(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/34 20060101AFI20240613BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
E06B1/34 A
E06B7/22 R
(21)【出願番号】P 2020164051
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】P 2020002814
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】長尾 公詳
(72)【発明者】
【氏名】杉本 みく
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-061875(JP,U)
【文献】特開平09-303043(JP,A)
【文献】特開2018-193703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E06B 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子に設けた摺動部と摺動する被摺動部を有する障子枠と、
前記障子枠の前記被摺動部を避けた領域に設けられた化粧部と、
を備え
、
前記障子枠の下枠と上枠の少なくとも一方は、前記障子の移動をガイドするレールよりも反室内側に設けられた反室内側部分を有し、
前記化粧部は、前記反室内側部分の上面に貼り付けられた反室内側化粧シートを含み、
前記反室内側化粧シートは、前記反室内側部分の上面から前記レールの反室内側の面に連続して貼り付けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記摺動部は、前記障子に設けられたヒレであり、
前記被摺動部は、
前記レールの前記ヒレが摺動する部分であ
ることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記化粧部は、前記障子枠の下枠の2つのレールの間に形成された凹部の底部に貼り付けられた底部化粧シートを含むことを特徴とする請求項
1または2に記載の建具。
【請求項4】
前記底部化粧シートは、前記底部の前記2つのレールの根元から離れた範囲に貼り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の建具。
【請求項5】
前記障子枠の下枠と上枠の少なくとも一方は、
前記レールよりも室内側に設けられた室内側部分を有し、
前記化粧部は、前記室内側部分の室内に面する見付け面に貼り付けられた室内側化粧シートを含むことを特徴とする請求項
1から4のいずれか1項に記載の建具。
【請求項6】
前記室内側化粧シートは、見
付け面から前記見付け面とは反対側の面に連続して貼り付けられていることを特徴とする請求項
5に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建築資材に所定の機能を有するシートを貼り付ける技術が知られている。例えば、特許文献1には、3面が垂直に接合される壁のコーナー部に設けられるコーナー部止水構造が記載されている。この構造は、コーナー部に樹脂製のコーナーキャップを設置し、コーナーキャップの各面を覆って、コーナー部の周囲の面に敷設される防水シートの延設部分を重ねて取り付ける構成を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、建具に関して以下の認識を得た。近年、サッシなどの障子を設けるために建物の開口に装着される障子枠には、建物の室内デザインと整合するデザイン性を備えることが求められている。室内デザインの多様化に伴い、障子枠のデザインの多様化のニーズがあるが、障子枠の種類を増やすと製造や流通のコストが上昇する問題がある。このため、共通の基体の表面にデザインの異なるラッピングシートを貼ってデザインの多様化を実現することが考えられる。
【0005】
このために、障子枠全体にラッピングシートを貼ることが考えられる。しかし、ラッピングシートを障子枠全体に貼ると、障子が摺動する部分においてラッピングシートが撚れることが判明した。特に、障子枠のレールに貼ったラッピングシートには、障子に設けたヒレが摺動するので、ヒレが摺動する部分のラッピングシートは撚れを生じやすい。ヒレの摺動によって生じるラッピングシートの撚れは目立つので、見る人に違和感を与える。
【0006】
この課題は、既存の窓などの建具の室内側に、新たに別の窓などの建具を新たに追加する場合にも生じる。特に、室内側に設けられる建具には、室内デザインと調和できる高度なデザインが求められており、見る人に与える違和感を最小限に抑えることが望ましい。
【0007】
このように、従来の技術では、摺動部分を有する建具についてデザインの多様化を実現することは難しい。
【0008】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたもので、摺動部分を有する建具のデザインの多様化を可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の建具は、障子に設けた摺動部と摺動する被摺動部を有する障子枠と、障子枠の被摺動部を避けた領域に設けられた化粧部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る建具の斜視図である。
【
図6】本開示の第2実施形態に係る建具を側面から視た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面を参照しながら実施形態を説明する。実施形態および変形例では、同一(同等を含む)の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。この用語によって本開示の構成が限定されるものではない。以下の実施形態は、本開示の内容の理解を助けるために例示するものであり、本開示の構成を限定するものではない。
【0013】
[第1実施形態]
図面を参照して、本開示の第1実施形態に係る建具100について説明する。
図1は、本実施形態に係る建具100を備える窓1の斜視図である。窓1は、建物壁部80の開口82に取り付けられている。窓1は、建具100と、建具100の室外側に設けられる別の建具200とを有する。建具100および建具200は、それぞれ2枚の障子と枠とを含む引違い窓である。窓1は、空気層を挟んで2重の建具を備えることにより、断熱効果、防音効果、遮熱効果、目隠し効果、結露軽減効果などに関して良好な性能を発揮できる。
【0014】
図1-
図5を参照して建具100を説明する。
図2は、建具100を側面から視た図であり、
図1のA-A線に沿った縦断面図である。
図3は、建具100を上面から視た図である。この図は、上枠を外した状態を示している。
図4は、
図2に示す上枠14の一部を拡大して示す図である。
図5は、
図2に示す下枠24の一部を拡大して示す図である。
図2の矢印Aは、室内側から建具100に向かう方向を示している。
図2-
図5中で右側が室内側で、左側が反室内側である。本明細書では、
図2の矢印Aで示すように、建具100の奥行きに沿った方向を「見込み方向」という。見込み方向に沿った平面を「見込み面」という。見込み方向に直交する平面を「見付け面」という。
【0015】
建具100は、障子枠10と、障子30とを備える。障子30は、左右方向に移動可能に障子枠10に支持される。
【0016】
先に、障子30を説明する。障子30は、内障子31と、内障子31に対して反室内側に配置される外障子32とを含む。障子30は、
図1中、左右方向に移動可能に取り付けられている。障子30は、ガラス材等で構成された面材33と、框部材34とを備える。框部材34は、フレーム材として機能する。
【0017】
框部材34は、上框35と、下框36と、戸先框37と、召合せ框38とを框組みすることにより構成される。框部材34は、内部で面材33の外周縁部を保持する。各框35-38は、樹脂製の押し出し形成材で形成できる。各框35-38は、アルミニウム合金等の金属製の押し出し形成材で形成されてもよいし、樹脂と金属の複合材で形成されてもよい。各框35-38は、全長に亘って略一様な断面形状を有する。框部材34の所定の面には、化粧部48が設けられている。化粧部48は、框部材34の表面に設けられており、下地素材の表面に装飾を加え、所望のデザイン性を付与する。化粧部48は、表面処理、塗膜、デザインシートなどを含んで構成できる。この例の化粧部48は、下地素材の表面に貼り付けられたデザインシートである。
【0018】
図2に示すように、上框35は、第1レール収容部35aを有する。第1レール収容部35aは、上框35の上端面から下方に後退した凹部であり、見込み方向に離隔して配置される一対の第1壁部35sを有する。第1レール収容部35aは、一対の第1壁部35sの間の空間に第1レール20の下部を収容する。
図2に示すように、第1レール収容部35aの断面は、略U字状の内側輪郭を有する。
【0019】
図2に示すように、下框36は、第2レール収容部36aと、戸車39とを有する。第2レール収容部36aは、下框36の下端面か上方に後退した凹部であり、見込み方向に離隔して配置される一対の第2壁部36sを有する。第2レール収容部36aは、一対の第2壁部36sの間の空間に第2レール22の上部を収容する。戸車39は、左右方向に離れて複数配置されている。戸車39は、第2レール収容部36aに収容されるとともに、回転可能に支持される。複数の戸車39が第2レール22上を転動することにより、障子30は左右方向に移動可能に支持される。
図2に示すように、第2レール収容部36aの断面は、逆向きの略U字状の内側輪郭を有する。
【0020】
第1レール収容部35aには、見込み方向に離隔して配置される一対の第1摺動部35pが設けられる。第1摺動部35pの基端は、第1壁部35sに接着などの手段により固定される。
図2の例では、第1摺動部35pは、基端から斜め上向きに延び、先端が第1レール20の見付け面に接触する。
【0021】
第2レール収容部36aには、見込み方向に離隔して配置される一対の第2摺動部36pが設けられる。第2摺動部36pの基端は、第2壁部36sに接着などの手段により固定される。
図2の例では、第2摺動部36pは、基端から斜め下向きに延び、途中で斜め上向きに屈曲し、先端が第2レール22の見付け面に接触する。
【0022】
本実施形態では、摺動部は、第1摺動部35p、第2摺動部36pおよび戸車39を含み、障子枠10に設けられた被摺動部20h、22h(
図4、
図5を参照)と摺動する。被摺動部20hは、第1レール20の見付け面20pにおいて第1摺動部35pと摺動する部分を含んでいる。被摺動部22hは、第2レール22の見付け面22pにおいて第2摺動部36pと摺動する部分と、戸車39が摺動する部分を含んでいる。
【0023】
図2の例では、第1摺動部35pおよび第2摺動部36pは、障子30に設けられたヒレであり、左右方向に延伸する。第1摺動部35pおよび第2摺動部36pは、エラストマ等の柔軟性を有する樹脂材料の押し出し形成材であり、その延伸方向の全長に亘って略一様な断面形状を有する。第1摺動部35pおよび第2摺動部36pは、障子枠10のレール20、22と接触することにより、この部分での室内外の空気の流れを抑制する。
【0024】
障子枠10を説明する。障子枠10は、一対の縦枠12と、上枠14と、下枠24とを四周枠組みすることによって構成される。上述したように、障子枠10は、建物壁部80の開口82の縁に沿うように取り付けられる。一対の縦枠12は、左右に離隔して平行に配置される。縦枠12は、上下に延伸するフレーム材である。
【0025】
図3に示すように、縦枠12には、第1縦枠凹部126と第2縦枠凹部128とが形成される。第1縦枠凹部126と第2縦枠凹部128との間は、中間壁部12mで仕切られる。第1縦枠凹部126および第2縦枠凹部128は、上下方向に視て、右方または左方が開いたU字状の断面を有する。第1縦枠凹部126は、障子30の召合せ框38と対応する。第2縦枠凹部128は、障子30の戸先框37の端部を収容可能に構成される。第1縦枠凹部126の開口には、凹部カバー50が着脱可能に装着される。凹部カバー50は、内部の入隅部を隠すために、第1縦枠凹部126の開口を塞ぎながら装飾する装飾部材である。凹部カバー50の表面には、下地素材の表面に貼り付けられたデザインシートからなる化粧部52が設けられている。
【0026】
上枠14および下枠24は、上下に離隔して平行に配置される。上枠14は、
図2中で下枠24の上側に配置される。上枠14および下枠24は、左右に延伸するフレーム材である。縦枠12と、上枠14と、下枠24とは、それぞれ樹脂、金属、樹脂と金属の複合材等の材料で形成できる。例えば、縦枠12と、上枠14と、下枠24とは、それぞれ樹脂製の押し出し形成材であってもよいし、アルミニウム合金等の金属製の押し出し形成材であってもよいし、樹脂製の押し出し形成材からなる枠本体部に、アルミニウム合金等の金属製のレールを一体的に複合化したものであってもよい。縦枠12と、上枠14と、下枠24とは、それぞれの延伸方向の全長に亘って略一様な断面形状を有する。
【0027】
図4に示すように、上枠14は、第1基部17と、第1室内側壁部18と、一対の第1レール20とを有する。第1基部17と、第1室内側壁部18と、一対の第1レール20とは一体的に形成されている。第1基部17は、上枠14の上面側で左右方向および見込み方向に沿って延びる板状の部分である。第1基部17には、上方に突出する突起が複数設けられる。第1基部17は、上面が開口82に当接する状態でスクリューなどの留め具によって建物壁部80に固定される。第1室内側壁部18は、第1基部17の室内側の端部から下方に延びる板状の部分である。一対の第1レール20は、第1基部17から下方に突出して見付け面に沿って延在する板状の部分である。一対の第1レール20は、見込み方向に離間して配置される。一対の第1レール20は、障子30をスライド可能にガイドするレールとして機能する。第1レール20は、その室内側および反室内側に一対の第1見付け面20pを有する。第1見付け面20pは、被摺動部20hを含む。
【0028】
第2基部27は、下面が開口82に当接する状態でスクリューなどの留め具によって建物壁部80に固定される。第2室内側壁部28は、第2基部27の室内側の端部から上方に延びる板状の部分である。一対の第2レール22は、台部26から上方に突出して見付け面に沿って延在する板状の部分である。一対の第2レール22は、見込み方向に離間して配置され、障子30をスライド可能にガイドするレールとして機能する。第2レール22は、その室内側および反室内側に一対の第2見付け面22pを有する。第2見付け面22pは、被摺動部22hを含む。
【0029】
図4、
図5を参照して化粧部40を説明する。デザインの多様化の観点から、障子枠10全体に加飾のために化粧部を設けることができる。本実施形態では、化粧部40は、障子枠10の被摺動部を避けた領域に設けられている。摺動部と被摺動部とが摺動する際に生じる、化粧部の外観劣化を抑制するためである。化粧部は、被摺動部20h、22h(第2レール22の戸車39が摺動する部分を含む)を避けた領域に設けられている。化粧部40は、障子枠10の所定の表面に設けられており、下地素材の表面に装飾を加え、所望のデザイン性を付与する。化粧部40は、上枠14と下枠24の延伸方向の全長に亘って略一様に設けられている。化粧部40は、表面処理、塗膜、デザインシートなどを含んで構成できる。この例の化粧部40は、下地素材の表面に貼り付けられたデザインシートである。デザインシートは、ラッピングシート、ラミネートシートとも称されることがある。
【0030】
本実施形態の化粧部40は、下枠24の2つのレールの間に形成された凹部の底部26eに貼り付けられた底部化粧シート43を含む。この2つのレールは、一対の第2レール22によって例示され、この凹部の底部26eは、台部26の上面によって例示されている。
【0031】
底部化粧シート43は、底部の2つのレールの根元から離れた範囲に貼り付けられている。底部化粧シート43の見込み方向の両端は、一対の第2レール22の根元から距離D1だけ離れている。これは、底部化粧シート43を貼る際に、このシートの裏面の接着材が第2レール22に付着する可能性を低くするためである。距離D1は、実験により設定することができる。
図4の例では、距離D1は、後述する距離D2より大きく設定されている。
【0032】
上枠14および下枠24は、レールよりも反室内側に設けられた反室内側部分17c、27cを有している。反室内側部分17cは、第1基部17の一対の第1レール20よりも反室内側の部分である。反室内側部分27cは、第2基部27の一対の第2レール22よりも反室内側の部分である。化粧部40は、反室内側部分17cの下面に貼り付けられた反室内側化粧シート42と、反室内側部分27cの上面に貼り付けられた反室内側化粧シート46とを含んでいる。
【0033】
図4に示すように、反室内側化粧シート42は、反室内側部分17cの上面と下面に連続して貼り付けられている。反室内側化粧シート42は、一部が欠けた横向きのU字状に貼り付けられている。上枠14に設けられた反室内側化粧シート42は、反室内側部分17cの上面から第1レール20の反室内側の第1見付け面20pに連続して貼り付けられている。具体的には、反室内側化粧シート42の下側の端部は、第1レール20の反室内側の第1見付け面20pの第1摺動部35pが摺動する被摺動部20hよりも上方の領域に貼り付けられている。この領域は、室内側から殆ど見えないからである。反室内側化粧シート42の上側の端部は、反室内側部分17cの上面に貼り付けられている。
【0034】
図5に示すように、反室内側化粧シート46は、反室内側部分27cの上面と下面とに連続して貼り付けられている。反室内側化粧シート46は、一部が欠けた横向きのU字状に貼り付けられている。反室内側化粧シート46の上側の端部は、第2レール22の根元近傍まで延びている。
【0035】
上枠14および下枠24は、レールよりも室内側に設けられた室内側部分を有しており、化粧部40は、室内側部分に貼り付けられた室内側化粧シートを含んでもよい。上枠14は、室内側部分として、第1基部17の一対の第1レール20よりも室内側の室内側部分17bと、第1室内側壁部18とを有している。
【0036】
下枠24は、室内側部分として、室内側部分26bと、室内側部分27bと、第2室内側壁部28とを有している。室内側部分26bは、台部26の一対の第2レール22よりも室内側の部分である。室内側部分27bは、第2基部27の一対の第2レール22よりも室内側の部分である。
【0037】
図4、
図5の例では、化粧部40は、第1室内側壁部18の室内に面する見付け面に貼り付けられた第1室内側化粧シート41と、第2室内側壁部28の室内に面する見付け面に貼り付けられた第2室内側化粧シート45とを含んでいる。
【0038】
第1室内側化粧シート41は、第1室内側壁部18の室内側の見付け面と反室内側の見付け面とに連続して貼り付けられている。第1室内側化粧シート41は、一部が欠けたU字状に貼り付けられている。第1室内側化粧シート41の上側の端部は、第1室内側壁部18の室内側の面の上端まで延びている。
【0039】
第2室内側化粧シート45は、第2室内側壁部28の室内側の見付け面と反室内側の見付け面とに連続して貼り付けられている。第2室内側化粧シート45は、一部が欠けた逆向きのU字状に貼り付けられている。第2室内側化粧シート45の下側の端部は、第2室内側壁部28の室内側の見付け面の下端まで延びている。
【0040】
化粧部40は、さらに、室内側部分26bに貼り付けられた第3室内側化粧シート44を含んでいる。第3室内側化粧シート44は、室内側部分26bの上面と下面とに連続して貼り付けられている。第3室内側化粧シート44は、一部が欠けた横向きのU字状に貼り付けられている。第3室内側化粧シート44の上側の端部は、第2レール22の根元近傍まで延びている。
【0041】
化粧部40、48、52は、例えば、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の樹脂で形成できる。化粧部40、48、52は、例えば、0.2mm程度の厚み寸法を有する。化粧部40、48、52は、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、あるいはポリエステル系樹脂を主成分とする接着材で貼り付けられる。
【0042】
図5を参照して、底部化粧シート43を貼り付ける方法を説明する。所定形状に切断された化粧シートを、接着材面を対象領域に向けて、平面に平行な姿勢で対象領域に接近させる。化粧シートが対象領域に接触したら、化粧シートの上面をローラなどの押さえ治具により対象領域に押し付ける。
【0043】
室内側化粧シート41、45を貼り付ける方法を説明する。所定形状に切断された化粧シートを、接着材面を対象領域に向けて、平面に平行な姿勢で対象領域に接近させる。化粧シートが第1室内側壁部18の下端と第2室内側壁部28の上端の何れかに接触したら、化粧シートを見込み方向の両側から折り曲げ、ローラなどの押さえ治具により対象領域の見付け面に押し付ける。
【0044】
反室内側化粧シート42、46を貼り付ける方法を説明する。所定形状に切断された化粧シートを、接着材面を対象領域に向けて、鉛直面に平行な姿勢で対象領域に接近させる。化粧シートが反室内側部分17c、27cの反室内側の端部に接触したら、化粧シートを上下両側から折り曲げ、ローラなどの押さえ治具により対象領域の上面と下面に押し付ける。
【0045】
第3室内側化粧シート44を貼り付ける方法を説明する。所定形状に切断された化粧シートを、接着材面を対象領域に向けて、鉛直面に平行な姿勢で対象領域に接近させる。化粧シートが室内側部分26bの室内側の端部に接触したら、化粧シートを上下両側から折り曲げ、ローラなどの押さえ治具により対象領域の上面と下面に押し付ける。
【0046】
このように構成された本実施形態の建具100の特徴を説明する。建具100は、障子30に設けた摺動部35p、36pと摺動する被摺動部20h、22hを有する障子枠10と、障子枠10の被摺動部20h、22hを避けた領域に設けられた化粧部40とを備える。この構成によれば、摺動部35p、36pの摺動による化粧部40の劣化を抑制できる。
【0047】
摺動部35p、36pは、障子30に設けられたヒレであり、被摺動部20h、22hは、障子30の移動をガイドするレール20、22のヒレが摺動する部分であり、化粧部40は、障子枠10に貼り付けられた化粧シート41-46を含んでいる。この場合、化粧シートにより障子枠10を装飾できる。ヒレの摺動による化粧シートの劣化を抑制できる。第2レール22の戸車39が摺動する部分には、化粧シートが貼り付けされていない。戸車39の摺動による化粧シートの劣化を抑制できる。被摺動部には、化粧シートが貼り付けされていないから、戸車やヒレの大きさをレールの幅によって変更しなくてよい。
【0048】
化粧部40は、障子枠10の下枠24の一対の第2レール22の間に形成された凹部の底部26eに貼り付けられた底部化粧シート43を含んでいる。この場合、底部26eが化粧シートで覆われるので、この部分の見た目が向上する。
【0049】
底部化粧シート43は、底部26eの2つのレール22の根元から離れた範囲に貼り付けられている。この場合、底部化粧シート43を貼り付ける際に、接着材がレール22に付着する可能性を低くできる。
【0050】
化粧部40は、反室内側部分17c、27cの表面に貼り付けられた反室内側化粧シート42、46を含んでいる。この場合、反室内側部分17c、27cの表面が化粧シートの折り曲げ部で覆われるので、この部分の見た目が向上する。
【0051】
反室内側化粧シート42、46は、反室内側部分17c、27cの上面と下面とに連続して貼り付けられている。この場合、反室内側部分17c、27cの端部が化粧シートの折り曲げ部で覆われるので、この部分の見た目が向上する。
【0052】
上枠14に設けられた反室内側化粧シート42は、反室内側部分17cの上面からレール20の反室内側の見付け面20pに連続して貼り付けられている。この場合、レール20の反室内側の根元が化粧シートで覆われるので、この部分の見た目が向上する。
【0053】
化粧部40は、室内側壁部18、28の室内に面する見付け面に貼り付けられた室内側化粧シート41、45を含んでいる。この場合、室内側壁部18、28の室内に面する見付け面が覆われるので、この部分の見た目が向上する。また、化粧シート41、42、43、44、45、46により断熱性能を上げることができる。特にアルミニウム合金で形成されている場合は顕著な効果をもたらす。
【0054】
室内側化粧シート41、45は、室内に面する見付け面から反対側の面に連続して貼り付けられている。この場合、室内側壁部18、28の端部が化粧シートの折り曲げ部で覆われるので、この部分の見た目が向上する。
【0055】
以上が、第1実施形態の説明である。
【0056】
[第2実施形態]
図6、
図7を参照して、本開示の第2実施形態に係る建具100を説明する。
図6は、本実施形態の建具100を側面から視た図であり、
図2に対応する。
図7は、建具100を上面から視た図であり、
図3に対応する。第2実施形態は、建物壁部80の開口82にふかし枠84が設けられ、下枠24が樹脂製の1ピースのフレーム材で構成されている点で第1実施形態と相違し、他の構成は同様である。したがって、重複する説明を省き、主に相違する構成を説明する。
【0057】
ふかし枠84を説明する。
図6に示すように、ふかし枠84は、建物壁部80の開口82の室内側に取り付けられる。建物壁部80の開口82の室内側にふかし枠84の枠開口86が連設される。ふかし枠84は、建物壁部80の開口82の見込み方向の有効寸法が不足する窓に使用することにより、建具100を取付けるための有効寸法を確保できる。
【0058】
ふかし枠84は、枠開口86を囲む上枠87と、下枠88と、一対の縦枠89とを枠組みすることによって構成される。一対の縦枠89は、左右に離隔して平行に配置される。縦枠89は、上下に延伸する。上枠87は、一対の縦枠89の上端に架けわたされ、下枠88は、一対の縦枠89の下端に架けわたされる。
【0059】
ふかし枠84の室内側には化粧部90が設けられる。化粧部90は、表面処理、塗膜、デザインシートなどを含んで構成できる。この例の化粧部90は、下地素材の表面に貼り付けられたデザインシートである化粧シート91を含む。
図6、
図7に示すように、化粧シート91は、ふかし枠84の室内側の見付け面84jを覆うとともに、その外周端で反室内側に向かって屈曲して見込み方向に延び、ふかし枠84の四方の外周の見込み面84eを覆う。
【0060】
障子30の化粧部48を説明する。この例の化粧部48は、デザインシートである化粧シート49を含む。
図6、
図7に示すように、化粧シート49は、上框35、下框36、戸先框37および召合せ框38の室内側および反室内側を覆う。
図7に示すように、化粧シート49は、各戸先を覆うように、室内側から反室内側まで連続して横向きのU字状に貼り付けられている。
【0061】
上枠14の形状は、第1実施形態と同様であり、説明を省く。
【0062】
下枠24を説明する。
図6に示すように、下枠24は、第2基部27と、第2室内側壁部28と、一対の第2レール22とを有する。第2基部27と、第2室内側壁部28と、一対の第2レール22とは、樹脂で一体に形成されている。つまり、下枠24は、樹脂製の1ピースのフレーム材で構成されている。
【0063】
下枠24の化粧部40を説明する。
図6に示すように、下枠24の化粧部40は、底部化粧シート43、第3室内側化粧シート44、第2室内側化粧シート45および反室内側化粧シート46を含む。底部化粧シート43は、下枠24の一対の第2レール22の間に形成された凹部の底部26eに貼り付けられている。第3室内側化粧シート44は、下枠24の室内側に貼り付けられている。第2室内側化粧シート45は、第2室内側壁部28の室内に面する見付け面に貼り付けられている。反室内側化粧シート46は、反室内側部分27cに貼り付けられている。化粧シート43、44、45、46は、第1実施形態と同様の特徴を有してもよい。
【0064】
上枠14の化粧部40を説明する。
図6に示すように、上枠14の化粧部40は、第1室内側化粧シート41および反室内側化粧シート42を含む。第1室内側化粧シート41は、第1室内側壁部18の室内側の見付け面に貼り付けられている。反室内側化粧シート42は、反室内側部分17cに貼り付けられている。化粧シート41、42は、第1実施形態と同様の特徴を有してもよい。
【0065】
一対の縦枠12を説明する。本実施形態の縦枠12は、第1実施形態と同様の形状を有し、全体が樹脂で一体に形成されている。つまり、一対の縦枠12は、樹脂製の1ピースのフレーム材で構成されている。
図7に示すように、縦枠12は、縦枠基部12bと、室内側壁部12jと、反室内側壁部12eとを有する。縦枠基部12bは、開口82に支持され、見込み面に沿って延びる板状の部分である。室内側壁部12jは、縦枠基部12bの室内側の端部から見付け面に沿って内方に延びる板状の部分である。反室内側壁部12eは、縦枠基部12bの反室内側端部から見付け面に沿って内方に延びる板状の部分である。
【0066】
凹部カバー50を説明する。本実施形態の凹部カバー50は、第1実施形態と同様の形状を有し、全体がアルミニウム合金等の金属で一体に形成されている。
【0067】
縦枠12の化粧部40を説明する。
図7に示すように、縦枠12の化粧部40は、縦枠室内側化粧シート54および縦枠反室内側化粧シート55を含む。縦枠室内側化粧シート54は、室内側壁部12jの室内側の見付け面に貼り付けられている。縦枠室内側化粧シート54は、室内側壁部12jの突出端のエッジを覆うように折り返しされている。縦枠反室内側化粧シート55は、反室内側壁部12eの反室内側の見付け面に貼り付けられている。
【0068】
図7に示すように、縦枠12の化粧部40は、第2縦枠凹部128の一部を覆う凹部化粧シート57、58をさらに含む。凹部化粧シート57は、
図7で右側の第2縦枠凹部128の見込み方向中央付近から室内側壁部12jに向かって見込み面に沿って延び、第2縦枠凹部128の端部で屈曲する。屈曲後、凹部化粧シート57は、室内側壁部12jの基端から先端に向かって見付け面に沿って延び、室内側壁部12jの先端で縦枠室内側化粧シート54と接続される。化粧シート57は、化粧シート54と連続していてもよい。
【0069】
凹部化粧シート58は、
図7で左側の第2縦枠凹部128の見込み方向中央付近から反室内側壁部12eに向かって見込み面に沿って延び、第2縦枠凹部128の端部で屈曲する。屈曲後、凹部化粧シート58は、反室内側壁部12eの基端から先端に向かって見付け面に沿って延び、反室内側壁部12eの先端で縦枠反室内側化粧シート55と接続される。化粧シート58は、化粧シート55と連続していてもよい。
【0070】
凹部カバー50の化粧部52を説明する。
図7に示すように、化粧部52は、カバー化粧シート56を含む。カバー化粧シート56は、凹部カバー50の表側の見込み面に貼り付けられている。カバー化粧シート56は、凹部カバー50の室内側および反室内側のエッジを覆うように折り返しされている。
【0071】
以上が、第2実施形態の説明である。第2実施形態の各化粧部は、第1実施形態の化粧部と同様の特徴を備えてもよい。第2実施形態は、第1実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0072】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明した。上述した実施形態は、いずれも本開示の例示的な具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明している。そのような表記のない内容への設計変更が許容される。
【0073】
[変形例]
以下、変形例について説明する。この説明では、実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0074】
実施形態の説明では、化粧シート41-46、49、54-58、91が設けられる例を示した。化粧シート41-46、49、54-58、91の全てを備えることは必須ではなく、これらの一部は備えられなくともよい。化粧シート41-46、49、54-58、91とは別に、他の部位に貼り付けられる化粧シートが備えられてもよい。化粧シート41-46、49、54-58、91の形状は任意に変更できる。
【0075】
実施形態の説明では、化粧部40、48、52、90が化粧シートである例を示した。例えば、化粧部は、印刷、塗膜、表面処理などによって構成されてもよい。
【0076】
実施形態の説明では、障子枠10および框部材34が樹脂製の押し出し形成材である例を示した。例えば、障子枠10および框部材34の少なくとも一方は金属製であってもよいし、金属と樹脂とを複合したものであってもよい。
【0077】
実施形態の説明では、上枠14が、1ピースで構成される例を示した。例えば、上枠14は、複数のピースで構成されてもよい。
【0078】
実施形態の説明では、下枠24が、2ピースのフレーム材で構成される例を示した。例えば、下枠24は、1ピースのフレーム材で構成されてもよいし、3以上の複数のピースで構成されてもよい。
【0079】
上述の各変形例は実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0080】
上述した実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた実施形態として有用である。
【0081】
以上、実施形態を介して本開示を説明した。本開示は、本開示の精神および範囲を逸脱しない限り、種々の変更および修正が可能である。例えば、障子は2枚としたが、3枚以上であってもよい。したがって、出願人は、この開示の範囲内にあるこのような変更および修正の全てが、添付の特許請求の範囲に包含されると認識している。
【符号の説明】
【0082】
10 障子枠、 14 上枠、 17 第1基部、 17b 室内側部分、 17c 反室内側部分、 18 第1室内側壁部、 20 第1レール、 20h、22h 被摺動部、 20p、22p 見付け面、 22 第2レール、 24 下枠、 26 台部、 26b 室内側部分、 26e 底部、 27 第2基部、 27b 室内側部分、 27c 反室内側部分、 28 第2室内側壁部、 30 障子、 40 化粧部、 41 第1室内側化粧シート、 42 反室内側化粧シート、 43 底部化粧シート、 44 第3室内側化粧シート、 45 第2室内側化粧シート、 46 反室内側化粧シート。