(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ガスバーナのパージ方法
(51)【国際特許分類】
F23K 5/00 20060101AFI20240613BHJP
F23Q 9/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F23K5/00 302
F23Q9/00 B
F23Q9/00 J
F23Q9/00 K
(21)【出願番号】P 2022086841
(22)【出願日】2022-05-27
【審査請求日】2022-05-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516047175
【氏名又は名称】三菱重工パワーインダストリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上妻 富明
(72)【発明者】
【氏名】津村 俊一
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 洋平
(72)【発明者】
【氏名】冠木 豊
(72)【発明者】
【氏名】田口 雄三
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆一郎
(72)【発明者】
【氏名】関口 慎一
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-034246(JP,A)
【文献】特開2018-200166(JP,A)
【文献】特許第3886653(JP,B2)
【文献】特開平06-203865(JP,A)
【文献】特開2006-077661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/00
F23Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含むガス燃料を火炉において燃焼するように構成されたガスバーナの運転を停止する際におけるガスバーナのパージ方法であって、
前記ガス燃料を前記ガスバーナに供給するための燃料供給ラインに対する前記ガス燃料の供給を停止し、且つ、前記燃料供給ライン
における所定の供給位置に対して不活性ガスを供給する不活性ガス供給ステップと、
前記不活性ガスの供給によって前記ガスバーナから前記火炉に流出される流出燃料であって、前記燃料供給ラインに残存する前記ガス燃料である流出燃料を燃焼させる燃焼ステップと、
前記流出燃料の燃焼によって発生する火炎の状態に基づいて、前記不活性ガスの供給を停止する不活性ガス供給停止ステップと、を備え、
前記不活性ガス供給ステップの前に、前記燃料供給ラインに
おける前記供給位置よりも下流側に設けられている流量調整弁の開度を前記ガスバーナの運転時よりも小さくするステップをさらに備える、
ガスバーナのパージ方法。
【請求項2】
前記不活性ガス供給ステップの前に、前記ガスバーナから前記火炉に流出される前記ガス燃料を点火するための点火装置を駆動する点火装置駆動ステップをさらに備え、
前記燃焼ステップは、前記点火装置の駆動によって前記流出燃料を燃焼させる、
請求項1に記載のガスバーナのパージ方法。
【請求項3】
前記点火装置は、前記ガスバーナが備える点火トーチであり、
前記不活性ガス供給停止ステップの後に、前記点火トーチを停止する点火トーチ停止ステップをさらに備える、
請求項2に記載のガスバーナのパージ方法。
【請求項4】
前記ガス燃料が前記燃料供給ラインを流通する流通方向において、前記燃料供給ラインの前記流通方向の上流側の上流端を前記燃料供給ラインの長さに対する0%の位置とし、前記燃料供給ラインの前記流通方向の下流側の下流端に向かうにつれて増加し、前記下流端を前記燃料供給ラインの長さに対する100%の位置として定義した場合に、前記不活性ガスが供給される前記燃料供給ラインの供給位置は、前記燃料供給ラインの長さに対する0%より大きく5%以下の範囲内に含まれる、
請求項1から3の何れか一項に記載のガスバーナのパージ方法。
【請求項5】
前記不活性ガスは、前記火炉の排ガスを含む、請求項1から3の何れか一項に記載のガスバーナのパージ方法。
【請求項6】
前記不活性ガス供給ステップは、前記燃料供給ラインに設けられる遮断弁の閉弁によって前記ガスバーナに対して前記ガス燃料の供給を停止し、前記ガス燃料が前記燃料供給ラインを流通する流通方向において前記遮断弁よりも前記燃料供給ラインの下流側に前記不活性ガスを供給する、
請求項1から3の何れか一項に記載のガスバーナのパージ方法。
【請求項7】
前記不活性ガス供給ステップは、前記燃料供給ラインに設けられる逆止弁よりも前記燃料供給ラインの下流側に前記不活性ガスを供給することで前記逆止弁を閉止させ、これにより前記燃料供給ラインへの前記ガス燃料の供給を停止する、
請求項1から3の何れか一項に記載のガスバーナのパージ方法。
【請求項8】
前記不活性ガス供給ステップは、
前記燃料供給ラインに設けられる遮断弁を閉弁する第1サブステップと、
前記第1サブステップの後に、前記ガス燃料が前記燃料供給ラインを流通する流通方向において前記遮断弁よりも前記燃料供給ラインの上流側に設けられる燃料弁を閉弁するとともに、前記遮断弁を開弁する第2サブステップと、
前記第2サブステップの後に、前記燃料供給ラインの前記燃料弁と前記遮断弁との間に前記不活性ガスを供給する第3サブステップと、を含む、
請求項1から3の何れか一項に記載のガスバーナのパージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素を含むガス燃料を火炉において燃焼するように構成されたガスバーナのパージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素を含むガス燃料を燃焼するガスバーナが知られている。ガスバーナは、一端にガス燃料を火炉に流出する流出口が形成されているガス燃料ラインを含み、ガス燃料の燃焼によって発生した火炎が流出口を通ってガス燃料ライン内に逆流すること(逆火)を防止するように構成されている。例えば、特許文献1には、ガスバーナの運転を停止する際に、ガス燃料ラインにガス燃料を供給する燃料供給ラインに不活性ガスを注入することにより、ガス燃料ライン及び燃料供給ラインの両方からガス燃料をパージすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ガスバーナ(ガス燃料ライン)又は燃料供給ライン内にガス燃料(水素)が僅かながらに残ってしまう虞がある。水素はメタンやプロパン等の他の成分に比べて燃焼速度が速いため、ガスバーナの運転を再開する際に逆火が発生する可能性がある。このため、ガスバーナの運転を停止する際には、ガスバーナ及び燃料供給ライン内に残る水素の濃度をさらに低減することが望ましい。
【0005】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、ガスバーナの運転を停止する際にガスバーナ及び燃料供給ライン内に残る水素の濃度をさらに低減することができるガスバーナのパージ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るガスバーナのパージ方法は、水素を含むガス燃料を火炉において燃焼するように構成されたガスバーナのパージ方法であって、前記ガス燃料を前記ガスバーナに供給するための燃料供給ラインに対する前記ガス燃料の供給を停止し、且つ、前記燃料供給ラインに対して不活性ガスを供給する不活性ガス供給ステップと、前記不活性ガスの供給によって前記ガスバーナから前記火炉に流出される流出燃料であって、前記燃料供給ラインに残存する前記ガス燃料である流出燃料を燃焼させる燃焼ステップと、前記流出燃料の燃焼によって発生する火炎の状態に基づいて、前記不活性ガスの供給を停止する不活性ガス供給停止ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示のガスバーナのパージ方法によれば、ガスバーナの運転を停止する際にガスバーナ及び燃料供給ライン内に残る水素の濃度をさらに低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る燃焼設備の構成を概略的に示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る供給位置について説明するための図である。
【
図3】第1実施形態に係るガスバーナのパージ方法のフローチャートである。
【
図4】第1実施形態に係る燃焼設備において、
図3とは別のガスバーナのパージ方法のフローチャートである。
【
図5】第2実施形態に係る燃焼設備の構成を概略的に示す図である。
【
図6】第2実施形態に係るガスバーナのパージ方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態によるガスバーナのパージ方法について、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
<第1実施形態>
(燃焼設備の構成)
図1は、第1実施形態に係る燃焼設備1の構成を概略的に示す図である。
図1に例示するように、燃焼設備1は、火炉2と、水素を含むガス燃料Fを火炉2において燃焼するように構成されたガスバーナ3と、ガスバーナ3にガス燃料Fを供給するガス燃料供給部4と、ガスバーナ3に燃焼用空気Aを供給する空気供給部6と、ガス燃料Fの燃焼によって発生する排ガスGを燃焼設備1の外部に排出する排出部8と、制御装置10と、を含む。このような燃焼設備1は、例えば、ボイラであって、排ガスGから熱を回収することで蒸気を生成する。尚、燃焼設備1はボイラに限定されず、例えば、水素自動車の内燃機関や水素を燃料とするガスタービンであってもよい。
【0011】
本開示において、「水素を含むガス燃料F」には、水素と水素以外の燃料を含むもの(混焼)と、水素のみ(専焼)とがあり、さらに、水素と水素以外の燃料を含むものでも、水素が主たる燃料(水素の体積割合が50%以上)、水素以外の燃料が主たる燃料(水素の体積割合が50%未満)に区分できる。「水素を含むガス燃料F」とは、これらの場合をすべて含む。
【0012】
火炉2は、筒形状を有しており、内部にはガスバーナ3から流出されるガス燃料Fを燃焼するための燃焼空間12が形成されている。第1実施形態では、
図1に例示するように、火炉2には、ガス燃料Fの燃焼によって火炎が発生しているか否かを検出する火炎検出器14が設けられている。火炎検出器14は、例えば、火炎から放出される紫外線によって火炎の発生を検出する紫外線式火炎センサである。火炎検出器14は、制御装置10と電気的に接続されており、制御装置10に検出値を送信している。制御装置10は、火炎検出器14の検出値に基づいて、火炎の状態を判定する。
【0013】
第1実施形態では、
図1に例示するように、ガスバーナ3は、ガス燃料Fが流通するガス燃料ライン16と、燃焼用空気Aが流通する空気ライン18と、点火装置20と、を含んでいる。ガス燃料ライン16のガス燃料Fの流通方向の下流側の一端には、ガス燃料Fを燃焼空間12に流出する燃料流出口22が形成されている。空気ライン18の燃焼用空気Aの流通方向の下流側の一端には、燃焼用空気Aを燃焼空間12に流出する空気流出口24が形成されている。このようなガスバーナ3は、いわゆる拡散燃焼式のガスバーナであって、ガス燃料Fと燃焼用空気Aとを燃焼空間12で混合させつつ、ガス燃料Fを拡散させて燃焼する。尚、本開示は、ガスバーナ3を拡散燃焼式に限定するものではない。ガスバーナ3は、ガス燃料Fに燃焼用空気Aを混合させてからこの混合気を燃焼空間12に流出する予混合式のガスバーナであってもよい。
【0014】
ガスバーナ3の点火装置20は、燃料流出口22から流出されるガス燃料Fを着火燃焼させ、火炎を発生させる。第1実施形態では、点火装置20は、燃料の燃焼によって点火用火炎を形成する点火トーチ21(20)である。点火トーチ21は、制御装置10と電気的に接続されており、制御装置10から送信される指示(点火指示)に従って点火用火炎を形成する。点火トーチ21で燃焼される燃料は、特に限定されず、ガス燃料F以外の燃料であってもよく、例えば、軽油や重油のような油燃料である。尚、本開示は、点火装置20を点火トーチ21に限定するものではない。点火装置20は、火花放電することでガス燃料Fを着火燃焼させる点火プラグであってもよい。
【0015】
第1実施形態では、
図1に例示するように、ガス燃料供給部4は、ガス燃料Fが貯留される燃料タンク26と、燃料タンク26とガスバーナ3のガス燃料ライン16とを接続し、燃料タンク26からガスバーナ3にガス燃料Fを供給するための燃料供給ライン28と、不活性ガスIGが貯留される不活性ガスタンク30と、不活性ガスタンク30と燃料供給ライン28とを接続し、不活性ガスタンク30から燃料供給ライン28に不活性ガスIGを供給するための不活性ガス供給ライン31と、を含む。
【0016】
不活性ガスIGは、燃焼反応が非常に起きにくいガスであって、例えば、窒素ガスである。幾つかの実施形態では、不活性ガスIGは、火炉2の排ガスGを含む。この場合、ガス燃料Fは水素のみをガスバーナ3の燃料として含んでいる(専焼)。不活性ガスIGは、後述する熱交換器46によって熱が回収された後の排ガスGを含む。
【0017】
燃料供給ライン28は、ガス燃料Fが燃料供給ライン28をガスバーナ3に向かって流通する流通方向(以下、流通方向Dとする)において、流通方向Dの上流側の上流端37が燃料タンク26に接続され、流通方向Dの下流側の下流端39がガス燃料ライン16に接続されている。
【0018】
図1に例示するように、燃料供給ライン28には、燃料弁32、及び遮断弁34が設けられている。燃料弁32は遮断弁34よりも燃料供給ライン28の流通方向Dの上流側に設けられている。燃料弁32及び遮断弁34のそれぞれは、制御装置10と電気的に接続されている電磁弁であり、制御装置10から送信される指示(閉弁指示、又は開弁指示)に従って閉弁又は開弁される。
【0019】
燃料弁32は、ガス燃料Fの逆流を防止する逆止弁として構成されている。燃料弁32は、燃料供給ライン28に設けられる弁のうち流通方向Dの最も上流側に位置する。燃料弁32は、燃料供給ライン28の流通方向Dの上流側の上流側端部36に設けられている。上流側端部36は、燃料供給ライン28の上流端37を含み、且つ燃料供給ライン28のうち燃料タンク26に非常に近接している部分である。上流側端部36には、流体が流通可能な流体ラインが接続されていない。つまり、上流側端部36は、燃料タンク26から供給されたガス燃料Fそのものが流通するようになっている。尚、本開示は、燃料弁32を逆止弁に限定するものではない。
【0020】
図1に例示する形態では、燃料供給ライン28には、燃料供給ライン28を流通するガス燃料Fの流量を調整する流量調整弁38が設けられている。流量調整弁38は、手動弁によって構成されており、作業員が開度を調整することで燃料供給ライン28を流通するガス燃料Fや不活性ガスIGの流量が調整される。流量調整弁38は、燃料弁32よりも燃料供給ライン28の流通方向Dの下流側、且つ遮断弁34よりも燃料供給ライン28の流通方向Dの上流側に設けられている。
【0021】
不図示であるが、幾つかの実施形態では、燃料供給ライン28には、2つの遮断弁34、34が設けられる。2つの遮断弁34は、流通方向Dにおいて互いに近接して燃料供給ライン28に設けられている。
【0022】
第1実施形態では、
図1に例示するように、不活性ガス供給ライン31は、流量調整弁38よりも燃料供給ライン28の流通方向Dの上流側に接続されている。つまり、不活性ガスIGが供給される燃料供給ライン28の供給位置Pは、流通方向Dにおいて燃料弁32と遮断弁34との間である。
図2を参照して、第1実施形態に係る供給位置Pについて説明する。
【0023】
図2は、第1実施形態に係る供給位置Pについて説明するための図である。
図2に例示するように、燃料供給ライン28の上流端37を燃料供給ライン28の長さLに対する0%の位置とし、燃料供給ライン28の下流端39に向かうにつれて増加し、下流端39を燃料供給ラインの長さLに対する100%の位置として定義する。供給位置Pは、燃料供給ライン28の長さLに対する0%より大きく5%以下の範囲内に含まれる。
【0024】
図1に例示するように、不活性ガス供給ライン31には、不活性ガス供給弁33が設けられている。不活性ガス供給弁33は、制御装置10と電気的に接続されている電磁弁であり、制御装置10から送信される指示(閉弁指示、又は開弁指示)に従って閉弁又は開弁される。不活性ガス供給弁33が開弁している状態であると、不活性ガス供給ライン31は燃料供給ライン28の供給位置Pよりも気圧が高くなり、燃料供給ライン28に不活性ガスIGが供給される。不活性ガス供給弁33が閉弁している状態であると、燃料供給ライン28に不活性ガスIGが供給されない。
【0025】
第1実施形態では、
図1に例示するように、空気供給部6は、燃焼用空気Aが流通する空気供給ライン40と、空気供給ライン40に設けられ燃焼用空気Aを火炉2に送風する送風機42と、を含む。空気供給ライン40は、一端が大気に開放されており、他端がガスバーナ3の空気ライン18に接続されている。送風機42は、例えば、燃焼用空気Aを火炉2内に送り込む押込送風機である。空気供給ライン40の一端から吸い込まれた空気は、燃焼用空気Aとしてガスバーナ3に向かって流通する。
【0026】
第1実施形態では、
図1に例示するように、排出部8は、排ガスGが流通する排ガスライン44と、排ガスライン44に設けられる熱交換器46と、煙突48と、を含む。排ガスライン44は、一端が火炉2に接続され、他端が煙突48に接続されている。火炉2から排出された排ガスGは、排ガスライン44を煙突48に向かって流通する。熱交換器46は、排ガスライン44を流通する排ガスGと熱交換器46に供給される蒸気や給水との間で熱交換を行うことで、排ガスGの熱を回収しており、例えば、節炭器である。煙突48は、排ガスGを燃焼設備1の外部に排出する。
【0027】
制御装置10は、電子制御装置などのコンピュータであって、図示しないCPUやGPUといったプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、及びI/Oインターフェイスなどを備える。制御装置10は、メモリにロードされたプログラムの命令に従ってプロセッサが動作(演算等)することで、制御装置10が備える各機能部を実現する。幾つかの実施形態では、制御装置10は、クラウド環境に設けられたクラウドサーバである。
【0028】
(ガスバーナのパージ方法)
図1に例示した第1実施形態に係る燃焼設備1において、ガスバーナ3の運転を停止する際に、ガスバーナ3のガス燃料ライン16及び燃料供給ライン28からガス燃料Fをパージする方法について説明する。
図3は、第1実施形態に係るガスバーナ3のパージ方法のフローチャートである。尚、ガスバーナ3を運転させている間、燃料弁32、遮断弁34、及び流量調整弁38のそれぞれは開弁し、不活性ガス供給弁33は閉弁している。
【0029】
図3に例示するように、第1実施形態に係るガスバーナ3のパージ方法は、不活性ガス供給ステップS1と、燃焼ステップS2と、不活性ガス供給停止ステップS3と、を含む。
【0030】
不活性ガス供給ステップS1では、燃料供給ライン28に対するガス燃料Fの供給を停止する。また、不活性ガス供給ステップS1では、燃料供給ライン28に対して不活性ガスIGを供給する。
【0031】
第1実施形態では、制御装置10は、後述する点火装置駆動ステップS4において点火トーチ21が点火用火炎を形成していると、不活性ガス供給弁33に開弁指示を送信する。不活性ガス供給弁33の開弁によって、燃料弁32(逆止弁)よりも燃料供給ライン28の下流側を不活性ガスIGが流通するようになる。この不活性ガスIGの一部が燃料弁32(逆止弁)に向かって流通し、燃料弁32(逆止弁)の弁体に背圧が作用して、燃料弁32を速やかに閉弁させる。この結果、燃料供給ライン28へのガス燃料Fの供給が停止される。また、この不活性ガスIGの残りの大部分が燃焼空間12に向かって流通し、燃料供給ライン28の燃料弁32よりも流通方向Dの下流側の部分及びガス燃料ライン16に残存するガス燃料Fを、燃料流出口22を介して燃焼空間12に流出させる。
【0032】
燃焼ステップS2では、不活性ガスIGの供給によってガス燃料ライン16の燃料流出口22から燃焼空間12に流出される流出燃料FAであって、燃料供給ライン28及びガス燃料ライン16の何れかに残存するガス燃料Fである流出燃料FAを燃焼させる。第1実施形態では、
図3に例示するように、ガスバーナ3のパージ方法は、不活性ガス供給ステップS1の前に、点火装置20を駆動する点火装置駆動ステップS4をさらに含んでいる。そして、燃焼ステップS2は、点火装置20の駆動によって流出燃料FAを燃焼させる。より具体的に説明すると、点火装置駆動ステップS4では、制御装置10は、例えば、作業員によってガスバーナ3の運転を停止する指示を受ける(ガスバーナ3のパージ方法が開始する)と、点火トーチ21に点火指示を送信する。点火トーチ21は、制御装置10の点火指示を受信して、点火用火炎を形成する。そして、燃焼ステップS2では、点火トーチ21が形成している点火用火炎によって流出燃料FAを燃焼させる。
【0033】
不活性ガス供給停止ステップS3では、流出燃料FAの燃焼によって発生する火炎の状態に基づいて、不活性ガスIGの供給を停止する。第1実施形態では、制御装置10は、火炎検出器14から送信される検出値に基づいて、火炎が発生していないと判定したら、あるいは火炎がまもなく消失すると判定したら、遮断弁34に閉弁指示を送信する。そして、制御装置10は、遮断弁34の閉弁が完了してから不活性ガス供給弁33に閉弁指示を送信する。不活性ガス供給弁33は、制御装置10の閉弁指示を受信して、閉弁される。
【0034】
第1実施形態では、
図3に例示するように、ガスバーナ3のパージ方法は、不活性ガス供給停止ステップS3の後に、点火トーチ21を停止する点火トーチ停止ステップS5をさらに含んでいる。制御装置10は、不活性ガス供給停止ステップS3における不活性ガス供給弁33の閉弁が完了してから点火トーチ21への点火指示の送信を取りやめる。点火トーチ21は、制御装置10からの点火指示を受信しなくなると、点火用火炎を消す(ガスバーナ3のパージ方法が終了する)。
【0035】
第1実施形態では、
図3に例示するように、ガスバーナ3のパージ方法は、不活性ガス供給ステップS1の前に、ガスバーナ3の運転時と比較して流量調整弁38の開度を小さくする流量減少ステップS6をさらに含んでいる。より具体的には、流量減少ステップS6では、作業員が点火装置駆動ステップS4によって点火トーチ21に点火用火炎が形成されたことを確認したら、流量調整弁38の開度を手動で小さくする。流量調整弁38が完全に開弁している状態の開度を100%とし、完全に閉弁している状態の開度を0%とすると、作業員は、例えば、流量調整弁38の開度を100%から20%に小さくする。尚、第1実施形態では、流量調整弁38は手動によって開度が調整されるように構成されているが、本開示はこの形態に限定されない。幾つかの実施形態では、流量調整弁38は、開度が自動的に調整されるように構成されており、点火トーチ21に点火用火炎が形成されると、予め設定された開度に調整(減少)されるようになっている。
【0036】
(作用・効果)
第1実施形態に係るガスバーナ3のパージ方法の作用・効果について説明する。第1実施形態によれば、燃料供給ライン28に対するガス燃料Fの供給を停止し、且つ不活性ガスIGを燃料供給ライン28に供給して、燃料流出口22から流出燃料FAを流出させる。そして、この流出燃料FAを点火トーチ21の点火用火炎で燃焼させる。そして、火炎検出器14の検出値に基づいて、火炎が発生していない、あるいは火炎がまもなく消失すると判定されたら、燃料供給ライン28への不活性ガスIGの供給が停止される。このため、ガス燃料ライン16及び燃料供給ライン28内に残る水素の濃度が十分に低いとされる火炎の状態になるまで、不活性ガスIGが燃料供給ライン28に供給されて、流出燃料FAを燃焼させる。よって、ガスバーナ3の運転を停止する際にガス燃料ライン16及び燃料供給ライン28内に残る水素の濃度をさらに低減することができる。
【0037】
第1実施形態によれば、点火装置駆動ステップS4が不活性ガス供給ステップS1より前に実行されるので、ガスバーナ3に対するガス燃料Fの供給が停止される前から点火トーチ21に点火用火炎を形成させておき、燃焼ステップS2において流出燃料FAを点火用火炎で燃焼させることができる。幾つかの実施形態では、点火装置駆動ステップS4は燃焼ステップS2の前に実行される。
【0038】
第1実施形態によれば、供給位置Pは燃料弁32と遮断弁34との間に位置しているので、燃料供給ライン28の燃料弁32よりも流通方向Dの下流側の部分に対して水素の濃度を低減することができる。第1実施形態によれば、供給位置Pは、燃料供給ライン28の長さLに対する0%より大きく5%以下の範囲内に含まれるので、燃料供給ライン28の大部分に対して水素の濃度を低減することができる。
【0039】
尚、本開示は、供給位置Pを第1実施形態で例示した位置に限定するものではなく、供給位置Pは燃料供給ライン28の任意の位置に設けられる。幾つかの実施形態では、供給位置Pは燃料弁32の直後に位置している。燃料供給ライン28のうち燃料弁32と供給位置Pとの間の部分は、不活性ガス供給ステップS1によって不活性ガスIGが供給されても、ガス燃料Fを燃焼空間12に流出させにくくなっている。このような構成によれば、燃料供給ライン28のうち燃料弁32と供給位置Pとの間の部分の長さを短くすることで、ガス燃料Fの流出を促進させることができる。
【0040】
第1実施形態によれば、排ガスGを不活性ガスIGとして利用することで、不活性ガスIGを準備するコストを削減することができる。燃料弁32よりも流通方向Dの下流側の部分を流通する不活性ガスIGの流速が速いため、速やかな燃料弁32の閉弁が要求される場合がある。第1実施形態によれば、逆止弁を燃料弁32として適用することで、逆止弁を適用しない場合と比較して、速やかに燃料弁32を閉弁させ、不活性ガスIGが燃料弁32を超えて燃料タンク26側に逆流することを抑制できる。
【0041】
第1実施形態によれば、点火トーチ21を適用することで、ガス燃料ライン16及び燃料供給ライン28内に残る水素の濃度が十分に低いとされる火炎の状態になるまで、流出燃料FAを断続的に燃焼させることができる。尚、第1実施形態では、点火トーチ21(点火装置20)によって流出燃料FAを燃焼させていたが、本開示はこの形態に限定されない。幾つかの実施形態では、燃焼ステップS2は、点火装置20を利用する以外の方法で流出燃料FAを燃焼してもよい。
【0042】
不活性ガスIGは、ガス燃料Fよりもガス圧を高くする必要がある。このため、不活性ガスIGが燃料供給ライン28を流通する速度が速くなり、ガス燃料ライン16及び燃料供給ライン28内に残る水素の濃度が十分に低減する前に、火炎が吹き消えてしまう虞がある。第1実施形態によれば、不活性ガス供給ステップS1の前に、ガスバーナ3の運転時と比較して流量調整弁38の開度を小さくしているので、火炎の吹き消えを抑制することができる。
【0043】
尚、第1実施形態では、燃焼設備1が制御装置10を備えることで、燃料弁32及び遮断弁34の開閉が自動で行われていたが、本開示はこの形態に限定されない。幾つかの実施形態では、燃料弁32は手動で開閉される。幾つかの実施形態では、遮断弁34は手動で開閉される。
【0044】
尚、第1実施形態では、制御装置10が火炎検出器14の検出値によって流出燃料FAの燃焼によって発生する火炎の状態を判定していたが、本開示はこの形態に限定されない。例えば、火炉内の圧力や作業員の目視によって火炎の状態が判定されてもよい。幾つかの実施形態では、燃焼設備1は、火炎検出器14の代わりに、又は火炎検出器14とともに、燃料供給ライン28への不活性ガスIGの供給が開始されてから経過する時間を取得するタイマをさらに含む。不活性ガス供給停止ステップS3は、タイマによって取得された時間が予め設定された時間を超えると、不活性ガスIGの供給を停止する。
【0045】
図4は、第1実施形態に係る燃焼設備1において、
図3とは別のガスバーナ3のパージ方法のフローチャートである。
図4に例示するフローチャートでは、不活性ガス供給ステップS1は、第1サブステップS11、第2サブステップS12、及び第3サブステップS13を含んでいる。第1サブステップS11、第2サブステップS12、及び第3サブステップの順に行われる。尚、
図4に例示するフローチャートのうち不活性ガス供給ステップS1以外のステップは、
図3に例示して説明したステップと同じため、説明を省略している。
【0046】
第1サブステップS11では、燃料供給ライン28に設けられる遮断弁34を閉弁する。
図4に例示する形態では、制御装置10は、点火装置駆動ステップS4において点火トーチ21が点火用火炎を形成していると、遮断弁34に閉弁指示を送信する。遮断弁34は、制御装置10の閉弁指示を受信して、閉弁される。
【0047】
第2サブステップS12では、燃料弁32を閉弁するとともに、遮断弁34を開弁する。
図4に例示する形態では、制御装置10は、第1サブステップS11における遮断弁34の閉弁が完了してから燃料弁32に閉弁指示を送信するとともに、遮断弁34に開弁指示を送信する。燃料弁32は、制御装置10の閉弁指示を受信して、閉弁される。遮断弁34は、制御装置10の開弁指示を受信して、開弁される。
【0048】
第3サブステップS13では、燃料供給ライン28の燃料弁32と遮断弁34との間に不活性ガスIGを供給する。
図4に例示する形態では、制御装置10は、第2サブステップS12における遮断弁34の閉弁が完了してから不活性ガス供給弁33に開弁指示を送信する。不活性ガス供給弁33は、制御装置10の開弁指示を受信して、開弁される。
【0049】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態に係るガスバーナ3のパージ方法について説明する。第2実施形態において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0050】
(燃焼設備の構成)
第2実施形態に係る燃焼設備1の構成について説明する。第2実施形態に係る燃焼設備1は、供給位置Pを除いて、第1実施形態に係る燃焼設備1と同じである。
図5は、第2実施形態に係る燃焼設備1の構成を概略的に示す図である。
図5に例示するように、供給位置Pは、燃料供給ライン28の遮断弁34よりも流通方向Dの下流側に位置している。
【0051】
(ガスバーナのパージ方法)
図5に例示した第2実施形態に係る燃焼設備1において、ガスバーナ3の運転を停止する際に、ガスバーナ3のガス燃料ライン16及び燃料供給ライン28からガス燃料Fをパージする方法について説明する。
図6は、第2実施形態に係るガスバーナ3のパージ方法のフローチャートである。尚、ガスバーナ3を運転させている間、燃料弁32、遮断弁34、及び流量調整弁38のそれぞれは開弁し、不活性ガス供給弁33は閉弁している。
【0052】
図6に例示するように、ガスバーナ3のパージ方法は、不活性ガス供給ステップS21と、燃焼ステップS2と、不活性ガス供給停止ステップS3と、点火装置駆動ステップS4と、点火トーチ停止ステップS5と、流量減少ステップS6と、を含む。燃焼ステップS2、不活性ガス供給停止ステップS3、点火装置駆動ステップS4、点火トーチ停止ステップS5、及び流量減少ステップS6のそれぞれは、
図3に例示して説明したステップと同じため、説明を省略している。
【0053】
第2実施形態に係る不活性ガス供給ステップS21では、燃料供給ライン28に設けられる遮断弁34の閉弁によってガスバーナ3に対してガス燃料Fの供給を停止する。また、流通方向Dにおいて遮断弁34よりも燃料供給ライン28の下流側に不活性ガスIGを供給する。
【0054】
第2実施形態では、制御装置10は、点火装置駆動ステップS4において点火トーチ21が点火用火炎を形成していると、遮断弁34に閉弁指示を送信する。遮断弁34は、制御装置10の閉弁指示を受信して、閉弁される。また、制御装置10は、遮断弁34が閉弁されると、不活性ガス供給弁33に開弁指示を送信する。不活性ガス供給弁33は、制御装置10の開弁指示を受信して、開弁される。不活性ガス供給弁33が開弁されると、不活性ガスIGが燃料供給ライン28に供給され、燃料供給ライン28の遮断弁34よりも流通方向Dの下流側の部分及びガス燃料ライン16に残存するガス燃料Fを、燃料流出口22を介して燃焼空間12に流出させる。
【0055】
(作用・効果)
第2実施形態によれば、燃料供給ライン28の遮断弁34よりも流通方向Dの下流側の部分に対して水素の濃度を低減することができる。
【0056】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0057】
[1]本開示に係るガスバーナ(3)のパージ方法は、
水素を含むガス燃料(F)を火炉(2)において燃焼するように構成されたガスバーナのパージ方法であって、
前記ガス燃料を前記ガスバーナに供給するための燃料供給ラインに対する前記ガス燃料の供給を停止し、且つ、前記燃料供給ライン(28)に対して不活性ガス(IG)を供給する不活性ガス供給ステップ(S1)と、
前記不活性ガスの供給によって前記ガスバーナから前記火炉に流出される流出燃料であって、前記燃料供給ラインに残存する前記ガス燃料である流出燃料(FA)を燃焼させる燃焼ステップ(S2)と、
前記流出燃料の燃焼によって発生する火炎の状態に基づいて、前記不活性ガスの供給を停止する不活性ガス供給停止ステップ(S3)と、を備える。
【0058】
上記[1]に記載の方法によれば、燃料供給ラインに対するガス燃料の供給を停止し、且つ燃料供給ラインに対して不活性ガスを供給して、燃料供給ラインに残存する流出燃料を流出させる。そして、この流出燃料を燃焼させて、火炎の状態に基づいて、燃料供給ラインへの不活性ガスの供給を停止する。このため、ガスバーナ及び燃料供給ライン内に残る水素の濃度が十分に低いとされる火炎の状態になるまで、不活性ガスが燃料供給ラインに供給されて、流出燃料を燃焼させる。よって、ガスバーナの運転を停止する際にガスバーナ及び燃料供給ライン内に残る水素の濃度をさらに低減することができる。
【0059】
[2]幾つかの実施形態では、上記[1]に記載の方法において、
前記不活性ガス供給ステップの前に、前記ガスバーナから前記火炉に流出される前記ガス燃料を点火するための点火装置(20)を駆動する点火装置駆動ステップ(S4)をさらに備え、
前記燃焼ステップは、前記点火装置の駆動によって前記流出燃料を燃焼させる。
【0060】
上記[2]に記載の方法によれば、流出燃料がガスバーナから火炉に流出される前に点火装置を駆動させておくことで、点火装置によって流出燃料を燃焼させることができる。
【0061】
[3]幾つかの実施形態では、上記[2]に記載の方法において、
前記点火装置は、前記ガスバーナが備える点火トーチ(21)であり、
前記不活性ガス供給停止ステップの後に、前記点火トーチを停止する点火トーチ停止ステップ(S5)をさらに備える。
【0062】
上記[3]に記載の方法によれば、点火トーチを適用することで、ガスバーナ及び燃料供給ライン内に残る水素の濃度が十分に低いとされる火炎の状態になるまで、流出燃料を断続的に燃焼させることができる。
【0063】
[4]幾つかの実施形態では、上記[1]から[3]の何れか1つに記載の方法において、
前記ガス燃料が前記燃料供給ラインを流通する流通方向(D)において、前記燃料供給ラインの前記流通方向の上流側の上流端(37)を前記燃料供給ラインの長さ(L)に対する0%の位置とし、前記燃料供給ラインの前記流通方向の下流側の下流端(39)に向かうにつれて増加し、前記下流端を前記燃料供給ラインの長さに対する100%の位置として定義した場合に、前記不活性ガスが供給される前記燃料供給ラインの供給位置(P)は、前記燃料供給ラインの長さに対する0%より大きく5%以下の範囲内に含まれる。
【0064】
上記[4]に記載の方法によれば、燃料供給ラインの大部分に対して水素の濃度を低減することができる。
【0065】
[5]幾つかの実施形態では、上記[1]から[4]の何れか1つに記載の方法において、
前記不活性ガスは、前記火炉の排ガス(G)を含む。
【0066】
上記[5]に記載の方法によれば、火炉の排ガスを不活性ガスとして利用することで、不活性ガスを準備するコストを削減することができる。
【0067】
[6]幾つかの実施形態では、上記[1]から[5]の何れか1つに記載の方法において、
前記不活性ガス供給ステップは、前記燃料供給ラインに設けられる遮断弁の閉弁によって前記ガスバーナに対して前記ガス燃料の供給を停止し、前記ガス燃料が前記燃料供給ラインを流通する流通方向において前記遮断弁よりも前記燃料供給ラインの下流側に前記不活性ガスを供給する。
【0068】
上記[6]に記載の方法によれば、燃料供給ラインの遮断弁よりも流通方向の下流側の部分に対して水素の濃度を低減することができる。
【0069】
[7]幾つかの実施形態では、上記[1]から[5]の何れか1つに記載の方法において、
前記不活性ガス供給ステップは、前記燃料供給ラインに設けられる逆止弁よりも前記燃料供給ラインの下流側に前記不活性ガスを供給することで前記逆止弁を閉止させ、これにより前記燃料供給ラインへの前記ガス燃料の供給を停止する。
【0070】
上記[7]に記載の方法によれば、燃料供給ラインに対する不活性ガスの供給によって燃料供給ラインに対するガス燃料の供給が停止されるので、不活性ガスの供給とガス燃料の供給停止がそれぞれで行われる場合と比較して、速やかにガスバーナ及び燃料供給ライン内に残る水素の濃度を低減することができる。
【0071】
[8]幾つかの実施形態では、上記[1]から[5]の何れか1つに記載の方法において、
前記不活性ガス供給ステップは、
前記燃料供給ラインに設けられる遮断弁を閉弁する第1サブステップ(S11)と、
前記第1サブステップの後に、前記ガス燃料が前記燃料供給ラインを流通する流通方向において前記遮断弁よりも前記燃料供給ラインの上流側に設けられる燃料弁を閉弁するとともに、前記遮断弁を開弁する第2サブステップ(S12)と、
前記第2サブステップの後に、前記燃料供給ラインの前記燃料弁と前記遮断弁との間に前記不活性ガスを供給する第3サブステップ(S13)と、を含む。
【0072】
上記[8]に記載の方法によれば、燃料供給ラインの燃料弁よりも流通方向の下流側の部分に対して水素の濃度を低減することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 燃焼設備
2 火炉
3 ガスバーナ
20 点火装置
21 点火トーチ
28 燃料供給ライン
32 燃料弁
33 不活性ガス供給弁
34 遮断弁
37 燃料供給ラインの上流端
38 流量調整弁
39 燃料供給ラインの下流端
D 流通方向
F ガス燃料
FA 流出燃料
G 排ガス
IG 不活性ガス
P 供給位置
S1 不活性ガス供給ステップ(第1実施形態)
S2 燃焼ステップ
S3 不活性ガス供給停止ステップ
S4 点火装置駆動ステップ
S5 点火トーチ停止ステップ
S11 第1サブステップ
S12 第2サブステップ
S13 第3サブステップ
S21 不活性ガス供給ステップ(第2実施形態)