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特許7503585情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240613BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20240613BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022031112
(22)【出願日】2022-03-01
(65)【公開番号】P2023127362
(43)【公開日】2023-09-13
【審査請求日】2023-11-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】396025447
【氏名又は名称】株式会社建設システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 政人
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-033448(JP,A)
【文献】特開2014-026394(JP,A)
【文献】特開2018-041177(JP,A)
【文献】特開2015-095122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木関連の工事に関する施工管理を支援する情報処理装置であって、
階層化されたツリー状の工種工事体系から、対象工事についての階層位置を示す工種情報を取得するとともに、前記取得された工種情報に対して第1識別番号を付与し記憶部に記憶する第1取得手段と、
前記対象工事の工種情報に対応する、国または自治体、または地方整備局により定められた施工管理基準から、前記第1識別番号が付与された工種情報に関連する、少なくとも品質管理基準、出来形管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧の何れか一の管理基準を含む帳票を管理項目として取得するとともに、前記取得された管理項目に対して第2識別番号を付与し、前記第2識別番号が付与された管理項目毎の帳票を記憶部に記憶する第2取得手段と、
前記第1識別番号が付与された工種情報と1対1の関係で対応する管理番号を用いて、前記第2識別番号が付与された管理項目と前記第1識別番号が付与された工種情報とを1対多の関係で関連付ける管理手段と、
前記対象工事が含まれる前記階層化されたツリー状の工種工事体系と、前記対象工事の工種情報と、該工種情報に1対多の関係で関連付けされた管理項目の内容とを表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記対象工事の工種情報ごとの見積もり情報を取得する第3取得手段、をさらに備え、
前記管理手段は、前記第1識別番号が付与された工種情報と、前記取得された工種情報ごとの見積もり情報を1対1の関係で関連付けるとともに、
前記表示手段は、前記工種情報ごとの見積もり情報を含めて表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
土木関連の工事に関する施工管理を支援するコンピュータが、
階層化されたツリー状の工種工事体系から、対象工事についての階層位置を示す工種情報を取得するとともに、前記取得された工種情報に対して第1識別番号を付与し記憶する第1取得ステップと、
前記対象工事の工種情報に対応する、国または自治体、または地方整備局により定められた施工管理基準から、前記第1識別番号が付与された工種情報に関連する、少なくとも
品質管理基準、出来形管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧の何れか一の管理基準を含む帳票を管理項目として取得するとともに、前記取得された管理項目に対して第2識別番号を付与し、前記第2識別番号が付与された管理項目毎の帳票を記憶する第2取得ステップと、
前記第1識別番号が付与された工種情報と1対1の関係で対応する管理番号を用いて、前記第2識別番号が付与された管理項目と前記第1識別番号が付与された工種情報とを1対多の関係で関連付ける管理ステップと、
前記対象工事が含まれる前記階層化されたツリー状の工種工事体系と、前記対象工事の工種情報と、該工種情報に1対多の関係で関連付けされた管理項目の内容とを表示する表示ステップと、
を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
前記対象工事の工種情報ごとの見積もり情報を取得する第3取得ステップ、をさらに実行し、
前記管理ステップは、前記第1識別番号が付与された工種情報と、前記取得された工種情報ごとの見積もり情報を1対1の関係で関連付けることをさらに実行し、
前記表示ステップは、前記工種情報ごとの見積もり情報を含めて表示することをさらに実行する、請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
土木関連の工事に関する施工管理を支援するコンピュータに、
階層化されたツリー状の工種工事体系から、対象工事についての階層位置を示す工種情報を取得するとともに、前記取得された工種情報に対して第1識別番号を付与し記憶する第1取得ステップと、
前記対象工事の工種情報に対応する、国または自治体、または地方整備局により定められた施工管理基準から、前記第1識別番号が付与された工種情報に関連する、少なくとも品質管理基準、出来形管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧の何れか一の管理基準を含む帳票を管理項目として取得するとともに、前記取得された管理項目に対して第2識別番号を付与し、前記第2識別番号が付与された管理項目毎の帳票を記憶する第2取得ステップと、
前記第1識別番号が付与された工種情報と1対1の関係で対応する管理番号を用いて、前記第2識別番号が付与された管理項目と前記第1識別番号が付与された工種情報とを1対多の関係で関連付ける管理ステップと、
前記対象工事が含まれる前記階層化されたツリー状の工種工事体系と、前記対象工事の工種情報と、該工種情報に1対多の関係で関連付けされた管理項目の内容とを表示する表示ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
前記対象工事の工種情報ごとの見積もり情報を取得する第3取得ステップ、をさらに実行させ、
前記管理ステップは、前記第1識別番号が付与された工種情報と、前記取得された工種情報ごとの見積もり情報を1対1の関係で関連付けることをさらに実行させ、
前記表示ステップは、前記工種情報ごとの見積もり情報を含めて表示することをさらに実行させる、請求項5に記載のプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、土木関連の工事における施工管理を支援する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路や河川、橋、上下水道等の土木関連の工事における施工管理では、所謂4大管理と称される工程管理、品質管理、原価管理、安全管理が総括的に管理される。例えば、公共の土木関連の工事では、工事の発注者である国や自治体、各地方整備局等が定めた土木工事共通仕様書の施工管理基準等に準拠して施工管理が行われる。このような、施工管理の作業を支援するためのシステムとして特許文献1では、例えば、建築工事における建築工事における工程表の作成を支援する工程表作成支援装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-65552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、土木工事共通仕様書は、国や自治体、地方整備局等毎に独自に定められており、施工管理に係る管理項目は工種ごとに様々である。担当者は、国や自治体、地方整備局等毎に独自に定められた施工管理基準を参照し、対象工事に係る工種ごとの管理項目および内容、試験方法等を調べ上げて正確に把握し、品質や工程、安全性を確保した上で施工管理を行うことが求められる。このため、土木関連の工事においては、施工管理に係る担当者の負担の軽減が課題となっていた。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、土木関連の工事に関する施工管理の負担を軽減する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面における情報処理装置は、土木関連の工事に関する施工管理を支援する情報処理装置であって、階層化されたツリー状の工種工事体系から、対象工事についての階層位置を示す工種情報を取得するとともに、取得された工種情報に対して第1識別番号を付与し記憶部に記憶する第1取得手段と、対象工事の工種情報に対応する施工管理基準から、工種情報に関連する管理項目が記述された帳票を複数に取得するとともに、取得された管理項目に対して第2識別番号を付与し、第2識別番号が付与された管理項目毎の帳票を記憶部に記憶する第2取得手段と、第1識別番号が付与された工種情報と、第2識別番号が付与された管理項目とを1対多の関係で関連付ける管理手段と、対象工事が含まれる前記階層化されたツリー状の工種工事体系と、対象工事の工種情報と、該工種情報に1対多の関係で関連付けされた管理項目の内容とを表示する表示手段と、を備える。
【0007】
これにより、国や自治体、地方整備局等毎に独自に定められた施工管理基準に準拠した、対象工事に係る工種ごとの複数の管理項目の内容を施工管理画面に表示できるため、施工管理に係る管理者の管理負担、作業負担等を軽減することができる。
【0008】
また、管理手段は、工種情報と1対1の関係で対応する管理番号を用いて管理項目を1対多の関係で関連付けるようにしてもよい。また、対象工事の工種情報ごとの見積もり情報を取得する第3取得手段、をさらに備え、管理手段は、第1識別番号が付与された工種
情報と、取得された工種情報ごとの見積もり情報を1対1の関係で関連付けるとともに、表示手段は、工種情報ごとの見積もり情報を含めて表示するようにしてもよい。さらに、工種情報と関連付けされる管理項目には、出来形管理基準、品質管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧が含まれるようにしてもよい。
【0009】
本開示の一側面における情報処理方法は、土木関連の工事に関する施工管理を支援するコンピュータが、階層化されたツリー状の工種工事体系から、対象工事についての階層位置を示す工種情報を取得するとともに、取得された工種情報に対して第1識別番号を付与し記憶する第1取得ステップと、対象工事の工種情報に対応する施工管理基準から、工種情報に関連する管理項目が記述された帳票を複数に取得するとともに、取得された管理項目に対して第2識別番号を付与し、第2識別番号が付与された管理項目毎の帳票を記憶する第2取得ステップと、第1識別番号が付与された工種情報と、第2識別番号が付与された管理項目とを1対多の関係で関連付ける管理ステップと、対象工事が含まれる階層化されたツリー状の工種工事体系と、対象工事の工種情報と、該工種情報に1対多の関係で関連付けされた管理項目の内容とを表示する表示ステップと、を実行する情報処理方法である。また、管理ステップは、工種情報と1対1の関係で対応する管理番号を用いて管理項目を1対多の関係で関連付けることを実行するようにしてもよい。また、対象工事の工種情報ごとの見積もり情報を取得する第3取得ステップをさらに実行し、管理ステップは、第1識別番号が付与された工種情報と、取得された工種情報ごとの見積もり情報を1対1の関係で関連付けることをさらに実行し、表示ステップは、工種情報ごとの見積もり情報を含めて表示することをさらに実行するようにしてもよい。また、工種情報と関連付けされる管理項目には、出来形管理基準、品質管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧が含まれるようにしてもよい。
【0010】
本開示の一側面におけるプログラムは、土木関連の工事に関する施工管理を支援するコンピュータに、階層化されたツリー状の工種工事体系から、対象工事についての階層位置を示す工種情報を取得するとともに、取得された工種情報に対して第1識別番号を付与し記憶部に記憶する第1取得ステップと、対象工事の工種情報に対応する施工管理基準から、工種情報に関連する管理項目が記述された帳票を複数に取得するとともに、取得された管理項目に対して第2識別番号を付与し、第2識別番号が付与された管理項目毎の帳票を記憶部に記憶する第2取得ステップと、第1識別番号が付与された工種情報と、第2識別番号が付与された管理項目とを1対多の関係で関連付ける管理ステップと、対象工事が含まれる前記階層化されたツリー状の工種工事体系と、対象工事の工種情報と、該工種情報に1対多の関係で関連付けされた管理項目の内容とを表示する表示ステップと、を実行させるためのプログラムである。また、管理ステップは、工種情報と1対1の関係で対応する管理番号を用いて管理項目を1対多の関係で関連付けることを実行させるようにしてもよい。また、対象工事の工種情報ごとの見積もり情報を取得する第3取得ステップ、をさらに実行させ、管理ステップは、第1識別番号が付与された工種情報と、取得された工種情報ごとの見積もり情報を1対1の関係で関連付けることをさらに実行させ、表示ステップは、工種情報ごとの見積もり情報を同一画面に含めて表示することをさらに実行させるようにしてもよい。また、工種情報と関連付けされる管理項目には、出来形管理基準、品質管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧が含まれるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、土木関連の工事に関する施工管理の負担を軽減可能な技術が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る支援システムの一例を説明する図である。
図2】工事工種体系ツリーの一例を示す図である。
図3】品質管理基準の一例を示す図である。
図4】出来形管理基準の一例を示す図である。
図5】写真管理基準の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る支援装置の支援処理の一例を説明する図である。
図7】工事設計書の一例を示す図である。
図8】施工管理画面の一例を示す図である。
図9】実施形態に係る支援装置の機能構成の一例を概略的に示す図である。
図10】施工管理に係る支援情報の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】管理者端末に対する支援情報の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。また、以下の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る支援システム1の一例を説明する図である。本実施形態に係る支援システム1は、土木関連の工事(以下、土木工事ともいう)における施工管理を支援する情報処理システムである。本実施形態に係る支援システム1では、国や自治体、地方整備局等毎に独自に定められた施工管理基準に準拠した、対象工事に係る工種ごとの管理項目の詳細(施工内容、満たすべき規定、仕様等)が提供される。
【0015】
図1に例示の支援システム1は、支援装置10と、管理者端末20とを備える。支援装置10および管理者端末20は、ネットワークN1に接続される。ネットワークN1には、管理基準サーバ30が接続される。支援装置10は、管理者端末20および管理基準サーバ30とネットワークN1を通じて通信可能であり、後述する機能を実行可能な情報処理装置である。管理者端末20は、対象工事が行われる施工場所で施工管理者等が所持可能なノートPC、タブレットPC等の可搬型の情報処理端末である。管理基準サーバ30は、対象工事の発注者である国や自治体、地方整備局毎の土木工事共通仕様書の施工管理基準等の情報を格納するデータベースサーバである。管理基準サーバ30には、対象工事に係る工種ごとの管理項目に関連する基準情報が格納される。
【0016】
ネットワークN1は、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網でありWAN(Wide Area Network)やその他の通信網が採用されてもよい。また、ネットワークN1
は、携帯電話等の電話通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網、VPN(Virtual Private Network)等の専用通信網を含んでもよい。なお、図1では、1台の管理基準
サーバ30を例示するが、国や自治体、各地方整備局等の複数の管理基準サーバ30が存在し得る。同様にして1台の管理者端末20が例示されているが、支援装置10による施工管理支援を受ける複数の管理者端末20が存在し得る。
【0017】
本実施形態に係る支援装置10は、接続バスによって相互に接続されたプロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、入出力部104、通信部105を構成要素に含むコンピュータである。主記憶部102および補助記憶部103は、支援装置10が読み取り可能な記録媒体である。上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。なお、管理者端末20、管理基準サーバ30のハードウェア構成は、支援装置10と同等の構成要素で実現されるため、説明が省略される。
【0018】
プロセッサ101は、支援装置10全体の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ101は、制
御部の一例である。プロセッサ101は、例えば、補助記憶部103に記憶されたプログラムを主記憶部102の作業領域に実行可能に展開し、当該プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことで所定の目的に合致した機能を提供する。
【0019】
主記憶部102は、プロセッサ101が実行するプログラム、当該プロセッサが処理するデータ等を記憶する。主記憶部102は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶部103は、可搬記録媒体、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))
を含むシリコンディスク、ソリッドステートドライブ装置、ハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)装置等である。可搬記録媒体は、例えば、USBメモリ、SD
カード等の記録媒体である。補助記憶部103は、各種のプログラムおよび各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部103は、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部103は、主記憶部102を補助する記憶領域として使用され、プロセッサ101が実行するプログラム、プロセッサ101が処理するデータ等を記憶する。補助記憶部103には、例えば、オペレーティングシステム(OS:Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、通信部105介して接続された機器との間でデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。なお、支援装置10は、単一のコンピュータであってもよいし、複数台のコンピュータが連携したものであってもよい。また、補助記憶部103に格納される情報は主記憶部102に格納されてもよく、主記憶部102に格納される情報が補助記憶部103に格納されてもよい。なお、支援装置10で実行される一連の処理については、上述のように、プロセッサ101がプログラムにより実行する。ただし、一連の処理の少なくとも一部はデジタル回路等のハードウェアにより実行させることもできる。
【0020】
入出力部104は、支援装置10に接続される機器との間でデータの入出力を行うインターフェースである。入出力部104には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイスが接続される。入出力部104を介し、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等が受け付けられる。また、入出力部104には、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro luminescence)パネル、有機ELパネル等の表示デバイス、スピーカ等の出力デバイスが接続される。入出力部104を介して、プロセッサ101で処理されるデータや情報、主記憶部102、補助記憶部103に記憶されるデータや情報が出力される。通信部105は、ネットワークN1との通信インターフェースである。通信部105は、ネットワークN1との接続方式に応じて適宜の構成を採用できる。通信部105として、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等が例示される。
【0021】
本実施形態に係る支援システム1では、土木工事共通仕様書で規定される工種工事体系ツリーから選択された工種に基づいて施工管理の支援が行われる。工種工事体系ツリーは、例えば、対象工事における工事内容物毎の施工内容や満たすべき規定、仕様等が明確化されたものであり、工種工事に関する体系がツリー状の複数の体系階層(以下、「レベル」ともいう)として定義される。
【0022】
例えば、工事工種体系ツリーにおいては、最上位階層である「レベル0」として、発注者の予算制度上および事業執行上の区分を中心とした事業区分が定義される。次に、「レベル0」の下階層である「レベル1」では、工事発注ロットおよび発注者を考慮してレベ
ル0を分割した工事区分が定義される。同様にして、「レベル1」の下階層である「レベル2」では、レベル1を構成する要素の内で、一定の構造を持つ部位を施工するための一連作業の総称である工種が定義される。「レベル3」の下階層である「レベル4」では、工事を構成する基本的な単位目的物もしくは単位仮設物であって、単位とともに契約数量が表示される細別が定義される。「レベル4」の下階層である「レベル5」では、レベル4を構成する材料等の客観的な材質・規格、契約上明示する条件等が規格として定義され、下階層の「レベル6」ではレベル4の価格算定上の構成要素等が積算要素として定義される。なお、レベル5の規格は、レベル4と同行に記述され、レベル6の積算要素は、明示されない場合がある。
【0023】
図2は、工事工種体系ツリーの一例を示す図である。図2においては、レベル0の事業区分が道路新設・改築である、レベル4に至る階層化された工事工種体系ツリーが例示される。図2に示すように、レベル1の工事区分として道路改良、レベル2の工種として道路工事、レベル3の種別として掘削工、掘削工(ICT)が定義されている。さらに、レベル4の細別では、掘削工の下階層として、掘削、土砂等運搬、軟弱土等運搬、整地、転石破砕、押土(ルーズ)、積込(ルーズ)、人力積込が定義され、掘削工(ICT)の下階層として、掘削(ICT)、掘削、土砂等運搬、軟弱土等運搬、整地、転石破砕、押土(ルーズ)、積込(ルーズ)、人力積込が定義されている。このような、工事工種体系ツリーを構成する構成要素の組合せ(工種+種別+細別等)により発注される工事(積算)が決定される。なお、破線枠Z1で囲まれた領域に示される識別番号については後述する。
【0024】
施工管理に係る管理項目は、工事工種体系ツリーによって決定された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)ごとに、施工管理基準等に準拠して規定される。例えば、図2に示す、工種;道路土工+種別;掘削工+細別;掘削の組合せに対して管理項目が規定され、工種;道路土工+種別;掘削工+細別;土砂運搬の組合せに対して上記組合せとは異なる管理項目が規定される。このような管理項目の一例として、品質管理基準、出来形管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧等が存在する。
【0025】
図3は、品質管理基準の一例を示す図である。図3に示すように、品質管理基準は発注される工事について、工種および種別の組合せ毎にテーブル形式で規定される。工種および種別の組合せによる品質管理基準には、試験区分、試験項目、試験方法、規格値、試験基準、摘要、試験成績表等による確認といった品質を確保するための項目が関連付けされる。試験区分には、当該試験の必須の有無が記述される。試験項目にはスランプ試験、コンクリート圧縮強度試験、空気量測定といった試験項目名、試験方法には試験項目に対応するJIS規格で定められた試験方法のJIS番号、規格値には試験結果の合否を判定するための基準値が記述される。試験基準には試験を実施する際の条件、摘要には試験についての要点を示す情報、試験成績表等による確認には実施された試験に対する試験成績表等の確認の有無が規定される。なお、破線枠Z2からZ4で囲まれた領域に示される識別番号については後述する。
【0026】
図4は、出来形管理基準の一例を示す図である。出来形管理基準では、出来形と呼ばれる施工が済んだ部分の形状、寸法等を管理する管理基準が規定される。測定された出来形の形状、寸法等は設計値等と対比され出来形管理基準に照らしてどの程度の精度で施工されたかが管理される。出来形管理基準においても、発注される工事について、工種および種別の組合せ毎にテーブル形式で規定される。図4に示すように、盛土補強工、法面整形工、堤防天端工といった工種および種別の組合せに関連付けて、測定項目、規格値、測定基準、測定箇所、摘要等の基準項目が記述される。なお、破線枠Z5からZ7で囲まれた領域に示される識別番号については後述する。
【0027】
図5は、写真管理基準の一例を示す図である。写真管理基準では、発注される工事について、工種および種別の組合せ毎に、当該工種についての仕様が確認できる代表箇所の工事写真による管理が規定される。このような工事写真として、例えば、着手前及び完成写真(既済部分写真等含む)、施工状況写真、安全管理写真、使用材料写真、品質管理写真、出来形管理写真、災害写真、事故写真、その他(公害、環境、補償等)等の分類が例示できる。図5においては、安全管理写真、使用材料写真、品質管理写真に関する写真管理基準による管理項目が示されている。例えば、安全管理に区分されされた写真管理項目では、各種標識類の設置状況、各種保安施設の設置状況、監視員交通整理状況、安全訓練等の実施状況といった撮影項目が規定され、それぞれの撮影項目に関して撮影頻度、提出頻度が規定される。施工管理に係る担当者は、例えば、写真管理基準に規定された撮影頻度で、撮影項目に指定された各種状況を示す写真情報を撮影して管理する。なお、破線枠Z8からZ10で囲まれた領域に示される識別番号については後述する。
【0028】
図6は、本実施形態に係る支援装置10の支援処理の一例を説明する図である。本実施形態に係る支援装置10は、土木工事共通仕様書で規定される工種工事体系ツリー(積算体系ツリー)の工種に基づいて施工管理の支援処理を行う。なお、図6における積算体系ツリーでは、最上位階層のレベル0である事業区分、このレベル0の下階層であるレベル1の工事区分が省略されている。
【0029】
具体的には、図2を用いて説明した工事工種体系ツリーの、レベル1の工事区分からレベル4の細別に至る、階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)のそれぞれに対して、これらの組合せを一意に識別する識別番号(工種ID)を付与する。例えば、図2においては、破線枠Z1に囲まれた領域に示されるように、階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)毎に識別番号を付与する。図6においては、例えば、「道路土工+掘削工+掘削」の組合せには「ID101」が付与されて識別され、「道路土工+掘削工+積込」の組合せには「ID105」が付与されて識別される。また、「道路土工+盛土工+積込」の組合せには「ID109」が付与されて識別される。このような階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)を識別する識別番号(工種ID)は適宜に付与され、少なくとも施工管理に係る上記構成要素の組合せ(工種+種別+細別)が識別可能であればよい。
【0030】
そして、本実施形態に係る支援装置10では、積算体系ツリーに基づいて付与された工種IDに対して、施工管理を支援するための識別番号(管理支援ID)を、1対1の関係で対応付ける。これにより、管理支援IDと、積算体系ツリーで階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)で指定される施工管理に必要な情報との1対1による対応関係が構築できる。例えば、図6に示されるように、工種IDが「ID105」で識別された「道路土工+掘削工+積込」の組合せには「ID2004」の管理支援IDが一意に対応し、工種IDが「ID109」で識別された「道路土工+盛土工+積込」の組合せには、「ID2008」の管理支援IDが一意に対応させることができる。
【0031】
さらに、本実施形態に係る支援装置10では、管理支援IDに1対1で対応付けられた積算体系ツリー上の階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)に対する、施工管理で規定される管理項目情報が対応付けられる。具体的には、図3から図5を用いて説明した品質管理基準、出来形管理基準、写真管理基準の他、安全管理、施工方法、提出書類一覧等の関係する管理項目が、これらの管理項目を一意に識別する識別番号(管理項目ID)が付与されて管理支援IDに対応付けられる。
【0032】
例えば、図3で説明した品質管理基準によって規定される、試験項目や試験方法、規格値、試験基準等の管理項目に対して、破線枠Z2からZ4で囲まれた領域に示されるように識別番号(管理項目ID)が付与されて、管理支援IDに紐付けられる。同様にして、
図4で説明した出来形管理基準によって規定される、工種ごとの測定項目や規格値、測定基準、測定箇所等の管理項目に対して、破線枠Z5からZ7で囲まれた領域に示されるように識別番号(管理項目ID)が付与されて、管理支援IDに紐付けられる。さらに、図5で説明した写真管理基準によって規定される、工事写真の撮影項目や撮影頻度、提出頻度等の写真管理項目に対して、破線枠Z8からZ10で囲まれた領域に示されるように識別番号(管理項目ID)が付与されて、管理支援IDに紐付けられる。対象工事の施工管理に係る安全管理、施工方法、提出書類一覧等の関係する管理項目についても同様である。本実施形態に係る支援装置10では、管理支援IDに対して、品質管理基準、出来形管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧等の関係する管理項目が、1対多の関係で対応付けされる。これにより、管理支援IDによって1対1の関係で関連図けされた、積算体系ツリー上の階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)に対する施工管理に係る全ての管理項目を、管理項目IDを用いて網羅することができる。
【0033】
本実施形態に係る支援装置10では、管理支援IDを介して、積算体系ツリー上の階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)の、それぞれに対する全ての管理項目を提供できるため、施工管理に係る管理負担が軽減できる。
【0034】
なお、国や自治体、各地方整備局等から発注された土木関連の工事では、営業部等を介して対象工事に関する見積もりが行われ、当該見積もりに係る帳票等を発注者に提出することで当該工事が受注される。このような見積もりに係る帳票等は、例えば、工事設計書等として汎用の表計算ソフトを用いて、積算体系ツリー上の階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)毎に内訳が見積もられる。したがって、対象工事に関する見積もり情報と、工種IDとを関連付けることにより、対象工事に係る原価管理が可能になる。
【0035】
図7は、工事設計書の一例を示す図である。図7に示すように、対象工事に係る費用の見積もりが、レベル1の工事区分からレベル4の細別に至る、階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)に対して行われる。図7の破線枠で囲まれた領域Z11からZ19に示されるように、これらのレベル1の工事区分からレベル4の細別に至る、階層化された構成要素の組合せに対して、図6等に示す工種IDを付与し対応付ける。これにより、対象工事に係る費用の見積もりの内訳を管理支援IDに1対1の関係で対応付けることが可能になり、階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)のそれぞれに対する原価管理を包括的に管理することが可能になり、施工管理に係る負担が軽減される。
【0036】
図8は、支援装置10、管理者端末20の表示デバイスに表示される施工管理画面の一例を示す図である。図8に示すように、施工管理画面においては、管理支援IDによって紐付けられた各種の情報が表示される。例えば、図8において、領域A1には、管理支援IDに紐付けられた工事設計書の、レベル1の工事区分からレベル4の細別に至る、階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)が、作業名(費目・工種・施工名称等)、単位、数量とともに表示される。そして、例えば、領域A1aで示される作業名にカーソル等を合わせ選択すると、当該作業名に関連付けられた工種IDの工種情報が領域A2に表示される。
【0037】
領域A2においては、例えば、図2を用いて説明した工事工種体系ツリーの、最上位階層のレベル0である事業区分が「大区分」、レベル0の下階層であるレベル1の工事区分が「区分」として表示される。同様にして、レベル2の「工種」、レベル3の「種別」、レベル4の「細別」が表示される。施工管理画面を視認する管理者は、領域A1aで選択された「路体盛土工(ICT)」に関し、工事工種体系ツリー上の位置(レベル0からレベル4に至る、階層化された構成要素の組合せ(事業区分+工事区分+工種+種別+細別)の内訳)が確認できる。
【0038】
そして、当該工種IDと管理支援IDを介して1対多の関係で紐付けられた施工管理基準が領域A2の下方側に表示される。図8においては、施工管理基準の名称として、出来形管理基準、品質管理基準、写真管理基準が、確認ボタン(A3a、A4a、A5a)とともに表示されている。そして、例えば、出来形管理基準とともに表示された確認ボタンA3aにカーソル等を合わせて押下操作をおこなうと、領域A3に示されるように、工種IDに関連付けされた管理項目IDで指定される出来形管理基準の管理項目が、チェックボックスA3bとともに表示される。管理者は、例えば、カーソル等を操作し、チェックボックスA3bにチェック選択をいれて確定ボタンA6を押下操作すると、当該管理項目に関する出来形管理基準の詳細な規定内容が確認できる。例えば、図4に示す出来形管理基準に関する規格値等が記述された帳票等が別画面に表示される。
【0039】
品質管理基準、写真管理基準についても同様である。施工管理画面に表示された確認ボタンA4aの押下操作により、領域A4に示されるように、工種IDに関連付けされた管理項目IDで指定される品質管理基準の管理項目が、チェックボックスA4bとともに表示される。また、確認ボタンA5aの押下操作により、領域A5に示されるように、工種IDに関連付けされた管理項目IDで指定される写真管理基準の管理項目が、チェックボックスA5bとともに表示される。なお、該当する管理項目の数量に応じて、縦スクロールバーA4e、横スクロールバーA4fが該当する管理項目とともに表示される。管理者は、各スクロールバーを操作することで、施工管理基準で規定される管理項目の全体を確認できる。また、例えば、領域A4c、A4dに示されるように、カーソル等の表示位置に応じて、当該カーソル位置に対応する基準内容がサブ画面に表示される。管理者は、確認したい管理項目の表示位置にカーソル等を重畳させることで、対応する管理基準の基準内容をサブ画面を介して確認できる。
【0040】
なお、施工管理画面においては、安全管理、施工方法、提出書類一覧等の関係する管理項目、対象工事に係る工種毎の費用見積もりの内訳が出来形管理基準と同様にして所定領域に表示される。対象工事の施工管理に係る管理者は、施工管理画面を介して提供される支援情報に基づいて、工程管理、品質管理、原価管理、安全管理を総括的に管理することが可能になる。
【0041】
(機能構成)
次に、図9を参照して、本実施形態に係る支援装置10の機能構成を説明する。図9は、支援装置10の機能構成の一例を概略的に示す図である。支援装置10は、機能構成要素に、管理情報収集部11、見積もり情報取得部12、支援情報処理部13、工種管理DB14、管理項目DB15、支援情報DB16、施工管理DB17を備える。支援装置10のプロセッサ101は、主記憶部102に展開されたコンピュータプログラムにより、管理情報収集部11、見積もり情報取得部12、支援情報処理部13の処理を実行する。ただし、各機能構成素のいずれか、またはその処理の一部がデジタル回路等のハードウェアにより実行されてもよい。
【0042】
工種管理DB14、管理項目DB15、支援情報DB16、施工管理DB17は、プロセッサ101によって実行されるデータベース管理システム(Database Management System:DBMS)のプログラムが、補助記憶部103に記憶されるデータを管理することで構築される。工種管理DB14、管理項目DB15、支援情報DB16、施工管理DB17は、例えば、リレーショナルデータベースである。なお、支援装置10の各機能構成要素のいずれか、またはその処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0043】
管理情報収集部11は、ネットワークN1を介し、当該ネットワークN1に接続された管理基準サーバ30から、対象工事の発注者である国や自治体、各地方整備局等によって
規定された土木工事共通仕様書を取得する。管理情報収集部11は、例えば、入出力部104を介して操作者の入力を受け付け、ネットワークN1に接続された対象工事の発注者である国や自治体、各地方整備局等の管理基準サーバ30にアクセスし、土木工事共通仕様書で規定される工種工事体系ツリーを取得する。そして、対象工事に係るレベル0からレベル4に至る、工種情報(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等)を取得する。管理情報収集部11は、入出力部104を介して操作者の入力を受け付け、取得された工種情報である事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せに対して一意に識別する識別番号(工種ID)を付与し、工種管理DB14に格納する。管理情報収集部11は、少なくとも対象工事に係る工種情報(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せ)と付与された工種IDを関連付けて工種管理DB14に格納する。なお、管理情報収集部11は、例えば、発注者を識別する識別情報(発注者ID)、住所等の工事場所を特定する情報、施工時期等を示す情報を工種IDに関連付けて工種管理DB14に格納してもよい。管理情報収集部11は、少なくとも対象工事に係る工種情報(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せ)と付与された工種IDを支援情報処理部13に引き渡す。
【0044】
また、管理情報収集部11は、ネットワークN1に接続された管理基準サーバ30から、対象工事の工種(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等)に対応する施工管理基準等を取得する。管理情報収集部11は、例えば、入出力部104を介して操作者の入力を受け付け、ネットワークN1に接続された対象工事の発注者である国や自治体、各地方整備局等の管理基準サーバ30の施工管理基準等にアクセスし、対象工事の工種に関連する管理項目を取得する。このような管理項目として、品質管理基準、出来形管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧等が規定されている。管理情報収集部11は、入出力部104を介して操作者の入力を受け付け、対象工事の工種(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等)に関連する管理項目を収集する。管理項目は、例えば、各管理基準が記述された帳票として取得される。管理情報収集部11は、入出力部104を介して操作者の入力を受け付け、収集された管理項目(管理基準が記述された帳票等)に対して一意に識別する識別番号(管理項目ID)を付与し、管理項目DB15に格納する。また、管理情報収集部11は、収集された施工管理に係る管理項目の管理項目ID群と工種情報(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せ)とを支援情報処理部13に引き渡す。
【0045】
見積もり情報取得部12は、対象工事に係る費用の見積もりを取得する。見積もり情報取得部12は、入出力部104を介して操作者の入力を受け付け、例えば、USBメモリ、SDカード等の可搬記録媒体、あるいはネットワークN1に接続された見積もり用のコンピュータの記憶部に格納された対象工事に係る費用の見積もりを取得する。可搬記録媒体や見積もり用のコンピュータの記憶部には、例えば、汎用の表計算ソフトを用いて、積算体系ツリー上の階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)毎に見積もられた内訳のデータが格納される。そして見積もり情報取得部12は、工種管理DB14を参照し、レベル1の工事区分からレベル4の細別に至る、階層化された構成要素の組合せ(工種+種別+細別)に対応する工種IDを関連付ける。工種IDに関連付けされた見積もり情報は、支援情報処理部13に引き渡される。
【0046】
支援情報処理部13は、管理情報収集部11から引き渡された工種IDと管理支援IDとを1対1の関係で対応付けを行う。そして、支援情報処理部13は、管理支援IDに1対1で対応付けされた工種IDとともに対象工事に係る工種情報(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せ)を主記憶部102の所定の領域に一時的に記憶する。また、支援情報処理部13は、工種IDと1対1の関係で対応付けた管理支援IDに対して、管理情報収集部11から引き渡された施工管理に係る管理項目の管理項目ID群を1対多の関係で関連付けを行う。そして、支援情報処理部13は、管理支援IDに1対多の関係で関連付けされた管理項目ID群とともに対象工事に係る工種情報(事業区分+工事区分
+工種+種別+細別等の組合せ)を主記憶部102の所定の領域に一時的に記憶する。同様にして、支援情報処理部13は、見積もり情報取得部12から引き渡された工種ID毎の見積もり情報を、管理支援IDに関連付ける。そして、支援情報処理部13は、管理支援IDに関連付けされた工種IDと対象工事に係る工種情報(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せ)、および、管理支援IDに1対多の関係で関連付けされた管理項目ID群、工種ID毎の見積もり情報を対応付けて支援情報DB16に格納する。
【0047】
支援情報処理部13は、支援装置10を操作する管理者の操作入力を行け付け、管理支援IDに関連付けされた施工管理に係る各種情報を表示デバイス上に表示する。管理支援IDに関連付けされた施工管理に係る各種情報は、例えば、図8に示される施工管理画面として表示される。支援装置10は、表示デバイスに表示された施工管理画面に対する操作入力を受け付け、工種管理DB14、管理項目DB15、支援情報DB16に格納された各種情報を取得し、施工管理画面に表示する。
【0048】
また、支援情報処理部13は、ネットワークN1に接続された管理者端末20からの支援要求を受け付ける。管理者端末20を所持する管理者には、予め当該管理者を一意に識別する管理者ID、施工管理の支援を受けるためのパスワード等が付与されている。また、管理者端末20には、当該端末を一意に識別する端末IDが予め付与されている。これらの管理者ID、パスワード、管理者端末20の端末IDは、施工管理者が管理する対象工事に識別する対象工事IDに関連付けされて施工管理DB17に格納されている。なお、対象工事IDには、対応する工種ごとの管理支援IDが関連付けされている。
【0049】
支援情報処理部13は、例えば、管理者端末20からの支援要求に含まれる端末ID、管理者ID、パスワードの組合せを取得する。そして、支援情報処理部13は、施工管理DB17を参照し、端末ID、管理者ID、パスワードの組合せで特定される対象工事IDに関連付けされた工種ごとの管理支援IDを抽出する。また、支援情報処理部13は、施工管理DB17から抽出された管理支援IDを検索キーとして支援情報DB16の検索し、管理支援IDに関連付けされた対象工事に係る工種情報(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せ)、管理項目ID群、工種ID毎の見積もり情報を抽出する。そして、支援情報処理部13は、支援情報DB16から抽出された上記情報を支援情報として支援要求が受け付けられた管理者端末20に送信する。
【0050】
管理者端末20は、支援装置10から送信された支援情報を受け付ける。そして、管理者端末20は、受け付けた支援情報を表示デバイスに表示する。対象工事が施工される現場においても、図8に示す施工管理画面を介して、施工管理に係る各種の情報が確認できる。施工管理の管理者は管理者端末20に送信された支援情報に基づいて、工程管理、品質管理、原価管理、安全管理を総括的に管理することが可能になる。
【0051】
(処理の流れ)
図10から図11を参照して、本実施形態に係る支援システム1の処理を説明する。図10は、施工管理に係る支援情報に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図11は、管理者端末20に対する施工管理支援に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図10および図11の処理は、本実施形態に係る支援装置10によって提供される。
【0052】
図10において、処理の開始後、支援装置10は、入出力部104を介して操作者の入力を受け付け、ネットワークN1に接続された対象工事の発注者である国や自治体、各地方整備局等の管理基準サーバ30にアクセスする。支援装置10は、操作者の入力にしたがって、土木工事共通仕様書で規定される工種工事体系ツリーを特定し、対象工事に係るレベル0からレベル4に至る、工種情報(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等)を
取得する(ステップS1)と、処理はステップS2に進む。ステップS2では、支援装置10は、操作者の入力にしたがって、取得された工種情報である事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せに対して一意に識別する識別番号(工種ID)を付与し、工種管理DB14に格納すると処理はステップS3に進む。なお、対象工事に係る工種情報は、例えば、レベル2からレベル4に至る「工種+種別+細別等」の組合せであってもよい。また、発注者を識別する識別情報(発注者ID)、住所等の工事場所を特定する情報、施工時期等を示す情報を工種IDに関連付けて工種管理DB14に格納してもよい。
【0053】
ステップS3では、支援装置10は、ネットワークN1に接続された管理基準サーバ30から、対象工事の工種(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等)に対応する施工管理基準等を取得する。支援装置10は、操作者の入力にしたがって、対象工事の発注者である国や自治体、各地方整備局等の管理基準サーバ30の施工管理基準等にアクセスする。そして、支援装置10は、対象工事の工種に関連する品質管理基準、出来形管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧等の管理項目を収集すると、処理はステップS4に進む。管理項目は、例えば、各管理基準が記述された帳票として取得される。ステップS4では、支援装置10は、操作者の入力にしたがって、収集された管理項目(管理基準が記述された帳票等)に対して一意に識別する識別番号(管理項目ID)を付与し、対象工事に係る工種情報とともに管理項目DB15に格納すると処理はステップS5に進む。
【0054】
ステップS5では、支援装置10は、管理支援IDと、工種IDおよび管理項目IDとの関連付けを行う。支援装置10は、工種管理DB14を参照し、操作者の入力にしたがって抽出された工種IDに対して管理支援IDを1対1の関係で対応付ける。また、支援装置10は、管理項目DB15を参照し、操作者の入力にしたがって抽出された管理項目ID群を管理支援IDに対して1対多の関係で対応付ける。そして、支援装置10は、管理支援IDに対して1対1の関係で対応する工種ID、および、1対多の関係で対応する管理項目ID群を、情報支援DB16に格納すると処理はステップS6に進む。情報支援DB16では、管理支援IDに関連付けされた工種IDと、当該工種IDによって識別される工種情報(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せ)の施工管理に関連する管理項目ID群とが紐付けられて格納される。
【0055】
ステップS6では、対象工事に係る費用の見積もりが取得される。支援装置10は、例えば、操作者の入力にしたがってUSBメモリ等の可搬記録媒体、あるいはネットワークN1に接続された見積もり用のコンピュータの記憶部に格納された対象工事に係る費用の見積もりを取得すると、処理はステップS7に進む。ステップS7では、支援装置10は、操作者の入力にしたがって工種毎の見積もり情報を抽出し、当該見積もり情報を工種IDを介して管理支援IDに紐付ける。そして、支援装置10は、工種IDを介して管理支援IDに紐付けられた工種毎の見積もり情報を、支援情報DB16に格納すると、処理はステップS8に進む。
【0056】
ステップS8では、管理支援IDに関連付けされた施工管理に係る各種の情報が施工管理画面として支援装置10の表示デバイスに表示される。図8に示されるように、工種IDを介して管理支援IDに紐付けられた工種毎の見積もり情報を含む工事設計書が表示画面の所定の領域に表示される。また、対象工事に関する階層化された構成要素の組合せ(事業区分+工事区分+工種+種別+細別)の内訳が表示画面の所定の領域に表示される。さらに、工種IDと管理支援IDを介して1対多の関係で紐付けられた、対象工事に関する施工管理基準(出来形管理基準、品質管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧等)における関連する管理項目が表示画面の所定の領域に表示される。支援装置10は、工種管理DB14、管理項目DB15、支援情報DB16に格納された各種情報を取得し、施工管理画面に表示する。ステップS8の処理の終了後、本ルーチンを一
旦終了する。
【0057】
次に図11を説明する。図11において、処理の開始後、支援装置10は、対象工事が施工される現場における管理者端末20からの対象工事に係る施工管理の支援要求を、ネットワークN1を介して受け付ける(ステップS11)と、処理はステップS12に進む。管理者端末20を所持する管理者には、予め当該管理者を一意に識別する管理者ID、施工管理の支援を受けるためのパスワード等が付与されている。また、管理者端末20には、当該端末を一意に識別する端末IDが予め付与されている。これらの管理者ID、パスワード、管理者端末20の端末IDは、施工管理者が管理する対象工事に識別する対象工事IDに関連付けされて施工管理DB17に格納されている。なお、対象工事IDには、対応する工種ごとの管理支援IDが関連付けされている。
【0058】
ステップS12では、支援装置10は、例えば、管理者端末20からの支援要求に含まれる端末ID、管理者ID、パスワードの組合せを取得する。支援装置10は、施工管理DB17を参照し、端末ID、管理者ID、パスワードの組合せで特定される対象工事IDに関連付けされた工種ごとの管理支援IDを抽出する。そして、支援装置10は、管理支援IDを検索キーとして支援情報DB16の検索を行い、管理支援IDに関連付けされた対象工事に係る工種情報(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せ)、管理項目ID群、工種ID毎の見積もり情報を抽出すると処理はステップS13に進む。
【0059】
ステップS13では、抽出された支援情報が管理者端末20に送信される。支援装置10は、管理項目DB15を参照し、管理支援IDに関連付けされた管理項目ID群に対応する管理基準情報(品質管理基準、出来形管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧等の関連する基準情報)を抽出する。そして、支援装置10は、当該管理基準情報を管理項目IDに対応付けて、対象工事に係る工種情報(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せ)、工種ID毎の見積もり情報とともに、管理者端末20に送信する。
【0060】
管理者端末20では、抽出された支援情報が表示デバイスに施工管理画面として表示される。対象工事が施工される現場においても、施工管理に係る管理者は、図8に示す施工管理画面を介して、工程管理、品質管理、原価管理、安全管理を総括的に管理することが可能になる。ステップS13の処理の終了後、本ルーチンを一旦終了する。
【0061】
以上の処理により、本実施形態に係る支援システム1では、対象工事に係る工種(事業区分+工事区分+工種+種別+細別等の組合せ)毎に、施工管理基準に規定される管理項目群を関連付けることができる。本実施形態に係る支援システム1では、支援装置10の備えるデータベース(工種管理DB14、管理項目DB15、支援情報DB16等)に格納された、工種工事体系ツリーに規定される工種毎の支援情報に基づいて施工管理の支援が可能になる。支援装置10は、例えば、対象工事に係る工種ID毎に、施工管理基準等に準拠して規定された品質管理基準、出来形管理基準、写真管理基準、安全管理、施工方法、提出書類一覧等の帳票等が提供できる。また、支援装置10は、工種工事体系ツリーに規定される工種毎の支援情報に基づいて対象工事に係る工種毎の見積もり内訳が提供できる。本実施形態に係る支援システム1によれば、施工管理(工程管理、品質管理、原価管理、安全管理)に係る管理者の負担が軽減できる。
【0062】
また、本実施形態に係る支援システム1によれば、管理者端末20からの支援要求に基づいて、対象工事についての施工管理に係る各種の情報が提供できる。施工管理に係る管理者は、工事現場において、その工事現場がある地域に適用される土木工事共通仕様書の情報を、検索等の煩雑な操作を行わずに表示デバイスに表示された施工管理画面を介して簡単に確認することができる。また、例えば、測定作業の担当者が、土木工事共通仕様書
に含まれる測定に関する管理基準の情報等を参照しつつ、簡単に実測を行うこともできる。
【0063】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0064】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0065】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0066】
1 支援システム
10 支援装置
11 管理情報収集部
12 見積もり情報取得部
13 支援情報処理部
14 工種管理データベース
15 管理項目データベース
16 支援情報データベース
17 施工管理データベース
20 管理者端末
30 管理基準サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11