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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】止血クリップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/122 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
A61B17/122
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023527310
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2021125598
(87)【国際公開番号】W WO2022095724
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】202011232996.0
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523162063
【氏名又は名称】マイクロポート ウロケア (ジアシン) カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】523162074
【氏名又は名称】マイクロポート ウロケア (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シュエフェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ルー
(72)【発明者】
【氏名】ワン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン チュアンビン
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104546055(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
止血クリップであって、
牽引機構及び分離機構を含む牽引デバイスであって、前記牽引機構の遠位端は内腔を画定し、前記分離機構は前記内腔の遠位端の外側に配置される牽引デバイスと、
圧縮スリーブ及びクリップヘッドアセンブリを含むクランプデバイスであって、前記圧縮スリーブは第1の係止部材を備え、前記クリップヘッドアセンブリは前記圧縮スリーブ内に部分的に配置され、前記クリップヘッドアセンブリはクリップアーム及び係合部材を含み、前記クリップアームは前記係合部材に配置され、前記クリップアームの近位端は前記第1の係止部材と接続するための第2の係止部材を備え、前記係合部材の近位端は、前記内腔に挿入されて前記内腔と締り嵌めを形成し、前記分離機構は、前記第2の係止部材が前記第1の係止部材に接続されることを防止し、これにより、前記牽引機構が、外力の作用下で、前記クリップヘッドアセンブリを前記圧縮スリーブの軸に沿って移動するように駆動して、これにより、前記クリップヘッドアセンブリを閉構成と開構成との間で切り替えることを可能にするクランプデバイスと、
前記クリップヘッドアセンブリが前記圧縮スリーブの近位端に向かって移動可能である最大距離を画定するための第1の制限部材と
を含み、前記止血クリップは、前記クリップヘッドアセンブリの前記閉構成において、前記第1の制限部材が、前記圧縮スリーブの前記近位端に向かう前記クリップヘッドアセンブリのさらなる移動を防止するとき、及び第1の所定値より大きい引張力が前記牽引機構に加えられるとき、前記係合部材の前記近位端が前記内腔から係合解除され、前記分離機構は前記クリップアームの前記近位端をもはや拘束せず、前記第2の係止部材が前記第1の係止部材に接続されることを可能にするように構成され、
前記分離機構は、前記牽引機構の軸に沿って延在する第1の停止壁を含み、前記クリップアームの前記近位端を前記第1の停止壁の内部側に拘束し、これにより、前記第2の係止部材が前記第1の係止部材に接続されることを防止するように構成される、止血クリップ。
【請求項2】
記第1の停止壁の数は2であり、2つの前記第1の停止壁は、前記内腔に対して周方向対称に配置される請求項1に記載の止血クリップ。
【請求項3】
前記クランプデバイスは、第2の制限部材であって、前記係合部材の遠位側で前記圧縮スリーブに設けられ、前記クリップヘッドアセンブリが前記圧縮スリーブの前記近位端から離れて移動可能である最大距離を画定し、これにより、前記クリップヘッドアセンブリが前記圧縮スリーブから遠位に外れることを防止するように構成される第2の制限部材をさらに含む請求項1に記載の止血クリップ。
【請求項4】
前記第1の係止部材は、前記圧縮スリーブの管状壁に設けられた係止スロットを含み、前記第2の係止部材は、停止ブロックを含み、
前記第2の制限部材はさらに、前記クリップヘッドアセンブリ及び前記圧縮スリーブの周方向相対位置を制限して、拘束が除去された後に前記停止ブロックが前記係止スロットに進入し前記係止スロットと係合することを可能にするように構成される請求項3に記載の止血クリップ。
【請求項5】
前記第2の制限部材は、前記圧縮スリーブに対して半径方向に延在して、前記圧縮スリーブの前記管状壁と共に2つのチャネルを画定し、
2つのクリップアームが設けられ、前記クリップアームのうちの1つの遠位端は、前記圧縮スリーブの前記遠位端から延びるように前記チャネルのそれぞれの1つを通って突出する
請求項4に記載の止血クリップ。
【請求項6】
前記第2の制限部材はピンを含むか、又は前記第2の制限部材は、前記圧縮スリーブの前記遠位端に設けられた2つの第2の停止壁を含み、前記2つの第2の停止壁は、前記圧縮スリーブに対して周方向対称に配置される請求項5に記載の止血クリップ。
【請求項7】
前記圧縮スリーブの前記近位端に取り外し可能に連結され前記圧縮スリーブと連通するアダプタブッシュアセンブリをさらに含み、前記アダプタブッシュアセンブリは、前記圧縮スリーブに対して回転可能であるように構成され、前記牽引デバイスは、前記アダプタブッシュアセンブリ内に部分的に配置され、前記アダプタブッシュアセンブリの軸に沿って移動可能であり、
前記止血クリップは、前記牽引機構が、外力の作用下で、前記牽引機構の軸の周りの前記クリップヘッドアセンブリの回転及び前記圧縮スリーブ自体の軸の周りの前記圧縮スリーブの回転を駆動できるように構成される
請求項4に記載の止血クリップ。
【請求項8】
前記第1の制限部材は、第1の制限面及び第2の制限面を含み、前記第1の制限面は、前記係合部材に設けられ、前記第2の制限面に当接するように構成され、第1の段差面が前記圧縮スリーブの外壁面に画定され、前記第2の制限面は前記圧縮スリーブの内壁面に形成され、前記圧縮スリーブは、内部に第1の接続スロットをさらに備え、前記第1の接続スロットは、前記第1の段差面及び前記第2の制限面に対して近位に位置し、
前記止血クリップは、弾性接続部材をさらに含み、前記弾性接続部材は、ベース部分及びシャフト部分を含み、前記ベース部分は、前記アダプタブッシュアセンブリ内に配置され、前記牽引機構を通すための貫通穴が内部に設けられ、前記シャフト部分は、前記ベース部分の、前記アダプタブッシュアセンブリの遠位端により近い側に配置されて、前記アダプタブッシュアセンブリの前記軸に沿って延在し、前記シャフト部分の遠位端は屈曲フィンを画定し、前記屈曲フィンは、前記第1の接続スロットを通過し、前記圧縮スリーブから延出し、
前記アダプタブッシュアセンブリの前記遠位端は、内向きに突出する第3の制限部材を画定し、前記アダプタブッシュアセンブリの前記遠位端は、前記圧縮スリーブの前記近位端の外側表面を覆って配置され、前記第3の制限部材は、前記屈曲フィンと前記第1の段差面との間に拘束される
請求項7に記載の止血クリップ。
【請求項9】
前記第1の制限部材は、第1の制限面及び第2の制限面を含み、前記第1の制限面は、前記係合部材に設けられ、前記第2の制限面に当接するように構成され、
前記アダプタブッシュアセンブリの遠位端の外壁面は第2の段差面を備え、前記アダプタブッシュアセンブリは、内部に第2の接続スロットをさらに備え、前記第2の接続スロットは、前記第2の段差面に対して遠位に位置し、
前記止血クリップは弾性接続部材をさらに含み、前記弾性接続部材は、ベース部分及びシャフト部分を含み、前記ベース部分は、前記アダプタブッシュアセンブリ内に配置され、前記牽引機構を通すための貫通穴が内部に設けられ、前記シャフト部分は、前記ベース部分の、前記アダプタブッシュアセンブリの遠位端により近い側に配置されて、前記アダプタブッシュアセンブリの前記軸に沿って延在し、前記シャフト部分の遠位端は屈曲フィンを画定し、前記屈曲フィンは、前記第2の接続スロットを通過し、前記アダプタブッシュアセンブリから延出し、
前記圧縮スリーブの前記近位端は、内向きに突出する第4の制限部材を画定し、
前記圧縮スリーブの前記近位端は、前記アダプタブッシュアセンブリの前記遠位端の外側表面を覆って配置され、前記第4の制限部材は、前記屈曲フィンと前記第2の段差面との間に拘束され、前記アダプタブッシュアセンブリの遠位端面は、前記第1の制限面に当接するための前記第2の制限面を構成する
請求項7に記載の止血クリップ。
【請求項10】
前記牽引機構は、コアワイヤ及び連結管を含み、前記コアワイヤは、前記ベース部分の前記貫通穴を通過し、前記連結管は、前記コアワイヤの遠位端に配置され、前記連結管は前記内腔を画定し、前記連結管の近位端は、前記貫通穴の直径よりも大きい外径を有し、
前記止血クリップは、前記係合部材の前記近位端が前記内腔から係合解除された後、前記連結管の前記近位端が前記ベース部分に当接するとき、及び第2の所定値よりも大きい引張力が前記牽引機構に加えられるとき、前記アダプタブッシュアセンブリが前記圧縮スリーブから分離されるように前記屈曲フィンが変形するように構成される
請求項8又は請求項9に記載の止血クリップ。
【請求項11】
ハンドルアセンブリをさらに含み、前記ハンドルアセンブリは、グリップ部材、摺動可能部材、及び回転可能部材を含み、前記グリップ部材は、軸方向に延在する摺動スロットを画定し、前記摺動可能部材は、前記摺動スロット内に配置され、前記摺動スロット内で摺動可能であり、前記回転可能部材は、前記グリップ部材の遠位端に回転可能に配置され、前記牽引機構の前記近位端は、前記アダプタブッシュアセンブリの近位端から前記ハンドルアセンブリ内に延在し、これにより、前記ハンドルアセンブリの前記摺動可能部材及び前記回転可能部材の両方に接続し、
前記止血クリップは、前記摺動可能部材が前記摺動スロット内を摺動するとき、前記牽引機構が前記アダプタブッシュアセンブリの前記軸に沿って移動するように駆動して、前記クリップヘッドアセンブリを前記圧縮スリーブの前記軸に沿って移動させるように、並びに前記回転可能部材が、前記グリップ部材に対して回転するとき、前記牽引機構をそれ自体の軸の周りに回転するように駆動して、前記クリップヘッドアセンブリ及び前記圧縮スリーブの回転を引き起こすように構成される
請求項7に記載の止血クリップ。
【請求項12】
前記牽引機構は、コアワイヤ、連結管、第1の接続ブロック、及び第2の接続ブロックを含み、前記連結管は、前記コアワイヤの遠位端に配置され、前記内腔を画定し、前記第1の接続ブロック及び前記第2の接続ブロックは両方とも、前記コアワイヤの近位端を覆って配置され、前記第2の接続ブロックは、前記第1の接続ブロックに対して近位に位置し、前記第1の接続ブロックは前記回転可能部材に連結され、前記回転可能部材と同期して回転可能であり前記回転可能部材に対して軸方向に移動可能であるように構成され、前記第2の接続ブロックは前記摺動可能部材に連結され、前記摺動可能部材に対して軸方向に静止し前記摺動可能部材に対して周方向に回転可能であるように構成され、かつ/又は
前記アダプタブッシュアセンブリは、互いに軸方向に接続されたスリーブ及びばね管を含み、前記スリーブの遠位端は、前記圧縮スリーブの前記近位端に接続され、前記ばね管の近位端は位置決め管を備え、前記位置決め管は、前記第1の接続ブロックに対して遠位に位置し、前記位置決め管は、前記ハンドルアセンブリ内の前記回転可能部材に連結され、前記位置決め管は、前記回転可能部材に対して軸方向に静止し前記回転可能部材に対して周方向に回転可能であるように構成される
請求項11に記載の止血クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療装置に関し、特に止血クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡的低侵襲手術の継続的な発展に伴い、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)及び経管腔的内視鏡手術(NOTES)を含む様々な内視鏡的外科手技が広く使用されている。これらの内視鏡的低侵襲手技では、消化組織の欠損又は穿孔の安全かつ効果的な術中閉鎖が、対処されなければならない重要な問題である。
【0003】
止血クリップは、管腔組織の欠損又は穿孔を閉鎖するための器具である。既存の止血クリップは、開閉可能かつ回転可能なクリップヘッドを有する。そのようなクリップヘッドは、標的部位に送達された後で、牽引機構によって起動され、所望に応じて、標的部位において組織をクランプして、その部位の欠損又は穿孔を閉鎖するように、開き、閉じ、かつ/又は回転する。その後、クリップヘッドは牽引機構から分離され、脱落するまで患者の体内に留まり、標的部位における組織成長の結果として欠損又は穿孔が閉じられた後、胃腸管を通って体外に出る。
【0004】
既存の止血クリップでは、クリップヘッドは、フックによって牽引機構に連結することができ、この連結は、フックを破損させることによって破壊することができる。しかしながら、破損したフックが創傷に落ちると、炎症及び他の問題を引き起こす可能性がある。代替として、クリップヘッドは、ボールヘッド及び嵌合接続ヨーク(枠)によって牽引機構に連結され、接続ヨークの変形を引き起こすことによってそこから分離されてもよい。しかしながら、接続ヨークの製造は複雑なプロセスを伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、より単純な構造を有し、使用中に患者の体内に破損した部分が残る危険性がない止血クリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明は、止血クリップであって、
牽引機構及び分離機構を含む牽引デバイスであって、この牽引機構は、その遠位端において内腔(内部ボア)を画定し、上記分離機構は、その遠位端において上記内腔の外側に配置される牽引デバイスと、
圧縮(狭窄、constricting)スリーブ及びクリップヘッドアセンブリを含むクランプデバイスであって、この圧縮スリーブは第1の係止(ロック)部材を備え、上記クリップヘッドアセンブリは圧縮スリーブ内に部分的に配置され、クリップヘッドアセンブリはクリップアーム及び係合部材を含み、クリップアームは係合部材に配置され、クリップアームはその近位端に上記第1の係止部材と接続するための第2の係止部材を備え、上記係合部材の近位端部分は、内腔と締り嵌めを形成するように内腔に挿入され、上記分離機構は、第2の係止部材が第1の係止部材に接続されることを防止し、これにより、上記牽引機構が、外力の作用下で、上記クリップヘッドアセンブリを上記圧縮スリーブの軸に沿って移動するように駆動して、上記クリップヘッドアセンブリを閉構成と開構成との間で切り替えることを可能にするクランプデバイスと、
上記クリップヘッドアセンブリが上記圧縮スリーブの近位端に向かって移動可能である最大距離を画定するための第1の制限部材と
を含み、この止血クリップは、上記クリップヘッドアセンブリの閉構成において、上記第1の制限部材が、上記圧縮スリーブの近位端に向かう上記クリップヘッドアセンブリのさらなる移動を防止するとき、及び第1の所定値より大きい引張力が上記牽引機構に加えられるとき、上記係合部材の近位端部分が上記内腔から係合解除され、上記分離機構は上記クリップアームの近位端部分をもはや拘束せず、上記第2の係止部材が上記第1の係止部材に接続されることを可能にするように構成される、止血クリップを提供する。
【0007】
任意選択で、上記分離機構は、2つの第1の停止壁であって、上記牽引機構の軸に沿って延在し、上記内腔に対して周方向対称に配置され、上記クリップアームの近位端部分をこの第1の停止壁の内部側に拘束し、これにより、上記第2の係止部材が上記第1の係止部材に接続されることを防止するように構成される2つの第1の停止壁を含んでもよい。
【0008】
任意選択で、上記クランプデバイスは、第2の制限部材であって、上記係合部材の遠位側で上記圧縮スリーブに設けられ、上記クリップヘッドアセンブリが上記圧縮スリーブの近位端から離れて移動可能である最大距離を画定し、これにより、上記クリップヘッドアセンブリが圧縮スリーブから遠位に外れることを防止するように構成される第2の制限部材をさらに含んでもよい。
【0009】
任意選択で、上記第1の係止部材は、上記圧縮スリーブの管状壁に設けられた係止スロットを含んでもよく、第2の係止部材は停止ブロックを含んでもよく、
上記第2の制限部材は、上記クリップヘッドアセンブリ及び圧縮スリーブの周方向相対位置を制限して、拘束が除去された後に上記停止ブロックが上記係止スロットに進入し、その係止スロットと係合することを可能にするようにも構成される。
【0010】
任意選択で、上記第2の制限部材は、上記圧縮スリーブに対して半径方向に延在して、圧縮スリーブの管状壁と共に2つのチャネルを画定してもよく、
2つのクリップアームが、上記圧縮スリーブから、その遠位端からそれぞれのチャネルを通って突出するように設けられる。
【0011】
任意選択で、上記第2の制限部材はピンを含んでもよく、このピンは、例えば、その対向する軸方向両端部において上記圧縮スリーブの管状壁に接続される。あるいは、第2の制限部材は、圧縮スリーブの遠位端に周方向対称に設けられた2つの第2の停止壁を含んでもよい。
【0012】
任意選択で、当該止血クリップは、アダプタブッシュアセンブリをさらに含んでもよく、このアダプタブッシュアセンブリは、上記圧縮スリーブと連通するように圧縮スリーブの近位端に取り外し可能に連結され、圧縮スリーブに対して回転可能であるように構成され、牽引デバイスは、アダプタブッシュアセンブリの軸に沿って移動可能であるようにアダプタブッシュアセンブリ内に部分的に配置され、
当該止血クリップは、上記牽引機構が、外力の作用下で、牽引機構の軸の周りのクリップヘッドアセンブリの回転及び上記圧縮スリーブ自体の軸の周りの圧縮スリーブの回転を駆動できるように構成される。
【0013】
任意選択で、上記第1の制限部材は、第1の制限面及び第2の制限面を含んでもよく、この第1の制限面は上記係合部材に設けられ、第2の制限面に当接するように構成され、第1の段差面が上記圧縮スリーブの外壁面に画定され、上記第2の制限面は上記圧縮スリーブの内壁面に形成され、この圧縮スリーブは、内部に第1の段差面及び第2の制限面に対して近位に位置する第1の接続スロットをさらに備え、
当該止血クリップは、弾性接続部材をさらに含み、この弾性接続部材は、ベース部分(基部)及びシャフト部分(軸部)を含み、このベース部分は、上記アダプタブッシュアセンブリ内に配置され、上記牽引機構を通すための貫通穴が内部に設けられ、上記シャフト部分は、上記アダプタブッシュアセンブリの軸に沿って延びるように上記ベース部分の、上記アダプタブッシュアセンブリの遠位端により近い側に配置されて、このシャフト部分はその遠位端に屈曲フィンを画定し、この屈曲フィンは、第1の接続スロットを通過し、圧縮スリーブから突出し、
上記アダプタブッシュアセンブリは、その遠位端に内向きに突出する第3の制限部材を画定し、このアダプタブッシュアセンブリは、その遠位端において、圧縮スリーブの近位端の周囲の圧縮スリーブの外側表面を覆って配置され、その結果、上記第3の制限部材は、上記屈曲フィンと上記第1の段差面との間に拘束される。
【0014】
任意選択で、上記第1の制限部材は、第1の制限面及び第2の制限面を含んでもよく、この第1の制限面は、上記係合部材に設けられ、第2の制限面に当接するように構成され、第2の段差面が、上記アダプタブッシュアセンブリの遠位端の周囲のそのアダプタブッシュアセンブリの外壁面に画定され、アダプタブッシュアセンブリは、内部に第2の段差面に対して遠位に位置する第2の接続スロットを備え、
当該止血クリップは、弾性接続部材をさらに含み、この弾性接続部材は、ベース部分及び及びシャフト部分を含み、このベース部分は、上記アダプタブッシュアセンブリ内に配置され、上記牽引機構を通すための貫通穴が内部に設けられ、上記シャフト部分は、上記アダプタブッシュアセンブリの軸に沿って延びるように上記ベース部分の、上記アダプタブッシュアセンブリの遠位端により近い側に配置されて、このシャフト部分は、その遠位端に屈曲フィンを画定し、この屈曲フィンは、第2の接続スロットを通過し、アダプタブッシュアセンブリから突出し、
上記圧縮スリーブは、その近位端に内向きに突出する第4の制限部材を画定し、
圧縮スリーブは、その近位端において、アダプタブッシュアセンブリの遠位端の周囲のアダプタブッシュアセンブリの外側表面を覆って配置され、その結果、上記第4の制限部材は、上記屈曲フィンと上記第2の段差面との間に拘束され、アダプタブッシュアセンブリの遠位端面は、上記第1の制限面に当接するための上記第2の制限面を構成する。
【0015】
任意選択で、上記牽引機構は、コアワイヤ及び連結管を含み、このコアワイヤは、上記ベース部分の貫通穴を通過し、上記連結管は、コアワイヤの遠位端に配置され、この連結管は、内腔を画定し、この連結管はその近位端に、上記貫通穴の直径よりも大きい外径を有し、
当該止血クリップは、上記係合部材の近位端部分が内腔から係合解除された後、連結管の近位端がベース部分に当接するとき、及び第2の所定値よりも大きい引張力が牽引機構に加えられるとき、上記アダプタブッシュアセンブリが圧縮スリーブから分離されるように屈曲フィンが変形するように構成される。
【0016】
任意選択で、当該止血クリップは、ハンドルアセンブリをさらに含んでもよく、このハンドルアセンブリは、グリップ(把持)部材、摺動可能部材、及び回転可能部材を含み、このグリップ部材は、軸方向に延在する摺動スロットを画定し、上記摺動可能部材は、この摺動スロット内で摺動可能であるように摺動スロット内に配置され、上記回転可能部材は上記グリップ部材の遠位端に回転可能に配置され、上記牽引機構は、アダプタブッシュアセンブリからその近位端からハンドルアセンブリ内に近位に延在し、ハンドルアセンブリ内の摺動可能部材及び回転可能部材の両方に接続され、
当該止血クリップは、上記摺動可能部材が、摺動スロット内を摺動するとき、上記牽引機構をアダプタブッシュアセンブリの軸に沿って移動するように駆動して、上記クリップヘッドアセンブリを上記圧縮スリーブの軸に沿って移動させるように、並びに上記回転可能部材が、上記グリップ部材に対して回転するとき、牽引機構をそれ自体の軸の周りに回転するように駆動して、クリップヘッドアセンブリ及び圧縮スリーブの回転を引き起こすように構成される。
【0017】
任意選択で、上記牽引機構は、コアワイヤ、連結管、第1の接続ブロック、及び第2の接続ブロックを含んでもよく、この連結管は、コアワイヤの遠位端に配置され、内腔を画定し、上記第1の接続ブロック及び第2の接続ブロックは両方とも、コアワイヤの近位端の周囲でコアワイヤを覆って配置され、上記第2の接続ブロックは、第1の接続ブロックに対して近位に位置し、上記第1の接続ブロックは上記回転可能部材に連結され、回転可能部材と同期して回転可能であり回転可能部材に対して軸方向に移動可能であるように構成され、上記第2の接続ブロックは上記摺動可能部材に連結され、摺動可能部材に対して軸方向に静止し摺動可能部材に対して周方向に回転可能であるように構成される。
【0018】
代替的又は追加的に、上記アダプタブッシュアセンブリは、互いに軸方向に連結されたスリーブ及びばね管を含んでもよく、このスリーブは、その遠位端において上記圧縮スリーブの近位端に接続され、上記ばね管は、その近位端において位置決め管を備え、この位置決め管は上記第1の接続ブロックに対して遠位に位置し、この位置決め管はハンドルアセンブリ内の上記回転可能部材に連結され、この位置決め管は、回転可能部材に対して軸方向に静止し回転可能部材に対して周方向に回転可能であるように構成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の止血クリップは、従来技術に対して以下の利点を有する。
【0020】
本発明の止血クリップは、牽引デバイスと、クランプデバイスと、第1の制限部材とを含む。牽引デバイスは、牽引機構及び分離機構を含む。この牽引機構は、その遠位端において内腔を画定し、分離機構は、その遠位端においてその内腔の外側に配置される。クランプデバイスは、圧縮スリーブ及びクリップヘッドアセンブリを含む。この圧縮スリーブはその上に第1の係止部材を備え、クリップヘッドアセンブリは、圧縮スリーブ内に部分的に配置され、クリップアーム及び係合部材を含む。このクリップアームは、係合部材に配置され、その近位端に上記第1の係止部材と接続するための第2の係止部材を備える。係合部材の近位端部分は、上記内腔と締り嵌めを形成するように内腔に挿入され、上記分離機構は、第2の係止部材が第1の係止部材に接続されるのを防止し、これにより、上記牽引機構が、外力の作用下で、上記クリップヘッドアセンブリを上記圧縮スリーブの軸に沿って移動するように駆動して、上記クリップヘッドアセンブリを閉構成と開構成との間で切り替えることを可能にする。第1の制限部材は、クリップヘッドアセンブリが圧縮スリーブの近位端に向かって移動可能である最大距離を画定するように構成される。当該止血クリップは、クリップヘッドアセンブリの閉構成において、第1の制限部材が、圧縮スリーブの近位端に向かうクリップヘッドアセンブリのさらなる移動を防止するとき、及び第1の所定値より大きい引張力が上記牽引機構に加えられるとき、係合部材の近位端部分が上記内腔から係合解除され、上記分離機構は上記クリップアームの近位端部分をもはや拘束せず、第2の係止部材が第1の係止部材に接続されることを可能にするように構成される。係合部材と内腔との間に確立される締り嵌めは、単純な構造を可能にし、何らの構造構成要素の破損を伴わずに、締り嵌めに打ち勝つことができる引張力を印加することによって単純に解除することができ、これにより、破損部分が患者の体内に残存し、場合によっては創傷を生じるリスクを回避し、増加した安全性及び向上した信頼性を提供する。特に、クリップアームの近位端部分が分離機構内に拘束されている状態で、クリップヘッドアセンブリは、圧縮スリーブの軸に沿って往復運動して、クリップヘッドアセンブリに位置及び配向の調整を繰り返し適用して、止血クリップが標的組織をより良好にクランプすることを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付の図面は、本発明のより良好な理解を容易にするために提供され、いかなる意味においても本発明の範囲を過度に限定しない。
【0022】
図1図1は、クリップヘッドアセンブリが開構成にある、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップの構造を示す模式図である。
図2図2は、クリップヘッドアセンブリが閉構成にある、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップの構造を示す模式図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップの一部分の構造を示す模式図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップの一部分の断面図である。
図5図5は、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップの一部分の断面図であり、図5は、図4の平面とは異なる平面にあり、ピン及び弾性接続部材は図示されていない。
図6図6は、第2の係止部材が第1の係止部材に連結されている、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップの一部分の構造を示す模式図である。
図7図7は、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップにおいて連結管が第1の停止壁とどのように嵌合するかを概略的に示す図である。
図8図8は、牽引機構の近位端部分の構造及びアダプタブッシュアセンブリの近位端部分の構造を特に示す、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップの一部の模式図である。
図9図9は、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップにおいて圧縮スリーブが第2の制限部材とどのように嵌合するかを概略的に示し、(a)は、第2の停止壁が曲げられる前の模式図であり、(b)は、第2の停止壁が曲げられて第2の制限部材を形成した後の模式図である。
図10図10は、本発明の第1の実施形態に係る係合部材の構造を示す模式図である。
図11図11は、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップにおける弾性接続部材の構造を示す模式図である。
図12図12は、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップにおけるハンドルアセンブリの構造を示す模式図である。
図13図13は、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップのハンドルアセンブリの模式的分解図である。
図14図14は、本発明の第2の実施形態に係る止血クリップの一部分の断面図である。
図15図15は、本発明の第2の実施形態に係る止血クリップの一部分の断面図であり、図15は、図14の平面とは異なる平面にあり、弾性接続部材は図示されていない。
図16図16は、本発明の第1の実施形態に係る止血クリップの圧縮スリーブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施形態について具体例によって説明する。本明細書に提供される開示及び教示に基づいて、当業者は、本発明によって提供される他の利点及び利益を容易に理解するであろう。本発明は、異なる実施形態を通して別様に具現化又は適用されてもよく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、異なる観点から又は異なる用途のために、本明細書に開示される詳細に対して種々の改変又は変更が行われてもよい。添付の図面は、本発明の基本的な概念を単に概略的に説明するために提供されることに留意されたい。従って、それらは、本発明に関連する構成要素のみを示すが、必ずしも、実際の実装において、すべての構成要素並びにそれらの実際の形状及び寸法を描写するわけではない。実際には、構成要素の構成、数、及び相対的大きさは、任意に変動してもよく、それらの配置はより複雑であってもよい。
【0024】
以下では、実施形態の各々は、1つ以上の技術的特徴を有するものとして説明される。しかしながら、これは、本発明が、必ずすべてのそのような技術的特徴とともに、又は実施形態のいずれかにおけるいくつか若しくはすべての技術的特徴とは別々に、実施されなければならないということを意味するものではない。言い換えれば、本発明を実施することができる限り、当業者は、本明細書の教示に基づいて、関連する設計仕様又は実用的な用途の要件に応じて、実施形態のいずれかにおける技術的特徴の一部若しくは全部を選択してもよく、又は異なる実施形態における技術的特徴の一部又は全部を組み合わせてもよい。これにより、本発明をより柔軟に実施することができる。
【0025】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの」、「ある」、及び「その」は、複数の指示対象を含み、複数形「複数の」は、文脈と明らかに矛盾する場合を除いて、「2つ以上」を意味する。本明細書で使用される場合、用語「又は」、「若しくは」は、文脈と明らかに矛盾する場合を除いて、「及び/又は」を含む意味で一般に使用される。用語「取り付け」、「連結」及び「接続」は、広い意味で解釈されるべきである。例えば、接続は、恒久的接続、取り外し可能な接続、若しくは一体接続、又は機械的若しくは電気的接続、又は1つ以上の介在媒体を用いた直接的若しくは間接的な接続、又は2つの要素の間の内部連通若しくは内部相互作用であってもよい。当業者は、上記用語の文脈に応じて、本明細書における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0026】
本発明の目的物、特徴及び利点は、添付の図面を参照して特定の実施形態によって記載される本発明の以下のより詳細な説明を読むことによって、より明らかになるであろう。図面は、必ずしも正確な縮尺で描かれておらず非常に簡略化された形態で、しかも実施形態の容易かつ明確な説明を容易にする目的のみのために提供されていることに留意されたい。図面において、同様の参照番号は、同一又は類似の要素を示す。いくつかの図を通して、同様の数字は同様の要素を示す。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「近位」及び「遠位」は、デバイスを操作する医師によって見られるような、医療装置の構成要素間、又はそれらの動作間の相対的配向、相対的位置及び方向を指すことが意図される。限定することを望むものではないが、「近位端」は、通常、操作者により近い端部を指し、端部に対する「遠位端」は、医療装置の通常動作中に、最初に患者の身体に入る。
【0028】
実施形態1
図1図6に示すように、本発明の第1の実施形態では、牽引デバイスと、クランプデバイスと、第1の制限部材とを含む止血クリップが提供される。この牽引デバイスは、牽引機構1100及び分離機構を含む。牽引機構1100の遠位端は、内腔1101を画定する。この実施形態では、分離機構は、好ましくは、第1の停止壁1200を含み、第1の停止壁1200は、内腔1101の遠位端の外側に配置され、牽引機構1100の軸に沿って延在する。クランプデバイスは、圧縮スリーブ2100及びクリップヘッドアセンブリ2200を含む。圧縮スリーブ2100には、その内部に第1の係止部材が設けられている。クリップヘッドアセンブリ2200は、圧縮スリーブ2100内に部分的に受け入れられ、クリップアーム2210及び係合部材2220を含む。クリップアーム2210は、係合部材2220に設けられ、クリップアーム2210の近位端は、第1の係止部材と接続するための第2の係止部材を備える。係合部材2220の近位端部分は、内腔1101と締り嵌めを形成するように内腔1101に挿入される。さらに、クリップアーム2210の近位端は、第1の停止壁1200の内部側に拘束され、第2の係止部材が第1の係止部材に接続されることを防止する。その結果、牽引機構1100は、外力の作用下で、クリップヘッドアセンブリ2200を圧縮スリーブ2100の軸に沿って移動するように駆動して、クリップヘッドアセンブリ2200を閉構成と開構成との間で切り替えることを可能にするようになっている。第1の制限部材は、クリップヘッドアセンブリ2200が圧縮スリーブ2100の近位端に向かって移動することができる最大距離を画定するように構成される。
【0029】
牽引機構1100の軸に沿った第1の停止壁1200の延長(延在)は、牽引機構1100の軸に平行な第1の停止壁1200の延長と、クリップアーム2210の近位端を第1の停止壁1200の内部側に拘束することができるような角度を牽引機構1100の軸と形成する方向の第1の停止壁1200の延長との両方を含むことに留意されたい。ここで、「内部側」は、牽引機構1100の軸に近い第1の停止壁1200の側を指す。第1の停止壁1200の内部側にクリップアーム2210の近位端を拘束することによって、第2の係止部材は、第1の係止部材から分離され、この2つの係止部材が互いに接続されることが防止される。
【0030】
2つのクリップアーム2210が含まれてもよいことが理解されるであろう。患者の体内の標的組織をこの止血クリップでクランプするために、操作者は牽引機構1100の近位端に引張力を印加し、クリップヘッドアセンブリ2200を圧縮スリーブ2100の近位端に向かって移動させてもよい。その結果、圧縮スリーブ2100の管状壁がクリップアーム2210を押圧し、2つのクリップアーム2210の遠位端を互いに接近させる。このようにして、クリップヘッドアセンブリ2200を閉構成に切り替えることができる。反対に、操作者によって牽引機構1100に加えられる押力は、圧縮スリーブ2100の管状壁がクリップアーム2210をもはや押圧しなくなるまで、圧縮スリーブ2100の近位端から離れる方向にクリップヘッドアセンブリ2200を移動させてもよい。このようにして、クリップヘッドアセンブリ2200は、開構成に切り替えられる。ここで、「引張力」は、圧縮スリーブ2100の遠位端から近位端に向かう方向に作用する力を指し、「押力」は、圧縮スリーブ2100の近位端から遠位端に向かう方向に作用する力を指す。さらに、「圧縮スリーブ2100の近位端に向かうクリップヘッドアセンブリ2200の移動」は、圧縮スリーブ2100の遠位端から近位端に向かう方向のクリップヘッドアセンブリ2200の移動を指し、また、「圧縮スリーブ2100の近位端から離れるクリップヘッドアセンブリ2200の移動」は、圧縮スリーブ2100の近位端から遠位端に向かう方向のクリップヘッドアセンブリ2200の移動を指す。
【0031】
圧縮スリーブ2100の近位端に向かうクリップヘッドアセンブリ2200のさらなる移動を第1の制限部材が停止した状態にあるクリップヘッドアセンブリ2200の閉構成において、操作者が第1の所定値を超える引張力を牽引機構1100に加えると、係合部材2220の近位端は内腔1101から突出し、第1の停止壁1200はもはや、クリップアーム2210の近位端を圧縮しないことになる。その結果、第2の係止部材は、第1の係止部材に接続され、クリップヘッドアセンブリ2200は、係止され、閉構成に維持される。「第1の所定値」は、牽引機構1100に加えられる第1の所で値を超える引張力によって締り嵌めに打ち勝つことができる限り、係合部材2220の近位端部分と内腔1101との間に確立される締り嵌めの強度に応じて任意の値として決定されてもよい。
【0032】
この実施形態によれば、締り嵌めによってクリップヘッドアセンブリ2200の係合部材2220を牽引機構1100に接続することにより、単純な構造という利点を提供することができる。さらに、締り嵌めに打ち勝つ引張力を牽引機構1100に単純に加えることによって接続を破壊することができる。これは、いかなる構造構成要素の破損も伴わず、従って、構成要素の破損部分が患者の身体内に残存し、場合によっては創傷を生じ、炎症又は他の問題を引き起こし得るという問題に悩まされないため、利便性及び操作の容易性並びにより高い使用安全性という利点を提供する。
【0033】
この実施形態では、第1の制限部材は、第1の制限面及び第2の制限面を含む。第1の制限面は、係合部材2220に画定され、第2の制限面は、第1の係止部材の近位側の圧縮スリーブ2100の内壁面に画定され、第1の制限面に当接するように構成される。
【0034】
上記クランプデバイスは、係合部材2220の遠位側で圧縮スリーブ2100に設けられた第2の制限部材をさらに含む。この第2の制限部材は、クリップヘッドアセンブリ2200が圧縮スリーブ2100の近位端から離れて移動することができる最大距離を画定するように構成され、これにより、クリップヘッドアセンブリ2200が圧縮スリーブ2100の遠位端から外れることを防止する。これとは別に、第2の制限部材は、クリップヘッドアセンブリ2200及び圧縮スリーブ2100の周方向相対位置を制限して、周方向の位置合わせ、従って第2の係止部材の第1の係止部材との成功した接続を確実にするようにも構成される。
【0035】
加えて、当該止血クリップは、アダプタブッシュアセンブリ3000をさらに含み、このアダプタブッシュアセンブリ3000は、圧縮スリーブ2100と連通するように、圧縮スリーブ2100の近位端に取り外し可能に接続される。牽引デバイスは、アダプタブッシュアセンブリ3000の軸に沿って移動可能であるように、アダプタブッシュアセンブリ3000内に部分的に受け入れられる。「取り外し可能に接続される」とは、所定の条件が満たされたときにアダプタブッシュアセンブリ3000を圧縮スリーブ2100から取り外すことができることを意味するものとする。さらに、圧縮スリーブ2100及びアダプタブッシュアセンブリ3000は、互いに対して回転可能である。従って、牽引機構1100が外力の作用下で回転すると、クリップヘッドアセンブリ2200及び圧縮スリーブ2100は、同期して回転するように駆動され、操作者によるクリップヘッドアセンブリ2200の位置調整が容易になる。
【0036】
当該止血クリップは、牽引機構1100の近位端及びアダプタブッシュアセンブリ3000の近位端に接続されるように構成されたハンドルアセンブリ4000をさらに含む。操作者は、ハンドルアセンブリ4000を操作して牽引機構1100に力を加え、それによりクランプデバイスを作動させて様々な動きを行うことができる。
【0037】
以下、添付の図面を参照して、本実施形態の止血クリップにおける各構成要素の構造及び組み付け方法を詳細に説明する。
【0038】
図7と併せて図3から図5を参照すると、牽引機構1100は、コアワイヤ1110及び連結管1120を含む。連結管1120は、コアワイヤ1110の遠位端部分を覆って配置され、内腔1101を画定する。連結管1120の外径は、コアワイヤ1110の外径よりも大きい。好ましくは、連結管1120は、遠位セクション1121及び近位セクション1122を含む。遠位セクション1121は円筒形であり、近位セクション1122は先細り状、例えば円錐台形であり、その遠位端から近位端の方向に徐々に減少する断面を有し、コアワイヤ1110との接続が容易になっている。内腔1101は、一定の内径を有してもよい。あるいは、内腔1101は、段付き腔として設計されてもよい。
【0039】
第1の停止壁1200は、連結管1120の遠位端部分上に配置される。1つの実装形態では、2つの第1の停止壁1200が、周方向対称に連結管1120に設けられる。この場合、各第1の停止壁1200は、クリップアーム2210のそれぞれ1つの近位端部分をその内部側に拘束するように構成される。
【0040】
図8を参照すると、牽引機構1100は、第1の接続ブロック1130及び第2の接続ブロック1140をさらに含み、第1の接続ブロック1130及び第2の接続ブロック1140は両方とも、コアワイヤ1110の近位端にある。第2の接続ブロック1140は、第1の接続ブロック1130に対して近位に位置する。第1の接続ブロック1130は回転しない形状を有する。例えば、第1の接続ブロック1130は、三角形、四角形、正六角形、又は他の断面を有してもよい。第2の接続ブロック1140は円形断面を有してもよい。第1の接続ブロック1130及び第2の接続ブロック1140の両方は、以下でより詳細に説明されるように、ハンドルアセンブリ4000に接続される。好ましくは、コアワイヤ1110は、コアワイヤ本体と、コアワイヤ本体の外側表面に巻き付けられたコアワイヤジャケットとを含む。このコアワイヤジャケットは、アダプタブッシュアセンブリ3000の軸に沿った牽引機構1100の移動中に牽引機構1100が遭遇する摩擦を低減するために提供され、コアワイヤ1110の屈曲の確率を低下させる。
【0041】
牽引機構1100は、第1の接続ブロック1130と第2の接続ブロック1140との間のコアワイヤ1100の一部を覆って配置された補強スリーブ1150をさらに含み、補強スリーブ1150は、その対向する軸方向両端部において第1の接続ブロック1130と第2の接続ブロック1140の両方に接続される。補強スリーブ1500は、牽引機構1100を強化し、その曲げの可能性を低減することができる。
【0042】
特に図3から図5を参照すると、圧縮スリーブ2100は、それを貫通して軸方向に延在して中にクリップヘッドアセンブリ2200を受け入れるように構成される第1の管腔を画定する円筒形構造であってもよい。第1の係止部材は、圧縮スリーブ2100の管状壁に画定された係止スロット2101を含む。この実施形態では、圧縮スリーブ2100は、第1のセクション及び第2のセクションを含む。第1のセクションは、第2のセクションに対して遠位に位置する。第1のセクションは、第2のセクションの外径よりも大きい外径を有する。従って、第1の段差面2102が、圧縮スリーブ2100の外壁面に画定される。好ましくは、係止スロット2101は、第1のセクションの近位端の周囲に画定される。第1の接続スロット2103は、第2のセクションに画定される。すなわち、係止スロット2101は、第1の段差面2102に対して遠位に位置し、第1の接続スロット2103は、第1の段差面2102に対して近位に位置する。第1の段差面2102及び第1の接続スロット2103の両方は、以下でより詳細に説明されるように、アダプタブッシュアセンブリ3000と嵌合(mating)及び接続するように構成される。第3の段差面2104は、圧縮スリーブ2100の内壁面に画定される。
【0043】
第2の制限部材は、圧縮スリーブ2100の遠位端に設けられ、圧縮スリーブ2100に対して半径方向に延在する。この第2の制限部材は、圧縮スリーブ2100の管状壁とともに2つのチャネル2105(図9(b)参照)を画定する。1つの実装形態では、図3図5に示すように、第2の制限部材はピン2300を含み、ピン2300は、その対向する軸方向両端部で圧縮スリーブ2100の管状壁に接続され、これによりピン2300は、その管状壁とともに2つの別個のチャネル2105を画定する。別の実装形態では、図9に示すように、第2の制限部材は、圧縮スリーブ2100の遠位端部分に配置された2つの第2の停止壁2106を含む。2つの第2の停止壁2106は対称的であってもよく、互いに当接してもよい。製作の際には、2つの第2の停止壁2106は、単一の管の不要な部分を除去することによって形成されてもよい。その結果、その管の第2の停止壁2106以外の部分は、圧縮スリーブ2100として機能し、第2の停止壁2106は、圧縮スリーブ2100の軸に沿って延在する。その後、第2の停止壁2106に力を加えて、第2の停止壁2106が圧縮スリーブ2100に対して半径方向に延在するまで、第2の停止壁2106を圧縮スリーブ2100に対して内向きに曲げてもよい。
【0044】
図10は、係合部材2220の構造を示す模式図である。図10に示されるように、係合部材2220は、第1の接続シャフト2221と、第3の接続ブロック2222と、第2の接続シャフト2223とを含む。第1の接続シャフト2221及び第2の接続シャフト2223は共に第3の接続ブロック2222に接続され、第1の接続シャフト2221は圧縮スリーブ2100の軸に垂直である。第1の接続シャフト2221の軸方向両端部分は、第3の接続ブロック2222から突出してクリップアーム2210の中間部分に接続される(図3及び図4参照)。第3の接続ブロック2222は、すべて矩形面を有するブロックであってもよく、近位端面は圧縮スリーブ2100の軸に対して垂直である。当然ながら、他の実装形態では、第3の接続ブロック2222の面は、矩形以外の形状であってもよい。例えば、面は円形、楕円形等であってもよい。第2の接続シャフト2223の遠位端は、圧縮スリーブ2100の軸と平行に延びるように第3の接続ブロック2222に接続される。第2の接続シャフト2223の近位端は、牽引機構1100の内腔1101と締り嵌めを形成するように内腔1101に挿入されるように構成される。
【0045】
図3及び図4に示すように、2つのクリップアーム2210の中間部分は、第1の接続シャフト2221のそれぞれの対向する軸方向両端部に接続される(例えば、クリップアーム2210の中間部分が第1の接続シャフト2221の軸に沿って第1の接続シャフト2221を覆って(接続シャフト2221の軸と交差して、over)配置されてもよいように、第1の接続シャフト2221と嵌合することができる開口部がクリップアーム2210の中間部分に設けられてもよい)。このようにして、クリップアーム2210の遠位端及び近位端は、両方とも自由端である。クリップアーム2210は、弾性であるように構成され、停止ブロック2211が、クリップアーム2210の近位端の周囲の外側表面に設けられ、第2の係止部材としての役割を果たす。ここで、「自由端」とは、クリップアーム2210の遠位端及び近位端が何らかの他の機構に固定されないことを意味するものとする。「外側表面」は、2つのクリップアーム2210の互いに離れる方向を向く表面、すなわち、クリップアーム2210が圧縮スリーブ2100に組み付けられたときに圧縮スリーブ2100の内壁面に面する表面を指す。
【0046】
クリップヘッドアセンブリ2200、圧縮スリーブ2100及び牽引デバイスがともに組み付けられると、2つのクリップアーム2210の遠位端は、クリップヘッドアセンブリ2200の遠位端におけるそれぞれの2つのチャネル2105を通って圧縮スリーブ2100から突出する。さらに、係合部材2220の第3の接続シャフト2223の近位端は、牽引機構1100の内腔1101に挿入され、2つのクリップアーム2210の近位端は、第1の停止壁1200の内部側に包み込まれる(内蔵される)(すなわち、クリップアーム2210の近位端は、第1の停止壁1200の内部側と第3の接続シャフト2223の外側表面との間にクランプされる)。従って、停止ブロック2211は、係止スロット2101から分離される。この構成では、係合部材2220が牽引機構1100から分離される前に、操作者は牽引機構1100を繰り返し押したり引いたりして、クリップヘッドアセンブリ2200を開構成と閉構成との間で切り替えてもよい。クランプされるべき標的組織が2つのクリップアーム2210の間に位置すると、操作者は、その標的組織をクランプするために、牽引機構1100を引っ張って、クリップヘッドアセンブリ2200を圧縮スリーブ2100の近位端に向かって移動させてもよい。係合部材2220内の第3の接続ブロック2222の近位端面が圧縮スリーブ2100の第3の段差面2104に当接すると、クリップヘッドアセンブリ2200は、もはや圧縮スリーブ2100の近位端に向かって移動することができない。すなわち、第3の接続ブロック2222の近位端面は上述した第1の制限面として機能し、圧縮スリーブ2100の第3の段差面2104は第2の制限面として作用する。次いで、操作者は、係合部材2220(より正確には、第2の接続シャフト2223)と内腔1101との間の締り嵌めに打ち勝つために第1の所定値よりも大きい引張力を牽引機構1100に印加して、牽引機構1100を係合部材2220から分離してもよい。その結果、第1の停止壁1200は、クリップアーム2210の近位端をもはや拘束せず、クリップアーム2210の近位端にある停止ブロック2211は、係止スロット2101に進入し、クリップヘッドアセンブリ2200を係止する。第2の制限部材(例えば、図4のピン2300、又は図9の第2のステップアーム2106)の存在により、クリップヘッドアセンブリ2200は、周方向回転を伴わずに(そのような周方向回転は、例えば、圧縮スリーブ200の遠位端に対して遠位に位置するクリップアーム2210の部分が圧縮スリーブ2100の管状壁及び第2の制限部材に当接するため、不可能になる)、実質的に圧縮スリーブ2100の軸に沿ってのみ移動することができ、これは、係止スロット2101と停止ブロック2211との周方向の位置合わせを可能にし、それらの成功した接続を確実にすることが理解されるであろう。
【0047】
再び図1図5を参照すると、アダプタブッシュアセンブリ3000は、それを通って軸方向に延在し中に牽引デバイスを受け入れるように構成される第2の管腔を画定する。アダプタブッシュアセンブリ3000は、スリーブ3100を含み、この実施形態では、スリーブ3100の遠位端は、半径方向内向きに突出する環状の第3の制限部材3101を画定する。第3の制限部材3101は、圧縮スリーブ2100と嵌合及び接続するように構成される。
【0048】
具体的には、当該止血クリップは、弾性接続部材5000をさらに含み(図3図4、及び図11参照)、弾性接続部材5000は、ベース部分5100とシャフト部分5200とを含む。ベース部分5100は、アダプタブッシュアセンブリ3000の第2の管腔内に配置され、その中に貫通穴5110を画定する。貫通穴5110の直径は、コアワイヤ1110の外径以上であり、連結管1120の外径よりも小さい。このように、ベース部分5100は、牽引デバイス内のコアワイヤ1110の外側表面を覆って配置されることができる。シャフト部分5200は、ベース部分5100のアダプタブッシュアセンブリ3000の遠位端により近い側に設けられ、アダプタブッシュアセンブリ3000の軸に沿って延びる。シャフト部分5200の遠位端は、外向きに屈曲したフィン5220を画定する。屈曲フィン5220は、90°~120°の角度(例えば、図11のα)で屈曲している。屈曲フィン5220は、圧縮スリーブ2100の第1の接続スロット2103を(半径方向に)通過し、圧縮スリーブ2100から突出して、第1の段差面2102の間に停止溝を画定する。スリーブ3100が圧縮スリーブ2100の第2のセクションの外側表面を覆って配置されると、スリーブ3100の第3の制限部材3101は、上記停止溝内に配置され(すなわち、第3の制限部材3101は、屈曲フィン5220と第1の段差面2102との間に拘束される)、これにより、アダプタブッシュアセンブリ3000を圧縮スリーブ2100に、その2つが互いに対して回転できるように連結する。この構成では、屈曲フィン5220は、外力の作用下で変形して、第1の接続スロット2103から係合解除され、従って、アダプタブッシュアセンブリ3000を圧縮スリーブ2100から連結解除してもよい。
【0049】
さらに、図1図2及び図8を参照すると、アダプタブッシュアセンブリ3000は、ばね管3200をさらに含み、ばね管3200の遠位端は、スリーブ3100の近位端に接続され、ばね管3200の近位端は、位置決め管3210を備える。位置決め管3210は、円形断面を有してもよく、ハンドルアセンブリ4000との接続のために構成される。
【0050】
引き続き図1図2及び図12を参照すると、ハンドルアセンブリ4000は、グリップ部材4100と、摺動可能部材4200と、回転可能部材4300とを含む。グリップ部材4100は、軸方向に延在する摺動スロット4110を画定し、摺動可能部材4200は、摺動スロット4110内で摺動可能であるように、摺動スロット4110に連結される。回転可能部材4300は、グリップ部材4100の遠位端に回転可能に配置されている。牽引機構1100の近位端(より正確には、コアワイヤ1110の近位端)は、アダプタブッシュアセンブリ3000の近位端から延在し(従って、第1の接続ブロック1130は、位置決め管3210に対して近位側に位置する)、ハンドルアセンブリ4000内の摺動可能部材4200及び回転可能部材4300に連結される。さらに、当該止血クリップは、摺動可能部材4200が摺動スロット4110内で摺動するとき、摺動可能部材4200が牽引機構1100をアダプタブッシュアセンブリ3000の軸に沿って移動するように駆動するべく構成される。さらには、回転可能部材4300がグリップ部材4100に対して回転すると、回転可能部材4300は牽引機構1100を回転するように駆動する。
【0051】
図13をさらに参照すると、回転可能部材4300は、内部に第1の固定空洞4301及び第2の固定空洞4302を画定し、摺動可能部材4200は、内部に第3の固定空洞4201を画定する。第1の固定空洞4301、第2の固定空洞4302、及び第3の固定空洞4201は互いに連通している。第1の固定空洞4301及び第3の固定空洞4201はいずれも円形断面を有してもよく、第2の固定空洞4302は第1の接続ブロック1130の断面と一致する断面を有してもよい。ばね管3200の位置決め管3210は、第1の固定空洞4301内に配置され、回転可能部材4300に対して軸方向に静止しているように構成される。さらに、回転可能部材4300は、位置決め管3210に対して回転可能であるように構成され(すなわち、位置決め管3210は回転可能ではない)、回転中のアダプタブッシュアセンブリ3000と牽引機構1100とのねじれを回避する。牽引機構1100の第1の接続ブロック1130は、第2の固定空洞4302内に配置され、第2の固定空洞4302内で軸方向に移動可能でありかつ回転可能部材4300と同期して回転可能であるように構成される。牽引機構1100の第2の位置決めブロック1140は、第3の固定空洞4201内に配置され、摺動可能部材4200に対して軸方向に静止して摺動可能部材4200に対して周方向に回転可能であり、これにより、その回転中の牽引機構1100のねじれを回避するように構成される。
【0052】
この実施形態では、図13に示すように、グリップ部材4100、摺動可能部材4200、及び回転可能部材4300はすべて、モジュール式構造であることが好適であり、これは、牽引機構1100及びアダプタブッシュアセンブリ3000とのハンドルアセンブリ4000の組み付けを容易にすることができる。
【0053】
本実施形態の止血クリップの使用方法を以下で説明する。
【0054】
当該止血クリップが患者の身体内の標的部位に送達された後、操作者は、ハンドルアセンブリ4000を操作して、摺動可能部材4200を摺動スロット4110内で(遠位方向に)摺動させ、牽引機構1100をアダプタブッシュアセンブリ3000の軸に沿って移動するように駆動してもよい。その結果、クリップヘッドアセンブリ2200は、圧縮スリーブ2100の軸に沿って遠位方向に移動するように駆動され、これにより、2つのクリップアーム2210を開く。さらに、操作者は、ハンドルアセンブリ4000を操作して、回転可能部材4300をグリップ部材4100に対して回転させ、クランプデバイス(すなわち、クリップヘッドアセンブリ2200及び圧縮スリーブ2100)を回転するように駆動して、これにより、標的組織が2つのクリップアーム2210の間に位置付けられるまで、クリップヘッドアセンブリ2200の位置及び配向を調整してもよい。
【0055】
その後、操作者は、摺動可能部材4200に引張力を印加し、摺動可能部材4200を後退させてもよい。その結果、牽引機構1100は、係合部材2220の第3の接続ブロック2222の遠位端面が圧縮スリーブ2100の第3の段差面2104に当接するまで、クリップヘッドアセンブリ2200を圧縮スリーブ2100の近位端に向かって移動するように駆動する。
【0056】
続いて、操作者は、係合部材2220の近位端部分(より正確には、第2の接続シャフト2223の近位端部分)と牽引機構1100の内腔1101との間の締り嵌めに打ち勝つために、(軸方向の)引張力を第1の所定値よりも大きい値に増加させて、これにより、係合部材2220を牽引機構1100から分離してもよい。その結果、第1の停止壁1200は、クリップアーム2210の近位端部分をもはや拘束せず、停止ブロック2211は、係止スロット2101に進入し、それと係合し、クリップヘッドアセンブリ2200を係止する。
【0057】
その後、操作者はさらに、牽引機構1100の連結管1120が弾性接続部材5000のベース部分5100に当接するまで、摺動可能部材4200を後退させてもよい。
【0058】
次に、操作者は、引張力を(軸方向に)第2の所定値よりも大きい値にさらに増加させてもよい。引張力は、連結管1120によって弾性接続部材5000に伝達され、屈曲フィン5220の変形及び屈曲フィン5220の第1の接続スロット2103からの係合解除を引き起こす。その結果、アダプタブッシュアセンブリ3000は、圧縮スリーブ2100から分離される。上記第2の所定値は、その第2の所定値より大きい引張力が屈曲フィン5220の変形を引き起こし得る限り、弾性接続部材5000の材質に応じて任意の値として決定されてもよい。
【0059】
最後に、操作者はさらに、摺動可能部材4200を後退させ、アダプタブッシュアセンブリ3000及び牽引デバイス1000を患者の身体から引き抜いてもよい。
【0060】
実施形態2
図14及び図15に示すように、第2の実施形態は、スリーブ3100の遠位端部分が、圧縮スリーブ2100の近位端から圧縮スリーブ2100の第1の管腔に挿入され、スリーブ3100の遠位端面3101が第2の制限面を提供するという点で、第1の実施形態とは異なる。
【0061】
具体的には、圧縮スリーブ2100の遠位端は、半径方向内向きに突出する第4の制限部材2107を画定する。スリーブ3100は、第3のセクション及び第4のセクションを含む。第3のセクションは、第4のセクションに対して遠位にあり、第4のセクションの外径よりも小さい外径を有する。これにより、スリーブ3100の外壁面に第2の段差面3102が画定される。第2の接続スロット3103が、スリーブ3100の第3のセクションに設けられる(すなわち、第2の接続スロット3103は、第2の段差面3102に対して遠位に位置する)。弾性接続部材5000の屈曲フィン5220は、第2の接続スロット3103を通過してスリーブ3100から突出している。圧縮スリーブ2100の近位端は、スリーブ3100の第3のセクションの外側表面を覆って配置され、第4の制限部材2107は、屈曲フィン5220と第2の段差面3102との間に拘束され、これにより、アダプタブッシュアセンブリ3000を圧縮スリーブ2100に、その2つが互いに対して回転できるように連結する。
【0062】
実施形態1と同様に、係合部材2220における第3の接続ブロック2222の近位端面がスリーブ3100の遠位端面3101に当接した後、操作者は、ハンドルアセンブリ4000の摺動可能部材4200を操作して、第1の所定値より大きい引張力を牽引機構1100に印加し、連結管1120をクリップヘッドアセンブリ2220の係合部材から分離してもよい。その結果、分離機構は、クリップアーム2210の近位端部分をもはや拘束せず、停止ブロック2211は、係止スロット2101に進入しそれと係合する。さらに、操作者は、第2の所定値よりも大きい引張力を牽引機構1100に印加し、屈曲フィン5220の変形を引き起こしてアダプタブッシュアセンブリ3000を圧縮スリーブ2100から分離してもよい。
【0063】
任意選択の実装形態では、圧縮スリーブ2100は、その軸方向全長にわたって一定である内径を有し、圧縮スリーブ2100の近位端は、第4の制限部材(図示せず)として機能する環状の第3の停止壁を備える。別の実装形態では、図16に示すように、環状溝2108が、圧縮スリーブ2100の近位端の周囲の圧縮スリーブ2100の内壁面に画定される。この場合、環状溝2108に対して近位に位置する圧縮スリーブ2100の内壁面部分が第4の制限部材2107として機能する。
【0064】
以上、本発明を開示してきたが、本発明は上記の開示に限定されるものではない。当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない範囲で、本発明に様々な変更及び改変を行うことができる。従って、あらゆるそのような変更及び改変も、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定められる本発明の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16