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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】多層式睡眠システム
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20240613BHJP
   A47G 9/10 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A47C27/15 Z
A47G9/10 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021514613
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 CA2019051299
(87)【国際公開番号】W WO2020056495
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】62/732,022
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521103727
【氏名又は名称】アクティブ アンド イノベイティブ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(74)【代理人】
【識別番号】100217467
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴崎 一磨
(72)【発明者】
【氏名】オズワルド、クリストファー アラン
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-509376(JP,A)
【文献】特表2001-519186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0224126(US,A1)
【文献】特開2009-183513(JP,A)
【文献】登録実用新案第3184215(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0305514(US,A1)
【文献】米国特許第05953779(US,A)
【文献】特開2011-189109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00-27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレスであって、
頭側領域、脚側領域、及び、前記頭側領域及び前記脚側領域よりも硬く、前記マットレスに側臥位で寝るユーザの身体の臀部付近への支持を提供するよう構成された中央領域を含むとともに、前記ユーザの肩付近から身体の中央にかけて脊柱がアライメントされた姿勢を維持する支持を提供するよう構成された2つの領域性マットレス部品と、
互いに異なる均一の硬さを有する2つの一様性マットレス部品と、
を含む少なくとも4つのマットレス部品の積層体を備え、
前記2つの領域性マットレス部品により前記マットレスに形成される領域性パターンは、脊柱がアライメントされた姿勢を維持する支持及び硬さパターン、並びに、異なる全体硬さを提供するように、異なるユーザに異なる領域性パターンを提供すべく、少なくとも3つのマットレス部品の厚み方向の配置を変更することで調整可能であり、
1)前記2つの一様性マットレス部品が、前記2つの領域性マットレス部品の間において、前記2つの一様性マットレス部品のうちのより硬い一様性マットレス部品が前記厚み方向における上側になるように配置されている場合に、最大60%の人に対して、前記マットレスに側臥位で寝るユーザの身体の臀部付近への支持を提供可能であるか、
2)前記2つの一様性マットレス部品が、前記2つの領域性マットレス部品の間において、前記2つの一様性マットレス部品のうちのより柔らかい一様性マットレス部品が前記厚み方向における上側になるように配置されている場合に、最大30%の人に対して、前記マットレスに側臥位で寝るユーザの身体の臀部付近への支持を提供可能であるか、
3)前記マットレス部品の前記積層体のその他の配置は、残りの10%の人に対して、前記マットレスに側臥位で寝るユーザの身体の臀部付近への支持を提供可能である、マットレス。
【請求項2】
互いに異なる硬さレベルを提供する2つ以上の部品から成る上敷き部品を備える、請求項1に記載のマットレス。
【請求項3】
少なくとも4つのマットレス部品の積層体を2つ以上備え、少なくとも4つ以上のマットレス部品から成る前記2つ以上の各積層体における領域性パターンは、互いに独立して調整可能である、請求項2に記載のマットレス。
【請求項4】
前記上敷き部品は、少なくとも4つのマットレス部品から成る前記2つ以上の積層体を実質的に覆っており、前記マットレスに連続性を持たせるよう構成されている、請求項3に記載のマットレス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のマットレスと、
マルチフィット式枕と、を備え、
前記マットレス及び前記枕は、前記ユーザの脊柱がアライメントされた姿勢を維持する支持を提供するよう構成されている、睡眠システム。
【請求項6】
前記マットレスによる支持を最大限にする堅固な支持土台をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年9月17日に出願された米国特許仮出願第62/732,022号を基礎とする優先権を主張する。同基礎出願の明細書は、参照により本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本出願は、概して、マットレスに関し、より具体的には、多層式マットレスに関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、請求の範囲に記載された発明の背景や前提を提示することを目的とする。本セクションにおける説明には、権利化可能な概念が含まれている場合があるが、そのような概念が必ずしも既に着想され、或いは権利化されているとは限らない。よって、特段の記載がない限り、本セクションに含まれる記載は、本開示及び請求の範囲に対する先行技術を構成するものではない。また、本セクションに記載されていることによって、先行技術であると認められるものでもない。
【0004】
近年は、様々な堅さ(hardness)又は硬さ(firmness)のマットレスを選択することができる。マットレスの硬さは、概ね、個々のマットレス及び基体(base)の製造時に選択される素材によって決まる。また、1つのベッドにおける部分ごとに、硬さを変えることも可能である。
【0005】
さらに、今日では、マットレスの購入後にユーザが硬さを調節可能なマットレスもあり、購入者が受ける制約を解決する有用な手段となる。購入者は、通常、いくつかのマットレスにわずかな時間、座ったり、寝そべったりして、購入するマットレスを選択する。このような購入方法では、購入者の多くがマットレスの品質に不満を感じつつも、返送が煩雑であることや販売店の方針などの理由でマットレスを返品できず、高額なマットレスの取り扱いに窮することになりうる。
【0006】
米国特許第5,513,402号に、睡眠システムの一例が開示されている。Schwartzによる同特許には、複数のフォーム材マットレス部品を含む別個のマットレス部品から成る積層体が記載されている。これらのマットレス部品は、マットレスの一部の領域に胴体用板を用いたり、或いは、マットレスのほぼ全面に剛性のコア部品を用いたりすることで、ユーザが硬さレベルを追加して、硬さを選択できるよう構成されている。必要であれば、胴体用板とコア部品との両方を一緒に用いて、マットレスの硬さをさらに追加することも可能である。
【0007】
さらに、Schwartzによる米国特許第5,953,779号には、フォーム材マットレス部品の積層体を含む組み立て式マットレスが開示されている。これらのフォーム材マットレス部品は、縦方向に積層された状態を維持できるように、1つの外縁において互いに接合されている。隣接して配置された一対のマットレスを一体的に保持する固定システム(containment system)は、両マットレスの上側と下側において両マットレスに跨って延びる頭側固定ブロックと足側固定ブロックを含む。この頭側固定ブロック及び足側固定ブロックは、ユーザが横たわることのできるマットレス面(sleeping surface)の一部を構成するものであり、隣接する一対のフォーム材マットレス部品が横方向外側にずれることを防止するのに十分な大きさと強度を有する。この組み立て式マットレスにシーツなどの寝具類(bedding)を固定する場合は、マットレスの外縁又は固定システムの外縁に沿って固定用ロープをマットレスの周りに張り渡して、寝具類を溝に固定する。
【0008】
従来技術において公知の調整可能マットレスによれば、マットレスの所有者がマットレス部品の積層順を変更することができるので、同じマットレスを2人のユーザが使用する場合に、各ユーザに合わせた硬さ調節を行うために有効である。
【0009】
例えば、側臥位は、慢性的な腰痛、睡眠時無呼吸症、又は胃酸の逆流に悩むユーザ、或いは、妊婦にとって最適な寝姿勢の1つである。この姿勢は、気道を確保し、頭部と首をアライメントし、また、食道をやや高い位置に維持するために有効である。これらの要件を満たせば、いびき、睡眠時無呼吸症、及び胃酸の逆流を防止しつつ、快適さを確保できる状況が形成される。実際に、側臥位の寝姿勢は、いびき及び軽度の睡眠時無呼吸症の治療において、最初に選択される治療方法の一つである。
【0010】
従来のマットレスに側臥位で寝る場合、脊柱のアライメントを保つことが難しく、側臥位の寝姿勢に起因する腰や首の痛みを訴えるユーザが多い。側臥位において脊柱をまっすぐに保つには、マットレスが身体の各部位、例えば、肩、胴体下部、及び臀部の大きさや重さに適合している必要があるため、脊柱アライメントの問題は、一般的に、仰臥位よりも側臥位において顕著である。臀部は、体型によって、肩幅よりも狭い場合から、肩幅よりもかなり広い場合まで様々であり、加えて、臀部と胴体下部や肩まわりとの重さの比率も、人によって異なる。仰臥位の寝姿勢は、マットレスが柔らかすぎて「ハンモック」のように沈み込んでしまうことで損なわれる場合が多い。この状態は、猫背の姿勢で眠るようなものであり、健康への悪影響が大きい。
【0011】
従来技術においても、様々な硬さのマットレスや硬さを変更可能なマットレスが提供されているが、側臥位の寝姿勢をとるユーザの寝姿勢の調節及び脊柱アライメントの維持を促進して、脊柱や神経系に与える負荷を軽減するために有効な睡眠システムは、従来技術では提供されていない。
【0012】
したがって、ユーザが「中立姿勢(neutral posture)」をとることができるように、従来のベッドと実質的に同程度に一定で一体的な高さを有するマットレス面であるが、硬さについては、ユーザが脊柱のアライメントを維持できるように異なる硬さを組み合わせたマットレス面を有する睡眠システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
本開示は、特に、上述の課題について新規かつ革新的な解決手段を提供する。
【0014】
通常、ユーザに便利さと適切な寝姿勢との両方を提供できるマットレスを選択するためには、困難で複雑な手順が必要である。仰臥位の寝姿勢は、ベッドが柔らかすぎてハンモックのような状態であることによって損なわれる場合が多く、健康にも多くの悪影響が生じうる。これに対し、側臥位は、多くの人にとって、最適かつ最も一般的な寝姿勢の1つである。しかしながら、マットレスを使用するユーザの身体の中央部分と肩回りとの間で脊柱がアライメントされた姿勢、又は中立姿勢を維持するためにマットレスに要求される支持は、ユーザの体重、性別、体型によって異なる。さらに、首回りまで含めて脊柱をアライメントするには、首回りにも適切な支持が必要である。ほとんどのマットレスの場合、ユーザは、店頭でマットレスに横たわってみるだけでマットレスを選択し、購入後は、購入したマットレスを返送したり、交換したりしない限り、マットレスを調節する機会は与えられない。体型や体格の異なる2人のユーザが共用するマットレスの場合には、選択プロセスは、さらに複雑である。
【0015】
出願人は、領域性パターン(zonal variation)をカスタマイズ可能であって、側臥位のユーザの体幹及び臀部に対する支持を調整でき、これによりユーザの身体の中央部分から肩回りにおいて脊柱がアライメントされた姿勢又は中立姿勢を提供できるマットレスの必要性を認識するに至った。例えば、上側領域、中央領域、下側領域の3つの領域のそれぞれをカスタマイズ可能なことが求められる。
【0016】
加えて、出願人は、2人のユーザが1つのベッドを共用する場合に、特に、圧縮状態で出荷されるフォーム素材のマットレスにおいて、それぞれのユーザが異なる快適性及び支持を提供する層を使用できるマットレスの必要性を認識するに至った。
【0017】
加えて、出願人は、枕とマットレスを含むシステムであって、側臥位のユーザの体幹、臀部、及び首回りの支持を調節でき、これにより、ユーザの身体の中央部分から肩回り、さらに首回りにおいて脊柱がアライメントされた姿勢又は中立姿勢を提供できるマットレスの必要性を認識するに至った。このシステムにより、脊柱がアライメントされた姿勢又は中立姿勢を提供することができ、側臥位と仰臥位の両方における中立姿勢を改善して、眠りの質を改善し、いびきや痛みを軽減することができる。
【0018】
一態様において、本開示は、マットレスを提供する。前記マットレスは、上側領域、下側領域、及び、前記上側領域及び前記下側領域よりも硬く、前記マットレスに側臥位で寝るユーザの身体の臀部付近への支持を提供するよう構成された中央領域を含むとともに、前記ユーザの肩付近から身体の中央にかけて脊柱がアライメントされた姿勢を維持する支持を提供するよう構成された少なくとも1つの領域性マットレス部品と、均一の硬さを有する少なくとも1つの一様性マットレス部品と、を含む少なくとも3つのマットレス部品の積層体を備える。前記少なくとも1つの領域性マットレス部品により前記マットレスに形成される領域性パターンは、異なるユーザに異なる領域性パターンを提供すべく、前記積層体における少なくとも3つのマットレス部品の配置を変更することで調整される。
【0019】
当業者であれば、領域性マットレス部品(zonal mattress element)とは、例えば、中央領域などの特定の領域における剛性が高いマットレスであって、これにより、マットレスを使用するユーザの身体のうち、例えば臀部付近などの特定の部位の支持を高めたマットレスを意味することは理解されよう。上側領域と下側領域とは、サイズ及び剛性が対称的であり、よって、ユーザは、マットレスを回して上側領域を下側領域として使用することが可能であり、また、その逆も可能である。いくつかの実施形態では、所望の設計や使用態様によって、上側領域と下側領域とが非対称な構成とすることもできる。頭痛や首の痛みを伴う肩の症状は、約60%の人にみられる症状である。これらの症状は、世界的に4番目の障害である。肩関節(肩甲上腕関節)及び肩鎖関節にかかる負荷を軽減することは、重要であり、関節炎の痛みを和らげるには、特に有効である。肩の状態は、首の状態にも大きく影響する。肩部分が適切に支持されていなければ、首を中立姿勢に維持することはできない。
【0020】
いくつかの実施形態では、1つ以上の領域性部品を、1つ以上の一様性マットレス部品(uniform mattress element)と組み合わせて用いることで、ユーザに多様な領域性パターンと全体硬さを提供することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、本マットレスは、少なくとも3つのマットレス部品から成る2つ以上の積層体を横に並べて構成されており、複数のユーザのそれぞれに、個々に調節可能な領域性パターンを提供することができる。基本的には、各ユーザは、少なくとも3つのマットレス部品から成る積層体のうちの1つを、他のユーザとは関係なく、独立して調整することが可能である。
【0022】
いくつかの実施形態では、本マットレスは、2つ以上の部品又は層から成る上敷き部品(topper element)をさらに含む。前記上敷き部品は、裏返すことで、当該上敷き部品に用いられている部品の硬さに応じて、より硬い感触又はより柔らかい感触を提供することができる。
【0023】
当業者には理解されるように、上敷き部品は、他の層において使用してもよく、これにより、異なる硬さレベルを提供することができる。例えば、上敷き部品をマットレス積層体の下側に配置すれば、より硬く、より変化の大きな領域性パターンを有するマットレスを提供することができる。
【0024】
一実施形態では、上敷き部品は、ツイン、フル又はダブル、クイーンサイズ、及びキングサイズなどの従来のマットレスやベッドの幅全体を覆うものであり、これにより、連続面の感触をユーザに提供することができる。このような設計の上敷き部品によれば、マットレス部品が中央で分割されていることを、ユーザが知覚しないようにできるので、快適性を高めることができる。
【0025】
さらに別のより広い態様では、本開示は、上述のマットレスとマルチフィット式枕(multi-fit pillow)を組み合わせた睡眠システムを提供する。当該システムにおけるマットレスと枕は、ユーザの脊柱がアライメントされた姿勢を維持する支持を提供するよう構成されている。いくつかの実施形態では、本開示の睡眠システムは、マットレスの最小在庫管理単位(SKU)を1つ、及び枕のSKUを1つ管理するだけで、末端ユーザ又は消費者に、112以上の選択肢(場合によっては、128から160の選択肢)を提供することができるので、個々のユーザに適合した快適性、支持、痛みの軽減、及び、より深い眠りを提供することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記システムは、マットレスの支持を最大限にする堅固な支持土台(solid platform support)をさらに備える。これにより、薄板(slat)を用いる構成よりも、マットレスに適切な支持を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本実施例は、以下に簡単に説明する添付図面を参照することで、より明確に理解されよう。
【0028】
図1A】2つの領域性マットレス部品、及び取り外し可能な二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの斜視図である。
【0029】
図1B】2つの領域性マットレス部品及び二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの長手方向断面を模式的に示す図である。
【0030】
図2】変化の大きな領域性パターンを構成する2つの対称マットレス部品積層体、及びこれを覆う二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0031】
図3】変化の小さな領域性パターンを構成する2つの対称マットレス部品積層体、及びこれを覆う二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0032】
図4】互いに異なる領域性パターンを構成する2つの非対称マットレス部品積層体、及びこれを覆う二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0033】
図5図5に示すマットレスの幅方向断面の鏡像配置を示す図である。
【0034】
図6】互いに同じ領域性パターンを構成する2つの対称マットレス部品積層体、及びこれを覆う二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0035】
図7】互いに異なる領域性パターンを構成する2つの非対称マットレス部品積層体、及びこれを覆う二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0036】
図8】互いに異なる領域性パターンを構成する2つの非対称マットレス部品積層体、及びこれを覆う二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0037】
図9図7に示すマットレスの幅方向断面の鏡像配置を示す図である。
【0038】
図10】互いに異なる領域性パターンを構成する2つの対称マットレス部品積層体、及びこれら積層体の下側に配置された二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0039】
図11】互いに異なる領域性パターンを構成する2つの対称マットレス部品積層体と、これら積層体の下側に配置された二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0040】
図12】互いに異なる領域性パターンを構成する2つの非対称マットレス部品積層体、及びこれら積層体の下側に配置された二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0041】
図13図12に示すマットレスの幅方向断面の鏡像配置を示す図である。
【0042】
図14】互いに異なる領域性パターンを構成する2つの対称マットレス部品積層体、及びこれら積層体の下側に配置された二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0043】
図15】互いに異なる領域性パターンを構成する2つの対称マットレス部品積層体、及びこれら積層体の下側に配置された二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0044】
図16】互いに異なる領域性パターンを構成する2つの非対称マットレス部品積層体、及びこれら積層体の下側に配置された二層式上敷きを含む、本開示の一実施形態によるマットレスの幅方向断面を模式的に示す図である。
【0045】
図17図16に示すマットレスの幅方向断面の鏡像配置を示す図である。
【0046】
図18】本開示の一実施形態による枕の断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、又は、これに類する文言は、その実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書における「一実施形態において」、「実施形態において」、又は、これに類する文言は、必ずしも同じ実施形態に言及するものであるとは限らない。
【0048】
加えて、本明細書に記載した発明の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の適当な態様で組み合わせることが可能である。本発明には、様々な変形及び変更が可能であり、そのような変形及び変更も本発明の範囲を逸脱するものでないことは、当業者には明らかであろう。よって、本発明は、請求の範囲及びその均等範囲に含まれる発明の変形及び変更も包含するものである。以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0049】
ユーザに便利さと適切な寝姿勢との両方を提供できるマットレスを選択するには、通常、困難且つ複雑な手順が必要である。側臥位は、多くの人に最適な寝姿勢の1つであるが、マットレスを使用するユーザの体重、性別、体型によって、ユーザの身体の中央部分と肩回りとの間で脊柱がアライメントされた姿勢、又は中立姿勢を維持するためにマットレスが提供すべきサポートは異なる。さらに、首回りまで含めて脊柱をアライメントするには、首回りにも適切なサポートが必要である。加えて、ほとんどのマットレスの場合、ユーザは、店頭でマットレスに横たわってみるだけでマットレスを選択し、購入後は、購入したマットレスを返送したり、交換したりしない限り、マットレスを調節する機会は与えられない。体型や体格の異なる2人のユーザが共用するマットレスの場合には、さらに複雑な選択プロセスが必要になる。
【0050】
出願人は、ユーザの体幹のサポートを調節するために領域性パターンをカスタマイズ可能なマットレスと、マットレス部品が中央で分割されていることをユーザに知覚させない設計の上敷きの必要性を認識するに至った。このような構成によれば、側臥位におけるユーザの臀部及び肩周りをより快適に支持し、これにより、ユーザの身体の中央部分から肩回りにかけて脊柱がアライメントされた中立姿勢を維持することができる。
【0051】
加えて、出願人は、枕とマットレスを含むシステムであって、側臥位のユーザの体幹、臀部、及び首回りのサポートを調節可能にし、よって、ユーザの身体の中央から肩回り、さらに首回りにおいて脊柱がアライメントされた中立姿勢を提供可能なシステムの必要性を認識するに至った。
【0052】
一態様において、本開示は、マットレスを提供する。前記マットレスは、上側領域、下側領域、及び、前記上側領域及び前記下側領域よりも硬く、前記マットレスに側臥位で寝るユーザの身体の臀部付近へのサポートを提供するよう構成された中央領域を含むとともに、前記ユーザの肩付近から身体の中央部分にかけて脊柱がアライメントされた姿勢を維持するサポートを提供するよう構成された少なくとも1つの領域性マットレス部品と、均一の硬さを有する少なくとも1つの一様性マットレス部品と、を含む少なくとも3つのマットレス部品の積層体を備える。前記少なくとも1つの領域性マットレス部品により前記マットレスに形成される領域性パターンは、異なるユーザに異なる領域性パターンを提供すべく、前記積層体における少なくとも3つのマットレス部品の配置を変更することで調整可能される。
【0053】
当業者であれば、領域性マットレス部品とは、例えば、中央領域などの特定の領域における剛性が高いマットレスであって、これにより、マットレスを使用するユーザの身体のうち、例えば臀部付近などの特定の部位のサポートを高めたマットレスを意味することは理解されよう。カスタマイズ可能なマットレス部品は、線維筋痛症や関節炎などの慢性的な症状に対して特有の健康上の利点を奏する。上側領域と下側領域とは、サイズ及び剛性が対称的であり、よって、ユーザは、マットレスを回して上側領域を下側領域として使用することが可能であり、また、その逆も可能である。いくつかの実施形態では、所望の設計や使用態様によって、上側領域と下側領域を非対称な構成とすることもできる。
【0054】
いくつかの実施形態では、1つ以上の領域性部品を、1つ以上の一様性マットレス部品と組み合わせて用いることで、ユーザに多様な領域性パターンと全体硬さを提供することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、本マットレスは、少なくとも3つのマットレス部品から成る2つ以上の積層体を横に並べて構成されており、複数のユーザのそれぞれに、個々に調節可能な領域性パターンを提供することができる。換言すると、各ユーザは、少なくとも3つのマットレス部品から成る積層体のうちの1つを、他のユーザとは関係なく、独立して調整することが可能である。
【0056】
いくつかの実施形態では、本マットレスは、2つ以上の部品から成る上敷き部品をさらに含む。この上敷き部品は、裏返すことで、当該上敷き部品に用いられている部品の硬さに応じて、より硬い、又はより柔らかい感触をユーザに提供することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、この上敷き部品は、2つ以上の部品又は層を貼り合わせて構成された、冷感ドライ仕上げの快適な上敷き部品である。この上敷き部品は、天面において裏返したり、回したりして使用することで、より硬い感触の天面を構成することもできるし、或いは、マットレスの下側に移動させて、硬さや剛性を高めた眠りを提供することもできる。
【0058】
当業者には理解されるように、上敷き部品は他の層において使用してもよく、これにより、異なる硬さレベルを提供することができる。例えば、上敷き部品をマットレス積層体の下側に配置すれば、より硬く、より変化の大きな領域性パターンを有するマットレスを提供することができる。
【0059】
一実施形態では、上敷き部品は、ツイン、フル又はダブル、クイーンサイズ、及びキングサイズなどの従来のマットレスやベッドの幅全体を覆うものであり、これにより、連続面の感触をユーザに提供することができる。
【0060】
さらに別のより広い態様では、本開示は、上述のマットレスと、マルチフィット式枕とを組み合わせた睡眠システムを提供する。当該システムにおけるマットレスと枕は、ユーザの脊柱がアライメントされた姿勢を維持するためのサポートを与えるよう構成されている。脊柱の適切なアライメントを得るには、マットレスの硬さ/柔らかさの特性が個々のユーザの身体に適合していること、並びに肩、胴体中央部、及び臀部の質量を分散させることが必要である。これにより、側臥位で寝るユーザの脊柱を適切なアライメント状態に維持することができる。マットレスの硬さ/柔らかさの特性は、肩に相当する上側領域と、臀部に相当する中央領域と、足に相当する下側領域との間で異なり、本明細書では、これを領域性パターンともいう。
【0061】
いくつかの実施形態では、前記システムは、マットレスのサポートを最大限にする堅固な支持土台をさらに備える。これにより、薄板を用いる構成よりも、マットレスを適切にサポートすることができる。
【0062】
図1A及び図1Bを参照すると、本開示の一実施形態によるマットレス100の長手方向断面が模式的に示されている。図示のように、マットレス100は、2つの領域性マットレス部品102を含み、各領域性マットレス部品は、上側領域106、下側領域104、及び中央領域108を含む。この中央領域は、上側領域106及び下側領域104よりも硬く、マットレス100に側臥位で寝るユーザの身体の臀部に対するサポートを提供するよう構成されている。
【0063】
好適な一実施形態では、上敷き部品は、厚さ1インチの部品及び厚さ2インチの部品から成る、厚さ3インチの部品である。マットレス部品の積層体は、厚さ2インチの4つの部品から成り、よって、マットレスと上敷き部品を合わせた全体の厚さは、11インチである。
【0064】
マットレス100は、さらに、より硬い一様性マットレス部品110と、より柔らかい一様性マットレス部品112と、の2つの一様性マットレス部品を含み、両部品は、互いに異なる剛性を有する。ユーザは、これらの部品を様々なパターンに配置することで、より多くの領域性パターンを選択可能である。
【0065】
図1Bに示す様に、いくつかの実施形態では、より柔らかい部品118と、より硬い部品120と、を含む2つ以上の部品から成る上敷き部品101が含まれており、これにより、ユーザに提供される剛性を変えることができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、ユーザの「中立姿勢」を維持できるように、本開示では、平均的な体型のユーザの身体の一番重い部分である中央部分をサポートする中央領域に、高い密度と硬さを有する高弾性(HR)フォームを使用する。本開示の主要な特徴の1つである領域性マットレス部品102は、マットレス部品の中央領域に臀部皮下脂肪が位置するように構成されており、当該中央領域は、例えば、かさ密度が約45(kg/m3)で、圧縮硬さが約1.5(kpa)のHRフォーム、及び、かさ密度が約45(kg/m3)で、圧縮硬さが約2.5(kpa)であり、より高密度でありながらクッション性を有する層で構成されている。これにより、下側に配置されたより高密度のフォーム材で骨格サポートしつつ、皮膚など組織が柔らかい部位に与える圧力点を最小限に抑える構成とすることができる。よって、ユーザは、マットレスに「沈み込む」ような感覚ではなく、「支え上げられる」ような圧力を体感することができる。さらに、領域性マットレス部品の上側と下側の両端部に、かさ密度が約50(kg/m3)で、圧縮硬さが約1.6(kpa)のHRフォームを用いれば、下腿や肩/首が必要とする快適さを提供することができる。これにより、圧力点を緩和することができるので、ユーザは、深い眠りを得やすくなる。
【0067】
いくつかの実施形態では、中程度の密度を有する一様性部品112の上に、より硬い一様性マットレス部品110を全長に亘って被せることで、ユーザの身体の重みがマットレスに沈み込むことを防止して、中立姿勢を維持できるよう構成することができる。これらの2つの層は、マットレスの強度を構成し、サポート性と耐久性を確立する部分である。様々な密度の部材を、身体部位、重さ、骨格の関節部分の有無、知覚神経組織及び循環血管系の量に基づいて効果的に配置することで、これらの組織に加えられる歪みを緩和し、これによりユーザの不快感を防止、或いは最小化することができる。このような不快感は、皮膚に加えられる圧力や、腰や首の関節に加えられるトルクとして報告されることが多い。肩及び下腿も重量のある部位であり、ベッドの長さ全体で支持するのがより適切であるが、これらは、多くの神経組織が分布する部位でもあるので、堅い表面で直接に支持すると、神経発火(nerves firing)が発生して、深い休息や眠りが妨げられることになる。
【0068】
一実施形態では、マットレス100は、厚さ1インチの柔らかな特殊な冷感ドライ素材(118)を天面に備え、これにより圧力点を緩和する快適な最上層を構成するとともに、その直下に、適切に配置されたより密度の高いフォーム素材を含み、これにより、肌や筋肉に直接「堅さ」を感じさせることなく身体を支えることができる。このような構成は、肌が敏感で、直接接触があると症状が発生するようなユーザに適しており、本開示のシステムであれば、このようなユーザにも対処できる。
【0069】
図2を参照すると、2つの対称マットレス部品積層体103が、互いに隣接して配置されており、2人のユーザのそれぞれに対して、類似するが独立した領域性パターンが提供される。マットレス100の剛性を高めるために、天面に部品120が配置されている。一実施形態では、2つのマットレス部品積層体103の各々は、2つの領域性部品102を上面と底面に有し、これら2つの領域性部品102の間に、より硬い一様性マットレス部品110と、より柔らかい一様性マットレス部品112と、の2つの一様性マットレス部品が配置されている。この組み合わせによれば、図3に示すように、柔らかい方の一様性マットレス部品112を堅い方の一様性マットレス部品110の上に配置すれば、部品102の領域性パターンがより顕著に発揮されるので、変化の大きな領域性パターンが構成される。
【0070】
部品110を部品112の上に配置する構成では、約60%の人に対して最適なレベルの領域性パターンが構成され、上敷き部品に用いられるフォーム材の冷感/ドライ技術に加えて、必要なサポートと快適さを提供することができる。
【0071】
ただし、本明細書に記載するように、望ましいサポートを提供する構成の類型は、ユーザの性別及び体型によって異なる。例えば、多くの男性は、サポート感を好み、必要とする傾向があり、特に、体重が175ポンドを超える男性は、硬さを好む傾向が顕著である。
【0072】
これに対し、図3に示す組み合わせのように、部品112を部品110の上に配置すると、中程度の硬さと、ドライでより冷感な上敷きが提供される。このような構成は、全体の30%の人、主に女性及び高齢者、体重が175ポンド未満の人に適している。
【0073】
図4を参照すると、2つの非対称マットレス部品積層体103が、互いに隣接して配置されており、2人のユーザのそれぞれに対して互いに異なる、独立した領域性パターンが提供される。2つのマットレス部品積層体103の一方は、2つの領域性部品102を上面と底面に有し、これら領域性部品102の間に、より硬い一様性マットレス部品110と、より柔らかい一様性マットレス部品112と、の2つの一様性マットレス部品が配置されている。この組み合わせにおいて、図3に示す様に、柔らかい方の一様性マットレス部品112を堅い方の一様性マットレス部品110の上に配置すれば、部品102の領域性パターンがより顕著に発揮されるので、変化の大きな領域性パターンが構成される。
【0074】
さらに、図2図3図4、及び図5に示すマットレス100は、部品120及び部品118を含む上敷き部品101で覆われており、連続するマットレス表面が形成されている。マットレス100の剛性を高める場合には、部品120が上になるように配置する。
【0075】
さらに、図4に示す構成では、同じマットレスを共用する男性のユーザと女性のユーザに対して、或いは、小柄なユーザと大柄なユーザに対して、マットレスの硬さを、中程度から硬めと硬めとに分けることができる。2人のユーザが1つのベッドを共用する場合には、図2及び図3を組み合わせた配置が一般的である。その他の組み合わせの配置は、残りの10%の人に適切である。
【0076】
図6を参照すると、2つの対称マットレス部品積層体103が、互いに隣接して配置されており、図2に示したマットレスと同様に、2人のユーザのそれぞれに対して類似するが独立した領域性パターンが別個に提供される。ただし、上敷き部品102では、部品118が上になるように配置されており、これにより、より柔らかい、つまり硬さの少ない最上層が構成される。
【0077】
図7に示す様に、マットレス100の別の実施形態では、2つのマットレス部品積層体103は、対称マットレス部品積層体であり、上敷き部品101は、部品118が上になるように配置されている。図8及び図9は、互いに左右を逆にした鏡像配置の実施形態を示しており、2つのマットレス部品積層体103は、非対称マットレス部品積層体であり、また、部品118が上になるように配置されている。
【0078】
図10を参照すると、マットレス100において、上敷き部品101は、2つのマットレス部品積層体103の下側に配置されている。この実施形態では、上敷き部品101と、部品102、部品110、及び部品112とを合わせて得られる効果により、ユーザが選択可能な領域性パターンがより多くなっている。図11図17では、マットレス部品積層体103を構成する部品102、部品112、及び110を異なる組み合わせで用いるとともに、上敷き部品101の部品118及び120を積層体の下側に配置した、本発明の様々な実施形態を示している。
【0079】
図10図17に示す様に、上敷き部品を下側に移動させると、マットレスを相対的に硬くすることができる。記載した実施形態のうち、図15に示す構成が最も硬い配置であるが、これは、皮膚がそれほど敏感でなく、圧力点に影響を受けにくいユーザに適した設計である。
【0080】
いくつかの実施形態では、本開示の睡眠システムは、マットレス及び枕を含み、マットレスの最小在庫管理単位(SKU)1つ、及び枕のSKUを1つ管理するだけで、末端ユーザ又は消費者に、112以上の選択肢を提供することができるので、個々のユーザに適合した快適性、サポート、痛みの軽減、及び、より深い眠りを提供することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、本睡眠システムのマットレスは、4層の積層体103と、2層の上敷き部品101とを合わせた6層構成である。上敷きは、部品を接着剤で貼り合わせて構成された冷感ドライな触感で快適な上敷き部品であり、天面において裏返したり、回したりすることで、より硬い感触の天面を構成することも可能であるし、或いは、マットレスの下側に移動させて、硬さや剛性を高めた眠りを提供することも可能である。上敷きの層を貼り合わせない構成にすれば、調整可能な配置パターンは、さらに多くなる。上敷き部品は、ツインサイズ、フル、即ちダブルサイズ、クイーンサイズ、及びキングサイズなどの従来のマットレスやベッドの幅全体を覆う構成も可能である。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書では積層体103と呼ぶ多層コアや基体を含むことにより、本当の意味で個々のユーザに合わせたカスタマイズが可能になる。一実施形態では、基体の上面と下面に配置された領域性部品は、上側領域106、下側領域104、及び中央領域108の3つの部品に均等に分割されており、これらの領域は、ユーザの身体の中央部分を支える中心部に、より高密度又は高硬度のHRフォームが配置されるよう構成されている。人体のこの領域は、一般的に、前胸部より上の部分及び膝関節より下の部分の重量の100%から300%に相当する重量を有する。
【0083】
当業者には理解されるように、本システムの上敷き部品は、より多くの部品又は層を含む構成でもよいし、より少ない部品又は層を含む構成でもよい。さらに、部品積層体103のみを含み、上敷き部品101を備えない構成も可能である。
【0084】
いくつかの実施形態では、本システムのマットレス100は、基体を半分に切断して構成された2つのマットレス部品積層体103を含むか、或いは、2つの別個の積層体を1つにつなげて構成されており、これにより、2人のユーザがそれぞれの好みの快適さに合わせて、中程度の硬さレベルか、より硬いレベルかを選択することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、カバー、即ち上敷き部品は、すべての部品をしっかりと収容して、これらの部品のずれがユーザに知覚されないように構成されている。
【0086】
当業者には理解されるように、マットレス部品の寸法、及び、マットレスの上側領域、下側領域、中央領域の寸法は、ユーザの臀部を適切に支持し、よって脊柱を中立姿勢に維持できるように、シングル、ツイン、クイーンサイズ、キングサイズなどのマットレスのサイズに合わせて調節してもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、マットレス部品積層体103の境界部分において、これら積層体103の部品の1つ以上が楔形の断面形状を有し、これに相対するマットレス部品が対応する形状の傾斜辺縁を有し、これらが組み合わされるように構成してもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、図18に示す様に、枕1700は、3つの部分から成る。本体部分は、2つの隆起部を有する枕1702であり、これら2つの隆起部の間には、頭部を安定して支えることができるように、(身体測定における値平均的な頭部の長さに基づき)十分な大きさのくぼみが形成されている。よって、このくぼみに頭部を寝かせた状態で首をまっすぐに維持することができるので、神経刺激、筋肉の収縮、及び血管や血行の阻害を最小限に抑え、快適さと質の良い睡眠を最大限に促進することができる。また、この枕システムは、2つのスラブ板、即ち、より薄いフォーム材である底上げ部品1704と、より厚いフォーム材である底上げ部品1406を含んでおり、いずれも綿素材のカバーで覆われている。
【0089】
いくつかの実施形態では、前記枕システムにおける2つの部品は、底上げ部品と呼ばれる板状のフォーム材である。一実施形態では、薄い方の底上げ部品1704は、7/8インチの厚みを有し、厚い方の底上げ部品1706は、1と3/8インチの厚みを有する。ユーザは、側臥位の寝姿勢をとる場合に、これら2つの部材を用いることで、枕の高さを高くして、首のサポートを増やすことができるので、首と枕の適切なアライメントを妨げるような不適切な形状の他の枕の使用を抑制することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、前記枕は、気道を確保し、いびきを抑制し、首又は頸椎を含む脊柱全体を中立姿勢に保つために有用である。窪み部の長さ、又は広さ/距離は、首を中立姿勢に維持するために重要である。
【0091】
いくつかの好適な実施形態では、マットレス100を正確に設置して、フォーム材のサポートを最大限にし、また、ユーザに対するサポートを最大限にできるように、堅固な木製の支持土台が用いられる。
【0092】
一実施形態では、厚さ1インチの中密度繊維板(MDF board)を用いて、堅いボックススプリングの全面を覆い、その上に、フォーム素材の本マットレスを配置する。
【0093】
いくつかの実施形態においては、マットレス部品は、フォーム素材とフォーム素材とが接触する状態で重ね合わされており、単一ブロックのフォーム材のような挙動を示すマットレス部品積層体が構成されている。ただし、当然ながらいくつかの実施形態では、カバーや薄い層の素材などをマットレス部品に設けて、境界面においてマットレス部品が互いに対して移動しないように構成することができる。あるいは、当業界で公知の素材にカバーや薄い層の素材の種類を変更して、境界面においてマットレス部品が互いに対して滑りやすいように構成することも可能である。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18