(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】情報収集方法およびコンテンツ蓄積装置
(51)【国際特許分類】
H04L 67/00 20220101AFI20240613BHJP
【FI】
H04L67/00
(21)【出願番号】P 2020064450
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-17
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度 国立研究開発法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/研究開発課題:未来を創る新たなネットワーク基盤技術に関する研究開発 副題:IoTインタネットを支えるプライバシー保護ルーティング・輻輳制御技術」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上杉 充
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169645(JP,A)
【文献】特開平10-257098(JP,A)
【文献】特開2017-107556(JP,A)
【文献】特開2003-134170(JP,A)
【文献】特開2017-169093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報収集者装置が情報指向ネットワークを利用してコンテンツ蓄積装置に蓄積された情報を収集する情報収集方法であって、
前記情報収集者装置が、
要求内容データを含むインタレストを、前記情報指向ネットワークを構成する低速通信経路を経由して前記コンテンツ蓄積装置に送信し、
前記コンテンツ蓄積装置が、
前記情報収集者装置からの前記インタレストを受信すると、そのインタレストに含まれる前記要求内容データに記載された検索条件に該当するコンテンツを、自装置に蓄積されたコンテンツの中から検索して、該当するコンテンツが見つかると、そのコンテンツを、前記低速通信経路とは異なる高速通信経路を経由して前記情報収集者装置に送信
し、
前記低速通信経路に接続された無線配信装置が、
前記インタレストを長距離無線通信により前記コンテンツ蓄積装置に配信することを特徴とする情報収集方法。
【請求項2】
前記高速通信経路は、IPネットワークを構成することを特徴とする請求項1に記載の情報収集方法。
【請求項3】
前記コンテンツ蓄積装置が、
前記コンテンツを送信した旨の通知と、そのコンテンツの識別情報と、を含む応答メッセージを、前記情報指向ネットワークに送出し、
前記低速通信経路および前記高速通信経路の両方に接続された中継装置が、
前記低速通信経路を経由した前記応答メッセージを受信すると共に、前記高速通信経路を経由した前記コンテンツを受信することを特徴とする請求項1に記載の情報収集方法。
【請求項4】
前記コンテンツ蓄積装置が、
前記コンテンツを送信した旨の通知と、そのコンテンツの識別情報と、を含む応答メッセージを、前記情報指向ネットワークに送出し、
前記情報収集者装置が、
前記応答メッセージを受信し、
前記高速通信経路に接続された中継装置が、
前記コンテンツ蓄積装置からの前記コンテンツを受信すると、そのコンテンツを一時的に蓄積し、前記情報収集者装置からの送信要求に応じて、前記コンテンツを前記情報収集者装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の情報収集方法。
【請求項5】
前記コンテンツ蓄積装置は、
前記高速通信経路に接続された無線受信装置に、近距離無線通信により前記コンテンツを転送することを特徴とする請求項1に記載の情報収集方法。
【請求項6】
前記コンテンツ蓄積装置は、
前記無線受信装置の通信エリア外に位置する場合には、近接する他のコンテンツ蓄積装置に近距離無線通信により前記コンテンツを転送することを特徴とする請求項
5に記載の情報収集方法。
【請求項7】
移動体が、
前記コンテンツ蓄積装置から近距離無線通信により前記コンテンツを受信し、そのコンテンツを輸送して、前記高速通信経路に接続されたステーション装置に、近距離無線通信により前記コンテンツを転送することを特徴とする請求項1に記載の情報収集方法。
【請求項8】
前記低速通信経路に接続された無線配信装置が、
前記ステーション装置の位置を前記移動体に通知し、
前記移動体は、
前記ステーション装置の近傍を通過するように移動経路を変更して、前記コンテンツ蓄積装置から収集した前記コンテンツを前記ステーション装置に転送することを特徴とする請求項
7に記載の情報収集方法。
【請求項9】
前記コンテンツ蓄積装置は、
検索処理により該当するコンテンツが見つかった場合に、コンテンツ収集を要請する通知を、前記低速通信経路に接続された無線配信装置に送信し、
前記無線配信装置が、
前記コンテンツ収集を要請した前記コンテンツ蓄積装置に関する情報を前記移動体に通知し、
前記移動体は、
前記コンテンツ収集を要請した前記コンテンツ蓄積装置の近傍を通過するように移動経路を変更して、前記コンテンツ蓄積装置から転送される前記コンテンツを受信することを特徴とする請求項
7に記載の情報収集方法。
【請求項10】
情報指向ネットワークに接続されたコンテンツ蓄積装置であって、
情報収集者装置からの要求内容データを含むインタレストを、情報指向ネットワークを構成する低速通信経路を経由して受信する受信部と、
前記インタレストに含まれる前記要求内容データに記載された検索条件に該当するコンテンツを、自装置に蓄積されたコンテンツの中から検索する検索処理を行うプロセッサと、
前記検索処理で見つかったコンテンツを、前記低速通信経路とは異なる高速通信経路を経由して前記情報収集者装置に送信する送信部と、
前記低速通信経路に接続された無線配信装置から長距離無線通信により配信された前記インタレストを受信する受信部と、
を備えたことを特徴とするコンテンツ蓄積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報収集者装置が情報指向ネットワークを利用してコンテンツ蓄積装置に蓄積された情報を収集する情報収集方法、情報指向ネットワークに接続された情報収集者装置、および情報指向ネットワークに接続されたコンテンツ蓄積装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、IPネットワーク(インターネット)が広く普及している。このIPネットワークでは、デバイスに蓄積されたコンテンツをユーザ端末で取得する場合、デバイスのIPアドレスを入手して、そのIPアドレスを用いてデバイスにアクセスすることで、必要なコンテンツを取得することができる。
【0003】
一方、このようなIPネットワークに代わる技術として、情報指向ネットワーク(ICN:Information Centric Network)の技術が知られている。また、この情報指向ネットワークに類似する技術として、CCN(Contents Centric Network)、NDN(Named Data Network)がある。これらの技術は、ルーティング(経路制御)の方法に注目して、「属性ルーティング」、「名前ルーティング」、「情報ルーティング」などとも呼ばれており、デバイスに蓄積されたコンテンツを、コンテンツの属性や名称などを用いて収集することができるように構築されている。
【0004】
さて、情報指向ネットワークでは、必要なコンテンツを特定する文字情報を記載したコンテンツ名をインタレスト(メッセージ)に付加してユーザ端末から送信することで、必要なコンテンツをネットワーク内の装置から収集することができる。しかしながら、収集したコンテンツには、ユーザが望まないものも多数含まれる。このため、収集したコンテンツの中から適切なコンテンツを選び出す作業に大変な手間を要するという問題があった。
【0005】
そこで、カメラなどの画像ファイル(コンテンツ)を蓄積する装置が、情報収集者が指定した検索条件に基づいて、自装置に蓄積された画像ファイルを検索し、検索条件に該当する画像ファイルが見つかると、その画像ファイルと、情報収集者が指定した照合用の画像ファイルとを照合して、適切な画像ファイルを選び出す処理を行うようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、前記従来の技術では、ユーザが要求するコンテンツ(画像ファイル)が見つかると、そのコンテンツを情報収集者のもとに送り届けることになるが、情報指向ネットワークでは、インタレストが通ってきた経路を逆に辿ることでコンテンツが情報収集者のもとに送り届けられる。すなわち、インタレストとコンテンツとが同じ回線を通る。
【0008】
一方、インタレストに付加する検索条件はテキストデータで済むため、インタレストは小容量となるが、画像ファイルのようなコンテンツは大容量となる。ここで、情報指向ネットワークでは、インタレストとコンテンツとが同じ回線を通るため、インタレストそのものは低速回線でよいにも関わらず、コンテンツが大容量であるため、インタレストにも高速回線を使う必要があり、無駄が発生するという問題があった。
【0009】
また、コンテンツの要求(インタレスト)は、同時に多数のコンテンツ蓄積装置に配信する1対N通信となるが、コンテンツは、コンテンツ蓄積装置から情報収集者の装置宛てに送信する1対1通信となる。すなわち、低速回線による1対N通信と高速回線による1対1通信という相容れない2つの特性を両立させて、コンテンツの要求とそれに応じたコンテンツの送信とを効率よく行うことができるシステムを構築することが望まれる。
【0010】
そこで、本発明は、不特定多数のコンテンツ蓄積装置に対してコンテンツを要求する通信と、見つかったコンテンツを情報収集者のもとに送り届ける通信とを、各々の特性を両立させて効率よく行うことができる情報収集方法、情報収集者装置、およびコンテンツ蓄積装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の情報収集方法は、情報収集者装置が情報指向ネットワークを利用してコンテンツ蓄積装置に蓄積された情報を収集する情報収集方法であって、前記情報収集者装置が、要求内容データを含むインタレストを、前記情報指向ネットワークを構成する低速通信経路を経由して前記コンテンツ蓄積装置に送信し、前記コンテンツ蓄積装置が、前記情報収集者装置からの前記インタレストを受信すると、そのインタレストに含まれる前記要求内容データに記載された検索条件に該当するコンテンツを、自装置に蓄積されたコンテンツの中から検索して、該当するコンテンツが見つかると、そのコンテンツを、前記低速通信経路とは異なる高速通信経路を経由して前記情報収集者装置に送信し、前記低速通信経路に接続された無線配信装置が、前記インタレストを長距離無線通信により前記コンテンツ蓄積装置に配信する構成とする。
【0013】
また、本発明のコンテンツ蓄積装置は、情報指向ネットワークに接続されたコンテンツ蓄積装置であって、情報収集者装置からの要求内容データを含むインタレストを、情報指向ネットワークを構成する低速通信経路を経由して受信する受信部と、前記インタレストに含まれる前記要求内容データに記載された検索条件に該当するコンテンツを、自装置に蓄積されたコンテンツの中から検索する検索処理を行うプロセッサと、前記検索処理で見つかったコンテンツを、前記低速通信経路とは異なる高速通信経路を経由して前記情報収集者装置に送信する送信部と、前記低速通信経路に接続された無線配信装置から長距離無線通信により配信された前記インタレストを受信する受信部と、を備えた構成とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、情報指向ネットワークを利用することで、不特定多数のコンテンツ蓄積装置に対してコンテンツの要求を効率よく行うことができる。また、情報指向ネットワークが低速通信経路で構成されていても、小容量のテキストデータを含むインタレストであれば、安定して配信することができる。また、コンテンツは高速通信経路を経由して送信されるため、大容量のコンテンツでも迅速にかつ安定して情報収集者装置に送り届けることができる。これにより、不特定多数のコンテンツ蓄積装置に対してコンテンツを要求する通信と、見つかったコンテンツを情報収集者のもとに送り届ける通信とを、各々の特性を両立させて効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る通信システムの全体構成図
【
図2】第1実施形態に係るユーザ端末1およびカメラ3の概略構成を示すブロック図
【
図3】第1実施形態に係る通信システムの動作手順を示すシーケンス図
【
図4】第2実施形態に係る通信システムの全体構成図
【
図5】第2実施形態に係るユーザ端末1、カメラ3、およびサーバ2の概略構成を示すブロック図
【
図6】第2実施形態に係る通信システムの動作手順を示すシーケンス図
【
図7】第3実施形態に係る通信システムの全体構成図
【
図8】第3実施形態に係る通信システムの動作手順を示すシーケンス図
【
図9】第4実施形態に係る通信システムの全体構成図
【
図10】第4実施形態に係る通信システムの動作手順を示すシーケンス図
【
図11】第5実施形態に係る通信システムの全体構成図
【
図12】第5実施形態に係る通信システムの動作手順を示すシーケンス図
【
図13】第6実施形態に係る通信システムの全体構成図
【
図14】第6実施形態に係る通信システムの動作手順を示すシーケンス図
【
図15】第7実施形態に係る通信システムの全体構成図
【
図16】第8実施形態に係る通信システムの全体構成図
【
図17】第8実施形態に係る通信システムの動作手順を示すシーケンス図
【
図18】第9実施形態に係る通信システムの全体構成図
【
図19】第9実施形態に係る通信システムの動作手順を示すシーケンス図
【
図20】第10実施形態に係るフェリー41の概略構成を示すブロック図
【
図21】第11実施形態に係る通信システムの概要を示す説明図
【
図22】第12実施形態に係る通信システムの概要を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、情報収集者装置が情報指向ネットワークを利用してコンテンツ蓄積装置に蓄積された情報を収集する情報収集方法であって、前記情報収集者装置が、要求内容データを含むインタレストを、前記情報指向ネットワークを構成する低速通信経路を経由して前記コンテンツ蓄積装置に送信し、前記コンテンツ蓄積装置が、前記情報収集者装置からの前記インタレストを受信すると、そのインタレストに含まれる前記要求内容データに記載された検索条件に該当するコンテンツを、自装置に蓄積されたコンテンツの中から検索して、該当するコンテンツが見つかると、そのコンテンツを、前記低速通信経路とは異なる高速通信経路を経由して前記情報収集者装置に送信し、前記低速通信経路に接続された無線配信装置が、前記インタレストを長距離無線通信により前記コンテンツ蓄積装置に配信する構成とする。
【0017】
これによると、情報指向ネットワークを利用することで、不特定多数のコンテンツ蓄積装置に対してコンテンツの要求を効率よく行うことができる。また、情報指向ネットワークが低速通信経路で構成されていても、小容量のテキストデータを含むインタレストであれば、安定して配信することができる。また、コンテンツは高速通信経路を経由して送信されるため、大容量のコンテンツでも迅速にかつ安定して情報収集者装置に送り届けることができる。これにより、不特定多数のコンテンツ蓄積装置に対してコンテンツを要求する通信と、見つかったコンテンツを情報収集者のもとに送り届ける通信とを、各々の特性を両立させて効率よく行うことができる。また、これによると、無線配信装置の通信エリア内に位置するコンテンツ蓄積装置に一斉にインタレストを転送することができる。また、無線配信装置の通信エリアにより、インタレストの転送範囲を制限することができるため、インタレストの無駄な転送を抑制することができる。
【0018】
また、第2の発明は、前記高速通信経路は、IPネットワークを構成するものとする。
【0019】
これによると、情報収集者装置のIPアドレスに基づいて、コンテンツ蓄積装置からコンテンツを効率よく情報収集者装置に送り届けることができる。この場合、情報収集者装置のIPアドレスをインタレストに付加してコンテンツ蓄積装置に送信するとよい。
【0020】
また、第3の発明は、前記コンテンツ蓄積装置が、前記コンテンツを送信した旨の通知と、そのコンテンツの識別情報と、を含む応答メッセージを、前記情報指向ネットワークに送出し、前記低速通信経路および前記高速通信経路の両方に接続された中継装置が、前記低速通信経路を経由した前記応答メッセージを受信すると共に、前記高速通信経路を経由した前記コンテンツを受信する構成とする。
【0021】
これによると、情報収集者装置からのコンテンツの要求を、中継装置が代行して行う。このため、情報収集者装置では、インタレストの送信とコンテンツの受信とが、異なる通信経路を利用して行われることを認識した制御を行わずに済む。
【0022】
また、第4の発明は、前記コンテンツ蓄積装置が、前記コンテンツを送信した旨の通知と、そのコンテンツの識別情報と、を含む応答メッセージを、前記情報指向ネットワークに送出し、前記情報収集者装置が、前記応答メッセージを受信し、前記高速通信経路に接続された中継装置が、前記コンテンツ蓄積装置からの前記コンテンツを受信すると、そのコンテンツを一時的に蓄積し、前記情報収集者装置からの送信要求に応じて、前記コンテンツを前記情報収集者装置に送信する構成とする。
【0023】
これによると、コンテンツ蓄積装置から送信されたコンテンツが、中継装置に一時的に蓄積されるため、情報収集者装置に大量のコンテンツが集中して送り付けられることを避けることができる。
【0026】
また、第5の発明は、前記コンテンツ蓄積装置は、前記高速通信経路に接続された無線受信装置に、近距離無線通信により前記コンテンツを転送する構成とする。
【0027】
これによると、有線の高速通信経路がない、または途切れている場合でも、コンテンツ蓄積装置のコンテンツを情報収集者装置に送り届けることができる。
【0028】
また、第6の発明は、前記コンテンツ蓄積装置は、前記無線受信装置の通信エリア外に位置する場合には、近接する他のコンテンツ蓄積装置に近距離無線通信により前記コンテンツを転送する構成とする。
【0029】
これによると、無線受信装置の通信エリア外に位置するコンテンツ蓄積装置のコンテンツを、無線受信装置の通信エリア内に位置するコンテンツ蓄積装置に転送して、そのコンテンツ蓄積装置を介して、無線受信装置にコンテンツを転送することができる。
【0030】
また、第7の発明は、移動体が、前記コンテンツ蓄積装置から近距離無線通信により前記コンテンツを受信し、そのコンテンツを輸送して、前記高速通信経路に接続されたステーション装置に、近距離無線通信により前記コンテンツを転送する構成とする。
【0031】
これによると、高速通信経路がない、または途切れている場合でも、コンテンツ蓄積装置のコンテンツを情報収集者装置に送り届けることができる。
【0032】
また、第8の発明は、前記低速通信経路に接続された無線配信装置が、前記ステーション装置の位置を前記移動体に通知し、前記移動体は、前記ステーション装置の近傍を通過するように移動経路を変更して、前記コンテンツ蓄積装置から収集した前記コンテンツを前記ステーション装置に転送する構成とする。
【0033】
これによると、移動体からステーション装置にコンテンツを確実に受け渡すことができる。
【0034】
また、第9の発明は、前記コンテンツ蓄積装置は、検索処理により該当するコンテンツが見つかった場合に、コンテンツ収集を要請する通知を、前記低速通信経路に接続された無線配信装置に送信し、前記無線配信装置が、前記コンテンツ収集を要請した前記コンテンツ蓄積装置に関する情報を前記移動体に通知し、前記移動体は、前記コンテンツ収集を要請した前記コンテンツ蓄積装置の近傍を通過するように移動経路を変更して、前記コンテンツ蓄積装置から転送される前記コンテンツを受信する構成とする。
【0035】
これによると、ユーザが指定した検索条件に該当するコンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積装置から移動体にコンテンツを確実に受け渡すことができる。
【0038】
また、第10の発明は、情報指向ネットワークに接続されたコンテンツ蓄積装置であって、情報収集者装置からの要求内容データを含むインタレストを、情報指向ネットワークを構成する低速通信経路を経由して受信する受信部と、前記インタレストに含まれる前記要求内容データに記載された検索条件に該当するコンテンツを、自装置に蓄積されたコンテンツの中から検索する検索処理を行うプロセッサと、前記検索処理で見つかったコンテンツを、前記低速通信経路とは異なる高速通信経路を経由して前記情報収集者装置に送信する送信部と、前記低速通信経路に接続された無線配信装置から長距離無線通信により配信された前記インタレストを受信する受信部と、を備えた構成とする。
【0039】
これによると、第1の発明と同様に、不特定多数のコンテンツ蓄積装置に対してコンテンツを要求する通信と、見つかったコンテンツを情報収集者のもとに送り届ける通信とを、各々の特性を両立させて効率よく行うことができる。また、これによると、無線配信装置の通信エリア内に位置するコンテンツ蓄積装置に一斉にインタレストを転送することができる。また、無線配信装置の通信エリアにより、インタレストの転送範囲を制限することができるため、インタレストの無駄な転送を抑制することができる。
【0040】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0041】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0042】
この通信システムは、情報指向ネットワーク(ICN:Information Centric Network)を用いて必要なコンテンツを収集するものであり、ユーザ端末1(情報収集者装置)と、カメラ3(コンテンツ蓄積装置)と、を備えている。
【0043】
ユーザ端末1およびカメラ3は、情報指向ネットワークを介して相互に接続されている。また、ユーザ端末1およびカメラ3は、IPネットワークを介して相互に接続されている。また、情報指向ネットワーク内およびIPネットワーク内にはルータ4が設置されている。なお、ルータ4は図示するものの他にも情報指向ネットワーク内およびIPネットワーク内の適所に設置される。
【0044】
ユーザ端末1は、ユーザ(情報収集者)が情報収集に係る操作を行うものである。本実施形態では、情報収集の一例として画像検索が行われる。ユーザ端末1は、ユーザが必要な情報を入力すると、テキストデータを含むインタレストを生成して、そのインタレストを情報指向ネットワークに送出する。
【0045】
ここで、テキストデータ(要求内容データ)には、ユーザの要求内容に関する情報、具体的には、カメラ3で行われる検索処理の条件(検索条件)として、撮影地点(区域)に関する情報(地名など)や、撮影時刻(期間)に関する情報などが記載される。また、テキストデータには、特定の物体を探索する場合に、検索条件として、探索対象の種類(人物、動物、車両など)に関する情報などが記載される。また、探索対象が人物である場合には、テキストデータに、人物の属性(年齢、性別、服装、身長など)に関する情報などが記載される。このテキストデータは、検索条件などに関するユーザの入力操作に応じて生成される。
【0046】
このとき、撮影地点として特定の区域をユーザが指定すると、指定された区域内に位置するカメラ3が撮影した画像ファイルが対象となる。また、撮影時刻として特定の時間帯をユーザが指定すると、指定された時間帯にカメラ3が撮影した画像ファイルが対象となる。また、探索対象の種類および属性をユーザが指定すると、指定された種類および属性の物体が撮影された画像ファイルが対象となる。例えば、撮影地点を「XXX町付近」とし、探索対象の属性を「大人の男性」とすると、XXX町付近で大人の男性を撮影した画像を探すことができる。
【0047】
カメラ3は、ユーザ端末1からのインタレストを受信すると、そのインタレストに含まれるテキストデータに記載された検索条件に該当する画像ファイル(コンテンツ)を、自装置に蓄積された画像ファイルの中から検索し、該当する画像ファイルが見つかると、その画像ファイルを、IPネットワーク経由で要求元(インタレストの送信元)のユーザ端末1に送信する。
【0048】
ここで、ユーザ端末1から情報指向ネットワークに送出されるインタレストに、ユーザ端末1のIPアドレスを付加することで、カメラ3からユーザ端末1に画像ファイルをIPネットワーク経由で送信することができる。
【0049】
また、本実施形態では、インタレストが、ユーザ端末1から情報指向ネットワークを構成する低速通信経路(ルート#1,#1-1,#1-2)を経由してカメラ3に送信される。また、画像ファイルが、カメラ3からIPネットワークを構成する高速通信経路(ルート#2,#2-1,#2-2)を経由してユーザ端末1に送信される。
【0050】
なお、本実施形態では、画像ファイルを送信する高速通信経路がIPネットワークを構成するものとしたが、画像ファイルを送信する高速通信経路が情報指向ネットワークを構成するものであってもよい。この場合、カメラ3からユーザ端末1までの高速通信経路上にあるルータ4を指定することで、画像ファイルをユーザ端末1に送り届けるようにしてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、ユーザ端末1(情報収集者装置)が、コンテンツとして、カメラ3で撮影した画像データを収集する例について説明したが、収集対象となるコンテンツは画像データに限定されない。例えば、マイクで収音した音声データや、種々のセンサで検出した状態情報(気温や湿度など)などでもよい。
【0052】
また、本実施形態では、コンテンツ蓄積装置としてのカメラ3が情報指向ネットワークに接続された例について説明するが、コンテンツ蓄積装置はカメラ3に限定されない。情報指向ネットワークでは、接続されたデバイスがコンテンツを共有するため、カメラ3以外のデバイス、例えば温湿度センサやマイクロフォンなどのセンシングデバイスだけでなく、サーバやルータなどもコンテンツ蓄積装置として機能する。
【0053】
次に、第1実施形態に係るユーザ端末1およびカメラ3の概略構成について説明する。
図2は、ユーザ端末1およびカメラ3の概略構成を示すブロック図である。
【0054】
ユーザ端末1は、通信部11と、入力部12と、表示部13と、メモリ14と、プロセッサ15と、を備えている。
【0055】
通信部11は、情報指向ネットワークにインタレスト(要求メッセージ)を送出する。また、通信部11は、インタレストの応答として、カメラ3からIPネットワーク経由で送信される画像ファイルを受信する。
【0056】
入力部12は、検索条件を指定する入力操作をユーザ(情報収集者)が行う。表示部13は、検索条件を指定する際の入力画面や、通信部11で受信した情報を表示する。
【0057】
メモリ14は、プロセッサ15で実行されるプログラムなどを記憶する。
【0058】
プロセッサ15は、メモリ14に記憶されたプログラムを実行することで情報収集に係る各種の処理を行う。本実施形態では、プロセッサ15が、インタレスト送信処理、および受信データ処理などを行う。
【0059】
インタレスト送信処理では、プロセッサ15が、ユーザが入力した検索条件に関するテキストデータを取得して、そのテキストデータを含むインタレストを生成して、そのインタレストを情報指向ネットワークに送出するように通信部11を制御する。
【0060】
受信データ処理では、プロセッサ15が、通信部11により情報指向ネットワークから受信したデータ、例えばカメラ3からの画像ファイルを表示部13に表示する処理などを行う。
【0061】
カメラ3は、撮影部31と、通信部32(受信部、送信部)と、メモリ33と、プロセッサ34と、を備えている。
【0062】
撮影部31は、カメラ3の周辺を撮影して、撮影画像データを出力する。この撮影画像データ(静止画像、動画像)は、プロセッサ34により画像ファイルに格納される。
【0063】
通信部32は、情報指向ネットワークから送信されるインタレスト(要求メッセージ)を受信する。また、通信部32は、IPネットワーク経由でユーザ端末1に画像ファイル(コンテンツ)を送信する。
【0064】
メモリ33は、プロセッサ34で実行されるプログラムなどを記憶する。また、メモリ33は、プロセッサ34で生成した画像ファイルを蓄積する。
【0065】
プロセッサ34は、メモリ33に記憶されたプログラムを実行することで情報収集に係る各種の処理を行う。本実施形態では、プロセッサ34が、画像検索処理などを行う。
【0066】
画像検索処理では、ユーザ端末1からのインタレストを通信部32により受信すると、プロセッサ34が、インタレストに含まれるテキストデータに記載された検索条件に該当する画像ファイルを、自装置に蓄積された画像ファイルの中から検索する。具体的には、テキストデータに、検索条件として、撮影地点(区域)の位置情報や撮影時刻(期間)の時間情報が記載されていると、その撮影地点(区域)や撮影時刻(期間)に該当する画像ファイルが検索される。また、テキストデータには、検索条件として、探索対象の種類および属性が記載されていると、その種類および属性に該当する物体が写る画像ファイルが検索される。
【0067】
なお、プロセッサ34は、撮影部31の撮影画像に対する画像認識処理を行うことができ、この画像認識処理により、撮影画像に映る被写体の種類(人物、動物、車両など)および属性(被写体が人物の場合、例えば年齢、性別、服装、身長など)が取得される。
【0068】
次に、第1実施形態に係る通信システムの動作手順について説明する。
図3は、通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【0069】
まず、ユーザ端末1が、検索条件が記載されたテキストデータ(要求内容データ)を含むインタレストを情報指向ネットワークに送出する。
【0070】
次に、カメラ3が、ユーザ端末1からのインタレストを受信すると、インタレストに含まれるテキストデータに記載された検索条件に該当する画像ファイルを、自装置に蓄積された画像ファイルの中から検索する(検索処理)。そして、カメラ3が、画像検索で見つかった画像ファイルを、IPネットワーク経由でユーザ端末1に送信する。
【0071】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図4は、第2実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0072】
本実施形態では、第1実施形態(
図1参照)と同様に、ユーザ端末1が、情報指向ネットワーク(低速通信ルート)を経由してインタレストをカメラ3に送信する。
【0073】
一方、本実施形態では、サーバ2(中継装置)が設けられている。このサーバ2は、ユーザ端末1とカメラ3との間に介在する。サーバ2は、ユーザ端末1からのインタレストを、情報指向ネットワーク経由でカメラ3に転送する。カメラ3は、IPネットワーク(高速通信ルート)を経由して画像ファイルをサーバ2に送信する。
【0074】
また、本実施形態では、カメラ3が、インタレストに対する返信としての応答メッセージを情報指向ネットワークに送出する。この応答メッセージはサーバ2で受信される。応答メッセージには、画像ファイル(コンテンツ)を送信した旨の通知と、画像ファイルの識別情報とが含まれる。
【0075】
ここで、画像ファイルの識別情報は、具体的には、画像ファイルに付与されたファイル名である。例えば、ファイル名「GZA-20190624-9s3fd」が応答メッセージに付加される。なお、ファイル名には、極力他のファイル名と一致しないように、ある程度の長さを持たせたり、時間や乱数(数字に限定せずランダムなアルファベットや記号なども含む)を含ませたりすることが望ましい。
【0076】
サーバ2は、情報指向ネットワーク経由でカメラ3からの応答メッセージを受信すると共に、IPネットワーク経由でカメラ3からの画像ファイルを受信すると、ユーザ端末1からのインタレストに対する返信として、画像ファイルをユーザ端末1に送信する。
【0077】
このように本実施形態では、ユーザ端末1からの画像ファイルの要求を、サーバ2が代行して行う。このため、ユーザ端末1では、インタレストの送信と画像ファイルの受信とが、異なるネットワークを利用して行われることを認識した制御を行わずに済む。
【0078】
なお、サーバ2は、IPネットワーク経由で画像ファイル(コンテンツ)を受信することで、ユーザ端末1からのインタレストに対する返信が行われたことを認識できるため、情報指向ネットワークによる応答メッセージの送信は行われないようにしてもよい。
【0079】
次に、第2実施形態に係るユーザ端末1、カメラ3、およびサーバ2の概略構成について説明する。
図5は、ユーザ端末1、カメラ3、およびサーバ2の概略構成を示すブロック図である。
【0080】
ユーザ端末1の構成は、第1実施形態(
図2参照)と略同様である。
【0081】
カメラ3の構成は、第1実施形態と略同様であるが、プロセッサ34が、検索処理の他に、応答メッセージ送信処理などを行う。
【0082】
応答メッセージ送信処理では、プロセッサ34が、画像ファイル(コンテンツ)を送信した旨の通知と、その画像ファイルのファイル名(コンテンツの識別情報)と、を含む応答メッセージを、情報指向ネットワークに送出するように通信部32を制御する。
【0083】
サーバ2は、通信部21(受信部、送信部)と、メモリ22と、プロセッサ23と、を備えている。
【0084】
通信部21は、情報指向ネットワークとの間でインタレスト(要求メッセージ)および応答メッセージの送受信を行う。また、通信部21は、IPネットワーク経由で画像ファイル(コンテンツ)を送受信する。
【0085】
メモリ22は、プロセッサ23で実行されるプログラムなどを記憶する。
【0086】
プロセッサ23は、メモリ22に記憶されたプログラムを実行することで情報収集に係る各種の処理を行う。本実施形態では、プロセッサ23が、インタレスト転送処理、および受信データ転送処理などを行う。
【0087】
インタレスト転送処理では、プロセッサ23がユーザ端末1からのインタレストを通信部21により受信すると、そのインタレストを情報指向ネットワークの下位のノード(カメラ3側のルータなど)に転送するように通信部21を制御する。
【0088】
受信データ転送処理では、プロセッサ23が、カメラ3からIPネットワークを経由して送信された画像ファイル(コンテンツ)を通信部21により受信すると、その画像ファイルをユーザ端末1に転送するように通信部21を制御する。
【0089】
次に、第2実施形態に係る通信システムの動作手順について説明する。
図6は、通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【0090】
まず、ユーザ端末1が、検索条件が記載されたテキストデータ(要求内容データ)を含むインタレストをサーバ2に送出し、サーバ2は当該インタレストを情報指向ネットワークに送出する。
【0091】
次に、カメラ3が、ユーザ端末1からのインタレストを受信すると、インタレストに含まれるテキストデータに記載された検索条件に該当する画像ファイルを、自装置に蓄積された画像ファイルの中から検索する(画像検索)。
【0092】
次に、カメラ3が、画像検索で見つかった画像ファイルを、IPネットワーク経由でサーバ2に送信する。また、カメラ3が、サーバ2に送信した画像ファイルのファイル名を含む応答メッセージを情報指向ネットワーク経由でサーバ2に送信する。
【0093】
次に、サーバ2が、カメラ3からの画像ファイルを受信すると、その画像ファイルを自装置に蓄積する。そして、サーバ2が、カメラ3からの応答メッセージを受信すると、画像ファイルをユーザ端末1に送信する。
【0094】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図7は、第3実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0095】
本実施形態では、第1実施形態(
図1参照)と同様に、ユーザ端末1が、情報指向ネットワーク(低速通信ルート)を経由してインタレストをカメラ3に送信する。また、本実施形態では、第2実施形態と同様に、カメラ3が、IPネットワーク(高速通信ルート)を経由して画像ファイルをサーバ2に送信する。
【0096】
また、本実施形態では、第2実施形態(
図4参照)と同様に、カメラ3が、インタレストに対する返信としての応答メッセージを情報指向ネットワークに送出する。ただし、第2実施形態では、応答メッセージがサーバ2で受信されるのに対して、本実施形態では、応答メッセージがユーザ端末1で受信される。
【0097】
サーバ2は、カメラ3からの画像ファイルを受信すると、その画像ファイルを自装置に一時的に蓄積する。そして、サーバ2は、ユーザ端末1からの送信要求に応じて、画像ファイルをユーザ端末1に送信する。
【0098】
ユーザ端末1は、カメラ3からの応答メッセージを受信することで、自装置がインタレストで要求した画像ファイル(コンテンツ)が別ルートで送信されたことと、その画像ファイルのファイル名(コンテンツの識別情報)とを認識することができる。そして、ユーザ端末1は、ユーザの操作に応じて、または適宜なタイミングで、例えば、インタレストを送信してから所定時間経過したタイミングで、サーバ2にアクセスして、応答メッセージで通知されたファイル名の画像ファイルをサーバ2から取得する。
【0099】
このように本実施形態では、カメラ3から送信された画像ファイルが、サーバ2に一時的に蓄積されるため、ユーザ端末1に大量の画像ファイルが集中して送り付けられることを避けることができる。
【0100】
次に、第3実施形態に係る通信システムの動作手順について説明する。
図8は、通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【0101】
まず、ユーザ端末1が、検索条件が記載されたテキストデータ(要求内容データ)を含むインタレストを情報指向ネットワークに送出する。
【0102】
次に、カメラ3が、ユーザ端末1からのインタレストを受信すると、インタレストに含まれるテキストデータに記載された検索条件に該当する画像ファイルを、自装置に蓄積された画像ファイルの中から検索する(画像検索)。
【0103】
次に、カメラ3が、画像検索で見つかった画像ファイルを、IPネットワーク経由でサーバ2に送信する。また、カメラ3が、サーバ2に送信した画像ファイルのファイル名を含む応答メッセージを情報指向ネットワーク経由でユーザ端末1に送信する。
【0104】
次に、サーバ2が、カメラ3からの画像ファイルを受信すると、その画像ファイルを自装置に蓄積する。
【0105】
また、ユーザ端末1が、カメラ3からの応答メッセージを受信すると、サーバ2にアクセスして、カメラ3から通知された画像ファイルのファイル名に基づいて、該当する画像ファイルの送信をサーバ2に指示して、その画像ファイルを取得する。
【0106】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図9は、第4実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0107】
本実施形態では、第1実施形態(
図1参照)と同様に、ユーザ端末1が、情報指向ネットワーク(低速通信ルート)を経由してインタレストをカメラ3に送信し、カメラ3が、IPネットワーク(高速通信ルート)を経由して画像ファイルをユーザ端末1に送信する。
【0108】
一方、本実施形態では、無線回線を利用してインタレストがカメラ3に転送される。具体的には、インタレストを送信する低速通信ルートに、長距離無線通信、特にLPWA(低電力広域通信:Low Power Wide Area)通信の基地局となるゲートウェイ7(無線配信装置)が設置されており、LPWA通信によりゲートウェイ7からカメラ3にインタレストが転送される。
【0109】
ゲートウェイ7は、LPWA通信によりインタレストをブロードキャストで送信する。すなわち、同報通信によりインタレストをカメラ3に報知する。
【0110】
これにより、ゲートウェイ7の通信エリア内に位置するカメラ3に一斉にインタレストを転送することができる。また、ゲートウェイ7の通信エリアにより、インタレストの転送範囲を制限することができる。すなわち、限定された範囲に存在するカメラ3にのみインタレストを転送することができる。このため、必要以上に広範囲に存在するカメラ3にインタレストが転送されることを避けることができる。
【0111】
なお、ユーザ端末1およびカメラ3の構成は、第1実施形態(
図2参照)と概ね同一であるが、カメラ3は、通信部32の他に、LPWA通信を行う通信部を備えている。
【0112】
次に、第4実施形態に係る通信システムの動作手順について説明する。
図10は、通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【0113】
まず、ユーザ端末1が、検索条件が記載されたテキストデータ(要求内容データ)を含むインタレストを情報指向ネットワークに送出する。次に、ゲートウェイ7が、ユーザ端末1からのインタレストを受信すると、そのインタレストをLPWA通信により、ゲートウェイ7の通信エリア内の複数のカメラ3にブロードキャストによって同報送信する。
【0114】
次に、カメラ3が、ゲートウェイ7からのインタレストを受信すると、インタレストに含まれるテキストデータに記載された検索条件に該当する画像ファイルを、自装置に蓄積された画像ファイルの中から検索する(画像検索)。
【0115】
次に、カメラ3が、画像検索で見つかった画像ファイルを、IPネットワーク経由でユーザ端末1に送信する。なお、
図10に示す例では、2つのカメラ3(カメラ#1,カメラ#4)が、画像検索で検索条件に該当する画像ファイルを見つけたため、その画像ファイルをユーザ端末1に送信する。一方、他の2つのカメラ3(カメラ#2,カメラ#3)は、画像検索で検索条件に該当する画像ファイルを見つけなかったため、画像ファイルの送信は行わない。
【0116】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図11は、第5実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0117】
本実施形態では、第4実施形態(
図9参照)と同様に、LPWA通信によりゲートウェイ7からインタレストをカメラ3に送信する。
【0118】
一方、本実施形態では、画像ファイルを送信する高速通信ルートに、比較的高速な近距離無線通信、具体的にはWiFi(登録商標)などのWLAN通信を行うアクセスポイント8(無線配信装置)が設置されており、WLAN通信によりカメラ3からアクセスポイント8に画像ファイルが転送される。
【0119】
また、WiFi(登録商標)の通信エリア(電波到達範囲)はLPWAの通信エリアより小さいため、1台のアクセスポイント8では、LPWAの通信エリア内の全てのカメラ3から送信される画像ファイルを受信することができない場合がある。
【0120】
そこで、本実施形態では、周辺の複数のカメラ3間で、マルチホップ通信により、画像ファイルを転送する。すなわち、カメラ3から周辺のカメラ3に順次、画像ファイルが転送されることで、アクセスポイント8の通信エリア外に位置するカメラ3の画像ファイルが、アクセスポイント8の通信エリア内に位置するカメラ3を介して、アクセスポイント8に転送される。
図11の例では、例えばカメラ#4の画像ファイルは、カメラ#3およびカメラ#2を経由してアクセスポイント8に転送される。
【0121】
次に、第5実施形態に係る通信システムの動作手順について説明する。
図12は、通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【0122】
まず、ユーザ端末1が、検索条件が記載されたテキストデータ(要求内容データ)を含むインタレストを情報指向ネットワークに送出する。次に、ゲートウェイ7が、ユーザ端末1からのインタレストを受信すると、そのインタレストをLPWA通信により、ゲートウェイ7の通信エリア内の複数のカメラ3にブロードキャストによって同報送信する。
【0123】
次に、カメラ3が、ゲートウェイ7からのインタレストを受信すると、インタレストに含まれるテキストデータに記載された検索条件に該当する画像ファイルを、自装置に蓄積された画像ファイルの中から検索する(画像検索)。
【0124】
次に、検索条件に該当する画像ファイルを保持するカメラ3が、アクセスポイント8の通信エリア内に位置する場合には、画像ファイルをWLAN通信によりアクセスポイント8に転送する。
【0125】
また、検索条件に該当する画像ファイルを保持するカメラ3が、アクセスポイント8の通信エリア外に位置する場合には、マルチホップ通信により周辺のカメラ3に画像ファイルを転送する。そして、アクセスポイント8の通信エリア内に位置するカメラ3が、アクセスポイント8の通信エリア外に位置するカメラ3からの画像ファイルを受信すると、その画像ファイルをアクセスポイント8に転送する。
図12の例では、
図11と同様に複数のカメラ3間のマルチホップ通信により、カメラ#4の画像ファイルが、カメラ#3およびカメラ#2を経由してアクセスポイント8に転送されている。
【0126】
次に、アクセスポイント8が、カメラ3からの画像ファイルを受信すると、その画像ファイルをIPネットワーク経由でユーザ端末1に送信する。
【0127】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図13は、第6実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0128】
本実施形態では、第4実施形態(
図9参照)と同様に、LPWA通信によりゲートウェイ7からインタレストをカメラ3にブロードキャストで同報送信する。
【0129】
一方、本実施形態では、メッセージフェリー方式により、車両や歩行者などの移動体を、画像ファイルを運ぶフェリー41として利用することで、カメラ3が蓄積された画像ファイルがカメラ3からフェリー41を介して転送される。フェリー41は、カメラ3から転送された画像ファイルを蓄積する。
【0130】
また、IPネットワークの高速通信ルート(ルート#2)にはステーション9(ステーション装置)が設置されている。フェリー41は、まず、カメラ3に立ち寄ることで、カメラ3からフェリー41に画像ファイルが転送される。そして、フェリー41がステーション9に立ち寄ると、カメラ3から収集した画像ファイルがフェリー41からステーション9に転送される。なお、
図13の例では、2つのカメラ3(カメラ#1,カメラ#4)が、画像検索により検索条件に該当する画像ファイルを見つけたため、その画像ファイルをフェリー41に転送する。一方、他の2つのカメラ3(カメラ#2,カメラ#3)は、画像検索により検索条件に該当する画像ファイルを見つけなかったため、画像ファイルの転送を行わない。
【0131】
このように本実施形態では、メッセージフェリー方式により、画像検索の検索条件に該当する画像ファイルがカメラ3から転送されるため、IPネットワークの高速通信ルートが途中までしかない場合でも、カメラ3の画像ファイルをユーザ端末1に届けることができる。
【0132】
なお、車両がフェリー41になる場合、具体的には、車両に搭載された車載端末がフェリー41の動作を行う。この車載端末は、LPWA通信と情報指向ネットワーク通信およびIPネットワーク通信の機能を有している。
【0133】
また、本実施形態では、カメラ3からフェリー41への画像ファイルの転送と、フェリー41からステーション9への画像ファイルの転送と、が有線通信により行われる。このため、フェリー41とカメラ3とを通信端子で接続し、また、ステーション9とフェリー41とを通信端子で接続する。このとき、例えば、ステーション9に充電機を併設し、充電機と電動車両とをドッキングして、充電機から電動車両に充電用電力を伝送する際に、フェリー41からステーション9に画像ファイルが転送されるようにしてもよい。
【0134】
次に、第6実施形態に係る通信システムの動作手順について説明する。
図14は、通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【0135】
まず、ユーザ端末1が、検索条件が記載されたテキストデータ(要求内容データ)を含むインタレストを情報指向ネットワークに送出する。次に、ゲートウェイ7が、ユーザ端末1からのインタレストを受信すると、そのインタレストをLPWA通信により、ゲートウェイ7の通信エリア内の複数のカメラ3にブロードキャストによって同報送信する。
【0136】
次に、カメラ3が、ゲートウェイ7からのインタレストを受信すると、インタレストに含まれるテキストデータに記載された検索条件に該当する画像ファイルを、自装置に蓄積された画像ファイルの中から検索する(画像検索)。
【0137】
次に、検索条件に該当する画像ファイルを保持するカメラ3にフェリー41が接近すると、そのカメラ3が、画像検索により見つけた検索条件に該当する画像ファイルをフェリー41に転送する。
【0138】
次に、フェリー41が、ステーション9が接近すると、フェリー41が、カメラ3から収集した画像ファイルをステーション9に転送する。
【0139】
次に、ステーション9が、フェリー41から画像ファイルを受信すると、その画像ファイルをIPネットワーク経由でユーザ端末1に送信する。
【0140】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図15は、第7実施形態に係る通信システムの全体構成図である。なお、本実施形態に係る通信システムの動作手順は第6実施形態(
図14参照)と同様である。
【0141】
本実施形態では、第6実施形態(
図13参照)と同様に、LPWA通信によりゲートウェイ7からインタレストを、ゲートウェイ7の通信エリア内の複数のカメラ3にブロードキャストによって同報送信する。また、カメラ3が、フェリー41に画像ファイルを転送する。そして、フェリー41が、ステーション9に画像ファイルを転送する。
【0142】
一方、本実施形態では、カメラ3からフェリー41への画像ファイルの転送と、フェリー41からステーション9への画像ファイルの転送とが、WLAN通信などの近距離無線通信により行われる。なお、
図15の例では、2つのカメラ3(カメラ#1,カメラ#4)が、画像検索により検索条件に該当する画像ファイルを見つけたため、その画像ファイルをフェリー41に転送する。一方、他の2つのカメラ3(カメラ#2,カメラ#3)は、画像検索により検索条件に該当する画像ファイルを見つけなかったため、画像ファイルの転送を行わない。
【0143】
これにより、フェリー41からステーション9に画像ファイルを転送する際に、フェリー41が、ステーション9に立ち寄らずに、その付近を通行するだけで済む。また、カメラ3からフェリー41に画像ファイルを転送する際にも、フェリー41がカメラ3の付近を通行するだけで済む。
【0144】
なお、本実施形態では、カメラ3からフェリー41への画像ファイルの転送と、フェリー41からステーション9への画像ファイルの転送とが、WLAN通信などの近距離無線通信により行われるが、その通信方式はWLAN通信に限定されない。例えば赤外線通信やBluetooth(登録商標)、あるいはミリ波通信などを用いて画像ファイルの転送が行われるようにしてもよい。また、本実施形態に係る通信システムの動作手順は、カメラ3からフェリー41への転送、および、フェリー41からステーション9への転送手段が近距離無線になったことを除き、第6実施形態(
図14参照)と同様である。
【0145】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図16は、第8実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0146】
本実施形態では、第7実施形態(
図15参照)と同様に、LPWA通信によりゲートウェイ7からインタレストを、ゲートウェイ7の通信エリア内の複数のカメラ3にブロードキャストによって同報送信する。また、カメラ3が、画像検索により見つけた検索条件に該当する画像ファイルを、WLAN通信などの近距離無線通信によりフェリー41に転送する。
【0147】
一方、本実施形態では、ゲートウェイ7が、ステーション9の位置をLPWA通信によりフェリー41に連絡する。そして、フェリー41が、カメラ3から収集した画像ファイルをステーション9に転送できるように、予定していた経路から、ステーション9の周辺を通行する経路に変更する。
【0148】
このように本実施形態では、ステーション9の周辺を通行するようにフェリー41が経路を変更するため、カメラ3から収集した画像ファイルをフェリー41からステーション9に確実に転送することができる。
【0149】
なお、本実施形態では、フェリー41(移動体)の経路を変更するため、フェリー41を制御する人物、例えばフェリー41が車両である場合にはその運転者の協力が必要である。そこで、フェリー41を制御する人物の協力を促進するため、経路の変更に協力した場合に、インセンティブ(カードのポイントや割引クーポンなど)を授与するようにしてもよい。
【0150】
なお、フェリー41の周辺に複数のステーション9が存在する場合には、ゲートウェイ7が、その複数のステーション9の位置をフェリー41に通知し、フェリー41が、自身の予定経路に基づいて、最適なステーション9を選択するようにしてもよい。
【0151】
次に、第8実施形態に係る通信システムの動作手順について説明する。
図17は、通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【0152】
まず、ユーザ端末1が、検索条件が記載されたテキストデータ(要求内容データ)を含むインタレストを情報指向ネットワークに送出する。次に、ゲートウェイ7が、ユーザ端末1からのインタレストを受信すると、そのインタレストをLPWA通信により、ゲートウェイ7の通信エリア内の複数のカメラ3にブロードキャストによって同報送信する。
【0153】
次に、カメラ3が、ゲートウェイ7からのインタレストを受信すると、インタレストに含まれるテキストデータに記載された検索条件に該当する画像ファイルを、自装置に蓄積された画像ファイルの中から検索する(画像検索)。
【0154】
また、ゲートウェイ7が、ステーション9の位置情報を含む装置位置通知(インタレスト)をLPWA通信によりフェリー41に送信する。
【0155】
次に、フェリー41が、ゲートウェイ7からの装置位置通知を受信すると、その装置位置通知に含まれる情報、具体的には、ステーション9の位置情報に基づいて、自装置の移動経路を、ステーション9の近傍を通過する経路に変更する(経路変更)。
【0156】
次に、検索条件に該当する画像ファイルを保持するカメラ3にフェリー41が接近すると、そのカメラ3が、検索条件に該当する画像ファイルを近距離無線通信(WLAN通信など)によりフェリー41に転送する。なお、
図17の例では、2つのカメラ3(カメラ#1,カメラ#4)が、画像検索により検索条件に該当する画像ファイルを見つけたため、その画像ファイルをフェリー41に転送する。一方、他の2のカメラ3(カメラ#2,カメラ#3)は、画像検索により検索条件に該当する画像ファイルを見つけなかったため、画像ファイルの転送を行わない。
【0157】
次に、フェリー41が、ステーション9が接近すると、フェリー41が、カメラ3から収集した画像ファイルを近距離無線通信によりステーション9に転送する。
【0158】
次に、ステーション9が、フェリー41から画像ファイルを受信すると、その画像ファイルをIPネットワーク経由でユーザ端末1に送信する。
【0159】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図18は、第9実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0160】
本実施形態では、第7実施形態(
図15参照)と同様に、LPWA通信によりゲートウェイ7からインタレストを、ゲートウェイ7の通信エリア内の複数のカメラ3にブロードキャストによって同報送信する。次に、カメラ3が、インタレストに含まれるテキストデータ(要求内容データ)に基づいて、自装置に蓄積された画像ファイルの検索を行う。そして、カメラ3が、該当する画像ファイルを近距離無線通信(WLAN通信など)でフェリー41に転送する。
【0161】
一方、本実施形態では、カメラ3が、ユーザ(情報収集者)が指定した検索条件に該当する画像ファイルを蓄積する場合に、その旨をゲートウェイ7に通知する。そして、ゲートウェイ7が、検索条件に該当する画像ファイルを蓄積するカメラ3の位置情報をフェリー41に通知する。そして、フェリー41が、検索条件に該当する画像ファイルを蓄積するカメラ3から画像ファイルを近距離無線通信で受信できるように、予定していた経路から、検索条件に該当する画像ファイルを蓄積するカメラ3の周辺を通行する経路に変更する。
【0162】
このように本実施形態では、検索条件に該当する画像ファイルを蓄積するカメラ3の周辺を通行するように、フェリー41が経路を変更するため、カメラ3からフェリー41に画像ファイルを確実に転送することができる。
【0163】
なお、検索条件に該当する画像ファイルを蓄積するカメラ3の位置を、1台のフェリー41に通知して、そのフェリー41が、対象となる全てのカメラ3の周辺を通行するようにする他に、検索条件に該当する画像ファイルを蓄積するカメラ3の位置を、複数のフェリー41に通知するようにしてもよい。この場合、1台のフェリー41が、自身の移動経路に基づいて、周辺を通行可能な一部のカメラ3を選択し、残りのカメラ3に関しては、別のフェリー41に依頼するようにしてもよい。
【0164】
また、本実施形態では、検索条件に該当する画像ファイルを蓄積するカメラ3の位置をゲートウェイ7からフェリー41に通知して、検索条件に該当する画像ファイルを蓄積するカメラ3の周辺をフェリー41が通行するようにしたが、第8実施形態と組み合わせて、カメラ3の位置と共にステーション9の位置もゲートウェイ7からフェリー41に通知して、検索条件に該当する画像ファイルを蓄積するカメラ3の周辺とステーション9の周辺とをフェリー41が通行するようにしてもよい。
【0165】
また、本実施形態では、第8実施形態と同様に、フェリー41(移動体)の経路を変更するため、フェリー41を制御する人物の協力を促進するため、経路の変更に協力した場合に、インセンティブ(カードのポイントや割引クーポンなど)を授与するようにしてもよい。
【0166】
次に、第9実施形態に係る通信システムの動作手順について説明する。
図19は、通信システムの動作手順を示すシーケンス図である。
【0167】
まず、ユーザ端末1が、検索条件が記載されたテキストデータ(要求内容データ)を含むインタレストを情報指向ネットワークに送出する。次に、ゲートウェイ7が、ユーザ端末1からのインタレストを受信すると、そのインタレストをLPWA通信により、ゲートウェイ7の通信エリア内の複数のカメラ3にブロードキャストによって同報送信する。
【0168】
次に、カメラ3が、ゲートウェイ7からのインタレストを受信すると、インタレストに含まれるテキストデータに記載された検索条件に該当する画像ファイルを、自装置に蓄積された画像ファイルの中から検索する(画像検索)。そして、検索条件に該当する画像ファイルが見つかった場合には、検索条件に該当する画像ファイルの収集(コンテンツ収集)を要請する旨の通知(画像収集要請)をゲートウェイ7に送信する。
図19に示す例では、2つのカメラ3(カメラ#1,カメラ#4)が、画像検索により検索条件に該当する画像ファイルを見つけたため、画像収集要請をゲートウェイ7に送信する。一方、他の2のカメラ3(カメラ#2,カメラ#3)は、画像検索で検索条件に該当する画像ファイルを見つけなかったため、画像収集要請をゲートウェイ7に送信しない。
【0169】
次に、ゲートウェイ7が、カメラ3からの画像収集要請を受信すると、その画像収集要請に含まれる情報、具体的には、画像収集要請の送り主となるカメラ3の識別情報に基づいて、画像収集要請の送り主となるカメラ3の位置情報を含む装置位置通知(インタレスト)をLPWA通信によりフェリー41に送信する。
【0170】
次に、フェリー41が、ゲートウェイ7からの装置位置通知を受信すると、その装置位置通知に含まれる情報、具体的には、検索条件に該当する画像ファイルを保持するカメラ3の位置情報に基づいて、自装置の移動経路を、検索条件に該当する画像ファイルを保持するカメラ3の近傍を通過する経路に変更する(経路変更)。
【0171】
次に、検索条件に該当する画像ファイルを保持するカメラ3にフェリー41が接近すると、そのカメラ3が、検索条件に該当する画像ファイルを近距離無線通信(WLAN通信など)によりフェリー41に転送する。
【0172】
次に、フェリー41が、ステーション9が接近すると、フェリー41が、カメラ3から収集した画像ファイルを近距離無線通信によりステーション9に転送する。
【0173】
次に、ステーション9が、フェリー41から画像ファイルを受信すると、その画像ファイルをIPネットワーク経由でユーザ端末1に送信する。
【0174】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図20は、第10実施形態に係るフェリー41の概略構成を示すブロック図である。
【0175】
本実施形態では、第7実施形態(
図15参照)と同様に、メッセージフェリー方式により、フェリー41(移動体)を利用してカメラ3の画像ファイルが転送される。
【0176】
フェリー41は、第1の通信部51と、第2の通信部52と、第3の通信部53と、メモリ54と、プロセッサ55と、を備えている。
【0177】
第1の通信部51は、ステーション9との間で、WLAN通信、具体的にはWiFi(登録商標),WiGig(登録商標)などの近距離無線通信を行う。この第1の通信部51は、画像ファイルをステーション9に送信する。
【0178】
第2の通信部52は、ゲートウェイ7との間で、LPWA通信を行う。この第2の通信部52は、ゲートウェイ7からインタレストを受信する。第9実施形態のように、検索条件に該当する画像ファイルを蓄積するカメラ3の位置情報を、LPWA通信によりゲートウェイ7からフェリー41に通知する場合に、ゲートウェイ7の通信エリアをフェリー41が通行する際に、ゲートウェイ7からフェリー41にカメラ3の位置情報を送信する。
【0179】
第3の通信部53は、カメラ3との間で、WLAN通信、具体的にはWiFi(登録商標),WiGig(登録商標)などの近距離無線通信を行う。この第3の通信部53は、カメラ3からの画像ファイルを受信する。
【0180】
なお、ステーション9との間の通信およびカメラ3との間の通信が共にWLAN通信である場合、第3の通信部53を省略して、ステーション9との間の通信およびカメラ3との間の通信の両方に、第1の通信部51が共用される構成としてもよい。また、この他に、第1の通信部51、第2の通信部52、および第3の通信部53のうち、同じ通信方式を採用するものがあれば、その通信方式を採用するもの同士で1つの通信部が共用される構成とすることもできる。
【0181】
メモリ54は、プロセッサ55で実行されるプログラムなどを記憶する。また、メモリ54は、カメラ3から収集された画像ファイルを蓄積する。
【0182】
プロセッサ55は、メモリ54に記憶されたプログラムを実行することで画像ファイル転送に係る各種の処理を行う。
【0183】
なお、車両がフェリー41になる場合、具体的には、車両に搭載された車載端末がフェリー41の動作を行う。また、歩行者がフェリー41になる場合、具体的には、歩行者が所持する携帯情報端末(例えばスマートフォンなど)がフェリー41の動作を行う。また、自転車がフェリー41になる場合、具体的には、自転車の運転者が所持する携帯情報端末や、自転車に搭載された車載端末がフェリー41の動作を行う。携帯情報端末や車載端末は情報指向ネットワークの機能を有している。また、このようなフェリー41になる車両や歩行者などの移動体は、宅配事業者のトラックや自治体の町内パトロールの隊員のように、対象とする地域を定期的に通行する移動体に協力してもらうようにしてもよい。
【0184】
また、フェリー41となる移動体とカメラ3との間の通信は、WLAN通信などの近距離無線通信とすればよいが、携帯情報端末(例えばスマートフォンなど)がセルラー通信の機能を備えている場合には、セルラー通信により画像ファイルの転送が行われるようにしてもよい。
【0185】
(第11実施形態)
次に、第11実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図21は、第11実施形態に係る通信システムの概要を示す説明図である。
【0186】
本実施形態では、複数のカメラ3によりマルチホップ通信が行われる。カメラ3が中継機として機能し、画像ファイルが順に隣のカメラ3に転送される。これにより、複数のカメラ3から画像ファイルがフェリー41に転送される。
【0187】
また、本実施形態では、カメラ3がメッシュネットワークを構成している。すなわち、複数のカメラ3が相互に接続されることで、複数のカメラ3が中継機として網の目状の伝送経路を形成する。これにより、所要の範囲内に存在する複数のカメラ3から画像ファイルを収集することができる。
【0188】
図21に示す例では、1台のカメラ3(#1)の画像ファイルがカメラ3(#1)からフェリー41に転送される。また、別のカメラ3(#2~#7)の画像ファイルが順に隣のカメラ3(#2~#7)に転送されることで、カメラ3(#1)に集められるため、カメラ3(#2~#7)の画像ファイルもカメラ3(#1)からフェリー41に転送される。これにより、メッシュネットワークを構成する全てのカメラ3の画像ファイルがフェリー41に転送される。なお、フェリー41に転送可能となったカメラ3が、他のカメラ3に対してその情報をメッシュネットワークで配信することで、画像ファイルを集約するカメラ3を動的に設定してもよい。
【0189】
(第12実施形態)
次に、第12実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図22は、第12実施形態に係る通信システムの概要を示す説明図である。
【0190】
本実施形態では、複数の種類のフェリー41,42,43が利用される。
【0191】
図22に示す例では、フェリー41,42,43が、カメラ3から画像ファイルを受け取った後、自身がそのままステーション9へその画像ファイルを届けるのが困難な場合(例えば、行き先が違ったり、行くのに時間がかかる場合など)に、通りかかった別のフェリー41,42,43に画像ファイルを転送する。そして、ステーション9の周辺を通行するフェリー41,42,43が、画像ファイルをステーション9に転送する。
【0192】
図22の例では、具体的には、カメラ3(#1)から、フェリー41となる車両に画像ファイルが転送される。次に、フェリー41となる車両から、フェリー42となる歩行者に画像ファイルが転送される。次に、カメラ3(#2)から、フェリー42となる歩行者に画像ファイルが転送される。次に、フェリー42となる歩行者から、フェリー43となる自転車に画像ファイルが転送される。そして、フェリー43となる自転車からステーション9に画像ファイルが転送される。
【0193】
このように本実施形態では、複数のフェリー41,42,43が利用され、さらに複数の種類のフェリー41,42,43が利用されるため、広い範囲に存在するカメラ3から画像ファイルを収集して、ステーション9に確実に画像ファイルを転送することができる。
【0194】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明に係る情報収集方法、情報収集者装置、およびコンテンツ蓄積装置は、不特定多数のコンテンツ蓄積装置に対してコンテンツを要求する通信と、見つかったコンテンツを情報収集者のもとに送り届ける通信とを、各々の特性を両立させて効率よく行うことができる効果を有し、情報収集者装置が情報指向ネットワークを利用してコンテンツ蓄積装置に蓄積された情報を収集する情報収集方法、情報指向ネットワークに接続された情報収集者装置、および情報指向ネットワークに接続されたコンテンツ蓄積装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0196】
1 ユーザ端末(情報収集者装置)
2 サーバ(中継装置)
3 カメラ(コンテンツ蓄積装置)
4 ルータ
7 ゲートウェイ(無線配信装置)
8 アクセスポイント(無線受信装置)
9 ステーション(ステーション装置)
11 通信部(受信部、送信部)
12 入力部
13 表示部
14 メモリ
15 プロセッサ
31 撮影部
32 通信部(受信部、送信部)
33 メモリ
34 プロセッサ
41,42,43 フェリー(移動体)