(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】バインディングポスト密封キャップ及びその成形方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20240613BHJP
H01R 43/18 20060101ALI20240613BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01R13/52 B
H01R43/18
F04B39/00 106A
(21)【出願番号】P 2021559674
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 CN2021080015
(87)【国際公開番号】W WO2022033021
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010812114.1
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520000191
【氏名又は名称】松下・万宝(▲広▼州)▲圧▼▲縮▼机有限公司
【氏名又は名称原語表記】PANASONIC WANBAO APPLIANCES COMPRESSOR (GUANGZHOU) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO. 36, WANBAO NORTH STREET, ZHONGCUN WANBAO BASE, PANYU DISTRICT, GUANGZHOU CITY, GUANGDONG 511495, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ 沛
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 燕
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206236905(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110854559(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0049004(US,A1)
【文献】中国実用新案第208460865(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0124203(US,A1)
【文献】中国実用新案第201812942(CN,U)
【文献】米国特許第4598971(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
H01R43/027-43/28
F04B39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインディングポスト密封キャップのキャビ型と前記キャビ型内に設けられたコア型セットとを備える金型を設置するバインディングポスト密封キャップの成形方法であって、
第一コア型を設置し、前記第一コア型は、成形用基台部と、成形ポストと、蓋体成形ブロックと、を備え、前記成形ポスト及び前記蓋体成形ブロックが前記成形用基台部の同側端面に設けられ、前記蓋体成形ブロックの高さが前記成形ポストの高さより小さく、前記蓋体成形ブロックが前記成形ポストを三方で取り囲み、前記第一コア型の型開き方向が前記成形ポストの軸線と平行であること、
第二コア型を設置し、前記第二コア型は、差込空間成形ブロックと、前記差込空間成形ブロックを貫通する通し穴と、を備え、前記通し穴の軸線に沿って投影して得られた前記通し穴の横断面形状が前記成形ポストの軸線に沿って投影して得られた前記成形ポストの横断面形状と同じであり、前記第二コア型の型開き方向は前記通し穴の軸線と平行ではないこと、
前記第一コア型の成形ポストを前記第二コア型の通し穴内に挿入してコア型セットを組み合わせ、前記差込空間成形ブロックを前記蓋体成形ブロックと接し、一端面が前記成形用基台部外に延在すること、
キャビ型を設置し、前記コア型セットを前記キャビ型内に設置してバインディングポスト密封キャップの射出成形を行い、前記成形用基台部と前記差込空間成形ブロックとの間に隙間を形成し、前記成形ポストを前記差込空間成形ブロックの外側に露出させること、
前記第一コア型を前記成形ポストの軸線に平行な方向に沿って前記バインディングポスト密封キャップから離脱させること、
前記第一コア型が前記バインディングポスト密封キャップから離れた後、前記第二コア型を型開き方向に沿って前記バインディングポスト密封キャップから離脱させること、を含むことを特徴とする、バインディングポスト密封キャップの成形方法。
【請求項2】
前記成形ポストの軸線は、連接する成形用基台部端面に垂直であることを特徴とする、請求項
1に記載のバインディングポスト密封キャップの成形方法。
【請求項3】
前記差込空間成形ブロックにおいて、前記通し穴が貫通する両側面は、前記成形ポストが配置される成形用基台部端面と平行であることを特徴とする、請求項
2に記載のバインディングポスト密封キャップの成形方法。
【請求項4】
前記コア型セットを組み合わせた後、前記第二コア型の差込空間成形ブロック内の前記成形用基台部外にある端面は外端面であり、前記外端面に平行かつ向き合う端面が内端面であり、前記内端面と前記第一コア型の蓋体成形ブロックとの間に隙間があることを特徴とする、請求項
3に記載のバインディングポスト密封キャップの成形方法。
【請求項5】
前記コア型セットを組み合わせる時、前記成形ポストの軸線に沿って投影し、前記成形ポストに成形円弧部及び前記成形円弧部の一側に連結する成形突起部が設けられ、前記成形突起部が前記成形円弧部の半径方向に沿って外向きに突出することを特徴とする、請求項
1に記載のバインディングポスト密封キャップの成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールキャップ分野に関し、特に、バインディングポスト密封キャップ及びその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンプレッサーは、低圧ガスを高圧ガスに変換する装置としてエアコン、冷蔵庫等の冷凍設備で幅広く活用されている。コンプレッサーは、通常頂部にバインディングポストが設けられ、前記バインディングポストを介して外部電源と接続することで、コンプレッサーへの電力供給を実現し、外部電源と接続する時、通常接続端子で前記バインディングポストを挟持することで接続する。前記バインディングポストと前記接続端子との接続部位に水濡れ、浸水等の現象が起きた場合、漏電、短絡等の原因になるため、前記バインディングポストと前記接続端子との接続部位の密封性への要求が高く、前記バインディングポストと前記接続端子と接続部位にバインディングポスト密封キャップを覆設する必要がある。取り付ける時、前記バインディングポスト密封キャップをコンプレッサーのバインディングポスト固定ベースで覆設してコンプレッサーの頂部に固定させる。
【0003】
特許文献1では、バインディングポスト密封キャップ1及び接続端子2が開示されている。
図1を参照し、前記バインディングポスト密封キャップ1は、頂蓋11と、側壁12と、底板13と、側板(図示せず)と、を備え、前記側壁12が前記頂蓋11を取り囲み、一側に開口部が設けられた半包囲空間を形成する。前記底板13は、前記半包囲空間内に設けられ、かつ前記側壁12に固定される。前記接続端子2を収容するため、前記底板13の前記頂蓋11に面する側、前記頂蓋11及び前記側壁12が接続固定領域(図示せず)を形成する。前記バインディングポスト密封キャップ1をコンプレッサーのバインディングポスト固定ベース(図示せず)に固定するため、前記底板
13の前記頂蓋11とは反対側を向く側及び前記側壁12が係合固定領域(図示せず)を形成する。前記接続固定領域において、前記側壁12に前記接続端子2が前記接続固定領域に挿入するための電線ガイド口121が設けられる。前記側板は、前記接続固定領域内に設けられると共に前記頂蓋11と前記底板13との間に固定される。前記底板13に前記接続固定領域と前記係合固定領域を連通用の案内孔131が設けられ、コンプレッサーのバインディングポスト(図示せず)が前記係合固定領域から前記案内孔131を経由して前記接続固定領域に挿入される。前記接続端子2の抜け落ちを防止するため、前記頂蓋11の前記底板
13に面する側面に制限板100が設けられ、前記制限板100は前記電線ガイド口121から前記接続端子2の挿入方向に沿って前記頂蓋11上に延伸している。前記制限板100は、前記底板13に面する板面101と、前記頂蓋11に垂直な垂直面102と、を設ける。前記制限板100の板面101から前記頂蓋11までの距離は、前記接続端子2の挿入方向に沿って徐々に大きくなり、前記制限板100が前記底板13に向けて傾斜する。前記垂直面102は、前記電線ガイド口121から離れた端に位置し、前記頂蓋11と前記板面101との間を連接する。
【0004】
なお、前記バインディングポスト密封キャップ1は、一般的に射出成形技術で製造され、成形金型の影響を受けるため、前記側壁12に前記接続固定領域と該当バインディングポスト密封キャップ外部を連通する補助穴122を設ける必要があり、前記補助穴122が前記電線ガイド口121と向き合う。好ましくは、前記補助穴122の延伸方向は前記垂直面102と互いに垂直である。射出成形の時、2つのコア型は、各々前記電線ガイド口121及び前記補助穴122から挿入されると共に前記垂直面102がある平面をパーティング サーフェスとし、前記垂直面102に垂直な方向を型開き方向として成形され、すなわち、前記バインディングポスト密封キャップ1は、型開き方向が互いに平行な2つのコア型を介して成形を実現する。
【0005】
図2を参照し、前記バインディングポスト密封キャップ1に挿入する接続端子2は、本体21と、弾性係止部22と、対称に配置された2つの接続片23と、を備え、前記本体21に互いに平行な上端面211及び下端面212が設けられる。2つの接続片23は、対向し、かつ前記上端面211と前記下端面212との間を接続すると共にバインディングポストを収容するための空間を形成する。前記弾性係止部22は、弾性材料で製造され、固定端221及び可動端222が設けられ、前記固定端221が前記上端面211に固定され、前記可動端222が前記固定端221を支点として回転することで、前記上端面211に対して接近又は離反する。前記接続端子2が前記バインディングポスト密封キャップ1の接続固定領域に挿入された時、前記下端面212は前記バインディングポスト密封キャップ1の底板13と接し、前記上端面211が前記バインディングポスト密封キャップ1の頂蓋11に向き、前記固定端221が前記電線ガイド口121から離れた側に位置し、前記可動端222が前記電線ガイド口121に近い側に位置する。
【0006】
使用時、前記可動端222が前記垂直面102を通過するまで、前記接続端子2を前記電線ガイド口121から前記バインディングポスト密封キャップ1に挿入し、前記垂直面102が前記可動端222に当接のスナップ式構造で前記接続端子2が前記電線ガイド口121に向かって移動することを規制する。その後前記バインディングポスト密封キャップ1と前記接続端子2を上蓋アセンブリ(図示せず)として組み立て、前記バインディングポスト密封キャップ1の係合固定領域がコンプレッサーのバインディングポストを覆い被せ、前記バインディングポストが2つの接続片23の間に位置する。最後に前記接続固定領域内、前記補助穴122内及び前記バインディングポスト密封キャップ1と前記バインディングポスト固定ベースとの結合部位にシーラントを充填して密封する。
【0007】
上記バインディングポスト密封キャップにより、従来技術中のバインディングポスト密封キャップは、接続端子をバインディングポスト密封キャップから抜け落ちにくくさせるため、接続端子とバインディングポスト密封キャップとの間にスナップ式の構造が設ける必要がある。ただし、従来のスナップ式の構造は、射出成形時に金型コア型が出入りするための補助穴を設ける必要があり、従って、シーラントを充填する時も補助穴内に大量のシーラントを注入する必要がある。シーラントの充填が不足した場合、密封性に一定の影響を与える。なお、傾斜する制限板と接続端子の上端面と角度をなしており、接続端子が抜け落ちやすく、シーラントが完全に充填されていないため、密封性に影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】中国特許番号第201821344926.2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故に、本発明の目的は、補助穴を使用しないバインディングポスト密封キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は、次のとおりである。
【0011】
バインディングポスト密封キャップであって、頂蓋と、側壁と、底板と、側板と、を備え、前記側壁は、前記頂蓋の一側を取り囲んで半包囲空間を形成し、前記底板は前記半包囲空間内に設けられると共に前記側壁に固定され、前記底板の前記頂蓋に面する側、前記頂蓋及び前記側壁が接続固定領域を形成し、前記底板の前記頂蓋とは反対側を向く側および前記側壁が係合固定領域を形成し、前記側板は前記接続固定領域内に設けられると共に前記頂蓋と前記底板との間に固定され、前記底板に前記接続固定領域および前記係合固定領域を連通するための案内孔が設けられ、前記頂蓋の前記接続固定領域にある内側に軸線が前記案内孔の軸線と重なる止まり穴が設けられ、かつ前記案内孔の軸線に沿って投影され、前記止まり穴の横断面形状が前記案内孔の横断面形状と同じである。
【0012】
本発明のバインディングポスト密封キャップは、補助穴を設ける必要がなく、密封性を向上させながら、シーラントの充填量を減らし、コストも削減する。かつ補助穴にシーラントを充填する工程を減らすことで、生産効率の向上に有利になる。
【0013】
さらに、前記頂蓋の前記接続固定領域にある内側面は、前記底板と平行である。接続端子が前記バインディングポスト密封キャップに挿入された後、頂蓋と接続端子との間の隙間が均一になり、シーラントの充填に有利になることから密封性が向上する。
【0014】
さらに、前記接続固定領域の側壁に電線ガイド口が設けられ、前記頂蓋の前記接続固定領域にある内側面に前記底板方向に向けて突起する規制ブロックがさらに設けられ、前記規制ブロックは、前記止まり穴と前記電線ガイド口との間に設けられる。規制ブロックは、接続端子の抜け落ちをさらに防止できる。
【0015】
さらに、接続固定領域に設ける位置決め板を備え、前記位置決め板は、前記頂蓋および前記底板の間を接続し、前記止まり穴が前記位置決め板と前記電線ガイド口との間に位置する。接続端子が前記バインディングポスト密封キャップに挿入された時、位置決め板は、接続端子に突合せて位置決めの役割を果たす。
【0016】
さらに、前記案内孔の軸線は、前記底板に垂直である。
【0017】
さらに、少なくとも2つの互いに平行な側板を備え、隣り合う側板と前記底板及び前記頂蓋との間に差込空間が形成され、各差込空間内に案内孔及び前記案内孔に対向する止まり穴が設けられる。複数の差込空間は複数のバインディングポストの挿入に用いられる。
【0018】
さらに、前記案内孔の軸線に沿って投影し、前記止まり穴に円弧部及び前記円弧部の一側に連結する突起部が設けられ、前記突起部は前記円弧部の半径方向に沿って外向きに突出する。
【0019】
なお、本発明は、以下のステップを含むバインディングポスト密封キャップの成形方法を提供する。すなわち、バインディングポスト密封キャップのキャビ型と前記キャビ型内に設けられたコア型セットとを備える金型を設置するバインディングポスト密封キャップの成形方法であって、以下のステップを含む。
【0020】
第一コア型を設置し、前記第一コア型は、成形用基台部と、成形ポストと、蓋体成形ブロックと、を備え、前記成形ポスト及び前記蓋体成形ブロックが前記成形用基台部の同側端面に設けられ、前記蓋体成形ブロックの高さが前記成形ポストの高さより小さく、前記蓋体成形ブロックが前記成形ポストを三方で取り囲み、前記第一コア型の型開き方向が前記成形ポストの軸線方向と平行である。
【0021】
第二コア型を設置し、前記第二コア型は、差込空間成形ブロックと、前記差込空間成形ブロックを貫通する通し穴と、を備え、前記通し穴の軸線に沿って投影して得られた前記通し穴の横断面形状が前記成形ポストの軸線に沿って投影して得られた前記成形ポストの横断面形状と同じであり、前記第二コア型の型開き方向は前記通し穴の軸線と平行ではない。
【0022】
前記第一コア型の成形ポストを前記第二コア型の通し穴内に挿入してコア型セットを組み合わせ、前記差込空間成形ブロックを前記蓋体成形ブロックと接し、一端面が前記成形用基台部外に延在する。
【0023】
キャビ型を設置し、前記コア型セットを前記キャビ型内に設置してバインディングポスト密封キャップの射出成形を行い、前記成形用基台部と前記差込空間成形ブロックとの間に隙間を形成し、前記成形ポストを前記差込空間成形ブロックの外側に露出させる。
【0024】
前記第一コア型を前記成形ポストの軸線に平行な方向に沿って前記バインディングポスト密封キャップから離脱させる。
【0025】
前記第一コア型が前記バインディングポスト密封キャップから離れた後、前記第二コア型を自分の型開き方向に沿って前記バインディングポスト密封キャップから離脱させる。
【0026】
従来技術と比較して、前記バインディングポスト密封キャップの成形方法は、補助穴を設けることなく、スナップ式の構造を有するバインディングポスト密封キャップの射出成形を実現でき、製造されたバインディングポスト密封キャップは、より高い密封性を有する。
【0027】
さらに、前記成形ポストの軸線は、連接する成形用基台部端面に垂直である。
【0028】
さらに、前記差込空間成形ブロックにおいて、前記通し穴が貫通する両側面は、前記成形ポストが配置される成形用基台部端面と平行である。得られたバインディングポスト密封キャップの頂蓋は、接続端子の端面と平行である。
【0029】
さらに、前記コア型セットを組み合わせた後、前記第二コア型の差込空間成形ブロック内の前記成形用基台部外にある端面は外端面であり、前記外端面に平行かつ向き合う端面が内端面であり、前記内端面と前記第一コア型の蓋体成形ブロックとの間に隙間がある。得られたバインディングポスト密封キャップに位置決め板が設けられる。
【0030】
さらに、コア型セットを組み合わせる時、前記成形ポストの軸線に沿って投影し、前記成形ポストに成形円弧部及び前記成形円弧部の一側に連結する成形突起部が設けられ、前記成形突起部が前記成形円弧部の半径方向に沿って外向きに突出する。
【0031】
本発明をよく理解と実施するため、以下において、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】従来技術におけるバインディングポスト密封キャップの概略断面構造図である。
【
図2】従来技術における接続端子の構造概略図である。
【
図3】本発明におけるバインディングポスト密封キャップの全体構造概略図である。
【
図4】A-A線に沿った本発明におけるバインディングポスト密封キャップの構造断面図である。
【
図5】
図4内のB方向に沿って投影された投影図である。
【
図6】
図3内のA-A線に沿った本発明における上蓋アセンブリの構造断面図である。
【
図7】コンプレッサー内で使用する時本発明の上蓋アセンブリの断面図である。
【
図8】本発明内のバインディングポスト密封キャップの成形に用いられるコア型セットの構造概略図である。
【
図9】本発明内のコア型セットの取り付けを示す図である。
【
図10】A-A線に沿った本発明における金型の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図3乃至
図5を一緒に参照すると、本発明のバインディングポスト密封キャップ1は、頂蓋11と、側壁12と、底板13と、側板14と、を備え、前記側壁12が前記頂蓋11を取り囲み、一側に開口部が設けられた半包囲空間を形成する。前記底板13は、前記半包囲空間内に設けられ、かつ前記側壁12に固定される。接続端子2を収容するため、前記底板13の前記頂蓋11に面する側、前記頂蓋11及び前記側壁12が接続固定領域(図示せず)を形成する。前記バインディングポスト密封キャップ1をコンプレッサーのバインディングポスト固定ベース(図示せず)に固定するため、前記底板
13の前記頂蓋11とは反対側を向く側及び前記側壁12が係合固定領域(図示せず)を形成する。前記接続固定領域において、前記側壁12に前記接続端子2が前記接続固定領域に挿入するための電線ガイド口121が設けられる。前記側板14は、前記接続固定領域内に設けられると共に前記頂蓋11と前記底板13との間に固定される。前記底板13に前記接続固定領域および前記係合固定領域を連通するための案内孔131が設けられ、コンプレッサーのバインディングポスト(図示せず)が前記係合固定領域から前記案内孔131を経由して前記接続固定領域に挿入される。前記頂蓋11の前記接続固定領域にある内側に開口が前記底板13に面する止まり穴111が設けられ、前記止まり穴111と前記案内孔131の軸線が重なり、かつ前記案内孔131の軸線に沿って投影された前記止まり穴111の横断面形状が前記案内孔131の横断面形状と同じである。本実施例において、前記案内孔131の軸線に沿って投影し、前記案内孔131の前記係合固定領域に面する側の開口形状は円形で、前記接続固定領域に面する側の開口の横断面形状が前記止まり穴111の横断面形状と同じであり、前記止まり穴111に円弧部1111及び前記円弧部1111の一側に連結する突起部1112が設けられ、前記突起部1112が前記円弧部1111の半径方向に沿って外向きに突出する。好ましくは、前記突起部1112は、前記電線ガイド口121の方向に突起する。前記バインディングポストは、前記バインディングポスト密封キャップ1に挿入された後、前記バインディングポストが前記止まり穴111内に位置する。好ましくは、前記バインディングポスト及び前記止まり穴111の軸線は、いずれも前記底板13に垂直である。
【0034】
さらに、前記側板14の数は、2つ以上であり、互いが平行な複数の側板14が前記底板13と前記頂蓋11の間を接続し、隣り合う側板14、前記底板13及び前記頂蓋11が差込空間を形成し、各差込空間内に案内孔及び案内孔に対向する止まり穴が設けられることから、前記バインディングポストの数に応じて前記接続固定領域を複数の差込空間に分割することを実現する。本実施例において、前記バインディングポスト固定ベース上のバインディングポストの数は3つで、前記接続固定領域が2つの側板14により3つの差込空間に分割される。従って、各差込空間内に前記止まり穴111及び前記案内孔131が設けられ、すなわち、前記止まり穴111及び前記案内孔131の数がいずれも3つである。
【0035】
さらに、前記接続端子2の上端面211を前記バインディングポスト密封キャップ1とより接させるため、前記頂蓋11の前記接続固定領域にある内側面が前記底板13に平行である。好ましくは、前記頂蓋11から前記底板13までの距離は前記接続端子2の上端面211から下端面212までの距離に等しく、かつ前記可動端222から前記下端面212までの距離よりも小さい。前記接続端子2が前記バインディングポスト密封キャップ1に挿入された後、前記接続端子の上端面211及び下端面212は、各々前記頂蓋11及び前記底板13と接することで前記接続端子2の抜け落ちを防止する。
【0036】
さらに、前記頂蓋11の前記接続固定領域にある内側面に前記底板13に向けて突起する規制ブロック112さらに設けられ、前記規制ブロック112は前記止まり穴111と前記電線ガイド口121との間に位置する。前記接続端子2が前記電線ガイド口121から前記バインディングポスト密封キャップ1に挿入された時、前記接続端子2の弾性係止部22は前記頂蓋11に沿ってスライドし、前記規制ブロック112に到達した時圧縮されて弾性変形し、弾性係止部22は前記規制ブロック112を通過した後に元の形状に戻り、前記規制ブロック112が前記弾性係止部22の可動端222に突き当てることで、前記接続端子2の前記電線ガイド口121方向への移動を制限する。前記可動端222と前記頂蓋11内側面にある規制ブロック112との嵌合を利用してスナップ式の構造を形成し、さらに前記接続端子2の抜け落ちを防止する。
【0037】
さらに、前記接続端子2が挿入された時に前記接続端子2を位置決めするため、前記バインディングポスト密封キャップ1は、位置決め板15をさらに備え、前記位置決め板15が前記頂蓋11と前記底板13との間を接続し、前記止まり穴111が前記位置決め板15と前記電線ガイド口121との間に位置する。前記接続端子2が前記バインディングポスト密封キャップ1に挿入され、かつ前記接続端子2の前記電線ガイド口121に向き合う端の側面が前記位置決め板15に突き当たる時、前記接続端子の固定端221が前記位置決め板15の一側に位置し、前記可動端222が前記止まり穴111内に位置することから、前記接続端子2の位置決めを実現する。
【0038】
図6を参照すると、本発明は、上記のいずれかに記載のバインディングポスト密封キャップ1と、接続端子2と、を備えた上蓋アセンブリ3をさらに提供する。前記接続端子2は、前記バインディングポスト密封キャップ1の電線ガイド口121から前記接続固定領域に挿入され、前記接続端子2の固定端221が前記電線ガイド口121から離れた側に位置し、可動端222が前記電線ガイド口121に近い側に位置する。前記接続端子2の前記電線ガイド口121から離れた側の側面が前記位置決め板15に突き当たるまで、前記接続端子2を前記電線ガイド口121から離れるように押す。前記接続端子2の移動過程で前記弾性係止部
22の可動端222は、前記規制ブロック112を通過して弾性変形し、前記止まり穴111に入った後で元の形状に戻り、前記規制ブロック112が前記弾性係止部22の可動端222に突き当たることから、前記接続端子2の前記電線ガイド口121への移動を制限して、前記接続端子2が前記バインディングポスト密封キャップ1から抜け落ちるのを防止する。
図7を参照すると、前記上蓋アセンブリ3で従来技術のコンプレッサー1000を覆い被せた時、前記バインディングポスト密封キャップ1の係合固定領域開口がコンプレッサー上のバインディングポスト固定ベース1100に面し、前記上蓋アセンブリ3を前記バインディングポスト固定ベース1100上に覆設し、この時前記コンプレッサー1000にあるバインディングポスト1200が前記案内孔131から前記バインディングポスト密封キャップ1の接続固定領域内に挿入され、前記接続端子2の二つの接続片
23にクランプされる。最後に、前記電線ガイド口121及び前記バインディングポスト密封キャップ1と前記バインディングポスト固定ベースの接合部にシーラントを充填して密封を実現する。前記上側面211と前記頂蓋11との間隔は小さいため、少量のシーラントだけで密封を実現できる。前記接続端子2の上側面211と前記頂蓋11との間隔は均一であるため、シーラントが前記接続端子と前記頂蓋11との間に均一に充填されることで、隙間が生じにくく、密封性を高める。
【0039】
上記バインディングポスト密封キャップ1の製造を実現するため、本発明は、バインディングポスト密封キャップの成形方法も提供する。前記バインディングポスト密封キャップの成形方法は、前記バインディングポスト密封キャップ1に補助穴122を設ける必要がない。前記成形方法は、前記バインディングポスト密封キャップ1の案内孔131を利用して型開き方向が互いに平行でない2つのコア型によって実現し、コア型のいずれかの型開き方向が前記案内孔の軸線に平行である。
【0040】
具体的には、
図8乃至
図10を参照すると、本発明のバインディングポスト密封キャップの成形方法は、バインディングポスト密封キャップの金型をセットすることによって実現される。前記金型は、キャビ型(図示せず)と、コア型セット4と、を備え、前記コア型セット4が型開き方向に互いに平行でない第一コア型41と、第二コア型42と、を備える。具体的には、以下のステップを含む。
【0041】
ステップS10:第一コア型41を設置する。前記第一コア型41は、成形用基台部411と、成形ポスト412と、蓋体成形ブロック413と、を備える。前記成形ポスト412は、前記成形用基台部411の第1端面4111に延伸し、前記第一コア型41の型開き方向が前記成形ポスト412の延伸方向に平行である。好ましくは、前記成形ポスト412の軸線は、前記第一端面4111に垂直である。前記蓋体成形ブロック413は、前記第一端面4111に固定された凸ブロックであり、前記成形用基台部411から離れた第二端面4131が前記第一端面4111に平行であり、前記第一端面4111に対する前記蓋体成形ブロック413の高さが前記第一端面4111に対する前記成形ポスト412の高さより小さく、前記蓋体成形ブロック413が前記成形ポスト412を三方で取り囲んでいる。
【0042】
ステップS20:第二コア型42を設置する。前記第二コア型42は、差込空間成形ブロック421と、通し穴422と、を備え、前記第二コア型42の型開き方向が前記通し穴422の軸線に平行ではなく、前記第二コア型42の型開き方向が前記通し穴422の軸線と互いに垂直であることが好ましい。前記差込空間成形ブロック421の延伸方向は、前記接続端子2の挿入方向と同じであることから前記差込空間の成形を実現する。前記通し穴422は、前記差込空間成形ブロック421に設けられた貫通穴であり、前記通し穴422の軸線に沿って投影された前記通し穴422の横断面形状が前記成形ポスト412の軸線に沿って投影して得られた前記成形ポスト412の横断面形状と同じである。好ましくは、前記差込空間成形ブロック421において、前記通し穴422が貫通した第三端面4211および第4端面4212が互いに平行である。さらに、前記第三端面4211及び前記第四端面4212は、いずれも前記第一端面4111と平行である。
【0043】
ステップS30:前記第一コア型41の成形ポスト412を前記第二コア型42の通し穴422に挿入してコア型セット4を組み合わせる。前記差込空間成形ブロック421において、前記第三端面4211と前記第四端面4212との間を接続する4つの端面のうち、3つの端面は、前記蓋体成形ブロック413と接し、残りの1つの端面が前記成形用基台部411の外側に位置し、この端面を外端面4213とする。前記外端面4213は、前記第1端面4111に垂直であることが好ましい。本実施例において、コア型セット4を形成した時、前記成形ポスト412の軸線に沿って投影し、前記成形ポスト412に成形円弧部4121及び前記成形円弧部4121の一側に連結する成形突起部4122が設けられ、前記成形突起部4122が前記成形円弧部4121の半径方向に沿って外向きに突出し、好ましくは前記成形突起部4122が前記外端面4213方向に向けて突出する。
【0044】
ステップS40:前記コア型セット4を合わせるキャビ型5に入れて前記バインディングポスト密封キャップ1の射出成形を行う。ここで、前記キャビ型5の支えにより、前記差込空間成形ブロック421と前記成形用基台部411との間に隙間を形成し、前記成形ポスト412は、前記通し穴422を通して、前記差込空間成形ブロック421の外側に露出し、前記差込空間成形ブロック421において、前記第三端面4211が前記成形用基台部411から離れる。好ましくは、前記第三端面4211から前記第一端面4111までの距離は、前記第二端面4131から前記第一端面4111までの距離に等しい。
【0045】
前記第二コア型42が前記第一コア型41に挿入された後、前記差込空間成形ブロック421、前記成形用基台部411、前記蓋体成形ブロック413及び前記キャビ型5は、前記バインディングポスト密封キャップ1の頂蓋11、前記側壁12及び前記側板14を共同で形成し、前記差込空間成形ブロック421と前記成形用基台部411との間の隙間と前記キャビ型5とが前記底板13を共同で形成する。前記成形ポスト412は、前記成形用基台部411に設けられ、前記差込空間成形ブロック421を通して外部に露出し、すなわち前記成形ポスト412が前記底板13を通して前記頂蓋11に挿入されることから前記底板13及び前記頂蓋11に同軸の案内孔131及び止まり穴111を各々形成する。
【0046】
さらに、ステップS30において、前記コア型セット4を組み合わせた後、前記差込空間成形ブロック421において、前記外端面4213に平行かつ向き合う端面が内端面4214であり、前記通し穴422は前記外端面4213と前記内端面4214との間に位置し、前記内端面4214と前記蓋体成形ブロック413との間に隙間を設けて前記位置決め板15を形成する。
【0047】
本実施例において、前記バインディングポストの数及び位置に応じて対応する成形ポスト412及び差込空間成形ブロック421を設ける。前記成形ポスト412の軸線は、前記端面4111に垂直である。前記コア型セット4を組み合わせた後、前記第三端面4211、前記第四端面4212は、いずれも前記第一端面4111に平行であり、前記内端面4214が前記第一端面4111に垂直である。
【0048】
ステップS50:前記バインディングポスト密封キャップ1は、射出成形された後、前記第一コア型41を前記成形ポスト412の軸線に沿って前記バインディングポスト密封キャップ1から離脱させる。
【0049】
ステップS60:前記第一コア型41は、前記バインディングポスト密封キャップ1から離れた後、前記第二コア型42を前記第一端面4111に平行な方向に沿って前記バインディングポスト密封キャップ1から離脱させ、前記バインディングポスト密封キャップ1の離型を完了する。
【0050】
すなわち、射出成形時、前記第一コア型41と前記第二コア型42の型開き方向は、互いに平行ではない。なお、前記接続端子2の挿入方向と前記バインディングポストの位置関係に基づいて、前記第一コア型41と前記第二コア型42の型開き方向とのなす角は、0度から90度未満の間の任意の値に設定されることで、前記接続端子2が異なる角度で前記バインディングポスト密封キャップ1に挿入されることを実現する。
【0051】
従来技術と比較して、本発明のバインディングポスト密封キャップは、補助穴を設ける必要がなく、密封性を向上させながら、シーラントの充填量を減らし、コストも削減する。かつ補助穴にシーラントを充填する工程を減らすことで、生産効率の向上に有利になる。さらに、本発明の上蓋アセンブリ内の密封キャップの端面は、接続端子と密着し、スナップ式の構造が設けられることで、接続端子を抜け落ちにくくさせる。なお、本発明のバインディングポスト密封キャップの成形方法は、上記バインディングポスト密封キャップの射出成形製造を実現する。
【0052】
上記の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を説明だけであり、説明は比較的具体的かつ詳細であるが、本発明の特許の範囲を限定することを意図したものではないことを理解すべきである。当業者にとって、本発明の技術的思想から逸脱しない限り様々な修正及び改善を行うことができ、当業者により修正及び改善さえる場合も本発明の保護範囲に含まれることを指摘すべきである。
【符号の説明】
【0053】
1 バインディングポスト密封キャップ
2 接続端子
3 上蓋アセンブリ
4 コア型セット
5 キャビ型
11 頂蓋
12 側壁
13 底板
14 側板
15 位置決め板
21 本体
22 弾性係止部
23 接続片
41 第一コア型
42 第二コア型
100 制限板
101 板面101
102 垂直面
111 止まり穴
112 規制ブロック
121 電線ガイド口
122 補助穴122
131 案内孔
211 上端面
212 下端面
221 固定端
222 可動端
411 成形用基台部
412 成形ポスト
413 蓋体成形ブロック
421 差込空間成形ブロック
422 通し穴
1000 コンプレッサー
1110 バインディングポスト固定ベース
1200 バインディングポスト
1111 円弧部
1112 突起部
4111 第一端面
4121 成形円弧部
4122 成形突起部
4131 第二端面
4211 第三端面
4212 第四端面
4213 外端面
4214 内端面