(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】駐車支援装置および駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20240613BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20240613BHJP
B60W 30/095 20120101ALI20240613BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240613BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B60W30/06
B60R99/00 320
B60R99/00 330
B60R99/00 340
B60W30/095
B60W40/02
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2020111228
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 大樹
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-060239(JP,A)
【文献】特開2014-054912(JP,A)
【文献】特表2017-526064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/06
B60R 99/00
B60W 30/095
B60W 40/02
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲の状況を認識する認識部と、
前記認識部の認識結果を用いて駐車枠を設定する駐車空間認識部と、
前記認識部で認識した前記自車両の周囲の状況と、前記駐車空間認識部で設定した前記駐車枠と、を用いて前記自車両の位置から前記駐車枠までの駐車経路を生成する経路生成部と、
前記経路生成部で生成された前記駐車経路に基づいて駐車支援のための車両制御を行う車両制御部と、を有すると共に、
前記車両制御部による前記車両制御の開始から終了までの間に、前記経路生成部で生成された前記駐車経路と、前記認識部の前記認識結果とを用いて、前記自車両が前記駐車経路を移動する際に、前記自車両が障害物と衝突するかどうかを予測する衝突予測部
を有し、
前記自車両の移動に伴って前記認識部の認識領域が前記自車両の移動方向へ拡がることで、前記駐車空間認識部が、前記駐車枠を前記移動方向へ更新した場合に、
前記衝突予測部は、前記駐車空間認識部によって前記自車両の前記移動方向に更新された前記駐車枠に合わせた衝突予測を行うことを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記衝突予測部は、前記駐車経
路が、前記自車両の前記移動方向に更新されると、
更新前の前記駐車経路の終点位置を、更新された前記駐車経路の終点位置に移動させることで、更新された前記駐車経
路に対応した前記駐車枠に対して
、終点位置が移動した距離の分だけ衝突予測範囲を修正することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の駐車支援装置であって、
前記駐車空間認識部によって前記自車両の前記移動方向に更新された前記駐車枠に基づいて、前記駐車枠に対する駐車位置の補正量を求める駐車位置補正部と、
前記駐車経路と、前記駐車位置補正部で求められた前記駐車位置の前記補正量とを用いて前記自車両の動きを制御する
前記車両制御部と、を有し、
前記車両制御部は、前記駐車位置の前記補正量が、予め定めたしきい値よりも大きくなった場合にのみ前記自車両に対する制御を補正し、
前記衝突予測部は、前記車両制御部が前記駐車位置の前記補正量を用いて前記自車両に対する制御を補正した場合に、更新された前記駐車枠に合わせた衝突予測を行うことを特徴とする駐車支援装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駐車支援装置であって、
前記認識部の前記認識結果を用いて障害物マップを生成する障害物マップ生成部を備え、
前記衝突予測部は、前記駐車経路と、前記障害物マップ生成部が生成した前記障害物マップとを用いて衝突予測を行い、
前記障害物マップ生成部は、前記障害物マップを更新し、前記衝突予測部は、更新された前記障害物マップを用いて衝突予測を行い、
前記障害物マップは、探索波の反射点の点群データに、周辺画像を重畳した重畳マップであることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項5】
認識部が、自車両の周囲の状況を認識し、
駐車空間認識部が、前記認識部の認識結果を用いて駐車枠を設定し、
経路生成部が、前記認識部で認識した前記自車両の周囲の状況と、前記駐車空間認識部で設定した前記駐車枠とを用いて、前記自車両の位置から前記駐車枠までの駐車経路を生成し、
車両制御部が、前記経路生成部で生成された前記駐車経路に基づいて駐車支援のための車両制御を行うと共に、
前記車両制御部による車両制御に加えて、衝突予測部が、
前記駐車支援の開始から終了までの間に、前記経路生成部で生成された前記駐車経路と、前記認識部の前記認識結果とを用いて、前記自車両が前記駐車経路を移動する際に、前記自車両が障害物と衝突するかどうかを予測し、
前記自車両の移動に伴って前記認識部の認識領域が前記自車両の移動方向へ拡がることで、前記駐車空間認識部が、前記駐車枠を前記移動方向へ更新した場合に、
前記衝突予測部は、前記駐車空間認識部によって前記自車両の前記移動方向に更新された駐車枠に合わせた衝突予測を行うことを特徴とする駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駐車支援装置および駐車支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、駐車を支援するための駐車支援装置を備えたものが存在している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の駐車支援装置では、自車両の周囲の状況と、自車両の周囲の状況から設定した駐車枠とを用いて、自車両の位置から駐車枠までの駐車経路を生成し、自車両を駐車経路に沿って移動させることにより、自車両を駐車枠に駐車させるようにしている。また、駐車支援装置では、自車両が駐車経路に沿って駐車枠へと移動する際に、自車両が障害物と衝突するかどうかを予測するようにしている。そして、自車両が障害物に衝突すると予測した場合には、衝突しないように自車両を減速または停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された駐車支援装置では、駐車枠へ向かう自車両の移動に伴って自車両の周囲の状況に対する認識領域が自車両の移動方向へ拡がった場合に、拡大された認識領域に合わせて駐車枠の位置を移動方向に更新することで、駐車枠が正しい位置に修正されるようにしている。
【0005】
一方、衝突予測を行う範囲(衝突予測範囲)については、当初に生成した駐車経路の範囲とされており、上記したように、駐車枠が当初の位置から更新されて自車両の移動方向の先にある正しい位置に修正された場合でも、当初に生成された駐車経路の範囲のままとなっていた。そのため、移動方向の正しい位置に更新された駐車枠へ向けて自車両が移動している最中に当初の衝突予測範囲を超えてしまい、自車両がまだ移動しているにも拘らず途中から衝突予測が機能しなくなるという課題があった。
【0006】
そのため、衝突予測が機能しなくなった以降は、自車両の移動方向の先にある障害物に対して、駐車支援装置とは別に自車両に設けられている外部の緊急ブレーキ装置が代わりに作動することになる。
【0007】
しかし、緊急ブレーキ装置は、緊急ブレーキをかけて自車両を緊急停止させるものであることから、緊急ブレーキ装置が作動すると、駐車支援による駐車の際の乗り心地が悪くなってしまい、乗員に大きな不安感を与えるなどの問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に対して、本発明は、
自車両の周囲の状況を認識する認識部と、
前記認識部の認識結果を用いて駐車枠を設定する駐車空間認識部と、
前記認識部で認識した前記自車両の周囲の状況と、前記駐車空間認識部で設定した前記駐車枠と、を用いて前記自車両の位置から前記駐車枠までの駐車経路を生成する経路生成部と、
前記経路生成部で生成された前記駐車経路に基づいて駐車支援のための車両制御を行う車両制御部と、を有すると共に、
前記車両制御部による前記車両制御の開始から終了までの間に、前記経路生成部で生成された前記駐車経路と、前記認識部の前記認識結果とを用いて、前記自車両が前記駐車経路を移動する際に、前記自車両が障害物と衝突するかどうかを予測する衝突予測部を有し、
前記自車両の移動に伴って前記認識部の認識領域が前記自車両の移動方向へ拡がることで、前記駐車空間認識部が、前記駐車枠を前記移動方向へ更新した場合に、
前記衝突予測部は、前記駐車空間認識部によって前記自車両の前記移動方向に更新された前記駐車枠に合わせた衝突予測を行う駐車支援装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって、認識部の認識領域が拡がって駐車空間認識部により得られた当初の駐車枠が自車両の移動方向に更新された場合でも、車両制御部による車両制御の開始から終了までの間は、更新された最新の駐車枠に合わせて、衝突予測部による衝突予測を最後まで適正に機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態にかかる駐車支援を備えた車両の駐車支援システムの装置構成図である。
【
図2】
図1の駐車支援装置によって自車両の駐車を行っている様子を示す図である。
【
図3】緊急ブレーキ装置が作動して自車両を緊急停止する様子を示す図である。
【
図5】周辺画像、障害物マップおよび重畳マップのそれぞれの一例を示す模式図である。
【
図6】認識部の認識領域と、当初の駐車枠との関係を示す図である。
【
図8】自車両の移動によって認識部の認識領域が拡がった場合に、駐車位置補正部が駐車位置を自車両の移動方向に補正する様子を示す図である。
【
図9】衝突予測部の衝突予測範囲を移動方向に修正する様子を示す図である。
【
図10】当初の駐車経路の範囲内で衝突予測部が衝突予測を行う様子を示す図である。
【
図11】衝突予測部による衝突予測範囲の修正の仕方を示す図である。
【
図12】衝突予測部の衝突予測処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1~
図12は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例1】
【0013】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0014】
図1は、車両に備えられた駐車支援システムの装置構成を示す図である。この駐車支援システムは、駐車支援装置3と、車両制御機器部4とを備えており、更に、車両状態検知部5や、周辺検知部6や、周辺撮影部7などのセンサ類と、HMIユニット8と、を備えている。これらは、CAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークを介して互いに、或いは、直接接続される。
【0015】
なお、上記した駐車支援システムとは別に、CANなどの車載ネットワークには、緊急ブレーキ装置9が接続されており、緊急ブレーキ装置9と、車両制御機器部4と、周辺検知部6とで緊急ブレーキシステムを構成している。
【0016】
図2は、上記した駐車支援装置3を搭載した車両(以下、自車両1という)が、駐車支援装置3の機能を使って駐車を行う様子を示す図である。駐車場11には、複数の駐車区画線12が平行に形成されており、隣接する2本の駐車区画線12の間が駐車スペース13となっている。この実施例では、駐車スペース13の奥には、ポールやゴミ箱などの障害物14が置かれている。
【0017】
そして、上記した駐車支援装置3は、駐車場11において、運転者などの乗員によって開始指示が与えられた場合に、自車両1を、目標とする駐車スペース13へ自動的または半自動的に駐車させることで運転者を支援する。自車両1は、駐車場11で一旦停止してから、矢印aで示すように所定量前進し、矢印bで示すように後退して、目標とする駐車スペース13へ駐車(入庫)される。これにより、運転者が(全ての)運転操作を行わなくても自車両1を駐車スペース13に駐車することが可能になる。駐車支援には、一部の運転操作を運転者が行う狭義の駐車支援と、これに全自動で駐車を行う自動駐車を含めた広義の駐車支援とがあり、この実施例の駐車支援は、広義の駐車支援となっている。以下、主に、自動駐車の例で説明する。
【0018】
なお、例えば、駐車スペース13の奥にある障害物14に対して、駐車支援装置3が適正に作動しなかったような場合には、
図3に示すように、代わりに緊急ブレーキ装置9が作動して自車両1を緊急停止するようになっている。緊急ブレーキ装置9は、自車両1と障害物14との距離が一定値以下になったときに、自車両1を緊急停止させるものである。なお、図では、緊急ブレーキ装置9のための周辺検知部6による探索波を、便宜的に緊急ブレーキ装置9によるものとして指し示している。
【0019】
そして、
図4は、上記した駐車支援システムの具体的な構成を示す図である。このうち、駐車支援装置3は、駐車支援システムの主要部を構成するものであり、車両制御機器部4を制御することで、全自動の自動駐車制御や半自動の駐車支援制御を実行する車載装置である。このうち、自動駐車制御は、運転者による操舵やアクセル操作やブレーキ操作などの運転操作を伴うことなく自車両1を自動で走行させて、目標とする駐車スペース13に自車両1を入庫し、当該自車両1の駐車を完了するための制御である。また、半自動の駐車支援制御は、運転者による操舵やアクセル操作やブレーキ操作などのうちの少なくとも一つの運転操作を伴って目標とする駐車スペース13に自車両1を入庫させる制御である。
【0020】
駐車支援装置3は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリデバイス(主記憶装置とも呼ばれる)と、HDD(hard disk drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置(補助記憶装置とも呼ばれる)と、センサ類や周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、車載ネットワークを介して他の車載機器と通信する車載ネットワーク通信回路と、を備えたコンピュータ(本実施例では、ECU(Electric Control Unit))を有する。駐車支援装置3では、プロセッサがメモリデバイスまたはストレージ装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、自動駐車制御や駐車支援制御のための各種の機能的構成が実現されている。駐車支援装置3の機能的構成については、後述する。
【0021】
車両制御機器部4は、駐車支援装置3からの制御信号15に応じて、自車両1の走行を制御するようにした各種のアクチュエータを有している。かかるアクチュエータは、少なくとも、スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、および、操舵アクチュエータを含んでいる。
【0022】
スロットルアクチュエータは、自車両1が一般的な車(エンジン車)の場合、駐車支援装置3からの制御信号15に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、自車両1の駆動力を制御する。なお、自車両1がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに駐車支援装置3からの制御信号15が入力されて当該駆動力が制御される。また、自車両1が電気自動車である場合には、スロットルアクチュエータの代わりに動力源としてのモータに駐車支援装置3からの制御信号15が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータを構成する。
【0023】
ブレーキアクチュエータは、駐車支援装置3からの制御信号15に応じて、自車両1に設けられたブレーキシステムを制御し、自車両1の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば液圧ブレーキシステムを用いることができる。
操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、駐車支援装置3からの制御信号15に応じて制御する。
【0024】
車両状態検知部5は、自車両1の走行に係るパラメータの物理量、または当該物理量の変化量を検知し、検知結果を駐車支援装置3に出力する。パラメータは、少なくともデッドレコニング(自律航法)に要するパラメータを含み、駐車支援装置3が車両状態検知部5の検知結果に基づいて自車両1の現在の位置(以下、「自車位置16」(
図6)という)を算出可能になっている。
【0025】
本実施例の車両状態検知部5は、かかるパラメータの検知のために、例えば、車速センサ、加速度センサ、および、ヨーレートセンサといった検知器を備える。
車速センサは、自車両1の速度を検知する検知器である。車速センサとしては、例えば、自車両1の車輪または車輪と一体に回転する車軸(ドライブシャフト)などに対して設けられ、車輪の回転速度を検知する車輪速センサが用いられる。
加速度センサは、自車両1の加速度を検知する検知器である。加速度センサは、例えば、自車両1の前後方向の加速度を検知する前後加速度センサと、自車両1の横加速度を検知する横加速度センサとを含んでいる。
ヨーレートセンサは、自車両1の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検知する検知器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。これらの検知器に基づくデッドレコニング(自律航法)には、公知、または周知の技術を用いることができる。
【0026】
周辺検知部6は、自車両1の周辺に存在する障害物14を検知し、障害物14の検知結果を駐車支援装置3に出力する。障害物14は、自車両1の走行を妨げ得る静止物体や移動物体などの物体である。障害物14は、例えば、縁石や輪止め、ガードレール、標識、建物、駐車中の他車両17(
図5)などの静止物体、或いは、走行中の他車両17や歩行者などの移動物体となる。本実施例では既に、主に対象としている障害物14を駐車スペース13の奥にあるポールやゴミ箱などとして説明している。
【0027】
周辺検知部6は、障害物14を検知するための手段として、例えば、測距センサを備える。測距センサは、自車両1と障害物14との間の距離を計測するための検知器であり、超音波、電波または光(可視光または赤外光)などの探索波を放射し、当該探索波が障害物14によって反射されて返ってくる反射波を検出し、当該検出結果を駐車支援装置3に出力する。本実施例では、測距センサにソナーが用いられる。なお、測距センサは、ミリ波レーダ、またはレーザレーダであってもよい。周辺検知部6は、緊急ブレーキ装置9でも使用される。
【0028】
周辺撮影部7は、自車両1の周辺を撮影し、当該撮影によって得られた周辺画像18(
図5)を駐車支援装置3に出力するカメラを備える。なお、周辺撮影部7は、周辺検知部6の検知手段として使用することも可能である。
【0029】
自車両1には、周辺検知部6の測距センサ、および、周辺撮影部7のカメラを、自車両1の全周囲(自車位置16を中心とした360度の範囲)を検出、または、撮影可能な数だけ、その数に応じた適宜の位置に設けることができる。
【0030】
HMIユニット8は、ユーザインタフェースとなる入力装置、および、出力装置を備えている。出力装置は、各種情報を画面に表示する表示装置、および、各種情報を音声で出力するスピーカやブザーを備える。また入力装置は、乗員の指示を入力するための操作装置(例えばタッチパネルや操作子など)を備える。
【0031】
そして、上記した駐車支援装置3は、その内部に、車両状態検知結果取得部21と、周辺検知結果取得部22と、認識部23(周辺画像取得部または周辺認識部)と、を備えている。また、駐車支援装置3は、自車位置算出部24と、障害物マップ生成部25と、駐車空間認識部26と、を備えている。更に、駐車支援装置3は、駐車枠選択部27と、経路生成部28と、車両制御部29と、を備えている。
【0032】
車両状態検知結果取得部21は、車両状態検知部5からの車両状態の検知結果を取得し、周辺検知結果取得部22は、周辺検知部6からの障害物14の検知結果を取得し、認識部23は、周辺撮影部7からの周辺画像18を取得する。
【0033】
自車位置算出部24は、車両状態検知部5からの車両状態の検知結果に基づいて上述した自車位置16を算出する。障害物マップ生成部25は、周辺検知部6からの障害物14の検知結果に基づいて、障害物マップ34(
図5)を生成する。
【0034】
図5は、周辺画像18、障害物マップ34、および、後述する重畳マップ35のそれぞれの一例を示す模式図である。
周辺画像18は、周辺撮影部7で撮影した自車両1の周辺の画像である。周辺画像18は、自車両1の上方の視点位置から当該自車両1の周辺を俯瞰した俯瞰画像に変換される。周辺画像18から俯瞰画像への変換には、公知、または、周知の視点変換処理を用いることができる。
【0035】
障害物マップ34は、自車両1の周辺における障害物14(図示例では他車両17)の位置を示すデータである。
重畳マップ35は、周辺画像18としての俯瞰画像を障害物マップ34に重畳したデータである。
本実施形態において、障害物マップ34は、
図5に示すように、測距センサが発した探索波が反射された地点(以下「反射点」という。)の位置36を、基準となるX-Y座標系(例えば、世界座標など)にマッピングして成る点群データとされている。
【0036】
障害物マップ34の生成について、より具体的には、障害物マップ生成部25は、周辺検知部6の検知結果を、周辺検知結果取得部22を通じて取得するごとに、当該検出結果に基づいて反射点の位置36を算出する。障害物マップ生成部25は、公知、または周知の適宜の手法を用いて、自車位置16から反射点までの距離、および、自車位置16からみた反射点の方向を検知結果に基づいて求めることで、当該反射点の位置36を算出する。
【0037】
そして障害物マップ生成部25は、反射点の位置36を、基準となるX-Y座標系上の位置36に変換することで、基準となるX-Y座標系における反射点の位置36を求める。これにより、障害物マップ34において、障害物14の表面(外形)が反射点の位置36の集合によって描き出される。
【0038】
図4に戻って駐車空間認識部26は、周辺画像18に基づいて、自車両1の周辺の駐車スペース13を検出して、駐車スペース13の内部に自車両1が駐車する駐車枠37を設定する。
【0039】
より具体的には、駐車空間認識部26は、周辺画像18に写っている駐車区画線12を画像認識によって抽出する。駐車区画線12は、駐車スペース13を区画するために地面(駐車場11の路面)に描かれた線である。駐車空間認識部26は、周辺画像18を俯瞰画像に変換し、この周辺画像18が撮影されたときの自車位置16、および、自車両1の姿勢(ヨーレート)に基づいて、俯瞰画像を障害物マップ34に重畳した重畳マップ35を生成する。そして駐車空間認識部26は、重畳マップ35において駐車区画線12の位置を特定することで、基準となるX-Y座標系における駐車枠37の位置を検出する。
【0040】
駐車枠選択部27は、駐車空間認識部26によって検出された単数または複数の駐車スペース13の中から、周辺の障害物14と接触せずに駐車可能な駐車スペース13を、障害物マップ34や重畳マップ35を参照して抽出する。そして、駐車枠選択部27は、抽出した駐車スペース13の中から適宜の選択手法に基づいて、自車両1を駐車させる駐車スペース13(目標駐車スペース)を決定する。なお、選択手法は、乗員が目標とする駐車スペース13を選択する手法、および、(乗員の指示を要することなく)目標とする駐車スペース13を自動で選択する手法のいずれでもよい。また、駐車枠選択部27は、機能的には駐車空間認識部26と一体化しても良い。
【0041】
経路生成部28は、現在の自車位置16から自車両1が目標とする駐車スペース13に設定した駐車枠37へ入庫するまでに走行する具体的な駐車経路38(
図6)を、障害物マップ34や重畳マップ35を参照して決定する。
【0042】
車両制御部29は、例えば、運転者の運転操作を伴わずに自車両1を自動で走行させて目標とする駐車スペース13の駐車枠37へ入庫させるための自動運転制御(または「自動駐車制御」)や駐車支援制御を、駐車経路38に基づいて実行する。
【0043】
具体的には、車両制御部29は、駐車経路38に基づいて車両制御機器部4を制御する制御信号15を生成し、当該制御信号15を車両制御機器部4へ送信する。車両制御機器部4が制御信号15にしたがって自車両1の走行のためのアクチュエータの制御を行うことで、自車両1は駐車経路38に沿って自動で走行し、目標とする駐車スペース13の駐車枠37へ自動で入庫する。以上が、駐車支援装置3の基本的な構成である。
【0044】
図7は、上記した駐車支援装置3による駐車支援処理を示すフロー図である。
【0045】
この駐車支援処理は、自車両1が駐車場11を走行している場合に実行される。すなわち、駐車支援装置3は、例えば、自車両1が備えるナビゲーション装置や、駐車場11が備える設備(例えば管理装置など)が発する信号の受信などに基づいて駐車場11への入場を検知すると、障害物マップ生成部25や、駐車空間認識部26や、駐車枠選択部27、経路生成部28、車両制御部29などが、障害物マップ生成処理41、駐車スペース検出処理42、および、車両制御処理43をそれぞれ開始する。これら障害物マップ生成処理41、駐車スペース検出処理42、および、車両制御処理43は、互いに同期して、または、非同期に行われる。
【0046】
障害物マップ生成処理41では、障害物マップ生成部25が障害物14の検知結果に基づいて障害物マップ34を生成する(ステップSa1)。
【0047】
一方、駐車スペース検出処理42では、駐車空間認識部26が周辺画像18に基づいて駐車スペース13の位置を検出し、駐車スペース13に駐車枠37を設定する(ステップSb1)。その後、駐車空間認識部26は、所定時間ごとに駐車スペース13に対する駐車枠37の位置の更新を繰り返す(ステップSb2、
図8)。駐車枠37の位置の更新は、例えば、自車両1が駐車場11から退場するなどの適宜のタイミングまで継続される。
【0048】
そして、車両制御処理43では、駐車枠選択部27が、駐車スペース13の中から目標とする駐車スペース13を、例えば、ユーザ操作等にしたがって決定すると(ステップSc1:Yes)、経路生成部28が障害物マップ34や目標とする駐車スペース13の駐車枠37の位置に基づいて、当初の駐車経路38を決定する(ステップSc2)。次いで、車両制御部29が当初の駐車経路38に基づいて制御信号15を生成し、当該制御信号15を車両制御機器部4に出力する(ステップSc3)。これにより、駐車支援制御(自動駐車制御を含む)が開始され、自車両1が当初の駐車経路38に沿って走行し始める。
【0049】
そして車両制御部29は、自車両1が目標とする駐車スペース13に入庫するまで(ステップSc4でYesとなるまで)の間、すなわち、駐車支援制御を行って、当初の駐車経路38の終点に到達するまでの間、適宜の制御信号15を車両制御機器部4に出力し続ける。
【0050】
そして、このような駐車支援装置3には、更に、駐車位置補正部31と、衝突予測部32(ACP)と、が備えられる(
図4)。
【0051】
駐車位置補正部31および衝突予測部32は、この実施例に関連する構成であり、駐車支援制御の開始から終了までの期間Tの間、駐車位置補正処理44および衝突予測処理45を、それぞれ個別に実行する。これら駐車位置補正処理44、および、衝突予測処理45は、駐車位置補正部31、および、衝突予測部32によって、互いに同期して、または、非同期に行われる。
【0052】
駐車位置補正部31は、車両制御部29が駐車支援制御を実行している間、(駐車枠選択部27にて決定された)駐車枠37の位置を、認識部23の認識結果に基づいて、駐車空間認識部26が変更した場合に、自車両1を変更された駐車枠37に駐車させるために必要な補正処理を行う。
【0053】
詳述すると、駐車支援制御が実行されている間、認識部23は、周辺撮影部7による自車両1の周辺の撮影を継続して周辺画像18を順次出力し、駐車空間認識部26は、これらの周辺画像18に基づいて駐車枠選択部27で決定された駐車枠37に対する検出を継続する。
【0054】
駐車支援制御の実行中は、
図8に示すように、自車両1が目標とする駐車スペース13に徐々に近き、両者の距離が縮まるため、周辺画像18の画像認識に基づく目標とする駐車スペース13の検出精度も漸次に高くなる。この結果、目標とする駐車スペース13の駐車枠37の位置が自動運転制御の開始当初の位置から自車両1の移動方向46へずれる場合がある(変位量47)。
【0055】
そこで、駐車位置補正部31は、駐車空間認識部26が逐次出力する検出結果に基づいて、目標とする駐車スペース13の駐車枠37の位置についての最新の値と、駐車支援制御の開始当初の駐車枠37との奥行方向の位置の差を、当該駐車枠37の位置の補正量48(目標駐車位置補正量)として順次求めて行く。
【0056】
車両制御部29は、駐車支援制御を実行している間、目標とする駐車スペース13の最新の駐車枠37の位置へ自車両1を向かわせるために、車両制御機器部4に送信する制御信号15を補正量48に基づいて補正し、補正後の制御信号(補正制御信号49、
図4)を車両制御機器部4へ送信する。そして、補正制御信号49にしたがって車両制御機器部4が自車両1を走行させることで、自車両1が当初の駐車経路38を越えて、補正量48の分だけ移動方向46の先の方にある最新の駐車枠37へ向かうようになる。
【0057】
なお、最新の駐車枠37への自車両1の到達が困難、または、不可能な場合には、車両制御部29は、自車両1を停車させる制御信号15を車両制御機器部4に出力し、駐車支援制御を中止してもよい。
【0058】
そして、
図7の駐車位置補正処理44では、駐車位置補正部31が、逐次更新される駐車空間認識部26の検出結果(検知結果)に基づいて上記した駐車枠37の位置の補正量48を求め(ステップSd1)、車両制御部29が車両制御機器部4に出力する制御信号15を、補正量48に基づいて補正する(ステップSd2)。これらステップSd1、および、ステップSd2の一連の処理は、所定時間ごとに繰り返し実行される。補正後の制御信号(補正制御信号49)は、車両制御処理43のステップSc3で、車両制御部29によって車両制御機器部4に出力される。そして、車両制御機器部4が当該制御信号(補正制御信号49)にしたがって
図8の矢印cで示すように自車両1を走行させることで、当初の駐車経路38にかかわらず、当初の駐車経路38を補正量48だけ移動方向46の先の方にある最新の駐車枠37へ向かって自車両1が自動で走行し、自車両1は最終的な駐車枠37(B)へ入庫することになる。
【0059】
一方、衝突予測部32は、上記した駐車支援制御が実行されている間、自車両1と障害物14との衝突発生を予測する。この衝突予測部32による衝突発生の予測は、駐車位置補正部31による補正処理とは別個に行われる。衝突予測部32については、後述する。衝突予測部32は、衝突が発生すると予測した場合には、車両制御部29に信号を送って、障害物14の手前で自車両1を減速または停止させるなどして衝突回避を行わせる。
【0060】
そして、この実施例では、以下のような構成を備えることができる。
【0061】
(1)駐車支援装置3は、上記したように(
図4、
図6参照)、
自車両1の周囲の状況を認識する認識部23(周辺画像取得部または周辺認識部)と、
認識部23の認識結果を用いて駐車枠37を設定する駐車空間認識部26と、
認識部23で認識した自車両1の周囲の状況と、駐車空間認識部26で設定した駐車枠37と、を用いて自車両1の位置(自車位置16)から駐車枠37(の駐車位置51、
図6)までの駐車経路38を生成する経路生成部28と、
そして、経路生成部28で生成された駐車経路38と、認識部23の認識結果とを用いて、自車両1が駐車経路38を移動する際に、自車両1が障害物14と衝突するかどうかを予測する衝突予測部32と、を有している。
【0062】
更に、この実施例では、自車両1の移動に伴って認識部23の認識領域52が自車両1の移動方向46へ拡がる(あるいは、
図6の手前側の認識領域52(A)から
図8の奥側の認識領域52(B)へと移り変わって行く)ことで、駐車空間認識部26が、駐車枠37の位置を移動方向46へ更新(例えば、
図6のA-A’の位置から
図8のB-B’の位置へ更新)した場合に、
図9に示すように、衝突予測部32は、駐車空間認識部26によって自車両1の移動方向46に更新された駐車枠37(図では、最終的な駐車枠37(B)となっている)の位置に合わせた衝突予測を行う(あるいは、修正された衝突予測範囲53’(=衝突予測範囲53+修正部分54)に対して衝突予測を行う)。
【0063】
ここで、駐車枠37は、駐車支援の際に自車両1が駐車する位置を示す矩形枠であり、自車両1に合わせて、自車両1がほぼ納まる形状や大きさに設定される。駐車枠37は、隣接する一対の駐車区画線12の間の駐車スペース13内に設定される。
【0064】
駐車枠37の位置は、駐車枠37自体の位置のことである。駐車枠37の位置は、駐車枠37の前や後や真中など、どの部分を基準にしても良いが、この実施例では、後述するような、駐車枠37の内側の特定の位置を基準にしている。そして、この基準の位置を駐車位置51とする。駐車位置51は、駐車枠37に自車両1を駐車する際の目標(目標停止位置)となる。
【0065】
同様に、自車両1の位置は、自車両1自体の位置のことである。自車両1の位置は、自車両1の前や後や真中など、どの部分を基準にしても良いが、この実施例では、後述するような、自車両1の内側の特定の位置を基準にしている。そして、この基準の位置を上記した自車位置16とする。
【0066】
具体的には、この実施例では、自車位置16を、後輪車軸の中央の位置としている。そして、駐車枠37の駐車位置51を、駐車枠37に自車両1が正しく駐車されたときの、自車両1の後輪車軸の中央の位置に相当する駐車枠37上の位置としている。これにより、駐車枠37の駐車位置51と自車位置16とがほぼ一致したときに、駐車枠37に自車両1が正しく駐車されたことになると共に、駐車枠37に自車両1が正しく駐車されたかどうかを数値によって表すことが可能になる。
【0067】
駐車経路38は、駐車支援の際に自車両1が通る経路のことである。駐車経路38には、前進経路(
図2の矢印a)や後退経路(
図2の矢印b)があるが、この実施例では、主に、後退経路とされる。この実施例では、駐車経路38は、上記した自車位置16を使って、自車位置16(自車両1の後輪車軸の中央の位置)の変位を経時的に示した点55の列として表わすようにしている。
【0068】
障害物14は、駐車支援の際に駐車経路38に沿って移動する自車両1が衝突する可能性のある物体のことである。この実施例では、対象とする障害物14を、主に、目標とする駐車枠37の奥部周辺にあるポールやゴミ箱(
図2)などとしている。
【0069】
認識部23の認識領域52は、認識部23が取得した(1フレームごとの)周辺画像18によって認識される領域(範囲)となる。認識領域52は、周辺撮影部7(カメラ)の画角などの性能に依存した有限の範囲となるため、自車両1の周囲の全ての状況のうちの一部の範囲となる。
【0070】
自車両1の移動に伴って認識部23の認識領域52が移動方向46へ拡がるとは、自車両1と共に周辺撮影部7(カメラ)の位置が移動方向46へ変位されることで、認識部23の認識領域52が移動方向46に移り変わることで、移動方向46へ進んだ先の方にも及ぶようになって、駐車スペース13の奥の状況が(徐々に)認識できるようになって行くことである。そして、駐車空間認識部26は、認識領域52の推移(拡大)に合わせて、駐車枠37を最新の状態に更新し続ける。
【0071】
移動方向46は、自車両1が駐車枠37へ向けて移動する方向であり、この実施例の場合、移動方向46は、自車両1の後退方向(車両前後方向のほぼ後方)となる。移動方向46の先の方は、自車両1が駐車枠37へ向けて移動(後退)して行く側のことであり、自車両1よりも後ろの方、または、駐車スペース13や駐車枠37の奥の方のことである。
【0072】
更新された駐車枠37は、当初に生成された駐車枠37(A)に対して、自車両1の後退時に、駐車空間認識部26によって経時的に移動方向46に置き換えられて行く最新の駐車枠37のことであり、最終的には、自車両1が実際に駐車される駐車枠37(B)となる。
【0073】
衝突予測範囲53とは、衝突予測部32が移動方向46に対して衝突予測を行う範囲のことである。
図10に示すように、衝突予測範囲53は、当初に生成した駐車経路38の範囲内とされている(衝突予測範囲53=当初の駐車経路38の状態)。即ち、衝突予測部32は、基本的な設定では、当初の駐車経路38の範囲内に限って衝突予測を行うようになっている。衝突予測は、例えば、自車両1が移動する際に、平面視ほぼ四角形状をした自車両1の4つの角部が、障害物14と交差するかどうかを軌道計算することによって行われる。
【0074】
衝突予測範囲53を移動方向46に修正するとは、衝突予測範囲53が、当初の駐車経路38の範囲よりも拡がるように、衝突予測範囲53を実質的に移動方向46に修正する(修正された衝突予測範囲53’(
図9)>当初の駐車経路38となる状態にする)ことである。これにより、衝突予測できる範囲が、修正された衝突予測範囲53’にまで及ぶようになり、衝突予測部32は、当初の駐車経路38の範囲を越えて、当初の駐車経路38よりも移動方向46の先の方まで衝突予測を行うことができるようになる。
【0075】
衝突予測範囲53の移動方向46への修正は、実質的に当初の駐車経路38の範囲よりも広く、移動方向46の先の方まで衝突予測ができるようになれば、どのようなやり方でも良い。例えば、衝突予測部32が、独自に駐車経路を再計算することで、当初の駐車経路38よりも移動方向46に長い新たな駐車経路を生成して、新たな駐車経路を用いて衝突予測範囲53を修正させるようにしても良いが、この実施例では、後述するようなやり方で実質的に衝突予測範囲53を修正するようにしている。
【0076】
なお、衝突予測範囲53の修正は、例えば、当初の駐車経路38の生成後から逐次行わせるようにしても良いし、自車両1が当初の駐車枠37へ向けて移動(後退)し始めたときから行わせるようにしても良いし、駐車空間認識部26によって駐車枠37が更新されたときに行わせるようにしても良いし、自車両1の位置(自車位置16)が当初の駐車経路38を越えた後から行わせるようにしても良いし、最終的な駐車枠37(B)が定まってから行わせるようにしても良い。この実施例では、衝突予測範囲53の修正を、自車両1の移動を開始した後に逐次行わせるようにしている。
【0077】
上記をより具体的に説明すると、
図6には、認識部23の認識領域52と、当初の駐車枠37(A)との関係が示されている。この図によれば、当初、認識部23の認識領域52(A)は、駐車区画線12の手前側の部分(のほぼ半分程度)までの範囲となっている。そして、残る駐車区画線12の奥側の部分(のほぼ半分)については、まだ認識部23の認識領域52に入っていない未認識領域57となっている。
【0078】
このように、まだ駐車区画線12の手前側の部分までしか認識できていない状態においては、当初の駐車枠37(A)は、自車両1が最終的に駐車される位置には設定されずに、
図8に示すような、最終的な位置よりも手前側に設定されてしまうことになる。同様に、当初に生成される駐車経路38も、最終的な駐車枠37(B)の位置よりも移動方向46の手前側までで終わってしまう(不十分な)ものとなる。
【0079】
よって、自動駐車または駐車支援の初期には、自車両1は、この当初の正しくない駐車枠37(A)に対して生成された当初の(不十分な)駐車経路38に沿って、当初の駐車枠37(A)に駐車するように移動(後退)されることになる。また、衝突予測部32も当初の(不十分な)駐車経路38を衝突予測範囲53として、当初の駐車枠37(A)に対する衝突予測を行うことになる。
【0080】
そして、駐車支援による自車両1の移動(後退)に伴って、
図8に示すように、認識部23の認識領域52が移動方向46へと拡がって行き、未認識領域57(
図6)も徐々に減少して行くことになる。図では、駐車区画線12の奥側のほとんどの部分にまで認識部23の認識領域52が拡がっている。
【0081】
これに伴い、駐車空間認識部26は、当初の駐車枠37(A)に対して最新の駐車枠37の位置を移動方向46へ更新して行き、未認識領域57がほぼなくなることで、最終的な駐車枠37(B)が得られるようになる。
【0082】
この際、
図10の比較例に示すように、衝突予測部32の衝突予測範囲53が、当初の駐車経路38の範囲のままになっていると、自車両1が移動方向46に更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)の駐車位置51へ向けて移動している途中であっても、当初の駐車経路38を越えたときに衝突予測が行われなくなってしまう(予測不能範囲58が発生する)という不具合が生じる。
【0083】
そこで、この実施例では、
図9に示すように、衝突予測部32が、駐車空間認識部26によって移動方向46に更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)の駐車位置51に合わせて衝突予測範囲53を移動方向46に修正できる(修正された衝突予測範囲53’が得られる)ようにしている。
【0084】
これより、当初の駐車枠37(A)の位置が移動方向46に更新されても、衝突予測が行われなくなる範囲(予測不能範囲58)がなくなって、自車両1が駐車空間認識部26によって移動方向46に更新された(最新の)駐車枠37に向かって移動し、最終的な駐車枠37(B)に駐車(入庫)されるまでの間の全域に亘って、衝突予測部32が衝突予測を行うようになる。
【0085】
(2)衝突予測部32は、駐車経路38の終点位置55aが、自車両1の移動方向46に更新されると、更新された駐車経路38の終点位置55aに対応した駐車枠37に対して衝突予測を行うようにしても良い。
【0086】
ここで、
図9、
図10では、上記したように、駐車経路38は、複数の点55の列で表されている。この複数の点55は、自車両1が移動する際の自車位置16が通るべき位置を経時的に示したものとなっている。そして、終点位置55aは、駐車経路38を示す複数の点55のうちの最後の点55である。当初の駐車経路38は、衝突予測部32の内部に独自に保持される。そして、当初の駐車経路38を構成する各点55や終点位置55aも、既知の位置として衝突予測部32の内部に保持される。
【0087】
そして、駐車枠37が更新された場合における、更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)の駐車位置51などの情報については、駐車支援装置3の各部から得ることができる。更新された駐車位置51は、例えば、認識部23の認識結果や、駐車空間認識部26の認識結果や、駐車位置補正部31の補正結果などから得ることができる。そのどちらとしても良いが、この実施例では、駐車位置51は、認識部23の認識結果、または、駐車空間認識部26の認識結果から直接得るようにしている。例えば、認識部23の認識結果や駐車空間認識部26の認識結果は、俯瞰画像などのイメージデータ(周辺画像18)に変換されているため、このイメージデータに対して画像認識を行うことで、自車両1の周囲の状況が認識される。
【0088】
例えば、画像認識によって、駐車区画線12は、「線分」として認識される。自車両1は、「四角形」として認識される。自車両1の位置(自車位置16)は、後輪車軸の中央の位置を示す「点」として認識される。駐車枠37は、自車両1が納まる大きさの「四角形」として認識される。駐車枠37の位置(駐車位置51)は、駐車枠37に駐車された自車両1の後輪車軸の中央の位置に相当する位置を示す「点」として認識される。そして、自車両1の位置(自車位置16)を示す「点」が、移動方向46に対し、駐車枠37の駐車位置51を示す「点」の位置まで達したとき(重なったとき、またはほぼ一致したとき)に、自車両1が駐車枠37(B)に正しく駐車されたと判断される。
【0089】
そして、衝突予測部32は、駐車枠37が自車両1の移動方向46に更新された場合に、当初の駐車経路38の終点位置55aを、移動方向46に更新された駐車枠37の駐車位置51に移動させることで、終点位置55aを移動方向46に更新するようにしても良い。そして、衝突予測部32は、駐車経路38の終点位置55aを、自車両1の移動方向46に更新することで、上記したように、更新された駐車経路38の終点位置55aに対応した駐車枠37に対して衝突予測を行うことができるようになる。
【0090】
当初の駐車経路38の終点位置55aを、更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)の駐車位置51へ移動するとは、当初の駐車経路38の終点位置55aを、更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)の駐車位置51またはその近傍に変位させる(ずらすまたはオフセットする)ことである(オフセット位置55b)。そのために、衝突予測部32は、当初の駐車経路38の終点位置55aの座標を、更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)の駐車位置51の座標に置き換える処理などを行う。なお、オフセット位置55bは、若干であれば駐車位置51からズレていても良い。
【0091】
この実施例では、更に、当初の駐車経路38の終点位置55aから、更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)の駐車位置51までの2点間の距離を求めて、求めた距離の分だけ当初の駐車経路38を移動方向46へ直線的に延ばした位置を(更新された最新の駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)に対する)オフセット位置55bとすることで、衝突予測範囲53を修正する(または、修正された衝突予測範囲53’を得る)ようにしている。このように、当初の駐車経路38の終点位置55aを、駐車経路38を直線的に延長した延長線上の位置にオフセットさせることで、衝突予測の処理をより単純化し、簡略化することが可能になる。
【0092】
具体的には、
図11に示すように、当初の駐車経路38の終点位置55aの座標を(xt,yt)とし、そのときの自車両1の姿勢を(at)とし、更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)の駐車位置51の座標を(xr,yr)とし、そのときの自車両1の姿勢を(ar)とした場合に、当初の駐車経路38の終点位置55aから更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)の駐車位置51までの2点間の距離Lを、
L=√((xt-xr)2+(yt-yr)2) の式によって求めるようにする。
【0093】
次に、求めた距離Lに相当する分だけ、当初の駐車経路38を移動方向46へ直線的に延ばした延長線の長さZを、
Z=L×cos(at-ar) の式によって求めるようにする。
【0094】
そして、駐車経路38の終点位置55a(xt,yt)から長さZだけ離れた位置の座標(xf,yf)を、長さがZで姿勢が(at)のベクトルを、基準となるX-Y座標系上のX成分とY成分とに分解することで得るようにする。
【0095】
このようにすることで、衝突予測部32は、当初の駐車経路38の終点位置55aを、更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)の駐車位置51(またはその近傍)へ移動する(置き換える)だけで、当初の駐車経路38を衝突予測範囲53とする衝突予測の基本的な設定を維持したまま、更新された(最新の)駐車枠37の駐車位置51まで実質的に衝突予測範囲53を修正した(修正された衝突予測範囲53’まで衝突予測を可能にした)のと同じ効果を得ることが可能になり、オフセット位置55bの座標(xf,yf)の位置まで途切れなく衝突予測が継続されるようになる。
【0096】
この実施例では、衝突予測部32による終点位置55aの移動方向46への移動(オフセット)の手法を使った衝突予測範囲53の修正は、衝突予測部32によって独自に行われる。
【0097】
(3)
図4にて既に上記したように、駐車支援装置3は、駐車空間認識部26によって自車両1の移動方向46に更新された駐車枠37に基づいて、駐車枠37に対する駐車位置51の補正量48を求める駐車位置補正部31と、
駐車経路38と、駐車位置補正部31で求められた駐車位置51の補正量48とを用いて自車両1の動きを制御する車両制御部29と、を有している。
そして、衝突予測部32は、車両制御部29が駐車位置51の補正量48を用いて自車両1に対する制御を補正した場合に、更新された駐車枠37に合わせて衝突予測を行うようにしても良い。
【0098】
ここで、駐車位置補正部31は、上記したように、駐車枠37の位置が自車両1の移動方向46に更新された場合に、車両制御部29へ、更新された(最新の)駐車枠37に合わせた移動方向46への駐車位置51の補正量48(目標駐車位置補正量)を送るように構成されている。駐車位置補正部31による移動方向46への駐車位置51の補正は、駐車位置補正部31によって独自に行われる。この実施例では、駐車位置補正部31は、当初の駐車経路38を基準とした駐車位置51の補正量48などとして求められる。
【0099】
なお、駐車位置補正部31は、例えば、衝突予測部32による当初の衝突予測範囲53を移動方向46に修正した(修正された衝突予測範囲53’の)データを用いて移動方向46への駐車位置51の補正を行うことも構成的には可能であり、そのように構成しても良い。あるいは、上記とは逆に、衝突予測部32は、駐車位置補正部31による移動方向46への駐車位置51の補正量48を用いて移動方向46への衝突予測範囲53の修正を行うことも構成的には可能であり、そのように構成しても良い。しかし、駐車位置補正部31と衝突予測範囲53とは、それぞれ目的が異なっているので、駐車位置補正部31による移動方向46への駐車位置51の補正の処理と、衝突予測部32による移動方向46への衝突予測範囲53の修正の処理とは、上記したように、それぞれ独自に行わせるのが好ましい。
【0100】
車両制御部29は、上記したように、経路生成部28からの駐車経路38と、駐車位置補正部31からの移動方向46への駐車位置51の補正量48とを基に、当初の駐車経路38を移動方向46への駐車位置51の補正量48によって補正した制御信号(補正制御信号49、
図4)を作成して、補正した制御信号(補正制御信号49)を車両制御機器部4へ送り、車両制御機器部4に更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)に合うように自車両1の動きに対する制御を補正させる。これにより、移動方向46に更新された(最新の)駐車枠37や最終的な駐車枠37(B)の駐車位置51に対して、自車両1が駐車経路38を越えて移動方向46(車両後方)へ移動できるようになり、自車両1が正しい駐車枠37に駐車されるようになる。
【0101】
この際、車両制御部29は、例えば、所定のしきい値を基準として、移動方向46への駐車位置51の補正量48がしきい値よりも小さい場合には、制御信号15を補正しないで当初の駐車経路38に応じた制御信号15をそのまま車両制御機器部4へ出力するようにし、駐車位置51の補正量48がしきい値よりも大きくなった場合にのみ制御信号15を補正して補正制御信号49を車両制御機器部4へ出力するようにしても良い。
【0102】
これにより、駐車枠37の位置が移動方向46へ更新されることで、駐車位置補正部31が移動方向46への駐車位置51の補正量48を生成した場合でも、例えば、移動方向46への駐車位置51の変位量47(
図8)が僅かであって、補正量48が無視できる程度に小さいような場合には、車両制御部29は、制御信号15を特に補正しないようにできる。なお、この場合、しきい値は、例えば、変位量47の大きさを無視できる値と、無視できない値との境界値となるように適宜設定される。
【0103】
これに伴い、車両制御部29は、実際に制御信号15を補正したかどうかの情報(補正情報72)を衝突予測部32へ送り、衝突予測部32は車両制御部29から補正情報72を受け取るようにしても良い。衝突予測部32は、車両制御部29からの補正情報72によって、制御信号15の補正がなかった場合には、衝突予測に実質的な影響がないものとして、衝突予測範囲53を当初の駐車経路38のままにして衝突予測範囲53の修正を行わないようにする。これにより、実際に制御信号15の補正が行われた場合にのみ、衝突予測範囲53の修正が行われるようになる。なお、補正情報72は、例えば、制御信号15を補正したときにのみ発生するものとしても良いし、「補正有り」と「補正無し」のどちらかの情報を定期的に発生するものとしても良い。
【0104】
(4)駐車支援装置3は、上記したように、認識部23の認識結果を用いて障害物マップ34を生成する障害物マップ生成部25を備えており、
衝突予測部32は、駐車経路38と、障害物マップ生成部25が生成した障害物マップ34とを用いて衝突予測を行うようになっている。
そして、障害物マップ生成部25は、障害物マップ34を更新し、衝突予測部32は、更新された障害物マップ34を用いて、(修正された衝突予測範囲53’に対して)衝突予測を行うようにしても良い。
【0105】
ここで、障害物マップ34を逐次更新するとは、障害物マップ34を順次最新のものに置き換え続けることであり、これによって障害物マップ34は常に最新の状態に保たれる。
【0106】
図6は、自車両1を駐車スペース13に駐車する状態を示す図であり、上記したように、自動駐車または駐車支援を開始する当初の、認識部23の認識領域52が、駐車区画線12の手前側までとなっている(または、手前側しか認識できていない)場合には、当初の駐車枠37(A)は実際よりも手前側に設定されるため、駐車枠37が移動方向46に更新された場合に、衝突予測範囲53の不足によって最終的に自車両1が駐車される最終的な駐車枠37(B)の奥にある障害物14に対しては衝突予測を行うことができない状態となる。
【0107】
これと同様に、周辺検知結果取得部22も、自動駐車または駐車支援の開始当初には、周辺検知部6の検知領域が及ばずに、最終的な駐車枠37(B)の奥にある障害物14を検知できていない可能性がある。
【0108】
そこで、障害物マップ生成部25は、周辺検知結果取得部22の検知結果に基づいて障害物マップ34を逐次更新し続けるようにしても良い。これにより、衝突予測部32は、常に最新の障害物マップ34を使うことができるようになる。そして、衝突予測部32は、最新の障害物マップ34を使って移動方向46に修正された衝突予測範囲53’に対して衝突予測を行うことで、より正確に衝突予測を行って、
図2に示すように、適正に衝突回避を行うことができる状態となる。
【0109】
例えば、障害物マップ34が当初のままで更新がなされない場合には、上記したように駐車枠37の奥にある障害物14を検知できていない可能性があるため、
図3に示すように、最終的に自車両1が駐車される駐車枠37(B)の奥にある障害物14に対して衝突予測を行うことができずに、外部の緊急ブレーキ装置9が機能して緊急ブレーキがかかるおそれが生じる。
【0110】
上記のように最新の障害物マップ34を使えるようにするために、
図7の障害物マップ生成処理41では、障害物マップ生成部25は、ステップSa1で障害物マップ34を生成した後に、ステップSa2で所定時間ごとに当該障害物マップ34の更新を繰り返すようにしている。
【0111】
(5)以下、この実施例の駐車支援装置3を用いた駐車支援方法について説明する。
駐車支援方法では、認識部23が、自車両1の周囲の状況を認識する。
また、駐車空間認識部26が、認識部23の認識結果を用いて駐車枠37を設定する。
また、経路生成部28が、認識部23で認識した自車両1の周囲の状況と、駐車空間認識部26で設定した駐車枠37とを用いて、自車両1の位置(自車位置16)から駐車枠37(の駐車位置51)までの駐車経路38を生成する。
また、衝突予測部32が、経路生成部28で生成された駐車経路38と、認識部23の認識結果とを用いて、自車両1が駐車経路38を移動する際に、自車両1が障害物14と衝突するかどうかを予測する。
そして、自車両1の移動に伴って認識部23の認識領域52が自車両1の移動方向46へ拡がることで、駐車空間認識部26が、駐車枠37の位置を移動方向46に更新した場合に、
衝突予測部32は、駐車空間認識部26によって自車両1の移動方向46に更新された(最新の)駐車枠37に合わせた衝突予測を行うことになる。
【0112】
そして、
図7の駐車支援処理では、衝突予測部32による衝突予測処理45は、
図12のように行われる。
【0113】
まず、ステップSe1で、経路生成部28からの出力によって当初の駐車経路38の情報を取得する。
【0114】
次に、ステップSe2で、車両制御部29からの情報(車両制御情報)で自車両1の走行開始を確認する。なお、ステップSe1とステップSe2は、逆に行っても良いし、同時に行っても良い。
【0115】
また、ステップSe3で、駐車空間認識部26からの新規および更新後の駐車枠37の情報(駐車枠情報)や、車両制御部29からの車両制御の補正情報72を取得する。なお、ステップSe3の、駐車枠37の情報の取得と、車両制御の補正情報72の取得とは、分けて別々に行わせても良い。
【0116】
そして、ステップSe4で、補正情報72に基づき、衝突予測範囲53の修正処理の要否を判断する。ステップSe4でYesの場合には、ステップSe5で、衝突予測範囲53の修正処理を行う。ステップSe4でNoの場合には、衝突予測範囲53の修正処理を行わないでそのままステップSe6へ進む。
【0117】
ステップSe5での衝突予測範囲53の修正処理は、
図11で説明したようにして行われる。
【0118】
ステップSe6では、障害物マップ生成部25からの障害物マップ34を用いて衝突判定を行い、Noの場合には、通常走行によって駐車を続行させる。Yesの場合には、衝突予測部32が車両制御部29へ信号を送り、車両制御部29に衝突回避機能を作動させて自車両1を障害物14の手前で減速または停止させる。以後、自車両1が最終的な駐車枠37(B)に入庫されるまで、上記を繰り返す。
【0119】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0120】
(効果 1)駐車支援装置3では自動駐車や駐車支援を使った駐車の際には、自車両1の移動に伴って認識部23の認識領域52が、(当初は認識していなかった)自車両1の移動方向46へと徐々に拡がって行く。すると、認識部23の当初の認識領域52に基づいて駐車空間認識部26によって得られた当初の駐車枠37(A)の位置が最終的な駐車枠37(B)の位置よりも手前側となっている場合には、駐車空間認識部26は、認識領域52の拡大に応じて、正しい位置(駐車枠37が最終的な駐車枠37(B))となるまで、駐車枠37の位置を移動方向46へ順次更新して行くことになる。これに伴い、この実施例の衝突予測部32は、駐車空間認識部26によって更新される駐車枠37に合わせた衝突予測ができるようにしている。
【0121】
これにより、衝突予測部32が、当初の駐車枠37(A)に対して設定された当初の駐車経路38に衝突予測範囲53を限って衝突予測を行うようにしていた既存の場合には、衝突予測ができなかった移動方向46の先の方の領域に対しても、衝突予測を継続して行わせることができるようになる。よって、最終的な駐車枠37(B)に自車両1が駐車(入庫)されるまでの間に、衝突予測が行われなくなる領域をなくすことができる。
【0122】
そのため、実際に最終的な駐車枠37(B)に対する駐車が終了するまでの間、衝突予測部32による衝突予測を適正に機能し続けさせることができるようになり、
図2に示すように、最終的な駐車枠37(B)の奥(内側や近傍)にある障害物14に対しても、事前に衝突予測を行って、衝突が回避されるように、適正なタイミングで乗員負荷が小さく、緩やかな減速や停止を行うことが可能になる。
【0123】
これに対し、例えば、衝突予測部32が、当初の駐車経路38の範囲内に衝突予測範囲53を限って衝突予測を行っている場合には、移動方向46への駐車枠37の更新が生じても、当初の駐車経路38の範囲を超えた時点で衝突予測ができなくなるため、途中から上記したような衝突予測部32による衝突回避ができない状態になる。その結果、
図3に示すように、最終的な駐車枠37(B)の奥にある障害物14に対して、衝突回避のために、駐車支援装置3とは別に自車両1に設けられている緊急ブレーキ装置9が代わりに作動することになる。しかし、緊急ブレーキ装置9だと、衝突ギリギリのタイミングに緊急ブレーキがかかるため、乗員負荷の大きい急激な減速や停止が行われてしまい、駐車支援による駐車の際の乗り心地が悪くなり、乗員に大きな不安感を与えることになる。
【0124】
よって、この実施例の場合には、最終的な駐車枠37(B)に対する自車両1の駐車が終了するまでの間中、衝突予測部32が機能し続けるため、最終的な駐車枠37(B)奥にある障害物14に対して適正なタイミングでの緩やかな減速や停止が行われることで、緊急ブレーキ装置9による緊急ブレーキが作動する前に事前に衝突回避がなされるようになり、駐車支援による駐車の際の乗り心地や安心感を向上することができて、乗員に対する物理的および心理的な効果が高い。
【0125】
(効果 2)衝突予測部32は、駐車経路38の終点位置55aが、自車両1の移動方向46に更新されると、更新された駐車経路38の終点位置55aに対応した駐車枠37に対して衝突予測を行うようにしても良い。これにより、最新の駐車枠37に合わせた衝突予測を、簡単な処理で行うことができる。
【0126】
この際、衝突予測部32は、駐車枠37が自車両1の移動方向46に更新された場合に、当初の駐車経路38の終点位置55aを、移動方向46に更新された駐車枠37の駐車位置51に移動させることで、終点位置55aを移動方向46に更新するようにしても良い。このように、当初の駐車経路38の終点位置55aを、最新の駐車枠37の駐車位置51(またはその近傍)に置き換える処理を追加するだけで、実質的に駐車経路38を移動方向46に延長した場合と同じ効果が得られるので、処理が簡単である。また、駐車枠37の移動方向46への更新に対して、当初の駐車経路38をほぼ保持したままの状態で、その一部(終点位置55aの座標)を変更するだけで、例えば、再計算によって駐車経路全体を求め直すなどの大掛かりな処理を行わずに、衝突予測範囲53の修正を行うことができる。
【0127】
この際、最新の駐車枠37の駐車位置51は、俯瞰画像などのイメージデータ(周辺画像18)上の座標として簡単に得ることができるため、当初の駐車経路38の終点位置55aを最新の駐車枠37の駐車位置51(またはその近傍)へ移動させる処理は、簡単な座標計算程度の処理で済むので、衝突予測部32の処理負担を小さくできる。
【0128】
(効果 3)駐車位置補正部31は、駐車空間認識部26によって自車両1の移動方向46に更新された駐車枠37に基づいて、駐車枠37に対する駐車位置51の補正量48を求めるようにしても良い。そして、車両制御部29は、当初の駐車経路38と、駐車位置補正部31で求められた駐車位置51の補正量48とを用いて自車両1の動きを制御するようにしても良い。
【0129】
これにより、駐車枠37が当初の駐車枠37(A)よりも移動方向46に更新された場合でも、当初の駐車経路38(に対する制御信号15)と、車位置51の補正量48とを用いることで、最新の駐車枠37へ向けて自車両1を当初の駐車経路38よりも移動方向46へ移動させて、最終的な駐車枠37(B)に正しく駐車させることができる。この際、当初の駐車経路38と、当初の駐車経路38に対する駐車位置51への補正量48とを用いることで、更新された駐車枠37に対して、当初の駐車経路38に対する制御信号15を基本的に保持したままで、例えば、再計算によって新たな駐車経路に対する新たな制御信号を求め直すような大掛かりな処理を行わずに、自車両1の移動方向46への動きを制御し、補正することができる。
【0130】
そして、衝突予測部32は、車両制御部29が駐車位置51の補正量48を用いて自車両1に対する制御を(実際に)補正した場合に、更新された駐車枠37に合わせた衝突予測を行うようにしても良い。
【0131】
これにより、車両制御部29が、駐車位置51の補正量48を実際に用いて、自車両1の動きに対する制御を補正したという内容の補正情報72を受取った場合にのみ、衝突予測部32が、衝突予測範囲53の修正を行い、駐車位置51の補正量48が使われなかった場合(補正情報72を受取らなかった場合、または、補正量48が使われなかったという補正情報72(「補正無し」の情報)を受取った場合)には、衝突予測部32は、衝突予測範囲53の修正を行わないようにできる。そのため、例えば、移動方向46への駐車枠37の更新の量が僅かであって、実質的に衝突予測に影響が生じないような場合などには、移動方向46への衝突予測範囲53の修正を、無駄に行わなくて済むようにできる。
【0132】
(効果 4)障害物マップ生成部25は、認識部23の認識結果を用いて障害物マップ34を生成するようにしても良い。また、衝突予測部32は、駐車経路38と、障害物マップ生成部25が生成した障害物マップ34とを用いて衝突予測を行うようにしても良い。
【0133】
この際、障害物マップ生成部25は、障害物マップ34を更新するようにしても良い。衝突予測部32は、更新された障害物マップ34を用いて(修正された衝突予測範囲53’に対し)衝突予測を行うようにしても良い。
【0134】
そして、移動方向46に更新された駐車枠37の周辺に障害物14がない場合には、駐車支援によってそのまま最終的な駐車枠37(B)へ自車両1を駐車させ、移動方向46に更新された駐車枠37の周辺に障害物14がある場合には、衝突防止機能により最終的な駐車枠37(B)の手前で自車両1を減速または停止させて衝突回避を行うように(車両制御部29を制御できるように)しても良い。
【0135】
これにより、障害物マップ生成部25は、常に最新の障害物マップ34を得ることができ、また、衝突予測部32は、最新の駐車枠37に対し、逐次更新される最新の障害物マップ34に基づいた衝突予測を(移動方向46に修正された衝突予測範囲53’に対して)行うことができるようになるため、障害物マップ34の精度と、衝突予測の精度との両方を高めることができる。
【0136】
(効果 5)上記した駐車支援方法によれば、上記駐車支援装置3と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0137】
1 自車両
3 駐車支援装置
14 障害物
16 自車位置
18 周辺画像
23 認識部
25 障害物マップ生成部
26 駐車空間認識部
28 経路生成部
29 車両制御部
31 駐車位置補正部
32 衝突予測部
34 障害物マップ
37 駐車枠
37(A) 当初の駐車枠
37(B) 最終的な駐車枠
38 駐車経路
46 移動方向
48 補正量
51 駐車位置
52 認識領域
53 衝突予測範囲
53’ 修正された衝突予測範囲
55a 終点位置
72 補正情報