(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】求職支援システム、求職支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/1053 20230101AFI20240613BHJP
【FI】
G06Q10/1053
(21)【出願番号】P 2024025050
(22)【出願日】2024-02-22
【審査請求日】2024-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512313953
【氏名又は名称】株式会社ビズリーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】牟田 幹彦
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-216835(JP,A)
【文献】特開2017-45408(JP,A)
【文献】特開2003-187103(JP,A)
【文献】特開2023-86224(JP,A)
【文献】特開2003-85437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
求職支援システムであって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成され、
登録ステップでは、求職者の登録情報を登録し、
提示ステップでは、求職者特性情報と参照情報とに基づいて、前記求職者が応募可能な求人の中から前記求職者に推奨する少なくとも1つの推奨求人を提示し、ここで、前記求職者特性情報は、前記登録情報及び前記求職者の求人に対する行動履歴の少なくとも一方であり、
前記参照情報は、前記登録情報の登録後の時期に応じて使い分けられる第1参照情報及び第2参照情報を含み、
前記第1参照情報は、前記求職者特性情報と前記求人との第1相関関係を含み、
前記第2参照情報は、前記第1相関関係とは異なる、前記求職者特性情報と前記求人との第2相関関係を含む、求職支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の求職支援システムにおいて、
前記提示ステップでは、前記時期が、前記第1参照情報の使用時期であるか否か判定する、求職支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の求職支援システムにおいて、
前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、
公開ステップでは、登録された前記登録情報を求人者に公開し、
前記提示ステップでは、前記時期が前記登録情報の公開前である場合、前記求職者特性情報と前記第1参照情報とに基づいて前記推奨求人を提示し、前記時期が前記登録情報の公開後である場合、前記求職者特性情報と前記第2参照情報とに基づいて前記推奨求人を提示する、求職支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の求職支援システムにおいて、
前記求職者特性情報は、前記登録情報であり、
前記第2参照情報とともに前記提示ステップで参照される前記登録情報の項目の数は、前記第1参照情報とともに前記提示ステップで参照される前記登録情報の項目の数よりも多い、求職支援システム。
【請求項5】
請求項1に記載の求職支援システムにおいて、
前記求職者特性情報は、前記登録情報であり、
前記提示ステップでは、前記時期に応じて前記第1参照情報が使用される場合に、前記登録情報に含まれる職種又は業種と同一又は類似の募集職種又は募集業種を含み、かつ、前記登録情報に含まれる年収に対する年収条件を満たす前記求人を前記推奨求人として提示し、
前記第1参照情報は、前記第1相関関係として、前記登録情報に含まれる職種又は業種と同一又は類似の募集職種又は募集業種を示す情報と、前記年収条件とを含む、求職支援システム。
【請求項6】
請求項1に記載の求職支援システムにおいて、
前記求職者特性情報は、前記登録情報であり、
前記提示ステップでは、前記時期に応じて前記第1参照情報が使用される場合に、参考求職者の前記行動履歴が判定基準を満たす前記求人を前記推奨求人として提示し、
前記参考求職者は、前記登録情報に含まれる属性と同一又は類似の属性を有する登録情報を有する他の求職者、又は前記行動履歴が前記求職者と近い他の求職者であり、
前記第1参照情報は、前記第1相関関係として、前記登録情報に含まれる属性と同一若しくは類似の属性を示す情報、又は前記行動履歴の近さを示す情報と、前記行動履歴に対する前記判定基準とを含む、求職支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載の求職支援システムにおいて、
前記行動履歴は、前記求人の閲覧、前記求人への応募、前記求人のブックマークリストへの登録、及び前記求人に基づいて送信されたスカウト文書への返信の少なくとも1つを含み、
前記判定基準は、複数の前記参考求職者の前記行動履歴に基づいて算出される行動スコアが予め定めた閾値を超えることである、求職支援システム。
【請求項8】
請求項1に記載の求職支援システムにおいて、
前記第1参照情報は、前記求職者特性情報を入力とし前記推奨求人を出力することが可能なように学習された推奨求人判定モデルであり、
前記提示ステップでは、前記時期に応じて前記第1参照情報が使用される場合に、前記求職者特性情報を前記推奨求人判定モデルに入力し、前記推奨求人判定モデルに前記推奨求人を出力させる、求職支援システム。
【請求項9】
請求項8に記載の求職支援システムにおいて、
前記求職者特性情報は、前記登録情報であり、
前記推奨求人判定モデルは、前記登録情報に含まれる職種又は業種と、年収とに基づいて前記推奨求人を判定することが可能なように学習される、求職支援システム。
【請求項10】
請求項8に記載の求職支援システムにおいて、
前記推奨求人判定モデルは、複数の学習対象求職者の登録情報と前記行動履歴との関係を学習した学習モデルであり、
前記提示ステップでは、前記時期に応じて前記第1参照情報が使用される場合に、前記求職者特性情報を前記推奨求人判定モデルに入力し、前記推奨求人判定モデルに、学習した前記行動履歴に含まれる求人の情報に基づき前記推奨求人を出力させる、求職支援システム。
【請求項11】
請求項10に記載の求職支援システムにおいて、
前記行動履歴は、前記求人の閲覧、前記求人への応募、前記求人のブックマークリストへの登録、前記求人に基づいて送信されたスカウト文書への返信、及び前記求人における審査の通過の少なくとも1つを含む、求職支援システム。
【請求項12】
請求項1に記載の求職支援システムにおいて、
前記求職者特性情報は、前記登録情報であり、
前記提示ステップでは、前記時期に応じて前記第1参照情報が使用される場合に、前記登録情報と前記第1参照情報とに基づいて求人ごとに求人スコアを算出するとともに、前記求人スコアの高さに応じて前記推奨求人を判定する、求職支援システム。
【請求項13】
請求項12に記載の求職支援システムにおいて、
前記求人スコアは、前記登録情報に含まれる記載事項と前記求人に含まれる記載事項との対比に基づいて算出されるマッチスコアと、前記登録情報に含まれる属性と同一又は類似の属性を有する他の登録情報を有する参考求職者の、前記求人に対する行動履歴に基づいて算出される行動スコアとに基づいて算出される、求職支援システム。
【請求項14】
求職支援方法であって、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の求職支援システムが実行する各ステップを備える、求職支援方法。
【請求項15】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の求職支援システムの各ステップを実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、求職支援システム、求職支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、求職者が職務経歴書などのユーザ情報を登録し、求人を検索することを可能とする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような求人検索を提供するサービスでは、適切な求人を検索するための検索条件の設定が求職者にとって難しい場合がある。
【0005】
本発明では上記事情に鑑み、求職者に適した求人を提示できる求職支援システム等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、求職支援システムが提供される。この求職支援システムは、プロセッサを備える。プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成される。登録ステップでは、求職者の登録情報を登録する。提示ステップでは、求職者特性情報と参照情報とに基づいて、求職者が応募可能な求人の中から求職者に推奨する少なくとも1つの推奨求人を提示する。求職者特性情報は、登録情報及び求職者の求人に対する行動履歴の少なくとも一方である。参照情報は、登録情報の登録後の時期に応じて使い分けられる第1参照情報及び第2参照情報を含む。第1参照情報は、求職者特性情報と求人との第1相関関係を含む。第2参照情報は、第1相関関係とは異なる、求職者特性情報と求人との第2相関関係を含む。
【0007】
このような態様によれば、求職者の登録情報に応じて、求職者に適した推奨求人を提示できる。また、登録情報の登録後の時期に応じて、推奨求人を判定するための参照情報が使い分けられるため、例えば、登録直後の求職者に対しても適切な推奨求人が提示される。その結果、登録直後の求職者に対し、求職支援システムが提供する採用支援サービスの価値を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】サーバ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】求人者端末20及び求職者端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】サーバ装置10(制御部11)、求人者端末20(制御部21)及び求職者端末30(制御部31)によって実現される機能を示すブロック図である。
【
図5】求職者端末30に表示される推奨求人表示画面RDの一例を示す図である。
【
図6】求職者端末30に表示される求人閲覧画面JDの一例を示す図である。
【
図7】求職者端末30に表示される登録情報編集画面EDの一例を示す図である。
【
図8】求職支援システム1によって実行される情報処理(推奨求人の提示処理)の流れを示すアクティビティ図である。
【
図9】求職支援システム1によって実行される情報処理(修正事項の提案処理)の流れを示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.ハードウェア構成
本節では、ハードウェア構成について説明する。
【0014】
<求職支援システム1>
図1は、求職支援システム1を表す構成図である。求職支援システム1は、通信回線2と、サーバ装置10と、複数の求人者端末20と、複数の求職者端末30とを備える。サーバ装置10と、求人者端末20と、求職者端末30とは、通信回線2を通じて通信可能に構成されている。サーバ装置10、求人者端末20及び求職者端末30の接続は有線でも無線でもよい。
【0015】
求職支援システム1は、複数の求人者(第1求人者U1及び第2求人者U2)と、複数の求職者(第1求職者U3及び第3求職者U4)が利用する求人・求職システムの一部を構成する。求職支援システム1は、求職者の登録情報及び求人票の管理を主に行う。一実施形態において、求職支援システム1とは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。以下、これらの構成要素について説明する。
【0016】
<サーバ装置10>
図2は、サーバ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、通信バス14とを備える。制御部11、記憶部12、及び通信部13は、サーバ装置10の内部において通信バス14を介して電気的に接続されている。
【0017】
<制御部11>
制御部11は、サーバ装置10に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部11は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、サーバ装置10に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、機能毎に複数の制御部11を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0018】
<記憶部12>
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行されるサーバ装置10に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行されるサーバ装置10に係る種々のプログラム、変数等を記憶している。
【0019】
<通信部13>
通信部13は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ装置10は、通信部13及びネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0020】
サーバ装置10は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のサーバ装置10としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上述の機能や処理を提供してもよい。
【0021】
<求人者端末20>
図3は、求人者端末20及び求職者端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3Aに示されるように、求人者端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25と、通信バス26とを備える。制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、及び出力部25は、求人者端末20の内部において通信バス26を介して電気的に接続されている。制御部21、記憶部22及び通信部23の説明は、サーバ装置10における各部の説明と同様のため省略する。なお、求人者端末20は、求人者の代わりに求職者とのやり取りを行う人材仲介業者が操作する端末であってもよい。
【0022】
<入力部24>
入力部24は、ユーザによってなされた操作入力を受け付ける。操作入力は、命令信号として通信バス26を介して制御部21に転送される。制御部21は、必要に応じて、転送された命令信号に基づいて所定の制御や演算を実行しうる。入力部24は、求人者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部24は、出力部25と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。入力部24がタッチパネルとして実施される場合、ユーザは、入力部24に対してタップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。入力部24としては、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、トラックパッド、QWERTYキーボード等が採用可能である。
【0023】
<出力部25>
出力部25は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。出力部25は、求人者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。具体的には、出力部25は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はプラズマディスプレイ等の表示デバイスとして実施されうる。これらの表示デバイスは、求人者端末20の種類に応じて使い分けて実施されることが好ましい。
【0024】
<求職者端末30>
図3Bに示されるように、求職者端末30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、出力部35と、通信バス36とを備える。制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34、及び出力部35は、求職者端末30の内部において通信バス36を介して電気的に接続されている。制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34及び出力部35の説明は、求人者端末20における各部の説明と同様のため省略する。
【0025】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11(求職支援システム1が備えるプロセッサ)に含まれる各機能部として実行されうる。
【0026】
図4は、サーバ装置10(制御部11)、求人者端末20(制御部21)及び求職者端末30(制御部31)によって実現される機能を示すブロック図である。
【0027】
図4Aに示されるように、サーバ装置10(制御部11)は、基本表示制御部111と、登録部112と、公開部113と、受付部114と、提示部115と、修正提案部116と、登録情報編集部117と、人工知能部120とを備える。
図4Bに示されるように、求人者端末20(制御部21)は、表示部211と、操作取得部212とを備える。
図4Cに示されるように、求職者端末30(制御部31)は、表示部311と、操作受付部312とを備える。
【0028】
<基本表示制御部111>
基本表示制御部111は、種々の情報を求人者端末20及び求職者端末30に表示させるように構成される。例えば、基本表示制御部111は、求職者が作成した履歴書及び職務経歴書、求人者が作成した求人票及びスカウト文書等を、求人者端末20の表示部211又は求職者端末30の表示部311に表示させる。
【0029】
求人者には、営利法人(例えば企業等)、非営利法人(例えば、協同組合、財団法人等)、公的法人(例えば地方公共団体等)等の組織が含まれる。また、求人者には、組織の代理人として、求職者と組織とを仲介する人材仲介業者も含まれる。人材仲介業者は、ヘッドハンター、エージェント等とも呼ばれる。
【0030】
<登録部112>
登録部112は、求職者のサービス利用登録を行うように構成される。具体的には、登録部112は、求職者端末30の操作受付部312からの入力を受け付けて、求職者の履歴書、職務経歴書、その他のプロフィール情報を含む求職者の登録情報(以下、求職者登録情報)を登録する。求職者登録情報は、例えば記憶部12に記憶された求職者データベースに登録される。
【0031】
「履歴書」は、主に求職者のプロフィール、現況、学歴、職歴、希望の労働条件等が記載された文書であり、「職務経歴書」は、レジュメとも呼ばれ、求職者が求人者に対して、自身のこれまでの職務に関する経歴、経験、スキル、資格等を伝える文書である。また、求職者登録情報には、求職者の希望条件(希望業種、希望職種等)が含まれてもよい。
【0032】
登録部112は、登録を受け付ける新規の求職者登録情報について、予め設定されたすべての必須項目が含まれているか(すべての必須項目が入力されているか)を判定し、必須項目が含まれている場合、当該求職者登録情報を求職者データベースに登録する。必須項目に不足がある場合、登録部112は、例えば、求職者端末30に未入力の必須項目を提示する。
【0033】
<公開部113>
公開部113は、登録部112によって登録された求職者登録情報を求人者に公開するように公開される。具体的には、公開部113は、登録部112によって登録された求職者登録情報のうち、所定の審査を通過したものを、求職支援システム1を利用している求人者に公開する。当該審査では、例えば、求職者登録情報における記載内容や情報量等が所定の基準を満たしているかどうか等に対する判定が行われる。審査を通過しなかった求職者登録情報は、求人者に公開されず、求職者による修正が求められる。すなわち、求職者登録情報は、公開されるまでは仮登録の状態であり、審査の通過によって本登録され、求人者に公開される。
【0034】
求職者登録情報が求人者に公開された(本登録された)求職者は、求職支援システム1が提供する採用支援サービスにおける求人者による求職者検索の対象となり、求人者によるスカウト文書の受信が可能となる。また、本登録された求職者は、求職支援システム1が提供する採用支援サービスにおける求人検索が可能となり、求人に対する応募が可能となる。
【0035】
<受付部114>
受付部114は、本登録された求職者の求職者端末30からの入力を受け付けるように構成される。具体的には、受付部114は、求職者が応募可能な求人の中から、求職者による少なくとも1つの候補求人の選択を受け付ける。「候補求人」は、例えば、求職者が閲覧対象として選択する(つまり、求職者端末30に求人票の内容を表示させるように指示した)求人、求職者が候補ラベル(ブックマーク)の付与対象として選択する(つまり、候補ラベルを付与するように指示した)求人等である。候補ラベルが付与された求人は、例えば、求職者ごとに用意されるブックマークリストに登録される。求職者は、ブックマークリストを参照することで、候補ラベルが付与された求人の中から、閲覧、応募等の行動を取るための求人を選択することができる。また、「求職者が応募可能な求人」とは、求職支援システム1に登録されている求人のうち、求職者が募集要件を満たす求人である。
【0036】
受付部114は、後述する提示部115が提示する「推奨求人」の中から、求職者による少なくとも1つの候補求人の選択を受け付けてもよい。例えば、受付部114は、求職者登録情報の登録直後に後述する第1参照情報に基づいて提示された推奨求人の中から、ブックマークリストに登録する推奨求人の選択を受け付けてもよい。
【0037】
求人の内容である求人票には、募集するポジション名、仕事内容・労働条件(年収、職種、業種、勤務地、勤務形態、職場環境等)、応募資格(スキル)、求める人物像、アピールポイント等の複数の項目ごとに、求人情報が記載される。また、求人票には、求人のタイトル、見出し、求人者の情報(会社規模(売上、従業員数等)、業種等)などの項目が内容として含まれてもよい。
【0038】
<提示部115>
提示部115は、求職者特性情報と参照情報とに基づいて、求職者が応募可能な求人の中から求職者に推奨する少なくとも1つの推奨求人を提示するように構成される。提示部115は、例えば、後述する手順にて求職者が応募可能な求人の中から推奨求人を抽出し、抽出した推奨求人を例えば「おすすめ求人」として求職者端末30に表示させる。
【0039】
求職者特性情報は、求職者登録情報及び求職者の求人に対する行動履歴の少なくとも一方である。「求人に対する行動履歴」には、例えば、求人の閲覧、求人への応募、求人のブックマークリストへの登録、求人に基づいて送信されたスカウト文書への返信、求人における審査(書類審査、面接審査等)の通過等が含まれる。行動履歴は、行動の対象又は起点となった求人と、当該行動の内容とを示す情報で構成される。行動履歴は、求職者ごとに(つまり求職者登録情報と紐付けられて)、例えば求職者データベースに記録される。提示部115は、推奨求人の抽出時に、求職者登録情報及び行動履歴の双方を参照してもよいし、求職者登録情報及び行動履歴の一方のみを参照してもよい。
【0040】
提示部115が推奨求人を抽出する際に用いる参照情報は、例えば記憶部12に記憶されている。参照情報は、登録情報の登録後の時期に応じて使い分けられる第1参照情報及び第2参照情報を含む。「登録後の時期」とは、登録部112によって求職者登録情報が登録(仮登録)された日や時間以降の時期を意味する。また、例えば、登録された日から現在までに経過した日数が、所定の日数を経過しているか否かに応じて、第1参照情報と第2参照情報とが使い分けられてもよい。
【0041】
提示部115は、推奨求人を提示する求職者登録情報の登録後の時期が、第1参照情報の使用時期であるか否か判定する。これにより、第1参照情報を使用する使用時期を予め設定しておくことで、求職者登録情報の登録後の時期に応じた適切な推奨求人の提示が可能となる。第1参照情報の使用時期は、例えば、登録部112による仮登録から一定の期間(例えば仮登録から1週間等)とされてもよいし、所定のイベント(例えば公開部113による公開)が発生するまでの期間とされてもよい。
【0042】
したがって、提示部115は、推奨求人を提示する求職者登録情報の登録後の時期が当該求職者登録情報の公開前である場合、当該求職者特性情報と第1参照情報とに基づいて推奨求人を提示し、当該時期が当該求職者登録情報の公開後である場合、当該求職者特性情報と第2参照情報とに基づいて推奨求人を提示してもよい。これにより、未だ公開前であり、求職者登録情報の内容が充実していない、例えば、登録に必要な最低限の内容に近い求職者登録情報に対して、最低限の情報から推奨求人を提示しつつ、公開後のある程度内容が充実された求職者登録情報に対しては、より多くの情報から精度を高めた推奨求人を提示できる。したがって、登録直後の求職者に対し、求職支援システム1に登録されている求人を一定の水準で紹介することで、求職支援システム1が提供する採用支援サービスの価値を即座に提示し、採用支援サービスの継続的な利用を促すことができる。これにより、登録直後で比較的意欲の高い求職者に対して推奨求人を提示し、求人の閲覧、求人への応募、求人のブックマークリストへの登録といった行動に繋げることができる。さらに、本登録後の求職者には、より質の高い求人レコメンドを提供することができる。
【0043】
提示部115は、例えば、求職者登録情報の登録直後に(つまり仮登録が完了したタイミングで)、第1参照情報に基づいた推奨求人を提示する。また、提示部115は、例えば、求職者登録情報の公開後、ユーザである求職者がログイン、求職者登録情報の編集、スカウト文書への返信等の行動をしたタイミングで、第2参照情報に基づいた推奨求人を提示する。
【0044】
第1参照情報は、求職者特性情報と求人(求人票に含まれる情報、求人に関連付けられた情報等)との第1相関関係を含む。第2参照情報は、第1相関関係とは異なる、求職者特性情報と求人との第2相関関係を含む。すなわち、第1参照情報と第2参照情報とは互いに異なる情報である。
【0045】
具体的には、第1相関関係に含まれる求職者特性情報の要素(つまり、推奨求人の抽出時に第1参照情報とともに参照される求職者特性情報の内容)は、第2相関関係に含まれる求職者特性情報の要素(つまり、推奨求人の抽出時に第2参照情報とともに参照される求職者特性情報の内容)とは異なる。例えば、第1相関関係では、求職者特性情報のうち、求職者登録情報の職種(又は業種)及び年収と、各種求人との関係(推奨求人と判定されるための条件)が記述され、第2相関関係では、求職者特性情報のうち、求職者登録情報の職種(又は業種)、年収、及びブックマークリストと、各種求人との関係(推奨求人と判定されるための条件)が記述される。つまり、第2相関関係には、第1相関関係には含まれない、ブックマークリストと求人との関係が含まれてもよい。
【0046】
このように、求職者特性情報として登録情報が用いられる場合、第2参照情報とともに提示部115によって参照される登録情報の項目の数は、第1参照情報とともに提示部115によって参照される登録情報の項目の数よりも多いとよい。これにより、求職者特性情報に含まれる(内容が記載されている)項目の数が少ない求職者には、第1参照情報を使用して簡易的な求人レコメンドをしつつ、求職者特性情報に含まれる項目の数が多い求職者には、第2参照情報を使用してより精度の高い求人レコメンドを提供することができる。
【0047】
<第1参照情報>
提示部115が求職者特性情報として求職者登録情報を参照する場合、第1参照情報は、例えば、求職者が応募可能な求人の中から推奨求人を抽出するための抽出条件を含む情報(例えば抽出条件が記述されたコード)として用意される。具体的には、第1参照情報は、第1相関関係(抽出条件)として、求職者登録情報に含まれる職種又は業種と同一又は類似の募集職種又は募集業種を示す第1類似判断情報と、年収条件とを含むとよい。提示部115は、推奨求人を提示する求職者登録情報の登録後の時期に応じてこの第1参照情報が使用される場合(つまり、推奨求人を提示する求職者登録情報の登録後の時期が、第1参照情報の使用時期である場合)に、求職者登録情報に含まれる職種又は業種と同一又は類似の募集職種又は募集業種を含み、かつ、求職者登録情報に含まれる年収に対する年収条件を満たす求人を推奨求人として提示する。これにより、少なくとも職種又は業種と年収とが含まれた求職者登録情報が登録されていれば、ユーザである求職者が年収の観点で魅力を感じる求人を推奨求人として提示することができる。
【0048】
提示部115が参照する「求職者登録情報における職種又は業種」には、求職者の現在の職種又は業種に加えて、求職者の希望職種又は希望業種も含まれる。求職者登録情報における職種(現在の職種若しくは希望職種)又は業種(現在の業種若しくは希望業種)と、求人における募集職種又は募集業種との類似は、第1参照情報に含まれる「第1類似判断情報」(職種又は業種の類似範囲を定義する情報)に基づいて判定される。第1類似判断情報は、職種又は業種を示すキーワードに対する少なくとも1つの類似キーワードを定義するものであってもよいし、職種又は業種を示すキーワードのベクトル化により得られる特徴量に対する類似基準を定義するものであってもよい。特徴量に対する類似基準は、2つの職種又は業種の特徴量の差(ベクトルの距離)の閾値であり、例えば、特徴量の差が当該閾値未満(又はコサイン類似度が閾値以上)の職種又は業種は互いに類似すると判断される。
【0049】
第1参照情報に含まれる「年収条件」としては、例えば、求人の年収が求職者登録情報に含まれる希望年収を満たす(希望年収と重複する年収帯である)こと、求人の年収(年収帯の場合は例えば最低年収)が求職者の現在の年収(求職者登録情報に含まれる年収)よりも高いこと等が設定される。このような年収条件を充足する求人が、提示部115によって推奨求人と判定される。また、求人の年収から、求職者の現在の年収を減じた数値の下限値が設定されてもよい。つまり、年収条件として、求職者の現在の年収に対する増加額が設定されてもよい。
【0050】
提示部115が求職者特性情報として求職者登録情報を参照する場合、第1参照情報は、第1相関関係として、求職者登録情報に含まれる属性と同一若しくは類似の属性を示す第2類似判断情報、又は行動履歴の近さを示す第3類似判断情報と、行動履歴に対する判定基準とを含んでもよい。提示部115は、推奨求人を提示する求職者登録情報の登録後の時期に応じてこの第1参照情報が使用される場合に、参考求職者の行動履歴が判定基準を満たす求人を推奨求人として提示してもよい。参考求職者は、求職者登録情報に含まれる属性と同一又は類似の属性を有する登録情報を有する他の求職者、又は行動履歴が求職者と近い他の求職者である。これにより、ユーザである求職者に、自身に近い属性又は行動履歴を有する参考求職者の関心度が高い求人を、推奨求人として提示することができる。なお、参考求職者は、求職支援システム1の求職者データベースに登録情報が登録されている求職者から抽出される。
【0051】
「求職者登録情報に含まれる属性」としては、例えば、職種、業種、スキル、資格等の項目が挙げられる。求職者登録情報における属性と、他の求職者の登録情報における属性との類似は、第1参照情報に含まれる「第2類似判断情報」(属性の類似範囲を定義する情報)に基づいて判定される。第2類似判断情報は、属性を示すキーワードに対する少なくとも1つの類似キーワードを定義するものであってもよいし、属性を示すキーワード又は文章のベクトル化により得られる特徴量に対する類似基準を定義するものであってもよい。特徴量に対する類似基準は、2つの属性の特徴量の差(ベクトルの距離)の閾値であり、例えば、特徴量の差が当該閾値未満(又はコサイン類似度が閾値以上)の属性は互いに類似すると判断される。
【0052】
提示部115は、単一の項目(例えば職種のみ)の属性の類似性に基づいて参考求職者を抽出してもよいし、複数の項目(例えば職種及びスキル)それぞれの属性の類似性に基づいて参考求職者を抽出してもよい。また、求職者同士の行動履歴の近さは、第1参照情報に含まれる「第3類似判断情報」(行動履歴の類似範囲を定義する情報)に基づいて判定される。
【0053】
第2類似判断情報又は第3類似判断情報を含む第1参照情報が使用される場合において、参考求職者及び推奨求人の抽出に用いられる行動履歴は、求人の閲覧、求人への応募、求人のブックマークリストへの登録、及び求人に基づいて送信されたスカウト文書への返信の少なくとも1つを含む。第3類似判断情報は、例えば、2人の求職者それぞれがこれらの行動の対象とした求人のうち、共通の求人の数に対する類似判断の閾値を定義する。つまり、閲覧を行った共通の求人の数が閾値以上となる2人の求職者は、第3類似判定情報に基づいて、行動履歴が近い(類似する)と判定される。第3類似判断情報は、複数の種類の行動履歴の組み合わせによる類似判断(例えば、応募した求人のうち共通する求人の数と、スカウト文書へ返信した求人のうち共通する求人の数とを用いた類似判断)の基準を定義してもよい。このような基準としては、例えば、行動履歴ごとの共通求人の数それぞれに重み付けをしたものを加算等した値と閾値とを比較する判定式等が使用される。
【0054】
第2類似判断情報又は第3類似判断情報を含む第1参照情報が使用される場合において、推奨求人を抽出するための判定基準は、複数の参考求職者の行動履歴に基づいて算出される行動スコアが予め定めた閾値を超えることである。これにより、参考求職者による求人に対する積極的な行動内容に応じて推奨求人を抽出できるため、ユーザである求職者自身が同様の行動をとりやすい推奨求人を提示できる。
【0055】
具体的には、提示部115は、閲覧した参考求職者の数、応募した参考求職者の数、ブックマークリストへ登録した参考求職者の数、及びスカウト文書への返信数の少なくとも1つを用いて、求人ごとに行動スコアを算出する。行動スコアは、行動履歴の対象とされた回数(つまり、行動対象とした参考求職者の数)が大きいほど、高くなるように設定される。提示部115は、行動スコアの算出時に、行動履歴の種類に応じた重み付けを行ってもよい。例えば、提示部115は、応募の行動履歴の回数の重み付け係数を、その他の行動履歴の回数の重み付け係数よりも大きくし、各行動履歴の回数にそれぞれの重み付け係数を乗じた値の和等を行動スコアとしてもよい。これにより、参考求職者の応募率が高い求人を優先的に推奨求人として提示できる。
【0056】
また、行動スコアは、求人の閲覧から当該求人への応募に至った割合(応募数を閲覧数で除した数値)、求人への応募から当該求人における書類、面接等の審査通過や採用に至った割合(審査通過数又は採用数を応募数で除した数値)等の行動推移率に基づいて算出されてもよい。また、行動スコアは、求人者からのスカウト文書の受信から当該求人への応募に至った割合(応募数をスカウト送信数で除した数値)、さらにスカウト文書に基づく求人への応募から当該求人における書類、面接等の審査通過や採用に至った割合(審査通過数又は採用数をスカウト送信数で除した数値)等の行動推移率に基づいて算出されてもよい。つまり、行動スコアは、これらの行動推移率が大きいほど、高くなるように設定されてもよい。
【0057】
第1参照情報は、求職者特性情報を入力とし推奨求人を出力することが可能なように学習された第1推奨求人判定モデルであってもよい。この場合、提示部115は、推奨求人を提示する求職者登録情報の登録後の時期に応じて第1参照情報が使用される場合に、求職者特性情報を人工知能部120の第1推奨求人判定モデルに入力し、第1推奨求人判定モデルに推奨求人を出力させる。これにより、多数の求職者特性情報又はこれに準じた情報に基づいた推奨求人の提示が可能となる。
【0058】
第1推奨求人判定モデルは、学習用の求職者特性情報(学習対象求職者の登録情報及び/又は行動履歴)のデータと、学習対象求職者の行動履歴に含まれる求人(例えば、学習対象求職者が応募した求人、学習対象求職者がスカウト文書を受信した求人、学習対象求職者が審査(書類審査又は面接審査)を通過した求人、学習対象求職者が採用された求人等)のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。学習対象求職者の候補には、求職者データベースに登録情報が登録されている、すべての求職者が含まれる。この場合、学習によって算出されたり、チューニングされたりした第1推奨求人判定モデルのパラメータが、第1相関関係に当たる。特に、第1推奨求人判定モデルは、学習対象求職者の登録情報のデータと、学習対象求職者が応募した求人、学習対象求職者が審査を通過した求人、又は学習対象求職者が採用された求人のデータとを教師データとして学習した学習モデルであるとよい。
【0059】
求職者特性情報として登録情報が用いられる場合、第1推奨求人判定モデルは、登録情報に含まれる職種又は業種と、年収とに基づいて推奨求人を判定することが可能なように学習されるとよい。この場合、提示部115は、求職者登録情報を第1推奨求人判定モデルに入力し、第1推奨求人判定モデルに推奨求人を出力させる。これにより、少なくとも職種又は業種と年収とが含まれた求職者登録情報が登録されていれば、ユーザである求職者が年収の観点で魅力を感じる求人を第1推奨求人判定モデルに抽出させることができる。
【0060】
第1推奨求人判定モデルは、複数の学習対象求職者の登録情報と行動履歴との関係(関連度)を学習した学習モデルであってもよい。この場合、提示部115は、推奨求人を提示する求職者登録情報の登録後の時期に応じて第1参照情報が使用される場合に、求職者特性情報を第1推奨求人判定モデルに入力し、第1推奨求人判定モデルに、学習した行動履歴に含まれる求人の情報に基づき推奨求人を出力させる。これにより、ユーザである求職者と登録情報や行動履歴が近い他の求職者の行動履歴に含まれる求人が、推奨求人と抽出される。そのため、ユーザである求職者と近い求職者の関心度が高い推奨求人を提示できる。
【0061】
第1推奨求人判定モデルの入力又は学習に用いられる行動履歴は、求人の閲覧、求人への応募、求人のブックマークリストへの登録、求人に基づいて送信されたスカウト文書への返信、及び求人における審査の通過の少なくとも1つを含む。これにより、ユーザ以外の他の求職者による求人に対する積極的な行動内容、又は審査結果に応じて推奨求人を抽出できるため、ユーザである求職者が興味を持ちそうな推奨求人、又は採用可能性が高い推奨求人を提示できる。
【0062】
登録情報と行動履歴との関連度は、当該登録情報を有する求職者による、当該行動履歴に含まれる行動(例えば、求人の閲覧、求人への応募、求人のブックマークリストへの登録、スカウト文書への返信、求人者による審査の通過等)の発生のしやすさを示す指標である。つまり、関連度が高いほど、当該登録情報を有する求職者は、当該行動履歴に含まれる求人に対し、閲覧、応募等の行動を起こしやすい。
【0063】
登録情報と行動履歴との関連度を学習した第1推奨求人判定モデルでは、求職者特性情報として求職者登録情報が入力された場合、例えば、学習した行動履歴のうち入力された求職者登録情報との関連度が一定以上の関連行動履歴に含まれる求人、又は複数の当該関連行動履歴に含まれる頻度が一定以上の求人を推奨求人として出力させる。
【0064】
また、当該第1推奨求人判定モデルでは、求職者特性情報として行動履歴が入力された場合、例えば、学習した行動履歴のうち入力された行動履歴と類似する類似行動履歴に含まれる求人、又は複数の当該類似行動履歴に含まれる頻度が一定以上の求人を推奨求人として出力させる。行動履歴の類似は、例えば、比較する2つの行動履歴それぞれの対象となっている求人のうち、共通する求人の数に基づいて(例えば、共通の求人数が一定以上か否かで)判定される。
【0065】
第1推奨求人判定モデルは、参考求職者の求人に対する行動履歴に基づいて推奨求人を判定することが可能なように学習された学習モデルであってもよい。ここでの参考求職者は、求職者登録情報に含まれる属性と同一又は類似の属性を有する登録情報を有する他の求職者、又は行動履歴が前記求職者と近い他の求職者である。
【0066】
第1推奨求人判定モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、提示部115は、求職者特性情報を入力とし、推奨求人を出力する指示を含むプロンプトを第1推奨求人判定モデルに入力し、推奨求人を第1推奨求人判定モデルに出力させる。また、提示部115は、推奨求人の出力指示と求職者特性情報とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求職者特性情報のサンプルと、それに対応する1以上の推奨求人のサンプルとを挿入したプロンプトを第1推奨求人判定モデルに入力してもよい。
【0067】
提示部115は、推奨求人を提示する求職者登録情報の登録後の時期に応じて第1参照情報が使用され、かつ、求職者特性情報として求職者登録情報が用いられる場合に、求職者登録情報と第1参照情報とに基づいて求人ごとに求人スコアを算出するとともに、求人スコアの高さに応じて推奨求人を判定してもよい。これにより、求人スコアに基づいた種々の態様で推奨求人を提示できる。提示部115は、例えば、算出された求人スコアが予め定めた閾値以上の求人を、推奨求人として求職者端末30に提示する。また、提示部115は、求人スコアの高さ順に複数の推奨求人を提示してもよい。さらに、提示部115は、求人スコア(推奨の度合い)を求職者端末30に表示させてもよい。
【0068】
求人スコアは、求職者登録情報に含まれる記載事項と求人に含まれる記載事項との対比に基づいて算出されるマッチスコアと、求職者登録情報に含まれる属性と同一又は類似の属性を有する他の登録情報を有する参考求職者の、求人に対する行動履歴に基づいて算出される行動スコアとに基づいて算出されてもよい。これにより、ユーザである求職者に適した求人かどうかの観点と、ユーザである求職者と近い参考求職者の関心度とを考慮して、推奨求人を提示することができる。
【0069】
マッチスコアの算出時に対比される求職者登録情報及び求人に含まれる記載事項は、例えば、現在の職種、希望職種、現在の業種、希望業種、スキル、資格、現在の年収、希望年収等である。また、求人スコアを算出するための第1参照情報は、例えば、求職者登録情報の記載事項と求人に含まれる記載事項(求人票の内容)との類似度に応じてマッチスコアをテーブルや、関数等で定義する。類似度は、例えば、求職者登録情報に含まれる単語又は文のベクトル化により得られる第1特徴量と、求人票に含まれる単語又は文のベクトル化により得られる第2特徴量との距離によって定義される。類似度としては、例えば、コサイン類似度が用いられ、コサイン類似度が1に近いほど類似度は大きくなる。また、第1参照情報は、求職者登録情報の現在の年収や希望年収と求人の年収との差(例えば、現在の年収の上昇幅)に応じてマッチスコアを定義してもよい。さらに、第1参照情報は、求職者登録情報及び求人を入力とし、マッチスコアを出力することが可能なように学習されたマッチスコア算出モデルを含んでもよい。
【0070】
求人スコアの算出に使用される行動スコアは、「推奨求人を抽出するための判定基準」で用いられる行動スコアと同様のものである。すなわち、当該行動スコアは、行動履歴の対象とされた回数(つまり、行動対象とした参考求職者の数)が大きいほど、高くなるように設定される。また、提示部115は、行動スコアの算出時に、行動履歴の種類に応じた重み付けを行ってもよい。さらに、第1参照情報は、求職者登録情報を入力とし、参考求職者の行動履歴に基づいて行動スコアを出力することが可能なように学習された行動スコア算出モデルを含んでもよい。
【0071】
求人スコアは、例えば、マッチスコア及び行動スコアそれぞれに重み付け係数を乗じた値の和等によって算出される。
【0072】
求人スコアを算出する第1参照情報は、求職者登録情報とスコア算出対象の求人とを入力とし求人スコアを出力することが可能なように学習された求人スコア算出モデルであってもよい。この場合、提示部115は、求職者登録情報及び対象求人を求人スコア算出モデルに入力し、求人スコア算出モデルに対象求人の求人スコアを出力させる。
【0073】
求人スコア算出モデルは、学習用の求職者登録情報及び求人のデータと、それに対応する求人スコアとを教師データとして学習した学習モデルである。求人スコア算出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、提示部115は、求職者登録情報及び求人を入力とし、求人スコアを出力する指示を含むプロンプトを求人スコア算出モデルに入力し、求人スコアを求人スコア算出モデルに出力させる。また、提示部115は、求人スコアの出力指示と求職者登録情報及び求人とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求職者登録情報及び求人のサンプルと、それに対応する1以上の求人スコアのサンプルとを挿入したプロンプトを求人スコア算出モデルに入力してもよい。
【0074】
第1参照情報は、求職者登録情報を参照して推奨求人を抽出するための抽出条件を含む情報(例えば抽出条件が記述されたコード)と、第1推奨求人判定モデルとの双方を含んでもよい。例えば、提示部115は、抽出条件を含む情報を用いて抽出された少なくとも1つの第1推奨求人と、第1推奨求人判定モデルを用いて抽出された少なくとも1つの第2推奨求人とをそれぞれ求職者に提示してもよい。また、第1参照情報は、求職者登録情報を参照して求人スコアを算出するための情報(例えばマッチスコア及び行動スコアの定義)と、求人スコア算出モデルとの双方を含んでもよい。提示部115は、求人スコアを算出するための情報を用いて算出された第1求人スコアに基づいて抽出された少なくとも1つの第1推奨求人と、求人スコア算出モデルを用いて算出された第2求人スコアに基づいて抽出された少なくとも1つの第2推奨求人とをそれぞれ求職者に提示してもよい。
【0075】
これにより、2つの異なる条件やモデル(例えば、抽出条件と第1推奨求人判定モデル)を組み合わせたものを参照情報として推奨求人を抽出することができるため、求職者に合った適切な求人を安定的に提示することができる。特に、登録直後の求職者等の、登録情報が比較的少ない求職者の場合、学習モデルである第1推奨求人判定モデルでは、適切な推奨求人をうまく抽出できない場合があるところ、ルールベースで推奨求人を抽出する抽出条件を含む情報を第1参照情報として併用することで、適切な推奨求人を安定的に求職者に提示することができる。
【0076】
図5は、求職者端末30に表示される推奨求人表示画面RDの一例を示す図である。推奨求人表示画面RDには、少なくとも1つの推奨求人情報RJが表示される。推奨求人情報RJには、例えば、推奨求人の求人タイトルJT、想定年収JI、職種JO、勤務地JL、組織名JC、業種JB等が表示される。求職者は、求職者端末30において任意の推奨求人情報RJを選択することで、当該推奨求人情報RJに対応する求人の閲覧、ブックマークリストへの登録等を実行することができる。
【0077】
提示部115は、求職支援システム1の最後の利用時(ログイン時)から一定期間が経過したユーザである求職者に対し、求職者登録情報と第1参照情報とに基づいて推奨求人を提示してもよい。すなわち、提示部115は、推奨求人を提示する求職者登録情報の登録後の時期のうち、求職者の最終ログインから一定期間が経過した時期を、第1参照情報の使用時期としてもよい。
【0078】
<第2参照情報>
第2参照情報は、推奨求人を提示する求職者登録情報の登録後の時期が、第1参照情報の使用時期でない場合(つまり第2参照情報の使用時期である場合)に参照される。上述のように、第2参照情報は、第1参照情報が含む第1相関関係とは異なる、求職者特性情報と求人との第2相関関係を含む。換言すれば、第2参照情報による推奨求人の判定アルゴリズムは、第1参照情報による推奨求人の判定アルゴリズムと異なる。
【0079】
第2参照情報は、第1参照情報と同様に、求職者登録情報を参照して推奨求人を抽出するための抽出条件を含む情報(例えば抽出条件が記述されたコード)であってもよいし、求職者特性情報(求職者登録情報又は行動履歴)を入力とし推奨求人を出力することが可能なように学習された第2推奨求人判定モデルであってもよい。
【0080】
第2推奨求人判定モデルは、第1推奨求人判定モデルとは学習に用いられるデータが異なる。例えば、第2推奨求人判定モデルでは、登録後の時期が第1参照情報の使用時期である登録情報(例えば、公開部113による公開前の登録情報)のデータが学習に用いられ、第2推奨求人判定モデルでは、登録後の時期が第2参照情報の使用時期である登録情報(例えば、公開部113による公開後の登録情報)のデータが学習に用いられる。
【0081】
<修正提案部116>
修正提案部116は、求職者に自身の求職者登録情報の修正を提案するように構成される。具体的には、修正提案部116は、受付部114が受け付けた候補求人と第3参照情報とに基づいて、求職者登録情報に対する修正事項を提案する。「修正事項」には、求職者登録情報への単語又は文の追加、求職者登録情報に含まれる単語又は文の削除、求職者登録情報に含まれる単語又は文の置換(例えば、表現の修正、又は文章の要約)等が含まれる。例えば、修正提案部116は、修正事項として、求職者登録情報に含まれることが推奨される単語を推奨キーワードとして求職者端末30に表示させる。
【0082】
第3参照情報は、候補求人と修正事項との相関関係を含む。第3参照情報は、例えば、記憶部12に記憶されている。第3参照情報は、少なくとも1つの候補求人を入力とし修正事項を出力することが可能なように学習された修正判定モデルであってもよい。この場合、修正提案部116は、少なくとも1つの候補求人の内容(求人票)を人工知能部120の修正判定モデルに入力し、修正判定モデルに修正事項を出力させる。
【0083】
修正判定モデルは、候補求人に適した内容に求職者登録情報を修正するための修正事項を判定する学習モデルである。修正判定モデルは、学習用の求人票のデータと、それに適した(例えば、当該求人に基づくスカウトを受信した、又は当該求人が成約した)求職者登録情報のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。この場合、学習によって算出されたり、チューニングされたりした修正判定モデルのパラメータが、候補求人と修正事項との相関関係に当たる。
【0084】
修正判定モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、修正提案部116は、候補求人の求人票を入力とし、求職者登録情報の修正事項を出力する指示を含むプロンプトを修正判定モデルに入力し、修正事項を修正判定モデルに出力させる。また、修正提案部116は、修正事項の生成・出力指示と候補求人の求人票とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の候補求人の求人票のサンプルと、それに対応する1以上の修正事項のサンプルとを挿入したプロンプトを修正判定モデルに入力してもよい。
【0085】
修正提案部116は、第1参考求職者の登録情報から推奨情報を抽出し、当該推奨情報の追加を修正事項として提案してもよい。第1参考求職者は、候補求人に関連するアクションの履歴を有する他の求職者である。「候補求人に関連するアクション」には、例えば、当該候補求人に基づくスカウト文書の受信、当該候補求人における審査(書類審査、面接審査等)の通過等の、求人者から求職者に対するアクションが含まれる。これにより、ユーザである求職者が関心を有する候補求人について、スカウト文書受信、審査の通過等のアクションを経験した他の求職者の登録情報を参照して修正事項が提案される。そのため、ユーザである求職者が候補求人に関するアクションを受けやすい修正事項を提案できる。
【0086】
なお、「候補求人に関連するアクション」には、「候補求人に類似する類似求人に関連するアクション」も含まれる。「類似求人」は、求職者が応募可能な求人のうち、求人票の記載事項に基づいて判定される候補求人に対する類似度が予め定めた閾値以上となる求人である。2つの求人の類似度は、例えば、求人票に含まれる単語又は文のベクトルデータ等の特徴量による比較、学習モデル(大規模言語モデル)による類似度判定等によって算出される。修正提案部116は、求職者データベースを参照して、候補求人又は類似求人に関連するアクションの履歴を有する第1参考求職者を抽出する。
【0087】
第1参考求職者は、候補求人、又は候補求人に類似する類似求人に基づいて作成されたスカウト文書の受信履歴を有するとよい。これにより、ユーザである求職者に、推奨求人からスカウト文書を受信しやすくするための求職者登録情報の修正事項を提案できる。
【0088】
修正提案部116は、第1参考求職者の登録情報に含まれる単語又は文と、求職者データベースに登録されている求職者のうち、第1参考求職者以外の複数の求職者(つまり、候補求人からのスカウト文書受信等のアクションの履歴を有さない求職者)の登録情報に含まれる単語又は文との比較によって、推奨情報を抽出してもよい。
【0089】
推奨情報の具体的な抽出手順は、例えば以下のとおりである。まず、修正提案部116は、自然言語処理により、第1参考求職者の登録情報に含まれる単語又は文である第1要素を抽出する。同様に、修正提案部116は、自然言語処理により、第1参考求職者以外の求職者の登録情報に含まれる単語又は文である第2要素を抽出する。次に、修正提案部116は、抽出された第1要素のうち、第2要素として抽出されていない単語又は文を、推奨情報として抽出する。
【0090】
修正提案部116が修正事項として提案する推奨情報は、複数の第1参考求職者の登録情報に含まれる単語又は文の出現頻度に基づいて、当該登録情報から抽出された単語又は文であるとよい。これにより、ユーザである求職者に対し、推奨求人からスカウト文書の受信等のアクションの発生期待値を高めることができる修正事項を提案できる。
【0091】
具体的には、修正提案部116は、求職者データベースから抽出された複数の第1参考求職者の登録情報に対し、単語又は文単位で、これらの文章構成要素の出現頻度を算出する。修正提案部116は、複数の第1参考求職者の登録情報に含まれる文章構成要素から、出現頻度が予め定めた閾値以上となる単語又は文を推奨情報として抽出する。
【0092】
特に、修正提案部116は、上述のように第1参考求職者の登録情報と第1参考求職者以外の複数の求職者の登録情報との比較で抽出された文章構成要素に対し、出現頻度を算出し、当該出現頻度に基づいて推奨情報を抽出するとよい。
【0093】
また、修正提案部116は、第1参考求職者の登録情報における第1出現頻度と、第1参考求職者以外の求職者の登録情報における第2出現頻度とに基づいた文章構成要素の出現スコアの大きさに応じて、推奨情報を決定してもよい。修正提案部116は、第1出現頻度が高いほど文章構成要素の出現スコアを大きくし、第2出現頻度が低いほど文章構成要素の出現スコアを大きくする。また、修正提案部116は、第1出現頻度及び第2出現頻度それぞれに重み付けをしてもよい。例えば、修正提案部116は、ある単語につき、第1出現頻度に応じた値(例えば、第1出現頻度に重み付け係数を乗じた値)から第2出現頻度に応じた値(例えば、第2出現頻度に重み付け係数を乗じた値)を減じたものを出現スコアとし、出現スコアが閾値以上の単語を推奨情報として決定してもよい。
【0094】
推奨情報は、スキルを示す単語若しくは文、資格を示す単語若しくは文、又は職務要約に含まれる単語若しくは文であるとよい。これにより、修正事項の内容が簡潔となり、ユーザである求職者が提案内容を受け入れやすくなる。また、スカウト文書の受信等のアクションの発生期待値の向上が促進される。なお、「職務要約」とは、求職者の職務の経歴を記述した文章である。職務要約には、例えば、部署、役割又は職種、業務内容、成果又は実績等が時系列的に記述される。
【0095】
修正提案部116は、候補求人に含まれる求人事項の候補求人における重要度を判定するとともに、重要度の高い重要事項の追加を修正事項として提案してもよい。重要度は、予め候補求人において求人事項ごとに設定されるか、又は求職者検索において使用される検索キーワードの出現頻度に基づいて判定される値である。これにより、求人者が着目する単語又は文が含まれるように登録情報を修正することを、ユーザである求職者に促すことができる。
【0096】
「候補求人に含まれる求人事項」は、キーワード(例えば、個々のスキルを表す単語)であってもよいし、複数のキーワードを包括するキーワードカテゴリ(例えば、「IT系のスキル」、「経理系のスキル」等)であってもよい。すなわち、重要度は、個々のキーワードそれぞれに設定されてもよいし、キーワードカテゴリごとに設定されてもよい。キーワードカテゴリに対して重要度が設定された場合は、1つのキーワードカテゴリに含まれるキーワードにはすべて同じ重要度が設定される。例えば、「IT系スキル」における重要度が「1」と設定されている場合、「IT系スキル」のカテゴリに含まれるキーワード(例えば、「アプリ開発」)は、重要度が「1」と判定される。
【0097】
また、「候補求人に含まれる求人事項」には、求人票以外に記載された事項が含まれる。すなわち、「求人事項」は、求人票自体に記載されているキーワードであってもよいし、求人票には記載されていないが、求人の情報として、当該求人に対応付けられて記憶された重要事項ワードであってもよい。例えば、「コミュニケーション能力」といった、求人者が求職者に対して求める能力に関するキーワードが、求人票自体には記載されていなくとも、求人者によって予め重要な(重要度の高い)重要事項ワードとして、求人に対応付けられてデータベースに記憶されてもよい。修正提案部116は、このような重要事項ワードの追加を求職者登録情報の修正事項として提示する。
【0098】
重要度が検索キーワードの出現頻度に基づいて判定される場合、修正提案部116は、単語ごとの出現頻度、又は出現頻度に基づいた重要度が記載されたテーブル等の重要度判定情報を参照して、推奨求人に含まれる単語の重要度を判定する。重要度判定情報は、例えば記憶部12に記憶されている。この場合の重要度は、出現頻度が高いほど大きくなるように設定される。重要度判定情報に含まれる単語ごとの出現頻度は、例えば、求職支援システム1が提供する採用支援サービスにおける全求人者の検索履歴に基づいて算出される。これにより、ユーザである求職者が、求人者による求職者検索によりヒットしやすい内容に、求職者登録情報を修正することができる。
【0099】
修正提案部116は、例えば、判定された重要度が予め定めた閾値以上であり、かつ、現在の求職者登録情報に含まれていない求人事項(単語又は文)を重要事項と判定し、求職者登録情報へ追加することを提案する。
【0100】
修正提案部116は、第2参考求職者の登録情報における出現頻度に基づいて重要事項から推奨情報を抽出し、当該推奨情報の追加を修正事項として提案してもよい。ここでの第2参考求職者は、候補求人若しくは候補求人に類似する類似求人の求人票に基づいて作成されたスカウト文書が送信された他の求職者、又は候補求人若しくは類似求人の求人者によって登録情報が閲覧された他の求職者である。これにより、候補求人又は類似求人からの注目度が高い第2参考求職者の登録情報に含まれている情報を自身の登録情報に追加することを、ユーザである求職者に促すことができる。
【0101】
具体的には、修正提案部116は、重要事項として判定された求人事項(単語又は文)の中から、さらに複数の第2参考求職者の登録情報における出現頻度が予め定めた閾値以上の求人事項を推奨情報として抽出する。これにより、ユーザである求職者が、求人者がスカウト文書をより送信したり、登録情報をより閲覧したりしやすい内容に、求職者登録情報を修正することができる。
【0102】
また、第2参考求職者は、求職者登録情報に含まれる記載事項と類似度が高い記載事項を含む登録情報を有する他の求職者であってもよい。これにより、ユーザである求職者と属性が近い第2参考求職者の登録情報に含まれている情報を自身の登録情報に追加することを、ユーザである求職者に促すことができる。
【0103】
ここでの「記載事項の類似度」は、求職者登録情報に含まれる単語又は文のベクトル化により得られる第1特徴量と、他の求職者の登録情報に含まれる単語又は文のクトル化により得られる第2特徴量との差によって定義され、当該差が小さいほど類似度は大きくなる。修正提案部116は、例えば、第1特徴量と第2特徴量との差が閾値未満となる記載事項が登録情報に含まれる求職者を第2参考求職者として抽出する。
【0104】
修正提案部116は、候補求人の求人票を推奨情報抽出モデルに入力し、推奨情報抽出モデルに推奨情報を出力させるとともに、当該推奨情報の追加を修正事項として提案してもよい。推奨情報抽出モデルは、上述の修正判定モデルの一例であり、求人票を入力とし、求人票に含まれる重要度の高い求人事項を推奨情報として抽出することが可能なように学習された学習モデルである。これにより、多数の求人票における推奨情報(重要事項)の抽出事例に基づいた修正事項の提案が可能となる。
【0105】
推奨情報抽出モデルは、学習用の求人票のデータと、当該求人票における重要度の高い求人事項を示すデータとを教師データとして学習した学習モデルである。推奨情報抽出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、修正提案部116は、候補求人の求人票を入力とし、推奨情報を出力する指示を含むプロンプトを推奨情報抽出モデルに入力し、推奨情報を推奨情報抽出モデルに出力させる。また、修正提案部116は、推奨情報の抽出・出力指示と候補求人の求人票とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の候補求人の求人票のサンプルと、それに対応する1以上の推奨情報のサンプルとを挿入したプロンプトを推奨情報抽出モデルに入力してもよい。
【0106】
修正提案部116は、求職者登録情報に含まれる情報の量に応じて、記載事項に対する追記、削除又は編集を修正事項として提案してもよい。例えば、修正提案部116は、求職者登録情報の項目において、未入力の項目、所定の値(例えば他の求職者の平均値等)よりも記入量(文字数)が少ない項目等に対し、追記を行うことを提案してもよい。具体的には、修正提案部116は、このように追記が必要な要追記項目を判定した上で、当該要追記項目に対して上述した推奨情報を抽出し、当該推奨情報の追加を提示してもよい。
【0107】
また例えば、修正提案部116は、求職者登録情報の項目において、所定の値(例えば他の求職者の平均値等)よりも記入量(文字数)が多い項目等に対し、単語又は文の削除、文章の要約等を行うことを提案してもよい。具体的には、修正提案部116は、このように記入量の削減が必要な要削減項目を判定した上で、当該要削減項目における削除内容(削除する単語又は文)、要約内容(要約文と当該要約文に置換される元の文章)等を提示してもよい。
【0108】
修正提案部116は、候補求人の閲覧画面において、当該候補求人に基づく修正事項を提案し、当該候補求人の内容とともに前記修正事項を表示させてもよい。これにより、ユーザである求職者が候補求人と照らし合わせて修正事項を確認することができるため、求職者登録情報の修正の動機づけを促進できる。
【0109】
修正提案部116は、候補求人の閲覧画面において、修正事項とともに求職者登録情報に対する編集の指示を受け付けるオブジェクトを表示させてもよい。これにより、候補求人の閲覧画面から直ちに求職者登録情報の編集を実行することができるため、ユーザである求職者を自身の登録情報の修正に誘導しやすくなる。指示を受け付けるオブジェクトとしては、例えば求職者端末30において選択入力が可能なボタン等が挙げられる。
【0110】
複数の候補求人が選択されている場合(例えば、ブックマークリストに複数の求人が登録されている場合)、修正提案部116は、閲覧画面に表示されている候補求人以外の候補求人も含めた、複数の候補求人それぞれに関連する複数の第1参考求職者の登録情報から追加推奨情報を抽出してもよい。第1参考求職者は、上述のとおり、それぞれの候補求人に関連するアクションの履歴を有する他の求職者である。各候補求人にはそれぞれ、複数の第1参考求職者が関連付けられる。
【0111】
追加推奨情報は、上述した推奨情報と同様の手順で、第1参考求職者の登録情報から抽出される。すなわち、修正提案部116は、例えば、複数の第1参考求職者の登録情報に含まれる単語又は文の出現頻度に基づいて、当該登録情報から抽出された単語又は文を追加推奨情報とする。
【0112】
図6は、求職者端末30に表示される求人閲覧画面JDの一例を示す図である。求人閲覧画面JDには、修正事項CMと、求人票JPとが表示される。求人票JPは、求職者が閲覧対象として選択した候補求人の内容である。修正事項CMには、候補求人を閲覧している求職者の登録情報に対して提案された修正内容が含まれる。
図6の例では、求職者登録情報へのスキル(推奨情報の一例)の追加が修正事項CMとして表示されている。修正事項CMには、求職者登録情報の編集指示を受け付ける更新ボタンB11が含まれる。更新ボタンB11が操作入力されると、後述する求職者登録情報の編集画面が求職者端末30に表示される。このように、ユーザである求職者が求人を閲覧している状態で、必要なスキルなどが提示されることで、求職者に求職者登録情報を充実させるための導線を提供できる。また、求職者登録情報を、閲覧している求人の求人者から注目されやすく、スカウト文書を受け取りやすく、採用されやすい求職者登録情報へと修正できる。
【0113】
修正提案部116は、候補求人の閲覧画面において、修正事項とともに求職者登録情報の更新の指示を受け付けるオブジェクトを表示させてもよい。当該オブジェクトの操作入力を受けて、修正提案部116は、修正事項を反映した求職者登録情報を、求職者データベースの求職者登録情報に上書き保存する。この場合、後述する編集画面が求職者端末30に表示されることなく、求職者登録情報の更新が完了する。これにより、ユーザである求職者が、求職者登録情報の更新の手間をかけずに、興味のある求人に合わせて、適切に求職者登録情報を更新することができる。
【0114】
修正提案部116は、ユーザである求職者が選択した候補求人の代わりに、提示部115が提示した(抽出した)推奨求人を用いて求職者登録情報に対する修正事項を提案してもよい。すなわち、修正提案部116は、少なくとも1つの推奨求人と第3参照情報とに基づいて、修正事項を提案してもよい。
【0115】
<登録情報編集部117>
登録情報編集部117は、求職者端末30から求職者登録情報の編集を受け付け、求職者登録情報を更新するように構成される。具体的には、登録情報編集部117は、求職者端末30からの求職者登録情報に対する編集の指示を受けて、修正事項が反映された状態の求職者登録情報の少なくとも一部を表示させるとともに、当該求職者登録情報に対する編集を受け付ける。
【0116】
具体的には、登録情報編集部117は、求職者端末30における表示を閲覧画面から編集画面に遷移させ、編集画面において更新登録情報を求職者端末30に表示させる。更新登録情報は、編集前の求職者登録情報に対し、修正事項に含まれる推奨情報(単語又は文)の追加、編集前の求職者登録情報に含まれる単語又は文の削除、置換等を行った登録情報である。登録情報編集部117は、更新登録情報における修正箇所(編集前の求職者登録情報からの変更点)を、着色等によってハイライト表示させるとよい。
【0117】
登録情報編集部117は、求職者端末30から更新登録情報に対するさらなる修正を受け付ける。さらに、登録情報編集部117は、求職者端末30から更新完了の入力を受けて、更新登録情報を求職者データベースの求職者登録情報に上書き保存する。
【0118】
登録情報編集部117は、修正事項が反映された状態の求職者登録情報(更新登録情報)とともに、修正提案部116が複数の候補求人に関連する第1参考求職者の登録情報から抽出した追加推奨情報を提示してもよい。これにより、ユーザである求職者に、現在閲覧している求人に基づく修正事項の提案に加えて、他の候補求人に関連する第1参考求職者に基づいた追加推奨情報を提示することができる。そのため、ユーザである求職者が自身の登録情報を修正するための材料を幅広く提供できる。
【0119】
図7は、求職者端末30に表示される登録情報編集画面EDの一例を示す図である。登録情報編集画面EDは、登録情報表示領域RAと、保存ボタンB21と、追加ボタンB22と、オプション表示領域OAとを含む。
【0120】
登録情報表示領域RAは、更新登録情報を表示する領域である。
図7の例では、更新登録情報の一部である「スキル」の項目の内容が表示されている。具体的には、更新登録情報に含まれるスキルがスキル表示欄SFごとに表示される。スキルが表示されていないスキル表示欄SFが選択されることで、登録情報編集部117は、スキルの追加入力を受け付ける。また、追加ボタンB22が操作入力されることで、スキル表示欄SFが追加される。さらに、登録情報編集部117は、各スキル表示欄SFにおいて、入力済みのスキルの修正及び削除も受け付ける。
【0121】
オプション表示領域OAは、閲覧している求人以外から導かれた追加推奨情報を表示する領域である。
図7の例では、追加推奨情報として抽出された(複数の第1参考求職者の登録情報から抽出された)候補スキルSOが選択入力可能なオブジェクトとして表示されている。登録情報編集部117は、求職者端末30から候補スキルSOの選択を受け付け、選択された候補スキルSOを更新登録情報に追加する(すなわち、登録情報表示領域RAに追加する)。
【0122】
保存ボタンB21が操作入力されると、登録情報表示領域RAに表示されている内容で、求職者登録情報が保存される。つまり、求職者登録情報のうち登録情報表示領域RAに表示されている項目(
図7の例では「スキル」)が、登録情報表示領域RAに表示されている内容に更新される。
【0123】
<人工知能部120>
人工知能部120は、各機能部から入力を受け付け、指示された出力を返すように構成されている。なお、サーバ装置10が各機能部において使用する人工知能は、共通のものであってもよいし、機能部毎に個別に用意されたものであってもよい。
【0124】
人工知能部120は、GPT(Generative Pretrained Transformer、GPT-1、GPT-2、GPT-3を含む)、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)、BART(Bidirectional and Auto-regressive Transformer)等を含むトランスフォーマ(Transformer)や再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network(RNN))等の言語モデル等を備えるAI(Artificial Intelligence)であって、生成AIを含んでもよい。
【0125】
言語モデルは、機械学習アルゴリズムによる学習モデルの一例である。機械学習の具体的なアルゴリズムとしては、最近傍法、ナイーブベイズ法、決定木、サポートベクターマシン、ニューラルネットワークを利用した深層学習(ディープラーニング)等が挙げられる。人工知能部120は、上記のアルゴリズムを適宜適用することができる。
【0126】
人工知能部120は、教師あり学習、教師なし学習、又は自己教師あり学習等の学習方法によって構築された学習済みモデルを有してもよい。教師あり学習では、教師データ(学習データ)を用いて機械学習を行う。教師データは、学習用の入力データ及び出力データ(正解データ)のペアで構成される。また、言語モデルは、特定のタスクのために訓練されたものだけでなく、幅広いタスクに対して汎用的に用いることができる汎用モデルであってもよい。
【0127】
人工知能部120は、人工知能として、膨大なデータを学習した大規模言語モデル(Large Language Models(LLM))のような汎用的な自然言語処理の学習モデルであってもよい。このような汎用的な学習モデルは、One-shot LearningやFew-shot Learning等により、ファインチューニングなしで様々なタスクに対応可能な言語モデルを含む。また、汎用的な学習モデルは、Zero-shot Learningによっても、様々なタスクに対応可能に構成されてもよい。制御部11の各機能部において用いられる人工知能は、それぞれ別個の学習モデルであってもよいし、共通した汎用的な学習モデルであってもよい。
【0128】
人工知能部120に含まれる学習モデル(推奨求人判定モデル、修正判定モデル等の、各機能部において使用される学習モデル)は、転移学習又はファインチューニングとして追加の学習を行うことが可能である。例えば、人工知能部120は、新たな求職者登録情報及び求人票の登録が発生する都度、これらを新たな教師データとして、追加の学習を行ってファインチューニングされてもよい。これにより、学習モデルから出力される情報の精度が向上する。
【0129】
人工知能部120に含まれる学習モデルは、元となる学習モデルを用いた知識蒸留(Knowledge Distillation)により得られた学習モデル(蒸留モデル)であってもよい。知識蒸留では、大規模言語モデルなどの、学習済みモデルを教師モデルとし、教師モデルの出力(Sоft Target)に対する生徒モデル(蒸留モデル)の出力の損失(Sоft Target Loss)が小さくなるように、生徒モデルのパラメータを調整することで、生徒モデルの学習が行われ、その生徒モデルが蒸留モデルとなる。また、教師データ(学習モデルの入力データと出力データとの組合わせ)の正解ラベル(Hard Target)に対する生徒モデルの出力の損失(Hard Target Loss)が小さくなるように生徒モデルの学習が行われてもよい。蒸留モデルは、元となる学習モデル(教師モデル)に比べて、当該学習モデルと近い性能をもちつつ、パラメータ数が小さく、処理負荷が小さくなる。そのため、蒸留モデルを用いることで、求職支援システム1のコストを低減できる。
【0130】
例えば、推奨求人判定モデル又は修正判定モデルは、大規模言語モデルにおける入力データと出力データとの組み合わせを教師データとして学習された蒸留モデルであってもよい。また、求職支援システム1の導入時には推奨求人判定モデル又は修正判定モデルとして大規模言語モデルを使用し、当該大規模言語モデルによる教師データが蓄積された時点で、当該教師データによる知識蒸留によって得られた蒸留モデルを推奨求人判定モデル又は修正判定モデルとして使用してもよい。
【0131】
<表示部>
求人者端末20の表示部211及び求職者端末30の表示部311は、それぞれ、サーバ装置10から送信されてきた画面データが示す画面を表示する。
【0132】
<操作取得部>
求人者端末20の操作取得部212は、求人者端末20を利用するユーザ(求人者)による操作を受け付ける。求職者端末30の操作受付部312は、求職者端末30を利用するユーザ(求職者)による操作を受け付ける。
【0133】
3.情報処理方法
本節では、サーバ装置10の情報処理方法について説明する。この情報処理方法は、サーバ装置10の各部が、各ステップとしてコンピュータにより実行される。
【0134】
具体的には、この情報処理方法は、第1実施形態の情報処理(推奨求人の提示処理)と、第2実施形態の情報処理(修正事項の提案処理)とを含む。
【0135】
第1実施形態の情報処理は、登録ステップと、第1提示ステップと、公開ステップと、第2提示ステップとを備える。登録ステップでは、求職者登録情報を登録する。第1提示ステップでは、求職者特性情報と第1参照情報とに基づいて、求職者が応募可能な求人の中から求職者に推奨する少なくとも1つの推奨求人を提示する。公開ステップでは、登録された求職者登録情報を求人者に公開する。第2提示ステップでは、求職者特性情報と第2参照情報とに基づいて、求職者が応募可能な求人の中から求職者に推奨する少なくとも1つの推奨求人を提示する。
【0136】
図8は、求職支援システム1によって実行される情報処理(推奨求人の提示処理)の流れを示すアクティビティ図である。以下では、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、情報処理を説明する。
【0137】
推奨求人の提示処理は、求職者による、自身の登録情報の登録から開始される。求職者は、求職者端末30において、登録に必要な情報を入力する(アクティビティA101)。サーバ装置10は、求職者端末30からの求職者登録情報の入力を受け付け、求職者データベースに登録する(アクティビティA102)。続いて、サーバ装置10は、公開前の求職者登録情報と第1参照情報とに基づいて、推奨求人(初期推奨求人)を抽出する(アクティビティA103)。さらに、サーバ装置10は、抽出した初期推奨求人を求職者端末30に出力する(アクティビティA104)。これにより、初期推奨求人が求職者端末30に表示(提示)される(アクティビティA105)。
【0138】
また、サーバ装置10は、所定の条件が満たされた求職者登録情報を求人者に公開する(アクティビティA106)。続いて、サーバ装置10は、公開後の求職者登録情報と第2参照情報とに基づいて、推奨求人(中期推奨求人)を抽出する(アクティビティA107)。さらに、サーバ装置10は、抽出した中期推奨求人を求職者端末30に出力する(アクティビティA108)。これにより、中期推奨求人が求職者端末30に表示(提示)される(アクティビティA109)。
【0139】
第2実施形態の情報処理は、受付ステップと、修正提案ステップと、登録情報編集ステップとを備える。受付ステップでは、求職者が応募可能な求人の中から、求職者による少なくとも1つの候補求人の選択を受け付ける。修正提案ステップでは、受付ステップで受け付けた候補求人と第3参照情報とに基づいて、求職者の登録情報に対する修正事項を提案する。登録情報編集ステップでは、指示を受けて、修正事項が反映された状態の求職者登録情報の少なくとも一部を表示させるとともに、当該求職者登録情報に対する編集を受け付ける。
【0140】
図9は、求職支援システム1によって実行される情報処理(修正事項の提案処理)の流れを示すアクティビティ図である。以下では、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、情報処理を説明する。
【0141】
修正事項の提案処理は、求職者登録情報が登録された求職者による、候補求人の選択から開始される。求職者は、求職者端末30において、閲覧対象、ブックマークリストへの登録対象等として、少なくとも1つの候補求人を選択する(アクティビティA201)。サーバ装置10は、求職者端末30から候補求人の入力を受け付け、候補求人の情報を取得する(アクティビティA202)。続いて、サーバ装置10は、候補求人と第3参照情報とに基づいて、求職者登録情報への追加を提案する推奨情報を抽出する(アクティビティA203)。さらに、サーバ装置10は、求職者登録情報に抽出した推奨情報を追加した、更新登録情報を求職者端末30に出力する(アクティビティA204)。これにより、更新登録情報が求職者端末30に表示(提示)される(アクティビティA205)。
【0142】
ユーザである求職者は、求職者端末30に表示された更新登録情報に対し、必要に応じて編集を行う(アクティビティA206)。サーバ装置10は、求職者端末30による更新登録情報に対する編集を受け付ける(アクティビティA207)。さらに、サーバ装置10は、編集された更新登録情報を新たな求職者登録情報として求職者データベースに登録する(アクティビティA208)。
【0143】
4.作用
本実施形態の作用をまとめると、次の通りとなる。すなわち、求職者の登録情報に応じて、求職者に適した推奨求人を提示できる。また、登録情報の登録後の時期に応じて、推奨求人を判定するための参照情報が使い分けられるため、例えば、登録直後の求職者に対しても適切な推奨求人が提示される。その結果、登録直後の求職者に対し、求職支援システム1が提供する採用支援サービスの価値を提示することができるため、当該採用支援サービスの継続利用を促すことができる。
【0144】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0145】
5.その他
上記実施形態では、サーバ装置10が種々の記憶・制御を行ったが、サーバ装置10に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。特に、人工知能部120は、サーバ装置10の外部構成であってもよい。その場合、外部構成である人工知能部120は、サーバ装置10の各機能部から入力を受け付け、指示された出力をサーバ装置10に返すように構成される。
【0146】
制御部11は、必ずしも修正提案部116及び登録情報編集部117を備えなくてもよい。つまり、求職支援システム1は、必ずしも修正事項の提案を実行しなくてもよい。
【0147】
本実施形態の態様は、求職支援システム1に限定されず、情報処理方法であっても、プログラムであってもよい。求職支援方法は、求職支援システム1が実行する各ステップを備える。プログラムは、コンピュータに、求職支援システム1の各ステップを実行させる。
【0148】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0149】
(1)求職支援システムであって、プロセッサを備え、前記プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成され、登録ステップでは、求職者の登録情報を登録し、提示ステップでは、求職者特性情報と参照情報とに基づいて、前記求職者が応募可能な求人の中から前記求職者に推奨する少なくとも1つの推奨求人を提示し、ここで、前記求職者特性情報は、前記登録情報及び前記求職者の求人に対する行動履歴の少なくとも一方であり、前記参照情報は、前記登録情報の登録後の時期に応じて使い分けられる第1参照情報及び第2参照情報を含み、前記第1参照情報は、前記求職者特性情報と前記求人との第1相関関係を含み、前記第2参照情報は、前記第1相関関係とは異なる、前記求職者特性情報と前記求人との第2相関関係を含む、求職支援システム。
【0150】
(2)上記(1)に記載の求職支援システムにおいて、前記提示ステップでは、前記時期が、前記第1参照情報の使用時期であるか否か判定する、求職支援システム。
【0151】
(3)上記(1)又は(2)に記載の求職支援システムにおいて、前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、公開ステップでは、登録された前記登録情報を求人者に公開し、前記提示ステップでは、前記時期が前記登録情報の公開前である場合、前記求職者特性情報と前記第1参照情報とに基づいて前記推奨求人を提示し、前記時期が前記登録情報の公開後である場合、前記求職者特性情報と前記第2参照情報とに基づいて前記推奨求人を提示する、求職支援システム。
【0152】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の求職支援システムにおいて、前記求職者特性情報は、前記登録情報であり、前記第2参照情報とともに前記提示ステップで参照される前記登録情報の項目の数は、前記第1参照情報とともに前記提示ステップで参照される前記登録情報の項目の数よりも多い、求職支援システム。
【0153】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の求職支援システムにおいて、前記求職者特性情報は、前記登録情報であり、前記提示ステップでは、前記時期に応じて前記第1参照情報が使用される場合に、前記登録情報に含まれる職種又は業種と同一又は類似の募集職種又は募集業種を含み、かつ、前記登録情報に含まれる年収に対する年収条件を満たす前記求人を前記推奨求人として提示し、前記第1参照情報は、前記第1相関関係として、前記登録情報に含まれる職種又は業種と同一又は類似の募集職種又は募集業種を示す情報と、前記年収条件とを含む、求職支援システム。
【0154】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の求職支援システムにおいて、前記求職者特性情報は、前記登録情報であり、前記提示ステップでは、前記時期に応じて前記第1参照情報が使用される場合に、参考求職者の前記行動履歴が判定基準を満たす前記求人を前記推奨求人として提示し、前記参考求職者は、前記登録情報に含まれる属性と同一又は類似の属性を有する登録情報を有する他の求職者、又は前記行動履歴が前記求職者と近い他の求職者であり、前記第1参照情報は、前記第1相関関係として、前記登録情報に含まれる属性と同一若しくは類似の属性を示す情報、又は前記行動履歴の近さを示す情報と、前記行動履歴に対する前記判定基準とを含む、求職支援システム。
【0155】
(7)上記(6)に記載の求職支援システムにおいて、前記行動履歴は、前記求人の閲覧、前記求人への応募、前記求人のブックマークリストへの登録、及び前記求人に基づいて送信されたスカウト文書への返信の少なくとも1つを含み、前記判定基準は、複数の前記参考求職者の前記行動履歴に基づいて算出される行動スコアが予め定めた閾値を超えることである、求職支援システム。
【0156】
(8)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の求職支援システムにおいて、前記第1参照情報は、前記求職者特性情報を入力とし前記推奨求人を出力することが可能なように学習された推奨求人判定モデルであり、前記提示ステップでは、前記時期に応じて前記第1参照情報が使用される場合に、前記求職者特性情報を前記推奨求人判定モデルに入力し、前記推奨求人判定モデルに前記推奨求人を出力させる、求職支援システム。
【0157】
(9)上記(8)に記載の求職支援システムにおいて、前記求職者特性情報は、前記登録情報であり、前記推奨求人判定モデルは、前記登録情報に含まれる職種又は業種と、年収とに基づいて前記推奨求人を判定することが可能なように学習される、求職支援システム。
【0158】
(10)上記(8)に記載の求職支援システムにおいて、前記推奨求人判定モデルは、複数の学習対象求職者の登録情報と前記行動履歴との関係を学習した学習モデルであり、前記提示ステップでは、前記時期に応じて前記第1参照情報が使用される場合に、前記求職者特性情報を前記推奨求人判定モデルに入力し、前記推奨求人判定モデルに、学習した前記行動履歴に含まれる求人の情報に基づき前記推奨求人を出力させる、求職支援システム。
【0159】
(11)上記(10)に記載の求職支援システムにおいて、前記行動履歴は、前記求人の閲覧、前記求人への応募、前記求人のブックマークリストへの登録、前記求人に基づいて送信されたスカウト文書への返信、及び前記求人における審査の通過の少なくとも1つを含む、求職支援システム。
【0160】
(12)上記(1)から(11)のいずれか1つに記載の求職支援システムにおいて、前記求職者特性情報は、前記登録情報であり、前記提示ステップでは、前記時期に応じて前記第1参照情報が使用される場合に、前記登録情報と前記第1参照情報とに基づいて求人ごとに求人スコアを算出するとともに、前記求人スコアの高さに応じて前記推奨求人を判定する、求職支援システム。
【0161】
(13)上記(12)に記載の求職支援システムにおいて、前記求人スコアは、前記登録情報に含まれる記載事項と前記求人に含まれる記載事項との対比に基づいて算出されるマッチスコアと、前記登録情報に含まれる属性と同一又は類似の属性を有する他の登録情報を有する参考求職者の、前記求人に対する行動履歴に基づいて算出される行動スコアとに基づいて算出される、求職支援システム。
【0162】
(14)求職支援方法であって、上記(1)から(13)のいずれか1つに記載の求職支援システムが実行する各ステップを備える、求職支援方法。
【0163】
(15)プログラムであって、コンピュータに、上記(1)から(13)のいずれか1つに記載の求職支援システムの各ステップを実行させる、プログラム。
もちろん、この限りではない。
【0164】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0165】
1 :求職支援システム
2 :通信回線
10 :サーバ装置
11 :制御部
12 :記憶部
13 :通信部
14 :通信バス
20 :求人者端末
21 :制御部
22 :記憶部
23 :通信部
24 :入力部
25 :出力部
26 :通信バス
30 :求職者端末
31 :制御部
32 :記憶部
33 :通信部
34 :入力部
35 :出力部
36 :通信バス
111 :基本表示制御部
112 :登録部
113 :公開部
114 :受付部
115 :提示部
116 :修正提案部
117 :登録情報編集部
120 :人工知能部
211 :表示部
212 :操作取得部
311 :表示部
312 :操作受付部
【要約】
【課題】求職者に適した求人を提示できる求職支援システム等を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、求職支援システムが提供される。この求職支援システムは、プロセッサを備える。プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成される。登録ステップでは、求職者の登録情報を登録する。提示ステップでは、求職者特性情報と参照情報とに基づいて、求職者が応募可能な求人の中から求職者に推奨する少なくとも1つの推奨求人を提示する。求職者特性情報は、登録情報及び求職者の求人に対する行動履歴の少なくとも一方である。参照情報は、登録情報の登録後の時期に応じて使い分けられる第1参照情報及び第2参照情報を含む。第1参照情報は、求職者特性情報と求人との第1相関関係を含む。第2参照情報は、第1相関関係とは異なる、求職者特性情報と求人との第2相関関係を含む。
【選択図】
図1