(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】反応性の高い肌に対する鎮静効果のためのコリアンダー種子油の経口使用
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20240613BHJP
A23L 33/115 20160101ALI20240613BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240613BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240613BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240613BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240613BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240613BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240613BHJP
A61K 31/23 20060101ALI20240613BHJP
A61K 31/231 20060101ALI20240613BHJP
A61K 31/232 20060101ALI20240613BHJP
A61K 36/23 20060101ALI20240613BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240613BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240613BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240613BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240613BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A23D9/00 516
A23L33/115
A61K8/37
A61K8/9789
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/48
A61K31/23
A61K31/231
A61K31/232
A61K36/23
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/36
A61P17/00
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020560924
(86)(22)【出願日】2019-05-02
(86)【国際出願番号】 FR2019051011
(87)【国際公開番号】W WO2019211562
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-03-10
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ケルン、カタリーヌ
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0106695(US,A1)
【文献】特表2010-520912(JP,A)
【文献】特開2007-105015(JP,A)
【文献】特開2018-043942(JP,A)
【文献】特開2012-012386(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0052271(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 9/00
A23L 33/115
A61K 8/9789 - 47/36
A61P 17/00
A61Q 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト敏感肌における一過性受容器電位アンキリン1(TRPA1)の活性化によるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えるための、摂取可能な形態における、コリアンダーの種子由来の油であって、
前記油が、その重量の100%当たり99%以上の重量比率の少なくとも1つのトリグリセリドを含む、コリアンダーの種子由来の油。
【請求項2】
その重量の100%当たり:
- 1%~90%の、
ヒト敏感肌における一過性受容器電位アンキリン1(TRPA1)の活性化によるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えるための、請求項1に記載の種子由来の油、及び
- 10%~99%の少なくとも1つの食用技術的添加剤
を含む食用組成物(C
A)。
【請求項3】
前記食用技術的添加剤は、希釈剤、流動化剤、結合剤又は崩壊剤であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記希釈剤は、ラクトース、スクロース、サッカロース、グルコース、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、リン酸水素カルシウム、微結晶性セルロース、デンプン、リン酸二カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、8~24個の炭素原子を含む脂肪酸のモノグリセリド及び/又はジグリセリドから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記流動化剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化植物油、無水コロイダルシリカ、安息香酸ナトリウム及び二酸化ケイ素から選択されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
前記結合剤は、デンプン糊の形態のデンプン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ショ糖シロップ及びアラビアゴムから選択されることを特徴とする、請求項3~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記崩壊剤は、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドンから選択されることを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ヒト敏感肌におけるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えることを可能にし、且つ請求項3~7のいずれか一項に記載の食用組成物(C
A)を含む栄養補助食品。
【請求項9】
固体又は液体形態であることを特徴とする、請求項8に記載の栄養補助食品。
【請求項10】
固体形態であり、且つ錠剤、硬カプセル、軟カプセル、散剤、糖衣錠又は顆粒の形態をとることを特徴とする、請求項9に記載の栄養補助食品。
【請求項11】
その重量の100%当たり5重量%~70重量%の前記食用組成物(C
A)を含むことを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載の栄養補助食品。
【請求項12】
生理活性脂質、水溶性又は水分散性微量元素塩、水溶性又は脂溶性ビタミン、プレバイオティクス、プロバイオティクス、乳タンパク質及び/又は乳タンパク質濃縮物、植物又は動物酵素、アミノ酸、ペプチド、糖類、風味増強剤並びに着香料から選択される少なくとも1つの有効成分を含むことを特徴とする、請求項8~11のいずれか一項に記載の栄養補助食品。
【請求項13】
ヒト敏感肌におけるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えることを意図された治療的処置における使用のための、請求項1に記載のコリアンダーの種子由来の油。
【請求項14】
ヒト敏感肌におけるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えることを意図された治療的処置における使用のための、請求項2~7のいずれか一項に記載の食用組成物(C
A)。
【請求項15】
ヒト敏感肌におけるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えることを意図された治療的処置における使用のための、請求項8~12のいずれか一項に記載の栄養補助食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト敏感肌におけるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えるための、セリ科植物の種子由来の少なくとも1つの油の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肌は、生体にとって環境からの最初の防護壁である。従って、肌は、外部からの多数の攻撃に曝され、それは、不快な皮膚反応又は更に極めて激しい若しくはより重篤な反応の場合には皮膚刺激及び/若しくは炎症といった現象にもつながり得る。不快な皮膚反応は、詳細には、洗浄剤、パーマ液、染毛剤などの化学製品との接触によって引き起こされるか、又は剃毛、スクラブ洗浄、ピーリング、脱毛などの機械的作用によって生じるか、又は温度、気侯、紫外線放射若しくは更に大気汚染の作用によって生じることがある。
【0003】
敏感肌又は反応性の高い肌は、特にこうした外部攻撃の影響を受け易い。敏感肌又は反応性の高い肌は、多くの人に発症する病態である。約50%の人(女性の60%、男性の40%)は、反応性の高い肌であると訴えている。最近、「不愉快な感覚(チクチクする感覚、灼熱感、痛み、掻痒及びうずく感覚)の、通常、かかる感覚を誘発しないはずの刺激に反応した発生によって定義される症候群。これらの感覚は、何らかの肌の疾患に起因し得る病変によって説明できない。肌は、正常に見えることも又は紅斑を伴うこともある。敏感肌は、あらゆる身体部位に発症し、特に顔面に発症し得る」と定義された(1)。
【0004】
紫外線放射への曝露、大気汚染、気侯(暑さ、寒さ、風)若しくは生活様式(食習慣若しくは美容習慣)などの環境要因又はストレス、内因性ホルモンなどの生理学的要因が敏感肌の症状を引き起こすか又は悪化させる可能性があると認識されている(2)。2つの主な理由:第一に角質層の透過性の増加及び第二に神経応答の加速が敏感肌の症状を説明し得る(3)。
【0005】
実際、幾つかの研究により、敏感肌と、肌の不快感の知覚を生じさせるバリア機能の破壊との関連が実証されている。バリア機能の低下は、アトピー性皮膚炎とも関連付けられており、敏感肌の人は、アトピー罹病率が上昇し、アレルギー発症リスクが高いことが示されている。最後に、アトピー性皮膚炎に罹患している人は、敏感肌であることを訴え、その80%は、それを中等度~極めて敏感であると訴えている。これらのデータは、アトピー性皮膚炎と敏感肌との間に関連性がある可能性を示唆している(2)。
【0006】
加えて、敏感肌において描写される感覚を踏まえると、皮膚バリアの低下に起因して肌表面の神経終末の保護が弱まっているのであれ、又はそれが過敏になっているのであれ、敏感肌は、感覚神経の機能不全を呈する可能性が極めて高い。無髄C線維などの皮膚神経線維は、とりわけ痛み及び痒みの感覚を引き起こすものであり、その表面において、敏感肌に痛み、灼熱感及び痒みの感覚を引き起こすことが知られるTRP(一過性受容器電位)チャネルなどの感覚神経受容器を有する(3)。
【0007】
詳細には、TRPA1(一過性受容器電位アンキリン1)は、C線維の表面上、またケラチノサイト、メラニン細胞及び線維芽細胞の表面上にも存在する侵害受容器チャネルであり、これは、一定数の外的要因(低温、カラシ油の成分 - AITC又はアリルイソチオシアネートを含む、環境汚染物質、ある種の起痒作用因子等)及び内的要因(活性酸素種、一酸化窒素、脂質酸化生成物)によって活性化され得る。これは、成長因子、ブラジキニン、ある種のプロテアーゼ及びサイトカインなど、幾つかの炎症性メディエーターが関わる細胞内増感過程の制御下にもある(4)。
【0008】
TRPA1は、特に化学的刺激物に反応した侵害受容、痒み/掻痒、神経原性炎症及び温度感覚を含め、ヒトにおける一定数の生理的過程及び細胞過程に関与する(5)。例えば、TRPA1は、中枢神経系へのヒスタミン非依存性痒み感覚の伝達に関与する。神経終末におけるTRPA1の発現は、アトピー性皮膚炎に罹患している患者の病変部で高い。TRPA1は、乾燥肌で誘発される痒み/掻爬の悪循環にも関係があるとされており、これは、TRPA1が皮膚バリアに対する攻撃の不可欠な感知器であるという事実と整合している(6)。
【0009】
対象が、引き金になる要素と接触してから数分以内に不快感の徴候が出現することは、感覚神経の機能不全を呈する敏感肌の基本的な特徴の1つである。
【0010】
こうした不快感の徴候は、主にジセステジア感覚である。「ジセステジア感覚」は、チクチクする感じ、うずき、痒み、灼熱感、ほてり、不快感、こわばりなど、皮膚領域に感じられる多少なりともの痛みの感覚を意味するものと理解される。
【0011】
敏感肌におけるジセステジア感覚、より詳細にはチクチクする感じ、うずき、痒み、こわばりの出現を防ぐか又は抑えるために使用することのできる美容組成物、及び/又は皮膚科学的組成物、及び/又は栄養組成物は、経口又は局所投与され得る。こうした組成物は、概して、植物、動物、鉱物又は合成由来の少なくとも1つの油からなる油脂相を含む。自然界に由来する生成物の使用を志向する市場傾向があるため、これらの油の中でも特に植物油が広く用いられている。
【0012】
植物油は、主にトリグリセリド類からなり、これは、脂肪鎖の様々な性質に違いがあり、そのため、グリセロール分解後、特徴的な脂肪カルボン酸分布を手に入れることが可能である。
【0013】
従って、植物油は、植物精油と区別され、なぜなら、精油は、植物材料から概して水蒸気蒸留によって得られる芳香性の生成物であるからである。従って、植物から抽出された精油は、脂肪トリグリセリド類を含有し得ない。
【0014】
植物油中にトリグリセリドの形態で存在するこれらの脂肪カルボン酸の中でも特に、ペトロセリン酸又は(Z)-オクタデカ-6-エン酸は、肌又は頭皮疾患の治療又は予防におけるその使用が公知である。国際公開第99/02149A1号パンフレットとして公開されている国際特許出願は、詳細には、例えば乾癬関連炎症、紅斑(日焼け)、湿疹、脂漏性皮膚炎、円形脱毛症、真菌症、ざ瘡又は他の皮膚病に対するその使用について記載している。適用は、眼の炎症(角膜の炎症)及び粘膜の炎症、詳細には口腔、鼻、頬及び膣粘膜の炎症にも及び得る。国際公開第99/02149A1号パンフレットとして公開されている国際特許出願は、ペトロセリン酸を含む組成物を経口投与することができ、それによりペトロセリン酸が粘膜(頬、食道、胃及び腸粘膜)に作用し得ること及び/又はそれが血流中に入り、皮膚、眼又は粘膜の細胞に直接送達され得ることも記載している。
【0015】
ペトロセリン酸は、より詳細には、散形花序状に花が並ぶ植物であるセリ科植物から生じる油中に存在する。
【0016】
美容分野では、従来のアーユルベーダ美容処方(ヴァーナカーレパ(Varnakarlepa))において、肌の色を正常に戻すための原料としてコリアンダーが用いられている(7)。他方では、記載されている効果は、コリアンダーの精油に関するものであり、コリアンダー種子の油に関するものではない(8)。
【0017】
コリアンダーの効果、より詳細には皮膚に対する効果は、公知である。コリアンダーの精油については、その炎症効果が記載されている(9)。
【0018】
コリアンダー種子の粉末は、ラットにおけるカラギーナンの注射によって誘発した浮腫の炎症モデルでインビボでの抗炎症効果を示している(10)。コリアンダー油は、インチューボでフリーラジカル捕捉効果を示しているが、上記と同じインビボモデルでは抗炎症効果を示していない(11)。
【0019】
同じ研究モデルによれば、コリアンダー油によってラットの足浮腫を低減することはできなかった(12)。
【0020】
ヘキサン又はメタノールで抽出することによって得られるコリアンダー抽出物は、酵素シクロオキシゲナーゼ-1及び-2の阻害にインビトロ活性を示している(13)。しかしながら、一方ではシクロオキシゲナーゼ/リポキシゲナーゼ及び他方では感覚ニューロンの活性化間に関わるシグナル伝達経路に相関がなく、痒み、掻痒又は不快感の感覚に対する効果は、観察又は実証されていない。
【0021】
欧州特許出願公開第0888773A1号明細書として公開されている欧州特許出願は、表在組織の炎症を治療するための、詳細には表在組織の炎症の治療若しくは予防及び/又は脂質代謝の調節が可能になるように哺乳類の表在組織における脂肪酸のペルオキシソームβ酸化を活性化させることを意図された組成物を調製するためのペトロセリン酸の使用に関し、先行技術が大き過ぎると判断されたために放棄された。しかしながら、欧州特許出願公開第0888773A1号明細書には、敏感肌又は反応性の高い肌に起因する不快感の感覚、詳細には痒み、掻痒、チクチクする感じ、うずき、痒み又はこわばりの感覚を防ぎ且つ/又は軽減するためのコリアンダー種子油の使用について何ら記載されていない。
【0022】
米国特許第6365175号明細書として公開されている米国特許は、食品部門での、詳細にはアラキドン酸代謝産物の産生を阻害し、且つ/又は細胞内接着分子の形成を低減する抗炎症組成物として使用されるか、又はアンチエイジング組成物として使用される栄養補助食品組成物を調製するためのペトロセリン酸の使用に関する。しかし、米国特許第6365175号明細書には、敏感肌又は反応性の高い肌に起因する不快感の感覚、詳細には痒み、掻痒、チクチクする感じ、うずき、痒み又はこわばりの感覚を防ぎ且つ/又は軽減するためのコリアンダー種子油の使用について何ら開示又は教示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
ヒト敏感肌におけるジセステジア感覚の治療に関するその研究の範囲内において、本発明者は、敏感肌に対する好ましい効果を有する新規組成物の開発に努めた。
【課題を解決するための手段】
【0024】
第1の態様において、本発明は、ヒト敏感肌におけるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えるための、摂取可能な美容有効成分としての、少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の少なくとも1つの油の使用を提供する。
【0025】
「ジセステジア感覚」は、本願に関連して、チクチクする感じ、うずき、痒み、灼熱感、ほてり又はこわばりなど、皮膚領域に感じられる感覚を意味するものと理解される。
【0026】
かかるセリ科植物の種子由来の油は、種子を粉砕する少なくとも1つのステップ及び/又は種子を圧搾する少なくとも1つのステップ並びに粉砕及び/又は圧搾ステップ後に得られた油性液体を精製する少なくとも1つの後続ステップを含むプロセスを実施することにより得られる。
【0027】
好ましくは、コリアンダー種子油を使用することが好ましい。
【0028】
場合により、本発明に係る使用は、以下の特徴の1つ以上を有し得る:
- セリ科植物は、コリアンダー、チャービル、セロリ、クミン、ニンジン、ディル、パセリ及びウイキョウから選択され、
- セリ科植物は、コリアンダーであり、
- セリ科植物の種子由来の油は、その重量の100%当たり99%以上の重量比率の少なくとも1つのトリグリセリドを含み、トリグリセリドは、式(I):
R1-C(=O)-O-CH2-CH[O-C(=O)-R1]-CH2-O-C(=O)-R1 (I)
(式中、R1-C(=O)-は、基パルミトイル(又はヘキサデカノイル)、ステアロイル(又はオクタデカノイル)、ペトロセリノイル(又は(Z)-オクタデカ-6-エノイル)、オレイル(又はcis-オクタデカ-9-エノイル)及びリノレオイル(又はcis,cis-9,12-オクタデカジエノイル)、リノレノイル(又は(9Z,12Z,15Z)-9,12,15-オクタデカトリエノイル)からなる群のメンバーから選択されるアシル基である)
の化合物であり、
- セリ科植物の種子由来の油は、式(I)のトリグリセリドの重量の100%当たり重量で40%~85%、及びより詳細には55%~80%、及びなおもより詳細には60%~75%の量の式(I)のトリグリセリドであって、基R1C(=O)-は、ペトロセリノイル(又は(Z)-オクタデカ-6-エノイル)基である、式(I)のトリグリセリドを含み、
- セリ科植物の種子由来の油は、式(I)のトリグリセリドの重量の100%当たり重量で2%~5%の量の式(I)のトリグリセリドであって、基R1C(=O)-は、パルミトイル基である、式(I)のトリグリセリド、及び/又は重量で0%~1.5%の量の式(I)のトリグリセリドであって、基R1C(=O)-は、ステアロイル基である、式(I)のトリグリセリド、及び/又は重量で60%~75%の量の式(I)のトリグリセリドであって、基R1C(=O)-は、ペトロセリノイル(又は(Z)-オクタデカ-6-エノイル)基である、式(I)のトリグリセリド、及び/又は重量で8%~15%の量の式(I)のトリグリセリドであって、基R1C(=O)-は、オレイル基である、式(I)のトリグリセリド、及び/又は重量で12%~19%の量の式(I)のトリグリセリドであって、基R1C(=O)-は、リノレオイル基である、式(I)のトリグリセリド、及び/又は重量で0%~1%の量の式(I)のトリグリセリドであって、基R1C(=O)-は、リノレノイル基である、式(I)のトリグリセリドを含む。
【0029】
本発明の主題は、その重量の100%当たり:
- 1%~90%の、上記に定義したとおりのセリ科植物の種子由来の少なくとも1つの油、及び
- 10%~99%の少なくとも1つの食用技術的添加剤
を含む食用組成物(CA)でもある。
【0030】
「食用技術的添加剤」とは、前記組成物(CA)の異なる構成成分の混合を可能にし且つ/又は促進すること、前記組成物(CA)の物理的特性を促進及び/又は最適化すること、例えばその流動、その安定性及び後続の医薬及び/又は栄養製剤へのその取込みを促進及び/又は最適化することなどをその技術的機能とし、且つ効力のある規制によって医薬製剤及び/又は栄養製剤の販売に要求される条件を満たすことが可能な任意の化学物質又は任意の化学組成物を指す。
【0031】
場合により、本発明に係る組成物(CA)は、以下の特徴の1つ以上を有し得る:
- 食用技術的添加剤は、希釈剤、流動化剤、結合剤又は崩壊剤であり、
- 希釈剤は、ラクトース、スクロース、サッカロース、グルコース、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、リン酸水素カルシウム、微結晶性セルロース、デンプン並びにより詳細にはコーンスターチ、小麦デンプン、ジャガイモデンプン、リン酸二カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、8~24個の炭素原子を含む脂肪酸のモノグリセリド及び/又はジグリセリドから選択され、
- 流動化剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化植物油、無水コロイダルシリカ、安息香酸ナトリウム及び二酸化ケイ素から選択され、
- 結合剤は、デンプン糊の形態のデンプン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ショ糖シロップ及びアラビアゴムから選択され、
- 崩壊剤は、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドンから選択される。
【0032】
本発明の主題である組成物(CA)は、任意の物理的形態であり得、より詳細には粉末の形態であり得る。
【0033】
組成物(CA)が錠剤の形態であるとき、それは、好ましくは、
- 500mg錠剤につき50mg~200mgの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油、
- 1000mg錠剤につき100mg~400mgの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油
を含む。
【0034】
組成物(CA)が軟カプセルの形態であるとき、それは、好ましくは、
- 1200mg軟カプセルにつき800mg~1100mgの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油
を含む。
【0035】
組成物(CA)が硬カプセルの形態であるとき、それは、好ましくは、
- 100mg硬カプセルにつき3mg~50mgの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油、
- 1000mg硬カプセルにつき30mg~100mgの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油
を含む。
【0036】
組成物(CA)が粉末の形態であるとき、それは、好ましくは、
- 2000mgの粉末につき200mg~600mgの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油、
- 20gの粉末につき100mg~300mgの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油
を含む。
【0037】
組成物(CA)が粉末の形態であるとき、それは、例えば、フラット型又はインペラ型撹拌羽根など、少なくとも1つの機械的撹拌装置を備えたミキサーにその様々な構成成分を導入することによって得られ、ミキサーは、任意選択で、タンブラーミキサーであり、及びミキサーは、任意選択で、破塊装置を備えている。この混合作業は、概して、周囲温度で行われる。
【0038】
組成物(CA)がガム菓子の形態であるとき、それは、好ましくは、
- 1.5gガム菓子につき300mg~500mgの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油、
- 10gガム菓子につき100mg~300mgの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油
を含む。
【0039】
組成物(CA)が液体の形態であるとき、それは、好ましくは、
- 1mlアンプルにつき300mg~500mgの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油、
- 1.5lボトルにつき100mg~300mgの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油
を含む。
【0040】
本発明の主題は、ヒト敏感肌におけるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えることを可能にし、且つ本発明に係る食用組成物(CA)を含む栄養補助食品でもある。
【0041】
「栄養補助食品」は、通常の食事を補足することを目的とする、栄養素又は他の単独若しくは組み合わせで栄養学的若しくは生理学的効果のある物質の濃縮源を構成する食料品を意味するものと理解される。栄養補助食品は、個人の食事における、詳細には肉体労作時のある種の欠乏を防ぐか又は特定の必要性に応えることを可能にする。「栄養補助食品」のこの定義は、栄養補助食品に関するフランス共和国2006年3月26日付け法令第2006-352号第2条並びに2002年6月10日付け欧州議会及び理事会指令2002/46/ECに示されている。
【0042】
好ましくは、本発明に係る栄養補助食品は、以下の特徴の1つ以上を有し得る:
- それは、固体又は液体形態であり、
- それは、固体形態であり、且つ錠剤、硬カプセル、軟カプセル、散剤、糖衣錠又は顆粒の形態をとり、
- それは、その重量の100%当たり5重量%~70重量%、より詳細には10重量%~70重量%及びなおもより詳細には25重量%~70重量%の食用組成物(CA)を含み、
- それは、生理活性脂質、水溶性又は水分散性微量元素塩、水溶性又は脂溶性ビタミン、プレバイオティクス、プロバイオティクス、乳タンパク質及び/又は乳タンパク質濃縮物、植物又は動物酵素、アミノ酸、ペプチド、糖類、風味増強剤並びに着香料から選択される少なくとも1つの有効成分を含む。
【0043】
ヒト用又は動物用医薬品工業及び栄養補助食品工業で使用される乾燥形態は、概して、錠剤、硬カプセル、糖衣錠、顆粒の形態で提供され、これは、少なくとも1つの有効成分及び/又は少なくとも1つの栄養素原料と少なくとも1つの賦形剤とを含む固体粒子の凝集によって作製される。こうした乾燥形態は、例えば、打錠、ペレット化、顆粒化、圧縮成型又は押出し技法など、当業者に公知の多くの技法の実施により調製することができる。
【0044】
本発明に係る栄養補助食品が粉末の形態であるとき、これは、例えば、フラット型又はインペラ型撹拌羽根など、少なくとも1つの機械的撹拌装置を備えたミキサーにその様々な構成成分を導入することによって得られ、ミキサーは、任意選択で、タンブラーミキサーであり、及びミキサーは、任意選択で、破塊装置を備えている。この混合作業は、概して、周囲温度で行われる。
【0045】
栄養補助食品は、飲料、より詳細には水性飲料、溶液、フルーツジュース、フレーバードリンク、エナジードリンク、アルコール飲料、コーヒー系飲料、チョコレート系飲料、茶系飲料、乳製品、より詳細にはミルク、ヨーグルト、ミルクデザート、ヨーグルト飲料、チーズ、アイスクリーム、チョコレートバー、シリアル製品、より詳細にはシリアルバー、クッキー、朝食用シリアル、小麦粉、製パン用製品、特殊栄養製品、より詳細には乳幼児栄養製品、肉体労作の準備用栄養製品、臨床栄養製品、食事代用品、キャンディー、より詳細にはチューインガム、糖菓、カラメル、ドラジェ、ロゼンジ、マシュマロ、ロクム、ヌガー、フルーツゼリー、リコリス菓子など、当業者に公知の任意の形態の食品製品であり得る。
【0046】
本発明に係る栄養補助食品は、例えば、錠剤、硬カプセル、軟カプセル、シロップ、粉末、例えば即時放出粉末、遅延放出粉末若しくは再構成飲料用の粉末など、液体、スティック又はゲルの形態など、当業者に公知の任意の体裁形態でもあり得る。
【0047】
一般に、上述のとおり、本発明の主題である栄養補助食品は、生理活性脂質、水溶性又は水分散性微量元素塩、水溶性又は脂溶性ビタミン、プレバイオティクス、プロバイオティクス、乳タンパク質及び/又は乳タンパク質濃縮物、植物又は動物酵素、アミノ酸、ペプチド、糖類、風味増強剤並びに着香料から選択される少なくとも1つの有効成分も含み得る。
【0048】
本発明の主題である栄養補助食品中に任意選択で存在する生理活性脂質としては、フィトステロール類、例えば植物油から抽出されるもの、より詳細にはシーバックソーン油、トウモロコシ油又はダイズ油の抽出物など;植物油から分離されるフィトステロール複合体、例えばカンペステロール、スチグマステロール及びブラシカステロールで構成されるコレスタチンなど;フィトスタノール類;藻類、緑色植物、真菌又は細菌から抽出される、テルペノイドファミリーに属するカロテノイド類;ω-3群の多価不飽和脂肪酸、例えばα-リノレン酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキサン酸など;ω-6群の多価不飽和脂肪酸、例えばリノール酸、γ-リノレン酸、エイコサジエン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサジエン酸、ドコサテトラエン酸又はドコサペンタエン酸などを挙げることができる。
【0049】
本発明の主題である栄養補助食品中に任意選択で存在する水溶性又は水分散性微量元素塩の例としては、炭酸第一鉄、塩化第一鉄四水和物、塩化第二鉄六水和物、クエン酸第一鉄六水和物、フマル酸第一鉄、乳酸第一鉄四水和物、硫酸第一鉄一水和物、硫酸第一鉄七水和物、アミノ酸水和物の鉄キレート、鉄グリシンキレート;ヨウ素酸カルシウム六水和物、無水ヨウ素酸カルシウム;ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム;酢酸コバルト四水和物、塩基性炭酸コバルト一水和物、炭酸コバルト六水和物、硫酸コバルト七水和物、硫酸コバルト一水和物、硝酸コバルト六水和物;酢酸第二銅一水和物、塩基性炭酸銅一水和物、塩化第二銅二水和物、メチオニン銅、硫酸第二銅五水和物、アミノ酸水和物の銅キレート、グリシン水和物の銅キレート、メチオニンヒドロキシ類似体の銅キレート;炭酸第一マンガン、塩化第一マンガン四水和物、リン酸水素マンガン三水和物、硫酸第一マンガン四水和物、硫酸第一マンガン一水和物、アミノ酸水和物のマンガンキレート、グリシン水和物のマンガンキレート、メチオニンヒドロキシ類似体のマンガンキレート;モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)によって産生される有機形態のセレン、セレノメチオニン(不活性化セレン酵母)及び出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)によって産生されるセレノメチオニン(不活性化セレン酵母)を挙げることができる。
【0050】
本発明の主題である栄養補助食品中に任意選択で存在する水溶性又は脂溶性ビタミンの例としては、ビタミンA、より詳細にはそのレチノール、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル又はβ-カロチンの形態のもの;ビタミンD2、より詳細にはそのエルゴカルシフェロール又は25-ヒドロキシカルシフェロールの形態のもの、ビタミンD3、より詳細にはそのコレカルシフェロールの形態のもの、ビタミンK、より詳細にはそのフィロキノン(フィトメナジオン)又はメナキノンの形態のもの、ビタミンB1、より詳細にはその塩酸チアミン、チアミン一硝酸、塩化チアミン一リン酸又は塩化チアミンピロリン酸の形態のもの、ビタミンB2、より詳細にはそのリボフラビン又はリボフラビン5’-リン酸ナトリウムの形態のもの、ビタミンB6、より詳細にはその塩酸ピリドキシン、ピリドキシン5’-リン酸又はピリドキサール5’-リン酸の形態のもの、ビタミンB12、より詳細にはそのシアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、5’-デオキシアデノシルコバラミン又はメチルコバラミンの形態のもの、ビタミンC、より詳細にはそのL-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸カリウム、6-パルミトイル-L-アスコルビン酸のカルシウム塩又はアスコルビル一リン酸ナトリウムの形態のもの、パントテン酸、より詳細にはそのD-パントテン酸カルシウム、D-パントテン酸ナトリウム、デクスパンテノール又はパンテチンの形態のもの、ビタミンPP、より詳細にはそのニコチン酸、ナイアシン、ニコチンアミド又はイノシトールヘキサニコチネート(イノシトールヘキサナイアシネート)の形態のもの、ビタミンB9、より詳細にはその葉酸又は葉酸塩の形態のもの、より詳細にはそのプテロイルモノグルタミン酸、L-メチル葉酸カルシウム又はグルコサミン塩の形態の(6S)-5-メチルテトラヒドロ葉酸の形態のもの、ビタミンH2、B7又はBW、より詳細にはそのビオチンの形態のもの、コリン、より詳細にはその塩化コリン、二水素性クエン酸コリン又は酒石酸水素コリンの形態のもの、イノシトール、カルニチン、より詳細にはそのL-カルニチン又はL-カルニチンL-酒石酸塩の形態のもの又はタウリンを挙げることができる。
【0051】
本発明の主題である栄養補助食品中に任意選択で存在するプレバイオティクスの例としては、イヌリン、トランスガラクトオリゴ糖類、フルクタン類及びマンノオリゴ糖類を挙げることができる。
【0052】
本発明の主題である栄養補助食品中に任意選択で存在するプロバイオティクスの例としては、単独で又はリケニホルミス菌(Bacillus licheniformis)と組み合わせた出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、セレウス菌変種トヨイ(Bacillus cereus var.toyoi)、枯草菌(Bacillus subtilis)の様々な株又は同様にフェシウム菌(Enterococcus faecium)の株を挙げることができる。
【0053】
これらの微生物株は、概して、固体支持体、例えば炭酸カルシウム、デキストロース又はソルビトールと組み合わされる。
【0054】
本発明の主題である栄養補助食品中に任意選択で存在するタンパク質及び/又はタンパク質濃縮物の例としては、乳汁のクラッキングから得られる乳タンパク質、例えば凍結乾燥粉末又は噴霧粉末形態の初乳、精製された又はIgG、ラクトフェリン若しくはラクトペルオキシダーゼが高濃度化された画分の粉末形態の乳清などを挙げることができる。
【0055】
本発明の主題である栄養補助食品中に任意選択で存在する植物又は動物酵素の例としては、Promutase、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、3-フィターゼ、6-フィターゼ、エンド-1,4-β-グルカナーゼ、エンド-1,4-β-キシラナーゼ又は同様に消化を改善若しくは促進する他の酵素を挙げることができる。
【0056】
本発明の主題である栄養補助食品中に任意選択で存在するペプチドの例としては、アボカドペプチド、ルピナスペプチド、キノアペプチド、マカペプチド、発酵又は非発酵ダイズペプチド、コメペプチド、アカシア・マクロスタキア(Acacia macrostachya)種子抽出物に存在するペプチド又はトケイソウ種子抽出物に存在するペプチドを挙げることができる。
【0057】
本発明の主題である栄養補助食品中に任意選択で存在するアミノ酸の例としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ピロリシン、セレノシステイン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、サルコシン又はオルニチンを挙げることができる。
【0058】
本発明の主題である栄養補助食品中に任意選択で存在する糖類の例としては、水溶性多糖類又は低分子量糖類、オリゴ糖類又は単糖類若しくは二糖類など、例えばグルコース、ラクトース若しくはデキストロースなどを挙げることができる。
【0059】
本発明の主題である栄養補助食品中に任意選択で存在する風味増強剤の例としては、グルタメート、例えばグルタミン酸、グルタミン酸モノナトリウム、グルタミン酸モノカリウム、ジグルタミン酸カルシウム、グルタミン酸アンモニウム又はジグルタミン酸マグネシウムなど;グアニレート、例えばグアニル酸(グアノシン一リン酸)、グアニル酸二ナトリウム、グアニル酸二カリウム又はグアニル酸カルシウムなど、イノシネート、例えばイノシン酸、イノシン酸二ナトリウム、イノシン酸二カリウム又はイノシン酸カルシウムなど、又は同様にステビア属(Stevia)抽出物又はレバウジオシド類などの強力甘味料を挙げることができる。
【0060】
最後に、本発明は、
- ヒト敏感肌におけるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えることを意図された治療的処置における使用のための、上記に定義したとおりの少なくとも1つのセリ科植物の種子由来の油;
- ヒト敏感肌におけるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えることを意図された治療的処置における使用のための、上記に定義したとおりの食用組成物(CA);
- ヒト敏感肌におけるジセステジア感覚の出現を防ぐか又は抑えることを意図された治療的処置における使用のための、上記に定義したとおりの栄養補助食品
も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0061】
書誌事項:
(1):“Definition of Sensitive Skin:An Expert Position Paper from the Special Interest Group on Sensitive Skin of the International Forum for the Study of Itch”.Misery,Staender,Szepietowski,Reich,Wallengren,Evers,Takamori,Brenaut,Le Gall-Ianotto,Fluhr,Berardesca,Weisshaar.Acta Derm Venereol.2017 Jan 4;97(1):4-6)
(2):“Sensitive skin”.Misery,Loser,Staender.J Eur Acad Dermatol Venereol.2016 Feb;30 Suppl 1:2-8
(3):“Putative neuronal mechanisms of sensitive skin.”Staender,Schneider,Weishaupt,Luger,Misery.Exp Dermatol.2009 May;18(5):417-23.
(4):“TRPV1 and TRPA1 in cutaneous neurogenic and chronic inflammation:pro-inflammatory response induced by their activation and their sensitization.”Gouin,L’Herondelle,Lebonvallet,Le Gall-Ianotto,Sakka,Buhe,Plee-Gautier,Carre,Lefeuvre,Misery,Le Garrec.Protein Cell.2017 Sep;8(9):644-661
(5):“Regulation of Pain and Itch by TRP Channels”.Moore,Gupta,Jordt,Chen,Liedtke.Neurosci Bull.2018 Feb;34(1):120-142
(6):“Mediators of Chronic Pruritus in Atopic Dermatitis:Getting the Itch Out?”Mollanazar NK,Smith PK,Yosipovitch G.Clin Rev Allergy Immunol.2016 Dec;51(3):263-292
(7):Yadav&Chaudhary.“Cosmeceutical assets of ancient and contemporary ayurvedic astuteness”.Int J Green Phar 2015,9:S1-S6
(8):Coriander(Coriandrum sativum):“A promising functional food toward the well-being”.Prachayasittikul,Prachayasittikul,Ruchirawat.Food Res Int 2018.105:305-323.
(9):“Anti-inflammatory potential of a lipolotion containing coriander oil in the ultraviolet erythema test.”Reuter,Huyke,Casetti,Theek,Frank,Augustin,Schempp.J Dtsch Dermatol Ges.2008 Oct;6(10):847-51.
(10):“Study of The Anti-Inflammatory Activity of Some Medicinal Edible Plants Growing in Egypt.”Ammar,Al-Okbi,Mohamed.Med J Islamic World Acad Sci.1997;10(4):113-122
(11):“Characterization of antiradical and anti-inflammatory activities of some cold pressed oils in carrageenan-induced rat model of acute inflammation.Attia,Ibrahim,Maklad,Ahmed,Ramadan.Der Pharma Chemica,2016,8(17):148-158”
(12):“Biochemical characterization,anti-inflammatory properties and ulcerogenic traits of some cold-pressed oils in experimental animals”.Ibrahim,Attia,Maklad,Ahmed,Ramadan.Pharm Biol.2017 Dec;55(1):740-748)、
(13):“Evaluation of coriander spice as a functional food by using in vitro bioassays.”Zhang,Dissanayake,Kevseroglu,Nair.Food Chemistry 2015,167:24-29
【実施例】
【0062】
以下の例は、本発明を例示するが、それを限定するものではない。
【0063】
本明細書に記載されるインビトロの例は、ある種の刺激を受けた後の皮膚の痒み/過敏/掻爬/痛みの感覚の誘導に関与する受容器TRPA1の活性化の低減に関する。
【0064】
TRPA1活性化からの保護(Neuron Expertsサービス)
→本方法の原理
多能性幹細胞からヒト感覚ニューロンを入手し、培養プレートにおいて培養した。ヒトケラチノサイトを成長させて、次にニューロン上に播種した。
【0065】
5%CO2の湿潤雰囲気下において37℃で19日間共培養した後、供試品又は陽性参照品HC030031(C18H21N5O3)、10μM及び更に蛍光プローブFluo-4 AMを共培養物に加えた。Fluo-4 AMプローブにより、その蛍光強度のリアルタイム測定によって細胞内カルシウム濃度変化の急速な動態を追うことが可能になり、カルシウムフラックスは、TRPA1の活性化に関連する。
【0066】
30分間インキュベートした後、培養培地を除去し、培養物を洗浄し、次に供試品と再びインキュベートした。その直後にそれを倒立顕微鏡下に置き、落射蛍光で観察した。細胞は、3分間観察し、約333ms毎に写真を撮った。記録開始から5秒後、ニューロンを10-3MのAITC(アリルイソチオシアネート)で刺激した。
【0067】
統計的要素:
本実験は、6レプリケートで行った。蛍光は、3分間分析した。
【0068】
蛍光値は、平均値±sem[平均値の標準誤差=標準偏差/平方根(値の数)]として表した。
【0069】
各条件について、刺激率及び保護率を以下のとおり計算した:
%刺激=100×[平均値(条件)]/[平均値(AITCで刺激した細胞)]
%保護=100×[平均値(条件)-平均値(AITCで刺激した細胞)]/[平均値(ストレス無負荷の細胞)-平均値(AITCで刺激した細胞)]。
【0070】
統計的分析は、有意差閾値を5%に設定した一元配置ANOVA検定により、条件をペアで比較することによって実施した。2つの製品の有効性の差について、以下と見なした:
- p<0.05の場合、有意である;
- 0.05≦p<0.1の場合、「有意性の限界にある」;及び
- p>0.1の場合、有意でない。
【0071】
→結果
【0072】
【0073】
AITCは、ケラチノサイト-ニューロン共培養においてTRPA1活性化の有意な増加を引き起こした(非刺激細胞との比較で585%)。
【0074】
TRPA1拮抗薬であるHC30031は、TRPA1の活性化を有意に88%低減した。0.001%コリアンダー種子油もTRPA1の活性化を有意に61%低減させることが可能であった。
【0075】
→結論
コリアンダー種子油は、ヒトケラチノサイト-ニューロン共培養モデルにおいてTRPA1の活性化を低減することが可能である。