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特許7503682ガラス繊維布製品、プリント回路板、集積回路基板及び電子製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ガラス繊維布製品、プリント回路板、集積回路基板及び電子製品
(51)【国際特許分類】
   C03C 13/00 20060101AFI20240613BHJP
   C03C 13/02 20060101ALI20240613BHJP
   C03C 25/1095 20180101ALI20240613BHJP
   C03C 25/40 20060101ALI20240613BHJP
   C03C 25/26 20180101ALI20240613BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
C03C13/00
C03C13/02
C03C25/1095
C03C25/40
C03C25/26
H05K1/03 610T
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023053429
(22)【出願日】2023-03-29
(65)【公開番号】P2023152949
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】111112671
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520409925
【氏名又は名称】富喬工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 名峯
(72)【発明者】
【氏名】張 智惟
(72)【発明者】
【氏名】陳 壁程
(72)【発明者】
【氏名】張 國興
(72)【発明者】
【氏名】許 書▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】歐 伯韜
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-137590(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049526(WO,A1)
【文献】特開2020-105683(JP,A)
【文献】国際公開第2021/138304(WO,A1)
【文献】特開平06-219780(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0344352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
C03C 25/00-25/70
H05K 1/03
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維布及びシランカップリング剤を含み、
前記ガラス繊維布は、ガラス組成物を含むガラス繊維により形成されたガラス繊維糸の編織物であり、
前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物の総量を100wt%として、
含有量が55wt%~64wt%の範囲内にある酸化ケイ素と、
含有量が15wt%~22wt%の範囲内にある酸化アルミニウムと、
含有量が0.1wt%~4wt%の範囲内にある酸化カルシウムと、
含有量が2.1wt%~10wt%の範囲内にある酸化マグネシウムと、
含有量が0wt%を超え且つ7wt%未満の範囲内にある酸化銅と、
含有量が13.1wt%を超え且つ18wt%未満の範囲内にある酸化ホウ素と、を含むことを特徴とするガラス繊維布製品。
【請求項2】
前記ガラス組成物は、酸化亜鉛を更に含み、
前記ガラス組成物の総量を100wt%として、前記酸化亜鉛の含有量が0wt%を超え且つ8wt%以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維布製品。
【請求項3】
前記ガラス組成物は、他の物質成分を更に含み、
前記他の物質成分は、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化鉄、二酸化チタンまたはそれらの組み合わせからなる群より選ばれた他の物質を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維布製品。
【請求項4】
前記ガラス組成物の総量を100wt%として、前記他の物質成分の含有量が0wt%を超え且つ1.2wt%以下の範囲内にあることを特徴とする請求項3に記載のガラス繊維布製品。
【請求項5】
前記シランカップリング剤は、アミノ基を有しないシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維布製品。
【請求項6】
前記アミノ基を有しないシランカップリング剤は、ビニールシランカップリング剤、アクリルオキシシランカップリング剤またはそれらの組み合わせから選ばれることを特徴とする請求項5に記載のガラス繊維布製品。
【請求項7】
樹脂を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維布製品。
【請求項8】
前記樹脂は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂から選ばれることを特徴とする請求項7に記載のガラス繊維布製品。
【請求項9】
前記熱硬化性樹脂は、ポリフェニレンエーテルであることを特徴とする請求項8に記載のガラス繊維布製品。
【請求項10】
請求項7~請求項9のいずれか一項に記載のガラス繊維布製品を含むことを特徴とするプリント回路板。
【請求項11】
請求項7~請求項9のいずれか一項に記載のガラス繊維布製品を含むことを特徴とする集積回路基板。
【請求項12】
請求項10に記載のプリント回路板含むことを特徴とする電子製品。
【請求項13】
請求項11に記載の集積回路基板を含むことを特徴とする電子製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維布製品に関し、特にガラス繊維布製品に関する。
【背景技術】
【0002】
低誘電性能(誘電率及び誘電正接)を有するガラス繊維には、優れた電気絶縁性(electrical insulation)と、低い信号損失性と、高い安定性などを有する利点があるので、近年、低誘電性能の特性を有するガラス繊維により形成されたガラス繊維布は、第5世代移動通信システム(略称:5G)の設備や、周回軌道が地球表面から160km~2000kmの高度の間にある低高度軌道衛星(low earth orbit satellite)や、2つ以上の処理装置をサポートできる高性能サーバーや、車載電子装置や、ビデオメモリー容量が6GB以上の高性能グラフィックボードなどの高伝送速度が必要とされる電子製品に応用されている。
【0003】
特許文献1には、低誘電ガラス組成物及び低誘電ガラス繊維が開示されている。該低誘電ガラス組成物は、49wt%を超え且つ53wt%以下の範囲内にあるSiOと、13wt%~17wt%の範囲内にあるAlと、18wt%~24wt%の範囲内にあるBと、2wt%を超え且つ4.5wt%以下の範囲内にあるMgOと、2wt%を超え且つ5wt%以下の範囲内にあるCaOと、0.6wt%を超え且つ3.5wt%未満の範囲内にあるTiOと、0wt%を超え且つ0.6wt%以下の範囲内にあるNaOと、0wt%~0.5wt%の範囲内にあるKOと、0wt%~1wt%の範囲内にあるFと、1wt%を超え且つ4wt%未満の範囲内にあるZnOと、0wt%を超え且つ1wt%以下の範囲内にあるFeと、0.1wt%~0.6wt%の範囲内にあるSOとを含み、且つ、MgO+CaO+ZnOの含有量の合計が、8wt%を超え且つ11wt%未満の範囲内にある。低誘電ガラス繊維は、該低誘電ガラス組成物によるものである。該設計により、特許文献1に開示されている低誘電ガラス組成物は、低誘電率(low dielectric constant)及び低誘電正接(low dielectric loss tangent)を有する。
【0004】
しかしながら、電気製品の設計がますます複雑になっているので、作動中に生じる熱が益々多くなっていて、熱による電気製品への悪影響が懸念され、または、製造中に熱による膨張または収縮などで生じた残留応力により電気デバイスに悪影響がもたらされるおそれが高くなっている。
【0005】
従って、ガラス繊維の熱による膨張または収縮を考慮したガラス繊維の幾何特性(例えば長さや体積)に対する要求もますます高くなってきている。
【0006】
故に、低誘電性能(誘電率及び誘電正接)を有する上、低熱膨張係数を兼ね備えるガラス繊維布の開発が非常に必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】台湾特許出願公開第202118743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、低熱膨張係数及び低誘電率を有するガラス繊維布製品と、該ガラス繊維布製品を含む、プリント回路板(printed circuit board)、集積回路基板(integrated circuit substrate)及び電子製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、
ガラス繊維布及びシランカップリング剤(silane coupling agent)を含み、
前記ガラス繊維布は、ガラス組成物を含むガラス繊維により形成されたガラス繊維糸の編織物であり、
前記ガラス組成物は、前記ガラス組成物の総量を100wt%として、
含有量が55wt%~64wt%の範囲内にある酸化ケイ素と、
含有量が15wt%~22wt%の範囲内にある酸化アルミニウムと、
含有量が0.1wt%~4wt%の範囲内にある酸化カルシウムと、
含有量が2.1wt%~10wt%の範囲内にある酸化マグネシウムと、
含有量が0wt%を超え且つ7wt%未満の範囲内にある酸化銅と、
含有量が13.1wt%を超え且つ18wt%未満の範囲内にある酸化ホウ素とを含むことを特徴とするガラス繊維布製品を提供する。
本発明は、上記のガラス繊維布製品を含むことを特徴とするプリント回路板を提供する。
本発明は、上記のガラス繊維布製品を含むことを特徴とする集積回路基板を提供する。
本発明は、上記のプリント回路板及び上記の集積回路基板のうちの少なくとも1者を含むことを特徴とする及び電子製品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成により、本発明のガラス繊維布製品は、前記ガラス繊維により、低熱膨張係数、低誘電率及び低誘電正接という複数の利点を有する。よって、該ガラス繊維布製品を含む、プリント回路板、集積回路基板及び電子製品は、寸法安定性、信号の伝送速度、及び信号の伝送の完全性にそれぞれ優れるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のガラス繊維布製品は、ガラス繊維布及びシランカップリング剤を含む。
該ガラス繊維布は、ガラス組成物を含むガラス繊維により形成されたガラス繊維糸の編織物である。
【0012】
該ガラス組成物は、該ガラス組成物の総量を100wt%として、含有量が55wt%~64wt%の範囲内にある酸化ケイ素と、含有量が15wt%~22wt%の範囲内にある酸化アルミニウムと、含有量が0.1wt%~4wt%の範囲内にある酸化カルシウムと、含有量が2.1wt%~10wt%の範囲内にある酸化マグネシウムと、含有量が0wt%を超え且つ7wt%未満の酸化銅と、含有量が13.1wt%を超え且つ18wt%未満の範囲内にある酸化ホウ素とを含むものである。
以下、本発明について詳しく説明する。
【0013】
<ガラス繊維布製品>
ガラス繊維布製品は、例えば、シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布またはガラス繊維プリプレグ(prepreg)が挙げられるが、それらに限らない。
本発明の一部の実施形態において、シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布は、ガラス繊維糸を編組処理することにより形成されたガラス繊維布に対して、シランカップリング剤を用いて表面処理を行うことにより形成される。該編組処理は、例えば、エア噴射織機(air jet loom)を使用して行う。
【0014】
本発明の一部の実施形態において、ガラス繊維布は、例えば布種類規格(IPCスタイル)が2116であるガラス繊維布である。
【0015】
本発明の一部の実施形態において、ガラス繊維プリプレグは、樹脂を使用して、シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布に対して塗布処理を行ってから、乾燥処理を行って形成される。該塗布処理は、例えば含浸(impregnation)処理である。
【0016】
<ガラス繊維糸>
ガラス繊維糸は、ガラス繊維により形成され、該ガラス繊維は、前記ガラス組成物を溶融処理及び紡糸処理を行って形成される。
【0017】
本発明の一部の実施形態において、ガラス繊維糸は、例えば糸種類規格がE250であるガラス繊維糸であり、糸種類規格がE250であるガラス繊維糸は、200本の直径が7μmのガラス繊維により形成され且つ250の繊度(fineness)及びZ撚りで36TPM(Twist Per Meter)の撚り数を有する。
【0018】
本発明の一部の実施形態において、ガラス繊維の熱膨張係数は、3ppm/℃以下にある。
【0019】
本発明の一部の実施形態において、周波数が10GHzにおいて、ガラス繊維の誘電率は、5以下にある。
【0020】
本発明の一部の実施形態において、周波数が10GHzにおいて、ガラス繊維の誘電正接は、0.0045以下にある。
【0021】
<ガラス組成物>
酸化ケイ素(SiO)は、ガラス組成物の主成分である。酸化ケイ素は、3次元網目構造を有し、且つ、該3次元網目構造の基本構造ユニットは、SiOである四面体配列の結晶構造である。
【0022】
酸化アルミニウム(Al)と酸化ケイ素との3次元網目構造には、一部の酸素原子が結合して架橋酸素(bridging oxygen)を形成して、ガラス組成物の熱安定性及び粘度が向上する。しかし、酸化アルミニウムの含有量が22wt%を超えると、ガラス組成物の粘度が高すぎるようになって、該ガラス組成物をガラス繊維として形成するには更に高い温度が必要になり、製造コストが高くなる。
【0023】
酸化カルシウム(CaO)は、ガラス組成物の粘度を低減して、ガラス組成物の熱加工における十分な溶融に利することができる。しかし、酸化カルシウムの含有量が4wt%を超えると、ガラス組成物の誘電率が高くなる。
【0024】
酸化マグネシウム(MgO)は、ガラス組成物の粘度を低減して、ガラス組成物の熱加工における十分な溶融に利することができ、且つ、ガラス組成物により形成されるガラス繊維の機械強度の向上に利することができる。しかし、酸化マグネシウムの含有量が10wt%を超えると、ガラス組成物の誘電率が高くなる。
【0025】
酸化銅(CuO)は、ガラス組成物により形成されるガラス繊維の熱膨張係数を低減することができ、且つ、ガラス組成物が製造中に緻密な構造を生じるようにすることができるので、アルカリ金属の酸化物[例えば酸化ナトリウム(NaO)または酸化カリウム(KO)など]と酸化亜鉛(ZnO)とが存在することによりガラス繊維の構造が緩い状態になる問題を軽減できる。酸化銅を含まないと、ガラス組成物の熱膨張係数が3ppm/℃を超え、酸化銅の含有量が7wt%以上になると、ガラス組成物に結晶が生じて、紡糸成型作業に不利になる。
【0026】
酸化ホウ素(B)の含有量が13.1wt%を超え且つ18wt%未満の範囲内にあると、ガラス組成物及びガラス繊維は、低誘電率と低誘電正接とを有するようになり、該ガラス組成物は、良好な紡糸加工性を有するようになる。しかし、酸化ホウ素の含有量が13.1wt%以下になると、10GHzの周波数において、ガラス組成物の誘電率が5以上になり、酸化ホウ素の含有量が18wt%以上になると、ガラス組成物に結晶が生じて、紡糸成型作業に不利になる。
【0027】
本発明の一部の実施形態において、ガラス組成物は、酸化亜鉛(ZnO)を更に含む。
【0028】
本発明の一部の実施形態において、ガラス組成物の総量を100wt%として、酸化亜鉛の含有量が0wt%を超え且つ8wt%以下の範囲内にある。
【0029】
酸化亜鉛は、ガラス組成物により形成されるガラス繊維の熱膨張係数を低減することができる。本技術分野の一般知識によると、ガラス組成物がアルカリ金属の酸化物及び酸化亜鉛を含むと、該ガラス組成物により形成されるガラス繊維は構造が緩い状態になって、熱膨張係数の低減に不利になる。従って、本発明の一部の実施形態において、ガラス組成物がアルカリ金属の酸化物を含む場合、必要に応じて酸化亜鉛を添加しなくてもよい。
【0030】
本発明の一部の実施形態において、ガラス組成物は、他の物質成分を更に含む。該他の物質成分は、少なくとも1種の他の物質を含む。該他の物質としては、例えば、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化鉄(Fe)または二酸化チタン(TiO)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0031】
本発明の一部の実施形態において、他の物質成分は、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化鉄、二酸化チタンまたはそれらの組み合わせからなる群より選ばれた他の物質を少なくとも1種含む。本発明の一部の実施形態において、ガラス組成物の総量を100wt%として、他の物質成分の含有量が0wt%を超え且つ1.2wt%以下の範囲内にある。
【0032】
酸化ナトリウム及び酸化カリウムは、フラックス(flux)であって、ガラス組成物の溶融に利してより低い温度でガラス繊維を製造することに利する。しかし、酸化ナトリウムまたは酸化カリウムの含有量が多すぎると、ガラス繊維の化学安定性が低減して電気絶縁性及び機械強度が下がる。
【0033】
酸化鉄は、ガラス組成物の溶融、紡糸工程等での安定性を向上させることができる。しかし、酸化鉄の含有量が多すぎると、ガラス組成物を溶融する時に、温度が不均一となる問題が生じる。
【0034】
二酸化チタンは、ガラス繊維の機械強度を向上させることができる。しかし、二酸化チタンの含有量が多すぎると、ガラス組成物からガラス繊維に形成する過程において、ガラス組成物に結晶が生じて、紡糸成型作業に不利になる。
【0035】
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤は、例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤またはアミノ基を有しないシランカップリング剤などが挙げられるが、それらに限らない。
【0036】
アミノ基を有するシランカップリング剤は、例えば、アミノアルコキシシラン(aminoalkoxysilane)またはアミノシラノール(aminosilanol)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0037】
アミノアルコキシシランは、例えば、
(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン[(3-aminopropyl)trimethoxysilane、CAS登録番号:13822-56-5]、
(N-アミノエチル-3-アミノプロピル) メチルジメトキシシラン[(N-aminoethyl-3-aminopropyl)methyldimethoxysilane、CAS登録番号:3069-29-2]または
ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン[bis[3-(trimethoxysilyl)propyl]amine]などが挙げられるが、それらに限らない。
【0038】
アミノシラノールは、例えば、上記のアミノアルコキシシランの加水分解物が挙げられ、該加水分解物は、例えば、(3-アミノプロピル)シラノール[(3-aminopropyl)silanol]または(N-アミノエチル-3-アミノプロピル) メチルシラノール[(N-aminoethyl-3-aminopropyl)methyl silanol]などが挙げられる。
【0039】
アミノ基を有しないシランカップリング剤は、例えば、ビニールシランカップリング剤(vinylsilane coupling agent)またはアクリルオキシシランカップリング剤(acryloxysilane coupling agent)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0040】
本発明の一部の実施形態において、シランカップリング剤は、アミノ基を有しないシランカップリング剤である。
【0041】
本発明の一部の実施形態において、アミノ基を有しないシランカップリング剤は、ビニールシランカップリング剤、アクリルオキシシランカップリング剤またはそれらの組み合わせから選ばれる。
【0042】
ビニールシランカップリング剤は、例えば、ビニールアルコキシシラン(vinyl alkoxysilane)またはビニールシラノール(vinylsilanol)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0043】
ビニールアルコキシシランは、例えば、
ビニルトリメトキシシラン(vinyltrimethoxysilane、CAS登録番号:2768-02-7)、
ビニルトリエトキシシラン(vinyltriethoxysilane、CAS登録番号:78-08-0)または
ビニルメチルジメトキシシラン(vinylmethyldimethoxysilane、CAS登録番号:16753-62-1)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0044】
ビニールシラノールは、例えば、上記のビニールアルコキシシランの加水分解物が挙げられる。
【0045】
アクリルオキシシランカップリング剤は、例えば、アクリルオキシアルコキシシラン(acryloxy alkoxysilane)またはアクリルオキシシラノール(acryloxysilanol)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0046】
アクリルオキシアルコキシシランは、例えば、
3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(3-methacryloxypropyltrimethoxysilane、CAS登録番号:2530-85-0)、
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(3-methacryloxypropylmethyldimethoxysilane)または
3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(3-acryloxypropyltrimethoxysilane)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0047】
アクリルオキシシラノールは、例えば、上記のアクリルオキシアルコキシシランの加水分解物が挙げられる。
【0048】
本発明の一部の実施形態において、ガラス繊維布製品は、シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布であって、シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布の総量を100wt%として、シランカップリング剤の含有量が0.05wt%~1.5wt%の範囲内にある。
【0049】
本発明の一部の実施形態において、シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布の総量を100wt%として、シランカップリング剤の含有量が0.05wt%~1.0wt%の範囲内にある。
【0050】
本発明の一部の実施形態において、シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布の総量を100wt%として、シランカップリング剤の含有量が0.05wt%~0.5wt%の範囲内にある。
【0051】
シランカップリング剤がアミノ基を有しないシランカップリング剤である本発明の一部の実施形態において、シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布の総量を100wt%として、シランカップリング剤の含有量が0.1wt%~1.0wt%の範囲内にある。
【0052】
<樹脂>
本発明のガラス繊維布製品は、樹脂を更に含む。
樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂などが挙げられるが、それらに限らない。
【0053】
本発明の一部の実施形態において、樹脂は、熱硬化性樹脂である。
熱硬化性樹脂は、例えば、ポリフェニレンエーテル(polyphenylene ether)樹脂、フェノール樹脂(phenolic resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、尿素樹脂(urea-formaldehyde resin)、不飽和ポリエステル(unsaturated polyester)、メラミン樹脂(melamine resin)またはフッ素樹脂(fluororesin)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0054】
光硬化性樹脂は、例えば、光硬化型ポリウレタン樹脂または光硬化型アクリル樹脂などが挙げられるが、それらに限らない。
【0055】
本発明の一部の実施形態において、ガラス繊維布製品は、ガラス繊維プリプレグであって、ガラス繊維プリプレグの総量を100wt%として、樹脂の含有量(resin content、略称:RC)が40wt%~70wt%の範囲内にある。
【0056】
本発明の一部の実施形態において、ガラス繊維プリプレグの総量を100wt%として、樹脂の含有量が50wt%~55wt%の範囲内にある。
【0057】
本発明の一部の実施形態において、ガラス繊維プリプレグの総量を100wt%として、樹脂の含有量が51wt%~53wt%の範囲内にある。
【0058】
<プリント回路板>
本発明のプリント回路板は、上記のガラス繊維布製品を含む。
プリント回路板は、例えば、片面プリント回路板、両面プリント回路板、多層プリント回路板、高密度プリント回路板またはサブストレートライクプリント回路板(Substrate Like PCB、略称:SLP)などが挙げられる。
【0059】
ガラス繊維布製品は、上記のプリント回路板に使用し、且つ、絶縁層、搭載用基板または補強層(reinforcement layer)とする。
【0060】
プリント回路板のガラス繊維布製品は、低熱膨張係数、低誘電率及び低誘電正接という複数の利点を有するので、熱膨張による寸法が安定しない問題が生じることを避けることができ、且つ、プリント回路板が高い周波数(例えば10GHz)に用いられる場合において、信号の伝送が遅延する問題がなく伝送速度が速い特性を有し、且つ信号の伝送損失(減衰)もなく信号の伝送の完全性が高いという利点があり、従って、5G以上の通信技術を採用する電子製品に使用できる。
【0061】
<集積回路基板>
本発明の集積回路基板は、上記のガラス繊維布製品を含む。
集積回路基板は、例えば、フリップチップ基板(flip chip substrate)またはワイヤボンド基板(wire bond substrate)などが挙げられるが、それらに限らない。
【0062】
ガラス繊維布製品は、上記の集積回路基板の絶縁層、搭載用基板または補強層とする。
集積回路基板のガラス繊維布製品は、低熱膨張係数、低誘電率及び低誘電正接という複数の利点を有するので、チップと集積回路基板の接続界面が熱膨張により位置がズレて接続通電点(connect conduction point)の機能がなくなる問題が生じることを避けることができ、且つ、集積回路基板が高い周波数(例えば10GHz)に用いられる場合において、信号の伝送が遅延する問題がなく伝送速度が速い特性を有し、且つ信号の伝送損失(減衰)もなく信号の伝送の完全性が高いという利点があり、従って、5G以上の通信技術を採用する電子製品に使用できる。
【0063】
<電子製品>
本発明の電子製品は、上記のプリント回路板及び上記の集積回路基板のうちの少なくとも1者を含む。
電子製品は、例えば、携帯電話、タブレット、例えばミリ波レーダー(millimeter wave radar)または画像認識システムなどの自動運転の車載電子装置、グラフィックボード、無線通信用機器またはサーバーなどが挙げられるが、それらに限らない。
【0064】
以下、製造例及び実施例で本発明を説明する。これらの製造例及び実施例は、例示的かつ説明的なものであり、且つ、本発明を限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0065】
製造例1
55.21wt%のSiO、19.17wt%のAl、0.16wt%のCaO、4.2wt%のMgO、6.5wt%のZnO、0.5wt%のCuO、13.2wt%のB及び1.06wt%の他の物質成分(0.03%のNaO、0.03%のKO、0.32%のFe及び0.68%のTiOを含む)を混合してガラス組成物を得た。
【0066】
該ガラス組成物を高温炉中に配置して1500℃~1600℃の温度で1~4時間加熱し、完全に溶融した液体ガラスを得た。そして、該液体ガラスを直径40mmの黒鉛るつぼ(graphite crucible)に注入し、該黒鉛るつぼを800℃まで予熱した焼鈍炉(annealing furnace)に配置し、該液状ガラスを室温にまで冷却することでガラスブロックを形成した。
【0067】
製造例2~製造例5及び比較製造例1~比較製造例4
製造例2~製造例5及び比較製造例1~比較製造例4の製造方法は、表1及び表2に示されるようにガラス組成物が異なる以外、製造例1と同じである。
【0068】
[評価項目]
<熱膨張係数の測定>
各製造例及び各比較製造例のガラスブロックから切り出し及び研磨によりサイズが0.5cm×0.5cm×2cmのサンプルを得た。そして、熱機械分析装置(Hitachi社、型番:TMA71000)を使用して、10℃/minの加熱速度で各製造例及び各比較製造例のサンプルを加熱し、各サンプルの50℃及び200℃の時の長さを測定し、測定された長さ及び温度により、長さの変化量及び温度の変化量を算出することで熱膨張係数を算出した。その結果は、表1及び表2に示される。
【0069】
<誘電率及び誘電正接の測定>
各製造例及び各比較製造例のガラスブロックを研磨して、厚さ0.695mm±0.095mmのガラスシートを作成してから、ベクトルネットワークアナライザ(Vector Network Analyzer、ドイツR&S社のZNB20)をスプリットポスト誘電体共振器(Split Post Dielectric Resonator、台湾WAVERAY TECHNOLOGY CO., LTD.社)と合わせて、周波数が10GHz時の、各製造例及び各比較製造例のガラスシートの誘電率及び誘電正接を測定した。その結果は、表1及び表2に示される。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
表1及び表2に示されるように、比較製造例1~比較製造例4のガラス組成物は、酸化銅の含有量を0wt%を超え且つ7wt%未満の範囲に、且つ、酸化ホウ素の含有量を13.1wt%を超える範囲に同時に制御していないので、そのガラス組成物によるガラス(ガラスブロックやガラスシート)の熱膨張係数、誘電率及び誘電正接の少なくとも1者が高すぎる。
【0073】
それに対して、本発明における各製造例のガラス組成物は、酸化銅の含有量を0wt%を超え且つ7wt%未満の範囲に且つ酸化ホウ素の含有量を13.1wt%を超え且つ18wt%未満の範囲に同時に制御しているので、そのガラス組成物によるガラス(ガラスブロックやガラスシート)は、熱膨張係数が2.8ppm/℃以下であり、誘電率が4.98以下であり、且つ誘電正接が0.0043以下である。従って、比較製造例1~比較製造例4のガラスと比べて、本発明におけるガラス組成物によるガラスは、低熱膨張係数、低誘電率及び低誘電正接という複数の利点を有するので、本発明におけるガラス組成物によるガラス繊維も、低熱膨張係数、低誘電率及び低誘電正接という複数の利点を有し、従って、本発明におけるガラス繊維により形成されたガラス繊維布製品も、低熱膨張係数、低誘電率及び低誘電正接という複数の利点を有し、それにより、本発明のガラス繊維布製品をプリント回路板及び集積回路基板に応用すると、プリント回路板及び集積回路基板に寸法安定性に優れ、信号の伝送速度が速く、且つ信号の伝送の完全性が高いという利点を与えることができる。
【0074】
実施例1 ガラス繊維布製品及び両面プリント回路板
製造例2のガラス組成物を熔炉に置いて熔融処理を行って熔融ガラス液に形成した後、順に、紡糸処理、糊付け(sizing)処理、ワインディング(winding)処理及び撚糸(twisting)処理を行って、糸種類規格がE250であるガラス繊維糸を得た。
【0075】
該ガラス繊維糸を経糸(たて糸)及び緯糸(よこ糸)として、経糸を順に整経糊付け(warping-sizing)処理及び捲糸(beaming)処理を行って、ウィバースビーム(weaver‘s beam)を得た。
【0076】
該ウィバースビームをエア噴射織機(メーカー:豊田、型番:JAT710)に設置して、緯糸と共に布種類規格が2116であるガラス繊維布を編組した。
【0077】
該ガラス繊維布を順に糊抜(desizing)処理及び開繊(fiber opening)処理を行った後、シランカップリング剤処理液に含浸して、該ガラス繊維布に対して表面処理を行い、そして、乾燥処理を行って、シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布を形成した。
【0078】
シランカップリング剤処理液は、ビニルトリメトキシシランを酢酸水溶液中に撹拌混合して、pH値が3.5~5.5の混合液を得てから、30分間の加水分解反応を行って形成し、且つ、シランカップリング剤処理液の総量を100wt%として、ビニルトリメトキシシランの含有量が0.08wt%である。
【0079】
シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布の総量を100wt%として、ビニルトリメトキシシランの含有量が0.14wt%である。
【0080】
シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布をポリフェニレンエーテル溶液に含浸した。該ポリフェニレンエーテル溶液は、ポリフェニレンエーテル(メーカー:サウジアラビアSABIC社、型番:NORYL SA9000、分子量:2300)及びブタノンを含み、且つ、ポリフェニレンエーテル溶液の総量を100wt%として、ポリフェニレンエーテルの含有量が65wt%である。そして、160℃の条件で加熱乾燥処理して、厚さが100μmのガラス繊維プリプレグを得た。なお、ガラス繊維プリプレグの総量を100wt%として、樹脂(ポリフェニレンエーテル)の含有量が52wt%である。
【0081】
7枚のガラス繊維プリプレグを上下に積重ねて、第1の積層体を形成し、そして、第1の積層体の上表面に1枚の1Hoz(厚さ約18μm)の銅箔を設置し且つ第1の積層体の下表面に1枚の1Hozの銅箔を設置して、第2の積層体を形成し、そして、温度設定が210℃の真空積層設備(メーカー:台湾VIGOR社、型番:V8117A)により第2の積層体に対して1.5時間の加熱プレス処理を行って、厚さ約0.7mmの銅箔基板を製造した。
【0082】
該銅箔基板を順に線路エッチング(line etching)処理、せん孔(drilling)処理及びめっきスルーホール(plated-through hole)処理を行って、複数のスルーホールを有する両面プリント回路板を得た、該複数のスルーホールは、穴径が0.35mmであり且つ間隔が0.7mmである。
【0083】
実施例2~実施例9
実施例2~実施例9の製造方法は、表3に示されるようにシランカップリング剤の種類及び各成分の使用量が異なる以外、実施例1と同じである。
【0084】
各実施例におけるシランカップリング剤処理液において、ビニールシランカップリング剤は、ビニルトリメトキシシランであり、アクリルオキシシランカップリング剤は、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランであり、アミノ基を有するシランカップリング剤は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランである。
【0085】
[評価項目]
<シランカップリング剤の含有量の測定>
IPC-4412(2006年版)のプリント回路板用Eガラス繊維で構成された編織物基準の第4.4.8節の測定方法を参照して行った。
【0086】
実施例1~実施例9のシランカップリング剤により処理されたガラス繊維布をカットして、サイズが30cm×30cmの複数のサンプルを形成し、そして、各サンプルをステンレス鋼トレイに置いてから、温度設定が105±5℃のオーブン(メーカー:台湾Dengyng社、型番:DOS30)内に置いて30分間の加熱乾燥処理を行った後、取り出して冷却して、複数の乾燥ガラス繊維布を得た。各乾燥ガラス繊維布の重量を測定してW1として記録した。
【0087】
そして、各乾燥ガラス繊維布を温度設定が625±5℃の高温炉(メーカー:台湾Great Tide社、型番:JH-01)内に置いて30分間の熱処理を行った後、取り出して冷却して、複数の熱処理されたガラス繊維布を得た。各熱処理されたガラス繊維布の重量を測定してW2として記録した。
【0088】
下記の式により、シランカップリング剤により処理されたガラス繊維布中のシランカップリング剤の含有量を算出した。
式:[(W1-W2)/W1]×100%
【0089】
<樹脂の含有量の測定>
IPC-TM-650 2.3.16.1(1994年版)のプリプレグの樹脂の含有量の計量法を参照して行った。
【0090】
実施例1~実施例9のシランカップリング剤により処理されたガラス繊維布の重量を量ってW3として記録した。
実施例1~実施例9のガラス繊維プリプレグの重量を量ってW4として記録した。
【0091】
下記の式により、ガラス繊維プリプレグ中の樹脂の含有量を算出した。
式:[(W4-W3)/W4]×100%
【0092】
<導電性陽極フィラメント(Conductive Anodic Filament、略称:CAF、単位:%)の測定>
実施例1~実施例9の両面プリント回路板を恒温恒湿試験器(Temperature & Humidity Test Chamber、メーカー:台湾TERCHY社、型番:HB-225L)中に置いて、高温高湿処理を行って、複数のサンプルを形成した。高温高湿処理の条件は、温度が130±2℃であり、湿度が85±5%であり、蒸気圧が3標準気圧(1標準気圧=101325Pa)であり、時間が96時間である。
高温高湿処理の過程において、ハイレジスタンスメータ(High Resistance Meter、メーカー:米Agilent社、型番:HP-4339B)を使用して、50Vの直流電圧で各サンプルの6つのチャンネル(channel)を測定して、6つの抵抗値を得た。
【0093】
そして、IPC-TM-650 2.6.25(2016年版)の標準により、抵抗値が10Ωを超えると、合格と判定し、且つ、下記の式により、抵抗値合格率を算出した。
式:(抵抗値が10Ωを超えるチャンネルの数/6)×100%
【0094】
抵抗値合格率が大きいほど、両面プリント回路板に回路板内層微短絡の現象がより起こりにくいことが示される。
【0095】
<微ひび割れ(crazing)の長さ(単位:mil)の測定>
実施例1~実施例9の両面プリント回路板をスルーホールでZ軸方向に沿って断面カットを行い、顕微鏡(メーカー:台湾OME-TOP社、型番:PM-203)を使用してXZ切断面を観察し、且つ10本の最も長い微ひび割れの長さを測定して、長さの平均値を算出し且つ長さの最大値を記録する。
【0096】
【表3】
【0097】
表3に示されるように、実施例1~実施例9の両面プリント回路板は、抵抗値合格率が66%~100%にあり、且つ微ひび割れの長さの最大値が8mil以下であることにより、両面プリント回路板に回路板内層微短絡の現象がより起こりにくく、両面プリント回路板が短絡により機能喪失して歩留まりが悪くなるという問題の発生を回避できることが示される。
【0098】
また、実施例1~実施例5と実施例6~実施例9と比べると、アミノ基を有しないシランカップリング剤を使用したガラス繊維布製品により形成された両面プリント回路板の微ひび割れの長さの最大値は、1.4mil~2.5milであって、アミノ基を有するシランカップリング剤を使用したガラス繊維布製品により形成された両面プリント回路板の微ひび割れの長さの最大値より小さいので、アミノ基を有するシランカップリング剤を使用したガラス繊維布製品により形成された両面プリント回路板に比べて、アミノ基を有しないシランカップリング剤を使用したガラス繊維布製品により形成された両面プリント回路板は、両面プリント回路板に回路板内層微短絡の現象がより起こりにくく、歩留まりがよりよくなることが示される。
【0099】
上記の内容によれば、本発明のガラス繊維布製品は、ガラス繊維の設計により、低熱膨張係数、低誘電率及び低誘電正接という複数の利点を有する。該ガラス繊維布製品により、該ガラス繊維布製品を含む、本発明のプリント回路板、集積回路基板及び電子製品は、寸法安定性、信号の伝送速度、及び信号の伝送の完全性に優れるという利点がある。
従って、本発明の目的を確実に達成できる。
【0100】
上記実施形態は例示的に本発明の原理及び効果を説明するものであり、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する当業者であれば本発明の精神及び範囲から離れないという前提の下、上記の実施形態に対して若干の変更や修飾が可能である。従って、当業者が本発明の主旨から離れないという前提の下、行った全ての変更や修飾も本発明の保護範囲に含まれるものとされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明のガラス繊維布製品はプリント回路板、集積回路基板及び電子製品に使用することに適する。