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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0007 20190101AFI20240613BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20240613BHJP
   F24F 1/04 20110101ALI20240613BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F24F1/0007 331
F24F5/00 Z
F24F5/00 L
F24F1/04
F24F1/0007 361C
F24F13/22 225
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020117982
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015267
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中 政道
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-001830(JP,A)
【文献】特開2013-224813(JP,A)
【文献】特開2020-094787(JP,A)
【文献】特開2008-170115(JP,A)
【文献】特開平07-248152(JP,A)
【文献】特開2020-099120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007、
F24F 1/0087-1/0097、
F24F 1/02、1/029、
F24F 1/037-1/039、1/04
F24F 1/06-1/68、
F24F 3/00-3/167、
F24F 5/00、
F24F 11/00-11/89
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却した風を吹き出す空気調和機であって、
風を導入するための第1吸気口および第2吸気口と、前記第1吸気口から導入された空気を放出する排熱口と、前記第2吸気口から導入された空気を放出する吹出口と、前記第1吸気口から導入された空気を前記排熱口に導く排気風路と、前記第2吸気口から導入された空気を前記吹出口に導く冷風風路と、を有する筐体と、
前記排気風路と前記冷風風路とを仕切る仕切り板と、
圧縮機、前記排気風路に配置される凝縮機および前記冷風風路に配置される蒸発器を含む冷凍サイクル部と、
前記冷風風路に配置される気化冷却用のフィルタを含む気化冷却部と、
前記第2吸気口から導入された風を前記冷凍サイクル部によって冷却する第1冷却と、前記第2吸気口から導入された風を前記気化冷却部によって冷却する第2冷却とを切替える切替部と、を備え
前記冷風風路は、前記第2吸気口から導入された風を前記吹出口まで導く第1風路および第2風路を有し、
前記蒸発器は前記第1風路に配置され、前記気化冷却部は前記第2風路に配置され、
前記第1風路によって導かれて前記吹出口から吹き出す風は、前記第1冷却によって冷却された風であり、
前記第2風路によって導かれて前記吹出口から吹き出す風は、前記第2冷却によって冷却された風であり、
前記切替部は、前記第1風路または前記第2風路を切替える、空気調和機。
【請求項2】
前記フィルタに含浸させる水は、前記冷凍サイクル部に含まれる前記蒸発器から生じるドレン水である、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
冷却した風を吹き出す空気調和機であって、
風を導入するための第1吸気口および第2吸気口と、前記第1吸気口から導入された空気を放出する排熱口と、前記第2吸気口から導入された空気を放出する吹出口と、前記第1吸気口から導入された空気を前記排熱口に導く排気風路と、前記第2吸気口から導入された空気を前記吹出口に導く冷風風路と、を有する筐体と、
前記排気風路と前記冷風風路とを仕切る仕切り板と、
圧縮機、前記排気風路に配置される凝縮機および前記冷風風路に配置される蒸発器を含む冷凍サイクル部と、
前記冷風風路に配置される気化冷却用のフィルタを含む気化冷却部と、
前記第2吸気口から導入された風を前記冷凍サイクル部によって冷却する第1冷却と、前記第2吸気口から導入された風を前記気化冷却部によって冷却する第2冷却とを切替える切替部と、を備え、
前記フィルタに含浸させる水は、前記冷凍サイクル部に含まれる前記蒸発器から生じるドレン水であり、
前記蒸発器の直下に前記フィルタが配置されている、空気調和機。
【請求項4】
冷却した風を吹き出す空気調和機であって、
風を導入するための第1吸気口および第2吸気口と、前記第1吸気口から導入された空気を放出する排熱口と、前記第2吸気口から導入された空気を放出する吹出口と、前記第1吸気口から導入された空気を前記排熱口に導く排気風路と、前記第2吸気口から導入された空気を前記吹出口に導く冷風風路と、を有する筐体と、
前記排気風路と前記冷風風路とを仕切る仕切り板と、
圧縮機、前記排気風路に配置される凝縮機および前記冷風風路に配置される蒸発器を含む冷凍サイクル部と、
前記冷風風路に配置される気化冷却用のフィルタを含む気化冷却部と、
前記第2吸気口から導入された風を前記冷凍サイクル部によって冷却する第1冷却と、前記第2吸気口から導入された風を前記気化冷却部によって冷却する第2冷却とを切替える切替部と、を備え、
前記冷凍サイクル部は、前記気化冷却部よりも上に配置されている、空気調和機。
【請求項5】
前記空気調和機を駆動するための電源として電池を用いる、請求項1~の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記切替部による切替を制御する切替制御部をさらに含み、
前記切替制御部は、
前記第1冷却と、前記第2冷却とを所定時間毎に切替えるように前記切替部を制御する、請求項1~の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記切替部による切替を制御する切替制御部と、
前記第1冷却の実行をオン・オフするスイッチと、をさらに含み、
前記切替制御部は、
前記スイッチのオン・オフに応じて、前記第1冷却と、前記第2冷却とを切替えるように前記切替部を制御する、請求項1~の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記切替部による切替を制御する切替制御部と、
前記蒸発器から生じるドレン水を貯水するドレンタンクと、
前記ドレンタンクの貯水量を検出する貯水量検出器と、をさらに含み、
前記切替制御部は、
前記第1冷却を実行中に、前記貯水量検出器が予め設定された貯水量を検出したとき、前記第2冷却に切替えるように前記切替部を制御する、請求項1~の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項9】
冷却した風を吹き出す空気調和機であって、
筐体と、
圧縮機、凝縮機および蒸発器を含む冷凍サイクル部と、
気化冷却用のフィルタを含む気化冷却部と、
前記筐体に導入された風を前記冷凍サイクル部によって冷却する第1冷却と、前記筐体に導入された風を前記気化冷却部によって冷却する第2冷却とを切替える切替部と、を備え、
前記空気調和機を駆動するための電源として電池を用い
前記切替部による切替を制御する切替制御部と、
前記電池の残容量を検出する容量検出器とを、さらに備え、
前記切替制御部は、
前記第1冷却を実行中に、前記容量検出器が予め設定された値以下の残容量を検出したとき、前記第2冷却に切替えるように前記切替部を制御する、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルを使用する空気調和機として、例えば特許文献1に開示された冷風機が知られている。
【0003】
また、冷凍サイクルを使用する持ち運び型の空気調和機として、例えば特許文献2に開示された乾式除湿機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-009817号公報
【文献】特開2001-179035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、持ち運び型の空気調和機において、電源としてバッテリーを搭載すれば、外部電源が無い場所に持ち運んでも使用することが可能となる。しかしながら、冷凍サイクルを使用する空気調和機では、圧縮機等の消費電力が多いため、長時間継続して駆動するには大容量の大型バッテリーを使用する必要があり、その結果、装置本体が大型化するという問題が生じる。一方、装置本体の小型化を考えた場合、小容量の小型バッテリーを使用することになるが、空気調和機の駆動時間が短くなるという問題が生じる。
【0006】
そこで、冷凍サイクルを所定時間毎に停止させることで、消費電力を低減することが考えられるが、風の冷却が一時的に停止させるので、空気調和機周囲の温度が一時的に上がる恐れがある。つまり、消費電力を低減できるものの、冷房としての能力が低下するという問題が生じる。
【0007】
本発明の一態様は、消費電力を少なくし、且つ冷房能力の低下を抑えることのできる空気調和機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る空気調和機は、冷却した風を吹き出す空気調和機であって、風を導入するための第1吸気口および第2吸気口と、前記第1吸気口から導入された空気を放出する排熱口と、前記第2吸気口から導入された空気を放出する吹出口と、前記第1吸気口から導入された空気を前記排熱口に導く排気風路と、前記第2吸気口から導入された空気を前記吹出口に導く冷風風路と、を有する筐体と、前記排気風路と前記冷風風路とを仕切る仕切り板と、圧縮機、前記排気風路に配置される凝縮機および前記冷風風路に配置される蒸発器を含む冷凍サイクル部と、前記冷風風路に配置される気化冷却用のフィルタを含む気化冷却部と、前記第2吸気口から導入された風を前記冷凍サイクル部によって冷却する第1冷却と、前記第2吸気口から導入された風を前記気化冷却部によって冷却する第2冷却とを切替える切替部と、を備え、前記冷風風路は、前記第2吸気口から導入された風を前記吹出口まで導く第1風路および第2風路を有し、前記蒸発器は前記第1風路に配置され、前記気化冷却部は前記第2風路に配置され、前記第1風路によって導かれて前記吹出口から吹き出す風は、前記第1冷却によって冷却された風であり、前記第2風路によって導かれて前記吹出口から吹き出す風は、前記第2冷却によって冷却された風であり、前記切替部は、前記第1風路または前記第2風路を切替える。
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る空気調和機は、 冷却した風を吹き出す空気調和機であって、風を導入するための第1吸気口および第2吸気口と、前記第1吸気口から導入された空気を放出する排熱口と、前記第2吸気口から導入された空気を放出する吹出口と、前記第1吸気口から導入された空気を前記排熱口に導く排気風路と、前記第2吸気口から導入された空気を前記吹出口に導く冷風風路と、を有する筐体と、前記排気風路と前記冷風風路とを仕切る仕切り板と、圧縮機、前記排気風路に配置される凝縮機および前記冷風風路に配置される蒸発器を含む冷凍サイクル部と、前記冷風風路に配置される気化冷却用のフィルタを含む気化冷却部と、前記第2吸気口から導入された風を前記冷凍サイクル部によって冷却する第1冷却と、前記第2吸気口から導入された風を前記気化冷却部によって冷却する第2冷却とを切替える切替部と、を備え、前記フィルタに含浸させる水は、前記冷凍サイクル部に含まれる前記蒸発器から生じるドレン水であり、前記蒸発器の直下に前記フィルタが配置されている。
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る空気調和機は、冷却した風を吹き出す空気調和機であって、風を導入するための第1吸気口および第2吸気口と、前記第1吸気口から導入された空気を放出する排熱口と、前記第2吸気口から導入された空気を放出する吹出口と、前記第1吸気口から導入された空気を前記排熱口に導く排気風路と、前記第2吸気口から導入された空気を前記吹出口に導く冷風風路と、を有する筐体と、前記排気風路と前記冷風風路とを仕切る仕切り板と、圧縮機、前記排気風路に配置される凝縮機および前記冷風風路に配置される蒸発器を含む冷凍サイクル部と、前記冷風風路に配置される気化冷却用のフィルタを含む気化冷却部と、前記第2吸気口から導入された風を前記冷凍サイクル部によって冷却する第1冷却と、前記第2吸気口から導入された風を前記気化冷却部によって冷却する第2冷却とを切替える切替部と、を備え、前記冷凍サイクル部は、前記気化冷却部よりも上に配置されている。
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る空気調和機は、冷却した風を吹き出す空気調和機であって、筐体と、圧縮機、凝縮機および蒸発器を含む冷凍サイクル部と、気化冷却用のフィルタを含む気化冷却部と、前記筐体に導入された風を前記冷凍サイクル部によって冷却する第1冷却と、前記筐体に導入された風を前記気化冷却部によって冷却する第2冷却とを切替える切替部と、を備え、前記空気調和機を駆動するための電源として電池を用い前記切替部による切替を制御する切替制御部と、前記電池の残容量を検出する容量検出器とを、さらに備え、前記切替制御部は、前記第1冷却を実行中に、前記容量検出器が予め設定された値以下の残容量を検出したとき、前記第2冷却に切替えるように前記切替部を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、消費電力を少なくし、且つ冷房能力の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の外観を示す側面図である。
図2図1に示した空気調和機の内部の構成を示す模式図である。
図3図1に示した空気調和機の空気調和部の運転状態を示す説明図である。
図4図2に示した空気調和機の制御系統の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る空気調和機の内部の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態について以下に説明する。図1は、本実施形態に係る空気調和機1の外観を示す側面図である。図2は、図1に示した空気調和機1の内部の構成を示す模式図である。
【0012】
(空気調和機1の構成)
図1に示すように、空気調和機1は、可搬型の装置であり、外面を覆う筐体11を有している。筐体11は、円筒形状を成す側面、底面および上面を有し、上面は上方へ膨らむように曲面状に形成されている。なお、筐体11の形状は、上記形状に限定されず、例えば用途に応じて適宜設定される。
【0013】
筐体11の側面には、風の導入口として、上側に第1吸気口12が形成され、下側に第2吸気口13が形成されている。筐体11の側面のこれら第1および第2吸気口12,13の位置とは反対側の位置には、上側に第1吹出口14が形成され、下側に第2吹出口15が形成されている。また、筐体11の上面には排熱口16が形成されている。
【0014】
図2に示すように、筐体11の内部には、上部に冷凍サイクル部20、下部に気化冷却部30が配されている。冷凍サイクル部20は、圧縮機21、凝縮機22、蒸発器23を含んでいる。気化冷却部30は、冷風扇フィルタ(気化冷却用のフィルタ)31、ドレンタンク(貯水容器)32を含んでいる。さらに、筐体11の内部には、蒸発器23および冷風扇フィルタ31に風を吹き付ける送風ファン(送風機)41、送風ファン41および冷凍サイクル部20を駆動するための電源となる電池42が設けられている。このうち、圧縮機21、凝縮機22、蒸発器23、冷風扇フィルタ31、ドレンタンク32および送風ファン41は、後述する空気調和部61に含まれる。電池42は、一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。
【0015】
第1吸気口12は、凝縮機22へ送風するための外気を取り込む開口である。第2吸気口13は、蒸発器23および冷風扇フィルタ31へ送風するための外気を取り込む開口である。第1吹出口14は、蒸発器23によって熱交換された風を放出するための開口である。第2吹出口15は、冷風扇フィルタ31によって気化冷却された風を放出するための開口である。すなわち、第1吹出口14は、冷凍サイクル部20によって冷却された風を吹出すための開口であり、第2吹出口は、気化冷却部30によって冷却された風を吹き出すための開口である。排熱口16は、空気調和機1での空気調和動作により生じた熱を排出する開口である。
【0016】
(蒸発器、冷風扇フィルタ、ドレンタンクの配置関係)
蒸発器23、冷風扇フィルタ31、ドレンタンク32は、この順番で上から配置されている。すなわち、蒸発器23の直下には、冷風扇フィルタ31およびドレンタンク32が配置されている。これにより、蒸発器23によって生じたドレン水は、冷風扇フィルタ31に滴下されるとともに、冷風扇フィルタ31の下方のドレンタンク32に貯まる。冷風扇フィルタ31は、ドレンタンク32に貯まった水(貯水)を含浸させて使用する。つまり、冷風扇フィルタ31に含浸させる水は、蒸発器23によって生じたドレン水である。従って、冷風扇フィルタ31に水を含浸させるための貯水タンクを別途設ける必要がなくなる。
【0017】
(風路)
筐体11内には、上側から順に、第1仕切り板17、第2仕切り板18、第3仕切り板19がそれぞれ底面に対して平行に設けられている。第1仕切り板17は、圧縮機21、凝縮機22を配置するための支持用板である。第2仕切り板18は、蒸発器23に吹き付ける風と、冷風扇フィルタ31に吹き付ける風とを分けるための仕切り板である。第3仕切り板19は、送風ファン41を支持するとともに、送風ファン41からの風を冷風扇フィルタ31まで導く風路を構成する風路板である。第3仕切り板19の下側に、ドレンタンク32、電池42が配置されている。
【0018】
第2仕切り板18における風上側の端部には、上下に回動する切替板43が回動軸44によって軸支されている。切替板43は、後述する駆動モータ79(図4)によって駆動される。
【0019】
切替板43は、図2の符号1021に示すように、下方に回動したときに、先端が第3仕切り板19に当接する。これにより、第1仕切り板17の下面、切替板43の上面、第2仕切り板18の上面で第1風路を構成する。この第1風路の吹出し口側には蒸発器23が配置されている。従って、送風ファン41からの風が第1風路を流れて蒸発器23に吹き付けられた風が冷却した風として吹き出す。つまり、冷凍サイクル部20による第1冷却によって冷却された風を吹き出す。ここで、第1風路は、筐体11の導入口(第1吸気口12)から導入された風を吹出口(第1吹出口14)に導く風路である。第1吹出口14から吹き出す風は、第1冷却によって冷却された風である。
【0020】
一方、切替板43は、図2の符号1022に示すように、上方に回動したときに、先端が第1仕切り板17に当接する。これにより、第3仕切り板19の上面、切替板43の下面、第2仕切り板18の下面で第2風路を構成する。この第2風路の吹出し口側には冷風扇フィルタ31が配置されている。従って、送風ファン41からの風が第2風路を流れて冷風扇フィルタ31に吹き付けられた風が冷却した風として吹き出す。つまり、気化冷却部30による第2冷却によって冷却された風を吹き出す。ここで、第2風路は、筐体11の導入口(第2吸気口13)から導入された風を吹出口(第2吹出口15)に導く風路である。第2吹出口15から吹き出す風は、第2冷却によって冷却された風である。このように、切替板43は、第1風路または第2風路を切替える。
【0021】
(空気調和機1の空気調和部61の構成)
図3は、空気調和機1の空気調和部61の冷房運転状態を示す説明図である。
【0022】
空気調和機1は、詳細には図3に示す空気調和部61を備えている。空気調和部61は、空気調和動作である冷房運転を行う冷凍サイクル部20および気化冷却部30によって構成されている。
【0023】
空気調和部61の冷凍サイクル部20では、図3に示すように、圧縮機21によって圧縮された高温かつ高圧の冷媒は、四方弁62を介して凝縮機22に送られる。冷媒は、凝縮機22において、凝縮器ファン63が第1吸気口12から吸い込んだ空気を凝縮機22に向けて送ることによって冷却されると液化する。凝縮機22を通過した空気は、凝縮機22内の冷媒が液化することで放出した熱を含んだ状態で、排熱口16から排出される。
【0024】
液化した冷媒は、膨張弁64の微小なノズル穴から蒸発器23内へ噴射されることで一気に気化する。気化した冷媒が蒸発器23の周囲の熱を奪っていくことにより、蒸発器23が冷やされる。そして、送風ファン41が第2吸気口13から取り入れた空気を、図2の符号1021に示すように、切替板43を下方に回動させて構成される第1風路から、蒸発器23に通過させることで冷却される。蒸発器23からの冷気は、第1吹出口14から放出される。蒸発器23を出た冷媒は、圧縮機21に戻って再び圧縮される。
【0025】
空気調和部61の気化冷却部30では、図3に示すように、送風ファン41が第2吸気口13から取り入れた空気を、図2の符号1022に示すように、切替板43を上方に回動させて構成される第2風路から、冷風扇フィルタ31に通過させることで冷却される。冷風扇フィルタ31からの冷気は、第2吹出口15から放出される。なお、空気調和部61において気化冷却部30を駆動する場合には、送風ファン41以外の冷凍サイクル部20を構成している圧縮機21、凝縮機22、蒸発器23を停止させる。これにより、消費電力を少なくできる。
【0026】
(制御部71の構成)
図4は、空気調和機1の制御系統の構成を示すブロック図である。図4に示すように、空気調和機1は、制御部71、タイマ75、冷房スイッチ76、水量検出センサ(貯水量検出器)77、容量検出センサ(容量検出器)78、および駆動モータ79を備えている。タイマ75は時間を計測し、計測した時間を制御部71に送信する。冷房スイッチ76は、冷凍サイクル部20の駆動・停止を行うためのスイッチである。水量検出センサ77は、ドレンタンク32の貯水量を検出するセンサである。容量検出センサ78は、電池42の残容量を検出するセンサである。駆動モータ79は、駆動軸が回動軸44に連結されたモータであり、切替板43を上下に回転させるようになっている。
【0027】
制御部71は、運転制御部72、切替制御部73、電源制御部74を備えている。運転制御部72は、切替制御部73からの制御信号に基づいて、冷凍サイクル部20、気化冷却部30の運転を制御する。切替制御部73は、タイマ75、冷房スイッチ76、水量検出センサ77、容量検出センサ78の少なくとも一つの信号に基づき、切替板43を所望する方向に回動させるように駆動モータ79を制御する。電源制御部74は、電源として電池42または電源ユニット45を使用するように、電源の切り替えを制御する。
【0028】
(冷却部の切替え:所定時間毎)
冷凍サイクル部20による冷却と気化冷却部30による冷却の切替えは、上述したように、風路(第1風路、第2風路)の切替えによって行う。風路の切替えは、切替板43を回動させることで行う。切替板43は、駆動モータ79によって回転駆動される。従って、駆動モータ79と切替板43によって、送風ファン41が供給する風を冷凍サイクル部20によって冷却する第1冷却と、送風ファン41が供給する風を気化冷却部30によって冷却する第2冷却とを切替える切替部を構成する。
【0029】
切替板43は、切替制御部73によって以下のように制御されることで、風路(第1風路、第2風路)の切替えを行う。
【0030】
切替制御部73は、タイマ75から送られる信号から経過時間をカウントし、所定の時間経過した時点で、駆動モータ79を制御して切替板43を上下何れかの方向に回転させて、風路を切替える。例えば、切替制御部73は、所定時間経過前に切替板43が下方に回転している状態、すなわち第1風路を形成している状態であれば、所定時間経過した時点で、図2の1022に示すように、切替板43を上方に回転させるように駆動モータ79を制御する。これにより、第1風路から第2風路に切替えられ、送風ファン41からの風を冷風扇フィルタ31に通して、第2吹出口15から放出する。一方、切替制御部73は、所定時間経過前に切替板43が上方に回転している状態、すなわち第2風路を形成している状態であれば、所定時間経過した時点で、切替板43を下方に回転させるように駆動モータ79を制御する。これにより、第2風路から第1風路に切替えられ、送風ファン41からの風を蒸発器23に通して、第1吹出口14から放出する。
【0031】
第1風路から第2風路に切替えるまでの時間と、第2風路から第1風路に切替えるまでの時間は同じであってもよいし、異なっていてもよい。冷房性能を高める場合には、第1風路から第2風路に切替えるまでの時間を長くして、冷凍サイクル部20による風の冷却を長く行うようにする。一方、冷房性能を維持し、且つ消費電力を低減する場合には、第2風路から第1風路に切替える時間を長くして、気化冷却部30による風の冷却を長く行うようにする。従って、風路を切替える所定時間については空気調和機1を使用する目的に応じて適宜設定すればよい。
【0032】
本実施形態の空気調和機1は、電源として電池42を用いているため、省電力を考慮した場合、風路を切替えて一方の冷却部による冷却動作を実行させるとき、他方の冷却部による冷却動作を停止させることが好ましい。気化冷却部30による冷却の場合、送風ファン41が電力を消費するだけであるが、冷凍サイクル部20による冷却の場合、電力は送風ファン41以外に、圧縮機21、凝縮機22、蒸発器23等も電力を消費する。従って、気化冷却部30による冷却を実行しているときには、冷凍サイクル部20による冷却を停止させることが、消費電力の観点から好ましい。
【0033】
(空気調和機1の利点)
本実施形態の空気調和機1は、冷凍サイクル部20による冷却と、気化冷却部30による冷却とを切替えることで、冷凍サイクル部20における冷却能力の高さと、気化冷却部30における消費電力の少なさを両立させることが可能となる。しかも、2つの冷却部を同時に駆動する場合に比べて、消費電力を低減することができるので、電池42を使用する空気調和機1において、電池42の容量を増やさずに駆動時間を延ばすことが可能となる。
【0034】
しかも、本実施形態では、冷却部の切替えを所定時間毎に行うため、定期的に、消費電力の多い冷凍サイクル部20による冷却を停止することができる。これにより、電池42の消費が減り、空気調和機1の駆動時間を延ばすことが可能となる。
【0035】
以上のように、電源として、小容量の電池42を使用することが可能となるので、空気調和機1の小型軽量化を実現することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、筐体11の内部において、上部に冷凍サイクル部20、下部に気化冷却部30が配された例について説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、冷凍サイクル部20を下部、気化冷却部30を上部に配してもよいし、冷凍サイクル部20と気化冷却部30とを左右に配置するようにしてもよい。これらの場合、冷凍サイクル部20で生じたドレン水を気化冷却部30に供給するための手段を別途設ける必要がある。
【0037】
また、本実施形態では、冷却部の切替えを所定時間毎としたが、これに限定されるものではない。他の冷却部の切替えについて以下の実施形態2で説明する。
【0038】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0039】
本実施形態に係る空気調和機は、前記実施形態1の空気調和機1と同じ構成であり、冷却部の切替制御が異なる。従って、空気調和機の構成の詳細な説明は省略し、冷却部の切替制御について説明する。
【0040】
(冷却部の切替え:冷房スイッチのオン・オフ)
本実施形態では、切替制御部73が、冷房スイッチ76のオン・オフに応じて、冷凍サイクル部20による冷却(第1冷却)と、気化冷却部30による冷却(第2冷却)とを切替えるように切替部である駆動モータ79と切替板43を制御する。
【0041】
具体的には、運転制御部72は、冷房スイッチ76がオンされれば、冷凍サイクル部20を駆動する。このとき、冷房スイッチ76がオンされた信号は、切替制御部73にも送信される。切替制御部73では、図4の符号1021に示すように、第1風路を形成するため、切替板43を下方に回転させるように駆動モータ79を制御する。これにより、送風ファン41からの風を、第1風路から蒸発器23に通して、第1吹出口14から放出する。
【0042】
一方、運転制御部72は、冷房スイッチ76がオフされれば、冷凍サイクル部20を停止する。このとき、冷房スイッチ76がオフされた信号は、切替制御部73にも送信される。切替制御部73では、図4の符号1022に示すように、第2風路を形成するため、切替板43を上方に回転させるように駆動モータ79を制御する。これにより、送風ファン41からの風を、第2風路から冷風扇フィルタ31に通して、第2吹出口15から放出する。
【0043】
なお、冷房スイッチ76がオンされて、冷凍サイクル部20の駆動状態が継続されると電池42の消費が多くなる。このため、冷房スイッチ76がオフされるまで待つのではなく、冷房スイッチ76がオンされてから所定時間経過した後、冷凍サイクル部20を停止させて、風路を第1風路から第2風路に切替えて、気化冷却部30による冷却に切替えるようにしてもよい。
【0044】
また、冷凍サイクル部20の駆動が継続した場合、ドレンタンク32が所定の水量以上になる恐れがある。この場合には、ドレンタンク32からドレン水が溢れないように、冷凍サイクル部20の駆動を停止させる必要がある。
【0045】
(冷却部の切替え:ドレンタンクの水量)
本実施形態では、切替制御部73が、冷凍サイクル部20による冷却(第1冷却)を実行中に、水量検出センサ77が予め設定された貯水量を検出したとき、気化冷却部30による冷却(第2冷却)に切替えるように切替部である駆動モータ79と切替板43を制御する。
【0046】
具体的には、運転制御部72は、ドレンタンク32の水量を検出する水量検出センサ77からの検出結果に応じて、冷凍サイクル部20の駆動・停止を制御する。
【0047】
運転制御部72は、水量検出センサ77から所定量の水量を検出したことを示す信号を受信すれば、冷凍サイクル部20を停止する。冷凍サイクル部20が停止したことを示す信号は、切替制御部73に送信される。切替制御部73では、図4の符号1022に示すように、第1風路から第2風路に切替えるために、切替板43を上方に回転させるように駆動モータ79を制御する。これにより、送風ファン41からの風を、第2風路から冷風扇フィルタ31に通して、第2吹出口15から放出する。
【0048】
なお、冷凍サイクル部20の駆動状態が継続されると電池42の消費が多くなる。このため、この場合も、冷凍サイクル部20が駆動してから所定時間経過した後、冷凍サイクル部20を停止させて、風路を第1風路から第2風路に切替えて、気化冷却部30による冷却に切替えるようにしてもよい。
【0049】
また、冷凍サイクル部20の駆動状態が継続した場合、電池42の残容量を考慮する必要もある。
【0050】
(冷却部の切替え:電池の残容量)
本実施形態では、切替制御部73が、冷凍サイクル部20による冷却(第1冷却)を実行中に、容量検出センサ78が予め設定された値以下の容量を検出したとき、気化冷却部30による冷却(第2冷却)に切替えるように切替部である駆動モータ79と切替板43を制御する。
【0051】
具体的には、運転制御部72は、電池42の残容量を検出するための容量検出センサ78からの検出結果に応じて、冷凍サイクル部20の駆動・停止を制御する。
【0052】
運転制御部72は、容量検出センサ78から所定量の電池の残容量を検出したことを示す信号を受信すれば、冷凍サイクル部20を停止する。冷凍サイクル部20が停止したことを示す信号は、切替制御部73に送信される。切替制御部73では、図4の符号1022に示すように、第1風路から第2風路に切替えるために、切替板43を上方に回転させるように駆動モータ79を制御する。これにより、送風ファン41からの風を、第2風路から冷風扇フィルタ31に通して、第2吹出口15から放出する。
【0053】
なお、ここまで、第1冷却と第2冷却の切替を、所定時間、冷房スイッチ76のオン・オフ、ドレンタンク32の水量、電池42の残容量に基づいて行う例について説明したが、これらの例に限定されるものではなく、他の例に基づくものであってもよい。
【0054】
また、前記実施形態1,2において、第1冷却(冷凍サイクル部20による冷却)と第2冷却(気化冷却部30による冷却)を切替えるために、切替板43を回動させる構成を採用したが、これに限定されるものではない。第1冷却と第2冷却とを切替えることが可能であれば、例えば第1風路と第2風路とを切替えるためにシャッタ構造を採用してもよいし、他の構造を採用してもよい。
【0055】
さらに、前記実施形態1,2では、送風ファン41を筐体11における吸気口(第1吸気口12、第2吸気口13)側に設けた例について説明した。以下の実施形態3では、送風ファン41を筐体11における吹出し口(第1吹出口14、第2吹出口15)側に設けた例について説明する。
【0056】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0057】
本実施形態に係る空気調和機は、前記実施形態1,2の空気調和機1と基本的に同じであるが、送風ファン41の配置が異なる。図5は、本実施形態に係る空気調和機2の内部の構成を示す模式図である。
【0058】
空気調和機2は、図5に示すように、吸気口側(図面の左側)に蒸発器23、冷風扇フィルタ31が配置され、吹出し口側(図面の右側)に送風ファン41が配置されている。すなわち、空気調和機2は、蒸発器23、冷風扇フィルタ31、送風ファン41の配置位置が、図2に示す空気調和機1における蒸発器23、冷風扇フィルタ31の配置と逆になっている。これにより、空気調和機2では、冷風の吹出し側に配置された送風ファン41を駆動することで、蒸発器23、冷風扇フィルタ31の何れかを通した風が筐体11内に導入される。風路は、実施形態1,2と同様に、切替板43によって切替えられる。
【0059】
図5は、前記実施形態1,2において説明した第2風路に切替えた状態(図2の符号1022)と同様の状態を示している。すなわち、切替板43は、図5に示すように、上方に回動することで、先端が第1仕切り板17に当接する。これにより、第1仕切り板17の下面、第3仕切り板19の上面、切替板43の下面、第2仕切り板18の下面で第2風路を構成する。第2風路は、冷風扇フィルタ31によって冷却された風を送風ファン41に導く。送風ファン41に導かれた冷却風は、筐体11から外部に吹き出す。
【0060】
一方、切替板43を下方に回動することで、前記実施形態1,2において説明した第2風路に切替えた状態(図2の符号1021)と同様に、第1風路に切替える。すなわち、切替板43を下方に可動することで、先端が第3仕切り板19に当接する。これにより、第1仕切り板17の下面、切替板43の上面、第2仕切り板18の上面、第3仕切り板19の上面で第1風路を構成する。第1風路は、蒸発器23によって冷却された風を送風ファン41に導く。送風ファン41に導かれた冷却風は、筐体11から外部に吹き出す。
【0061】
(空気調和機2の利点)
本実施形態の空気調和機2は、前記実施形態1,2における蒸発器23と冷風扇フィルタ31、送風ファン41の配置を逆にしただけであり、同様の効果を奏する。すなわち、空気調和機2は、冷凍サイクル部20による冷却と、気化冷却部30による冷却とを切替えることが可能なので、冷凍サイクル部20における冷却能力の高さと、気化冷却部30における消費電力の少なさを両立させることが可能となる。しかも、2つの冷却部を同時に駆動する場合に比べて、消費電力を低減することができるので、電池42を使用する空気調和機2において、電池42の容量を増やさずに駆動時間を延ばすことが可能となる。
【0062】
しかも、本実施形態では、冷却部の切替えを所定時間毎に行うため、定期的に、消費電力の多い冷凍サイクル部20による冷却を停止することができる。これにより、電池42の消費が減り、空気調和機1の駆動時間を延ばすことが可能となる。
【0063】
以上のように、電源として、小容量の電池42を使用することが可能となるので、空気調和機2の小型軽量化を実現することができる。
【0064】
〔ソフトウェアによる実現例〕
空気調和機1の制御ブロック(特に制御部71)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0065】
後者の場合、空気調和機1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0066】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る空気調和機は、冷却した風を吹き出す空気調和機(1)であって、筐体(11)と、圧縮機(21)、凝縮機(22)および蒸発器(23)を少なくとも含む冷凍サイクル部(20)と、気化冷却用のフィルタ(冷風扇フィルタ31)を少なくとも含む気化冷却部(30)と、前記筐体(11)に導入された風を前記冷凍サイクル部(20)によって冷却する第1冷却と、前記筐体(11)に導入された風を前記気化冷却部(30)によって冷却する第2冷却とを切替える切替部(切替板43、駆動モータ79)と、を有する。
【0067】
一般に、冷凍サイクル部による風の冷却は、気化冷却による風の冷却よりも能力が高く、吹き出す風をよく冷やす。しかしながら、冷凍サイクル部は、圧縮機等を含んでいるため消費電力が多い。これに対して、気化冷却部は、冷凍サイクル部のように風をよく冷やすことができないものの、気化冷却用のフィルタを含んでいるだけなので、冷凍サイクル部よりも消費電力は少ない。
【0068】
そこで、上記構成のように、冷凍サイクル部と気化冷却部とを備え、前記筐体に導入された風を冷凍サイクル部によって冷却する第1冷却と、前記筐体に導入された風を気化冷却部によって冷却する第2冷却とを切替部によって切替えることで、冷凍サイクル部における冷却能力の高さと、気化冷却部における消費電力の少なさを両立させることが可能となる。これにより、空気調和機において、冷却能力を維持しつつ、消費電力の低減を可能にする。従って、消費電力を少なくし、且つ冷房能力の低下を抑えることができる空気調和機を実現できる。
【0069】
本発明の態様2に係る空気調和機は、上記態様1において、前記フィルタ(冷風扇フィルタ31)に含浸させる水は、前記冷凍サイクル部(20)に含まれる前記蒸発器(23)から生じるドレン水であってもよい。
【0070】
上記の構成によれば、気化冷却用のフィルタに含浸させるための水を別途用意する必要がない。
【0071】
本発明の態様3に係る空気調和機は、上記態様2において、前記蒸発器(23)の直下に前記フィルタ(冷風扇フィルタ31)が配置されていてもよい。
【0072】
上記構成によれば、蒸発器の直下にフィルタが配置されていることで、蒸発器で発生した水が直下のフィルタに直接滴下されることになる。このため、気化冷却用のフィルタで用いる水を供給するための手段を別途設ける必要がない。
【0073】
本発明の態様4に係る空気調和機は、上記態様1~3の何れか1態様において、前記冷凍サイクル部(20)は、前記気化冷却部(30)よりも上に配置されていてもよい。
【0074】
上記構成によれば、冷凍サイクル部に含まれる圧縮機が、気化冷却部よりも上に存在することになるので、圧縮機の熱が気化冷却部に伝わり難い。
【0075】
本発明の態様5に係る空気調和機は、上記態様1~4の何れか1態様において、前記筐体(11)の導入口(第1吸気口12,第2吸気口13)から導入された風を前記吹出口(第1吹出口14,第2吹出口15)まで導く第1風路および第2風路を有し、前記第1風路によって導かれて前記吹出口(第1吹出口14)から吹き出す風は、前記第1冷却によって冷却された風であり、前記第2風路によって導かれて前記吹出口(第2吹出口15)から吹き出す風は、前記第2冷却によって冷却された風であり、前記切替部(切替板43、駆動モータ79)は、前記第1風路または前記第2風路を切替えてもよい。
【0076】
上記構成によれば、冷却部毎に風路が形成されているので、各冷却部で冷却された風を正確にそれぞれの吹出口から吹き出すことができる。
【0077】
本発明の態様6に係る空気調和機は、上記態様1~5の何れか1態様において、前記空気調和機(1)を駆動するための電源として電池(42)を用いてもよい。
【0078】
上記構成によれば、消費電力が少ないため、電池を電源としても駆動時間を長くすることが可能となる。しかも、小容量でも駆動時間を長くできるため、電池サイズも小さくでき、その結果、装置本体の小型化も図ることができる。
【0079】
切替部の切替制御は、以下のようにして行うのが好ましい。
【0080】
本発明の態様7に係る空気調和機は、上記態様1~6の何れか1態様において、前記切替部(切替板43、駆動モータ79)による切替を制御する切替制御部(73)をさらに含み、前記切替制御部(73)は、前記第1冷却と、前記第2冷却とを所定時間毎に切替えるように前記切替部(切替板43、駆動モータ79)を制御してもよい。
【0081】
本発明の態様8に係る空気調和機は、上記態様1~6の何れか1態様において、前記切替部(切替板43、駆動モータ79)による切替を制御する切替制御部(73)と、前記第1冷却の実行をオン・オフするスイッチ(冷房スイッチ76)と、をさらに含み、前記切替制御部(73)は、前記スイッチ(冷房スイッチ76)のオン・オフに応じて、前記第1冷却と、前記第2冷却とを切替えるように前記切替部(切替板43、駆動モータ79)を制御してもよい。
【0082】
本発明の態様9に係る空気調和機は、上記態様1~6の何れか1態様において、前記切替部(切替板43、駆動モータ79)による切替を制御する切替制御部(73)と、前記蒸発器(23)から生じるドレン水を貯水するドレンタンク(32)と、前記ドレンタンク(32)の貯水量を検出する貯水量検出器(水量検出センサ77)と、をさらに含み、前記切替制御部(73)は、前記第1冷却を実行中に、前記貯水量検出器(水量検出センサ77)が予め設定された貯水量を検出したとき、前記第2冷却に切替えるように前記切替部(切替板43、駆動モータ79)を制御してもよい。
【0083】
本発明の態様10に係る空気調和機は、上記態様6において、前記切替部(切替板43、駆動モータ79)による切替を制御する切替制御部(73)と、前記電池(42)の容量を検出する容量検出器(容量検出センサ78)とを、さらに含み、前記切替制御部(73)は、前記第1冷却を実行中に、前記容量検出器(容量検出センサ78)が予め設定された値以下の容量を検出したとき、前記第2冷却に切替えるように前記切替部(切替板43、駆動モータ79)を制御してもよい。
【0084】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0085】
1、2 空気調和機
11 筐体
12 第1吸気口
13 第2吸気口
14 第1吹出口
15 第2吹出口
16 排熱口
20 冷凍サイクル部
21 圧縮機
22 凝縮機
23 蒸発器
30 気化冷却部
31 冷風扇フィルタ(気化冷却用のフィルタ)
32 ドレンタンク
41 送風ファン(送風機)
42 電池
43 切替板(切替部)
44 回動軸
45 電源ユニット
61 空気調和部
62 四方弁
63 凝縮器ファン
64 膨張弁
71 制御部
72 運転制御部
73 切替制御部
74 電源制御部
75 タイマ
76 冷房スイッチ
77 水量検出センサ(貯水量検出器)
78 容量検出センサ(容量検出器)
79 駆動モータ(切替部)
図1
図2
図3
図4
図5