(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】注入材料
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20240613BHJP
C04B 22/14 20060101ALI20240613BHJP
E02D 3/12 20060101ALI20240613BHJP
C09K 17/10 20060101ALI20240613BHJP
C09K 17/08 20060101ALI20240613BHJP
C09K 103/00 20060101ALN20240613BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B22/14 A
E02D3/12 101
C09K17/10 P
C09K17/08 P
C09K103:00
(21)【出願番号】P 2020175365
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135758
【氏名又は名称】伊藤 高志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 裕太
(72)【発明者】
【氏名】室川 貴光
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 亨
(72)【発明者】
【氏名】串橋 巧
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-335561(JP,A)
【文献】特開2001-261393(JP,A)
【文献】特開2012-091941(JP,A)
【文献】特開2007-177077(JP,A)
【文献】特開2001-164249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00-32/02
C04B 40/00-40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、急硬性材料及び凝結調整剤を含むA材と、
アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含むB材とを含み、
前記B材中のナトロアルナイトの含有量が0.1~5質量%である2材型の注入材料。
【請求項2】
少なくとも、前記B材作製の直後から、0~40℃で48時間保存した後のナトロアルナイトの含有量が、5質量%以下である請求項1に記載の注入材料。
【請求項3】
前記B材中のナトロアルナイトが氷晶石に由来する請求項1又は2に記載の注入材料。
【請求項4】
前記B材のpHが1~4である請求項1~3のいずれか1項に記載の注入材料。
【請求項5】
前記B材におけるアルミニウムの含有量が前記B材100質量部に対してAl
2O
3換算で1~20質量部であり、
前記B材における硫黄の含有量が前記B材100質量部に対してSO
3換算で10~40質量部であり、
前記B材におけるナトリウムの含有量が前記B材100質量部に対してNa
2O換算で0.1~3質量部であり、
前記B材におけるフッ素の含有量が前記B材100質量部に対して1~10質量部である請求項1~4のいずれか1項に記載の注入材料。
【請求項6】
前記B材の固形分濃度が15~70質量%である請求項1~5のいずれか1項に記載の注入材料。
【請求項7】
前記B材の20℃における粘度が1400mPa・s以下である請求項1~6のいずれか1項に記載の注入材料。
【請求項8】
前記B材におけるAl
2O
3換算での前記アルミニウムとSO
3換算での前記硫黄との質量比(Al
2O
3/SO
3)が0.05~1.0である請求項1~7のいずれか1項に記載の注入材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2材型の注入材料に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤改良方法の一種として、軟弱な地盤を強固にするためにロッドを介して地中に硬化性を有する注入剤を注入する注入工法があり、セメント系注入材を含む数多くの注入剤が知られている。
更に、地下やトンネル背面の空隙充填、及び、水が存在する場所やひび割れした場所などで瞬時に流動性を無くして逸流を防止する等のために、セメント系注入材の使用が検討されている。
また、セメント系注入材としてセメントからなるA材と、水ガラスからなるB材を組み合わせることは一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、セメントと水ガラスとの組み合わせのセメント系注入材では、ゲル化するのみで、初期(30分~1時間程度)に強度を発現することができなかった。
そこで、本発明は、適度な可使時間を持ちつつ、短時間で強度発現が可能な注入材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討を行った結果、注入材料を、セメントを含むA材と、A材の硬化を促進するB材とを含む2材型にするとともに、B材中に含有するナトロアルナイト量を所定範囲内とすることで、当該課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は下記のとおりである。
【0006】
[1]セメント、急硬性材料及び凝結調整剤を含むA材と、アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含むB材とを含み、前記B材中のナトロアルナイトの含有量が0.1~5質量%である2材型の注入材料。
[2]少なくとも、前記B材作製の直後から、0~40℃で48時間保存した後のナトロアルナイトの含有量が、5質量%以下である上記[1]に記載の注入材料。
[3]前記B材中のナトロアルナイトが氷晶石に由来する上記[1]又は[2]に記載の注入材料。
[4]前記B材のpHが1~4である上記[1]~[3]のいずれかに記載の注入材料。
[5]前記B材におけるアルミニウムの含有量が前記B材100質量部に対してAl2O3換算で1~20質量部であり、前記B材における硫黄の含有量が前記B材100質量部に対してSO3換算で10~40質量部であり、前記B材におけるナトリウムの含有量が前記B材100質量部に対してNa2O換算で0.1~3質量部であり、前記B材におけるフッ素の含有量が前記B材100質量部に対して1~10質量部である上記[1]~[4]のいずれかに記載の注入材料。
[6]前記B材の固形分濃度が15~70質量%である上記[1]~[5]のいずれかに記載の注入材料。
[7]前記B材の20℃における粘度が1400mPa・s以下である上記[1]~[6]のいずれかに記載の注入材料。
[8]前記B材におけるAl2O3換算での前記アルミニウムとSO3換算での前記硫黄との質量比(Al2O3/SO3)が0.05~1.0である上記[1]~[7]のいずれかに記載の注入材料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、適度な可使時間を持ちつつ、短時間で強度発現が可能な注入材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の注入材料の実施形態について説明する。本発明の実施形態(本実施形態)に係る注入材料はA材及びB材を含む2材型の注入材料である。
[A材]
本実施形態に係る注入材料におけるA材は、セメント、急硬性材料及び凝結調整剤を含む。
【0009】
A材におけるセメントは特に限定されるものではなく、通常のセメントが使用可能である。具体的には、普通、早強、超早強、及び微粉等の各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、シリカ、高炉スラグ、又はフライアッシュを混合した各種混合セメントなどの使用が可能である。
【0010】
A材における急硬性材料は、セメントの硬化を促進するものであれば、特に限定されるものではなく、通常、セメントの急結剤及び急硬材として使用されているものが使用可能である。その具体例としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属元素を含むアルミン酸塩、炭酸塩及びケイ酸塩、硫酸アルミニウム、ミョウバンなどの無機塩系急結剤、カルシウムアルミネート、カルシウムサルフォアルミネートなどのセメント系急結剤、カルシウムフロロアルミネート系急硬材、カルシウムアルミネート系急硬材、アウイン系急硬材、アルミナセメント系急硬材、水ガラス系急硬材等が挙げられる。これらの急硬性材料は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの急硬性材料の中で、カルシウムアルミネート系急硬材が好ましい。
急硬性材料の使用量は特に限定されるものではないが、セメント100質量部に対して、1~200重量部が好ましく、5~100重量部がより好ましい。
【0011】
A材における凝結調整剤は特に限定されるものではなく、その具体例としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、及びコハク酸等のオキシカルボン酸又はそれらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及びアルミニウムなどの塩等の有機酸類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び重炭酸アンモニウムなどのアルカリ炭酸塩などが挙げられる。これらの凝結調整剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの凝結調整剤の中で、充分な作業時間と短時間強度発現性の双方を満足する観点から、有機酸類及びアルカリ炭酸塩が好ましく、クエン酸がより好ましい。
凝結調整剤の使用量は特に限定されるものではないが、セメント100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.3~5質量部がより好ましい。
【0012】
また、A材では、セメント、急硬性材料及び凝結調整剤の他に、骨材、ベントナイト、石粉、及び各種セメント混和材やセメント混和剤を使用することが可能である。特に、地下やトンネル背面等で水が存在する場所やひび割れなどへの逸流を防止する場所へ施工する場合、ベントナイトや石粉等の微粉末質や水中不分離混和剤の併用が水中不分離抵抗性向上の面で有効である。
【0013】
A材に流動性をもたせるために、A材に水を加えてもよい。A材に使用する水は特に限定されるものではなく、また水の使用量も特に限定されるものではないが、セメント100質量部に対して、40~150質量部が好ましい。40~150質量部であれば、良好な流動性と強度発現を示しやすくなる。
[B材]
本実施形態に係る注入材料におけるB材は、アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含む。これらを含むことで、注入材料の急結性及び強度発現性を良好にすることができる。
【0014】
また、本実施形態に係る注入材料におけるB材は、当該B材中のナトロアルナイトの含有量が0.1~5質量%である。ナトロアルナイトの含有量が0.1質量%未満であると、強度発現が短時間で起こらなくなる。ナトロアルナイトの含有量が5質量%を超えると、可使時間が短くなるとともに、短時間に発現する強度が小さくなり、これによって良好な施工性を発揮しにくくなる。このような観点から、ナトロアルナイトの含有量は、0.3~4.5質量%であることが好ましく、0.5~4.2質量%であることがより好ましい。
【0015】
ナトロアルナイトの含有量が5質量%以下となるのは、少なくとも、B材の作製直後から、0~40℃で48時間保存した後であることが好ましい。この時点でナトロアルナイトの含有量が5質量%以下であれば、その後の0~40℃の保管でナトロアルナイトの含有量が5質量%を超えることはない。なお、「0~40℃」は、B材の実使用の際の温度範囲を想定したものである。ナトロアルナイトの含有量は実施例の記載の方法で測定することができる。
【0016】
ここで、ナトロアルナイト(Natroalunaite)とは、ソーダ明礬石とも言われ、(NaAl3(SO4)2(OH)6、(Na,K)Al3(SO4)2(OH)6、又は、[Na+][Al3+][Al3+
2][(OH)6|(SO4)2]10-)で表される。本発明者らによれば、ナトロアルナイトは、主に原料である氷晶石に由来するもので、特に、氷晶石中のチオライト(Na5Al3F14)やエルパソライト(K2NaAlF6)に由来することが見出している。
したがって、B材中のナトロアルナイトの含有量を5質量%以下となるには、氷晶石中のチオライト及びエルパソライトを低減させる等の処理を施せばよい。また、後述するようにB材を作製する際の温度条件を調整してもよい。
【0017】
本実施形態に係る注入材料におけるB材は、酸性であることが好ましく、pHが1~4であることがより好ましい。酸性であることで、アルカリ性のB材に比べて取り扱い性が向上する。
【0018】
B材中のアルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素の含有量は特に限定されるものではないが短時間での強度発現の観点から、B材100質量部に対して、アルミニウムはAl2O3換算で1~20質量部、硫黄はSO3換算で10~40質量部、ナトリウムはNa2O換算で0.1~3質量部、及びフッ素は1~10質量部であることが好ましい。B材100質量部に対して、アルミニウムはAl2O3換算で5~10質量部であることがより好ましい。硫黄はSO3換算で12~25質量部であることがより好ましい。ナトリウムはNa2O換算で0.1~2質量部であることがより好ましい。フッ素は2~10質量部であることがより好ましい。
【0019】
さらに、B材の貯蔵安定性やA材への添加時の混合性の観点から、B材におけるAl2O3換算でのアルミニウムとSO3換算での硫黄との質量比(Al2O3/SO3)は0.05~1.0であることが好ましく、0.3~0.7であることがより好ましく、0.4~0.6であることがさらに好ましい。
【0020】
本実施形態に係る注入材料におけるB材の固形分濃度は液体急結剤の貯蔵安定性やA材への添加時の混合性の観点から、15~70質量%であることが好ましく、20~50質量%であることがより好ましい。固形分は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0021】
また、本実施形態に係る注入材料のB材の0~40℃における粘度は1400mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以下であることがより好ましく、1~900mPa・sがさらに好ましい。粘度は1400mPa・s以下であることで混合性が高まり、安定した物性が得られる。粘度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0022】
本実施形態に係る注入材料におけるB材は、例えば、硫酸アルミニウム、各種ミョウバン、水酸化アルミニウム、水酸化ナトリウム、硫酸、天然又は合成の氷晶石、フッ化ナトリウム、及びフッ化アルミニウム等の原料を液体中で混合し、80~95℃で30~120分加熱して作製することができる。良好な生産性の観点から、原料は硫酸、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム又は各種ミョウバンと、天然若しくは合成の氷晶石とを用いることが好ましい。また、液体としては水等を用いることが好ましい。
【0023】
ここで、本実施形態に係る注入材料におけるB材を作製する際の原材料として、氷晶石を用いると、不溶性析出物が発生しやすい。特に、氷晶石に含有されるチオライト及びエルパソライトが不溶性析出物の発生に寄与していると推察される。また、液体急結剤を作製する際に特定の操作を行うと不溶性析出物の発生が抑えられることがわかった。これらのいずれかを考慮し、B材中のナトロアルナイトの含有量を0.1~5質量%とするために、例えば、下記(1)又は(2)のような操作をすることが好ましい。
【0024】
(1)当該原材料として氷晶石を用いる際に、この氷晶石に含有されるチオライト及びエルパソライトの量が氷晶石中5質量%以下のものを使用する。
(2)既述の80~95℃での加熱後に60分以内に常温(例えば25℃)になるように急冷する。
【0025】
B材の使用量は、A材のセメント100質量部に対して、5~20質量部が好ましく、7~17質量部がより好ましい。5~20質量部とすることで、適度な可使時間を持ちつつ、短時間で強度発現が可能な注入材料を得ることができる。
【0026】
[注入材料]
本発明の実施形態に係る注入材料は、既述のA材及びB材を含む2材型の注入材料である。
【0027】
本発明では、水と混練したA材とB材とを混合すると、混合後、数秒で流動性がなくなることがあるため、圧送距離を長く必要とする場合や施工性を考えた場合、水と混練したA材と、B材とをそれぞれ別々に送給して、送給管先端部で合流混合しながら施工することが好ましい。
【0028】
合流混合の方法としては、Y字管等の混合管を使用する方法、二重管を使用する方法、並びに、液体急結剤をシャワー状に合流混合させるインレットピースを使用する方法等がある。また、合流混合後の管中にスパイラル状のミキサをセットしてさらに混合する方法も可能である。A材とB材との混合が充分であれば、注入材料に付着性や可塑性がでて施工性が良くなり、混合が不充分だと、注入材料が部分的に流動する場合があり、完全に施工することが困難になる場合がある。
【0029】
地下やトンネル背面の空隙に注入材料を充填する場合は、注入材料を単に流し込む方法で充分であるが、水が存在する場所やひび割れなどへの逸流を防止する箇所に吹付け施工する場合等は、圧搾空気で吹き飛ばして施工することも有効である。圧搾空気の導入箇所は特に限定されるものではないが、混合管に導入することが好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、実験例を挙げてさらに詳細に内容を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
<使用材料>
(1)A材
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品
急硬性材料:カルシウムアルミネート系急硬材、デンカ株式会社製、商品名:デンカES
凝結調整剤:クエン酸、試薬
水:水道水
(2)B材
硫酸アルミニウム:硫酸バンド粉末、試薬
氷晶石:試薬 チオライト:2質量%、エルパソライト:0.5質量%(XRDにより測定)
【0032】
(A材1の作製)
セメント90質量部と、急硬性材料10質量部と、凝結調整剤0.5質量部と、水80質量部とをミキサで混練してA材1を製造した。
【0033】
(B材1~12の作製)
Al2O3換算におけるアルミニウム、SO3における硫黄、Na2O換算におけるナトリウム、及びフッ素の各割合が表1に示す割合となるように、水に硫酸と水酸化アルミニウムと氷晶石を混合し、90℃で60分間加熱した。加熱後、50分間で25℃となるように循環冷却装置により急冷してB材1~12をそれぞれ製造した。なお、B材1は、フッ素を含まないため、ナトロアルナイトの含有量が0質量%となった。B材中の固形分濃度、粘度を下記のようにして測定した。また、pHメータによりB材の上澄みのpHを測定した。結果を表1に示す。
【0034】
(B材13の作製)
B材2と同様にして硫酸アルミニウムと氷晶石とを水に混合し、B材2と同様にして90℃で60分間加熱した。加熱後、そのまま放置して240分間で25℃として、B材13を製造した。B材2と同様にして、B材13中の固形分濃度、粘度を下記のようにして測定した。また、pHメータによりB材13の上澄みのpHを測定した。結果を表1に示す。
【0035】
・固形分濃度:
固形分濃度:10gのサンプルを105℃の乾燥機で1時間乾燥し、サンプルをデシケータ内で放冷したのち、測定した質量を固形分として、算出した。
・粘度(20℃)
B回転粘度計を用いて、20℃におけるB材の粘度を測定した。
【0036】
B材50gを20℃で48時間保管した。その後、下記のようにしてナトロアルナイトの含有量を測定した。結果を表1に示す。
【0037】
・ナトロアルナイトの含有量
保管したB材50gをガラスフィルターに流して、吸引ろ過し、更に真空デシケータで24時間乾燥させたサンプルについてX線回折の測定を行った。ナトロアルナイト単味のピーク強度と、サンプルのナトロアルナイトのピーク強度を比較して、含有量として求めた。
【0038】
A材と上記のB材とを別々に混合管に送給し、無駆動ラインミキサで、A材中のセメント100質量部に対して、B材が15質量部になるように混合しながら連続的に、注入材料を調製した。注入材料について、下記のようにしてゲルタイム、ゲル強さ及び圧縮強度を評価した。結果を表2に示す。
【0039】
・ゲルタイムの評価
少量をビニール袋にとり、45度傾けた際に、材料が流れなくなるまでの時間(分)をゲルタイムと判断した。
・ゲル強さの評価
混合後、30分経過した時点のゲルを指で触った際に指の跡がつかないものを〇とし、指の跡がついたものを×とした。
・圧縮強度の評価
JIS R 5201:2015に準拠して材齢0.5時間及び1日の圧縮強度(N/mm2)を測定した。
【0040】
【0041】
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の注入材料は、例えば、道路、鉄道、及び導水路等のトンネルや、地盤改良等に対して好適に使用できる。