(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ユーザプレーンパスについての障害の検出とハンドリングの改善
(51)【国際特許分類】
H04W 76/19 20180101AFI20240613BHJP
H04W 92/24 20090101ALI20240613BHJP
H04W 92/14 20090101ALI20240613BHJP
H04W 24/04 20090101ALI20240613BHJP
【FI】
H04W76/19
H04W92/24
H04W92/14
H04W24/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194358
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2020544752の分割
【原出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/080536
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン, キアン
(72)【発明者】
【氏名】ガン, ジュイン
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-506054(JP,A)
【文献】特表2018-501712(JP,A)
【文献】Digital cellular telecommunications system (Phase 2+) (GSM); Universal Mobile Telecommunications Sys,ETSI TS 123 007 V14.4.0,2018年01月08日,pp.72-74,79-83
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークにおける、アクセスネットワークとコアネットワークとの間のユーザプレーンパスの障害を対処する方法であって、
前記コアネットワーク内のノードによって、前記ユーザプレーンパスのエンドポイントから、前記アクセスネットワークと前記コアネットワークとの間のユーザプレーンパスの障害についての通知を受信すること(501)と、
ここで、前記エンドポイントは、基地局(BS)またはサービングゲートウェイ(SGW)であり、前記ユーザプレーンパスの他のエンドポイントは、前記SGWまたは前記BSであり、前記ノードは、モビリティマネージメントエンティティ(MME)であり、
前記ノードによって、
設定可能な期間にわたり前記ユーザプレーンパスを一時的に利用不可能であるとマークすることと、
前記設定可能な期間にわたり前記ユーザプレーンパスを一時的に利用不可能であるとマークすることについての情報を考慮することと、
前記設定可能な期間の後に前記ユーザプレーンパスを再確立しようとすることと、を含む、前記障害に対処すること(502)と、
を有する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記エンドポイントは、SGW制御プレーン機能(SGW-C)に対して前記障害を通知するSGWユーザプレーン機能(SGW-U)であり、前記SGW-Cは、前記障害を前記MMEに報告する、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記MMEによって前記ユーザプレーンパスに関連してパケットデータネットワーク(PDN)コネクションを非アクティブ化すること、または、前記BSと前記MMEとの間の制御プレーンパスを解放する間、前記PDNコネクションを維持すること、を有する、方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法であって、前記対処することは、前記MMEによって、別のSGW、SGW-UまたはSGW-Cを選択することを含む、方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法であって、さらに、
前記エンドポイントによって、前記ユーザプレーンパスにおいて障害が存在するか否かを検出すること(402)と、
前記障害を検出すると、前記ノードによって前記障害を対処するために、前記エンドポイントによって、前記ノードに通知すること(404)と、
を有する、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記エンドポイントは、前記ユーザプレーンパスが前記ノードによって確立されているとき、または、前記ユーザプレーンパスが確立された後に、前記検出することを実行する、方法。
【請求項7】
通信ネットワーク内のコアネットワークにおけるノード(1400)であって、
プロセッサ(1401)と、
当該プロセッサによって実行されると、前記ノードに請求項1から4のいずれか一項に記載の方法を実行させる、記憶された命令を備えるメモリ(1402)と、
を有する、ノード。
【請求項8】
通信ネットワークであって、
請求項7に記載のノードと、
通信ネットワークにおけるアクセスネットワークとコアネットワークとの間のユーザプレーンパスのエンドポイント(1300)と、
を有し、前記エンドポイント(1300)は、
プロセッサ(1301)と、
当該プロセッサによって実行されると、前記エンドポイントに請求項5または6に記載の方法を実行させる、記憶された命令を備えるメモリ(1302)と、
を有する、通信ネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクセスネットワークおよびコアネットワークを含む通信ネットワークの技術分野に関し、特に、アクセスネットワークとコアネットワークとの間のユーザプレーンパス上の障害の検出およびハンドリングを改善するための方法およびノードに関する。
【背景技術】
【0002】
アクセスネットワークとコアネットワークを含む通信ネットワークのロングタームエボリューションにおいて、アクセスネットワークとコアネットワークとの間のインターフェース(または基準点)は、ユーザプレーンと制御プレーンとに分離されている。ユーザプレーンは、ユーザデータを搬送することができ、制御プレーンは、制御情報を搬送することができる。例えば、進化型パケットシステム(EPS)では、
図1に示すように、進化型ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)とサービングゲートウェイ(SGW)との間にS1-Uと呼ばれるユーザプレーンが存在する。他の例として、第5世代(5G)システムでは、
図2に示すように、R-ANとユーザプレーンファンクション(UPF)との間にN3と呼ばれるユーザプレーンが存在する。
【0003】
ユーザプレーンパスは、ユーザデータの通信を可能にするために、通信ネットワークにおける幾つかのプロシージャにおいて確立される必要があるかもしれない。たとえば、ユーザプレーン上のベアラまたはトンネルは、UEにより要求されたPDNコネクティビティプロシージャで確立される必要がある。
【0004】
図3は、EPSにおけるE-UTRANのためのUEにより要求されたPDNコネクティビティプロシージャを示す。このプロシージャは、UEがデフォルトベアラの割り当てを含むE-UTRAN上の追加PDNへのコネクティビティをリクエストすることを可能にする。このプロシージャは、スタンドアロンで実行されてもよいし、初期アタッチの一部として実行されてもよい。
【0005】
ベアラを設定するには、
図3においてステップ7で、モビリティマネージメントエンティティ(MME)が、PDNコネクティビティ・アクセプト・セッション・マネージメント・リクエスト(APN、PDNタイプ、PDNアドレス、EPSベアラID、プロトコル・コンフィギュレーション・オプション、ヘッダ圧縮設定、制御プレーンオンリーインジケータ)メッセージをUEに送信する。PDNコネクションが無線経由でユーザプレーンを使用する場合、このメッセージは、eNodeB へのS1_MME制御メッセージ・ベアラ・セットアップ・リクエスト(EPSベアラQoS、UE-AMBR、PDNコネクティビティアクセプト、S1-TEID) に含まれる。このメッセージは、ユーザプレーンのために使用されるサービングGWにおけるTEIDと、ユーザプレーンのためのサービングGWのアドレスとを含む。そして、
図3のステップ10において、eNodeBは、S1-APベアラセットアップレスポンス(設定応答)をMMEに送信する。S1-AP メッセージには、eNodeB のTEID と、S1-U 基準点でダウンリンクトラフィックに使用されるeNodeB のアドレスと、が含まれる。
【0006】
3GPP TS 23.007は、ユーザプレーンパスの障害検出およびユーザプレーンパスのためのハンドリング(対処)を規定している。以下は、3GPP TS 23.007におけるユーザプレーンパス障害検出および取り扱いに関する内容である:
「20.3 ユーザプレーンパス障害の検出と対処
20.3.1 一般
GTP-Uエンティティは、以下の方法でエコーリクエスト/エコーレスポンスメッセージを使用することによってパス障害の検出をサポートする。
パスカウンタは、パス上でエコーレスポンスが受信されるたびにリセットされ、パス上で送信されるエコーリクエストメッセージに対してT3-レスポンスタイマが満了するとインクリメントされる。
カウンタがN3-リクエストを超える場合、パスはダウンしているとみなされる。
ネットワークノードは、パス障害を検出すると、運用および保守システムを介して障害を通知しなければならず、以下のいずれかを行うことができる。
-障害が発生したパスに関連付けられているベアラコンテキストを削除するか、-オペレータが設定可能な最大パス障害期間中は、障害が発生したパスに関連付けられているベアラコンテキストを維持する。
ネットワークノードは、この期間が終了したときにパスがまだ停止している場合、維持されているリソースを削除するものとする。
......
20.3.4
SGWまたはPGWノードの制御およびユーザプレーン分離を用いること
スプリットされたサービングゲートウェイまたはPGW (3GPP TS 23.214 [42]を参照)では、ユーザプレーンパス障害の検出および取り扱いは、20.3.1項に規定されているようにサポートされ、以下の追加要件があるものとする:
GTP-Uユーザプレーンパス障害を検出すると、SGW-U または PGW-U は、障害が検出されたリモート GTP-U ピアの IP アドレスを含むユーザプレーンパス障害レポートを含むSxノードレポート要求(3GPP-TS-29.244 [43] を参照) を送信することによって、ユーザプレーンパス障害をSGW-C またはPGW-Cにそれぞれレポートする;
ユーザプレーンパス障害について通知されると、SGW-CまたはPGW-Cは、障害中のパスに関連するベアラコンテキストを削除することを決定するとき、SGW-UまたはPGW-U”内の影響を受けるSxセッションを修正または削除する」。
【0007】
しかしながら、ユーザデータのより良好な通信のために、ユーザプレーンパス上の障害の検出および取り扱いを改善する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本開示者らは、現行のユーザプレーンパス障害検出および取り扱いメカニズムにおいて、以下の問題点があることを見出した(例えば、EPS):
1) 基地局(BS)とSGWの間のユーザプレーンパス確立において、BSが、割り当てられたSGWトンネル情報を受信するとき、または、SGWが、割り当てられたBSトンネル情報を受信するとき、現行規格は、S1-Uパスの生きていることをエンドポイント(すなわち、BSおよび/またはSGW)においてチェックされるべきかどうかを規定していない。その結果、EPSベアラが首尾よくセットアップされたとしても、エンドユーザはいかなるサービスも享受できない。
【0009】
このようなチェックが製品の実装に応じて実行されても、チェック結果は、さらなるアクション(例えば、代替パスの試行)のためにMMEに渡されず、その結果、サービス中断が長くなる可能性がある。
【0010】
2) BSとSGWとの間のユーザプレーン確立の後、BSまたはSGWが、パスマネージメント(管理)を実行し、ユーザプレーンパス障害を検出した場合、エンドポイント(すなわち、BSまたはSGW)は、EPSベアラを、すぐに、または設定可能な期間の後に削除することができるが、その理由(すなわち、ユーザプレーンパス障害)はMMEに通知されず、その結果、(1)同じパスが選択された場合、EPSベアラ設定のさらなる試みはおそらく失敗し、(2)代替のアライブ(生き残っている正常な)パスが選択されず、長いサービス中断が生じる。
【0011】
本開示の目的の1つは、上記の問題を解決または軽減することである。
【0012】
本開示の一態様によれば、上記目的は、ユーザプレーンパス上に障害が存在するか否かを検出することと、障害を検出すると、ノードが障害に対処するために、コアネットワーク内のノードに障害を通知することと、を有する、通信ネットワーク内のアクセスネットワークとコアネットワークとの間にあるユーザプレーンパスのエンドポイントの方法によって達成される。
【0013】
本開示の別の態様によれば、上記目的は、通信ネットワークにおけるアクセスネットワークとコアネットワークとの間のユーザプレーンパスのエンドポイントであって、ユーザプレーンパス上に障害が存在するか否かを検出する検出部と、障害を検出すると、ノードが障害に対処するために、障害のコアネットワークのノードに通知する通知ユニットとを備えるエンドポイントによって達成される。
【0014】
本開示のさらに別の態様によれば、上記目的は、アクセスネットワークと通信ネットワーク内のコアネットワークとの間にあるユーザプレーンパスのエンドポイントによって達成され、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、エンドポイントに上記のエンドポイントの方法を実行させる、記憶された命令を有するメモリと、を有する。
【0015】
本開示のさらなる態様によれば、上記目的は、コアネットワークとアクセスネットワークとを含む通信ネットワークにおける当該コアネットワークにおけるノードであって、アクセスネットワークとコアネットワークとの間にあるユーザプレーンパス上の障害に関する通知を、ユーザプレーンパスのエンドポイントから受信することと、障害に対処(ハンドリング)することと、を有する方法によって達成される。
【0016】
本開示の別のさらなる態様によれば、上記目的は、コアネットワークとアクセスネットワークとを含む通信ネットワーク内の当該コアネットワークにおけるノードであって、アクセスネットワークとコアネットワークとの間にあるユーザプレーンパス上の障害に関する通知をユーザプレーンパスのエンドポイントから受信する受信ユニットと、障害に対処(ハンドリング)する対処ユニットとを有する、ノードによって達成される。
【0017】
本開示のさらに別の態様によれば、上記目的は、プロセッサと、プロセッサによって実行されるとノードに上記のノードの方法を実行させる、記憶された命令を有するメモリと、を有する、コアネットワークおよびアクセスネットワークを含む通信ネットワーク内の当該コアネットワーク内のノードによって達成される。
【0018】
本開示の解決策は、以下の利点を有する:
●ユーザプレーンパス設定のためのタイムリーなユーザプレーンパスの有効性の検出と、それゆえ、エンドユーザのパケットデータネットワーク中のサービスへの実際のアクセス可能性を保証すること;
●ユーザプレーンパス障害時にタイムリーにユーザプレーンパスを再選択し、サービス中断を最小限に抑えること。
【図面の簡単な説明】
【0019】
ここで、実施形態は、実施形態を示す添付の図面を参照することによって、以下の詳細な説明においてさらに詳細に説明される:
【
図1】は、EPSの3GPPアクセスのための非ローミングアーキテクチャを概略的に示している。
【
図2】は、非ローミング5Gシステムアーキテクチャを基準点(リファレンスポイント)表現で概略的に示す。
【
図3】は、E-UTRANのためのUEにより要求されたPDNコネクティビティプロシージャを概略的に示す。
【
図4】は、本開示によるエンドポイントの方法のフローチャートを概略的に示す。
【
図5】は、本開示によるノードの方法のフローチャートを概略的に示す。
【
図6】は、本開示によるEPSにおけるユーザプレーンパス障害の検出および対処の一例を概略的に示す。
【
図7】は、本開示によるEPSにおけるユーザプレーンパス障害の検出および対処の別の例を概略的に示す。
【
図8】は、本開示によるEPSにおけるユーザプレーンパス障害の検出および対処のさらなる例を概略的に示す。
【
図9】は、本開示による5Gシステムにおけるユーザプレーンパス障害の検出および対処の一例を概略的に示す。
【
図10】は、本開示による5Gシステムにおけるユーザプレーンパス障害の検出および対処の別の例を概略的に示す。
【
図11】は、本開示のエンドポイントの概略ブロック図である。
【
図13】は、本開示のエンドポイントの別の概略ブロック図である。
【
図14】は、本開示のノードの別の概略構成図である。
【0020】
図面の要素は、必ずしも互いに相対的な縮尺であるとは限らない。図面全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここでの実施形態は、添付の図面を参照して、以下でより完全に説明される。しかしながら、ここでの実施形態は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、添付の特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0022】
ここで使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定することを意図するものではない。ここで使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「有する」、「有している」、「含む」および/または「含んでいる」は、ここで使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されるであろう。
【0023】
また、請求項において、請求項の要素を修飾するために「第1」、「第2」、「第3」等の順序用語を使用することは、それ自体では、ある請求項の要素の他の要素に対する優先性、優位性または順位、または方法の作用が行われる時間的順序を暗示するものではなく、単に、請求項の要素を区別するために、ある名称を有するある請求項の要素と同じ名称を有する別の要素(ただし、順序用語の使用のため)を区別するためのラベルとしてのみ使用される。
【0024】
別段の定義がない限り、ここで使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、ここで使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、ここで明示的にそのように定義されない限り、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されるであろう。
【0025】
本開示によるユーザプレーンパスのエンドポイントのフローチャート400は、
図4に示されており、ユーザプレーンパス上に障害が存在するかどうかを検出するステップ401と、障害を検出すると、ノードが障害に対処するために、コアネットワークにおけるノードに障害を通知するステップ402とを含む。
【0026】
本開示によるコアネットワークにおける本ノードの方法500のフローチャートは、
図5に示され、以下のステップ、すなわち、アクセスネットワークとコアネットワークとの間のユーザプレーンパス上の障害に関する通知をユーザプレーンパスのエンドポイントから受信するステップ501と、障害を処理するステップ502とを含む。
【0027】
エンドポイントとノードの両方は、専用ハードウェア上のネットワーク要素として、ハードウェア上で実行されるファームウェアまたはソフトウェアインスタンスとして、適切なプラットフォーム(例えば、クラウドインフラストラクチャ上)上にインスタンス化される仮想化機能として、またはそれらの任意の組合せとして実装されることができる。
【0028】
ここで、さらなる実施形態を、EPSおよび5Gシステムと関連付けて説明する。
本明細書のさらなる実施形態は、EPSおよび5Gシステムの文脈で説明されているが、ユーザプレーンパス障害の検出および対処のためのメカニズムに同じ問題が存在する場合には、他の様々な通信システムにも本実施形態を適用することができることを理解されたい。実施形態では特定の用語が使用されているが、実施形態は、これらの特定の用語に限定されず、すべての同様のエンティティに適用されてもよいことも理解されるであろう。例えば、本明細書における「基地局」/「BS」という語は、例えば、アクセスポイント、基地局、マクロ基地局、フェムト基地局、NodeB (NB)、eNodeB (eNB)、gNodeB (gNB)などを指すことができ、本明細書における「ユーザ機器」/「UE」は、例えば、ユーザ端末、局、端末、端末ノードなどを指すことができる。
【0029】
1. 制御プレーンおよびユーザプレーンの分離(CUPS)なしのEPS
障害がユーザプレーンパス上に存在するか否かは、例えば、ユーザプレーンパスがノードによってコアネットワーク内で確立されているとき、または、ユーザプレーンパスが確立された後などに、例えば、エコーリクエストを使用することによって、エンドポイント、すなわち、無線アクセスネットワーク(RAN)内のBSまたはSGWのいずれかによって、検出可能である。
【0030】
1.1 BSによる障害検出
BSがユーザプレーンパスの障害を検出した場合を
図6に示し、ケース1、ケース2はMME によるユーザプレーンパス確立時の障害検出、ケース3、ケース4はユーザプレーンパス確立後の障害検出を示す。
【0031】
ケース1:初期コンテキストセットアップ(例えば、初期アタッチ、アクティブフラグを有するTAU)において、BSが、例えば、MMEからのイニシャル(初期)コンテキストセットアップリクエストにおいて、SGWトンネル情報を受信すると、BSは、SGWに向かうユーザプレーンパス上に障害が存在するかどうかを検出する。ユーザプレーンパス上で障害が検出された場合、BSは、プロシージャに失敗し、例えば、初期コンテキストセットアップレスポンスにおける原因として、ユーザプレーンパス障害をMMEに通知する。
【0032】
ケース2:進化型無線アクセスベアラ(E-RAB)セットアップ(例えば、UEが要求したPDNコネクティビティ、専用ベアラアクティベーション時)において、BSが、例えば、MMEからのE-RABセットアップ要求により、SGWトンネル情報を受信すると、BSは、SGWに向かうユーザプレーンパス上に障害が存在するかどうかを検出する。ユーザプレーンパス上で障害が検出された場合、BSは、プロシージャに失敗し、例えば、E-RABセットアップレスポンスにおける原因として、ユーザプレーンパス障害をMMEに通知する。
【0033】
ケース3およびケース4:E-RABがすでに確立されており、BSとSGWとの間のユーザプレーンパス障害がBSによって検出されたと仮定すると、BSは、例えば、E-RABリリース(解放)インジケーションまたはUEコンテキストリリースクエストにおける原因として、ユーザプレーンパス障害をMMEに通知することができる。
【0034】
1.2 SGW による障害の検出
図7は、SGWによってユーザプレーンパス上の障害を検出するケースを示し、ケース1、ケース2、ケース3は、MMEによってユーザプレーンパスが確立されているときの障害の検出に関連し、ケース4は、ユーザプレーンパスが確立された後の障害の検出に関連する。
【0035】
ケース1:セッションの生成(例えば、X2ベースのハンドオーバプロシージャの場合)において、SGWが、例えば、MMEからのセッション生成リクエストにより、BSトンネル情報を受信すると、SGWは、BSとSGWとの間のユーザプレーンパス上に障害が存在するかどうかを検出する。ユーザプレーンパス上で障害が検出された場合、SGWは、プロシージャに失敗し、例えば、セッション生成レスポンスの原因として、ユーザプレーンパス障害をMMEに通知する。
【0036】
ケース2:ベアラの変更時(これは、例えば、異なる手順を含むことができ、たとえば、イニシャルアタッチ、サービスリクエスト、アクティブフラグ付きTAU、ハンドオーバ、PDN コネクティビティ)、SGW がBS トンネル情報を受信すると(例えば、MME からのベアラ変更リクエストなど)、SGW は、BSとSGWとの間におけるユーザプレーンパスに障害が存在するかどうかを検出する。ユーザプレーンパス上で障害が検出された場合、SGWは、プロシージャに失敗し、例えばベアラ変更レスポンスの原因として、ユーザプレーンパス障害をMMEに通知する。
【0037】
ケース3:ベアラの作成(これは、例えば、専用ベアラアクティベーションプロシージャである)において、SGWが、例えば、MMEからのベアラ作成レスポンスにおいてBSトンネル情報を受信すると、SGWは、BSとSGWとの間のユーザプレーンパス上に障害が存在するかどうかを検出する。ユーザプレーンパス上で障害が検出された場合、SGWは、BSトンネル情報を除去し、ダウンリンクデータ通知(DDN)の原因として、ユーザプレーンパス障害をMMEに通知する。
【0038】
ケース4:ユーザプレーンパスがすでに確立されており、BSとSGWとの間のユーザプレーンパス障害がSGWによって検出されたと仮定すると、SGWは、BSトンネル情報を除去し、例えば、DDNにおける原因として、ユーザプレーンパス障害をMMEに通知することができる。
【0039】
1.3 MMEによる障害のハンドリング(対処)
MMEがBSまたはSGWからユーザプレーンパス障害に関する通知を受信すると、MMEは、ユーザプレーンパスを一時的に利用不可(例えば、設定可能なある時間中は利用不可)とマークし、MMEが再度ユーザプレーンパスを確立しようとする際にこの情報を考慮することができる。MMEはまた、以下のアクションをとることができる。
【0040】
MMEは、再アクティブ化が必要な失敗したユーザプレーンパスに関係するPDNコネクションを非アクティブ化することを決定することがある。次のPDNコネクティビティリクエストで、MMEは、MMEとそのユーザプレーンパスのSGWとの間のS11制御プレーンパスが依然としてアクティブであったとしても、一時的に利用不可能であるとマークされた障害の起きたユーザプレーンパスを考慮し、設定可能な期間中は、別のSGWを選択する。
【0041】
MMEはまた、障害を起こしたユーザプレーンパスに関連するPDNコネクションを維持するが、MMEとBSとの間にあるS1-AP制御プレーンパスをリリース(解放)することができる。次回のサービスリクエストでは、MMEは、ユーザプレーンパス障害を考慮して別のSGWを選択することができる。
【0042】
2. CUPS付EPS
このようなシステムにおいて、ユーザプレーンパスに障害が存在するか否かは、例えば、コアネットワーク内のノードによってユーザプレーンパスが確立されているとき、またはユーザプレーンパスが確立された後に、エコーリクエストを使用することによって、エンドポイント、すなわち、RAN内のBSまたはSGW-ユーザプレーン機能(SGW-U)のいずれかによって、検出可能である。
【0043】
2.1 BSによる障害検出
CUPS付きEPSにおいてBSがユーザプレーンパス上の障害を検出した場合の例は、CUPSなしEPSと同様であり、例えば
図6に示される。
【0044】
2.2 SGW-U による障害の検出
図8は、SGW-Uによるユーザプレーンパス上の障害を検出する例示的なケースを示しており、ケース1は、ユーザプレーンパスがノードによってコアネットワーク内に確立されているときの障害の検出に関するものであり、ケース2は、ユーザプレーンパスが確立された後の障害の検出に関するものである。
【0045】
ケース1:SGW-Uは、ユーザプレーン確立中にユーザプレーン障害を報告することができる。SGW-UがSGW-CからのSxセッション確立メッセージや変更リクエストメッセージなどでBSトンネル情報を受信すると、SGW-Uは、BSとSGW-Uとの間のユーザプレーンパスに障害が存在するかどうかを検出する。ユーザプレーンパス上で障害が検出された場合、SGW-Uはプロシージャに失敗し、SGW-Cに、ユーザプレーンパス障害、例えば、Sxセッション確立または修正レスポンスメッセージの原因、を通知する。
【0046】
ケース2:ユーザプレーンパスがすでに確立されており、BSとSGW-Uとの間のユーザプレーンパス障害がSGW-Uで検出されたと仮定した場合、SGW-Uは、BSトンネル情報を削除し、例えば、SGW-Cにノード報告リクエストなどの原因として、ユーザプレーンパス障害を通知することができる。
【0047】
2.3 MME/SGW-C による障害の対処
BSによって障害が検出されると、BSは、MMEに障害を通知し、MMEはセクション1.3に記載されているのと同じ方法で障害を処理する。
【0048】
SGW-Uで障害が検出されると、SGW-Uが、SGW-Cに障害を通知し、SGW-CはMMEに障害を報告するかどうかを判定する(つまり、SGW-CはMMEがユーザプレーンパス障害を解決するために別のSGW-Cを再選択する必要があると考える)。SGW-Cは、別のSGW-Uを選択することを決定することもできる(つまり、SGW-Cは、別のSGW-Uを再選択することによってユーザプレーンパス障害を解決できると考える)。このとき、SGW-Uは、ユーザプレーンパスの他のエンドポイントのIPアドレスおよびインタフェース種別(例えば、BSユーザプレーンIPアドレスおよびS1-Uインタフェース)をSGW-Cに報告する必要がある。レポート情報は、既存のSxメッセージまたは新しいメッセージにより搬送可能である。
【0049】
3. 5Gシステム
5Gシステムは、ユーザプレーン障害ハンドリングが、アクセスおよびモビリティマネージメント機能(AMF)に対してトランスペアレントであるべきであると考えている。ユーザプレーンパス障害は、セッション管理機能(SMF)によって処理される。
【0050】
3.1 BSによる障害検出
基地局がユーザプレーンパス上の障害を検出した例示的なケースを
図9に示す。
【0051】
ケース1:このケースは、ユーザプレーンパスがSMFによって確立されているときに障害を検出することに関する。例えば、N3トンネルの確立中に、BSがユーザプレーンパス上に障害が存在することを検出した場合、BSは、プロシージャに失敗し、例えば、N2メッセージ内の原因として、ユーザプレーンパス障害をSMFに通知する。
【0052】
ケース2:このケースは、ユーザプレーンパスが確立された後に障害を検出することに関する。例えば、N3トンネルがすでに確立された後、BSがユーザプレーンパス上に障害が存在することを検出する場合、BSは、例えば、N2メッセージにおける原因として、ユーザプレーンパス障害をSMFに通知することができる。
【0053】
3.2 ユーザプレーンファンクション(UPF)による障害の検出
UPFによって障害を検出した場合の例を
図10に示す。
【0054】
ケース1:このケースは、ユーザプレーンパスがSMFによって確立されているときに障害を検出することに関する。例えば、N3トンネルの確立中に、UPFがユーザプレーンパス上に障害が存在することを検出した場合、UPFは、プロシージャに失敗し、例えば、N4レスポンスメッセージにより、ユーザプレーンパス障害をUPFに通知する。
【0055】
ケース2:このケースは、ユーザプレーンパスが確立された後に障害を検出することに関する。例えば、N3トンネルがすでに確立された後、UPFがユーザプレーンパス上に障害が存在することを検出する場合、UPFは、例えば、N4リクエストメッセージにおいて、ユーザプレーンパス障害をSMFに通知することができる。
【0056】
3.3 SMFによる障害の処理
SMFは、ユーザプレーンパスを一時的に利用不可能であるとマークし、このマークに基づいてUPF再選択を実行することができる。
【0057】
SMFがUPFの再選択を考慮してもパス障害の問題を解決できない場合、PDUセッションを解放し、AMFへのパス障害をインジケートする(示す)こともできる。AMFは、次のPDUセッション確立時のSMF選択について、このパス障害を考慮してもよい。
【0058】
図11は、本開示による通信ネットワークにおけるアクセスネットワークとコアネットワークとの間にあるユーザプレーンパスのエンドポイント1100の概略構成図である。エンドポイント1100は、ユーザプレーンパス上に障害が存在するか否かを検出する検出部1101と、障害を検出すると、ノードが障害に対処(対策)するために、障害をコアネットワークのノードに通知する通知部1102とを備える。
【0059】
図12は、本開示によるコアネットワークおよびアクセスネットワークを含む通信ネットワークにおけるコアネットワーク内のノード1200の概略構成図である。ノード1200は、ユーザプレーンパスのエンドポイントから、アクセスネットワークとコアネットワークとの間のユーザプレーンパスの障害に関する通知を受信する受信部1201と、障害に対処する対処部1202とを有する。
【0060】
ここで説明されるエンドポイント1100およびノード1200は、様々なユニットによって実装されてもよく、その結果、実施形態で説明される1つまたは複数の機能を実装するエンドポイント1100およびノード1200のそれぞれは、図面に示されるユニットだけでなく、その1つまたは複数の機能を実装するための他のユニットも備えることができることを理解されたい。さらに、エンドポイント1100およびノード1200のそれぞれは、2つ以上の機能を実行するように構成された単一のユニット、またはそれぞれの別個の機能のための別個のユニットを備えることができる。さらに、ユニットは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せで実装され得る。
【0061】
ブロック図および/またはフローチャートにおけるブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャートにおけるのブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実装され得ることを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、および/または他のフィールドプログラマブルゲートアレイデータ処理装置のプロセッサに提供されて、コンピュータおよび/または他のフィールドプログラマブルゲートアレイデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、ブロック図および/またはフローチャートの1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実施するための手段を作成するように、マシンを生成することができる。
【0062】
さらに、本開示の解決策は、命令実行システムによって、またはそれと関連して使用されるよう、媒体内に具現化されたコンピュータ使用可能またはコンピュータ可読プログラムコードを有するメモリ上のコンピュータプログラムの形式をとることができる。本文書の文脈において、メモリは、命令実行システム、装置、または装置によって、またはそれと関連して使用可能なような、プログラムを、含む、格納する、または通信するように構成された任意の媒体であってもよい。
【0063】
したがって、本開示はまた、
図13に示されるように、プロセッサ1301およびメモリ1302を含むエンドポイント1300を提供し、エンドポイント1300において、メモリ1302は、プロセッサ1301によって実行されるときに、エンドポイント1300に、実施形態で上述したエンドポイントの方法を実行させる命令を格納する。また、本開示は、
図14に示すように、プロセッサ1401と、メモリ1402とを含むノード1400を提供する。ノードの1400において、メモリ1402は、プロセッサ1401によって実行されると、ノード1400に、上記の実施形態で説明したノードの方法を実行させる命令を格納する。
【0064】
本明細書は、多くの具体的な実装の詳細を含むが、これらは、任意の実装または特許請求され得るものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実装の特定の実施形態に固有であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈で本明細書に記載される特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施形態で別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで実装することもできる。さらに、特徴は、特定のコンビネーション(組合せ)で動作するものとして上記で説明されてもよく、そのようなものとして最初に特許請求されてもよいが、特許請求される組合せからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては、その組合せから削除されてもよく、特許請求される組合せは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形に向けられてもよい。
【0065】
当業者には、技術が進歩するにつれて、本開示の概念を様々な方法で実施できることが明らかであろう。上述の実施形態は、本開示を限定するのではなく、説明するために与えられ、当業者が容易に理解するように、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、修正および変形を行うことができることを理解されたい。そのような修正および変形は、本開示および添付の特許請求の範囲の範囲内にあると考えられる。本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0066】
略語
BS: 基地局
EPS: 進化型パケットシステム
E-UTRAN: 進化型ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク
SGW: サービングゲートウエイ
SGW-U: SGWユーザプレーン機能
SGW-C: SGW制御プレーン機能
(R)AN: 無線アクセスネットワーク
UPF: ユーザプレーン機能
MME: モビリティマネージメントエンティティ
AMF: アクセスおよびモビリティマネージメント機能
SMF: セッション管理機能
UE: ユーザ装置
PDN: パケットデータネットワーク
E-RAB: 進化型無線アクセスベアラ