(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】混和材及びセメント組成物
(51)【国際特許分類】
C04B 20/00 20060101AFI20240613BHJP
C04B 14/10 20060101ALI20240613BHJP
C04B 18/08 20060101ALI20240613BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20240613BHJP
C04B 22/06 20060101ALI20240613BHJP
C04B 22/14 20060101ALI20240613BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
C04B20/00 B
C04B14/10 A
C04B18/08 Z
C04B18/14 A
C04B18/14 Z
C04B22/06 A
C04B22/14 B
C04B28/02
(21)【出願番号】P 2023048637
(22)【出願日】2023-03-24
【審査請求日】2023-12-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【氏名又は名称】平澤 賢一
(74)【代理人】
【識別番号】100135758
【氏名又は名称】伊藤 高志
(72)【発明者】
【氏名】本間 一也
(72)【発明者】
【氏名】樋口 隆行
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-254899(JP,A)
【文献】特開2008-246856(JP,A)
【文献】国際公開第2014/073634(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1276297(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00-32/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポゾラン物質を含み、
レーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布において、3~20μmにおける体積頻度の最大値を示す粒径A
maxと、粒径A
max以上であり、8~150μmの粒径範囲における体積頻度の最大値を示す粒径B
maxとの差(B
max-A
max)が
20~130μmであり、
105℃の恒温器の中に3時間放置した後の質量減少率が1質量%以下である混和材。
【請求項2】
粒径B
maxと粒径A
maxとの差が(B
max-A
max)が、30~100μmである請求項1に記載の混和材。
【請求項3】
前記ポゾラン物質がシリカヒュームである第1のポゾラン物質を含み、粒径B
maxが前記シリカヒュームの平均粒径に起因する請求項1に記載の混和材。
【請求項4】
前記ポゾラン物質が、さらに、高炉スラグ、フライアッシュ、及び、メタカオリンから選ばれる1種又は2種以上の第2のポゾラン物質を含み、粒径A
maxが前記第2のポゾラン物質の平均粒径に起因する請求項3に記載の混和材。
【請求項5】
さらに、石膏を含む請求項3に記載の混和材。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の混和材とセメントとを含むセメント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混和材及びセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本だけでなく、ベトナムや中国等のアジアでは経済発展とともに、社会インフラの整備も急速に進んでいる。それに伴い、現地のニーズに見合った土木、建設材料の開発や安定供給が必要になっている。
【0003】
そのようななか、セメントコンクリートの高性能化が望まれており、特に、高層建築やコンクリート構造物の高耐久化、長寿命化と関連して、高強度コンクリートのニーズが増している。
【0004】
高強度コンクリートには、シリカフュームやフライアッシュ等のポゾラン物質が混和材として多用されている。ポゾラン物質を含む混和材は、コンクリートの高強度化、耐久性の向上に有効であるが、必要な流動性を得るまでの練り混ぜ時間が通常のセメント組成物に比べて長くなることがあり、その結果、高強度コンクリートの施工に時間がかかってしまう。
また、練り混ぜが十分でない場合、コンクリートの施工性、例えば、コンクリートの型枠等へのポンプ移送の際に配管の閉塞が生じやすくなることがある。
【0005】
特許文献1では、特定の粒度の高炉スラグ粉末に無水石膏もしくは無水石膏とシリカフュームを配合してなるセメント混和材により、モルタル練り混ぜ時間が短縮できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1には強度についての具体的な評価がないため、当該セメント混和材が高強度コンクリート用に適しているかどうかは不明である。
【0008】
以上から、本発明は、練り混ぜ時間を短縮でき、コンクリートに用いた際に強度の増進効果が得られる混和材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは下記本発明に想到し当該課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は下記のとおりである。
【0010】
[1] ポゾラン物質を含み、レーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布において、3~20μmにおける体積頻度の最大値を示す粒径Amaxと、粒径Amax以上であり、8~150μmの粒径範囲における体積頻度の最大値を示す粒径Bmaxとの差(Bmax-Amax)が130μm以下であり、105℃の恒温器の中に3時間放置した後の質量減少率が1質量%以下である混和材。
[2] 粒径Bmaxと粒径Amaxとの差が(Bmax-Amax)が、30~100μmである[1]に記載の混和材。
[3] 前記ポゾラン物質がシリカヒュームである第1のポゾラン物質を含み、粒径Bmaxが前記シリカヒュームの平均粒径に起因する[1]又は[2]に記載の混和材。
[4] 前記ポゾラン物質が、さらに、高炉スラグ、フライアッシュ、及び、メタカオリンから選ばれる1種又は2種以上の第2のポゾラン物質を含み、粒径Amaxが前記第2のポゾラン物質の平均粒径に起因する[3]に記載の混和材。
[5] さらに、石膏を含む[1]~[4]のいずれか1つに記載の混和材。
[6] [1]~[5]のいずれか1つに記載の混和材とセメントとを含むセメント組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、練り混ぜ時間を短縮でき、コンクリートに用いた際に強度の増進効果が得られる混和材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る混和材における、レーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る一実施形態(以下、「本実施形態」ということがある)について説明する。なお、本明細書において「部」、「%」は、特に規定しない限り質量基準である。
【0014】
本実施形態に係る混和材は、ポゾラン物質を含む。ポゾラン物質を含むことで強度の増進効果が得られる。
また、当該混和材は、レーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布において、3~20μmにおける体積頻度の最大値を示す粒径Amaxと、粒径Amax以上であり、8~150μmの粒径範囲における体積頻度の最大値を示す粒径Bmaxとの差(Bmax-Amax、以下、「最大値差」ということがある)が130μm以下となっている。
【0015】
上記についてより具体的に説明すると、本実施形態は、例えば
図1に示すように、レーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布において、体積頻度の最大値(例えば、ピーク)を示す粒径A
maxが3~20μmの範囲に存在し、体積頻度の最大値(例えば、ピーク)を示す粒径B
maxが、粒径A
max以上であり、8~150μmの粒径範囲に存在する。そして、それぞれの差(B
max-A
max)が130μm以下となっている。
【0016】
本発明者らは、上記のような最大値差を有することで、混和材が練混ぜにより攪拌力を受けると、各粒子に分散しやすい状態となっていると推察され、これにより練り混ぜ時間を短縮できることを見出した。
【0017】
最大値差は、130μm以下であることが好ましく、110以下であることがより好ましい。また、粒径Amaxと粒径Bmaxとが同じ場合は単峰性となるが、粒径Amaxよりも粒径Bmaxの方が大きく、分布が明確な二峰性であることが好ましい。すなわち、最大値差は、10μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましい。
【0018】
なかでも、混和材の充填性(最密充填性)を良好にする観点から、最大値差は、30~100μmであることが好ましく、40~90μmであることがより好ましい。
【0019】
最大値差を所望の範囲にするには、例えば、ポゾラン物質を混合粉砕する時間を調整すればよい。混合粉砕する時間が長いとBmaxが小さくなり、最大値差が小さくなる。
粒径Amax、粒径Bmaxの体積頻度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0020】
また、本実施形態に係る混和材は、105℃の恒温器の中に3時間放置した後の質量減少率が1質量%以下となっている。この質量減少率は、粒子の分散に関連し、1質量%以下となっていることで、練混ぜ時間の短縮や、強度増進効果を付与することができる。
当該質量減少率は、0.95%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましい。なお、下限値は、実際的には、0.2質量%程度である。
【0021】
105℃の恒温器の中に3時間放置した後の質量減少率を所望の範囲にするには、例えば、後述する造粒シリカヒュームについて、水分含有率が低いものを用いたり、各種材料の一部若しくは全部を適宜加熱したりすればよい。
当該質量減少率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0022】
ポゾラン物質としては、シリカヒュームである第1のポゾラン物質を含むことが好ましく、粒径Bmaxがシリカヒュームの平均粒径に起因することが好ましい。
粒径Bmaxは、30~130μmの粒径範囲にあることが好ましく、60~110μmの粒径範囲にあることがより好ましい。
なお、本明細書における平均粒径はレーザー回折散乱法で測定される体積基準の平均粒径(D50)をいう。
【0023】
当該シリカフューム(以下、SFという)とは、特に限定されるものではないが、例えば、金属シリコンやフェロシリコンなどのシリコンアロイを電気炉で製造する際に、アーク熱で一度気化したSiO2が煙道で冷却される過程で固化し副生する球形の、直径が1μm以下の微粒子で、主成分は非晶質の反応性の高いSiO2である。
【0024】
シリカヒュームの形態としては、造粒されていない粉体シリカヒュームと、粉体シリカヒュームが造粒されてなる造粒シリカヒュームとがある。粉体シリカフュームとは、JIS A 6207に記載されているシリカフュームをいい、嵩密度は、0.4~0.8g/cm3程度である。
また、造粒シリカフュームとは、粉体シリカヒュームが造粒してシリカヒュームで、レーザー回折・散乱型粒度分布測定装置で測定した体積基準の平均粒径が150~350μm、密度が2.20~2.30g/cm3、BET比表面積が15~25m2/gのものをいう。
【0025】
粉体シリカヒュームは分散性に優れるが使用中に凝集しやすい。一方、造粒シリカヒュームは、使用中に凝集することはないが、分散性に劣ることがある。これらは二律背反の関係にあるが、本実施形態では、少なくとも、造粒シリカヒュームを用いることが好ましい。造粒シリカヒュームを他の材料と混合して混合粉砕処理すると、造粒シリカヒュームの凝集が解けて最大値差(Bmax-Amax)が130μmとなり、練り混ぜ時間を短縮できる効果が得られやすくなる。
【0026】
シリカヒュームの含有量は、混和材中、30~80質量%であること好ましく、35~70質量%であることがより好ましい。
【0027】
また、ポゾラン物質が、さらに、高炉スラグ、フライアッシュ、及び、メタカオリンから選ばれる1種又は2種以上の第2のポゾラン物質を含むことが好ましく、粒径Amaxが当該第2のポゾラン物質の平均粒径に起因することが好ましい。
粒径Amaxは、5~18μmの粒径範囲にあることが好ましく、8~15μmの粒径範囲にあることがより好ましい。
【0028】
高炉スラグとは、鉄鋼製造の過程で高炉から排出される溶融状態のスラグを水などで急冷してガラス質にした高炉水砕スラグなどであり、粉砕して粉末化したものである。
高炉水砕スラグは、潜在水硬性を有しており、アルカリの刺激作用により硬化する性質を持つものである。これ以外の、例えば、都市ゴミや下水汚泥等を溶融したスラグ、脱燐スラグ、徐冷スラグなども使用することができる。
高炉スラグのブレーン比表面積(JIS R 5201:2015)は、2500cm2/g以上が好ましく、3000~4500cm2/gがより好ましい。
【0029】
フライアッシュとは、石炭火力発電所で石炭燃焼の際に発生する石炭灰で、集塵器によって捕集される灰である。本発明においては、JIS A 6201に定められるI種~IV種に分類されるものが好ましく、特にII種に分類されるものが好ましい。フライアッシュのブレーン比表面積は、2500cm2/g以上が好ましく、3000~4500cm2/gがより好ましい。
【0030】
メタカオリンとは、カオリナイト鉱物を600℃前後で熱処理して、OHの形で結晶格子内に入っている水を脱水させたものであって、X線的には非晶質のアルミノケイ酸であり、ポゾラン活性を有する。
メタカオリンのブレーン比表面積は、6000~18,000cm2/gであることが好ましく、10、000~15,000cm2/gであることがより好ましい。
【0031】
高炉スラグ、フライアッシュ、及び、メタカオリンから選ばれる1種又は2種以上の第2のポゾラン物質の含有量は、混和材中、10~70質量%であること好ましく、15~60質量%であることがより好ましい。
【0032】
第1のポゾラン物質に対する第2のポゾラン物質の質量割合(第2のポゾラン物質/第1のポゾラン物質)は、強度発現性および流動性の観点から、0.7~5であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。
【0033】
本実施形態に係る混和材は、さらに、石膏を含むことが好ましい。
石膏は、無水石膏、半石膏、二水石膏を総称するものであり、いかなるものも使用可能である。また、これらは1種又は2種以上を併用することもできる。なかでも、無水セッコウを選定することが強度発現性の観点から好ましい。
【0034】
石膏の粒度は、特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積で3,000~8,000cm2/gが好ましく、4,000~7,000cm2/gがより好ましい。3,000cm2/g以上であると、十分な強度発現性が得られ、長期的に異常膨張を起こすことがない。一方、8,000cm2/gを超えても更なる効果の増進が期待できない。
石膏の含有量は、混和材中、0~40質量%であること好ましく、5~35質量%であることがより好ましい。
【0035】
本実施形態に係る混和材は、既述のポゾラン物質の原料を混合、粉砕することで得られるが、例えば、造粒シリカヒュームと第2のポゾラン物質を原料とする場合は、これらをボールミルにより混合粉砕することが好ましい。造粒シリカヒュームは通常、第2のポゾラン物質よりも粒径が大きいため、ボールミルによる粉砕の時間を長くすることで造粒シリカヒュームの微粉化が進む。したがって、この粉砕時間を調整することで、最大値差(Bmax-Amax)が130μm以下で、所望の範囲に調整できる。
また、混合粉砕前、あるいは後において、少なくとも一部を加熱処理することで質量減少率を所望の範囲にすることができる。
【0036】
[セメント組成物]
本実施形態に係るセメント組成物は、本発明の混和材とセメントとを含む。
セメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、および中庸熱などの各種ポルトランドセメントや各種混合セメント、ならびに石灰石粉末を混合したフィラーセメント等が挙げられる。
【0037】
本実施形態のセメント組成物の粒度は、使用する目的・用途に依存するため特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積で2,500~8,000cm2/gが好ましく、3,000~6,000cm2/gがより好ましい。2,500cm2/g以上であることで強度発現性が十分に得られ、8,000cm2/g以下であることで作業性を良好にすることができる。
【0038】
セメント組成物はさらに骨材を含むことができ、骨材としては、特に制限されるものではなく、通常のモルタルやコンクリートの製造に使用される細骨材及び粗骨材をいずれも使用することができる。また、各種の混和材料を含有させることができる。
なお、本実施形態のセメント組成物が細骨材を含む場合はモルタルとなり、細骨材と粗骨材を含む場合はコンクリートとなる。
【0039】
本実施形態のセメント組成物はそれぞれの材料を施工時に混合して作製してもよいし、あらかじめ一部あるいは全部を混合しておいても差し支えない。また、各材料及び水の混合方法も特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。また、材料の一部を水と混合した後に残りの材料を混合してもよい。
【0040】
混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、及びナウタミキサ等の使用が可能である。
【実施例】
【0041】
シリカヒューム造粒粒子と、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ粉末、メタカオリン粉末、及び石膏の少なくともいずれかとを、振動ポットミル(中央化工機社製)に充填し下記条件にて粉砕混合処理し、適宜105℃で加熱して、下記表に示す組成の混和材を作製した。
なお、実験No.6については、上記加熱処理は行っていない。
【0042】
<粉砕混合処理の条件>
振動ポットミル内に充填した原料に、粉砕助剤としてDEG(ジエチレングリコール)を適量滴下し、表1の粒径Amax及び粒径Bmaxとなるように混合粉砕時間を調整した。
【0043】
<混和材における使用材料>
・高炉スラグ微粉末:高炉スラグの粉砕分級品、平均粒径10μm
・シリカヒューム造粒粒子:市販品、平均粒径209μm、BET比表面積が18.5m2/g
・フライアッシュ粉末:JISフライアッシュII種、密度2.35g/cm3、4600cm2/g
・メタカオリン粉末:市販品、密度2.6g/cm3、ブレーン比表面積12,000cm2/g
・石膏:天然無水石膏粉砕品、ブレーン比表面積5,000cm2/g
【0044】
<混和材の物性>
・体積頻度粒度分布測定
作製した各例の混和材について、レーザー回折散乱装置(商品名:レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-960、HORIBA社製)を用い、3~20μmにおける体積頻度の最大値を示す粒径Amax、8~150μmの粒径範囲における体積頻度の最大値を示す粒径Bmaxを測定した。またそれぞれから最大値差(Bmax-Amax)を求めた。結果下記表に示す。
【0045】
・質量減少率の測定
作製した各例の混和材について、定温乾燥機(商品名:DVS401、YAMATO社製)を用い、105℃の恒温器の中に3時間放置した後の質量減少率を求めた。結果下記表に示す。
【0046】
既述の各例の混和材を用いたモルタルについて、下記の評価を行った。結果を下記表に示す。なお、モルタルにおける使用材料と配合は下記のとおりである。
【0047】
<モルタルにおける使用材料と配合>
(使用材料)
・練混ぜ水:上水道水
・セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、密度3.15g/cm3
・細骨材:市販品、密度2.64g/cm3、粗粒率2.27
・混和剤:市販品、ポリカルボン酸系高性能減水剤、ポリオキシアルキレン系消泡剤
【0048】
(配合)
・水:205kg/m3
・セメント:927kg/m3
・各例の混和材:360kg/m3
・細骨材:905kg/m3
・高性能減水剤32.2kg/m3
・消泡剤:6.4kg/m3
【0049】
<練り混ぜ時間>
強制二軸練りミキサを用いて、モルタルの練混ぜを行った。練混ぜ時間は、ミキサ負荷値を1分ごとに記録し、3分間連続で一定となった時点を練混ぜ完了とした。
練り混ぜ時間は、25分以下が好ましく、10~20分であることがより好ましい。
【0050】
<圧縮強度>
JSGE-G 505「円柱供試体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法」に準拠し、具体的には、下記「試料作製方法及び養生方法」により測定した。材齢は蒸気養生終了後の材齢3日とした。
【0051】
(試料作製方法及び養生方法)
公称容量55Lの強制二軸式コンクリートミキサを用いてモルタル作製後、材齢1日まで20℃80%RH環境下に存置した。材齢1日で脱型後、20℃/h以下で85℃まで昇温し、24時間保持、20℃/h以下で20℃まで降温した。
【0052】
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の混和材は、土木、建築分野で、特に超高強度を必要とし、セルフレベリングが求められる軽量、薄肉コンクリート部材に好適に用いることができる。
【要約】
【課題】練り混ぜ時間を短縮でき、コンクリートに用いた際に強度の増進効果が得られる混和材を提供する。
【解決手段】ポゾラン物質を含み、レーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布において、3~20μmにおける体積頻度の最大値を示す粒径Amaxと、粒径Amax以上であり、8~150μmの粒径範囲RBにおける体積頻度の最大値を示す粒径Bmaxとの差(Bmax-Amax)が130μm以下であり、105℃の恒温器の中に3時間放置した後の質量減少率が1質量%以下である混和材である。
【選択図】なし