IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神鋼環境ソリューションの特許一覧

<>
  • 特許-廃棄物処理施設ネットワーク 図1
  • 特許-廃棄物処理施設ネットワーク 図2
  • 特許-廃棄物処理施設ネットワーク 図3
  • 特許-廃棄物処理施設ネットワーク 図4
  • 特許-廃棄物処理施設ネットワーク 図5
  • 特許-廃棄物処理施設ネットワーク 図6
  • 特許-廃棄物処理施設ネットワーク 図7
  • 特許-廃棄物処理施設ネットワーク 図8
  • 特許-廃棄物処理施設ネットワーク 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】廃棄物処理施設ネットワーク
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240613BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021004708
(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公開番号】P2021128765
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2020020408
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】小野 雄基
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇之
(72)【発明者】
【氏名】植浦 大樹
(72)【発明者】
【氏名】上古閑 久欣
(72)【発明者】
【氏名】岩本 典之
(72)【発明者】
【氏名】山内 美咲
(72)【発明者】
【氏名】山中 繁樹
【審査官】山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-73132(JP,A)
【文献】特開2002-324128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を処理する炉を備える複数の廃棄物処理施設と、
前記炉の形式が同じである単位で複数の第1のグループに分けられた前記複数の廃棄物処理施設において、同じ前記第1のグループに属する前記廃棄物処理施設を遠隔運転可能にするために、前記複数の第1のグループのそれぞれに対応して設けられた複数の第1の通信ネットワークと、を備える、
廃棄物処理施設ネットワーク。
【請求項2】
廃棄物処理施設間の移動時間が短い単位で複数の第2のグループに分けられた前記複数の廃棄物処理施設において、同じ前記第2のグループ内で人材および物資を支援するために、前記複数の第2のグループのそれぞれに対応して設けられた複数の第2の通信ネットワークをさらに備える、
請求項1に記載の廃棄物処理施設ネットワーク。
【請求項3】
前記廃棄物処理施設は、予め定められた設備を含み、
前記廃棄物処理施設ネットワークは、さらに、
前記設備の形式が同じである単位で複数の第3のグループに分けられた前記複数の廃棄物処理施設において、同じ前記第3のグループに属する前記廃棄物処理施設の前記設備を遠隔操作可能にするために、前記複数の第3のグループのそれぞれに対応して設けられた複数の第3の通信ネットワークを備える、
請求項1または請求項2に記載の廃棄物処理施設ネットワーク。
【請求項4】
予め定められた設備を備える複数の廃棄物処理施設と、
前記設備の形式が同じである単位で複数の第3のグループに分けられた前記複数の廃棄物処理施設において、同じ前記第3のグループに属する前記廃棄物処理施設の前記設備を遠隔操作可能にするために、前記複数の第3のグループのそれぞれに対応して設けられた複数の第3の通信ネットワークと、を備える、
廃棄物処理施設ネットワーク。
【請求項5】
前記複数の廃棄物処理施設のうちの少なくとも1つの廃棄物処理施設は、自身の廃棄物処理施設と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設に前記自身の廃棄物処理施設の運転の代行を依頼する運転代行依頼手段を備える、
請求項1に記載の廃棄物処理施設ネットワーク。
【請求項6】
前記複数の廃棄物処理施設のうちの少なくとも1つの廃棄物処理施設は、
運転の代行を必要とする所定の事象を検知する事象検知手段と、
前記事象検知手段で前記所定の事象を検知した場合に、自身の廃棄物処理施設と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設に前記所定の事象の検知を報知する事象報知手段とを備える、
請求項1または請求項5に記載の廃棄物処理施設ネットワーク。
【請求項7】
前記複数の廃棄物処理施設のうちの少なくとも1つの廃棄物処理施設は、
自身の廃棄物処理施設と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設における運転の代行を必要とする所定の事象の発生を監視する事象監視手段と、
前記所定の事象が発生した他の廃棄物処理施設を遠隔運転可能にするための申請を、自身の廃棄物処理施設と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設に送信する遠隔運転申請手段とを備える、
請求項1、請求項5および請求項6のいずれか1項に記載の廃棄物処理施設ネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理施設を管理するための廃棄物処理施設ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国日本では、人口減少に対処するために、省人化の技術開発が進められている。例えば、特許文献1は、ごみ焼却施設を省人化することができる発電施設の最適操業支援システムを開示している。詳しくは、この最適操業支援システムは、複数の発電施設(ごみ焼却施設)の運転状況を集中監視センターで監視制御するための発電施設の最適操業支援システムにおいて、情報を伝送する高速通信ネットワークと、発電施設に設けられた監視手段及び中央制御室と、電力会社・PPSに設けられた電力需給管理端末と、集中監視センターに設けられ、発電施設の操業状況を監視し制御する監視操作端末と、電力需給管理端末から送信される電力需給情報に基づき発電施設からの電力供給を管理する集中監視センターの電力需給管理端末とを備え、集中監視センターは、電力需要計画量に応じた電力を発電施設から供給するように、監視操作端末が発電施設の運転状況を監視し制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-73132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃棄物処理施設を省人化できても、この施設が安定に運転されなければ意味がない。本発明者らは、複数の廃棄物処理施設をネットワークでつなげることにより、これらの施設について、省人化および安定な運転を実現できる発明について検討した。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、複数の廃棄物処理施設について、省人化および安定な運転が可能となる廃棄物処理施設ネットワークを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる廃棄物処理施設ネットワークは、廃棄物を処理する炉を備える複数の廃棄物処理施設と、前記炉の形式が同じである単位で複数の第1のグループに分けられた前記複数の廃棄物処理施設において、同じ前記第1のグループに属する前記廃棄物処理施設を遠隔運転可能にするために、前記複数の第1のグループのそれぞれに対応して設けられた複数の第1の通信ネットワークと、を備える。
【0007】
前記廃棄物は、例えば、一般廃棄物、産業廃棄物、バイオマスである。
【0008】
前記炉の形式とは、廃棄物を焼却する方式であって、例えば、火格子の上で廃棄物を緩慢燃焼させるストーカ式や、流動する砂に取り込んで廃棄物をガス化して後段で処理する形式等がある(廃棄物を焼却する機器や方式によって決められる)。廃棄物を処理する炉の形式として、例えば、ガス化溶融炉と焼却炉がある場合、ガス化溶融炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のAグループと、焼却炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のBグループとに分けられる。
【0009】
これらの形式より小さい概念の形式でもよい。例えば、廃棄物を処理する炉がガス化溶融炉の場合、炉の形式として、流動床式、シャフト炉式、キルン式がある。この場合、流動床式ガス化溶融炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のグループと、シャフト炉式ガス化溶融炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のグループと、キルン式ガス化溶融炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のグループとに分けられる。また、例えば、廃棄物を処理する炉が焼却炉の場合、炉の形式として、ストーカ式、流動床式、回転炉式がある。この場合、ストーカ式焼却炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のグループと、流動床式焼却炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のグループと、回転炉式焼却炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のグループとに分けられる。
【0010】
大きい概念の形式と小さい概念の形式とが混在してもよい。例えば、ガス化溶融炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のグループと、ストーカ式焼却炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のグループと、流動床式焼却炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のグループと、回転炉式焼却炉を備える廃棄物処理施設が属する第1のグループとに分けられてもよい。
【0011】
第1の通信ネットワークは、例えば、サーバと通信網(通信線)により構成されるネットワーク(仮想ネットワーク)である。後で説明する第2の通信ネットワーク、第3の通信ネットワークも同様である。
【0012】
本発明の上述の廃棄物処理施設ネットワークは、同じ第1のグループに属する廃棄物処理施設を遠隔運転可能にするために、同じ第1のグループに属する廃棄物処理施設間で通信可能な第1の通信ネットワークを備える。このため、第1のグループに属する、ある廃棄物処理施設にいる運転員は、同じ第1のグループに属する別の廃棄物処理施設を遠隔運転できるので、その廃棄物処理施設の運転(操業)を代行することができる。よって、別の廃棄物処理施設では、運転員を配置しないことや、運転員の数を少なくすることが可能になるので、省人化を図ることができる。
【0013】
同じ第1のグループに属する廃棄物処理施設の場合、炉の形式が同じである。炉の形式が同じ場合、施設を構成する機器や装置が同一または類似し、それに伴う運転の仕方も同一または類似することから、廃棄物処理施設の運転が代行されても、廃棄物処理施設を安定に運転することができる。
【0014】
同じ第1のグループに属する廃棄物処理施設において、少なくとも1つの廃棄物処理施設にスキルを有する運転員が配置されていれば、残りの廃棄物処理施設にスキルを有する運転員が配置されていなくても、廃棄物処理施設にトラブルが発生した場合に適切な対応が可能となる。
【0015】
他の一態様では、上述の廃棄物処理施設ネットワークにおいて、廃棄物処理施設間の移動時間が短い単位で複数の第2のグループに分けられた前記複数の廃棄物処理施設において、同じ前記第2のグループ内で人材および物資を支援するために、前記複数の第2のグループのそれぞれに対応して設けられた複数の第2の通信ネットワークをさらに備える。
【0016】
廃棄物処理施設間の移動時間が短い観点から第2のグループに属する廃棄物処理施設が決められる。廃棄物処理施設間の距離が近い廃棄物処理施設が同じ第2のグループに属するようにしてもよいし、距離が近くなくても、廃棄物処理施設間の移動時間が短い廃棄物処理施設が同じ第2のグループに属するようにしてもよい。
【0017】
第1のグループに属する廃棄物処理施設どうしで人材および物資を支援する場合、第1のグループに属する廃棄物処理施設間の移動時間が長ければ、人材および物資を迅速に支援することができない。この構成によれば、同じ第2のグループ内で人材および物資を支援するために、同じ第2のグループに属する廃棄物処理施設間で通信可能な第2の通信ネットワークを備える。このため、同じ第2のグループ内で人材および物資を迅速に支援することができる。
【0018】
他の一態様では、これら上述の廃棄物処理施設ネットワークにおいて、前記複数の廃棄物処理施設のうちの少なくとも1つの廃棄物処理施設は、自身の廃棄物処理施設と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設に前記自身の廃棄物処理施設の運転の代行を依頼する運転代行依頼手段を備える。
【0019】
このような廃棄物処理施設ネットワークは、運転代行依頼手段を備えるので、運転員が自身の廃棄物処理施設の運転の代行を依頼したい場合に、自身の廃棄物処理施設と同じ第1のグループに属する他の廃棄物処理施設に前記代行を依頼できる。
【0020】
他の一態様では、これら上述の廃棄物処理施設ネットワークにおいて、前記複数の廃棄物処理施設のうちの少なくとも1つの廃棄物処理施設は、運転の代行を必要とする所定の事象を検知する事象検知手段と、前記事象検知手段で前記所定の事象を検知した場合に、自身の廃棄物処理施設と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設に前記所定の事象の検知を報知する事象報知手段とを備える。好ましくは、上述の廃棄物処理施設ネットワークにおいて、前記報知を受ける廃棄物処理施設は、前記所定の事象の検知を報知した廃棄物処理施設を遠隔運転可能にするための申請を、自身の廃棄物処理施設と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設に送信する遠隔運転申請手段とを備える。好ましくは、上述の廃棄物処理施設ネットワークにおいて、前記事象検知手段は、人感センサまたは顔認証機能付きカメラを備える。
【0021】
このような廃棄物処理施設ネットワークは、事象検知手段と事象報知手段とを備えるので、運転の代行を必要とする所定の事象を検知すると、自動的に、前記他の廃棄物処理施設に前記所定の事象の検知を報知できる。このため、前記報知を受けた他の廃棄物処理施設の運転員が前記報知した廃棄物処理施設の運転の代行が可能となる。
【0022】
他の一態様では、これら上述の廃棄物処理施設ネットワークにおいて、前記複数の廃棄物処理施設のうちの少なくとも1つの廃棄物処理施設は、自身の廃棄物処理施設と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設における運転の代行を必要とする所定の事象の発生を監視する事象監視手段と、前記所定の事象が発生した他の廃棄物処理施設を遠隔運転可能にするための申請を、自身の廃棄物処理施設と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設に送信する遠隔運転申請手段とを備える。好ましくは、上述の廃棄物処理施設ネットワークにおいて、前記事象監視手段は、前記他の廃棄物処理施設に配置され、前記他の廃棄物処理施設を監視する監視カメラと、前記自身の廃棄物処理施設に配置され、前記他の廃棄物処理施設に配置された監視カメラで撮像された画像を表示する監視モニタとを備える。
【0023】
このような廃棄物処理施設ネットワークは、事象監視手段と遠隔運転申請手段とを備えるので、運転員は、前記他の廃棄物処理施設における運転の代行を必要とする所定の事象の発生を監視でき、前記所定の事象の発生を認識した場合に、前記所定の事象が発生した他の廃棄物処理施設の運転を代行するために、前記所定の事象が発生した他の廃棄物処理施設を遠隔運転可能にするための申請を行うことができる。このため、前記所定の事象が発生した廃棄物処理施設の運転の代行が可能となる。
【0024】
他の一態様では、これら上述の廃棄物処理施設ネットワークにおいて、前記廃棄物処理施設は、予め定められた設備を含み、前記廃棄物処理施設ネットワークは、さらに、前記設備の形式が同じである単位で複数の第3のグループに分けられた前記複数の廃棄物処理施設において、同じ前記第3のグループに属する前記廃棄物処理施設の前記設備を遠隔操作可能にするために、前記複数の第3のグループのそれぞれに対応して設けられた複数の第3の通信ネットワークを備える。
【0025】
前記予め定められた設備とは、例えば、廃棄物処理施設が、廃棄物を処理する炉の他に、破砕設備と、給じん設備と、排ガス冷却設備と、脱硝設備と、集塵設備と、不燃物処理設備と、灰処理設備と、スラグ処理設備と、を含む構成の場合、これらの設備のいずれかである。炉は前述の通り、廃棄物を処理する設備である。破砕設備は、外部から投入された廃棄物を破砕する設備である。給じん設備は、破砕設備により破砕された廃棄物を受け入れて、炉に供給する設備である。排ガス冷却設備は、廃熱ボイラを含み、燃焼により発生した排ガスを冷却する設備である。脱硝設備は、排ガスから窒素酸化物を除去する設備である。集塵設備は、排ガスに含まれる飛灰等を集塵する設備である。不燃物処理設備は、炉から排出される不燃物を処理する設備である。灰処理設備は、集塵設備等から排出される灰を処理する設備である。スラグ処理設備とは、溶融炉から排出されるスラグを処理する設備である。
【0026】
これらの設備の形式は、以下の通りである。例えば、炉の場合は、前述の通り、流動床式、シャフト炉式、キルン式等がある。例えば、破砕設備の場合は、循環型破砕機形式と、一過型破砕機形式等がある。例えば、給じん設備の場合は、給じんコンベヤ形式、給じん装置形式等がある。例えば、排ガス冷却設備の場合は、蒸気ボイラ形式、空気予熱器形式、エコノマイザ形式、減温塔形式等がある。例えば、脱硝設備の場合は、無触媒脱硝形式、触媒脱硝形式等がある。例えば、集塵設備の場合は、湿式集塵形式、乾式集塵形式等がある。例えば、不燃物処理設備の場合は、水冷処理形式、分離処理(磁選機、非鉄選別機等)形式等がある。例えば、灰処理設備の場合は、水冷処理形式、混錬処理形式等がある。例えば、スラグ処理設備の場合は、水砕処理形式、空冷処理形式がある。
【0027】
例えば、予め定められた設備が破砕設備の場合、循環型破砕機形式の破砕設備を備える廃棄物処理施設が属する第3のグループと、一過型破砕機形式の破砕設備を備える廃棄物処理施設が属する第3のグループとに分けられる。
【0028】
この構成は、同じ第3のグループに属する廃棄物処理施設を構成する予め定められた設備を遠隔操作可能にするために、同じ第3のグループに属する廃棄物処理施設間で通信可能な第3の通信ネットワークを備える。このため、第3のグループに属する、ある廃棄物処理施設にいる運転員は、同じ第3のグループに属する別の廃棄物処理施設を構成するその設備を遠隔操作できるので、その設備の操作を代行することができる。廃棄物処理施設の運転の代行ではなく、設備の操作のみを代行してもらいたい場合に有効である。
【0029】
同じ第3のグループに属する廃棄物処理施設の場合、予め定められた設備については形式が同じである。前記設備の形式とは、ある一定の目的のために構成される装置の集まりである。設備の形式が同じ場合、設備の操作の仕方が同一または類似しているので、設備の操作が代行されても、設備を安定に動作させることができる。
【0030】
第1の通信ネットワークとは別に第3の通信ネットワークを設けたのは、炉の形式が同じでも、操作の代行を依頼したい設備(予め定められた設備)の形式が異なる場合があるからである。
【0031】
本発明の他の一態様にかかる廃棄物処理施設ネットワークは、予め定められた設備を備える複数の廃棄物処理施設と、前記設備の形式が同じである単位で複数の第3のグループに分けられた前記複数の廃棄物処理施設において、同じ前記第3のグループに属する前記廃棄物処理施設の前記設備を遠隔操作可能にするために、前記複数の第3のグループのそれぞれに対応して設けられた複数の第3の通信ネットワークと、を備える。
【0032】
前記予め定められた設備は、炉でもよいし、炉と異なる設備でもよい。この廃棄物処理施設ネットワークは、同じ第3のグループに属する廃棄物処理施設に備えられる、予め定められた設備を遠隔操作可能にするために、同じ第3のグループに属する廃棄物処理施設間で通信可能な第3の通信ネットワークを備える。このため、第3のグループに属する、ある廃棄物処理施設にいる運転員は、同じ第3のグループに属する別の廃棄物処理施設に備えられる設備を遠隔操作できるので、その設備の操作を代行することができる。よって、別の廃棄物処理施設では、運転員の数を少なくすることが可能になるので、省人化を図ることができる。
【0033】
上述したように、設備の形式が同じ場合、設備の操作の仕方が同一または類似しているので、設備の操作が代行されても、設備を安定に動作させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明にかかる廃棄物処理施設ネットワークは、複数の廃棄物処理施設について、省人化および安定な運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施形態における廃棄物処理施設ネットワークの構成を示す構成図である。
図2】実施形態における廃棄物処理施設ネットワークにおいて、廃棄物処理施設の運転を代行するための処理を説明するフローチャートである。
図3】実施形態における廃棄物処理施設ネットワークにおいて、人材および物資の支援を依頼するための処理を説明するフローチャートである。
図4】実施形態の第1変形例における廃棄物処理施設ネットワークの構成を示す構成図である。
図5】実施形態の第1変形例における廃棄物処理施設ネットワークにおいて、設備の操作を代行するための処理を説明するフローチャートである。
図6】実施形態の第2変形例における廃棄物処理施設ネットワークの廃棄物処理場に設けられる各装置(設備)を説明するための図である。
図7】実施形態の第2変形例における廃棄物処理施設ネットワークにおいて、設備の操作を代行するための処理を説明するフローチャートである。
図8】実施形態の第3変形例における廃棄物処理施設ネットワークの廃棄物処理場に設けられる各装置(設備)を説明するための図である。
図9】実施形態の第2変形例における廃棄物処理施設ネットワークにおいて、設備の操作を代行するための処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合にはハイフンを省略した参照符号で示し(例えば、廃棄物処理施設11)、個別の構成を指す場合にはハイフンを付した参照符号で示す(例えば、廃棄物処理施設11-1)。
【0037】
図1は、実施形態における廃棄物処理施設ネットワーク100の構成を示す構成図である。廃棄物処理施設ネットワーク100は、複数の廃棄物処理施設11と、複数の第1の通信ネットワーク3と、複数の第2の通信ネットワーク5と、を備える。廃棄物処理施設11の数が6、第1の通信ネットワーク3の数が2、第2の通信ネットワーク5の数が2を例にして説明するが、これらに限定されない。
【0038】
廃棄物処理施設11は、廃棄物処理場(適宜「処理場」と略記する)1に設けられている。廃棄物処理施設11は、炉と、炉の前段に位置し、廃棄物を炉で焼却可能な状態にする設備と、炉の後段に位置し、焼却により生成された俳ガス等を処理する設備と、を備える。廃棄物処理場1には、さらに、廃棄物処理施設11(廃棄物処理施設11の制御部)と通信可能に接続されたサーバ13と、サーバ13と通信可能に接続されたコンピュータ(PC)15と、が設けられている。サーバ13およびコンピュータ15は、廃棄物処理場1に設けられた中央制御室(運転室)に配置されており、廃棄物処理施設11を運転するために用いられる。廃棄物処理場1-1を例にして説明する。廃棄物処理場1-1にいる運転員は、廃棄物処理施設11-1の運転に必要な各種指令等をコンピュータ15-1に入力する。入力された各種指令等は、サーバ13-1を介して、廃棄物処理施設11-1(廃棄物処理施設11-1の制御部)に送られ、廃棄物処理施設11-1の運転が制御される。後で説明するように、サーバ13およびコンピュータ15は、これらが配置されている廃棄物処理場1と異なる廃棄物処理場1に設けられた廃棄物処理施設11の運転(遠隔運転)にも用いられる。
【0039】
廃棄物処理施設11に備えられる炉の形式には、形式A(例えば、流動床式ガス化溶融炉)と形式B(例えば、ストーカ式焼却炉)とがある。炉の形式の数が2つを例にして説明するが、これに限定されない。廃棄物処理施設11-1、11-4、11-6は、形式Aの炉を備える。廃棄物処理施設11-2、11-3、11-5は、形式Bの炉を備える。形式Aの炉を備える廃棄物処理施設11が3つ、形式Bの炉を備える廃棄物処理施設11が3つを例にして説明するが、これに限定されない。
【0040】
6つの廃棄物処理施設11は、炉の形式が同じである単位で、廃棄物処理施設11-1、11-4、11-6が属する第1のグループと、廃棄物処理施設11-2、11-3、11-5が属する第1のグループとに分けられている。第1のグループの数が2を例にして説明するが、これに限定されない。
【0041】
同じ第1のグループに属する廃棄物処理施設11-1、11-4、11-6は、第1の通信ネットワーク3-1によって通信可能に接続されている。同じ第1のグループに属する廃棄物処理施設11-2、11-3、11-5は、第1の通信ネットワーク3-2によって通信可能に接続されている。
【0042】
サーバ13は、これが配置されている廃棄物処理場1に設けられた廃棄物処理施設11、および、同じ第1のグループに属する廃棄物処理施設11を運転するために用いられる。廃棄物処理場1-1を例にすると、廃棄物処理場1-1に配置されたサーバ13-1は、廃棄物処理場1-1に設けられた廃棄物処理施設11-1、廃棄物処理場1-4に設けられた廃棄物処理施設11-4および廃棄物処理場1-6に設けられた廃棄物処理施設11-6を運転するために用いられる。
【0043】
詳しく説明すると、廃棄物処理場1-1にいる運転員は、コンピュータ15-1を操作し、サーバ13-1を介して、廃棄物処理場1-1に設けられた廃棄物処理施設11-1を運転できることに加えて、所定の通信信号を送受信することによって、サーバ13-1、第1の通信ネットワーク3-1、サーバ13-4を介して、廃棄物処理場1-4に設けられた廃棄物処理施設11-4を遠隔運転することができ、所定の通信信号を送受信することによって、サーバ13-1、第1の通信ネットワーク3-1、サーバ13-6を介して、廃棄物処理場1-6に設けられた廃棄物処理施設11-6を遠隔運転することができる。
【0044】
6つの廃棄物処理施設11は、廃棄物処理施設間(言い換えれば、廃棄物処理場間)の移動時間が短い単位で、廃棄物処理施設11-1、11-2、11-3が属する第2のグループと、廃棄物処理施設11-4、11-5、11-6が属する第2のグループとに分けられている。第2のグループの数が2を例にして説明するが、これに限定されない。廃棄物処理施設間の距離が近い廃棄物処理施設11が同じ第2のグループに属するようにしている。これにより、同じ第2のグループに属する廃棄物処理施設11どうしで、人材および物資の迅速な支援ができる。人材および物資の迅速な支援ができる観点から第2のグループに属する廃棄物処理施設11が決められるので、廃棄物処理施設間の距離が近くなくても、廃棄物処理施設間の移動時間が短い廃棄物処理施設11が同じ第2のグループに属するようにしてもよい。
【0045】
同じ第2のグループに属する廃棄物処理施設11-1、11-2、11-3は、第2の通信ネットワーク5-1によって通信可能に接続されている。同じ第2のグループに属する廃棄物処理施設11-4、11-5、11-6は、第2の通信ネットワーク5-2によって通信可能に接続されている。
【0046】
サーバ13は、同じ第2のグループに属する廃棄物処理施設11において、廃棄物処理場1に配置されたコンピュータ15どうしを通信するために用いられる。廃棄物処理場1-1を例にすると、廃棄物処理場1-1に配置されたサーバ13-1は、廃棄物処理場1-1に配置されたコンピュータ15-1と廃棄物処理場1-2に配置されたコンピュータ15-2とを通信するために用いられ、廃棄物処理場1-1に配置されたコンピュータ15-1と廃棄物処理場1-3に配置されたコンピュータ15-3とを通信するために用いられる。
【0047】
詳しく説明すると、廃棄物処理場1-1にいる運転員は、コンピュータ15-1を操作し、サーバ13-1、第2の通信ネットワーク5-1およびサーバ13-2を介して、廃棄物処理場1-2に配置されたコンピュータ15-2と通信することができる。また、廃棄物処理場1-1にいる運転員は、コンピュータ15-1を操作し、サーバ13-1、第2の通信ネットワーク5-1およびサーバ13-3を介して、廃棄物処理場1-3に配置されたコンピュータ15-3と通信することができる。
【0048】
複数のサーバ13(実施形態では6つのサーバ13)は、通信網(通信線)によって接続されている。各サーバ13は、複数の廃棄物処理施設11(実施形態では3つの廃棄物処理施設11)を運転するために用いられ、かつ、複数のコンピュータ15(実施形態では3つのコンピュータ15)同士を通信するために用いられる。これを実現するために、例えば、KVM(Kernel-based Virtual Machine:カーネルベースの仮想マシン)が用いられる。サーバ13としてKVMを用いる場合、第1の通信ネットワーク3および第2の通信ネットワーク5は、KVMのネットワーク(KVM環境のネットワーク、KVMをホストするネットワーク)となる。なお、サーバ13は、KVMに限定されず、他の仮想サーバでもよい。また、サーバ13は、仮想サーバに限定されず、物理サーバでもよい。
【0049】
以上より、第1の通信ネットワーク3-1は、サーバ13-1、13-4、13-6と通信網(通信線)により構成され、第1の通信ネットワーク3-2は、サーバ13-2、13-3、13-5と通信網(通信線)により構成される。第2の通信ネットワーク5-1は、サーバ13-1、13-2、13-3と通信網(通信線)により構成され、第2の通信ネットワーク5-2は、サーバ13-4、13-5、13-6と通信網(通信線)により構成される。
【0050】
実施形態に係る廃棄物処理施設ネットワーク100によれば、第1のグループに属する、ある廃棄物処理施設11は、同じ第1のグループに属する別の廃棄物処理施設11にいる運転員(これは、別の廃棄物処理施設11が設けられた廃棄物処理場1にいる運転員を意味する)によって運転(運転の代行)することができる。図2は、これを説明するフローチャートである。廃棄物処理施設11-1の運転が代行される場合を例にして説明する。何らかの理由で運転員が廃棄物処理施設11-1の運転を行うことができない場合(例えば、廃棄物処理施設11-1にいる運転員が廃棄物処理施設11-1の現場対応等のために中央制御室(運転室)を離れる場合等)や、廃棄物処理施設11-1にトラブルが発生し、廃棄物処理施設11-1(言い換えれば、廃棄物処理場1-1)には、このトラブルに対応できるスキルを有する運転員がいない場合等に、廃棄物処理施設11-1の運転が代行される。
【0051】
図1および図2を参照して、廃棄物処理施設11-1にいる運転員は、コンピュータ15-1に、廃棄物処理施設11-1の運転の代行を依頼する入力をする(S11)。コンピュータ15-1の画面には、運転の代行の依頼が可能な廃棄物処理施設11が表示される。ここでは、廃棄物処理施設11-1と同じ第1のグループに属する廃棄物処理施設11-4、11-6が表示される。
【0052】
廃棄物処理施設11-1にいる運転員は、コンピュータ15-1に、廃棄物処理施設11-4、11-6の中から運転の代行を依頼する廃棄物処理施設11を選択する入力をする(S12)。ここでは、廃棄物処理施設11-4が選択されたとする。これにより、サーバ13-1は、第1の通信ネットワーク3-1およびサーバ13-4を介して、コンピュータ15-1とコンピュータ15-4とを接続する。すなわち、依頼元のコンピュータ15-1と依頼先のコンピュータ15-4とが接続される(S13、T11)。なお、コンピュータ15は、自身の廃棄物処理施設と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設に前記自身の廃棄物処理施設の運転の代行を依頼する運転代行依頼手段の一例に相当する。
【0053】
廃棄物処理施設11-4にいる運転員は、廃棄物処理施設11-1の運転を代行する(T12)。詳しく説明する。コンピュータ15-4には、廃棄物処理施設11-4を運転するための第1の操作画面(例えば、DCS(Distributed Control System)に加えて、別の廃棄物処理施設11を運転するための第2の操作画面(例えば、DCS画面)が接続されている。コンピュータ15-4は、第2の操作画面を廃棄物処理施設11-1の操作画面にする。
【0054】
サーバ13-4は、廃棄物処理施設11-1の運転状態を示す情報やデータを、サーバ13-1に要求する。サーバ13-1は、この要求に応じて、廃棄物処理施設11-1の運転状態を示す情報やデータを、廃棄物処理施設11-1(廃棄物処理施設11-1の制御部)から取得し、第1の通信ネットワーク3-1およびサーバ13-4を介して、コンピュータ15-4に送る。コンピュータ15-4は、送られてきた運転状態を示す情報やデータを第2の操作画面に表示する。
【0055】
廃棄物処理施設11-4にいる運転員は、第2の操作画面を監視し、必要に応じて、廃棄物処理施設11-1を運転するための各種指令等をコンピュータ15-4に入力する。サーバ13-4は、入力された各種指令等を、第1の通信ネットワーク3-1およびサーバ13-1を介して、廃棄物処理施設11-1(廃棄物処理施設11-1の制御部)に送る。これにより、廃棄物処理施設11-1の運転が制御される。
【0056】
なお、廃棄物処理施設11-4にいる運転員は、サーバ13-4、第1の通信ネットワーク3-1およびサーバ13-1を介したコンピュータ15-4とコンピュータ15-1との通信により、廃棄物処理施設11-1にいる運転員と連絡を取りながら廃棄物処理施設11-1の運転を代行してもよい。例えば、廃棄物処理施設11-1にいる運転員は、廃棄物処理施設11-4にいる運転員に廃棄物処理施設11-1に設けられた炉の燃焼状態の監視を依頼し、廃棄物処理施設11-4にいる運転員は、第2の操作画面を用いて、廃棄物処理施設11-1における給じん量、空気流量等の調整をする。
【0057】
代行依頼を終了する場合、廃棄物処理施設11-1にいる運転員(依頼元)は、コンピュータ15-1に、代行依頼終了を示す命令を入力する。これにより、サーバ13-1は、第1の通信ネットワーク3-1およびサーバ13-4を介して、コンピュータ15-1とコンピュータ15-4との接続を終了させる。
【0058】
実施形態における廃棄物処理施設ネットワーク100によれば、同じ第2のグループに属する廃棄物処理施設11において、人材および物資の支援を依頼することができる。図3は、これを説明するフローチャートである。廃棄物処理施設11-1を例にして説明する。
【0059】
図1および図3を参照して、廃棄物処理施設11-1にいる運転員は、コンピュータ15-1に、人材物資の支援を依頼する入力をする(S21)。コンピュータ15-1の画面には、人材物資の支援を依頼が可能な廃棄物処理施設11が表示される。ここでは、廃棄物処理施設11-1と同じ第2のグループに属する廃棄物処理施設11-2、11-3が表示される。
【0060】
廃棄物処理施設11-1にいる運転員は、コンピュータ15-1に、廃棄物処理施設11-2、11-3の中から人材物資の支援を依頼する廃棄物処理施設11を選択する入力をする(S22)。ここでは、廃棄物処理施設11-2が選択されたとする。これにより、サーバ13-1は、第2の通信ネットワーク5-1およびサーバ13-2を介して、コンピュータ15-1とコンピュータ15-2とを接続する。すなわち、依頼元のコンピュータ15-1と依頼先のコンピュータ15-2とが接続される(S23、T21)。
【0061】
廃棄物処理施設11-1にいる運転員は、音声または文書により、廃棄物処理施設11-2にいる運転員に支援を受けたい内容を通知し(S24)、廃棄物処理施設11-2にいる運転員は、この通知を受領する(T22)。処理S24および処理T22は、サーバ13-1、第2の通信ネットワーク5-1およびサーバ13-2を介したコンピュータ15-1とコンピュータ15-2との通信を利用して実行される。なお、処理S24と処理T22間の通信は、サーバ13-1、第2の通信ネットワーク5-1およびサーバ13-2を介したコンピュータ15-1とコンピュータ15-2との通信を利用するものに限らず、KVMを用いたネットワークとは異なる通信手段(例えば、運転員同士による電話やメール、メッセージアプリケーションを用いた通信等)を利用しても良い。
【0062】
なお、廃棄物処理施設ネットワーク100は、第1の通信ネットワーク3を備えているが、第2の通信ネットワーク5を備えていない態様でもよい。この態様では、廃棄物処理施設11の運転を代行することができるが、人材および物資の支援を依頼することはできない。
【0063】
実施形態の第1変形例について、実施形態との相違点を中心にして説明する。図4は、実施形態の第1変形例における廃棄物処理施設ネットワーク200の構成を示す構成図である。第1変形例における廃棄物処理施設ネットワーク200は、実施形態における廃棄物処理施設ネットワーク100と同様に、第1の通信ネットワーク3および第2の通信ネットワーク5を備える。第1変形例における廃棄物処理施設ネットワーク200は、さらに、第3の通信ネットワーク7を備える。第3の通信ネットワーク7は、第1の通信ネットワーク3および第2の通信ネットワーク5と同様に、KVMのネットワークである。
【0064】
廃棄物処理施設11は、複数の設備(例えば、炉の他に、破砕設備、給じん設備、排ガス冷却設備、脱硝設備、集塵設備、不燃物処理設備、灰処理設備、スラグ処理設備等)により構成される。複数の設備のうち、図4には、第3の通信ネットワーク7で通信可能に接続される設備17(予め定められた設備17)が示されている。
【0065】
設備17の形式には、例えば破砕設備の場合、形式p(例えば、循環型破砕機形式)と形式q(例えば、一過型破砕機形式)とがある。設備17の形式の数が2つを例にして説明するが、これに限定されない。廃棄物処理施設11-1、11-4、11-5は、形式pの設備17を備える。廃棄物処理施設11-2、11-3、11-6は、形式qの設備17を備える。形式pの設備17を備える廃棄物処理施設11が3つ、形式qの設備17を備える廃棄物処理施設11が3つを例にして説明するが、これに限定されない。
【0066】
6つの廃棄物処理施設11は、設備17の形式が同じである単位で、廃棄物処理施設11-1、11-4、11-5が属する第3のグループと、廃棄物処理施設11-2、11-3、11-6が属する第3のグループとに分けられている。第3のグループの数が2を例にして説明するが、これに限定されない。
【0067】
同じ第3のグループに属する廃棄物処理施設11-1、11-4、11-5は、第3の通信ネットワーク7-1によって通信可能に接続されている。同じ第3のグループに属する廃棄物処理施設11-2、11-3、11-6は、第3の通信ネットワーク7-2によって通信可能に接続されている。
【0068】
サーバ13は、これが配置されている廃棄物処理場1に設けられた廃棄物処理施設11の設備17、および、同じ第3のグループに属する廃棄物処理施設11の設備17を操作するために用いられる。廃棄物処理施設11-1の設備17-1を例にすると、廃棄物処理場1-1に配置されたサーバ13-1は、廃棄物処理施設11-1の設備17-1、廃棄物処理施設11-4の設備17-4および廃棄物処理施設11-5の設備17-5を操作するために用いられる。
【0069】
詳しく説明すると、廃棄物処理施設11-1にいる運転員は、コンピュータ15-1を操作し、サーバ13-1を介して、廃棄物処理施設11-1の設備17-1を操作できることに加えて、所定の通信信号を送受信することによって、サーバ13-1、第3の通信ネットワーク7-1、サーバ13-4を介して、廃棄物処理施設11-4の設備17-4を遠隔操作することができ、所定の通信信号を送受信することによって、サーバ13-1、第3の通信ネットワーク7-1、サーバ13-5を介して、廃棄物処理施設11-5の設備17-5を遠隔操作することができる。
【0070】
サーバ13-1~13-6は、通信網(通信線)に接続されている。従って、第3の通信ネットワーク7-1は、サーバ13-1、13-4、13-5と通信網(通信線)により構成され、第3の通信ネットワーク7-2は、サーバ13-2、13-3、13-6と通信網(通信線)により構成される。
【0071】
第1変形例に係る廃棄物処理施設ネットワーク200によれば、第3グループに属する、ある廃棄物処理施設11の設備17は、同じ第3のグループに属する別の廃棄物処理施設11にいる運転員によって操作(操作の代行)することができる。図5は、これを説明するフローチャートである。廃棄物処理施設11-1の設備17-1の操作が代行される場合を例にして説明する。廃棄物処理施設11-1の運転が代行されるのではなく、廃棄物処理施設11-1の設備17-1の操作が代行される。設備17-1にトラブルが発生し、廃棄物処理施設11-1(言い換えれば、廃棄物処理場1-1)には、このトラブルに対応できるスキルを有する運転員がいない場合等に、設備17-1の操作が代行される。
【0072】
図4および図5を参照して、廃棄物処理施設11-1にいる運転員は、コンピュータ15-1に、設備17-1の操作の代行を依頼する入力をする(S31)。コンピュータ15-1の画面には、操作の代行の依頼が可能な廃棄物処理施設11が表示される。ここでは、廃棄物処理施設11-1と同じ第3のグループに属する廃棄物処理施設11-4、11-5が表示される。
【0073】
廃棄物処理施設11-1にいる運転員は、コンピュータ15-1に、廃棄物処理施設11-4、11-5の中から操作の代行を依頼する廃棄物処理施設11を選択する入力をする(S32)。ここでは、廃棄物処理施設11-5が選択されたとする。これにより、サーバ13-1は、第3の通信ネットワーク7-1およびサーバ13-5を介して、コンピュータ15-1とコンピュータ15-5とを接続する。すなわち、依頼元のコンピュータ15-1と依頼先のコンピュータ15-5とが接続される(S33、T32)。
【0074】
廃棄物処理施設11-5にいる運転員は、廃棄物処理施設11-1の設備17-1の操作を代行する(T32)。詳しく説明する。コンピュータ15-5には、廃棄物処理施設11-5を運転するための第1の操作画面に加えて、別の廃棄物処理施設11を運転するための第2の操作画面が接続されている。コンピュータ15-5は、第2の操作画面を廃棄物処理施設11-1の操作画面にする(この操作画面には設備17-1の操作画面が含まれる)。
【0075】
サーバ13-5は、設備17-1の操作状態を示す情報やデータを、サーバ13-1に要求する。サーバ13-1は、この要求に応じて、設備17-1の操作状態を示す情報やデータを、設備17-1(設備17-1の制御部)から取得し、第3の通信ネットワーク7-1およびサーバ13-5を介して、コンピュータ15-5に送る。コンピュータ15-5は、送られてきた操作状態を示す情報やデータを第2の操作画面に表示する。
【0076】
廃棄物処理施設11-5にいる運転員は、第2の操作画面を監視し、必要に応じて、設備17-1を操作するための各種指令等をコンピュータ15-5に入力する。サーバ13-5は、入力された各種指令等を、第3の通信ネットワーク7-1およびサーバ13-1を介して、設備17-1(設備17-1の制御部)に送る、これにより、設備17-1の操作が制御される。
【0077】
代行依頼を終了する場合、廃棄物処理施設11-1にいる運転員(依頼元)は、コンピュータ15-1に、代行依頼終了を示す命令を入力する。これにより、サーバ13-1は、第3の通信ネットワーク7-1およびサーバ13-5を介して、コンピュータ15-1とコンピュータ15-5との接続を終了させる。
【0078】
第1変形例は、廃棄物処理施設11の運転の代行ではなく、設備17の操作のみを代行してもらいたい場合に有効となる。
【0079】
なお、廃棄物処理施設ネットワーク200は、第3の通信ネットワーク7を備えているが、第1の通信ネットワーク3および第2の通信ネットワーク5を備えていない態様でもよい。この態様では、廃棄物処理施設11の設備17の操作を代行することができるが、廃棄物処理施設11の運転の代行や、人材および物資の支援を依頼することはできない。
【0080】
次に、実施形態の第2変形例について、実施形態との相違点を中心にして説明する。上述の実施形態では、代行を依頼する処理場1の運転員が依頼先にマニュアル(手動)で代行を依頼したが、第2変形例では、依頼元の処理場1の廃棄物処理施設11が自動的に他の処理場1に代行を依頼する実施形態である。
【0081】
図6は、実施形態の第2変形例における廃棄物処理施設ネットワークの廃棄物処理場に設けられる各装置(設備)を説明するための図である。図7は、実施形態の第2変形例における廃棄物処理施設ネットワークにおいて、設備の操作を代行するための処理を説明するフローチャートである。
【0082】
この第2変形例では、前記複数の廃棄物処理施設11のうちの少なくとも1つの廃棄物処理施設11は、運転の代行を必要とする所定の事象を検知する事象検知手段と、前記事象検知手段で前記所定の事象を検知した場合に、他の廃棄物処理施設11に自身の廃棄物処理施設11の運転の代行を依頼するために、自身の廃棄物処理施設11と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設11に前記所定の事象の検知を報知する事象報知手段とを備える。
【0083】
より具体的には、図1に示す例では、第1のグループに属する全ての、処理場1-1の廃棄物処理施設11-1、処理場1-4の廃棄物処理施設11-4および処理場1-6の廃棄物処理施設11-6が、図6に示すように、運転の代行を必要とする所定の事象を検知する各事象検知手段19-1、19-4、19-6を備え、各コンピュータ15-1、15-4、15-6は、事象報知手段の一例であり、事象検知手段19-1、19-4、19-6で前記所定の事象を検知した場合に、他の廃棄物処理施設に自身の廃棄物処理施設の運転の代行を依頼するために、自身の廃棄物処理施設11と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設11に前記所定の事象の検知を報知する。さらに、この第2変形例では、各コンピュータ15-1、15-4、15-6は、遠隔運転申請手段の一例であり、前記所定の事象の検知を報知した廃棄物処理施設11の運転を代行するために、前記所定の事象の検知を報知した廃棄物処理施設11を遠隔運転可能にするための申請を、自身の廃棄物処理施設11と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設11に送信する。そして、この第2変形例では、前記他の廃棄物処理施設11による代行の申請に対し、さらに他の廃棄物処理施設11が承認した場合に、前記代行の申請が認められ、実行される。これによりセキュリティーが向上する。このため、この第2変形例では、各コンピュータ15-1、15-4、15-6は、前記代行の申請の承認を、前記代行を申請した他の廃棄物処理施設11に送信する代行承認手段としても機能する。
【0084】
運転の代行を必要とする前記所定の事象は、運転の代行を必要とする範囲において、予め適宜に定義されてよいが、例えば、廃棄物処理施設11を運転する必要最小限の人員に満たない場合や、運転員自体が体調不良等の不都合な状況(例えば倒れる等の状況)になってしまって運転の代行を依頼できない場合、等である。
【0085】
事象検知手段19は、例えば、人感センサを備え、コンピュータ15は、前記人感センサの出力に基づいて前記必要最小限の人員を満たすか否かを判定し、この判定の結果、前記必要最小限の人員を満たさない場合に、前記所定の事象を検知したと判定する。より具体的には、前記人感センサは、例えば、個々の熱源(人)を検出する、複数の赤外線センサ素子を画素として2次元アレイ状に配列した画像型人感センサ等であり、前記必要最小限の人員は、例えば2人であり、コンピュータ15は、前記人感センサで検出した熱源が2個未満である場合に、前記所定の事象を検知したと判定する。この場合では、事象検知手段は、前記人感センサおよびコンピュータ15によって構成される。
【0086】
あるいは、事象検知手段19は、例えば、顔認証機能付きカメラを備え、コンピュータ15は、前記顔認証機能付きカメラの出力に基づいて前記必要最小限の人員を満たすか否かを判定し、この判定の結果、前記必要最小限の人員を満たさない場合に、前記所定の事象を検知したと判定する。より具体的には、前記必要最小限の人員は、例えば2人であり、コンピュータ15は、前記顔認証機能付きカメラで認証した顔が2個未満である場合に、前記所定の事象を検知したと判定する。なお、このような顔認証機能付きカメラの場合では、顔と当該顔の運転員の技量とを対応付けて予めコンピュータ15が記憶し、例えば運転員が運転経験の浅い新人等であるため、運転員の技量が他の運転員によってサポートが必要な場合に、前記顔認証機能付きカメラで認証した顔が2個以上であっても、サポートの不要な運転員の顔が2個未満である場合には、コンピュータ15は、前記所定の事象を検知したと判定してもよい。この場合では、事象検知手段は、前記顔認証機能付きカメラおよびコンピュータ15によって構成される。
【0087】
第2変形例にかかる廃棄物処理施設ネットワーク100は、自身の廃棄物処理施設11で運転の代行を必要とする所定の事象を検知すると、自動的に、他の廃棄物処理施設11に前記所定の事象の検知を報知できる。このため、前記報知を受けた他の廃棄物処理施設11の運転員が前記報知した廃棄物処理施設11の運転の代行が可能となる。図7は、これを説明するフローチャートである。処理場1-1で前記所定の事象が発生し、処理場1-4の運転員が廃棄物処理施設11-1の運転の代行を申請し、処理場1-6の運転員がその代行の申請を承認する場合を例にして説明する。
【0088】
図7において、処理場1-1において、或る時刻t1に前記所定の事象が発生すると、処理場1-1の事象検知手段19-1は、前記所定の事象の発生を検知する(S51)。例えば前記所定の事象は、廃棄物処理施設11を運転する必要最小限の人員に満たない場合であり、前記事象検知手段の19-1の一例を構成する例えば人感センサおよびコンピュータ15-1では、前記人感センサは、検出結果をコンピュータ15-1へ出力し、前記コンピュータ15-1は、この人感センサの検出結果に基づき前記所定の事象の発生を検知する。
【0089】
前記所定の事象の発生を検知すると、コンピュータ15-1は、事象報知手段の一例として、サーバ13-1および第1の通信ネットワーク3-1を介して、自身の廃棄物処理施設11-1と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設11-4、11-6に前記所定の事象の検知を同報通信で報知する(S52)。前記同報通信は、例えばブロードキャストであってよく、マルチキャストであってよい。
【0090】
前記第1のグループに属する廃棄物処理施設11-4の処理場1-4では、コンピュータ15-4は、サーバ13-4を介して前記報知を受信し、前記報知を例えば表示や警報等により出力する(T51)。同様に、前記第1のグループに属する廃棄物処理施設11-6の処理場1-6では、コンピュータ15-6は、サーバ13-6を介して前記報知を受信し、前記報知を例えば表示や警報等により出力する(C51)。
【0091】
前記所定の事象の発生の報知により、処理場1-4の運転員は、前記所定の事象の検知を報知した廃棄物処理施設11-1を遠隔運転可能にするための申請を示す命令を、コンピュータ15-4に、入力する。これにより、コンピュータ15-4は、遠隔運転申請手段の一例として、サーバ13-4および第1の通信ネットワーク3-1を介して、前記所定の事象の検知を報知した廃棄物処理施設11-1を遠隔運転可能にするための申請を、自身の廃棄物処理施設11-4と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設11-1、11-6に同報通信で送信する(T52)。なお、自身の廃棄物処理施設11-4と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設11-1、11-6の、前記所定の事象の発生を報知した廃棄物処理施設11-1を除く残余の廃棄物処理施設11-6のみにマルチキャストで前記申請が送信されてもよい。
【0092】
前記第1のグループに属する廃棄物処理施設11-6の処理場1-6では、コンピュータ15-6は、サーバ13-6を介して前記申請を受信し、前記申請を例えば表示等により出力する(C52)。処理場1-6の運転員は、前記他の廃棄物処理施設11-4による代行の申請の承認を示す命令を、コンピュータ15-6に、入力する。これにより、コンピュータ15-6は、代行承認手段の一例として、サーバ13-6および第1の通信ネットワーク3-1を介して、前記代行の申請の承認を、前記代行を申請した他の廃棄物処理施設11-4に送信(返信)する(C53)。
【0093】
前記代行を申請した他の廃棄物処理施設11-4は、第1の通信ネットワーク3-1およびサーバ13-4を介して、この返信の前記代行の申請の承認を受信する(T53)。この返信の前記代行の申請の承認を受信すると、サーバ13-4は、第1の通信ネットワーク3-1およびサーバ13-1を介して、コンピュータ15-4とコンピュータ15-1とを接続する。すなわち、代行元(申請元)のコンピュータ15-4と代行先(報知元)のコンピュータ15-1とが接続される(S53、T54)。
【0094】
処理場1-4の運転員は、上述の実施形態と同様に、廃棄物処理施設11-1の運転を代行する(T55)。
【0095】
代行を終了する場合、廃棄物処理施設11-1にいる運転員(代行先)は、コンピュータ15-1に、代行の終了を示す命令を入力する。これにより、サーバ13-1は、第1の通信ネットワーク3-1およびサーバ13-4を介して、コンピュータ15-1とコンピュータ15-4との接続を終了させる。
【0096】
なお、上述では、前記申請の承認の有無は、前記申請を行ったコンピュータ15-4が判断したが、前記所定の事象の発生を報知したコンピュータ15-1が前記申請と前記承認とを受信することにより、前記申請の承認の有無を判定してもよい。前記申請に前記承認があると判定した場合に、代行先(報知元)のコンピュータ15-1は、代行元(申請元)のコンピュータ15-4と接続する。
【0097】
また、上述では、前記申請および前記承認が用意されたが、前記申請だけであってもよい。例えば、各廃棄物処理施設11は、申請のみ可能であり、前記所定の事象の発生の報知後、最初の申請を真の申請と見なし、その後の申請を承認と見なしてもよい。この場合では、前記真の申請と前記承認とは、前記所定の事象の発生の報知したコンピュータが判定することが好ましい。
【0098】
実施形態の第3変形例について、実施形態との相違点を中心にして説明する。上述の実施形態では、代行を依頼する処理場1の運転員が依頼先にマニュアルで代行を依頼したが、第3変形例では、各処理場1の各運転員が互いにモニタ(監視)し合い、代行の必要性を発見した場合に、その処理場1の廃棄物処理施設11の運転を代行する実施形態である。
【0099】
図8は、実施形態の第3変形例における廃棄物処理施設ネットワークの廃棄物処理場に設けられる各装置(設備)を説明するための図である。図9は、実施形態の第2変形例における廃棄物処理施設ネットワークにおいて、設備の操作を代行するための処理を説明するフローチャートである。
【0100】
この第3変形例では、前記複数の廃棄物処理施設11のうちの少なくとも1つの廃棄物処理施設11は、自身の廃棄物処理施設11と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設11における運転の代行を必要とする所定の事象の発生を監視する事象監視手段と、前記所定の事象が発生した他の廃棄物処理施設11の運転を代行するために、前記所定の事象が発生した他の廃棄物処理施設11を遠隔運転可能にするための申請を、自身の廃棄物処理施設11と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設11に送信する遠隔運転申請手段とを備える。
【0101】
より具体的には、図1に示す例では、第1のグループに属する全ての、処理場1-1の廃棄物処理施設11-1、処理場1-4の廃棄物処理施設11-4および処理場1-6の廃棄物処理施設11-6が、図8に示すように、自身の廃棄物処理施設11と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設11における運転の代行を必要とする所定の事象の発生を監視する事象監視手段21-1、21-4、21-6を備え、各コンピュータ15-1、15-4、15-6は、遠隔運転申請手段の一例であり、前記所定の事象が発生した他の廃棄物処理施設11の運転を代行するために、前記所定の事象が発生した他の廃棄物処理施設11を遠隔運転可能にするための申請を、自身の廃棄物処理施設11と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設11に送信する。そして、この第3変形例でも、上記第2変形例と同様に、前記他の廃棄物処理施設11による代行の申請に対し、さらに他の廃棄物処理施設11が承認した場合に、前記代行の申請が認められ、実行される。このため、この第3変形例では、各コンピュータ15-1、15-4、15-6は、前記代行の申請の承認を、前記代行を申請した他の廃棄物処理施設11に送信する代行承認手段としても機能する。
【0102】
事象監視手段21は、自身の廃棄物処理施設11に対する前記他の廃棄物処理施設11に配置され、前記他の廃棄物処理施設11を監視する監視カメラ211と、前記自身の廃棄物処理施設11に配置され、前記他の廃棄物処理施設11に配置された監視カメラ211で撮像された画像を表示する監視モニタ212とを備える。各監視モニタ212は、各コンピュータ15、各サーバ13および第1の通信ネットワーク3-1を介して、各監視カメラ211に接続され、各画像を表示する。図1に示す例では、処理場1-1の監視カメラ211-1は、処理場1-4、1-6の各監視モニタ212-4、212-6に接続され、処理場1-4の監視カメラ211-4は、処理場1-6、1-1の各監視モニタ212-6、212-1に接続され、処理場1-6の監視カメラ211-6は、処理場1-1、1-4の各監視モニタ212-1、212-4に接続される。そして、処理場1-1の監視モニタ212-1には、各処理場1-4、1-6の各監視カメラ211-4、211-6で撮像された各画像が表示され、処理場1-4の監視モニタ212-4には、各処理場1-6、1-1の各監視カメラ211-6、211-1で撮像された各画像が表示され、処理場1-6の監視モニタ212-6には、各処理場1-1、1-4の各監視カメラ211-1、211-4で撮像された各画像が表示される。
【0103】
第3変形例にかかる廃棄物処理施設ネットワーク100では、運転員は、前記他の廃棄物処理施設11における運転の代行を必要とする所定の事象の発生を監視でき、前記所定の事象の発生を認識した場合に、前記所定の事象が発生した他の廃棄物処理施設11の運転を代行するために、前記所定の事象が発生した他の廃棄物処理施設11を遠隔運転可能にするための申請を行うことができる。このため、前記所定の事象が発生した廃棄物処理施設11の運転の代行が可能となる。図9は、これを説明するフローチャートである。処理場1-1で前記所定の事象が発生し、処理場1-4の運転員が廃棄物処理施設11-1の運転の代行を申請し、処理場1-6の運転員がその代行の申請を承認する場合を例にして説明する。
【0104】
図9において、処理場1-1において、或る時刻t2に前記所定の事象が発生すると、処理場1-4の運転員は、監視モニタ212-4に表示された、監視カメラ211-1による画像を参照することによって、前記時刻t2後の或る時刻t3に、前記所定の事象の発生を認識する。前記所定の事象は、例えば、処理場1-1の運転員が何らかの理由で倒れているとする。
【0105】
前記所定の事象の発生を認識した処理場1-4の運転員は、処理場1-1の異常事態を所要の箇所に通報する。コンピュータ15-4には、代行の可能な廃棄物処理施設11-1、11-6が表示されており、前記所定の事象の発生を認識した運転員は、廃棄物処理施設11-1、11-6の中から運転を代行する廃棄物処理施設11-1の選択を示す命令を入力する(T61)。
【0106】
これにより、コンピュータ15-4は、遠隔運転申請手段の一例として、サーバ13-4および第1の通信ネットワーク3-1を介して、前記所定の事象が発生した他の廃棄物処理施設11-1を遠隔運転可能にするための申請を、上述の処理T52と同様に、自身の廃棄物処理施設11-4と同じ前記第1のグループに属する他の廃棄物処理施設11-1、11-6に同報通信で送信する(T62)。
【0107】
前記第1のグループに属する廃棄物処理施設11-6の処理場1-6では、コンピュータ15-6は、上述の処理C51と同様に、サーバ13-6を介して前記申請を受信し、前記申請を例えば表示等により出力する(C61)。処理場1-6の運転員は、前記他の廃棄物処理施設11-4による代行の申請の承認を示す命令を、コンピュータ15-6に、入力する。これにより、コンピュータ15-6は、代行承認手段の一例として、上述の処理C52と同様に、サーバ13-6および第1の通信ネットワーク3-1を介して、前記代行の申請の承認を、前記代行を申請した他の廃棄物処理施設11-4に送信(返信)する(C62)。
【0108】
前記代行を申請した他の廃棄物処理施設11-4は、第1の通信ネットワーク3-1およびサーバ13-4を介して、この返信の前記代行の申請の認証を受信する(T63)。この返信の前記代行の申請の承認を受信すると、サーバ13-4は、第1の通信ネットワーク3-1およびサーバ13-1を介して、コンピュータ15-4とコンピュータ15-1とを接続する。すなわち、代行元(申請元)のコンピュータ15-4と代行先(報知元)のコンピュータ15-1とが接続される(S62、T64)。
【0109】
処理場1-4の運転員は、上述の実施形態と同様に、廃棄物処理施設11-1の運転を代行する(T65)。
【0110】
代行を終了する場合、廃棄物処理施設11-1にいる運転員(代行先)は、コンピュータ15-1に、代行の終了を示す命令を入力する。これにより、サーバ13-1は、第1の通信ネットワーク3-1およびサーバ13-4を介して、コンピュータ15-1とコンピュータ15-4との接続を終了させる。
【0111】
なお、上述の第3変形例において、例えば、第1の通信ネットワーク3-1には、さらに、処理場1-7の廃棄物処理施設11-7および処理場1-8の廃棄物処理施設11-8があり、処理場1-1で前記所定の事象が発生し、処理場1-4の運転員が廃棄物処理施設11-1の運転の代行を申請し、処理場1-6の運転員がその代行の申請を承認するとともに、処理場1-7の運転員が廃棄物処理施設11-1の運転の代行を申請し、処理場1-8の運転員がその代行の申請を承認する場合があり得る。このような場合では、例えば、時間的に最先に、前記所定の事象が発生した処理場1-1のコンピュータ15-1と接続しようとしたコンピュータ15のみに接続を許可するように構成すればよい。
【0112】
なお、これら上述の第2および第3変形例では、代行の終了は、代行中に終了したが、代行元のコンピュータ15が代行先のコンピュータ15に接続する前に、代行がキャンセルされてもよい。例えば、上述の例において、前記所定の事象の発生を報知した処理場1-1のコンピュータ15-1には、例えば報知中等の表示が出力され、例えば不在の運転員が復帰し、この復帰した運転員等がコンピュータ15-1に代行のキャンセルを示す命令を入力する。これにより、代行元(申請元)のコンピュータ15-4が代行先(報知元)のコンピュータ15-1と接続しようとした場合に、代行先(報知元)のコンピュータ15-14は、代行の終了を通知して前記接続を拒否する。また、前記代行の終了は、運転員同士が例えば電話や電子メールやメッセージアプリケーション等で連絡を取り合って各運転員が自身の処理場1のコンピュータに代行の終了を示す命令を入力してもよい。同様に、前記接続の拒否は、運転員同士が例えば電話や電子メールやメッセージアプリケーション等で連絡を取り合って代行元の運転員が自身の処理場1のコンピュータに接続の中止を示す命令を入力してもよい。
【0113】
また、これら上述の第2および第3変形例では、前記申請と前記承認とは、互いに異なる処理場1での運転員によって実施されたが、同一処理場1での互いに異なる運転員によって実施されてもよい。運転員には、承認の実施を認められた運転員と、運転員を特定し識別するための識別子(運転員ID)とが対応付けられ、この対応関係がコンピュータ15に予め記憶される。まず、申請を実施する運転員が自己の運転員IDおよび申請を入力し、承認を実施する運転員が自己の運転員IDおよび承認を入力する。コンピュータ15は、前記申請を入力した運転員IDと前記承認を入力した運転員IDが互いに異なり、かつ、前記承認を入力した運転員IDが前記対応関係により承認の実施を認められた運転員の運転員IDである場合に、前記申請に対し承認があったと判定する。
【0114】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0115】
1-1~1-6 廃棄物処理場
11-1~11-6 廃棄物処理施設
13-1~13-6 サーバ
15-1~15-6 コンピュータ
17-1~17-6 設備
19(19-1、19-4、19-6) 事象検知手段
21(21-1、21-4、21-6) 事象監視手段
3-1~3-2 第1の通信ネットワーク
5-1~5-2 第2の通信ネットワーク
7-1~7-2 第3の通信ネットワーク
100、200 廃棄物処理施設ネットワーク
211(211-1、211-4、211-6) 監視カメラ
212(212-1、212-4、212-6) 監視モニタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9