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特許7503493投稿情報抽出制御装置、投稿情報抽出制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】投稿情報抽出制御装置、投稿情報抽出制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/335 20190101AFI20240613BHJP
【FI】
G06F16/335
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020525726
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(86)【国際出願番号】 JP2019023944
(87)【国際公開番号】W WO2019244849
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-03-24
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2018116210
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 ▲邦▼明
(72)【発明者】
【氏名】国本 陸斗
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 勇志
(72)【発明者】
【氏名】大竹 和夫
【合議体】
【審判長】須田 勝巳
【審判官】大塚 俊範
【審判官】脇岡 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/011496(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ネットワーク上に発信され、文字又は画像の少なくとも一方を含む投稿情報と、前記投稿情報の発信元の位置情報と、を取得すると共に、
取得された前記投稿情報を自然言語解析することで、前記投稿情報の各々から位置を示す文字列情報が含まれる投稿情報を第1の投稿情報として選別し、
前記第1の投稿情報を単語単位に分割し、各単語の品詞の時制に基づいて、前記第1の投稿情報特定の地域内から発信されたものかを判別し、
前記特定の地域内から発信されたものと判別され、かつ、前記特定の地域内に存在する対象物の関連情報が含まれる投稿情報を第2の投稿情報として、前記第1の投稿情報から抽出
前記発信元の位置情報に含まれる前記発信元の緯度経度情報と、前記第2の投稿情報に含まれる前記特定の地域内の位置を示す文字列情報とを照合し、前記第2の投稿情報が示す位置の信憑性を判断する、
投稿情報抽出制御装置。
【請求項2】
前記関連情報が、前記対象物に対する行動を示す行動情報と、前記対象物の嗜好を示す評価情報とを含み、少なくとも前記評価情報には、前記第2の投稿情報の文字列情報から、感応表現に基づく段階的評価が設定される請求項1に記載の投稿情報抽出制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記対象物に対する前記関連情報の疎密度合いを示すソーシャルヒートマップを作成する、請求項1または2に記載の投稿情報抽出制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記ソーシャルヒートマップを利用する利用者を登録するに際し、当該利用者に、予め定めた設問に対する回答を要求し、前記回答を分析して、前記利用者を複数のカテゴリーに分類し、
分類によって利用者に割り当てられたカテゴリーに応じたソーシャルヒートマップを作成する、請求項3に記載の投稿情報抽出制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記投稿情報に画像が含まれる場合に、物体検出及び画像キャプションの少なくとも一方を含む画像解析によって、当該画像を説明する文字列情報を生成する、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の投稿情報抽出制御装置。
【請求項6】
コンピュータを、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の投稿情報抽出制御装置として動作させる、投稿情報抽出制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、SNS(social networking service)に投稿された投稿情報(以下、コメントという場合がある。)から、特定の投稿情報を抽出するための投稿情報抽出制御装置、投稿情報抽出制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
SNSに投稿されたコメントを分析(クチコミ分析・SNSアカウント分析・投稿管理・属性分析・クリック数分析・拡散分析・競合分析)することは昨今よく行なわれている。
【0003】
特開2014-142738号公報には、SNSに投稿された多くの情報を十分に活用して、より利便性を向上させた投稿情報を活用して、より利便性の高いサービスを提供することが記載されている。
【0004】
特開2014-142738号公報では、第一の投稿情報に基づく第一のグループと、第二の投稿情報に基づく第二のグループとにおいて、第一の投稿情報から抽出した語句と、第二の投稿情報から抽出した語句との比較結果に基づき、該第一の投稿情報に特有の第一のキーワードと、該第二の投稿情報に特有の第二のキーワードとを特定し、第一のグループに第一のキーワードを対応付けるとともに、第二のグループに第二のキーワードを対応付けて、管理している。
【0005】
また、WO2015/052785には、インフラ設備に関連する情報を抽出するための情報抽出サーバと、過去事例DBと、時空間情報DBと、管理者用端末と、が通信可能であり、情報抽出サーバで抽出された情報を表示するためのクライアント端末と通信可能なシステムにおいて、クライアント端末は、受信したインフラ設備状態情報を地図情報を用いて地図上に所定のアイコンで所定の位置に表示することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のコメントの活用は、コメントの傾向を把握し、マーケティング等に利用するのみであった。そのため、位置情報とコメントの整合性など、コメントの質の評価はできていなかった。
【0007】
すなわち、SNSに投稿された全てのコメントが対象となっていた。このため、中にはコメントの主旨と、その主旨を特定する地域(場所)とが紐付いていないもの、特定の地域(例えば、所謂「まちづくり」のために定めた領域や空間)を評価できていないものも多く含まれていた。また、特定の地域を評価する上での基準が定まっていなかった。
【0008】
本開示は、SNSに投稿された不特定多数投稿情報群から、予め定めたテーマに対して信憑性の高い投稿情報を抽出することで、利用者に有用な情報を取得することができる投稿情報抽出制御装置、投稿情報抽出制御プログラムを得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の投稿情報抽出制御装置は、ネットワーク上に発信され、文字からなる多数投稿情報群を自然言語解析することで、当該不特定多数投稿情報群の各々から位置を示す文字列情報が含まれる第1の投稿情報を選別する選別手段と、前記選別手段で選別された第1の投稿情報を対象として、前記文字列情報に基づいて、特定の地域内からの発信と認定され、かつ、前記特定の地域内に存在する対象物の関連情報が含まれる第2の投稿情報を抽出する抽出手段と、を有している。
【0010】
本開示によれば、ネットワーク上に発信され、文字からなる多数投稿情報群から、信憑性の高い情報を抽出する。
【0011】
すなわち、選別手段では、不特定多数投稿情報群を自然言語解析する。これにより当該不特定多数投稿情報群から位置を特定する文字列情報が含まれる第1の投稿情報を選別する。
【0012】
抽出手段では、選別手段で選別された第1の投稿情報を対象として、第1の投稿情報に含まれる文字列情報に基づいて、第2の投稿情報を抽出する。第2の投稿情報は、特定の地域内から発信され、かつ、特定の地域内に存在する対象物の関連情報が含まれる情報である。
【0013】
抽出された第2の投稿情報は、特定の地域内から発信され、かつ、当該特定の地域内に存在する対象物に関連する関連情報を含み、不特定多数投稿情報群の中でも信憑性の高い投稿情報ということができる。
【0014】
本開示において、前記抽出手段で抽出した前記第2の投稿情報に、発信元の緯度経度情報が含まれている場合は、当該緯度経度情報と、前記特定の地域内の位置を示す前記文字列情報とを照合し、前記文字列情報が示す位置の信憑性を判断することを特徴としている。
【0015】
ネットワーク上に発信された不特定多数投稿情報群には、発信元の緯度経度情報が含まれている場合がある。例えば、通信端末にGPS(Global Positioning System)機能が備わっており、当該GPS機能が動作状態であれば、自動的に投稿情報の発信元の位置情報(緯度経度情報)が埋め込まれる場合がある。
【0016】
抽出手段で抽出した第2の投稿情報に発信元の緯度経度情報が含まれている場合は、当該緯度経度情報と、特定の地域内の位置を示す文字列情報とを照合し、文字列情報が示す位置の信憑性を判断する。
【0017】
これにより、第2の投稿情報を文字列情報のみで判断した位置よりも信憑性の高いものとすることができる。
【0018】
本開示において、前記抽出手段は、前記第1の投稿情報を単語単位に分割し、各単語の品詞に基づいて、少なくとも前記特定の地域内から発信したものと認定することを特徴としている。
【0019】
分割された単語の品詞に基づき、投稿情報の発信者が特定の地域内で発信しているのか(例えば、現在進行形の動詞等の品詞)、既に特定の地域外に移動した後に発信しているか(過去形の動詞等の品詞)を判別することができる。
【0020】
本開示において、前記関連情報が、前記対象物に対する行動を示す行動情報と、前記対象物の嗜好を示す評価情報とを含み、少なくとも前記評価情報には、前記第2の投稿情報の文字列情報から、感応表現に基づく段階的評価が設定されることを特徴としている。
【0021】
特に、対象物に対する行動情報が、例えば、「ある場所に行った」という情報である場合、この「ある場所に行った」という行動情報数の数が、興味を持つか否かの判断材料とすることができる。
【0022】
また、対象物に対する評価情報では、例えば、対象物が食べ物であり、「非常に美味い、美味い、普通、不味い、非常に不味い」等の段階的評価をしていけば、当該対象物を食したいか否かの判断材料とすることができる。
【0023】
本開示において、前記対象物に対する前記関連情報の疎密度合いを含む案内情報を報知する報知手段をさらに有している。
【0024】
報知手段により、前記対象物に対する前記関連情報の疎密度合いを含む案内情報を報知することで、利用者の利便性を高めることができる。
【0025】
本開示において、前記対象物と、当該対象物の前記関連情報とを紐付けて、予め定めた複数のカテゴリーに仕分ける仕分け手段と、前記報知手段によって報知される前記案内情報を利用する利用者を登録するに際し、当該利用者に、予め定めた設問に対する回答を要求し、前記回答を分析して、前記利用者を複数のカテゴリーに分類する分類手段とをさらに有し、前記報知手段は、分類によって利用者に割り当てられたカテゴリーに応じた案内情報を報知することを特徴としている。
【0026】
仕分け手段では、対象物と、当該対象物の関連情報とを紐付けて、予め定めた複数のカテゴリーに仕分ける。
【0027】
分類手段では、報知手段によって報知される案内情報を利用する利用者を登録するに際し、当該利用者に、予め定めた設問に対する回答を要求し、回答を因子分析して、利用者を複数のカテゴリーに分類する。
【0028】
これにより、報知手段では、分類によって利用者に割り当てられたカテゴリーに応じた案内情報を報知することができる。カテゴリーは、利用者のライフスタイルやパーソナリティが分類されるため、報知される案内情報は利用者に特化され、カテゴリー分類しないで報知するよりも、有用な情報となり得る。
本開示において、前記不特定多数投稿情報群に画像が含まれる場合に、物体検出及び画像キャプションの少なくとも一方を含む画像解析によって、当該画像を説明する文字列情報を生成することを特徴としている。
投稿情報には、テキストのみ、画像のみ、テキストと画像の組み合わせ等がある。このとき、画像解析して、画像を説明する文字列情報を生成することで、テキストと同等に扱うことができる。
【0029】
本開示に係る投稿情報抽出制御プログラムは、コンピュータを、投稿情報抽出制御装置として動作させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
以上説明した如く本開示では、SNSに投稿された不特定多数投稿情報群から、予め定めたテーマに対して信憑性の高い投稿情報を抽出することで、利用者に有用な情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】本実施の形態に係る投稿情報抽出制御装置を主体としたシステム全体の概略図である。
図1B】本実施の形態に係る投稿情報抽出制御装置の機能を説明するブロック図である。
図2】本実施の形態に係る投稿情報抽出制御装置の各部を実行するための機能を、制御内容で分類し、かつそれぞれのブロック化した機能ブロック図である。
図3】本実施の形態に係る投稿情報抽出制御装置のメインルーチンを示す制御フローチャートである。
図4】本実施の形態に係る投稿情報抽出制御装置の登録者管理機能で実行する登録者管理制御ルーチンを示すフローチャートである。
図5】本実施の形態に係る投稿情報抽出制御装置のコメント解析機能で実行するコメント解析制御ルーチンを示すフローチャートである。
図6】本実施の形態に係る投稿情報抽出制御装置の情報提供機能で実行する情報処理制御ルーチンを示すフローチャートである。
図7】アンケート情報記憶部に記憶されるアンケート情報の内容を顕現化した正面図である。
図8A】ユーザが所持する携帯端末の正面図である。
図8B】ユーザが所持する携帯端末に順次表示されるアンケート項目画面の正面図である。
図9】本実施の形態の第1実施例に係る因子分析の第1段階であり、ユーザが回答するアンケートの選択肢の内容を示す図表である。
図10】本実施の形態の第1実施例に係る因子分析の第2段階であり、最終共通点の少ない項目を除外した内容を示す図表である。
図11】本実施の形態の第1実施例に係る因子分析の第3段階であり、因子種毎の因子負荷量の演算結果を示す図表である。
図12】本実施の形態の第1実施例に係る因子分析の第4段階であり、アンケート実施者に通知する因子種と、当該因子種の名前との相関図表である。
図13A】本実施の形態の第2の実施例に係り、膨大なSNSコメントからテキストマイニング処理により、位置情報と関連情報(評価情報と行動情報)とが文字列に存在するコメントを抽出して一覧とした図表である。
図13B図13(A)の抽出コメントに付与する評価タグの評価基準を示す図表である。
図14A】本実施の形態の第3の実施例に係り、ユーザが所持する携帯端末のモニタに表示される地図画像の正面図である。
図14B】ユーザが所持する携帯端末のモニタに表示される地図画像にソーシャルヒートマップを重ねて表示したときの正面図である。
図15】本実施の形態の変形例に係るコメント抽出制御装置の機能を説明するブロック図である。
図16】本実施の形態の変形例に係るコメント抽出制御装置のメインルーチンを示す制御フローチャートである。
図17図16のステップ122で実行される画像解析処理制御ルーチンである。
図18A】画像解析の内、画像キャプションの一例を示す画像の正面図である。
図18B】基画像から特異画像を抽出した状態を示す正面図である。
図18C】抽出した特異画像に基づいて生成された画像解析テキストを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1Aは、本実施の形態に係る投稿情報抽出制御装置10を主体とした、ネットワークシステムの概略図である。なお、本開示の投稿情報は、SNSで投稿されたコメント(テキスト情報及び画像情報の何れか一方)が対象である。従って、投稿情報とコメントとは同義として取り扱うものとする。
【0033】
ネットワーク12(例えば、インターネット)には、SNS投稿コメントサーバー14が接続されている。SNS投稿コメントサーバー14には、無線通信装置16を介して、複数の携帯端末18(例えば、スマートホン等)から投稿されるコメントが蓄積されるようになっている。なお、無線通信装置16を介さず、ネットワーク12に有線接続されたPC等から投稿されるコメントを排除するものではないが、本実施の形態では、特定の地域(場所)に出向き、その特定の地域から予め定めたテーマに沿って発信するコメントを対象とするため、携帯端末18からの発信を主体とする。
【0034】
ネットワーク12には、投稿情報抽出制御装置10が接続されている。
【0035】
投稿情報抽出制御装置10は、マイクロコンピュータ20を備えている。マイクロコンピュータ20は、CPU20A、RAM20B、ROM20C、入出力ポート(I/O)20D、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス20Eを有している。
【0036】
I/O20Dには、記憶装置22及び通信I/F24が接続されている。
【0037】
記憶装置22は、ハードディスク、並びにUSBメモリ及びSDメモリに代表されるフラッシュメモリ等であり、RAM20B及びROM20Cの補助的な記憶スペースとしても利用される場合がある。RAM20B、ROM20C、及び記憶装置22の記録領域は、投稿情報抽出制御装置10において、コメント抽出制御プログラム等が予め記憶され、CPU20Aの処理状況に応じて適宜読み出されるようになっている。
【0038】
図1Bは、投稿情報抽出制御装置10において、コメント抽出制御プログラムが実行されたときの動作を機能別に分類したブロック図である。
【0039】
すなわち、投稿情報抽出制御装置10は、登録者管理機能26、コメント解析機能28、及び情報提供機能30として動作する。
【0040】
登録者管理機能26では、主として、利用者(ユーザ)の登録受け付け、登録の際に実行されるアンケート調査(図7図8図9参照)の実行、登録したユーザのカテゴリー分類(図10図11図12参照)、並びに、分類したカテゴリーの学習等が実行される。
【0041】
コメント解析機能28では、主として、SNS投稿コメントサーバー14から取得したコメントのテキストマイニング、テキストマイニングにより特定された投稿位置及びその信憑性の判断、テーマに沿った対象物の評価等(図13参照)が実行される。対象物とは、飲食店、物品店、景勝地、及び観光スポット等が含まれる。対象物の評価とは、「美味い」、「不味い」、「高い」、「安い」、「綺麗」、「汚い」等、ユーザが感じた形容(総称して、感応表現という)を指す。なお、対象物に対して、「行った」、「見た」等の行動情報を含ませてもよく、評価情報と行動情報とを総称して、関連情報という。
【0042】
情報提供機能30では、コメントを分析した結果に基づいて生成し、ユーザへ提供するソーシャルヒートマップ(図14参照)の編集、及びユーザのカテゴリー管理等が実行される。ソーシャルヒートマップとは、通常表示されるマップ画像に重ねて、濃度や色が異なる領域を表示し、ユーザのカテゴリーに適合した情報が多い場所を強調したマップである。
【0043】
(投稿情報抽出制御装置10の詳細)
【0044】
図2は、投稿情報抽出制御装置10において、登録者管理機能26、コメント解析機能28、及び情報提供機能30が実行されるときの各処理を機能別にブロック化した機能ブロック図である。なお、各ブロックは、各処理の顕現化を目的とするものであり、投稿情報抽出制御装置10のハード構成を限定するものではない。従って、一部又は全部の処理がコメント抽出制御プログラムに基づく、所謂ソフトウェアでの処理で実行される場合がある。
【0045】
「登録者管理機能26」
【0046】
図2に示される如く、ネットワーク12には、登録処理部32が接続されており、ユーザが所持する携帯端末18からの、新規登録及びアンケート回答情報を受け付ける。
【0047】
登録処理部32は、送信部34及びアンケート解析部36に接続されている。
【0048】
ここで、登録処理部32が受け付けた情報が新規登録の場合は、送信部34に対して、アンケート情報を送信するように指示する。
【0049】
送信部34には、アンケート情報記憶部38が接続されている。アンケート情報記憶部38には、例えば、図7に示される如く、アンケート情報が記憶されている。
【0050】
送信部34は、登録処理部32から指示を受けると、アンケート情報記憶部38からアンケート情報を読み出して、登録を希望するユーザの携帯端末18へ送信する。なお、送信部34では、アンケート情報の送信の際、ユーザに対して、アンケートの回答を要求すると共に、初期投稿コメントの発信を要求する。
【0051】
アンケートは、ユーザを登録する際のカテゴリー(例えば、図12に示す、因子分析で分類した各因子の名前に相当)分類に必要である。
【0052】
また、初期投稿コメントは、少なくともユーザに対して、現在位置と、現在位置における対象物に対する評価とが紐付けされているコメントを増やすために必要である。また、現在位置と評価とが紐付けされているコメントが必要であることを、ユーザに周知させる目的にもなり得る。
【0053】
一方、登録処理部32が受け付けた情報がアンケート回答情報の場合は、アンケート解析部36に対して、アンケートの解析を指示する。アンケート解析部36は、登録者カテゴリー分類部40に接続されている。
【0054】
登録者カテゴリー分類部40では、分類されたカテゴリー(因子種)を、送信部34を介して、登録を要求したユーザへ通知すると共に、登録者の登録情報と分類された因子種とを関連付けて、登録者データベース42へ登録する。
【0055】
登録者データベース42は、AI学習処理部44に接続されている。AI学習処理部44は、後述するSNSに投稿されたコメントの投稿者及びコメントの信憑性に基づき付き、登録者の嗜好の変化を監視して、登録者データベース42に登録された登録者のカテゴリー(因子種)を編集(例として、変更、追加、削除等)するようになっている。
【0056】
「コメント解析機能28」
【0057】
図2に示される如く、コメント解析機能28には、投稿コメント取得部46が設けられ、ネットワーク12に投稿されたSNSの投稿をランダムに取得する。すなわち、ここでのコメントの取得は、コメントの発信位置や信憑性等は考慮しない。
【0058】
投稿コメント取得部46は、投稿者特定部48、テキストマイニング処理部50、及び緯度経度情報抽出部52に接続されている。
【0059】
投稿者特定部48では、コメントの発信元のアドレス等から投稿者を特定する。特定した投稿者情報は、登録者管理機能26のAI学習処理部44へ送出されることで、投稿者と登録したユーザとの照合を行う。
【0060】
テキストマイニング処理部50は、投稿されたコメント(すなわち文書データ)から、文書を単語(例えば名詞、動詞、形容詞等)に分割するように機械学習し、有益な情報を取り出す。このとき、自然言語を大量に集めたコーパス51を、機械学習の学習データとして利用することができる。
【0061】
テキストマイニング処理部50は、投稿位置特定部54及び関連情報特定部56に接続されている。
【0062】
投稿位置特定部54では、テキストマイニング処理で解釈された文字列の中から、投稿位置を特定する文字列を解析する。そして、投稿位置を特定する文字列が存在した場合には、紐付け部58へ送出する。言い換えれば、投稿位置が特定されないコメントは、この時点で排除される。
【0063】
一方、関連情報特定部56では、テキストマイニング処理で解釈された文字列の中から、関連情報(すなわち行動に関する情報及び評価に関する情報)を特定する。特定した関連情報は、関連情報評価部60へ送出され、評価点数が付与される。一例として、図13Bに示される如く、5段階(「○○」「○」、「△」、「×」、及び「××」)の評価タグ(点数)を設定し、それぞれの関連情報を付与する。
【0064】
評価タグが付与された関連情報は、紐付け部58へ送出され、前記投稿位置特定部54から送出された投稿位置情報と紐付けされる(抽出コメント)。
【0065】
抽出コメントは、信憑性判断部62へ送出される。
【0066】
ここで、緯度経度情報抽出部52で抽出される緯度経度情報は、ユーザが所持する携帯端末18のGPS機能が起動しているときに取得可能な情報である。緯度経度情報により、携帯端末18の位置(すなわち、ユーザの現在位置)を精度良く特定することができる。
【0067】
緯度経度情報抽出部52で緯度経度情報が抽出されると、当該緯度経度情報は、信憑性判断部62へ送出される。
【0068】
信憑性判断部62では、緯度経度情報抽出部52から緯度経度情報を受けていれば、抽出コメントの文字列である投稿位置情報と照合する。これにより抽出コメントの信憑性を判断し、信憑性が高い抽出コメントを、コメントデータベース64へ格納する。
【0069】
緯度経度情報抽出部52から緯度経度情報を受けていない場合は、照合を行うことなく、紐付け部58から受けた抽出コメントをコメントデータベース64へ格納する。
【0070】
なお、信憑性判断部62での判断結果は、抽出コメントの投稿者と共に、登録者管理機能26のAI学習処理部44へ送出される。そして、登録されたユーザが投稿者の場合に、当該ユーザの投稿頻度及び信憑性を関連付けて学習し、当該登録されたユーザのカテゴリー(因子種)の編集の要否を判断する。
【0071】
「情報提供機能30」
【0072】
情報提供機能30では、抽出コメントに基づいて生成したソーシャルヒートマップをユーザ(登録者)に提供することが目的である。
【0073】
図2に示される如く、ネットワーク12には、認証部66、表示地図情報取込部68、及びソーシャルヒートマップデータ送信部70が接続されている。
【0074】
ユーザが、携帯端末18を操作して、ソーシャルヒートマップを要求すると、当該要求は認証部66で受け付けられる。認証部66では、要求項目に含まれる識別情報等に基づき、登録者データベース42を検索して、ユーザが登録されているか否かを認証する。
【0075】
認証部66は、カテゴリー特定部72及び表示地図情報取込部68に接続されている。
【0076】
カテゴリー特定部72では、登録者データベース42にアクセスして、ソーシャルヒートマップを要求してきたユーザ(登録者)のカテゴリーを特定し、コメントデータ読出部74へ送出する。
【0077】
また、表示地図情報取込部68は、ユーザが所持している携帯端末18にアクセスして、現在表示している地図情報を取り込み、コメントデータ読出部74へ送出する。
【0078】
コメントデータ読出部74では、コメントデータベース64から、ユーザの携帯端末18から取り込んだ地図内を位置情報としているコメントデータを読み出し、マッピング処理部76へ送出する。
【0079】
マッピング処理部76では、取り込んだ地図上にコメントデータに応じたヒートマップをマッピングし、ソーシャルヒートマップデータ送信部70を介して、ユーザが所持する携帯端末18へ送出する。これにより、図14Bに示される如く、携帯端末18のモニタ18Mには、ソーシャルヒートマップが表示される。
【0080】
以下に本実施の形態の作用を、図3図6のフローチャートに従い説明する。
【0081】
図3は、本実施の形態に係る投稿情報抽出制御装置10のメインルーチンを示す制御フローチャートである。
【0082】
ステップ100では、情報を受け付けたか否かを判断し、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。
【0083】
また、ステップ100で、肯定判定されると、ステップ102へ移行して、受付情報を識別し、ステップ104へ移行する。
【0084】
ステップ104では、受付情報種によって処理を分岐する。すなわち、ステップ104で受付情報種が登録関連と判定された場合は、ステップ106へ移行して、登録者管理制御(図4で詳細に説明)を実行し、このルーチンは終了する。
【0085】
また、ステップ104で受付情報種が投稿コメントと判定された場合は、ステップ108へ移行して、コメント解析制御(図5で詳細に説明)を実行し、このルーチンは終了する。
【0086】
さらに、ステップ104で受付情報種がソーシャルヒートマップ要求と判定された場合は、ステップ110へ移行して、情報提供制御(図6で詳細に説明)を実行し、このルーチンは終了する。
【0087】
(登録者管理制御)
【0088】
図4は、図3のステップ106における登録者管理制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【0089】
ステップ150では、受付情報種を判別する。このステップ150で受付情報種が新規登録と判別された場合は、ステップ152へ移行してアンケート情報記憶部38からアンケート情報を読み出し、ステップ154へ移行する。
【0090】
ステップ154では、アンケート情報及び回答要求を、ユーザが所持する携帯端末18へ送信し、次いで、ステップ156でユーザに対して、初期投稿コメントを要求し、ステップ164へ移行する。なお、初期投稿は必須ではない。
【0091】
一方、ステップ150において、受付情報種がアンケート回答情報と判別された場合は、ステップ158へ移行してアンケートを解析する(例えば、因子分析)。
【0092】
次のステップ160では、登録者のカテゴリー(図12参照)を分類し、次いでステップ162へ移行して、登録者の識別情報とカテゴリーとを関連付けて、登録者データベースへ格納し、ステップ164へ移行する。
【0093】
ステップ164では、登録者から投稿が有ったか否かを判断し、肯定判定された場合は、ステップ166へ移行して、登録者が投稿した関連情報に基づき、登録者のカテゴリーを学習し、メインルーチンへ戻る。また、ステップ164で否定判定された場合は、メインルーチンへ戻る。
【0094】
(コメント解析制御)
【0095】
図5は、図3のステップ108におけるコメント解析制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【0096】
ステップ200では、投稿者を特定し、次いで、ステップ202へ移行して、投稿したコメントに緯度経度情報が有るか否かを判断する。このステップ202で緯度経度情報有りと判定された場合は、ステップ204へ移行して、緯度経度による位置情報を一時的に格納し、ステップ206へ移行する。また、ステップ202で緯度経度情報無しと判定された場合は、ステップ206へ移行する。
【0097】
ステップ206では、投稿されたコメントを、コーパス51に記憶された言語に基づいて、テキストマイニング処理を実行する。すなわち、投稿されたコメント(すなわち文書データ)から、文書を単語(例えば名詞、動詞、形容詞等)に分割するように機械学習し、有益な情報を取り出す。このとき、自然言語を大量に集めたコーパス51を、機械学習の学習データとして利用する。
【0098】
次のステップ208では、テキストマイニング処理によって得た文字列において、投稿位置を特定し得る文字列が有るか否かを判断する。
【0099】
このステップ208で否定判定された場合は、当該コメントは除外するコメント(適用価値がないコメント)と判断し、メインルーチンへ戻る。
【0100】
また、ステップ208で肯定判定された場合は、当該コメントは適用価値があるコメントと判断し、ステップ210へ移行して、関連情報を特定する。関連情報とは、評価情報(例えば、「美味い」、「綺麗」等)と行動情報(例えば、「行った」、「食べた」等)の総称である。
【0101】
次のステップ212では、特定した関連情報に評価タグを付与し(例えば、図13Bに示す5種類の評価タグ)、次いでステップ214へ移行して投稿位置と関連情報(評価タグ)とを紐付ける。
【0102】
次のステップ216では、一時的に格納した緯度経度による位置情報を読み出し、次いで、ステップ218へ移行して緯度経度情報による位置情報と文字列で特定した位置との照合を実行し、ステップ220へ移行する。
【0103】
ステップ220では、照合の結果が一致したか否かを判定する。このステップ220で肯定判定されると、ステップ222へ移行して、コメントデータベース64に、投稿コメント(すなわち紐付けした投稿位置と関連情報)を格納し、メインルーチンへ戻る。また、ステップ220で否定判定されると、当該コメントは除外するコメント(すなわち適用価値がないコメント)と判断し、メインルーチンへ戻る。
【0104】
なお、緯度経度情報が存在しないコメントに関しては、全てコメントデータベース64に格納してもよいし、別の方法(例えば文字列の位置情報が住所等であり、一意的と判断できる等)で取捨選択するようにしてもよい。
【0105】
(情報提供制御)
【0106】
図6は、図3のステップ110における情報提供制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【0107】
ステップ250では、登録者データベース42にアクセスして、利用者(登録済ユーザ)の認証を実行し、ステップ252へ移行する。
【0108】
ステップ252では、認証に成功したか否かを判断し、否定判定された場合は、メインルーチンに戻る。なお、認証処理は、予め定めた回数を繰り返すようにしてもよい。
【0109】
また、ステップ252で肯定判定されると、ステップ254へ移行して、登録者データベース42にアクセスして、利用者(登録済ユーザ)のカテゴリーを特定し、ステップ256へ移行する。
【0110】
ステップ256では、コメントデータベース64にアクセスし、カテゴリーに対応するコメントデータを読み出し、次いで、ステップ258へ移行して、利用者(登録済ユーザ)が表示している地図範囲を特定し、ステップ260へ移行する。
【0111】
ステップ260では、地図にコメントデータに基づいてマッピング処理を実行し、ソーシャルヒートマップを作成し、ステップ262へ移行する。
【0112】
ステップ262では、アクセスしてきた利用者(登録済ユーザ)へ、ソーシャルヒートマップデータを送信し、メインルーチンへ戻る。
【実施例
【0113】
以下に、投稿情報抽出制御装置10における各機能(すなわち登録者管理機能26、コメント解析機能28、及び情報提供機能30)における主要な処理の実施例を説明する。
【0114】
(第1実施例)
【0115】
第1実施例は、登録者管理機能26における、アンケートの回答要求から因子分析までの処理の流れを示す実施例である。
【0116】
ユーザが登録を要求すると、図2の送信部34からアンケート情報を送信される。
【0117】
図8Aに示される如く、ユーザが所持する携帯端末18のモニタ18Mには、30項目のアンケートの設問(図7参照)が順次表示される。
【0118】
アンケートは、5種類の回答を選択することで実行される。5種類の回答の選択肢は、設問に対して、「そう思わない」、「あまりそう思わない」、「どちらともいえない」、「ややそう思う」、及び「そう思う」であり、ユーザが自身の判断で、何れかを選択(タッチ操作)する。ここで、ユーザが「次へ」をタッチ操作すると、設問が切り替わり(図8B参照)、回答の選択を繰り返す。
【0119】
アンケートの回答が終了し、ユーザがアンケート回答情報を送信すると、図2のアンケート解析部36及び登録者カテゴリー分類部40での因子分析処理が実行される。
【0120】
図9に示される如く、アンケートの回答の選択肢には、それぞれ点数が付与されている。ここでは、「そう思わない」が-2点、「あまりそう思わない」が-1点、「どちらともいえない」が0点、「ややそう思う」が+1点、及び「そう思う」が+2点に設定され、集計される(因子分析の第1段階)。各設問は、項目名が定められており(図10参照)、この項目名が因子種の分類の重要な要素となる。
【0121】
因子分析の第2段階では、図10に示される如く、アンケートの回答の因子分析の過程で、最終共通性の低い設問があれば除外する。ここでは、設問No.13、No.15、No.25、No.30を除外した例を示している。
【0122】
図11は、各設定項目名毎の因子分析結果を示したものであり、ここでは、6種類の因子種毎の因子負荷量を演算した。この結果から、アンケート実施者の因子種を特定する(第3段階)。特定の手段は、予め定めた平均値との比較等で実行される。
【0123】
図12に示される如く、6種類の因子種にはそれぞれ名前が付与されている。
【0124】
例えば第1因子種はロハス派、第2因子種はこだわり派、第3因子種は市場ウォッチャー派、第4因子種は受け身派、第5因子種は利便性重視派、及び第6因子種は自己投資派等と、因子種には、それぞれ自身のカテゴリーが一目瞭然となる名前を付与することが好ましい。なお、因子種は6種類に限定されるものではない。また、因子種の名前についても、特に制約はなく、因子種の内容が一目で理解できる文言であればよい。
【0125】
登録者カテゴリー分類部40では、送信部34を介して、アンケート実施者に対して、因子種の名前を通知する。なお、通知する因子種は、1種類である必要はなく、例えば、「あなたは、ロハス派と受け身派の2つのカテゴリーに分類されました」等と通知してもよい。
【0126】
この第1実施例では、アンケートの回答に対して、主因子法による因子分析を行ったが、カテゴリー分類できれば、他の分析手段を用いてもよい。
【0127】
(第2実施例)
【0128】
第2実施例は、コメント解析機能28における、テキストマイニング処理の流れを示す実施例である。
【0129】
図13Aは、投稿コメント取得部46で取得した膨大なSNSの投稿コメントのテキストマイニング処理により、位置情報と関連情報(評価情報及び行動情報)とが文字列に含まれるコメントを抽出した結果である(抽出コメント)。
【0130】
例えば、図13Aの第1行の投稿内容には、「・・・とても美味しい・・・○○駅のエキュート・・・」というコメントであり、「とても美味しい」という評価情報と、「○○駅のエキュート」という位置情報とが含まれているのがわかる。
【0131】
図13Bは、抽出コメントの文字列の評価情報に評価タグと付与するときの基準が示されている。
【0132】
評価タグは、5段階(「○○」「○」、「△」、「×」、及び「××」)となっている。
【0133】
評価タグ「○○」は、「とても美味しかった」、「今までで一番綺麗だった」等の、述語に修飾語がつき、かつプラス評価の抽出コメントに付与される。上記第1行の抽出コメントはこの評価タグ「○○」に相当する。
【0134】
評価タグ「○」は、「美味しかった」、「綺麗だった」等の、述語、かつプラス評価の抽出コメントに付与される。
【0135】
評価タグ「△」は、評価コメントではないが、「行った」、「買った」等の状況報告となる行動情報が存在する抽出コメントに付与される。
【0136】
評価タグ「×」は、「不味かった」、「汚かった」等の、述語、かつマイナス評価の抽出コメントに付与される。
【0137】
評価タグ「××」は、「とても不味かった」、「ものすごく汚かった」等の、述語に修飾語がつき、かつマイナス評価の抽出コメントに付与される。
【0138】
評価タグとしては、「○」及び「×」等の記号ではなく、数値(得点)であってもよい。
【0139】
この図13Bの評価基準に基づき、図13Aの抽出コメントのそれぞれに評価タグが付与され、この状態で、コメントデータベース64に格納される。なお、緯度経度情報は、所謂ステルスデータであるため、図13Aでは、緯度経度情報の有無を記載していない。しかし、緯度経度情報が存在する場合は、テキストマイニング処理で特定した位置情報と照合し、コメントデータベース64へ格納するか否かを判断すればよい。
【0140】
(第3実施例)
【0141】
第3実施例は、情報提供機能30における、ソーシャルヒートマップの表示形態を示す実施例である。
【0142】
図14Aは、ソーシャルヒートマップを要求したユーザが所持する携帯端末18の正面図である。
【0143】
例えば、携帯端末18にインストールされている地図アプリ(GPS機能付)を起動することで、モニタ18Mには、予め設定された縮尺による現在位置周辺のマップ画像18Aと、現在位置を示すマーク18Bとが表示されている。
【0144】
この状態で、例えば、別ウィンドウからソーシャルヒートマップを要求すると、現在表示されるマップ画像18Aに重ねて、濃度や色が異なる領域18Cが表示される。すなわち、ユーザのカテゴリーに適合した情報が多い場所に領域18Cが表示される。
【0145】
この場合、濃度が高ければ高いほど、カテゴリーに即した対象物があることを示す。なお、濃度に換えて、高い濃度から低い濃度へ順に、赤色→黄色→緑色といったように色を変えるように表示してもよい。
【0146】
また、ユーザのカテゴリーの中で特に、推奨する場所等が存在する場合に、図14Bに示される如く、特別マーク18D(ここでは、星印)を表示するようにしてもよい。
【0147】
以上説明したように、本実施の形態では、都市開発を対象として、特定の地域のポテンシャルをソーシャルヒートマップで把握し、次事業展開の候補選定や既存再開発地区のブラッシュアップのための仕掛け投入箇所選定に利用することができる。
【0148】
また、建築設計者を対象として、計画地のポテンシャルをソーシャルヒートマップで把握し、動線計画への反映や特定の地域へのインパクトを最大化する外装計画への反映に利用することができる。
【0149】
さらに、建築設計者を対象として、計画地のポテンシャルをソーシャルヒートマップで把握し、動線計画への反映や特定の地域への影響を最小限とする外装計画への反映に利用することができる。
【0150】
また、情報サービスを対象として、特定の地域のソーシャルヒートマップを携帯端末18(スマートホン等)に展開可能なアプリを構築し、特定の地域の利用者の回遊を促進させることができる。これにより、間接的には健康増進を図ることができる。
(変形例)
本実施の形態では、投稿情報(コメント)として、テキストに特化してテキストマイニングを実行し、投稿位置の特定、信憑性の判断及び対象物の評価等を行うようにしたが、投稿情報には画像が含まれる、或いは、画像のみの場合もある。
画像に関しては、対象外とすることも可能であるが、変形例として、画像を解析して、当該画像を説明するテキストを生成し、本実施の形態のコメントと同様に取り扱うようにしてもよい。
以下に図15図17に基づき、本実施の形態の変形例について説明する。なお、本実施の形態と同一構成部分に関しては、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
図15は、本実施の形態の変形例に係るコメント抽出制御装置の機能を説明するブロック図である。
図15に示される如く、コメント解析機能28には、画像解析機能29が接続されている。
画像解析機能29では、主として、物体検出、画像キャプションによるテキスト化が実行される。
物体検出は、画像から特徴となる物体の画像(領域)を抽出し、当該抽出した画像を識別(車両、動物、建造物等)して、文字情報を生成する。
画像キャプションは、画像の状況(内容)を文字列で表現する。
すなわち、物体検出及び画像キャプションは、何れも画像をテキスト化する機能であり、テキスト化された文字列(コメント)を、コメント解析機能で解析する。
図16は、本実施の形態の変形例に係るコメント抽出制御装置のメインルーチンを示す制御フローチャートである。なお、本実施の形態のコメント抽出制御装置のメインルーチンと同一処理については、符号の末尾に「A」を付す。
ステップ100Aでは、情報を受け付けたか否かを判断し、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。
また、ステップ100Aで、肯定判定されると、ステップ102Aへ移行して、受付情報を識別し、ステップ104Aへ移行する。
ステップ104Aでは、受付情報種によって処理を分岐する。すなわち、ステップ104Aで受付情報種が登録関連と判定された場合は、ステップ106Aへ移行して、登録者管理制御(図4で詳細に説明)を実行し、このルーチンは終了する。
また、ステップ104Aで受付情報種が投稿コメントと判定された場合は、ステップ120へ移行して投稿情報は画像を含むか否かを判断する。
このステップ120で肯定判定されると、ステップ122へ移行して、画像解析処理を実行し、ステップ108Aへ移行する。
ステップ108Aでは、コメント解析制御(図5で詳細に説明)を実行し、このルーチンは終了する。
さらに、ステップ104Aで受付情報種がソーシャルヒートマップ要求と判定された場合は、ステップ110Aへ移行して、情報提供制御(図6で詳細に説明)を実行し、このルーチンは終了する。
図17は、図16のステップ122で実行される画像解析処理制御ルーチンである。
ステップ124では、画像解析(すなわち物体検出及び画像キャプションの少なくとも一方)が実行され、次いで、ステップ126へ移行して、画像解析に基づいてテキストを生成する。なお、画像から生成されるテキストは、当初から存在するテキストと区別して、画像解析テキストという。
次のステップ128では、投稿情報が画像+テキストか、画像のみかを判断する。
ステップ128で投稿情報が画像+テキストと判断された場合は、ステップ130へ移行して、当初のテキストと合成し、次いで、ステップ132へ移行して、コメントとしてコメント解析機能28へ送出し、このルーチンは終了し、図16のステップ108Aへ移行する。
また、ステップ128で投稿情報が画像のみと判断された場合は、ステップ132へ移行して、コメントとしてコメント解析機能28へ送出し、このルーチンは終了し、図16のステップ108Aへ移行する。
図18は、画像解析の内、画像キャプションの一例を示す。
図18Aは基画像80であり、図18Bに示される如く、基画像80から特異画像を抽出する。ここでは、猫画像(点線枠80A)及びボール画像(一点鎖線枠80B)を抽出する。
図18Cに示される如く、抽出した特異画像に基づいて、画像解析テキストを生成する。この場合は、「A cat laying on the chair with a ball.」という、画像解析テキストが生成される。
【0151】
2018年6月19日に出願された日本国特許出願2018-116210号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載されたすべての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C