(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】レーザ加工機及びレーザ加工機の制御方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20240613BHJP
【FI】
B23K26/38 A
(21)【出願番号】P 2020056343
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】宮本 晴雄
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-104485(JP,A)
【文献】特開2008-043971(JP,A)
【文献】特開2008-87017(JP,A)
【文献】特開2017-113783(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0172764(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工ヘッドから射出されるレーザビームをワークに対して相対的に移動して前記ワークの切断加工を行うレーザ加工機本体と、
前記ワークを複数の経路に沿って順番に切断してパーツを作製するための加工プログラムに基づいて、前記レーザ加工機本体を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記加工プログラムを解析することにより、前記複数の経路の中から、前記パーツの外周を切断するための経路である外周経路を認識する経路認識部と、
前記加工ヘッドから前記レーザビームを射出させない状態で、前記加工ヘッドを移動させる空運転を行う空運転実行部と、
前記外周経路は、直線又は曲線で表される複数の要素が互いに連結して構成されており、前記複数の要素の中から単一の要素を指定する要素指示を、前記レーザ加工機本体のオペレータから受け付ける操作部と、を有し、
前記空運転実行部は、
前記パーツに対して前記空運転を行う場合には、前記経路認識部によって認識された前記外周経路に対してのみ前記空運転を行
い、
前記操作部が前記要素指示を受け付けている場合には、前記要素指示で指定された単一の要素に対してのみ前記空運転を行う
レーザ加工機。
【請求項2】
前記単一の要素は、前記ワークの外周からレーザビームがはみ出すかどうか、または端材ワークを利用する場合には、前記ワーク上の加工済み領域内にレーザビームが進入するかどうかを判断する要素である
請求項1記載のレーザ加工機。
【請求項3】
加工ヘッドから射出されるレーザビームをワークに対して相対的に移動して前記ワークの切断加工を行うレーザ加工機本体と、
前記ワークを複数の経路に沿って順番に切断してパーツを作製するための加工プログラムに基づいて、前記レーザ加工機本体を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記加工プログラムを解析することにより、前記複数の経路の中から、前記パーツの外周を切断するための経路である外周経路を認識する経路認識部と、
前記加工ヘッドから前記レーザビームを射出させない状態で、前記加工ヘッドを移動させる空運転を行う空運転実行部と、を有し、
前記空運転実行部は、
前記パーツに対して前記空運転を行う場合には、前記ワークに対する前記加工ヘッドの高さを基準高さよりも高い位置に設定して、前記経路認識部によって認識された前記外周経路に対してのみ前記空運転を行う
レーザ加工機。
【請求項4】
ワークを複数の経路に沿って順番に切断してパーツを作製するための加工プログラムに基づいて、加工ヘッドから射出されるレーザビームを前記ワークに対して相対的に移動して前記ワークの切断加工を行うレーザ加工機を制御するレーザ加工機の制御方法において、
前記加工プログラムを解析することにより、前記複数の経路の中から、前記パーツの外周を切断するための経路である外周経路を認識し、
前記加工ヘッドから前記レーザビームを射出させない状態で前記加工ヘッドを移動させる空運転を前記パーツに対して行う場合には、前記外周経路に対してのみ行い、
前記外周経路は、直線又は曲線で表される複数の要素が互いに連結して構成されており、前記複数の要素の中から単一の要素を指定する要素指示を、前記レーザ加工機本体のオペレータから受け付けている場合には、前記要素指示で指定された単一の要素に対してのみ前記空運転を行う
レーザ加工機の制御方法。
【請求項5】
ワークを複数の経路に沿って順番に切断してパーツを作製するための加工プログラムに基づいて、加工ヘッドから射出されるレーザビームを前記ワークに対して相対的に移動して前記ワークの切断加工を行うレーザ加工機を制御するレーザ加工機の制御方法において、
前記加工プログラムを解析することにより、前記複数の経路の中から、前記パーツの外周を切断するための経路である外周経路を認識し、
前記加工ヘッドから前記レーザビームを射出させない状態で前記加工ヘッドを移動させる空運転を前記パーツに対して行う場合には、
前記ワークに対する前記加工ヘッドの高さを基準高さよりも高い位置に設定して、前記外周経路に対してのみ行う
レーザ加工機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機及びレーザ加工機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板状のワーク(板金)を切断し、所定形状のパーツを作製する加工機が普及している。加工機の一例は、レーザビームによってワークを切断加工するレーザ加工機である。加工機は、加工機本体と、NC装置などの制御装置とを含み、制御装置は、加工プログラムに基づいて加工機本体を制御する。
【0003】
加工プログラムは、CAMなどのコンピュータによって作成される。CAMは、パーツの形状を示す形状データ、ワークに対してパーツを割り付けた割付データなどに基づいて、ワークを切断してパーツを作製するための加工プログラムを作成する。この加工プログラムは、加工機の動作を定義するコード(Gコード)で構成されている。CAMによって作成された加工プログラムは、制御装置に提供される。
【0004】
例えば特許文献1には、ワークの中で材料が残っている残材部に所望形状のパーツの割り付けを行い、割り付けた情報に従って加工を実施する追加工装置が開示されている。この追加工装置では、CCDカメラによってワークをスキャンしたスキャン結果に基づいて、残材部と、既に切断された切断部とが認識される。そして、ネスティング機能を用いて、認識された残材部にパーツが割り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、レーザ加工機が切断加工を行っている最中に、ワークの外周からレーザビームがはみ出したり、ワーク内の加工済み領域内にレーザビームが進入したりすると、加工不良となってしまう。そのため、レーザ加工機によって切断加工を実際に開始する前に、ワークに対して割り付けた通りの切断加工を行うことができるかどうかを確かめたいという要求がある。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、切断加工を開始する前に加工不良が発生するかどうかを効率的かつ確実に確認することができるレーザ加工機及びレーザ加工機の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1またはそれ以上の実施形態の第1の態様によれば、加工ヘッドから射出されるレーザビームを前記ワークに対して相対的に移動して前記ワークの切断加工を行うレーザ加工機本体と、ワークを複数の経路に沿って順番に切断してパーツを作製するための加工プログラムに基づいて、レーザ加工機本体を制御する制御装置と、を有し、制御装置は、加工プログラムを解析することにより、複数の経路の中から、パーツの外周を切断するための外周経路を認識する経路認識部と、加工ヘッドからレーザビームを射出させない状態で、加工ヘッドを移動させる空運転を行う空運転実行部と、を有し、空運転実行部は、パーツに対して空運転を行う場合には、経路認識部によって認識された外周経路に対してのみ空運転を行うレーザ加工機が提供される。
【0009】
また、1またはそれ以上の実施形態の第2の態様によれば、ワークを複数の経路に沿って順番に切断してパーツを作製するための加工プログラムに基づいて、加工ヘッドから射出されるレーザビームを前記ワークに対して相対的に移動して前記ワークの切断加工を行うレーザ加工機を制御するレーザ加工機の制御方法において、加工プログラムを解析することにより、複数の経路の中から、パーツの外周を切断するための外周経路を認識し、加工ヘッドからレーザビームを射出させない状態で加工ヘッドを移動させる空運転を、パーツに対して行う場合には、外周経路に対してのみ行うレーザ加工機の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
1又はそれ以上の実施形態によれば、切断加工を開始する前に加工不良が発生するかどうかを効率的かつ確実に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るレーザ加工機の全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るNC装置を説明するブロック図である。
【
図3】
図3は、矩形パーツに対する加工動作を説明する図である。
【
図4】
図4は、ワークに割り付けられた第1から第5パーツを説明する図である。
【
図5】
図5は、加工プログラムの内容を示す説明図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るレーザ加工機の制御方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、操作表示部に表示される第1から第5パーツの割付結果を説明する図である。
【
図8】
図8は、基準加工プログラムの修正方法の一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、パーツの認識方法を説明する図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係るNC装置を説明するブロック図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係るレーザ加工機の制御方法を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、空運転が行われる外周経路を説明する説明図である。
【
図14】
図14は、第3の実施形態に係るNC装置を説明するブロック図である。
【
図15】
図15は、ワークに割り付けられた第1パーツを説明する図である。
【
図16】
図16は、第1パーツが割り付けられたワークに第2パーツを追加的に割り付けた状態を説明する図である。
【
図17】
図17は、第3の実施形態に係るレーザ加工機の制御方法を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、加工プログラムの内容を示す説明図である。
【
図20】
図20は、追加加工プログラムの内容を示す説明図である。
【
図22】
図22は、第4の実施形態に係るNC装置を説明するブロック図である。
【
図23】
図23は、第4の実施形態に係るレーザ加工機の制御方法を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、パーツカウンタの一例を示す説明図である。
【
図25】
図25は、加工不良と認定したパーツに対する表示態様を説明する図である。
【
図26】
図26は、第1及び第2パーツが割り付けられたワークに追加パーツを追加的に割り付けた状態を説明する図である。
【
図27】
図27は、第5の実施形態に係るNC装置を説明するブロック図である。
【
図28】
図28は、第5の実施形態に係るレーザ加工機の制御方法を示すフローチャートである。
【
図29】
図29は、経路に対するタッチ操作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本実施形態に係るレーザ加工機及びレーザ加工機の制御方法について説明する。
図1において、レーザ加工機1は、レーザビームによって、ワークWに対して切断加工を行う加工機である。加工対象となるワークWは、例えば板金である。レーザ加工機1は、レーザ発振器10と、プロセスファイバ12と、レーザ加工ユニット20と、アシストガス供給装置40とを備えている。レーザ発振器10、プロセスファイバ12、レーザ加工ユニット20及びアシストガス供給装置40は、レーザ加工機本体50を構成する。また、レーザ加工機1は、NC装置60と、操作表示部70とを備えている。
【0013】
レーザ発振器10は、レーザビームを生成し、レーザビームを射出する。レーザ発振器10としては、レーザダイオードより発せられる励起光を増幅して所定の波長のレーザビームを射出するレーザ発振器、又はレーザダイオードより発せられるレーザビームを直接利用するレーザ発振器が好適である。レーザ発振器10は、例えば、固体レーザ発振器、ファイバレーザ発振器、ディスクレーザ発振器、ダイレクトダイオードレーザ発振器(DDL発振器)である。
【0014】
レーザ発振器10は、波長900nm~1100nmの1μm帯のレーザビームを射出する。ファイバレーザ発振器及びDDL発振器を例とすると、ファイバレーザ発振器は、波長1060nm~1080nmのレーザビームを射出し、DDL発振器は、波長910nm~950nmのレーザビームを射出する。
【0015】
プロセスファイバ12は、レーザ発振器10より射出されたレーザビームをレーザ加工ユニット20へと伝送する。
【0016】
レーザ加工ユニット20は、プロセスファイバ12によって伝送されたレーザビームを用いて、ワークWを切断する。レーザ加工ユニット20は、ワークWを載せる加工テーブル21と、門型のX軸キャリッジ22と、Y軸キャリッジ23と、コリメータユニット30とを有している。X軸キャリッジ22は、加工テーブル21上でX軸方向に沿って移動自在に構成されている。Y軸キャリッジ23は、X軸キャリッジ22上でX軸に垂直なY軸方向に沿って移動自在に構成されている。
【0017】
コリメータユニット30は、プロセスファイバ12によって伝送されたレーザビームをワークWに照射する。コリメータユニット30は、プロセスファイバ12の射出端より射出したレーザビームが入射されるコリメータレンズ31と、コリメータレンズ31より射出したレーザビームをX軸及びY軸に垂直なZ軸方向下方に向けて反射させるベンドミラー33とを有している。また、コリメータユニット30は、ベンドミラー33で反射したレーザビームを集束させる集束レンズ34を有している。コリメータレンズ31、ベンドミラー33及び集束レンズ34は、予め光軸が調整された状態で配置されている。
【0018】
コリメータユニット30は、ワークWにレーザビームを照射する加工ヘッド35を有している。加工ヘッド35の先端には、レーザビームを射出するノズル36が着脱自在に取り付けられている。ノズル36の先端部には、円形の開口が設けられており、集束レンズ34で集束されたレーザビームは、ノズル36の先端部の開口からワークWに照射される。
【0019】
コリメータユニット30は、Y軸方向に移動自在のY軸キャリッジ23に固定され、Y軸キャリッジ23は、X軸方向に移動自在のX軸キャリッジ22に設けられている。よって、加工ヘッド35、すなわち、レーザビームをワークWに照射する位置を、ワークWの面(X軸方向及びY軸方向)に移動させることができる。なお、レーザ加工機本体50は、加工ヘッド35をワークWの面に沿って移動させる構成に代えて、加工ヘッド35の位置を固定したまま、ワークWを移動する構成であってもよい。レーザ加工機本体50は、ワークWの面に対して加工ヘッド35を相対的に移動させる構成を備えていればよい。
【0020】
アシストガス供給装置40は、アシストガスとして窒素、酸素、窒素と酸素との混合気体、又は空気を加工ヘッド35に供給する。ワークWの加工時、アシストガスはノズル36の開口よりワークWへと吹き付けられる。アシストガスは、ワークWが溶融したカーフ幅内の溶融金属を排出する。
【0021】
以上のように構成されるレーザ加工機本体50は、加工ヘッド35より射出されたレーザビームによってワークWを切断し、所定の形状を有するパーツを作製する。
【0022】
NC装置60は、レーザ加工機本体50の各部を制御する制御装置である。NC装置60は、コンピュータから構成されており、CPU、ROM及びRAMを有している。NC装置60には、操作表示部70が接続されている。
【0023】
NC装置60は、CPUがROMから各種プログラムを読み出し、RAMに展開し、展開したプログラムを実行することにより、各種の機能を実現する。
図2に示すように、NC装置60は、加工プログラム保持部60a、パーツ認識部60b及び加工制御部60cとしての機能を有している。
【0024】
加工プログラム保持部60aは、加工プログラムを保持する。加工プログラム保持部60aが保持する加工プログラムは、CAMなどの外部装置によって作成されており、加工プログラム保持部60aは、外部装置から加工プログラムを取得する。なお、外部装置は、作成した加工プログラムを、図示しないデータ管理サーバ内のデータベースに格納してもよい。この場合、加工プログラム保持部60aは、データ管理サーバのデータベースに格納された加工プログラムを読み出すことで、加工プログラムを取得する。
【0025】
ここで、加工プログラムは、パーツを作製するために必要なレーザ加工機本体50の動作を定義するコードを含んでいる。加工プログラムの説明に先立ち、以下、矩形パーツPSを例に、レーザ加工機本体50の動作を説明する。
図3において、矩形パーツPSは、矩形状の外観を有し、矩形パーツPSの内部には、三角形状を有する第1開口及び長円形状を有する第2開口が設けられている。
【0026】
矩形パーツPSを作製する場合、まず、矩形パーツPSの内部の要素、すなわち、第1開口及び第2開口が切断される。そして、最後に、矩形パーツPSの外周が切断される。個々の切断加工は、加工対象に応じた経路、すなわち、第1開口に応じた第1経路R1、第2開口に応じた第2経路R2、矩形パーツPSの外周に応じた第3経路R3に沿って加工ヘッド35(レーザビーム)を移動させることで行われる。
【0027】
第1から第3経路R1~R3のそれぞれは、複数の要素から構成されている。個々の要素は、直線又は曲線から構成されている。複数の要素は、互いに連結しており、切断開始点と切断終了点とが一致する閉じた経路を構成している。このため、閉じた関係にある複数の要素に基づいて、経路を認識することができる。
【0028】
なお、ワークWから矩形パーツPSを完全に切り離さずに、ジョイント部を残す場合、外周に対応する経路である外周経路(
図3に示す例では第3経路R3))では、切断開始と切断終了点とが所定のジョイント量だけ離間している。もっとも、ジョイント量は、小さな間隔であるため、切断開始点と切断終了点との間隔が所定の閾値よりも小さい場合には、切断開始点と切断終了点とが閉じた関係にない場合であっても、これを経路と認識することができる。なお、
図3で示す第3経路R3はジョイント部が1ヶ所設けられた例を示した。しかしながら、経路の途中で切断を終了し所定ジョイント量を空けてさらに切断を開始するという動作を繰り返すことで、経路の途中に複数のジョイント部を設ける場合もある。この場合においても、切断開始点と切断終了点との間隔が所定の閾値よりも小さい場合には、ジョイント部を隔てて連続する複数の要素を一つの経路として認識することができる。
【0029】
第1経路R1は、3つの直線要素R11~R13から構成される。レーザ加工機本体50は、レーザビームが切断開始点Rp1を出発して、直線要素R11、直線要素R12、直線要素R13を順番に切断し、切断開始点(切断終了点)Rp1へと戻るように動作させられる。
【0030】
第2経路R2は、2つ曲線要素R21、R22と、2つの直線要素R23、R24とから構成される。レーザ加工機本体50は、レーザビームが切断開始点Rp2を出発して、直線要素R23、曲線要素R22、直線要素R24、曲線要素R21を順番に切断し、切断開始点(切断終了点)Rp2へと戻るように動作させられる。
【0031】
第3経路R3は、4つ直線要素R31~R34とから構成される。レーザ加工機本体50は、レーザビームが切断開始点Rp3を出発して、直線要素R31、直線要素R32、直線要素R33、直線要素R34を順番に切断し、切断開始点(切断終了点)Rp3へと戻るように動作させられる。
【0032】
加工プログラムには、要素毎の加工ヘッド35の移動、経路から経路への移動、加工ヘッド35の上昇及び加工といった、パーツを作製するために必要なレーザ加工機本体50の一連の動作を規定するコードが記述されている。また、ワークWから複数のパーツを切断する場合、加工プログラムには、複数のパーツ毎にコードが記述されている。
【0033】
本実施形態では、
図4に示すように、加工プログラムは、1枚のワークWから5つのパーツ(第1パーツPS1、第2パーツPS2、第3パーツPS3、第4パーツPS4及び第5パーツPS5)を順番に作製するものとする。ワークWには、第1から第5パーツPS1~PS5が所定の位置に割り付けられている。加工プログラムには、パーツに対するレーザ加工機本体50の動作を規定するコードが、第1パーツPS1、第2パーツPS2、第3パーツPS3、第4パーツPS4及び第5パーツPS5の順番で記述されている。
図5には、第1パーツPS1に関するコードの一部と、第2パーツPS2に関するコードの一部が示されている。
【0034】
NC装置60が加工プログラムに基づいてレーザ加工機本体50を制御した場合、第1パーツPS1、第2パーツPS2、第3パーツPS3、第4パーツPS4及び第5パーツPS5の順で切断加工が行われる。このように、第1から第5パーツPS1~PS2に関する加工順序は、加工プログラムに従って規定されている。
【0035】
本実施形態において、加工プログラムには、各パーツPS1~PS5を認識するための認識用コードが含まれている。認識用コードは、例えば第1から第5パーツPS1~PS5の名称によって構成されたコードであり、括弧で括られたコメントとして加工プログラムに記述されている。
図5において、認識用コード200は、第1パーツPS1を認識するためのコードであり、認識用コード201は、第2パーツPS2を認識するためのコードである。
【0036】
パーツ認識部60bは、加工プログラムを解析することにより、加工プログラムにおいて第1から第5パーツPS1~PS5をそれぞれ認識する。パーツ認識部60bは、加工プログラムに従って実行される第1から第5パーツPS1~PS5の加工順序を、レーザ加工機1のオペレータから指定された加工順序へと入れ替える。
【0037】
加工制御部60cは、パーツ認識部60bが入れ替えた加工順序に従って第1から第5パーツPS1~PS5を作製するようにレーザ加工機本体50を制御する。
【0038】
操作表示部70は、レーザ加工機本体50及びNC装置60に対して情報の入力を行うためにオペレータが操作を行う操作部と、レーザ加工機本体50及びNC装置60から出力される情報を表示する表示部とを含んでいる。本実施形態では、操作表示部70は、ディスプレイと、ディスプレイ上に表示される情報に従って入力操作を行うことができるタッチパネルとを主体に構成されている。利用者は、操作表示部70を操作することで、レーザ加工機本体50及びNC装置60に対して様々な情報を入力することができる。また、利用者は、操作表示部70に表示される情報から、レーザ加工機本体50及びNC装置60に関する様々な情報を把握することができる。
【0039】
以下、
図6を参照し、本実施形態に係るレーザ加工機1の制御方法を説明する。
図6におけるフローチャートに示す処理は、NC装置60によって実行される。
【0040】
まず、ステップS1において、加工プログラム保持部60aは、外部装置によって作成された加工プログラムである基準加工プログラムを取得しているか否かを判断する。ステップS1において肯定判定された場合、すなわち、基準加工プログラムを取得している場合には、ステップS2に進む。ステップS1において否定判定された場合、すなわち、基準加工プログラムを取得していない場合には、ステップS1に戻る。
【0041】
ステップS2おいて、パーツ認識部60bは、加工順序の変更要求を受け付けたか否かを判断する。加工順序の変更要求は、第1から第5パーツPS1~PS5の加工順序を変更するための要求であり、オペレータが操作表示部70を操作することにより、NC装置60へ入力される。ステップS2において肯定判定された場合、すなわち、加工順序の変更要求を受け付けた場合には、ステップS3に進む。一方、ステップS2において否定判定された場合、すなわち、加工順序の変更要求を受け付けていない場合には、ステップS5に進む。
【0042】
ステップS3において、パーツ認識部60bは、加工順指示を受け付ける。加工順指示は、第1から第5パーツPS1~PS5の加工順序を指定する指示であり、オペレータから受け付ける。
図7に示すように、パーツ認識部60bは、操作表示部70の表示画面71に、ワークWに割り付けられた第1から第5パーツPS1~PS5を表示する。オペレータは、表示画面71に表示された第1から第5パーツPS1~PS5を参照し、オペレータが希望する加工順序を第1から第5パーツPS1~PS5に対して指定する。例えば、オペレータは、操作表示部70に表示された第1から第5パーツPS1~PS5を、希望する加工順序に沿って順番にタッチ操作するといった如くである。
【0043】
パーツ認識部60bは、基準加工プログラムを解析することで、第1から第5パーツPS1~PS5の割付位置(各パーツPS1~PS5の外周経路の位置及びその範囲)をそれぞれ認識する。そして、パーツ認識部60bは、タッチ操作による操作位置と、第1から第5パーツPS1~PS5の割付位置と対比することで、どのパーツPS1~PS5が選択されたかを認識することができる。また、パーツ認識部60bは、第1から第5パーツPS1~PS5に対するタッチ操作の順番に基づいて、第1から第5パーツPS1~PS5に対する加工順序の指定を認識することができる。
【0044】
図7に示すように、例えばオペレータは、第2パーツPS2、第4パーツPS4、第3パーツPS3、第1パーツPS1、第5パーツPS5の順番で表示画面71をタッチ操作したとする。パーツ認識部60bは、タッチ操作された順番、すなわち、第2パーツPS2、第4パーツPS4、第3パーツPS3、第1パーツPS1、第5パーツPS5の順番を、加工順指示として受け付ける。
【0045】
図6を参照し、ステップS4において、パーツ認識部60bは、加工順序の入替処理を行う。具体的には、パーツ認識部60bは、基準加工プログラムを修正し、加工順指示で指定された加工順序に従って第1から第5パーツPS1~PS5を作製するための修正加工プログラムを作成する。
【0046】
基準加工プログラムの修正方法には、種々の方法が考えられる。修正方法の一例としては、基準加工プログラムに新たなコードを追加することである。例えば、無条件分岐(GOTO)を使用して、読み込ませる順番を変更するといった如くである。
図8において、修正加工プログラムでは、破線で囲むように、無条件分岐(GOTO)210と、無条件分岐で移動するシーケンス番号211とが追加されている。
【0047】
また、修正方法の他の例としては、基準加工プログラムに含まれる既存のコードを、パーツ単位で入れ替えることである。例えば、基準加工プログラムに記述される、第1から第5パーツPS1~PS5に関する各コードを、第2パーツPS2、第4パーツPS4、第3パーツPS3、第1パーツPS1、第5パーツPS5の順番で並ぶように入れ替えるといった如くである。
【0048】
図6を参照し、ステップS5において、パーツ認識部60bは、加工開始を指示する加工開始指示を受け付けたか否かを判断する。加工開始指示は、オペレータが操作表示部70を操作することにより、NC装置60へ入力される。ステップS5において肯定判定された場合、すなわち、加工開始指示を受け付けた場合には、ステップS6に進む。一方、ステップS5において否定判定された場合、すなわち、加工開始指示を受け付けていない場合には、ステップS2に戻る。
【0049】
ステップS6において、加工制御部60cは、加工プログラムを実行し、加工プログラムに基づいてレーザ加工機本体50を制御する。これにより、加工制御部60cは、加工プログラムに従った切断加工を実行する。このステップS6において、修正加工プログラムが作成されている場合には、加工制御部60cは、修正加工プログラムに基づいてレーザ加工機本体50を制御する。一方、修正加工プログラムが作成されていない場合には、加工制御部60cは、基準加工プログラムに基づいてレーザ加工機本体50を制御する。
【0050】
このように本実施形態によれば、NC装置60が、基準加工プログラムにおいて第1から第5パーツPS1~PS5をそれぞれ認識することができる。これにより、基準加工プログラムに従って実行されるレーザ加工機本体50の加工動作を、第1から第5パーツPS1~PS5毎に捉えることができる。すなわち、NC装置60が、第1から第5パーツPS1~PS5を認識することができるので、加工順序の入れ替えを行うことができる。その結果、外部装置によって作成された基準加工プログラムを利用する場合であっても、基準加工プログラムで規定される固有の加工順序に関わらず、加工機本体のオペレータが希望する加工順序で第1から第5パーツPS1~PS5を作製することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、外部装置が作成した基準加工プログラムを修正することができるので、加工順序の入れ替えを行うことができる。そして、修正加工プログラムに基づいて加工機本体を制御することで、オペレータの加工順指示に沿った順番でパーツの作製を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、加工順指示は、操作表示部70に表示された第1から第5パーツPS1~PS5を指定すればよいので、加工順序の入れ替えを簡単に行うことができる。
【0053】
なお、上述した実施形態において、パーツ認識部60bは、加工プログラム内に記述された認識用コードに基づいて、加工プログラムにおいて第1から第5パーツPS1~PS5を認識している。しかしながら、第1から第5パーツPS1~PS5を認識する手法は、これに限らない。
【0054】
例えば、認識用コードを活用する方法は、パーツの名称をコメントとして挿入する以外にも、同一のパーツを切断加工するためのコード群の先頭及び末尾に、開始及び終了を示すコードを挿入してもよい。
【0055】
また、パーツの外周経路をオペレータが指定することで、パーツ認識部60bが、外周経路と、外周経路の内部に存在する経路(内部経路)とを一つのパーツとして認識してもよい。以下、
図9に示す第1パーツPS1を例に挙げ、パーツの認識方法を説明する。第1パーツPS1は、略L字形状の外観を有し、第1パーツPS1の内部には、矩形開口及び9個の小孔が設けられている。すなわち、第1パーツPS1は、第1パーツPS1の外周に応じた外周経路Raと、矩形開口に応じた内部経路Rbと、9個の小孔に応じた内部経路Rc1~Rc9とを含んでいる。
【0056】
矩形開口に応じた内部経路Rbと、9個の小孔に応じた内部経路Rc1~Rc9とは、外周経路Raによって囲まれる領域内に存在している。したがって、外周経路Raを特定することができれば、第1パーツPS1を構成する全要素を認識することができるのである。
【0057】
パーツ認識部60bは、パーツ認識を行うために、
図7に示す割付画面と、パーツの外周経路にタッチ操作する旨のメッセージを操作表示部70に表示させる。この表示により、オペレータは、第1パーツPS1の外周経路Ra、具体的には、外周経路Raを構成する複数の要素の中の1つの要素にタッチ操作を行う。
【0058】
パーツ認識部60bは、加工プログラムを解析し、タッチ操作の位置に基づいて、オペレータがタッチ操作した要素を特定する。また、パーツ認識部60bは、タッチ操作が行われた要素を含む経路を、外周経路Raとして認識する。そして、パーツ認識部60bは、加工プログラムを解析し、外周経路Raによって囲まれる領域内に存在している内部経路Rb、Rc1~Rc9を特定する。これにより、パーツ認識部60bは、外周経路Raと、内部経路Rb、Rc1~Rc9とを一つのパーツ(第1パーツPS1)として認識する。
【0059】
加えて、オペレータが、第2パーツPS2の外周経路、第3パーツPS3の外周経路、第4パーツPS4の外周経路、第5パーツPS5の外周経路を順番にタッチ操作することで、パーツ認識部60bは、第2から第5パーツPS2~PS5をそれぞれ認識することができる。
【0060】
もっとも、外周経路からパーツを認識する手法は、オペレータの操作を必要とせずに、NC装置60が加工プログラムを解析することで、自動的に実行することもできる。例えば、加工ヘッド35の下降位置と上昇位置との相対距離より、外周経路Ra上のジョイント部であるか否かを判断する。外周経路Raと判断した場合には、外周経路Raを基準にパーツを認識するといった如くである。
【0061】
なお、加工順序の指示は、第1から第5パーツPS1~PS5の全部について加工順序を指定する方法に限るものでない。例えば優先的に加工したい特定パーツのみを1つあるいは複数選択し、選択された特定パーツを先に加工し、選択しない残りのパーツを基準加工プログラムの加工順のまま加工を行うようにしてもよい。例えば、操作表示部70に表示された第1から第5パーツPS1~PS5のうち第4パーツPS4をタッチ操作して優先的に加工する特定パーツとして決定する。パーツ認識部60bは、加工順序を第4パーツPS4、第1パーツPS1、第2パーツPS2、第3パーツPS3、第5パーツPS5の順番で認識し、基準加工プログラムのうち特定パーツの加工プログラムのみ加工順序を入れ替える修正を行うことにより、修正加工プログラムを作成する。これにより、基準加工プログラムに規定される全てのパーツに対して加工順序を指定することなく、優先して加工したい特定パーツのみを選択するだけなのでオペレータの画面操作の負担が軽減でき、効率的に選択ができる。またこの場合、後述するパーツ加工後に停止する機能と併せて設定することにより、第4パーツPS4に対して最初に加工が行われ、さらに加工終了後に一旦停止されるので、オペレータが加工完了した第4パーツPS4を取り出して次の加工工程に引き渡すことができる。急ぎで必要なパーツのみ順番を容易に入れ替えることにより他のパーツの加工終了を待つことなく効率的に作業ができる。
【0062】
(第2の実施形態)
以下、本実施形態に係るレーザ加工機及びレーザ加工機の制御方法を説明する。第2の実施形態に係るレーザ加工機1は、NC装置61を備えている。NC装置61は、ワークWに割り付けられたパーツの外周経路に沿って空運転を行う。ここで、空運転は、加工ヘッド35からレーザビームを射出させない状態で、切断加工の経路に沿って加工ヘッド35を移動させる動作をいう。すなわち、NC装置61は、パーツの外周に対応する加工経路をワークW上で仮想的に確認する機能を備えている(外周確認機能)。以下、第1の実施形態との相違点を中心に第2の実施形態の特徴を説明する。しかしながら、NC装置61は、第1の実施形態に示すNC装置60が備える機能をさらに有するものであってもよい。
【0063】
図10において、NC装置61は、加工プログラム保持部61a、加工制御部61b、経路認識部61c及び空運転実行部61dとしての機能を有している。加工プログラム保持部61a及び加工制御部61bは、第1実施形態における加工プログラム保持部60a及び加工制御部60cにそれぞれ対応している。
【0064】
経路認識部61cは、加工プログラムを解析することにより、パーツを構成する複数の経路の中から、パーツの外周を切断するための外周経路を認識する。
【0065】
空運転実行部61dは、経路認識部61cが認識した外周経路に対してのみ空運転を行う。
【0066】
以下、
図11を参照し、第2の実施形態に係るレーザ加工機1の制御方法を説明する。
図11のフローチャートに示す処理は、NC装置61によって実行される。以下、
図4に示したように、加工プログラムは、1枚のワークWから5つのパーツ(第1パーツPS1から第5パーツPS5)を順番に作製するものとする。ワークWには、第1パーツPS1から第5パーツPS5が所定の位置に割り付けられている。
【0067】
加工プログラム保持部61aは、加工プログラムを取得しているか否かを判断する。ステップS10において肯定判定された場合、すなわち、加工プログラムを取得している場合には、ステップS11に進む。ステップS10において否定判定された場合、すなわち、加工プログラムを取得していない場合には、ステップS10に戻る。
【0068】
ステップS11において、経路認識部61cは、空運転の受付処理を行う。空運転の受付処理は、空運転の対象となるパーツを受け付ける処理である。この受付処理では、経路認識部61cは、加工プログラムに基づいて、操作表示部70の表示画面71に、ワークWに割り付けられた第1から第5パーツPS1~PS5を表示する(
図12)。
【0069】
レーザ加工機1のオペレータは、操作表示部70に表示された各パーツPS1~PS5を参照し、空運転の対象となるパーツを選択する。例えば、操作表示部70に表示された5つのパーツPS1~PS5の中から、空運転の対象となるパーツをタッチ操作する。以下の説明では、オペレータは、第1パーツPS1をタッチ操作したとする。
【0070】
ステップS12において、経路認識部61cは、加工プログラムを解析して、タッチ操作の位置と、第1から第5パーツPS1~PS5の割付位置とを対比する。これにより、経路認識部61cは、第1パーツPS1がタッチ操作されたことを認識することができる。
【0071】
ステップS13において、経路認識部61cは、加工プログラムを解析し、第1パーツPS1を構成する複数の経路の中から、外周経路Raを認識する。経路認識部61cは、外周経路Raの情報を空運転実行部61dへと出力する。
【0072】
第1パーツPS1の外周経路Raを認識する手法には、種々の手法がある。第1の手法としては、外周経路Raを構成する複数の要素に対応する各コードに、外周を認識するためのコメント(例えばoutline1、outline2など)を追記することが考えられる。これにより、経路認識部61cは、コメントを検索することで、第1パーツPS1に関する加工プログラムの中から、外周経路Raを認識することができる。
【0073】
また、第2の手法としては、加工ヘッドの上昇及び加工を示すコード(例えばM103、M104など)を参照することが考えられる。外周経路Raは、第1パーツPS1を構成する経路の中で、最後に切断される経路となる。そこで、経路認識部61cは、第1パーツPS1に関する加工プログラムの中から、最後に記述される、加工ヘッドの上昇を規定するコードと、加工ヘッドの加工を規定するコードを特定する。これにより、経路認識部61cは、認識された2つのコードに挟まれるコードに基づいて、外周経路Raを認識することができる。
【0074】
さらに、第3の手法としては、外周経路Raを構成する複数の要素の中から、任意の要素(例えば要素Ra1)に対してタッチ操作を行わせることが考えられる。上述した2つの手法は、経路認識部61cが、加工プログラムに認識用コードが付与されてパーツの認識が可能となっていることが前提となっている。しかしながら、経路認識部61cは、識別用コードがない状況であっても、タッチ操作から外周経路Raを認識することができる。具体的には、経路認識部61cは、タッチ操作の位置に基づいて、加工プログラムを解析し、加工プログラムにおいて要素Ra1を特定する。そして、経路認識部61cは、特定した要素Ra1に基づいて、要素Ra1を含む経路を外周経路Raとして特定する。
【0075】
ステップS14において、空運転実行部61dは、外周経路Raに沿って空運転を行う。すなわち、空運転実行部61dは、加工ヘッド35からレーザビームを射出させない状態で、外周経路Raに沿って加工ヘッド35を移動させる。
図13に示すように、空運転は、経路認識部61cによって認識された外周経路Raに対してのみ行われ、第1パーツPS1を構成する他の経路については行われない。
【0076】
また、空運転を行う場合、空運転実行部61dは、加工ヘッド35からガイド光を射出する。ガイド光は、ワークWに対する加工を伴わない光であって、加工時に加工ヘッド35から射出されるレーザビームの軌跡を模擬するための光である。これにより、オペレータは、ガイド光の移動軌跡から、第1パーツPS1の外周経路Raを実際に確認することができる。
【0077】
加えて、空運転を行う場合、空運転実行部61dは、倣いセンサ25(
図10参照)を停止させる。ここで、倣いセンサ25は、レーザ加工ユニット20に搭載されたセンサである。倣いセンサ25は、ワークWに対する加工ヘッド35の高さを基準高さに維持するために、ワークWと加工ヘッド35との間の距離を検出するために利用される。倣いセンサ25を停止させることで、加工ヘッド35の高さは、ワークWとの距離にかかわらず、一定の高さに維持される。この際、空運転実行部61dは、ワークWに対する加工ヘッド35の高さを基準高さよりも高い位置に設定する。これにより、倣いセンサ25を停止させた状況であっても、ワークWと加工ヘッド35との干渉を抑制することができる。
【0078】
このように本実施形態よれば、空運転を行うことで、ワークWの外周からレーザビームがはみ出すかどうか、或いは、端材ワークを利用する場合においては、ワークW上の加工済み領域内にレーザビームが進入するかどうかを判断することができる。これにより、レーザ加工機1によって切断加工を実際に開始する前に、ワークWに対して割り付けた通りの切断加工を行うことができるかどうかを確認することができる。また、外周経路Raに対してのみ空運転を行えばよく、第1パーツPS1の全経路に対して空運転を行う必要がない。よって、空運転に要する時間を短くすることができる。以上により、切断加工を開始する前に加工不良が発生するかどうかを効率的かつ確実に確認することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、倣いセンサ25を停止した状態で空運転が行われる。そのため、加工ヘッド35がワークWからはみ出すような状況が発生しても、加工ヘッド35が下方に降下してワークWなどと干渉してしまうといった事態を抑制することができる。一方、加工ヘッド35は基準高さよりも高い位置に設定されるので、空運転時におけるワークWと加工ヘッド35との干渉とを抑制することができる。これにより、空運転を適切に行うことができる。
【0080】
なお、本実施形態では、NC装置61は、オペレータが指定した第1パーツPS1を認識し、第1パーツPS1の外周経路Raに沿って空運転を行っている。ただし、空運転を行う対象を、外周経路Raを構成する要素に限定してもよい。この場合、操作表示部70は、外周経路Raを構成する複数の要素の中から、空運転の対象となる要素を指示する要素指示を受け付ける。例えば、
図12に示すように、外周経路Raの中から、単一の要素Ra1が指示されたとする。この場合、NC装置61は、要素Ra1に対してのみ空運転を行うこととなる。
【0081】
このように、要素指示を受け付けている場合には、外周経路Raを構成する複数の要素の中で、単一の要素Ra1に対してのみ空運転を行えばよい。よって、外周経路Raの全要素に対して空運転を行う必要がない。これにより、空運転に要する時間を短くすることができるので、加工効率の向上を図ることができる。
【0082】
また、本実施形態では、加工ヘッド35からガイド光を出力させることにより、オペレータ自身が目視して、第1パーツPS1の外周を確認している。しかしながら、加工ヘッド35に、ワークWを撮影する撮影装置を搭載し、画像認識技術を利用して、第1パーツPS1の外周を確認してもよい。
【0083】
(第3の実施形態)
以下、本実施形態に係るレーザ加工機及びレーザ加工機の制御方法を説明する。第3の実施形態に係るレーザ加工機1は、NC装置62を備えている。NC装置62は、あるパーツ(第1パーツ)が切断加工されたワークWから追加パーツ(第2パーツ)を切断するための追加加工プログラムを作成する機能を備えている(追加加工プログラム作成機能)。以下、第1の実施形態との相違点を中心に第3の実施形態の特徴を説明する。しかしながら、NC装置61は、第1及び第2の実施形態に示すNC装置60、61が備える機能のうち、一方の機能又は両方の機能をさらに有するものであってもよい。
【0084】
図14において、NC装置62は、加工プログラム保持部62a、加工制御部62b、パーツ加工データ保持部62c、割付部62d、加工プログラム作成部62eとしての機能を有している。加工制御部62bは、第1実施形態における加工制御部60cに対応している。
【0085】
加工プログラム保持部62aは、加工プログラムを保持する。以下、加工プログラムが保持する加工プログラムを基準加工プログラムという。本実施形態における基準加工プログラムは、1枚のワークWから1つのパーツ(第1パーツPS1)を作製するものである。
図15に示すように、ワークWには、第1パーツPS1が所定の位置に割り付けられている。
図15において、外形線73は、ワークWの外周を示す線である。
【0086】
パーツ加工データ保持部62cは、種々のパーツ毎に、パーツを作製するためのデータ、具体的には、加工プログラムとして機能するコードを保有している。パーツ加工データ保持部62cには、第1パーツPS1に関するコードの他、後述する第2パーツPS2に関するコードがそれぞれ含まれている。
【0087】
割付部62dは、基準加工プログラムに基づいて、ワークWに対するパーツの割り付けを行う。具体的には、
図16に示すように、割付部62dは、ワークWに割り付けられている第1パーツPS1の位置を基準に、ワークWに追加パーツである第2パーツPS2を追加的に割り付ける。
【0088】
加工プログラム作成部62eは、割付部62dによる割付結果に基づいて、ワークWから第2パーツPS2のみを切断するための加工プログラムである追加加工プログラムを作成する。追加加工プログラムが作成されると、追加加工プログラムは、加工プログラム保持部62aに転送される。
【0089】
以下、
図17を参照し、第3の実施形態に係るレーザ加工機1の制御方法を説明する。
図17のフローチャートに示す処理は、NC装置62によって実行される。
【0090】
まず、ステップS20において、割付部62dは、加工制御部62bが基準加工プログラムを実行しているか否かを判断する。すなわち、割付部62dは、加工制御部62bが第1パーツPS1に対する切断加工を開始している否かを判断する。ステップS20で肯定判定された場合、すなわち、切断加工を開始している場合には、ステップS21に進む。一方、ステップS20で否定判定された場合、すなわち、切断加工を開始していない場合には、ステップS20に戻る。
【0091】
ステップS21において、割付部62dは、追加パーツが選択されたか否かを判断する。オペレータは、操作表示部70を操作することで、パーツ加工データ保持部62cから、追加パーツを選択することができる。割付部62dは、操作表示部70に対するオペレータの操作内容から、追加パーツが選択されたか否かを判断する。ステップS21において肯定判定された場合、すなわち、追加パーツが選択された場合には、ステップS22に進む。一方、ステップS21において否定判定された場合、すなわち、追加パーツが選択されていない場合には、本処理を終了する。
【0092】
ステップS22において、割付部62dは、割付処理を行う。割付部62dは、基準加工プログラムに基づいて、操作表示部70の表示画面71に、ワークWに割り付けられた第1パーツPS1を表示する(
図15)。そして、割付部62dは、ワークWにおける第1パーツPS1の位置を基準に、追加パーツである第2パーツPS2をワークWに対して追加的に割り付ける。第2パーツPS2を割り付ける位置は、ワークWに対して最も効率的な割り付けとなるように、割付部62dが自動的に決定してもよい。また、オペレータが操作表示部70を用いて第2パーツPS2を配置した位置を、割り付け位置として決定してもよい。割付部62dは、操作表示部70の表示画面71に、第2パーツPS2の割付結果を表示する(
図16)。
【0093】
ステップS23において、加工プログラム作成部62eは、操作表示部70に、加工プログラムの作成範囲を選択させるための作成範囲の選択画面を表示する。
図18において、作成範囲の選択画面は、第1表示メニュー74から構成されている。第1表示メニュー74は、オペレータが選択可能な第1ラジオボタン74a及び第2ラジオボタン74bを備えている。また、第1表示メニュー74は、第1及び第2ラジオボタン74a、74bに対する選択を確定するための作成ボタン74cを備えている。
【0094】
第1ラジオボタン74aは、ワークWに割り付けられている全てのパーツを選択するための選択肢である。第1ラジオボタン74aを選択することで、ワークWに割り付けられている全てのパーツを対象に加工プログラムを作成する処理へと進むことができる。
【0095】
第2ラジオボタン74bは、追加パーツのみを選択するための選択肢である。第2ラジオボタン74bを選択することで、追加パーツのみを対象に加工プログラムを作成する処理へと進むことができる。
【0096】
ステップS24において、加工プログラム作成部62eは、第1表示メニュー74に対する操作内容に基づいて、追加パーツのみ選択されたか否かを判断する。ステップS24で否定判定された場合、すなわち、全てのパーツが選択された場合には、ステップS25に進む。一方、ステップS24で肯定判定された場合、すなわち、追加パーツのみ選択された場合には、ステップS26に進む。なお、ステップS20において肯定判定される場合、基準加工プログラムに従って、第1パーツPS1の切断加工が既に開始されている。したがって、後述する「加工前の追加パーツ処理」を行う場合を除き、ステップS24ではすべて肯定判断されステップS26に進むこととなる。
【0097】
ステップS25において、加工プログラム作成部62eは、割付部62dによる割付結果に基づいて、全てのパーツの加工プログラムを作成する。ワークWには、第1パーツPS1と、追加パーツである第2パーツPS2とが割り付けられている。
図19に示すように、加工プログラム作成部62eは、第1パーツPS1と第2パーツPS2とをそれぞれ加工するための加工プログラムを作成する。作成された加工プログラムは、追加加工プログラムとして機能する。
【0098】
ステップS26において、加工プログラム作成部62eは、割付部62dによる割付結果に基づいて、追加パーツの加工プログラムを作成する。ワークWには、第1パーツPS1と、追加パーツである第2パーツPS2とが割り付けられているため、加工プログラム作成部62eは、第1パーツPS1と第2パーツPS2とをそれぞれ加工するための加工プログラムを1次的に作成する。
【0099】
つぎに、加工プログラム作成部62eは、作成した加工プログラムにおいて第1パーツPS1に関する記述を無効化する。これにより、最終的な加工プログラムが作成される。作成された加工プログラムは、追加加工プログラムとして機能する。
【0100】
第1パーツPS1に関する記述を無効化する方法としては、種々の方法が考えられる。無効化の一例としては、加工プログラムに新たなコードを追加することである。例えば、無条件分岐(GOTO)を使用して、コードを読み込ませる順番を変更するといった如くである。
図20において、追加加工プログラムでは、破線で囲むように、無条件分岐(GOTO)210と、シーケンス番号211とが追加されている。
【0101】
また、無効化の他の例としては、第1パーツPS1に関するコードを削除する方法が挙げられる。これ以外にも、第1パーツPS1に関するコードから座標を削除するといった方法であってもよい。
【0102】
図17を参照し、ステップS27において、加工プログラム作成部62eは、操作表示部70に、加工プログラムを作成した後のレーザ加工機本体50の動作を予約させるための転送予約の選択画面を表示する。
図21において、転送予約の選択画面は、第2表示メニュー75から構成されている。第2表示メニュー75は、オペレータが選択可能な第1ラジオボタン75a、第2ラジオボタン75b及び第3ラジオボタン75cを備えている。また、第2表示メニュー75は、第1から第3ラジオボタン75a~75cに対する選択を確定するための決定ボタン75dを備えている。
【0103】
第1ラジオボタン75aは、以下に示すレーザ加工機本体50の動作を予約するための選択肢である。第1ラジオボタン75aを選択することで、加工終了、転送、加工という一連の動作を予約することができる。具体的には、基準加工プログラムに従った切断加工が終了すると、加工プログラム作成部62eは、作成した加工プログラムを加工プログラム保持部62aに転送する。そして、加工制御部62bは、加工プログラム作成部62eが作成した加工プログラムを実行し、この加工プログラムに従った切断加工を行う。
【0104】
第2ラジオボタン75bは、以下に示すレーザ加工機本体50の動作を予約するための選択肢である。第2ラジオボタン75bを選択することで、加工終了、転送、一時停止、加工という動作を予約することができる。具体的には、基準加工プログラムに従った切断加工が終了すると、加工プログラム作成部62eは、作成した加工プログラムを加工プログラム保持部62aに転送する。また、加工制御部62bは、レーザ加工機本体50の動作を一時停止させる。そして、オペレータによる加工開始の操作を受け付けたことを条件に、加工制御部62bは、加工プログラム作成部62eが作成した加工プログラムを実行し、この加工プログラムに従った切断加工を行う。
【0105】
第3ラジオボタン75cは、以下に示すレーザ加工機本体50の動作を予約するための選択肢である。第3ラジオボタン75cを選択することで、加工終了、転送、外周確認、加工という動作を予約することができる。具体的には、基準加工プログラムに従った切断加工が終了すると、加工プログラム作成部62eは、作成した加工プログラムを加工プログラム保持部62aに転送する。また、加工制御部62bは、外周確認を行う。そして、外周確認が終了し、オペレータによる加工開始の操作を受け付けたことを条件に、加工制御部62bは、加工プログラム作成部62eが作成した加工プログラムを実行し、加工プログラムに従った切断加工を行う。
【0106】
ここで、外周確認とは、ワークWに割り付けられた追加パーツを対象に、第2の実施形態に示す外周確認機能を実行する処理である。NC装置62は、第2の実施形態に示すNC装置61と同等の機能を備え、追加パーツの外周経路に沿って空運転を行う。
【0107】
図17を参照し、ステップS28において、加工プログラム作成部62eは、基準加工プログラムに従った切断加工が終了したか否かを判断する。ステップS28で肯定判定された場合、すなわち、切断加工が終了した場合には、ステップS29に進む。一方、ステップS28で否定判定された場合、すなわち、切断加工が終了していない場合には、ステップS28に戻る。
【0108】
ステップS29において、第2表示メニュー75において選択された処理が実行される。
【0109】
このように本実施形態によれば、第1パーツPS1が割り付けられているワークWに、第2パーツPS2を割り付けることで、第1パーツPS1との相対的な位置関係を考慮することができる。これにより、第1パーツPS1の加工済み領域と第2パーツPS2とが互いに干渉することがない状態で、ワーク上に第2パーツPS2を割り付けることができる。また、追加加工プログラムは、第2パーツPS2のみを切断するように作成されているので、第1パーツPS1の加工動作を行うことなく、ワークWに対する加工を行うことができる。これにより、第1パーツPS1が加工済みのワークWから第2パーツPS2のみを適切に切断することができる。
【0110】
また、本実施形態では、オペレータは、第2パーツPS2のみを加工する加工プログラムと、ワークWに割り付けられた全てのパーツ(第1パーツPS1及び第2パーツPS2)を加工する加工プログラムとを選択することができる。これにより、オペレータにとって使い勝手のよいレーザ加工機1を提供することができる。
【0111】
また、本実施形態によれば、基準加工プログラムに従った切断加工が終了した後に、加工プログラム作成部62eが作成した加工プログラムを加工プログラム保持部62aに転送している。これにより、基準加工プログラムの実行を終了した次回の加工動作において、加工プログラム作成部62eが作成した加工プログラムを適切に実行することができる。
【0112】
また、本実施形態によれば、加工プログラム作成部62eは、第1パーツPS1に関する記述を無効化することができる。これにより、NC装置62のプログラム作成機能を利用して、追加加工プログラムを作成することができる。追加加工プログラムの作成においては、基準加工プログラムを呼び出して、表示画面71に第1パーツPS1を表示している。このため、第1パーツPS1の配置を確認しながら、オペレータが追加パーツPS2の配置割付を容易に行うことができ、さらに追加パーツのプログラム作成、加工も容易に行える。
【0113】
なお、本実施形態では、レーザ加工機本体50が基準加工プログラムに従って加工動作を行っている間に、追加パーツに対する加工プログラムを作成する方法を説明した。しかしながら、本実施形態に示す追加パーツ作成機能は、パーツが既に切断されているワーク(端材ワーク)に対して追加パーツを割り付けて、端材ワークから追加パーツを作製する際にも利用することもできる。この場合は、ステップS20、S28の処理は省略され、ステップS25を除くステップS21~S29までの処理を実行することになる。その際、
図21に示す第2表示メニュー75において、「加工終了」の記述は省略される。そして、追加パーツに関する追加加工プログラムの転送から実行され、追加加工プログラムの加工がその後実行されることとなる。
【0114】
また、本実施形態では、ワークWに対する加工済みの第1パーツPS1として、1つのパーツのみを示しているが、加工済みの第1パーツPS1は、1つ以上のパーツを含む第1パーツセットであってもよい。また、ワークWに対して追加的に割り付ける第2パーツPS2として、1つのパーツのみを示しているが、追加的に割り付ける第2パーツPS2は、1つ以上のパーツを含む第2パーツセットであってもよい。
【0115】
なお、前述の実施形態では、切断加工が開始された後に、ステップS21以降の処理が行われるが、切断加工の開始前に、ステップS21~S27の処理を実施することも可能である(加工前の追加パーツ処理)。具体的には、追加パーツに関する追加加工プログラムのみを作製する場合は、ステップS21、S28の処理は省略され、ステップS25を除くステップS21~S29までの処理が実行される。この際、
図21に示す第2表示メニュー75において、「加工終了」の記述は省略される。また、全パーツに関する追加加工プログラムを作製する場合には、ステップS25の後に、切断加工が開始されて基準加工パーツである第1パーツPS1の切断加工が開始される。そして、ステップS28で第1パーツPS1の切断加工終了を判定した後に、追加パーツである第2パーツPS2の加工が行われる。この際、追加加工プログラムの転送はすでに行われているので、
図21に示す第2表示メニューにおいて、「転送」の記述は省略され、第1から第3ラジオボタン75a~75cによって選択された各処理が実行されることとなる。
【0116】
(第4の実施形態)
以下、本実施形態に係るレーザ加工機及びレーザ加工機の制御方法を説明する。第4の実施形態に係るレーザ加工機1は、NC装置63を備えている。NC装置63は、加工不良が発生したパーツを認識して管理する機能を備えている(加工不良認識機能)。以下、第1の実施形態との相違点を中心に第4の実施形態の特徴を説明する。しかしながら、NC装置63は、第1から第3の実施形態に示すNC装置60、61、62が備える機能のうち、少なくとも1つの機能をさらに有するものであってもよい。
【0117】
図22において、NC装置63は、加工プログラム保持部63a、パーツ認識部63b、加工制御部63c、判断部63d及び管理部63eとしての機能を有している。加工プログラム保持部63a及び加工制御部63cは、第1実施形態における加工プログラム保持部60a及び加工制御部60cにそれぞれ対応している。
【0118】
判断部63dは、ワークWを切断して複数のパーツを作製するための加工プログラムを実行している間に、切断不履行が発生したか否かを判断する。切断不履行とは、加工プログラムに規定される動作が正常に履行されない状態をいう。
【0119】
パーツ認識部63bは、加工プログラムを解析することにより、加工プログラムにおいて複数のパーツを認識する。そして、パーツ認識部63bは、切断不履行が発生したと判断部63dが判断した場合に、複数のパーツの中から切断不履行が発生したパーツを特定する。
【0120】
管理部63eは、パーツ認識部63bが特定したパーツを加工不良として管理するための管理動作を行う。
【0121】
以下、
図23を参照し、第4の実施形態に係るレーザ加工機1の制御方法を説明する。
図23のフローチャートに示す処理は、NC装置63によって実行される。
【0122】
まず、ステップS30において、判断部63dは、加工制御部63cが加工プログラムを実行しているか否かを判断する。すなわち、判断部63dは、加工プログラムに従った切断加工を開始している否かを判断する。ステップS30で肯定判定された場合、すなわち、切断加工を開始している場合には、ステップS31に進む。一方、ステップS30で否定判定された場合、すなわち、切断加工を開始していない場合には、ステップS30に戻る。
【0123】
ステップS31において、判断部63dは、切断不履行が発生したか否かを判断する。判断部63dは、以下に示す3つの事象が発生した場合、切断不履行の発生を判断する。
【0124】
まず、レーザ加工機本体50が切断加工を実行している間、オペレータは、操作表示部70を用いてリセット操作を行うことができる。リセット操作は、レーザ加工機本体50の切断加工を強制的に終了させるための操作である。このリセット操作後、レーザ加工機本体50の切断加工を継続させることはできない。そこで、判断部63dは、操作表示部70がリセット操作を受け付けた場合に、切断不履行が発生したと判断する。
【0125】
また、レーザ加工機本体50が切断加工を実行している間、加工制御部63cは、必要に応じて、加工スキップ処理を行う。加工スキップ処理は、単一のパーツに含まれる複数の経路を順番に切断しているときに、レーザ加工機本体50の切断異常を判定することで、切断異常が発生した経路から次の経路に移行して切断加工を再開する処理である。判断部63dは、加工制御部63cが加工スキップ処理を行った場合に、切断不履行が発生したと判断する。なお、加工制御部63cは、ワークWに対する加工不良を検出する加工不良検出装置80などから出力される情報に基づいて、切断異常を判断することができる。
【0126】
加えて、レーザ加工機本体50が切断加工を実行している間、加工制御部63cは、必要に応じて、パーツスキップ処理を行う。パーツスキップ処理は、複数のパーツを順番に切断しているときに、レーザ加工機本体50の切断異常を判定することで、切断異常が発生したパーツから次のパーツに移行して切断加工に再開する処理である。判断部63dは、加工制御部63cがパーツスキップ処理を行った場合に、切断不履行が発生したと判断する。
【0127】
ステップS33において、パーツ認識部63bは、加工プログラムを解析することにより、複数のパーツの中から切断不履行が発生したパーツを特定する。パーツ認識部63bは、切断不履行が発生したときに加工制御部63cが実行していたコードより、切断不履行が発生したパーツを特定する。
【0128】
ステップS34において、管理部63eは、パーツ認識部63bが特定したパーツを、加工不良として認定する。
【0129】
ステップS35において、管理部63eは、加工不良処理を行う。加工不良処理は、パーツ認識部63bが特定したパーツを加工不良として管理するための処理である。加工不良処理としては、以下に示す3つの態様が考えられる。
【0130】
(第1の態様)
図24において、管理部63eは、加工不良と認定されたパーツの数をカウントするパーツカウンタを備えている。パーツカウンタには、パーツ毎に加工不良の数をカウントする機能と、ワークWに割り付けられた全パーツの加工不良の総数をカウントする機能とを備えている。管理部63eは、加工不良と認定されたパーツに基づいて、該当するパーツのカウンター及び全パーツの加工不良の総数をインクリメントする。
【0131】
(第2の態様)
第2の態様において、加工制御部63cによって実行されている加工プログラムは、1枚のワークWから2つのパーツ(第1パーツPS1及び第2パーツPS2)を順番に作製するものとする。ワークWには、2つのパーツ(第1パーツPS1及び第2パーツPS2)が所定の位置に割り付けられている。例えば、第1パーツPS1が、加工不良と認定されたとする。
【0132】
図25に示すように、管理部63eは、加工プログラムに基づいて、操作表示部70の表示画面71に、ワークWに割り付けられた第1及び第2パーツPS1、PS2を表示する。この場合において、管理部63eは、操作表示部70を制御して、加工不良と認定したパーツを識別可能に表示する。例えば、管理部63eは、第1パーツPS1の割付位置に、加工不良を示すマーク79aを表示する。また、管理部63eは、切断不良を検知した旨のメッセージ79bを表示する。
【0133】
(第3の態様)
管理部63eは、加工不良と認定された第1パーツPS1をレーザ加工機本体50によって再加工するための再加工処理を行う。具体的には、管理部63eは、加工不良と認定された第1パーツPS1を追加パーツとして、第3の実施形態に示す追加プログラム作成機能を実行する。NC装置63は、第3の実施形態に示すNC装置62と同等の機能を備える。
図26に示すように、加工済みの第1パーツPS1a及び第2パーツPS2aが切断加工されたワークWから、追加パーツ(第1パーツPS1)を切断加工するため追加加工プログラムを作成する。
【0134】
図23において、ステップS36において、管理部63eは、加工プログラムに従った切断加工を終了したか否かを判断する。ステップS36で肯定判定された場合、すなわち、切断加工を終了した場合には、本処理を終了する。一方、ステップS36で否定判定された場合、すなわち、切断加工を終了していない場合には、ステップS31に戻る。
【0135】
このように本実施形態によれば、NC装置63が、加工プログラムにおいて複数のパーツをそれぞれ認識することができるので、レーザ加工機1側で加工不良の管理を行うことができる。これにより、オペレータの作業負担を軽減し、使い勝手のよいレーザ加工機1を提供することができる。
【0136】
また、本実施形態によれば、操作表示部70がリセット操作を受け付けた場合、若しくは、加工制御部63cが加工スキップ処理又はパーツスキップ処理を行った場合に、切断不履行が発生したと判断している。これにより、切断の不履行が発生したことを適切に判断することができる。
【0137】
また、本実施形態によれば、管理部63eがパーツカウンタを備えているので、加工不良となったパーツの数を適切に管理することができる。
【0138】
また、本実施形態によれば、管理部63eが再加工処理を行うことで、加工不良となったパーツの再加工を行うことができる。
【0139】
また、本実施形態によれば、管理部63eが加工不良と認定したパーツを識別可能に表示しているので、複数のパーツの中でどのパーツが加工不良となったのかを容易に認識することができる。
【0140】
なお、管理部63eは、切断不履行が判断されたパーツの名称とワークにおける位置とを含む加工不良情報を記憶してもよい。また、レーザ加工機本体50が撮影機能を備えている場合には、その動画も加工不良情報に含めてもよい。そして、管理部63eは、加工不良情報を、加工プログラムを作成する外部装置に提供する。外部装置では、切断不履行が判断されたパーツを割り付けるときに、「過去にこのパーツで加工不良が発生しています」とのメッセージを表示する。これにより、加工不良情報に基づいて、割り付け時のアドバイス機能として利用することができる。また、同一パーツだけでなく類似形状という判断を実施し、類似形状に対しても、割り付け時のアドバイス機能を行ってもよい。
【0141】
(第5の実施形態)
以下、本実施形態に係るレーザ加工機及びレーザ加工機の制御方法を説明する。第5の実施形態に係るレーザ加工機1は、NC装置64を備えている。NC装置64は、加工プログラムに従って動作するレーザ加工機本体50を一時停止させるための予約機能を備えている(停止予約機能)。以下、第1の実施形態との相違点を中心に第5の実施形態の特徴を説明する。しかしながら、NC装置64は、第1から第4の実施形態に示すNC装置60、61、62、63が備える機能のうち、少なくとも1つの機能をさらに有するものであってもよい。
【0142】
図27において、NC装置64は、加工プログラム保持部64a、パーツ認識部64b及び加工制御部64cとしての機能を有している。加工プログラム保持部64aは、第1実施形態における加工プログラム保持部60aに対応している。
【0143】
パーツ認識部64bは、加工プログラムを解析し、加工プログラムにおいて複数のパーツをそれぞれ認識する。また、パーツ認識部64bは、加工プログラムを解析し、パーツを構成する複数の経路をそれぞれ認識する(経路認識部)。
【0144】
加工制御部64cは、パーツ認識部64bの認識結果に基づいて、加工プログラムに従って実行する複数のパーツの加工状況を監視する。そして、加工制御部64cは、オペレータによって予約された停止パーツ又は停止経路の加工動作が終了したことを条件に、レーザ加工機本体50の加工動作を一時停止させる。
【0145】
以下、
図28を参照し、第5の実施形態に係るレーザ加工機1の制御方法を説明する。
図28のフローチャートに示す処理は、NC装置64によって実行される。
【0146】
まず、ステップS40において、パーツ認識部64bは、加工制御部64cが加工プログラムを実行しているか否かを判断する。すなわち、パーツ認識部64bは、加工プログラムに従った切断加工を開始している否かを判断する。ステップS40で肯定判定された場合、すなわち、切断加工を開始している場合には、ステップS41に進む。一方、ステップS40で否定判定された場合、すなわち、切断加工を開始していない場合には、ステップS40に戻る。
【0147】
ここで、加工制御部64cによって実行されている加工プログラムは、1枚のワークWから2つのパーツ(第1パーツPS1及び第2パーツPS2)を順番に作製するものとする。ワークWには、2つのパーツ(第1パーツPS1及び第2パーツPS2)が所定の位置に割り付けられている。
【0148】
ステップS41において、パーツ認識部64bは、経路に対するタッチ操作があるか否かを判断する。経路に対するタッチ操作は、後述する各種の処理を行うパーツ又は経路を選択するために行われる。そこで、
図29に示すように、パーツ認識部64bは、加工プログラムに基づいて、操作表示部70の表示画面71に、ワークWに割り付けられた第1及び第2パーツPS1、PS2を表示する。以下の説明では、オペレータが、第1パーツPS1の内部経路Rbに対してタッチ操作を行ったとする。
【0149】
パーツ認識部64bは、加工プログラムを解析し、経路に対してタッチ操作が行われたか否かを判断する。ステップS41で肯定判定された場合、すなわち、経路に対してタッチ操作が行われた場合には、ステップS42に進む。一方、ステップS41で否定判定された場合、すなわち、経路に対してタッチ操作が行われていない場合には、ステップS41に戻る。
【0150】
ステップS42において、パーツ認識部64bは、タッチ操作の対象を選択する選択画面を表示する。
図30において、タッチ操作の対象を選択する選択画面は、第3表示メニュー76から構成されている。この第3表示メニュー76は、オペレータが選択可能な第1ラジオボタン76a及び第2ラジオボタン76bを備えている。また、第3表示メニュー76は、第1及び第2ラジオボタン76a、76bに対する選択を確定するための確認ボタン76cを備えている。
【0151】
第1ラジオボタン74aは、パーツを選択するための選択肢である。第1ラジオボタン74aを選択することで、オペレータがタッチ操作を行った経路を含むパーツを選択することができる。
【0152】
第2ラジオボタンは、経路を選択するための選択肢である。第2ラジオボタン74bを選択することで、オペレータがタッチ操作を行った経路を選択することができる。
【0153】
ステップS43において、パーツ認識部64bは、操作表示部70に対するオペレータの操作内容に基づいて、パーツが選択されたか否かを判断する。ステップS43において肯定判定された場合、すなわち、パーツが選択された場合には、ステップS44に進む。一方、ステップS43において否定判定された場合、すなわち、経路が選択された場合には、ステップS47に進む。
【0154】
ステップS44において、パーツ認識部64bは、選択されたパーツを認識する。具体的には、パーツ認識部64bは、タッチ操作による位置と、第1及び第2パーツPS1、PS2の割付位置と対比することで、第1パーツPS1が選択されたことを認識する。
【0155】
ステップS45において、パーツ認識部64bは、第1パーツPS1に対する処理の選択画面を表示する。
図31において、第1パーツPS1に対する処理の選択画面は、第4表示メニュー77から構成されている。この第4表示メニュー77は、オペレータが選択可能な第1ラジオボタン77a、第2ラジオボタン77b、第3ラジオボタン77c及び第4ラジオボタン77dを備えている。また、第4表示メニュー77は、第1から第4ラジオボタン77a~77dに対する選択を確定するための確認ボタン77eを備えている。
【0156】
第1ラジオボタン77aは、第1パーツPS1に関するプログラムを編集するための選択肢である。第1ラジオボタン77aを選択することで、第1パーツPS1に関する加工プログラムを編集することができる。具体的には、パーツ認識部64bは、第1パーツPS1に関する加工プログラムを呼び出す処理を行い、これを操作表示部70に表示する。
【0157】
第2ラジオボタン77bは、第1パーツPS1を現在の加工プログラムに追加配置して編集するための選択肢である。第2ラジオボタン77bを選択することで、第1パーツPS1を追加パーツとして、第3の実施形態に示す追加プログラム作成機能を実行する。NC装置64は、第3の実施形態に示すNC装置62と同等の機能を備える。
【0158】
第3ラジオボタン77cは、第1パーツPS1の加工終了後停止するための選択肢である。第3ラジオボタン77cを選択すると、パーツ認識部64bは、第1パーツPS1を停止パーツとして予約する。この予約により、第1パーツPS1の切断加工が終了したことを条件に、レーザ加工機本体50の加工動作を一時停止させることができる。
【0159】
具体的には、加工制御部64cは、パーツ認識部64bの認識結果に基づいて、加工プログラムに従って実行する第1及び第2パーツPS1、PS2の加工状況を監視する。そして、加工制御部64cは、第1パーツPS1の加工動作が終了したことを判断した場合に、レーザ加工機本体50の加工動作を一時停止させる。
図33に示すように、レーザ加工機本体50は、第1パーツPS1の切断加工が終了すると、第2パーツPS2の切断加工に移行することなく、加工動作を一時停止する。
【0160】
第4ラジオボタン77dは、第1パーツPS1の終了通知を行うための選択肢である。第4ラジオボタン77dを選択すると、パーツ認識部64bは、第1パーツPS1を停止パーツとして予約する。この予約により、第1パーツPS1の切断加工が終了したことを条件に、第1パーツPS1の切断加工が終了したことを示す終了情報を、操作表示部70に表示させることができる。
【0161】
具体的には、加工制御部64cは、パーツ認識部64bの認識結果に基づいて、加工プログラムに従って実行する第1及び第2パーツPS1、PS2の加工状況を監視する。そして、加工制御部64cは、第1パーツPS1の加工動作が終了したことを判断した場合に、操作表示部70に終了情報を表示する。この場合、レーザ加工機本体50の動作は停止することなく、第2パーツPS2の切断加工へと移行する。
【0162】
図28を参照し、ステップS46において、オペレータの選択に応じた処理が行われる。
【0163】
ステップS47において、パーツ認識部64bは、選択された経路を認識する。具体的には、パーツ認識部64bは、タッチ操作による位置と、第1パーツPS1を構成する複数の経路と対比することで、内部経路Rbが選択されたことを認識する。
【0164】
ステップS48において、パーツ認識部64bは、内部経路Rbに対する処理の選択画面を表示する。
図32において、内部経路Rbに対する処理の選択画面は、第5表示メニュー78から構成されている。この第5表示メニュー78は、オペレータが選択可能な第1ラジオボタン78a及び第2ラジオボタン78bを備えている。また、第5表示メニュー78は、第1及び第2ラジオボタン78a、78bに対する選択を確定するための確認ボタン78cを備えている。
【0165】
第1ラジオボタン78aは、内部経路Rbの加工終了後停止するための選択肢である。第1ラジオボタン78aを選択すると、パーツ認識部64bは、内部経路Rbを停止経路として予約する。この予約により、内部経路Rbの切断加工が終了したことを条件に、レーザ加工機本体50の加工動作を一時停止させることができる。
【0166】
具体的には、加工制御部64cは、パーツ認識部64bの認識結果に基づいて、加工プログラムに従って実行する第1パーツPS1の加工状況を監視する。そして、加工制御部64cは、内部経路Rbの加工動作が終了したことを判断した場合に、レーザ加工機本体50の加工動作を一時停止させる。
図34に示すように、レーザ加工機本体50は、内部経路Rbの切断加工が終了すると、他の経路(外周経路Ra)の切断加工に移行することなく、加工動作を一時停止する。
【0167】
第2ラジオボタン78bは、内部経路Rbの終了通知を行うための選択肢である。第2ラジオボタン78bを選択すると、パーツ認識部64bは、内部経路Rbを停止経路として予約する。この予約により、内部経路Rbの切断加工が終了したことを条件に、内部経路Rbの切断加工が終了したことを示す終了情報を、操作表示部70に表示させることができる。
【0168】
具体的には、加工制御部64cは、パーツ認識部64bの認識結果に基づいて、加工プログラムに従って実行する第1パーツPS1の加工状況を監視する。そして、加工制御部64cは、内部経路Rbの加工動作が終了したことを判断した場合に、操作表示部70に終了情報を表示する。この場合、レーザ加工機本体50の動作は停止することなく、他の経路である内部経路Rc1~Rc9、外周経路Raへと順次移行する。
【0169】
このように本実施形態によれば、NC装置64が、加工プログラムにおいて複数のパーツをそれぞれ認識することができるので、加工プログラムに従って行われるレーザ加工機本体50の加工動作を、複数のパーツ毎に捉えることができる。このため、停止パーツを予約することで、複数のパーツに対する加工動作の途中でレーザ加工機本体50を一時停止させることできる。したがって、オペレータがレーザ加工機本体50の加工動作を逐一監視する必要がないので、作業効率の向上を図ることができる。
【0170】
また、本実施形態によれば、NC装置64が、加工プログラムにおいて複数の経路をそれぞれ認識することができるので、加工プログラムに従って行われるレーザ加工機本体50の加工動作を、複数の経路毎に捉えることができる。このため、停止経路を予約することで、複数の経路に対する加工動作の途中でレーザ加工機本体50を一時停止させることができる。したがって、オペレータがレーザ加工機本体50の加工動作を逐一監視する必要がないので、作業効率の向上を図ることができる。
【0171】
また、本実施形態によれば、操作表示部70に表示されたパーツ又は経路を指定することで、停止パーツ又は停止経路の指定を簡単に行うことができる。
【0172】
なお、本実施形態では、パーツと経路との双方に対する処理を行うため、経路へのタッチ操作を認識している。しかしながら、パーツのみを選択するのであれば、経路へのタッチ操作に限らず、パーツの外周領域内の範囲のいずれかをタッチ操作することであってもよい。
【0173】
なお前述の実施形態では、ステップS40において切断加工を開始しているので、第1パーツPS1をオペレータがタッチ選択した場合は、加工途中のパーツが選択されたことになる。この場合、第4表示メニュー77においては、第2ラジオボタン77b、第3ラジオボタン77c、および第4ラジオボタン77dのみが選択可能なる。仮に第1ラジオボタン77aをオペレータが選択した場合は、既に加工中あるいは加工完了のパーツが選択されたとして、例えば画面に加工中あるいは加工完了のパーツを選択した旨のメッセージを出すことになる。第1パーツについて編集をする場合は、切断加工を開始する前にタッチ操作を受け付けて、ステップS41以降の処理を行ってもよい。切断加工を開始する前にタッチ操作をした場合には、第4表示メニュー77のうちの4つ全てのラジオボタンが選択可能となる。
【0174】
本開示は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0175】
操作表示部に表示されたパーツなどに対する操作は、タッチ操作以外であってもよい。例えば、マウス、ポインティングデバイスなどを用いることにより、操作表示部に表示されるカーソルを操作してパーツなどを操作するといった如くである。
【0176】
また、上述した実施形態では、NC装置が加工プログラム(追加加工プログラム又は修正加工プログラム)を作成している。しかしながら、NC装置に限らず、加工プログラムの作成機能を専用のプログラム作成装置によって実現してもよい。
【0177】
また、上述した実施形態では、レーザ加工機を用いて説明を行った。しかしながら、1またはそれ以上の実施形態において、レーザ加工機は、レーザ加工機能のみならず、パンチ・レーザ複合加工機能を備えたパンチ・レーザ複合加工機であってもよい。また、1またはそれ以上の実施形態は、レーザ加工機に限らず、パンチ加工機などの加工機に対して広く適用することができる。
【0178】
また、上述した各実施形態は、それぞれ独立した実施形態として理解することもできるし、1つ以上の実施形態を相互に組み合わせて理解することも可能である。
【符号の説明】
【0179】
1 レーザ加工機
10 レーザ発振器
20 レーザ加工ユニット
25 倣いセンサ
35 加工ヘッド
40 アシストガス供給装置
50 レーザ加工機本体
60 NC装置
60a 加工プログラム保持部
60b パーツ認識部
60c 加工制御部
61 NC装置
61a 加工プログラム保持部
61b 加工制御部
61c 経路認識部
61d 空運転実行部
62 NC装置
62a 加工プログラム保持部
62b 加工制御部
62c パーツ加工データ保持部
62d 割付部
62e 加工プログラム作成部
63 NC装置
63a 加工プログラム保持部
63b パーツ認識部
63c 加工制御部
63d 判断部
63e 管理部
64 NC装置
64a 加工プログラム保持部
64b パーツ認識部
64c 加工制御部
70 操作表示部