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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】制御ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/20 20090101AFI20240613BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240613BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20240613BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20240613BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20240613BHJP
【FI】
H04W84/20
H04Q9/00 321D
H05B47/16
H05B47/165
H05B47/19
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021575531
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2020066447
(87)【国際公開番号】W WO2020254231
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】19181461.5
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】バイ マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス ヘルマヌス ヨハンネス マリア
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-538506(JP,A)
【文献】特表2018-528680(JP,A)
【文献】国際公開第2018/001762(WO,A1)
【文献】特開平08-088641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H04W 4/00-99/00
H05B 47/165
H05B 47/19
H05B 47/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、
通信サブシステムと、
コントローラと、
を含む、制御デバイスであって、
当該制御デバイスは、最高階層レベルを有する制御デバイスが、ビーコン繰り返し時間ごとに周期的にビーコンメッセージを送信する及び照明制御ネットワーク内の制御ギアにコマンドを送信することが許可されるマスタ制御デバイスとして選出される、照明制御ネットワークに接続するように構成され
前記通信サブシステムは、
ネットワーク上のデバイスに当該制御デバイスの存在を知らせるために、第1の期間内に当該制御デバイス自体に関連するローカル階層レベルに関する情報を含むローカルビーコンメッセージを送信する、及び
前記ネットワーク上の他のデバイスからの潜在的なビーコンメッセージを検出するため前記第1の期間に前記ネットワークを監視する、
ように構成され
前記コントローラは、
前記潜在的なビーコンメッセージが前記第1の期間に前記通信サブシステムによって検出されることに基づいて当該制御デバイスが前記マスタ制御デバイスとして選出されるべきかどうかを評価する、
ように構成され、前記評価は、当該制御デバイスの前記ローカル階層レベルと、検出された前記潜在的なビーコンメッセージに含まれる1つ以上の他の階層レベルとを比較することによって行われ、
前記第1の期間は、当該制御デバイスが前記ネットワークに接続されると開始し、前記第1の期間は、前記ビーコン繰り返し時間よりも長い、制御デバイス。
【請求項2】
前記第1の期間に前記通信サブシステムにより少なくとも1つの他のビーコンメッセージを受信すると、前記コントローラは、前記第1の期間後に、
前記ローカル階層レベル及び階層レベルの第1のセットの中から最高階層レベルを決定し、前記階層レベルの第1のセットは、前記第1の期間に前記少なくとも1つの他のビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する、
ように構成され、
前記ローカル階層レベルが前記第1のセットにおける階層レベルよりも高い場合、
前記コントローラは、当該制御デバイスを前記マスタ制御デバイスとして選出する、及び、前記ローカル階層レベルをマスタ階層レベルとして前記メモリに記憶するように構成され、
前記通信サブシステムは、
前記マスタ制御デバイスとして各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信する、及び
継続的に前記ネットワークを監視する、
ように構成される、請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項3】
前記ローカル階層レベルが前記第1のセットにおけるいずれの階層レベルよりも高くない場合、
前記コントローラは、前記少なくとも1つの他のビーコンメッセージから受ける最高階層レベルを前記メモリに記憶するように構成され、
前記通信サブシステムは、継続的に前記ネットワークを監視するように構成される、請求項2に記載の制御デバイス。
【請求項4】
前記第1の期間に前記通信サブシステムにより他のビーコンメッセージを受信しないと、前記コントローラは、前記第1の期間後に、
当該制御デバイスを前記マスタ制御デバイスとして選出する、及び、前記ローカル階層レベルをマスタ階層レベルとして前記メモリに記憶するように構成され、
前記通信サブシステムは、
前記マスタ制御デバイスとして各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信する、及び
継続的に前記ネットワークを監視する、
ように構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項5】
前記階層レベルに関する情報は、分類番号、階層インデックス、グループインデックス、及びカテゴリインデックスのいずれかである、請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの制御デバイスと、少なくとも1つの制御ギアとを含む照明制御ネットワークシステムであって、最高階層レベルを有する制御デバイスが、ビーコン繰り返し時間ごとに周期的にビーコンメッセージを送信する及び前記少なくとも1つの制御ギアにコマンドを送信することが許可されるマスタ制御デバイスとして選出され、
前記少なくとも1つの制御デバイスは、自身のローカル階層レベルがシステム内の最高階層レベルであることを検出すると、ビーコン繰り返し時間ごとに周期的にビーコンメッセージを送信するためにマスタ制御デバイスとして自身を選出するように構成され、当該ビーコンメッセージは、前記最高階層レベルを含み、
前記マスタ制御デバイスは、前記少なくとも1つの制御ギアにコマンドを送信するように構成され、
前記少なくとも1つの制御ギアは、前記マスタ制御デバイスから受ける前記コマンドを実行するように構成される、照明制御ネットワークシステム。
【請求項7】
最高階層レベルを有する制御デバイスが、ビーコン繰り返し時間ごとに周期的にビーコンメッセージを送信する及び照明制御ネットワーク内の制御ギアにコマンドを送信することが許可されるマスタ制御デバイスとして選出される、照明制御ネットワークに制御デバイスを接続する方法であって、当該方法は、当該制御デバイスが、
ネットワーク上のデバイスに当該制御デバイスの存在を知らせるために、第1の期間内に当該制御デバイス自体に関連するローカル階層レベルに関する情報を含むローカルビーコンメッセージを送信することと、
前記ネットワーク上の他のデバイスからの潜在的なビーコンメッセージを検出するため前記第1の期間に前記ネットワークを監視することと、
前記潜在的なビーコンメッセージが前記第1の期間に検出されることに基づいて当該制御デバイスが前記マスタ制御デバイスとして選出されるべきかどうかを評価することであって、前記評価は、当該制御デバイスの前記ローカル階層レベルと、検出された前記潜在的なビーコンメッセージに含まれる1つ以上の他の階層レベルとを比較することによって行われる、ことと、
を含み、
前記第1の期間は、当該制御デバイスが前記ネットワークに接続されると開始し、前記第1の期間は、前記ビーコン繰り返し時間よりも長い、方法。
【請求項8】
前記第1の期間に少なくとも1つの他のビーコンメッセージを受信すると、当該方法は、前記第1の期間後に、
前記ローカル階層レベル及び階層レベルの第1のセットの中から最高階層レベルを決定することであって、前記階層レベルの第1のセットは、前記第1の期間に前記少なくとも1つの他のビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する、ことと、
前記ローカル階層レベルが前記第1のセットにおける階層レベルよりも高い場合、
当該制御デバイスを前記マスタ制御デバイスとして選出する、及び、前記ローカル階層レベルをマスタ階層レベルとして記憶することと、
前記マスタ制御デバイスとして各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信することと、
継続的に前記ネットワークを監視することと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ローカル階層レベルが前記第1のセットにおけるいずれの階層レベルよりも高くない場合、当該方法は、
前記第1のセットにおける最高階層レベルをマスタ階層レベルとして記憶することと、
継続的に前記ネットワークを監視することと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の期間に他のビーコンメッセージを受信しないと、当該方法は、前記第1の期間後に、
当該制御デバイスを前記マスタ制御デバイスとして選出する、及び、前記ローカル階層レベルをマスタ階層レベルとして記憶することと、
前記マスタ制御デバイスとして各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信することと、
継続的に前記ネットワークを監視することと、
を含む、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
非マスタ制御デバイスとして前記ネットワークに接続された後、当該方法は、
前記ビーコン繰り返し時間の少なくとも2倍の持続時間において少なくとも1つのビーコンメッセージを検出するために前記ネットワークを監視し、少なくとも1つのビーコンメッセージを受信すると、
記憶されたマスタ階層レベル及び階層レベルの第2のセットの中から最高階層レベルを決定することであって、前記階層レベルの第2のセットは、前記ビーコン繰り返し時間の少なくとも2倍の持続時間において前記少なくとも1つのビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する、ことと、
前記記憶されたマスタ階層レベルが前記第2のセットにおける最高階層レベルと同じでない場合、
前記ローカル階層レベルと前記第2のセットにおける最高階層レベルとを比較することと、
前記ローカル階層レベルが前記第2のセットにおける最高階層レベルよりも高い場合、
当該制御デバイスを前記マスタ制御デバイスとして選出する、及び、メモリにおいて、前記マスタ階層レベルを前記ローカル階層レベルに置き換えることと、
前記マスタ制御デバイスとして各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信することと、
前記ローカル階層レベルが前記第2のセットにおけるいずれの階層レベルよりも高くない場合、
前記メモリにおいて、前記マスタ階層レベルを前記第2のセットにおける最高階層レベルに置き換えることと、
を含む、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ビーコン繰り返し時間の少なくとも2倍の持続時間において少なくとも1つのビーコンメッセージを検出しないと、当該方法は、前記少なくとも2倍のビーコン繰り返し時間の後、
当該制御デバイスを前記マスタ制御デバイスとして選出する、及び、前記メモリにおいて、前記マスタ階層レベルを前記ローカル階層レベルに置き換えることと、
前記マスタ制御デバイスとして各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信することと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
マスタ制御デバイスとして前記ネットワークに接続された後、当該方法は、
各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信することと、
2つの隣接するビーコンメッセージ間の各ビーコン繰り返し時間の間隔において前記ネットワークを監視することであって、当該方法は、通信サブシステムにより少なくとも1つの他の制御デバイスからの少なくとも1つの他のビーコンメッセージを受信すると、
記憶されたマスタ階層レベル及び階層レベルの第3のセットの中から最高階層レベルを決定することであって、前記階層レベルの第3のセットは、前記少なくとも1つの他のビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する、ことと、
前記第3のセットにおける最高階層レベルが前記記憶されたマスタ階層レベルよりも高い場合、
周期的にローカルビーコンメッセージを送信することを停止することと、
メモリにおいて、前記マスタ階層レベルを前記第3のセットにおける最高階層レベルに置き換えることと、
を含む、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがコンピュータによって実行された場合、前記コンピュータに請求項7乃至13のいずれか一項に記載の方法を実行させるコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、例えば照明制御のための、制御ネットワークシステムに関する。とりわけ、マルチマスタ制御システムに関連する様々な方法、装置、システム及びコンピュータ可読媒体が本明細書で開示される。
【背景技術】
【0002】
DALI(Digital Addressable Lighting Interface)は、標準通信プロトコルであり、照明制御のためのネットワークベースのシステムである。DALIは、DALIネットワークを形成する照明ドライバ/ギア(DALI:制御ギア)及び照明コントローラ(DALI:制御デバイス)間の通信フローを制御する。DALIネットワークは、電源によって供給されなければならない。DALIシステムは、参照によって組み込まれる、技術規格IEC 62386及びIEC 60929によって規定されている。
【0003】
IoT(Internet of Things)のアプリケーションニーズに応えるために、DALIプロトコルも進化している。新しいDALIセンサレディ(SR:sensor-ready)インターフェースが、DALIアーキテクチャに基づいて構築されている。これは、ノード(センサ)及びSRドライバを接続するためにデジタルインターフェースを使用する。このインターフェースは、ノードに給電し、DALI-2に基づくデジタル双方向通信を可能にしている。診断、エネルギメータリング、センサのためのパワーサプライを従来のように照明器具の外部にではなく、内部に統合することにより、SRインターフェースは、照明器具の設計、製造、設置を簡素化する。さらに、DALI SRプロトコルは、照明制御システムにおいて多様なセンシングデータを採用することにより新世代の照明アプリケーションも充実させる。
【0004】
EP3319377A1は、近隣認識ネットワークで使用されるアンカーマスターAM管理方法をに関する。この方法は、第2のノードによって送信された第1の同期ビーコンフレームを、第1のノードによって受信するステップであって、前記第1の同期ビーコンフレームが、第1のアンカーマスター情報を搬送し、前記第1のアンカーマスター情報が、第1のアンカー・マスター・ランクAMRを含み、前記第1のAMRが、第1の媒体アクセス制御MACアドレス情報を含み、前記第1のノードのアンカーマスター情報が、第2のAMRを含み、前記第2のAMRが、第2のMACアドレス情報を含む、ステップと、前記第1のAMRが前記第2のAMRよりも低く、前記第1のMACアドレス情報が前記第2のMACアドレス情報と同じであり、前記第1のノードのマスターランクMRが前記第1のAMRよりも高い場合に、前記第1のノードによって、前記第1のアンカーマスター情報に従って前記第1のノードのアンカーマスター情報を更新するステップと、前記第1のノードの予め設定されたノードステータスが同期状態である場合に、前記第1のノードによって第2の同期ビーコンフレームを送信するステップ、または、前記第1のノードの予め設定されたノードステータスが非同期状態である場合に、前記第1のノードによって同期ビーコンフレームを送信することをスキップするステップとを含むことにより、過度のエア・インタフェース・リソースが費やされる課題を解決する。
【0005】
US2016150465A1は、第1のディスカバリウィンドウと第2のディスカバリウィンドウとの間の間隔においてディスカバリ信号を送信するための第1の動作を実行することと、電子デバイスの状況に基づいて第1の動作を調整するための第2の動作を実行することとを含む、電子デバイスの方法に関する。
【0006】
US2014313966A1は、近隣認識ネットワーク(NAN)において通信する方法に関する。この方法は、第1のアドレスフィールド、第2のアドレスフィールド、第3のアドレスフィールド、および情報要素のうちの1つまたは複数を備えるNANフレームを生成するステップを含む。この方法はさらに、前記第1のアドレスフィールド、前記第3のアドレスフィールド、および前記情報要素のうちの少なくとも1つにおけるNAN識別子を符号化するステップを含む。この方法はさらに、前記NANフレームを送信するステップを含む。
【0007】
US2015006633A1は、ピアツーピア通信環境を運用する。この環境は、ピアデバイスの1つ以上のクラスタを含み、単一のクラスタ内のデバイスは、(階層の根における)アンカーマスタ及び任意の数の同期マスタの下で論理階層に編成され、他のデバイスは非マスタデバイスである。アンカーマスタによって確立され、階層全体に広められる同期パラメータにより、クラスタのデバイスはランデブーし、ピア及びサービスを発見し、互いに通信することができる。アンカーマスタは、他の階層とのコンフリクトを避けるために同期パラメータを調整してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に鑑みて、本開示は、様々な観点(perspective)での様々なセンサノードからの制御コマンドに関する潜在的なコンフリクトを解決する、制御システム内の1つ以上の制御デバイスの中からマスタ制御デバイスを選択するための方法、装置、システム、コンピュータプログラム及びコンピュータ可読媒体に関する。とりわけ、階層レベルに関連するビーコニングアプローチ(hierarchy level associated beaconing approach)を介してマスタ制御デバイスの選択を容易にする、様々なコンピュータ可読媒体(一時的及び非一時的)、方法及び装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、最大でも1つの制御デバイスが、ビーコン繰り返し時間(beacon repetition time)ごとに周期的にビーコンメッセージを送信する及び照明制御ネットワーク内の制御ギア(control gear)にコマンドを送信することが許可されるマスタ制御デバイスとして選出される、照明制御ネットワークに接続するように構成される制御デバイスであって、当該制御デバイスは、メモリと、ネットワーク上のデバイスに当該制御デバイスの存在を知らせる(announce)ために、第1の期間内に当該制御デバイス自体に関連するローカル階層レベルに関する情報を含むローカルビーコンメッセージを送信する、及び、ネットワーク上の他のデバイスからの潜在的なビーコンメッセージ(potential beacon message)を検出するため第1の期間にネットワークを監視するように構成される、通信サブシステムと、潜在的なビーコンメッセージが第1の期間に通信サブシステムによって検出されることに基づいて当該制御デバイスがマスタ制御デバイスとして選出されるべきかどうかを評価するように構成される、コントローラとを含み、第1の期間は、当該制御デバイスがネットワークに接続されると開始し、第1の期間は、ビーコン繰り返し時間よりも長い、制御デバイスが提供される。
【0010】
一例として、制御ネットワークは照明制御ネットワークであり、より好ましくは、DALIネットワーク、又はDALI-SRネットワークである。ますます多くのセンサが同じ照明器具に接続される可能性があることを考えると、センサの様々な配置(placement)、タイプ、及びケイパビリティ(capability)に応じて、異なる判断が、個々のセンサノードからの入力に基づいてなされることができる。スマート照明制御システムでは、センサノードは、入力デバイスとして、ライトに対する自律的且つ直感的な制御を提供するために照明制御ネットワーク上の制御デバイスに組み込まれることができる。しかしながら、2つ以上の制御デバイスからのあまりに多くの制御、特に異なる制御は、照明システム、又は制御ギアを実施について混乱させ得る。このような状況を回避するため、まず、複数の制御デバイスの中からそれらの機能性又は能力によって優先順位をつけることによって、1つの制御デバイス、又はアプリケーションコントローラだけが、マスタ制御デバイスとして、システムを担当する(take charge of)ことを許可することが必要である。このような機能性及びケイパビリティは、制御デバイスの階層レベルによって識別される。より機能性及びケイパビリティを有する制御デバイスは、より高い階層レベルに割り当てられる。このような関連付けは、デバイスの製造時になされることができ、代替的又は追加的に、ユーザによって(再)設定されることができる。
【0011】
有利なことに、本発明は、制御デバイスのケイパビリティに関連する、ローカル階層レベルをビーコンメッセージに組み込むことを提案する。分散マルチマスタ選択プロシージャを可能にするため、ネットワークに接続するように構成される、各制御デバイスが、自身の階層レベルに関する情報を含むビーコンメッセージを送信することによってネットワーク全体に自身の存在を知らせることが不可欠なステップである。一方、新しい制御デバイスは、ネットワーク内の他の制御デバイスの存在を把握するためにある期間ネットワーク上の通信をリッスンする必要もある。
【0012】
一実施形態では、制御デバイスは、第1の期間に通信サブシステムにより少なくとも1つの他のビーコンメッセージを受信すると、コントローラはさらに、第1の期間後に、ローカル階層レベル及び階層レベルの第1のセットの中から最高階層レベルを決定し、階層レベルの第1のセットは、第1の期間に少なくとも1つの他のビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する、ように構成され、ローカル階層レベルが第1のセットにおける階層レベルよりも高い場合、コントローラはさらに、当該制御デバイスをマスタ制御デバイスとして選出する、及び、ローカル階層レベルをマスタ階層レベルとしてメモリに記憶するように構成され、通信サブシステムはさらに、マスタ制御デバイスとして各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信する、及び、継続的にネットワークを監視するように構成される。
【0013】
ある期間ネットワークを監視することにより、新しい制御デバイスは、当該期間内の少なくとも1つの他のビーコンメッセージの受信に基づいてシステム内の他の制御デバイスの存在についてより知識を得ることができる。マスタ制御デバイスは階層レベルに応じて選出されるので、現在のマスタ制御デバイスの階層レベルと、新しい制御デバイスの階層レベルとを知ることにより、新しい制御デバイス側で、自身が新しいマスタ制御デバイスとなり得るかどうかをローカルに判断されることができる。したがって、システムの観点から、マスタ制御デバイスの選択は、分散的に実施される。
【0014】
別の実施形態では、ローカル階層レベルが第1のセットにおけるいずれの階層レベルよりも高くない場合、コントローラはさらに、少なくとも1つの他のビーコンメッセージから受ける最高階層レベルをメモリに記憶するように構成され、通信サブシステムはさらに、継続的にネットワークを監視するように構成される。
【0015】
制御デバイスは、ネットワーク内の他の制御デバイスよりも高い階層レベルを持たない場合、主にマスタ制御デバイスからの問い合わせに応じてデータを提供するスレーブデバイスとして動作することになる。すべての制御デバイスはホットスワップ可能であるため、制御ネットワークは極めて動的であり得る。現在のマスタ制御デバイスが、後にネットワークから離脱する、又は何らかの不具合(malfunction)を生じることが起こり得る。それゆえ、マスタ制御デバイスとして動作していない、制御デバイスは、マスタ制御デバイスからの問い合わせに応答するため、又は現在のマスタ制御デバイスが離脱した場合の状況に対処するために、ネットワークの監視を継続する必要がある。
【0016】
さらに、第1の期間に通信サブシステムにより他のビーコンメッセージを受信しないと、コントローラは、第1の期間後に、当該制御デバイスをマスタ制御デバイスとして選出する、及び、ローカル階層レベルをマスタ階層レベルとしてメモリに記憶するように構成され、通信サブシステムはさらに、マスタ制御デバイスとして各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信する、及び、継続的にネットワークを監視するように構成されることが開示される。
【0017】
ある期間ネットワークを監視することにより、新しい制御デバイスは、自身がシステム内の唯一の制御デバイスであることを把握する場合、自身をマスタ制御デバイスとし、ネットワークを制御する。
【0018】
有利なことに、第1の期間は、第2の期間よりも長い。第1の期間は、新しい制御デバイスによって、ネットワーク内の他の制御デバイスの存在の概要(overview)を得るために使用され、第2の期間は、マスタ制御デバイスのビーコン繰り返し時間である。この構成は、マスタ制御デバイスと新しい制御デバイスの間等、複数の制御デバイス間のタイミング精度に関する問題を解決するのに役立つ。初期化段階において、新しい制御デバイスは、ビーコン繰り返し時間よりも長い期間ネットワークを監視し、したがって、新しい制御デバイスが、第1の期間が短すぎる場合に自身がネットワーク内の唯一の制御デバイスであると誤解することなく、現在のマスタ制御デバイスから少なくとも一度は周期的なビーコンを受信することを可能にする。しかしながら、第1の期間がビーコン繰り返し期間よりも長くない場合でも、開示されるシステムは、やや効率的ではないが、依然機能することになる。すべての制御デバイスがネットワークを監視するので、新しい制御デバイスが誤って周期的なビーコンを送信し始める場合、より高い階層レベルを有する別の制御デバイスがこの問題に気付き、新しい制御デバイスを却下する(overrule)別のビーコンを送信することになる。本発明の利点は、このような競合が動的且つ自動的に対処されることである。斯くして、上記のタイミング制約を満たす方法は有利である。
【0019】
制御デバイスに関連する、階層レベルに関する情報は、分類番号(classification number)、階層インデックス(hierarchy index)、グループインデックス(group index)、及びカテゴリインデックス(category index)のいずれかである。
【0020】
異なる分類/階層レベルは、例えば、シンプルな光センサ、存在検出光センサ、RFインターフェース又はGPSケイパビリティを有するマルチセンサ、スーパーマスタ(super master)等からDALI制御デバイス組織の全体構造を作ることができる。制御デバイスの機能性又はケイパビリティを関連する階層レベルで示すことにより、複数の候補の中からのマスタ制御デバイスの選択はより直接的(straightforward)になる。さらに、このような照明制御ネットワーク上の一般的に制限されたデータレートを考えると、制御デバイスを区別するための非常に効率的なやり方でもある。
【0021】
一実施形態では、照明制御ネットワークシステムは、本発明による少なくとも1つの制御デバイスと、少なくとも1つの制御ギアとを含み、最大でも1つの制御デバイスが、ビーコン繰り返し時間ごとに周期的にビーコンメッセージを送信する及び少なくとも1つの制御ギアにコマンドを送信することが許可されるマスタ制御デバイスとして選出され、少なくとも1つの制御デバイスは、自身のローカル階層レベルがシステム内の最高階層レベルであることを検出すると、ビーコン繰り返し時間ごとに周期的にビーコンメッセージを送信するためにマスタ制御デバイスとして自身を選出するように構成され、ビーコンメッセージは、最高階層レベルを含み、マスタ制御デバイスはさらに、少なくとも1つの制御ギアにコマンドを送信するように構成され、少なくとも1つの制御ギアは、マスタ制御デバイスから受けるコマンドを実行するように構成される。
【0022】
例えば異なる制御デバイスでの異なる測定及び検出に関する、制御コマンド及び/又はネットワーク通信のコンフリクトを避けるために、一度に1つのマスタ制御デバイスのみがシステムを支配する(take charge)のを許可することが重要である。すべての制御デバイスは、接続された後ネットワークを継続的にリッスンするので、マスタ制御デバイスは、常にネットワーク内の他の制御デバイスからのセンシングデータを問合せ、ローカル入力デバイス、又はセンサからのデータだけでなく、ネットワーク内の他の制御デバイスに展開される入力デバイスからのデータに基づいて照明制御判断をなすことができるという利点がある。このようにして、システムは、マルチセンサ展開(multi-sensor deployment)の利点を生かすことができる。
【0023】
本発明の別の態様は、最大でも1つの制御デバイスが、ビーコン繰り返し時間ごとに周期的にビーコンメッセージを送信する及び照明制御ネットワーク内の制御ギアにコマンドを送信することが許可されるマスタ制御デバイスとして選出される、制御ネットワークに照明制御デバイスを接続する方法であって、当該方法は、制御デバイスが、ネットワーク上のデバイスに当該制御デバイスの存在を知らせるために、第1の期間内に当該制御デバイス自体に関連するローカル階層レベルに関する情報を含むローカルビーコンメッセージを送信することと、ネットワーク上の他のデバイスからの潜在的なビーコンメッセージを検出するため第1の期間にネットワークを監視することと、潜在的なビーコンメッセージが第1の期間に検出されることに基づいて当該制御デバイスがマスタ制御デバイスとして選出されるべきかどうかを評価することとを含み、第1の期間は、当該制御デバイスがネットワークに接続されると開始し、第1の期間は、ビーコン繰り返し時間よりも長い、方法である。
【0024】
一実施形態では、第1の期間に少なくとも1つの他のビーコンメッセージを受信すると、当該方法はさらに、第1の期間後に、ローカル階層レベル及び階層レベルの第1のセットの中から最高階層レベルを決定することであって、階層レベルの第1のセットは、第1の期間に少なくとも1つの他のビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する、ことと、ローカル階層レベルが第1のセットにおける階層レベルよりも高い場合、当該制御デバイスをマスタ制御デバイスとして選出する、及び、ローカル階層レベルをマスタ階層レベルとして記憶することと、マスタ制御デバイスとして各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信することと、継続的にネットワークを監視することとを含む。
【0025】
別の実施形態では、ローカル階層レベルが第1のセットにおけるいずれの階層レベルよりも高くない場合、当該方法はさらに、第1のセットにおける最高階層レベルをマスタ階層レベルとして記憶することと、継続的にネットワークを監視することとを含む。
【0026】
方法の別の例では、第1の期間に他のビーコンメッセージを受信しないと、当該方法はさらに、第1の期間後に、当該制御デバイスをマスタ制御デバイスとして選出する、及び、ローカル階層レベルをマスタ階層レベルとして記憶することと、マスタ制御デバイスとして各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信することと、継続的にネットワークを監視することとを含む。
【0027】
一実施形態では、非マスタ制御デバイスとしてネットワークに接続された後、当該方法はさらに、ビーコン繰り返し時間の少なくとも2倍の持続時間に少なくとも1つのビーコンメッセージを検出するためにネットワークを監視し、少なくとも1つのビーコンメッセージを受信すると、記憶されたマスタ階層レベル及び階層レベルの第2のセットの中から最高階層レベルを決定することであって、階層レベルの第2のセットは、ビーコン繰り返し時間の少なくとも2倍の持続時間において少なくとも1つのビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する、ことと、記憶されたマスタ階層レベルが第2のセットにおける最高階層レベルと同じでない場合、ローカル階層レベルと第2のセットにおける最高階層レベルとを比較することと、ローカル階層レベルが第2のセットにおける最高階層レベルよりも高い場合、当該制御デバイスをマスタ制御デバイスとして選出する、及び、メモリにおいて、マスタ階層レベルをローカル階層レベルに置き換えることと、マスタ制御デバイスとして各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信することと、ローカル階層レベルが第2のセットにおけるいずれの階層レベルよりも高くない場合、メモリにおいて、マスタ階層レベルを第2のセットにおける最高階層レベルに置き換えることとを含む。
【0028】
初期化段階において、新しい制御デバイスは、自身がシステム内の最高階層レベルを持たないと結論付ける場合、非マスタ制御デバイスとして接続されることになる。すべての制御デバイスはホットスワップ可能であることを考えると、接続された後、非マスタ制御デバイスは、現在のマスタ制御デバイスが依然ネットワーク上でビーコニングしているかどうか、及び/又はより高い階層レベルを有する新しいデバイスが接続されるかどうかを確認するためにネットワークの監視を継続することになる。非マスタ制御デバイスは、このような新しい状況に応じて対応することになり、斯くして、マスタ制御デバイスは、動的に選出されることができる。
【0029】
別の例では、ビーコン繰り返し時間の少なくとも2倍の持続時間において少なくとも1つのビーコンメッセージを検出しないと、当該方法はさらに、少なくとも2倍のビーコン繰り返し時間の後、当該制御デバイスをマスタ制御デバイスとして選出する、及び、メモリにおいて、マスタ階層レベルをローカル階層レベルに置き換えることと、マスタ制御デバイスとして各第2の期間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信することとを含む。
【0030】
非マスタ制御デバイスは、現在のマスタ制御デバイスがネットワーク内でもはやアクティブではないと結論付け、予め定められた監視又は評価期間において他のビーコンメッセージを受信しない場合、マスタ制御デバイスの役割を担うことになる。無論、代替的なアプローチは、非マスタ制御デバイスが、メッセージが通信層等の下位層でネットワーク内の何らかのコンフリクトに起因して失われたのかを確認するために、ビーコンメッセージの非検出の際にまず自身の予め定められた監視又は評価期間を延長することである。その後、非マスタ制御デバイスは、依然このような周期的なビーコンを検出しない場合、マスタ制御デバイスの役割を担うことになる。
【0031】
システム内に2つ以上の非マスタ制御デバイスがあり、旧マスタ制御デバイスで不具合を検出すると、同様に動作し、マスタ制御デバイスとして動作することを試みる場合も問題ないであろう。前述したように、開示されるシステムはこの状況に対処することができる。すべての制御デバイスがネットワークを監視し続けるので、ある制御デバイスが誤って周期的なビーコンを送信し始める場合、より高い階層レベルを有するシステム内の別の制御デバイスがこの問題に気付き、先の制御デバイスを却下する別のビーコンを送信することになる。
【0032】
一実施形態では、マスタ制御デバイスとしてネットワークに接続された後、当該方法はさらに、各ビーコン繰り返し時間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信することと、2つの隣接するビーコンメッセージ間の各ビーコン繰り返し時間の間隔(interval)においてネットワークを監視することであって、当該方法はさらに、通信サブシステムにより少なくとも1つの他の制御デバイスからの少なくとも1つの他のビーコンメッセージを受信すると、記憶されたマスタ階層レベル及び階層レベルの第3のセットの中から最高階層レベルを決定することであって、階層レベルの第3のセットは、少なくとも1つの他のビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する、ことと、第3のセットにおける最高階層レベルが記憶されたマスタ階層レベルよりも高い場合、周期的にローカルビーコンメッセージを送信することを停止することと、メモリにおいて、マスタ階層レベルを第3のセットにおける最高階層レベルに置き換えることとを含む。
【0033】
マスタ制御デバイスの動作は、非マスタ制御デバイスと若干異なる。まず、マスタ制御デバイスは、システムに対する自身の制御を知らせるために定期的に周期的なビーコンを送出する必要がある。一方、マスタ制御デバイスは、より高い階層レベル又はより低い階層レベルを有する新しい制御デバイスが接続される場合に備えて各ビーコン間隔(beacon interval)にネットワークを監視することにもなる。より高い階層の新しいデバイスがある場合、現在のマスタ制御デバイスは、周期的なビーコンの送信を停止することにより自身の制御を放棄し、新しいデバイスが、新しい周期的なビーコンを送信することによって引き継ぐことになる。一方、より低い階層レベルの新しいデバイスが接続される場合、マスタ制御デバイスは、その存在及びケイパビリティを認識し、その後マスタ制御デバイスとして当該新しいデバイスと通信することができる。
【0034】
新しいデバイスのための、また、非マスタ制御デバイス又はマスタ制御デバイスとして接続された後の制御デバイスのための開示される方法は、効率的且つ迅速にシステムのダイナミクスを処理するための完全なプロシージャを構築する。有利なことに、上記の制御デバイスは、本明細書で上記に提示されたような方法のステップを実施するように構成されてもよい。
【0035】
本発明はさらに、コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがコンピュータによって実行された場合、コンピュータにマスタ制御デバイスの選出(election)のための方法を実行させるコード手段を含む、コンピュータプログラムで具現化されてもよい。
【0036】
本発明はさらに、コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがコンピュータによって実行された場合、コンピュータに新しいデバイス又は非マスタ若しくはマスタ制御デバイスとしてネットワークに接続された後の制御デバイスとして、制御デバイスの方法を実行させるコード手段を含む、コンピュータプログラムで具現化されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図面中、同様の参照文字は、一般に、異なる図の全体にわたって同じ部分を指す。また、これらの図面は、必ずしも正しい縮尺ではなく、その代わりに、全般的に、本発明の原理を例示することに重点が置かれている。
図1】複数の制御デバイス、制御ギア、パワーサプライ及び主電源を含む制御ネットワークシステムを示す。
図2】制御デバイスの例示的な構成要素を概略的に示す。
図3】関連する階層レベルがメッセージに含まれるマスタ制御デバイスからの周期的なビーコンメッセージを示す。
図4】ネットワークに接続される新しい制御デバイスで実行される方法のフロー図を示す。
図5】非マスタ制御デバイスで実行される方法のフロー図を示す。
図6】マスタ制御デバイスで実行される方法のフロー図を示す。
図7】制御デバイスの状態図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の様々な実施形態が、少なくとも1つの制御デバイス200a、200b、200cと、パワーサプライ310を含む少なくとも1つの制御ギア300と、制御ギア300に接続される主電源320とを含む図1に示される制御ネットワークシステム100に基づいて述べられる。制御デバイスは、制御ネットワークシステム内に展開され、コマンドを生成し、制御ギアは、制御デバイスからのコマンドを実施するように展開される。異なる制御デバイスがシステム内の異なるロケーションに展開され、異なるセンサ及びアクチュエータに接続する可能性があるので、その後異なるコマンドが作成される可能性がある。制御ギア側での制御コマンドのコンフリクトを避けるため、システム内で一度に1つのマスタ制御デバイスのみがアクティブになることを許可し、制御ギアにコマンドを送信することが重要である。他のすべての制御デバイスは、感知データの問い合わせ又は他の性質のコマンド等、マスタ制御デバイスによって開始される通信にのみ応答する。すべての制御デバイスは、ホットスワップ可能であり得るので、いつでも、DALIネットワーク等、制御ネットワークに接続される、又は制御ネットワークから離脱することができる。斯くして、出願人は、マスタ制御デバイス選出メカニズム(master control device election mechanism)を実装することが有益であることを認識し、理解している。
【0039】
上記に鑑みて、本発明の様々な実施形態及び実装形態は、制御ネットワークシステム、好ましくは、照明制御ネットワークシステム、又はDALIネットワークにおける階層レベルを組み込んだビーコニングプロシージャ(hierarchy level incorporated beaconing procedure)を介した分散マスタ制御デバイス選出(distributed master control device election)を可能にすることに関する。
【0040】
図1は、制御ネットワークシステム100の概要を示している。この図は、2つ以上の制御ギア300がシステム100に接続されることができ、同様に複数の制御デバイス200が接続されることができることを示している。各制御デバイス200a、200b、200cが制御ギア300をどのように制御するかの判断を導き出す可能性があるので、2つ以上の制御デバイス200a、200b、200cの存在の結果、制御ギア300へのコマンドのコンフリクトが生じる可能性がある。照明制御の例では、ある制御デバイスがライトを「オンにする」コマンドを与える一方、別の制御デバイスがライトを「オフにする」コマンドを与える可能性がある。その結果、競合状態及び/又は奇矯な挙動(erratic behavior)が生じる可能性がある。
【0041】
1つのマスタ制御デバイスを選択するために、動的及び異種ネットワークに適した分散及び効率的なマスタ選出プロシージャを容易にする、デバイス、方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ可読媒体の様々な実施形態が開示される。ネットワークの動的特性は、すべてのデバイスがホットスワップ可能であり、場合によっては故障さえするという事実に由来し得る。ネットワークの異種特徴(heterogenous feature)は、極めて異なる機能性及びケイパビリティが異なる制御デバイスによってサポートされる可能性があるという事実に由来する。ある制御デバイス、又はアプリケーションコントローラが、他より多くの処理ケイパビリティを有するということもあり得る。また、ある制御デバイスがより多くの入力デバイス、センサ、又はアクチュエータに接続され、このような補助デバイスが当該制御デバイスの機能性を拡張するということもあり得る。
【0042】
図2は、制御デバイスの例示的な構成要素を概略的に示している。図に示される非常に基本的な構成として、制御デバイス200は、コントローラ210と、メモリ220と、通信サブシステム230とを含む。通信サブシステム230はさらに、トランスミッタ及びレシーバペア、又は統合トランシーバを含んでもよい。制御ネットワークのタイプに応じて、DALIバスの場合、制御デバイスはさらに、バスに接続するための物理的インターフェース、及び任意選択的にバスパワーサプライを含んでもよい。前述のように、制御デバイスは、制御デバイスが判断を下し、制御ギアにコマンドを送信することを可能にするために制御ギアにデータを提供することができる、1つ以上のセンサ、又は他の入力デバイスと結合されてもよい。
【0043】
ここで図3を参照すると、制御ネットワークに接続するように構成される新しい制御デバイスについて、初期化段階において、通信サブシステムは、第1の期間内にネットワーク110上の他のデバイスに自身を知らせるために制御デバイスに関連するローカル階層レベル410に関する情報を含むビーコンメッセージを送信するように構成される。また、通信サブシステムは、ネットワーク上の他の制御デバイスの存在、特にこれらデバイスの階層レベルの概要(overview)を獲得するために第1の期間にネットワークを監視する。このようにして、新しい制御デバイスは、システムを担当するマスタ制御デバイスとして資格があるか否かの評価をローカルに行うことができる。
【0044】
マスタ制御デバイスとして、これは、システム内の他の制御デバイスからのデータを問い合わせることができ、また、問い合わせたデータをローカルセンサ、アクチュエータ、入力デバイスからのデータと組み合わせ、データを処理し、システム内の制御ギアへのコマンドを生成することができる。図3は、関連する階層レベル410がメッセージ400に含まれるマスタ制御デバイスからの周期的なビーコンメッセージ400を示している。このようなビーコンメッセージは、第2の期間420ごとに、すなわちビーコン繰り返し時間ごとに繰り返される。
【0045】
階層レベルは、制御デバイスの機能性及びケイパビリティを示し、分類番号、階層インデックス、グループインデックス、及びカテゴリインデックスのいずれかであることができる。階層レベルは、製造時に制御デバイスに割り当てることができ、また、使用時にユーザによって割り当てられること、及び後で異なるユーザシナリオ又は異なるコンフィギュレーションで更新されることもできる。一例では、制御デバイスの階層レベルは、該制御デバイスに結合されるセンサ又は入力デバイスのタイプに関する情報から成る。別の例では、階層レベルは、デバイスの処理ケイパビリティ又はメモリサイズを示す。それゆえ、より高い階層レベルは、より強力な及び/又は能力の高い制御デバイスであることも示し、当該制御デバイスは、マスタ制御デバイスとしてより適切な候補にもなる。
【0046】
システム内で最も高い階層レベルを有する制御デバイスは、システムに対する自身の制御を知らせるためにこのような周期的なメッセージを定期的にブロードキャストすることが想定される。周期的なビーコンに最高階層レベルを組み込むことにより、複数の制御デバイスの中でどのデバイスがマスタ制御デバイスとなれるかに関する混乱が解消される。したがって、矛盾したコマンドが制御ギアによって受信される状況が低減される。
【0047】
2つ以上の制御デバイスからの同時送信に起因する衝突は、本発明では考慮されない。なぜなら、物理(PHY)層又はメディアアクセス制御(MAC)層等、制御ネットワークの通信層は、典型的には、衝突回避のためのメカニズムを提供するからである。例えば、DALI規格IEC 62386-101では、衝突回避、衝突検出、及び衝突回復メカニズムが、フォワードフレームを送信するマルチマスタトランスミッタの動作方法において定義されている。CANでは、データ伝送は、競合解決のロスレスビット単位アービトレーション方法を用いる。無線制御ネットワークでは、LBT(listen-before-talk)又は搬送波感知多重アクセス(CSMA:carrier-sense multiple access)がよく用いられる。それゆえ、PHY層又はMAC層より上の観点からシステムに取り組む、開示される発明ではメッセージ間の衝突を考慮する必要はない。それゆえ、図3では、周期的なビーコンメッセージ400は、一定の間隔420、第2の期間又はビーコン繰り返し時間で図示されているが、マスタ制御デバイスがこのような周期的なビーコンを送信する時点に小さな変動(variation)が存在し得る。このような小さな変動は、衝突回避のために制御ネットワークの通信層によって行われる決定から生じる可能性がある。
【0048】
図4は、ネットワークに接続される新しい制御デバイスで実行される方法500のフロー図を示している。ステップS501において、新しい制御デバイスは、ネットワーク上の他のデバイスに当該制御デバイスの存在を知らせるために、第1の期間内に当該制御デバイス自体に関連するローカル階層レベルに関する情報を含むローカルビーコンメッセージを送信する。他の制御デバイスの存在に関する知識を得るために、新しい制御デバイスは、ステップS502において、ネットワーク上の他のデバイスからの潜在的なビーコンメッセージを検出するため第1の期間にネットワークを監視する。新しい制御デバイスは、電力制限、節電目標、又は他の何らかの理由に起因して非制御デバイスとして動作することを望む場合、マスタ制御デバイスとして動作するための競争から身を引くことができる。そうでなければ、ステップS503において、新しい制御デバイスは、他の制御デバイスからの第1の期間中の少なくとも1つの他のビーコンメッセージの受信に応じてローカル評価(local assessment)を行うべきである。
【0049】
新しい制御デバイスが少なくとも1つの他のビーコンメッセージを受信する場合、ステップS504において、新しい制御デバイスは、ローカル階層レベル及び階層レベルの第1のセットの中から最高階層レベルを決定することになり、階層レベルの第1のセットは、第1の期間に少なくとも1つの他のビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する。このステップの一実装形態は、新しい制御デバイスがまず、第1の期間に受ける少なくとも1つの他のビーコンメッセージに含まれる最高階層レベルを記録し、その後、ローカル階層レベルとネットワーク上の他の制御デバイスから受けた記録された最高階層レベルとを比較することである。
【0050】
ステップS505でなされる比較が、ローカル階層レベルが他よりも高いことを意味する、肯定的である場合、新しい制御デバイスは、ステップS506でローカル階層レベルをマスタ階層レベルとして記憶する、ステップS507でマスタ制御デバイスとして各第2の期間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信する、及び、ステップS508で継続的にネットワークを監視することにより、自身を新しいマスタ制御デバイスとすることになる。
【0051】
ステップS505でなされる比較が、ローカル階層レベルが他よりも高くないことを意味する、否定的である場合、新しい制御デバイスは、ステップS509で第1のセットにおける最高階層レベルをマスタ階層レベルとして記憶する、及び、ステップS510で継続的にネットワークを監視することにより、自身を非マスタ制御デバイスとすることになる。
【0052】
また、ステップ503において、新しい制御デバイスが、他の制御デバイスから受けるビーコンメッセージがないことを把握するとも起こり得、この場合も、新しい制御デバイスは、S506~S508のステップを経て、マスタ制御デバイスの役割を担い、マスタ制御デバイスとして動作することになる。
【0053】
すべての制御デバイスがホットスワップ可能であることを考えると、このように極めて動的なネットワーク環境に対処するために、マスタ制御デバイス、及び非マスタ制御デバイスとして、ネットワークの監視を継続することが必要である。
【0054】
第1の期間は、第2の期間よりも長いことが好ましい。第1の期間において、新しい制御デバイスは、ネットワーク内の他の制御デバイスの存在の完全且つ正確な概要を得ることを試み、第2の期間は、マスタ制御デバイスのビーコン繰り返し時間である。この構成は、マスタ制御デバイスと新しい制御デバイスとの間の異なるクロックドリフト、また通信層により時折配される衝突回避のための前述の小さな変動等、複数の制御デバイス間のタイミング精度に関する問題を解決するのに役立つ。この制約は本方法をより効率的なものにするが、システムは、第1の期間が実際には第2の期間、すなわち、ビーコン繰り返し時間よりも短い状況にも対処することができる。この場合、新しい制御デバイスがまず誤った判断をし、新しいマスタ制御デバイスとして周期的なビーコンを送信する可能性がある。他のすべての制御デバイスもネットワークを継続的に監視しているので、より高い階層レベルを有する制御デバイスは、新しい制御デバイスを却下する周期的なビーコンメッセージを送信することを試みることにもなる。この場合、短い第1の期間に起因して新しい制御デバイスによってなされる一時的な誤った判断は、システムによって是正されることになる。
【0055】
図5は、制御ネットワークに接続された後の非マスタ制御デバイスで実行される方法600のフロー図を示している。ネットワークの継続的な監視に沿って、ステップS601において、非マスタ制御デバイスは、第2の期間の少なくとも2倍の時間ウィンドウ(time window)又は持続時間において自身の評価を更新することになる。この時間ウィンドウ又は持続時間は、異なる種類のタイミング変動にかかわらず、非マスタ制御デバイスが、システム内に斯様にアクティブな制御デバイスがある場合、マスタ制御デバイスから少なくとも1つのビーコンメッセージを受信することができるはずであるように配される。その後、ステップS602において、非マスタ制御デバイスは、斯かる時間ウィンドウ又は持続時間中の受信に応じた評価を行う。
【0056】
ステップS602において、少なくとも1つのビーコンメッセージが受信される場合、非マスタ制御デバイスは、まず、記憶されたマスタ階層レベル及び階層レベルの第2のセットの中から最高階層レベルを決定することになり、階層レベルの第2のセットは、第2の期間の少なくとも2倍の持続時間において少なくとも1つのビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する。ステップS604において、元のマスタ制御デバイスが依然アクティブであることを意味する、記憶されたマスタ階層レベルが第2のセットにおける最高階層レベルと同じである場合、非マスタ制御デバイスは、次の評価サイクルを続ける。記憶されたマスタ階層レベルが第2のセットにおける最高階層レベルと同じでない場合、現在のマスタ制御デバイスよりもさらに高い階層の新しい制御デバイスが接続されている、又は現在のマスタ制御デバイスがもはやアクティブではなく、別の新しい制御デバイスが接続されていることがあり得る。ステップS605において、非マスタ制御デバイスはさらに、自身のローカル階層レベルと第2のセットにおける最高階層レベルとを比較することになる。ステップS606において、比較が、ローカル階層レベルがより高いことを示す場合、非マスタ制御デバイスは、元のマスタ制御デバイスがもはやアクティブではなく、自身がシステム内で最高階層レベルを有するという結論を導き出すことになる。その後、ステップS607において、非マスタ制御デバイスは、記憶されたマスタ階層レベルを自身のローカル階層レベルに置き換え、ステップS608において、マスタ制御デバイスとして各第2の期間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信することになる。一方、非マスタ制御デバイスが、新しいマスタ制御デバイスが現れることを意味する、ステップS606でローカル階層レベルが第2のセットにおけるいずれの階層レベルよりも高くないことを把握する場合、非マスタ制御デバイスは、ステップS609で示されるように、メモリ内のマスタ階層レベルを第2のセットにおける最高階層レベルに置き換えることによりローカルに記録されたマスタ階層レベルをただ更新することになる。
【0057】
ステップS602において、ビーコンメッセージが受信されない場合、非マスタ制御デバイスは、自身がシステム内の唯一の制御デバイスになったと見なし、S607及びS608と同じステップを経て、新しいマスタ制御デバイスとして動作することになる。
【0058】
同様に、図6は、マスタ制御デバイスで実行される方法700のフロー図を示している。マスタ制御デバイスとして機能する通常のルーチンとして、ステップS701において、マスタ制御デバイスは、自身の最高階層レベル、またシステムに対する制御を知らせるために、各第2の期間後に周期的にローカルビーコンメッセージを送信する。新たにアクセスする制御デバイスに関する最新の情報を得るために、ステップS702において、マスタ制御デバイスは、各第2の期間の間隔において、すなわち2つのビーコン送信間の間隔においてネットワークを監視する。ステップS703において、マスタ制御デバイスは、他のビーコンメッセージを検出する又は検出しない可能性がある。新しい制御デバイスが接続されていないことを意味する、他のビーコンメッセージが検出されない場合、マスタ制御デバイスは依然システム内で最高階層レベルを有し、ステップS701に戻り、自身のルーチン動作を継続することになる。マスタ制御デバイスは、ステップS703で1つ以上のビーコンメッセージを受信する場合、ステップS704においてさらなる評価を行い、記憶されたマスタ階層レベル及び階層レベルの第3のセットの中から最高階層レベルを決定することになり、階層レベルの第3のセットは、少なくとも1つの他のビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する。ステップS705において、マスタ制御デバイスは、新たに受信した階層レベルのうちのいずれかが、現在のマスタ階層レベル、すなわち自身のローカル階層レベルよりも高いかどうかを評価する。そうである場合、マスタ制御デバイスは、まずステップS706で周期的にローカルビーコンメッセージを送信することを停止し、ステップS707で、メモリにおいて、マスタ階層レベルを第3のセットにおける最高階層レベルに置き換えることにより自身の制御を放棄することになる。
【0059】
上記で、図4図5及び図6は、別個のプロシージャとして示されている。図4は、ネットワークに接続する新しい制御デバイスに関するものである。図5は、非マスタ制御デバイスとして動作する制御デバイスに関するものである。図6は、マスタ制御デバイスとして動作する制御デバイスに関するものである。これらのプロシージャは、より完全なステートマシンで互いにリンクされることを認識されたい。図4において、S507及びS508は、マスタ制御デバイスとして接続された新しい制御デバイスを結論付け、該制御デバイスは、自身の新しい役割でS701から始まる図6のフローチャートを継続することになる。同様に、S510は、非マスタ制御デバイスとして接続された新しい制御デバイスを結論付け、該制御デバイスは、S601から始まる図5のフローチャートを継続することになる。ステップS608で新しいマスタ制御デバイスとなる新しい評価を行う非マスタ制御デバイスについても同様であり、該新しいマスタ制御デバイスは、ステップS701で継続することになる。その逆に、元のマスタ制御デバイスが自身の制御を放棄し、非マスタ制御デバイスとなる場合、ステップS601がS707の次のステップである。
【0060】
制御ネットワークに接続するように構成される新しい制御デバイスの可能な状態遷移の概要を提供するために、図7は、制御デバイスの状態図を示している。新しい制御デバイス状態(NC:new control device state)、マスタ制御デバイス状態(MC:master control device state)、及び非マスタ制御デバイス状態(NM:non-master control device state)の3つの状態が定義される。ステートマシンは、新しい制御デバイスがネットワークへの接続を得るように構成される、NCの状態から始まる。接続された後、新しい制御デバイスは、このデバイスのローカル階層レベル及び他の共存する制御デバイスの階層レベルに応じてMC状態又はNM状態のいずれかに切り替わる。以下の遷移条件が定義される。
【0061】
・ c1は、新しい制御デバイスがマスタ制御デバイスの役割を担う条件を表す。c1は、第1の期間中の新しい制御デバイスによる他のビーコンメッセージの非受信であり得る。また、c1は、新しい制御デバイスが、第1の期間に少なくとも1つの他のビーコンメッセージを受信するが、新しい制御デバイスのローカル階層レベルが、階層レベルの第1のセットにおける階層レベルより高いことであり得る。階層レベルの第1のセットは、第1の期間に少なくとも1つの他のビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する。
【0062】
・ c2は、新しい制御デバイスが非マスタ制御デバイスの役割を担う条件を表す。この場合、新しい制御デバイスは、第1の期間に少なくとも1つの他のビーコンメッセージを受信し、新しい制御デバイスのローカル階層レベルは、階層レベルの第1のセットにおけるいずれの階層レベルよりも高くない。
【0063】
・ c3は、非マスタ制御デバイスが同じ状態のままを維持する条件を示す。非マスタ制御デバイスは、ビーコン繰り返し時間の少なくとも2倍の持続時間においてネットワークを監視する。c3は、マスタ制御デバイスからの周期的なビーコンが定期的に受信されることであり得る。また、c3は、現在のマスタ制御デバイスよりも高い階層レベルを有する別の新しい制御デバイスがその存在を知らせることであり得る。また、c3は、非マスタ制御デバイスのローカル階層レベルが階層レベルの第2のセットにおけるいずれの階層レベルよりも高くないことであり得る。階層レベルの第2のセットは、第2の期間の少なくとも2倍の持続時間において少なくとも1つのビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する。
【0064】
・ c4は、非マスタ制御デバイスがマスタ制御デバイスに切り替わる条件を示す。c4は、非マスタ制御デバイスが、第2の期間の少なくとも2倍の持続時間において少なくとも1つのビーコンメッセージを検出しないことであり得る。また、c4は、非マスタ制御デバイスが、第2の期間の少なくとも2倍の持続時間において少なくとも1つのビーコンメッセージを検出するが、自身のローカル階層レベルが、階層レベルの第2のセットにおける最高階層レベルよりも高いことであり得る。
【0065】
・ c5は、マスタ制御デバイスが同じ状態のままを維持する条件を示す。c5は、マスタ制御デバイスが、各ビーコン繰り返し時間の間隔において別のビーコンメッセージを検出しないことであり得る。また、c5は、マスタ制御デバイスが、ビーコン繰り返し時間に少なくとも1つの他のビーコンメッセージを検出するが、マスタ制御デバイスのローカル階層レベルが、階層レベルの第3セットにおける最高階層レベルよりも高いことであり得る。階層レベルの第3のセットは、少なくとも1つの他のビーコンメッセージで受ける階層レベルに対応する。
【0066】
・ c6は、マスタ制御デバイスが非マスタ制御デバイスに切り替わる条件を示す。これは、マスタ制御デバイスが、ビーコン繰り返し時間に少なくとも1つの他のビーコンメッセージを検出し、階層レベルの第3のセットにおける最高階層レベルが、マスタ制御デバイスのローカル階層レベルよりも高い場合に発生する。
【0067】
マスタ制御デバイスとして動作することは、周期的なビーコン送信、データ問合せ、処理、コマンドの送信の面で、デバイスのために多くの電力を消費する可能性があり、制御デバイスは、電力制限又は他の理由に起因して非マスタ制御デバイスとして動作することを選択することも起こり得る。これは、制御デバイスが、システム内で最高階層レベルを有するが、周期的なビーコンを送信しないことも意味する。または、元のマスタ制御デバイスが、同様の理由である時点から周期的なビーコンを送信することを停止することもある。マスタ制御デバイスになることを放棄することは、ステップS508及びS510で示されるように、制御デバイスが、チャネルを受動的に監視し、マスタ制御デバイスからの問合せ又は通信を受けると、他の状態に遷移することなく応答することになることも意味する。このような状況は、システムによって自動的に対処され、マスタ制御デバイスがシステムから離脱する又は不具合が生じるのと同様に扱われる。
【0068】
本発明による方法は、コンピュータ実施方法(computer implemented method)としてコンピュータで、又は専用のハードウェアで、又は両方の組み合わせで実施されてもよい。
【0069】
本発明による方法のための実行可能コードは、コンピュータプログラムプロダクトに記憶されてもよい。コンピュータプログラムプロダクトの例としては、メモリデバイス、光記憶デバイス、集積回路、サーバ、オンラインソフトウェア等が挙げられる。好ましくは、コンピュータプログラムプロダクトは、当該プログラムプロダクトがコンピュータで実行される場合に本発明による方法を実行するためのコンピュータ可読媒体に記憶された非一時的プログラムコード手段を含む。
【0070】
好ましい例では、コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムがコンピュータで実行される場合に本発明による方法のステップを実行するように構成されるコンピュータプログラムコード手段を含む。好ましくは、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体に具現化される。
【0071】
方法、システム及びコンピュータ可読媒体(一時的及び非一時的)は、上述の実施形態の選択された態様を実施するために提供されてもよい。
【0072】
用語「コントローラ」は、本明細書では、一般に、数ある機能の中でもとりわけ、1つ以上の光源の動作に関連する様々な装置を述べるために使用される。コントローラは、本明細書で論じられる様々な機能を実行するように、数多くのやり方で(例えば、専用ハードウェアを用いて)実装されることができる。「プロセッサ」は、本明細書で論じられる様々な機能を実行するように、ソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされてもよい、1つ以上のマイクロプロセッサを採用する、コントローラの一例である。コントローラは、プロセッサを用いて、又はプロセッサを用いずに実装されてもよく、また、一部の機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサ、及び関連回路)との組み合わせとして実装されてもよい。本開示の様々な実施形態で採用されてもよいコントローラ構成要素の例としては、限定するものではないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field-programmable gate array)が挙げられる。
【0073】
様々な実装形態では、プロセッサ又はコントローラは、1つ以上の記憶媒体(本明細書では「メモリ」と総称される、例えば、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROM等の、揮発性及び不揮発性のコンピュータメモリ、フロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープなど)に関連付けられてもよい。一部の実装形態では、これらの記憶媒体は、1つ以上のプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行されると、本明細書で論じられる機能の少なくとも一部を実行する、1つ以上のプログラムでエンコードされてもよい。様々な記憶媒体は、プロセッサ又はコントローラ内に固定されてもよく、あるいは、それらの記憶媒体上に記憶されている1つ以上のプログラムが、本明細書で論じられる本発明の様々な態様を実施するために、プロセッサ又はコントローラ内にロードされることができるように、可搬性であってもよい。用語「プログラム」又は「コンピュータプログラム」は、本明細書では、1つ以上のプロセッサ又はコントローラをプログラムするために採用されることが可能な、任意のタイプのコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)を指すように、一般的な意味で使用される。
【0074】
本明細書で使用される用語「ネットワーク」は、任意の2つ以上のデバイス間での、及び/又はネットワークに結合された複数のデバイスの間での、(例えば、デバイス制御、データ記憶、データ交換等のための)情報の転送を容易にする、(コントローラ又はプロセッサを含む)2つ以上のデバイスの任意の相互接続を指す。さらに、本明細書で論じられるデバイスの様々なネットワークは、当該ネットワーク全体にわたる情報転送を容易にするために1つ以上の無線、及び/又は有線/ケーブルリンクを採用してもよい点が、容易に理解されよう。有線バージョンでは、ネットワークは、バス若しくはスタートポロジ、又はこれらの組み合わせで構成されることができる。無線バージョンでは、ネットワークは、よりフレキシブルなトポロジを持つことができ、スター、ツリー、メッシュトポロジ、又はこれらの組み合わせで構成されることができる。照明制御では、DALIがこのようなネットワークベースのシステムであり、元来、技術規格IEC 62386及びIEC 60929によって規定される、DALIバスとして知られている。最近では、DALIネットワークが無線、ラジオ周波数通信を介して通信することを可能にする、DALIの無線拡張(wireless extension to DALI)が利用可能である。
【0075】
不定冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び請求項において使用されるとき、そうではないことが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するように理解されるべきである。
【0076】
本明細書及び請求項において使用されるとき、「又は」は、上記で定義されたような「及び/又は」と同じ意味を有するように理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離する際、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であるとして、すなわち、少なくとも1つを含むが、また、いくつかの要素又は要素のリストのうちの2つ以上を、オプションとして、列挙されていない追加項目も含むとして解釈されるものとする。その反対が明確に示される、「~のうちの1つのみ」若しくは「~のうちの厳密に1つ」、又は請求項で使用される場合の「~から成る」等の用語のみが、いくつかの要素又は要素のリストのうちの厳密に1つを含むことに言及する。一般に、用語「又は」は、本明細書で使用されるとき、「~のいずれか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」、又は「~のうちの厳密に1つ」等の、排他性の用語に先行する場合にのみ、排他的選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが、双方ではない」)を示すとして解釈されるものとする。「~から本質的に成る」は、請求項で使用される場合、特許法の分野で使用される際の、その通常の意味を有するものとする。
【0077】
本明細書及び請求項において使用されるとき、1つ以上の要素のリストを参照する語句「少なくとも1つ」は、その要素のリスト内の要素の任意の1つ以上から選択された、少なくとも1つを意味するが、必ずしも、その要素のリスト内で具体的に列挙されているそれぞれの要素のうちの、少なくとも1つを含むものではなく、その要素のリスト内の要素の、任意の組み合わせを排除するものではないことが理解されるべきである。この定義はまた、語句「少なくとも1つ」が指す要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定されている要素に関連していても関連していなくても、任意選択的に存在してもよいことを許容する。
【0078】
また、そうではないことが明確に示されない限り、2つ以上のステップ又は行為を含む、本明細書で特許請求されるいずれの方法においても、その方法のステップ又は行為の順序は、必ずしも、その方法のステップ又は行為が列挙されている順序に限定されるものではないことも理解されるべきである。また、特許請求の範囲において括弧内に登場する参照符号は、便宜上、提供されているに過ぎず、当該請求項をいかようにも限定するものと解釈されるべきではない。
【0079】
特許請求の範囲においても上記明細書においても、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「関与する」、「保持する」、「~で構成される」等のすべての移行句は、非制限的、すなわち、含むがそれに限定されないことを意味すると理解されるべきである。「~からなる」及び「本質的に~からなる」といった移行句のみが、制限又は半制限移行句である。
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