(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ドローンによる地中漏水検知システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/02 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
G01M3/02 M
(21)【出願番号】P 2020086734
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】398041041
【氏名又は名称】三幸工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】上田 憲
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512558(JP,A)
【文献】特開2017-078575(JP,A)
【文献】特開平11-259656(JP,A)
【文献】特開2016-053250(JP,A)
【文献】特開2005-283383(JP,A)
【文献】特表2007-515621(JP,A)
【文献】米国特許第05742053(US,A)
【文献】特開2009-014532(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03367083(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0263852(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00-3/40
G01N 25/00-25/72
G01N 21/84-21/958
G08B 19/00-21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路又はその各部分、及び道路に沿うように道路地下に埋設された地中水道管又はその各部分に関する情報であって、前記道路及び地中水道管の各部分に対応する各位置座標データを含む情報を記録する道路及び地中水道管情報記録部と、
地中水道管が埋設された道路の1~30m上方を前記道路及び地中水道管が延びる方向に沿って無人で飛行、移動するドローンと、
前記ドローンに搭載されており、前記道路及び地中水道管に沿って飛行しながら、順次、前記道路の各部分に対応する各赤外線画像をそれぞれ取得する赤外線画像取得部と、
前記ドローンの飛行中の各時点における飛行位置を示す各位置座標データを、前記ドローンに搭載されたGPS受信機により受信された前記飛行中の各時点における人工衛星からの信号に基づいて、順次、取得する飛行位置情報取得部と、
前記赤外線画像取得部及び前記飛行位置情報取得部からの各情報に基づいて、前記道路の各部分に対応する各赤外線画像と前記赤外線画像の各取得時点における前記ドローンの各飛行位置を示す位置座標データとを互いに関連付けて記録する赤外線及び飛行位置情報記録部と、
(a)前記道路及び地中水道管に沿って前記道路から1~30mだけ上方を飛行するドローン側に搭載された赤外線画像取得部が、前記飛行中に、前記道路の各部分ごとに別々に順次、取得した、前記道路の各部分にそれぞれ対応する各赤外線画像であって、前記赤外線及び飛行位置情報記録部に記録されている各赤外線画像と、(b)前記各赤外線画像が取得されたときの前記ドローンの各飛行位置を示す各位置座標データであって、前記赤外線及び飛行位置情報記録部に記録されている各位置座標データと、(c)前記道路及び地中水道管の各部分に対応する各位置座標データであって、前記道路及び地中水道管情報記録部に記録されている各位置座標データとに基づいて、前記道路又は地中水道管の各部分に対応する温度情報を取得する地中水道管温度情報取得部と、
前記地中水道管温度情報取得部からの前記道路又は地中水道管の各部分に対応する温度情報に基づいて、前記地中水道管の各部分の漏水可能性に関する情報を検知、判定又は取得する地中漏水情報取得部と、
を備えたことを特徴とするドローンによる地中漏水検知システム。
【請求項2】
前記道路及び地中水道管情報記録部に記録された情報を含む地図情報を画面に表示する地図表示部と、
前記地中漏水情報取得部からの地中漏水情報に基づいて、前記地図情報を表示した画面上で、前記漏水の可能性がある地中水道管又はその部分を所定の色で着色するなど他の部分と異なる態様で表示するか、又は前記漏水の蓋然性の高さの程度を示す複数の段階に対応させて前記地中水道管又はその部分を色別表示する表示制御部と、
を備えた請求項1に記載のドローンによる地中漏水検知システム。
【請求項3】
前記道路及び地中水道管情報記録部は、地中水道管又はその各部分の位置情報と、地中水道管又はその各部分の設置からの経過年数又は劣化度合(設置からの経過年数から推定される劣化度合を含む)を示す水道管劣化情報とを互いに関連付けて記録するものであり、
前記地中漏水情報取得部は、前記道路及び地中水道管情報記録部からの前記水道管劣化情報と、前記地中水道管温度情報取得部からの前記道路又は地中水道管の各部分に関する温度情報とに基づいて、前記地中水道管の各部分の漏水可能性に関する地中漏水情報を検知、判定又は取得するものである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のドローンによる地中漏水検知システム。
【請求項4】
地中水道管が埋設された道路の1~30m上方を前記道路及び地中水道管が延びる方向に沿って無人で飛行、移動するドローンを備えた地中漏水検知システムを使用する地中漏水検知方法であって、
道路又はその各部分、及び道路に沿うように道路地下に埋設された地中水道管又はその各部分に関する情報であって、前記道路及び地中水道管の各部分に対応する各位置座標データを含む情報を記録する道路及び地中水道管情報記録ステップと、
前記ドローンに搭載されており、前記道路及び地中水道管に沿って飛行しながら、順次、前記道路の各部分に対応する各赤外線画像をそれぞれ取得する赤外線画像取得ステップと、
前記ドローンの飛行中の各時点における飛行位置を示す各位置座標データを、前記ドローンに搭載されたGPS受信機により受信された前記飛行中の各時点における人工衛星からの信号に基づいて、順次、取得する飛行位置情報取得ステップと、
前記赤外線画像取得部及び前記飛行位置情報取得部からの各情報に基づいて、前記道路の各部分に対応する各赤外線画像と前記赤外線画像の各取得時点における前記ドローンの各飛行位置を示す位置座標データとを互いに関連付けて記録する赤外線及び飛行位置情報記録ステップと、
(a)前記道路及び地中水道管に沿って前記道路から1~30mだけ上方を飛行するドローン側に搭載された赤外線画像取得部が、前記飛行中に、前記道路の各部分ごとに別々に順次、取得した、前記道路の各部分にそれぞれ対応する各赤外線画像であって、前記赤外線及び飛行位置情報記録部に記録されている各赤外線画像と、(b)前記各赤外線画像が取得されたときの前記ドローンの各飛行位置を示す各位置座標データであって、前記赤外線及び飛行位置情報記録部に記録されている各位置座標データと、(c)前記道路及び地中水道管の各部分に対応する各位置座標データであって、前記道路及び地中水道管情報記録部に記録されている各位置座標データとに基づいて、前記道路又は地中水道管の各部分に対応する温度情報を取得する地中水道管温度情報取得ステップと、
前記地中水道管温度情報取得部からの前記道路又は地中水道管の各部分に対応する温度情報に基づいて、前記地中水道管の各部分の漏水可能性に関する情報を検知、判定又は取得する地中漏水情報取得ステップと、
を含むことを特徴とするドローンによる地中漏水検知方法。
【請求項5】
前記赤外線画像取得ステップは、気温が15℃以下である場合又は気温が25℃以上である場合には、午後11時から午前5時までの夜間又は明け方において行うものである、請求項4に記載のドローンによる地中漏水検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された水道管の漏水を地上側から認識、調査、判定、検知等するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地中に埋設された水道管の漏水を地上側から検知等する方法として、地上から地中に向けて超音波パルスを発信して反射して帰ってくる音波の様子から漏水箇所を推測、検出する方法(特許文献1参照)、地上から地中に交流電圧を印加してこの交流電圧により地中に流れる電流の大きさを計測して漏水箇所を推測、検出する方法(特許文献2参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-61763号公報
【文献】特開2000-258280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2などで提案されていた従来の地中水道管の漏水を地上側から判定、検知等する方法は、いずれも、作業員が所定の装置又は機器を地上で動かしつつ又は運搬しつつ一部手動の操作を交えながら超音波パルスの発信及び反射パルスの検出、又は交流電圧の印加及び電流検出などを行う必要があり、しかもその一回の操作及び検出で漏水調査できる範囲はせいぜい半径数十cm又は数mの狭い範囲に止まり、広域のエリアにおいて縦横になど複雑に埋設されている長距離の水道管の漏水を調査する方法としては極めて効率が悪いものであった。
【0005】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目して為されたものであって、広域のエリアにおいて長距離に渡り縦横に且つ複雑に埋設されている地中水道管の漏水を地上側から極めて効率的にかつ網羅的に認識、調査、監視、検知等することができる、ドローンによる地中漏水検知システム及び方法を提供することを目的とする。また本発明は、例えば水道事業者が端末の画面上の地図を閲覧するだけで直ちに地中で漏水している若しくはその可能性(蓋然性)がある水道管又はその一部及びそれらの位置を知り当該地中漏水部分の保守、点検又は補修等の作業に迅速に着手することができるようにする、ドローンによる地中漏水検知システム及び方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような課題を解決するための本発明によるドローンによる地中漏水検知システムは、道路などの情報を含む地図情報(地中水道管の情報を含んでいてもよい)を記録する地図情報記録部と、地中水道管(地中水道管の一部を含む。以下同じ)に関する情報であってその位置情報を含む情報を記録する水道管情報記録部と、地中水道管の上方の空中を無人で飛行するドローンと、前記ドローンの飛行位置又は飛行経路を示す飛行位置情報を取得する飛行位置取得部と、前記ドローンに搭載され、前記ドローンの飛行中に地上の赤外線画像を取得する赤外線画像取得部と、前記赤外線画像取得部からの赤外線画像を当該赤外線画像の取得時における前記ドローンの飛行位置と関連付けて記録する赤外線画像記録部と、前記飛行位置取得部からの飛行位置情報に基づいて、前記赤外線画像取得部が取得した赤外線画像に対応する地上対象部分又はその地中に存在する地中水道管の位置を示す対象位置情報を取得する対象位置取得部と、前記水道管情報記録部に記録された水道管の位置情報、前記対象位置取得部からの対象位置情報、及び前記赤外線画像記録部に記録された赤外線画像に基づいて、前記対象位置に対応する地中水道管又はその近傍に対応する地上温度分布情報を取得する地上温度分布取得部と、前記地上温度分布取得部により取得された、前記対象位置に対応する地中水道管又はその近傍に対応する地上温度分布情報と、前記地図情報記録部からの地図情報等とに基づいて、漏水している蓋然性(可能性)のある地中水道管に関する地中漏水情報(位置情報を含む)を検知、判定又は取得する地中漏水情報取得部とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明によるドローンによる地中漏水検知システムは、前記地図情報記録部からの地図情報を画面に表示する地図表示部と、前記地図情報記録部からの地図情報と前記地中漏水情報取得部からの地中漏水情報とに基づいて、地図画面上で、漏水した又はその蓋然性(可能性)がある地中水道管又はその近傍を、所定の色で着色するなど他の部分と異なる態様で表示するための表示制御情報を取得する表示制御情報取得部とを備えていてもよい。
【0008】
また、本発明によるドローンによる地中漏水検知システムにおいて、前記水道管情報記録部は、地中水道管(地中水道管の一部を含む。以下同じ)又はその位置情報と、地中水道管に関してその設置からの経過年数又は劣化度合(設置からの経過年数から推定される劣化度合を含む)を示す水道管劣化情報とを互いに関連付けて記録するものであり、前記地中漏水情報取得部は、前記地上温度分布取得部により取得された前記対象位置に対応する地中水道管又はその近傍に対応する地上温度分布情報と、前記水道管情報記録部に記録されている水道管劣化情報であって前記対象位置に対応する地中水道管の水道管劣化情報とに基づいて、漏水している蓋然性(可能性)のある地中水道管及びそれらの位置に関する地中漏水情報(位置情報を含む)を検知、判定又は取得するものであってもよい。
【0009】
また、本発明によるドローンによる地中漏水検知システムにおいて、前記水道管情報記録部は、地中水道管(地中水道管の一部を含む。以下同じ)の位置情報と、地中の水道管に関してその設置からの経過年数を主要素として求められる複数段階の劣化度合を示す水道管劣化情報とを互いに関連付けて記録するものであり、前記地中漏水情報取得部は、前記地上温度分布取得部により取得された前記対象位置に対応する地中水道管又はその近傍に対応する地上温度分布情報と、前記水道管情報記録部に記録された水道管劣化情報であって前記対象位置に対応する各地中水道管の複数段階の劣化度合を示す水道管劣化情報とに基づいて、地中水道管に関して、それが漏水している蓋然性の高さの程度を複数の段階で示す地中漏水情報を、検知、判定又は取得するものであり、前記表示制御情報取得部は、前記地図情報記録部からの地図情報と前記地中漏水情報取得部からの地中漏水情報とに基づいて、地図画面上で、地中水道管又はその近傍を、前記漏水している蓋然性の高さの程度を示す複数の段階に対応させて色別表示するための表示制御情報を取得するものであってもよい。
【0010】
また、本発明によるドローンによる地中漏水検知システムにおいて、前記水道管情報記録部は、地中水道管(地中水道管の一部を含む。以下同じ)の位置情報と、地中水道管に関してその設置からの経過年数を主要素として求められる複数段階の劣化度合を示す水道管劣化情報とを互いに関連付けて記録するものであり、前記地上温度分布取得部は、前記水道管情報記録部に記録された地中水道管の位置情報、前記対象位置取得部からの対象位置情報、及び前記赤外線画像記録部に記録された赤外線画像に基づいて、前記対象位置に対応する各地中水道管又はその近傍の領域に関して、それらの周辺領域に対する該当領域の地上温度の違いの度合を複数の段階で(例えば各段階毎に互いに異なる色に区別して)示す地上温度分布情報を取得するものであり、前記地中漏水情報取得部は、前記地上温度分布取得部により取得された温度分布情報であって前記対象位置に対応する各地中水道管又はその近傍の領域に関して前記周辺領域に対する地上温度の違いの度合を複数の段階で(例えば各段階毎に互いに異なる色に区別して)示す地上温度分布情報と、前記水道管情報記録部に記録された水道管劣化情報であって前記地中水道管に関してその設置からの経過年数を主要素として求められる複数段階の劣化度合を示す水道管劣化情報とに基づいて、地中水道管に関して、それが漏水している蓋然性(可能性)の高さの程度を複数の段階で(例えば各段階毎に互いに異なる色に区別して)示す地中漏水情報(位置情報を含む)を、検知、判定又は取得するものであり、前記表示制御情報取得部は、前記地図情報記録部からの地図情報と前記地中漏水情報取得部からの地中漏水情報とに基づいて、地図画面上で、地中水道管又はその近傍を、前記漏水している蓋然性(可能性)の高さの程度を示す複数の段階に対応させて(例えば各段階毎に互いに異なる色に区別して)色別表示するための表示制御情報を取得するものであってもよい。
【0011】
また、本発明によるドローンによる地中漏水検知方法は、1つ又は複数のコンピュータを含むシステムにより実現されるドローンによる地中漏水検知方法であって、水道管位置記録部により、地中水道管(地中水道管の一部を含む。以下同じ)の位置情報と地中水道管に関してその設置からの経過年数又は劣化度を示す水道管劣化情報とを互いに関連付けて記録しておくと共に、道路及びその地中水道管などの情報を含む地図情報を記録しておく記録ステップと、地中水道管の上方の空中を飛行するドローンであって、位置情報取得部及び赤外線画像取得部を搭載したドローンを飛行させながら道路を含む地上の赤外線画像を取得すると共に、当該赤外線画像を前記赤外線画像が取得された時点における前記ドローンの飛行位置と関連付けて記録する赤外線画像取得及び記録ステップと、前記ドローンの飛行位置情報に基づいて、前記赤外線画像取得及び記録ステップにおいて取得及び記録された赤外線画像に対応する地中水道管の位置を示す対象位置情報を取得する対象位置取得ステップと、前記赤外線画像取得及び記録ステップにおいて記録された赤外線画像と、前記対象位置取得ステップにおいて取得された対象位置情報とに基づいて、前記対象位置に対応する地中水道管又はその近傍に対応する地上温度分布情報を取得する地上温度分布取得ステップと、前記地上温度分布取得ステップにおいて取得された、前記対象位置に対応する地中水道管又はその近傍に対応する地上温度分布情報と、前記記録ステップで記録された地図情報とに基づいて、漏水している蓋然性(可能性)のある地中水道管に関する地中漏水情報(位置情報を含む)を検知、判定又は取得する地中漏水検知ステップと、前記記録ステップで記録された地図情報と、前記地中漏水検知ステップで検知、判定又は取得された地中漏水情報とに基づいて、地図画面上で、漏水した又はその蓋然性(可能性)がある地中水道管又はその近傍を、所定の色で着色するなど他の部分と異なる態様で表示するための表示制御情報を取得する表示制御情報取得ステップとを含むことを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明によるドローンによる地中漏水検知方法において、前記画像取得ステップは、例えば、冬季などの気温が15℃以下又は夏季などの気温が25℃以上である場合に、午後11時から午前5時までの範囲内の夜間又は明け方において行うものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、地中水道管に関してその設置からの経過年数又は劣化度を示す水道管劣化情報をその位置情報と関連付けて記録しておき、赤外線画像取得部(赤外線カメラなど)を搭載したドローンを飛行させる(例えば、道路などに沿って地上約1-30m、又は地上約2m-20m、より望ましくは地上約3m-10mの高度で飛行させる)ことにより道路を含む地上の赤外線画像を取得すると共に、これを前記赤外線画像の取得時における前記ドローンの飛行位置又は飛行経路を示す飛行位置情報と関連付けて記録し、前記取得された赤外線画像及び前記取得された対象位置情報に基づいて、前記地中水道管又はその近傍に対応する地上温度分布情報を取得し、その後、前記取得された、前記対象位置に対応する地中水道管又はその近傍に対応する地上温度分布情報、及び前記記録又は取得された地中水道管の位置情報又は対象位置情報等から、漏水している蓋然性のある地中水道管(その一部を含む)に関する地中漏水情報(位置情報を含む)を検知、判定又は取得するようにした。よって、本発明によれば、前記地上温度分布情報に基づき、漏水している蓋然性のある地中水道管に関する情報を、広域のエリアにおいて長距離に渡り縦横に且つ複雑に埋設されている地中水道管の漏水を地上側から極めて効率的にかつ網羅的に検出、調査、監視、検知することができる。したがって、本発明によれば、水道事業者などのユーザーは、前記地図画面を閲覧するだけで直ちに地中で漏水しているか又はその蓋然性(可能性)がある地中水道管又はその漏水部分及びその位置を知り、当該地中漏水部分の保守、点検又は補修等の作業に迅速に着手することができるようになる。
【0014】
また、本発明において、前記地中漏水情報取得部からの地中漏水情報と地図情報とに基づいて、地図画面上で、漏水した又はその蓋然性(可能性)がある地中水道管又はその近傍を所定の色で着色するなど他の部分と異なる態様で表示するようにしたときは、水道事業者などのユーザーは、画面上に広域に地図を表示させながら同時に漏水した又はその蓋然性(可能性)がある地中水道管又はその近傍を容易かつ直感的に知ることができるので、道路下の水道管の保守点検作業を大幅に効率化できるようになる。
【0015】
また、本発明において、予め地中水道管に関してその設置からの経過年数又は劣化度合(設置からの経過年数から推定される劣化度合を含む)を示す水道管劣化情報を地中水道管の位置情報と関連付けて記録しておき、前記地上温度分布取得部により取得された前記対象位置に対応する地中水道管又はその近傍に対応する地上温度分布情報と前記対象位置に対応する地中水道管の水道管劣化情報とに基づいて、漏水している蓋然性(可能性)がある地中水道管及びその位置に関する地中漏水情報(位置情報を含む)を検知、判定又は取得するようにしたときは、例えば水道事業者などのユーザーは、個々の地中水道管について、前記地上温度分布情報だけでなく前記地中水道管の設置からの経過年数又は劣化度合をも加味した地中漏水情報であって、当該各地中水道管の漏水の蓋然性(可能性)の程度が複数の段階中のどの段階の蓋然性等の程度なのかについても、容易に知ることができるようになる。
【0016】
また、本発明ににおいて、予め、地中水道管に関してその設置からの経過年数を主要素として求められる複数段階の劣化度合を示す水道管劣化情報を地中水道管の位置情報と関連付けて記録しておき、前記対象位置に対応する地中水道管又はその近傍に対応する地上温度分布情報だけでなく、前記対象位置に対応する各地中水道管の複数段階の劣化度合を示す水道管劣化情報にも基づいて、地中水道管に関して、それが漏水している蓋然性(可能性)の高さの程度を複数の段階で示す地中漏水情報を、検知、判定又は取得し、地図画面上で、地中水道管又はその近傍を、前記検知等された、漏水の蓋然性(可能性)の高さの程度を示す複数の段階に対応させて色別表示するようにしたときは、水道事業者などのユーザーは、広域の地図(地中水道管を含む)を画面に表示させて前記地図画面上の各地中水道管又はその一部の色別け表示状態を見るだけで、前記地図画面上の各地中水道管又はその一部についてその漏水の蓋然性(可能性)の高さの各程度を、容易にかつ直感的に認識し、それを地中水道管の保守又は補修などに生かすことができるようになる。
【0017】
また、本発明において、予め地中水道管に関してその設置からの経過年数を主要素として求められる複数段階の劣化度合を示す水道管劣化情報を地中水道管の位置情報と関連付けて記録しておき、前記設置からの経過年数を主要素として求められる複数段階の劣化度合を示す水道管劣化情報と、前記対象位置に対応する各地中水道管又はその近傍の領域の周辺領域に対する地上温度の違いの度合を複数の段階で示す温度分布情報とに基づいて、地中水道管に関して、それが漏水している蓋然性(可能性)の高さの程度を複数の段階で示す地中漏水情報(位置情報を含む)を検知、判定又は取得し、この検知等した地中漏水情報に基づいて、地図画面上で、地中水道管又はその近傍を、前記漏水している蓋然性(可能性)の高さの程度を示す複数の段階に対応させて色別表示するようにしたときは、水道事業者は、広域の地図情報(地中水道管の情報を含む)を画面に表示させて前記地図画面上の各地中水道管又はその一部の色別け表示状態を見るだけで、前記地図画面上の各地中水道管についてその漏水の蓋然性(可能性)の高さの各程度を、容易にかつ直感的にきめ細かく認識できるようになる。
【0018】
さらに、本発明において、前記の赤外線画像取得部(赤外線カメラなど)を搭載したドローンを飛行させて道路を含む地上の赤外線画像を取得する動作又はステップを、冬季などの気温が15℃以下又は夏季などの気温が25℃以上であり且つ午後11時から午前5時までの範囲内の夜間又は明け方においてのみ行うようにしたときは、地中水道管から漏水した水道水と地上(地表)側との温度差が前記赤外線画像中で際立って大きく表されるようになるため、地中水道管が地上から例えば数m以上の深い地中に埋設されている場合であっても、ある程度正確に誤差なく、地上に表出した温度分布を前記赤外線画像で読み取って地中で漏水している又はその蓋然性(可能性)がある水道管(当然その一部を含む)及びその位置を推測、判定又は検知できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態によるドローンによる地中漏水検知システムの構成を示す概念ブロック図である。
【
図2】本実施形態によるドローンによる地中漏水検知システムの動作の一例を示す概略図である。
【
図3】本実施形態によるドローンによる地中漏水検知システムの動作の一例を示す概略図である。
【
図4】本実施形態によるドローンによる地中漏水検知システムの動作の他の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態によるドローンによる地中漏水検知システムの構成を示す概念ブロック図である。
図1において、1はドローン、2はドローン1に搭載された赤外線カメラ、3はドローンに搭載されたGPS受信機、4は前記赤外線カメラ2からの赤外線画像を前記GPS受信機3により取得された飛行中の位置座標データ(前記赤外線画像が取得された時点におけるドローン1の飛行位置データ)と関連付けて記録する赤外線画像記録部、5は外部との間でデータを無線等で送受信する送受信部である。
【0021】
また、
図1において、11は携帯電話網(移動体通信網)及び/又はインターネット網などの通信ネットワークに接続されたサーバー、12は前記ドローン1側の送受信部5との間で様々なデータを無線回線等を介してやり取りする前記サーバー11側の送受信部、13は、前記サーバー11側に備えられた、広域地図及び地中水道管に関する情報(各地中水道管の位置情報、各地中水道管の各設置時期からの経過年数、及び当該経過年数等に基づいて推定される各地中水道管の劣化情報などを含む)を記録しておく地図及び水道管データベースである。なお、前記地図及び水道管データベース13に記録される前記地中水道管に関する情報中の前記当該経過年数等に基づいて推定される各地中水道管の劣化情報は、前記経過年数の長さの程度等に基づいて決められる複数の段階(複数ランク)の劣化度合いの情報を含む。
【0022】
また
図1において、14は、前記ドローン1側から送信された赤外線画像に紐付けられた当該画像取得時におけるドローン1の飛行位置データと前記地図及び水道管データベース13からの情報(特に各地中水道管の位置情報)とに基づいて、前記各赤外線画像が撮像された地表(地上)の地中にある地中水道管(各赤外線画像に対応する各対象となる各地中水道管)の位置データを取得する対象位置取得部である。
【0023】
また
図1において、15は、前記ドローン1側から送信された各赤外線画像の情報(ドローン1の飛行位置データと関連付けられた地表温度データに相当する情報)と、対象位置取得部14からの前記各赤外線画像に対応する地中水道管の位置データと、前記地図及び水道管データベース13からの地図データとに基づいて、広域地図上における前記各赤外線画像から分かる地表(地上)温度を示す地表温度分布情報(各地中水道管の上方の地表温度を示す情報。周辺地域の地表温度と比較してどの程度温度が違うかを複数段階で、例えば互いに異なる複数の色で区別して、示すための情報を含む)を取得する地表温度分布取得部である。
【0024】
また
図1において、16は、前記地表温度分布取得部15からの地表温度分布情報と前記地図及び水道管データベース13からの各地中水道管の劣化情報(推定・予想される劣化度合いを複数の段階で区別して示す劣化情報)とに基づいて、多数の各地中水道管毎の漏水蓋然性(可能性)の程度(複数段階の情報)及びその位置情報を取得する地中漏水情報取得部である。なお、前記地中漏水情報取得部16が取得する地中漏水情報は、前記地表温度分布に応じて複数段階に分けられた他の周辺地域と比較して地表温度が相違する大きさの度合いと、前記各地中水道管の設置からの経過年数の大きさの程度等に応じて複数段階に分けられた各地中水道管の劣化度合いとに基づいて求められる、各地中水道管毎の漏水蓋然性の高さの程度を複数段階に分けて、例えば各段階毎に互いに異なる複数の色で区別して、示す情報及びその位置情報である。
【0025】
また
図1において、17は、前記地中漏水情報取得部16からの地中漏水情報(各地中水道管毎の漏水蓋然性の高さの程度を複数段階に分けて、例えば各段階毎に互いに異なる複数の色で区別して、示す情報及びその位置情報)と、前記地図及び水道管データベース13からの広域地図データとに基づいて、広域地図上で前記漏水蓋然性の高い地中水道管を、漏水蓋然性の複数段階の程度に応じて、他の地中水道管と区別して色別表示するための地図漏水色別情報を取得する地図漏水色別情報取得部である。なお、前記地図漏水色別情報取得部17が取得する地図漏水色別情報は、前記地中漏水情報(各地中水道管毎の漏水蓋然性の高さの程度を複数段階に分けて示す情報及びその位置情報)と前記地図データとに基づいて取得される、各地中水道管(当該地中水道管中の一部分を含む)の複数段階における漏水蓋然性の高さの程度・度合いに応じて、地図画面上で各地中水道管又はその近傍(周辺)を、前記各段階毎に、互いに異なる複数の色で色別表示するための情報(表示制御情報を含む)である。
【0026】
また、
図1において、21は、水道事業者(本実施形態に係る地中漏水検知システムのユーザーの一例としての水道事業者)側に置かれたパソコン等の端末であって、前記地図漏水色別情報取得部17からの地図漏水色別情報取を受信して、ディスプレイの画面上に、漏水蓋然性の高い地中水道管を、各地中水道管毎の漏水蓋然性の高さの程度を示す複数段階に応じて、他の地中水道管と区別して色別表示した地図画像を表示するようにした事業者側端末である。
【0027】
次に本実施形態の動作を
図2以下を参照して説明する。
図2において、31は道路、32は道路31の下方に埋設された地中水道管である。
図2は、例えば夏季の夜間の時間帯に、前記ドローン1(
図1参照)を、前記道路32の上方(例えば2-10mくらいの任意の高さの上方)で飛行させながら、前記ドローン1に搭載された赤外線カメラ2により道路及びその近傍の赤外線画像を所定時間毎に(例えば0.1~数秒の適切な時間間隔毎に)撮像、取得しているときの動作を示すものである。前記ドローン1は、例えば、前記地図及び水道管データベース13に記録された地中水道管32の位置データなどに基づいて予め飛行経路が決められており、その飛行経路に沿って一定高度で飛行するように予めプログラムされている(また前述のように、前記ドローン1は前述のようにGPS受信機3も搭載している)。
【0028】
図2の動作時に撮影・取得された各赤外線画像は、当該撮影時の位置座標データ(前記GPS受信機3により取得される位置データ)とそれぞれ関連付けられて前記赤外線画像記録部5に記録され、その後適切な時期にサーバー11側に随時送信される。
【0029】
前記サーバー11側では、前記対象位置取得部14(
図1参照)が、前記各赤外線画像にそれぞれ紐付けられた各撮影時位置座標データと、前記地図及び水道管データベース13に記録された各地中水道管の位置座標データと、前記地図及び水道管データベース13からの地図データ等とに基づいて、前記各赤外線画像と各地中水道管とを紐付けし、前記各赤外線画像に対応する地中水道管の位置を示す対象位置情報を取得する。
図3(a)は、例えば事業者端末21のディスプレイの地図画面(道路31などの情報を含む)上に、前記対象位置取得部14からの対象位置情報に基づき、前記各赤外線画像に対応する位置に在る各地中水道管32を例えば道路31中に例えば破線又は異なる色などで重ね表示したときの状態を示すものである。
【0030】
次に、前記サーバー11側の地表温度分布取得部15は、前記対象位置取得部14からの対象位置情報(各赤外線画像に対応する地中水道管の位置を示す情報)と、前記赤外線画像記録部4からの赤外線画像データ(地表温度を示すデータ)と、前記地図及び水道管データベース13からの地図データ等とに基づいて、各地中水道管32(前記各対象位置情報に対応する各地中水道管32)又はその近傍に対応する地上温度分布情報を作成、取得する。
図3(b)は、例えば事業者端末21のディスプレイの地図画面上に、前記地表温度分布取得部15により取得された地表温度分布33a,33b,34,35a,35bなど(周辺地域との地表温度の違いの程度などに対応して複数の段階毎に互いに異なる色などで区別された複数の地表温度の分布)を重ね表示したときの状態を示すものである。
【0031】
次に、前記サーバー11側の地中漏水情報取得部16は、前記地表温度分布取得部15からの地表温度分布情報(各地中水道管又はその近傍に対応する地表温度の分布を複数の段階毎に互いに違う色等で区別して示す地表温度分布情報。
図3(b)の33a,33b,34,35a,35bなども参照)と、前記地図及び水道管データベース13からの地図データ等とに基づいて、漏水している蓋然性のある地中水道管に関する地中漏水情報(地中漏水の蓋然性のある部分等の位置情報を含む情報であって、漏水蓋然性の高さ・程度に応じて複数の段階で、例えば互いに異なる色などで、区別された地中水道管又はその一部の情報)を作成、取得する。
【0032】
次に、前記サーバー11側の地図漏水色別情報取得部17は、前記地中漏水情報取得部からの地中漏水情報(地中漏水の蓋然性のある一部の位置情報を含む情報であって、漏水蓋然性の高さ・程度に応じて複数の段階毎に、例えば互いに違う色等で、区別された地中水道管又はその一部の情報)と、前記地図及び水道管データベース13からの地図データ等とに基づいて、地図データの上に前記地中漏水情報を重畳して成る地図漏水色別情報(各地中水道管毎に漏水蓋然性の高さ・程度に応じて複数の段階毎に、例えば互いに違う色等でで区別して画面に表示させるための情報)を作成、取得する。このように取得された地図漏水色別情報は、前記地図漏水色別情報取得部17から事業者側端末21に送信され、事業者側端末21のディスプレイに表示される。
【0033】
図4(a)は、前記地図漏水色別情報取得部17が作成、取得して事業者側端末21に送信する地図漏水色別情報が、ディスプレイ画面に表示されたときの一例を示すものである。この
図4(a)の例では、事業者端末21のディスプレイにおいて、地図と、前記地図漏水色別情報(漏水蓋然性の高さ・程度に応じて複数の段階毎に互いに違う色等で区別された地中水道管又はその一部の情報)とが重ね表示された状態を示している。すなわち、この
図4(a)の例は、道路31及びその下方の地中水道管32などを含む地図データの上に、各地中水道管毎に、漏水蓋然性の高さ・程度に応じて複数の段階毎に互いに違う色等で区別して画面に表示するための情報(地図漏水色別情報)であって、
図3(b)の33a,33b,34,35a,35bなどを、そのまま重ね表示した情報を、事業者側端末21のディスプレイに表示したときの画面例を示すものである。
【0034】
また、
図4(b)は、前記地図漏水色別情報取得部17が作成、取得して事業者側端末21に送信する他の地図漏水色別情報が、ディスプレイ画面に表示されたときの他の一例を示すものである。この
図4(a)の例は、基本的には
図4(b)と同様に、地図と、前記地図漏水色別情報(漏水蓋然性の高さ・程度に応じて複数の段階毎に互いに違う色等で区別した地中水道管又はその一部の情報)とが重ね表示されたときの状態を表示するための情報であるが、これに一部加工を加えている。すなわち、この
図4(b)の例では、道路31及びその下方の地中水道管32などを含む地図データの上に、各地中水道管毎に、漏水蓋然性の高さ・程度に応じて複数の段階毎に互いに違う色等で区別して表示するための情報(地図漏水色別情報。
図3(b)の33a,33b,34,35a,35bなどを参照)を重ね表示しながら一部加工した情報(すなわち、
図4(a)と異なって地中水道管の領域以外では地表温度分布が表示されないように加工された情報)を、事業者側端末21のディスプレイに表示したときの画面例を示している。
【0035】
以上説明したように、本実施形態においては、地中水道管32に関してその設置からの経過年数又は劣化度を示す水道管劣化情報をその位置情報と関連付けて地図及び水道管データベース13に記録しておき、赤外線カメラ2及びGPS受信機3などを搭載したドローン1を飛行させることにより道路を含む地上の赤外線画像を取得すると共に、前記赤外線画像記録部5において前記赤外線画像を前記赤外線画像の取得時における前記ドローン1の飛行位置又は飛行経路を示す飛行位置情報と関連付けて記録しておくようにした。そして、前記サーバー11側の対象位置取得部14により、前記各赤外線画像が撮像された地表(地上)の地中にある地中水道管(各赤外線画像に対応する各対象となる各地中水道管)の位置データ(対象位置情報)を取得するようにした。そして、前記サーバー11側の地表温度分布取得部15により、前記取得された赤外線画像及び前記取得された対象位置情報に基づいて、前記地中水道管又はその近傍に対応する地上温度分布情報(周辺地域との地表温度の違いの程度等に応じて複数の段階毎に互いに違う色等で区別した地中水道管又はその一部の情報)を取得するようにした。そして、前記サーバー11側の地中漏水情報取得部16により、漏水している蓋然性等のある地中水道管(当然一部を含む)に関する地中漏水情報(漏水蓋然性等の高さ・程度に応じて複数の段階毎に互いに違う色等で区別した地中水道管又はその一部の情報)を検知、判定又は取得するようにした。そして、前記地中漏水色別情報取得部17により、地図データの上に前記地中漏水情報を重畳して成る地図漏水色別情報(各地中水道管毎に漏水蓋然性等の高さ・程度に応じて複数の段階毎に互いに違う色等で区別して画面に表示するための情報)を作成、取得するようにした。
【0036】
よって、本実施形態によれば、例えば事業者側端末21において、ディスプレイ画面上に前記地図漏水色別情報を表示することなどにより、漏水している蓋然性(可能性)のある地中水道管に関する情報を、広域のエリアにおいて長距離に渡り縦横に且つ複雑に埋設されている地中水道管の漏水を地上側から極めて効率的にかつ網羅的に検出、調査、監視することができるようになる。したがって、本実施形態によれば、水道事業者などのシステムユーザーは、前記地図画面を閲覧するだけで、直ちに、漏水した又はその蓋然性(可能性)がある地中水道管又はその近傍の位置等を、さらに漏水の蓋然性(可能性)の高さの各程度をも、容易かつ直感的に知ることができるようになり、当該地中漏水部分の保守、点検又は補修等の作業に迅速に着手することもできるようになる。
【0037】
さらに、本実施形態において、前記の赤外線カメラ2及びGPS受信機3などを搭載したドローン1を飛行させて道路を含む地上の赤外線画像を取得する動作を、例えば、冬季などの気温が15℃以下又は夏季などの気温が25℃以上であり且つ午後11時から午前5時までの範囲内の夜間又は明け方においてのみ行うようにしたときは、地中水道管から漏水した水道水と地上(地表)側との温度差が前記赤外線画像中で際立って大きく表されることになるため、地中水道管が地上から例えば数m以上の深い地中に埋設されている場合でも、ある程度正確に誤差なく、地上に表出した温度分布を前記赤外線画像で読み取って地中で漏水している又はその蓋然性(可能性)がある水道管(当然その一部を含む)及びその位置を推測、判定又は検知できるようになる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態においては、前記赤外線画像記録部5はドローン1側に備えるようにしたが、前記赤外線画像記録部5はドローン1側ではなくサーバー11側に配置するようにしてもよい。また、前記実施形態では、前記ドローン1側の赤外線カメラ2及びGPS受信機3により取得された赤外線画像及び位置データは、前記赤外線画像記録部5及び送受信部5(及びサーバー側の送受信部12)を介してサーバー11側に送信、入力されるようにしているが、本発明では、前記ドローン1側に搭載された記録媒体(SDカードなど)に前記赤外線カメラ2及びGPS受信機3により取得された赤外線画像及び位置データを記録させておき飛行が終わった後に前記ドローン1から前記記録媒体を取り出し前記サーバー11側に入力するようにしてもよい。また本発明では、前記インターネット等の外部ネットワークに接続されたサーバー11に代えて、外部ネットワークと遮断された状態で事業者側に備えられたコンピュータ等により、
図1の符号11で示すシステムを構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 ドローン
2 赤外線カメラ
3 GPS受信機
4 赤外線画像記録部
5,12 送受信部
11 サーバー
13 地図及び水道管データベース
14 対象位置取得部
15 地表温度分布取得部
16 地中漏水情報取得部
17 地図漏水色別情報取得部
21 事業者側端末
31 道路
32 地中水道管
33a,33b,34,35a,35b 漏水蓋然性の程度等を示す表示