(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】複合材構造体に部品を接続するためのファスナシステム及びアセンブリ、並びに関連する方法
(51)【国際特許分類】
F16B 5/06 20060101AFI20240613BHJP
F16B 19/00 20060101ALI20240613BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F16B5/06 R
F16B19/00 F
B64C1/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020087496
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2023-05-10
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ポール エル.ローリンガー
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-175634(JP,A)
【文献】特表2017-528660(JP,A)
【文献】特表2009-506952(JP,A)
【文献】特表2005-517876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0228979(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00- 5/12
F16B 17/00- 19/14
B64C 1/00
F16B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材構造体に部品を接続するためのファスナシステムであって、
拡開ネイルと、
前記拡開ネイルの少なくとも一部を受容するよう構成された受容部を含むとともに、前記複合材構造体に少なくとも部分的に埋設されるよう構成されたレセプタクルと、
前記レセプタクル及び前記部品に結合するよう構成された構造コネクタと、
前記複合材構造体に埋設されるとともに、前記受容部に押し込まれる前記拡開ネイルからの力を分散させるよう構成されたカラープレートと、を含み、前記ファスナシステムは、前記部品及び前記複合材構造体に結合して、前記複合材構造体に前記部品を接続するよう構成されており、
前記拡開ネイルは、前記レセプタクルに少なくとも部分的に受容されるよう構成されており、
前記拡開ネイルが前記レセプタクルの前記受容部に押し込まれたときに、当該受容部を拡げるように、前記レセプタクルに対して前記拡開ネイルの寸法及び形状が設定されている、ファスナシステム。
【請求項2】
前記カラープレートは、当該カラープレートを貫通する前記レセプタクルを受容するよう構成された開口部を含み、前記拡開ネイルは、前記レセプタクルの前記受容部に挿入されたときに、前記カラープレートに対して前記レセプタクルの前記受容部を拡げるよう構成されている、請求項1に記載のファスナシステム。
【請求項3】
前記カラープレートの前記開口部は、第1群の段付溝と第2群の段付溝とを含み、前記第1群の段付溝は、前記第2群の段付溝とは反対側に配置されており、前記第1群の段付溝及び前記第2群の段付溝は、前記拡開ネイルが前記レセプタクルの前記受容部に挿入されると、塑性変形するよう構成されている、請求項2に記載のファスナシステム。
【請求項4】
前記カラープレートの前記第1群の段付溝は、前記レセプタクルの第1群の受容溝と係合するよう構成されており、前記カラープレートの前記第2群の段付溝は、前記レセプタクルの第2群の受容溝と係合するよう構成されている、請求項3に記載のファスナシステム。
【請求項5】
前記レセプタクルの前記受容部は、第1内側受容面及び第2内側受容面によって画定されており、前記レセプタクルは、
第1群の受容溝を有する第1長状溝付面と、
第2群の受容溝を有する第2長状溝付面と、
前記第1内側受容面と前記第2内側受容面との間に配置された降伏領域と、を含み、前記降伏領域は、前記カラープレートが前記レセプタクルに取り付けられるときに、前記第1長状溝付面及び前記第2長状溝付面を互いに近付けるように撓む構成とされるとともに、前記拡開ネイルが前記受容部に挿入されたときに、前記第1長状溝付面及び前記第2長状溝付面を互いから遠ざけるように前記受容部を拡げる構成とされている、請求項1~4のいずれか1つに記載のファスナシステム。
【請求項6】
前記降伏領域は、第1降伏領域と第2降伏領域とを含み、前記レセプタクルは、前記拡開ネイルの下側部分が挿入されるスロット状開口部をさらに含み、前記スロット状開口部は、前記第1降伏領域と前記第2降伏領域との間に延在している、請求項5に記載のファスナシステム。
【請求項7】
前記レセプタクルは、第1押圧面と第2押圧面とをさらに含み、前記拡開ネイルが前記レセプタクル内に配置されると、前記第1押圧面と前記第2押圧面との間に前記拡開ネイルの下側部分を受容するよう構成されている、請求項6に記載のファスナシステム。
【請求項8】
前記ファスナシステムは、前記レセプタクルを拘束するよう構成されたリテーナを含み、前記レセプタクルは、互いに反対側に配置された第1リテーナ受容凹部と第2リテーナ受容凹部とをさらに含むとともに、前記第1リテーナ受容凹部及び前記第2リテーナ受容凹部に前記リテーナを受容するよう構成されており、前記リテーナは、前記第1リテーナ受容凹部と係合するよう構成された第1長状部分を含むとともに、前記第2リテーナ受容凹部と係合するよう構成された第2長状部分を含む、請求項7に記載のファスナシステム。
【請求項9】
前記ファスナシステムの前記リテーナは、前記レセプタクルに配置されると、前記第1押圧面及び前記第2押圧面を内側に押圧する、請求項8に記載のファスナシステム。
【請求項10】
前記拡開ネイルは、第1係合面及び第2係合面を有する楔形部分を含み、前記第1係合面及び前記第2係合面は、前記拡開ネイルが前記レセプタクル内に配置されると前記レセプタクルと係合するよう構成されており、前記楔形部分は、前記第1係合面が前記レセプタクルの前記第1内側受容面と係合し、且つ前記第2係合面が前記レセプタクルの第2内側受容面と係合するように、自己拡散、摩擦接続、及び変形からなる群から選択される1つ以上により、前記レセプタクルの前記受容部に受容される、請求項5~9のいずれか1つに記載のファスナシステム。
【請求項11】
前記構造コネクタは、当該構造コネクタを貫通する前記レセプタクルを受容するよう構成されたスロットを含み、前記レセプタクルは、第1外壁及び第2外壁を含み、前記構造コネクタは、前記レセプタクルに固定されたときに前記第1外壁及び前記第2外壁に接触する、請求項1~10のいずれか1つに記載のファスナシステム。
【請求項12】
前記部品は、航空機用胴体のフレームであり、前記複合材構造体は、前記航空機胴体のスキンである、請求項1~11のいずれか1つに記載のファスナシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のファスナシステムと、
複合材料の第1ラミネートと、
複合材料の第2ラミネートと、を含み、前記ファスナシステムの前記カラープレートは、前記複合材料の第1ラミネートと前記複合材料の第2ラミネートとの間に配置されており、前記構造コネクタの少なくとも一部は、前記複合材料の第1ラミネートに隣接して配置されている、アセンブリ。
【請求項14】
前記複合材料の第1ラミネートと前記複合材料の第2ラミネートとの間に配置された複合材料の中間ラミネートをさらに含み、前記複合材料の中間ラミネートの厚みは、前記カラープレートの厚みと実質的に等しい、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
複合材構造体に部品を接続するためのファスナアセンブリを組み立てる方法であって、
前記ファスナアセンブリを用意することを含み、前記ファスナアセンブリは、
前記複合材構造体内に少なくとも部分的に埋設されるよう構成されたレセプタクルを含み、当該レセプタクルは、
拡開ネイルの少なくとも一部を受容するよう構成された受容部と、
第1リテーナ受容凹部と、
前記第1リテーナ受容凹部の反対側に配置された第2リテーナ受容凹部と、を含み、前記ファスナアセンブリは、さらに、
前記レセプタクル及び前記部品に結合するよう構成された構造コネクタと、
前記レセプタクルを拘束するよう構成されたリテーナと、を含み、前記レセプタクルは、前記第1リテーナ受容凹部と前記第2リテーナ受容凹部に前記リテーナを受容するよう構成されており、前記リテーナは、前記第1リテーナ受容凹部と係合するよう構成された第1長状部分を含むとともに、前記第2リテーナ受容凹部と係合するよう構成された第2長状部分を含み、前記方法は、さらに、
前記第1リテーナ受容凹部、及び前記第2リテーナ受容凹部に前記リテーナを摺動嵌合させることにより、前記レセプタクルに前記リテーナを配置することと、
前記レセプタクルに前記構造コネクタを配置することと、を含み、前記構造コネクタの配置は、前記レセプタクルを圧縮することを含み、前記ファスナアセンブリは、前記構造コネクタを介して、前記複合材構造体に前記部品を接続するよう構成されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材構造体に部品を接続するためのファスナシステム及びアセンブリ、並びに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルト又は他のファスナは、複合材構造体に形成された穴を介して、当該複合材構造体に部品を固定するためにしばしば使用される。これらのボルトは、多くの場合、重量があり、取り付けるのに手間がかかる。一般に、取り付けの際には複合材構造体の両側にアクセスする必要があるが、これは、状況によっては困難な場合がある。例えば、航空機の胴体のスキンなどの複合材構造体に対して部品(例えば、フレーム)を接続する場合、胴体バレルの内部へのアクセスは、非常に困難、高価、及び/又は複雑であったり、時間がかかったりすることがある。フレーム、フィッティング、インターコスタル(intercostals)、及び/又はドア外周部を胴体スキンに固定する場合、一般に、当該スキンに数千もの穴を開けて、当該スキンの片側からファスナを挿入し、当該スキンの反対側で各ファスナに対してナット又はカラーを取り付けなければならない。たとえ産業ロボットを用いる場合であっても、そのような技術においては、ファスナの取り付け、及び複合材構造体の両側へのアクセスに複数の作業員が必要となる。
【発明の概要】
【0003】
本開示のファスナシステムは、複合材構造体(例えば、航空機の胴体スキン)に穴を開けることなく、及び/又は、複合材構造体の両側にアクセスすることなく、当該複合材構造体に部品(例えば、フレーム)を固定するよう構成することができる。本開示のファスナシステムの例示的な一形態は、拡開ネイル、カラープレート、及び構造コネクタを利用して、複合材構造体に少なくとも部分的に埋設されるレセプタクル(receptacle)を含む。レセプタクルは、拡開ネイルの少なくとも一部を受容するよう構成された受容部を含む。拡開ネイルの寸法及び形状は、レセプタクルに対して設定することができ、具体的には、当該拡開ネイルがレセプタクルの受容部に押し込まれたときに当該受容部を拡げるような寸法及び形状に設定することができる。カラープレートは、複合材構造体に埋設されるとともに、レセプタクルの受容部に押し込まれる拡開ネイルからの力を分散させるよう構成することができる。上述した本開示のファスナシステムは、構造コネクタを介して部品及び複合材構造体に結合して、部品と複合材構造体とを接続するよう構成されている。本開示のアセンブリは、上述したようなファスナシステムと、複合材料の第1ラミネート及び複合材料の第2ラミネートとを含む。ファスナシステムのカラープレートは、第1ラミネートと第2ラミネートとの間に配置することができる。このようなアセンブリのうちのいくつかにおいて、ファスナシステムの構造コネクタの少なくとも一部は、複合材料の第1ラミネートに隣接して配置される。
【0004】
本開示の方法によれば、複合材構造体にファスナシステムを取り付ける前に、当該ファスナシステムの一部を組み立てることができる。例えば、レセプタクル、リテーナ、及び構造コネクタで形成されるファスナアセンブリを予め組み立てて、ファスナシステムの他のコンポーネント(例えば、拡開ネイル及びカラープレート)については後で追加してもよい。例えば、ファスナアセンブリを組み立てる本開示の方法は、ファスナアセンブリを用意することと、リテーナの第1リテーナ受容凹部及び第2リテーナ受容凹部にリテーナを摺動嵌合させることにより、レセプタクルにリテーナを配置することと、レセプタクルに構造コネクタを配置することと、を含む。構造コネクタを配置することは、レセプタクルの一部を圧縮すること、及び/又は塑性変形させることを含みうる。このようなファスナアセンブリにおいて、リテーナは、拡開ネイルがレセプタクルに挿入されると、拡開ネイルの周りでレセプタクルを拘束するよう構成されてもよいし、レセプタクルの過度な拡張を防ぐよう構成されてもよい。
【0005】
複合材構造体に部品を接続するためのファスナシステムを取り付ける本開示の方法は、概して、複合材構造体の層間にファスナシステムの少なくとも一部を埋設することを含む。例えば、方法は、受容穴が形成された複合材料の第1ラミネートを形成することと、当該受容穴にファスナアセンブリのレセプタクルが少なくとも部分的に挿入されるように、複合材料の第1ラミネートに対してファスナアセンブリを配置することと、を含む。このような構成において、複合材料の第1ラミネートは、ファスナアセンブリの構造コネクタと接触する。第1ラミネートに対してファスナアセンブリを配置する前に、ファスナアセンブリのレセプタクル、構造コネクタ、及びリテーナを組み立てることもできるし、複合材構造体を構築するときにこのようなファスナアセンブリを組み立てることもできる。方法は、複合材料の第1ラミネートの第1上面に、複合材料の中間ラミネートを固定することを含みうる。複合材料の中間ラミネートは、レセプタクルの少なくとも一部を受容するよう構成されたポケットを含みうる。このポケットは、さらに、ファスナシステムのカラープレートを受容するよう構成することもできる。したがって、方法は、カラープレートを、レセプタクルに対して位置決めするとともに、且つ複合材料の中間ラミネートのポケット内に配置して、カラープレートの下側プレート面と複合材料の第1ラミネートの第1上面とを接触させることを含む。
【0006】
方法は、レセプタクルにファスナシステムの拡開ネイルを挿入することと、カラープレート、及び複合材料の中間ラミネートの少なくとも一部を覆う複合材料の外側ラミネートを積層することにより、複合材料の外側ラミネートと複合材料の第1ラミネートとの間にカラープレートを埋設することと、をさらに含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示による、1つ以上のファスナシステム、及び/又はファスナアセンブリを含む1つ以上の複合材構造体で形成される航空機を示す斜視図である。
【
図2】本開示による、ファスナアセンブリを含むファスナシステムの非排他的な例をブラックボックスで示す概略図である。
【
図3】本開示による、ファスナシステムの例を示す断面図である。
【
図4】本開示による、ファスナシステムのレセプタクルの一例を示す斜視図である。
【
図5】本開示による、ファスナシステムのリテーナの一例を示す斜視図である。
【
図6】本開示による、ファスナシステムの拡開ネイルの一例を示す斜視図である。
【
図7】本開示による、ファスナアセンブリの一例を示す斜視図である。
【
図8】本開示による、ファスナシステムの構造コネクタの一例を示す斜視図である。
【
図9】本開示による、複合材料の第1ラミネートと係合する、
図7のファスナアセンブリを示す側立面図である。
【
図10】本開示による、複合材料の中間ラミネートと係合する、
図9のファスナアセンブリ及び第1ラミネートを示す斜視図である。
【
図11】本開示による、ファスナシステムのカラープレート及び拡開ネイルの例示的な挿入状態を示す、
図10のファスナアセンブリの斜視図である。
【
図12】本開示による、ファスナシステムのカラープレートの一例を示す底面斜視図である。
【
図13】本開示による、ファスナシステムのレセプタクルの一例を示す上面図である。
【
図14】本開示による、複合材料の第2ラミネートの積層を示す、
図11のファスナアセンブリの斜視図である。
【
図15】本開示による、ファスナアセンブリを組み立てる方法を示す概略的なフローチャートである。
【
図16】本開示による、複合材構造体に部品を接続するためのファスナシステムを取り付ける方法を示す概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、1つ以上の複合材構造体10が装置12に含まれている。複合材構造体10は、航空宇宙、自動車、電子、建設、軍事、レクリエーション、及び/又はモータースポーツ産業において有用である。
図1において、概して1つ以上の複合材構造体10を含む装置12の一例が、航空機14の形態で示されている。航空機14は、任意の適切な形態をとることができ、これには、例えば、民間航空機、軍用機、又は他の任意の適切な航空機が含まれる。
図1は、固定翼機の形態の航空機14を示しているが、他のタイプ及び形態の航空機も本開示による航空機14の範囲内であり、これには、(限定するものではないが)回転翼機及びヘリコプターが含まれる。
【0009】
装置12(例えば、航空機14)は、1つ以上の複合材構造体10を含みうる。例示的且つ非排他的な例として、複合材構造体10は、主翼16、胴体18、すなわち胴体セクション18a、18b、18c、水平尾翼20、頭上荷物棚22、垂直安定板24、及びエンジンハウジング26などの航空機構造体に用いることができる。ただし、航空機14の他のコンポーネントも、付加的又は代替的に、複合材構造体10を含んでいてもよい。航空機30における複合材構造体10の他の用途には、床パネル、内壁、食品調理室アセンブリ、翼制御面、乗客用収納ラック、推力偏向装置アセンブリ、カプセルパネル、ノーズコーン(nose cone)用アブレーティブシールド(ablative shields)、機器用筐体(instrumentation enclosures)及びシェルフ、並びに、隔壁パネルが含まれる。他の産業において、(1つ以上の複合材構造体10を含む)装置12の例には、宇宙衛星、電子レドーム構造、輸送車両、輸送コンテナ、シェルタ、大型アンテナ又は円板反射体、冷凍パネル、高速輸送フロアパネル、船上電子デッキシェルタ、貨物パレット、自動車車体、建築カーテンウォール、パーティション、分割パネル、展開型病院シェルタ、及び/又はアセンブリの内部構造体を含むか、又はその一部が含まれる。1つ以上のファスナシステム30は、1つ以上の部品を1つ以上の複合材構造体10に接続するために、航空機14(又は、他の装置12)に含まれうる。特定の一実施例においては、複数のファスナシステム30は、航空機の胴体18にフレームを接続することができる。
【0010】
図2には、本開示によるファスナシステム30及びファスナアセンブリ32の非排他的な例が概略的に示されている。概して、所与の(すなわち、ある特定の)実施例に含まれる可能性の高い要素は実線で示しており、所与の実施例において任意である要素は破線で示している。ただし、実線で示した要素が本開示の全ての実施例に必須というわけではなく、本開示の範囲から逸脱することなく、実線で示した要素を特定の実施例から省くこともできる。
【0011】
図2に概略的に示すように、ファスナシステム30は、概して、レセプタクル34と、拡開ネイル36と、カラープレート38とを含む。ファスナシステム30は、部品40を複合材構造体42に接続するよう構成されている(複合材構造体10は、複合材構造体42の一例である)。ファスナシステム30の複数のコンポーネントは、共に、複合材構造体42に穴を開けることなく、且つ、複合材構造体42の片側にアクセスすることにより、複合材構造体42に部品40を接続するよう構成されている。具体的には、他の図面に関連して詳述するように、ファスナシステム30は、複合材構造体42に少なくとも部分的に埋設されることにより、当該複合材構造体に対してファスナシステム30を固定するよう構成されている。その後、ファスナシステム30に部品40を接続することにより、当該部品40もまた複合材構造体42に効果的に接続することができる。したがって、ファスナシステム30は、部品40と複合材構造体42に結合して、当該部品40と当該複合材構造体42とを接続することができる。
【0012】
レセプタクル34は、複合材構造体42に少なくとも部分的に埋設されるよう構成されており、拡開ネイル36は、レセプタクル34に少なくとも部分的に受容されるように、具体的には例えば、レセプタクル34の受容部44に少なくとも部分的に受容されるように、構成されている。拡開ネイル36の寸法及び形状は、レセプタクル34に対して設定することができ、具体的には、拡開ネイル36が受容部44に押し込まれる際に受容部44が拡がるような寸法及び形状に設定することができる。カラープレート38もまた、複合材構造体42に少なくとも部分的に埋設されるよう構成されており、これによって、拡開ネイル36がレセプタクル34(例えば、レセプタクル34の受容部44)に押し込まれたときに、当該拡開ネイルからの力を分散させることができる。レセプタクル34は、複合材構造体42にファスナシステム30を固定するためのアンカー部として効果的に機能するよう構成されてもよい。
【0013】
いくつかの例において、本開示のファスナシステム30は、各部品40について他のファスナの複数のボルトを使用するのではなく、単一のファスナシステム30で部品40(例えば、シャータイ(shear tie))を取り付けるよう構成されている。このように、ボルトの使用を低減及び/又は排除し、これに対応して複合材構造体42に対する穿孔を低減及び/又は排除することにより、いくつかの例において、複合材構造体42の公差要件を緩和することができるため、公差外の複合材構造体をスクラップすることによる廃棄物を低減することができる。これに加えて、或いはこれに代えて、本開示のファスナシステム30は、穿孔ステップの工程数低減及び/又は排除により、製造処理におけるサンディングの必要性を低減及び/又は排除することができる。これに加えて、或いはこれに代えて、本開示のファスナシステム30は、複合材構造体42における不均一をなくすことにより、複合材構造体42に対して部品40を固定する際のシムの取り付け(shimming)を低減及び/又は排除することができる。これに加えて、或いはこれに代えて、本開示のファスナシステム30は、複合材構造体42の片側のみのアクセスにより取り付け可能に構成されてもよい。
【0014】
したがって、アセンブリ50(本明細書においてはシステム50とも呼ばれる)は、ファスナシステム30及び複合材構造体42で形成することができる。複合材構造体42は、概して、第1ラミネート52、第2ラミネート54、及び/又は中間ラミネート56などの、複合材料の複数のラミネートを含み、中間ラミネート56を含む場合、当該ラミネートは、第1ラミネート52と第2ラミネート54との間に配置される。当業者にはよく知られているように、第1ラミネート52、第2ラミネート54、及び/又は中間ラミネート56の各々は、概して、複合材料の複数の層又はプライを含む。例えば、第1ラミネート52、第2ラミネート54、及び/又は中間ラミネート56の各々は、ポリマー強化炭素繊維の1つ以上の層で形成される。複合材構造体42にファスナシステム30が固定されると、第1ラミネート52と第2ラミネート54との間にカラープレート38が配置される。いくつかの例において、複合材料の中間ラミネート56の厚み58は、当該中間ラミネート56とカラープレート38とが実質的に面一になるように、カラープレート38の厚み59と実質的に等しくてもよい。
【0015】
アセンブリ50はまた、構造コネクタ60を含みうる。この構造コネクタは、ファスナシステム30の一部であってもよいし、ファスナシステム30に接続されてもよい。構造コネクタ60は、ファスナシステム30に部品40を接続する機能を有する。構造コネクタ60は、組み立てられるとその一部が、複合材構造体42の第1ラミネート52に隣接して配置される。
【0016】
ファスナシステム30のコンポーネント(例えば、レセプタクル34、拡開ネイル36、カラープレート38、及び/又は構造コネクタ60)は、限定するものではないが、ポリマー、金属、及び/又はポリマー強化複合材料(例えば、ポリマー強化炭素繊維)を含む任意の適切な材料で形成することができる。いくつかの例において、ファスナシステム30の1つ以上のコンポーネントは、同じ材料で形成されてもよい。例えば、レセプタクル34及び拡開ネイル36は、同じ金属で形成されてもよい。これに加えて、或いはこれに代えて、ファスナシステム30の1つ以上のコンポーネントは、互いに異なる材料で形成されてもよい。特定の一実施例においては、ファスナシステム30は、炭素繊維複合材料で形成されてもよい。いくつかの例において、ファスナシステム30のコンポーネントは、可撓性シーラントを使用して一緒に固定されてもよい。ファスナシステム30の複数の異なるコンポーネントが、それぞれ異なる熱膨張係数を有する例において、1つ以上のコンポーネントのそれぞれの材料は、温度変化に反応してファスナシステム30の1つ以上の他のコンポーネントの膨張又は収縮に対応するか、或いはこれを抑止するように選択される。例えば、ファスナシステム30は、負の熱膨張係数を有する材料で形成された1つ以上のコンポーネントを含み、当該1つ以上のコンポーネントは、温度が下降すると膨張するが、これとは対照的に、ファスナシステム30の1つ以上の他のコンポーネントは、温度が下降すると収縮するよう構成されている。
【0017】
いくつかの特定の実施例において、複合材構造体42は、航空機の胴体(例えば、航空機の胴体18)であり、複合材料の第1ラミネート52は、航空機の胴体18の内側スキン62であり、複合材料の第2ラミネート54は、航空機の胴体18の外側スキン64である。この態様においては、複合材料の第1ラミネート52の第1内面66が、航空機の胴体18の内部空間を向くように配置され、複合材料の第1ラミネート52の第1外面68が第1内面66の反対側で複合材料の第2ラミネート54を向くように配置される。
【0018】
次に、
図3~14を参照すると、システム50、ファスナシステム30、及び/又はこれらのコンポーネントの例示的且つ非排他的な例が、システム51、ファスナシステム61、及びこれらのコンポーネントの形態で示されている。なお、
図2の概略図で用いた参照符号を適宜用いることによって、システム51、ファスナシステム61、及び/又はこれらのコンポーネントの対応部分を示しているが、
図3~14に示す例は、非排他的であり、システム50、ファスナシステム30、及び/又はこれらのコンポーネントを、
図3~14に示す例に限定するものではない。すなわち、システム50、ファスナシステム30、及び/又はこれらのコンポーネントは、
図3~14に示す具体例に限定されるものではなく、
図2の概略図に示し且つ同図を参照して説明した任意の数の様々な態様、構成、特徴、特性など、及び/又は
図3~14に示す例、並びにこれらの変形例を含むことができ、その際、これらの態様、構成、特徴、特性などの全てを含む必要はない。簡潔化のために、前述したコンポーネント、部品、部分、態様、領域など、又はこれらの変形例の各々については、
図3~
図14の各々に関連付けて、再度説明、図示、及び/又は、符号付けしない場合がある。しかしながら、前述した特徴や変形例などをシステム51、ファスナシステム61、及び/又はこれらのコンポーネントと共に用いること、及びその逆もまた、本開示の範囲内である。
【0019】
図3は、複合構造体43(複合材構造体42の一例であって、複合材料の第1ラミネート52と複合材料の第2ラミネート54とを含む)に部分的に埋設されたファスナシステム61を用いて組み立てられたシステム51を示す若干概略的な断面図である。構造コネクタ60は、当該構造コネクタ60の少なくとも一部が複合材料の第1ラミネート52に隣接して配置されるように、レセプタクル70(レセプタクル34の一例)と係合する。ファスナシステム61はまた、レセプタクル70に挿入された拡開ネイル80(拡開ネイル36の一例)と、レセプタクル70に係合するとともに複合構造体43に埋設されたカラープレート90(カラープレート38の一例)とを含む。本明細書において以下で詳細に説明するが、リテーナ100もまた、レセプタクル70と係合している。したがって、レセプタクル70は、ファスナシステム61の他の複数のコンポーネントと係合するよう構成されている。
【0020】
図4は、ファスナシステム61のレセプタクル70を示しており、同図において、当該レセプタクルは、明瞭化のためにファスナシステム61の他のコンポーネントとは別に示されている。レセプタクル70は、第1群の受容溝72が形成された第1長状溝付面71と、第2群の受容溝74が形成された第2長状溝付面73とを含む。第1群及び第2群の受容溝72、74は、カラープレート90と係合するよう構成されている。
【0021】
レセプタクル70はまた、第1内側受容面75及び第2内側受容面76によって画定された受容部44を含む。この受容部44は、拡開ネイル80を受容するよう構成されており、拡開ネイル80が受容部44内に配置された状態においては、当該拡開ネイル80は、第1及び第2の内側受容面75、76と係合する。レセプタクル70の一端には降伏領域77が形成されており、当該降伏領域77とは反対側のレセプタクル70の他端には第2降伏領域77’が形成されている。降伏領域77、77’は、第1内側受容面75と第2内側受容面76との間に延在する。降伏領域77、77’は、レセプタクル70と他のコンポーネントとの係合に対応するために、ファスナシステム61が組み立てられるときに撓んだり圧縮されたりする。例えば、降伏領域77、77’を介してレセプタクル70が撓むことにより、レセプタクル70にカラープレート90が配置されたときに、第1及び第2の長状溝付面71、73を一時的且つ可逆的に互いに近付けることができる。これに加えて、或いはこれに代えて、降伏領域77、77’を介してレセプタクル70が撓むことにより、受容部44に拡開ネイル80が挿入されたときに、受容部44を拡げることができる(例えば、第1及び第2の長状溝付面71、73が互いから遠ざけられる)。例えば、拡開ネイル80が第1内側受容面75及び第2内側受容面76と係合してこれらの受容面を外側に押す力により、これらの受容面が相互に離れる方向に移動するが、その際、降伏領域77、77’は、ある程度の降伏を容認するように意図的に設計されている。例えば、レセプタクル70の様々な構造体の所望量の撓み又は追随変形(compliance)を許容するために、レセプタクル70の様々な例において、降伏領域77、77’の厚み121(
図13)を増減することができる。
【0022】
いくつかの例において、第1内側受容面75の少なくとも一部はローレット加工されている(knurled)。これに加えて、或いはこれに代えて、第2内側受容面76の少なくとも一部はローレット加工されていてもよい。これに加えて、或いはこれに代えて、第1内側受容面75の少なくとも一部、及び/又は第2内側受容面76の少なくとも一部は平滑であってもよい。
【0023】
レセプタクル70は、リテーナ100と係合するために、互いに反対側に配置された第1リテーナ受容凹部78と第2リテーナ受容凹部79とを含む。レセプタクル70は、第1リテーナ受容凹部78及び第2リテーナ受容凹部79でリテーナ100を受容するよう構成されている。例えば、
図5に示すように、リテーナ100は、第1長状部分101と第2長状部分102とを有する細長いU字形状のリテーナ100であってもよい。リテーナ100がレセプタクル70に配置されるとき、リテーナ100の第1長状部分101は第1リテーナ受容凹部78内に配置されるか、当該受容凹部と係合することになろう。また、第2長状部分102は第2リテーナ受容凹部79内に配置されるか、当該受容凹部と係合することになろう。いくつかの例において、リテーナ100がレセプタクル70に配置されたときに、第1及び第2の長状部分101、102のそれぞれの端部105がレセプタクル70と実質的に面一になるように、リテーナ100の長さ104は、レセプタクル70の長さ81(
図4)と実質的に等しい。他の例において、リテーナ100の長さ104は、レセプタクル70の長さ81よりも短くてもよい。さらに他の例において、リテーナ100の長さ104は、レセプタクル70の長さ81よりも長く、端部105がレセプタクル70を越えて延びていてもよい。
【0024】
リテーナ100は、レセプタクル70の第1リテーナ受容凹部78及び第2リテーナ受容凹部79と摺動嵌合(slip fit)してもよい。他の例において、リテーナ100は、第1リテーナ受容凹部78及び第2リテーナ受容凹部79と圧入嵌合(press fit)又は摩擦嵌合(friction fit)してもよい。リテーナ100は、概して、レセプタクル70が拡開ネイル80の挿入により外向きの圧力を受けるときに、降伏領域77、77’を介したレセプタクル70の拡張を制限及び/又は防止することなどによって、レセプタクル70を拘束するよう構成されている。これに加えて、或いはこれに代えて、リテーナ100は、拡開ネイル80がレセプタクル70に挿入されると、拡開ネイル80の周りでレセプタクル70を保持及び/又は拘束して、レセプタクル70内に拡開ネイル80を保持するよう構成することができる。リテーナ100は、拡開ネイル80が挿入される前にレセプタクル70に配置されてもよいし、拡開ネイル80がレセプタクル70に挿入された後にレセプタクル70に配置されてもよい。いくつかの例において、リテーナ100は、レセプタクル70に当該リテーナ100を固定するための1つ以上のファスナのそれぞれを受容する1つ以上の穴106を含みうる。特定の一実施例においては、リテーナ100は、拡開ネイル80が挿入される前にレセプタクル70に配置され、1つ以上のファスナもまた、拡開ネイルがレセプタクル70に挿入される前にリテーナ100の穴106内に配置されてもよい。このようなファスナは、リテーナがレセプタクル70に配置されると、レセプタクル70の周りでリテーナ100を締め付ける機能を有しうる。このようなファスナは、拡開ネイル80がレセプタクル70に挿入され、レセプタクル70を外側に押圧するときに伸長するよう構成することができる。例えば、1つ以上のファスナは、穴106に挿入されるか、或いはこれを貫通し、拡開ネイル80が挿入される前に荷重負荷される。いくつかの例において、拡開ネイル80が挿入されるとき、当該拡開ネイルは、穴106に挿入されたファスナを伸長させることにより、二次負荷を付与するよう構成される。
【0025】
図5に示すように、リテーナ100のいくつかの例において、第1長状部分101は、第2長状部分102と実質的に平行である。
図5に示すリテーナ100の例において、第1長状部分101は、レセプタクル70への拡開ネイル80の挿入に対応するのに十分な距離107をあけて、第2長状部分102から離間している。例えば、距離107は、少なくとも拡開ネイル80(
図6)の下側部分83の幅82と等しくてもよい。距離107は、第1長状部分101と第2長状部分102とを接続する接続部103によって規定される。いくつかの例において、接続部103は、第1長状部分101及び第2長状部分102に対して実質的に垂直な垂直部103である。したがって、リテーナ100は、この例においては直線的なU字形状であるが、他の例においては、第1及び第2の長状部分101、102は、互いに平行でなくてもよいし、接続部103は、第1長状部分101及び/又は第2長状部分102に対して垂直でなくてもよい。
【0026】
レセプタクル70はまた、構造コネクタ60を受容するよう構成されている。リテーナ100及び/又は構造コネクタ60は、製造業者によって使用される前にレセプタクル70に接続されてもよい。例えば、供給業者は、リテーナ100及び/又は構造コネクタ60をレセプタクル70に接続して形成されるファスナアセンブリ32(
図2;
図7)をキットとして製造業者に供給してもよい。
図7に示すように、ファスナアセンブリ32は、リテーナ100及び構造コネクタ60が係合、結合、及び/又は配置されたレセプタクル70を含みうる。
図4及び5に関連して説明したように、リテーナ100は、レセプタクル70と係合する。
図8に示すように、構造コネクタ60(本明細書においてはシャータイ65の例で示されている)は、細長い湾曲したL字形状であるが、構造コネクタ60は、任意の適切な形状であってもよい。様々な例において、構造コネクタ60は、部品と複合材構造体に結合するよう構成されたシャータイ、フィッティング、ブラケット、インターコスタル、及び/又は他の任意の構造コネクタであってもよい。構造コネクタ60の形態に関係なく、当該構造コネクタは、概して、本明細書においてはスロット67とも呼ばれるスロット開口部67を含み、当該スロット開口部は、これを貫通するレセプタクル70を受容してレセプタクル70と係合するよう構成されている。構造コネクタ60がシャータイ65である例において、スロット開口部67は、シャータイスロット69であってもよい。
【0027】
レセプタクル70に構造コネクタ60を固定するために、スロット開口部67にレセプタクル70の一部を挿入してもよい。例えば、構造コネクタ60とレセプタクル70とを係合させるために、構造コネクタ60のスロット開口部67にレセプタクル70の下側部分84が挿入される。他の例においては、構造コネクタ60とレセプタクル70とを係合させるために、スロット開口部67にレセプタクル70の上側部分85(例えば、第1長状溝付面71及び第2長状溝付面73)が挿入される。いくつかの例においては、スロット開口部67に上側部分85を挿入するために、降伏領域77、77’を介して第1長状溝付面71及び第2長状溝付面73を圧縮して互いに近付けなければならない場合がある。構造コネクタ60がレセプタクル70に取り付けられると、第1及び第2の長状溝付面71、73は、応力が加わっていない元の状態に跳ね返るか、或いは回復する。この状態においては、上側部分85の幅が構造コネクタ60のスロット開口部67の幅よりも大きいために、構造コネクタ60がレセプタクル70に保持されるので、当該構造コネクタを所定位置で固定するのに本質的に役立つ。リテーナ100は、レセプタクル70に構造コネクタ60を係合させた後、又は、レセプタクル70に構造コネクタ60を係合させる前に、レセプタクル70に配置することができる。
【0028】
図3に最も明確に示すように、また
図4を参照すると、構造コネクタ60がレセプタクル70と係合した状態において、構造コネクタ60は、レセプタクル70の第1外壁86、第1長状溝付面71の第1下面87、レセプタクル70の第2外壁88、及び/又は第2長状溝付面73の第2下面89と係合する。
【0029】
次に
図9を参照すると、ファスナアセンブリ32が複合材料の第1ラミネート52と係合している。いくつかの特定の実施例において、複合材料の第1ラミネート52は、航空機の胴体の内側スキンなどの、航空機の内側スキンであってもよい。構造コネクタ60のスロット開口部67と同様に、第1ラミネート52は、レセプタクル70の一部を挿入してファスナアセンブリ32と第1ラミネート52とを係合させるための受容穴91を含む。受容穴91は、概して、第1ラミネート52の第1内面66から第1外面68まで延びている。
図9に示すように、構造コネクタ60の少なくとも一部92は、第1ラミネート52に隣接して、具体的には例えば、第1ラミネート52の第1内面66に隣接して配置されており、当該第1内面66と接触している。この例において、上述した構造コネクタ60の一部92は、リテーナ100と第1ラミネート52の第1内面66との間に介在している。第1ラミネート52の受容穴91は、第1ラミネート52がレセプタクル70の第1長状溝付面71及び第2長状溝付面73と係合するように、レセプタクル70に対して配置される。
【0030】
図10に示すように、複合材料の中間ラミネート56は、第1ラミネート52の第1外面68に積層されている。中間ラミネート56は、ポケット93を含み、当該ポケットは、
図11に示すように、ファスナアセンブリ32の一部、及びカラープレート90を受容するよう構成されている。カラープレート90は、当該カラープレート90がポケット93内に配置されたときに、当該カラープレート90の上側カラープレート面94が中間ラミネート56の外面95と実質的に面一になるように、中間ラミネート56及びポケット93に対して寸法及び形状が設定される。例えば、カラープレート90(
図2、12)の厚み59は、中間ラミネート56(
図2)の厚み58と実質的に等しい。
図11に最も明確に示すように、カラープレート90の寸法及び形状(例えば、表面領域)は、中間ラミネート56のポケット93の寸法及び形状と実質的に等しい。例えば、カラープレート90の外側プレート周縁118は、カラープレート90がポケット93内にしっかりと嵌まるように、ポケット93のポケット周縁119と実質的に同じ寸法及び形状を有する。いくつかの例において、カラープレート90は、ポケット93のポケット周縁119に対して、摺動嵌合、摩擦嵌合、又は圧入嵌合している。いくつかの例においては、カラープレート90がポケット93に挿入された状態において、外側プレート周縁118とポケット周縁119との間に小さな隙間が存在する。いくつかの例において、このような隙間は、カラープレート90が配置されるときに、フィラー材料及び/又は樹脂で充填される。いくつかの例において、ポケット93は、カラープレート90の周りに形成される(例えば、カラープレート90は、中間ラミネート56が積層される前に第1ラミネート52上に配置される)。
【0031】
図11及び12を参照すると、カラープレート90は、開口部46を含み、当該開口部は、これを貫通するレセプタクル70を受容するよう構成されている(ただし、
図12は、明瞭化のために、レセプタクル70を省略してカラープレート90を示している)。したがって、レセプタクル70の第1長状溝付面71及び第2長状溝付面73が、カラープレート90の開口部46に少なくとも部分的に挿入されるように当該カラープレート90をポケット93内に配置することにより、カラープレート90をファスナアセンブリ32(及び、ファスナシステム61)と係合させることができる。したがって、カラープレート90の開口部46は、レセプタクル70の第1長状溝付面71及び第2長状溝付面73に外嵌するように寸法及び形状が決められる。いくつかの例においては、開口部46にレセプタクル70の上側部分85を挿入するために、降伏領域77、77’を介して第1長状溝付面71及び第2長状溝付面73を圧縮して互いに近付けることが必要な場合がある。このように、降伏領域77、77’は、レセプタクル70上にカラープレート90を配置できる程度に十分にレセプタクル70を変形させることができるよう構成されている。カラープレートの厚み59(
図12)は、ファスナシステム61のポケット93内にカラープレート90を配置したときに、カラープレート90の上側カラープレート面94がレセプタクル70の上側受容面96と実質的に面一になるように設定される。
【0032】
図12に示すように、カラープレート90は、第1群の段付溝97と第2群の段付溝98とを含み、これらの段付溝は、互いに反対側に配置されるとともに、部分的に開口部46を画定している。
図3に最も明確に示すように、カラープレート90がファスナアセンブリ32と係合した状態において、第1群の段付溝97は、第1群の受容溝72と係合し、第2群の段付溝98は、第2群の受容溝74と係合する。
図12を参照すると、第1群の段付溝97は、開口部46の第1傾斜面108に形成されており、第2群の段付溝98は、開口部46の第2傾斜面109に形成されている。概して、第1傾斜面108及び第2傾斜面109は、上側カラープレート面94に対して非垂直であり、且つ下側カラープレート面99に対して非垂直であり(下側カラープレート面99は、上側カラープレート面94の反対側に位置する)、開口部46は、上側カラープレート面94から下側カラープレート面99まで延びている。すなわち、開口部46の高さ110は、カラープレートの厚み59と等しい。
図3に最も明確に示すように、カラープレート90は、概して、構造コネクタ60の一部がリテーナ100とカラープレート90との間でレセプタクル70と係合するように、ファスナシステム51内に配置されている(この例においては、複合材料の第1ラミネート52もまた、リテーナ100とカラープレート90との間に配置されている)。
【0033】
図3、6、及び11を参照すると、拡開ネイル80は、カラープレート90に対してレセプタクル70の受容部44を拡げるように、レセプタクル70内に配置される。いくつかの例において、カラープレート90の第1群の段付溝97及び第2群の段付溝98は、レセプタクル70の受容部44に拡開ネイル80が挿入されたときに、変形するよう構成されている。同様に、いくつかの例において、第1群の受容溝72及び第2群の受容溝74は、レセプタクル70に拡開ネイル80が挿入されたときに、変形する。拡開ネイル80の挿入によるレセプタクル70の拡張及び変形により、レセプタクル70とカラープレート90とが(例えば、レセプタクル70の受容溝72、74とカラープレート90の段付溝97、98とが)係止される。カラープレート90は、挿入される拡開ネイル80からの負荷を分散させるように形状及び寸法が決められる。例えば、カラープレート90は、複合構造体43における負荷を十分に分散させることにより、拡開ネイル80がレセプタクル70に挿入されたときに、第1ラミネート52、中間ラミネート56、第2ラミネート54、及び/又は構造コネクタ60の破損を防ぐよう構成されている。
【0034】
図13に最も明確に示すように、レセプタクル70は、拡開ネイル80を受容するためのスロット状開口部111を含む。拡開ネイル80が(
図3及び6)がレセプタクル70に挿入される際、当該拡開ネイル80の下側部分83がスロット状開口部111に挿入される。スロット状開口部111は、実質的にレセプタクル70の全長112に沿って、降伏領域77と降伏領域77’との間に延在する。
図3及び4に最も明確に示すように、拡開ネイル80がレセプタクル70に完全に挿入された状態においては、拡開ネイル80の下側部分83は、レセプタクル70の第1押圧面113と第2押圧面114との間に受容される。いくつかの例において、レセプタクル70に拡開ネイル80を挿入すると、当該拡開ネイル80は、第1押圧面113及び第2押圧面114を変形させる。これに加えて、或いはこれに代えて、拡開ネイル80がレセプタクル70内に配置されると、当該拡開ネイル80の下側部分83は、第1押圧面113及び第2押圧面114を外側に押圧してもよい。したがって、拡開ネイル80は、レセプタクル70の上側部分85(例えば、第1長状溝付面71及び第2長状溝付面73)とレセプタクル70の下側部分84(例えば、第1押圧面113及び第2押圧面114)の両方に対して力を加えるよう構成されてもよい。いくつかの例においては、レセプタクル70にリテーナ100が配置されると、当該リテーナ100は、第1押圧面113及び第2押圧面114を内側に押圧する。
【0035】
図6に最も明確に示すように、拡開ネイル80は、下側部分83に接続されるか、或いはこれと一体形成された楔形部分115を含む。楔形部分115は、第1係合面116と第2係合面117とを含み、これらの係合面は、拡開ネイル80がレセプタクル70に挿入されたときにレセプタクル70と係合するよう構成されている。例えば、
図3に最も明確に示すように、楔形部分115は、第1係合面116がレセプタクル70の第1内側受容面75と係合し、且つ第2係合面117がレセプタクル70の第2内側受容面76と係合するように、レセプタクル70の受容部44に受容される。第1及び第2の係合面116、117は、概して、拡開ネイル80が上面120から下側部分83へ向かって先細になるように、傾斜している。この形態において、拡開ネイル80は、当該拡開ネイル80がレセプタクル70の受容部44に深く押し込まれる程、より強くレセプタクル70の内側から外側に向かって当該レセプタクルを押圧するよう構成されている。レセプタクル70は、拡開ネイル80がレセプタクル70に挿入、又は押入されると(例えば、第1長状溝付面71が第2長状溝付面73から遠ざかることにより)当該レセプタクル70が拡がるように、拡開ネイル80に対して寸法が設定されてもよい。
【0036】
いくつかの例において、第1係合面116の少なくとも一部はローレット加工されている。これに加えて、或いはこれに代えて、第2係合面117の少なくとも一部がローレット加工されていてもよい。非限定的且つ例示的な実施形態として、
図6に示すように、いくつかの例においては、波括弧122で示す第1係合面116の一部(及び、第2係合面117の対応する部分)はローレット加工されており、波括弧123で示す第1及び第2の係合面116、117の一部は、実質的に平滑面である。もちろん、拡開ネイル80の様々な例においては、第1及び/又は第2の係合面116、117の一部又は全てがローレット加工されていてもよいし、第1及び/又は第2の係合面116、117の一部又は全てが実質的に平滑であってもよい。すなわち、様々な例において、波括弧122、123で示す部分は、それぞれ、
図6に示すよりも大きくてもよいし、小さくてもよい。これに加えて、或いはこれに代えて、波括弧122、123で示す部分の相対位置は、入れ替えることができる。いくつかの例において、第1及び第2の係合面116、117は、互いに離間するローレット加工面、及び/又は平滑面を含んでいてもよく、例えば、第1及び第2の係合面116、117における別々の異なった位置に分散配置されたローレット加工面、及び/又は平滑面を含んでいてもよい。
【0037】
いくつかの例において、拡開ネイル80、カラープレート90、及び/又はレセプタクル70は、いずれも、同じ金属、同じポリマー、又は同じ複合材料などの、同じ材料で形成することができる。他の例においては、拡開ネイル80、カラープレート90、及び/又はレセプタクル70は、複数の異なる材料で形成することができる。例えば、トルクネイル80、カラープレート90、及び/又はレセプタクル70は、複数の異なる金属、異なるポリマー、及び/又は異なる複合材料で形成することができる。いくつかの例において、拡開ネイル80は、金属で形成することができ、レセプタクル70は、ポリマーで形成することができ、その逆であってもよい。摩擦、変形、及び/又は自己拡散(self-diffusion)の組み合わせは、拡開ネイル80とレセプタクル70とを接合するのに役立ちうる。これに加えて、或いはこれに代えて、摩擦、変形、及び/又は自己拡散の組み合わせは、カラープレート90とレセプタクル70とを接合するのに役立ちうる。少なくとも部分的に自己拡散によってこれらのコンポーネントの接合する例においては、各コンポーネントの少なくとも一部が同じ材料で形成されている。例えば、拡開ネイル80の少なくとも一部、及びレセプタクル70の少なくとも一部が互いに接触する部分で自己拡散が生じるように、これらの部分は同じ金属で形成されてもよい。同様に、カラープレート90の少なくとも一部、及びレセプタクル70の少なくとも一部が互いに接触する部分で自己拡散が生じるように、これらの部分は同じ金属で形成されてもよい。いくつかの例において、自己拡散のために構成された領域は、自己拡散を容易にするために平滑化されてもよい。これに加えて、或いはこれに代えて、カラープレート90、拡開ネイル80、及び/又はレセプタクル70の少なくとも一部は、他のそれぞれの表面と摩擦係合するために、ローレット加工又は粗面加工されてもよい。
【0038】
拡開ネイル80及びカラープレート90が
図11に示すように配置されると、
図14に示すように、複合材料の第2ラミネート54が積層されて、第1ラミネート52と第2ラミネート54との間にカラープレート90を密閉する。第2ラミネート54は、上側カラープレート面94、及び中間ラミネート56の外面95に積層され、これによって、拡開ネイル80の一部とレセプタクル70の一部とが複合構造体43内に密閉される。特定の一実施例においては、複合構造体43は、航空機の胴体であってもよく、第1ラミネート52は、当該胴体の内側スキンであって、第2ラミネート54は、当該胴体の外側スキンであってもよい。したがって、ファスナシステム61を使用することにより、第1ラミネート52及び第2ラミネート54に穴を開けることなく、複合構造体43に対して部品を固定することができる。このような部品は、例えば、航空機の胴体のフレーム、フィッティング、及び/又はブラケットを含み、ファスナシステム61を介して複合構造体43に直接的に固定されてもよいし、構造コネクタ60によって複合構造体43に固定されてもよい。
【0039】
図15~16は、本開示による例示的且つ非排他的な方法の例を示す概略的フローチャートである。
図15~16において、破線のボックスで示すステップは、これらのステップが任意のものであるか、或いは本開示による方法の任意の態様に対応していることを示す。ただし、本開示による全ての方法が、実線のボックスで示すステップを含む必要があるわけではない。
図15~16に示す方法及びステップは、限定的なものではなく、他の方法及びステップも本開示の範囲内であり、本明細書における説明から理解されるように、より多くのステップ又はより少ないステップを含む方法も本開示の範囲に含まれる。
【0040】
図15は、複合材構造体(例えば、複合材構造体42)に対してファスナアセンブリ(例えば、ファスナアセンブリ32)を組み立てる方法300を示す。方法200は、概して、202において、ファスナアセンブリのレセプタクル(例えば、レセプタクル34)にファスナアセンブリのリテーナ(例えば、リテーナ100)を配置することを含む。方法200は、さらに、204において、レセプタクルにファスナアセンブリの構造コネクタ(例えば、構造コネクタ60)を配置することを含み、当該ファスナアセンブリは、構造コネクタを介して複合構造体に部品を接続するよう構成されている。204においてレセプタクルに構造コネクタを配置することは、レセプタクル70の第1及び第2の長状溝付面71、73などの、レセプタクルの一部を圧縮すること、及び/又は塑性変形させることを含みうる。いくつかの例において、204においてレセプタクルに構造コネクタを配置することは、レセプタクルの一部を応力が加わっていない状態に戻すことにより、レセプタクルに構造コネクタを固定することをさらに含む。
【0041】
いくつかの特定の実施例において、202においてリテーナを配置することは、レセプタクルの第1リテーナ受容凹部(例えば、第1リテーナ受容凹部78)及び第2リテーナ受容凹部(例えば、第2リテーナ受容凹部79)にリテーナを摺動嵌合させることを含む。いくつかの方法200は、206においてリテーナに少なくとも1つのファスナを取り付けることにより、レセプタクルの周りでリテーナを締め付け及び/又は固定することを含む。いくつかの例において、202において構造コネクタを配置することは、204において構造コネクタを配置した後に行われる。他の例において、202において構造コネクタを配置することは、204において構造コネクタを配置する前に行われる。いくつかの例において、204において構造コネクタを配置することは、構造コネクタにリテーナを接触させることを含みうる。
【0042】
いくつかの方法200は、208において構造コネクタにスロット開口部(例えば、スロット開口部67)を形成することを含み、208におけるスロット開口部の形成は、204においてレセプタクルに構造コネクタを配置する前に行われる。208におけるスロット開口部の形成は、概して、レセプタクルに構造コネクタを固定するために、レセプタクルの一部(例えば、上側部分85又は下側部分84)に外嵌する寸法及び形状を有するスロット開口部を形成することを含む。いくつかの例において、方法200は、複合構造体にファスナシステムを取り付ける前に実行してもよいし、当該ファスナシステムの取り付けを行う場所から離れて実行されてもよい。例えば、方法200は、製造業者によって使用されるためのファスナアセンブリを提供するために、供給業者によって実行されてもよい。他の例において、方法200は、本開示のファスナシステムを取り付けるための他のステップと実質的に同時に、及び/又は同じ場所で実行されてもよい。
【0043】
図16は、本開示のファスナシステム(例えば、ファスナシステム30)を取り付けるための方法300を示す。このようなファスナシステムは、複合材構造体に部品を接続するため、具体的には例えば、航空機の胴体スキンにフレームを接続するために用いることができ、その際、フレームを固定するためにスキンに穴をあける必要がない。方法300は、概して、302において、受容穴(例えば、受容穴91)が形成された複合材料の第1ラミネート(例えば、第1ラミネート52)を形成することと、304において、複合材料の第1ラミネートに対してファスナアセンブリ(例えば、ファスナアセンブリ32)を配置し、その際、ファスナアセンブリのレセプタクル(例えば、レセプタクル70)が第1ラミネートの受容穴に部分的に挿入されるとともに、第1ラミネートがファスナアセンブリの構造コネクタ(例えば、構造コネクタ60)と接触するようにすることと、を含む。いくつかの例において、304においてファスナアセンブリを配置することは、複合材構造体の内側領域に対応する第1ラミネートの内面から当該第1ラミネートにアクセスすることにより実行される。いくつかの方法300においては、304においてファスナアセンブリを配置する前に、例えば、
図15に関連して先に詳述した方法200のいずれかを実行することにより、200においてファスナアセンブリが組み立てられる。200におけるファスナアセンブリの組み立ては、レセプタクルの降伏領域の厚み(例えば、降伏領域77、77’の厚み121)を選択し、その際、当該降伏領域が、ファスナシステムの拡開ネイル、及び/又はカラープレートの挿入に十分に対応できるように厚みを選択することを、さらに含む。
【0044】
いくつかの特定の実施例において、304においてファスナアセンブリを配置することは、構造コネクタの一部が、複合材料の第1ラミネートとファスナアセンブリのリテーナ(例えば、リテーナ100)との間に配置されるように、ファスナアセンブリを配置することを含む。304において、ファスナアセンブリが第1ラミネートに対して配置されると、306において、複合材料の中間ラミネート(例えば、中間ラミネート56)が積層される。中間ラミネートは、306において第1ラミネートに積層されるが、通常、第1ラミネートの第1外面(例えば、第1外面68)に積層される。306における中間ラミネートの積層は、第1ラミネートに固定することにより、第1ラミネートに付着させることにより、及び/又は第1ラミネートに直接レイアップすることにより、行われてもよい。306における中間ラミネートの積層は、中間ラミネートを形成する材料層を積層することを含み、その際、ファスナアセンブリのレセプタクルの少なくとも一部を受容するよう構成されたポケット(例えば、ポケット93)を中間ラミネートに形成するようにする。ポケットはまた、ファスナシステムのカラープレート(例えば、カラープレート90)を受容するよう構成されている。ポケットは、中間ラミネートを形成するときに、開口部が予め形成された材料層をレイアップして形成することができ、その際、それぞれの層における開口部のそれぞれの位置を合わせることにより、中間ラミネートのポケットが形成される。他の例において、ポケットは、中間ラミネートの層がレイアップされた後に、例えば、中間ラミネートのポケットを切り取ることによって形成することができる。さらに他の例において、306における中間ラミネートの積層は、第1ラミネートにカラープレートが配置された後に、当該カラープレートの周りにポケットが形成されるように、カラープレートの周りに材料層を積層することにより実行することができる。
【0045】
304においてファスナアセンブリが配置されると、308において、カラープレートに形成されたスロット開口部(例えば、開口部46)にレセプタクルの一部が挿入されるように、当該レセプタクルに対してカラープレートを載置することにより、当該カラープレートを配置することができる。例えば、カラープレートを配置するときに、当該カラープレートの開口部に、レセプタクルの第1及び第2の長状溝付面(71、73)が挿入されるようにしてもよい。カラープレート308を配置するときに、カラープレートの下側プレート面(例えば、下側カラープレート面99)が、第1ラミネートの第1上面(例えば、第1外面68)と接触する。いくつかの方法300においては、308においてファスナシステムのカラープレートが配置される前に、306において中間ラミネートが積層され、当該カラープレートは、中間ラミネートのポケット内に配置される。いくつかの方法300においては、カラープレートの周りに中間ラミネートのポケットが形成されるように、306において中間ラミネートが積層される前に308においてカラープレートが配置される。
【0046】
308においてカラープレートを配置することは、カラープレートの第1群の段付溝(例えば、第1群の段付溝97)とレセプタクルの第1群の受容溝(例えば、第1群の受容溝72)とを係合させることにより、カラープレートとレセプタクルとを一緒に固定することを含む。同様に、カラープレートの第2群の段付溝(例えば、第2群の段付溝98)とレセプタクルの第2群の受容溝(例えば、第2群の受容溝74)とを係合させてもよい。このようにカラープレートとレセプタクルとが係合すると、カラープレートの段付溝、及び/又はレセプタクルの受容溝が、レセプタクルに対するカラープレートの圧力により変形して、これら2つの構造体を一緒に固定するよう機能する。これに加えて、或いはこれに代えて、カラープレート及びレセプタクルは、これらの間に自己拡散が生じて当該カラープレートと当該レセプタクルとが接合するよう構成されてもよい。一般に、308においてカラープレートを配置する際、カラープレートの下の複合材料の第1ラミネート内で樹脂が不均一にばらけるのを抑制、及び/又は実質的に回避できる程度にゆっくりと、カラープレートを配置する。
【0047】
方法300はまた、310において、レセプタクルにファスナシステムの拡開ネイル(例えば、拡開ネイル80)を挿入することを含む。いくつかの例においては、310で拡開ネイルを挿入すると、拡開ネイルがレセプタクルの受容面を外側に押す力により当該レセプタクルが拡げられる。310における拡開ネイルの挿入は、拡開ネイルがレセプタクルに変形荷重を与えるように、当該拡開ネイルをレセプタクルに押入することを含みうる。これに加えて、或いはこれに代えて、310で拡開ネイルを挿入すると、ファスナシステムのリテーナ及び/又はカラープレートにおいて変形荷重が生じうる。拡開ネイルは、310において、複合材料の第1ラミネートの外面(例えば、第1外面68)などの、ファスナシステムの外側から挿入される。304においてファスナアセンブリを配置すること、308においてカラープレートを配置すること、及び/又は310において拡開ネイルを挿入することなどの方法300の様々なステップは、ファスナシステムの1つ以上の表面を洗浄及び/又は平滑化して、対応する係合面間の自己拡散を促すことを含みうる。例えば、そのようなステップは、拡開ネイルの第1係合面、拡開ネイルの第2係合面、レセプタクルの第1内側受容面、及び/又はレセプタクルの第2内側受容面を洗浄及び/又は平滑化することを含みうる。
【0048】
308においてカラープレートが配置され、310において拡開ネイルが挿入されると、312において複合材料の外側ラミネート(例えば、第2ラミネート54)が積層される。外側ラミネートは、概して312において積層され、その際、当該外側ラミネートが、ファスナシステムのカラープレートを覆うことにより、複合材料の外側ラミネートと、複合材料の内側ラミネートとの間にカラープレートが密閉又は埋設される。312で外側ラミネートを積層することはまた、当該外側ラミネートで中間ラミネートの少なくとも一部を覆うことを含みうる。いくつかの方法においては、中間ラミネートの全体が外側ラミネートで覆われるが、他の例においては、中間ラミネートの一部が外側ラミネートの縁を越えて延びていてもよい。いくつかの方法においては、カラープレートは、中間ラミネートを含むことなく、複合材料の内側と外側のラミネートのみの間に密閉されていてもよい。
【0049】
いくつかの方法300は、314において、複合材構造体に部品を固定することを含む(複合材構造体は、複合材料の第1ラミネート、中間ラミネート、及び/又は外側ラミネートで形成される)。例えば、314において複合材構造体に部品を固定することは、304においてファスナアセンブリを配置する前、或いは、312において外側ラミネートを積層した後などの、方法300の他の任意の段階において、ファスナシステムの構造コネクタに部品を固定することを含みうる。いくつかの例において、314において複合材構造体に部品を固定することは、312において外側ラミネートを積層する前、及び/又は306において中間ラミネートを積層する前に実行することができる。いくつかの方法300において、314において複合材構造体に部品を固定することは、312における外側ラミネートの積層が完了するまで、ツールを使用して部品を所定位置に保持することを含む。314において複合材構造体に部品を固定することは、例えば、複合材料の第1ラミネートの第1内面に隣接する構造コネクタにアクセスすることによって、複合構造体の内側領域から構造コネクタに部品を接続することを含みうる。312において積層される複合材料の外側ラミネートは、積層された状態において複合材構造体の外側領域を形成しうる。このようにして、方法300は、概して、ラミネート(例えば、航空機のスキン)が積層されるときに、複合構造体に部品を接続することを含む。
【0050】
方法300は、316において、ファスナシステム及びこれに接続された部品とともに、複合材構造体を加熱することを含みうる。316における加熱は、例えば、複合材料の内側ラミネート、複合材料の中間ラミネート、及び/又は複合材料の外側ラミネートを硬化させるために実行される。いくつかの例においては、316において複合材構造体を加熱すると、部品が歪除去される場合があるが、これは、当該部品(又は、複数の部品)が、複合材構造体の硬化前に当該複合材構造体に既に取り付けられることによるものである。特定の一実施例においては、316における複合材構造体の加熱は、オーブン又はオートクレーブ内に複合材構造体(及び、1つ以上の本開示のファスナシステムを介してこれに接続された全ての部品)を配置することと、複合材構造体を硬化させるのに十分な温度まで当該複合材構造体を加熱することとを含む。例えば、316における複合材構造体の加熱は、複合材構造体のラミネート(例えば、パネルスキン)を硬化させるのに十分な時間に亘って、少なくとも100°F、少なくとも150°F、少なくとも200°F、少なくとも250°F、少なくとも300°F、少なくとも350°F、少なくとも400°F、少なくとも450°F、少なくとも500°F、少なくとも550°F、及び/又は少なくとも600°Fの温度まで複合材構造体を加熱することを含む。いくつかの例において、方法300の一部又は全てのステップは、自動化することができる。例えば、304において、1つ以上のファスナアセンブリが複合材構造体に配置されると、314において、自動化技術により、複合材構造体に1つ以上の部品を固定することができる。
【0051】
本開示による発明の要旨の例示的且つ非排他的な例は、以下に列挙する付記に記載されている。
【0052】
A1.複合材構造体に部品を接続するためのファスナシステムであって、レセプタクルと、拡開ネイルと、カラープレートと、を含み、
前記レセプタクルは、前記複合材構造体に少なくとも部分的に埋設されるよう構成されており、
前記拡開ネイルは、前記レセプタクルに少なくとも部分的に受容されるよう構成されるとともに、前記レセプタクルの受容部に押し込まれたときに前記受容部を拡げるように、前記レセプタクルに対して寸法及び形状が設定されており、
前記カラープレートは、前記複合材構造体に埋設されるとともに、前記受容部に押し込まれる前記拡開ネイルからの力を分散させるよう構成されており、前記ファスナシステムは、前記部品及び前記複合材構造体に結合して、前記複合材構造体に前記部品を接続するよう構成されている、ファスナシステム。
【0053】
A2.前記カラープレートは、当該カラープレートを貫通する前記レセプタクルを受容するよう構成された開口部を含む、付記A1に記載のファスナシステム。
【0054】
A3.前記拡開ネイルは、前記レセプタクルの前記受容部に挿入されたときに、前記カラープレートに対して前記レセプタクルの前記受容部を拡げるよう構成されている、付記A1又はA2に記載のファスナシステム。
【0055】
A4.前記カラープレートの前記開口部は、第1群の段付溝と第2群の段付溝とを含み、前記第1群の段付溝は、前記第2群の段付溝とは反対側に配置されている、付記A1~A3のいずれかに記載のファスナシステム。
【0056】
A5.前記第1群の段付溝及び前記第2群の段付溝は、前記拡開ネイルが前記レセプタクルの前記受容部に挿入されると、塑性変形するよう構成されている、付記A4に記載のファスナシステム。
【0057】
A6.前記カラープレートは下側カラープレート面と上側カラープレート面とを含み、前記上側カラープレート面は、前記下側カラープレート面の反対側に位置しており、前記開口部は、前記開口部の高さが前記カラープレートの厚みと等しくなるように、前記上側カラープレート面から前記下側カラープレート面まで延在している、付記A1~A5のいずれかに記載のファスナシステム。
【0058】
A7.前記カラープレートの第1群の段付溝は、前記レセプタクルの第1群の受容溝と係合するよう構成されており、前記カラープレートの第2群の段付溝は、前記レセプタクルの第2群の受容溝と係合するよう構成されている、付記A1~A6のいずれかに記載のファスナシステム。
【0059】
A8.前記カラープレートの第1群の段付溝は、前記カラープレートの前記開口部の第1傾斜面に形成されており、前記第1傾斜面は、前記カラープレートの上側カラープレート面、及び前記カラープレートの下側カラープレート面に対して非垂直であり、前記カラープレートの第2群の段付溝は、前記カラープレートの前記開口部の第2傾斜面に形成されており、前記第2傾斜面は、前記上側カラープレート面及び前記下側カラープレート面に対して非垂直である、付記A1~A7のいずれかに記載のファスナシステム。
【0060】
A9.前記カラープレートは、前記拡開ネイルが前記レセプタクルに挿入されたときの前記部品の破損を防ぐために、前記複合材構造体における負荷を十分に分散させるような寸法及び形状に設定されている、付記A1~A8のいずれかに記載のファスナシステム。
【0061】
A10.前記カラープレートの前記開口部は、前記レセプタクルの第1長状溝面、及び前記レセプタクルの第2長状溝付面に外嵌するように寸法及び形状が設定される、付記A1~A9のいずれかに記載のファスナシステム。
【0062】
A11.前記レセプタクルは、第1群の受容溝及び第2群の受容溝を含み、前記第1群の受容溝及び前記第2群の受容溝は、前記カラープレートに係合するよう構成されている、付記A1~A10のいずれかに記載のファスナシステム。
【0063】
A12.前記レセプタクルは、前記拡開ネイルが前記レセプタクルに挿入されると拡がって、前記カラープレートの第1群の段付溝、前記カラープレートの第2群の段付溝、前記レセプタクルの第1群の受容溝、及び/又は前記レセプタクルの第2群の受容溝を変形させるよう構成されている、付記A1~A11のいずれかに記載のファスナシステム。
【0064】
A13.前記拡開ネイルの挿入による前記レセプタクルの拡張及び変形により、前記レセプタクルと前記カラープレートとが係止される、付記A1~A12のいずれかに記載のファスナシステム。
【0065】
A14.前記レセプタクルは、降伏領域を含み、当該降伏領域は、前記レセプタクル上に前記カラープレートを位置決めできる程度に十分に前記レセプタクルを作動させることができるよう構成されている、付記A1~A13のいずれかに記載のファスナシステム。
【0066】
A15.前記レセプタクルは、第1長状溝付面と、第2長状溝付面と、前記拡開ネイルを受容するための前記受容部と、降伏領域と、を含み、
前記第1長状溝付面は、第1群の受容溝を有しており、
前記第2長状溝付面は、第2群の受容溝を有しており、
前記受容部は、第1内側受容面及び第2内側受容面によって画定されており、
前記降伏領域は、前記第1内側受容面と前記第2内側受容面との間に配置されており、前記降伏領域は、前記カラープレートが前記レセプタクルに取り付けられるときに、前記第1長状溝付面及び前記第2長状溝付面を互いに近付けるように撓んだり圧縮されたりする構成とされるとともに、前記拡開ネイルが前記受容部に挿入されたときに前記第1長状溝付面及び前記第2長状溝付面を互いから遠ざけるように前記受容部を拡げる構成とされている、付記A1~A14のいずれかに記載のファスナシステム。
【0067】
A16.前記第1内側受容面の少なくとも一部は、ローレット加工されている、付記A15に記載のファスナシステム。
【0068】
A17.前記第2内側受容面の少なくとも一部は、ローレット加工されている、付記A15又はA16に記載のファスナシステム。
【0069】
A18.前記第1内側受容面の少なくとも一部は平滑である、付記A15~A17のいずれかに記載のファスナシステム。
【0070】
A19.前記第2内側受容面の少なくとも一部は平滑である、付記A15~A18のいずれかに記載のファスナシステム。
【0071】
A20.前記レセプタクルは、互いに反対側に配置された第1リテーナ受容凹部と第2リテーナ受容凹部とをさらに含むとともに、前記第1リテーナ受容凹部及び前記第2リテーナ受容凹部に前記ファスナシステムのリテーナを受容するよう構成されている、付記A1~A19のいずれかに記載のファスナシステム。
【0072】
A21.前記レセプタクルは、前記拡開ネイルの下側部分が挿入されるスロット状開口部をさらに含む、付記A1~A20のいずれかに記載のファスナシステム。
【0073】
A22.前記スロット状開口部は、降伏領域と第2降伏領域との間に延在している、付記A21に記載のファスナシステム。
【0074】
A23.前記レセプタクルは、第1押圧面と第2押圧面とをさらに含み、前記拡開ネイルが前記レセプタクル内に配置されると、前記第1押圧面と前記第2押圧面との間に前記拡開ネイルの下側部分を受容するよう構成されている、付記A1~A22のいずれかに記載のファスナシステム。
【0075】
A24.前記拡開ネイルの前記下側部分は、前記拡開ネイルが前記レセプタクル内に配置されると、前記第1押圧面及び前記第2押圧面を外側に押圧する、付記A23に記載のファスナシステム。
【0076】
A25.前記ファスナシステムのリテーナは、前記レセプタクルに配置されると、前記第1押圧面及び前記第2押圧面を内側に押圧する、付記A23又はA24に記載のファスナシステム。
【0077】
A26.前記拡開ネイルは、前記レセプタクルの上側部分、及び前記レセプタクルの下側部分に対して力を加えるよう構成されている、付記A1~A25のいずれかに記載のファスナシステム。
【0078】
A27.前記レセプタクルの前記上側部分は、第1長状溝付面と第2長状溝付面とを含み、前記レセプタクルの前記下側部分は、第1押圧面と第2押圧面とを含む、付記A26に記載のファスナシステム。
【0079】
A28.前記拡開ネイルは、第1係合面及び第2係合面を有する楔形部分を含み、前記第1係合面及び前記第2係合面は、前記拡開ネイルが前記レセプタクル内に配置されると前記レセプタクルと係合するよう構成されている、付記A1~A27のいずれかに記載のファスナシステム。
【0080】
A29.前記第1係合面の少なくとも一部は、ローレット加工されており、これに加えて、或いはこれに代えて、前記第2係合面の少なくとも一部は、ローレット加工されている、付記A28に記載のファスナシステム。
【0081】
A30.前記楔形部分は、前記第1係合面が前記レセプタクルの第1内側受容面と係合し、且つ前記第2係合面が前記レセプタクルの第2内側受容面と係合するように、前記レセプタクルの前記受容部に受容される、付記A28又はA29に記載のファスナシステム。
【0082】
A31.前記拡開ネイルは、前記楔形部分と一体的に形成された下側部分を含む、付記A1~A30のいずれかに記載のファスナシステム。
【0083】
A32.前記拡開ネイルの下側部分は、前記レセプタクルに形成されたスロット状開口部を貫通して、前記レセプタクルの第1押圧面及び第2押圧面に挟持されるよう構成されている、付記A1~A31のいずれかに記載のファスナシステム。
【0084】
A33.前記ファスナシステムはリテーナを含む、付記A1~A32のいずれかに記載のファスナシステム。
【0085】
A34.前記リテーナは、前記レセプタクルの第1リテーナ受容凹部、及び前記レセプタクルの第2リテーナ受容凹部と摺動嵌合するよう構成されている、付記A33に記載のファスナシステム。
【0086】
A34.1.前記リテーナは、前記レセプタクルを拘束するよう構成されている、付記A33又はA34に記載のファスナシステム。
【0087】
A34.2.前記リテーナは、前記拡開ネイルの周りで前記レセプタクルを拘束するよう構成されている、付記A33~A34.1のいずれかに記載のファスナシステム。
【0088】
A35.前記リテーナは、前記第1リテーナ受容凹部と係合するよう構成された第1長状部分を含む、付記A34~A34.2のいずれかに記載のファスナシステム。
【0089】
A36.前記リテーナは、前記第2リテーナ受容凹部と係合するよう構成された第2長状部分を含む、付記A35に記載のファスナシステム。
【0090】
A37.前記第1長状部分は、前記第2長状部分と実質的に平行である、付記A36に記載のファスナシステム。
【0091】
A38.前記第1長状部分は、前記拡開ネイルの下側部分の幅と少なくとも等しい距離、又は当該幅よりも大きい距離をあけて、前記第2長状部分から離間している、付記A36又はA37に記載のファスナシステム。
【0092】
A39.前記リテーナは、前記第1長状部分と前記第2長状部分とを接続する垂直部を含み、前記垂直部は、前記リテーナが直線的なU字形状を有するように、前記第1長状部分及び/又は前記第2長状部分に対して実質的に垂直である、付記A36~A38のいずれかに記載のファスナシステム。
【0093】
A40.前記リテーナは、第1長状部分及び第2長状部分を貫通する少なくとも1つのファスナを含み、前記少なくとも1つのファスナは、前記リテーナが前記レセプタクルに配置されると、当該レセプタクルの周りで前記リテーナを締め付けるよう構成されている、付記A34~A39のいずれかに記載のファスナシステム。
【0094】
A41.前記少なくとも1つのファスナは、前記拡開ネイルが前記レセプタクルを外側に押圧すると伸長するよう構成されている、付記A40に記載のファスナシステム。
【0095】
A42.前記レセプタクルは、さらに、構造コネクタを受容するよう構成されている、付記A1~A41のいずれかに記載のファスナシステム。
【0096】
A42.1.前記構造コネクタは、前記部品と前記複合材構造体とに結合するよう構成されたシャータイ、フィッティング、ブラケット、インターコスタル、及び/又は他の任意の構造コネクタである、付記A41に記載のファスナシステム。
【0097】
A43.構造コネクタをさらに含み、当該構造コネクタは、前記レセプタクルに結合するよう構成されている、付記A1~A42のいずれかに記載のファスナシステム。
【0098】
A44.前記構造コネクタは、当該構造コネクタを貫通する前記レセプタクルを受容するよう構成されたスロットを含む、付記A43に記載のファスナシステム。
【0099】
A44.1.前記構造コネクタは、シャータイであり、前記スロットは、当該スロットを貫通する前記レセプタクルを受容するよう構成されたシャータイスロットである、付記A43又はA44に記載のファスナシステム。
【0100】
A45.前記構造コネクタは、前記レセプタクルと結合するよう構成されており、その際、当該構造コネクタの少なくとも一部が、リテーナと前記カラープレートとの間で前記レセプタクルと結合する、付記A42~A44.1のいずれかに記載のファスナシステム。
【0101】
A46.前記レセプタクルは、第1外壁及び第2外壁を含み、前記構造コネクタは、前記レセプタクルに固定されたときに前記第1外壁及び前記第2外壁に接触する、付記A42~A45のいずれかに記載のファスナシステム。
【0102】
A47.前記拡開ネイル及び前記レセプタクルは、両方とも、第1の金属で形成されている、付記A1~A46のいずれかに記載のファスナシステム。
【0103】
A48.前記部品は、フレーム、フィッティング、及び/又はブラケットである、付記A1~A47のいずれかに記載のファスナシステム。
【0104】
A49.前記複合材構造体は、航空機用胴体の炭素繊維強化スキンである、付記A1~A48のいずれかに記載のファスナシステム。
【0105】
A50.前記ファスナシステムは、前記部品と前記複合材構造体とを直接的に接続する、付記A1~A49のいずれかに記載のファスナシステム。
【0106】
A51.前記ファスナシステムは、構造コネクタを介して前記複合材構造体に前記部品を接続する、付記A1~A50のいずれかに記載のファスナシステム。
【0107】
A52.前記拡開ネイル及び前記レセプタクルは、自己拡散、摩擦接続、及び/又は変形により互いに接合される、付記A1~A51のいずれかに記載のファスナシステム。
【0108】
A53.前記カラープレート及び前記レセプタクルは、自己拡散、摩擦接続、及び/又は変形により互いに接合される、付記A1~A52のいずれかに記載のファスナシステム。
【0109】
B1.複合材構造体に部品を接続するための、付記A1~A53のいずれかに記載のファスナシステムと、
複合材料の第1ラミネートと、
複合材料の第2ラミネートと、を含み、前記ファスナシステムの前記カラープレートは、前記複合材料の第1ラミネートと前記複合材料の第2ラミネートとの間に配置されている、アセンブリ。
【0110】
B2.構造コネクタをさらに含み、当該構造コネクタの少なくとも一部は、前記複合材料の第1ラミネートに隣接して配置される、付記B1に記載のアセンブリ。
【0111】
B3.前記ファスナシステムのリテーナをさらに含み、前記構造コネクタの前記一部は、前記リテーナと前記複合材料の第1ラミネートの内面との間に介在している、付記B2に記載のアセンブリ。
【0112】
B4.前記複合材料の第1ラミネートは、内面とは反対側の外面を含み、当該外面は前記複合材料の第2ラミネートを向くように配向されている、付記B1~B3のいずれかに記載のアセンブリ。
【0113】
B5.前記複合材料の第1ラミネート、及び前記複合材料の第2ラミネートは、ポリマー強化炭素繊維を含む、付記B1~B4のいずれかに記載のアセンブリ。
【0114】
B6.前記複合材料の第2ラミネートは、航空機用胴体の外側スキンである、付記B1~B5のいずれかに記載のアセンブリ。
【0115】
B7.前記複合材料の第1ラミネートは、航空機用胴体の内側スキンである、付記B1~B6のいずれかに記載のアセンブリ。
【0116】
B8.前記複合材料の第1ラミネートと前記複合材料の第2ラミネートとの間に配置された複合材料の中間ラミネートをさらに含む、付記B1~B7のいずれかに記載のアセンブリ。
【0117】
B9.前記複合材料の中間ラミネートの厚みは、前記カラープレートの厚みと実質的に等しい、付記B8に記載のアセンブリ。
【0118】
B10.前記複合材料の第1ラミネートは、第1群の複合材料層を含む、付記B1~B9のいずれかに記載のアセンブリ。
【0119】
B11.前記複合材料の第2ラミネートは、第2群の複合材料層を含む、付記B1~B10のいずれかに記載のアセンブリ。
【0120】
B12.複合材料の中間ラミネートは、第3群の複合材料層を含む、付記B1~B11のいずれかに記載のアセンブリ。
【0121】
B13.前記複合材料の第1ラミネート、前記複合材料の第2ラミネート、及び/又は複合材料の中間ラミネートは、共に前記複合材構造体を形成する、付記B1~B12のいずれかに記載のアセンブリ。
【0122】
C1.複合材構造体に部品を接続するためのファスナアセンブリを組み立てる方法であって、
前記ファスナアセンブリのレセプタクルに前記ファスナアセンブリのリテーナを配置することと、
前記レセプタクルに前記ファスナアセンブリの構造コネクタを配置することと、を含み、前記ファスナアセンブリは、前記構造コネクタを介して前記複合材構造体に前記部品を接続するよう構成されている、方法。
【0123】
C2.前記ファスナアセンブリは、付記A1~A53のいずれかに記載のファスナシステムである、付記C1に記載の方法。
【0124】
C3.前記リテーナの配置は、前記レセプタクルの第1リテーナ受容凹部、及び/又は前記レセプタクルの第2リテーナ受容凹部に前記リテーナを摺動嵌合させることを含む、付記C1又はC2に記載の方法。
【0125】
C4.前記リテーナを配置させることは、前記リテーナに少なくとも1つのファスナを取り付けることにより、前記レセプタクルの周りで前記リテーナを締め付け及び/又は固定することを含む、付記C1~C3のいずれかに記載の方法。
【0126】
C5.前記リテーナを配置させることは、前記構造コネクタを配置した後に実行される、付記C1~C4のいずれかに記載の方法。
【0127】
C6.前記構造コネクタにスロット開口部を形成することをさらに含み、前記スロット開口部は、前記レセプタクルに前記構造コネクタを固定するために、前記レセプタクルの一部に外嵌する寸法及び形状を有する、付記C1~C5のいずれかに記載の方法。
【0128】
C7.前記構造コネクタを配置させることは、前記レセプタクルの一部を圧縮して塑性変形させることを含む、付記C1~C6のいずれかに記載の方法。
【0129】
C8.前記構造コネクタを配置させることは、前記レセプタクルの前記一部を応力が加わっていない状態に戻すことにより、前記レセプタクルに前記構造コネクタを固定することを含む、付記C7に記載の方法。
【0130】
C9.前記構造コネクタを配置させることは、前記構造コネクタに前記リテーナを接触させることを含む、付記C1~C8のいずれかに記載の方法。
【0131】
D1.複合材構造体に部品を接続するためのファスナシステムを取り付ける方法であって、
複合材料の内側ラミネートに対してファスナアセンブリを配置することを含み、その際、前記ファスナアセンブリのレセプタクルが、前記複合材料の内側ラミネートの受容穴に少なくとも部分的に挿入されるとともに、前記複合材料の内側ラミネートが、前記ファスナアセンブリの構造コネクタと結合するようにし、前記複合材料の内側ラミネートは、前記複合材構造体の一部を形成する、方法。
【0132】
D1.1.前記複合材料の内側ラミネートを形成することと、当該内側ラミネートに前記受容穴を形成することと、をさらに含む、付記D1に記載の方法。
【0133】
D2.前記ファスナアセンブリは、付記A1~A53のいずれかに記載のファスナシステムである、付記D1又はD1.1に記載の方法。
【0134】
D3.前記ファスナアセンブリは、当該ファスナアセンブリを配置する前に、付記C1~C9のいずれかに記載の方法に従って組み立てられる、付記D1又はD2に記載の方法。
【0135】
D4.前記ファスナアセンブリを配置させることは、前記構造コネクタの一部が、前記複合材料の内側ラミネートと前記ファスナアセンブリのリテーナとの間に配置されるように、前記ファスナアセンブリを配置することを含む、付記D1~D3のいずれかに記載の方法。
【0136】
D5.前記複合材料の内側ラミネートは、第1群の複合材料層を含む、付記D1~D4のいずれかに記載の方法。
【0137】
D6.前記複合材料の内側ラミネートは、第1外面と第1内面とを含み、前記受容穴は、前記第1外面から前記第1内面まで延びており、前記第1内面は、前記構造コネクタと接触する、付記D1~D5のいずれかに記載の方法。
【0138】
D7.前記複合材料の内側ラミネートの第1上面に、複合材料の中間ラミネートを固定することをさらに含み、前記複合材料の中間ラミネートは、ポケットを含み、当該ポケットは、前記中間ラミネートを貫通する前記レセプタクルの少なくとも一部を受容するよう構成されるとともに、前記ファスナシステムのカラープレートを受容するよう構成されている、付記D1~D6のいずれかに記載の方法。
【0139】
D8.前記レセプタクルに前記ファスナシステムのカラープレートを配置し、その際、前記カラープレートの下側プレート面が、前記複合材料の内側ラミネートの第1上面と接触するようにする、付記D1~D7のいずれかに記載の方法。
【0140】
D9.前記カラープレートを配置することは、複合材料の中間ラミネートのポケット内に前記カラープレートを配置することを含む、付記D8に記載の方法。
【0141】
D9.1.前記カラープレートを配置することは、前記カラープレートの第1群の段付溝、前記カラープレートの第2群の段付溝、前記レセプタクルの第1群の受容溝、及び前記レセプタクルの第2群の受容溝を係合させることにより、前記カラープレートと前記レセプタクルとを一緒に固定することを含む、付記D8又はD9に記載の方法。
【0142】
D9.2.前記カラープレートを配置することは、前記カラープレートと前記レセプタクルとの間に自己拡散が生じるように、これらを係合させることを含む、付記D8~D9.1のいずれかに記載の方法。
【0143】
D10.前記カラープレートを配置することは、前記複合材料の内側ラミネートに塗布された樹脂が不均一に分散するのを実質的に回避できる程度にゆっくりと、前記カラープレートを配置することを含む、付記D8~D9.2のいずれかに記載の方法。
【0144】
D11.前記レセプタクルに前記ファスナシステムの拡開ネイルを挿入することをさらに含む、付記D1~D10のいずれかに記載の方法。
【0145】
D12.前記拡開ネイルを挿入することは、当該拡開ネイルの挿入により前記レセプタクルを拡げることを含む、付記D11に記載の方法。
【0146】
D12.1.前記拡開ネイルを挿入することは、前記レセプタクルに前記拡開ネイルを押し込むことにより、前記レセプタクル、前記ファスナアセンブリのリテーナ、及び/又は前記ファスナシステムのカラープレートに変形負荷を与えることを含む、付記D11又はD12に記載の方法。
【0147】
D12.2.前記拡開ネイルを挿入することは、前記複合材料の内側ラミネートの第1外面から前記拡開ネイルを挿入することを含む、付記D11~D12.1のいずれかに記載の方法。
【0148】
D13.複合材料の外側ラミネートを積層することをさらに含む、付記D1~D12.2のいずれかに記載の方法。
【0149】
D14.前記複合材料の外側ラミネートを積層することは、当該複合材料の外側ラミネートで前記ファスナシステムのカラープレートを覆うことを含む、付記D13に記載の方法。
【0150】
D15.前記複合材料の外側ラミネートを積層することは、複合材料の中間ラミネートの少なくとも一部が前記複合材料の外側ラミネートで覆われるように、前記複合材料の中間ラミネートに前記複合材料の外側ラミネートを積層することを含む、付記D13又はD14に記載の方法。
【0151】
D16.前記複合材料の外側ラミネートを積層することは、前記複合材料の外側ラミネートと前記複合材料の内側ラミネートとの間に前記ファスナシステムのカラープレートを埋設することを含む、付記D13~D15のいずれかに記載の方法。
【0152】
D17.前記複合材料の外側ラミネートは、第2群の複合材料層を含む、付記D1~D16のいずれかに記載の方法。
【0153】
D18.複合材料の中間ラミネートは、第3群の複合材料層を含む、付記D1~D17のいずれかに記載の方法。
【0154】
D19.前記複合材料の内側ラミネート、複合材料の外側ラミネート、及び/又は複合材料の中間ラミネートは、共に前記複合材構造体を形成する、付記D1~D18のいずれかに記載の方法。
【0155】
D20.前記構造コネクタに前記部品を固定することにより、前記複合材構造体に前記部品を接続することをさらに含む、付記D1~D19のいずれかに記載の方法。
【0156】
D20.1.前記部品の固定は、前記ファスナアセンブリを配置する前に実行される、付記D20に記載の方法。
【0157】
D20.2.前記部品の固定は、前記複合材料の内側ラミネートに対して、複合材料の外側ラミネート及び複合材料の中間ラミネートを付加及び/又は積層する前に実行される、付記D20又はD20.1に記載の方法。
【0158】
D20.3.複合材料の外側ラミネート及び複合材料の中間ラミネートの付加及び/又は積層が完了するまで、ツールを使用して前記部品を所定位置に保持することをさらに含む、付記D20~D20.2のいずれかに記載の方法。
【0159】
D21.前記部品は、フレーム、フィッティング、及び/又はブラケットである、付記D1~D20.3のいずれかに記載の方法。
【0160】
D22.前記複合材構造体は、航空機用胴体の炭素繊維強化スキンである、付記D1~D21のいずれかに記載の方法。
【0161】
D23.前記ファスナシステムの拡開ネイル及び/又はカラープレートの挿入が可能となるように、前記レセプタクルの降伏領域の厚みを選択することをさらに含む、付記D1~D22のいずれかに記載の方法。
【0162】
D24.自己拡散に十分な程度まで前記ファスナシステムの1つ以上の表面を洗浄及び/又は平滑化することをさらに含む、付記D1~D23のいずれかに記載の方法。
【0163】
D25.前記ファスナシステムの前記1つ以上の表面は、拡開ネイルの第1係合面、前記拡開ネイルの第2係合面、前記レセプタクルの第1内側受容面、及び/又は前記レセプタクルの第2内側受容面を含む、付記D24に記載の方法。
【0164】
D26.前記ファスナシステムは、前記ファスナアセンブリ、カラープレート、及び拡開ネイルを含む、付記D1~D25のいずれかに記載の方法。
【0165】
D27.前記複合材構造体に前記部品を接続するための前記ファスナシステムを取り付ける前記方法は、航空機用胴体を形成する方法であって、前記複合材構造体は航空機用胴体である、付記D1~D26のいずれかに記載の方法。
【0166】
D28.前記複合材料の内側ラミネートに対して前記ファスナアセンブリを配置することは、前記複合材料の内側ラミネートの第1内面を介して前記ファスナアセンブリを配置することを含み、前記第1内面は、前記複合材構造体の内側領域を形成している、付記D1~D27のいずれかに記載の方法。
【0167】
D29.前記複合材構造体の前記内側領域から、前記構造コネクタに前記部品を接続することをさらに含む、付記D28に記載の方法。
【0168】
D30.外側ラミネートの外面は、前記複合材構造体の外側領域を形成している、付記D1~D29のいずれかに記載の方法。
【0169】
D31.前記ファスナアセンブリを配置することは、複合材料の外側ラミネート、及び複合材料の中間ラミネートを付加及び/又は積層する前に実行される、付記D1~30のいずれかに記載の方法。
【0170】
D32.前記複合材構造体、及び前記ファスナシステムを加熱して、前記複合材料の内側ラミネート、複合材料の外側ラミネート、及び/又は複合材料の中間ラミネートを硬化させることをさらに含む、付記D1~D31のいずれかに記載の方法。
【0171】
D33.前記加熱により前記部品の歪除去を行わせる、付記D32に記載の方法。
【0172】
D34.前記ファスナアセンブリを配置することは、前記レセプタクルと共にリテーナを取り付けることを含む、付記D1~D33のいずれかに記載の方法。
【0173】
E1.付記A1~A53のいずれかに記載の前記ファスナシステム、及び/又は付記B1~B13のいずれかに記載の前記アセンブリを含む航空機。
【0174】
F1.複合材構造体に部品を接続するための、付記A1~A53のいずれかに記載の前記ファスナシステムの使用。
【0175】
F2.航空機用胴体にフレームを接続するための、付記A1~A53のいずれかに記載の前記ファスナシステムの使用。
【0176】
F3.航空機の製造における付記B1~B13のいずれかに記載の前記アセンブリの使用。
【0177】
本明細書において、「選択的」又は「選択的に」という用語が、装置の1つ以上のコンポーネント又は要素の、動作、移動、構成、又は他の働きを修飾するものである場合は、そのような特定の動作、移動、構成、又は他の働きが、装置の態様又は1つ以上のコンポーネントをユーザーが操作したことの直接又は間接的な結果であることを意味する。
【0178】
本明細書において、「適合化されている」及び「構成されている」という用語は、要素、コンポーネント、又は他の要部が、所定の機能を実行するように設計、及び/又は意図されていることを意味する。したがって、「適合化されている」及び「構成されている」という用語の使用は、ある要素、コンポーネント、又は他の要部が、単に所定の機能を行うことが「できる」ということを意味すると解釈されるべきではなく、当該要素、コンポーネント、及び/又は他の要部が、その機能を実行するために、具体的に、選択、作製、実施、利用、プログラム、及び/又は設計されていることを意味すると解釈されるべきである。また、特定の機能を実行するように適合化されたものとして記載された要素、コンポーネント、及び/又は他の要部が、これに加え、或いはこれに代えて、当該機能を実行するよう構成されたものとして記載されること、及びその逆も、本開示の範囲内である。同様に、特定の機能を実行するよう構成されたものとして記載された要部が、これに加え、或いはこれに代えて、当該機能を実行するように動作するものとして記載される場合もある。
【0179】
本明細書において、1つ以上の要素のリストに言及した「少なくとも1つ」という表現は、要素のリストにおける1つ以上の要素から選択された少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであり、必ずしも要素のリストに具体的に列記された全ての要素のそれぞれを少なくとも1つ含むものではなく、また、リストにある要素のいかなる組み合わせも排除するものでもない。この定義によれば、「少なくとも1つの」という表現が関連付けられている要素のリストに明記されたもの以外の要素が、明記されたこれらの要素に対する関連の有無にかかわらず、任意で存在することもありうる。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は、同様の意味合いで、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は、同様の意味合いで「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)という表現は、一実施形態においては、少なくとも1つの、任意で2つ以上を含むAであって、Bが存在しない(任意でB以外の要素を含む)ことを指す場合があり、別の実施形態においては、少なくとも1つの、任意で2つ以上を含むBであって、Aが存在しない(任意でA以外の要素を含む)ことを指す場合があり、さらに別の実施形態では、少なくとも1つの、任意で2つ以上を含むAと、少なくとも1つの、任意で2つ以上を含むB(任意でその他の要素を含む)とを指す場合がある。すなわち、「少なくとも1つの」、「1つ以上の」、並びに「及び/又は」という表現は、開放型(open-ended)の表現であり、連言的機能及び選言的機能の両方を有する。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ以上」、「A、B、又はCのうちの1つ以上」、並びに「A、B、及び/又はC」の各々は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、AとBとCの全て、及び、任意で、上記のいずれかと少なくとも1つの他の要素との組み合わせを意味しうる。
【0180】
本明細書に開示した様々な装置の要素及び方法のステップが、本開示による装置及び方法の全てに必要であるというわけではなく、本開示は、本明細書で開示した様々な要素及びステップの新規且つ非自明の組み合わせ及び部分的組み合わせを、全て含むものである。また、本明細書に開示した様々な要素及びステップのうちの1つ以上は、開示された装置又は方法の全体とは切り離された独立した発明の要旨を規定する場合がある。したがって、そのような発明の要旨は、本明細書に明確に開示した特定の装置及び方法と関連付けられている必要はなく、本明細書に明確に開示されていない装置、及び/又は方法に有用性を見出すかもしれない。
【0181】
本明細書において、「例えば」という表現、「例として」という表現、及び/又は単に「例」という表現が、本開示による1つ以上のコンポーネント、特徴、詳細項目、構造、実施形態、及び/又は方法に関連して用いられている場合、これらの表現は、説明されているコンポーネント、特徴、詳細項目、構造、実施形態、及び/又は方法が、本開示によるコンポーネント、特徴、詳細項目、構造、実施形態、及び/又は方法の例示的且つ非排他的な例であることを示す。したがって、説明されているコンポーネント、特徴、詳細項目、構造、実施形態、及び/又は方法は、限定的、必須、又は排他的/包括的であることを意図するものではなく、構造的、及び/又は機能的に類似及び/又は均等であるコンポーネント、特徴、詳細項目、構造、実施形態、及び/又は方法を含む他のコンポーネント、特徴、詳細項目、構造、実施形態、及び/又は方法もまた、本開示の範囲に含まれる。