(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】到達の時間掃引時間差を使用する正確な無線周波数位置特定のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/06 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
G01S5/06
(21)【出願番号】P 2021549456
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(86)【国際出願番号】 US2020017857
(87)【国際公開番号】W WO2020172014
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-12-12
(32)【優先日】2019-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518200503
【氏名又は名称】ザイナー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Zainar, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】イラムルト,トミ
(72)【発明者】
【氏名】セス,マヌ
(72)【発明者】
【氏名】コン,リンカイ
(72)【発明者】
【氏名】デイ,スーラブ
(72)【発明者】
【氏名】バ,デンバ
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-236163(JP,A)
【文献】特開2011-099778(JP,A)
【文献】特表2007-502414(JP,A)
【文献】特開2005-117440(JP,A)
【文献】特開2004-101254(JP,A)
【文献】特表2017-531811(JP,A)
【文献】特開2018-077210(JP,A)
【文献】特表2014-534426(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0375083(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
19/00 - 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法において、
1組のアンカーノードを有する無線ネットワークアーキテクチャを初期化する段階と、
前記1組のアンカーノードのうちの第1のアンカーノード及びクラウドベースのエンティティ
を用いて、
任意の無線デバイスの位置座標仮説、および前記任意の無線デバイスから送信された通信に関する送信時間仮説を規定する段階と、
前記位置座標仮説、前記送信時間仮説、前記1組のアンカーノードの各アンカーノードにおけるノードの位置、および前記1組のアンカーノードの各アンカーノードにおける前記通信の受信時間に基づいて、前記1組のアンカーノードの各アンカーノードにおける前記通信の受信経路ごとの前記送信時間仮説と、前記任意の無線デバイスの位置座標仮説とに関連する誤差関数を導く段階であって、当該誤差関数が:
・前記1組のアンカーノードの各アンカーノードのノード位置と、前記位置座標仮説との間の距離の差と、
・前記1組のアンカーノードの各アンカーノードにおける前記通信の受信時間と、前記送信時間仮説との間の時間の差と、を表すものである誤差関数を導く段階と、
経路測定精度の統計的特性を使用して
、前記1組のアンカーノードの各アンカーノードの
各受信経路ごとに前記誤差関数の確率関数を
導く段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
全ての
受信経路の
1組の経路の確率関数を加算して、
前記1組のアンカーノードの各アンカーノードに対して前記誤差関数の確率関数を形成する段階、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1組のアンカーノードの各アンカーノードに関して前記誤差関数の前記確率関数を乗算して、
前記位置座標仮説および前記送信時間仮説の値の確率分布を示す累積確率関数を形成する段階、をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1組の実現可能な位置座標仮説および1組の実現可能な送信時間仮説についての前記累積確率関数を評価することにより、1組の位置確率および1組の送信時間確率を生成する段階と、
前記1組の実現可能な位置座標仮説から第1の位置座標仮説を選択する段階であって、当該第1の位置座標仮説が、前記1組の位置確率の中で最も高い位置確率に関連するものである、第1の位置座標仮説を選択する段階と、
前記第1の位置座標仮説を、前記任意の無線デバイスのデバイス位置として特定する段階と、
前記1組の実現可能な送信時間仮説から第1の送信時間仮説を選択する段階であって、当該第1の送信時間仮説が、前記1組の送信時間確率の中で最も高い送信時間確率に関連するものである、第1の送信時間仮説を選択する段階と、
前記第1の送信時間仮説を、前記任意の無線デバイスからの前記通信の送信時間として特定する段階と、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1組の確率を生成する段階であって、
1組の送信時間仮説における前記累積確率関数を評価することと、
1組の位置仮説の範囲に前記累積確率関数を積分することと、によって1組の確率を生成する段階と、
前記1組の位置仮説の範囲から第1の位置仮説の範囲を特定する段階であって、当該第1の位置仮説の範囲が、前記1組の確率の中で最も高い確率に関連するものである、第1の位置仮説の範囲を特定する段階と、
前記第1の位置仮説の範囲を、前記任意の無線デバイスを含む位置の範囲として特定する段階と、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の位置座標仮説の近くの位置座標仮説の範囲にわたる前記累積確率関数の積分を評価する段階であって、積分値が所定の値に対応するものである段階と、
前記位置座標仮説の範囲のサイズに基づいて、前記デバイス位置の位置精度を特定する段階と、をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記誤差関数を導く段階が、sqrt((x
i
-x)^2+(y
i
-y)^2)-(tr
ji
-t)を含む誤差関数を規定することを含み、
sqrt((x
i
-x)^2+(y
i
-y)^2)が、前記1組のアンカーノードの各アンカーノードのノード位置と、前記位置座標仮説との間の距離の差を表しており、
(tr
ji
-t)が、前
記1組のアンカーノードの各アンカーノードにおける前記通信の受信時間と、前記送信時間仮説との間の時間の差を表すものである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2019年2月24日に出願された米国特許出願第16/283,780号の利益を主張し、その全内容は参照により本願に組み入れられる。
【0002】
本発明の実施形態は、到達時間差情報を使用する正確な無線周波数位置特定のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
家電産業及びコンピュータ産業では、無線センサネットワークが長年にわたって研究されてきた。典型的な無線センサネットワークでは、ネットワーク内に配置される1つ以上のセンサノードからのデータの無線収集を可能にするために、無線機と併せて1つ以上のセンサが実装される。各センサノードは、1つ以上のセンサを含んでもよく、また、無線機と、センサノードの動作に給電するための電源とを含む。屋内無線ネットワークにおけるノードの位置検出は、多くの用途において有用且つ重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチラテレーションのための到達時間差(TDoA)技術に基づく位置特定は、3次元空間内の無線装備物体の位置を決定するための無線周波数測定を使用して実行される。RFベースの位置特定は、多くの方法で実行され得る。典型的な実装形態は、ハブ及び複数のセンサノードを含む。なお、ハブがノードと置き換えられてもよく、或いは、実際には、ノードのうちの1つ以上がハブと置き換えられてもよい。RF通信を介して全ての個々の対間で距離が無線周波数技術を使用して推定される。TDoAでは、1つのノードが信号を送信する。複数の他のノードが信号を受信し、また、各受信ノードにおける受信間の時間差が計算される。TDoAは、受信時間の差を正確に測定するために受信機の同期を必要とする。これは、全ての受信機を共有クロックで動作させて絶対タイムスタンプを比較することによって行なわれ得る。共有クロックが利用できないシステムでは、受信機が他の方法で同期されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態に関し、本明細書中には、ネットワークアーキテクチャ内の無線センサノードの位置を決定するためのシステム及び装置が開示される。1つの例において、非同期システムは、無線ネットワークアーキテクチャにおいて通信を送受信するための1つ以上の処理ユニット及びRF回路を伴う無線デバイスをそれぞれが有する第1及び第2の無線ノードを含む。また、システムは、未知の位置を有するとともに、無線ネットワークアーキテクチャ内の第1及び第2の無線ノードと通信できるようにするための送信機及び受信機を伴う無線デバイスを有する第3の無線ノードも含む。第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、クラウドベースのエンティティに命令を送信する又は命令を実行して第3の無線ノードの送信された通信に関する位置座標仮説及び送信時間仮説を決定するとともに、位置座標仮説における受信する第1及び第2の無線ノードのそれぞれの受信経路jごとに送信時間仮説と関連付けられる誤差関数を決定し、経路測定精度の統計的特性を使用して第1及び第2の無線ノードのそれぞれの受信経路jごとに誤差関数の確率関数を決定するように構成される。
【0006】
他の例において、無線ネットワークアーキテクチャ内の任意の無線デバイスの位置特定のためのコンピュータ実装方法は、複数の無線アンカーノードIを有する無線ネットワークアーキテクチャを初期化するステップと、未知の位置を有する任意の無線デバイスに関する3次元における位置座標仮説を決定するステップと、それぞれの無線アンカーノードiから位置座標仮説までの距離diを計算するステップと、各無線アンカーノードiからのチャネル状態情報と各無線アンカーノードiからの信号到達タイムスタンプTiとを取得するステップとを含む。
【0007】
他の例において、無線ネットワークアーキテクチャ内の無線ノードの位置特定のためのコンピュータ実装方法は、複数の無線アンカーノードを有する無線ネットワークアーキテクチャを初期化するステップと、アンカーノード及びクラウドベースのエンティティのうちの少なくとも一方により、未知の位置を有する無線ノードの位置座標仮説を決定するステップと、それぞれのアンカーノードiから位置座標仮説までの距離を計算するステップと、各アンカーノードiからチャネル状態情報及び信号到達タイムスタンプTiを取得するステップとを含む。
【0008】
本発明の実施形態の他の特徴及び利点は、添付の図面及び以下の詳細な説明から明らかになる。
【0009】
本発明の実施形態は、添付の図面の図に限定ではなく一例として示されており、図面中、同様の参照符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、1つの実施形態に係る無線ノードのシステムの一例を示す。
【0011】
【
図1B】
図1Bは、1つの実施形態に係る通信のための複数のハブを有する無線ノードのシステムの一例を示す。
【0012】
【
図2A】
図2Aは、1つの実施形態に係る到達時間差を利用するノードの位置特定のためのシステムを示す。
【0013】
【
図2B】
図2Bは、他の実施形態に係る飛行時間推定のために使用される非同期システムを示す。
【0014】
【
図2C】
図2Cは、1つの実施形態において二方向ToF測定システム1000を示す。
【0015】
【
図3】
図3は、1つの実施形態に係るシステム200の通信に関するタイミング図を示す。
【0016】
【
図4】
図4は、別の実施形態に係る到達時間差を利用するノードの位置特定のためのシステムを示す。
【0017】
【
図5】
図5は、1つの実施形態に係るシステム400の通信に関するタイミング図を示す。
【0018】
【
図6】
図6は、1つの実施形態に係る到達時間差技術を使用してノードの位置推定を決定するための方法を示す。
【0019】
【
図7A】
図7Aは、1つの実施形態に係る電力コンセント用のオーバーレイ1500として実装されるハブの典型的な実施形態を示す。
【0020】
【
図7B】
図7Bは、1つの実施形態に係る電力コンセント用のオーバーレイとして実装されたハブのブロック図の分解図の典型的な実施形態を示す。
【0021】
【
図8A】
図8Aは、1つの実施形態に係るコンピュータシステム、電化製品、又は、通信ハブにおいて配備するためにカードとして実装されるハブの典型的な実施形態を示す。
【0022】
【
図8B】
図8Bは、1つの実施形態に係るコンピュータシステム、電化製品、又は、通信ハブにおいて配備するためにカードとして実装されるハブ964のブロック図の典型的な実施形態を示す。
【0023】
【
図8C】
図8Cは、1つの実施形態に係る電化製品(例えば、スマート洗濯機、スマート冷蔵庫、スマートサーモスタット、他のスマート電化製品など)内に実装されるハブの典型的な実施形態を示す。
【0024】
【
図8D】
図8Dは、1つの実施形態に係る電化製品(例えば、スマート洗濯機、スマート冷蔵庫、スマートサーモスタット、他のスマート電化製品など)内に実装されるハブ1684のブロック図の分解図の典型的な実施形態を示す。
【0025】
【
図9】
図9は、1つの実施形態に係るセンサノードのブロック図を示す。
【0026】
【
図10】
図10は、1つの実施形態に係るハブを有するシステム又は電化製品1800のブロック図を示す。
【0027】
【
図11】
図11は、1つの実施形態に係る到達時間差技術を使用してノードの位置推定を決定するための時間掃引方法を示す。
【0028】
【
図12】
図12は、1つの実施形態に係る到達時間差技術を使用してノードの位置推定を決定するための時間掃引方法を実施するための無線アーキテクチャを示す。
【0029】
【
図13】
図13は、1つの実施形態に係るノードの位置推定を決定するための周波数領域におけるビーム形成方法を示す。
【0030】
【
図14】
図14は、1つの実施形態に係るノードの位置推定を決定するためのビーム形成方法を実施するための無線アーキテクチャを示す。
【0031】
【
図15】
図15は、1つの実施形態に係るノードの位置推定を決定するための時間領域におけるビーム形成方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
到達時間差情報を使用する正確な無線周波数位置特定のためのシステム及び方法が本明細書中に開示される。1つの例において、無線ネットワークアーキテクチャにおけるノードの位置特定のための非同期システムは、無線ネットワークアーキテクチャにおいて通信を送受信するための1つ以上の処理ユニット及びRF回路を伴う無線デバイスをそれぞれが有する第1、第2、及び、第3の無線ノードを含む。また、システムは、未知の位置を有するとともに、無線ネットワークアーキテクチャにおいて第1、第2、及び、第3の無線ノードと通信できるようにするための送信機及び受信機を伴う無線デバイスを有する第4の無線ノードも含む。第1の無線ノードは、第2、第3、及び、第4の無線ノードに通信を送信し、第4の無線ノードから確認応答パケットを伴う通信を受信するとともに、第1の無線ノードと第2の無線ノードとの間及び第1の無線ノードと第3の無線ノードとの間の到達時間差情報を決定する。
【0033】
1つの例において、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、到達時間差情報を使用して第4の無線ノードの位置を決定するために、マルチラテレーションアルゴリズムに関する命令を実行するように構成される。
【0034】
無線センサネットワークの様々な用途では、ネットワーク内のセンサノードの位置を決定することが望ましい場合がある。例えば、そのような情報は、セキュリティカメラ、動きセンサ、温度センサ、及び、当業者には明らかな他のそのようなセンサなどのセンサの相対位置を推定するために使用されてもよい。この情報は、その後、温度のマップ、動き経路、及び、マルチビュー画像捕捉などの拡張情報を生成するために使用されてもよい。したがって、位置特定システム及び方法は、無線ネットワーク、特に屋内環境におけるノードの正確で、低電力で、コンテキストを意識した位置特定を可能にすることが望ましい。この目的のために、屋内環境は、同様の問題(例えば、近くの壁の存在など)が存在する可能性がある建物及び他の構造物の周りの領域などの屋内に近い環境も含むと想定される。
【0035】
家、アパート、オフィス、及び、商業ビルを含む屋内環境、並びに、駐車場、歩道、及び、庭園などの近辺の外部の場所で使用するための無線センサネットワークが記載される。また、無線センサネットワークは、電源を有する任意のタイプの建物、構造物、筐体、車両、ボートなどで使用されてもよい。センサシステムは、長い通信距離を維持しながら、センサノードにとって良好なバッテリ寿命を提供する。
【0036】
本発明の実施形態は、屋内環境における位置特定検出のためのシステム、装置、及び、方法を提供する。参照により本願に組み入れられる、2015年8月19日に出願された米国特許出願第14/830,668号は、RFベースの位置特定のための技術を開示する。具体的には、システム、装置、及び、方法は、位置特定が必要とされる際に経路長推定のために周期的なメッシュベース機能部と通信するためにツリーネットワーク構造を主に使用する無線センサネットワークにおいて位置特定を実施する。無線センサネットワークは、位置特定の精度を向上させると同時に、位置特定のために高周波を使用するとともに通信のために低周波を使用することによって屋内通信の良好な質を提供する。
【0037】
ツリー状の無線センサネットワークは、無線信号受信機能に関連する電力要件の低減により、多くの用途にとって魅力的である。ツリー状のネットワークアーキテクチャの一例は、2015年1月29日に出願された米国特許出願第14/607,045号、2015年1月29日に出願された米国特許出願第14/607,047号、2015年1月29日に出願された米国特許出願第14/607,048号、及び、2015年1月29日に出願された米国特許出願第14/607,050号に記載されており、これらは参照により全体が本願に組み入れられる。
【0038】
よく使用される別のタイプの無線ネットワークはメッシュネットワークである。このネットワークでは、1つ以上のネイバー間で通信が行なわれ、その後、マルチホップアーキテクチャを使用してネットワークに沿って情報が渡され得る。これは、情報がより短い距離で送信されるため、送信電力要件を低減するために使用され得る。一方、マルチホップ通信方式を可能にするためには受信無線機が頻繁にオンになる必要があるため、受信無線電力要件が増大し得る。
【0039】
図1Aは、一実施形態に係る無線ノードの例示的なシステムを示す。この例示的なシステム100は、無線ノード110~116を含む。ノードは、通信120~130と双方向に通信する(例えば、ノード識別情報、センサデータ、ノード状態情報、同期情報、位置特定情報、無線センサネットワークに関する他のそのような情報、飛行時間(TOF)通信など)。飛行時間測定値を使用することに基づいて、ノードの個々の対間の経路長を推定することができる。例えば、ノード110とノード111との間の個々の飛行時間測定値は、ノード110からノード111に既知の時間に信号を送信することによって得ることができる。ノード111は、信号を受信し、通信120の信号の受信のタイムスタンプを記録し、次いで、例えば、戻り信号の送信のタイムスタンプと共に戻り信号をAに送り返すことができる。ノード110は、信号を受信し、受信のタイムスタンプを記録する。これらの2つの送信及び受信のタイムスタンプに基づいて、ノード110とノード111との間の平均飛行時間を推定することができる。このプロセスを複数回、複数の周波数で繰り返して、精度を向上させ、特定の周波数での不十分なチャネル品質による劣化を排除又は低減することができる。経路長のセットは、様々なノード対に関してこのプロセスを繰り返すことによって推定することができる。例えば、
図1では、経路長がTOF 150-160である。その後、幾何モデルを用いて、三角測量的なプロセスに基づいて個々のノードの相対位置を推定することができる。
【0040】
この三角測量プロセスは、任意のノードとハブとの間の経路長のみを測定することができるため、ツリー状のネットワークでは実現できない。これにより、ツリーネットワークの位置特定能力が制限される。位置特定を可能にしながらツリーネットワークのエネルギー利益を維持するために、本発明の1つの実施形態では、通信用のツリーネットワークが、位置特定のためのメッシュ状ネットワーク機能と組み合わされる。メッシュ状のネットワーク機能によって位置特定が完了すると、ネットワークは元のツリー状の通信に切り換わり、ノードとハブとの間の飛行時間のみが定期的に測定される。これらの飛行時間が比較的一定に保たれていれば、ネットワークは、ノードが移動しておらず、メッシュベースの位置特定を再実行しようとしているエネルギーを無駄にしないと推測する。一方、ツリーネットワークで経路長の変化が検出されると、ネットワークはメッシュベースのシステムに切り換わり、ネットワーク内の各ノードの位置を特定するために再度三角測量を行なう。
【0041】
別の例では、複数のノードの到達時間差情報を使用して、未知の位置を有する無線ノードの位置を決定するために、マルチラテレーションアルゴリズムが実行される。
【0042】
図1Bは、一実施形態に従って通信するための複数のハブを有する無線ノードの例示的なシステムを示す。システム700は、無線制御デバイス711を有する中央ハブ710と、無線制御デバイス721を有するハブ720と、無線制御デバイス783を有するハブ782と、無線制御デバイスnを有するハブnを含む更なるハブとを含む。図示されていない更なるハブは、中央ハブ710、他のハブと通信することができ、又は、更なる中央ハブとなり得る。各ハブは、他のハブ及び1つ以上のセンサノードと双方向に通信する。また、ハブは、デバイス780(例えば、クライアントデバイス、モバイルデバイス、タブレットデバイス、コンピューティングデバイス、スマート電化製品、スマートTVなど)を含む他のデバイスと双方向に通信するように設計される。
【0043】
センサノード730,740,750,760,770,788,792、n、及びn+1(又は終端ノード)はそれぞれ無線デバイス731,741,751,761,771,789,793,758、及び753を含む。センサノードは、上位レベルのハブ又はノードとのアップストリーム通信のみを有し且つ別のハブ又はノードとのダウンストリーム通信を有さない場合、終端ノードである。各無線デバイスは、ハブ又は他のセンサノードとの双方向通信を可能にするための送信機及び受信機(又はトランシーバ)を伴うRF回路を含む。
【0044】
一実施形態において、中央ハブ710は、ハブ720,782、ハブn、デバイス780、並びに、ノード760及び770と通信する。これらの通信は、無線非対称ネットワークアーキテクチャ内の通信722,724,774,772,764,762,781,784,786,714及び712を含む。無線制御デバイス711を有する中央ハブは、ノードのグループ及び各グループに対して保証された時間信号を割り当てることを含む無線非対称ネットワークアーキテクチャを制御及び監視するために、他のハブに通信を送信し、他のハブから通信を受信するように構成される。
【0045】
ハブ720は、中央ハブ710と通信し、センサノード730,740及び750とも通信する。これらのセンサノードとの通信は、通信732,734,742,744,752及び754を含む。例えば、ハブ720の観点から、通信732はハブによって受信され、通信734はセンサノードに送信される。センサノード730の観点から、通信732はハブ720に送信され、通信734はハブから受信される。
【0046】
一実施形態において、中央ハブ(又は他のハブ)は、ノード760及び770をグループ716に、ノード730,740及び750をグループ715に、ノード788及び792をグループ717に、ノードn及びn+1をグループnに割り当てる。別の例では、グループ716及び715が単一のグループに組み合わされる。
【0047】
図1に示すアーキテクチャを使用することにより、長いバッテリ寿命を必要とするノードは、通信に費やされるエネルギーを最小限に抑え、ツリー階層内のより高いレベルのノードは、利用可能なエネルギー源を使用して実装されるか、或いは代わりに、より高い容量を提供するか、又は、より短いバッテリ寿命を提供するバッテリを使用することができる。バッテリで動作する終端ノードでの長いバッテリ寿命の達成を促進するために、それらのノードとそれらの上位レベルの相当物(以下、最下位レベルハブと呼ぶ)との間の通信は、最下位レベルのハブと終端ノードとの間で最小限の送受信トラフィックが発生するように確立され得る。
【0048】
一実施形態において、ノードは、それらの時間の大部分(例えば、それらの時間の90%超、それらの時間の95%超、それらの時間の約98%超又は99%超)を低エネルギーの非通信状態で費やす。ノードが起動して通信状態に入ると、ノードは、最下位レベルのハブにデータを送信するように動作可能である。このデータとしては、ノード識別情報、センサデータ、ノード状態情報、同期情報、位置特定情報、及び、無線センサネットワークに関する他のそのような情報を挙げることができる。
【0049】
RFに基づいて2つの物体間の距離を決定するために、測距測定が実行される(すなわち、一対の物体間の距離を推定するためにRF通信が使用される)。これを達成するために、RF信号が1つのデバイスから別のデバイスに送信される。米国特許出願第15/173,531号の
図3~
図8Cは、飛行時間測定システムの実施形態を示す。
【0050】
飛行時間測定は、ネットワーク内の動作のタイミングに本質的に敏感であり、したがって、測定を実行するデバイスのクロッキングが重要である。一実施形態において、未知の位置にあるノードは、共有クロックなしでTDoAを介して見つけることができる。受信ノードは、既知のノード間の更なるトランザクションを使用して同期される。なお、既知のノードの位置は、米国特許出願第15/173,531号に記載されているような位置特定を使用して決定することができる。
【0051】
図2Aは、一実施形態に係る到達時間差を利用するノードの位置特定のためのシステムを示す。システム200は、1つのマスターノード210(M210)と、未知の位置にある1つのノード240(N240)と、探知ノード(例えば、S220、230など)とを有するように構成される。マスターノード210は、まず最初に、各探知ノードに対して(米国特許出願第15/173,531号に記載されているような)RTT及び部分距離による双方向飛行時間を実行する。例えば、
図2Bは、一実施形態に係る飛行時間推定に使用される非同期システムを示す。デバイス810は、最初に、パケットを有するRF信号812を時刻T1にデバイス820に送信する。パケットは、時刻T2にデバイス820に到達し、デバイス820のパケット検出アルゴリズムをトリガーして、この時刻を登録する。次に、デバイス820は、時刻T3にパケットを有する信号822を送り返し、この信号は、時刻T4にデバイス810に到達し、時刻を登録して波形を処理するためにデバイス810をトリガーする。完全同期システムの場合とは異なり、T1及びT4はデバイス810に記録された時刻であるため、その基準クロックを基準としていることに留意されたい。T2及びT3は、デバイス820の時間基準に基づいて記録される。粗い時間推定は次のように行なわれる。
2×ToF=(T4-T1)-(T3-T2)
【0052】
T4とT1は同じクロックでサンプリングされるため、T4とT1との間に任意の位相はない。したがって、T4-T1は時間的に正確であり、同じ原理がT3-T2にも適用される。したがって、この測定は、このシステムの非同期性に起因する2つのデバイス間の位相ウォークの影響を受けない。前の実施形態と同様に、この測定は、T1/T2/T3/T4のサンプリングクロック周期の分解能によって制限される。この精度を向上させるために、両方のデバイスで周波数応答測定を実行することができる。デバイス820は、デバイス810からのパケットを用いてチャネル応答を測定し、デバイス810は、デバイス820からのパケットを用いてチャネル応答を測定する。2つのデバイスは同期していないため、2つのクロック間の位相に不確実性があり、ここではToffsetとして注釈が付けられている。クロックのこの位相オフセットは、各側のチャネル応答測定の余分な位相として現れるが、2つの側からのチャネル応答を乗算することによって除去することができる。チャネル応答が以前と同じであると仮定すると、デバイス820からの測定値は以下のようになる。
H820(f)=H(f)e-j 2πf Toffset
【0053】
デバイス810からの測定値は以下のようになる。
H810(f)=H(f)e+j 2πf Toffset
【0054】
したがって、組み合わされたチャネル応答は、
H810(f)H820(f)=H(f)2=(ΣAke-j 2πf ΔTk)2
【0055】
これにより、2つのクロック間の位相差が相殺される。前の実施形態と同様に、例えば、マトリクスペンシル、MUSICなどのアルゴリズムを使用して、2 min{ΔTk}を生成するH810(f)H820(f)からの遅延を推定することができ、距離測定値は以下によって与えられる。
距離=[(T4-T1)/2-(T3-T2)/2-S{H810(f)H820(f)}/2]×C
【0056】
或いは、Toffsetは、以下から推定され得る。
H810(f)/H820(f)=e+2j 2πf Toffset
【0057】
Toffsetは、分割されたチャネル応答の位相勾配の半分である。いずれの方向のチャネル応答も、計算されたオフセットによって補正され得る。距離推定値は、以下のように計算することができる。
距離=[(T4-T1)/2-(T3-T2)/2-S{H810(f)}-Toffset]×C
又は
距離=[(T4-T1)/2-(T3-T2)/2-S{H820(f)}+Toffset]×C
【0058】
この方法は、乗算方法に優る利点を有する。H(f)2チャネル応答は、各経路の振幅及び距離の2倍の項、並びに、2経路並び替えごとの交差項を含む。それは、A810
2ej 2πf2 ΔT1
、A820
2ej 2πf2 ΔT2
、及び、A810A820ej 2πf(ΔT1+ΔT2)の2経路の場合である。精密な推定方法は、単方向チャネル応答H(f)に適用した場合、区別する経路が少なくなり、ダイナミックレンジが低くなるため、ノイズに対してより効果的でロバスト性が高い。
【0059】
前述のショートパス除去アルゴリズムは、上記で開示したような非同期システムにおいても使用することができる。
【0060】
先に示したように、非同期システムでは、2つのデバイスからの情報を計算のために組み合わせる必要がある。それを行なうために、1つの実施形態において、デバイスのうちの1つは、前述の同じRF信号(例えば、812,822,1022,1023)を使用して、或いは、二方向ToF測定システム1000の一実施形態の
図2Cに示されるように、独立したRF信号経路1024を使用して、情報を他デバイスに送信できる。
【0061】
図3は、一実施形態に係るシステム200の通信のタイミング図を示す。N240は、マスターノード210からの通信212(例えば、ユニキャストパケット)に応答して、パケット241~243(例えば、確認応答パケット)として受信される通信(例えば、送信されたパケット)を送信するように構成される。このシステムは、マスターノードをアクセスポイント(AP)として利用し、未知のノード(例えば、センサノード、モバイルデバイス、スマートデバイス、スマートウォッチなど)をそれに関連付けて又は他の手段によってセットアップされる。探知ノード220及び230は、マスターノード又はN240によって送信された任意のパケットを受信するように構成される。マスターノードは、時間T
1において通信212(例えば、転送パケット)をN240に送信する。N240は、時刻T
2においてこの通信212を受信する。各探知ノードは、受信した通信の検出タイムスタンプ及びチャネル状態情報(CSI)を記録する(例えば、ノード220は、時間T
3において転送パケット202を受信し、ノード230は、時間T
4において転送パケット204を受信する)。パケット202,204及び212は、M210からの同じ通信から発信される。未知ノードN240は、通信212の受信に応答して、パケット241~243として受信される通信(例えば、時刻T
5における確認応答パケット)を送信する。探知ノード及びマスターノードは全て、受信した通信241~243(例えば、時刻T
6、T
7、T
8で受信された確認応答パケット)のタイムスタンプ及びCSIを記録する。
【0062】
次に、マスターから探知のToFと、マスターノード及び探知ノードでのタイムスタンプ及びCSI情報とを組み合わせて、ノード240の位置を決定できる。マスターノードと各探知ノードとの間のTDoAは、以下の式1に従って計算される。次に、これらのTDoA値を標準のTDoAマルチラテレーションアルゴリズムで使用して、N240の位置を決定できる。
【0063】
各探知ノードとマスターノードとの間のTDoAは、次のように決定される。理想的な場合、TDoAは、マスターノードがノード240から確認応答パケットを受信する第1の時刻T6と、探知ノードがノード240から確認応答パケットを受信する第2の時刻T7との間の単なるデルタである。
【0064】
しかしながら、マスターノードと探知ノードには、相互に位相オフセットと周波数オフセットだけでなくカウンタオフセットを有する独立したクロック基準がある。これを解決するために、一例では、マスターノードでの通信212のパケット送信時間(例えば、時刻T1での転送パケット212)が、マスターノードと探知ノードの両方の時間基準として使用される。
【0065】
式1:
【0066】
TDoA M210-S220=T6-T7
【0067】
=(T6-T1)-(T7-T1)
【0068】
=(T6-T1)-(T7-(T3-ToF M210-S220)
【0069】
=(RTTM210-N240 sampling+Tfrac M210-N240)-(TS220 Ack Rx sampling+TS220 Ack Rx frac-(TS220 forw Rx sampling+TS220 forw Rx frac-ToF M210-S220))
【0070】
通信242及び243を受信する探知ノード(例えば、探知確認応答受信)の時刻は、通信242及び243を受信するための確認応答転送受信のタイムスタンプと、マスターノードと探知ノードとの間で計算された前に測定されたToFとの差を取ることにより、マスター転送パケット送信に揃えることができる。
【0071】
TDoAの時間分解能は、各パケット受信の部分サンプル推定にチャネル検知情報(CSI)を使用することにより、サンプリングクロックのレートよりも細かくすることができる。CSIは、(単一の見通し線経路内で)位相の勾配を使用するか、或いは、マトリクスペンシル、MUSIC、又は、IFFTなどの手法を使用することによって、部分サンプル推定値を計算するために使用することができる。
図2及び
図3並びに式1は、システムの一例とTDoAの計算方法を示す。式2は、基準クロックの違いから生じる遅延がどのように相殺されるかを示している。
【0072】
式2:
【0073】
T6
’=T6+tdM210-N240+tdN240-M210
【0074】
T7
’=T7+tdS220-N240+tdN240-M210
【0075】
T3
’=T3+tdS220-M210
【0076】
TDoA
’=T6
’-T7
’
【0077】
=TDoA+tdM210-N240+tdN240-M210-tdS220-N240-tdN240-M210+tdS220-M210
【0078】
Note:tdS220-M210=tdS220-N240+tdN240-M210
【0079】
=tdS220-N240-tdM210-N240
【0080】
tdS220-M210-tdS220-N240+tdM210-N240=0
【0081】
TDoA
’=TDoA
【0082】
信号対雑音比(SNR)を改善するには、複数のパケットを用いてプロセスを繰り返すことができる。TDoAはパケットごとに計算してから平均化できる。或いは、結合する前にタイムスタンプ及びCSIを平均することができる。CSIを平均するには、大きさと位相を独立して平均してから結合する必要がある。別の未知のノードを用いてシステムを再構成することにより、複数のノードの位置を見つけることができる。
【0083】
図4は、代替実施形態に係る到達時間差を利用するノードの位置特定のためのシステムを示す。システム400は、1つのマスターノード410(M410)と、未知の位置にある1つのノード440(N440)と、探知ノード(例えば、S420、S430など)とを有するように構成される。
図5は、一実施形態に係るシステム400の通信のタイミング図を示す。未知のノードN440は、パケットトランザクションを開始することができる。N440は、時刻T
1において、通信441(例えば、転送パケット441)をマスター(M)ノード410に送信する。マスターノード410は、時刻T
2において通信441を受信する。マスターノード410は、時刻T
5において、通信412(例えば、確認応答パケット412)で応答する。探知ノード420及び430は、N440からの時間T
4及びT
3(例えば、転送パケット442~443)並びにマスターノード410からの通信402及び404(例えば、確認応答パケット402及び404)において通信442~443をリッスンする。探知ノード420は、時刻T
3において通信443を受信し、時刻T
6において通信402を受信する。探知ノード430は、時刻T
4において通信442を受信し、時刻T
7において通信404を受信する。受信されたパケット441~443は、N440からの同じ通信から発信される。
【0084】
ここで、TDoAは、N440からのマスターノード及び探知ノードにおける転送パケットの到達に基づいて計算される。ここで、マスターノードからの確認応答パケットのパケット送信時間は、ノード間のタイミングを揃えるために式3に従ってデルタオフセットをT6-T5-ToF M410-S420に等しくして使用される。
【0085】
TDoA M410-S420=T2-T3
M410
【0086】
=T2-T3-M410及びS420のクロック間のデルタオフセット
【0087】
=(T2-T3)+T6-T5-ToF M410-S420
【0088】
=(T2 sampling+T2frac-T3sampling-T3 frac)+T6 sampling+T6 frac-T5 sampling-T5 frac-ToF M410-S420
【0089】
図6は、一実施形態に係る到達時間差技術を使用してノードの位置推定値を決定するための方法を示す。方法600の動作は、処理回路又は処理ロジックを含む、無線デバイス、ハブの無線制御デバイス(例えば、装置)、又は、システムによって実行されてもよい。処理ロジックとしては、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン又はデバイス上で実行されるものなど)、又は、両方の組み合わせを挙げることができる。一実施形態では、ハブが方法600の動作を実行する。
【0090】
無線ネットワークアーキテクチャの初期化時に、動作601では、システムの処理ロジックは、第1のノード(例えば、マスターノード)、第2及び第3の無線ノード(例えば、探知ノード)、及び未知の位置にある第4のノード(例えば、センサノード、モバイルデバイス、スマートデバイス、スマートウォッチなど)を有するように構成される。第1のノード(例えば、マスターノード)は、動作602において、第2及び第3のノード(例えば、探知ノード)の(米国特許出願第15/173,531号に記載されるような)RTT及び部分距離を使用して、双方向飛行時間を実行する。
【0091】
動作604では、第1のノードは、第1の時刻に、第2、第3、及び第4のノードへ転送パケットとの通信を送信する。動作606では、第4のノードは、第2の時刻に、この通信を受信する。動作608では、第2及び第3のノードはそれぞれ、第3及び第4の時刻に、これらの通信を受信する。動作610では、第4のノードは、第1のノードからの通信(例えば、転送パケット)に応じて、第5の時刻に、第1、第2、及び第3のノードに確認応答パケットを伴う通信を送信するように構成される。一例では、このシステムは、マスターノードをアクセスポイント(AP)として利用し、未知の第4のノードがそれに関連付けられているか、又は他の手段によってセットアップされる。探知ノードは、マスターノード又は未知の第4のノードによって送信されたパケットを受信するように構成される。各探知ノードは、受信した通信の検出タイムスタンプ及びチャネル検知情報(CSI)を記録する。探知ノード及びマスターノードは全て、動作612で、受信した通信(例えば、第6、第7、第8の時刻で受信した確認応答パケット)のタイムスタンプ及びCSIを記録する。
【0092】
次に、マスターから探知のToF、及びマスターノード及び探知ノードのタイムスタンプ及びCSI情報を組み合わせて、動作614で未知の第4のノードの位置を特定することができる。マスターノードと各探知ノードとの間のTDoAは、式1に従って計算される。次に、これらのTDoA値を標準のTDoAマルチラテレーションアルゴリズムで使用して、N240の位置を特定できる。
【0093】
一例では、本明細書で説明するTDoAアルゴリズムを使用して、未知の位置にある第4のノード(例えば、センサノード、モバイルデバイス、スマートデバイス、スマートウォッチ、ロボットなど)を見つける。したがって、第4のノードのユーザは、ノードを検索する必要なしにこのノードを見つけることができる。
【0094】
本明細書で説明されるハブとノードとの間の通信は、無線周波数を使用する直接無線通信、住宅、アパート、商業ビルなどの中での電気配線に信号を変調することによって達成される電力線通信、802.11a、802.11b、802.11n、802.11acなどの標準WiFi通信プロトコル及び当業者に明らかな他のそのようなWiFi通信プロトコルを使用するWiFi通信、GPRS、EDGE、3G、HSPDA、LTE、5Gなどのセルラー通信、及び、当業者に明らかな他のセルラー通信プロトコル、Bluetooth通信、Zigbeeなどの周知の無線センサネットワークプロトコルを使用する通信、並びに、当業者に明らかな他の有線又は無線通信方式を含むが、これらに限定されない様々な手段を使用して達成することができる。
【0095】
一実施形態では、周波数領域技術を使用することにより、無線デバイスからの受信信号のモデルを構築し、このモデルを使用してサンプリングクロックを介して達成可能なものよりも細かい分解能で遅延を抽出することが可能である。これは、適切なチャネル状態情報(CSI)が利用可能にされることを条件として可能であり、例えば、Wi-Fi、LTE、又は5Gにおいて可能である。これは、CSIが、OFDM又はSC-FDMA実装全体の一部として定期的に収集されるからである。
【0096】
終端ノードとハブとの間の無線周波数通信の実装は、狭帯域、チャネル重複、チャネルステッピング、マルチチャネル広帯域、及び、超広帯域通信を含む様々な方法で実装され得る。
【0097】
ハブは、本発明の実施形態に係る多くの方法で物理的に実装されてもよい。
図7Aは、一実施形態に係る、電力コンセント用のオーバーレイ1500として実装されるハブの例示的な一実施形態を示す。オーバーレイ1500(例えば、フェースプレート)は、ハブ1510と、ハブをコンセント1502に結合する接続部1512(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)とを含む。これに代えて(又は加えて)、ハブはコンセント1504に結合される。オーバーレイ1500は、安全及び審美的目的のためにコンセント1502及び1504を覆うか又は取り囲む。
【0098】
図7Bは、一実施形態に係る、電力コンセント用のオーバーレイとして実装されたハブ1520のブロック図の分解図の例示的な実施形態を示す。ハブ1520は、周期的に方向を反転させる交流(AC)を一方向のみに流れる直流(DC)に変換する電源整流器1530を含む。電源整流器1530は、接続1512(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してコンセント1502からACを受け取り、ACをDCに変換して、接続1532(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してコントローラ回路1540に電力を供給し、接続1534(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してRF回路1550に電力を供給する。コントローラ回路1540は、メモリ1542を含むか、又は本明細書で説明するように、無線非対称ネットワークの形成、監視、及び位置特定の実行のためにハブの動作を制御するためのコントローラ回路1540の処理ロジック1544(例えば、1つ以上の処理ユニット)によって実行される命令を記憶するメモリに結合される。RF回路1550は、(1又は複数の)アンテナ1552を介して無線センサノードと双方向通信を送受信するためのトランシーバ又は別個の送信機1554及び受信機1556の機能を含むことができる。RF回路1550は、接続1534(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してコントローラ回路1540と双方向に通信する。RF回路1550は、LAN RF回路、WAN RF回路、及びセルラーRF回路のうちの少なくとも1つを含む。ハブ1520は、無線制御デバイス1520とすることができ、又はコントローラ回路1540、RF回路1550、及び(1又は複数の)アンテナ1552の組み合わせは、本明細書で説明されるような無線制御デバイスを形成することができる。
【0099】
図8Aは、一実施形態に係る、コンピュータシステム、電化製品、又は通信ハブ内に配備するためのカードとして実装されるハブの例示的な実施形態を示す。カード1662は、矢印1663で示すように、システム1660(例えば、コンピュータシステム、電化製品、又は通信ハブ)に挿入することができる。
【0100】
図8Bは、一実施形態に係る、コンピュータシステム、電化製品、又は通信ハブ内に配備するためのカードとして実装されるハブ1664のブロック図の例示的な一実施形態を示す。ハブ1664は、接続1674(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してコントローラ回路1668に電力(例えば、DC電源)を供給し、接続1676(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してRF回路1670に電力を供給する電源1666を含む。コントローラ回路1668は、メモリ1661を含むか、又は本明細書で説明されるような無線非対称ネットワークの形成、監視、及び位置特定の実行のためにハブの動作を制御するためのコントローラ回路1668の処理ロジック1663(例えば、1つ以上の処理ユニット)によって実行される命令を記憶するメモリに結合される。RF回路1670は、(1又は複数の)アンテナ1678を介して無線センサノードと双方向通信を送受信するためのトランシーバ又は別個の送信機1675及び受信機1677の機能を含むことができる。RF回路1670は、接続1672(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してコントローラ回路1668と双方向に通信する。RF回路1670は、LAN RF回路、WAN RF回路、及びセルラーRF回路のうちの少なくとも1つを含む。ハブ1664は、無線制御デバイス1664とすることができ、又はコントローラ回路1668、RF回路1670、及び(1又は複数の)アンテナ1678を組み合わせて、本明細書で説明されるような無線制御デバイスを形成することができる。
【0101】
図8Cは、一実施形態に係る、電化製品(例えば、スマート洗濯機、スマート冷蔵庫、スマートサーモスタット、他のスマート電化製品など)内に実装されたハブの例示的な実施形態を示す。電化製品1680(例えば、スマート洗濯機)は、ハブ1682を含む。
【0102】
図8Dは、一実施形態に係る、電化製品(例えば、スマート洗濯機、スマート冷蔵庫、スマートサーモスタット、他のスマート電化製品)内に実装されるハブ1684のブロック図の分解図の例示的な実施形態を示す。ハブは、接続1696(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してコントローラ回路1690に電力(例えば、DC電源)を供給し、接続1698(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してRF回路1692に電力を供給する電源1686を含む。コントローラ回路1690は、メモリ1691を含むか、又は本明細書で説明されるような無線非対称ネットワークの形成、監視、及び位置特定の実行のためにハブの動作を制御するためのコントローラ回路1690の処理ロジック1688(例えば、1つ以上の処理ユニット)によって実行される命令を記憶するメモリに結合される。RF回路1692は、(1又は複数の)アンテナ1699を介して無線センサノードと双方向通信を送受信するためのトランシーバ又は別個の送信機1694及び受信機1695の機能を含むことができる。RF回路1692は、接続1689(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してコントローラ回路1690と双方向に通信する。RF回路1692は、LAN RF回路、WAN RF回路、及びセルラーRF回路のうちの少なくとも1つを含む。ハブ1684は、無線制御デバイス1684とすることができ、又はコントローラ回路1690、RF回路1692、及び(1又は複数の)アンテナ1699を組み合わせて、本明細書で説明する無線制御デバイスを形成することができる。
【0103】
一例では、本明細書に記載のRF回路のいずれかは、LAN RF回路、WAN RF回路、及びセルラーRF回路のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0104】
一実施形態では、無線非対称ネットワークアーキテクチャを提供するための装置(例えば、ハブ)は、命令を記憶するためのメモリと、無線非対称ネットワークアーキテクチャ内で通信を確立及び制御するための命令を実行するためのハブの処理ロジック(例えば、1つ以上の処理ユニット、処理ロジック1544、処理ロジック1663、処理ロジック1688、処理ロジック1763、処理ロジック1888)と、無線非対称ネットワークアーキテクチャ内で通信を送信及び受信するための複数のアンテナ(例えば、(1又は複数の)アンテナ1552、(1又は複数の)アンテナ1678、(1又は複数の)アンテナ1699、アンテナ1311、1312、及び1313など)を含む無線周波数(RF)回路(例えば、RF回路1550、RF回路1670、RF回路1692、RF回路1890)とを含む。RF回路と複数のアンテナは、無線非対称ネットワークアーキテクチャ内の装置のRF回路との双方向通信を可能にする送信機と受信機(又はトランシーバの送信機と受信機の機能)を備えた無線デバイスをそれぞれ有する複数のセンサノード(例えば、ノード1、ノード2)に通信を送信する。
【0105】
一例では、命令を記憶するためのメモリは、無線ネットワークアーキテクチャ内の複数のセンサノードを制御し、複数のセンサノードと、各々が送信機及び受信機を備えた無線デバイスを有する複数のセンサノードとの間で通信を送受信するための無線周波数(RF)回路との位置を特定して、無線ネットワークアーキテクチャ内の装置のRF回路との双方向通信を可能にするための命令を実行する1つ以上の処理ユニットを含む。装置の1つ以上の処理ユニットは、第1の無線ノード、第2の無線ノード、及び第3の無線ノードに通信を送信し、未知の位置を有する第3のノードから確認応答パケットとの通信を受信し、装置と第1の無線ノードとの間、及び装置と第2の無線ノードとの間の到達時間差情報を決定するための命令を実行するように構成される。
【0106】
一例では、装置は商用電源によって給電され、複数のセンサノードはそれぞれバッテリ電源によって給電されて、無線ネットワークアーキテクチャを形成する。
【0107】
リチウムイオン、リチウムポリマー、リン酸リチウムなどのリチウムベースの化学物質、及び当業者には明らかな他のそのような化学物質を含む、様々な電池を無線センサノードで使用することができる。使用することができる更なる化学物質としては、ニッケル金属水素化物、標準アルカリ電池化学物質、銀亜鉛及び亜鉛空気電池化学物質、標準炭素亜鉛電池化学物質、鉛酸電池化学物質、又は当業者には明らかな他の任意の化学物質が挙げられる。
【0108】
また、本発明は、本明細書に記載の動作を実行するための装置に関する。この装置は、必要な目的のために特別に構成されてもよく、又はコンピュータ内に記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを備えてもよい。そのようなコンピュータプログラムは、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び光磁気ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード又は光カード、又は電子命令の保存に適したあらゆるタイプの媒体を含む任意のタイプのディスクなどが挙げられるが、それらに限定されないコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0109】
本明細書に提示されているアルゴリズム及び表示は、特定のコンピュータ又は他の装置に本質的に関連していない。本明細書の教示に従って、様々な汎用システムをプログラムと共に使用することができるか、又は必要な方法操作を実行するためにより特化した装置を構築することが便利であることが判明する場合がある。
【0110】
図9は、一実施形態に係るセンサノードのブロック図である。センサノード1700は、接続1774(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してコントローラ回路1720に電力(例えば、DC電源)を供給する電源1710(例えば、エネルギー源、電池源、一次セル、充電式セルなど)を含み、接続1776(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してRF回路1770に電力を供給し、接続1746(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介して検知回路1740に電力を供給する。コントローラ回路1720は、メモリ1761を含むか、又は本明細書で説明されているような無線非対称ネットワークを形成及び監視するためのセンサノードの動作を制御するためのコントローラ回路1720の処理ロジック1763(例えば、1つ以上の処理ユニット)によって実行される命令を格納するメモリに結合される。RF回路1770(例えば、通信回路)は、(1又は複数の)ハブ及びオプションの無線センサノードとの(1又は複数の)アンテナ1778を介した双方向通信を送受信するためのトランシーバ又は別個の送信機1775及び受信機1777機能を含むことができる。RF回路1770は、接続1772(例えば、電気接続)を介してコントローラ回路1720と双方向に通信する。RF回路1770は、LAN RF回路、WAN RF回路、及びセルラーRF回路のうちの少なくとも1つを含む。検知回路1740は、(1又は複数の)画像センサと回路1742、(1又は複数の)水分センサと回路1743、(1又は複数の)温度センサと回路、(1又は複数の)湿度センサと回路、(1又は複数の)空気質センサと回路、(1又は複数の)光センサと回路、(1又は複数の)運動センサと回路1744、(1又は複数の)音声センサと回路1745、(1又は複数の)磁気センサと回路1746、及び(1又は複数の)センサと回路nなどを含む様々なタイプの検知回路及び(1又は複数の)センサを含む。
【0111】
本明細書に開示された無線位置特定技術は、ネットワーク全体の位置特定精度を向上させるために、他の記載された情報と組み合わされてもよい。例えば、1つ以上のノードにカメラが含まれる無線センサでは、捕捉された画像を画像処理及び機械学習の手法で使用して、監視されているセンサノードが同じシーンを見ているかどうか、したがって同じ部屋にある可能性があるかどうかを判定できる。周期的な照明と光検出器を使用することで、同様の利点を実現できる。照明をストロボし、光検出器を使用して検出することにより、光路の存在を検出でき、ストロボと検出器の間に不透明な壁がないことを示す可能性がある。他の実施形態では、磁気センサをセンサノードに統合し、監視されているセンサノードの向きを検出するためのコンパスとして使用することができる。次に、この情報を位置特定情報と共に使用して、センサが壁、床、天井、又はその他の位置にあるかどうかを判定できる。
【0112】
一例では、各センサノードは画像センサを含むことができ、家の各周囲壁は1つ以上のセンサノードを含む。ハブは、位置特定情報と共に画像データ及び任意で方向データを含むセンサデータを分析して、各センサノードの絶対位置を特定する。次に、ハブは、ユーザの建物の各部屋の3次元画像を構築できる。壁、窓、ドアなどの位置を有するフロアプランを生成できる。イメージセンサは、家の保全性の問題(例えば、水、屋根の漏れなど)を示し得る反射の変化を示す画像をキャプチャする場合がある。
【0113】
図10は、一実施形態に係る、ハブを有するシステム1800のブロック図を示す。システム1800は、無線非対称ネットワークアーキテクチャのハブ1882又は中央ハブを含むか、又はそれと統合される。システム1800(例えば、コンピューティングデバイス、スマートTV、スマートアプライアンス、通信システムなどで)は、あらゆるタイプの無線デバイス(例えば、携帯電話、無線電話、タブレット、コンピューティングデバイス、スマートTV、スマート電化製品など)と無線通信の送受信用に通信することができる。システム1800は、コントローラ1820及び処理ユニット1814を含む処理システム1810を含む。処理システム1810は、ハブ1882、入力/出力(I/O)ユニット1830、無線周波数(RF)回路1870、オーディオ回路1860、1つ以上の画像又はビデオを捕捉するための光学デバイス1880、システム1800のための動きデータ(例えば、3次元で)を決定するための随意的な動きユニット1844(例えば、加速度計、ジャイロスコープなど)、電力管理システム1840、及び機械アクセス可能な非一時的媒体1850と、1つ以上の双方向通信リンク又は信号線1898、1818、1815、1816、1817、1813、1819、1811を介してそれぞれ通信する。
【0114】
ハブ1882は、接続1885(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してコントローラ回路1884に電力(例えば、DC電源)を供給し、接続1887(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してRF回路1890に電力を供給する電源1891を含む。コントローラ回路1884は、メモリ1886を含むか、又は本明細書で説明するような無線非対称ネットワークを形成及び監視するためにハブの動作を制御するためのコントローラ回路1884の処理ロジック1888(例えば、1つ以上の処理ユニット)によって実行される命令を記憶するメモリに結合される。RF回路1890は、無線センサノード又は他のハブとの(1又は複数の)アンテナ1896を介した双方向通信を送受信するためのトランシーバ又は別個の送信機(TX)1892及び受信機(RX)1894機能を含むことができる。RF回路1890は、接続1889(例えば、通信リンク、信号線、電気接続など)を介してコントローラ回路1884と双方向に通信する。RF回路1890は、LAN RF回路、WAN RF回路、及びセルラーRF回路のうちの少なくとも1つを含む。ハブ1882は、無線制御デバイス1884とすることができ、又はコントローラ回路1884、RF回路1890、及び(1又は複数の)アンテナ1896を組み合わせて、本明細書で説明する無線制御デバイスを形成することができる。
【0115】
システムのRF回路1870及び(1又は複数の)アンテナ1871、又はハブ1882のRF回路1890及び(1又は複数の)アンテナ1896は、無線リンク又はネットワークを介して、本明細書で説明するハブ又はセンサノードの1つ以上の他の無線デバイスに情報を送受信するために使用される。オーディオ回路1860は、オーディオスピーカ1862及びマイクロフォン1064に結合され、音声信号を処理するための既知の回路を含む。1つ以上の処理ユニット1814は、コントローラ1820を介して1つ以上の機械アクセス可能な非一時的媒体1850(例えば、コンピュータ可読媒体)と通信する。媒体1850は、1つ以上の処理ユニット1814によって使用するためのコード及び/又はデータを記憶することができる任意のデバイス又は媒体(例えば、記憶デバイス、記憶媒体)とすることができる。媒体1850としては、キャッシュ、メインメモリ、及び二次メモリを含むがこれらに限定されないメモリ階層を挙げることができる。
【0116】
媒体1850又はメモリ1886は、本明細書に記載された方法又は機能のうちの任意の1つ以上を具現化する1つ以上の命令セット(又はソフトウェア)を記憶する。ソフトウェアは、オペレーティングシステム1852、無線非対称ネットワークアーキテクチャを確立、監視、及び制御するためのネットワークサービスソフトウェア1856、通信モジュール1854、及び、アプリケーション1858(例えば、家又は建物のセキュリティアプリケーション、家又は建物の完全性アプリケーション、開発者アプリケーションなど)を含むことができる。また、ソフトウェアは、完全に又は少なくとも部分的に、デバイス1800によるその実行中に、媒体1850、メモリ1886、処理ロジック1888内に、又は処理ユニット1814内に存在してもよい。
図18に示される構成要素は、1つ以上の信号処理及び/又は特定用途向け集積回路を含む、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、それらの任意の組み合わせで実装されてもよい。
【0117】
通信モジュール1854は、他のデバイスとの通信を可能にする。I/Oユニット1830は、様々なタイプの入出力(I/O)デバイス1834(例えば、ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、陰極線管(CRT)、タッチディスプレイデバイス、又は、ユーザ入力を受信して出力を表示するためのタッチスクリーン、随意的な英数字入力デバイス)と通信する。
【0118】
以下の実施例のいずれも、単一の実施形態に組み合わせることができ、又はこれらの例は別個の実施形態とすることができる。一例では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための非同期システムは、無線ネットワークアーキテクチャにおいて通信を送受信するための1つ以上の処理ユニット及びRF回路を伴う無線デバイスをそれぞれが有する第1及び第2の無線ノードと、未知の位置並びに無線ネットワークアーキテクチャ内の第1及び第2の無線ノードとの通信を可能にする送信機及び受信機を伴う無線デバイスを有する無線ノードとを備える。第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、第2の無線ノード及び位置が未知の無線ノードに通信を送信し、無線ノードから確認応答パケットによる通信を受信し、第1の無線ノードと第2の無線ノードとの間の到達時間差情報を決定するための命令を実行するように構成される。
【0119】
別の例では、システムは、無線ネットワークアーキテクチャにおいて通信を送信及び受信するための1つ以上の処理ユニット及びRF回路を伴う無線デバイスを有する第3の無線ノードを含む。第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、マルチラテレーションアルゴリズムが、第1の無線ノードと第2の無線ノードとの間、及び第1の無線ノードと第3の無線ノードとの間の到達時間差情報を使用して、位置が未知の無線ノードの位置を決定するための命令を実行するように構成される。
【0120】
別の例では、第1の無線ノードが第1の基準クロック信号を有し、第2の無線ノードが第2の基準クロック信号を有する。
【0121】
別の例では、位置が未知の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、第1のノードからの転送パケットとの通信の受信に応答して、第1の無線ノード、第2の無線ノード、及び第3の無線ノードに確認応答パケットを含む通信を送信するための命令を実行するように構成される。
【0122】
別の例では、第2の無線ノード及び第3の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、第1の無線ノードからの転送パケット及び第4の無線ノードからの確認応答パケットを含む通信を受信し、受信した転送パケット及び確認応答パケットのそれぞれについてタイムスタンプ及びチャネル状態情報を記録する命令を実行するように構成される。
【0123】
別の例では、第1の無線ノードからの転送パケットの送信時間が、第1、第2、及び第3の無線ノードの時間基準として使用される。
【0124】
別の例では、第1の無線ノードと第2の無線ノードとの間の到達時間差情報は、第1の無線ノードが第4の無線ノードから確認応答パケットを受信する第1の時刻、第2の無線ノードが第4の無線ノードから確認応答パケットを受信する第2の時刻、及び、時間基準に基づいて決定される。
【0125】
別の例では、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、命令を実行して、第1の時刻と時間基準との差を決定し、第2の時刻と時間基準との差も決定するように構成される。
【0126】
別の例では、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、第1の無線ノードと第2の無線ノードとの間の通信、及び第1の無線ノードと第3の無線ノードとの間の通信の往復時間の時間推定値に基づく位置特定のための飛行時間推定値を決定することに基づいて、到達時間差情報を決定するための命令を実行するように構成される。
【0127】
一例では、装置は、命令を記憶するためのメモリと、無線ネットワークアーキテクチャ内の複数のセンサノードを制御し、複数のセンサノードの位置を決定するための命令を実行する1つ以上の処理ユニットと、無線ネットワークアーキテクチャ内の装置のRF回路との双方向通信を可能にするために、送信機及び受信機を有する無線デバイスを各々が有する複数のセンサノードとの間で通信を送受信するための無線周波数(RF)回路とを備える。装置の1つ以上の処理ユニットは、第1の無線ノード、第2の無線ノード、及び第3の無線ノードに通信を送信し、未知の位置を有する第3のノードから確認応答パケットとの通信を受信し、装置と第1の無線ノードとの間、及び装置と第2の無線ノードとの間の到達時間差情報を決定するための命令を実行するように構成される。
【0128】
別の例では、装置の1つ以上の処理ユニットは、到達時間差情報を使用して第3の無線ノードの位置を決定するために、マルチラテレーションアルゴリズムのための命令を実行するように構成される。
【0129】
別の例では、装置は、第1の基準クロック信号を有し、第1の無線ノードは、第2の基準クロック信号を有する。
【0130】
別の例では、送信された通信は、第1の無線ノード、第2の無線ノード、及び第3の無線ノードに送信される転送パケットの送信時間を含み、送信時間は、装置、第1の無線ノード、及び第2の無線ノードの時間基準として使用される。
【0131】
別の例では、装置と第1の無線ノードとの間の到達時間差情報は、装置が第3の無線ノードから確認応答パケットを受信する第1の時刻、第1の無線ノードが第3の無線ノードから確認応答パケットを受信する第2の時刻、及び、時間基準に基づいて決定される。
【0132】
別の例では、装置の1つ以上の処理ユニットは、命令を実行して、第1の時刻と時間基準との間の差を決定し、第2の時刻と時間基準との間の差も決定するように構成される。
【0133】
一例では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のためのシステムは、無線ネットワークアーキテクチャ内で通信を送信及び受信するための1つ以上の処理ユニット及びRF回路を伴う無線デバイスをそれぞれが有する第1、第2、及び第3の無線ノードと、未知の位置並びに無線ネットワークアーキテクチャ内の第1、第2及び第3の無線ノードとの通信を可能にする送信機及び受信機を伴う無線デバイスを有する第4の無線ノードとを含む。第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、命令を実行して、第4のノードから転送パケットとの通信を受信し、転送パケットに応答して第2、第3、及び第4の無線ノードに通信を送信し、第1の無線ノードと第2の無線ノードとの間、及び第1の無線ノードと第3の無線ノードとの間の到達時間差情報を決定するように構成される。
【0134】
別の例では、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、到達時間差情報を使用して第4の無線ノードの位置を決定するために、マルチラテレーションアルゴリズムのための命令を実行するように構成される。
【0135】
別の例では、第1の無線ノードが第1の基準クロック信号を有し、第2の無線ノードが第2の基準クロック信号を有する。
【0136】
別の例では、第4の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、転送パケットを含む通信を第1、第2、及び第3の無線ノードに送信するための命令を実行するように構成される。
【0137】
別の例では、第2及び第3の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、第4の無線ノードからの転送パケット及び第1の無線ノードからの確認応答パケットを含む通信を受信し、受信した転送パケット及び確認応答パケットの各々についてタイムスタンプ及びチャネル状態情報を記録する命令を実行するように構成される。
【0138】
別の例では、第1の無線ノードと第2の無線ノードとの間の到達時間差情報は、第1の無線ノードが第4の無線ノードから転送パケットを受信する第1の時刻、第2の無線ノードが第4の無線ノードから転送パケットを受信する第2の時刻、及び、第1の基準クロック信号と第2の基準クロック信号との間の時間オフセットに基づいて決定される。
【0139】
別の例では、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、第2の無線ノードが第1の無線ノードから確認応答パケットを受信する第3の時刻、第1の無線ノードが第2の無線ノードに確認応答パケットを送信する第4の時刻、及び、第1の無線ノードと第2の無線ノードとの間の通信の飛行時間推定値に基づいて、第1の基準クロック信号と第2の基準クロック信号との間の時間オフセットを決定するための命令を実行するように構成される。
【0140】
図11は、一実施形態に係る、到達時間差技術を使用してノードの位置推定を決定するための時間掃引方法を示す。方法1100の動作は、処理回路又は処理ロジックを含む、無線デバイス、ハブ(例えば、装置)の無線制御デバイス、又はシステムによって実行されてもよい。処理ロジックとしては、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン又はデバイス上で実行されるものなど)、又は、両方の組み合わせを挙げることができる。一実施形態では、ハブ及びリモートクラウドベースのデバイス又はエンティティの少なくとも一方が、方法1100の動作を実行する。
【0141】
無線ネットワークアーキテクチャ(例えば、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線広域ネットワーク(WAN)、無線セルラネットワーク)の初期化時に、動作1101において、システムの処理ロジックは、
図12に示すように、未知の位置に第1のノード(例えば、マスターノード1210)、第2及び第3の無線ノード(例えば、探知ノード1220、1230)、並びに、第4のノード1240(例えば、センサノード、モバイルデバイス、スマートデバイス、スマートウォッチなど)を有するように構成される。第1のノード(例えば、マスターノード)は、動作1102において、RTT及び第2及び第3のノード(例えば、探知ノード)との部分距離(米国特許出願第15/173,531号に記載されているように)を用いて双方向飛行時間を実行する。方法は、飛行時間測定値に基づいてアンカーノード(例えば、第1、第2、及び第3のノード1210、1220、1230)の位置座標を決定又は取得することができる。
【0142】
動作1104で、この方法は、任意のデバイス(例えば、第4のノード1240)の送信された通信のための位置座標仮説と送信時間仮説(x、y、z、t)を決定する。各アンカーノードは、受信した通信の検出タイムスタンプ及びチャネル状態情報(CSI)を記録する。動作1106において、方法は、位置(xi,yi,zi)にある受信デバイスi(例えば、アンカーノード)の時間trjiにおける各受信経路jについての送信時間仮説に関連付けられた誤差関数(例えば、イプシロン=sqrt((xi-x)^2+(yi-y)^2)-(trji-t);イプシロン1215)を決定する。動作1108において、方法は、経路測定精度の統計的特性を使用して確率関数Pij(イプシロン)を形成する。Pij(eps)は、任意の形態であってもよく、例としては、正規分布a(i)*e^(-ε^2/b(i))が挙げられ、式中、a(i)及びb(i)は、経路特性の関数であってもよい。
【0143】
動作1110において、本方法は、各デバイスiについてPi(イプシロン)を形成するために、全ての経路jの確率関数を加算する。動作1112において、本方法は、全てのデバイスiからの全てのPi(イプシロン)関数を乗算してP(x、y、z、t)を形成する。乗算の数値実装は、加算ログ(Pi)に置き換えることもできる。動作1114において、本方法は、任意の実現可能な座標及び送信時間仮説についてP(x、y、z、t)を評価する。動作1116において、本方法は、任意の実現可能な座標及び送信時間仮説について最も高い確率P(x、y、z、t)を選択する。
【0144】
一例では、このシステムは、マスターノードをアクセスポイント(AP)として利用し、未知の第4のノードがそれに関連付けられているか、又は他の手段によってセットアップされる。探知ノードは、マスターノード又は未知の第4のノードによって送信されたパケットを受信するように構成される。各探知ノードは、受信した通信の検出タイムスタンプ及びチャネル検知情報(CSI)を記録する。探知ノード及びマスターノードは全て、受信した通信のタイムスタンプ及びCSIを記録する。
【0145】
図12は、一実施形態に係る時間掃引TDoAのための無線アーキテクチャを示す。アンカーノード1210、1220、1230はそれぞれ、未知の位置を有するノード1240から通信を送受信する。アンカーノードは、パス1212、1222、及び1232に沿ってノード1240から通信を受信し、マルチパスjは各ノードの半径1211、1221、及び1231によって示される。マルチパスは、環境内の通信の反射(例えば、屋内環境、建物、部屋)によって引き起こされる可能性がある。各ノードは、予測された座標とノード1240の実際の位置との間の差を表す誤差関数(例えば、イプシロン1215)を有する。各アンカーノードはまた、ノード1240からの送信の実際の送信時間とノード1240の送信時間仮説との間の差に基づく時間オフセット(例えば、時間オフセット1216)を有する。
【0146】
従来の手法では、ビーム形成方法は、デバイスの送信機応答を測定することに基づいてデバイスを特定する。計算は時間領域で実行される。しかしながら、その送信機応答が知られておらず、チャネル状態情報(CSI)を時間領域に変換するとアーチファクトが発生する可能性があるため、任意のデバイスまでの距離を推定することは困難である。
【0147】
本設計は、既存のTDoA問題を克服するために、(ステアリングベクトル発見のための)既存の強力なビーム形成アルゴリズムを利用する。任意のデバイスの送信機応答の推定値は、任意の位置仮説を仮定して、周波数領域においてコヒーレントに加算することができる。
【0148】
図13は、一実施形態に係るノードの位置推定を決定するための周波数領域におけるビーム形成方法を示す。方法1300の動作は、処理回路又は処理ロジックを含む、無線デバイス、ハブ(例えば、装置)の無線制御デバイス、又はシステムによって実行されてもよい。処理ロジックとしては、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン又はデバイス上で実行されるものなど)、又は、両方の組み合わせを挙げることができる。一実施形態では、ハブ、アンカーノード、及びリモートクラウドベースのデバイス又はエンティティのうちの少なくとも1つが、方法1300の動作を実行する。
【0149】
無線ネットワークアーキテクチャ(例えば、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線広域ネットワーク(WAN)、無線セルラネットワーク)の初期化時に、動作1301において、システムの処理ロジックは、
図14に示すように、アンカーノード(例えば、マスターノード1410)、少なくとも1つの更なるアンカー無線ノード(例えば、探知ノード1420)、及び未知の位置にあるノード1440(例えば、センサノード、モバイルデバイス、スマートデバイス、スマートウォッチなど)を有するように構成される。ノード(例えば、マスターノード)は、動作1302において、少なくとも1つのアンカーノード(例えば、少なくとも1つの探知ノード)を用いて、RTT及び部分距離(米国特許出願第15/173,531号に記載されているように)で双方向飛行時間を実行する。各アンカーノードは、受信した通信のチャネル1412及び1422からの検出タイムスタンプ及びチャネル状態情報(CSI)を記録する。
【0150】
動作1304において、本方法は、未知の位置を有するノードの位置座標仮説(x,y,z)を決定し、動作可能な受信機を有する各リスニングアンカーノードi,(例えば、ノード1410、1420)から位置座標(例えば、1450)までの距離をdi(例えば、1452、1454)として計算する。
【0151】
動作1306において、本方法は、各アンカーノードiからCSIi(f)及び信号到達タイムスタンプTiを取得し、修正CSIを計算する。
当初のCSIに時間シフトdi-Tiを加算することによるCSIm,i=CSIi・e^(jω(di-Ti))この時間シフトを行なうことによって、組み合わされたCSIは、正しい位置仮説において高いエネルギーを有する。アンカーが同期していない場合、アンカークロック位相差が測定され、タイムスタンプに含まれなければならない。相対タイムスタンプ値のみが必要とされるため、全てのタイムスタンプから定数を減算して、それらを可能な限り小さい値に保つことができる。小さいタイムスタンプ値は、以下の動作の精度を高めることができる。
【0152】
動作1308において、本方法は、e(x,y,z)=ΣfΣi|vi・CSIm,i(f)|^2を最大化する複素ステアリングベクトルvを決定する。
【0153】
動作1310において、本方法は、任意の実現可能な座標仮説についてe(x、y、z)を評価し、最高値を有する座標位置を選択する。
【0154】
各リスニングアンカーノードが任意のデバイスの送信機応答の推定値を計算すると仮定すると、任意の位置仮説を仮定して、全ての推定値を周波数領域でコヒーレントに加算することができる。仮説が任意のデバイスの実際の位置に対応する場合、合計は最高値を有する。
【0155】
図15は、一実施形態に係る、ノードの位置推定を決定するための時間領域におけるビーム形成方法を示す。方法1500の動作は、処理回路又は処理ロジックを含む、無線デバイス、ハブ(例えば、装置)の無線制御デバイス、又はシステムによって実行されてもよい。処理ロジックとしては、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン又はデバイス上で実行されるものなど)、又は、両方の組み合わせを挙げることができる。一実施形態では、ハブ、アンカーノード、及びリモートクラウドベースのデバイス又はエンティティのうちの少なくとも1つが、方法1500の動作を実行する。
【0156】
無線ネットワークアーキテクチャ(例えば、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線広域ネットワーク(WAN)、無線セルラネットワーク)の初期化時に、動作1502において、システムの処理ロジックは、
図14に示すように、アンカーノード(例えば、マスターノード1410)、少なくとも1つの更なるアンカー無線ノード(例えば、探知ノード1420)、及び未知の位置にあるノード1440(例えば、センサノード、モバイルデバイス、スマートデバイス、スマートウォッチなど)を有するように構成される。アンカーノード(例えば、マスターノード)は、動作1502において、RTTによる双方向飛行時間と、少なくとも1つのアンカーノード(例えば、少なくとも1つの探知ノード)による部分距離(米国特許出願第15/173,531号に記載されているように)とを実行する。各アンカーノードは、受信した通信のチャネル1412及び1422からの検出タイムスタンプ及びチャネル状態情報(CSI)を記録する。
【0157】
動作1504において、本方法は、未知の位置を有するノードの位置座標仮説(x、y、z)を決定し、各リスニングアンカーノードi(例えば、ノード1410、1420)から位置座標仮説までの距離をdi(例えば、1452、1454)として計算する。
【0158】
動作1506において、本方法は、各アンカーノードiからチャネル状態情報(例えば、CSIi(f))及び信号到達タイムスタンプTiを取得し、修正CSIを計算する。
【0159】
元のCSIに時間シフトを加算することによるCSIm,i=CSIi・e^(jω(di-Ti))或いは、動作1506において、CSIに窓関数のフーリエ変換を乗算することができる。以下に説明する窓関数は、周波数領域から時間領域への変換によって生成されるノイズ及びスプリアス要素を低減するために使用することができる。
【0160】
動作1508において、本方法は、疎近似、マトリクスペンシルなどを使用して、各CSIm、iを時間領域チャネル応答hi(t)に変換する。動作1510において、本方法は、全ての応答s(t)=Σ_i|hi|の大きさを加算する。
【0161】
動作1512において、本方法は、例えば、所望の位置精度及び推定距離測定精度に対応する適切な窓関数でs(t)を畳み込むことによって、偽の成分を除去する。動作1508における幾つかの変換方法は、時間領域チャネル応答に偽要素を作り出すことができる。これらのスプリアス成分は、実際の遅延パス成分に近い振幅を有する場合がある。変換が位置精度に必要とされるよりも高い分解能を有する場合、偽の成分は窓関数によって減衰され得る。窓関数は、幾つかの時間サンプルにわたる単純な平均とすることができ、特定の変換方法又は畳み込みステップによりよく適合するより複雑な形状を完全に省略することができる。動作1514において、本方法は、出力の最高値smaxを選択する。
【0162】
動作1516において、本方法は、任意の実現可能な座標仮説についてsmaxを評価し、最高値を有する座標位置を選択する。
【0163】
従来のビーム形成手法は、デバイスの送信機応答を測定することに基づいてデバイスを配置することを含む。しかしながら、任意のデバイスまでの距離を推定することは、その送信機の応答が分からないため困難である。周波数領域応答をコヒーレントに加算するには、エラーを引き起こす可能性がある各アンカーノード位相を推定する必要がある。
【0164】
図15の方法1500は、周波数領域から時間領域への変換を実行して、アンカーノードの未知の位相を除去する。各リスニングアンカーノードが任意のデバイスの送信機時間応答振幅の推定値を計算する場合、任意の位置仮説について全ての推定値を加算することができる。仮説が任意のデバイスの実際の位置に対応するとき、合計は最も高い振幅ピーク値を有する。
【0165】
以下の実施例のいずれも、単一の実施形態に組み合わせることができ、又はこれらの例は別個の実施形態とすることができる。第1の実施形態の1つの例において、無線ネットワークアーキテクチャ内の任意の無線デバイスの位置特定のためのコンピュータ実装方法は、複数の無線アンカーノードを有する無線ネットワークアーキテクチャを初期化するステップと、アンカーノード及びクラウドベースのエンティティのうちの少なくとも一方により、任意の無線デバイスの送信された通信に関する位置座標仮説及び送信時間仮説を決定するステップと、位置座標仮説において受信する複数のアンカーノードのそれぞれの受信経路jごとに前記送信時間仮説と関連付けられる誤差関数を決定するステップと、経路測定精度の統計的特性を使用して各アンカーノードのそれぞれの受信経路jごとに誤差関数の確率関数を決定するステップとを含む。
【0166】
第1の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、全ての経路jの確率関数を加算して、複数のアンカーノードのそれぞれに関して誤差関数の確率関数を形成するステップを更に含む。
【0167】
第1の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、複数のアンカーノードのそれぞれに関して誤差関数の確率関数を乗算して、任意の無線デバイスに関する3次元における座標位置及び送信時間仮説の確率関数P(x、y、z、t)を形成するステップを更に含む。
【0168】
第1の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、任意の実現可能な座標及び送信時間仮説に関して3次元における座標位置及び送信時間仮説の確率関数を評価するステップと、任意の実現可能な座標及び送信時間仮説に関して最も高い確率P(x、y、z、t)から少なくとも1つの仮説を選択するステップとを更に含む。
【0169】
第1の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、任意の実現可能な送信時間仮説に関して3次元における座標位置及び送信時間仮説の確率関数を評価するステップと、x、y及びzの少なくとも1つの所定の範囲にわたってP(x、y、z、t)の値を合計し、最も高い合計を伴う範囲を選択することによって任意のデバイスがどの範囲に最も位置する可能性が高いかを決定するステップとを更に含む。
【0170】
第1の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、合計が所定の値に等しくなるように、選択された最も高い確率を中心とするx、y及びzの範囲にわたってP(x、y、z、t)の値を合計するステップと、範囲のサイズを位置精度の表示として使用するステップとを更に含む。
【0171】
第1の実施形態の他の例において、誤差関数は、位置(xi,yi,zi)でアンカーノードを受信する時間trjiにおけるそれぞれの受信経路jごとに送信時間仮説と関連付けられるsqrt((xi-x)^2+(yi-y)^2)-(trji-t)を含む。
【0172】
第2の実施形態の1つの例において、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための非同期システムは、無線ネットワークアーキテクチャ内で通信を送受信するための1つ以上の処理ユニット及びRF回路を伴う無線デバイスをそれぞれが有する第1及び第2の無線ノードと、未知の位置並びに無線ネットワークアーキテクチャ内の第1及び第2の無線ノードとの通信を可能にする送信機及び受信機を伴う無線デバイスとを有する第3の無線ノードとを備え、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、クラウドベースのエンティティに命令を送信する又は命令を実行して第3の無線ノードの送信された通信に関する位置座標仮説及び送信時間仮説を決定するとともに、位置座標仮説における受信する第1及び第2の無線ノードのそれぞれの受信経路jごとに送信時間仮説と関連付けられる誤差関数を決定し、経路測定精度の統計的特性を使用して第1及び第2の無線ノードのそれぞれの受信経路jごとに前記誤差関数の確率関数を決定するように構成される。
【0173】
第2の実施形態の他の例において、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニット又はクラウドベースのエンティティは、命令を実行して全ての経路jの確率関数を加算し、第1の無線ノード及び第2の無線ノードに関する誤差関数の確率関数を形成する。
【0174】
第2の実施形態の他の例において、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニット又はクラウドベースのエンティティは、命令を実行して第1及び第2の無線ノードに関する誤差関数の確率関数を乗算し、第3の無線ノードに関する3次元における座標位置及び送信時間仮説の確率関数P(x、y、z、t)を形成するように構成される。
【0175】
第2の実施形態の他の例において、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニット又はクラウドベースのエンティティは、命令を実行して、任意の実現可能な座標及び送信時間仮説に関して3次元における座標位置及び送信時間仮説の確率関数を評価するとともに、任意の実現可能な座標及び送信時間仮説に関して最も高い確率P(x、y、z、t)を選択するように構成される。
【0176】
第2の実施形態の他の例において、第1の無線ノードが第1の基準クロック信号を有し、第2の無線ノードが第2の基準クロック信号を有し、第3の無線ノードが第3の基準クロック信号を有する。
【0177】
第2の実施形態の他の例では、無線ネットワークアーキテクチャが無線WANアーキテクチャを備える。
【0178】
第2の実施形態の他の例において、無線ネットワークアーキテクチャは、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)ネットワークアーキテクチャ及び無線WANアーキテクチャのうちの少なくとも一方を備える。
【0179】
第2の実施形態の他の例において、第1の無線ノードは、無線RF通信を送受信するための無線広域ネットワーク(WAN)RF回路を含む。
【0180】
第3の実施形態の1つの例において、無線ネットワークアーキテクチャ内の任意の無線デバイスの位置特定のためのコンピュータ実装方法は、複数の無線アンカーノードiを有する無線ネットワークアーキテクチャを初期化するステップと、未知の位置を有する任意の無線デバイスに関する3次元における位置座標仮説を決定するステップと、それぞれのリスニング無線アンカーノードiから位置座標仮説までの距離diを計算するステップと、各無線アンカーノードiからのチャネル状態情報と各無線アンカーノードiからの信号到達タイムスタンプTiとを取得するステップとを含む。
【0181】
第3の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、当初のチャネル状態情報、距離di、及び、各アンカーノードiからの信号到達タイムスタンプTiに基づいて、修正チャネル状態情報を計算するステップを更に含む。
【0182】
第3の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、位置座標仮説の変数を有する関数を最大化する複素ステアリングベクトルvを決定するステップであって、関数がステアリングベクトルと修正チャネル状態情報とに基づく、ステップを更に含む。
【0183】
第3の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、任意の実現可能な座標仮説に関する前記関数を評価して、最高値を伴う座標位置を選択するステップを更に含む。
【0184】
第4の実施形態の1つの例において、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための非同期システムは、無線ネットワークアーキテクチャ内で通信を送受信するための1つ以上の処理ユニット及びRF回路を伴う無線デバイスをそれぞれが有する第1及び第2の無線ノードと、未知の位置並びに無線ネットワークアーキテクチャ内の第1及び第2の無線ノードとの通信を可能にする送信機及び受信機を伴う無線デバイスを有する第3の無線ノードとを備え、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニットは、クラウドベースのエンティティに命令を送信する又は命令を実行して未知の位置を有する第3の無線ノードデバイスに関する3次元における位置座標仮説を決定するとともに、第1及び第2の無線ノードから位置座標仮説までの距離を計算し、第1及び第2の無線ノードからのチャネル状態情報と第1及び第2の無線ノードからの信号到達タイムスタンプTとを取得するように構成される。
【0185】
第4の実施形態の他の例において、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニット又はクラウドベースのエンティティは、命令を実行して、チャネル状態情報、計算された距離、第1及び第2の無線ノードからの信号到達タイムスタンプTi、並びに、第1及び第2の無線ノードに関する既知の受信応答に基づいて、第3の無線デバイスの送信機応答を計算する。
【0186】
第4の実施形態の他の例において、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニット又はクラウドベースのエンティティは、命令を実行して、位置座標仮説の変数を有する関数を最大化する複素ステアリングベクトルvを決定するように構成され、関数は、ステアリングベクトルと、第3の無線ノードの計算された送信機応答とに基づく。
【0187】
第4の実施形態の他の例において、第1の無線ノードの1つ以上の処理ユニット又はクラウドベースのエンティティは、任意の実現可能な座標仮説に関して関数を評価し、最高値を伴う座標位置を選択するように構成される。
【0188】
第4の実施形態の他の例において、第1の無線ノードが第1の基準クロック信号を有し、第2の無線ノードが第2の基準クロック信号を有し、第3の無線ノードが第3の基準クロック信号を有し、第1及び第2の基準クロック位相差が信号到達タイムスタンプを使用する前に除去される。
【0189】
第5の実施形態の1つの例において、無線ネットワークアーキテクチャ内の無線ノードの位置特定のためのコンピュータ実装方法は、複数の無線アンカーノードiを有する無線ネットワークアーキテクチャを初期化するステップと、アンカーノード及びクラウドベースのエンティティのうちの少なくとも一方により、未知の位置を有する無線ノードの位置座標仮説を決定するステップと、それぞれのアンカーノードiから位置座標仮説までの距離を計算するステップと、各アンカーノードiからチャネル状態情報及び信号到達タイムスタンプTiを取得するステップとを含む。
【0190】
第5の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、当初のチャネル状態情報、距離di、及び、各アンカーノードiからの信号到達タイムスタンプTiに基づいて、修正チャネル状態情報を計算するステップを更に含む。
【0191】
第5の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、当初のチャネル状態情報、距離di、及び、各アンカーノードiからの信号到達タイムスタンプTiに基づいて、修正チャネル状態情報を計算するステップを更に含む。
【0192】
第5の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、それぞれのアンカーノードに関する無線の各修正チャネル状態情報を時間領域チャネル応答hi(t)に変換するステップと、時間領域における全ての時間領域応答振幅abs(hi)を加算して、送信機応答の合計s(t)を生成するステップとを更に含む。
【0193】
第5の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、s(t)を適切な窓関数で畳み込んで出力を生成するステップであって、窓関数が所望の位置精度及び推定距離測定精度に対応する、ステップを更に含む。
【0194】
第5の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、出力の最高値smaxを選択するステップを更に含む。
【0195】
第5の実施形態の他の例において、コンピュータ実装方法は、任意の実現可能な座標仮説に関してsmaxを評価して、最高値を伴う座標位置を選択するステップを更に含む。
【0196】
第5の実施形態の他の例では、無線ネットワークアーキテクチャが無線WANアーキテクチャを備える。
【0197】
第5の実施形態の他の例において、無線ネットワークアーキテクチャは、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)ネットワークアーキテクチャ及び無線WANアーキテクチャのうちの少なくとも一方を備える。
【0198】
「A及びBのうちの少なくとも一方」という語句は、「Aのみ、Bのみ、又は、AとBの両方」を意味すると理解されるべきである。「A及びBのグループから選択される少なくとも1つ」という語句は、「Aのみ、Bのみ、又は、AとBの両方」を意味すると理解されるべきである。「A、B、又は、Cのうちの少なくとも1つ」という語句は、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、又は、A、B、もしくは、Cの任意の組み合わせ」を意味すると理解されるべきである。
【0199】
上述した明細書では、本発明をその特定の典型的な実施形態に関連して説明してきた。しかしながら、本発明のより広い思想及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を本発明に対して行なうことができることが分かる。したがって、本明細書及び図面は、限定的な状態ではなく例示的な状態とみなされるべきである。