(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】フィンゴリモドを含む医薬組成物とその製造方法及び安定化方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/137 20060101AFI20240613BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240613BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240613BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240613BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240613BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A61K31/137
A61K9/48
A61K47/12
A61K47/26
A61P25/00
A61P37/06
(21)【出願番号】P 2020086747
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】591040753
【氏名又は名称】東和薬品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】服部 雅輝
(72)【発明者】
【氏名】三宅 克紀
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-502168(JP,A)
【文献】特開2020-183382(JP,A)
【文献】特開2004-307506(JP,A)
【文献】特表2016-504413(JP,A)
【文献】国際公開第2019/203752(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/132360(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106619558(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とエリスリトールとを含む医薬組成物がカプセルに充填されてなる、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有効成分とする硬カプセル剤。
【請求項2】
前記医薬組成物が、ステアリン酸マグネシウムをさらに含む請求項1に記載の硬カプセル剤。
【請求項3】
前記医薬組成物が、D-マンニトールを実質的に含まない請求項1又は2に記載の硬カプセル剤。
【請求項4】
フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とエリスリトールとを混合する工程と、
前記混合工程で得られた混合末と、ステアリン酸マグネシウムとを混合して、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物を得る工程と、
前記医薬組成物をカプセルに充填する工程と
を含む、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有効成分とする硬カプセル剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィンゴリモドを有効成分とする医薬組成物及びこれを含む硬カプセル剤、並びにこれらの製造方法に関する。本発明は、フィンゴリモドを含む医薬組成物の安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィンゴリモドは、下記の式(I)で示される化合物であり、その化学名は、2-アミノ-2-[2-(4-オクチルフェニル)エチル]プロパン-1, 3-ジオールである。フィンゴリモドは、スフィンゴシン1-リン酸受容体1の機能的アンタゴニストとして作用して免疫抑制活性を示し、多発性硬化症の治療に用いられる。特許文献1には、フィンゴリモド塩酸塩を有効成分とする錠剤が記載されている。
【0003】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィンゴリモドは、保存安定性があまり良好ではない化合物であることが知られている。一般に、医薬品の有効成分は有機化合物であるところ、温度(熱)は有効成分の保存安定性に大きな影響を与える要因である。また、有効成分に配合される医薬品添加物も保存安定性に影響を与える。本発明は、保存安定性に優れたフィンゴリモド含有医薬組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、エリスリトールが、フィンゴリモドに対して配合による影響が小さい医薬品添加物であること、及び、フィンゴリモド及びエリスリトールを含む医薬組成物が、温度に対する安定性に優れることを見出して、本発明を完成した。よって、本発明は、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、エリスリトールとを含む、医薬組成物を提供する。また、本発明は、該医薬組成物がカプセルに充填されてなる、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有効成分とする硬カプセル剤を提供する。
【0007】
本発明は、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とエリスリトールとを混合する工程と、混合工程で得られた混合末と、ステアリン酸マグネシウムとを混合する工程とを含む、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物の製造方法を提供する。
【0008】
本発明は、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とエリスリトールとを混合する工程と、混合工程で得られた混合末と、ステアリン酸マグネシウムとを混合して、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物を得る工程と、該医薬組成物をカプセルに充填する工程とを含む、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有効成分とする硬カプセル剤の製造方法を提供する。
【0009】
本発明は、エリスリトールを含有させることによる、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物の安定化方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保存安定性に優れたフィンゴリモド含有医薬組成物及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態の医薬組成物は、有効成分として、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む。フィンゴリモドの薬学的に許容される塩とは、上記の式(I)で表される化合物と有機又は無機の酸とから形成される、ヒトを含む哺乳動物への投与が許容される塩をいう。そのような薬学的に許容される塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、フマル酸塩などが挙げられる。それらの中でも、フィンゴリモド塩酸塩が好ましい。
【0012】
フィンゴリモドの薬学的に許容される溶媒和物とは、上記の式(I)で表される化合物と、ヒトを含む哺乳動物への投与が許容される溶媒とから形成される固体分子をいう。そのような溶媒としては、例えば水、酢酸、エタノールなどが挙げられる。
【0013】
以下、「フィンゴリモド」との用語は、特に言及しない限り、上記の式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩及び溶媒和物を包含する。本実施形態では、医薬組成物中のフィンゴリモドの含量は、例えば0.01重量%以上20重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以上5重量%以下である。
【0014】
本実施形態に用いるフィンゴリモドには、原薬粒子径のD50が8μm以上28μm以下のものを用いることが好ましい。なお、原薬粒子径は、例えばレーザー回折散乱式粒度分布測定装置や画像解析装置等を用いて測定することができる。
【0015】
本実施形態の医薬組成物は、医薬品添加物としてエリスリトールを含む。本実施形態では、フィンゴリモド及びエリスリトールを含む医薬組成物とすることにより、フィンゴリモドの類縁物質の生成及び生成の促進が抑制され、また温度に対する安定性が向上する。医薬組成物中のエリスリトールの含量は、例えば75重量%以上99.9重量%以下であり、好ましくは90重量%以上99.5重量%以下である。
【0016】
本実施形態では、必要に応じて、エリスリトール以外の医薬品添加物をさらに含んでもよい。そのような医薬品添加物としては、薬学的に許容される滑沢剤、賦形剤、崩壊剤、結合剤、甘味剤、着色剤などから適宜選択できる。本実施形態では、滑沢剤をさらに含むことが好ましい。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、軽質無水ケイ酸、タルクなどが挙げられる。滑沢剤は一種でもよいし、二種以上を組み合わせてもよい。それらの中でもステアリン酸マグネシウムが特に好ましい。医薬組成物中の滑沢剤の含量は、例えば0.01重量%以上5重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以上3重量%以下である。
【0017】
本実施形態の医薬組成物は、D-マンニトールを実質的に含まないことが好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、医薬組成物においてD-マンニトールは、含まれるとしても少量であり、D-マンニトールを積極的に添加しないことをいう。D-マンニトールが少量含まれる場合としては、例えば、不純物として微量に混入する場合、何らかの化学反応や含有成分の分解などにより微量に生成する場合などが挙げられる。
【0018】
本実施形態の医薬組成物は、フィンゴリモド、エリスリトール及びステアリン酸マグネシウムから実質的になることが好ましい。そのような医薬組成物は、硬カプセル剤の内容物(充填用組成物)として好適に用いることができる。ここで、「フィンゴリモド、エリスリトール及びステアリン酸マグネシウムから実質的になる」とは、医薬組成物においてフィンゴリモド、エリスリトール及びステアリン酸マグネシウム以外の成分は、含まれるとしても少量であり、当該成分を積極的に添加しないことをいう。そのような成分が少量含まれる場合としては、例えば、不純物として微量に混入する場合、何らかの化学反応や含有成分の分解などにより微量に生成する場合などが挙げられる。
【0019】
本実施形態の医薬組成物は、次のようにして製造できる。まず、フィンゴリモドとエリスリトールとを混合する。そして、得られた混合末と、ステアリン酸マグネシウムとを混合することにより、本実施形態の医薬組成物を得ることができる。混合は篩過により行ってもよいし、公知の粉体混合機を用いて行ってもよい。
【0020】
本実施形態では、フィンゴリモドは、あらかじめエリスリトールと混合して調製されたフィンゴリモド倍散であってもよい。倍散を用いることにより、秤量誤差を低減できる。倍散の調製は、段階的に行ってもよい。例えば、フィンゴリモド原末とエリスリトールとを混合して2~10倍散(10~50%フィンゴリモド散)を調製し、この倍散とエリスリトールとをさらに混合して4~100倍散(1~25%フィンゴリモド散)を調製してもよい。倍散の調製工程は、2段階に限らず、3段階以上であってもよい。3段階の倍散の調製工程は、例えば、フィンゴリモド原末とエリスリトールとを混合して2~10倍散を調製し、得られた倍散と賦形剤とを混合して4~100倍散を調製し、得られた倍散と賦形剤とを混合して8~200倍散を調製する。また、倍散の調製は、フィンゴリモド原末とエリスリトールとステアリン酸マグネシウムの一部とを混合してもよい。
【0021】
本発明の範囲には、上記の本実施形態の医薬組成物を含む医薬製剤も含まれる。医薬製剤の剤形は、固体剤形であれば特に限定されず、硬カプセル剤、錠剤、顆粒剤などが挙げられる。それらの中でも、製剤工程において加圧や乾燥が不要であることから、硬カプセル剤が好ましい。よって、本実施形態では、上記の医薬組成物がカプセルに充填されてなる、フィンゴリモド又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を有効成分とする硬カプセル剤が特に好ましい。
【0022】
本実施形態の硬カプセル剤では、1カプセル当たりのフィンゴリモドの含量は、例えば0.05 mg以上10 mg以下であり、好ましくは0.1 mg以上5mg以下であり、より好ましくは0.2 mg以上1mg以下である。
【0023】
医薬組成物が充填されるカプセルは、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの薬学的に許容されるカプセル基剤から製造された硬カプセルであれば、特に限定されない。剤皮としてのカプセルには、酸化チタン、酸化鉄などの薬学的に許容される着色剤が含まれてもよい。カプセルの大きさは、治療有効量のフィンゴリモドを充填できる限り特に限定されず、例えば日本薬局方に記載の2号、3号、4号又は5号カプセルなどが挙げられる。
【0024】
本実施形態の硬カプセル剤は、次のようにして製造できる。まず、フィンゴリモドとエリスリトールとを混合する。次いで、得られた混合末と、ステアリン酸マグネシウムとを混合して、本実施形態の医薬組成物を得る。混合は篩過により行ってもよいし、公知の粉体混合機を用いて混合してもよい。そして、得られた医薬組成物をカプセルに充填することにより、本実施形態の硬カプセル剤を得ることができる。カプセルへの粉体の充填法自体は公知であり、例えばdisc式、compress式及びAuger式のいずれかの方式の充填機を用いることができる。本実施形態の硬カプセル剤は、PTP包装、ビン充填、アルミ包装などにより包装されてもよい。
【0025】
本発明の範囲には、フィンゴリモドを含む医薬組成物の安定化方法も含まれる。この方法は、フィンゴリモドを有効成分として含む医薬組成物に、医薬品添加物としてエリスリトールを含有させることを含む。後述の試験例1のとおり、エリスリトールは、フィンゴリモドに配合しても相互作用による影響の小さい添加物である。また、後述の試験例2のとおり、エリスリトールとフィンゴリモドとを含む組成物は、熱に対する安定性が向上する。その結果、医薬組成物において、フィンゴリモドの類縁物質の生成及び生成の促進が抑制される。
【0026】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0027】
[試験例1]
フィンゴリモド塩酸塩に種々の医薬品添加物を配合した場合の影響を、配合変化試験により検討した。
【0028】
1.検体の調製
医薬品添加物として、エリスリトール、粉末還元麦芽糖水アメ及びバレイショデンプンを用いた。フィンゴリモド塩酸塩(10 mg)と各添加物(3000 mg)とをポリプロピレン製遠沈管に充填して混合した。比較のため、フィンゴリモド塩酸塩(10 mg)のみを入れた遠沈管を用意した。これらの遠沈管を周囲温度40℃及び相対湿度75%RH(開放)にて1ヶ月間貯蔵した。
【0029】
2.純度試験(類縁物質の測定)
遠沈管からフィンゴリモド10 mgに対応する量をとり、1:1000に希釈したリン酸溶液とアセトニトリルとの混液(3:1)を加えて振り混ぜ、超音波処理した。この液をメンブランフィルターでろ過し、試料溶液を得た。試料溶液について、下記の試験条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行った。試料溶液の各々のピーク面積を自動積分法により測定し、面積百分率法によりそれらの量を求めた。
【0030】
<試験条件>
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:215 nm)
・カラム:内径4.6 mm及び長さ15 cmのステンレス管に3.5μmの液体クロマトグラフィー用フェニルシリル化シリカゲルを充填した。
・カラム温度:35℃付近の一定温度
・移動相A:水/アセトニトリル/リン酸/トリエチルアミン混液(900:100:2:1)
・移動相B:アセトニトリル/水/リン酸/トリエチルアミン混液(900:100:2:1)
・流量:毎分1.0 mL
【0031】
3.結果
表1に、各検体についての総類縁の量(%)を示す。総類縁とは、検出された全て類縁物質の合計である。表中、「開始時点」は、各検体を充填した遠沈管の貯蔵を開始した時点での結果を示す。
【0032】
【0033】
表1において、フィンゴリモドのみの結果は、添加物を混合していないので、フィンゴリモド塩酸塩自体の安定性を示す。表1に示されるように、エリスリトールを用いた場合、粉末還元麦芽糖水アメ及びバレイショデンプンを用いた場合よりも、40℃、75%RH(開放)で1ヶ月間の貯蔵後の総類縁の量が顕著に低かった。このことから、フィンゴリモドに配合する医薬品添加物としてエリスリトールを用いることにより、安定なフィンゴリモド含有医薬組成物が得られることが示唆された。
【0034】
[試験例2]
フィンゴリモド塩酸塩と、エリスリトール又は粉末還元麦芽糖水アメと、ステアリン酸マグネシウムとを含む医薬組成物の温度に対する安定性を検討した。
【0035】
1.検体の調製
フィンゴリモド塩酸塩(392 mg)と、エリスリトール(32536 mg)と、ステアリン酸マグネシウム(672 mg)とをガラス瓶に充填して混合し、実施例の混合末を得た。フィンゴリモド塩酸塩(392 mg)と、粉末還元麦芽糖水アメ(32536 mg)と、ステアリン酸マグネシウム(672 mg)とをガラス瓶に充填して混合し、比較例の混合末を得た。各混合末が充填されたガラス瓶を密栓した状態で周囲温度70℃にて3、6又は9日間貯蔵した。
【0036】
2.純度試験(類縁物質の測定)
本品6個をとり、1:1000に希釈したリン酸溶液とアセトニトリルとの混液(3:1)を加えて振り混ぜ、超音波処理した。この液をメンブランフィルターでろ過し、試料溶液を得た。試料溶液について、試験例1と同じ試験条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行った。試料溶液の各々のピーク面積を自動積分法により測定し、面積百分率法によりそれらの量を求めた。表2に、各検体についての総類縁の量(%)を示す。表中、「開始時点」は、各検体を充填したガラス瓶の貯蔵を開始した時点での結果を示す。
【0037】
【0038】
表2に示されるように、粉末還元麦芽糖水アメを含む比較例では、類縁物質の増加が顕著であり、温度に対する安定性が良好ではなかった。一方、エリスリトールを含む実施例では、比較例に比べて、類縁物質の生成が顕著に抑制された。このことから、フィンゴリモド、エリスリトール及びステアリン酸マグネシウムを配合することにより、保存安定性に優れたフィンゴリモド含有医薬組成物が得られることが示唆された。
【0039】
[好ましい処方例]
本実施形態の医薬組成物及び医薬製剤の好ましい処方例として、表3に硬カプセル剤の処方(1カプセル当たりの成分量)を示す。表中の「充填用組成物」とは、硬カプセル剤の内容物であり、本実施形態の医薬組成物に相当する。
【0040】
【0041】
表3の硬カプセル剤は、次のようにして製造した。フィンゴリモド塩酸塩とその5倍量のエリスリトールとを混合した。得られた混合末を30メッシュの篩で篩過した。篩を、フィンゴリモド塩酸塩の4倍量のエリスリトールで洗い込みした。残りのエリスリトールをさらに加えて混合した。ここに、ステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。得られた混合末をカプセルに充填して硬カプセル剤(長径15.9 mm、短径5.8 mm)を得た。