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特許7503399固体撮像装置及びその製造方法、並びに電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】固体撮像装置及びその製造方法、並びに電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240613BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240613BHJP
   H04N 25/10 20230101ALI20240613BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H04N25/70
H04N25/10
G02B5/20 101
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020045505
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021150325
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】東宮 祥哲
(72)【発明者】
【氏名】山本 篤志
【審査官】渡邊 佑紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-032590(JP,A)
【文献】特開2019-080079(JP,A)
【文献】特開2016-225324(JP,A)
【文献】特開2008-299248(JP,A)
【文献】特開2018-032792(JP,A)
【文献】特開2019-200279(JP,A)
【文献】特開2008-010760(JP,A)
【文献】特開2004-165512(JP,A)
【文献】特開2019-160830(JP,A)
【文献】特開2015-015295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
H04N 25/10
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換部が設けられた半導体層と、
前記半導体層の光入射面側に配置され、かつ2色以上のカラーフィルタ部を含むカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層の光入射面側に配置され、かつ前記カラーフィルタ層の屈折率よりも高く、かつ前記カラーフィルタ層の吸湿を抑制する無機層と、
を有し、
前記無機層は、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜の何れかで形成されている、固体撮像装置。
【請求項2】
前記無機層は、前記2色以上のカラーフィルタ部のうちの所定の色のカラーフィルタ部の光入射面側を選択的に覆っている、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記無機層は、前記2色以上のカラーフィルタ部の全ての色のカラーフィルタ部の光入射面側を覆っている、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記無機層は、前記2色以上のカラーフィルタ部のうちの第1の色のカラーフィルタ部の光入射面側を覆う第1光透過膜と、前記第1の色のカラーフィルタ部とは異なる第2の色のカラーフィルタ部及び前記第1光透過膜の各々の光入射面側を覆う第2光透過膜と、を含む、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記無機層は、前記2色以上のカラーフィルタ部のうちの色が異なる前記カラーフィルタ部の間にも配置されている、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記無機層は、前記カラーフィルタ層の端部側面も覆っている、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記無機層は、前記カラーフィルタ層の光入射面側とは反対側にも配置されている、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記カラーフィルタ層の光入射面側に配置された複数のマイクロレンズを更に有する、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
複数の光電変換部が設けられた半導体層と、
前記半導体層の光入射面側に配置され、かつ2色以上のカラーフィルタ部を含むカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層の光入射面側に配置され、かつ前記カラーフィルタ層の屈折率よりも高く、かつ前記カラーフィルタ層の吸湿を抑制する無機層と、
を有し、
前記無機層は、前記2色以上のカラーフィルタ部のうちの第1の色のカラーフィルタ部の光入射面側を覆う第1光透過膜と、前記第1の色のカラーフィルタ部とは異なる第2の色のカラーフィルタ部及び前記第1光透過膜の各々の光入射面側を覆う第2光透過膜と、を含む、固体撮像装置。
【請求項10】
半導体層上にカラーフィルタ膜を形成し、
前記カラーフィルタ膜上に前記カラーフィルタ膜の屈折率よりも高く、かつ前記カラーフィルタ膜の吸湿を抑制する無機層を酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜の何れかで形成し、
前記無機層上にエッチングマスクを形成
前記エッチングマスクの周囲の前記無機層及び前記カラーフィルタ膜をエッチングにより除去して上面が前記無機層で覆われたカラーフィルタ部を形成すると共に、前記エッチングマスクをオーバーエッチングにより除去する、
ことを含む固体撮像装置の製造方法。
【請求項11】
複数の光電変換部が設けられた半導体層と、
前記半導体層の光入射面側に設けられ、かつ2色以上のカラーフィルタ部を含むカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層の光入射面側に配置され、かつカラーフィルタ層の屈折率よりも高いく、かつ前記カラーフィルタ層の吸湿を抑制する無機層と、
を有する固体撮像装置を備え
前記無機層は、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜の何れかで形成されている、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術(本開示に係る技術)は、固体撮像装置及びその製造方法、並びに電子機器に関し、特に、カラーフィルタを有する固体撮像装置及びその製造方法、並びに、それを備えた電子機器に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を電気信号に変換する固体撮像装置は、複数の光電変換部が設けられた半導体層と、この半導体層の光入射面側に配置されたカラーフィルタ層とを備えている。カラーフィルタ層は、例えば赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3色のカラーフィルタ部を含んでいる。
【0003】
特許文献1には、色の異なるカラーフィルタ部の間に、カラーフィルタ部の屈折率よりも低い分離壁を設けることにより、シューディング特性の向上を図った固体撮像素子が開示されている。また、特許文献1には、カラーフィルタ層の光入射面側に平坦化層を設けることにより、光導入効率をより改善する技術も開示されている。この平坦化層も、カラーフィルタ部の屈折率よりも低くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-111225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カラーフィルタ層は、一般的に吸湿性が高い樹脂材料で形成されている。このため、高温高湿環境でカラーフィルタ層の吸湿による変質でシミ不良等の画像劣化を引き起こすことが懸念される。
【0006】
本技術の目的は、画像劣化を抑制することが可能な固体撮像装置及びその製造方法、並びにそれを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の一態様に係る固体撮像装置は、
複数の光電変換部が設けられた半導体層と、
上記半導体層の光入射面側に設けられ、かつ2色以上のカラーフィルタ部を含むカラーフィルタ層と、
上記カラーフィルタ層の光入射面側に配置され、かつ上記カラーフィルタ層の屈折率よりも高い無機層と、
を有する。
【0008】
本技術の他の態様に係る固体撮像装置の製造方法は、
半導体層上にカラーフィルタ膜を形成し、
上記カラーフィルタ膜上に前記カラーフィルタ膜の屈折率よりも高い無機層を形成し、
上記無機層上にエッチングマスクを形成し、
上記エッチングマスクの周囲の上記無機層及び上記カラーフィルタ膜をエッチングにより除去して上面が上記無機層で覆われたカラーフィルタ部を形成すると共に、上記エッチングマスクをオーバーエッチングにより除去する、
ことを含む。
【0009】
本技術の他の態様に係る電子機器は、
複数の光電変換部が設けられた半導体層と、
上記半導体層の光入射面側に設けられ、かつ2色以上のカラーフィルタ部を含むカラーフィルタ層と、
上記カラーフィルタ層の光入射面側に配置され、かつ上記カラーフィルタ層の屈折率よりも高い無機層と、
を有する固体撮像装置を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置の一構成例を示すチップレイアウト図である。
図2】本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
図3】画素アレイ部の断面構造を示す模式的断面図である。
図4A】本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法の工程断面図である。
図4B図4Aに引き続く工程断面図である。
図4C図4Bに引き続く工程断面図である。
図4D図4Cに引き続く工程断面図である。
図5A図4Eの一部を拡大した工程断面図である
図5B図5Aに引き続く工程断面図である。
図5C図5Bに引き続く工程断面図である。
図5D図5Cに引き続く工程断面図である。
図5E図5Dに引き続く工程断面図である。
図5F図5Eに引き続く工程断面図である。
図5G図5Fに引き続く工程断面図である。
図5H図5Gに引き続く工程断面図である。
図5I図5Hに引き続く工程断面図である。
図5J図5Iに引き続く工程断面図である。
図6】本技術の第2実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ部を示す模式的断面図である。
図7】本技術の第3実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ部を示す模式的断面図である。
図8】本技術の第4実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ部を示す模式的断面図である。
図9A】本技術の第4実施形態に係る固体撮像装置の製造方法の工程断面図である。
図9B図9Aに引き続く工程断面図である。
図9C図9Bに引き続く工程断面図である。
図9D図9Cに引き続く工程断面図である。
図9E図9Eに引き続く工程断面図である。
図10】本技術の第5実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ部を示す模式的断面図である。
図11A】本技術の第5実施形態に係る固体撮像装置の製造方法の工程断面図である。
図11B図11Aに引き続く工程断面図である。
図11C図11Bに引き続く工程断面図である。
図11D図11Cに引き続く工程断面図である。
図11E図11Dに引き続く工程断面図である。
図11F図11Eに引き続く工程断面図である。
図12】本技術の第6実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ部を示す模式的断面図である。
図13A】本技術の第6実施形態に係る固体撮像装置の製造方法の工程断面図である。
図13B図13Aに引き続く工程断面図である。
図14】電子機器の概略的な一構成例を示す図である。
図15】電子機器の概略的な一構成例を示す図である。
図16】車両制御システムの概略的な一構成例を示すブロック図である。
図17】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図18】内視鏡手術システムの概略的な一構成例を示すブロック図である。
図19】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、図面を参照して本技術の実施形態を説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0012】
(第1実施形態)
この第1実施形態では、裏面照射型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである固体撮像装置に本技術を適用した一例について説明する。
≪固体撮像装置の構成≫
まず、固体撮像装置1の平面レイアウトについて説明する。
図1に示すように、本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置1は、平面視したときの二次元平面形状が矩形の半導体チップ2を主体に構成されている。半導体チップ2は、二次元平面形状において、中央に設けられた矩形状の画素アレイ部2Aと、この画素アレイ部2Aの外側に画素アレイ部2Aを囲むようにして設けられた周辺部2Bと、この周辺部2Bの外側に周辺部2Bを囲むようにして設けられたパッド配置部2Cとを備えている。
【0013】
画素アレイ部2Aは、図示しない光学系により集光される光を受光する受光面である。そして、画素アレイ部2Aには、X方向及びY方向を含む二次元平面において複数の画素3が行列状に配置されている。
【0014】
周辺部2Bには、図2に示す垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、水平駆動回路6、出力回路7及び制御回路8などが配置されている。
【0015】
複数の画素3の各々の画素3は、図3に示す光電変換部23と、図示していないが複数の画素トランジスタとを含む。複数の画素トランジスタとしては、例えば、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、選択トランジスタ、アンプトランジスタの4つのトランジスタを採用できる。また、複数の画素トランジスタとしては、例えば選択トランジスタを除いた3つのトランジスタを採用してもよい。
【0016】
垂直駆動回路4は、例えばシフトレジスタによって構成されている。垂直駆動回路4は、所望の画素駆動配線10を順次選択し、選択した画素駆動配線10に画素3を駆動するためのパルスを供給し、各画素3を行単位で駆動する。即ち、垂直駆動回路4は、画素アレイ部2Aの各画素3を行単位で順次垂直方向に選択走査し、各画素3の光電変換部23において受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素3からの画素信号を、垂直信号線11を通してカラム信号処理回路5に供給する。
【0017】
カラム信号処理回路5は、例えば画素3の列毎に配置されており、1行分の画素3から出力される信号に対して画素列毎にノイズ除去等の信号処理を行う。例えばカラム信号処理回路5は、画素固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)及びAD(Analog Digital)変換等の信号処理を行う。
【0018】
水平駆動回路6は、例えばシフトレジスタによって構成されている。水平駆動回路6は、水平走査パルスをカラム信号処理回路5に順次出力することによって、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から信号処理が行われた画素信号を水平信号線12に出力させる。
【0019】
出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線12を通して順次に供給される画素信号に対し、信号処理を行って出力する。信号処理としては、例えば、バッファリング、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等を用いることができる。
【0020】
制御回路8は、垂直同期信号、水平同期信号、及びマスタクロック信号に基づいて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、及び水平駆動回路6等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路8は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、及び水平駆動回路6等に出力する。
【0021】
図1に示すように、パッド配置部2Cには、半導体チップ2の二次元平面における4つの辺のそれぞれの辺に沿って複数の電極パッド13が配置されている。電極パッド13は、半導体チップ2を図示しない外部装置と電気定的に接続する際に用いられる入出力端子である。
【0022】
この第1実施形態に係る固体撮像装置1(101)は、図14に示すように、光学レンズ102を介して被写体からの像光(入射光106)を取り込み、撮像面上に結像された入射光106の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
【0023】
次に、固体撮像装置1の具体的な構造について説明する。
図3に示すように、半導体チップ2は、複数の光電変換部23が設けられた半導体層20と、この半導体層20の厚さ方向において互いに反対側に位置する第1の面S1及び第2の面S2のうちの第2の面S2側である光入射面側に配置され、かつ2色以上のカラーフィルタ部を含むカラーフィルタ層40とを有する。
また、半導体チップ2は、カラーフィルタ層40の光入射面側(半導体層20側とは反対側)に配置された複数のマイクロレンズ59(オンチップレンズ、ウエハレンズ)を更に有する。
また、半導体チップ2は、半導体層20の第1の面S1側に配置された多層配線層30と、この多層配線層30の半導体層20側とは反対側に配置された支持基板34とを更に有する。
【0024】
半導体層20は、例えば単結晶シリコンからなるp型の半導体基板で構成されている。複数の光電変換部23の各々の光電変換部23は、画素アレイ部2Aにおいて、複数の画素3の各々の画素3に対応して行列状に配置されている。そして、各光電変換部23は、半導体層20に設けられた分離領域22によって区画されている。分離領域22は、半導体層20の第1の面S1側から第2の面S2側に向かって延伸し、互に隣り合う光電変換部23間を電気的及び光学的に分離している。分離領域22は、例えば酸化シリコン膜からなる単層構造、或いは金属膜の両側を絶縁膜で挟んだ3層構造を用いることができる。光電変換部23では、入射光の光量に応じた信号電荷が生成され、生成された信号電荷が蓄積される。
【0025】
複数の光電変換部23の各々の光電変換部23には、例えばn型の半導体領域からなるウエル領域21が構成されている。また、複数の光電変換部23の各々の光電変換部23には、詳細に図示していないが、光電変換素子として例えばアバランシェホトダイオード(APD:Avalanche Photo Diode)素子が構成され、更に画素トランジスタが構成されている。即ち、画素アレイ部2Aには、半導体層20に埋設された光電変換部23を含む画素3が行列状(二次元マトリクス状)に複数配置されている。
【0026】
多層配線層30は、半導体層20の光入射面(第2の面S2)側とは反対側の第1の面S1側に配置されており、層間絶縁膜31と、層間絶縁膜31を介して複数層に積層された配線32とを含んで構成されている。この複数層の配線32を介して各画素3を構成する画素トランジスタが駆動される。多層配線層30は、半導体層20の光入射面側(第2の面S2側)とは反対側に配置されているので、配線32のレイアウトを自由に設定することができる。
【0027】
2色以上のカラーフィルタ部を含むカラーフィルタ層40は、これに限定されないが、例えば、赤色(R)の第1カラーフィルタ部41と、緑色(G)の第2カラーフィルタ部42と、青色(B)の第3カラーフィルタ部43とを含む。この第1~第3カラーフィルタ部41~43は、画素アレイ部2Aにおいて、複数の画素3の各々の画素3、即ち、複数の光電変換部23の各々の光電変換部23に対応して行列状に配置されている。第1~第3カラーフィルタ部41~43は、ランダムに配置されており、必ずしも同数になっていない。この第1実施形態では、例えば、緑色(G)の第2カラーフィルタ部42が赤色(R)の第1カラーフィルタ部41及び青色(B)の第3カラーフィルタ部43よりも多く設けられている。赤色(R)の第1カラーフィルタ部41、緑色(G)の第2カラーフィルタ部42、及び青色(B)の第3カラーフィルタ部43の各々は、光電変換部23に受光させたい入射光の特定の波長を透過し、透過させた入射光を光電変換部23に入射させる構成になっている。
【0028】
無機層50は、これに限定されないが、光透過膜51からなる単層膜で構成されている。そして、無機層50は、第1~第3カラーフィルタ部41~43のうちの所定の色のカラーフィルタ部、例えば緑色(G)の第2カラーフィルタ部42の光入射面側を選択的に覆っている。即ち、第1及び第3カラーフィルタ部41及び43の各々の光入射面側には、無機層50が設けられていない。光透過膜51は、第1~第3カラーフィルタ部41~43を含むカラーフィルタ層40の屈折率よりも高い例えば酸化アルミニウム(Al)膜、酸化ハフニウム(HfO)膜及び窒化シリコン(Si)膜の何れかで構成されている。また、光透過膜51としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れか2つ以上を積層した構成としてもよい。この光透過膜51は、固体撮像装置の製造プロセスにおいて、緑色(G)のカラーフィルタ膜をエッチングして第2カラーフィルタ部42を形成するときのエッチングストッパとしても機能する。
酸化アルミニウム膜は例えば1.63程度の屈折率を有する。酸化ハフニウム膜は例えば1.95程度の屈折率を有する。窒化シリコン膜は例えば2.0程度の屈折率を有する。酸化シリコン膜は例えば1.45程度の屈折率を有する。赤色の第1カラーフィルタ部41、緑色の第2カラーフィルタ部42、及び青色の第3カラーフィルタ部43の各々は、例えば1.6程度の屈折率を有する。
【0029】
複数のマイクロレンズ59の各々のマイクロレンズ59は、画素アレイ部2Aにおいて、複数の画素3の各々の画素3、即ち複数の光電変換部23の各々の光電変換部23に対応して行列状に配置されている。マイクロレンズ59は、照射光を集光し、集光した光を、カラーフィルタ層40を介して半導体層20の光電変換部23に効率よく入射させる。複数のマイクロレンズ59は、カラーフィルタ層の光入射面側においてマイクロレンズアレイを構成している。マイクロレンズ59は、例えばスチレン等の材料で形成されている。
【0030】
支持基板34は、多層配線層30の半導体層20に面する側とは反対側の面に設けられている。支持基板34は、固体撮像装置1の製造段階において、半導体層20の強度を確保するための基板である。支持基板34の材料としては、例えば、シリコン(Si)を用いることができる。
【0031】
半導体層20とカラーフィルタ層40との間には、半導体層20側から平坦化膜36、遮光膜37及び接着膜38がこの順で積層されている。
平坦化膜36は、半導体層20の光入射面側が凹凸のない平坦面となるように、画素アレイ部2Aにおいて、半導体層20の光入射面側全体を覆っている。平坦化膜36としては、例えば酸化シリコン(SiO)膜を用いることができる。
遮光膜37は、所定の画素3の光が隣の画素3へ漏れ込まないように、平面視の平面パターンが複数の光電変換部23のそれぞれの受光面側を開口する格子状平面パターンになっている。この遮光膜37としては、例えばタングステン(W)膜が用いられている。
【0032】
接着膜38は、平坦化膜36及び遮光膜37と、カラーフィルタ層40との間に配置され、主に遮光膜37とカラーフィルタ層40との密着性を高めている。接着膜38としては、例えば酸化シリコン膜が用いられている。
【0033】
以上の構成を有する固体撮像装置1では、光が半導体チップ2のマイクロレンズ59側から照射され、照射された光がマイクロレンズ59及びカラーフィルタ部41,42,43を個別に透過し、透過した光が光電変換部23で光電変換されることで、信号電荷が生成される。そして、生成された信号電荷が、半導体層20の第1の面側に形成された画素トランジスタを介して、多層配線層30の配線32からなる垂直信号線11によって画素信号として出力される。また、光電変換部23で生成された信号電荷間の差に基づき、被写体までの間の距離が算出される。
【0034】
この第1実施形態に係る固体撮像装置1は、上述したように、カラーフィルタ層40の光入射面側に配置され、かつカラーフィルタ層40の屈折率よりも高い光透過膜51からなる無機層50を有している。そして、無機層50は、3色のカラーフィルタ部41,42,43のうちの緑色(G)の第2カラーフィルタ部42の光入射面側を選択的に覆っている。カラーフィルタ層40よりも屈折率が高い無機層50は、カラーフィルタ層40よりも膜質が緻密であるため、カラーフィルタ層40よりも透湿性が低い。したがって、この第1実施形態に係る固体撮像装置1によれば、無機層50で覆われた第2カラーフィルタ部42での吸湿を抑制することができるので、吸湿によるカラーフィルタ層40全体の変質を抑制することができる。これにより、カラーフィルタ層40の吸湿による変質に起因するシミ不良などの画像劣化を抑制することができる。
【0035】
≪固体撮像装置の製造方法≫
次に、この第1実施形態に係る固体撮像装置1の製造方法について、図4Aから図4C及び図5Aから図5Jを用いて説明する。
【0036】
まず、図4Aに示す半導体層20を準備する。半導体層20としては、例えば単結晶シリコン基板を用いる。
次に、図4Aに示すように、半導体層20の第1の面S1側にn型の半導体領域からなるウエル領域21を形成する。
次に、図4Bに示すように、半導体層20の第1の面S1側に、各々が分離領域22で周囲を囲まれて区画された複数の光電変換部23を形成する。複数の光電変換部23の各々は、半導体層20の第1の面S1側に分離領域22、APD素子及び画素トランジスタなどを形成することによって形成される。
【0037】
次に、図4Cに示すように、半導体層20の第1の面S1側に、層間絶縁膜31と、この層間絶縁膜31を介して複数層に積層された配線32とを含む多層配線層30を形成する。
次に、多層配線層30の半導体層20側とは反対側に支持基板34を接合する。そして、図4D及び図5Aに示すように、半導体層20の第2の面(光入射面)S2側を分離領域22が露出するまでCMP法などにより研削して半導体層20の厚さを薄くする。
【0038】
次に、図5Bに示すように、半導体層20の第2の面S2側に、平坦化膜36、遮光膜37及び接着膜38をこの順で形成する。平坦化膜36は、半導体層20の第2の面S2上に例えば酸化シリコン膜をCVD法で成膜した後、この酸化シリコン膜の表面をCMP法やエッチバック法で研削することによって形成される。遮光膜37は、平坦化膜36上に例えば高融点金属膜としてタングステン(W)膜をスパッタ法で成膜した後、このタングステン膜を周知のフォトリソグラフィ技術を用いて所定のパターンにターンニングすることによって形成される。遮光膜37は、平面視の平面パターンが複数の光電変換部23のそれぞれの受光面側を開口する格子状平面パターンで形成する。接着膜38は、遮光膜37上を含む平坦化膜36上の全面に例えば酸化シリコン膜をCVD法で成膜することによって形成される。接着膜38は、遮光膜37で囲まれた領域に凹部が形成されるように、遮光膜37の厚さよりも薄い膜厚で形成する。
【0039】
次に、図5Cに示すように、半導体層20の第2の面2S側であって接着膜38上の全面に、緑色(G)の分光特性を有する緑色(G)のカラーフィルタ膜42Aを形成する。緑色のカラーフィルタ膜42Aは、半導体層20の第2の面2S側に液状の熱硬化性樹脂材をスピンコード法により塗布し、その後、熱処理を施して、液状の熱硬化性樹脂材を熱硬化させることによって形成される。
【0040】
次に、図5Dに示すように、緑色のカラーフィルタ膜42A上の全面に、緑色のカラーフィルタ膜42Aの屈折率よりも高い光透過膜51からなる単層の無機層50を形成する。光透過膜51としては、緑色のカラーフィルタ膜42Aの屈折率よりも高い酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れかを用いることができる。また、光透過膜51としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れか2つ以上を積層した構成としてもよい。
【0041】
次に、図5Eに示すように、無機層50上に、無機層50及び緑色の第2カラーフィルタ膜42Aをエッチングするときのマスクとして使用するエッチングマスクRM1を形成する。エッチングマスクRM1は、無機層50上の全面に感光性レジスト膜を形成し、その後、この感光性レジスト膜に感光処理及び現像処理などを施して所定のパターンに加工することによって形成される。エッチングマスクRM1は、複数の光電変換部23のうち、緑色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23と平面的に重なる位置に形成される。
【0042】
次に、エッチングマスクRM1をエッチングマスクとして使用し、エッチングマスクRM1の周囲の無機層50及び緑色のカラーフィルタ膜42Aをエッチングにより順次除去して、図5Fに示すように、上面が無機層50で覆われた緑色(G)の第2カラーフィルタ部42を形成すると共に、図5Gに示すように、オーバーエッチングを施して緑色の第2カラーフィルタ部42上のエッチングマスクRM1を除去する。エッチングは、異方性に優れたRIE(Reactive Ion Etching)などのドライエッチングで行う。第2カラーフィルタ部42は、複数の光電変換部23のうち、緑色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上に平面的に重なるようにして形成される。
この工程において、無機層50がエッチングストッパとして機能するので、緑色のカラーフィルタ膜42Aと同じ樹脂系の材料かなるエッチングマスクRM1を容易に除去することができる。また、エッチングマスクRM1を用いたドライエッチングで緑色のカラーフィルタ膜42Aをエッチングするので、矩形性に優れた緑色の第2カラーフィルタ部42を高精度で形成することができる。
【0043】
次に、図5Hに示すように、複数の光電変換部23のうち、赤色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上に、この光電変換部23と平面的に重なるようにして赤色(R)の第1カラーフィルタ部41を形成する。第1カラーフィルタ部41は、無機層50の形成工程を除いた緑色の第2カラーフィルタ部42の形成工程と同様の工程で形成される。即ち、赤色の第1カラーフィルタ部41は、赤色(R)の分光特性を有する赤色のカラーフィルタ膜を形成し、この赤色のカラーフィルタ膜上にエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクの周囲の赤色のカラーフィルタ膜をエッチングにより除去することによって形成される。
【0044】
次に、図5Iに示すように、複数の光電変換部23のうち、青色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上に、この光電変換部23と平面的に重なるようにして青色(B)の第3カラーフィルタ部43を形成する。この第3カラーフィルタ部43も、無機層50の形成工程を除いた緑色の第2カラーフィルタ部42の形成工程と同様の工程で形成される。即ち、青色(B)の第3カラーフィルタ部43は、青色の分光特性を有する青色カラーフィルタ膜を形成し、この青色のカラーフィルタ膜上にエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクの周囲の青色のカラーフィルタ膜をエッチングにより除去することによって形成される。この工程により、第1~第3カラーフィルタ部41~43を有するカラーフィルタ層40が形成される。
【0045】
次に、図5Jに示すように、カラーフィルタ層40の光入射面側に複数のマイクロレンズ59を形成する。これにより、半導体層20、多層配線層30、平坦化膜36、遮光膜37、接着膜38及びマイクロレンズ等を含む半導体基体が形成される。また、図1から図3に示す固体撮像装置1がほぼ完成する。固体撮像装置1は、半導体基体にスクライブライン(ダイシングライン)で区画された複数のチップ形成領域の各々に形成される。そして、この複数のチップ形成領域をスクライブラインに沿って個々に分割することにより、固体撮像装置1を搭載した半導体チップ2が形成される。
【0046】
この第1実施形態に係る固体撮像装置1の製造方法では、エッチングマスクRM1の周囲の無機層50及び緑色(G)のカラーフィルタ膜42Aをエッチングにより順次除去して、上面が無機層50で覆われた緑色(G)の第2カラーフィルタ部42を形成する際、無機層50がエッチングストッパとして機能するので、第2カラーフィルタ膜42Aと同じ樹脂系の材料かなるエッチングマスクRM1を容易に除去することができる。また、エッチングマスクRM1を用いたドライエッチングで緑色(G)のカラーフィルタ膜42Aをエッチングするので、矩形性に優れた緑色(G)の第2カラーフィルタ部42を高精度で形成することができる。したがって、この第1実施形態に係る固体撮像装置1の製造方法によれば、高精度のカラーフィルタ層40を形成することができると共に、カラーフィルタ層40の吸湿による変質に起因するシミ不良などの画像劣化を抑制することができる。
【0047】
なお、この第1実施形態では、3色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))のカラーフィルタ部(41,42,43)のうち、緑色(G)の第2カラーフィルタ部42の光入射面側を、カラーフィルタ層40の屈折率よりも高い無機層50で選択的に覆った場合について説明した。しかしながら、本技術は、第2カラーフィルタ部42を無機層50で選択的に覆う第1実施形態の構成に限定されない。例えば、赤色(R)の第1カラーフィルタ部41の光入射面側、又は青色(B)の第3カラーフィルタ部43の光入射面側を無機層50で選択的に覆ってもよい。第1カラーフィルタ部41の光入射面側を無機層50で選択的に覆う場合は、第1カラーフィルタ部41を第2及び第3カラーフィルタ部42及び43よりも先に形成することが好ましい。また、第3カラーフィルタ部43の光入射面側を無機層50で選択的に覆う場合は、第3カラーフィルタ部43を第1及び第2カラーフィルタ部41及び42よりも先に形成することが好ましい。
【0048】
(第2実施形態)
本技術の第2実施形態に係る固体撮像装置1Aは、基本的に上述の第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様の構成になっており、図6に示すように、第1実施形態の無機層50に換えて無機層50Aを有する。その他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。
【0049】
図3に示すように、第1実施形態に係る固体撮像装置1の無機層50は、3色のカラーフィルタ部(41,42,43)を含むカラーフィルタ層40の屈折率よりも高い光透過膜51からなる単層膜で構成されている。
これに対し、図6に示すように、第2実施形態に係る固体撮像装置1Aの無機層50Aは、2色以上のカラーフィルタ部のうちの所定の色のカラーフィルタ部を選択的に覆う光透過膜51と、この光透過膜51の光入射面側を覆い、かつ残りの他の色のカラーフィルタ部の光入射面側を覆う光透過膜55とを含む構成になっている。この第2実施形態では、光透過膜51は緑色(G)の第2カラーフィルタ部42の光入射面側を選択的に覆っている。即ち、無機層50Aは、第2カラーフィルタ部42と第1及び第3カラーフィルタ部41,43とで厚さが異なっており、第2カラーフィルタ部42を覆う部分が第1及び第3カラーフィルタ部41,43を覆う部分よりも厚くなっている。
光透過膜55は、第2カラーフィルタ部42上の光透過膜51の光入射面側を覆い、かつ赤色(R)のカラーフィルタ部41及び青色(B)のカラーフィルタ部43の各々の光入射面側を覆っている。そして、光透過膜55は、図6の右側に示すように、画素アレイ部2A及び周辺部2Bに亘って設けられており、カラーフィルタ層40の最外周の端部側面40aを最外周に沿って覆っている。
即ち、無機層50Aは、カラーフィルタ層40の光入射面側の全面を覆うと共に、カラーフィルタ層40の最外周の端部側面40aも覆っている。光透過膜55は、光透過膜51と同様に、第1~第3カラーフィルタ部41~43を含むカラーフィルタ層40の屈折率よりも高い例えば酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れかで構成されている。また、光透過膜55としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れか2つ以上を積層した構成としてもよい。
【0050】
この第2実施形態に係る固体撮像装置1Aによれば、第1~第3カラーフィルタ部41~43を有するカラーフィルタ層40全体の吸湿を無機層50Aで抑制することができるので、吸湿によるカラーフィルタ層40の変質を第1実施形態と比較して更に抑制することができる。これにより、カラーフィルタ層40の吸湿による変質に起因するシミ不良などの画像劣化を更に抑制することができる。
【0051】
なお、赤色(R)の第1カラーフィルタ部41の光入射面側、又は青色(B)の第3カラーフィルタ部43の光入射面側を光透過膜51で選択的に覆うようにしてもよい。
また、光透過膜55は、カラーフィルタ層40の端部側面40aを覆わない構成としてもよい。
【0052】
(第3実施形態)
本技術の第3実施形態に係る固体撮像装置1Bは、基本的に上述の第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様の構成になっており、図7に示すように、第1実施形態の無機層50に換えて無機層50Bを有する。その他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。
【0053】
図3に示すように、第1実施形態に係る固体撮像装置1の無機層50は、3色のカラーフィルタ部(41,42,43)を含むカラーフィルタ層40の屈折率よりも高い光透過膜51からなる単層膜で構成されている。
これに対し、図7に示すように、第3実施形態に係る固体撮像装置1Bは、2色以上のカラーフィルタ部の全てのカラーフィルタ部の各々の光入射面側を覆う光透過膜55からなる単層膜で構成されている。この第3実施形態では、光透過膜55は、赤色(R)の第1カラーフィルタ部41、緑色(G)の第2カラーフィルタ部42及び青色(B)の第3カラーフィルタ部43の各々の光入射面側を覆っている。そして、光透過膜55は、第2実施形態と同様に、カラーフィルタ層40の最外周の端部側面40aも最外周に沿って覆っている。すなわち、無機層50Bは、3色のカラーフィルタ部(41,42,43)を有するカラーフィルタ層40の光入射面側の全面を覆うと共に、カラーフィルタ層40の最外周の端部側面40aも覆っている。
【0054】
この第3実施形態に係る固体撮像装置1Bによれば、カラーフィルタ層40全体の吸湿を無機層50Bで抑制することができるので、吸湿によるカラーフィルタ層40の変質を第1実施形態と比較して更に抑制することができる。これにより、カラーフィルタ層40の吸湿による変質に起因するシミ不良などの画像劣化を更に抑制することができる。
なお、光透過膜55は、カラーフィルタ層40の端部側面40aを覆わない構成としてもよい。
【0055】
(第4実施形態)
≪固体撮像装置の構成≫
本技術の第4実施形態に係る固体撮像装置1Cは、基本的に上述の第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様の構成になっており、図8に示すように、第1実施形態の無機層50に換えて無機層50Cを有する。その他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。
【0056】
図8に示すように、第4実施形態に係る固体撮像装置1Cの無機層50Cは、光透過膜51、52及び55を含む構成になっている。
光透過膜51は、上述の第1実施形態と同様に、3色のカラーフィルタ部(41,42,43)のうち、緑色(G)の第2カラーフィルタ部42の光入射面側を選択的に覆っている。そして、この光透過膜51は、上述の第1実施形態で説明したように、緑色(G)のカラーフィルタ膜をエッチングして第2カラーフィルタ部42を形成するときのエッチングストッパとしても機能する。
光透過膜52は、第2カラーフィルタ部42上の光透過膜51の光入射面側を覆い、かつ残りの2色のカラーフィルタ部(41,43)のうちの赤色(R)の第1カラーフィルタ部41の光入射面側を覆っている。
そして、光透過膜52は、赤色(R)の第1カラーフィルタ部41と青色(B)の第3カラーフィルタ部43との間にも配置され、これらの間において第1カラーフィルタ部41及び第3カラーフィルタ部43の各々の側面も覆っている。
また、光透過膜52は、緑色(G)の第2カラーフィルタ部42と青色(B)の第3カラーフィルタ部43との間にも配置され、これらの間において第2カラーフィルタ部42及び第3カラーフィルタ部43の各々の側面も覆っている。
光透過膜55は、第2カラーフィルタ部42上の光透過膜51、第1カラーフィルタ部41上及び第2カラーフィルタ部42上の光透過膜52、及び残りの第3カラーフィルタ部43の各々の光入射面側を覆っている。そして、光透過膜55は、図8には詳細に図示していないが、図6を参照すれば、上述の第2実施形態と同様に、カラーフィルタ層40の最外周の端部側面40aも最外周に沿って覆っている。
【0057】
即ち、無機層50Cは、カラーフィルタ層40の入射面側の全面を覆うと共に、第1カラーフィルタ部41と第3カラーフィルタ部43との間において第1及び第3カラーフィルタ部41,43の各々の側面を覆い、かつ第2カラーフィルタ部42と第3カラーフィルタ部43との間において第2及び第3カラーフィルタ部42,43の各々の側面も覆っている。また、無機層50Cは、カラーフィルタ層40の最外周の端部側面40aも覆っている。
無機層50Cは、第1カラーフィルタ部41、第2カラーフィルタ部42及び第3カラーフィルタ部43でそれぞれ膜厚が異なっている。無機層50Cは、第2カラーフィルタ部42を覆う部分が最も厚く、次に第1カラーフィルタ部42を覆う部分が厚く、第3カラーフィルタ部43を覆う部分が最も薄くなっている。
【0058】
光透過膜52は、光透過膜51及び55と同様に、第1~第3カラーフィルタ部41~43を含むカラーフィルタ層40の屈折率よりも高い例えば酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れかで構成されている。また、光透過膜52としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れか2つ以上を積層した構成としてもよい。
【0059】
図8に示すように、光透過膜52は、青色(B)の第3カラーフィルタ部43と光電変換部23との間にも配置されている。この第4実施形態では、接着膜38が設けられているので、光透過膜52は、第3カラーフィルタ部43と接着膜38との間に設けられている。即ち、無機層50Cは、カラーフィルタ層40の光入射面側に配置され、更にカラーフィルタ層40の光入射面側とは反対側にも配置されている。
この第4実施形態に係る固体撮像装置1Cによれば、カラーフィルタ層40全体の吸湿を無機層50Cで抑制することができるので、吸湿によるカラーフィルタ層40の変質を第1実施形態と比較して更に抑制することができる。これにより、カラーフィルタ層40の吸湿による変質に起因するシミ不良などの画像劣化を更に抑制することができる。
【0060】
なお、赤色(R)の第1カラーフィルタ部41の光入射面側、又は青色(B)の第3カラーフィルタ部43の光入射面側を光透過膜51で選択的に覆うようにしてもよい。
また、光透過膜55は、カラーフィルタ層40の端部側面40aを覆わない構成としてもよい。
【0061】
≪固体撮像装置の製造方法≫
次に、この第4実施形態に係る固体撮像装置1Cの製造方法について、図9Aから図9Eを用いて説明する。
まず、第1実施形態の図4Aから図4D、及び図5Aから5Gに示す工程と同様の工程を施して、図9Aに示すように、緑色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上に、上面が光透過膜51で覆われた緑色(G)の第2カラーフィルタ部42を形成する。第2カラーフィルタ部42上のエッチングマスクRM1(図5F参照)はオーバーエッチングにより除去されている。
【0062】
次に、図9Bに示すように、複数の光電変換部23のうち、赤色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上に、この光電変換部23と平面的に重なるようにして赤色(R)の第1カラーフィルタ部41を形成する。第1カラーフィルタ部41は、光透過膜51の形成工程を除いた緑色の第2カラーフィルタ部42の形成工程と同様の工程で形成される。
【0063】
次に、図9Cに示すように、光透過膜51上及び第1カラーフィルタ部41上を含む半導体層20の第2の面S2側の全面に、第1及び第2カラーフィルタ部41,42の屈折率よりも高い光透過膜52を形成する。光透過膜52としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れかを用いることができる。これらの膜は、CVD法や蒸着法によって成膜することができる。
この工程において、青色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上にも光透過膜52が形成される。また、第2カラーフィルタ部42の側面のうち、第1カラーフィルタ部41と接触していない側面が光透過膜52で覆われる。また、第1カラーフィルタ部41の側面のうち、詳細に図示していないが、第2カラーフィルタ部42と接触していない側面も光透過膜52で覆われる。
【0064】
次に、図9Dに示すように、複数の光電変換部23のうち、青色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上に、この光電変換部23と平面的に重なるようにして青色(B)の第3カラーフィルタ部43を形成する。第3カラーフィルタ部43は、光透過膜51の形成工程を除いた緑色の第2カラーフィルタ部42の形成工程と同様の工程で形成される。
この工程において、第3カラーフィルタ部43は、光電変換部23の光入射面側に光透過膜52を介して配置される。
また、この工程において、第2カラーフィルタ部42と第3カラーフィルタ部43との間にも光透過膜52が配置され、この間において第2カラーフィルタ部42及び第3カラーフィルタ部43の各々の側面も光透過膜52で覆われる。
また、この工程において、第1カラーフィルタ部41と第2カラーフィルタ部42との間にも光透過膜52が配置され、この間において第1カラーフィルタ部41及び第3カラーフィルタ部43の各々の側面も光透過膜52で覆われる。
【0065】
次に、図9Eに示すように、光透過膜52上及び第3カラーフィルタ部43上を含む半導体層20上の全面に、第1、第2及び第3カラーフィルタ部(41,42,43)の屈折率よりも高い光透過膜55を形成する。光透過膜55としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れかを用いることができる。これらの膜は、CVD法や蒸着法によって成膜することができる。
この工程により、光透過膜51、52及び55を含む無機層50Cが形成される。また、第1~第3カラーフィルタ部(41,42,43)を有し、かつ無機層50Cを有するカラーフィルタ層40が形成される。
この工程において、カラーフィルタ層40の最外周の端部側面40aも最外周に沿って光透過膜で覆われる。
【0066】
次に、カラーフィルタ層40の光入射面側に複数のマイクロレンズ59を形成する。これにより、図8示す固体撮像装置1Cがほぼ完成する。
【0067】
この第4実施形態に係る固体撮像装置1Cの製造方法によれば、上述の第1実施形態と同様に、高精度のカラーフィルタ層40を形成することができる。また、カラーフィルタ層40の吸湿による変質に起因するシミ不良などの画像劣化を第1実施形態と比較して更に抑制することができる。
【0068】
(第5実施形態)
≪固体撮像装置の構成≫
本技術の第5実施形態に係る固体撮像装置1Dは、基本的に上述の第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様の構成になっており、図10に示すように、第1実施形態の無機層50に換えて無機層50Dを有する。その他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。
【0069】
図10に示すように、第5実施形態に係る固体撮像装置1Dの無機層50Dは、光透過膜51、52、54及び55を含む構成になっている。
光透過膜51は、3色のカラーフィルタ部(41,42,43)のうち、緑色(G)の第2カラーフィルタ部42の光入射面側を選択的に覆っている。この光透過膜51は、上述の第1実施形態で説明したように、緑色(G)のカラーフィルタ膜をエッチングして第2カラーフィルタ部42を形成するときのエッチングストッパとしても機能する。
【0070】
光透過膜53は、第2カラーフィルタ部42上の光透過膜51の光入射面側を覆っている。そして、光透過膜53は、第2カラーフィルタ部42と第1カラーフィルタ部41との間にも配置され、これらの間において第2カラーフィルタ部42及び第1カラーフィルタ部41の各々の側面も覆っている。
また、光透過膜53は、第2カラーフィルタ部42と第3カラーフィルタ部43との間にも配置され、これらの間において第2カラーフィルタ部42及び第3カラーフィルタ部43の各々の側面も覆っている。
また、光透過膜53は、第1カラーフィルタ部41と第3カラーフィルタ部との間にも配置され、これらの間において第1カラーフィルタ部41及び第3カラーフィルタ部43の各々の側面も覆っている。
【0071】
光透過膜54は、第2カラーフィルタ部42上の光透過膜53の光入射面側、及び第1カラーフィルタ部41の光入射面側を覆っている。
そして、光透過膜54は、第2カラーフィルタ部42と第3カラーフィルタ部43との間にも配置され、これらの間において第2カラーフィルタ部及び第3カラーフィルタ部の各々の側面も覆っている。
また、光透過膜54は、第1カラーフィルタ部41と第3カラーフィルタ部43との間にも配置され、これらの間において第1カラーフィルタ部及び第3カラーフィルタ部の各々の側面も覆っている。
【0072】
光透過膜55は、第2カラーフィルタ部42上及び第1カラーフィルタ部41上の光透過膜54の光入射面側、及び第3カラーフィルタ部43の光入射面側を覆っている。そして、光透過膜55は、図10に図示していないが、図6を参照すれば、上述の第2実施形態と同様に、カラーフィルタ層40の最外周の端部側面40aも最外周に沿って覆っている。
【0073】
即ち、無機層50Dは、カラーフィルタ層40の入射面側の全面を覆うと共に、第2カラーフィルタ部42と第3カラーフィルタ部43との間において第2及び第3カラーフィルタ部42及び43の各々の側面、第2カラーフィルタ部42と第1カラーフィルタ部41との間において第2及び第1カラーフィルタ部42及び41の各々の側面、並びに第1カラーフィルタ部41と第3カラーフィルタ部43との間において第1及び第3カラーフィルタ部41及び43の各々の側面も覆っている。
無機層50Dは、第1カラーフィルタ部41、第2カラーフィルタ部42及び第3カラーフィルタ部43でそれぞれ膜厚が異なっている。無機層50Dは、第2カラーフィルタ部42を覆う部分が最も厚く、次に第1カラーフィルタ部42を覆う部分が厚く、第3カラーフィルタ部43を覆う部分が最も薄くなっている。
【0074】
光透過膜53及び54は、光透過膜51及び55と同様に、第1~第3カラーフィルタ部41~43を含むカラーフィルタ層40の屈折率よりも高い例えば酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れかで構成されている。また、光透過膜53及び54としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れか2つ以上を積層した構成としてもよい。
【0075】
図10に示すように、光透過膜53は、赤色(R)の第1カラーフィルタ部41と光電変換部23との間、及び青色(b)の第3カラーフィルタ部43と光電変換部23との間にも配置されている。この第5実施形態でも接着膜38が設けられているので、光透過膜53は、第1及び第3カラーフィルタ部41及び43と接着膜38との間に配置されている。
光透過膜54は、第3カラーフィルタ部43と、この第3カラーフィルタ部43の直下の光透過膜53との間にも配置されている。
即ち、無機層50Dは、カラーフィルタ層40の光入射面側に配置され、更にカラーフィルタ層40の光入射面側とは反対側にも配置されている。
光透過膜53は、固体撮像装置1Dの製造プロセスにおいて、赤色のカラーフィルタ膜をエッチングして赤色(R)の第1カラーフィルタ部41を形成するときのエッチングストッパとしても機能する。
【0076】
≪固体撮像装置の製造方法≫
次に、この第5実施形態に係る固体撮像装置1Dの製造方法について、図11Aから図11Fを用いて説明する。
まず、第1実施形態の図4Aから図4D、及び図5Aから5Gに示す工程と同様の工程を施して、図11Aに示すように、緑色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上に、上面が光透過膜51で覆われた緑色(G)の第2カラーフィルタ部42を形成する。第2カラーフィルタ部42上のエッチングマスクRM1(図5F参照)はオーバーエッチングにより除去されている。
【0077】
次に、図11Bに示すように、光透過膜51上を含む半導体層20上の全面に、第2カラーフィルタ部42の屈折率よりも高い光透過膜53を形成する。光透過膜52としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れかを用いることができる。これらの膜は、CVD法や蒸着法によって成膜することができる。
この工程において、赤色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上、及び青色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上にも光透過膜53が形成される。
【0078】
次に、図11Cに示すように、複数の光電変換部23のうち、赤色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上に、この光電変換部23と平面的に重なるようにして赤色(R)の第1カラーフィルタ部41を形成する。第1カラーフィルタ部41は、光透過膜51の形成工程を除いた緑色の第2カラーフィルタ部42の形成工程と同様の工程で形成される。
この工程において、第1カラーフィルタ部41は、光電変換部23の光入射面側に光透過膜53を介して配置される。
また、この工程において、第2カラーフィルタ部42と第1カラーフィルタ部41との間にも光透過膜53が配置され、この間において第2カラーフィルタ部42及び第1カラーフィルタ部41の各々の側面も光透過膜53で覆われる。
また、この工程において、青色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23上の光透過膜53は、赤色(R)のカラーフィル膜をエッチングして赤色(R)の第1カラーフィルタ部41を形成するときのエッチングマスクとしても機能する。
【0079】
次に、図11Dに示すように、光透過膜53及び第1カラーフィルタ部41の各々の光入射面側を含む半導体層20の第2の面S2側の全面に、第1及び第2カラーフィルタ部41及び42の屈折率よりも高い光透過膜54を形成する。光透過膜54としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れかを用いることができる。これらの膜は、CVD法や蒸着法によって成膜することができる。
【0080】
次に、図11Eに示すように、複数の光電変換部23のうち、青色の波長の光を受光して光電変換する光電変換部23の光入射面側に、この光電変換部23と平面的に重なるようにして青色(B)の第3カラーフィルタ部43を形成する。第3カラーフィルタ部43は、光透過膜51の形成工程を除いた緑色の第2カラーフィルタ部42の形成工程と同様の工程で形成される。
この工程において、第3カラーフィルタ部43は、光電変換部23の光入射面側に光透過膜53及び54を介して配置される。
また、この工程において、第2カラーフィルタ部42と第3カラーフィルタ部43との間にも光透過膜53及び54が配置され、この間において第2カラーフィルタ部42及び第3カラーフィルタ部43の各々の側面も光透過膜53及び54で覆われる。
また、この工程において、第1カラーフィルタ部41と第3カラーフィルタ部43との間にも光透過膜54が配置され、この間において第1カラーフィルタ部41及び第3カラーフィルタ部43の各々の側面も光透過膜54で覆われる。
【0081】
次に、図11Fに示すように、光透過膜54及び第3カラーフィルタ部43の各々の光入射面側を含む半導体層20の第2の面S2側の全面に、第1~第3カラーフィルタ部41~43の屈折率よりも高い光透過膜55を形成する。光透過膜55としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れかを用いることができる。これらの膜は、CVD法や蒸着法によって成膜することができる。
この工程において、カラーフィルタ層40の最外周の端部側面40aも最外周に沿って光透過膜55で覆われる。
【0082】
この工程により、光透過膜51、53、54及び55を含む無機層50Dが形成される。また、第1~第3カラーフィルタ部(41,42,43)を有し、かつ無機層50Dを有するカラーフィルタ層40が形成される。
【0083】
次に、カラーフィルタ層40の光入射面側に複数のマイクロレンズ59を形成する。これにより、図10示す固体撮像装置1Dがほぼ完成する。
【0084】
この第5実施形態に係る固体撮像装置1Dの製造方法によれば、上述の第1実施形態と同様に、高精度のカラーフィルタ層40を形成することができる。また、カラーフィルタ層40の吸湿による変質に起因するシミ不良などの画像劣化を第1実施形態と比較して更に抑制することができる。
【0085】
(第6実施形態)
本技術の第6実施形態に係る固体撮像装置1Eは、基本的に上述の第1実施形態に係る固体撮像装置1と同様の構成になっており、図12に示すように、第1実施形態の無機層50に換えて無機層50Eを備えている。その他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。
図12に示すように、第6実施形態に係る固体撮像装置1Eの無機層50Eは、光透過膜51及び57を含む構成になっている。
光透過膜51は、3色のカラーフィルタ部(41,42,43)のうち、緑色(G)の第2カラーフィルタ部42の光入射面側を選択的に覆っている。この光透過膜51は、上述の第1実施形態で説明したように、第2カラーフィルタ部42を形成する時のエッチングストッパとしても機能する。
【0086】
光透過膜57は、第1~第3カラーフィルタ部41~43の各々と光電変換部23との間に配置されている。この第6実施形態では、上述の第1実施形態と同様に接着膜38が設けられているので、光透過膜57は、第1~第3カラーフィルタ部41~43の各々と接着膜38との間に設けられている。即ち、無機層50Eは、カラーフィルタ層40の光入射面側に配置され、更にカラーフィルタ層40の光入射面側とは反対側にも配置されている。光透過膜57は、光透過膜51と同様に、第1~第3カラーフィルタ部41~43を含むカラーフィルタ層40の屈折率よりも高い例えば酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れかで構成されている。また、光透過膜53及び54としては、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れか2つ以上を積層した構成としてもよい。
【0087】
この第6実施形態に係る固体撮像装置1Eの製造方法では、図13Aに示すように、接着膜38上を含む半導体層20上の全面に光透過膜57を形成し、その後、図13Bに示すように、光透過膜57上に第1~第3カラーフィルタ部41~43を形成する。即ち、第1~第3カラーフィルタ部41~43を形成する前に光透過膜57を形成する。
このように、第1~第3カラーフィルタ部41~43を形成する前に光透過膜57を形成しておくことにより、緑色(G)のカラーフィルタ膜をエッチングして第2カラーフィルタ部42を形成する工程、赤色(R)のカラーフィルタ膜をエッチングして第1カラーフィルタ部41を形成する工程、及び青色(B)のカラーフィルタ膜をエッチングして第3カラーフィルタ部43を形成する工程において、光透過膜57がエッチングストッパとして機能するので、第1~第3カラーフィルタ部41~43の各々の直下における接着膜38、平坦化膜36及び光電変換部23などへのエッチングダメージを抑制することができる。したがって、この第6実施形態に係る固体撮像装置1Eによれば、カラーフィルタ層40の吸湿による変質に起因するシミ不良などの画像劣化を抑制することができると共に、接着膜38、平坦化膜36及び光電変換部23などへのエッチングダメージに起因する製造歩留まりの低下を抑制することができる。
【0088】
なお、この第6実施形態は、光透過膜57を上述の第1実施形態の無機層50に適用した場合について説明した。光透過膜57の適用は、上述の第1実施形態の無機層50に限定されるものではない。例えば、光透過膜57は、上述の第2~第5実施形態のそれぞれの無機層50A~50Dにも適用することができる。この場合、第2~第5実施形態の何れにおいても、第1~第3カラーフィルタ部41~43を形成する前に光透過膜57を形成しておく。
【0089】
(電子機器への応用例)
本技術(本開示に係る技術)は、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置、撮像機能を備えた携帯電話機、又は、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用されてもよい。
図14は、本技術が適用され得る電子機器(例えば、カメラ)の概略的な構成の一例を示す図である。
図14に示すように、電子機器100は、固体撮像装置101と、光学レンズ102と、シャッタ装置103と、駆動回路104と、信号処理回路105とを備えている。
【0090】
光学レンズ102は、被写体からの像光(入射光106)を固体撮像装置101の撮像面上に結像させる。これにより、固体撮像装置101内に一定期間にわたって信号電荷が蓄積される。シャッタ装置103は、固体撮像装置101への光照射期間及び遮光期間を制御する。駆動回路104は、固体撮像装置101の転送動作及びシャッタ装置103のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路104から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置101の信号転送を行なう。信号処理回路105は、固体撮像装置101から出力される信号(画素信号)に各種信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリ等の記憶媒体に記憶され、或いはモニタに出力される。
なお、固体撮像装置1を適用できる電子機器100としては、カメラに限られるものではなく、他の電子機器にも適用することができる。例えば、携帯電話機やタブレット端末等のモバイル機器向けカメラモジュール等の撮像装置に適用してもよい。
【0091】
以上、本技術が適用され得る電子機器の一例について説明した。本技術は、以上説明した構成のうち、固体撮像装置101に適用され得る。具体的には、図1の固体撮像装置1は、固体撮像装置101に適用できる。固体撮像装置101に本技術を適用することにより、より良好な撮影画像を得ることができる。
【0092】
(電子機器への応用例)
図15は、本技術(本開示に係る技術)が適用され得る電子機器として撮像装置の概略的な構成の一例を示す図である。
【0093】
図15の撮像装置1000は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等である。撮像装置1000は、レンズ群1001、固体撮像素子1002、DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記憶部1006、操作部1007、及び電源部1008からなる。DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記憶部1006、操作部1007、及び電源部1008は、パスライン1009を介して相互に接続されている。
【0094】
レンズ群1001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像素子1002の撮像面上に結像する。固体撮像素子1002は、上述の第1~第5実施形態の固体撮像装置からなる。固体撮像素子1002は、レンズ群1001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号としてDSP回路1003に供給する。
【0095】
DSP回路1003は、固体撮像素子1002から供給される画素信号に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の画像信号をフレーム単位でフレームメモリ1004に供給し、一時的に記憶させる。
【0096】
表示部1005は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、フレームメモリ1004に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号に基づいて、画像を表示する。
【0097】
記憶部1006は、DVD(Digital Versatile Disk)、フラッシュメモリ等からなり、フレームメモリ1004に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号を読み出し、記憶する。
【0098】
操作部1007は、ユーザによる操作の下に、撮像装置1000が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部1008は、電源を、DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記憶部1006、及び操作部1007に対して適宜供給する。
【0099】
本技術を適用する電子機器は、画像取込部(光電変換部)にCMOSイメージセンサを用いる装置であればよく、撮像装置1000のほか、撮像機能を有する携帯端末装置、画像読取部にCMOSイメージセンサを用いる複写機などがある。
【0100】
(移動体への応用例)
本技術(本開示に係る技術)は、例えば、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0101】
図16は、本技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0102】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図15に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0103】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0104】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0105】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0106】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0107】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0108】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0109】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0110】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0111】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図16の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0112】
図17は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
図17では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0113】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0114】
なお、図17には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0115】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0116】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0117】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0118】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0119】
以上、本技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、図1の固体撮像装置1は、撮像部12031に適用できる。撮像部12031に本技術を適用することにより、より良好な撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0120】
(内視鏡手術システムへの応用例)
本技術(本開示に係る技術)は、例えば、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
図16は、本技術が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図18では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0121】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0122】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0123】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0124】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0125】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0126】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0127】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0128】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0129】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0130】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0131】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0132】
図19は、図16に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0133】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0134】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0135】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0136】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0137】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0138】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0139】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0140】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0141】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0142】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0143】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0144】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0145】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0146】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0147】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0148】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0149】
以上、本技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本技術は、以上説明した構成のうち、撮像部11402に適用され得る。具体的には、図1の固体撮像装置1は、撮像部10402に適用することができる。撮像部10402に本技術を適用することにより、より鮮明な術部画像を得ることができるため、術者が術部を確実に確認することが可能になる。
【0150】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0151】
なお、本技術は、以下のような構成としてもよい。
(1)
複数の光電変換部が設けられた半導体層と、
前記半導体層の光入射面側に配置され、かつ2色以上のカラーフィルタ部を含むカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層の光入射面側に配置され、かつカラーフィルタ層の屈折率よりも高い無機層と、
を有する固体撮像装置。
(2)
前記無機層は、前記2色以上のカラーフィルタ部のうちの所定の色のカラーフィルタ部の光入射面側を選択的に覆っている、上記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記無機層は、前記2色以上のカラーフィルタ部の全ての色のカラーフィルタ部の光入射面側を覆っている、上記(1)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記無機層は、前記2色以上のカラーフィルタ部のうちの第1の色のカラーフィルタ部と、前記第1の色のカラーフィルタとは異なる第2の色のカラーフィルタ部とで厚みが異なっている、上記(1)に記載の固体撮像装置。
(5)
前記無機層は、前記2色以上のカラーフィルタ部のうちの色が異なる前記カラーフィルタ部の間にも配置されている、上記(1)に記載の固体撮像装置。
(6)
前記無機層は、前記カラーフィルタ層の端部側面も覆っている、上記(1)に記載の固体撮像装置。
(7)
前記無機層は、前記カラーフィルタ層の前記光入射面側とは反対側にも配置されている、上記(1)から(6)の何れかに記載の固体撮像装置。
(8)
前記カラーフィルタ層の光入射面側に配置された複数のマイクロレンズを更に有する、上記(1)から(7)の何れらに記載の固体撮像装置。
(9)
前記無機層は、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜及び窒化シリコン膜の何れかで形成されている、上記(1)から(8)の何れかに記載の固体撮像装置。
(10)
半導体層上にカラーフィルタ膜を形成し、
前記カラーフィルタ膜上に前記カラーフィルタ膜の屈折率よりも高い無機層を形成し、
前記無機層上にエッチングマスクを形成する工程と、
前記エッチングマスクの周囲の前記無機層及び前記カラーフィルタ膜をエッチングにより除去して上面が前記無機層で覆われたカラーフィルタ部を形成すると共に、前記エッチングマスクをオーバーエッチングにより除去する、
ことを含む固体撮像装置の製造方法。
(11)
複数の光電変換部が設けられた半導体層と、
前記半導体層の光入射面側に設けられ、かつ2色以上のカラーフィルタ部を含むカラーフィルタ層と、
前記カラーフィルタ層の光入射面側に配置され、かつカラーフィルタ層の屈折率よりも高い無機層と、
を有する固体撮像装置を備えている電子機器。
【0152】
本技術の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本技術が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本技術の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0153】
1,1A,1B,1C,1D,1E…固体撮像装置
2…半導体チップ
2A…画素アレイ部
2B…周辺部
2C…パッド配置部
3…画素
4…垂直駆動回路
5…カラム信号処理回路
6…水平駆動回路
7…出力回路
8…制御回路
10…画素駆動配線、
11…垂直信号線
12…水平信号線
13…電極パッド
20…半導体層
21…n型のウエル領域
22…分離領域
23…光電変換部
25…平坦化膜
26…接着層
30…多層配線層
31…層間絶縁膜
32…配線
34…支持基板
36…平坦化膜
37…遮光膜
38…接着膜
40…カラーフィルタ層
41…赤色(R)の第1カラーフィルタ部
42…緑(G)色の第2カラーフィルタ部
43…青色(B)の第3カラーフィルタ部
50,50A,50B,50C,50D,50E…無機層
51,52,53,54,55,57…光透過膜
59…マイクロレンズ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19