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  • 特許-ホットランナーを具備した射出成形装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ホットランナーを具備した射出成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/28 20060101AFI20240613BHJP
   B29C 45/20 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B29C45/28
B29C45/20
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020084495
(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公開番号】P2020189488
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】102019000006997
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516023722
【氏名又は名称】サクミ・イモラ・ソシエタ・コーペラティバ
【氏名又は名称原語表記】SACMI IMOLA S.C.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエーレ・サンジョルジ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・フィニ
(72)【発明者】
【氏名】ダビデ・ペナッツィ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ジュース
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-065348(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0317898(US,A1)
【文献】特開2010-052147(JP,A)
【文献】特開2002-103401(JP,A)
【文献】特開2004-209904(JP,A)
【文献】米国特許第05127819(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0204611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットランナーを具備した射出成形装置(1)であって、
リアプレート(10)と、
マニホールドプレート(20)と、
バルブステム(25)と、
アクチュエータと、を備え、
前記リアプレート(10)は、ホットランナーを具備する少なくとも1つの主マニホールド(11)を支持するとともに、当該リアプレートの第1の面(19)に少なくとも部分的に連通する複数の空気チャネル(18)に交差し、
前記マニホールドプレート(20)は、前記リアプレート(10)に固定されるとともに、複数の成形用キャビティの各々の内部に溶融プラスチック材料の流れを射出するように構成された複数のノズル(22)を有し、さらに、前記マニホールドプレート(20)は、ホットランナーを具備する複数の副マニホールド(21)を支持し、前記複数の副マニホールド(21)は、前記複数のノズル(22)のグループの各々に前記溶融プラスチック材料の流れを供給するともに、前記リアプレート(10)の前記空気チャネル(18)に連通し、さらに、前記副マニホールド(21)は、前記リアプレート(10)に向けて開口する前記マニホールドプレート(20)の凹部(28)内に収容され、
前記複数のノズルのグループの各々の、前記複数のノズル(22)の各々において、前記バルブステム(25)は、前記ノズル(22)のグループの各々に供給するための前記副マニホールド(21)を、当該バルブステム(25)の少なくとも一部が貫くことにより、前記ノズル(22)を通じた前記溶融プラスチック材料の流れを制御し、
各々のバルブステム(25)に対して、前記アクチュエータは、ピストンシリンダ(26)と、前記ピストンシリンダ(26)の内部において気密に摺動可能で、かつ、前記複数のノズル(22)の各々を開閉させるために前記バルブステム(25)に接続されたピストン(27)とを有し、
前記リアプレート(10)の前記第1の面(19)が、前記マニホールドプレート(20)の前記凹部(28)に影響を受けない前記マニホールドプレート(20)の前記第1の面(29)の平坦面の全面において、前記マニホールドプレート(20)の前記第1の面(29)に直接的に接触するとともに、前記アクチュエータ(26,27)が、前記リアプレート(10)の完全に外部であってかつ前記マニホールドプレート(20)の前記凹部(28)の完全に内部にあり、さらに、複数の前記ピストンシリンダ(26)の各々が、前記リアプレート(10)の前記第1の面(19)と、前記アクチュエータの複数の前記バルブステム(25)の各々に交差するとともに前記リアプレート(10)の前記空気チャネル(18)の少なくとも1つに連通する前記副マニホールド(21)と、の間において、これらによって挟み込まれるように配置される、ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記リアプレート(10)が、当該リアプレート(10)の前記第1の面(19)とは反対側に位置する第2の面に設けられるとともに前記ホットランナーを具備する前記主マニホールドが収容された凹部(14)を有し、前記凹部(14)が、前記主マニホールド(11)から前記副マニホールド(21)への前記溶融プラスチック材料の流れの通過のための開口部(16)が交差するベース(15)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リアプレート(10)の前記凹部(14)の前記ベース(15)が、前記空気チャネル(18)に少なくとも部分的に交差する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記空気チャネル(18)が、前記リアプレート(10)の前記第1の面(19)上であってかつ前記凹部(14)の前記ベース(15)において引き出される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
数の前記ピストンシリンダ(26)のうちの幾つかが、前記リアプレート(10)の前記凹部(14)の前記ベース(15)において、前記リアプレート(10)の前記第1の面(19)と、前記複数の副マニホールド(21)の各々と、の間において、これらによって挟み込まれる、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記凹部(14)が、前記リアプレート(10)の前記第2の面上に固定されるとともに前記溶融プラスチック材料の流れのための主導入口(12)に交差するカバー(30)によって閉鎖される、請求項2から5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットランナーを具備した射出成形装置に関し、特に、ブロー成形によって容器やボトルが得られるプリフォームを製造するための射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2011/161590号は、複動式の空気圧リニアアクチュエータによって作動されるバルブステムによって閉鎖される少なくとも1つの射出ノズルを有する、ホットランナーを具備した副マニホールドを備えたホットランナー射出システムを開示する。アクチュエータのピストンシリンダは、リアプレート(支持プレートとしても知られる)と、副マニホールドと、の間において、これらによって挟み込まれる。そのために、この従来の解決法のピストンシリンダは、リアプレートの内部に設けられた座部の中に収容される。上記ピストンシリンダの座部が設けられたリアプレートの同じ側の面には、追加の凹部が存在しており、当該追加の凹部は、副マニホールドと直接的に締結された、ホットランナーを具備した主マニホールドを収容する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この既知の解決法の1つの欠点は、ノズルの開閉のためのアクチュエータの各々と、主マニホールドと、のための複数の円筒形の座部を、リアプレートの一方の面に設けることが必要になるため、当該リアプレートの製造が複雑化することにある。
【0004】
また、ノズルアクチュエータの座部が設けられたリアプレートの同じ側の面に主マニホールドの凹部が設けられるため、当該アクチュエータの座部を主マニホールドが固定されるリアプレートの凹部の周囲に配置する必要がある。
【0005】
本発明の狙いは、上記背景技術を上述した1つまたはそれ以上の局面において改善し得る射出成形装置を提供することにある。
【0006】
この狙いの範囲内において、本発明の目的は、リアプレートまたは支持プレートの構造および製造を簡略化させることにある。
【0007】
本発明のさらなる目的は、既存の解決法に代わる手法にて背景技術の欠点を克服することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、信頼性が高く、比較的容易にかつ競合し得るコストにて提供が可能な射出成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この狙いならびに以下においてより明らかになるこれらおよびその他の目的は、請求項1に記載の、または、従属請求項の1つまたはそれ以上の特徴を任意に備える射出成形装置によって達成される。
【0010】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面において非限定的な例として示される、本発明に係る射出成形装置の好ましいが非排他的な実施の形態の説明に基づいて、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る装置のノズル側から見た立面図である。
図2図1の一続きの面II-IIに順に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図に示すように、概して参照符号1において示される本発明に係るプラスチック材料の射出成形用の装置は、ホットランナーを具備するタイプのものであり、ホットランナーを具備する少なくとも1つの主マニホールド11を支持するリアプレート10と、リアプレート10に固定されるとともに、ホットランナーを具備する複数の副マニホールド21を支持するマニホールドプレート20とを備える。
【0013】
リアプレート10は、当該リアプレート10の第1の平坦面19に少なくとも部分的に連通するとともに後述する複数のアクチュエータの各々を作動させるために空気または他の流体を第1の面19からおよび第1の面19に向けて運ぶ複数の空気チャネル18に交差する。
【0014】
また、リアプレート10は、空気チャネル18と少なくとも部分的に一致し得る冷却チャネルに交差し得る。
【0015】
主マニホールド11は、たとえばPETのような溶融プラスチック材料の流れを受け入れるための主導入口12と、副マニホールド21に向けて上記流れを運ぶために、上記導入口から分岐する複数の主ホットランナー13とを有する。たとえば、複数の主ホットランナー13の各々は、リアプレート10を通過するとともに、副ホットランナー24がそこから延びる複数の副マニホールド21の各々の入口23に当該主ホットランナー13を接続する各ブッシング17に接続される。
【0016】
副マニホールド21は、装置1の組立て時において、その第1の面29においてマニホールドプレート20の中に副マニホールド21を挿入可能となる長さをもってリアプレート10に向けて開口する、マニホールドプレート20の第1の平坦面29に設けられた凹部28に収容される。
【0017】
リアプレート10の第1の面19は、副マニホールド21の凹部28に影響を受けないマニホールドプレート20の第1の面29の平坦面のほぼ全面において、マニホールドプレート20の第1の面29に直接的に接触している。
【0018】
また、マニホールドプレート20は、複数のキャビティの各々に溶融プラスチック材料の流れを射出するように構成された複数のノズル22を有している。ここで、キャビティは、個別のブロー成形ステーションにおいて後において得られるボトルのプリフォームに対応した形状とすることができる。
【0019】
副マニホールド21は、溶融プラスチック材料の流れを、主マニホールド11の主ホットランナー13に連通する副ホットランナー24を通じて、複数のノズル22の各々のグループ(たとえば図1に示すように6個または8個あるいは10個のノズルのグループ)に供給する。
【0020】
これら複数のノズルのグループの各々の1つのノズル22には、各々のノズル22を通過する溶融プラスチック材料の流れをそれ自体周知の方法で制御するためのバルブステム25がある。バルブステム25の少なくとも一部は、複数のノズル22のグループの各々に供給する副マニホールド21を貫く。
【0021】
アクチュエータは、複数のバルブステム25の各々に関連付けられており、空気チャネル18を流れる空気またはその他の作動流体によって作動させられ得る。アクチュエータは、ピストンシリンダ26と、ピストンシリンダ26の内部において気密に摺動可能で、かつ、複数のノズル22の各々を開閉させるためにバルブステム25に接続されたピストン27とを有している。
【0022】
本発明のある局面によれば、アクチュエータ、特にピストンシリンダ26およびピストン27は、リアプレート10の完全に外部にある。すなわち、これらは、一部においても、リアプレート10の内部に収容されていない。このことが、リアプレート10の製造を大幅に簡略化する。
【0023】
代わりに、アクチュエータは、複数の凹部28の各々にこれら複数のアクチュエータが全体として収容されるように、マニホールドプレート20の凹部28の内部に完全に収容されている。ここで、これらアクチュエータは、当該凹部28の副マニホールド21に関連付けられたノズルの開閉に適合している。
【0024】
さらに、アクチュエータは、各ピストンシリンダ26が、リアプレート10の第1の面19と、アクチュエータに関連付けられた各バルブステム25と交差する副マニホールド21と、の間において、これらによって挟み込まれるように配置される。ここで、各ピストンシリンダ26は、空気チャネル18によって運ばれる空気またはその他の作動流体によって対応するピストン27が移動され得るように、第1の面19を介してリアプレート10の複数の空気チャネル18の少なくとも1つに連通している。
【0025】
好ましくは、ピストンシリンダ26は、リアプレート10の第1の面19上に引き出された2つの開口部によって空気チャネル18に連通する:一方は、ピストン27をステム25の閉鎖位置に向けて移動させ、他方は、ピストン27をステム25の開放位置に向けて移動させる。この複動動作を得るように適合されたピストンシリンダ26の内部構造、副マニホールド21におけるバルブステム25の案内、および、マニホールドプレート20上におけるノズル22の支持は、それ自体公知であり、たとえば国際公開第2011/161590号に記載される。
【0026】
好ましくは、リアプレート10は、主マニホールド11を収容するために、プレート10の第1の面19とは反対側に位置する第2の面に設けられた凹部14を有する。
【0027】
好ましくは、主マニホールド11を凹部14内にて支持するために、後者は、リアプレート10の第2の面上に固定されるとともに溶融プラスチック材料の流れの主導入口12と交差するカバー30によって閉鎖される。
【0028】
凹部14は、リアプレート10に一体化されたベース15を有し、その外表面は、リアプレート10の第1の面19の一部である。
【0029】
凹部14のベース15は、主マニホールド11から副マニホールド21への溶融プラスチック材料の流れの通過のための開口部16に交差する。特に、これら複数の開口部16は、主ホットランナー13を副マニホールド21の各々の入口23に接続するための複数のブッシング17に交差する。
【0030】
より有利には、リアプレート10の凹部14のベース15は、上述の空気チャネル18に少なくとも部分的に交差し、より好ましくは、ベース15において第1の面19上に引き出される。
【0031】
このようにして、リアプレート10の凹部14のベース15のみが介在した状態で主マニホールド11と副マニホールド21の幾つかのアクチュエータとが部分的に重ね合わされることとなるように、複数のピストンシリンダ16のうちの幾つかが、凹部14のベース15において、リアプレート10の第1の面19と、複数の副マニホールド21の各々と、の間において、これらによって挟み込まれる。
【0032】
射出成形装置の動作は、上述した説明から明らかなように、本発明の一部ではない。複数のアクチュエータの各々は、適切な空気圧または油圧制御により、空気チャネル18によって作動させられ、対応する射出ノズル22が開閉されるように対応するバルブステム25が移動する。複数のピストンシリンダ26の各々および複数のノズル22の各々は、有利にもリアプレート10とマニホールドプレート20との間において圧縮荷重を受けるため、アクチュエータの空気またはその他の作動流体の漏出ならびに射出される溶融プラスチック材料の漏出を回避することができる。
【0033】
実際のところ、本発明により、製造が複雑でない射出成形装置のプレート構造の提供という、意図された狙いおよび目的が達成されることが見出された。
【0034】
このように、想定される本発明は、様々な修正や変形が可能であり、それらのすべては、添付の特許請求の範囲に含まれる;さらに、すべての細部については、他の技術的に同等の要素によって置換され得る。
【0035】
実際には、使用される材料や定まっていない形状および寸法は、それらが特定の使用と矛盾がない限り、要求や最新の技術に応じて任意になり得るものである。
図1
図2