると、第一柱120、第一梁130、第二柱220及び第二梁230は、それぞれ効率的な部材断面とすることができ、長期荷重を芯材が可燃性の木質の構造材が負担する場合と比較し、架構12の部材断面、すなわち柱20及び梁30の部材断面を小さくできる。
【0049】
また、第一柱梁架構100を構成する第一柱120及び第一梁130は、木質材よりも圧縮力に対する性能に優れる鉄筋コンクリートで構成されているので、長期荷重を負担する第一柱梁架構100の部材断面を小さくできる。
【0050】
また、第二柱梁架構200と、第一柱梁架構100及びスラブ50との間の隙間252、262、272に発砲スチロール材250、260、270を設けることで、第二柱梁架構200と、第一柱梁架構100及びスラブ50とを容易に構造的に絶縁することができる。
【0051】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0052】
(第一変形例)
図10に示す第一変形例の架構13の架構構造15では、第二柱梁架構200に方杖280が設けられている。具体的は、架構構造15を構成する第二柱220と第二梁230との仕口部の近傍に両者に接合された方杖280が設けられている。
【0053】
このように、第二柱梁架構200に方杖280を設けることで、第二柱梁架構200の水平剛性が高くなる。よって、部材断面を抑制しつつ、第二柱梁架構200が負担可能な地震時荷重を大きくできる。
【0054】
(第二変形例)
図11に示す第二変形例の架構17の架構構造19では、第一柱梁架構101を構成する第一梁330は、鉄骨、本変形例ではH形鋼で構成されている。なお、第一柱梁架構101を構成する第一柱120(
図1参照)は鉄筋コンクリート造である。
【0055】
架構17を構成する梁31は、前述のH形鋼で構成された第一梁330と、木質の第二梁230と、梁側部350と、で構成されている。
【0056】
H形鋼で構成された第一梁330は、上側のフランジ332の上面333でスラブ50の荷重を支持している。なお、第一梁330の上側のフランジ332の上面333に、スラブ50に埋設するスタッド等が設けられていてもよい。
【0057】
また、第一梁330の下側のフランジ332の下面331と第二梁230の底上面232との間は隙間262が形成され、その隙間262には絶縁材の一例としての発砲スチロール材260が設けられている。
【0058】
梁側部350は、H形鋼で構成された第一梁330のウエブ334の両側で上下のフランジ332間に設けられ、コンクリート、セメント、モルタル、石こう、石こうボード、ケイカル板及びロックウール等の耐熱材で構成されている。
【0059】
このように、第一梁330のウエブ334の両側で上下のフランジ332間に耐熱材で構成された梁側部350を設けることで、H形鋼で構成された第一梁330の耐火性能が向上する。
【0060】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0061】
例えば、上記実施形態では、不燃性の第一柱梁架構100は、鉄筋コンクリート造であったが、これに限定されない。鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨造であってもよい。あるいは、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート及び鉄骨鉄筋コンクリート以外の不燃材で構成されていてもよい。別の観点から説明すると、第一柱梁架構100は、不燃性と鉛直荷重の支持を担保できる範囲において、別の材料で代替してもよい。また、第一柱と第一梁とが異なる材質で構成されていてもよい。なお、前述の第二変形例は、第一柱と第一梁とが異なる材質で構成されている例である。
【0062】
ここで、第一柱梁架構100を構成する第一柱及び第一梁の少なくとも一方が、鉄骨材で構成されている場合、鉄骨材には耐火被覆等が必要な場合がある。なお、前述の第二変形例の梁側部350は、耐火被覆として機能する。
【0063】
また、例えば、上記実施形態では、第二柱梁架構200と、第一柱梁架構100及びスラブ50との間の隙間252、262、272に発砲スチロール材250、260、270を設けることで、第二柱梁架構200と、第一柱梁架構100及びスラブ50とを構造的に絶縁したたが、これに限定されない。発砲スチロール材250、260、270以外の絶縁材、例えば、ウレタンスポンジ等であってもよい。
【0064】
また、第二柱梁架構200と、第一柱梁架構100及びスラブ50との間に隙間252、262、272のみを設けて、第二柱梁架構200と第一柱梁架構100及びスラブ50とを構造的に絶縁してもよい。要は、第二柱梁架構200と、第一柱梁架構100及びスラブ50との間で、荷重の伝達が行われない又は殆ど行われない構造であればよい。
【0065】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。実施形態及び変形例等は、適宜、組み合わされて実施可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 建物
12 架構
13 架構
14 架構構造
15 架構構造
17 架構
19 架構構造
20 柱
30 梁
31 梁
50 スラブ
100 第一柱梁架構
101 第一柱梁架構
102 外面
120 第一柱
130 第一梁
200 第二柱梁架構
220 第二柱
230 第二梁
250 発砲スチロール材(絶縁材の一例)
252 隙間
260 発砲スチロール材(絶縁材の一例)
262 隙間
270 発砲スチロール材(絶縁材の一例)
272 隙間
280 方杖
330 第一梁