(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】付加製造用の金属粉末
(51)【国際特許分類】
B22F 1/00 20220101AFI20240613BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20240613BHJP
C22C 38/58 20060101ALI20240613BHJP
B22F 10/00 20210101ALI20240613BHJP
B22F 9/08 20060101ALI20240613BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240613BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240613BHJP
B22F 1/12 20220101ALI20240613BHJP
B22F 10/34 20210101ALI20240613BHJP
C22C 33/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B22F1/00 S
C22C38/00 302Z
C22C38/58
B22F10/00
B22F9/08 A
B33Y70/00
B33Y80/00
B22F1/12
B22F10/34
C22C33/02 103D
C22C33/02 B
C22C33/02 A
(21)【出願番号】P 2022537459
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 IB2020061889
(87)【国際公開番号】W WO2021124069
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2019/061165
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラメンテリア・フェルナンデス,ロサリア
(72)【発明者】
【氏名】ボネ,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】コラル・コラレス,マリア・エレナ
(72)【発明者】
【氏名】オーバービリヒ,カルラ
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-359975(JP,A)
【文献】特表2018-503739(JP,A)
【文献】特表2010-502838(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0174942(US,A1)
【文献】国際公開第2018/193411(WO,A1)
【文献】特開2006-245534(JP,A)
【文献】特開2001-234918(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105838993(CN,A)
【文献】特開2014-105373(JP,A)
【文献】特開2018-172739(JP,A)
【文献】特開2017-114716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-12/90
C22C 38/00-38/60
C22C 33/02
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末であって、重量含有量で表される、次の元素を含み:
0.01%≦C≦0.2%
4.6%≦Ti≦10%
(0.45xTi)-0.22%≦B≦(0.45xTi)+0.70%
0≦S≦0.03%
0≦P≦0.04%
0≦N≦0.05%
0≦O≦0.05%
0≦Si≦1.5%
0≦Mn≦3%
0≦Al≦1.5%
0≦Ni≦1%
0≦Mo≦1%
0≦Cr≦3%
0≦Cu≦1%
0≦Nb≦0.1%
0≦V≦0.5%
並びにTiB
2及びFe
2Bの析出物を含み、残部がFe及び精錬から生じる不可避不純物である組成を有し、TiB
2の体積百分率が、10%以上であり、前記粉末の平均かさ密度が、7.50g/cm
3以下である、金属粉末。
【請求項2】
Fe
2Bの前記体積百分率が、少なくとも4%である、請求項1に記載の金属粉末。
【請求項3】
前記粉末の遊離Ti含有量が、重量で0.30~0.40%の間に含まれる、請求項1又は2に記載の金属粉末。
【請求項4】
付加製造用の金属粉末を製造するための方法であって、
重量含有量で表される、0.01%≦C≦0.2%、4.6%≦Ti≦10%、(0.45xTi)-0.22%≦B≦(0.45xTi)+0.70%、
0≦S≦0.03%、
0≦P≦0.04%、
0≦N≦0.05%、
0≦O≦0.05%、
0≦Si≦1.5%、
0≦Mn≦3%、
0≦Al≦1.5%、
0≦Ni≦1%、
0≦Mo≦1%、
0≦Cr≦3%、
0≦Cu≦1%、
0≦Nb≦0.1%、
0≦V≦0.5%を含有し、残部がFe及び精錬から生じる不可避不純物である溶融組成物を得るように、液相線温度より少なくとも50℃高い温度で元素及び/又は金属合金を溶融するステップ、並びに
加圧ガスを用いてノズルを通して前記溶融組成物を噴霧するステップ
を含む、方法。
【請求項5】
前記溶融が、液相線温度より少なくとも100℃高い温度で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記溶融が、液相線温度よりも最大400℃高い温度で行われる、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記ガスが、10~30バールの間で加圧される、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の金属粉
末又は請求項4~7
のいずれか一項に記載の方法によって得られる
金属粉末を使用する付加製造工程を含む、金属部品
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼部品の製造のための、特に付加製造用のそれらの使用のための金属粉末に関する。本発明はまた、金属粉末を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FeTiB2鋼は、その優れた高弾性率E、低密度及び高引張強度のために大きな注目を集めている。しかしながら、そのような鋼板は、従来の経路では良好な歩留まりで生産することが困難であり、その使用が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、良好な使用特性を維持しながら付加製造法によって部品を製造するために効率的に使用することができるFeTiB2粉末を提供することにより、そのような欠点を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、本発明の第1の主題は、重量含有量で表される、次の元素を含み:
0.01%≦C≦0.2%
4.6%≦Ti≦10%
(0.45xTi)-0.22%≦B≦(0.45xTi)+0.70%
S≦0.03%
P≦0.04%
N≦0.05%
O≦0.05%
及び任意選択的に、以下を含有し:
Si≦1.5%
Mn≦3%
Al≦1.5%
Ni≦1%
Mo≦1%
Cr≦3%
Cu≦1%
Nb≦0.1%
V≦0.5%
並びにTiB2及びFe2Bの析出物を含み、残部がFe及び精錬から生じる不可避不純物である組成を有する金属粉末であって、TiB2の体積百分率が、10%以上であり、粉末の平均かさ密度が、7.50g/cm3以下である、金属粉末からなる。
【0005】
本発明による金属粉末はまた、個別に又は組み合わせて考慮される、請求項2~4のいずれか一項に記載の任意選択的な特徴を有し得る。
【0006】
本発明の第2の主題は、付加製造用の金属粉末を製造するための方法であって、
-重量含有量で表される、0.01%≦C≦0.2%、4.6%≦Ti≦10%、(0.45xTi)-0.22%≦B≦(0.45xTi)+0.70%、S≦0.03%、P≦0.04%、N≦0.05%、O≦0.05%を含み、及び任意選択的に、Si≦1.5%、Mn≦3%、Al≦1.5%、Ni≦1%、Mo≦1%、Cr≦3%、Cu≦1%、Nb≦0.1%、V≦0.5%を含有し、残部がFe及び精錬から生じる不可避不純物である溶融組成物を得るように、液相線温度より少なくとも50℃高い温度で元素及び/又は金属合金を溶融するステップ、並びに
-加圧ガスを用いてノズルを通して溶融組成物を噴霧するステップ
を含む、方法からなる。
【0007】
本発明による方法はまた、個別に又は組み合わせて考慮される、請求項6~8のいずれか一項に記載の任意選択的な特徴を有し得る。
【0008】
本発明は、純粋に説明の目的で提供され、決して限定的であることを意図しない以下の説明を読むことによってよりよく理解されるであろう。
【0009】
本発明による粉末は、部品の製造に使用される場合に良好な特性を得るためにバランスのとれた特定の組成を有する。
【0010】
炭素含有量が0.20%を超えると、耐低温割れ性及びHAZ(熱影響部)の靭性が低下するため、溶接性により炭素含有量が制限される。炭素含有量が0.050重量%以下であると、抵抗溶接性が特に向上する。
【0011】
鋼のチタン含有量のために、炭素含有量は、液体金属中のTiC及び/又はTi(C、N)の一次析出を回避するように制限されることが好ましい。最大炭素含有量は、主に凝固中又は固相においてTiC及び/又はTi(C、N)析出物を生産するために、好ましくは0.1%に、さらに良好には0.080%に制限されなければならない。
【0012】
ケイ素は、任意要素であるが、添加すると、固溶体硬化のおかげで引張強度の増加に効果的に寄与する。しかしながら、ケイ素の過剰な添加は、除去が困難な付着性酸化物の形成を引き起こす。良好な表面特性を維持するために、ケイ素含有量は、1.5重量%を超えてはならない。
【0013】
マンガン元素は、任意選択的である。しかしながら、0.06%以上の量では、マンガンは、焼入れ性を増加させ、固溶体硬化に寄与するため、引張強度を増加させる。それは、存在する任意の硫黄と結合し、したがって高温割れのリスクを低減する。しかし、3重量%のマンガン含有量を超えると、凝固中にマンガンの有害な偏析が形成されるリスクが高くなる。
【0014】
アルミニウム元素は、任意選択的である。しかしながら、0.005%以上の量では、アルミニウムは、鋼を脱酸素するための非常に有効な元素である。しかし、1.5重量%の含有量を超えると、アルミナの過剰な一次析出が起こり、加工上の問題を引き起こす。
【0015】
0.030%を超える量では、硫黄は、有害な硫化マンガンの形態で過剰に大量に析出する傾向がある。
【0016】
リンは、粒界に偏析することが知られている元素である。その含有量は、十分な熱間延性を維持し、それによって割れを回避するために0.040%を超えてはならない。
【0017】
任意選択的に、ニッケル、銅又はモリブデンを添加してもよく、これらの元素は、鋼の引張強度を増加させる。経済的理由から、これらの添加は、1重量%に制限される。
【0018】
任意選択的に、引張強度を増加させるためにクロムを添加してもよい。それはまた、より大量の炭化物を析出させることが可能である。しかしながら、その含有量は、より安価な鋼を製造するために3重量%に制限される。0.080%以下のクロム含有量が好ましくは選定される。これは、クロムを過剰に添加すると、より多くの炭化物が析出するためである。
【0019】
また、任意選択的に、ニオブ及びバナジウムは、微細な析出炭窒化物の形態の相補的な硬化を得るために、それぞれ0.1%以下及び0.5%以下の量で添加されてもよい。
【0020】
チタン及びホウ素は、本発明による粉末において重要な役割を果たす。
【0021】
チタンは、4.6%~10%の間の量で存在する。チタンの重量含有量が4.6%未満であると、TiB2析出物が十分に生じない。これは、析出したTiB2の体積分率が10%未満であるため、240GPa未満のままであり得る弾性率の大きな変化を妨げるためである。チタンの重量含有量が10%を超えると、液体金属中に粗大な一次TiB2析出物が生じ、製品に問題を引き起こす。さらに、液相線温度が上昇し、標準的な噴霧方法では少なくとも50℃の過熱を達成することができない。
【0022】
FeTiB2共晶析出物は、凝固時に生じる。析出の共晶性は、形成された微細構造に、機械的特性に有利な特定の細かさ及び均質性を与える。TiB2共晶析出物の量がTiB2析出物の体積の10%を超える場合、弾性率は、約240GPaを超えてもよく、それによってかなり軽量化された構造を設計することを可能にする。この量は、クロム又はモリブデンなどの合金元素を含む鋼の場合、15体積%に増加して約250GPaを超えてもよい。これは、これらの元素が存在すると、共晶析出の場合に得ることができるTiB2の最大量が増加するためである。
【0023】
上記で説明したように、チタンは、内因性TiB2形成を引き起こすのに十分な量で存在しなければならない。
【0024】
本発明の枠内において、ここでの「遊離Ti」は、析出物の形態で結合していないTiの含有量を示す。遊離Ti含有量は、遊離Ti=Ti-2.215×Bとして評価することができ、Bは、粉末中のホウ素含有量を示す。
【0025】
本発明によれば、チタン及びホウ素の含有量は、以下となるようなものである:
-0.22≦B-(0.45×Ti)≦0.70
この範囲では、遊離Tiの含有量は、0.5%未満である。遊離Tiは、0.30~0.40%の間の値に設定することが好ましい。析出は、2つの連続する共晶:第1にFeTiB2、次いでFe2Bの形態で起こり、Fe2Bのこの第2の内因性析出は、合金のホウ素含有量に応じてより多い又はより少ない量で起こる。Fe2Bの形態で析出する量は、8体積%までの範囲であり得る。この第2の析出も共晶スキームに従って起こり、これは、微細で均一な分布を得ることを可能にし、それによって機械的特性の良好な均一性を保証する。
【0026】
Fe2Bの析出は、TiB2の析出を完了させ、その最大量は、共晶に結合している。Fe2Bは、TiB2と同様の役割を果たす。それは、弾性率を増加させ、密度を低下させる。したがって、TiB2析出に対するFe2B析出の相補性を変動させることによって、機械的特性を微調節することが可能である。これは、特に鋼において250GPaを超える弾性率を得るために使用することができる。鋼が4体積%以上のFe2Bの量を含有する場合、弾性率は、5GPaを超えて増加する。Fe2Bの量が7.5体積%を超えると、弾性率は、10GPaを超えて増加する。
【0027】
本発明による金属粉末のかさ密度は、驚くほど良好である。
【0028】
実際、本発明による金属粉末のかさ密度は、7.50g/cm3の最大値である。粉末のこの低密度のおかげで、付加製造によってそのような金属粉末で作製された部品は、向上した弾性率と共に減少した密度を示す。
【0029】
粉末は、例えば、最初に純粋な元素及び/又は合金鉄を原料として混合及び溶融することによって得ることができる。あるいは、粉末は、予備合金化組成物を溶融することによって得ることができる。
【0030】
純粋な元素は、これらの不純物が結晶化を容易にする可能性があるため、合金鉄に由来する不純物が多すぎることを回避するために通常好ましい。それにもかかわらず、本発明の場合、合金鉄に由来する不純物は、本発明の達成に有害ではないことが観察された。
【0031】
当業者は、異なる合金鉄及び純粋な元素を混合して標的組成物に到達する方法を知っている。
【0032】
純粋な元素及び/又は合金鉄を適切な割合で混合することによって組成物が得られると、組成物は、その液相線温度より少なくとも50℃高い温度で加熱され、この温度を維持してすべての原料を溶融し、溶融物を均質化する。この過熱のおかげで、溶融組成物の粘度の低下は、良好な特性を有する粉末を得るのに役立つ。とはいえ、表面張力が温度と共に増加するので、組成物をその液相線温度より450℃を超える温度で加熱しないことが好ましい。
【0033】
好ましくは、組成物は、その液相線温度より少なくとも100℃高い温度で加熱される。より好ましくは、組成物は、その液相線温度より300~400℃高い温度で加熱される。
【0034】
次いで、溶融組成物は、溶融金属流をオリフィス、ノズルに中程度の圧力で押し込むことによって、及びガスのジェット(ガス噴霧)又は水のジェット(水噴霧)を衝突させることによって、微細な金属液滴に噴霧される。ガス噴霧の場合、ガスは、ノズルを出る直前に金属流に導入され、同伴ガスが(加熱により)膨張して大きな収集体積の噴霧塔に出るときに乱流を生成する働きをする。後者は、溶融金属ジェットのさらなる乱流を促進するためにガスで満たされる。金属液滴は、噴霧塔において落下する間に冷却される。ガス噴霧は、真円度が高く、サテライトの量が少ない粉末粒子の生産に有利であるため好ましい。
【0035】
噴霧ガスは、アルゴン又は窒素である。それらは両方とも、溶融粘度を他のガス、例えばヘリウムよりもゆっくりと増加させ、これにより、より小さい粒径の形成が促進される。それらはまた、化学物質の純度を制御し、望ましくない不純物を回避し、粉末の良好なモルホロジーにおいて役割を果たす。窒素のモル重量が、アルゴンの39.95g/モルと比較して14.01g/モルであるので、窒素を用いるよりもアルゴンを用いる方がより微細な粒子を得ることができる。一方、窒素の比熱容量は、アルゴンの0.52と比較して1.04J/(gK)である。そのため、窒素は、粒子の冷却速度を増加させる。
【0036】
ガス圧は、金属粉末の粒径分布及び微細構造に直接影響を及ぼすため、重要である。特に、圧力が高いほど、冷却速度は高くなる。その結果、ガス圧は、粒径分布を最適化し、マイクロ/ナノ結晶相の形成を促進するために、10~30バールの間に設定される。好ましくは、ガス圧は、サイズが付加製造技術と最も適合する粒子の形成を促進するために14~18バールの間に設定される。
【0037】
ノズル直径は、溶融金属流量、したがって粒径分布及び冷却速度に直接影響を及ぼす。最大ノズル直径は、通常、平均粒径の増加及び冷却速度の低下を制限するために、4mmに制限される。ノズル直径は、粒径分布をより正確に制御し、特定の微細構造の形成を促進するために、好ましくは2~3mmの間である。
【0038】
ガス流量(Kg/h)と金属流量(Kg/h)との間の比として定義されるガス対金属比は、好ましくは1.5~7の間、より好ましくは3~4の間に保たれる。それは冷却速度の調節に役立ち、したがって特定の微細構造の形成をさらに促進する。
【0039】
本発明の一変形例によれば、湿度取り込みの場合、噴霧によって得られた金属粉末は、その流動性をさらに向上させるために乾燥される。乾燥は、好ましくは真空チャンバ中で100℃で行われる。
【0040】
噴霧によって得られた金属粉末は、そのまま使用することができるか、又は後で使用される付加製造技術によりよく適合するサイズの粒子を保つためにふるい分けすることができる。例えば、粉末床溶融結合法による付加製造の場合、20~63μmの範囲が好ましい。レーザ金属蒸着法又は直接金属蒸着成形による付加製造の場合、45~150μmの範囲が好ましい。
【0041】
本発明による金属粉末で作製された部品は、粉末床溶融結合法(LPBF)、直接金属レーザ焼結法(DMLS)、電子ビーム溶解法(EBM)、選択的加熱焼結方式(SHS)、レーザ焼結法(SLS)、レーザ金属蒸着法(LMD)、直接金属蒸着成形(DMD)、直接金属レーザ溶融法(DMLM)、直接金属印刷(DMP)、レーザクラッディング(LC)、バインダ噴射(BJ)などの付加製造技術によって得ることができ、本発明による金属粉末で作製されたコーティングは、コールドスプレー、熱スプレー、高速酸素燃料などの製造技術によっても得ることができる。
【実施例】
【0042】
この下に提示される次の実施例及び試験は、本質的に非限定的であり、例示のみを目的として考慮されなければならない。それらは、本発明の有利な特徴、広範な実験後に本発明者らによって選定されたパラメータの重要性を示し、本発明による金属粉末によって達成され得る特性をさらに確立する。
【0043】
表1による金属組成物は、最初に、合金鉄及び純粋な元素を適切な割合で混合及び溶融することによって、又は予備合金化組成物を溶融することによって得られた。添加した元素の重量百分率の組成を表1にまとめる。
【0044】
【表1】
窒素及び酸素の量は、すべての試料について0.001%未満であった。
【0045】
これらの金属組成物を加熱し、次いで、表2にまとめた工程条件でアルゴン又は窒素でガス噴霧した。
【0046】
【0047】
【0048】
次いで、得られた金属粉末を真空下100℃で0.5~1日間乾燥させ、ふるい分けして、それらのサイズに従って3つの画分F1~F3に分離した。画分F1は、1~19μmの間のサイズに対応する。画分F2は、20~63μmの間のサイズに対応し、画分F3は、63μmを超えるサイズに対応する。
【0049】
粉末の元素組成を重量百分率で分析し、主な元素を表3にまとめた。他のすべての元素含有量は、本発明の範囲内であった。
【0050】
【0051】
粉末のかさ密度を決定し、表4にまとめた。
【0052】
【0053】
かさ密度は、市販のPycnometer AccuPyc II 1340を使用して測定した。それは、Ar原子を使用するガス比重測定法に基づく。そのような方法は、濡れ性の問題により、粉末密度のために液体系を使用するアルキメデスの原理よりも正確である。
【0054】
試料を予備乾燥して水分を排除する。ヘリウムは、その小さな原子直径が小さな空洞に浸透するために使用する。
【0055】
測定方法は、第1の基準チャンバ中の所与の圧力でのHe注入に基づいており、次いでガスを、粉末を収容する第2のチャンバ中に放出する。この第2のチャンバ中の圧力を測定する。
【0056】
次いで、マリオッタの法則を使用して、粉末体積VEを計算する
【0057】
【0058】
- V1、第1の基準チャンバの体積、
- V0、粉末試料を収容する第2のチャンバ体積、
- VE、粉末の体積、
- P1、第1の基準チャンバ中のガス圧、
- P2、粉末試料を収容する第2のチャンバ中のガス圧力
【0059】
試料の重量を、較正された天秤を用いて測定し、次いで、対応する密度を計算する。
【0060】
実施例から、本発明による粉末は、その密度が著しく高い参照例と比較して、7.50g/cm3以下のレベルで低下した密度を示すことが明らかである。体積で表したiB2百分率の対応する値は、密度でそのようなギャップと一致していないので、この結果は驚くべきことである。