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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】表示装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/852 20230101AFI20240613BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 50/826 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 50/828 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 59/32 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 50/19 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20240613BHJP
   H10K 59/121 20230101ALI20240613BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240613BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240613BHJP
   H10K 102/10 20230101ALN20240613BHJP
   H10K 102/20 20230101ALN20240613BHJP
【FI】
H10K50/852
H10K59/122
H10K50/826
H10K50/828
H10K59/32
H10K50/19
H10K59/38
H10K59/121
G02B5/20 101
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/30 349Z
G09F9/30 349B
G09F9/30 349D
H10K102:10
H10K102:20
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021522719
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2020017698
(87)【国際公開番号】W WO2020241139
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2019102513
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 朋芳
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/012987(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/141143(WO,A1)
【文献】特開2013-065405(JP,A)
【文献】特開2017-117787(JP,A)
【文献】特開2018-041565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00 - 50/88
H10K 59/00 - 59/95
G02B 5/20
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に2次元マトリクス状に配列して形成された下部電極と、
隣接する下部電極の間に設けられ、基板から離れるに従い幅が狭くなる断面形状を有する隔壁部と、
下部電極上および隔壁部上を含む全面に形成された、複数の材料層が積層されて成る有機層と、
有機層上を含む全面に形成された上部電極と、
を含んでおり、
下部電極と有機層と上部電極とが積層されて成る発光部を含む画素において、
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、所定の帯域の光が外部に取り出され、
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、所定の帯域とは異なる帯域の光が外部に取り出される、
表示装置。
【請求項2】
上部電極は、半透過電極と透過電極とが積層されて成る、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上部電極における半透過電極の膜厚比率は、下部電極の上に位置する部分に対して隔壁部の斜面の上に位置する部分のほうが相対的に低い、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
半透過電極は、マグネシウム-銀合金(MgAg)、銀(Ag)またはカルシウム(Ca)から成る、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
透過電極は、インジウム亜鉛酸化物(IZO)またはインジウムスズ酸化物(ITO)から成る、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
有機層は、それぞれ発光色が異なる複数の発光層を含む、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
有機層は、赤色発光層、青色発光層および緑色発光層を含む、
請求項に記載の表示装置。
【請求項8】
赤色発光層と青色発光層の間には発光分離層が配置されている、
請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
有機層における発光分離層の膜厚比率は、下部電極上に位置する部分に対して隔壁部の斜面上に位置する部分のほうが相対的に低い、
請求項に記載の表示装置。
【請求項10】
有機層は、青色発光層および黄色発光層を含む、
請求項に記載の表示装置。
【請求項11】
隔壁部の斜面は下部電極側において緩やかになるように段階的に形成されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
画素の上面には、表示すべき色に応じたカラーフィルタが配置されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状として、円形状と円環形状とが混在する、
請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造において、下部電極および上部電極で生じる反射光の位相シフトを符号Φ、下部電極と上部電極との間の光学的距離を符号L、所定の帯域の中心波長を符号λで表すとき、光学的距離Lは、
2L/λ+Φ/2π=m(mは整数)
の条件を満たす、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、青色光波長を中心波長とする帯域の光が外部に取り出される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項16】
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、黄色光が外部に取り出される、
請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、青色光波長と緑色光波長との中間波長を中心波長とする帯域の光が外部に取り出される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項18】
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、赤色光が外部に取り出される、
請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
基板上に2次元マトリクス状に配列して形成された下部電極と、
隣接する下部電極の間に設けられ、基板から離れるに従い幅が狭くなる断面形状を有する隔壁部と、
下部電極上および隔壁部上を含む全面に形成された、複数の材料層が積層されて成る有機層と、
有機層上を含む全面に形成された上部電極と、
を含んでおり、
下部電極と有機層と上部電極とが積層されて成る発光部を含む画素において、
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、所定の帯域の光が外部に取り出され、
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、所定の帯域とは異なる帯域の光が外部に取り出される、
表示装置を含む電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に代わる表示装置として、有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)を利用した有機EL表示装置が注目されている。そして、有機EL表示装置は、モニタなどの直視型ディスプレイの他、数ミクロン程度の微細な画素ピッチが要求される超小型ディスプレイにも適用されつつある。
【0003】
有機EL表示装置には、カラー表示を実現する方式として、例えば、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層を、マスクを利用して画素毎に形成するといった方式がある。この方式は、直視型の表示装置において用いられることが多い。また、上述の方式とは別に、白色発光の発光層を全ての画素に共通に形成すると共に画素毎にカラーフィルタを配置するといった方式がある。画素のピッチが細かくなればなるほど、位置合わせの精度などといった点で、マスクを利用して画素毎に発光層を形成することが困難となる。従って、数ミクロン程度の微細な画素ピッチを有する有機EL表示装置にあっては、白色発光の発光層を含む有機層を全ての画素に共通に形成し、カラーフィルタを組み合わせるといった方式が好適である。
【0004】
しかしながら、白色発光層を含む有機層とカラーフィルタとを組み合わせる方式にあっては、白色光をカラーフィルタで色分解するため発光効率は低下する。このため、画素間を区画する隔壁部で光を反射させて取り出し効率を上げるといった構造(リフレクタ構造)も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-191533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
白色光を生ずる有機層は、通常、それぞれ発光色が異なる複数の発光層を含む。このため、色バランスを取るためには、各発光層の発光特性を調整した上で積層する必要がある。しかしながら、各発光層の発光特性を独立に制御することは難しい。特に、リフレクタ構造を備える場合、有機層の被膜性に起因して発光層の発光特性が変動するので色バランスを取ることがより難しい。
【0007】
従って、本開示の目的は、所謂リフレクタ構造により取り出し効率の向上を図りつつ色バランスを取りやすくすることができる表示装置および係る表示装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示に係る表示装置は、
基板上に2次元マトリクス状に配列して形成された下部電極と、
隣接する下部電極の間に設けられ、基板から離れるに従い幅が狭くなる断面形状を有する隔壁部と、
下部電極上および隔壁部上を含む全面に形成された、複数の材料層が積層されて成る有機層と、
有機層上を含む全面に形成された上部電極と、
を含んでおり、
下部電極と有機層と上部電極とが積層されて成る発光部を含む画素において、
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、所定の帯域の光が外部に取り出され、
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、所定の帯域とは異なる帯域の光が外部に取り出される、
表示装置である。
【0009】
上記の目的を達成するための本開示に係る電子機器は、
基板上に2次元マトリクス状に配列して形成された下部電極と、
隣接する下部電極の間に設けられ、基板から離れるに従い幅が狭くなる断面形状を有する隔壁部と、
下部電極上および隔壁部上を含む全面に形成された、複数の材料層が積層されて成る有機層と、
有機層上を含む全面に形成された上部電極と、
を含んでおり、
下部電極と有機層と上部電極とが積層されて成る発光部を含む画素において、
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、所定の帯域の光が外部に取り出され、
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、所定の帯域とは異なる帯域の光が外部に取り出される、
表示装置を含む電子機器である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る表示装置の概念図である。
図2図2は、表示装置の模式的な一部断面図である。
図3図3は、画素における光の取り出しを説明するための模式的な一部端面図である。
図4図4は、有機層の構成を説明するための模式図である。図4Aは、赤色発光層、青色発光層および緑色発光層を含む有機層の構成を示す。図4Bは、青色発光層および黄色発光層を含む有機層の構成を示す。
図5図5は、画素における半透過電極の膜厚比率を説明するための模式的な一部端面図である。
図6図6は、表示装置における発光部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。
図7図7は、表示装置におけるカラーフィルタの配置関係を説明するための模式的な平面図である。
図8図8は、カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状を説明するための模式的な平面図である。
図9図9Aおよび図9Bは、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図10図10は、図9Bに引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図11図11は、図10に引き続き、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
図12図12は、第2の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
図13図13は、画素における隔壁部の斜面の構造を説明するための模式的な一部端面図である。
図14図14は、第3の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
図15図15は、画素における光の取り出しを説明するための模式的な一部端面図である。
図16図16は、有機層の構成を説明するための模式図である。
図17図17は、表示装置における発光部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。
図18図18は、カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状を説明するための模式的な平面図である。
図19図19は、第4の実施形態に係る表示装置における画素構造を説明するための模式的な一部断面図である。
図20図20Aは、表示装置における発光部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。図20Bは、カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状を説明するための模式的な平面図である。
図21図21Aは、共振器構造の第1例を説明するための模式的な断面図である。図21Bは、共振器構造の第2例を説明するための模式的な断面図である。
図22図22Aは、共振器構造の第3例を説明するための模式的な断面図である。図22Bは、共振器構造の第4例を説明するための模式的な断面図である。
図23図23Aは、共振器構造の第5例を説明するための模式的な断面図である。図23Bは、共振器構造の第6例を説明するための模式的な断面図である。
図24図24は、共振器構造の第7例を説明するための模式的な断面図である。
図25図25は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの外観図であり、図25Aにその正面図を示し、図25Bにその背面図を示す。
図26図26は、ヘッドマウントディスプレイの外観図である。
図27図27は、シースルーヘッドマウントディスプレイの外観図である。
図28図28は、車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図29図29は、車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態に基づいて本開示を説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素または同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の表示装置および電子機器、全般に関する説明
2.第1の実施形態
3.第2の実施形態
4.第3の実施形態
5.第4の実施形態
6.電子機器の説明
7.各実施形態に適用される共振器構造の例
8.応用例
9.本開示の構成
【0012】
[本開示の表示装置および電子機器、全般に関する説明]
本開示に係る表示装置および本開示に係る電子機器に用いられる表示装置(以下、これらを『本開示の表示装置』と呼ぶ場合がある。)は、上述したように、
基板上に2次元マトリクス状に配列して形成された下部電極と、
隣接する下部電極の間に設けられ、基板から離れるに従い幅が狭くなる断面形状を有する隔壁部と、
下部電極上および隔壁部上を含む全面に形成された、複数の材料層が積層されて成る有機層と、
有機層上を含む全面に形成された上部電極と、
を含んでおり、
下部電極と有機層と上部電極とが積層されて成る発光部を含む画素において、
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、所定の帯域の光が外部に取り出され、
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、所定の帯域とは異なる帯域の光が外部に取り出される。尚、「所定の帯域」に対する「所定の帯域とは異なる帯域」には、帯域の全てが重複しない場合の他、帯域の一部が重複する場合も含まれる。
【0013】
本開示の表示装置において、上部電極は、半透過電極と透過電極とが積層されて成る、構成とすることができる。尚、有機層側に半透過電極が配置される構成であってもよいし、有機層側に透過電極が配置される構成であってもよい。この場合において、上部電極における半透過電極の膜厚比率は、下部電極の上に位置する部分に対して隔壁部の斜面の上に位置する部分のほうが相対的に低い構成とすることができる。
【0014】
半透過電極は、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)といった金属やそれらの合金等を用いて形成することができる。より好ましくは、半透過電極が、マグネシウム-銀合金(MgAg)、銀(Ag)またはカルシウム(Ca)から成る構成とすることが望ましい。透過電極は、インジウム亜鉛酸化物(IZO)またはインジウムスズ酸化物(ITO)から成る構成とすることができる。成膜温度を低く抑えるといった観点からは、IZOを用いて透過電極を形成することが好ましい。また、半透過電極は蒸着法によって形成されており、透過電極はスパッタ法によって形成されている構成とすることができる。半透過電極と透過電極とが積層されて成る上部電極は、有機層の上に、共通した連続膜として設けられる。
【0015】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置において、有機層は、それぞれ発光色が異なる複数の発光層を含む構成とすることができる。
【0016】
この場合において、有機層は、赤色発光層、青色発光層および緑色発光層を含む構成とすることができる。この場合には、光の三原色の加法混色によって、有機層は全体として白色光を発光する。そして、赤色発光層と青色発光層の間には発光分離層が配置されている構成とすることもできる。この場合において、有機層における発光分離層の膜厚比率は、下部電極上に位置する部分に対して隔壁部の斜面上に位置する部分のほうが相対的に低い構成とすることができる。
【0017】
あるいは又、有機層は、青色発光層および黄色発光層を含む構成とすることができる。この場合には、青色光と黄色光との加法混色によって、有機層は全体として白色光を発光する。
【0018】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置において、隔壁部の斜面は均一に傾くように形成されていてもよい。あるいは又、隔壁部の斜面は下部電極側において緩やかになるように段階的に形成されていてもよい。隔壁部の形成プロセスの簡便化といった点では前者の構成が好ましく、隔壁部の上に形成される有機層などの成膜性の観点からは後者の構成が好ましい。
【0019】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置において、画素の上面には、表示すべき色に応じたカラーフィルタが配置されている構成とすることができる。この場合において、カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状として、円形状と円環形状とが混在する構成とすることができる。
【0020】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置にあっては、下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造において、下部電極および上部電極で生じる反射光の位相シフトを符号Φ、下部電極と上部電極との間の光学的距離を符号L、所定の帯域の中心波長を符号λで表すとき、光学的距離Lは、
2L/λ+Φ/2π=m(mは整数)
の条件を満たす構成とすることができる。
【0021】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置にあっては、下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、青色光波長を帯域の中心波長とする光が外部に取り出される構成とすることができる。この場合において、有機層と隔壁部の界面における全反射によって、黄色光が外部に取り出される構成とすることができる。
【0022】
あるいは又、上述した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置にあっては、下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、青色光波長と緑色光波長との中間波長を帯域の中心波長とする光が外部に取り出される構成とすることができる。有機層の発光層の波長には、発光色毎にある程度の幅がある。そして、共振によって取り出される光の波長にもある程度の幅がある。従って、共振器構造の共振条件が青色光波長と緑色光波長との中間波長に設定されている場合、青色光波長から緑色光波長に及ぶ光が取り出される。この場合において、有機層と隔壁部の界面における全反射によって、赤色光が外部に取り出される構成とすることができる。
【0023】
尚、共振器構造の設定にもよるが、中心波長を、赤色光波長と緑色光波長との中間波長、赤色光波長または緑色光波長にするといった構成とすることもできる。中心波長が赤色光波長と緑色光波長との中間波長である場合、共振器構造によって赤色光波長から緑色光波長に及ぶ光(黄色光)が取り出され、有機層と隔壁部の界面における全反射によって青色光が取り出される。中心波長が赤色光波長である場合、共振器構造によって赤色光が取り出され、有機層と隔壁部の界面における全反射によって青色光と緑色光とが取り出される。中心波長が緑色光波長である場合、共振器構造によって緑色光が取り出され、有機層と隔壁部の界面における全反射によって青色光と赤色光とが取り出される。また、青色光波長と赤色光波長のいずれもが中心波長となるような場合には、共振器構造によって青色光と赤色光とが取り出され、有機層と隔壁部の界面における全反射によって緑色光が取り出される。
【0024】
本開示の表示装置において、基板は画素を駆動するための駆動回路を備えており、下部電極と駆動回路とは電気的に接続されている構成とすることができる。下部電極と駆動回路とは例えば層間絶縁膜に設けられたビアなどから成る導通部を介して接続することができる。
【0025】
基板の構成材料として、半導体材料、ガラス材料、あるいは、プラスチック材料を例示することができる。駆動回路を半導体基板に形成されたトランジスタによって構成するといった場合、例えばシリコンから成る半導体基板にウェル領域を設け、ウェル内にトランジスタを形成するといった構成とすればよい。一方、駆動回路を薄膜トランジスタなどによって構成するといった場合は、ガラス材料やプラスチック材料から成る基板を用いてその上に半導体薄膜を形成し駆動回路を形成することができる。各種の配線は、周知の構成や構造とすることができる。
【0026】
本開示の表示装置において、発光部の発光を制御する駆動回路などの構成は特に限定するものではない。発光部は、例えば、基板上の或る平面内に形成され、例えば、層間絶縁層を介して、発光部を駆動する駆動回路の上方に配置されているといった構成とすることができる。駆動回路を構成するトランジスタの構成は、特に限定するものではない。pチャネル型の電界効果トランジスタであってもよいし、nチャネル型の電界効果トランジスタであってもよい。
【0027】
本開示の表示装置において、発光部は、いわゆる上面発光型である構成とすることができる。発光部は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などを備えた有機層を、下部電極と上部電極で挟まれることによって構成される。カソードを共通化する場合、上部電極がカソード電極、下部電極がアノード電極となる。
【0028】
下部電極は、基板上に発光部ごとに設けられている。カソードを共通化する場合、下部電極は、発光部のアノード電極として機能する。下部電極は、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、白金(Pt)、金(Au)、クロム(Cr)、タングステン(W)などの金属やそれらの合金等を用いて構成することができる。あるいは又、インジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料層と光反射材料からなる反射層とが積層されて構成されていてもよい。下部電極は、厚さが100ないし300ナノメートルの範囲に設定されていることが好ましい。
【0029】
隔壁部は、公知の無機材料や有機材料から適宜選択した材料を用いて形成することができ、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法に例示される物理的気相成長法(PVD法)、各種の化学的気相成長法(CVD法)などの周知の成膜方法と、エッチング法やリフトオフ法などの周知のパターニング法との組み合わせによって形成することができる。
【0030】
有機層は、複数の材料層が積層されて成り、共通の連続膜として、下部電極上および隔壁部上を含む全面に設けられる。有機層は、下部電極と上部電極との間に電圧が印加されることによって発光する。有機層は、例えば、下部電極側から、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および、電子注入層を順に積層した構造で構成することができる。有機層を構成する正孔輸送材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、有機発光材料は特に限定するものではなく、周知の材料を用いることができる。
【0031】
有機層は、複数の発光層が積層された構造を含んでいてもよい。例えば、赤色発光、青色発光、緑色発光の発光層を積層することによって、あるいは又、青色発光、黄色発光の発光層を積層することによって、白色で発光する発光部を構成することができる。
【0032】
本開示の表示装置はカラー表示の構成とすることができる。カラー表示の場合、カラーフィルタは、例えば、顔料または染料を含ませた樹脂材料などを用いて形成することができる。尚、場合によっては、所謂モノクロ表示の構成であってもよい。
【0033】
カラー表示の構成とする場合には、1つの画素は複数の副画素から成る構成、具体的には、1つの画素は、赤色表示副画素、緑色表示副画素、及び、青色表示副画素の3つの副画素から成る構成とすることができる。更には、これらの3種の副画素に更に1種類あるいは複数種類の副画素を加えた1組(例えば、輝度向上のために白色光を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するために補色を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエローを発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエロー及びシアンを発光する副画素を加えた1組)から構成することもできる。
【0034】
表示装置の画素(ピクセル)の値として、VGA(640,480)、S-VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S-XGA(1280,1024)、U-XGA(1600,1200)、HD-TV(1920,1080)、Q-XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0035】
本開示の表示装置を備えた電子機器として、直視型や投射型の表示装置の他、画像表示機能を備えた各種の電子機器を例示することができる。
【0036】
本明細書における各種の式に示す条件は、式が数学的に厳密に成立する場合の他、式が実質的に成立する場合にも満たされる。式の成立に関し、表示装置の設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。また、以下の説明で用いる図は模式的なものである。例えば、後述する図2は表示装置の断面構造を示すが、幅、高さ、厚さなどの割合を示すものではない。
【0037】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、本開示の第1の態様に係る表示装置に関する。
【0038】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。表示装置1は、発光部ELPと発光部ELPを駆動する駆動回路とを含む画素70が、行方向(図1においてX方向)に延びる走査線SCLと列方向(図1においてY方向)に延びるデータ線DTLとに接続された状態で2次元マトリクス状に配列して形成されている表示領域80、給電線PS1に電圧を供給する電源部100、走査線SCLに走査信号を供給する走査部101、データ線DTLに信号電圧を供給するデータドライバ102を備えている。尚、図示の都合上、図1においては、1つの画素70、より具体的には、後述する第(q,p)番目の画素70についての結線関係を示した。
【0039】
表示装置1は、更に、全ての画素70に共通に接続される共通給電線PS2を備えている。給電線PS1には、電源部100から所定の駆動電圧が供給され、共通給電線PS2には、共通の電圧(例えば接地電位)が供給される。
【0040】
図1では図示されていないが、表示領域80には、行方向にQ個、列方向にP個、合計Q×P個の画素(表示素子)70が、2次元マトリクス状に配列されている。表示領域における画素70の行数はPであり、各行を構成する画素70の数はQである。
【0041】
また、走査線SCL及び給電線PS1の本数はそれぞれP本である。第p行目(但し、p=1,2・・・,P)の画素70は、第p番目の走査線SCLp、第p番目の給電線PS1pに接続されており、1つの表示素子行を構成する。尚、図1では、走査線SCLp及び給電線PS1pのみが示されている。
【0042】
また、データ線DTLの本数はQ本である。第q列目(但し、q=1,2・・・,Q)の画素70は、第q番目のデータ線DTLqに接続されている。尚、図1では、データ線DTLqのみが示されている。
【0043】
表示装置1は、例えばカラー表示の表示装置である。1つの画素70は、1つのサブピクセルを構成する。走査部101からの走査信号によって、表示装置1は行単位で線順次走査される。第p行、第q列目に位置する画素70を、以下、第(q,p)番目の画素70あるいは第(q,p)番目の画素70と呼ぶ。
【0044】
表示装置1にあっては、第p行目に配列されたQ個の画素70が同時に駆動される。換言すれば、行方向に沿って配されたQ個の画素70にあっては、その発光/非発光のタイミングは、それらが属する行単位で制御される。表示装置1の表示フレームレートをFR(回/秒)と表せば、表示装置1を行単位で線順次走査するときの1行当たりの走査期間(いわゆる水平走査期間)は、(1/FR)×(1/P)秒未満である。
【0045】
画素70は、発光部ELPとこれを駆動する駆動回路とから成る。発光部ELPは有機エレクトロルミネッセンス発光部から成る。駆動回路は、書込みトランジスタTRW、及び、駆動トランジスタTRD、並びに、容量部C1から構成されている。駆動トランジスタTRDを介して発光部ELPに電流が流れると、発光部ELPは発光する。各トランジスタは、pチャネル型の電界効果トランジスタから構成されている。
【0046】
画素70において、駆動トランジスタTRDの一方のソース/ドレイン領域は、容量部C1の一端と給電線PS1とに接続されており、他方のソース/ドレイン領域は、発光部ELPの一端(具体的には、アノード電極)に接続されている。駆動トランジスタTRDのゲート電極は、書込みトランジスタTRWの他方のソース/ドレイン領域に接続され、且つ、容量部C1の他端に接続されている。
【0047】
また、書込みトランジスタTRWにおいて、一方のソース/ドレイン領域は、データ線DTLに接続されており、ゲート電極は、走査線SCLに接続されている。
【0048】
発光部ELPの他端(具体的には、カソード電極)は、共通給電線PS2に接続されている。共通給電線PS2には所定のカソード電圧VCatが供給される。尚、発光部ELPの容量を符号CELで表す。
【0049】
画素70の駆動の概要について説明する。データドライバ102からデータ線DTLに表示すべき画像の輝度に応じた電圧が供給された状態で、走査部101からの走査信号により書込みトランジスタTRWが導通状態とされると、容量部C1に表示すべき画像の輝度に応じた電圧が書き込まれる。書込みトランジスタTRWが非導通状態とされた後、容量部C1に保持された電圧に応じて駆動トランジスタTRDに電流が流れることによって発光部ELPが発光する。
【0050】
尚、本開示において、画素70の発光を制御する駆動回路の構成は特に限定するものではない。従って、図1に示す構成は一例に過ぎず、本開示に係る表示装置にあっては種々の構成を取り得る。
【0051】
引き続き、表示装置1の詳しい構造について説明する。
【0052】
図2は、第1の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
【0053】
表示装置1は、
基板10上に2次元マトリクス状に配列して形成された下部電極21と、
隣接する下部電極21の間に設けられ、基板10から離れるに従い幅が狭くなる断面形状を有する隔壁部22と、
下部電極21上および隔壁部22上を含む全面に形成された、複数の材料層が積層されて成る有機層30と、
有機層30上を含む全面に形成された上部電極41と、
を含んでいる。
【0054】
そして、表示装置1にあっては、下部電極21と有機層30と上部電極41とが積層されて成る発光部ELPを含む画素において、
下部電極21と上部電極41との間に形成される共振器構造によって、所定の帯域の光が外部に取り出され、
有機層30と隔壁部22の界面における全反射によって、所定の帯域とは異なる帯域の光が外部に取り出される。尚、光の取り出しについては、後述する図3図4および図5を参照して、後で詳しく説明する。
【0055】
表示装置1において、発光部ELPは、下部電極21と有機層30と上部電極41とが積層されて構成されている。下部電極21は発光部ELPごとに設けられており、隣接する下部電極21の間には隔壁部22が形成されている。隔壁部22は画素間絶縁膜として機能する。尚、隔壁部22は、有機層30を構成する材料よりも高い屈折率の材料を用いて形成されている。
【0056】
下部電極21上と隔壁部22上を含む全面に、有機層30と上部電極41とが積層されている。有機層30は、それぞれ発光色が異なる複数の発光層を含む。上部電極41は、半透過電極41Aと透過電極41Bとが積層されて成る。表示装置1にあっては、有機層30側に半透過電極41Aが配置される構成であるとして説明するが、有機層30側に透過電極41Bが配置される構成であってもよい。
【0057】
透過電極41Bの上には保護膜42が形成されている。保護膜42は、有機層30への水分の侵入を防止するためのものであり、透水性の低い材料から形成されている。上部電極41上(より詳しくは、保護膜42上)には、高屈折率材料層51が設けられている。
【0058】
画素の上面、換言すれば、発光部ELPの上面には、表示すべき色に応じたカラーフィルタ60が配置されている。カラーフィルタ60は、例えば、図示せぬ対向基板に設けられており、高屈折率材料層51の上に張り合わされている。カラーフィルタ60において、赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタ、白色(透明)フィルタの部分を、それぞれ、符号61R、符号61G、符号61B、符号61Wで表した。また、所謂ブラックマトリクスの部分を符号BMで表した。
【0059】
以下、図2を参照して、各種構成要素について詳しく説明する。
【0060】
基板10は、例えば、ガラス材料、半導体材料、あるいは、プラスチック材料などから構成されている。この基板10上に、発光部ELPの発光を制御する薄膜トランジスタを含む駆動回路が形成されている。
【0061】
基板10上には、ゲート電極11、ゲート電極11上を含む全面を覆うように形成されたゲート絶縁膜12、半導体材料層13、半導体材料層13上を含む全面を覆うように形成された平坦化膜14、半導体材料層13に形成されたトランジスタのソース/ドレイン領域に接続されたソース/ドレイン電極15、ソース/ドレイン電極15上を含む全面を覆うように形成された平坦化膜16、平坦化膜16上に設けられた下部電極21が形成されている。
【0062】
基板10は、上述したトランジスタ等によって構成された、画素70を駆動するための駆動回路を備えている。下部電極21は、平坦化膜16の開口部に設けられたコンタクトプラグ17を介して、駆動トランジスタのソース/ドレイン電極15に接続されている。
【0063】
駆動回路を構成する各種トランジスタのゲート電極11は、例えば、アルミニウム(Al)などの金属、またはポリシリコンなどを用いて形成することができる。ゲート絶縁膜12は、ゲート電極11を覆うように基板10の全面に設けられる。ゲート絶縁膜12は、例えば、シリコン酸化物(SiOx)やシリコン窒化物(SiNx)などを用いて形成することができる。
【0064】
半導体材料層13は、例えば、非晶質シリコン、多結晶シリコン、または酸化物半導体などを用いて、ゲート絶縁膜12上に形成することができる。また、半導体材料層13の一部領域は、不純物がドープされ、ソース/ドレイン領域を形成する。更に、一方のソース/ドレイン領域と他方のソース/ドレイン領域との間に位置し、かつ、ゲート電極11の上方に位置する半導体材料層13の領域は、チャネル領域を形成する。これらによって、基板10上に、ボトムゲート型の薄膜トランジスタが設けられる。尚、図2においては、ソース/ドレイン領域やチャネル領域の表示は省略されている。
【0065】
平坦化膜14は、半導体材料層13上に設けられる。平坦化膜14は、例えば、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、またはシリコン酸窒化物(SiOxy)などから形成されている。ソース/ドレイン電極15は、平坦化膜14に設けられたコンタクトホールを介して半導体材料層13に接続されている。ソース/ドレイン電極15は、例えばアルミニウム(Al)といった金属から形成されている。
【0066】
平坦化膜16は、駆動回路等を被覆し平坦化するために形成される。平坦化膜16は、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、もしくはノボラック系樹脂などの有機絶縁膜、またはシリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、もしくはシリコン酸窒化物(SiOxy)などの無機絶縁膜を用いて形成することができる。コンタクトプラグ17は、例えば、銅(Cu)や銅合金などの金属材料から成り、平坦化膜16に設けられた開口部内に形成されている。
【0067】
下部電極21は、例えば、例えば、アルミニウム銅合金(AlCu)から成り、発光部ELPごとに設けられている。隣接する下部電極21の間には隔壁部22が形成されている。
【0068】
隔壁部22は、例えば、シリコン酸窒化物(SiOxy)などの無機材料から成る材料層にエッチング処理を施し、基板10から離れるに従い幅が狭くなる断面形状を有するように開口を設けることによって形成することができる。具体的には、基板10側を頂点側とする切頭円錐形状の開口が設けられている。従って、隔壁部22の斜面は均一に傾くように形成されている。隔壁部22の屈折率は有機層30の屈折率よりも大きいので、隔壁部22の斜面に対して臨界角を超えて入射する光は全反射される。
【0069】
有機層30は、下部電極21上と隔壁部22上を含む全面に形成されている。有機層30は、赤色発光層、青色発光層および緑色発光層を含み、全体として白色光を発光するように構成されている。有機層30は、例えば、有機材料から成るホール注入層、ホール輸送層、赤色発光層、発光分離層、青色発光層、緑色発光層、電子輸送層、電子注入層が順次積層された構造とすることができる。尚、図示の都合上、有機層30を一層で示した。有機層30の膜厚や積層関係などについては、後述する図5を参照して、後で詳しく説明する。
【0070】
上部電極41は、有機層30上を含む全面に形成されている。上述したように、上部電極41は、有機層30側に位置する半透過電極41Aと半透過電極41A上に形成された透過電極41Bとから成る。上部電極41は、光透過性が良好で仕事関数が小さい材料の積層膜から構成されている。半透過電極41Aは、マグネシウム-銀合金(MgAg)、銀(Ag)またはカルシウム(Ca)等を用いて構成することができる。また、透過電極41Bは、インジウム亜鉛酸化物(IZO)またはインジウムスズ酸化物(ITO)を用いて構成することができる。半透過電極41Aは蒸着法によって形成されており、透過電極はスパッタ法によって形成されている。
【0071】
透過電極41Bの上には保護膜42が形成されている。保護膜42は、有機層30への水分の浸透を防ぐために設けられており、透水性の低い材料から形成されている。その厚さは、例えば0.5ないし8マイクロメートル程度である。保護膜42は、ケイ素窒化物(SiNx)、ケイ素酸化物(SiOx)、アルミニウム酸化物(AlOx)、チタン酸化物(Tix)といった材料またはこれらを組み合わせた材料を用いて形成することができる。
【0072】
上部電極41上(より詳しくは、保護膜42上)には、高屈折率材料層51が設けられている。高屈折率材料層51は、Si1-xx、ITO、IZO、TiO2、Nb25、臭素含有ポリマー、硫黄含有ポリマー、チタン含有ポリマー、またはジルコニウム含有ポリマーなどから構成することができる。尚、支障がない場合には高屈折率材料層51が保護膜を兼ねるといった構造としてもよい。
【0073】
画素の上面、換言すれば、発光部ELPの上面には、表示すべき色に応じたカラーフィルタ60が配置されている。カラーフィルタ60によって、有機層30で発生した光が色分割して取り出される。また、内部の配線によって反射された外光が吸収されるので、コントラストも改善される。
【0074】
以上、各種構成要素について詳しく説明した。引き続き、発光部ELPからの光の取り出しについて説明する。
【0075】
図3は、画素における光の取り出しを説明するための模式的な一部端面図である。尚、図示の都合上、有機層におけるハッチングを省略した。後述する他の図面についても同様である。
【0076】
下部電極21と上部電極41との間(図において符号REで示す)は、所定の波長を帯域の中心波長として共振する条件を満たすように構成されている。より具体的には、下部電極21と上部電極41との間に形成される共振器構造によって、青色光波長を中心波長とする帯域の光が外部に取り出される。また、有機層30と隔壁部22の界面における全反射によって、黄色光(緑色光成分と赤色光成分とを含む)が外部に取り出される。
【0077】
下部電極21と上部電極41との間に形成される共振器構造について説明する。図4Aは、赤色発光層、青色発光層および緑色発光層を含む有機層の構成を示す。
【0078】
図に示すように、有機層30は、下部電極21側から、ホール注入層31、ホール輸送層32、赤色発光層33R、発光分離層34、青色発光層33B、緑色発光層33G、電子輸送層35、電子注入層36が積層されて構成されている。各層の厚さは、例えば、ホール注入層が1~20ナノメートル、ホール輸送層が10~200ナノメートル、各発光層が5~50ナノメートル、電子輸送層や電子注入層は10~200ナノメートルの範囲に設定されることが好ましい。半透過電極41Aは3~20ナノメートルの範囲に設定され、透過電極41Bは10~200ナノメートルの範囲に設定される。より具体的には、各層の厚さは、以下の条件を満たすように設定されている。
【0079】
下部電極21と上部電極41との間に形成される共振器構造において、下部電極21および上部電極41(より具体的には、半透過電極41A)で生じる反射光の位相シフトを符号Φ、下部電極21と上部電極41(より具体的には、半透過電極41A)との間の光学的距離を符号L、所定の帯域の中心波長を符号λで表すとき、図4Aに示す光学的距離Lが、
2L/λ+Φ/2π=m(mは整数)
の条件を満たすように、各層の厚さが設定されている。
【0080】
画素平坦部において青色光の波長について共振条件を満たすよう膜厚設定がされていると、青色光はマイクロキャビティ効果により取り出され、緑色光と赤色光は隔壁部の界面における反射を利用して取り出される。青色発光領域と黄色発光領域とが並置して配置されるので、全体として白発光として扱うことができる。
【0081】
尚、有機層30は、青色発光層と黄色発光層とを含む構成であってもよい。図4Bは、青色発光層および黄色発光層を含む有機層の構成を示す。この場合においても、図4Bに示す光学的距離Lが上述した条件を満たすように、各層の厚さを設定すればよい。また、図4A図4Bに示す構成において有機層30側に透過電極41Bが配置される場合には、透過電極41Bを含めた状態で光学的距離Lの設定をすればよい。
【0082】
また、表示装置1において、上部電極41における半透過電極41Aの膜厚比率は、下部電極21の上に位置する部分に対して、隔壁部22の斜面の上に位置する部分ほうが相対的に低くなるように形成されている。
【0083】
図5は、画素における半透過電極の膜厚比率を説明するための模式的な一部端面図である。
【0084】
隔壁部22の斜面部において全反射した光を外部に取り出すといった観点からは、共振器構造に関与しない部分において、半透過電極41Aの厚さはできるだけ薄いことが好ましい。隔壁部22の斜面部(符号SLで示す)における半透過電極41Aと透過電極41Bの膜厚をそれぞれ符号T1と符号T2と表し、下部電極21の平坦部(符号RESで示す)における半透過電極41Aと透過電極41Bの膜厚をそれぞれ符号T3と符号T4と表せば、
1/(T1+T2) < T3/(T3+T4
といった関係を満たすように構成されている。
【0085】
以上、発光部ELPからの光の取り出しについて説明した。引き続き、表示領域における発光部ELPの配置、カラーフィルタの配置、カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域について、図を参照して説明する。
【0086】
図6は、表示装置における発光部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。
【0087】
表示装置1の発光領域には、上述した構造の発光部ELPが2次元マトリクス状に配列している。各発光部ELPは、共振器構造によって青色光が取り出される円形状の部分と、円形状の部分を取り囲むと共に黄色光が取り出される円環形状の部分とから構成される。図6では、青色光が取り出される部分と黄色光が取り出される部分とをそれぞれ符号Bと符号Yで表した。このように、異なる発光色が平面的に配置されるとこととなり、白色の色バランスを取りやすくすることができる。
【0088】
図7は、表示装置におけるカラーフィルタの配置関係を説明するための模式的な平面図である。
【0089】
図2に示すように、発光部ELPの上にはカラーフィルタ60が配置される。そして、画素が表示すべき色に応じて、各発光部ELPの上側には所定色のカラーフィルタが配置される。図7においては、赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタ、白色(透明)フィルタの部分を、それぞれ、符号R、符号G、符号B、符号Wで表した。
【0090】
図8は、カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状を説明するための模式的な平面図である。
【0091】
青色画素70Bの発光領域は、発光部ELPにおいて青色光が取り出される円形状に対応した平面形状となる。
【0092】
これに対し、赤色画素70Rの発光領域は、発光部ELPにおいて黄色光が取り出される円環形状に対応した平面形状となる。より具体的には、図2に示すように、黄色光が赤色フィルタ61Rを透過することによって赤色光が取り出される。同様に、緑色画素70Gの発光領域も、発光部ELPにおいて黄色光が取り出される円環形状に対応した平面形状となる。より具体的には、図2に示すように、黄色光が緑色フィルタ61Gを透過することによって緑色光が取り出される。
【0093】
また、白色画素70Wの発光領域は、発光部ELPにおいて青色光が取り出される円形状に対応した平面形状と黄色光が取り出される円環形状の平面形状とを併せた形状となる。
【0094】
上述したように、表示装置1にあっては、表示すべき色に応じて、発光領域の形状が相違する。すなわち、カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状として、円形状と円環形状とが混在する。
【0095】
以上、表示装置1の詳しい構造について説明した。上記の表示装置1は、次のようにして製造することができる。
【0096】
図9ないし図11は、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的な一部端面図である。
【0097】
以下、これらの図を参照して、表示装置1の製造方法について説明する。
【0098】
[工程-100](図9Aおよび図9B参照)
基板10を用意し、基板10上に所定の成膜およびパターニングプロセスを経ることにより、薄膜トランジスタを含む駆動回路を形成する。次いで、駆動回路上の全面に平坦化膜14をスピンコート法、スリットコート法、スパッタ法、CVD法などにより形成する。その後、平坦化膜14に開口部を形成した後、ソース/ドレイン電極15を形成する。次いで、全面に平坦化膜16を形成した後、コンタクトプラグ17および下部電極21を、所定の成膜およびパターニングプロセスを経ることによって形成する。その後、隔壁部22を形成するための材料層22Aとして、シリコン酸窒化物(SiOxy)などの無機材料をスパッタ法またはCVD法などによって成膜する(図9A参照)。
【0099】
次いで、材料層22Aをリソグラフィ法およびドライエッチング法によって所定の凹構造となるように画素開口をパターニングし、斜面部を有する隔壁部22を形成する(図9B参照)。
【0100】
[工程-110](図10参照)
その後、下部電極21上および隔壁部22上を含む全面に、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、赤色発光層、発光分離層、青色発光層、緑色発光層、電子輸送層、電子注入層を順次成膜し、白色で発光する有機層30を形成する。尚、有機層30は、上述した光学的距離Lが、
2L/λ+Φ/2π=m(mは整数)
の条件を満たすように形成される。
【0101】
[工程-180](図11参照)
次いで、有機層30上の全面に、カソード電極となる上部電極41を形成する。例えば、マグネシウム-銀合金(MgAg)から成る半透過電極41Aを蒸着法によって形成し、その後、インジウム亜鉛酸化物(IZO)から成る透過電極41Bをスパッタ法によって形成することによって、上部電極41を得ることができる。次いで、必要に応じて、保護膜42を周知の方法によって形成する。
【0102】
その後、全面に高屈折率材料層51を形成した後、カラーフィルタ60が形成された図示せぬ対向基板を張り合わせることによって、表示装置1を得ることができる(図2参照)。
【0103】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形である。第1の実施形態にあっては、隔壁部の斜面は均一に傾くように形成されていた。これに対し、第2の実施形態にあっては、隔壁部の斜面は下部電極側において緩やかになるように段階的に形成されている点が相違する。
【0104】
図12は、第2の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。図13は、画素における隔壁部の斜面の構造を説明するための模式的な一部端面図である。尚、第2の実施形態に係る表示装置の模式的な平面図は、図1において、表示装置1を表示装置2と読み替えればよい。
【0105】
図12に示すように、表示装置2において、隔壁部222は、斜面は下部電極21側において緩やかになるように段階的に形成されている。即ち、図13に示すように、隔壁部222の斜面は、有機層30側の斜面SLTと、下部電極21側の斜面SLBとに区分される。そして、斜面SLBは、斜面SLTよりも傾斜が緩やかに形成されている。例えば、第1の実施形態において参照した図9Bに示すプロセスを行う際に、エッチング条件を段階的に変えるなどといったことを行うことによって、上述した形状を得ることができる。
【0106】
第2の実施形態にあっては、隔壁部222と下部電極21とが成す角度が緩やかになるため、有機層30の被膜性が改善される。これによって、有機層30の発光色の色ズレなどを抑制することができる。表示装置2の製造方法は、基本的には、第1の実施形態において説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0107】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第1の実施形態の変形である。第1の実施形態にあっては、下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって青色光波長を中心波長とする帯域の光が取り出され、有機層と隔壁部の界面における全反射によって黄色光(緑色光成分と赤色光成分とを含む)が取り出された。これに対し、第3の実施形態にあっては、第1の実施形態に対して、共振器構造によって取り出される光、更には、有機層と隔壁部の界面における全反射によって取り出される光のいずれもが相違する。
【0108】
図14は、第3の実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。尚、第3の実施形態に係る表示装置の模式的な平面図は、図1において、表示装置1を表示装置3と読み替えればよい。
【0109】
第3の実施形態に係る表示装置3は、第1の実施形態に対して、有機層330の構造が相違する。有機層330は、赤色発光層、青色発光層および緑色発光層を含むと共に、赤色発光層と青色発光層の間には発光分離層が配置されている。そして、有機層330における発光分離層の膜厚比率は、下部電極21上に位置する部分に対して隔壁部22の斜面上に位置する部分のほうが相対的に低い。有機層330の積層関係については、後述する図16を参照して、後で詳しく説明する。
【0110】
図15は、画素における光の取り出しを説明するための模式的な一部端面図である。
【0111】
下部電極21と上部電極41との間(図において符号REで示す)は、所定の波長を帯域の中心波長として共振する条件を満たすように構成されている。より具体的には、下部電極21と上部電極41との間に形成される共振器構造によって、青色光波長と緑色光波長との中間波長を中心波長とする帯域の光が外部に取り出される。また、有機層330と隔壁部22の界面における全反射によって、赤色光が外部に取り出される。有機層330は、上述した条件が満たされるように形成されている。
【0112】
下部電極21と上部電極41との間に形成される共振器構造について説明する。図16は、赤色発光層、青色発光層および緑色発光層を含む有機層の構成を示す。
【0113】
図に示すように、有機層330は、下部電極21側から、ホール注入層331、ホール輸送層332、赤色発光層333R、発光分離層334、青色発光層333B、緑色発光層333G、電子輸送層335、電子注入層336が積層されて構成されている。各層の厚さは、例えば、ホール注入層が1~20ナノメートル、ホール輸送層が10~200ナノメートル、各発光層が5~50ナノメートル、電子輸送層は10~200ナノメートルの範囲に設定されることが好ましい。半透過電極41Aは3~20ナノメートルの範囲に設定され、透過電極41Bは10~200ナノメートルの範囲に設定される。より具体的には、各層の厚さは、以下の条件を満たすように設定されている。
【0114】
下部電極21と上部電極41との間に形成される共振器構造において、下部電極21および上部電極41(より具体的には、半透過電極41A)で生じる反射光の位相シフトを符号Φ、下部電極21と上部電極41(より具体的には、半透過電極41A)との間の光学的距離を符号L、青色光波長と緑色光波長との中間波長である所定の帯域の中心波長を符号λで表すとき、図4Aに示す光学的距離Lが、
2L/λ+Φ/2π=m(mは整数)
の条件を満たすように、各層の厚さが設定されている。
【0115】
画素平坦部において青色光波長と緑色光波長との中間波長について共振条件を満たすよう膜厚設定がされていると、青色光と緑色光とはマイクロキャビティ効果により取り出され、残りの赤色光は隔壁部の界面における反射を利用して取り出される。この構成においては、青色発光領域と緑色発光領域は重なるように配置され、更に、赤色発光領域が並置して配置される。従って、全体として白発光として扱うことができる。
【0116】
また、有機層330における発光分離層の膜厚比率は、下部電極21上に位置する部分の膜厚比率に対して、隔壁部22の斜面上に位置する部分の膜厚比率よりも相対的に低くなるように形成される。従って、下部電極21上に位置する有機層330の部分に対して、隔壁部22の斜面上に位置する有機層330の部分は、発光中心が赤色発光層側にシフトする。これによって、各色成分をより効率的に取り出すことができる。
【0117】
以上、発光部ELPからの光の取り出しについて説明した。引き続き、表示領域における発光部ELPの配置、カラーフィルタの配置、カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域について、図を参照して説明する。
【0118】
図17は、表示装置における発光部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。
【0119】
表示装置3の発光領域には、上述した構造の発光部ELPが2次元マトリクス状に配列している。各発光部ELPは、共振器構造によって青色光および緑色光が取り出される円形状の部分と、円形状の部分を取り囲むと共に赤色光が取り出される円環形状の部分とから構成される。図17では、青色光および緑色光が取り出される部分と赤色光が取り出される部分とをそれぞれ符号BGと符号Rで表した。このように、異なる発光色が平面的に配置されるとこととなり、白色の色バランスを取りやすくすることができる。
【0120】
図18は、カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状を説明するための模式的な平面図である。
【0121】
青色画素70Bの発光領域と緑色画素70Gの発光領域は、発光部ELPにおいて青色光および緑色光が取り出される円形状に対応した平面形状となる。より具体的には、図14に示すように、青色光および緑色光が青色フィルタ61Bを透過することによって青色光が取り出される。同様に、青色光および緑色光が緑色フィルタ61Bを透過することによって緑色光が取り出される。
【0122】
これに対し、赤色画素70Rの発光領域は、発光部ELPにおいて赤色光が取り出される円環形状に対応した平面形状となる。より具体的には、図14に示すように、赤色光が赤色フィルタ61Rを透過することによって赤色光が取り出される。
【0123】
また、白色画素70Wの発光領域は、発光部ELPにおいて青色光および緑色光が取り出される円形状に対応した平面形状と赤色光が取り出される円環形状の平面形状とを併せた形状となる。
【0124】
上述したように、表示装置3においても、表示すべき色に応じて、発光領域の形状が相違する。すなわち、カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状として、円形状と円環形状とが混在する。
【0125】
表示装置3の製造方法は、基本的には、第1の実施形態において説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0126】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、画素平坦部に配置される下部電極に加えて、さらに隔壁部の斜面部にも下部電極を配置した構成である。
【0127】
図19は、第4の実施形態に係る表示装置における画素構造を説明するための模式的な一部断面図である。
【0128】
図19において、下部電極321Aは第1の実施形態における下部電極21に相当する。下部電極321Bと321Cは、隔壁部322の斜面に配置されている。下部電極321A,321B,321Cは、それぞれ独立に電圧が供給されるように形成されている。
【0129】
図20Aは、表示装置における発光部の配置関係を説明するための模式的な平面図である。図20Bは、カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状を説明するための模式的な平面図である。
【0130】
第1の実施形態と同様に、有機層30は、共振器構造において青色光が取り出されるように形成されている。従って、下部電極321Aに電圧を印加することによって、青色光が取り出される。また、下部電極321Bと321Cとに電圧を印加することによって、黄色光(緑色光成分と赤色光成分とを含む)が外部に取り出される。下部電極321Bによる黄色光から赤色フィルタ61Rを介して赤色光が取り出され、下部電極321Cによる黄色光から緑色フィルタ61Gを介して緑色光が取り出される。
【0131】
以上説明した本開示に係る各種の表示装置によれば、下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、帯域の光が外部に取り出され、有機層と隔壁部の界面における全反射によって、所定の帯域とは異なる帯域の光が外部に取り出される。従って、異なる発光色が平面的に配置されるので、白色の色バランスを取りやすくすることができる。
【0132】
[各実施形態に適用される共振器構造の例]
上述した本開示に係る表示装置にあっては、共振器構造として種々の構成を取ることができる。以下、図を参照して、共振器構造の例について説明する。
【0133】
(共振器構造:第1例)
図21Aは、共振器構造の第1例を説明するための模式的な断面図である。
【0134】
第1例において、下部電極21は各画素70において共通の膜厚で形成されている。上部電極41においても同様である。
【0135】
画素70の下部電極21の下に、光学調整層72を挟んだ状態で、反射板71が配されている。反射板71と上部電極41との間に有機層30が発生する光を共振させる共振器構造が形成される。
【0136】
反射板71は各画素70において共通の膜厚で形成されている。光学調整層72の膜厚は、画素が表示すべき色に応じて異なっている。光学調整層72R,72G,72Bが異なる膜厚を有することにより、表示すべき色に応じた光の波長に最適な共振を生ずる光学的距離を設定することができる。
【0137】
図に示す例では、画素70R,70G,70Bにおける反射板71の上面は揃うように配置されている。上述したように、光学調整層72の膜厚は、画素が表示すべき色に応じて異なっているので、上部電極41の上面の位置は、画素70R,70G,70Bの種類に応じて相違する。
【0138】
反射板71は、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)等の金属、あるいは、これらを主成分とする合金を用いて形成することができる。
【0139】
光学調整層72は、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiOxy)などの無機絶縁材料や、アクリル系樹脂やポリイミド系樹脂などといった有機樹脂材料を用いてから構成することができる。光学調整層72は単層でも良いし、これら複数の材料の積層膜であってもよい。また、画素70の種類に応じて積層数が異なっても良い。
【0140】
下部電極21は、インジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)などの透明導電材料を用いて形成することができる。
【0141】
上部電極41は、半透過反射膜として機能する必要がある。上部電極41は、マグネシウム(Mg)や銀(Ag)、またはこれらを主成分とするマグネシウム銀合金(MgAg)、さらには、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含んだ合金などを用いて形成することができる。
【0142】
(共振器構造:第2例)
図21Bは、共振器構造の第2例を説明するための模式的な断面図である。
【0143】
第2例においても、下部電極21や上部電極41は各画素70において共通の膜厚で形成されている。
【0144】
そして、第2例においても、画素70の下部電極21の下に、光学調整層72を挟んだ状態で、反射板71が配される。反射板71と上部電極41との間に有機層30が発生する光を共振させる共振器構造が形成される。第1例と同様に、反射板71は各画素70において共通の膜厚で形成されており、光学調整層72の膜厚は、画素が表示すべき色に応じて異なっている。
【0145】
図21Aに示す第1例においては、画素70R,70G,70Bにおける反射板71の上面は揃うように配置され、上部電極41の上面の位置は、画素70R,70G,70Bの種類に応じて相違していた。
【0146】
これに対し、図21Bに示す第2例において、上部電極41の上面は、画素70R,70G,70Bで揃うように配置されている。上部電極41の上面を揃えるために、画素70R,70G,70Bにおいて反射板71の上面は、画素70R,70G,70Bの種類に応じて異なるように配置されている。このため、反射板71の下面(換言すれば、図に符号73に示す下地73の面)は、画素70の種類に応じた階段形状となる。
【0147】
反射板71、光学調整層72、下部電極21および上部電極41を構成する材料などについては、第1例において説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
【0148】
(共振器構造:第3例)
図22Aは、共振器構造の第3例を説明するための模式的な断面図である。
【0149】
第3例においても、下部電極21や上部電極41は各画素70において共通の膜厚で形成されている。
【0150】
そして、第3例においても、画素70の下部電極21の下に、光学調整層72を挟んだ状態で、反射板71が配される。反射板71と上部電極41との間に、有機層30が発生する光を共振させる共振器構造が形成される。第1例や第2例と同様に、光学調整層72の膜厚は、画素が表示すべき色に応じて異なっている。そして、第2例と同様に、上部電極41の上面の位置は、画素70R,70G,70Bは揃うように配置されている。
【0151】
図21Bに示す第2例にあっては、上部電極41の上面を揃えるために、反射板71の下面は、画素70の種類に応じた階段形状であった。
【0152】
これに対し、図22Aに示す第3例において、反射板71の膜厚は、画素70R,70G,70Bの種類に応じて異なるように設定されている。より具体的には、反射板71R,71G,71Bの下面が揃うように膜厚が設定されている。
【0153】
反射板71、光学調整層72、下部電極21および上部電極41を構成する材料などについては、第1例において説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
【0154】
(共振器構造:第4例)
図22Bは、共振器構造の第4例を説明するための模式的な断面図である。
【0155】
図21Aに示す第1例において、各画素70の下部電極21や上部電極41は、共通の膜厚で形成されている。そして、画素70の下部電極21の下に、光学調整層72を挟んだ状態で、反射板71が配されている。
【0156】
これに対し、図22Bに示す第4例では、光学調整層72を省略し、下部電極21の膜厚を、画素70R,70G,70Bの種類に応じて異なるように設定した。
【0157】
反射板71は各画素70において共通の膜厚で形成されている。下部電極21の膜厚は、画素が表示すべき色に応じて異なっている。下部電極21R,31G,31Bが異なる膜厚を有することにより、表示すべき色に応じた光の波長に最適な共振を生ずる光学的距離を設定することができる。
【0158】
反射板71、光学調整層72、下部電極21および上部電極41を構成する材料などについては、第1例において説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
【0159】
(共振器構造:第5例)
図23Aは、共振器構造の第5例を説明するための模式的な断面図である。
【0160】
図21Aに示す第1例において、下部電極21や上部電極41は各画素70において共通の膜厚で形成されている。そして、画素70の下部電極21の下に、光学調整層72を挟んだ状態で、反射板71が配されている。
【0161】
これに対し、図23Aに示す第5例にあっては、光学調整層72を省略し、代わりに、反射板71の表面に酸化膜74を形成した。酸化膜74の膜厚は、画素70R,70G,70Bの種類に応じて異なるように設定した。
【0162】
酸化膜74の膜厚は、画素が表示すべき色に応じて異なっている。酸化膜74R,74G,74Bが異なる膜厚を有することにより、表示すべき色に応じた光の波長に最適な共振を生ずる光学的距離を設定することができる。
【0163】
酸化膜74は、反射板71の表面を酸化した膜であって、例えば、アルミニウム酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、マグネシウム酸化物、ジルコニウム酸化物などから構成される。酸化膜74は、反射板71と上部電極41との間の光路長(光学的距離)を調整するための絶縁膜として機能する。
【0164】
画素70R,70G,70Bの種類に応じて膜厚が異なる酸化膜74は、例えば、以下のようにして形成することができる。
【0165】
先ず、容器の中に電解液を充填し、反射板71が形成された基板を電解液の中に浸漬する。また、反射板71と対向するように電極を配置する。
【0166】
そして、電極を基準として正電圧を反射板71に印加して、反射板71を陽極酸化する。陽極酸化による酸化膜の膜厚は、電極に対する電圧値に比例する。そこで、反射板71R、71G、71Bのそれぞれに画素70の種類に応じた電圧を印加した状態で陽極酸化を行う。これによって、膜厚の異なる酸化膜74を一括して形成することができる。
【0167】
反射板71、下部電極21および上部電極41を構成する材料などについては、第1例において説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
【0168】
(共振器構造:第6例)
図23Bは、共振器構造の第6例を説明するための模式的な断面図である。
【0169】
第6例において、画素70は、下部電極21と有機層30と上部電極41とが積層されて構成されている。但し、第6例において、下部電極21は、電極と反射板の機能を兼ねるように形成されている。下部電極(兼反射板)31は、画素70R,70G,70Bの種類に応じて選択された光学定数を有する材料によって形成されている。下部電極(兼反射板)31による位相シフトが異なることによって、表示すべき色に応じた光の波長に最適な共振を生ずる光学的距離を設定することができる。
【0170】
下部電極(兼反射板)31は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)などの単体金属や、これらを主成分とする合金から構成することができる。例えば、画素70Rの下部電極(兼反射板)31Rを銅(Cu)で形成し、画素70Gの下部電極(兼反射板)31Gと画素70Bの下部電極(兼反射板)31Bとをアルミニウムで形成するといった構成とすることができる。
【0171】
上部電極41を構成する材料などについては、第1例において説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
【0172】
(共振器構造:第7例)
図24は、共振器構造の第7例を説明するための模式的な断面図である。
【0173】
第7例は、基本的には、画素70R,70Gについては第6例を適用し、画素70Bについては第1例を適用したといった構成である。この構成においても、表示すべき色に応じた光の波長に最適な共振を生ずる光学的距離を設定することができる。
【0174】
画素70R,70Gに用いられる下部電極(兼反射板)31R,31Gは、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)などの単体金属や、これらを主成分とする合金から構成することができる。
【0175】
画素70Bに用いられる、反射板71B、光学調整層72Bおよび下部電極21Bを構成する材料などについては、第1例において説明した内容と同様であるので、説明を省略する。
【0176】
[電子機器]
以上説明した本開示の表示装置は、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示部(表示装置)として用いることができる。一例として、例えば、テレビジョンセット、デジタルスチルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機等の携帯端末装置、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型ディスプレイ)等の表示部として用いることができる。
【0177】
本開示の表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。一例として、画素アレイ部に透明なガラス等の対向部が貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。尚、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やフレキシブルプリントサーキット(FPC)などが設けられていてもよい。以下に、本開示の表示装置を用いる電子機器の具体例として、デジタルスチルカメラ及びヘッドマウントディスプレイを例示する。但し、ここで例示する具体例は一例に過ぎず、これに限られるものではない。
【0178】
(具体例1)
図25は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの外観図であり、図25Aにその正面図を示し、図25Bにその背面図を示す。レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、例えば、カメラ本体部(カメラボディ)411の正面右側に交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)412を有し、正面左側に撮影者が把持するためのグリップ部413を有している。
【0179】
そして、カメラ本体部411の背面略中央にはモニタ414が設けられている。モニタ414の上部には、ビューファインダ(接眼窓)415が設けられている。撮影者は、ビューファインダ415を覗くことによって、撮影レンズユニット412から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことが可能である。
【0180】
上記の構成のレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラにおいて、そのビューファインダ415として本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本例に係るレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、そのビューファインダ415として本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0181】
(具体例2)
図26は、ヘッドマウントディスプレイの外観図である。ヘッドマウントディスプレイは、例えば、眼鏡形の表示部511の両側に、使用者の頭部に装着するための耳掛け部512を有している。このヘッドマウントディスプレイにおいて、その表示部511として本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本例に係るヘッドマウントディスプレイは、その表示部511として本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0182】
(具体例3)
図27は、シースルーヘッドマウントディスプレイの外観図である。シースルーヘッドマウントディスプレイ611は、本体部612、アーム613および鏡筒614で構成される。
【0183】
本体部612は、アーム613および眼鏡600と接続される。具体的には、本体部612の長辺方向の端部はアーム613と結合され、本体部612の側面の一側は接続部材を介して眼鏡600と連結される。なお、本体部612は、直接的に人体の頭部に装着されてもよい。
【0184】
本体部612は、シースルーヘッドマウントディスプレイ611の動作を制御するための制御基板や、表示部を内蔵する。アーム613は、本体部612と鏡筒614とを接続させ、鏡筒614を支える。具体的には、アーム613は、本体部612の端部および鏡筒614の端部とそれぞれ結合され、鏡筒614を固定する。また、アーム613は、本体部612から鏡筒614に提供される画像に係るデータを通信するための信号線を内蔵する。
【0185】
鏡筒614は、本体部612からアーム613を経由して提供される画像光を、接眼レンズを通じて、シースルーヘッドマウントディスプレイ611を装着するユーザの目に向かって投射する。このシースルーヘッドマウントディスプレイ611において、本体部612の表示部に、本開示の表示装置を用いることができる。
【0186】
[応用例]
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0187】
図28は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図28に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0188】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図28では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0189】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0190】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0191】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0192】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0193】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0194】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0195】
ここで、図29は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0196】
なお、図29には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0197】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0198】
図28に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0199】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0200】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0201】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0202】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0203】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX、LTE(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0204】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0205】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0206】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0207】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0208】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0209】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0210】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0211】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図28の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0212】
なお、図28に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0213】
本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置の表示部に適用され得る。
【0214】
[本開示の構成]
なお、本開示の技術は以下のような構成も取ることができる。
【0215】
[A1]
基板上に2次元マトリクス状に配列して形成された下部電極と、
隣接する下部電極の間に設けられ、基板から離れるに従い幅が狭くなる断面形状を有する隔壁部と、
下部電極上および隔壁部上を含む全面に形成された、複数の材料層が積層されて成る有機層と、
有機層上を含む全面に形成された上部電極と、
を含んでおり、
下部電極と有機層と上部電極とが積層されて成る発光部を含む画素において、
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、所定の帯域の光が外部に取り出され、
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、所定の帯域とは異なる帯域の光が外部に取り出される、
表示装置。
[A2]
上部電極は、半透過電極と透過電極とが積層されて成る、
上記[A1]に記載の表示装置。
[A3]
上部電極における半透過電極の膜厚比率は、下部電極の上に位置する部分に対して隔壁部の斜面の上に位置する部分のほうが相対的に低い、
上記[A2]に記載の表示装置。
[A4]
半透過電極は、マグネシウム-銀合金(MgAg)、銀(Ag)またはカルシウム(Ca)から成る、
上記[A2]または[A3]に記載の表示装置。
[A5]
透過電極は、インジウム亜鉛酸化物(IZO)またはインジウムスズ酸化物(ITO)から成る、
上記[A2]ないし[A4]のいずれかに記載の表示装置。
[A6]
半透過電極は蒸着法によって形成されており、透過電極はスパッタ法によって形成されている、
上記[A2]ないし[A5]のいずれかに記載の表示装置。
[A7]
有機層は、それぞれ発光色が異なる複数の発光層を含む、
上記[A1]ないし[A6]のいずれかに記載の表示装置。
[A8]
有機層は、赤色発光層、青色発光層および緑色発光層を含む、
上記[A7]に記載の表示装置。
[A9]
赤色発光層と青色発光層の間には発光分離層が配置されている、
上記[A8]に記載の表示装置。
[A10]
有機層における発光分離層の膜厚比率は、下部電極上に位置する部分に対して隔壁部の斜面上に位置する部分のほうが相対的に低い、
上記[A9]に記載の表示装置。
[A11]
有機層は、青色発光層および黄色発光層を含む、
上記[A7]に記載の表示装置。
[A12]
隔壁部の斜面は下部電極側において緩やかになるように段階的に形成されている、
上記[A1]ないし[A11]のいずれかに記載の表示装置。
[A13]
画素の上面には、表示すべき色に応じたカラーフィルタが配置されている、
上記[A1]ないし[A12]のいずれかに記載の表示装置。
[A14]
カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状として、円形状と円環形状とが混在する、
上記[A13]に記載の表示装置。
[A15]
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造において、下部電極および上部電極で生じる反射光の位相シフトを符号Φ、下部電極と上部電極との間の光学的距離を符号L、所定の帯域の中心波長を符号λで表すとき、光学的距離Lは、
2L/λ+Φ/2π=m(mは整数)
の条件を満たす、
上記[A1]ないし[A14]のいずれかに記載の表示装置。
[A16]
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、青色光波長を中心波長とする帯域の光が外部に取り出される、
上記[A1]ないし[A15]のいずれかに記載の表示装置。
[A17]
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、黄色光が外部に取り出される、
上記[A16]に記載の表示装置。
[A18]
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、青色光波長と緑色光波長との中間波長を中心波長とする帯域の光が外部に取り出される、
上記[A1]ないし[A15]のいずれかに記載の表示装置。
[A19]
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、赤色光が外部に取り出される、
上記[A18]に記載の表示装置。
【0216】
[B1]
基板上に2次元マトリクス状に配列して形成された下部電極と、
隣接する下部電極の間に設けられ、基板から離れるに従い幅が狭くなる断面形状を有する隔壁部と、
下部電極上および隔壁部上を含む全面に形成された、複数の材料層が積層されて成る有機層と、
有機層上を含む全面に形成された上部電極と、
を含んでおり、
下部電極と有機層と上部電極とが積層されて成る発光部を含む画素において、
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、所定の帯域の光が外部に取り出され、
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、所定の帯域とは異なる帯域の光が外部に取り出される、
表示装置を含む電子機器。
[B2]
上部電極は、半透過電極と透過電極とが積層されて成る、
上記[B1]に記載の電子機器。
[B3]
上部電極における半透過電極の膜厚比率は、下部電極の上に位置する部分に対して隔壁部の斜面の上に位置する部分のほうが相対的に低い、
上記[B2]に記載の電子機器。
[B4]
半透過電極は、マグネシウム-銀合金(MgAg)、銀(Ag)またはカルシウム(Ca)から成る、
上記[B2]または[B3]に記載の電子機器。
[B5]
透過電極は、インジウム亜鉛酸化物(IZO)またはインジウムスズ酸化物(ITO)から成る、
上記[B2]ないし[B4]のいずれかに記載の電子機器。
[B6]
半透過電極は蒸着法によって形成されており、透過電極はスパッタ法によって形成されている、
上記[B2]ないし[B5]のいずれかに記載の電子機器。
[B7]
有機層は、それぞれ発光色が異なる複数の発光層を含む、
上記[B1]ないし[B6]のいずれかに記載の電子機器。
[B8]
有機層は、赤色発光層、青色発光層および緑色発光層を含む、
上記[B7]に記載の電子機器。
[B9]
赤色発光層と青色発光層の間には発光分離層が配置されている、
上記[B8]に記載の電子機器。
[B10]
有機層における発光分離層の膜厚比率は、下部電極上に位置する部分に対して隔壁部の斜面上に位置する部分のほうが相対的に低い、
上記[B9]に記載の電子機器。
[B11]
有機層は、青色発光層および黄色発光層を含む、
上記[B7]に記載の電子機器。
[B12]
隔壁部の斜面は下部電極側において緩やかになるように段階的に形成されている、
上記[B1]ないし[B11]のいずれかに記載の電子機器。
[B13]
画素の上面には、表示すべき色に応じたカラーフィルタが配置されている、
上記[B1]ないし[B12]のいずれかに記載の電子機器。
[B14]
カラーフィルタを介して観察される画素の発光領域の形状として、円形状と円環形状とが混在する、
上記[B13]に記載の電子機器。
[B15]
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造において、下部電極および上部電極で生じる反射光の位相シフトを符号Φ、下部電極と上部電極との間の光学的距離を符号L、所定の帯域の中心波長を符号λで表すとき、光学的距離Lは、
2L/λ+Φ/2π=m(mは整数)
の条件を満たす、
上記[B1]ないし[B14]のいずれかに記載の電子機器。
[B16]
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、青色光波長を中心波長とする帯域の光が外部に取り出される、
上記[B1]ないし[B15]のいずれかに記載の電子機器。
[B17]
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、黄色光が外部に取り出される、
上記[B16]に記載の電子機器。
[B18]
下部電極と上部電極との間に形成される共振器構造によって、青色光波長と緑色光波長との中間波長を中心波長とする帯域の光が外部に取り出される、
上記[B1]ないし[B15]のいずれかに記載の電子機器。
[B19]
有機層と隔壁部の界面における全反射によって、赤色光が外部に取り出される、
上記[B18]に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0217】
1,2,3・・・表示装置、10・・・基板、11・・・ゲート電極、12・・・ゲート絶縁膜、13・・・半導体材料層、14・・・平坦化膜、15・・・ソース/ドレイン電極、16・・・平坦化膜、17・・・コンタクトプラグ、21,21R,21G,21B,321A,321B,321C・・・下部電極(アノード電極)、22,222,322・・・隔壁部、22A・・・材料層、30,30R,30G,30B,330・・・有機層、31,331・・・ホール注入層、32,332・・・ホール輸送層、33R,333R・・・赤色発光層、33G,333G・・・緑色発光層、33B,333B・・・青色発光層、33Y・・・黄色発光層、34,334・・・発光分離層、35,335・・・電子輸送層、36,336・・・電子注入層、37・・・電子注入層、38・・・電荷発生層、39・・・ホール輸送層、41・・・上部電極(カソード電極)、41A・・・半透過電極、41B・・・透過電極、42・・・保護膜、51・・・高屈折率材料層、60・・・カラーフィルタ、61R・・・赤色フィルタ、61G・・・緑色フィルタ、61B・・・青色フィルタ、61W・・・白色(透明)フィルタ、70・・・画素、70R・・・赤色画素、70G・・・緑色画素、70B・・・青色画素、70W・・・白色画素、71,71R,71G,71B・・・反射板、72R,72G,72B・・・光学調整層、73・・・下地の面、74R,74G,74B・・・酸化膜、80・・・表示領域、100・・・電源部、101・・・走査部、102・・・データドライバ、411・・・カメラ本体部、412・・・撮影レンズユニット、413・・・グリップ部、414・・・モニタ、415・・・ビューファインダ、511・・・眼鏡形の表示部、512・・・耳掛け部、600・・・眼鏡(アイウェア)、611・・・シースルーヘッドマウントディスプレイ、612・・・本体部、613・・・アーム、614・・・鏡筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図28
図29