(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/20 20060101AFI20240613BHJP
H01H 71/08 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01H73/20 B
H01H71/08
H01H73/20 A
(21)【出願番号】P 2020141135
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 佑太
(72)【発明者】
【氏名】新美 貴広
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-237248(JP,A)
【文献】特開2001-035341(JP,A)
【文献】特開2007-149586(JP,A)
【文献】特開2007-012594(JP,A)
【文献】特開2006-331986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00 - 69/01
H01H 71/00 - 83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースに、導電バーを差し込み接続可能な3つの端子口が上下方向に並設されてなる回路遮断器であって、
前記本体ケースに、前記本体ケース外に位置する操作部、及び前記操作部に連結され、前記本体ケース内に位置して第1端子金具を保持する保持部を備えた第1保持部材が、前記第1端子金具が上側の前記端子口に対応した位置にある第1位置と、中央の前記端子口に対応した位置にある第2位置との間で上下方向へスライド可能に取り付けられているとともに、
前記第1保持部材の下側に、前記本体ケース外に位置する操作部、及び前記操作部に連結され、前記本体ケース内に位置して第2端子金具を保持する保持部を備えた第2保持部材が、前記第2端子金具が中央の前記端子口に対応した位置にある前記第2位置と、下側の前記端子口に対応した位置にある第3位置との間で上下方向へスライド可能であり、
前記第1保持部材の前記操作部は、前記第1位置と前記第2位置との間でのスライド中に上側の前記端子口の少なくとも一部を被覆し、前記第2保持部材の前記操作部は、前記第2位置と前記第3位置との間でのスライド中に
中央の前記端子口の少なくとも一部を被覆することを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記本体ケース表面における両前記保持部材のスライド範囲内に、両前記端子金具の位置を示す3つの確認表示部が設けられており、
前記第1保持部材が前記第2位置にあり、且つ、前記第2保持部材が前記第3位置にあると、前記第1端子金具が中央の前記端子口に対応した位置にあり、且つ、前記第2端子金具が下側の前記端子口に対応した位置にあることを示す第1確認表示部が露出する一方、前記第1端子金具が上側の前記端子口に対応した位置にあり、且つ、前記第2端子金具が下側の前記端子口に対応した位置にあることを示す第2確認表示部は前記第1保持部材の前記操作部によって、前記第1端子金具が上側の前記端子口に対応した位置にあり、且つ、前記第2端子金具が中央の前記端子口に対応した位置にあることを示す第3確認表示部は前記第2保持部材の前記操作部によって夫々被覆されるとともに、
前記第1保持部材が前記第1位置にあり、且つ、前記第2保持部材が前記第3位置にあると、前記第2確認表示部が露出する一方、前記第1確認表示部は前記第1保持部材の前記操作部によって、前記第3確認表示部は前記第2保持部材の前記操作部によって夫々被覆され、
さらに、前記第1保持部材が前記第1位置にあり、且つ、前記第2保持部材が前記第2位置にあると、前記第3確認表示部が露出する一方、前記第1確認表示部は前記第1保持部材の前記操作部によって、前記第2確認表示部は前記第2保持部材の前記操作部によって夫々被覆されることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば分電盤内等に設置される回路遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば単相三線式電路に使用される回路遮断器では、電源側端子を所謂プラグイン方式の端子として構成することがある。また、そのような回路遮断器としては、電源側端子における端子金具の位置を、本体ケース外から変更可能としたものが考案されている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の回路遮断器では、端子金具の位置調整に係る操作が煩わしいという問題がある。また、現時点における端子金具の位置が判別しづらいため、分電盤内への設置時等において各種作業が一層煩雑になるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、端子金具の位置調整を容易に行うことができる上、現時点における端子金具の位置を容易に把握することができる回路遮断器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケースに、導電バーを差し込み接続可能な3つの端子口が上下方向に並設されてなる回路遮断器であって、前記本体ケースに、前記本体ケース外に位置する操作部、及び前記操作部に連結され、前記本体ケース内に位置して第1端子金具を保持する保持部を備えた第1保持部材が、前記第1端子金具が上側の前記端子口に対応した位置にある第1位置と、中央の前記端子口に対応した位置にある第2位置との間で上下方向へスライド可能に取り付けられているとともに、前記第1保持部材の下側に、前記本体ケース外に位置する操作部、及び前記操作部に連結され、前記本体ケース内に位置して第2端子金具を保持する保持部を備えた第2保持部材が、前記第2端子金具が中央の前記端子口に対応した位置にある前記第2位置と、下側の前記端子口に対応した位置にある第3位置との間で上下方向へスライド可能であり、前記第1保持部材の前記操作部は、前記第1位置と前記第2位置との間でのスライド中に上側の前記端子口の少なくとも一部を被覆し、前記第2保持部材の前記操作部は、前記第2位置と前記第3位置との間でのスライド中に中央の前記端子口の少なくとも一部を被覆することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記本体ケース表面における両前記保持部材のスライド範囲内に、両前記端子金具の位置を示す3つの確認表示部が設けられており、前記第1保持部材が前記第2位置にあり、且つ、前記第2保持部材が前記第3位置にあると、前記第1端子金具が中央の前記端子口に対応した位置にあり、且つ、前記第2端子金具が下側の前記端子口に対応した位置にあることを示す第1確認表示部が露出する一方、前記第1端子金具が上側の前記端子口に対応した位置にあり、且つ、前記第2端子金具が下側の前記端子口に対応した位置にあることを示す第2確認表示部は前記第1保持部材の前記操作部によって、前記第1端子金具が上側の前記端子口に対応した位置にあり、且つ、前記第2端子金具が中央の前記端子口に対応した位置にあることを示す第3確認表示部は前記第2保持部材の前記操作部によって夫々被覆されるとともに、前記第1保持部材が前記第1位置にあり、且つ、前記第2保持部材が前記第3位置にあると、前記第2確認表示部が露出する一方、前記第1確認表示部は前記第1保持部材の前記操作部によって、前記第3確認表示部は前記第2保持部材の前記操作部によって夫々被覆され、さらに、前記第1保持部材が前記第1位置にあり、且つ、前記第2保持部材が前記第2位置にあると、前記第3確認表示部が露出する一方、前記第1確認表示部は前記第1保持部材の前記操作部によって、前記第2確認表示部は前記第2保持部材の前記操作部によって夫々被覆されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体ケースに、本体ケース外に位置する操作部と、該操作部に連結され、本体ケース内に位置して端子金具を保持する保持部とを備えた保持部材を上下方向へスライド可能に取り付けており、本体ケース外からの操作によって2つの保持部材をスライドさせるだけで端子金具の位置を調整可能としている。したがって、従来よりも端子金具の位置調整を容易に行うことができる。
また、第1保持部材の操作部は、第1位置と第2位置との間でのスライド中に上側の端子口の少なくとも一部を被覆し、第2保持部材の操作部は、第2位置と第3位置との間でのスライド中に中央の端子口の少なくとも一部を被覆するようになっている。すなわち、各保持部材が適切な位置にないと、上側の端子口や下側の端子口への導電バーの差し込みは阻止される。したがって、端子金具が適位置にないにも拘わらず、該端子金具に導電バーを無理矢理接続させることで端子金具や導電バーに変形や破損が生じてしまうというような事態を防止することができる。
さらに、請求項2に記載の発明によれば、本体ケース表面における両保持部材のスライド範囲内に、両端子金具の位置を示す3つの確認表示部が設けられており、第1保持部材及び第2保持部材の位置に応じて露出する確認表示部及び各保持部材の操作部により被覆される確認表示部が夫々異なるようにするとともに、露出している確認表示部に、現時点での端子金具の位置が示されているようにした。したがって、現時点での端子金具の位置を容易に把握することができ、分電盤内への設置時等において各種作業を一層容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】保持部材が取り外された状態にある回路遮断器を示した斜視説明図である。
【
図3】本体ケースの後部内面を示した斜視説明図であり、(a)は右内面を、(b)は左内面を夫々示している。
【
図4】組み立て状態にある保持部材を示した斜視説明図であり、(a)は上側から、(b)は下側から夫々示している。
【
図5】分解状態にある保持部材を示した斜視説明図である。
【
図6】本体ケースの後面を示した説明図であり、(a)は第1保持部材が第1位置に、第2保持部材が第3位置に夫々位置している状態を、(b)は第1保持部材が第1位置に、第2保持部材が第2位置に夫々位置している状態を、(c)は第1保持部材が第2位置に、第2保持部材が第3位置に夫々位置している状態を、(d)は第2保持部材が適位置にない状態を夫々示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる回路遮断器について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、回路遮断器1を示した斜視説明図である。
図2は、保持部材11A、11Bが取り外された状態にある回路遮断器1を示した斜視説明図である。
図3は、本体ケース2の後部内面を示した斜視説明図であり、(a)は右内面を、(b)は左内面を夫々示している。
図4は、組み立て状態にある保持部材11A(11B)を示した斜視説明図であり、(a)は上側から、(b)は下側から夫々示している。
図5は、分解状態にある保持部材11A(11B)を示した斜視説明図である。
図6は、本体ケース2の後面を示した説明図であり、(a)は保持部材11Aが第1位置に、保持部材11Bが第3位置に夫々位置して確認表示部21Bが露出している状態を、(b)は保持部材11Aが第1位置に、保持部材11Bが第2位置に夫々位置して確認表示部21Cが露出している状態を、(c)は保持部材11Aが第2位置に、保持部材11Bが第3位置に夫々位置して確認表示部21Aが露出している状態を、(d)は保持部材11Bが適位置にない状態を夫々示している。
【0011】
単相三線式電路に使用される回路遮断器1は、複数のケース部材を組み立ててなる合成樹脂製の本体ケース2を有しており、該本体ケース2の後部には電源側端子4が、前部には負荷側端子(図示せず)が夫々備えられている。また、本体ケース2の上面には、ハンドル5が前後方向へ回動操作可能に設けられており、該ハンドル5を回動操作することで、本体ケース2内に組み込まれている図示しない開閉機構が作動し、電源側端子4と負荷側端子3とを電気的につなぐ電路が接続/開放されるようになっている。
【0012】
さらに、電源側端子4は、上下方向へ並設されたプラグイン方式の3つの端子口P1、P2、P3を備えてなり、各端子口P1~P3は、本体ケース2を左右方向に貫通するコ字状に切り欠かれて形成されている。そして、各端子口P1~P3には、分電盤内等に配設される導電バー(図示せず)を挿入接続可能となっている。また、電源側端子4では、上側の端子口P1が中性端子、中央の端子口P2及び下側の端子口P3が夫々電圧端子とされており、入力電圧が100Vである場合には、上側の端子口P1と中央の端子口P2又は下側の端子口P3とに導電バーが接続される一方、入力電圧が200Vである場合には、中央の端子口P2と下側の端子口P3とに導電バーが接続されるようになっている。
【0013】
ここで、本発明の要部となる電源側端子4側における端子金具10A、10Bのスライド構造について説明する。
本体ケース2における後端部(電源側端子4側の端部)には、本体ケース2に対して上下方向へスライドする2つの保持部材11A、11Bが取り付けられている。また、保持部材11Aには端子金具10Aが、保持部材11Bには端子金具10Bが夫々保持されており、両端子金具10A、10Bは、本体ケース2内に位置している。なお、端子金具10A、10Bは、従来周知のもの(従来のプラグイン方式の端子で使用されるものと同じもの)で、金属板を後方へ開口する側面視略C字状に湾曲させて成形されてなる。
【0014】
保持部材11A、11Bは、作業者が操作可能な操作部材12と、操作部材12に連結されているとともに、端子金具10A、10Bを保持する保持台13とを備えてなる。操作部材12は、対向する左右両側面と、該両側面の後端同士を連結する後面とを有する上面視門形に形成されてなり、各側面の内側(対向する面側)の前部には、保持台13を支持するための支持突起14が夫々突設されている。一方、保持台13は、開口が後方を向く姿勢で端子金具10A、10Bを保持可能な保持部15と、保持部15から上方へ突設された係合部16とを備えてなる。係合部16は、前後方向が厚み方向となり、左右長さが操作部材12の左右両側面間の距離と同じとされた板状に形成され、該係合部16の左右両側縁で上寄りとなる箇所には、上下幅が支持突起14と略同じとされた切り欠き17、17が設けられている。また、係合部16の後面における左上隅には、保持部材11A、11Bを後述する第1位置等で保持するための保持突起18が後方へ突設されている。
【0015】
一方、本体ケース2の左右両側面における後端部は、前側に比べて左右方向で内側に凹んでおり、当該凹んだ箇所における本体ケース2の左右幅は、操作部材12の左右両側面間の距離(係合部16の左右長さでもある)と略同じとなっている。そして、その凹んだ箇所に、端子口P1~P3が設けられているとともに、操作部材12、12が取り付けられている(つまり、操作部材12、12の取付部とされている)。また、本体ケース2の取付部内における左右両側面には、上下方向へ延びるスリット19が夫々開設されている。各スリット19の前後幅は、係合部16の前後幅と略同じとされている。また、左側のスリット19には、保持突起18が係止可能な3つの係止凹部20、20・・が設けられている。さらに、各スリット19は、本体ケース2の取付部内における後面から、操作部材12における後面から支持突起14、14までの前後長さと同じだけ前方となる位置に設けられている。
【0016】
なお、本体ケース2の内面で、各スリット19、19の前側に隣接した位置には、左右方向で内側へ突出する案内壁22が夫々上下方向に延設されている。そして、該案内壁22、22に、本体ケース2への取付状態にある係合部16の前面が当接することで、保持部材11A、11Bの上下方向へのスライドを案内可能となっている。
【0017】
加えて、本体ケース2の取付部内における後面で、端子口P1の上側となる箇所には第1の確認表示部21Aが設けられている。また、本体ケース2の取付部内における後面で、端子口P2の上側であり、且つ、端子口P1の下側となる箇所には第2の確認表示部21Bが設けられている。さらに、本体ケース2の取付部内における後面で、端子口P3の上側であり、且つ、端子口P2の下側となる箇所には第3の確認表示部21Cが設けられており、各確認表示部21A、21B、21Cには、自身が露出している際の端子金具10A、10Bの位置が夫々示されている。
【0018】
そして、上述したような保持部材11A、11Bの組み立て及び本体ケース2への取り付けにあたっては、保持部材11Aの保持台13に端子金具10Aを、保持部材11Bの保持台13に端子金具10Bを夫々保持させた上で、まず端子金具10Bを保持する保持台13について、端子金具10Bを後側へ向けた姿勢で係合部16の左右両側縁を、本体ケース2の内側からスリット19、19に嵌合させる。それから、操作部材12の左右両側面が本体ケース2の取付部内における左右両側面の外側に夫々位置するように、本体ケース2の後側から操作部材12を組み付け、スリット19、19内に位置している切り欠き17、17に支持突起14、14を係合させれば、操作部材12と保持台13とが連結され、保持部材11Bの組み立て及び取り付けは完了となる。次に端子金具10Aを保持する保持台13について、端子金具10Bを保持する保持台13同様に、係合部16の左右両側縁を本体ケース2の内側からスリット19、19に嵌合させる。このとき、端子金具10Aを保持する保持台13は、保持部材11Bよりも上側に位置させる。それから、上記同様に操作部材12を組み付けて、切り欠き17、17に支持突起14、14を係合させれば、操作部材12と保持台13とが連結され、保持部材11Aの組み立て及び取り付けも完了となる。なお、上述の如くして組み立て及び取り付けられた保持部材11A、11Bにおいて、端子金具10A、10Bは、各操作部材12(特に操作部材12の後面)よりも下方へ突出した位置にある。
【0019】
以上のようにして本体ケース2に取り付けられた保持部材11A、11Bは、スリット19、19及び案内壁22、22に係合部16が案内される格好で、取付部内を上下方向へスライドする。また、保持部材11Aは、保持突起18が係止凹部20に係止することにより、操作部材12が確認表示部21Aを後側から被覆するとともに、上側の端子口P1の前側に端子金具10Aが配される第1位置と、操作部材12が確認表示部21Bを後側から被覆するとともに中央の端子口P2の前側に端子金具10Aが配される第2位置とで位置決め可能となっている。一方、保持部材11Bは、保持突起18が係止凹部20に係止することにより、操作部材12が確認表示部21Bを後側から被覆するとともに中央の端子口P2の前側に端子金具10Bが配される第2位置(上記第2位置と同位置である)と、操作部材12が確認表示部21Cを後側から被覆するとともに下側の端子口P3の前側に端子金具10Bが配される第3位置とで位置決め可能となっている。
【0020】
ここで、端子金具10A、10Bの位置調整について具体的に説明すると、入力電圧が200Vである場合には、中央の端子口P2と下側の端子口P3とに端子金具10A、10Bが配されている必要がある。そこで、保持部材11A、11Bをスライドさせて、保持部材11Aを第2位置に、保持部材11Bを第3位置に夫々位置させればよい。すると、端子金具10Aが端子口P2の前側に、端子金具10Bが端子口P3の前側に夫々配され、導電バーの端子口P2及び端子口P3への差し込みに伴い導電バーと回路遮断器1との電気的な接続が可能となる。また、この状態にあっては確認表示部21Aのみが露出しており(
図6(c))、現時点での回路遮断器1の電源側端子4の状態(どの端子口に端子金具が配されているかであって、ここでは入力電圧が200Vであり、2つの電圧端子に導電バーを接続する旨)を作業者等に報知している。
【0021】
また、入力電圧が100Vであり、上側の端子口P1と下側の端子口P3とに導電バーを差し込みたい場合には、保持部材11A、11Bをスライドさせて、保持部材11Aを第1位置に、保持部材11Bを第3位置に夫々位置させればよい。すると、端子金具10Aが端子口P1の前側に、端子金具10Bが端子口P3の前側に夫々配され、導電バーの端子口P1及び端子口P3への差し込みに伴い導電バーと回路遮断器1との電気的な接続が可能となる。また、この状態にあっては確認表示部21Bのみが露出しており(
図6(a))、現時点での回路遮断器1の電源側端子4の状態(ここでは入力電圧が100Vであり、中性端子と下側の電圧端子とに導電バーを接続する旨)を作業者等に報知している。
【0022】
また、入力電圧が100Vであり、上側の端子口P1と中央の端子口P2とに導電バーを差し込みたい場合には、保持部材11A、11Bをスライドさせて、保持部材11Aを第1位置に、保持部材11Bを第2位置に夫々位置させればよい。すると、端子金具10Aが端子口P1の前側に、端子金具10Bが端子口P2の前側に夫々配され、導電バーの端子口P1及び端子口P2への差し込みに伴い導電バーと回路遮断器1との電気的な接続が可能となる。また、この状態にあっては確認表示部21Cのみが露出しており(
図6(b))、現時点での回路遮断器1の電源側端子4の状態(ここでは入力電圧が100Vであり、中性端子と中央の電圧端子とに導電バーを接続する旨)を作業者等に報知している。
【0023】
なお、保持部材11A、11Bの操作部材12は、各位置間でのスライド中に上側の端子口P1や
中央の端子口P2を被覆する。たとえば保持部材11Bが第2位置にも第3位置にもない状況では、保持部材11Bの操作部材12が端子口P2を被覆する(
図6(d))。このように保持部材11A、11Bが適切な位置にないと、端子口P1、
P2が保持部材11A、11Bの操作部材12により被覆され、それらの端子口P1、
P2への導電バーの差し込みが阻止されるようになっている。したがって、端子金具10A、10Bが適位置にないにも拘わらず、該端子金具10A、10Bに導電バーを無理矢理接続させることで端子金具10A、10Bや導電バーに変形や破損が生じてしまうというような事態を防止することができる。
【0024】
以上のような構成を有する回路遮断器1によれば、本体ケース2に、本体ケース2外に位置する操作部材12、及び操作部材12に連結され、本体ケース2内に位置して端子金具10Aを保持する保持台13を備えた保持部材11Aが第1位置と第2位置との間で上下方向へスライド可能に取り付けられているとともに、該保持部材11Aの下側に、本体ケース2外に位置する操作部材12、及び操作部材12に連結され、本体ケース2内に位置して端子金具10Bを保持する保持台13を備えた保持部材11Bが第2位置と第3位置との間で上下方向へスライド可能に取り付けられており、本体ケース2外からの操作によって2つの保持部材11A、11Bを夫々上下方向へスライドさせるだけで端子金具10A、10Bの位置を調整可能としている。したがって、従来よりも端子金具10A、10Bの位置調整を容易に行うことができる。
【0025】
また、本体ケース2の表面における保持部材11A、11Bのスライド範囲内に、端子金具10A、10Bの位置を示す3つの確認表示部21A、21B、21Cが設けられており、保持部材11A、11Bの位置に応じて露出する確認表示部及び各操作部材12、12により被覆される確認表示部が夫々異なるようにするとともに、露出している確認表示部に、現時点での端子金具10A、10Bの位置が示されているようにした。したがって、現時点での端子金具10A、10Bの位置を容易に把握することができ、分電盤内への設置時等において各種作業を一層容易に行うことができる。
【0026】
さらに、保持部材11Aの操作部材12は、第1位置と第2位置との間でのスライド中に上側の端子口P1を被覆し、保持部材11Bの操作部材12は、第2位置と第3位置との間でのスライド中に中央の端子口P2を被覆するようになっている。すなわち、各保持部材11A、11Bが適切な位置にないと、上側の端子口P1や中央の端子口P2への導電バーの差し込みは阻止される。したがって、端子金具10A、10Bが適位置にないにも拘わらず、該端子金具10A、10Bに導電バーを無理矢理接続させることで端子金具10A、10Bや導電バーに変形や破損が生じてしまうというような事態を防止することができる。
【0027】
なお、本発明に係る回路遮断器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、回路遮断器の全体的な構成は勿論、端子金具のスライド構造に係る構成等についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0028】
たとえば、上記実施形態では、本体ケースの後面に確認表示部を設けているが、保持部材11A、11Bのスライド範囲内であれば、本体ケースの側面に確認表示部を設けても何ら問題はない。
また、保持部材の形状において、操作部材を本体ケースの側面しか被覆しないような板状に形成する等してもよく、保持部材の形状や構造等についても適宜設計変更可能である。なお、そのような板状に形成された操作部材であっても、第1位置と第2位置との間でのスライド中や、第2位置と第3位置との間でのスライド中に、上側の端子口や中央の端子口の夫々少なくとも一部(たとえば各端子口における操作部材が位置する側面の側のみ等)を被覆するように構成することで、各保持部材が適切な位置にない状況において、導電バーの端子口への無理な差し込みを防止可能という効果を奏することができる。
【0029】
さらに、上記実施形態では、保持部材の位置決めに係る構成として、保持台に保持突起を、スリットに係止凹部を夫々設けているが、たとえば操作部材に係止爪を設ける等しても何ら問題はなく、どのような位置決め構造を設けるかについても適宜設計変更可能である。
加えて、上記実施形態では、上側の端子口P1を中性端子としているが、中央の端子口P2を中性端子としてもよく、どの端子口を中性端子とし、どの端子口を電圧端子とするかについては適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0030】
1・・回路遮断器、2・・本体ケース、4・・電源側端子、10A・・端子金具(第1端子金具)、10B・・端子金具(第2端子金具)、11A・・保持部材(第1保持部材)、11B・・保持部材(第2保持部材)、12・・操作部材(操作部)、13・・保持台、15・・保持部、21A・・確認表示部(第1確認表示部)、21B・・確認表示部(第2確認表示部)、21C・・確認表示部(第3確認表示部)、P1・・上側の端子口、P2・・中央の端子口、P3・・下側の端子口。