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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】配電機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/24 20060101AFI20240613BHJP
   H01R 9/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01R9/24
H01R9/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021020663
(22)【出願日】2021-02-12
(65)【公開番号】P2022123381
(43)【公開日】2022-08-24
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出原 侑昌
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-13654(JP,U)
【文献】実開昭59-165641(JP,U)
【文献】実開昭58-165866(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0307650(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/24
H01R 9/00
H02B 1/26
H05K 5/03
H01H 9/02
H01H 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、他の配電機器の端子部にバスバーを介して電気的に接続される端子部と、前記端子部とともに他の配電機器の端子部及びバスバーの上方を覆うことが可能な板状の端子カバーと、を備えた配電機器であって、
板状の端子カバーを本体の設置面に対して傾くように取り付けるためのカバー設置部を有する配電機器。
【請求項2】
カバー設置部は、本体の上面に設けられ、
前記カバー設置部は、本体の中心側から他の配電機器に接続される端子部側に向かうにつれて上方に向けて傾斜した傾斜面である請求項1に記載の配電機器。
【請求項3】
端子カバーと本体の間に空間部を備え、
端子カバーをカバー設置部に載置した状態で空間部の上方から端子カバーを押圧することで、端子カバーの一端が上昇するように反らせることが可能な請求項1又は2に記載の配電機器。
【請求項4】
端子台として用いられ、
他の配電機器に電気的に接続される配電機器の端子部の上部に、板状の端子カバーを備え、
もう一方の端子部の上部に、回動可能な端子カバーを備える請求項1から3の何れかに記載の配電機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子部を有する配電機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、端子台などの配電機器をブレーカと隣接配置し、配電機器の端子部をバスバーで接続することが知られている。また、一方の配電機器の端子部の上部に設けた端子カバーの一端を、もう一方の配電機器の端子部の上部まで延長することで、両方の配電機器の端子部及びバスバーを保護する構造とすることも特許文献1に開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載される上面が水平に形成された本体に板状の端子カバーを取り付けた場合、端子台の端子部の高さが、ブレーカの端子部の高さと略同一若しくはブレーカの端子部の高さよりも低い場合にしか使用できず、単一の端子台で端子部の高さの異なるブレーカに対応することができない。
【0004】
一方、特許文献2に記載される端子台では、本体の上面を水平に形成しつつ、その上面に取付けられた端子カバーを、端子台の上面よりも高い位置から突き出された舌片状の庇が形成されている形状としている。そうすることで、特許文献1での課題であった、端子部の高さが端子台よりも高いブレーカであっても、対応することにできるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平06-088117号公報
【文献】特開2001-319707号公報
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の構成では、端子カバーの形状が複雑となる。そのため、製造コストが増加してしまう虞があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、板状の端子カバーであっても、高さの異なる他の配電機器の端子部を覆うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本体と、他の配電機器の端子部にバスバーを介して電気的に接続される端子部と、前記端子部とともに他の配電機器の端子部及びバスバーの上方を覆うことが可能な板状の端子カバーと、を備えた配電機器であって、板状の端子カバーを本体の設置面に対して傾くように取り付けるためのカバー設置部を有する配電機器とする。
【0009】
また、カバー設置部は、本体の上面に設けられ、前記カバー設置部は、本体の中心側から他の配電機器に接続される端子部側に向かうにつれて上方に向けて傾斜した傾斜面とすることが好ましい。
【0010】
また、端子カバーと本体の間に空間部を備え、端子カバーをカバー設置部に載置した状態で空間部の上方から端子カバーを押圧することで、端子カバーの一端が上昇するように反らせることが可能な構成とすることが好ましい。
【0011】
また、端子台として用いられ、他の配電機器に電気的に接続される配電機器の端子部の上部に、板状の端子カバーを備え、もう一方の端子部の上部に、回動可能な端子カバーを備える構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、板状の端子カバーであっても、高さの異なる他の配電機器の端子部を覆うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態における端子台の斜視図である。
図2図1に示す端子台から電源側端子カバーと負荷側端子カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
図3図1に示す端子台の平面図である。
図4図1に示す端子台をブレーカに接続した状態を示す斜視図である。
図5図1に示す端子台をブレーカに接続した状態を示す側面図である。
図6図1に示す端子台をブレーカに接続した状態を示す断面図である。
図7】側面視階段状のカバー設置部とした端子台の側面図である。
図8図1及び図7に示す形態とは異なるカバー設置部を有する端子台の側面図である。
図9図1に示す端子台の負荷側端子カバーを回動させた状態を示す側面図である。
図10】端子台の端子とブレーカの端子が同じ高さにある例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1乃至図6に示されていることから理解されるように、本実施形態の配電機器は、本体11と、他の配電機器の端子部51にバスバー91を介して電気的に接続される端子部1Aと、前記端子部1Aとともに他の配電機器の端子部51及びバスバー91の上方を覆うことが可能な板状の端子カバーと、を備えている。また、この配電機器は板状の端子カバーを本体11の設置面XYに対して傾くように取り付けるためのカバー設置部11dを有する。このため、板状の端子カバーであっても、高さの異なる他の配電機器の端子部51を覆うことが可能となる。
【0015】
なお、この発明は、隣接配置される配電機器の端子部同士が、バスバー等で電気的に接続される場合に利用される構成に関するものである。この明細書でいう配電機器には、端子台やブレーカの他、端子部を備えたその他の電気電子機器が該当するが、以下では、カバー設置部を有する配電機器を端子台、端子台に隣接される配電機器をブレーカとして説明を行う。
【0016】
実施形態における端子台1は、バスバー91によってブレーカ5に接続される電源側端子部1Aと、負荷が接続される負荷側端子部1Bとを備えている。また、電源側端子部1Aと負荷側端子部1Bは回路毎に形成された端子を備えている。また、端子台1には、それぞれの端子間の絶縁距離を確保するように仕切る隔壁11aを備えている。
【0017】
端子台1には、一端側に設けられた電源側端子部1Aと他端側に設けられた負荷側端子部1Bを繋ぐように導電性の端子板12が備えられている。この端子板12は電源側端子部1Aと負荷側端子部1Bを繋ぐ電気の通路である。
【0018】
負荷側端子部1Bには、端子板12の一端側に隣接するように、ボックス端子13が備えられている。このボックス端子13は、ロ字状の端子金具13aと、座金13bと、端子金具13a及び座金13bに接する端子ねじ13cと、を備えており、この端子金具13aの内側の空間に位置する座金13bは、端子ねじ13cを回転させることにより上下方向に移動させることができる。
【0019】
この座金13bは端子板12と対向するように位置するものであり、座金13bを上下方向に移動させることで端子板12との距離が調整できる。このような構造としたため、端子板12と座金13bにより電線を挟持することができる。また、このようにして挟持した電線を介して端子台1から負荷に電気を送ることができる。
【0020】
この負荷側端子部1Bの上部には、端子ねじ13cを覆うことが可能な負荷側端子カバー14を備えている。この負荷側端子カバー14は回動の中心軸となる回動軸部14aを備えている。実施形態の回動軸部14aは負荷側端子カバー14の左右方向の中央部付近から突出するように形成された部位に設けられている。この回動軸部14aが本体11に形成された軸受部11bに対して回動可能に嵌合することで、負荷側端子カバー14が回動可能に本体11接続されることになる。なお、この負荷側端子カバー14を回動させることで、ボックス端子13の上側を覆った状態と覆っていない状態の切り替えをすることができる。
【0021】
なお、実施形態の負荷側端子カバー14に備えられた回動軸部14aは左右方向に向かって延びる4つの軸で構成されている。このため、本体11に備えられた軸受部11bは、それに対応するように4つの軸受けを備えている。左右方向に並んだ4つの軸受けのうち、中央よりの2つの軸受けは、上方が開放されており、それに対応する軸を上方から挿入することができる。また、4つの軸受けのうち、左右両端の2つの軸受けは、左右方向から軸を嵌合可能な凹部を有している。この凹部に軸を嵌める際には、それに対応する軸を左右方向に弾性変形するように撓ませてから、凹部や軸を適所に移動させ、その後に弾性変形させていた力を解除すればよい。
【0022】
次に、電源側端子部1Aについて説明する。電源側端子部1Aには、ブレーカ5と電気的に接続するバスバー91を接続するためのねじ端子15が設けられている。板状の電源側端子カバー16で、このねじ端子15の上部を覆う。また、この電源側端子カバー16は、端子台1の電源側端子部1A側の上面に載置されるが、電源側端子部1Aのねじ端子15を覆うとともに、ねじ端子15に接続されるバスバー91と、バスバー91のもう一方の端部に接続されるブレーカ5の端子部51の上部も覆うことができる。
【0023】
このようなことを可能とするため、図1及び図3に示す例の電源側端子カバー16は、端子台1の電源側端子部1Aに備えたねじ端子15を覆うことが可能な本体部16aと、本体部16aから延びる複数の延長部16bを備えている。図4から図6に示すことから理解されるように、この延長部16bによりブレーカ5の端子部51を覆う。また電源側端子カバー16は本体部16aと延長部16bによりバスバー91を覆う。この、延長部16bは、端子台1及びブレーカ5の回路数に応じた数だけ形成されればよい。なお、実施形態の延長部16bには、ブレーカ5の端子部51を検電するための孔16cが備えられている。
【0024】
ところで、実施形態の電源側端子カバー16は本体11に載置された状態で動きが規制されるが、このような規制をするために、電源側端子カバー16の本体部16aに孔部16dが設けられている。この孔部16dが、電源側端子部1Aの隔壁11aの上面に設けられた規制部11cに嵌合することにより、電源側端子カバー16の本体11に対する前後方向及び左右方向への動きが規制される。
【0025】
なお、実施形態では、電源側端子カバー16の本体部16aの中央側端部に突出部16eが設けられている。この突出部16eを軸受部11bに向けて前方向に移動させることで、本体11の軸受部11bと嵌合することができる。したがって、電源側端子カバー16は本体11に対する上下方向への動きが規制される。これらの孔部16dと突出部16eが本体11に嵌合することで、電源側端子カバー16が本体11から脱落することを抑制することができる。
【0026】
ところで、実施形態では、板状の電源側端子カバー16が載置される本体11の上面には、電源側端子カバー16を本体11の設置面XYに対して傾くように取り付けるためのカバー設置部11dを有する。実施形態では、カバー設置部11dを設けるために、本体11の中心側から他の配電機器に接続される端子部側に向かうにつれて上方に向けて傾斜した傾斜面を本体11に備えた構造としている。この傾斜面に沿って電源側端子カバー16を載置すると、電源側端子カバー16は本体11の設置面XYに対して傾いた状態となる。なお、傾斜面で電源側端子カバー16を支えるようにすれば、電源側端子カバー16のがたつきを抑制することができる。
【0027】
カバー設置部11dは、傾斜面状に設ける必要は無い。例えば、図7に示すことから理解されるように、側面視で階段形状となる部位であってもよい。
【0028】
また、図8に示すことから理解されるように、本体11の電源側端子部1A側の上面は水平に形成されるが、電源側端子カバー16の孔部16dと本体11の規制部11cの嵌合位置が、電源側端子カバー16の突出部16eと本体11の軸受部11bの嵌合位置よりも高い位置にあることにより、電源側端子カバー16が傾斜して取り付けられるようにしてもよい。
【0029】
なお、実施形態では、電源側端子カバー16の取り外しを容易にするため、電源側端子カバー16と本体11の間に空間部19を備え、電源側端子カバー16をカバー設置部11dに載置した状態で空間部19の上方から端子カバーを押圧することで、電源側端子カバー16の一端が上昇するように反らせることが可能な構成としている。
【0030】
ところで、実施形態では、ブレーカ5など他の配電機器に電気的に接続される端子台1の端子部の上部に、板状の電源側端子カバー16を備え、端子台1のもう一方の端子部の上部に、回動可能な負荷側端子カバー14を備えている。
【0031】
図9などに示すことから理解されるように、負荷側端子部1Bを覆う負荷側端子カバー14は、軸部を中心に回動することにより、電源側端子部1Aの上方まで倒れ込む状態となるが、板状の電源側端子カバー16を傾斜して取り付けるように構成しているため、負荷側端子カバー14の倒れ込みを許容する空間を大きめにすることができる。したがって、負荷側端子カバー14をより大きな角度で倒れ込ませることが可能となり、負荷側端子部1Bに電線を接続する際の作業性を向上させることができる。
【0032】
これらの説明から理解できるように、本発明の構成を採用した端子台1は、端子台1の電源側端子部1Aの端子よりも端子の位置が高いブレーカ5に対して、隣接配置し、バスバー91で接続することができる。また、安価な構造で両方の端子部とバスバー91とを覆うことができる。
【0033】
また、本発明の構成を採用した端子台1に隣接されるブレーカ5は、端子台1の電源側端子部1Aの端子よりも端子の位置が高いブレーカ5に限られない。図10に示すことから理解されるように、端子の位置の高さが同程度若しくは低いブレーカ5に対しても、同様の効果を得ることができる。これらの例から理解できるように、本発明を採用することにより、構造コストが安価であるにもかかわらず、隣接させることができる配電機器のバリエーションを広げることができる。
【0034】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 端子台
11 本体
11d カバー設置部
19 空間部
91 バスバー
XY 設置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10