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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】飲料調製のための半剛性サッシェ
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/804 20060101AFI20240613BHJP
   A47J 31/06 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B65D85/804 100
A47J31/06 323
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021524479
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019080631
(87)【国際公開番号】W WO2020094822
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】18205141.7
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】タロン, クリスティアン
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525068(JP,A)
【文献】特開平02-009361(JP,A)
【文献】特表2017-524395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/804
A47J 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容積部を備えており、前記内容積部において、食品原材料又は飲料原材料が貯蔵され、水が内部に導入されると飲料が生成される、パック(1)であって、前記パック(1)の前記内容積部に水を供給するように構成された少なくとも1つの入口(10)と、前記パック(1)の前記内容積部から飲料を注出するための1つの出口(11)とを備える、パック(1)において、前記パック(1)は、周縁部(21)によって囲まれた主平面壁(20)を有する半剛性又は剛性シェル(2)と、前記周縁部(21)に封止されたカバー部(3)とを備えており、前記シェル(2)及び前記カバー部(3)は、前記シェル(2)と前記カバー部(3)との間に前記内容積部を画定しており、
前記主平面壁(20)は、外面(200)及び内面(201)を有しており、1つのリブ(202)が、前記主平面壁(20)の前記内面(201)から突出しており、飲料を調製するためのマシンの水注入ニードル(40)を受け入れるように構成された注入領域(204)を部分的に囲んでおり、
前記パック(1)が飲料を生成するための飲料調製マシンにおいて使用されるときに、前記注入領域(204)を部分的に囲んでいる前記1つのリブ(202)は、前記パック(1)の上部に面して配置されるようになっている部分が中断しており、前記1つの出口(11)は、前記パック(1)の底部に配置される、パック(1)。
【請求項2】
前記1つの出口(11)は、前記シェル(2)の開口部によって形成されている、請求項1に記載のパック(1)。
【請求項3】
前記1つの出口(11)は、前記シェル(2)の前記周縁部(21)に形成されている、請求項1又は2に記載のパック(1)。
【請求項4】
前記周縁部(21)は、前記シェル(2)の前記周縁部(21)の中断によって画定された開口部(212)を有しており、前記周縁部(21)の2つの部分(211)が、前記開口部(212)の両側において互いに対向するように延びて、前記パック(1)の前記1つの出口(11)を形成している、請求項3に記載のパック(1)。
【請求項5】
開放可能なタブ(31)が、前記1つの出口(11)を閉鎖しており、前記開放可能なタブ(31)は、前記パック(1)の前記カバー部(3)から延びている、請求項1~4のいずれか一項に記載のパック(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの入口(10)は、飲料を調製するためのマシンの水注入ニードル(40)によって穿孔されるように構成された穿孔領域(100)により、前記シェル(2)の前記主平面壁(20)に設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載のパック(1)。
【請求項7】
前記1つのリブ(202)は、前記シェル(2)の前記主平面壁(20)の前記内面(201)から前記カバー部(3)に向かって突出している、請求項1~6のいずれか一項に記載のパック(1)。
【請求項8】
前記1つのリブ(202)は、前記シェル(2)の前記周縁部(21)の高さ(h2)に実質的に等しい、前記主平面壁(20)の前記内面からの高さ(h1)を有する、請求項に記載のパック(1)。
【請求項9】
前記シェル(2)の前記主平面壁(20)は、前記主平面壁(20)の前記内面(201)から突出して2つの注入領域(204)をそれぞれ部分的に囲んでいる2つのリブ(202)を備えており、前記2つの注入領域(204)は、前記1つの出口(11)に関して対称をなすように前記シェル(2)の前記主平面壁(20)に配置されている、請求項のいずれか一項に記載のパック(1)。
【請求項10】
前記シェル(2)は、熱成形プロセス又はプラスチック射出プロセスによって形成されており、前記パック(1)の前記少なくとも1つの入口(10)及び前記1つの出口(11)は、前記シェル(2)と共形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のパック(1)。
【請求項11】
前記シェル(2)は、プラスチック、厚紙、又はボール紙の中から選択される1つの剛性又は半剛性材料で製造されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のパック(1)。
【請求項12】
前記シェル(2)の前記周縁部(21)は、前記周縁部(21)に対して実質的に垂直に延びるウィング(22)を備えており、前記カバー部(3)は、前記ウィング(22)に封止されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のパック(1)。
【請求項13】
前記カバー部(3)は、可撓性膜、又は剛性若しくは半剛性壁である、請求項1~12のいずれか一項に記載のパック(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料の調製のための食品原材料又は飲料原材料を含むパックに関する。
【背景技術】
【0002】
抽出可能な原材料(例えば、挽いたコーヒー)、又は水溶性原材料(例えば、インスタントコーヒー、粉ミルク、又はチョコレート粉末)などの飲料製造原材料を収容するパックを使用することによって飲料を調製することが知られている。
【0003】
パックは、食品原材料又は飲料原材料が貯蔵され、かつ水が内部に導入されると飲料が生成される内容積部を有する。
【0004】
パック内の水の流通及び食品原材料又は飲料原材料と水との混合を改善するために、パックが概ね平面的な形状を呈することが好ましい。好ましくは、平面的な形状は、パックが注出マシンに挿入されると、飲料の生成中に本質的に垂直に方向付けされる。
【0005】
パックは、パックの内容積部から容器に飲料を注出するための1つの出口を備える。出口は、好ましくは飲料を自由流れとして送出するように構成されている。飲料は、単なる重力による落下によって飲料出口から流れることができる。
【0006】
そのようなパックは、例えば、国際公開第2016 023726号に記載されている。本明細書では、パックは、可撓性サッシェである。サッシェは、可撓性フィルム材料から製造される。
【0007】
サッシェは、飲料注出マシンで使用され、水は、例えば、注入ニードルにより、サッシェに注入される。飲料製造原材料は、水の中で抽出されるか溶解されて飲料を形成する。飲料は、サッシェの底部にある好適な出口を通ってサッシェから流れ出る。
【0008】
このタイプの可撓性サッシェでは、注ぎ口がサッシェの底部に導入され、飲料は、注ぎ口によって放出される。
【0009】
これらの可撓性サッシェには欠点がある。それらのうちの1つは、各サッシェが異なって挙動するという事実により、再構成パラメータの大きな変動性を与えることである。したがって、泡の形成及び粉末の溶解は、再現可能ではなく、ほとんど制御可能ではない。
【0010】
更に、水の注入中のサッシェ内部の圧力の増加に起因して、サッシェが制御不能な爆発で開封される危険性があり得る。このような理由から、注出マシンは、一般に、飲料調製中にマシン内のサッシェを完全に封じ込めて操作者への損傷又は被害を回避する手段を備える必要がある。
【0011】
本発明の目的は、少なくとも部分的に上記の欠点を解決し、パックの製造を改善し、飲料調製をより容易にする、食品又は飲料の調製のためのパックを提案することである。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、内容積部を備えており、内容積部において、食品原材料又は飲料原材料が貯蔵され、かつ水が内部に導入されると飲料が生成されるパックに関し、パックは、パックの内容積部に水を供給するように構成された少なくとも1つの入口と、パックの内容積部から飲料を注出するための1つの出口とを備える。
【0013】
本発明によれば、パックは、周縁部によって囲まれた主平面壁を有する半剛性又は剛性シェルと、周縁部に封止されたカバー部とを備えており、シェル及びカバー部は、それらの間に内容積部を画定する。
【0014】
このようにして剛性又は半剛性シェルを備えるパックは、飲料の再構成パラメータの変動性を低減する。具体的には、パック内部に導入された水の流通は、シェルの主平面壁に平行な平面内に保持され、溶解及び原材料と水との混合を改善することができる。飲料中の泡の形成は、特にコーヒー及びチョコレート飲料では、主にパック内に導入される水の容積、圧力、及び速度に依存して、より予測可能であり得る。
【0015】
剛性又は半剛性シェルを備えるそのようなパックは、更にコンパクトであり、ユーザによる取り扱いがより容易である。
【0016】
一実施形態によれば、1つの出口は、シェルの開口部によって形成される。
【0017】
シェルに使用される半剛性又は剛性材料により、パックの出口は、シェルに形成して、従来技術で使用される注ぎ口などのパックの追加の構成要素の必要性を回避することができる。
【0018】
好都合に、1つの出口は、シェルの周縁部に形成される。
【0019】
一実施形態では、周縁部は、シェルの周縁部の中断によって画定された開口部を有し、周縁部の2つの部分は、開口部の両側において互いに対向するように延びてパックの1つの出口を形成している。
【0020】
したがって、出口は、縁部の周縁部の一部の部分によって直接形成されている。互いに面して延びる部分は、パックの外側に飲料を案内するためのチューブ又は通路を画定している。
【0021】
飲料の生成のために飲料調製マシンにパックが使用されるときに、パックの底部に出口が設けられる場合、例えば、出口で送出される飲料の流れを誘導するために、飲料が生成されたときに出口と飲料マシンとの間の特定の接続を実施する必要はない。飲料は、パックの出口から直接飲用カップに流れることができる。
【0022】
実際には、開放可能なタブが、1つの出口を閉鎖し、開放可能なタブは、パックのカバー部から延びている。
【0023】
タブのおかげで、出口の閉鎖により、衛生的保護及び保存寿命の保護が保証される。出口は、手動で、又は飲料調製マシンの特定の手段によって開放することができる。
【0024】
一実施形態では、少なくとも1つの入口は、飲料を調製するためのマシンの水注入ニードルによって穿孔されるように構成された穿孔領域により、シェルの主平面壁に設けられている。
【0025】
水は、シェルの主平面壁を穿孔する注入ニードルによって直接パックの内部に注入されてもよい。
【0026】
一実施形態では、主平面壁は、外面及び内面を有しており、1つのリブが、主壁の内面から突出して飲料を調製するためのマシンの水注入ニードルを受け入れるように構成された注入領域を部分的に囲んでいる。
【0027】
したがって、注入ニードルの端部は、水の注入中、及び飲料の調製中に、パックの内容積部内の注入領域を部分的に囲むリブによって保護される。入ってくる水の流れは、パック内の水流の流通及び水と食品原材料又は飲料原材料との混合移動によって妨害されない。
【0028】
好都合に、飲料を生成するために飲料調製マシンにおいてパックが使用されるときに、注入領域を部分的に囲む1つのリブは、パックの上部に面して配置されるようになっている部分が中断しており、1つの出口は、パックの底部に設けられている。
【0029】
したがって、水は、パックの上部に向かって、出口から離れるように放出される。したがって、水と食品原材料又は飲料原材料との混合移動は、飲料がパックから注出される前に改善される。
【0030】
実際には、1つのリブは、シェルの主壁の内面からパックのカバー部に向かって突出している。
【0031】
1つのリブは、シェルの周縁部の高さと実質的に等しい、主壁の内面からの高さを有する。
【0032】
したがって、リブは、パックのカバー部の内面と実質的に接触する、又はそれに近接していてもよく、追加の穿孔領域が、カバー部に設けられてもよい。追加の穿孔領域は、シェルの主壁の内面上に突出するリブによって部分的に囲まれている。
【0033】
結果として、水は、パックのカバー部を通過する注入ニードルによってパックの内容積部に注入されてもよい。
【0034】
有利な一実施形態では、シェルの主平面壁は、主平面壁の内面から突出して2つの注入領域をそれぞれ部分的に囲んでいる2つのリブを備えており、2つの注入領域は、1つの出口に関して対称をなすようにシェルの主平面壁に配置されている。
【0035】
この実施形態は、パックを対称にし、次に、消費者は、それを対応する飲料調製マシンの内部に1つの方向で、又は別の方向で無頓着に導入することができる。
【0036】
マシン内にパックを導入する方向に応じて、水は、シェルを通して、又はパックのカバー部を通して注入されてもよい。
【0037】
実際的な方法では、シェルは、熱成形プロセス又はプラスチック射出プロセスによって形成されており、パックの少なくとも1つの入口及び1つの出口は、シェルと共形成されている。
【0038】
水の入口及び飲料の出口を備えるパックの製造は、より容易に行われる。
【0039】
シェルは、プラスチック、厚紙、又はボール紙の中から選択される1つの剛性又は半剛性材料で製造されている。
【0040】
実際には、シェルの周縁部は、周縁部に対して実質的に垂直に延びるウィングを備え、カバー部は、ウィングに封止されている。
【0041】
カバー部は、可撓性膜、又は剛性若しくは半剛性壁である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明の更なる特徴及び利点は、図面を参照して以下に提示される現在好ましい実施形態の説明において説明されており、それらの説明から明らかとなるであろう。
図1】本発明の一実施形態によるパックを示す。
図2a図1のパックの分解図を示す。
図2b図1のパックの分解図を示す。
図3a】閉鎖構成にあるパックの底部の詳細図である。
図3b】開放構成にあるパックの底部の詳細図である。
図4】ニードルによるパックのシェルでの穿孔を示す。
図5】パック内の液体移動を示す。
図6】本発明によるパックを用いた飲料の調製のためのマシンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本願では、用語「底部」、「上部」、「側部」、「水平な」及び「垂直な」は、本発明の特徴部の相対的な位置を説明するために用いられる。これらの用語は、例えば、図6に示したように、飲料を生成するために飲料調製マシン内に導入されている時の通常の向きにあるパックを指すものであると理解するべきである。
【0044】
同様に、用語「幅」及び「高さ」は、本発明の寸法を説明するために使用される。「幅」は、記載される実施形態において、水平寸法を意味するものとし、「高さ」は、水平方向及び垂直方向に垂直な横断方向に沿った寸法を意味するものとする。
【0045】
図1は、本発明の一実施形態による、飲料を生成するためのパック1を示す。図2a、図2bは、図1のパックの分解図である。パック1はまた、「サッシェ」又は「パウチ」と呼ぶことがある。
【0046】
図示した実施形態では、パック1は、矩形形状を呈する。パック1は、シェル2と、カバー部3と、を備える。カバー部3は、パック1が完全に閉鎖されるようにシェル2を覆う。シェル2及びカバー部3は、食品原材料又は飲料原材料(図示せず)が貯蔵される内容積部を形成している。
【0047】
パックの食品原材料又は飲料原材料は、スープ、フルーツジュース、野菜ジュース、ブイヨン、コーヒー、チョコレート、茶、ミルク、若しくはクリーム、又はこれらの組み合わせのリストに含まれ得る。食品原材料又は飲料原材料は、好ましくは可溶性の食品原材料又は飲料原材料である。好ましくは、食品原材料又は飲料原材料は、
インスタントコーヒー粉末、粉ミルク、クリーム粉末、インスタント茶粉末、ココア粉末、スープ粉末、チョコレート粉末、又はこれらの粉末の混合物、
コーヒー濃縮物、ミルク濃縮物、シロップ
のリストの中で選択される可溶性の食品原材料又は飲料原材料である。
【0048】
粉末は、塊成又は焼結されたものであってもよい。粉末又は液体濃縮物は、例えば、固体片を有するスープを調製するために、小さな固体片と混合することができる。
【0049】
パック1は、液体がパック1に入ることを可能にする少なくとも1つの入口10と、液体と食品原材料又は飲料原材料との混合物によって形成された飲料がパック1から流れ出ることを可能にする1つの出口11と、を備える。パックの内容積部に通常供給される液体は、水である。このような理由から、本明細書では、液体を「水」と呼ぶことがある。しかし当然ながら、液体は、任意の他の種類のもの、例えばミルクであってもよい。
【0050】
シェル2は、周縁部21によって囲まれた平面壁20を備える。シェル2は、丸みを帯びた楔形状を呈する内側角部を有する実質的に矩形の外形を有する。シェルの矩形の外形は、矩形形状を有する平面壁として本明細書で理解されるものとする。
【0051】
平面壁20は、外面200及び内面201を有する。内面201は、飲料原材料と接触する面である。図示した実施形態では、平面壁20の幅は、パック1の底部で狭くなっている。
【0052】
記載される実施形態では、入口10は、平面壁20において穿孔領域100によって提供される。穿孔領域100は、平面壁20の外面200に位置する。穿孔領域100は、水を注入するための中空ニードル40によって穿孔されるように構成されている。穿孔領域100が穿孔されると、入口10が開放される。
【0053】
平面壁20はまた、少なくとも1つのリブ202を備える。リブ202は、平面壁20の内面201から突出する。リブ202は、平面壁20に対して垂直に、かつカバー部3に向かって延びる。リブ202は、図2aに表される高さh1を有する。
【0054】
図示した実施形態では、リブ202は、Ω字形状を有する。換言すれば、リブ202は、アパーチャ203を形成する部分で中断されたリングの形状を有する。アパーチャ203は、パック1の上部に面して配置されている。
【0055】
図示した実施形態では、リブ202は、平面壁20及びリブ202が単一の部分を形成するという意味でシェル2の一部である。リブ202は、平面壁20の外面200にΩ字形凹部205を形成している。
【0056】
別の実施形態では、リブ202は、インサート部品であってもよい。
【0057】
リブ202は、注入領域204を部分的に囲む。注入領域204は、この実施形態では円形の外形を有する。記載された実施形態では、リブ202、したがって注入領域204は、パック1の底部に、かつ出口11の上に配置されている。
【0058】
周縁部21は、平面壁20に対して実質的に垂直に延びる。周縁部21は、高さh2を有する。リブ202の高さh1及び周縁部21の高さh2は、実質的に等しい。
【0059】
周縁部21は、ウィング22を備える。ウィング22は、周縁部21に対して実質的に垂直に延びている。換言すれば、ウィング22は、平面壁20に対して実質的に平行に延びている。
【0060】
周縁部21は、互いに面する2つの側部210を有する。側部210は、垂直に延びている。周縁部21が平面壁20を囲んでいるため、側部210の間の距離もまた、パック1の底部で狭くなる。周縁部21の底部に延びる側部210の2つの部分211は、先端部を形成している。
【0061】
周縁部21は、周縁部21の中断によって画定された開口部212を有する。開口部212は、パック1の出口を構成している。出口11は、パック1の底部に形成されている。記載される実施形態では、出口11は、先端部の端部に形成される。したがって、先端部は、飲料が開口部212を通ってパック1から流れ出ることを可能にする通路を形成している。出口11がパック1の底部に配置されているため、飲料は、自由流れとして送出される。換言すれば、飲料は、単なる重力落下によってパック1から流れ出る。
【0062】
開口部212は、少なくとも1mm、好ましくは最大4mm、更により好ましくは1.5~3mmの直径の円形表面の表面に相当する表面積を有する横断面を有する。
【0063】
シェル2は、半剛性又は剛性である。例えば、シェルは、プラスチック、厚紙、ボール紙、又は金属化箔で製造することができる。プラスチック材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及びポリ乳酸のリストの中で選択することができる。シェル2は、単層又は多層(多要素積層体)であってもよい。多層シェルでは、例えば、前述のものとは異なる材料を組み合わせることができる。シェル2は、熱成形プロセス又はプラスチック射出プロセスによって形成することができる。
【0064】
カバー部3は、シェル2に封止されている。記載される実施形態では、カバー部3は、ウィング22に封止されている。カバー部3は、パック1の完全な封止が確実になるように、シェル2に密接に適合する。シェル2とカバー部3との接合は、ヒートシールによって得ることができる。
【0065】
カバー部3は、平坦部30と開放可能なタブ31とを備える。
【0066】
平坦部30は、平面壁20に平行に延び、ウィング22に密接に適合する。記載される実施形態では、平坦部30は、底部に幅狭の側面を有する矩形形状を有する。
【0067】
開放可能なタブ31は、シェル2に形成された開口部212を閉鎖するように構成されている。開放可能なタブ31は、矩形形状を有する。開放可能なタブ31は、第1の部分310及び第2の部分311を含む。
【0068】
図3aのようにパック1の出口11が閉鎖されると、開放可能なタブ31の第1の部分310は、開口部212に平行に、かつカバー部3の平坦部30に対して垂直に延びる。第1の部分310は、出口11に封止される。第1の部分310は、出口11を閉鎖するように構成されている。第2の部分311は、第1の部分310に対して垂直に延びている。第2の部分311は、平面壁20の外面200に対して配置される。第2の部分311は、開放可能なタブ31をパック1の閉鎖構成に維持するように構成されている。
【0069】
概して、出口11は、製造によって閉鎖され、飲料生成で開放されるように構成されている。「製造によって閉鎖」とは、パック1は出口が閉鎖した状態に製造されるという意味である。このように閉じることによって、衛生的保護及び保存寿命における保護が保証される。
【0070】
パック1が開放構成にある時に、図3bのように、開放可能なタブ31の部分は、もはや開口部212を閉鎖しない。開放可能なタブ31は、開口部212を解放するために、操作者によって手動で、又はマシンによって自動的に取り外されてもよい(引き裂き可能なタブ又は脆弱タブ)。カバー部3は、平坦部30と開放可能なタブ31との間に予備切断線を有して、開放可能なタブ31を平坦部30から、したがって出口11の開口部212から分離することを可能にすることができる。開放可能なタブ31は、完全に、すなわち、第1及び第2の部分が取り外されてもよく、又は第1の部分310のみが引き裂かれる、若しくは取り外されてもよい。
【0071】
記載された実施形態では、開放可能なタブは、カバー部から延びている。当然ながら、別の実施形態では、カバー部及びタブは、2つの別個の要素であってもよい。
【0072】
カバー部3は、可撓性膜、半剛性壁又は剛性壁であってもよい。好ましくは、カバー部は、シェルと同じ材料で製造される。
【0073】
飲料を調製するために、液体がパック1に注入されなければならない。図4に示すように、液体は、ニードル40により注入される。ニードル40は、パック1を穿孔するように構成されている。
【0074】
ニードル40は、中空であり、液体の通過を可能にする。ニードル40は、穿孔を容易にするために、傾斜した端部を有する管状形状を有する。
【0075】
図4に示す実施形態では、ニードル40は、シェル2でパック1を穿孔する。ニードル40は、穿孔領域100において平面壁の外面200を穿孔する。穿孔領域100は、リブ202によって形成された凹部205によって囲まれた領域に位置する。したがって、パック1が穿孔されると、ニードル40は、パック1に導入され、ニードル40の端部は、リブ202によって囲まれている。換言すれば、ニードル40の端部は、注入領域204にある。
【0076】
リブ202の形成により、パックを補強し、したがって、パックの変形又は劣化なしにパックの良好な穿孔を可能にする。
【0077】
リブ202は、ニードル40の端部を保護する。具体的には、ニードル40は、食品原材料又は飲料原材料及び飲料と接触しない。これにより、食品原材料又は飲料原材料がニードル40上に粘着するのを防止する。
【0078】
図5は、パック1に注入された時の液体の移動を示す。ニードル40を通って注入されると、液体は、注入領域204の周囲に配置されたリブ202から放出される。液体は、リブ202に形成されたアパーチャ203からる。
【0079】
パック1の上部に面するアパーチャ203の形成により、液体をパック1の上部に向かって誘導することができる。液体は、底部に形成されたパック1の出口11から離れるように放出される。これにより、食品原材料又は飲料原材料との液体のより良好な混合が可能になる。実際に、底部からパックの中に導入された水ジェットは、円形及び螺旋状の移動に発展し、水分子と製品粒子との間に乱流、摩擦及び大きな接触面を生み出す。平均して水分子は、飲料の入ったサッシェから出るまでサッシェ内で数回回転する。液体の旋回運動により、液体中の食品原材料又は飲料原材料の希釈を改善する。
【0080】
記載される実施形態では、パック1の内容積部は、飲料調製中のパック1内の水及び飲料の移動を改善するように構成された形状を呈する。実際に、シェル2の丸みを帯びた角部はまた、液体と食品原材料又は飲料原材料とのより良好な混合を可能にする。実際に、この特徴により、飲料原材料又は食品原材料が直角の角部で詰まったままになるのを防ぐ。
【0081】
更に、平面壁の平坦さは、パック1内の液体移動を案内する助けとなる。食品原材料又は飲料原材料は、平面内で液体と混合され、したがって、食品原材料又は飲料原材料の停滞を回避する。
【0082】
液体及び食品原材料又は飲料原材料が一緒に混合されると、飲料は、出口11を通ってパック1から流れ出る。したがって、飲料は、操作者又はユーザに注出することができる。
【0083】
簡潔に言えば、パックから飲料を調製する方法は、
上述したようなパックを用意し、パックを調製マシン内に配置するステップと、
パックの中に水を注入して、食品原材料又は飲料原材料と混合するステップと、
調製された飲料を出口を通って容器に排出させるステップと、
を含む。
【0084】
好ましくは、方法は、飲料調製マシンによって実施され、異なるステップが実施される。
【0085】
好ましくは、入口10は、出口11の開放と同時に、又はその後に開放される。好ましい実施形態によれば、飲料は、入口10及び出口11の両方が開放されている状態で調製される。このようにして、飲料は、パック内において圧力下で、又は増圧した状態で調製されない。別の実施形態によれば、出口は、濾過材料によって覆われていてもよい。濾過材料により、飲料がパックから流れ出ることを可能にするが、食品原材料又は飲料原材料が液体に溶解する前にパックから出ることを防止する。濾過材料は、開放可能なタブの下に配置されてもよく、又は開放可能なタブは、濾過材料から製造されてもよい。
【0086】
図6は、本発明によるパックを用いた飲料の調製のためのマシン4を示す。
【0087】
マシン4は、少なくとも、
供給部又はリザーバ/タンク41と、
供給部から液体をポンピングするためのポンプ42と、
液体を最終的に加熱するためのヒータ43と、
調製するための飲料の種類に応じて冷たい液体又は熱い液体のいずれかを流通させるためのバルブ44と、
パックの1つの入口に液体を注入するためのニードル40と、
を備える。
【0088】
マシン4は、パックの出口11のタブを切断する又は引き裂くためのデバイスを備えてもよい。タブ31を切断する又は引き裂くためのデバイスは、パックがマシン4に導入された時に又は飲料調製が起動された時に出口11が自動的に解放されるように配置することができる。
【0089】
好ましくは、マシン4は、飲料が調製される時にパックの出口11の下に飲用カップ45を配置するための領域を備える。
【0090】
パックは、飲料調製マシン4によって読み取り可能な認識手段を備えることができる。このような認識手段は、機械的コード、光学コード、RFIDタグ、バーコード、磁気コードであり得る。パックに収容された食品原材料又は飲料原材料の種類に応じて、コードは、飲料調製パラメータを自動的に設定するための飲料調製マシンに関する情報を提供する。これらのパラメータとしては、例えば、パックに注入する液体の種類、注入される液体の温度、容積、及び圧力、並びに開始及び停止を含むパック内に水を注入する任意の順序が挙げられる。
【0091】
一般的に、マシン4は、出口11がパックの底部に配置されるようにパックを配置するように構成された、パックを受け入れるための領域(タブを直立位置に維持するための顎部)を備える。平面壁20は、飲料生成中に垂直に方向付けされる。
【0092】
図1図5に示される実施形態では、平面壁20は、2つのリブ202を備える。換言すれば、パック1は、2つの可能な注入領域204を備える。したがって、パック1は、例えば、平面壁20の外面200で一方、若しくは他方、又は両方の穿孔領域で穿孔されてもよい。注入領域204は、出口11の上のパック1の底部に配置される。この場合、マシンは、注入領域204の一方又は両方のいずれかに液体を注入することを可能にする2つのニードルを有することができる。
【0093】
2つのリブ202は、出口11に関して対称をなすよう平面壁20にに形成される。したがって、2つの注入領域は、出口11に関して対称である。この対称配置は、パック1に可逆的であるという利点を付与する。換言すれば、ユーザは、飲料を製造するためにマシンに導入された時のパック1の向きについて考える必要はない。実際に、パック1は、カバー部3又はシェル2をユーザに向けた状態で導入することができる。マシンに導入された時のパック1の向きに応じて、したがって、パック1は、上述のように、平面壁20の外面200でシェル2でいずれかで穿孔することができる。又はパック1は、注入領域204のうちの1つに面する区域でカバー部3で穿孔される。パック1がカバー部3で穿孔される後者の場合、平面壁20に形成されたリブ202はまた、いかなる劣化も伴わずにパック1の良好な穿孔を可能にする。これは、リブ202がカバー部3と実質的に接触している場合に、リブ202はパック1が穿孔されるカバー部3の領域を補強するため、特に当てはまる。
【0094】
本明細書で説明されている現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。そのような変更及び修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつその付随する利点を減じることなく、実施することができる。それゆえ、そのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0095】
パックは、例えば、正方形、又は丸型など、矩形以外の様々な外形をとり得る。
【0096】
パックは、異なる数の注入領域及び/又はリブの異なる形状を備えることができる。例えば、パックは、出口の上のパックの底部に配置された1つのリブによって囲まれた1つの注入領域のみを備えることができる。リブは、平面壁に垂直な中央垂直平面に関して対称をなすように、パックに配置されてもよい。したがって、パックは、中央垂直平面に関して対称をなすように形成される。このように形成されたパックはまた、可逆的である。したがって、パックは、1つの向き又は他の向きでマシン内に垂直に導入され、したがってカバー部又はシェルで穿孔されてもよい。リブは、周縁部の高さと実質的に同じ高さを有して、可逆性を向上させることができる。
【0097】
更に別の実施例では、リブは、2つの部分又はアパーチャで中断されたリングであってもよい。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6