(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/51 20060101AFI20240613BHJP
A61F 13/42 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A61F13/51
A61F13/42 A
A61F13/42 F
A61F13/42 Z
(21)【出願番号】P 2020219391
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湊崎 真行
(72)【発明者】
【氏名】福田 優子
(72)【発明者】
【氏名】山城 高久
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-515305(JP,A)
【文献】特表2002-515975(JP,A)
【文献】特開2011-135978(JP,A)
【文献】特表2009-538667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌対向面側に位置する表面シート、非肌対向面側に位置する外側シート、及び該表面シートと該外側シートとの間に配された吸収体を備え
、着用者の前側から後側に向かう縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、
前記外側シートは、吸収性物品の最外面の構成材として、第1不織布と、第1不織布の非肌対向面側に一
部を重ねた状態で配された第2不織布とを有し、
第1不織布と第2不織布とは、前記縦方向の中央側の端部領域どうし又は前記横方向の中央側の端部領域どうしが重なっており、
第1不織布と第2不織布とが重なる重複領域の一部に、第1不織布と第2不織布との間が接合されておらず、吸収性物品に生じる変化を検出するためのセンサーを内部に配置可能なセンサーポケットが形成されており、
前記重複領域は、前記センサーポケットの周囲の三方向に、第1不織布と第2不織布とが接合された固定領域を有し、残りの一方向に、前記センサーの挿入口が形成されており、
前記重複領域における前記センサーポケットが形成された領域の少なくとも一部において、第1不織布と第2不織布との伸縮性が相互に異なっている、吸収性物品。
【請求項2】
前記センサーポケットは、前記センサーの全体を内部に配置可能な大きさを有している、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記重複領域における第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方は、前記センサーの大きさ以上の面積において伸縮性を有している、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記重複領域における前記三方向の固定領域は、少なくとも前記センサーポケットを挟んでその両側に位置する固定領域が、該重複領域の端部以外にも延在しており、前記重複領域の平面視において、前記センサーポケットの面積が該重複領域の面積の半分以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記挿入口は、前記センサーが該挿入口を通じて前記センサーポケットに挿入される方向と直交する方向に延びて開口しており、
前記重複領域における第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方は、前記挿入口の延在方向に伸縮性を有している、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記重複領域における第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方は、前記センサーポケットにおける前記挿入口側の部位に、前記センサーの長さ以上の長さの弾性部材を備えている、請求項1~5の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
着用時に着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部とを有しており、
前記センサーポケットにおける前記センサーの挿入口が、前記重複領域における前記腹側部側に形成されている、請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記センサーポケットが、前記吸収体と重なる部位に形成されている、請求項1~7の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収性物品は、色の変化により排尿を知らせるインジケータを備えており、該インジケータは、着用者の前後方向に対応する該吸収性物品の縦方向に延びており、前記センサーポケットが、該インジケータと重なる部位に形成されている、請求項1~8の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記センサーポケットの内部に、前記センサーを固定するセンサー固定材料が配されている、請求項1~9の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記重複領域における第2不織布に、前記センサーポケットの位置を示す表示が設けられている、請求項1~10の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の吸収性物品の前記センサーポケットに前記センサーを配置し、該センサーを用いて、着用者の排泄に伴い前記吸収性物品に生じる変化を検出する、吸収性物品の変化検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品、及び吸収性物品の変化検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介護負担の軽減等を目的として、使い捨ておむつの着用者の排尿を排尿センサーにより検出して通知する技術が知られている。排尿の検出方法としては、例えば、排尿により上昇した温度又は湿度を検出する方法が知られている。
また特許文献1には、窒息防止特性を備えるセンサーシステムが開示されており、特許文献1には、衣類に面する層の内側又は外側表面に対して追加的な材料を接合することによって、センサー配置用のポケットを形成することが記載されている(特許文献1参照)。
また特許文献2には、センサーを、吸収性物品の非肌対向面側に直接貼り付けて固定することが記載されている。
また特許文献3には、インピーダンスの変化により排尿を検知するセンサーを、吸収性物品の外面側に脱着自在な吸収性物品として、吸収性物品の吸収体よりも非肌対向面側に、弾性部材が自由端に設けられた2枚のシートを、自由端側の一部が互いに重なった状態に配してセンサーの取り付け部を形成した吸収性物品が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-214903号公報
【文献】特開2015-027391号公報
【文献】特開2015-027322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品の捨ておむつの肌対向面側にセンサーを配して排尿や排便を検出する方法は、センサーが排泄物に直接触れるため、センサーを再利用するには洗浄が必要であり、衛生上の課題がある。
センサーを使い捨ておむつの非肌対向面側に直接貼り付ける方法は、着用者の活動に伴う振動や繰り返し使用することによる接着力低下により、センサーが吸収性物品から剥がれ落ちることが懸念される。特許文献1におけるセンサーの取り付け方法も、着用者の姿勢や活動によって、センサーがポケットから脱落するおそれがある。特許文献2及び3の技術は、センサーの意図しない脱落の防止や、センサーの取り付けの容易性に関し、改善の余地があった。
【0005】
本発明の課題は、上述した従来技術が有する解決課題を解消し得る吸収性物品及び吸収性物品の変化検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、肌対向面側に位置する表面シート、非肌対向面側に位置する外側シート、該表面シートと該外側シートとの間に配された吸収体を備える吸収性物品に関する。
前記外側シートは、吸収性物品の最外面の構成材として、第1不織布と、第1不織布の非肌対向面側に一部又は全部を重ねた状態で配された第2不織布とを有する。
第1不織布と第2不織布とが重なる重複領域の一部に、第1不織布と第2不織布との間が接合されておらず、吸収性物品に生じる変化を検出するためのセンサーを内部に配置可能なセンサーポケットが形成されている。前記重複領域は、前記センサーポケットの周囲の三方向に、第1不織布と第2不織布とが接合された固定領域を有し、残りの一方向に、前記センサーの挿入口が形成されている。前記重複領域における前記センサーポケットが形成された領域の少なくとも一部において、第1不織布と第2不織布の伸縮性が相互に異なっている。
【0007】
また本発明は、前記吸収性物品の前記センサーポケットに前記センサーを配置し、該センサーを用いて、着用者の排泄に伴い該吸収性物品に生じる変化を検出する、吸収性物品の変化検出方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸収性物品によれば、センサーを繰り返して使用することが容易であり、センサーを適切な位置に容易に配置でき、またセンサーの脱落を防止することができる。
本発明の吸収性物品の変化検出方法によれば、センサーを繰り返して使用することが容易であり、センサーを適切な位置に容易に配置でき、センサーの意図しない脱落や取り外しを防止することができ、着用者の排泄に伴い吸収性物品に生じる変化を簡便に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態の使い捨ておむつを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す使い捨ておむつの展開状態を肌対向面側から視た図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す使い捨ておむつの展開状態を非肌対向面側から視た図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す使い捨ておむつの外側シートを構成する下地シート、第1不織布及び第2不織布を示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図3のセンサーポケット15近傍の拡大図である。
【
図6】
図6は、
図5のX-X断面図であり、(a)はセンサー挿入前の断面図、(b)はセンサー挿入後の断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態の使い捨ておむつを示す
図3相当図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3実施形態の使い捨ておむつを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3実施形態の使い捨ておむつを示す
図3相当図である。
【
図10】
図10は、本発明の第4実施形態の使い捨ておむつの要部を示す
図5相当図である。
【
図11】
図11は、本発明の第4実施形態の使い捨ておむつの要部を示す
図6相当図である。
【
図12】
図12は、本発明の更に別の実施形態の使い捨ておむつを示す
図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の第1実施形態である使い捨ておむつ1(以下おむつ1ともいう)は、
図1に示すように、パンツ型の使い捨ておむつである。
おむつ1は、
図2に示すように、肌対向面側に位置する表面シート2、非肌対向面側に位置する多層構造の外側シート10、及び表面シート2と外側シート10との間に配された吸収体4を備える。より具体的には、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の防漏シート3、及び表面シート2と防漏シート3との間に配置された液保持性の吸収体4を備えている。本実施形態のおむつ1は、表面シート2と吸収体4と防漏シート3とがこの順に積層されて一体化されている吸収性本体5と、該吸収性本体5の非肌対向面側に位置して、吸収性本体5を固定している外側シート10からなる外装体7とを備えている。
【0011】
おむつ1は、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Aと、背側に配される背側部Bと、その間に位置する股下部Cとを有している。
吸収性物品の縦方向Xは、着用時における着用者の前側から後側に向かう方向であり、使い捨ておむつにおいては、腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに向かう方向である。横方向Yは、縦方向Xと直交する方向である。
本実施形態のおむつ1は、パンツ型の使い捨ておむつであり、腹側部Aの両側縁部と背側部Bの両側縁部とが互いに接合されており、それによって、一対のサイドシール部16,16、ウエスト開口部17及び一対のレッグ開口部18,18が形成されている。
【0012】
表面シート2、防漏シート3及び吸収体4としては、それぞれ、この種の物品に従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、各種の不織布や開孔フィルム等を用いることができ、防漏シート3としては樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等との積層シート等を用いることができる。吸収体4としては、パルプ繊維等の繊維材料の積繊体から構成された吸収性コア、又は高吸収性ポリマーの粒子及びパルプ繊維等の繊維材料の混合積繊体から構成された吸収性コアを、薄葉紙又は液透過性の不織布等からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。
【0013】
おむつ1の外装体7を形成する外側シート10は、2枚以上の不織布が厚み方向に積層された多層構造を有しており、
図4に示すように、下地シート11と、下地シート11の非肌対向面側に配された第1不織布12と、第1不織布12の非肌対向面側に一部を重ねた状態で配された第2不織布13とを有している。第1不織布12及び第2不織布13は、いずれも、吸収性物品の最外面の構成材である。
より具体的には、第1不織布12は、腹側部Aに配された部分と股下部Cに配された部分とを有する一方、背側部Bに配された部分を有しておらず、第2不織布13は、背側部Bに配された部分と股下部Cに配された部分とを有する一方、腹側部Aに配された部分を有していない。そして、第2不織布13は、腹側部A側の帯状の端部領域13aが、第1不織布12における背側部B側の帯状の端部領域12aの非肌対向面側と重なっており、この第1不織布12と第2不織布13との重なり部分が重複領域14となっている。
本実施形態において重複領域14は、おむつの縦方向Xにおいて、第1不織布12の背側部B側の縁部12dと第2不織布13の腹側部A側の縁部13uとの間の領域である。
肌対向面は、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。第1不織布12及び第2不織布13は、ウエスト開口部17の周縁端において、外装体7の肌対向面側に折り返された部分を有していてもよい。
【0014】
重複領域14の一部には、
図5及び
図6に示すように、第1不織布12と第2不織布13との間が接合されていない部分が形成されており、該部分が、おむつ1(吸収性物品)に生じる変化を検出するためのセンサー8を内部に配置可能なセンサーポケット15となっている。重複領域14は、
図5に示すように、重複領域14の平面視において、センサーポケット15の周囲の三方向に、第1不織布12と第2不織布13との間が接合された固定領域F1~F3を有し、残りの一方向に、センサーの挿入口15aが形成されている。挿入口15aは、センサー8が該挿入口15aを通じてセンサーポケット15に挿入される方向(挿入方向)と直交する方向に延びて開口している。本実施形態において前記直交する方向は横方向Yに一致している。すなわち、挿入口15aは横方向Yに延在している。
【0015】
本実施形態において、前記三方向は、センサーポケット15の中央部から見て、左右二方向及び背側部B方向であり、前記残りの一方向は、センサーポケット15の中央部から見て、腹側部A方向である。また第1不織布12は、肌対向面側の面が、下地シート11の非肌対向面に接着剤で接合されている。他方、第2不織布13は、重複領域14に位置する固定領域F1~F3において、第1不織布12の非肌対向面に接着剤で接合されており、また重複領域14以外の部分において、下地シート11の非肌対向面に接着剤で接合されている。接着剤は、全面に隙間なく塗工された接着剤であってもよく、スパイラルパターン、ドットパターン、Ω字パターン等のパターン塗工で塗工された接着剤であってもよい。接着剤としては、この種の物品に従来使用されている接着剤を特に制限なく用いることができ、ホットメルト型接着剤であることが好ましい。第2不織布13を固定する接着剤は、センサーポケット15に隣接する部分における接着力を、使用する接着剤の種類や坪量を異ならせる等の方法により、他の部分より強くすることも好ましい。
【0016】
本実施形態において、第1不織布12は非伸縮性不織布であり、第2不織布13は伸縮性不織布である。したがって、重複領域14における、センサーポケット15が形成された領域の全域において、第2不織布13の伸縮性が第1不織布12よりも高くなっている。伸縮性とは、引っ張ることによって伸長し且つその引張状態を解除することで収縮する性質をいい、伸長前の長さにより近い長さまで収縮するほど伸縮性が高い。
【0017】
伸縮性不織布は伸縮性を有する。この「伸縮性を有する」とは、伸縮方向の最大伸度が好ましくは50%以上であることを指す。「最大伸度」とは、測定対象物をそれ以上伸ばせない長さ(材料破壊する直前の長さ)まで伸長したときの伸長率であり、下記式(1)によって求められる。
最大伸度(%)={(伸長後の長さ-伸長前の長さ)/伸長前の長さ}×100%…(1)
最大伸度の測定は次の手順で行うことができる。測定対象の自然状態(弾性部材の収縮状態)において、当該測定対象の伸縮方向の中央部に50mmの間隔の目印を付け、この目印の間隔を測定して、「伸長前の長さ」とする。次いで、測定対象をその伸縮方向に該測定対象が材料破壊する直前まで伸長させ、斯かる伸長状態での前記目印の間隔を測定して、「伸長後の長さ」とする。そして、これらの測定値を前記式(1)に代入して最大伸度を算出する。なお、測定対象を吸収性物品から切り出したものを測定サンプルとして測定に供してもよい。
【0018】
伸縮性不織布は、少なくとも、横方向Yにおいては、最大伸度50%以上且つ伸長回復率70%以上であることが好ましい。伸縮性不織布の伸長回復率は、以下の測定方法により測定される。
<伸長回復率の測定方法>
測定対象の不織布から長さ50mm、幅25mmのサンプル片を切り出す。引張試験機(株式会社オリエンテックの「テンシロン」RTC-1150A)のチャック間(チャック間隔K0)にサンプル片を非伸長且つ弛みのない状態で固定し、引張速度300mm/minでチャック間を拡げることでサンプル片を引っ張り、サンプル片の100%伸長時の長さK2(=K0×2)まで伸長させた後、引張速度と同速度でチャック間を狭めていき、引張応力が0になった時点でのサンプル片の長さを伸長回復後の長さK1とする。次式により、測定対象の不織布の100%伸長時の伸長回復率を算出する。
100%伸長時の伸長回復率(%)=〔(K2-K1)/(K2-K0)〕×100
【0019】
伸縮性不織布としては、例えば(1)弾性繊維層の両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されている伸縮性不織布、(2)ネット状の弾性シートの両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されている伸縮性不織布、(3)弾性フィルムからなる弾性シートの両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されている伸縮性不織布、(4)互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、伸長可能な繊維層に一体化されてなる伸縮性不織布等を好ましく用いることができる。
ここでいう「伸長可能な繊維層」には、弾性を有する材料と一体化する前から伸長可能である繊維層の他に、弾性を有する材料との一体化後に機械加工等により伸長可能とされた繊維層が含まれる。
弾性繊維層と伸長可能な繊維層との一体化の方法としては、例えば、これらを積層して水流交絡又はエアスルー等により繊維を交絡させる方法、ヒートエンボス、接着剤、超音波等によって接合させる方法が挙げられる。伸縮性不織布は、例えば、特開2009-61743号公報に記載の方法に従って製造することができる。
【0020】
第1不織布12及び第2不織布13のうち伸縮性が低い方の不織布は、伸縮性を有する不織布でも有しない不織布であってもよい。本実施形態では、非伸縮性不織布である第1不織布12がこれに当たる。伸縮性を有しない非伸縮性不織布の横方向Yの最大伸度は、通常50%未満であり、より好ましくは40%以下であり、0%でもよい。非伸縮性不織布としては、各種製法による不織布を用いることができる。該不織布としては例えば、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。非伸縮性不織布は単層構造でもよく、2枚以上の層が積層された積層構造でもよい。
【0021】
センサー8をより挿入しやすくするとともに、後述するようにセンサー8を加圧した状態で該センサー8をより安定して保持する観点から、重複領域14における第1不織布12及び第2不織布13の少なくとも一方は、挿入口15aの延在方向に伸縮性を有していることが好ましい。例えば、本実施形態において第2不織布13として用いられる伸縮性不織布は、少なくとも挿入口15aの延在方向と平行な方向である横方向Yに伸縮性を有していることが好ましい。
伸縮性不織布は、横方向Yに伸縮性を有するものであってもよいが、横方向Y以外にも伸縮性を有していてもよい。第2不織布13に代えて第1不織布12として伸縮性不織布を用いる場合も同様である。
【0022】
センサーポケット15が形成された領域の少なくとも一部、好ましくは全域において、第1不織布12と第2不織布13との伸縮性が異なることによって、挿入口15aからセンサーポケット15内に挿入されたセンサー8が、第1不織布12と第2不織布13との間で加圧された状態となって安定にセンサーポケット15内に保持される。第1不織布12及び第2不織布13のうち、厚み方向においてセンサーポケット15より外側に配される第2不織布13の方が、内側に配される第1不織布12よりも伸縮性が高いと、センサーポケット15内でセンサー8が加圧された状態が保持されやすいので好ましい。
センサーポケット15が形成された領域の一部において、第1不織布12と第2不織布13の伸縮性が異なる実施形態としては、例えば、センサーポケット15を、その最大深さL5(
図5参照)を2等分して、挿入口15a側の領域15bと挿入方向奥側の領域15cとに区分したときの挿入口15a側の領域15bのみにおいて、第1不織布12と第2不織布13の伸縮性が異なる形態等が挙げられる。
【0023】
本実施形態のおむつ1によれば、吸収性物品の最外面の構成材としての第1不織布12と第2不織布13との重複領域14に、センサーポケット15が形成されているため、おむつの肌対向面側にセンサーを配する場合とは異なり、センサー8が排泄物に直接触れることがないため、衛生面や故障防止等の問題が生じにくく、センサー8の再利用が容易である。また第1不織布12と第2不織布13との伸縮性を異ならせて、センサー8が、第1不織布12と第2不織布13とに挟まれて安定的に保持されるため、センサー8を挿入しやすいことと、着用者の活動や姿勢の変化によっても、センサー8がセンサーポケット15から脱落しにくいこととの両立が可能である。またセンサーポケット15を、センサー8により計測する物性等に応じた好ましい部位に設けることによって、センサー8を適切な位置に容易に配置することもできる。
このようにして、本実施形態のおむつ1によれば、センサーを繰り返して使用することが容易であり、センサーを適切な位置に容易に配置でき、またセンサーの脱落を防止することができる。
【0024】
センサー8としては、吸収性物品に生じる変化を検出可能な各知のセンサーを特に制限なく用いることができる。吸収性物品に生じる変化は、好ましくは、着用者の排泄により生じる変化であり、例えば排尿により上昇する温度を計測可能な温度センサー、排尿により上昇する湿度を計測可能な湿度センサー、排尿により変化するインピーダンスを計測可能なセンサー、排尿又は排便により生じる臭いを計測可能な臭いセンサー等が挙げられる。これらのセンサーは、2以上の物性を測定可能なものであってもよく、例えば温度センサーや湿度センサーは、温度及び湿度の両者を測定可能なセンサーであってもよい。
温度センサーを用いる場合、例えば、該センサーをセンサーポケットに配置して着用中におけるおむつの温度をモニターし、着用者の排尿により生じる第1不織布12側の温度上昇を排尿があったと判定することにより、着用者の排尿を検知することができ、おむつ1の交換時期の判断等に役立てることができる。湿度センサーを用いる場合、例えば、該センサーをセンサーポケットに配置して着用中のおむつの湿度をモニターし、着用者の排尿により生じる湿度上昇を排尿があったと判定することにより、着用者の排尿を検知することができる。湿度センサーを用いる場合、防漏シート3及びそれより外側の第1不織布12等は、透湿性を有することが好ましい。
【0025】
センサーポケット15は、センサー8の全体を内部に配置可能な大きさを有していることが好ましい。センサー8の全体を外部に露出しないように収容できるようにすることで、センサー8の本体を着用者自身が直接触れることによる吸収性物品からのセンサー脱落を防ぐことができる。
センサーポケット15は、その最大深さL5が、好ましくは40mm以上、より好ましくは45mm以上であり、また好ましくは100mm以下、より好ましくは80mm以下であり、また好ましくは40mm以上100mm以下、より好ましくは45mm以上80mm以下である。
【0026】
本実施形態のおむつ1においては、第2不織布13がその全域に伸縮性を有しており、重複領域14における、第1不織布12及び第2不織布13の少なくとも一方である第2不織布13が、センサー8の大きさ以上の面積において伸縮性を有している。
斯かる構成により、センサー8が配された部位の、着用者の様々な姿勢や動きに対する追従性が付与され、装着されるべきセンサー8の装着位置からのずれを防ぐことができる。
【0027】
第2不織布13に代えて第1不織布12が、センサー8の大きさ以上の面積に伸縮性を有する場合も同様の効果が奏されるが、センサーポケット15よりも外側に位置する第2不織布13が伸縮性を有する方が、センサー8のポケット内部への挿入しやすさの点から好ましい。
【0028】
本実施形態のおむつ1の重複領域14においては、
図3及び
図5に示すように、センサーポケット15の周囲の三方向に位置する固定領域F1~F3のうち、少なくともセンサーポケット15を挟んでその両側に位置する固定領域F1,F2は、重複領域14の端部以外にも延在している。これにより、センサー8を、より範囲が狭められた特定の位置に配置されるようになるため、センサー8による吸収性物品の物性の計測制度や吸収性物品の変化の検出精度が向上する。
同様の観点から、重複領域14の平面視において、センサーポケット15の面積が重複領域14の面積の半分以下、すなわち50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。また、センサーポケット15の面積が重複領域14の面積の5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。なお、
図3に示す重複領域14は、股下部Cにおける外装体7の横方向Yの全域に連続して存在しているが、股下部Cの横方向Yの両端に達していなくてもよい。
【0029】
センサー8は、排尿による変化の情報を的確に入手可能とする観点から、おむつの排尿部位と重なる領域に取り付けることが好ましい。おむつの排尿部位とは、内部に吸収体4が存する部位である。排尿により生じる温度や湿度等の変化のより的確に検出等の観点から、センサー8は、股下部Cにおける、内部に吸収体4が存する部位に取り付けることが好ましく、また股下部Cにおける横方向Yの中央領域に取り付けることが好ましい。
パンツ型のおむつ10において、股下部Cは、左右のレッグ開口部間に位置する領域であり、パンツ型以外のおむつにおいて、股下部Cは、平面状に拡げた展開状態のおむつを、その縦方向Xの全長を5等分して5領域に分割したときの中央3領域である。
おむつ又は股下部について横方向Yの中央領域Dは、
図12に示すように、股下部Cの横方向Yの長さを3等分するように、おむつを、縦方向Xに延びる平行な2直線で3分割したときの中央の領域Dである(
図12参照)。
【0030】
センサー8を、排尿による変化の情報を的確に入手可能な位置に配する観点から、センサーポケット15は、吸収体4と重なる部位、すなわち上述した排尿部位に形成されていることが好ましい。
【0031】
本実施形態のおむつ1は、
図1及び
図2に示すように、ウエスト開口部17の周縁部に、ウエストギャザー形成用のウエスト弾性部材91が配されており、レッグ開口部18の周縁部にレッグギャザー形成用のレッグ部弾性部材92が配されている。
本実施形態のおむつ1においては、
図6に示すように、防漏シート3と下地シート11との間に、下地シート11と略同形状の中間シート19が配されている。ウエスト弾性部材91及びレッグ部弾性部材92は、下地シート11と中間シート19との間に、両シート11,19間に配された接着剤等により伸長状態で固定されていてもよい。またウエスト弾性部材91及びレッグ部弾性部材92は、中間シート19が存在せずに、下地シート11と第1不織布12又は第2不織布13との間に、両シート間に配された接着剤等により伸長状態で固定されていてもよい。下地シート11及び中間シート19としては、各種公知のシート材が使用可能であるが、不織布であることが好ましく、例えば、第1不織布12及び第2不織布13のうち伸縮性が低い方に用いる非伸縮性不織布と同様のものを用いることができる。
【0032】
次に、本発明の吸収性物品の第2~第4実施形態について説明する。
第2~第4実施形態については、第1実施形態と異なる点について主として説明し、同様の点については、同様の部材に同一の符号を付して説明を省略する。第1実施形態以外の実施形態について特に説明しない点については、好ましい構成を含めて第1実施形態の説明を適宜適用可能である。
【0033】
図7に示すように、第2実施形態のおむつ1Aにおいては、非伸縮性不織布からなる第1不織布12が、背側部Bから股下部Cの一部に掛けて配されており、伸縮性不織布からなる第2不織布13が、腹側部Aから股下部Cの一部に掛けて配されている。そして、股下部Cにおいて、第2不織布13の背側部B側の端部領域が、第1不織布12における腹側部A側の端部領域12aの非肌対向面側と重なっている。この第1不織布12と第2不織布13との重なり部分が重複領域14である。
そして、その重複領域14の横方向Yの中央部に、センサーポケット15が形成されている。センサーポケット15及びその周囲の三方向を囲む固定領域F1~F3の構成や形状は、ポケットの挿入口15aの位置とセンサーポケット15の挿入方向の奥に位置する固定領域F3の位置が縦方向Xにおいて上下反転している。すなわち、
図7に示すように、重複領域14の平面視において、センサーポケット15の中央部から見て、左右二方向及び腹側部A方向の三方向に、第1不織布12と第2不織布13との間が接合された固定領域F1~F3を有し、残りの一方向であるセンサーポケット15の中央部から見て、背側部B方向に、センサーの挿入口15aが形成されている。斯かる点以外は、第1実施形態におけるものと同様である。
【0034】
第2実施形態のおむつ1Aの重複領域14においても、おむつの厚み方向においてセンサーポケット15よりも外側に位置する第2不織布13の伸縮性が、センサーポケット15よりも内側に位置する第1不織布12よりも伸縮性が高くなっている。
第2実施形態のおむつ1Aにおいても、第1実施形態のおむつ1と同様に、センサーポケット15を有し、そのセンサーポケット15が形成された領域の全域において、第1不織布12と第2不織布13の伸縮性が異なることによって、第1実施形態のおむつ1と同様の効果が奏される。
【0035】
図8及び
図9に示すように、第3実施形態のおむつ1Bにおいては、非伸縮性不織布からなる第1不織布12が、横方向Yの一方の側(
図9中左側)に配されており、伸縮性不織布からなる第2不織布13が、横方向Yの他方の側(
図9中右側)に配されている。そして、第2不織布13の横方向中央側の端部領域が、第1不織布12の横方向中央側の端部領域の非肌対向面側と重なっており、この第1不織布12と第2不織布13との重なり部分が重複領域14となっている。
そして、股下部Cにおける腹側部A寄りの部位に、センサーポケット15が形成されている。
図9に示すように、センサーポケット15の周囲の三方向を囲む固定領域F1~F3として、センサーポケット15を挟んでその上下に位置する固定領域F1,F2と、重複領域14の横方向Yの一端部に形成された固定領域F3とを有しており、重複領域14の横方向Yの他端部に、センサーの挿入口15aが形成されている。
センサー8をより挿入しやすくするとともに、後述するようにセンサー8を加圧した状態で該センサー8をより安定して保持する観点から、第3実施形態のおむつ1Bにおいて第2不織布13として用いられる伸縮性不織布も、少なくともセンサーの挿入口15aの延在方向と平行な方向である縦方向Xに伸縮性を有していることが好ましい。
第3実施形態のおむつ1Bの重複領域14においても、おむつの厚み方向においてセンサーポケット15よりも外側に位置する第2不織布13の伸縮性が、センサーポケット15よりも内側に位置する第1不織布12よりも伸縮性が高くなっている。
【0036】
第3実施形態のおむつ1Bにおいても、第1実施形態のおむつ1と同様に、センサーポケット15を有し、そのセンサーポケット15が形成された領域の全域において、第1不織布12と第2不織布13との伸縮性が異なることによって、第1実施形態のおむつ1と同様の効果が奏される。なお、
図8及び
図9に示す例においては、第1不織布12及び第2不織布13が、それぞれ、腹側部A、股下部C及び背側部Bに連続して配されており、重複領域14も、腹側部A、股下部C及び背側部Bに連続して形成されているが、これに代えて、重複領域14を形成する第1不織布12及び第2不織布13が股下部Cのみに配されていてもよい。
【0037】
第1実施形態のおむつ1は、
図3に示すように、センサーポケット15におけるセンサーの挿入口15aが、重複領域14における腹側部A側に形成されているため、センサー8の挿入方向が着用者の上側から下側に向かう方向となり、着用者やセンサーにより温度や湿度等のおむつの特性を計測する者等が、センサー8を挿入するのが容易であるとともに、立位や座位等の多く状態において、センサー8が重力により落下しにくくなる。
【0038】
第2実施形態のおむつ1Aは、
図7に示すように、センサーポケット15におけるセンサーの挿入口15aが、重複領域14における背側部B側に形成されているため、着用者が、センサーポケット15に配置されたセンサー8を視覚的に意識しにくい。
そのため、センサー8の存在により、着用者がストレスを受けることを抑制することができたり、センサーによる排尿等のモニター中に、着用者がセンサー8を取り外してしまったりすること等を抑制することもできる。
【0039】
第3実施形態のおむつ1Bは、
図8及び
図9に示すように、センサーポケット15におけるセンサーの挿入口15aが、重複領域14における横方向Yの一端側に形成されているため、着用者が横になっている状態、特に横臥位又は側臥位の状態の場合等に、センサー8のセンサーポケット15への出し入れが容易である。
【0040】
上述した第1乃至第3実施形態においては、重複領域14において、おむつの厚み方向の外側に配される第2不織布13として伸縮性不織布を用いることによって、重複領域14におけるセンサーポケット15が形成された領域の全域において、第1不織布12と第2不織布13の伸縮性が相互に異なるようにしたが、これに代えて、
図10及び
図11に示す第4実施形態のおむつ1Cにおけるように、非伸縮性不織布からなる第2不織布13の、センサーポケット15のセンサー8の挿入口15a側の領域15bに、センサー8の長さ以上の長さの弾性部材15dを配して、重複領域14におけるセンサーポケット15が形成された領域の一部に、第1不織布12と第2不織布13の伸縮性が異なる領域とすることもできる。
斯かる構成を採用したおむつにおいても、第1実施形態のおむつ1と同様に、センサーポケット15を有し、センサー8が排泄物に直接触れることがないため、衛生面や故障防止等の観点から、センサー8の再利用が容易である。また、センサーポケット15が形成された領域の一部において、第1不織布12と第2不織布13の伸縮性が異なるため、センサーポケット15に挿入されたセンサー8が、第1不織布12と第2不織布13との間で安定に保持される。またセンサーポケット15を、センサー8により計測する物性等に応じた好ましい部位に設けることによって、センサー8を適切な位置に容易に配置することもできる。
図10には、重複領域14の腹側部A側の端部にセンサーの挿入口15aを有する例を示したが、第2実施形態や第3実施形態におけるように、センサーポケット15が、重複領域14の背側部B側の端部やおむつ横方向の端部にセンサーの挿入口15aを有する形態とすることもできる。
【0041】
弾性部材15dは、センサーの挿入口15aが形成される重複領域14の縁部に沿う長さL2が、センサーポケット15内に配されるセンサー8の同方向の長さL8に対して、好ましくは100%超であり、より好ましくは105%以上であり、更に好ましくは110%以上である。上限は特になく、おむつの全幅又は全長と同じであってもよい。
また弾性部材15dは、センサーの挿入口15aが形成される重複領域14の縁部に沿う長さL2が、挿入口15aの同方向の長さL3の、好ましくは100%以上、より好ましくは105%以上であり、また好ましくは150%以下、より好ましくは140%以下であり、また好ましくは100%以上150%以下、より好ましくは105%以上140%以下である。
弾性部材15dは、おむつの厚み方向においてセンサーポケット15より内側に位置する第1不織布12に配されていてもよいが、センサーポケット15より外側の第2不織布13に配されていることが、センサー8のポケット内部への挿入しやすさの点から好ましい。
弾性部材15dとしては、例えば、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等の弾性高分子を、糸状(糸ゴム等)、紐状(平ゴム等)、フィルム状に形成したもの等を好ましく用いることができる。弾性部材15dの断面形状は、矩形、正方形、円形、楕円形、多角形状等であってもよい。
【0042】
センサー8を、適切な部位に配して、排尿による変化の情報を的確に入手可能とする観点から、センサーポケット15内に、センサー8を固定するセンサー固定材料を配することも好ましい。例えば、第1不織布12におけるセンサー8と対向させる面に、粘着剤を塗工して形成した粘着層や、センサー8に機械的面ファスナーの雄部材及び雌部材のうちの一方を固定し、他方を、第1不織布12におけるセンサー8と対向させる面に設けることもできる。
【0043】
上述した各実施形態のおむつにおけるセンサーポケット15に、センサー8を配置し、該センサー8を用いて、着用者の排泄に伴い該おむつに生じる変化、例えば排尿に伴う湿度の変化、温度の変化、臭いの発生、インピーダンスの変化を検出することは、本発明の変化検出方法の好ましい実施形態の一例であり、各実施形態のおむつに関する上述した好ましい構成や説明は、本発明の変化検出方法に適宜適用可能である。
【0044】
本発明の吸収性物品は、
図12に示すように、吸収性物品の最外面の構成材として、第1不織布12の一部に第2不織布13の全体を重ねて配置した重複領域14を有するものであってもよい。
図12に示す第4実施形態の使い捨ておむつ1Dにおいては、重複領域14の三方向の端部のみに、第1不織布12と第2不織布13とが接合された固定領域F1~F3を有し、残りの一方向の端部に、センサーの挿入口15aが設けられている。このような場合も、第2不織布13として伸縮性不織布を用いたり、挿入口15a側の領域に弾性部材を配したりすることによって、本発明の効果が奏されるおむつとすることができる。
図12には、重複領域14の腹側部A側の端部にセンサーの挿入口15aを有する例を示したが、第2実施形態や第3実施形態におけるように、センサーポケット15が、重複領域14の背側部B側の端部やおむつ横方向の端部にセンサーの挿入口15aを有する形態とすることもできる。
【0045】
また本発明の吸収性物品は、
図12に示すおむつのように、色の変化により排尿を知らせるインジケータ9を備えていてもよい。好ましくは、インジケータ9は、着用者の前後方向に対応する該吸収性物品の縦方向Xに延びており、センサーポケット15が、インジケータ9と重なる部位に形成されてことが好ましい。インジケータ9としては、尿と接触することにより色が変化する各種公知の組成物を、吸収体4と防漏シート3との間に配することが好ましい。
インジケータ9は、通常、尿と接触することにより色が変化するものであるため、尿と接触しやすい部位、例えば、幅方向の中央領域Dに配されている。したがって、センサーポケット15をインジケータ9と重なる部位に設けることにより、排尿による変化を検出するのに適切な部位に、センサー8を配置することが容易となる。
【0046】
本発明の吸収性物品における重複領域14における第2不織布13には、センサーポケット15の位置を示す表示を設けることも好ましい。当該表示は、文字、図形、記号又はこれらの組み合わせであってもよく、設ける方法は、好ましくは印刷であるが、特に制限されるものではない。
【0047】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
例えば、センサー8は、温度又は湿度等の計測機能及び計測したデータの記録機能を有するものであってもよいし、温度又は湿度等の計測機能及び通信機能を有し、計測した温度等のデータを、Wi-Fi(登録商標)等の無線で外部装置に送信し、その外部装置でデータの記録や該データの分析をするものであってもよい。外部装置としては、必要なアプリやプログラムがインストールされたスマートフォン等の携帯端末や専用端末、デスクトップ又はラップトップのパソコン等が挙げられる。
センサー8の形状は、適宜決定可能であり、例えば、平面視形状は、円形のものに代えて、楕円形、三角形、四角形等の多角形、トランプのハート形等とすることもできる。またセンサー8は、平面視したときの直径又は円相当径よりも高さが小さい扁平な形状であることが好ましいが、非扁平な形状のものであってもよい。
【0048】
上述した本発明の実施形態に関し、更に以下の吸収性物品又は変化検出方法を開示する。
<1>
肌対向面側に位置する表面シート、非肌対向面側に位置する外側シート、及び該表面シートと該外側シートとの間に配された吸収体を備える吸収性物品であって、
前記外側シートは、吸収性物品の最外面の構成材として、第1不織布と、第1不織布の非肌対向面側に一部又は全部を重ねた状態で配された第2不織布とを有し、
第1不織布と第2不織布とが重なる重複領域の一部に、第1不織布と第2不織布との間が接合されておらず、吸収性物品に生じる変化を検出するためのセンサーを内部に配置可能なセンサーポケットが形成されており、
前記重複領域は、前記センサーポケットの周囲の三方向に、第1不織布と第2不織布とが接合された固定領域を有し、残りの一方向に、前記センサーの挿入口が形成されており、
前記重複領域における前記センサーポケットが形成された領域の少なくとも一部において、第1不織布と第2不織布との伸縮性が相互に異なっている、吸収性物品。
【0049】
<2>
前記センサーポケットは、前記センサーの全体を内部に配置可能な大きさを有している、前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記重複領域における第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方は、前記センサーの大きさ以上の面積において伸縮性を有している、前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記重複領域における、前記センサーポケットが形成された領域の全域において、第2不織布の伸縮性が第1不織布よりも高くなっている、前記<1>~<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5>
前記挿入口は、前記センサーが該挿入口を通じて前記センサーポケットに挿入される方向と直交する方向に延びて開口しており、
前記重複領域における第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方は、前記挿入口の延在方向に伸縮性を有している、前記<1>~<4>の何れか1に記載の吸収性物品。
<6>
第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方が伸縮性不織布であり、
該伸縮性不織布が、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、伸長可能な繊維層に一体化されたものである、前記<1>~<5>の何れか1に記載の吸収性物品。
<7>
第1不織布は非伸縮性不織布であり、第2不織布は伸縮性不織布である、前記<6>に記載の吸収性物品。
<8>
着用時における着用者の前側から後側に向かう方向である縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、
非伸縮性不織布の前記横方向の最大伸度は、50%未満である、前記<7>に記載の吸収性物品。
<9>
前記重複領域における第1不織布及び第2不織布の少なくとも一方は、前記センサーポケットにおける前記挿入口側の部位に、前記センサーの長さ以上の長さの弾性部材を備えている、前記<1>~<8>の何れか1に記載の吸収性物品。
<10>
前記弾性部材は、前記センサーの挿入口が形成される前記重複領域の縁部に沿う長さが、前記センサーポケット内に配される前記センサーの同方向の長さに対して、好ましくは100%超であり、より好ましくは105%以上であり、更に好ましくは110%以上である、前記<9>に記載の吸収性物品。
【0050】
<11>
前記弾性部材は、前記センサーの挿入口が形成される前記重複領域の縁部に沿う長さが、該センサーの挿入口の同方向の長さの、好ましくは100%以上、より好ましくは105%以上であり、また好ましくは150%以下、より好ましくは140%以下である、前記<9>又は<10>に記載の吸収性物品。
<12>
前記弾性部材は、第2不織布に配されている、前記<9>~<11>の何れか1に記載の吸収性物品。
<13>
着用時に着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部とを有しており、
前記センサーポケットにおける前記センサーの挿入口が、前記重複領域における前記腹側部側に形成されている、前記<1>~<12>の何れか1に記載の吸収性物品。
<14>
着用時に着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部とを有しており、
前記重複領域の平面視において、前記三方向は、前記センサーポケットの中央部から見て、左右二方向及び前記背側部方向であり、前記残りの一方向は、該センサーポケットの中央部から見て、前記腹側部方向である、前記<13>に記載の吸収性物品。
<15>
着用時に着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部とを有しており、
第1不織布は、前記腹側部に配された部分と前記股下部に配された部分とを有する一方、前記背側部に配された部分を有しておらず、
第2不織布は、前記背側部に配された部分と前記股下部に配された部分とを有する一方、前記腹側部に配された部分を有していない、前記<13>又は<14>に記載の吸収性物品。
<16>
着用時に着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部とを有しており、
前記センサーポケットにおける前記センサーの挿入部が、前記重複領域における前記背側部側に形成されている、前記<1>~<12>の何れか1に記載の吸収性物品。
<17>
着用時に着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部とを有しており、
前記重複領域の平面視において、前記三方向は、前記センサーポケットの中央部から見て、左右二方向及び前記腹側部方向であり、前記残りの一方向は、該センサーポケットの中央部から見て、前記背側部方向である、前記<16>に記載の吸収性物品。
<18>
着用時における着用者の前側から後側に向かう方向である縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、
第1不織布は、前記横方向の一方の側に配された部分を有する一方、他方の側に配された部分を有しておらず、
第2不織布は、前記横方向の他方の側に配された部分を有する一方、一方の側に配された部分を有しておらず、
第2不織布の前記横方向中央側の端部領域が、第1不織布の前記横方向中央側の端部領域の非肌対向面側と重なっており、この該第1不織布と該第2不織布との重なり部分が前記重複領域となっている、前記<1>~<12>の何れか1に記載の吸収性物品。
<19>
前記重複領域における前記三方向の固定領域は、少なくとも前記センサーポケットを挟んでその両側に位置する固定領域が、該重複領域の端部以外にも延在しており、前記重複領域の平面視において、前記センサーポケットの面積が該重複領域の面積の半分以下である、前記<1>~<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
<20>
前記重複領域の平面視において、前記センサーポケットの面積が該重複領域の面積の50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、また5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい、前記<1>~<19>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0051】
<21>
前記センサーポケットは、その最大深さが、好ましくは40mm以上、より好ましくは45mm以上であり、また好ましくは100mm以下、より好ましくは80mm以下である、前記<1>~<20>の何れか1に記載の吸収性物品。
<22>
着用時に着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び前記腹側部と前記背側部との間に位置する股下部とを有しており、
着用時における着用者の前側から後側に向かう方向である縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、
前記センサーは、前記股下部における、前記吸収性物品内部に前記吸収体が存する部位に取り付けることが好ましく、また該股下部における前記横方向の中央領域に取り付けることが好ましい、前記<1>~<21>の何れか1に記載の吸収性物品。
<23>
前記センサーポケットが、前記吸収体と重なる部位に形成されている、前記<1>~<22>の何れか1に記載の吸収性物品。
<24>
前記吸収性物品は、色の変化により排尿を知らせるインジケータを備えており、該インジケータは、着用者の前後方向に対応する該吸収性物品の縦方向に延びており、前記センサーポケットが、該インジケータと重なる部位に形成されている、前記<1>~<23>の何れか1に記載の吸収性物品。
<25>
前記センサーポケットの内部に、前記センサーを固定するセンサー固定材料が配されている、前記<1>~<24>の何れか1に記載の吸収性物品。
<26>
前記重複領域における第2不織布に、前記センサーポケットの位置を示す表示が設けられている、前記<1>~<25>の何れか1に記載の吸収性物品。
<27>
前記<1>~<26>の何れか1に記載の吸収性物品の前記センサーポケットに前記センサーを配置し、該センサーを用いて、着用者の排泄に伴い前記吸収性物品に生じる変化を検出する、吸収性物品の変化検出方法。
【符号の説明】
【0052】
1,1A~1D おむつ(吸収性物品)
8 センサー
12 第1不織布
13 第2不織布
14 重複領域
15 センサーポケット
2 表面シート
3 防漏シート
4 吸収体
10 外側シート