(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】バタフライバルブのボディ部
(51)【国際特許分類】
F16K 1/22 20060101AFI20240613BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F16K1/22 B
F16K27/02
(21)【出願番号】P 2022000770
(22)【出願日】2022-01-05
(62)【分割の表示】P 2019559368の分割
【原出願日】2019-01-23
【審査請求日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2018-0167205
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0167458
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0167459
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0167460
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0167461
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0048160
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519382787
【氏名又は名称】イ,サン ソン
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,サン ソン
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-188284(JP,U)
【文献】特開2007-192374(JP,A)
【文献】特開2017-032062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00- 1/54
F16K 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バタフライバルブにおいてディスクを囲むボディ部であって、
上部ボディと、
下部ボディと、
を含み、
前記上部ボディと前記下部ボディを結合させると、挿入空間が形成され、
前記ディスクは、前記挿入空間に挿入され、前記上部ボディと前記下部ボディとのうち少なくとも一つは、金属が材質であるフレーム及び前記フレーム上に形成されるプラスチック層を含み、
上部プラスチック層が上部フレームを囲み、下部プラスチック層が下部フレームを囲み、
前記上部フレームと前記下部フレームは分離可能で、前記上部フレームと前記下部フレームの両端にそれぞれ底部が形成され、前記底部により前記上部フレームと前記下部フレームが結合され、
前記上部プラスチック層および前記下部プラスチック層が前記上部フレームと前記下部フレームを囲むことによって、前記上部フレームおよび前記下部フレームの外側面が外部に露出
せず、
前記上部フレーム及び前記下部フレームにはそれぞれ前記バタフライバルブを配管に結合させるためのホールが形成される配管結合部が突出し、固定部材を前記配管と前記フレームの前記ホールに挿入させることによって、前記バタフライバルブが前記配管に結合されることを特徴とするボディ部。
【請求項2】
前記プラスチック層は、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride、PVC)、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリフェニレンサルファイド(Poly Phenylene Sulfide、PPS)、ポリフタルアミド(Polyphthalamide、PPA)、ポリアミド(Polyamide、PA6)、ポリアミド(Polyamide、PA66)、ポリケトン(Polyketone、POK)、又はポリエチレン(Polyethylene、PE)に、ガラス繊維(Glass fiber)を混合することによって形成されることを特徴とする請求項1に記載のボディ部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バタフライバルブ及びこれを製造する方法に係り、より詳しくは、強度を維持しながらも耐腐食性又は耐酸性が向上され、重量が減少され、大量生産が可能なバタフライバルブ及びこれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバタフライバルブは、スチールのみで形成されているため、強度は強いが腐食されやすく、重く、製造単価が高かった。特に、バタフライバルブは精度の高い加工が要求されるが、バタフライバルブがスチールで形成されているため、高精度の加工が難しく、その結果大量生産が不可能であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、強度を維持しながら、耐腐食性又は耐酸性を向上させ、重量が減少され、大量生産が可能なバタフライバルブ及びこれを製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態によるバタフライバルブにおいて、ディスクを囲むボディ部は、上部ボディ及び下部ボディを含み、前記上部ボディと前記下部ボディとを結合させると、前記挿入空間が形成される。ここで、前記ディスクは前記挿入空間に挿入され、前記上部ボディと前記下部ボディとのうち少なくとも一つは、金属が材質であるフレーム及び前記フレーム上に形成されるプラスチック層を含む。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係るバタフライバルブ及びこれを製造する方法は、金属からなるディスクボディと、前記ディスクボディ上に射出成形されて形成されたプラスチック層を有するディスクと、を使用するため、スチールのみで構成されたバタフライバルブと同様の強度を維持しながらも、耐腐食性又は耐酸性を向上させることができる。
【0006】
また、前記バタフライバルブの重さが減少し、成形が容易であるため、大量生産が可能である。もちろん、前記バタフライバルブの高精度の製作も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバタフライバルブの構造を示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るバタフライバルブの分解構造を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るディスクを示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るディスクの一部断面を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る上部ボディ及び下部ボディを示した図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係るディスクボディを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において使用される単数の表現は、文脈上明白に異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「構成される」又は「含む」などの用語は、明細書上に記載された様々な構成要素、又は様々な段階を必ず全て含むものと解釈されてはならず、その一部の構成要素又は一部の段階を含まないこともあり、あるいは追加の構成要素又は段階を更に含むこともあると解釈されるべきである。また、明細書に記載された「~部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェア又はソフトウェアで具現され、あるいはハードウェアとソフトウェアとの結合で具現され得る。
【0009】
本発明は、バルブ、特にバタフライバルブに関するものであり、金属、例えば、スチールのみで構成されるバタフライバルブに比べると、強度と精度を維持しながら、寿命及び耐腐食性などを向上させることができ、製造コストを大幅に下げ、生産性を大幅に向上させながら大量生産が可能である。
【0010】
既存のバタフライバルブは、スチールのみで構成され、その結果強度は高いが高精度の加工が難しいため生産性が大幅に低く、製造コストが高かった。また、バタフライバルブが船舶、水処理装置(淡水化装置、廃水処理装置)などに使用されると、容易に腐食されて寿命が1年もないという問題があった。
【0011】
一方、本発明のバタフライバルブは、金属、例えば、スチール又はアルミニウムなどの軽金属の上にプラスチックを成形して耐腐食性と寿命(10年以上使用可能)を向上させ、製造コストを下げながら重量を大幅に減少させた。
【0012】
もちろん、後述するように、これらの技術は、バタフライバルブに限定されず、全般的なバルブすべてに適用することができる。
以下、本発明の様々な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るバタフライバルブの構造を示した斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係るバタフライバルブの分解構造を示した図であり、
図3は、本発明の一実施形態に係るディスクを示した図である。
図4は、本発明の一実施形態に係るディスクの一部断面を示した図であり、
図5は、本発明の一実施形態に係る上部ボディ及び下部ボディを示した図である。
図6は、本発明の他の実施形態に係るディスクボディを示した図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のバタフライバルブは、ディスク100、ディスク支持部102及びボディ104を含む。実施形態によっては、バタフライバルブは、ディスク支持部102なしにディスク100及びボディ104だけを含むこともできる。
【0015】
ディスク100は、後述するように、金属、例えば、スチール又はアルミニウムなどの軽金属上にプラスチックを連続的に2回射出することによって製造することができ、流体の流れの開閉動作を行う。流体を通過させるときには、ディスク100が、例えば、90度回転して開放され、流体を遮断するときには、ディスク100が、
図1に示したように閉鎖される。
【0016】
ディスク支持部102は、ディスク100を安定して支持する役割を果たし、例えばフッ素樹脂で構成することができる。フッ素樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、(PTFE)、PFA(Perfluoroalkoxy Alkane)又はPVDF(Polyvinylidene fluoride)などを例示することができる。フッ素樹脂は、分子内にフッ素を含有した樹脂を総称するものであって、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性に優れ、摩擦係数が小さく、接着と粘着性がない。
【0017】
ボディ104は、ディスク支持部102を囲み、例えば、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride、PVC)、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリフェニレンサルファイド(Polyphenylene sulfide、PPS)、ポリフタルアミド(Polyphthalamide、PPA)、ポリアミド(Polyamide、PA6)、ポリアミド(Polyamide、PA66)、ポリケトン(Polyketone、POK)、又はポリエチレン(Polyethylene、PE)にガラス繊維(Glass fiber)を混合することによって形成することができる。このようにボディ104を製造すると、ボディ104の強度、耐衝撃性、機械的特性などを向上させることができる。これによる効果に関する詳細な説明は後述する。
【0018】
他の実施形態によれば、ボディ104は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド(PA6)、ポリアミド(PA66)、ポリケトン(POK)又はポリエチレン(PE)に、ガラス繊維及び炭素繊維を混合することによって形成することができる。このようにボディ104を製造すると、ボディ104の強度、耐衝撃性、機械的特性などが向上されることができる。
【0019】
更に他の実施形態によれば、ボディ104は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド(PA6)、ポリアミド(PA66)、ポリケトン(POK)又はポリエチレン(PE)に、ガラス繊維、炭素繊維及びグラファイトを混合することによって形成されることができる。このようにボディ104を製造すると、ボディ104の強度、耐衝撃性、機械的特性などが向上されることができる。
【0020】
以下、本発明のバタフライバルブの構成要素の詳細な構造及び結合関係を詳細に説明する。
図2~
図5に示すように、ディスク100は、開閉部100a、操作部100b、及び固定部100cを含むことができる。
【0021】
開閉部100aは、流体の流れを開閉する部材であって、例えば、円形を有することができる。開閉部100aの構造は、後述する。
操作部100bは、開閉部100aの上端に結合され、上方に突出される。このような操作部100bは、上部ボディ104aの中央部に形成されたホール510を貫通して、
図1に示したように上部ボディ104aの上側に突出される。このような操作部100bは、制御部(図示せず)と結合され、前記制御部の制御によって回転する。結果的に、開閉部100aが回転することによって開閉動作を行う。
【0022】
固定部100cは、下部ボディ104bの中央部に形成されたホール540に挿入され、その結果、ボディ104にディスク100を安定して固定されせることができる。固定部100cは、挿入時に外部に突出しないよう、操作部100bより短い寸法を有することができる。
【0023】
ディスク支持部102は、第1の支持部102a及び第2の支持部102bを含むことができる。
第1の支持部102aは、開閉部100aと同じ形状、例えば、円形を有し、開閉部100aのサイズよりも大きい寸法を有することができる。
【0024】
一実施形態によると、第1の支持部102aには、前面及び後面を貫通する空間(ホール208)が形成され、第1の支持部102aの上端には、周囲全体にわたって溝209が形成されることができる。
【0025】
一実施形態によると、第1の支持部102aの上端中央部には、操作部100bが挿入されるホール200が形成され、下端中央部には、固定部100cが挿入されるホール202が形成されることができる。
【0026】
第2の支持部102bもまた、開閉部100aと同じ形状、例えば、円形を有することができ、上端中央部に開口部204が形成され、下端中央部に開口部が形成されることができ、開口部204及び前記開口部にそれぞれホールが形成されることができる。ここで、開口部204のホールは、第1の支持部102aの上端に形成されたホール200に対応し、下端中央部に形成された開口部のホールは、第1の支持部102aの下端に形成されたホール202に対応して位置することができる。
【0027】
一実施形態によると、第2の支持部102bは、エチレンプロピレンジエンゴム(Ethylene Propylene Diene Monomer、EPDM)、フッ素ゴム(Fluoro Elastomers、FKM)又はシリコーンなどで構成することができる。
【0028】
このような構造において、ディスク100の開閉部100aが第1の支持部102aの空間208に挿入され、第2の支持部102bが第1の支持部102aの上端に形成された溝209に締結されることができる。すなわち、第2の支持部102bは、第1の支持部102aの空間208に挿入されたディスク100の開閉部100aに圧力を加えて開閉部100aが安定して固定されるようにする。
【0029】
一実施形態によると、ディスク100の開閉部100aのサイズは、第1の支持部102aの空間208より少し大きいサイズを有し、開閉部100aの最外殻がプラスチックで構成されて弾性を有するため、開閉部100aが第1の支持部102aの空間208に挿入されることができる。
【0030】
このような構造において、操作部100bは、上部ボディ104aの上端中央部に形成されたホール510を貫通して外部に露出され、固定部100cは、下部ボディ104bの下端中央部に形成されたホール540に挿入されることができる。
【0031】
このとき、操作部100bは、締結部材242及び246により支持部102a及び102b及び上部ボディ104aによって強固に固定され、固定部100cは、締結部材240によって下部ボディ104bに強固に固定されることができる。
ただし、このようなディスク100を固定させて開閉のために回転させる構造は、上述した構造に限定されず、多様に変形されることができる。
【0032】
図5に示すように、上部ボディ104aを考察すると、金属、例えば、スチール又はアルミニウムなどの軽金属からなる上部ベース、及びポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド(PA6)、ポリアミド(PA66)、ポリケトン(POK)、又はポリエチレン(PE)に、ガラス繊維などを混合することによって形成された上部プラスチック層(560)を含むことができる。
【0033】
前記上部ベースは、上部フレーム500、収容部502、ヘッド504、複数の配管結合部506、並びに両側面の底部508a及び508bを含むことができる。
【0034】
上部フレーム500は、枠として、例えば上端及び下端の両方が半円状を有することができ、金属、特に軽金属からなることができる。ここで、上部フレーム500と下部フレーム530とは、ディスク100を支持するディスク支持部102が挿入され得る空間を形成することができる。ディスク支持部102を安定して固定するために、上部フレーム500の下部外側面に溝520が形成され、下部フレーム530の内側面に溝550が形成され得る。
【0035】
上部フレーム500の中央部は、収容部502が上部フレーム500と交差する方向、好ましくは垂直な長さ方向に延長されることができ、金属からなることができる。
【0036】
収容部502には、ホール510が形成され、ディスク100の操作部100bがホール510を貫通して外部に露出されることができる。
ヘッド504は、収容部502の終端に連結され、金属からなり、収容部502より大きい寸法を有することができる。ここで、操作部100bは、ヘッド504上に突出されることができる。
【0037】
配管結合部506は、配管を連結するために使用され、例えば、上部フレーム500から突出されたリブであることができ、金属からなることができる。
一実施形態によると、配管結合部506にはホール512が形成されることができ、バタフライバルブの両側に配管を位置させた後、配管とバタフライバルブとをボルトなどの固定部材を貫通させて締結することによって、バタフライバルブが前記配管に結合されることができる。このとき、前記ボルトは、前記バタフライバルブのうちの配管結合部(506)を貫通することができる。つまり、配管結合部506は、前記バタフライバルブと配管を結合させるために使用される。
【0038】
底部508a及び508bは、上部フレーム500の両端にそれぞれ形成され、下部ボディ104bとの結合のために使用されることができ、金属からなることができる。例えば、各底部508a及び508bに、ねじ挿入部230a及び232aが形成されることができる。
【0039】
上部プラスチック層560は、前記上部ベース上に形成され、例えば、インサート射出成形によって前記上部ベース上に形成されることができる。
一実施形態によると、上部プラスチック層560は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド(PA6)、ポリアミド(PA66)、ポリケトン(POK)、又はポリエチレン(PE)に、ガラス繊維を混合することによって形成されることができる。
【0040】
他の実施形態によると、上部プラスチック層560は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド(PA6)、ポリアミド(PA66)、ポリケトン(POK)、又はポリエチレン(PE)に、ガラス繊維及び炭素繊維、若しくはガラス繊維、炭素繊維、及びグラファイトを混合することによって形成されることができる。
【0041】
更に他の実施形態によると、上部プラスチック層560は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド(PA6)、ポリアミド(PA66)、ポリケトン(POK)、若しくはポリエチレン(PE)に、炭素繊維、又は炭素繊維及びグラファイトを混合することによって形成されることができる。その結果、前記上部ベースの強度、耐衝撃性、機械的特性を向上させることができる。
【0042】
つまり、前記上部ベースは、スチールからなる上部フレーム500の厚さを薄く形成しながらも、上部プラスチック層560にガラス繊維などを混合して全体的な強度をスチールのみで構成された上部ベースと同様に維持することができる。その結果、前記上部ベースは、重量が軽くなったにもかかわらず、強度を維持することができる。
【0043】
図5を参照して下部ボディ104bを詳細に説明すると、下部ボディ104bは、下部ベース及び下部プラスチック層562を含むことができる。ここで、前記下部ベースは、下部フレーム530、収容部532、配管結合部534及び底部536a及び536bを含むことができる。
【0044】
下部フレーム530は、上部フレーム500に対応する形状、例えば、半円状を有することができ、金属、例えば、スチール又はアルミニウムなどの軽金属で構成されることができる。
収容部532は、ディスク100の固定部100cを収容する部分であって、固定部100cが挿入されることができるようにホール540が形成され、金属からなることができる。
【0045】
配管結合部534は、配管結合部506と同じ機能を遂行し、例えば、下部フレーム530から突出されることができ、金属からなることができる。配管結合部534には、ホール542が形成されることができる。
【0046】
底部536a及び536bは、下部フレーム530の両端にそれぞれ形成され、上部ボディ104aとの結合のために使用されることができ、金属からなることができる。例えば、各底部536a及び536bにねじ挿入部234a及び236aが形成されることができる。ねじ(ボルト、220)が、
図2に示したようにねじ挿入部230a、232a、234a及び236aに挿入されることによって、上部ボディ104aと下部ボディ104bとが結合されることができる。
【0047】
下部プラスチック層562は、前記下部ベース上に形成され、例えば、インサート射出成形を通じて前記下部ベース上に形成されることができる。
【0048】
一実施形態によると、下部プラスチック層562は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド(PA6)、ポリアミド(PA66)、ポリケトン(POK)又はポリエチレン(PE)にガラス繊維を混合することによって形成されることができる。
【0049】
他の実施形態によると、下部プラスチック層562は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド(PA6)、ポリアミド(PA66)、ポリケトン(POK)、若しくはポリエチレン(PE)に、ガラス繊維及び炭素繊維、又はガラス繊維、炭素繊維及びグラファイトを混合することによって形成されることができる。
【0050】
更に他の実施形態によると、下部プラスチック層562は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミド(PA6)、ポリアミド(PA66)、ポリケトン(POK)、若しくはポリエチレン(PE)に、炭素繊維、又は炭素繊維とグラファイトを混合することによって形成されることができる。
【0051】
その結果、前記上部ベースの強度、耐衝撃性、機械的特性を向上させることができる。
つまり、前記下部ベースは、スチールからなる薄い下部フレーム530を使用しながらも、下部プラスチック層562にガラス繊維などを混合して全体的な強度をスチールのみで構成された下部ベースと同様に維持させることができる。その結果、前記下部ベースは、重量は軽くなるにもかかわらず強度を維持することができる。
【0052】
以下では、ディスク100の構造を詳細に説明する。
図3及び
図4に示すように、ディスク100の開閉部100aは、ディスクボディ300、第1のプラスチック層302及び第2のプラスチック層304を含むことができる。図面では2つのプラスチック層302と304のみ形成されるものとして示したが、開閉部100aは、3つ以上のプラスチック層を含むこともできる。
【0053】
ディスクボディ300は、ディスク100の基本フレームであって、金属、例えば、スチール又はアルミニウムなどの軽金属で構成されることができる。
一実施形態によると、ディスクボディ300は、
図3に示すように円形の形状を有することができ、少なくとも一つのホール310が形成されることができる。一方、ディスクボディ300は、
図3の構造に制限されず、
図6に示すように円形の形状でありながら内部に多くのスペースを有するフレーム構造300aを有することもできる。
【0054】
第1のプラスチック層302は、射出成形を通じてディスクボディ300上に形成されることができる。このとき、第1のプラスチック層302は、ディスクボディ300全体を覆うことができる。
【0055】
一実施形態によると、第1のプラスチック層302は、高強度プラスチック、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックで構成されることができる。例えば、第1のプラスチック層302は、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを成分としたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物で構成されたり、POLYIMDE、POLYSULFONE、POLY PHENYLENE SULFIDE、POLYAMIDE IMIDE、POLYACRYLATE、POLYETHER SULFONE、POLYETHER ETHER KETONE、POLYETHER IMIDE、LIQUID CRYSTAL POLYESTER、POLYETHER KETONEなど、及びこれらの組合せから構成されたりすることもできる。
【0056】
第2のプラスチック層304は、射出成形を通じて第1のプラスチック層302上に形成されることができる。このとき、第2のプラスチック層304は、第1のプラスチック層302全体を覆うことができ、ディスクボディ300及び第1のプラスチック層302上に形成されたホールを埋めることができる。
【0057】
一実施形態によると、第2のプラスチック層304は、フッ素樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PFA(Perfluoroalkoxy Alkane)、又はPVDF(Polyvinylidene Fluoride)などで構成されることができる。
【0058】
他の実施形態によると、第2のプラスチック層304は、第1のプラスチック層302より低い融点を有するプラスチックからなることができる。例えば、第2のプラスチック層304は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成されることができる。
第1のプラスチック層302と第2のプラスチック層304とは、異なる融点を有するプラスチックからなることができる。
【0059】
一実施形態によると、第2のプラスチック層304を構成する第2のプラスチックの耐腐食性又は耐酸性の特性が、第1のプラスチック層302を構成する第1のプラスチックの耐腐食性又は耐酸性特性より優れ、前記第1のプラスチックの強度特性が、前記第2のプラスチックの強度特性より優れていることができる。すなわち、前記第1のプラスチックは、ディスク100の強度を強化し、前記第2のプラスチックは、流体による腐食又は酸化を防止する機能を遂行することができる。
【0060】
整理すると、ディスク100の開閉部100aは、順次形成されたディスクボディ300、第1のプラスチック層302及び第2のプラスチック層304で構成されることができる。
【0061】
従来のディスクはすべてスチールで構成され、その結果、機械加工で製作された。しかし、このような機械製作時にスチールを所望の形状に高精度に加工するのが難しく、ディスクの生産性が大幅に低下した。その結果、大量生産が不可能であった。もちろん、前記ディスクはスチールで構成されるため強度は高かったが、重量が大きく製造コストが高く、腐食されやすかった。
【0062】
一方、本発明のディスク100は、基本フレームであるディスク本体300のみ金属で形成し、2回の射出成形を通じてディスクボディ300上にプラスチック層の302及び304を形成する。
【0063】
ディスクボディ300は、従来のディスクに比べて薄いので、機械加工をしても所望の形状に高精度に容易に加工することができる。特に、ディスク100の精密な形状を第1のプラスチック層302で実現することができるため、ディスクボディ300を高精度に加工しなくてもよい。したがって、大量生産が可能である。
【0064】
また、プラスチック層302及び304によってディスク100の耐腐食性及び耐酸性が大幅に向上し、強度特性を強化することができる。具体的には、第1のプラスチック層302が、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックで構成されるので、ディスク100は従来のディスクと同様の強度を維持しながら軽量化されることができる。例えば、従来のスチールのみで構成されたバタフライバルブが1kgだとすると、本発明のバタフライバルブは、強度は同様に維持しながら重さは350g程度にすることができる。つまり、大幅な軽量化が可能である。
【0065】
一方、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる第2のプラスチック層304を、第1のプラスチック層302なしに、スチールからなるディスクボディ300上に直接形成することもできるが、この場合、前記金属上に形成されるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の厚さが一定にならないという問題点がある。つまり、高精度のディスク形状を製作することができない。
【0066】
したがって、本発明のバルブの製造方法は、金属上に高精度の形状の製作が容易な高強度プラスチック(例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチック)を使用する。すなわち、前記バルブの製造方法は、金属からなるディスクボディ300上に高強度プラスチックからなる第1のプラスチック層302を形成することによって、高精度の形状を実現することができる。
【0067】
次に、前記バルブの製造方法は、高強度プラスチックからなる第1のプラスチック層302上にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる第2のプラスチック層304を形成することができる。ここで、前記ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、前記高強度プラスチック上に一定の厚さで形成されることができる。
【0068】
要するに、ディスク100の開閉部100aは、既存のディスクと同様に高精度の形状及び加工を維持しながら、生産性を大幅に向上させ、重さを大幅に減少させ、製造コストを大幅に下げることができる。また、前記バタフライバルブの大量生産が可能である。
【0069】
一方、上記においてはディスク100のみについて説明したが、バタフライバルブ以外の他のバルブにおいても、優れた耐腐食性が要求される流体と接触する流体接触部には、ディスク100の構造がすべて適用されることができる。すなわち、前記流体接触部は、金属からなるボディ、前記ボディ上に形成され、高強度プラスチックからなる第1のプラスチック層及び前記第1のプラスチック層上に形成され、フッ素樹脂からなる第2のプラスチック層を含むことができる。
【0070】
以下では、ボディ104のプラスチック層560及び562について詳細に説明する。ただし、プラスチック層560及び562の成分が同一であるため、プラスチック層560のみについて説明する。
一実施形態によると、プラスチック層560は、PPとglass fiberとを混合して構成されることができる。好ましくは、glass fiberは、全体比で0%を超過し40%以下で含有されることができ、PPは、全体比で60%より大きい含有量比を有する。実験結果は、下記表1の通りである。
【0071】
【0072】
表1に示すように、PPとglass fiberとを混合してプラスチック層560を形成する場合は、プラスチック層560の引張強度がglass fiberなしにPPのみで構成されたプラスチック層に比べて高いことを確認することができる。つまり、機械的及び化学的物性が向上されることができる。ただし、glass fiberの含有量比が40%を超える場合には、プラスチック層560を製造するための射出工程の特性が低下して、プラスチック層560を所望の形状に製造するのが困難であった。
【0073】
他の実施形態によると、プラスチック層560は、PPSとglass fiberとを混合して構成されることができる。好ましくは、glass fiberは、全体比で0%を超過し40%以下で含有されることができ、PPSは、全体比で60%より大きい含有量比を有する。実験結果は、下記表2の通りである。
【0074】
【0075】
表2に示すように、PPSとglass fiberとを混合してプラスチック層560を形成する場合は、プラスチック層560の引張強度がglass fiberなしにPPSのみで構成されたプラスチック層に比べて高いことを確認することができる。つまり、機械的及び化学的物性が向上されることができるため、機械的物性を向上させながら軽量及び頑丈にプラスチック層560を形成することができる。ただし、glass fiberの含有量比が40%を超える場合には、プラスチック層560を製造するための射出工程の特性が低下して、プラスチック層560を所望の形状に製造するのが困難であった。
【0076】
他の実施形態によると、プラスチック層560は、PPAとglass fiberとを混合して構成されることができる。好ましくは、glass fiberは、全体比で0%を超過し55%以下で含有されることができ、PPAは、全体比で45%より大きい含有量比を有する。実験結果は、下記表3の通りである。
【0077】
【0078】
表3に示すように、PPAとglass fiberとを混合してプラスチック層560を形成する場合は、プラスチック層560の引張強度がglass fiberなしにPPAのみで構成されたプラスチック層に比べて高いことを確認することができる。つまり、機械的及び化学的物性が向上されることができるため、機械的物性を向上させながら軽量及び頑丈にプラスチック層560を形成することができる。ただし、glass fiberの含有量比が55%を超える場合には、プラスチック層560を製造するための射出工程の特性が低下して、プラスチック層560を所望の形状に製造するのが困難であった。
【0079】
他の実施形態によると、プラスチック層560は、PA(Polyamide、PA6)とglass fiberとを混合して構成されることができる。好ましくは、glass fiberは、全体比で0%を超過し50%以下で含有されることができ、PAは、全体比で50%より大きい含有量比を有する。実験結果は、下記表4の通りである。
【0080】
【0081】
表4に示すように、PAとglass fiberとを混合してプラスチック層560を形成する場合、プラスチック層560の引張強度がglass fiberなしにPAのみで構成されたプラスチック層に比べて高いことを確認することができる。つまり、機械的及び化学的物性が向上されることができるため、機械的物性を向上させながら、軽量及び頑丈にプラスチック層560を形成することができる。ただし、glass fiberの含有量比が50%を超える場合には、プラスチック層560を製造するための射出工程の特性が低下して、プラスチック層560を所望の形状に製造するのが困難であった。
【0082】
他の実施形態によると、プラスチック層560は、PA(Polyamide、PA66)とglass fiberとを混合して構成されることができる。好ましくは、glass fiberは、全体比で0%を超過し50%以下で含有されることができ、PAは、全体比で50%より大きい含有量比を有する。実験結果は、下記表5のとおりである。
【0083】
【0084】
表5に示すように、PAとglass fiberとを混合してプラスチック層560を形成する場合、プラスチック層560の引張強度がglass fiberなしにPAのみで構成されたプラスチック層に比べて高いことを確認することができる。つまり、機械的及び化学的物性が向上されることができるため、機械的物性を向上させながら、軽量及び頑丈にプラスチック層560を形成することができる。ただし、glass fiberの含有量比が50%を超える場合には、プラスチック層560を製造するための射出工程の特性が低下して、プラスチック層560を所望の形状に製造するのが困難であった。
【0085】
他の実施形態によると、プラスチック層560は、POK(Polyketone)とglass fiberとを混合して構成されることができる。好ましくは、glass fiberは、全体比で0%を超過し40%以下で含有されることができ、PAは、全体比で60%より大きい含有量比を有する。実験結果は、下記表6の通りである。
【0086】
【0087】
表6で確認されるように、POKとglass fiberとを混合してプラスチック層560を形成する場合、プラスチック層560の引張強度がglass fiberなしにPOKのみで構成されたプラスチック層に比べて高いことを確認することができる。つまり、機械的及び化学的物性が向上されることができ、機械的物性を向上させながら、軽量及び頑丈にプラスチック層560を形成することができる。ただし、glass fiberの含有量比が40%を超える場合には、プラスチック層560を製造するための射出工程の特性が低下して、プラスチック層560を所望の形状に製造するのが困難であった。
【0088】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲そしてその均等概念から導き出されるすべての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0089】
100 ディスク
100a 開閉部
100b 操作部
100c 固定部
102 ディスク支持部
104 ボディ